説明

同軸コネクタ

【解決手段】本発明は、第1印刷回路基板(1)を第2印刷回路基板(2)に接続するため、内部導体(3)、外部導体(4)及び誘電体(5)を具備する同軸コネクタ(100)に関する。相互接続される2枚の印刷回路基板(1,2)間の距離が小さくなるように上述のタイプのコネクタ(100)を改善するために、内部導体(3)、外部導体(4)及び誘電体(5)は圧縮可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1印刷回路基板を第2印刷回路基板に接続するため、内部導体、外部導体及び誘電体を具備する同軸コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば携帯電話等の携帯電子デバイスの小型化要求に対する需要が増大している。現在、携帯電子デバイスは、小さな設計でありながら増大する機能を提供する。携帯電子デバイスの小型化は、電子部品がより小さく設計され、これらの電子部品により占有される印刷回路基板上の空間がより効率的に使用される結果となる。このため、電子部品は占有空間が可能な限り小さいが、電子部品を有する印刷回路基板間の距離を可能な限り短く保つように、印刷回路基板を設計することが重要である。
【0003】
携帯電話において、電子部品を具備する印刷回路基板間を高周波信号が伝送される。このような高周波信号の伝送は通常、同軸高周波コネクタにより行われる。この種の同軸コネクタは、2枚の印刷回路基板間を接続すると共に、この理由のため、「ボード・ツー・ボードコネクタ」とも称されることがある。この種のコネクタの機能は、可能な限り干渉がない状態で2枚の印刷回路基板間に高周波電気信号を伝送することである。2枚の印刷回路基板を相互接続するこのような同軸コネクタは、高周波での良好な電気特性を有すると同時に、増大する小さな携帯電子デバイスの構成を可能にするために小さな形状であることが理想的である。
【0004】
従って、本発明は、2枚の印刷回路基板間の距離を小さくすることができると同時に、可能な限り堅牢で擾乱のない電気接続が確保されるように、上述したタイプの電子デバイスの2枚の回路基板を相互接続するための一般的な同軸コネクタを改善することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、上述の目的は、請求項1の特徴を有する同軸コネクタにより達成される。本発明の有利な発展形は従属項に記載されている。
【0006】
本発明は、同軸コネクタを構成する内部導体、外部導体及び誘電体が圧縮可能であるという技術思想に基づいている。このようにして、2枚の印刷回路基板間の距離を、柔軟な設計にすることができ、特に実質的に減少することができる。取付け後、圧縮状態はまた、特に堅牢で振動に抗する電気接続を確保する。さらに、本発明に従った同軸コネクタは、特に良好な熱膨張性を有する。
【0007】
本発明に従った有利な実施形態によれば、好適にはエラストマである弾性材料からなる内部導体、外部導体及び誘電体は、圧縮可能な同軸コネクタの製造を特に容易にすることができる。さらに、内部導体及び外部導体が導電性エラストマ製であり、誘電体が絶縁エラストマ製である場合、内部導体及び外部導体が良好な導電性を有する同軸コネクタを形成することができる。このため、同軸コネクタ並びに第1及び第2の印刷回路基板間が弾性的に接触する。
【0008】
内部導体、外部導体及び誘電体が、内部導体から絶縁された少なくとも1個の外部導体層(外層)を有する、好適にはエラストマ製の一体の弾性ブロックとして設けられる場合、特に小さな寸法を有する同軸コネクタを製造することができる。この同軸コネクタの構成要素の数を減少することが可能であるので、このコネクタの製造を簡素化することが可能である。
【0009】
一体の弾性ブロックがほぼ立方体であって、一体の弾性ブロックの2側面に配置された少なくとも2枚の導電板を具備し、これら少なくとも2枚の導電板が組立状態で第1印刷回路基板を第2印刷回路基板に接続する場合、外部導体を介して2枚の印刷回路基板間を電気接続することが容易にできる。
【0010】
少なくとも2枚の導電板間に誘電体を配置し、内部導体が誘電体を貫通し、組立状態で第1印刷回路基板を第2印刷回路基板に接続すると、特に利点がある。このように、外部導体による2枚の印刷回路基板間の電気接続は、内部導体による2枚の印刷回路基板間の電気接続から分離されている。
【0011】
同軸コネクタが一体の弾性ブロックを取り囲み且つ接続する中空導体を具備する場合、一体の弾性ブロックは、第1印刷回路基板上に配置できると共に第1印刷回路基板に固定することができる。
【0012】
さらに、中空導体は第1印刷回路基板に半田付けされるよう構成されるので、固定コンタクトが第1印刷回路基板及び同軸コネクタの間にあることを保証される。同軸コネクタに中空導体を設けることは、一体の弾性ブロックが弾性材料、好適には半田付けされる材料でないエラストマである場合、特に利点がある。
【0013】
同軸コネクタの有利な一実施形態によれば、中空導体は、一体の弾性ブロックを導入するための円錐状内面を有する。このため、この一体の弾性ブロックは、好適には圧入で中空導体内に容易に導入することができる。
【0014】
中空導体が第2印刷回路基板上に実装されたスリーブに接続される場合、特に中空導体が、スリーブ上に配置された少なくとも1個のラッチ突起にロックされる少なくとも1個のラッチ凹部を有する場合、第2印刷回路基板は、第1印刷回路基板に対して正確に配置することができる。
【0015】
さらに、中空導体がケーブルプラグに接続される場合、特に中空導体が、ケーブルプラグ上に配置された少なくとも1個のラッチ突起にロックされる少なくとも1個の保持凹部を有する場合、ケーブルプラグを介して第1印刷回路基板に計測デバイスを容易に接続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面に図示された実施形態を参照して、本発明を詳細に説明する。本発明に従った同軸コネクタの類似又は対応する詳細には、同じ参照番号が付与されている。
【0017】
第1印刷回路基板1を第2印刷回路基板2に接続するための本発明による同軸コネクタ100は、図1に見ることができるように、好適にはエラストマからなる一体の弾性ブロック20を有する。2枚の導電板4a,4bが、一体の弾性ブロック20の2側面に配置されている。これら2枚の導電板4a,4bは、好適には導電性エラストマから構成されるので、圧縮可能であり、また導電性を有する。同軸コネクタ100の組立状態において、2枚の導電板4a,4bは、第1印刷回路基板1を第2印刷回路基板2に電気的に接続する。2枚の導電板4a,4bは、本発明に従った同軸コネクタ100の外部導体として作用し、圧縮可能な外部導体4a,4bを形成する。
【0018】
好適にはエラストマである弾性材料からなる誘電体5は、2枚の導電板4a,4b間に設けられる。この誘電体5は、好適には導電性エラストマからなる2枚の導電板4a,4bとは異なり、絶縁エラストマからなる。導電性エラストマからなる内部導体3は、一体の弾性ブロック20の一横面から反対側の横面まで誘電体5を貫通する。内部導体3の縦軸は、2枚の導電板4a,4bの面とほぼ平行に延びる。
【0019】
同軸コネクタ100はまた、第1印刷回路基板1上に半田付け可能な中空導体6を具備する。この中空導体6はほぼ環状であり、円錐状内面を有する。第1印刷回路基板1に対面する中空導体6の下側に設けられるのは、第1印刷回路基板1上に半田付けできる半田付け足10である。しかし、中空導体6及び第1印刷回路基板1間の接続部の他の構成も可能である。特に、中空導体6はまた、半田付けされる前に、第1印刷回路基板1の対応する開口内に導入されるよう構成された位置決め足を有してもよい。
【0020】
図1及び図2に示される中空導体6は本発明の好適な一実施形態では環状として図示されているが、例えば立方体の構成等の他の構成ももちろん可能である。また、中空導体6は半田付け足を有しなくてもよく、第1印刷回路基板1上に直接半田付けされてもよい。
【0021】
一体の弾性ブロック20は、中空導体6に導入可能な立方体の弾性ブロックの形態で設けられる。このブロック20は中空導体6内に配置されるので、同軸コネクタ100が組立状態にあるとき、内部導体1が第1印刷回路基板1を第2印刷回路基板2に電気的に接続する。
【0022】
本発明の好適な一実施形態では、一体の弾性ブロック20は例えばシリコーン等のエラストマ製として説明されているが、このブロック20は、弾性ブロックの製造を可能にするばね等の異なる弾性材料製とすることももちろん可能であるので、圧縮可能な同軸コネクタが形成される。
【0023】
また、弾性ブロック20は、ほぼ立方体ブロックの形態のみならず、例えば筒又はボールの形態で製造することも可能である。一体の弾性ブロックは球面に構成されると、内部導体から絶縁された外層が設けられ、球面ブロックの対向する2側面上又は球面ブロックの全周囲に配置される。
【0024】
一体の弾性ブロック20が立方体になるよう構成されると、2枚の導電板がブロックの2側面に配置されるのみならず、例えば4枚の導電板がブロックの連続する4側面に設けることが可能であるので、弾性ブロックは、さらに内部導体から絶縁された導電性外層を全周囲に有する。
【0025】
本発明に従った同軸コネクタ100の中空導体6は、中空導体6の全周囲に延びるラッチ凹部8を有する。ラッチ凹部8は、第2印刷回路基板2に実装されたスリーブ7に配置されたラッチ突起9とロックすることができる。スリーブ7は、第2印刷回路基板2に半田付けされる半田付け足11を有する中空導体の形態で設けられるのが好適である。第2印刷回路基板2のスリーブ7は、第2印刷回路基板2を第1印刷回路基板1に正確に接続するために、位置決め補助として作用する。
【0026】
中空導体6のラッチ凹部8は中空導体6の全周囲に延びるものとして説明されているが、ラッチ凹部は、周囲の一部に延びるか、中空導体の周囲の特定位置に配置することももちろん可能である。複数のラッチ凹部はまた、第2印刷回路基板上に組み立てられたスリーブの対応するラッチ突起とロックすることができる中空導体に設けられてもよい。
【0027】
第2印刷回路基板2上に設けられ、本発明に従った同軸コネクタ100の中空導体6にロック可能なスリーブ7は、位置決め補助として作用するが、2枚の印刷回路基板1,2を機械的及び電気的に接続するために必要ではない。
【0028】
中空導体6のラッチ凹部はまた、外部ケーブルプラグのラッチ突起とロックすることができる。ラッチ凹部は、計測デバイスに接続され且つ試験目的のために本発明に従った同軸コネクタに接続される外部試験同軸コネクタ用の固定要素として作用する。
【0029】
図2は、本発明に従った同軸コネクタ100の一部を示す。図3は、本発明に従った一体の弾性ブロック20の斜視図であり、一体の弾性ブロック20が立方体構成であることを示す。
【0030】
次に、第1印刷回路基板1への本発明に従った同軸コネクタ100の組立、及び第1印刷回路基板1及び第2印刷回路基板2の相互接続を、以下に詳細に説明する。
【0031】
最初に、一体の弾性ブロック20を中空導体6内に導入する。このようにする際に、中空導体6の円錐状内面が、中空導体6内への弾性ブロック20の導入を補助する。弾性ブロック20を圧入することにより、ブロック20の外面が中空導体6の円錐状内面の一端で変形する。この結果、弾性ブロック20の外面は、中空導体6の内面の形状に適合する。図1ないし図3は、一体の弾性ブロック20の外面のこの変形を示していない。
【0032】
一体の弾性ブロック20が中空導体6内に一旦導入されると、次に、本発明に従った同軸コネクタ100の中空導体6が第1印刷回路基板1上に組み立てられる。中空導体6の半田付け足10は、第1印刷回路基板1上に半田付けされるのが好適である。次に、好適にはスリーブ7を有する第2印刷回路基板2が、一体の弾性ブロック20の中空導体6から突出する上面に押圧される。このようにして、弾性ブロック20は、内部導体3及び2枚の導電板4a,4bが第1印刷回路基板1を第2印刷回路基板2に接続するまで、中空導体6内にさらに押圧される。こうして、2枚の回路基板1,2が機械的及び電気的に接続される。この工程の際、第2印刷回路基板2に設けられたスリーブ7は、第2印刷回路基板2を第1印刷回路基板1に正確に接続する補助となる。
【0033】
本発明に従った同軸コネクタは、本発明に従った同軸コネクタの内部導体、外部導体及び誘電体が圧縮可能に構成されるので、互いに極めて小さい間隔にある電子デバイスの2枚の印刷回路基板を電気接続することを可能にする。さらに、本発明に従った同軸コネクタにより2枚の印刷回路基板が相互接続される携帯電子デバイスは、特定の空間節約設計という利点を有するのみならず、2枚の印刷回路基板間の柔軟性のある接続のため、特に衝撃に抗するという利点を有する。また、この接続は、特に良好な熱的拡張性をも有する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明による同軸コネクタの断面図である。
【図2】本発明による同軸コネクタを部分断面した斜視図である。
【図3】本発明による弾性ブロックの斜視図である。
【符号の説明】
【0035】
1 第1印刷回路基板
2 第2印刷回路基板
3 内部導体
4a,4b 外部導体
5 誘電体
6 中空ブロック
7 スリーブ
8 ラッチ凹部
9 ラッチ突起
20 一体の弾性ブロック
100 同軸コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1印刷回路基板を第2印刷回路基板に接続するために、内部導体、外部導体及び誘電体を具備する同軸コネクタにおいて、
前記内部導体、前記外部導体及び前記誘電体は、圧縮可能であることを特徴とする同軸コネクタ。
【請求項2】
前記内部導体、前記外部導体及び前記誘電体は、エラストマ製であることを特徴とする請求項1記載の同軸コネクタ。
【請求項3】
前記内部導体及び前記外部導体は導電性エラストマ製であり、
前記誘電体は絶縁性エラストマ製であることを特徴とする請求項1又は2記載の同軸コネクタ。
【請求項4】
前記内部導体、前記外部導体及び前記誘電体は、一体の弾性ブロックとして構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項記載の同軸コネクタ。
【請求項5】
前記一体の弾性ブロックは、前記内部導体から絶縁された少なくとも1個の外層を有することを特徴とする請求項4記載の同軸コネクタ。
【請求項6】
前記一体の弾性ブロックは、ほぼ立方体であることを特徴とする請求項4又は5記載の同軸コネクタ。
【請求項7】
前記一体の弾性ブロックは、該一体の弾性ブロックの2側面に配置された少なくとも2枚の導電板を具備することを特徴とする請求項4ないし6のうちいずれか1項記載の同軸コネクタ。
【請求項8】
前記少なくとも2枚の導電板は、互いにほぼ平行に配置されていることを特徴とする請求項7記載の同軸コネクタ。
【請求項9】
前記少なくとも2枚の導電板は、組立状態において、前記第1印刷回路基板を前記第2印刷回路基板に接続するよう構成されていることを特徴とする請求項7又は8記載の同軸コネクタ。
【請求項10】
前記誘電体は、少なくとも2枚の導電板間に配置されていることを特徴とする請求項7ないし9のうちいずれか1項記載の同軸コネクタ。
【請求項11】
前記内部導体は前記誘電体を貫通し、組立状態において、前記第1印刷回路基板を前記第2印刷回路基板に接続するよう構成されていることを特徴とする請求項1ないし10のうちいずれか1項記載の同軸コネクタ。
【請求項12】
前記一体の弾性ブロックを取り囲むと共に該一体の弾性ブロックに導電接続される中空導体を具備することを特徴とする請求項4ないし11のうちいずれか1項記載の同軸コネクタ。
【請求項13】
前記中空導体は、前記第1印刷回路基板に半田付け可能であることを特徴とする請求項12記載の同軸コネクタ。
【請求項14】
前記中空導体は、前記一体の弾性ブロックを導入するための円錐状内面を有することを特徴とする請求項12又は13記載の同軸コネクタ。
【請求項15】
前記中空導体は、前記第2印刷回路基板上に組み立てられたスリーブに接続可能であることを特徴とする請求項12ないし14のうちいずれか1項記載の同軸コネクタ。
【請求項16】
前記中空導体は、前記スリーブに配置された少なくとも1個のラッチ突起にロック可能である少なくとも1個のラッチ凹部を有することを特徴とする請求項15記載の同軸コネクタ。
【請求項17】
前記中空導体は、ケーブルプラグに接続可能であることを特徴とする請求項12ないし16のうちいずれか1項記載の同軸コネクタ。
【請求項18】
前記中空導体は、前記ケーブルプラグに配置された少なくとも1個のラッチ突起にロック可能である少なくとも1個のラッチ凹部を有することを特徴とする請求項17記載の同軸コネクタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2009−502014(P2009−502014A)
【公表日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−521821(P2008−521821)
【出願日】平成18年6月21日(2006.6.21)
【国際出願番号】PCT/EP2006/005974
【国際公開番号】WO2007/009549
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(501090342)タイコ エレクトロニクス アンプ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハウツンク (65)
【出願人】(503388120)タイコ エレクトロニクス ベルジウム イーシー エヌ ブイ (6)
【Fターム(参考)】