説明

名刺情報管理システムおよび携帯端末

【課題】本発明は、相手に応じて名刺情報の開示範囲を自由に変えることができる名刺情報管理システムおよび携帯端末を提供することを課題とする。
【解決手段】電子名刺交換装置は、名刺情報の開示範囲を情報開示レベルとして選択する手段、アクセスIDを作成して他の装置へ送信する手段、アクセスIDと情報開示レベルをサーバへ送信する手段、サーバにアクセスIDを送信する手段を備える。サーバは、各ユーザのユーザIDと名刺情報とを関連づけて記憶したハードディスク、一の装置からアクセスIDと情報開示レベルを受信したことを条件に、これらの情報と一の装置のユーザIDを関連づけてハードディスクに記憶する手段、他の装置から送信されたアクセスIDを基に、一の装置のユーザIDと情報開示レベルを取得し、一の装置のユーザIDを基に名刺情報を取得し、その名刺情報を前記開示範囲で他の装置へ送信する手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末同士の相互通信によって名刺情報を交換可能な名刺情報管理システムと、他の携帯端末へ名刺情報を送信可能な携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、相手の装置との間で名刺情報を交換することができる電子名刺装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平7−64923号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、名刺情報の交換相手毎に、自己に係る複数の情報の中から所定の情報を選択可能であることは、例えば、個人情報の保護の観点、又は、複数の肩書きを有するユーザによる当該装置の利用の観点から有効である。
【0005】
そこで、本発明は、相手に応じて名刺情報の開示範囲を自由に変えることができる名刺情報管理システムおよび携帯端末を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決する本発明は、複数の携帯端末と、前記携帯端末と情報交換可能なサーバとを備えた名刺情報管理システムであって、前記携帯端末は、前記携帯端末のユーザに係る複数の情報からなる名刺情報の開示範囲を選択可能な選択手段と、他の携帯端末とユーザIDを交換する際に、ユニークなアクセスIDを作成して、自装置のユーザIDと前記アクセスIDとを前記他の携帯端末へ送信するID送信手段と、他の携帯端末とユーザIDを交換する際に、前記他の携帯端末から送信される他の携帯端末のユーザIDとアクセスIDとを受信するID受信手段と、前記自装置で作成したアクセスIDと前記選択手段で選択した開示範囲を示す情報とを前記サーバへ送信する開示依頼手段と、前記ID受信手段が受信した前記ユーザIDとアクセスIDとを前記サーバへ送信して前記名刺情報を要求する名刺情報要求手段と、前記名刺情報要求手段の要求に応じて前記サーバから送信される名刺情報を受信する名刺情報受信手段と、を備え、前記サーバは、前記各携帯端末のユーザIDと、ユーザの名刺情報とを関連づけて記憶した記憶手段と、一の携帯端末から前記アクセスIDおよび前記開示範囲を示す情報を受信したことを条件として、これらの情報を関連づけて前記記憶手段に記憶する開示範囲記憶手段と、前記他の携帯端末から一の携帯端末のユーザの名刺情報の要求があった場合に、前記記憶手段から、当該他の携帯端末から送信されたアクセスIDに関連付けられた前記開示範囲を示す情報を取得し、さらに当該一の携帯端末のユーザIDを基にして前記開示範囲で前記一の携帯端末のユーザの名刺情報を取得し、取得した名刺情報を前記他の携帯端末へ送信する名刺情報送信手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、複数の携帯端末と、前記携帯端末と情報交換可能なサーバとを備えた名刺情報管理システムであって、前記携帯端末は、前記携帯端末のユーザに係る複数の情報からなる名刺情報の開示範囲を選択可能な選択手段と、別のユーザの携帯端末に自己のユーザIDを送信する自己ID送信手段と、別のユーザの携帯端末から送信される別のユーザIDを受信するユーザID受信手段と、前記別のユーザの携帯端末から前記別のユーザのユーザIDを受信したことを条件として、前記サーバに自己のユーザIDと、前記別のユーザのユーザIDと、前記選択手段で選択された開示範囲を示す情報とを送信する開示依頼手段と、前記サーバに自己のユーザIDおよび別のユーザのユーザIDを送信して前記名刺情報を要求する名刺情報要求手段と、前記名刺情報要求手段の要求に応じて前記サーバから送信される名刺情報を受信する名刺情報受信手段と、を備え、前記サーバは、前記各携帯端末のユーザIDと、ユーザの名刺情報とを関連づけて記憶した記憶手段と、一の携帯端末から他の携帯端末のユーザIDおよび前記開示範囲を示す情報を受信したことを条件として、これらの情報と前記一の携帯端末のユーザIDとを関連づけて前記記憶手段に記憶する開示範囲記憶手段と、前記他の携帯端末から名刺情報の要求があったことを条件として、前記他の携帯端末から送信された当該他の携帯端末のユーザIDおよび前記一の携帯端末のユーザIDを基にして、前記記憶手段から前記開示範囲を示す情報と前記一の携帯端末のユーザの名刺情報とを取得し、取得した名刺情報を、前記開示範囲を示す情報に基づいて所定の開示範囲で前記他の携帯端末へ送信する名刺情報送信手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明は、他の携帯端末へ、携帯端末のユーザに係る複数の情報からなる名刺情報を送信可能な携帯端末であって、前記名刺情報の開示範囲を選択可能な選択手段と、前記選択手段による選択の完了を条件として、前記名刺情報のうち前記選択手段で選択された開示範囲部分または開示範囲を示す情報を前記他の携帯端末へ送信する送信手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、ユーザが携帯端末を適宜操作することで、携帯端末の選択手段によって名刺情報の開示範囲が選択されるので、ユーザは各相手に応じて名刺情報の開示範囲を自由に変えることができる。
【0010】
また、本発明は、前記携帯端末の動きを動作情報として検出するモーションセンサを備え、前記選択手段が、前記モーションセンサで検出した動作情報に基づいて、前記名刺情報の開示範囲を決定するように構成されていてもよい。
これによれば、ユーザが携帯電話を持って所定の動作を行うだけで、名刺情報の開示範囲を決定できるので、ユーザの咄嗟の判断で開示範囲を即座に決定することができる。
【0011】
また、本発明は、前記動作情報に基づいて、前記携帯端末を上下に振った回数を判別する判別手段をさらに備え、前記選択手段が、前記判別手段が判別した回数が多い程、前記開示範囲を広くするように構成されていてもよい。
これによれば、一般的に信頼した相手になるほど握手した手を上下動させる回数が増えることから、現実の握手に相当した動作となり、携帯端末のユーザが開示範囲を広げる動作や狭める動作を忘れることがない。
【0012】
また、本発明は、前記携帯端末のユーザにより操作される1または複数のキーをさらに備え、前記選択手段が、前記ユーザが所定のキー操作を行うことによって開示範囲を変更するように構成されていてもよい。
これによれば、ユーザは、所定のキー操作によって開示範囲を変更できるので、例えば携帯電話のようにキーが必須の構成要素である機器においては、部品点数を増やすことなく、開示範囲を変更できる機能を実現できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ユーザが携帯端末を適宜操作することで、携帯端末の選択手段によって名刺情報の開示範囲が選択されるので、ユーザは各相手に応じて名刺情報の開示範囲を自由に変えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態においては、携帯端末の一例として電子名刺交換装置3、位置検出手段の一例としてGPSセンサ38、記憶手段の一例としてハードディスク4を採用することとする。
【0015】
<名刺情報管理システムの構成>
図1に示すように、名刺情報管理システム1は、サーバ2と、複数の電子名刺交換装置3とで主に構成されている。なお、以下の説明においては、一方の電子名刺交換装置3のユーザを本人M1と呼び、他方の電子名刺交換装置3のユーザを他人M2と呼ぶこととする。
【0016】
<サーバの構成>
サーバ2は、CPU21と、各種プログラムが記憶されたメモリ22と、各種データを記憶するハードディスク4とを主に備えている。なお、このサーバ2には、CPU21、メモリ22およびハードディスク4の他に、通信機、キーボード、マウス、ディスプレイなど公知の機器が適宜設けられている。
【0017】
そして、ハードディスク4には、図2に示すように、個人テーブル41、知人テーブル42、会合テーブル43および情報開示レベルテーブル44が主に記憶されている。なお、以下の説明では、ハードディスク4のデータ構成を先に説明し、後にメモリ22に記憶されたプログラムを説明することとする。
【0018】
<データ構成>
個人テーブル41は、電子名刺交換装置3のユーザのユーザID、ユーザの名刺情報およびユーザに関するメモ情報が記録されたレコード41A,41B,41C,…を、ユーザごとに備えている。ここで、ユーザの名刺情報は所定の情報を任意に設定可能であり、本実施形態においては、名前、肩書き、所属会社名、所属部署名、会社所在地、電話番号、e-mailアドレス、顔写真、誕生日、性別(図2の41A中、「−name」〜「−sex」で示す項目。)が名刺情報として設定されている。なお、本実施形態においては、個人テーブル41のレコード41Aに本人M1のユーザID(以下、「本人ID」ともいう。)等が記録され、レコード41Bに他人M2のユーザID(以下、「他人ID」ともいう。)等が記録されていることとする。
【0019】
知人テーブル42は、所定のユーザに対応する個人テーブル41の所定のレコード(例えば、レコード41A)に関連付けられるように設定されたレコード(例えば、A1,A2,A3,…)を、前記所定のユーザとは別のユーザごとに備えている。すなわち、この知人テーブル42は、所定のユーザに対する知人が増えるたびに、順次レコードが追加されていく構造となっている。そして、知人テーブル42の各レコード(例えば、A1,A2,A3,…)には、別のユーザのユーザIDと、別のユーザに関するメモ情報が記録される。なお、本実施形態においては、知人テーブル42のレコードA1に、他人M2の他人ID等が記録されていることとする。
【0020】
会合テーブル43は、知人テーブル42の中の所定のレコード(例えば、レコードA1)に関連付けられるように設定されたレコード(例えば、A11,A12,A13,…)を、会合ごとに複数備えている。すなわち、この会合テーブル43は、所定のユーザと別のユーザとの間で会合が開かれるたびに、順次レコードが追加されていく構造となっている。そして、会合テーブル43の各レコードA11,A12,A13,…には、会合日時、会合場所、会合の目的および会合に関するメモ情報が記録される。
【0021】
ここで、前記した個人テーブル41の各レコード41A,41B,…の情報、知人テーブル42のメモ情報、会合テーブル43の会合の目的およびメモ情報は、各ユーザがサーバ2のキーボードなどの所定の入力装置などを操作することによって入力される構成とすることも可能であるが、電子名刺交換装置3のユーザが、サーバ2とデータ通信可能に接続され、キーボードなどの所定の入力装置を備える装置(例えば、パーソナルコンピュータ。)を介して、所定の情報を入力し、これをサーバ2に送信することで、各テーブルに記録される構成を採用することもできる。なお、後者の構成を採用する場合、所定の情報を登録するのに適切なユーザであることを、事前に認証するシステムを採用することが好適である。
【0022】
また、知人テーブル42への他人IDの記録は、本人M1の電子名刺交換装置3からサーバ2に送られてくる他人IDをサーバ2が受信したことを条件として、サーバ2のCPU21によって適宜実行される。さらに、会合日時および会合場所は、電子名刺交換装置3からサーバ2に送られてくる会合日時データおよび会合場所データ(後で詳述)をサーバ2が受信したことを条件として、サーバ2のCPU21によって適宜記録される。
【0023】
情報開示レベルテーブル44には、後で詳述するアクセスIDと情報開示レベルが記録されるレコード44A,44B,44C,…を複数備えている。すなわち、この情報開示レベルテーブル44は、電子名刺交換装置3から送信されるアクセスIDおよび情報開示レベルをサーバ2が受信するたびに、順次レコードが追加されていく構造となっている。
【0024】
<各種プログラム>
以下に、メモリ22に記憶された各種プログラムについて詳細に説明する。なお、以下に示すプログラム以外にも、メモリ22は様々なプログラムが組まれており、これにより、CPU21は、公知のサーバが備える機能をも実現する。
【0025】
[開示範囲記憶プログラム]
開示範囲記憶プログラムは、一の電子名刺交換装置3から後で詳述するアクセスIDおよび情報開示レベル(開示範囲を示す情報)を受信したことを条件として、これらの情報を関連づけてハードディスク4に記憶させるプログラムである。具体的に、このプログラムを読み込んだCPU21は、一の電子名刺交換装置3からアクセスIDおよび情報開示レベルを図示せぬ通信機で受信したことを条件として、情報開示レベルテーブル44にレコードを追加し、このレコードに前記情報を関連付けて記憶させる。ここで、開示範囲記憶プログラムおよびCPU21が、開示範囲記憶手段の一例に相当する。
【0026】
[会合データ追加プログラム]
会合データ追加プログラムは、電子名刺交換装置3から、新たな会合日時データおよび会合場所データが送信されてきた場合に、会合テーブル43のレコードを追加し、このレコードに新たな会合日時データおよび会合場所データを記録するためのプログラムである。具体的に、このプログラムを読み込んだCPU21は、所定のユーザの電子名刺交換装置3から所定のユーザのユーザIDや別のユーザのユーザID等の各種情報を図示せぬ通信機で受信したことを条件として、個人テーブル41の各レコード内に所定のユーザのユーザIDが存在するか否かを判断する。CPU21は、存在すると判断した場合には、そのレコードに対応する知人テーブル42の各レコード内に別のユーザのユーザIDが存在するか否かを判断する。そして、このCPU21は、知人テーブル42の各レコード内に別のユーザのユーザIDが存在すると判断した場合に、既に存在する会合テーブル43のレコードを追加して、このレコード内に新たな会合日時データおよび会合場所データを記録する。
【0027】
[知人確認プログラム]
知人確認プログラムは、所定のユーザの電子名刺交換装置3から送られてくる別のユーザのユーザIDの受信を条件として、知人テーブル42内に別のユーザのユーザIDが存在するかを確認するプログラムである。具体的に、このプログラムを読み込んだCPU21は、所定のユーザの電子名刺交換装置3から別のユーザのユーザIDを図示せぬ通信機で受信したことを条件として、所定のユーザに対応した個人テーブル41に関連付けられた知人テーブル42内から別のユーザのユーザIDを検索する。
【0028】
[知人情報検索プログラム]
知人情報検索プログラムは、前記した知人確認プログラムによって検索(確認)される別のユーザのユーザIDの存在を条件として、その別のユーザのユーザIDに対応するレコードを個人テーブル41内から検索するプログラムである。具体的に、このプログラムを読み込んだCPU21は、知人確認プログラムの検索結果に基づいて別のユーザのユーザIDが存在するか否かを判断し、別のユーザのユーザIDが存在すると判断した場合に、別のユーザのユーザIDが記録されている個人テーブル41のレコードを検索する。
【0029】
[詳細情報送信プログラム]
詳細情報送信プログラムは、知人情報検索プログラムによって個人テーブル41から検索される別のユーザに関するレコードの存在を条件として、このレコード内の情報と、所定のユーザに対応した個人テーブル41に関連付けられた別のユーザに係る会合テーブル43内の情報を、所定のユーザの電子名刺交換装置3に送信するプログラムである。また、この詳細情報送信プログラムは、例えば所定のユーザの電子名刺交換装置3とは別のユーザの電子名刺交換装置3から所定のユーザの名刺情報の要求があった場合に、名刺情報を情報開示レベルに基づいて適宜制限して他の電子名刺交換装置3に送信するプログラムでもある。
【0030】
具体的に、このプログラムを読み込んだCPU21は、知人情報検索プログラムの検索結果に基づいて個人テーブル41内に別のユーザのレコードが存在するか否かを判断する。そして、CPU21は、別のユーザのレコードが存在すると判断した場合には、そのレコード内の情報と、所定のユーザに対応した個人テーブル41に関連付けられた別のユーザに係る会合テーブル43の各レコード内の情報とを、図示せぬ送信機を介して所定のユーザの電子名刺交換装置3に送信する。なお、この詳細情報送信プログラムによって、所定のユーザに対応した個人テーブル41に関連付けられた別のユーザに係る知人テーブル42のメモ情報を、上記情報とともに送信する構成を採用してもよい。また、CPU21は、例えば所定のユーザとは別のユーザの電子名刺交換装置3から送信されたアクセスIDを基にして、ハードディスク4の情報開示レベルテーブル44から情報開示レベルを取得する。その後、CPU21は、所定のユーザのユーザIDを基にして所定のユーザの名刺情報を個人テーブル41の中から情報開示レベルに応じた分だけ取得し、取得した名刺情報を別のユーザの電子名刺交換装置3へ送信する。ここで、詳細情報送信プログラムおよびCPU21が、名刺情報送信手段の一例に相当する。
【0031】
<電子名刺交換装置の構成>
図3に示すように、電子名刺交換装置3は、CPU31、ROM32、RAM33、不揮発性RAM34、右表示部35、左表示部36、RTC37、GPSセンサ38、第1無線機39、第2無線機(Bluetooth:登録商標)50、赤外線センサ51、加速度センサ52、RFリーダ53、明度センサ54を備えている。
【0032】
CPU31は、ROM32に記憶されている複数のプログラムに基づいて各種機器を制御している。
【0033】
ROM32は、書き込み不能なメモリ(Read Only Memory)であり、その中には、その電子名刺交換装置3に固有のユーザID(本人ID)と、後で詳細に説明するフローチャートを実現する複数のプログラムとが主に記憶されている。なお、各プログラムの詳細については、各ハードウェアの説明をした後に述べることとする。
【0034】
RAM33は、書き込み可能なメモリ(Random Access Memory)であり、その中には、主に後記する動作情報などが一時的に記憶される。
【0035】
不揮発性RAM34は、電力供給が行われない状態であっても、書き込まれたデータを保持する半導体メモリであり、その中には、主に後記する他人ID、会合日時データ、会合場所データ、セキュリティロックを解除するための暗号情報などが記憶される。特に、この不揮発性RAM34には、サーバ2との通信が不能な場合に、他人IDと、この他人IDを受信したときの会合日時データ及び会合場所データとを各人ごとに記録しておくテンポラリ知人テーブルと、後で詳述するアクセスIDおよび情報開示レベルを各人ごとに記録しておくテンポラリ情報開示テーブルが記憶されている。また、この不揮発性RAM34には、互いに異なる複数のイメージ情報の一例としての大小の異なる星画像が記憶されている。
【0036】
右表示部35は、電子名刺交換装置3の右側に配置されて所定の映像を表示する装置である。具体的に、この右表示部35は、CPU31に適宜制御されることによって、RAM33に一時的に記憶する他人の情報のうちの一部を表示し、または、残りの詳細情報を表示する。
【0037】
左表示部36は、電子名刺交換装置3の左側に配置されて所定の映像を表示する装置である。具体的に、この左表示部36は、CPU31に適宜制御されることによって、RTC37に基づいて算出される年月日、時間、曜日などを表示し、または、不揮発性RAM34に記憶したイメージ情報をイメージ映像として表示する。
【0038】
RTC37は、現実の時間を計時することが可能な計時手段(Real Time Clock)である。GPSセンサ38は、GPS(Global Positioning System)に使用される位置検出用のセンサである。
【0039】
第1無線機39は、サーバ2との相互通信が可能な無線機であり、これによりサーバ2との情報交換が可能となっている。また、第2無線機50は、所定の距離まで近づいた他の電子名刺交換装置3と短距離通信が可能な無線機である。
【0040】
赤外線センサ51は、電子名刺交換装置3と、この電子名刺交換装置3を手に持ったユーザとの距離を計測するためのセンサである。なお、距離を計測可能な赤外線センサの一例を挙げると、例えば、PSD(ポジショニング・センシング・ディテクター)という赤外線検知手段が内蔵されたものがある。この赤外線センサでは、測定対象物との距離が変わると赤外線の反射角度が変わり、さらにはPSDで赤外線が検知される場所が変わるといった現象を利用して距離が計測される。
【0041】
加速度センサ52は、電子名刺交換装置3に加わる加速度を検出するセンサであり、例えば圧電セラミックスを使用したものなどを利用できる。また、RFリーダ53は、RFID(Radio Frequency Identification)に記録されたデータを読み取る装置である。
【0042】
明度センサ54は、周囲環境の明るさを検出するセンサであり、例えばフォトトランジスタなどを利用できる。
【0043】
<各種プログラム>
以下に、ROM32に記憶された各種プログラムについて詳細に説明する。なお、以下に示すプログラム以外にも、ROM32は様々なプログラムが組まれており、これにより、CPU31が後述するフローチャートに従って動作するようになっている。
【0044】
[ID交換プログラム]
ID交換プログラムは、加速度センサ52で検出した加速度と、明度センサ54で検出した明るさとが所定の条件を満たしたことを条件として、他の電子名刺交換装置3とユーザIDを交換するためのプログラムである。具体的に、このプログラムを読み込んだCPU31は、加速度センサ52からの検出値と、明度センサ54からの検出値と、ROM32に記憶している所定の条件とをそれぞれ比較する。その後、CPU31は、各検出値が所定の条件を満たしていると判断した場合に、第2無線機50を通信可能な状態にして、ROM32に記憶している本人IDを第2無線機50に出力するとともに、他の電子名刺交換装置3から送信される他人IDおよびアクセスIDを受信する。ここで、このID交換プログラムおよびCPU31が、ID受信手段の一例に相当する。なお、上記において、本人IDの第2無線機50への出力は、後述するアクセスID送信プログラムによって実行される。具体的には、このID交換プログラムを読み込んでいるCPU31は、本人IDを第2無線機50に出力する際には、後述するアクセスID送信プログラムを読み込んで、この本人IDとともにアクセスIDを第2無線機50に出力する。
【0045】
[日時取得プログラム]
日時取得プログラムは、ユーザIDの交換を行った日時を会合日時データとして取得するためのプログラムである。具体的に、このプログラムを読み込んだCPU31は、第2無線機50で他人IDを受信したときに、RTC37の数値を会合日時データとして取得する。
【0046】
[会合データ送信プログラム]
会合データ送信プログラムは、ユーザIDの交換がなされたことを条件として、サーバ2に、本人ID、他人ID、会合日時データおよび会合場所データを送信するプログラムである。具体的に、このプログラムを読み込んだCPU31は、第2無線機50で他人IDを受信したことを条件として、この他人IDと、ROM32内の本人IDと、RTC37から取得した会合日時データと、GPSセンサ38から取得した位置データ(会合場所データ)とを第1無線機39に出力する。
【0047】
また、CPU31は、サーバ2との通信が不能な場合には、他人ID、会合日時データおよび会合場所データを、不揮発性RAM34に一時的に記録した後、所定条件を満たしたときに不揮発性RAM34から第1無線機39に前記他人ID等を出力し、ROM32から第1無線機39に本人IDを出力する。ここで、この会合データ送信プログラム、CPU31および第1無線機39が、送信手段の一例に相当する。
【0048】
[セキュリティロック動作登録プログラム]
セキュリティロック動作登録プログラムは、加速度センサ52で検出した加速度に基づいて、電子名刺交換装置3の位置と、この位置に到達した時間との組を複数組算出し、算出した複数組の位置・到達時間を不揮発性RAM34に記憶させるプログラムである。ここで、「位置」とは、セキュリティロック動作登録プログラムが開始されたときの電子名刺交換装置3の位置を原点としたときの、この原点からの位置をいう。つまり、電子名刺交換装置3の動きにより描かれる軌跡上の複数の点を、原点位置からの位置と、到達時間とによって特定している。
【0049】
具体的に、このプログラムを読み込んだCPU31は、加速度センサ52で検出した加速度を取得するとともに、RTC37から時間を取得する。そして、このCPU31は、取得した加速度および時間に基づいて位置・到達時間を算出した後、この位置・到達時間を不揮発性RAM34に暗号情報として記憶させている。
【0050】
[セキュリティロックプログラム]
セキュリティロックプログラムは、所定の条件が満たされると、電子名刺交換装置3の操作を禁止するプログラムである。ここで、所定の条件としては、例えばセキュリティロック動作が登録されたことや、一定時間無動作であることや、電子名刺交換装置3を所定の動きで動かすことや、所定のボタンを押下することなどが挙げられる。具体的に、このプログラムを読み込んだCPU31は、所定の条件が満たされたか否かを判断し、満たされていると判断した場合には、その他の動作を行わないようになっている。
【0051】
[セキュリティロック解除プログラム]
セキュリティロック解除プログラムは、加速度センサ52で検出した加速度に基づいて、電子名刺交換装置3の位置と、この位置に到達した時間との組を複数組算出し、その各算出値と、不揮発性RAM34に記憶されている暗号情報とが一致したときに電子名刺交換装置3の操作の禁止を解除するプログラムである。また、セキュリティロック解除プログラムでは、算出値と暗号情報との比較の際に、算出した所定の到達時間に対応する位置が、暗号情報として記憶された所定の到達時間に対応する位置から所定の距離内である場合には、一致したと判断するようになっている。
【0052】
具体的に、このプログラムを読み込んだCPU31は、加速度センサ52で検出した加速度を取得するとともに、RTC37から時間を取得する。そして、このCPU31は、取得した加速度および時間に基づいて位置・到達時間を算出した後、その算出値を不揮発性RAM34に記憶されている暗号情報と比較する。このとき、CPU31は、不揮発性RAM34に予め記憶されている距離情報を取得する。その後、CPU31は、算出した所定の到達時間に対応した位置が、不揮発性RAM34に記憶されている所定の到達時間に対応した位置から所定の距離内にあるか否かを判断する。そして、CPU31は、所定の距離内にあると判断した場合には、電子名刺交換装置3の操作の禁止を解除し、所定の距離内にないと判断した場合には、操作の禁止を維持する。
【0053】
[握手判別プログラム]
握手判別プログラムは、加速度センサ52で検出した加速度に基づいて電子名刺交換装置3を上下に振った回数を判別することで、握手の回数を判別するプログラムである。具体的に、このプログラムを読み込んだCPU31は、加速度センサ52で検出した加速度を取得し、例えば加速度の方向が鉛直方向の下から上へ切り替わった回数をカウントすることで握手の回数を判別している。そして、このCPU31は、判別した握手の回数をRAM33に出力して一時的に記憶させる。
【0054】
[情報開示範囲選択プログラム]
情報開示範囲選択プログラムは、例えば本人M1の名刺情報を教えるための本人IDを、本人M1の電子名刺交換装置3から他人M2の電子名刺交換装置3へ送信するときに、本人M1の咄嗟の判断により名刺情報の開示範囲を選択することを可能とするプログラムである。具体的に、このプログラムを読み込んだCPU31は、まず、RAM33に握手の回数が記憶されているか否かを判断し、回数が1回でも記憶されている場合には、情報開示レベルを選択する。そして、CPU31は、握手の回数が1回であると判断したときには、情報開示レベルを「低」とし、2回であると判断したときには、情報開示レベルを「中」とし、3回であると判断したときには、情報開示レベルを「高」とする。すなわち、このCPU31は、握手の回数が多い程、情報開示範囲を広くしている。ここで、情報開示範囲選択プログラムおよびCPU31が、選択手段の一例に相当する。
【0055】
[アクセスID送信プログラム]
アクセスID送信プログラムは、ユーザIDを交換する際(例えば、他人IDおよびアクセスIDを取得したとき)に情報開示レベルに関連したアクセスIDを本人IDとともに他人M2の電子名刺交換装置3へ送信するプログラムである。具体的に、このプログラムを読み込んだCPU31は、情報開示レベルの選択をした後、この情報開示レベルに関連したアクセスIDを作り出すと、ROM32から本人IDを取得して、この本人IDとアクセスIDとを第2無線機50に出力する。ここで、アクセスIDは、例えば、RTC37からの時間情報に基づいて生成されるユニークなものであり、情報開示レベルに対応付けられ、所定のユーザがサーバ2にアクセスして、別のユーザの個人テーブル41の情報を参照するときに必要なIDである。なお、アクセスID送信プログラムおよびCPU31は、ID送信手段の一例に相当する。
【0056】
[開示依頼プログラム]
開示依頼プログラムは、自装置で作成したアクセスIDと情報開示レベルとをサーバ2へ送信するプログラムである。具体的に、このプログラムを読み込んだCPU31は、情報開示レベルが選択され、かつ、アクセスIDを生成したことを条件として、これらのアクセスIDおよび情報開示レベルを第1無線機39に出力する。ここで、開示依頼プログラムおよびCPU31が、開示依頼手段の一例に相当する。
【0057】
[名刺情報要求プログラム]
名刺情報要求プログラムは、所定のユーザから受信したユーザIDとアクセスIDを、サーバ2に送信することで所定のユーザの名刺情報を要求するプログラムである。具体的に、このプログラムを読み込んだCPU31は、他の電子名刺交換装置3からユーザIDとアクセスIDを受信したことを条件として、そのユーザIDとアクセスIDを第1無線機39に出力する。ここで、名刺情報要求プログラムおよびCPU31が、名刺情報要求手段の一例に相当する。
【0058】
[すくい動作判別プログラム]
すくい動作判別プログラムは、加速度センサ52で検出した加速度に基づいて、電子名刺交換装置3の左表示部36によって左表示部36に表示されている星映像をすくう動作が行われたか否かを判別するプログラムである。具体的に、このプログラムを読み込んだCPU31は、加速度センサ52で検出した加速度を取得し、この加速度に基づいてすくう動作が行われたか否かを判別している。
【0059】
[表示可変プログラム]
表示可変プログラムは、赤外線センサ51によって検出した距離情報に応じて、サーバ2から系列情報を構成する一情報を読み出し、右表示部35に出力するプログラムである。また、この表示可変プログラムは、距離情報が大きくなるほど、過去の時間に対応する系列情報をサーバ2から取得して右表示部35に出力するように構成されている。さらに、この表示可変プログラムは、右表示部35へ出力する系列情報の各情報に対応させるように星画像を、左表示部36に出力するように構成されている。また、この表示可変プログラムは、すくい動作判別プログラムによってすくう動作が行われたと判別されたことを条件として、右表示部35に系列情報の各情報に対応する詳細情報を表示させるように構成されている。
【0060】
具体的に、このプログラムを読み込んだCPU31は、赤外線センサ51から距離情報を取得するとともに、取得した距離情報やその取得時間情報をRAM33の所定の記憶領域に随時前回値、今回値として更新しつつ記憶させる。また、CPU31は、ROM32に予め記憶してある所定の演算式と、RAM33に記憶させた距離情報・取得時間情報とを取得し、これらに基づいて演算を行うことで、所定の検索パラメータを算出する。そして、CPU31は、この検索パラメータと、サーバ2のハードディスク4に記憶してある系列情報の各情報とを比較して、検索パラメータに最も近い値となる情報を系列情報の中から抜き出して、右表示部35に出力して表示させる。
【0061】
さらに、CPU31は、検索パラメータと系列情報の各情報との差を算出し、このように算出した複数の差データに対応する星映像を不揮発性RAM34の中から選択して、左表示部36に出力して表示させる。より具体的には、差が小さいもの程、大きな星映像を選択するようになっている。また、CPU31は、すくい動作判別プログラムの判別結果がすくう動作を行ったことを示す場合には、サーバ2のハードディスク4に記憶させてある系列情報の各情報の詳細情報を、右表示部35に出力して表示させる。
【0062】
[表示変更停止プログラム]
表示変更停止プログラムは、電子名刺交換装置3に対してなされた入力に基づいて、表示可変プログラムにより表示されている系列情報の変更を停止するプログラムである。具体的に、このプログラムを読み込んだCPU31は、加速度センサ52で検出した加速度を取得し、例えば加速度の方向が鉛直方向の下から上へ切り替わったか否かを判断することで、表示変更を停止させるための停止命令が出されたか否かを判断している。そして、CPU31は、停止命令が出されたと判断した場合には、表示可変プログラムの実行を禁止して、各表示部35,36の画像を現在の映像に固定させる。
【0063】
[表示変更再開プログラム]
表示変更再開プログラムは、電子名刺交換装置3に対してなされた入力に基づいて、表示可変プログラムにより表示される系列情報の変更を再開するプログラムである。具体的に、このプログラムを読み込んだCPU31は、加速度センサ52で検出した加速度を取得し、例えば加速度の変化が、電子名刺交換装置3の左表示部36を上向きから下向きに変えるような動作に対応した変化である場合に、表示変更停止プログラムを止めて、表示可変プログラムを再開させる。
【0064】
[詳細表示プログラム]
詳細表示プログラムは、サーバ2から送られてきた個人テーブル41、知人テーブル42および会合テーブル43内の情報を表示するプログラムである。具体的に、このプログラムを読み込んだCPU31は、第1無線機39で受信した各情報に基づいて、画像データを生成し、このデータを右表示部35に出力して表示させる。ここで、詳細表示プログラムおよびCPU31が、名刺情報受信手段の一例に相当する。
【0065】
[キャリブレーションプログラム]
キャリブレーションプログラムは、ユーザの腕の長さと系列情報の量との調整を行うプログラムである。具体的に、このプログラムを読み込んだCPU31は、サーバ2のハードディスク4から会合日時データのうち最古の会合日時データを検索して取得し、RTC37から現在時刻を取得して、最古の会合日時データの日時と現在時刻との差を算出する。また、CPU31は、赤外線センサ51で計測した現在の距離情報と予め設定している距離情報の最小値との差を算出する。そして、CPU31は、算出した時刻の差に、算出した距離の差を除算して換算係数を算出し、この換算係数を用いてユーザの腕の長さと系列情報の量との調整を行う。
【0066】
次に、名刺情報管理システム1における電子名刺交換装置3のCPU31の動作について説明する。
通常時においては、CPU31は、図5に示すようなメインフローに従って、各種機器を制御している。以下に、このメインフローの説明を行う。
【0067】
[メインフロー]
図5に示すように、メインフローにおいては、まず、セキュリティロックがかかっているか否かが判断される(ステップS1)。なお、このセキュリティロックに必要な暗号情報としては、後で詳述するような電子名刺交換装置3の動きを示す動作情報が採用されている。
【0068】
ステップS1において、セキュリティロックがかかっていると判断された場合には、本人M1が電子名刺交換装置3を持ちながら所定の動作を行うことで、その動作に伴って電子名刺交換装置3に加わる加速度が加速度センサ52により検出される(ステップS2)。ここで、所定の動作としては、例えば手で把持している電子名刺交換装置3を、把持した状態で1回転させる動作などを行えばよい。なお、セキュリティロック登録モード(ステップS18)が適切に実行されている場合、ステップS1の判断は肯定されることとなる(ステップS1:Yes)。これに対し、例えば、セキュリティロック登録モード(ステップS18)が、未実施である場合の他、セキュリティロック登録モード(ステップS18)は適正に実行されているものの、電子名刺交換装置3に対してなされる所定の動作に基づき、セキュリティロック機能がオフに設定されている場合、ステップS1において、その判断が否定(ステップS1:No)される。
【0069】
ステップS2において動作(位置・到達時間)が確認されると、この動作が、不揮発性RAM34に既に記憶されている動作(位置・到達時間)と比較され、各動作が一致するか否かが判断される(ステップS3)。なお、この判断時においては、前記したように不揮発性RAM34に既に記憶されている動作と、今回検出した動作との間に所定の誤差があっても、一致したと判断される。そして、このステップS3において、一致していないと判断された場合には、再度ステップS2,S3を繰り返すこととなる。
【0070】
ステップS3において一致したと判断されると、RTC37からの時間情報に基づいて時間の計測が開始された後(ステップS4)、図4(a)に示すように、左表示部36に年月日、曜日および時間が表示される(ステップS5)。次に、RFリーダ53から電波を発生させることによって(ステップS6)、RFリーダ53の近傍にあるRFIDから返信があるか否かが判断される(ステップS7)。
【0071】
ステップS7において、RFIDから返信があったと判断された場合には、名刺登録モードに移行する(ステップS8)。ここで、名刺登録モードとは、会合した相手方が電子名刺交換装置3を有していないものの、名刺情報を含むRFID付きの名刺(紙ベース)を有している場合において実行される処理である。具体的には、会合の際、この相手方からRFID付きの名刺を渡された場合、電子名刺交換装置3のRFリーダ53を介し、このRFID付きの名刺から返信がなされた場合に(ステップ7:Yes)、実行される(詳細は、図6を用いて後述する。)。
【0072】
また、ステップS7において、RFIDから返信がなかったと判断された場合には、加速度センサ52による動作の検出(確認)が行われる(ステップS9)。その後、このような動作の検出がなされたか否かが判断されることで、無動作であったか否かが判断される(ステップS10)。
【0073】
ステップS10において、無動作であると判断された場合には、テンポラリテーブルアップデートモードに移行する(ステップS11)。また、このテンポラリテーブルアップデートモードを抜けた後は、ステップ4で計測を開始した時間が、所定時間となったか否かが判断されることで、タイムアウトになったか否かが判断される(ステップS12)。そして、ステップS12において、タイムアウトになったと判断された場合には、ステップS1に戻り、タイムアウトになっていないと判断された場合には、ステップS5に戻る。
【0074】
ステップS10において、無動作でないと判断された場合には、ステップS13に進んで、ステップS9で検出された動作が、握手動作であるか否かが判断される。そして、このステップS13において、握手動作であると判断された場合には、握手モードに移行し(ステップS14)、握手動作ではないと判断された場合には、ステップS15に進む。
【0075】
ステップS15では、ステップS9で検出された動作が、データ閲覧モードを開始するための動作(以下、「閲覧開始動作」という。)であるか否かが判断される。ここで、閲覧開始動作としては、例えば、電子名刺交換装置3のユーザが電子名刺交換装置3に軽度の衝撃を加える(テーブル等にぶつける等)動作などを採用できる。そして、このステップS15において、閲覧開始動作であると判断された場合には、データ閲覧モードに移行し(ステップS16)、閲覧開始動作ではないと判断された場合には、ステップS17に進む。
【0076】
ステップS17では、ステップS9で検出された動作が、セキュリティロックのための暗号情報を登録するための動作(以下、「登録動作」という。)であるか否かが判断される。ここで、登録動作としては、例えば、鍵をかけるような動作(電子名刺交換装置3を時計周りに半周回す動作)などを採用できる。そして、このステップS17において、登録動作であると判断された場合には、セキュリティロック登録モードに移行し(ステップS18)、登録動作ではないと判断された場合には、ステップS4に戻る。なお、名刺登録モードS8、握手モードS14、データ閲覧モードS16およびセキュリティロック登録モードS18を抜けた後も、ステップS4に戻る。
【0077】
[名刺登録モード]
図6に示すように、名刺登録モードにおいては、まず、RFリーダ53で受信したデータが他人IDを含む名刺情報か否かが判断される(ステップS21)。このステップS21において、名刺情報でないと判断された場合には、そのまま終了し、名刺情報であると判断された場合には、ステップS22に進む。
【0078】
ステップS22では、サーバ2との通信が可能か否かが判断される。そして、このステップS22において、通信不能と判断された場合には、受信した他人IDと、生成した会合日時データ及び会合場所データとが不揮発性RAM34のテンポラリ知人テーブルに追加された後(ステップS23)、右表示部35に「インターネットに接続できません」というメッセージが表示される(ステップS24)。
【0079】
また、ステップS22において、通信可能であると判断された場合には、受信した他人IDが既にサーバ2のデータベース上の知人テーブル42にあるか否かが判断される(ステップS25)。このステップS25において、知人テーブル42に他人IDがないと判断された場合には、ステップS26に進む。ここで、他人IDが知人テーブル42にあるか否かの直接的判断(ステップS25参照。)は、サーバ2のCPU21によって行われるところ、この判断は、ステップS22の判断が肯定されたことを条件として、電子名刺交換装置3からサーバ2に送信される本人ID及び他人IDに基づき行われる。すなわち、本人IDにより特定される個人テーブル41内のレコードに関連付けられた知人テーブル42に、他人IDを含むレコードが存在するか否かによって行われる。なお、上記本人ID及び他人IDとともに、アクセスIDも送信される。
【0080】
ステップS26では、本人M1の個人テーブル41に関連して既に設定されている知人テーブル42に新たなレコードが追加されるとともに、このレコードに関連するように新たな会合テーブル43が作成される。そして、知人テーブル42の新たなレコードに、他人IDが記録されるとともに、新たな会合テーブル43に、RTC37とGPSセンサ38からの情報に基づいて生成される会合データ(日時、場所)が、最初のレコードとして記録される。また、他人IDと一致する個人テーブルが検索され、この個人テーブルから他人M2の個人情報が取得される。ここで、この他人M2の個人情報は、ステップS25の判断に際し、本人ID及び他人IDとともに送信されるアクセスIDによって特定される情報開示レベルテーブル44の情報開示レベル(この情報開示レベルは、他人M2の電子名刺交換装置3で適宜設定される。)によって、所定の開示範囲に制限されている。具体的には、例えば、情報開示レベルが「大」であれば、個人テーブル41から他人M2の個人情報(名刺情報)として記録されている情報の総てをサーバ2から本人M1の電子名刺交換装置3に送信する。また、情報開示レベルが「中」であれば、「−name」、「−title」、「−organization」、「−organization unit」、「−address」「−phone」、「−e−mail」を送信し、情報開示レベルが「小」であれば、「中」で送信される情報から「−phone」、「−e−mail」を除いた情報を送信する。なお、前記した情報開示レベルの設定の詳細は、後記する握手モードで説明する。
【0081】
そして、ステップS26の後は、ステップS26にて取得された個人情報が、図4(c)に示すように、右表示部35に表示される(ステップS27)。
【0082】
また、ステップS25において、既に知人テーブル42に他人IDがあると判断された場合には、ステップS28に進む。
【0083】
ステップS28では、知人テーブル42に関連して既に設定されている会合テーブル43に新たなレコードが追加される。そして、このレコードに、会合データが記録される。また、他人IDと一致する個人テーブルが検索され、この個人テーブルから他人M2の個人情報が取得される。ここで、この他人M2の個人情報は、他人M2の電子名刺交換装置3で適宜設定される情報開示レベルによって、所定の開示範囲に制限されている。さらに、他人IDを含む知人テーブル42のレコードに関連して既に設定されている会合テーブル43中の過去の会合データも取得される。
【0084】
そして、ステップS28の後は、ステップS28にて取得された個人情報や過去の会合データなどが、図16に示すように、右表示部35に表示される(ステップS29)。
【0085】
ここで、図16において(図4(c)において、図16と共通する項目についても以下の記載同様。)、「Last meeting:Date: 2006/9/10 13:00」は、会合テーブル43に、記録された最新の会合日時データであり、この最新の会合日時データに係るレコードに記録される情報が、「Place」、「Purpose」及び「Memo(Purposeの下段に表示されたMemo。)」として表示される。また、所定のユーザに対応した個人テーブル41に関連付けられた別のユーザに係る会合テーブル43に記録されているレコードを集計した数が、「How many times we have ever met:12times」として、表示されている。一方、右表示部35に表示される顔写真と、「Name」から「Birthday」と、「Memo(Ageの下段に表示されたMemo。)」は、知人情報検索プログラムに基づいて検索された別のユーザに係る個人テーブル41のレコードに記録された情報に基づき表示される(「Age」については、「Birtheday」と現在日時から算出される。)。さらに、「My Memo」は、知人テーブル42に記録されるメモ情報に基づき表示される。なお、表示される項目については、適宜選択する構成とすると好適である。
【0086】
前記したステップS24,S27,S29の後は、加速度センサ52による動作確認が行われ(ステップS30)、この動作が名刺登録モードを解除するための動作(以下、「モード解除動作」という。)であるか否かが判断される(ステップS31)。ここで、モード解除動作としては、例えば、右表示部35に表示された情報を捨てるような動作(上に向いた右表示部35を下に向ける動作)などを行えばよい。
【0087】
そして、ステップS31において、モード解除動作ではないと判断された場合には、ステップS30に戻り、モード解除動作であると判断された場合には、この名刺登録モードが終了することとなる。
【0088】
[握手モード]
図7に示すように、握手モードにおいては、まず、明度センサ54で検出した明度が所定値以上であるか否かが判断される(ステップS41)。このステップS41において、所定値未満であると判断された場合には、そのまま終了し、所定値以上であると判断された場合には、ステップS42に進む。
【0089】
ステップS42では、握手動作の回数が3回であるか否かが判断される。そして、このステップS42において、3回であると判断された場合には、情報開示レベルが「高」に設定された後(ステップS43)、ステップ48に進む。
【0090】
ステップS42において、3回でないと判断された場合には、今度は、握手動作の回数が2回であるか否かが判断される(ステップS44)。そして、このステップS44において、2回であると判断された場合には、情報開示レベルが「中」に設定された後(ステップS45)、ステップS48に進む。
【0091】
ステップS44において、2回でないと判断された場合には、情報開示レベルが「低」に設定された後(ステップS46)、ステップS48に進む。
【0092】
ステップS48では、ユニークなアクセスIDが作り出される。そして、このステップS48の後は、本人IDとアクセスIDが、第2無線機50に出力され、Bluetooth(登録商標)によって他人M2の電子名刺交換装置3に送信される(ステップS49)。
【0093】
ステップS49の後は、サーバ2との通信が可能か否かが判断される(ステップS50)。そして、このステップS50において、通信不能と判断された場合には、アクセスIDと情報開示レベルが不揮発性RAM34のテンポラリ情報開示テーブルに追加される(ステップS51)。
【0094】
また、ステップS50において、通信可能であると判断された場合には、アクセスIDと情報開示レベルが、サーバ2のデータベース上の情報開示レベルテーブル44に登録される(ステップS52)。
【0095】
なお、このように情報開示レベルテーブル44にアクセスIDと情報開示レベルが登録された後は、他人M2が本人M1の情報を得るために、他人M2の電子名刺交換装置3からサーバ2にアクセスする際に、本人M1の情報が情報開示レベルに応じて制限されて開示される。すなわち、サーバ2では、他人M2の電子名刺交換装置3から本人IDとアクセスIDを受信したことを条件として、そのアクセスIDから情報開示レベルを情報開示レベルテーブル44から取得する。そして、このサーバ2は、取得した情報開示レベルに応じた分の情報を、本人IDが記録されている個人テーブル41のレコード41Aから抜き出して、他人M2の電子名刺交換装置3に提供するようになっている。
【0096】
また、前記したステップS51,S52の後は、ステップS4(図5参照)で計測を開始した時間が、所定時間となったか否かが判断されることで、タイムアウトになったか否かが判断される(ステップS53)。そして、ステップS53において、タイムアウトになったと判断された場合には、この握手モードを終了し、タイムアウトになっていないと判断された場合には、ステップS54に進む。
【0097】
ステップS54では、他人M2からの情報(他人IDおよびアクセスID)が第2無線機50(Bluetooth:登録商標)で受信されたか否かが判断される。そして、このステップS54において、受信していないと判断された場合には、ステップS53に戻り、受信したと判断された場合には、名刺登録モードのステップS22(図6参照)に移行する。
【0098】
[データ閲覧モード]
図8に示すように、電子名刺交換装置3に軽度の衝撃が加えられる等の動作により実行されるデータ閲覧モードにおいては、まず、赤外線センサ51によって、現在距離L(例えば、衝撃が加えられた際、又は、その後所定時間経過後におけるユーザと電子名刺交換装置3との距離。)が測定され、この値Lが、RAM33の所定の現在距離メモリ領域に今回距離L1として記録される(ステップS61)。
【0099】
このステップS61の後は、ブラウジングモードに移行する(ステップS62)。ここで、ブラウジングモードとは、ユーザが電子名刺交換装置3を自分の体から近づけたり離したりすることで、各表示部35,36に表示する情報を順次切り替えながら閲覧するモードをいう。具体的に、本実施形態においては、ユーザが電子名刺交換装置3を自分の体から離す程、過去のデータが閲覧でき、自分の体に近づける程、現在に近いデータを閲覧できるようになっている。なお、このブラウジングモードは、後で詳述することとする。
【0100】
ブラウジングモードを抜けた後は、加速度センサ52による動作の検出が行われる(ステップS63)。その後、ステップS63で検出された動作が、詳細画面を表示するための動作か否かが判断される(ステップS64)。ここで、本実施形態においては、詳細画面を表示するための動作として、左表示部36に表示された星映像をすくう動作を採用している。
【0101】
ステップS64において、星映像をすくう動作であると判断された場合には、詳細データ閲覧モードに移行し(ステップS65)、すくう動作でないと判断された場合には、ステップS66に進む。ここで、詳細データ閲覧モードとは、ブラウジングモードで閲覧している他のユーザの簡略情報よりも詳細な情報を閲覧することを可能とするモードをいう。なお、この詳細データ閲覧モードは、後で詳述することとする。また、詳細データ閲覧モードを抜けた後は、ステップS62に戻る。
【0102】
ステップS66では、ステップS63で検出された動作が、各表示部35,36の表示をロックするための動作か否かが判断される。ここで、本実施形態においては、各表示部35,36の表示をロックするための動作として、電子名刺交換装置3を上下(縦)に1回振る動作を採用している。
【0103】
ステップS66において、振ったと判断された場合には、ロックモードに移行し(ステップS67)、振っていないと判断された場合には、ステップS68に進む。ここで、ロックモードとは、ブラウジングモードで順次表示が切り替えられている各情報の変更を禁止するモードをいう。具体的に、このモードは、例えばユーザが腕を伸ばしきって、それ以上過去の情報を閲覧できなくなったときに、各表示部35,36の表示の変更を一旦止めた(ロックした)後、腕を体に近づけてロックを解除し、そこから腕を伸ばしていくことで、さらに過去の情報を見ることを可能とするモードである。なお、ロックモードは、後で詳述することとする。また、ロックモードを抜けた後は、ステップS62に戻る。
【0104】
ステップS68では、ステップS63で検出された動作が、キャリブレーションを行うための動作か否かが判断される。ここで、本実施形態においては、キャリブレーションを行うための動作として、電子名刺交換装置3を縦に2回振る動作を採用している。
【0105】
ステップS68において、2回振ったと判断された場合には、キャリブレーションモードに移行し(ステップS69)、2回振っていないと判断された場合には、ステップS70に進む。ここで、キャリブレーションモードとは、ユーザの腕の長さと、データ量との調整を行うモードをいう。具体的に、本実施形態においては、データを時間で管理しているので、ユーザが腕を伸ばしきったときの電子名刺交換装置3の位置で最古のデータを表示させ、ユーザ側に電子名刺交換装置3を最大限近づけた位置(予め設定される最小距離Lmin)で最新のデータを表示するような調整が行われる。なお、キャリブレーションモードは、後で詳述することとする。また、キャリブレーションモードを抜けた後は、ステップS62に戻る。
【0106】
ステップS70では、ステップS63で検出された動作が、データ閲覧モードを解除する(抜ける)ための動作か否かが判断される。ここで、本実施形態においては、データ閲覧モードを抜けるための動作として、左表示部36に表示された星映像を捨てる動作(上に向いた左表示部36を下に向ける動作)を採用している。そして、このステップS70において、捨てる動作が行われていないと判断された場合には、ステップS62に戻り、捨てる動作が行われたと判断された場合には、このデータ閲覧モードが終了する。
【0107】
<ブラウジングモード>
図9に示すように、ブラウジングモードにおいて、ステップS61で測定された今回距離L1に対応する位置から電子名刺管理装置3の移動が検出された場合、この移動後の位置に対応する距離を測定するとともに、今回距離メモリ領域に記録してある今回距離L1が、RAM33の前回距離メモリ領域に前回距離L2として記録される(ステップS71)。また、測定された現在距離Lが、今回距離メモリ領域に今回距離L1として記録される(ステップS72)。ここで、検出した現在距離Lが、予め設定される最小距離Lminよりも小さい場合には、今回距離メモリ領域に、現在距離Lに代えて最小距離Lminが今回距離L1として記録される。
【0108】
ステップS72の後は、RAM33の所定のメモリ領域に記録される検索パラメータVTの更新が行われる(ステップS73)。検索パラメータVTは、所定の会合日時データを検索するためのパラメータであり、以下の演算式によって算出される。
【0109】
VT = VT’ + α ・・・(1)
α = C × ( L1 − L2 ) ・・・(2)
(VT’:検索パラメータ前回値、α:表示切替用パラメータ、C:換算係数)
【0110】
すなわち、ステップS73では、式(1)に示すように、検索パラメータ前回値VT’に、所定の表示切替用パラメータαを加算することで、検索パラメータVTが算出される。また、式(2)に示すように、表示切替用パラメータαは、今回距離L1と前回距離L2との差に、所定の換算係数Cを乗算することで算出される。なお、換算係数Cは、後述するキャリブレーションモードの実行中に適宜決定される。
【0111】
ステップS73の後は、会合日時(dateAndTime)が検索パラメータVT以前である会合日時データを、サーバ2の会合テーブル43の中から検索する(ステップS74)。なお、この検索に際し、1つの会合テーブル43の中に会合日時データが複数存在する場合には、最新のデータから順に検索していき、該当するデータがあった時点で、別の会合テーブルの検索に移るようにしてもよい。このように構成すると、ブラウジング中に同じ人が何回も出てくることを防止することができる。
【0112】
ステップS74において、検索パラメータVT以前の会合日時データが複数検索されると、検索された(条件に該当した)各会合日時データに対応するように、不揮発性RAM34から星画像が順次読み出されて、これらの星画像が左表示部36に表示される(ステップS75)。ここで、星画像は、会合日時データと検索パラメータVTとの差が小さい程大きく表示され、差が大きい程小さく表示されるようになっている(図4(b)参照)。
【0113】
ステップS75の後は、検索パラメータVTが示す日時と、その2日前の日時との間に存在する会合日時データをサーバ2の会合テーブル43の中から検索して(ステップS76)、ステップS77に進む。すなわち、VTから(VT−2日)までの間の会合日時データを検索する。
【0114】
ステップS77では、VTから(VT−2日)までの間に会合日時データが一個も存在しないか否かが判断される。このステップS77において、会合日時データが存在すると判断された場合には、該当した会合日時データに対応する他人の簡略データ(例えば氏名、所属会社名等)が右表示部35に表示される(ステップS78;図4(b)参照)。そして、このステップS78の後や、ステップS77において会合日時データが一個も存在しないと判断された場合には、ブラウジングモードが終了する。なお、ステップS77において、その判断が肯定された場合(ステップS77:Yes)、右表示部35には、いずれの簡略データも表示されない。そのため、検索に用いられた検索パラメータVT、すなわち、ユーザを基準として電子名刺交換装置3が存在する位置によって示される日時には、いずれの相手とも会合していなかったということを、把握することができる。
【0115】
<詳細データ閲覧モード>
図10に示すように、詳細データ閲覧モードにおいては、まず、右表示部35に現在表示されているユーザの簡略情報が、サーバ2から取得する詳細情報(個人テーブル41の情報等)に置き換えられて表示される(ステップS81;簡略情報については図4(b),詳細情報については(c)又は図16参照)。
【0116】
ステップS81の後は、加速度センサ52による動作の検出が行われる(ステップS82)。その後、ステップS82で検出された動作が、この詳細データ閲覧モードを解除するための動作か否かが判断される(ステップS83)。ここで、本実施形態においては、詳細データ閲覧モードを解除するための動作として、左表示部36に表示された星映像を捨てる動作(上に向いた左表示部36を下に向ける動作)を採用している。
【0117】
ステップS83において、星映像を捨てる動作でないと判断された場合には、ステップS82に戻り、星映像を捨てる動作であると判断された場合には、この詳細データ閲覧モードが終了する。すなわち、星映像を捨てる動作がされない限り、右表示部35には詳細情報が表示され続ける。
【0118】
<ロックモード>
図11に示すように、ロックモードにおいては、まず、加速度センサ52による動作の検出が行われる(ステップS91)。その後、ステップS91で検出された動作が、このロックモードを解除するための動作か否かが判断される(ステップS92)。ここで、本実施形態においては、ロックモードを解除するための動作として、左表示部36に表示された星映像を捨てる動作を採用している。
【0119】
ステップS92において、星映像を捨てる動作でないと判断された場合には、ステップS91に戻って、再度ステップS91,S92の処理が繰り返される。すなわち、星映像を捨てる動作がされない限り、ロックモードに滞在し続けてブラウジングモードに移行することがないので、この間に電子名刺交換装置3を前後に動かしても各表示部35,36の表示が変更されることはない。
【0120】
ステップS92において、星映像を捨てる動作であると判断された場合には、赤外線センサ51によって、現在距離Lが測定され、この値Lが、今回距離メモリ領域に今回距離L1として記録される(ステップS93)。そして、このステップS93の後、ロックモードが終了する。
【0121】
<キャリブレーションモード>
図12に示すように、キャリブレーションモードにおいては、まず、サーバ2の各会合テーブル43に記録された複数の会合日時データの中から最も古い(過去の)会合日時データが取得され、この会合日時データが検索パラメータVTの最小値VTminとして設定される(ステップS101)。
【0122】
ステップS101の後は、RTC37で現在時刻Tが計測され、この値Tが今回時刻メモリ領域に今回時刻T1として記録される(ステップS102)。ステップS102の後は、赤外線センサ51で現在距離Lが計測され、この値Lが今回距離メモリ領域に今回距離L1として記録される(ステップS103)。なお、キャリブレーションモードに入るときには、通常、ユーザが自分の腕を最大限伸ばした状態にしておくので、前記した現在距離Lはユーザの腕の長さに相当している。
【0123】
そして、ステップS103の後は、換算係数Cの更新が行われる(ステップS104)。具体的には、以下の演算式によって、換算係数Cの更新が行われる。
C = (T1 − VTmin ) / ( L1 − Lmin )・・・(3)
【0124】
ステップS104の後は、加速度センサ52による動作の検出が行われる(ステップS105)。その後、ステップS105で検出された動作が、このキャリブレーションモードを解除するための動作か否かが判断される(ステップS106)。ここで、本実施形態においては、キャリブレーションモードを解除するための動作として、左表示部36に表示された星映像を捨てる動作を採用している。
【0125】
ステップS106において、星映像を捨てる動作でないと判断された場合には、ステップS103に戻り、星映像を捨てる動作であると判断された場合には、このキャリブレーションモードが終了する。
【0126】
[セキュリティロック登録モード]
図13に示すように、セキュリティロック登録モードにおいては、まず、加速度センサ52による動作の検出が行われる(ステップS111)。その後、このような動作の検出がなされたか否かが判断されることで、無動作であるか否かが判断される(ステップS112)。
【0127】
ステップS112において、無動作であると判断された場合には、ステップS111に戻って、動作が入力されるまでステップS111,S112が繰り返される。また、ステップS112において、無動作でないと判断された場合には、時間の計測が開始されて(ステップS113)、ステップS114に進む
【0128】
ステップS114では、ステップS114で計測が開始された時間が、所定時間となったか否かを判断することで、タイムアウトになったか否かが判断される。そして、このステップS114において、タイムアウトになったと判断された場合には、このセキュリティロック登録モードが終了し、タイムアウトにはなっていないと判断された場合には、ステップS115に進む。
【0129】
ステップS115では、再度加速度センサ52による動作の検出が行われる。その後、動作中であるか否かが判断され(ステップS116)、動作中でないと判断された場合には、ステップS114に戻る。また、ステップS116において、動作中であると判断された場合には、その動作(位置・到達時間)が暗号情報として不揮発性RAM34に記録される(S117)。そして、このステップS117の後は、タイマがリスタートされ、すなわち、時間の計測が最初からやり直されて(ステップS118)、ステップS114に戻ることとなる。そして、このようなステップS114〜S118を繰り返すことによって、不揮発性RAM34に複数組の位置・到達時間が記録されることとなる。
【0130】
[テンポラリテーブルアップデートモード]
図14に示すように、テンポラリテーブルアップデートモードにおいては、まず、サーバ2との通信が可能か否かが判断される(ステップS121)。そして、このステップS121において、通信不能と判断された場合には、このテンポラリテーブルアップデートモードが終了し、通信可能と判断された場合には、ステップS122に進む。
【0131】
ステップS122では、不揮発性RAM34上に設定されたテンポラリ知人テーブルにデータがあるか否かが判断される。そして、このステップS122において、データがあると判断された場合には、テンポラリ知人テーブルの最初の一件の情報を読み出す(ステップS123)。
【0132】
ステップS123の後は、読み出した情報のうちの他人IDが、既にサーバ2側の知人テーブル42にあるか否かが判断される(ステップS124)。このステップS124において、知人テーブル42に他人IDがないと判断された場合には、ステップS125に進む。
【0133】
ステップS125では、本人M1の個人テーブル41に関連して既に設定されている知人テーブル42に新たなレコードが追加されるとともに、このレコードに関連するように新たな会合テーブル43が作成される。そして、知人テーブル42の新たなレコードに、他人IDが記録されるとともに、新たな会合テーブル43に、RTC37とGPSセンサ38からの情報に基づいて生成される会合データ(日時、場所)が、最初のレコードとして記録される。
【0134】
また、ステップS124において、既に知人テーブル42に他人IDがあると判断された場合には、ステップS126に進む。
【0135】
ステップS126では、知人テーブル42に関連して既に設定されている会合テーブル43に新たなレコードが追加される。そして、このレコードに、会合データが記録される。
【0136】
前記したステップS125,S126の後は、テンポラリ知人テーブルの最初の一件の情報が削除されて(ステップS127)、ステップS122に戻る。そして、ステップS122〜ステップS127を、テンポラリ知人テーブルに記録された残りの情報の件数分繰り返した後は、ステップS122で「No」と判断されて、ステップS128に進む。
【0137】
ステップS128では、不揮発性RAM34上に設定されたテンポラリ情報開示テーブルにデータがあるか否かが判断される。そして、このステップS128において、データがあると判断された場合には、テンポラリ情報開示テーブルの最初の一件の情報(アクセスIDと情報開示レベル)を読み出した後(ステップS129)、ステップS130に進む。
【0138】
ステップS130では、サーバ2側の情報開示レベルテーブル44に新たなレコードが追加される。そして、このレコードに、テンポラリ情報開示テーブルから読み出したアクセスIDおよび情報開示レベルが記録される。
【0139】
ステップS130の後は、テンポラリ情報開示テーブルの最初の一件の情報が削除されて(ステップS131)、ステップS128に戻る。そして、ステップS128〜ステップS131を、テンポラリ情報開示テーブルに記録された残りの情報の件数分繰り返した後は、ステップS128で「No」と判断されて、このテンポラリテーブルアップデートモードが終了する。
【0140】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
ユーザが電子名刺交換装置3を持ちながら握手の動作を所定回数行うことで、名刺情報の開示範囲が選択されるので、ユーザは咄嗟の判断で各相手に応じて名刺情報の開示範囲を自由に変えることができる。
【0141】
握手の回数が多いほど、名刺情報の開示範囲を広げていくようにすることで、現実の握手に相当した動作となるので、ユーザが開示範囲を広げる動作や狭める動作を忘れ難い。つまり、一般的に信頼した相手になるほど握手の回数が増えることから、現実の握手の動作と信頼度との関係に一致することとなるので、ユーザが開示範囲を選択する動作を忘れ難くなるといった効果を得られる。
【0142】
複数の会合日時データを複数のレコードA11,A12,A13,…として記録可能な会合テーブル43を設けたので、本人M1が既に会ったことがある相手(他人M2)には、レコードの数を数えることで過去に何回会ったことがあるかを知ることができる。さらに、本人M1は、各レコードに記録された各会合日時データを参照することで、その他人M2と初めて会った日時や、初めて会ってからどの程度の周期で会っていたのかなどをも知ることができる。
【0143】
会合テーブル43の各レコードに、会合場所データも記録されるので、本人M1が他人M2にどこで会ったのかを知ることができる。
知人テーブル42および会合テーブル43の各レコードにメモ情報を記録しておくことができるので、本人M1が他人M2と再開した際には、各テーブル42,43に記録したメモ情報を参照することで、会議をスムーズに、かつ、有意義に進めることができる。また、メモ情報が会合テーブル43の各レコードに記録されるので、メモ情報として会合ごとにおける重要なコメントなどを残しておくことができる。さらに、会合テーブル43のレコードは順次追加されていく構造となっているので、他人M2に関する情報を大量に記録することができる。
【0144】
電子名刺交換装置3のCPU31が、動作情報と明度が所定の条件を満たしたことを条件として、ユーザIDの交換を行うので、ユーザは所定の明るさの環境下で電子名刺交換装置3を所定の動きで動かすだけで、簡単に相手とユーザIDの交換ができる。さらに、ユーザが、所定の明るさの環境下で、かつ、電子名刺交換装置3を所定の動作で動かさなければ、ユーザIDの交換がなされないので、勝手に情報交換が行われるような誤作動を抑制して、確実な情報交換が実現される。
【0145】
また、本人M1の電子名刺交換装置3から他人IDが送信された場合には、サーバ2が個人テーブル41、知人テーブル42および会合テーブル43の中から他人M2に関する詳細情報を検索して電子名刺交換装置3に提供するので、本人M1は、そのような詳細情報を元に他人M2に対して話しをスムーズ進めることが可能となる。
【0146】
ユーザの任意の動作を暗号情報として不揮発性RAM34に記憶させることができ、電子名刺交換装置3の操作の禁止を解除したいときには、その動作を再現するだけで簡単に禁止を解除することができる。また、ユーザの動作を暗号情報とすることにより、指紋や声紋などのように指を怪我した場合や風邪を引いた場合に本人認証できなくなるケースは極めて低くなるので、確実に本人認証を行うことができる。
【0147】
ユーザが電子名刺交換装置3を自分の体から近づけたり離したりするだけで、系列情報が変化するので、ユーザは小型化された電子名刺交換装置3であっても、系列情報を簡単な操作で閲覧することができる。また、表示可変プログラムによって、距離情報が大きくなるほど、過去の時間に対応する系列情報がサーバ2から取得されるので、時間と距離との関係を人間の感覚に即した関係(遠い過去、近い将来というような関係)とすることができる。そのため、ユーザが操作方法を忘れ難いといった効果が得られる。
【0148】
右表示部35に出力される系列情報の各情報に対応した星画像が左表示部36に出力されるので、ユーザは星画像を参考にしながら、各情報を閲覧することができる。また、星画像が、過去の情報を表すものになるほど小さく表示されるので、ユーザは遠くの星に標準を合わせるように、電子名刺交換装置3を動かすことで、過去の知人を検索できるので、ユーザが電子名刺交換装置3の操作を楽しみながら閲覧していくことができる。
【0149】
星画像をすくう動作を行うことで詳細情報を閲覧することができるので、ユーザは、小型化された電子名刺交換装置3であっても、星画像をすくうといった簡単な動作をするだけで、詳細情報を簡単に閲覧することが可能となる。
【0150】
ロックモードを利用することで各表示部35,36の画像の変化を停止・再開することができるので、例えば腕を最大に伸ばした状態で画像の変化を一旦止めて、体の近くまで電子名刺交換装置3を移動させてからロックモードを解除して再度電子名刺交換装置3を体から遠ざけることで、ユーザの腕の長さに対して系列情報の量が多い場合であっても、全ての情報をユーザが閲覧することができる。
【0151】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態は、前記した第1の実施形態とは別の手法で、名刺情報の開示範囲を情報開示レベルに基づいて制限する形態である。具体的には、前記した第1の実施形態で説明した握手モードおよびテンポラリテーブルアップデートモードの一部を変更したものであるため、第1の実施形態と同様のステップについては、同一符号を付し、その説明を省略することとする。
【0152】
<サーバ>
第2の実施形態では、図16に示すように、知人テーブル42の各レコードA1,…に情報開示レベルを記録することによって、第1実施形態のような情報開示レベルテーブル44が不要となっている。つまり、第2の実施形態のデータ構成は、情報開示レベルテーブル44が省かれた簡易なデータ構成となっている。
【0153】
また、サーバ2のメモリ22には、第1の実施形態と同じプログラムが適宜記憶される他、第1の実施形態とは異なるプログラムが記憶されている。これにより、CPU21が後述するフローチャートに従って動作する。
【0154】
[開示範囲記憶プログラム]
第2の実施形態に係る開示範囲記憶プログラムは、第1の実施形態とは異なり、一の電子名刺交換装置3から他の電子名刺交換装置3のユーザIDおよび情報開示レベルを受信したことを条件として、これらの情報と前記一の電子名刺交換装置3のユーザIDとを関連づけて前記記憶装置に記憶させるプログラムである。具体的に、このプログラムを読み込んだCPU21は、例えば本人M1の電子名刺交換装置3から本人ID、他人IDおよび情報開示レベルを図示せぬ通信機で受信したことを条件として、本人IDに基づいて個人テーブル41から本人IDに関連したレコード41Aを検索する。次に、CPU21は、検索したレコード41Aに関連する知人テーブル42の中から、他人IDに関連するレコードを検索する。そして、CPU21は、他人IDに関連するレコードがないと判断した場合には、レコードを追加して、このレコードに他人IDおよび情報開示レベルを記録する。また、CPU21は、他人IDに関連するレコードが存在すると確認した場合には、そのレコードのうちの情報開示レベルを新たな情報開示レベルに更新する。ここで、開示範囲記憶プログラムおよびCPU21が、開示範囲記憶手段の一例に相当する。
【0155】
[詳細情報送信プログラム]
第2の実施形態に係る詳細情報送信プログラムは、名刺情報を情報開示レベルに基づいて制限する機能において、第1の実施形態とは異なっている。すなわち、第2の実施形態に係る詳細情報送信プログラムは、所定のユーザの電子名刺交換装置3から別のユーザの名刺情報の要求があったことを条件として、所定のユーザの電子名刺交換装置3から送信された所定のユーザのユーザIDおよび別のユーザのユーザIDを基にして、ハードディスク4から情報開示レベルと別のユーザの名刺情報とを取得し、取得した名刺情報を情報開示レベルに基づいて所定の開示範囲で所定のユーザの電子名刺交換装置3へ送信するプログラムである。
【0156】
具体的に、このプログラムを読み込んだCPU21は、例えば他人M2の電子名刺交換装置3から本人M1の名刺情報を要求を示す情報(本人IDおよび他人ID)を図示せぬ通信機で受信すると、他人IDに基づいて個人テーブル41の中から他人IDに関連するレコードを検索する。CPU21は、他人IDに関連するレコードが存在すると判断した場合には、このレコードに関連する知人テーブル42の中から、本人IDに関連するレコードを検索する。
【0157】
CPU21は、知人テーブル42の中に本人IDに関連するレコードが存在すると判断した場合には、そのレコードの中から情報開示レベルを取得するとともに、本人IDに基づいて個人テーブル41の中から本人IDに関連するレコードを検索する。そして、CPU21は、個人テーブル41の中に本人IDに関連するレコードが存在すると判断した場合には、そのレコード中の名刺情報の中から前記情報開示レベルに基づいて所定の情報を抜き出して、他人M2の電子名刺交換装置3へ送信する。ここで、詳細情報送信プログラムおよびCPU21が、名刺情報送信手段の一例に相当する。
【0158】
<電子名刺交換装置>
第2の実施形態に係る電子名刺交換装置3のROM32には、第1の実施形態と同じプログラムが適宜記憶される他、第1の実施形態とは異なるプログラムが記憶されている。これにより、CPU31が後述するフローチャートに従って動作する。
【0159】
[情報開示範囲選択プログラム]
第2の実施形態に係る情報開示範囲選択プログラムは、第1の実施形態と同様に、情報開示レベルを選択する機能は有するが、第1の実施形態とは異なり、情報開示レベルの選択後にアクセスIDを生成する機能が省かれて構成されている。ここで、情報開示範囲選択プログラムおよびCPU31は、選択手段の一例に相当する。
【0160】
[開示依頼プログラム]
第2の実施形態に係る開示依頼プログラムは、別のユーザの電子名刺交換装置3から別のユーザのユーザIDを受信したことを条件として、サーバ2に別のユーザのユーザIDと情報開示レベルとを送信するプログラムである。具体的に、このプログラムを読み込んだCPU31は、例えば他人M2の電子名刺交換装置3から他人IDを第2無線機50で受信すると、この他人IDと前記した情報開示範囲選択プログラムにより選択された情報開示レベルとを第1無線機39に出力する。ここで、開示依頼プログラム、CPU31および第1無線機39は、開示依頼手段の一例に相当する。
【0161】
[名刺情報要求プログラム]
第2の実施形態に係る名刺情報要求プログラムは、第1の実施形態とは異なり、サーバ2に自己のユーザIDおよび別のユーザのユーザIDを送信することで別のユーザの名刺情報を要求するプログラムである。具体的には、例えば他人M2の電子名刺交換装置3のCPU31がこのプログラムを読み込むと、このCPU31は、第2無線機50で受信した本人IDを取得(または不揮発性RAM34から本人IDを取得)するとともに、ROM32から他人IDを取得する。その後、CPU31は、取得した他人IDおよび本人IDを第1無線機39に出力する。ここで、名刺情報要求プログラム、CPU31および第1無線機39は、名刺情報要求手段の一例に相当する。
【0162】
次に、電子名刺交換装置3のCPU31の動作について説明する。
【0163】
[握手モード]
図17に示すように、第2の実施形態に係る握手モードにおいては、ステップS41〜ステップS46までは第1の実施形態と同じであるが、それ以降の処理が第1の実施形態とは異なっている。つまり、ステップS43,S45,S46によって情報開示レベルが決定された後は、本人IDを他人M2が第2無線機50に出力され、Bluetooth(登録商標)によって他人M2の電子名刺交換装置3に送信される(ステップS141)。
【0164】
ステップS141の後は、メインフローのステップS4で計測が開始された時間が、所定時間以上となったか、すなわちタイムアウトとなったか否かが判断される(ステップS142)。ステップS142において、タイムアウトであると判断された場合には、そのまま、握手モードが終了する。
【0165】
また、ステップS142において、タイムアウトとなっていないと判断された場合には、他人M2から他人IDを第2無線機50(Bluetooth:登録商標)で受信したか否かが判断される(ステップS143)。ステップS143において、受信していないと判断された場合には、ステップS142に戻り、受信したと判断された場合には、ステップS144に進む。
【0166】
ステップS144では、サーバ2との通信が可能か否かが判断される。そして、このステップS144において、通信不能と判断された場合には、受信した他人IDおよび情報開示レベルが不揮発性RAM34のテンポラリ知人テーブルに追加された後(ステップS145)、右表示部35に「インターネットに接続できません」というメッセージが表示される(ステップS146)。
【0167】
また、ステップS144において、通信可能であると判断された場合には、受信した他人IDが既にサーバ2のデータベース上の知人テーブル42にあるか否かが判断される(ステップS147)。このステップS147において、知人テーブル42に他人IDがないと判断された場合には、ステップS148に進む。ここで、他人IDが知人テーブル42にあるか否かの直接的判断(ステップS147参照。)は、サーバ2のCPU21によって行われるところ、この判断は、ステップS144の判断が肯定されたことを条件として、電子名刺交換装置3からサーバ2に送信される本人ID及び他人IDに基づき行われる。すなわち、本人IDにより特定される個人テーブル41内のレコードに関連付けられた知人テーブル42に、他人IDを含むレコードが存在するか否かによって行われる。なお、上記本人ID及び他人IDとともに、情報開示レベルも送信される。
【0168】
ステップS148では、本人M1の個人テーブル41に関連して既に設定されている知人テーブル42に新たなレコードが追加されるとともに、このレコードに関連するように新たな会合テーブル43が作成される。そして、知人テーブル42の新たなレコードに、他人IDおよび情報開示レベルが記録されるとともに、新たな会合テーブル43に、RTC37とGPSセンサ38からの情報に基づいて生成される会合データ(日時、場所)が、最初のレコードとして記録される。また、他人IDと一致する個人テーブルが検索され、この個人テーブルから他人M2の個人情報が取得される。ここで、この他人M2の個人情報は、他人M2の電子名刺交換装置3で適宜設定される情報開示レベル(個人テーブル41の他人M2に対応するレコード41Bに関連する知人テーブル42の本人M1に対応するレコードに記憶された情報開示レベル)によって、所定の開示範囲に制限されている。すなわち、サーバ2のCPU21は、まず、他人IDを参照して個人テーブル41の中に他人IDが記録されたレコード41B(以下、他人個人レコード41B)があるか否かを判断し、あると判断した場合には、本人IDを再び参照して、前記他人個人レコード41Bに関連付けられた他人M2の知人テーブル42の中に本人IDが記録されたレコードがあるか否かを判断する。そして、CPU21は、知人テーブル42の中に本人IDが記録されたレコードがあると判断した場合には、そのレコード内の情報開示レベルを取得して、この情報開示レベルに基づいて、前記他人個人レコード41B内の情報を所定の開示範囲で、本人M1の電子名刺交換装置3へ送信する。なお、この情報開示レベルの設定の詳細は、後記する握手モードで説明する。
【0169】
そして、ステップS148の後は、ステップS148にて取得された個人情報が、図4(c)に示すように、右表示部35に表示される(ステップS149)。
【0170】
また、ステップS147において、既に知人テーブル42に他人IDがあると判断された場合には、ステップS150に進む。
【0171】
ステップS150では、知人テーブル42に関連して既に設定されている会合テーブル43に新たなレコードが追加される。そして、このレコードに、会合データが記録される。また、知人テーブル42の他人IDに対応するレコードに既に記録されている情報開示レベルが、新たな情報開示レベルに更新される。さらに、他人IDと一致する個人テーブルが検索され、この個人テーブルから他人M2の個人情報が取得される。ここで、この他人M2の個人情報は、前記したように他人M2の電子名刺交換装置3で適宜設定される情報開示レベルによって、所定の開示範囲に制限されている。さらに、他人IDを含む知人テーブル42のレコードに関連して既に設定されている会合テーブル43中の過去の会合データも取得される。
【0172】
そして、ステップS150の後は、ステップS150にて取得された個人情報や過去の会合データなどが、右表示部35に表示される(ステップS151)。
【0173】
前記したステップS146,S149,S151の後は、加速度センサ52による動作確認が行われ(ステップS152)、この動作が握手モードを解除するための動作(以下、「モード解除動作」という。)であるか否かが判断される(ステップS153)。ここで、モード解除動作としては、例えば、右表示部35に表示された情報を捨てるような動作(上に向いた右表示部35を下に向ける動作)などを行えばよい。
【0174】
そして、ステップS153において、モード解除動作ではないと判断された場合には、ステップS152に戻り、モード解除動作であると判断された場合には、この名刺登録モードが終了する。
【0175】
[テンポラリテーブルアップデートモード]
図18に示すように、第2の実施形態に係るテンポラリテーブルアップデートモードにおいては、まず、サーバ2との通信が可能か否かが判断される(ステップS121)。そして、このステップS121において、通信不能と判断された場合には、このテンポラリテーブルアップデートモードが終了し、通信可能と判断された場合には、ステップS122’に進む。
【0176】
ステップS122’では、不揮発性RAM34上に設定されたテンポラリ知人テーブルにデータ(他人IDと情報開示レベル)があるか否かが判断される。そして、このステップS122’において、データがあると判断された場合には、テンポラリ知人テーブルの最初の一件の情報を読み出す(ステップS123)。
【0177】
ステップS123の後は、読み出した情報のうちの他人IDが、既にサーバ2側の知人テーブル42にあるか否かが判断される(ステップS124)。このステップS124において、知人テーブル42に他人IDがないと判断された場合には、ステップS125’に進む。
【0178】
ステップS125’では、本人M1の個人テーブル41に関連して既に設定されている知人テーブル42に新たなレコードが追加されるとともに、このレコードに関連するように新たな会合テーブル43が作成される。そして、知人テーブル42の新たなレコードに、他人IDと情報開示レベルが記録されるとともに、新たな会合テーブル43に、RTC37とGPSセンサ38からの情報に基づいて生成される会合データ(日時、場所)が、最初のレコードとして記録される。
【0179】
また、ステップS124において、既に知人テーブル42に他人IDがあると判断された場合には、ステップS126’に進む。
【0180】
ステップS126’では、知人テーブル42に関連して既に設定されている会合テーブル43に新たなレコードが追加される。そして、このレコードに、会合データが記録される。また、知人テーブル42の他人IDに対応するレコードに既に記録されている情報開示レベルが、新たな情報開示レベルに更新される。
【0181】
前記したステップS125’,S126’の後は、テンポラリ知人テーブルの最初の一件の情報が削除されて(ステップS127)、ステップS122’に戻る。そして、ステップS122’〜ステップS127を、テンポラリ知人テーブルに記録された残りの情報の件数分繰り返した後は、ステップS122’で「No」と判断されて、テンポラリテーブルアップデートモードが終了する。
【0182】
以上によれば、第2の実施形態において、第1の実施形態と同様の効果の他、以下のような効果を得ることができる。
知人テーブル42の各レコードA1,…に情報開示レベルを記録することで、情報開示レベルテーブル44が不要となるので、データ構成の簡易化を図ることができる。
【0183】
なお、本発明は前記各実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
前記各実施形態では、携帯端末として電子名刺交換装置3を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えば携帯電話や携帯用パソコンなどであってもよい。
前記各実施形態における加速度センサ52で検出する動作は、一次元、二次元、三次元の動作のいずれであってもよい。
【0184】
前記各実施形態では、ユーザの名刺情報等をサーバ2のハードディスク4に記憶させたが、本発明はこれに限定されず、ユーザの名刺情報等を携帯端末側の記憶装置に記憶させてもよい。なお、この場合には、例えば、各携帯端末をそれぞれ前記各実施形態で説明したようなサーバ2として機能させるために、各携帯端末の記憶装置に前記各実施形態で説明したようなサーバ2側のプログラム(開示範囲記憶プログラム等)を適宜記憶してもよい。
【0185】
ただし、この場合は、所定のユーザの携帯端末から別のユーザの携帯端末へアクセスIDまたはユーザIDを一旦送信した後、別のユーザの携帯端末からアクセスID等を再度所定のユーザの携帯端末へ送り返さなければ所定のユーザの名刺情報を見ることができないため不便である。そのため、携帯端末と携帯端末との間で名刺情報の交換を行う場合には、所定のユーザの携帯端末から別のユーザの携帯端末へアクセスIDまたはユーザIDを送る代わりに、情報開示レベルによって制限された名刺情報の一部(開示範囲部分)を直接別のユーザの携帯端末へ送るようにするのが望ましい。
【0186】
前記各実施形態では、モーションセンサとして、加速度センサ52を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えば赤外線センサ51や、速度センサ、角速度センサなどを採用してもよい。
前記各実施形態では、情報開示レベルを選択する動作として、握手の動作を採用したが、本発明はこれに限定されず、様々な動作を採用することができる。
【0187】
前記各実施形態では、加速度センサ52で検出した動作情報に基づいて情報開示レベルを選択したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、携帯端末に、ユーザにより操作される1または複数のキーを設け、ユーザがキー操作によって情報開示レベルを選択できるように構成してもよい。具体的には、例えば図7に示すフローチャートのステップS42を第1のキーが押されたか否かを判断する処理とし、ステップS44を第2のキーが押されたか否かを判断する処理としてもよい。なお、このように構成すると、例えば携帯電話のようにキーが必須の構成要素である機器においては、部品点数を増やすことなく、開示範囲を変更できる機能を実現できる。
【0188】
前記各実施形態では、情報開示レベルを大、中、小を分けることで、ユーザの個人情報の保護を目的としたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、2つ以上の会社(例えば、A会社とB会社)の役員を兼任するユーザがこのシステムを利用する場合には、個人テーブル41の1つのレコードに、会社ごとに応じた肩書き等のデータを記録しておくことで、相手に応じて異なる会社の情報を提供するようにしてもよい。これによれば、一人のユーザが個人テーブル41内に複数の会社に応じた複数のレコードを登録しておく必要がなくなるので、データ構造を簡易化され、非常に有効となる。なお、この場合には、情報開示レベルを、A会社、B会社というように会社の数に応じて適宜設定すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0189】
【図1】本発明の一実施形態に係る名刺情報管理システムを示す説明図である。
【図2】サーバのハードディスクに記憶される各テーブルを示す説明図である。
【図3】電子名刺交換装置の構成を示す構成図である。
【図4】電子名刺交換装置の各表示部の表示を示す図であり、通常における時刻表示を示す図(a)と、ブラウジングモード時における星画像と簡略データの表示を示す図(b)と、詳細データ閲覧モード時における詳細情報の表示を示す図(c)である。
【図5】メインフローの処理を示すフローチャートである。
【図6】名刺登録モードの処理を示すフローチャートである。
【図7】握手モードの処理を示すフローチャートである。
【図8】データ閲覧モードの処理を示すフローチャートである。
【図9】ブラウジングモードの処理を示すフローチャートである。
【図10】詳細データ閲覧モードの処理を示すフローチャートである。
【図11】ロックモードの処理を示すフローチャートである。
【図12】キャリブレーションモードの処理を示すフローチャートである。
【図13】セキュリティロック登録モードの処理を示すフローチャートである。
【図14】テンポラリテーブルアップデートモードの処理を示すフローチャートである。
【図15】ステップS28で取得された個人情報や過去の会合データ等が右表示部に表示された状態を示す説明図である。
【図16】第2の実施形態に係るサーバのハードディスクに記憶される各テーブルを示す説明図である。
【図17】第2の実施形態に係る握手モードの処理を示すフローチャートである。
【図18】第2の実施形態に係るテンポラリテーブルアップデートモードの処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0190】
1 名刺情報管理システム
2 サーバ
3 電子名刺交換装置(携帯端末)
4 ハードディスク(記憶装置)
20 第1無線機
21 CPU
22 メモリ
31 CPU
32 ROM
33 RAM
34 不揮発性RAM
35 右表示部
36 左表示部
37 RTC
38 GPSセンサ
39 第1無線機
41 個人テーブル
41A レコード
42 知人テーブル
43 会合テーブル
44 情報開示レベルテーブル
44A レコード
50 第2無線機
51 赤外線センサ
52 加速度センサ(モーションセンサ)
53 RFリーダ
54 明度センサ
A1 レコード
A11 レコード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の携帯端末と、前記携帯端末と情報交換可能なサーバとを備えた名刺情報管理システムであって、
前記携帯端末は、
前記携帯端末のユーザに係る複数の情報からなる名刺情報の開示範囲を選択可能な選択手段と、
他の携帯端末とユーザIDを交換する際に、ユニークなアクセスIDを作成して、自装置のユーザIDと前記アクセスIDとを前記他の携帯端末へ送信するID送信手段と、
他の携帯端末とユーザIDを交換する際に、前記他の携帯端末から送信される他の携帯端末のユーザIDとアクセスIDとを受信するID受信手段と、
前記自装置で作成したアクセスIDと前記選択手段で選択した開示範囲を示す情報とを前記サーバへ送信する開示依頼手段と、
前記ID受信手段が受信した前記ユーザIDとアクセスIDとを前記サーバへ送信して前記名刺情報を要求する名刺情報要求手段と、
前記名刺情報要求手段の要求に応じて前記サーバから送信される名刺情報を受信する名刺情報受信手段と、
を備え、
前記サーバは、
前記各携帯端末のユーザIDと、ユーザの名刺情報とを関連づけて記憶した記憶手段と、
一の携帯端末から前記アクセスIDおよび前記開示範囲を示す情報を受信したことを条件として、これらの情報を関連づけて前記記憶手段に記憶する開示範囲記憶手段と、
前記他の携帯端末から一の携帯端末のユーザの名刺情報の要求があった場合に、前記記憶手段から、当該他の携帯端末から送信されたアクセスIDに関連付けられた前記開示範囲を示す情報を取得し、さらに当該一の携帯端末のユーザIDを基にして前記開示範囲で前記一の携帯端末のユーザの名刺情報を取得し、取得した名刺情報を前記他の携帯端末へ送信する名刺情報送信手段と、
を備えたことを特徴とする名刺情報管理システム。
【請求項2】
複数の携帯端末と、前記携帯端末と情報交換可能なサーバとを備えた名刺情報管理システムであって、
前記携帯端末は、
前記携帯端末のユーザに係る複数の情報からなる名刺情報の開示範囲を選択可能な選択手段と、
別のユーザの携帯端末に自己のユーザIDを送信する自己ID送信手段と、
別のユーザの携帯端末から送信される別のユーザIDを受信するユーザID受信手段と、
前記別のユーザの携帯端末から前記別のユーザのユーザIDを受信したことを条件として、前記サーバに自己のユーザIDと、前記別のユーザのユーザIDと、前記選択手段で選択された開示範囲を示す情報とを送信する開示依頼手段と、
前記サーバに自己のユーザIDおよび別のユーザのユーザIDを送信して前記名刺情報を要求する名刺情報要求手段と、
前記名刺情報要求手段の要求に応じて前記サーバから送信される名刺情報を受信する名刺情報受信手段と、
を備え、
前記サーバは、
前記各携帯端末のユーザIDと、ユーザの名刺情報とを関連づけて記憶した記憶手段と、
一の携帯端末から他の携帯端末のユーザIDおよび前記開示範囲を示す情報を受信したことを条件として、これらの情報と前記一の携帯端末のユーザIDとを関連づけて前記記憶手段に記憶する開示範囲記憶手段と、
前記他の携帯端末から名刺情報の要求があったことを条件として、前記他の携帯端末から送信された当該他の携帯端末のユーザIDおよび前記一の携帯端末のユーザIDを基にして、前記記憶手段から前記開示範囲を示す情報と前記一の携帯端末のユーザの名刺情報とを取得し、取得した名刺情報を、前記開示範囲を示す情報に基づいて所定の開示範囲で前記他の携帯端末へ送信する名刺情報送信手段と、
を備えたことを特徴とする名刺情報管理システム。
【請求項3】
他の携帯端末へ、携帯端末のユーザに係る複数の情報からなる名刺情報を送信可能な携帯端末であって、
前記名刺情報の開示範囲を選択可能な選択手段と、
前記選択手段による選択の完了を条件として、前記名刺情報のうち前記選択手段で選択された開示範囲部分または開示範囲を示す情報を前記他の携帯端末へ送信する送信手段を備えたことを特徴とする携帯端末。
【請求項4】
前記携帯端末の動きを動作情報として検出するモーションセンサを備え、
前記選択手段が、前記モーションセンサで検出した動作情報に基づいて、前記名刺情報の開示範囲を決定することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記動作情報に基づいて、前記携帯端末を上下に振った回数を判別する判別手段をさらに備え、
前記選択手段は、前記判別手段が判別した回数が多い程、前記開示範囲を広くすることを特徴とする請求項4に記載の携帯端末。
【請求項6】
前記携帯端末のユーザにより操作される1または複数のキーをさらに備え、
前記選択手段は、前記ユーザが所定のキー操作を行うことによって開示範囲を変更することを特徴とする請求項4に記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−90551(P2008−90551A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−269832(P2006−269832)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】