説明

吐出方法及び液晶パネルの製造方法

【課題】シール材に囲まれた部分に配置された液晶が、シール材の局所部分から溢れでないようにすることができる吐出方法及び液晶パネルの製造方法を提供する。
【解決手段】マザーガラス基板の各セル101の配置領域Zにおいて、四角枠状のシール材102の中心位置Coから最も遠いシール材の4つのコーナー部P1に近い位置まで液晶Fが配置されるように、クロス形状の液晶Fを配置した。そして、配置領域Zに、配置された液晶Fは、濡れ広がるとき、シール材102のコーナー部P1と、中心位置Coから最も近いシール材102の各辺の中央の部分P2とに、ほぼ同じタイミングで接触し、早期に到達して接触する局所部分がなく、シール材102で囲まれた範囲を隈なく一様に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出方法及び液晶パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、薄膜トランジスタが形成された素子基板と、共通電極が形成された対向基板との間に液晶を封入されている。この液晶の封入方法の1つとして、素子基板上に形成した四角枠状のシール材に囲まれた部分に液晶を供給した後に、同素子基板と対向基板とを貼り合わす方法が知られている。また、基板上に多数に素子基板(セル)を区画形成した大判のガラス基板(マザーガラス基板)と、同じく基板上に多数に対向基板(セル)を区画形成した大判のガラス基板(マザーガラス基板)とを用意し、その両マザー基板同士を貼り合わせたのち、カットして多数の液晶表示装置を製造する方法も提案されている。
【0003】
また、素子基板上に形成したシール材に囲まれた部分に液晶を供給する方法として、ディスペンサーに代わって、液滴吐出装置を使用して液晶材料の液滴を吐出させることが提案されている。この種の液滴吐出装置は、ステージに載置した素子基板となる各セルをマトリクス状に区画形成したマザーガラス基板と、マザーガラス基板上に形成された各セルのシール材で囲まれた部分に液晶を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドと、マザーガラス基板(ステージ)と液滴吐出ヘッドを2次元的に相対移動させる機構を備えている。
【0004】
液滴吐出装置は、液滴吐出ヘッドから吐出させた液晶の液滴を、各セルの四角枠状にシール材で囲まれた部分に、所定の量だけ配置させる。このとき、各セルに配置される液晶の液滴の量は、全て同じである必要がある。
【0005】
ところで、液晶は常温において粘度が高く、粘度が高い状態で液滴吐出ヘッドから吐出すると、吐出重量が不安定になって、各セルに液晶を均一に配置できない。また、目詰まりの原因にもなる。そこで、液滴吐出装置では、液晶を加熱手段で加熱し粘度を下げた状態にして液晶を液滴にして吐出させるようにしている(特許文献1)。特許文献1では、液滴吐出ヘッドに加熱手段を設け、その加熱手段を制御手段で制御し常に、液晶が所定の温度になるようにしている。
【特許文献1】特開2003−19790号 公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図9は、マザーガラス基板に区画形成した2点鎖線で示すセル101のシール材102で囲まれた部分(配置領域Z)に配置された液晶Fの状態を説明する模式図である。図9(a)において、マザーガラス基板の各セル101に形成されたシール材102で囲まれた部分(配置領域Z)の中心位置Coに、液晶Fが半円球状になって配置される。この半円球状の液晶Fは、放射状に一様に濡れ広がり、そして、対向基板と貼り合わさる時、該対向基板によって押圧されてシール材102で囲まれた部分(配置領域Z)の隅々まで広がって、素子基板、対向基板、及び、シール材で形成される密閉空間に封止される。
【0007】
ところで、対向基板と貼り合わさる前、図9(a)に示す半円球状の液晶Fは、図9(b)に示すように、放射状に一様に広がり、図9(c)に示すように四角枠状のシール材102の最も距離の短い中央の部分P2に最も速く到達し該部分P2に接触する。このシール材102の局所的な部分Pに液晶Fが早期に到達し接触すると、液晶Fは、該部分P2を乗り越えて溢れ出てしまい、予め定められた量の液晶を配置できない問題があった。
これによって、規定量の液晶Fがセル101内に配置されないと、四角枠状のシール材102のコーナー部分まで液晶Fが行き渡らずに表示品位を低下させる原因にもなる。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、シール材に囲まれた部分に配置された液晶が、シール材の局所部分から溢れでないようにすることができる吐出方法及び液晶パネルの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の吐出方法は、吐出手段から液状体を基板上に吐出する吐出方法であって、前記基板に形成された枠状のシール材に囲まれた領域に、該シール材に触れることなく液状体を吐出して、該領域に配置される液状体を、前記枠状のシール材のコーナー部に比べて各辺の中央部に近いほど、該配置される液状体の外縁からの距離が大きくなるように、配置するようにした。
【0010】
本発明の吐出方法によれば、枠状のシール材内の中心位置から最も遠いシール材のコーナー部と、中心位置から最も近いシール材の各辺の中央部とに対して、配置された液状体がほぼ同じタイミングで接触させることができる。その結果、局所的に速くシール材に到達する部分がないので、液状体は、その局所的な部分からシール材を乗り越えてことはない。
【0011】
この吐出方法において、前記枠状のシール材に囲まれた領域に配置される液状体は、前記枠状の対角線に対して、該対角線に両端部を除いて重なるクロス形状である。
この発明によれば、枠状のシール材の各部分に対して、液状体は、ほぼ同じタイミングで接触する。
【0012】
本発明の液晶パネルの製造方法は、パネル基板上に形成された枠状のシール材に囲まれた領域に、吐出手段から液晶を吐出し、予め定めた量だけ前記液晶を配置するようにした液晶パネルの製造方法であって、前記枠状のシール材に囲まれた領域に、該シール材に触れることなく液晶を多数吐出して、該領域に配置される液晶を、前記枠状のシール材のコーナー部に比べて各辺の中央部に近いほど、該配置される液晶の外縁からの距離が大きくなるように、配置するようにした。
【0013】
本発明の液晶パネルの製造方法によれば、枠状のシール材内の中心位置から最も遠いシール材のコーナー部と、中心位置から最も近いシール材の各辺の中央部とに対して、配置された液晶がほぼ同じタイミングで接触させることができる。その結果、局所的に速くシール材に到達する部分がないので、液晶は、その局所的な部分からシール材を乗り越えてことはない。
【0014】
この液晶パネルの製造方法において、前記枠状のシール材に囲まれた領域に配置される液晶は、前記枠状の対角線に対して、該対角線に両端部を除いて重なるクロス形状である。
【0015】
この発明によれば、枠状のシール材の各部分に対して、液晶はほぼ同じタイミングで接触する。
この液晶パネルの製造方法において、前記対角線上の位置に吐出する液晶の配置密度が、他の位置に吐出する液晶の配置密度よりも高くなるように、液晶を配置するようにした。
【0016】
この発明によれば、枠状のシール材の各部分に対して、液晶はほぼ同じタイミングで接触する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を具体化したマザーガラス基板上に区画形成された各セル内に液晶を配置する液滴吐出装置について説明する。
図1は、液滴吐出装置10を説明するための全体斜視図を示す。図1において、液滴吐出装置10は、直方体形状に形成された基台11を有している。基台11の上面には、その長手方向(Y矢印方向)に沿って延びる一対の案内溝12が形成されている。案内溝12の上方には、案内溝12に沿って主走査方向(Y矢印方向及び反Y矢印方向)に移動するステージ13が備えられている。ステージ13の上面には、載置部14が形成されて、マザー基板としてのマザーガラス基板100が載置される。マザーガラス基板100は、載置部14において位置決め固定されてY矢印方向及び反Y矢印方向に搬送される。
【0018】
マザーガラス基板100は、図2に示すように、大判のガラス基板であって、2点鎖線で示すように、薄膜トランジスタが形成された液晶表示装置の素子基板を形成するセル101が、マトリクス状に多数区画形成されている。マザーガラス基板100に区画形成された各セル101は、それぞれ四角枠状のシール材102がそれぞれ形成され、そのシール材102で囲まれた部分(以下、配置領域Zという)に液晶F(図6参照)が配置される。各セル101は、全て同じ量の液晶Fが配置されるようになっている。
【0019】
尚、各セル101に液晶Fが配置されたマザーガラス基板100は、液晶表示装置のもう一方の基板、即ち、共通電極が形成された対向基板を形成するセルがマトリクス状に多数区画形成されたマザーガラス基板と、対応するセル同士が相対向するように、貼り合わされる。そして、貼り合わされたセル毎にカットすることによって、素子基板と対向基板の間にシール材102を介して液晶が封入された液晶表示装置が多数製造される。
【0020】
以下、説明の便宜上、マザーガラス基板100の縦方向をY矢印方向とし、マザーガラス基板100の横方向をX矢印方向とする。
基台11には、主走査方向と直交する副走査方向(X矢印方向及び反X矢印方向)に跨ぐ門型のガイド部材15が架設されている。ガイド部材15の上側には、X矢印方向に延びるタンク16が配設され、そのタンク16には液状体としての液晶Fが収納されている。
【0021】
そのタンク16に収容された液晶Fは、該タンク16に接続された供給チューブT(図4参照)を介して液滴吐出ヘッド(以下単に、吐出ヘッドという。)20に所定の圧力で供給されるようになっている。そして、吐出ヘッド20に供給された液晶Fは、該吐出ヘッド20から液滴Fb(図4参照)となって載置部14に載置されたマザーガラス基板100に向かって吐出されるようになっている。
【0022】
ガイド部材15には、そのX矢印方向略全幅にわたって、X矢印方向に延びる上下一対のガイドレール18が形成されている。上下一対のガイドレール18には、キャリッジ19が取り付けられている。キャリッジ19は、ガイドレール18に案内されてX矢印方向及び反X矢印方向に移動する。キャリッジ19には、吐出手段としての液滴吐出ヘッド20が搭載されている。
【0023】
図3は、吐出ヘッド20をマザーガラス基板100側(下側)から見た図である。吐出ヘッド20のノズルプレート25は、一対のノズル列NLを備えている。一対のノズル列NLでは、X矢印方向から見て、一方のノズル列NLの各ノズルNが、他方のノズル列NLの各ノズルNの間を補間する。すなわち、吐出ヘッド20は、X矢印方向に、1インチ当りに180個×2=360個のノズルNを有する(最大解像度が360dpiである)。
【0024】
図4は、吐出ヘッド20の内部構成を説明するための要部断面図である。
図4において、吐出ヘッド20の上側には、供給チューブTが連結されている。供給チューブTは、タンク16の液晶Fを吐出ヘッド20に供給する。ノズルプレート25の各ノズルNの上側には、供給チューブTに連通するキャビティ26が形成されている。キャビティ26は、供給チューブTからの液晶Fを収容して、対応するノズルNに液晶Fを供給する。キャビティ26の上側には、上下方向に振動してキャビティ26内の容積を拡大及び縮小する振動板27が貼り付けられている。振動板27の上側には、ノズルNに対応する圧電素子PZが配設されている。圧電素子PZは、上下方向に収縮及び伸張して振動板27を上下方向に振動させる。
【0025】
上下方向に振動する振動板27は、液晶Fを所定サイズの液滴Fbにして対応するノズルNから吐出させる。吐出された液滴Fbは、対応するノズルNの反Z矢印方向に飛行して、直下を通過するマザーガラス基板100の吐出面100aに対して着弾するようになっている。
【0026】
つまり、吐出ヘッド20の直下を主走査方向にマザーガラス基板100が移動するとき、マザーガラス基板100の各セル101のシール材102で囲まれた配置領域Zに対して順番に、吐出ヘッド20から液滴Fbが吐出される。そして、本実施形態では、図5に矢印で示す順番で、マザーガラス基板100の各セル101に液晶Fを配置するようになっている。従って、図5において、最も反X矢印側のセル列の最もY矢印側のセル101(101s)が、最初に液晶Fが配置され、最もX矢印側のセル列の最もY矢印側のセル101(101n)が、最後に液晶Fが配置されるようになっている。
【0027】
また、吐出ヘッド20のY矢印側の側面には、ラバーヒータHが取着され、キャビティ26に収容された液晶Fを予め定めた目標温度に加熱する。ここで、目標温度とは、吐出ヘッド20が液滴Fbとして吐出することができる粘性になる液晶Fの温度であって、本実施形態では、70℃としている。吐出ヘッド20の反Y矢印側の側面には、温度検出手段としての温度検出センサSEが取着され、吐出ヘッド20を介してキャビティ26に収容された液晶Fの温度を検出するようになっている。
【0028】
次に、上記のように構成した液滴吐出装置10の電気的構成を図7に従って説明する。
図7において、制御装置50は、CPU50A、ROM50B、RAM50C等を有している。制御装置50は、格納された各種データ及び各種制御プログラムに従って、ステージ13の搬送処理、キャリッジ19の搬送処理、吐出ヘッド20の液滴吐出処理を実行する。また、制御装置50は、同様に、ラバーヒータHの駆動制御を実行する。
【0029】
制御装置50には、各種操作スイッチとディスプレイを有した入出力装置51が接続されている。入出力装置51は、液滴吐出装置10が実行する各種処理の処理状況を表示する。入出力装置51は、マザーガラス基板100上に液滴Fbでパターンを形成するためのビットマップデータBDを生成し、そのビットマップデータBDを制御装置50に入力する。
【0030】
ビットマップデータBDは、各ビットの値(0あるいは1)に応じて各圧電素子PZのオンあるいはオフを規定したデータである。ビットマップデータBDは、吐出ヘッド20(各ノズルN)の通過する各セル101のシール材102で囲まれた配置領域Zの各位置に、液滴Fbを吐出するか否かを規定したデータである。すなわち、ビットマップデータBDは、シール材102で囲まれた配置領域Zに、予め定めた形状のパターンを形成するための目標形成位置に液滴Fbを吐出させるためのデータである。
【0031】
そして、本実施形態のビットマップデータBDは、図6(a)及び図8に示すように、マザーガラス基板100の全てのセル101の配置領域Zに対して予め定めた同じ量の液晶Fを供給するためのパターンであって、該液晶Fを、四角枠状のシール材102のコーナー部P1に比べて各辺の中央の部分(中央部)P2に近いほど、該配置される液晶Fの外縁からの距離が大きくなるように、クロス形状に配置するようにしたデータである。
【0032】
そして、さらに、ビットマップデータBDは、各セル101において、配置領域Zに配置される液晶Fの配置密度が、該四角形状の配置領域Zの対角線La,Lb(図8参照)上の位置が、他の位置よりも高くなるように、該液滴Fbが吐出されるデータである。つまり、四角枠状のシール材102の中心位置Coを中心とした半球状の液晶Fが配置されるのではなく、該シール材102の中心位置Coから最も遠いシール材102の4つのコーナー部P1に近い位置まで液滴Fbが配置されるように、クロス形状の液晶Fが配置される。
【0033】
図8は、密度分布を説明するための模式図であって、2点鎖線L1で囲まれる領域が液滴Fbの配置密度が最も高く、2点鎖線L1と2点鎖線L2で囲まれる領域が液滴Fbの配置密度が次に高く、以下、2点鎖線L2と2点鎖線L3で囲まれる領域、2点鎖線L3と2点鎖線L4で囲まれる領域、2点鎖線L4と線L5(液晶Fの外縁)で囲まれる領域、の順番で配置密度が小さくなる。つまり、2点鎖線L1で囲まれる領域を中心として、外側に向かうほど、一定の割合で配置密度は小さくなる。
【0034】
そして、シール材102の配置領域Zに、ビットマップデータBDに基づいて液滴Fbが吐出され、図6(a)に示すクロス状に液晶Fが配置されると、配置された液晶Fは、図6(b)(c)(d)に示すように、濡れ広がる。このとき、クロス形状に配置された液晶Fは、シール材102の各辺の中央の部分P2に近い外縁(線L5に相当)は凹部になっているので、該凹部に面した部分に位置する液晶Fはその凹部の中心の向かって濡れ広がることから、その濡れ広がりが速い。その結果、図6(e)に示すように、液晶Fは、シール材102のコーナー部P1と、中心位置Coから最も近いシール材102の中央の部分P2とに、ほぼ同じタイミングで接触する。
【0035】
制御装置50には、X軸モータ駆動回路52が接続されている。制御装置50は、駆動制御信号をX軸モータ駆動回路52に出力する。X軸モータ駆動回路52は、制御装置50からの駆動制御信号に応答して、キャリッジ19を移動させるためのX軸モータMXを正転又は逆転させる。制御装置50には、Y軸モータ駆動回路53が接続されている。制御装置50は、駆動制御信号をY軸モータ駆動回路53に出力する。Y軸モータ駆動回路53は、制御装置50からの駆動制御信号に応答して、ステージ13を移動させるためのY軸モータMYを正転又は逆転させる。
【0036】
制御装置50には、ヘッド駆動回路54が接続されている。制御装置50は、所定の吐出周波数に同期させた吐出タイミング信号LTaをヘッド駆動回路54に出力する。制御装置50は、各圧電素子PZを駆動するための駆動電圧COMaを吐出周波数に同期させてヘッド駆動回路54に出力する。
【0037】
制御装置50は、ビットマップデータBDを利用して所定の周波数に同期したパターン形成用制御信号SIaを生成し、パターン形成用制御信号SIaをヘッド駆動回路54にシリアル転送する。ヘッド駆動回路54は、制御装置50からのパターン形成用制御信号SIaを各圧電素子PZに対応させて順次シリアル/パラレル変換する。ヘッド駆動回路54は、制御装置50からの吐出タイミング信号LTaを受けるたびに、シリアル/パラレル変換したパターン形成用制御信号SIaをラッチし、パターン形成用制御信号SIaによって選択される圧電素子PZにそれぞれ駆動電圧COMaを供給する。
【0038】
制御装置50には、ラバーヒータ駆動回路55が接続されている。制御装置50は、ラバーヒータ駆動回路55に駆動制御信号を出力する。ラバーヒータ駆動回路55は、制御装置50からの駆動制御信号に応答して、ラバーヒータHを駆動制御する。そして、吐出ヘッド20に取着したラバーヒータHは、吐出ヘッド20内の液晶Fを予め定めた目標温度にまで加熱する。即ち、ラバーヒータHによって、吐出ヘッド20に供給された液晶Fは、予め定めた目標温度(本実施形態では70℃)に加熱されるようになっている。
【0039】
制御装置50には、温度検出センサSEが接続されている。制御装置50は、温度検出センサSEからの検出信号を入力して、その時々の吐出ヘッド20内の液晶Fの温度を求めるようになっている。制御装置50は、求めた液晶Fの温度と前記予め設定した目標温度と比較し、液晶Fの温度が目標温度になるように、ラバーヒータ駆動回路55を介してラバーヒータHを駆動制御するようになっている。
【0040】
次に、上記液滴吐出装置10を利用してマザーガラス基板100の各セル101に、予め定めた量の液晶Fを配置する方法について説明する。
いま、図1に示すように、吐出ヘッド20は、ステージ13から離間した反X矢印方向の待機位置で待機している。この待機状態において、制御装置50は、温度検出センサSEからの検出信号を入力し、吐出ヘッド20内の液晶Fが目標温度になるように、ラバーヒータ駆動回路55を介してラバーヒータを駆動して、加熱制御している。
【0041】
また、マザーガラス基板100の各セル101に液滴Fbによるパターンを形成するためのビットマップデータBDが入出力装置51から制御装置50に入力されている。従って、制御装置50は、入出力装置51からのビットマップデータBDを格納している。
【0042】
そして、マザーガラス基板100をステージ13に載置する。このとき、マザーガラス基板100は、ステージ13の載置部14上の反Y矢印方向側に配置され、入出力装置51から、制御装置50へ作業開始の指令信号が出力される。
【0043】
制御装置50は、X軸モータ駆動回路52を介してX軸モータMXを駆動して吐出ヘッド20を待機位置からX矢印方向に移動させる。そして、吐出ヘッド20が、マザーガラス基板100の最も反X矢印方向側にある各セル101(配置領域Z)がその直下をY矢印方向に通過する位置まで移動すると、制御装置50は、X軸モータ駆動回路52を介してX軸モータMXを停止させるとともに、Y軸モータ駆動回路53を介してY軸モータMYを駆動して、マザーガラス基板100をY矢印方向移動させる。
【0044】
マザーガラス基板100をY矢印方向に移動させると、制御装置50は、ビットマップデータBDに基づいてパターン形成用制御信号SIaを生成して、パターン形成用制御信号SIaと駆動電圧COMaをヘッド駆動回路54に出力する。すなわち、制御装置50は、ヘッド駆動回路54を介して各圧電素子PZを駆動制御して、各セル101の配置領域Zが吐出ヘッド20の直下を通過するとき、当該セル101にクロス状の液晶Fの配置パターンを形成するために選択されたノズルNから液滴Fbを吐出させる。
【0045】
各セル101の配置領域Zには、図6(a)に示すように、クロス状に液滴Fb(液晶F)が配置される。
マザーガラス基板100の最も反X矢印方向側にある各セル101(配置領域Z)への液晶F(液滴Fb)の供給が終了すると、制御装置50は、Y軸モータ駆動回路53を介してY軸モータMYを停止させるとともに、X軸モータ駆動回路52を介してX軸モータMXを駆動して吐出ヘッド20を、マザーガラス基板100の次の反X矢印方向側にある各セル101(配置領域Z)が、その直下を反Y矢印方向に通過する位置まで、移動(フ
ィード)させる。
【0046】
吐出ヘッド20がフィードされると、制御装置50は、Y軸モータ駆動回路53を介してY軸モータMYを駆動して、ステージ13を反Y矢印方向に移動(スキャン)させる。ステージ13の反Y矢印方向に移動を開始させると、制御装置50は、ビットマップデータBDに基づいてパターン形成用制御信号SIaを生成して、パターン形成用制御信号SIaと駆動電圧COMaをヘッド駆動回路54に出力する。すなわち、制御装置50は、ヘッド駆動回路54を介して各圧電素子PZを駆動制御して、各セル101の配置領域Zが吐出ヘッド20の直下を通過するとき、当該セル101にクロス状の液晶Fの配置パターンを形成するために選択されたノズルNから液滴Fbを吐出させる。
【0047】
以後、同様な動作を繰り返して、マザーガラス基板100の全てのセル101に全て同じ量の液晶Fをクロス状に配置して、一つのマザーガラス基板100に対する各セル101への液晶Fの供給が完了する。
【0048】
そして、各セル101の配置領域Zに配置された液晶Fは、配置領域Zを図6(b)〜(e)に示すように濡れ広がる。このとき、配置領域Zに配置された液晶Fは、クロス状に、即ち、該四角形状の配置領域Zの対角線上の位置が、他の位置よりも液晶Fの配置密度が高いので、中心位置Coから最も遠いシール材102のコーナー部P1と、中心位置Coから最も近いシール材102の中央の部分P2に、ほぼ同じタイミングで接触させることができる。
【0049】
次に、上記のように構成した実施形態の効果を以下に記載する。
(1)上記実施形態によれば、マザーガラス基板100の各セル101において、配置領域Zに配置される液晶Fを、シール材102のコーナー部P1に比べて各辺の中央の部分P2に近いほど、該液晶Fの外縁からの距離が大きくなるように、クロス形状に配置するようにした。従って、配置された液晶Fは、シール材102に囲まれた配置領域Zを濡れ広がるとき、該シール材102のコーナー部P1と、中心位置Coから最も近いシール材102の各辺の中央の部分P2とに、ほぼ同じタイミングで接触する。
【0050】
その結果、液晶Fは、中心位置Coから最も近いシール材102の各辺の中央の部分P2に液晶Fが早期に到達し接触して、該部分P2を乗り越えて溢れ出て封入される液晶の量が減少するといったことがなく、シール材102で囲まれた範囲を隈なく一様に配置できる。その結果、表示ムラのない表示品位の高い液晶表示装置を製造することができる。
【0051】
(2)上記実施形態によれば、シール材102の各部分に対してほぼ同じタイミングで液晶Fが接触するが、その接触するタイミングは、図9に示すように従来の半円球状に液晶Fを配置した場合に、比べて遅くすることができる。その結果、液晶Fがシール材102に早期に接触してシール材102を変質させる前に、余裕をもってシール材102に紫外線(UV)照射を行って該シール材102を硬化させ安定させることができるので、シール材自身を変質させ溶出させることを防止できる。
【0052】
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、加熱手段としてラバーヒータHで液晶Fを加熱制御したが、例えば、ペルチェ素子の発熱部等、その他加熱手段を使用して実施してもよい。
【0053】
・上記実施形態では、目標温度を70℃としたが、これに限定されるものではなく、要は、目標温度は液晶Fの粘性が吐出ヘッド20から吐出できる粘性になる温度であればよい。
【0054】
・上記実施形態では、吐出ヘッド20を停止させた状態で、ステージ13(マザーガラス基板100)を移動させて、吐出ヘッド20から液滴Fbを吐出させるようにした。これを、ステージ13(マザーガラス基板100)が停止させた状態で、吐出ヘッド20を移動させて、その吐出ヘッド20から液滴Fbを吐出させるようにしてもよい。
【0055】
・上記実施形態では、素子基板のためのマザーガラス基板100に、各セル101にシール材102を形成し、そのシール材102で囲まれた範囲(配置領域Z)に液晶Fを配置したが、対向基板用のマザーガラス基板100にシール材102を形成し、そのシール材102で囲まれた範囲(配置領域Z)に液晶Fを配置して、貼り合わせる場合にも応用してもよい。
【0056】
・上記実施形態では、マザーガラス基板100の各セル101に対して配置する液晶Fについて具体化したが、一枚の液晶表示装置の素子基板に対して液晶Fを配置する場合にも応用してもよい。
【0057】
・上記実施形態では、液状体を液晶Fとし、シール材102に囲まれた領域Zに配置する液晶Fについて具体化したが、これに限定されるものではなく、液状体を、例えば、レジストの形成、層間膜の形成、又は、配線層の形成するための液状体とし、これら液状体を吐出ヘッド20によって吐出させてパターンを形成するようにしてもよい。このレジストの形成、層間膜の形成、配線層の形成する場合、液晶表示装置以外の、例えば有機EL表示装置等その他の基板に応用してもよいことは勿論である。
【0058】
・上記実施形態では、シール材102を四角枠状に形成したが、これに限定されるものではなく、適宜変更して実施してもよい。
・上記実施形態では、吐出手段を、圧電素子駆動方式の液滴吐出ヘッド20に具体化した。これに限らず、液滴吐出ヘッドを、抵抗加熱方式や静電駆動方式の吐出ヘッドに具体化してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】液滴吐出装置の全体斜視図。
【図2】マザーガラス基板を説明するための平面図。
【図3】液滴吐出ヘッドをマザーガラス基板側から見た下面図。
【図4】液滴吐出ヘッドの要部側断面図。
【図5】マザーガラス基板を各セルに液晶を配置する順番を示す平面図。
【図6】セルに配置された液晶の状態を説明する図であって、(a)はセルに配置された状態を示す図、(b)は初期の濡れ広がり状態を示す図、(c)は濡れ広がり状態を示す図、(d)はシール材に到達する直前の状態を示す図、(e)はシール材に囲まれた隅々まで行き渡った状態を示す図。
【図7】液滴吐出装置の電気的構成を説明するための電気ブロック回路図。
【図8】セルに配置されて液晶の密度分布を説明するための模式図。
【図9】従来のセルに配置された液晶の状態を説明する図であって、(a)はセルに配置された状態を示す図、(b)は濡れ広がり状態を示す図、(c)はシール材に到達する直前の状態を示す図。
【符号の説明】
【0060】
10…液滴吐出装置、13…ステージ、20…液滴吐出ヘッド、30…待機ステージ、50…制御装置、F…液晶、Fb…液滴、100…マザーガラス基板、PT…ペルチェ素子、PZ…圧電素子、H…ラバーヒータ、101…セル、102…シール材、L5…線(外縁)、La,Lb…対角線、P1…コーナー部、P2…中央の部分、SE…温度検出センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出手段から液状体を基板上に吐出する吐出方法であって、
前記基板に形成された枠状のシール材に囲まれた領域に、該シール材に触れることなく液状体を吐出して、該領域に配置される液状体を、前記枠状のシール材のコーナー部に比べて各辺の中央部に近いほど、該配置される液状体の外縁からの距離が大きくなるように、配置するようにしたことを特徴とする吐出方法。
【請求項2】
請求項1に記載の吐出方法において、
前記枠状のシール材に囲まれた領域に配置される液状体は、前記枠状の対角線に対して、該対角線に両端部を除いて重なるクロス形状であることを特徴とする吐出方法。
【請求項3】
パネル基板上に形成された枠状のシール材に囲まれた領域に、吐出手段から液晶を吐出し、予め定めた量だけ前記液晶を配置するようにした液晶パネルの製造方法であって、
前記枠状のシール材に囲まれた領域に、該シール材に触れることなく液晶を多数吐出して、該領域に配置される液晶を、前記枠状のシール材のコーナー部に比べて各辺の中央部に近いほど、該配置される液晶の外縁からの距離が大きくなるように、配置するようにしたことを特徴とする液晶パネルの製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の液晶パネルの製造方法において、
前記枠状のシール材に囲まれた領域に配置される液晶は、前記枠状の対角線に対して、該対角線に両端部を除いて重なるクロス形状であることを特徴とする液晶パネルの製造方法。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の液晶パネルの製造方法において、
前記対角線上の位置に吐出する液晶の配置密度が、他の位置に吐出する液晶の配置密度よりも高くなるように、液晶を配置するようにしたことを特徴とする液晶パネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−142667(P2008−142667A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−335026(P2006−335026)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】