説明

含チオフェン基重合体およびその製造方法

【課題】高ホール輸送性と高耐久性を共に有する光電変換素子用、優れた発光特性と高耐久性の発光素子用、および、薄膜トランジスタの活性層用高分子材料として有用な重合体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】下記一般式(I)で表される構成単位を有する含チオフェン基重合体。


(上記一般式(I)中、Ar1〜Ar4はそれぞれ独立して、置換または無置換の芳香族炭化水素もしくは置換または無置換の芳香族複素環の二価基を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は側鎖にチオフェン基を有する重合体およびその製造方法に関し、光電変換素子、薄膜トランジスタ素子、発光素子など種々の有機エレクトロニクス用素材として有用なπ共役重合体に関する。
【背景技術】
【0002】
有機材料の発光特性や電荷輸送特性を利用して、光電変換素子、薄膜トランジスタ素子、発光素子など種々の機能素子が提案されている。これらの有機材料を用いた素子により、軽量、安価、低製造コスト、フレキシブル等の有機材料を最大限に利用した素子の提供が期待される。
これら機能素子のなかで、光電変換素子とりわけ太陽電池および電子写真感光体用ホール輸送材として、低分子系材料および高分子系材料の様々な材料が報告されている。前者の低分子系材料においてはさらなる高効率化が求められており、また後者の高分子系材料においてはプリントの高速化ならびに耐久性が求められている。
【0003】
また発光素子用の材料として、低分子系材料の種々の積層構造体が採用されている。この低分子系材料における積層構造体は高効率化され、またコントロールされたドーピング法により耐久性の向上がされた報告がなされている。しかし、低分子系の集合体において、長時間経時した膜の状態の変化が生じることが報告され、膜の安定性において問題点がある。
一方、高分子系材料において、従来、主にPPV(poly-p-phenylenevinylene)系列やpoly-thiophene等について検討が行われてきた。しかしながら、これらの材料系は純度を上げることが困難であり、また本質的に蛍光量子収率が低いという問題点がある。よって高性能な発光素子は得られていないのが現状である。高分子系材料は、通常、ガラス状態が安定であると考えられ、高分子系材料において高蛍光量子効率を付与することができれば優れた発光素子の構築が可能となると考えられる。このため、この分野でさらなる改良が行われている。たとえば繰り返し単位としてアリールアミンユニットを含む高分子系材料を用いた発光素子の発明を挙げることができる(特許文献1〜4および非特許文献1参照)。
【0004】
また有機薄膜トランジスタ素子に、低分子系および高分子系の様々な材料を用いることが報告されている。例えば低分子系材料ではペンタセン、フタロシアニン、フラーレン、アントラジチオフェン、チオフェンオリゴマー、ビスジチエノチオフェンなどが挙げられる。また高分子系材料ではポリチオフェン、ポリチエニレンビニレンまた繰り返し単位としてアリールアミンユニットを含む高分子材料が挙げられる(たとえば特許文献5)。
上記した特許文献5は本発明者らが先に提案した発明である。この文献ではアリールアミンユニットを有する高分子材料などで示される高分子系材料において、有機エレクトロニクス用素材における特性値である移動度の向上は目覚しい。有機エレクトロニクス用素材、とりわけ有機FET素子への応用を考慮すると、さらなる高移動度の素材が望まれている。
また、安価に製造でき、充分な柔軟性と強度を有し、かつ軽量であること、大面積化が可能である有機材料を用いた素子の最大の特徴を活かすため、有機溶剤に対する充分な溶解性を有することが必要である。一般的に共役が伸張された構造のπ共役重合体では、構造が剛直であり、このため溶解性に乏しい。上記従来公知の重合体でも溶解性に乏しい高分子系材料が多く、これを回避すべく様々な分子設計の試行錯誤がされているのが現状である。
【特許文献1】米国特許第5777070号明細書
【特許文献2】特開平10−310635号公報
【特許文献3】特開平8−157575号公報
【特許文献4】特表2002−515078号公報
【特許文献5】特開2005−240001号公報
【非特許文献1】Synth.Met.,84,269(1997)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、高ホール輸送性と高耐久性を共に有する光電変換素子用の重合体、優れた発光特性と高耐久性の発光素子用の重合体、また、薄膜トランジスタの活性層用高分子材料として有用な重合体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の構成単位を含有する重合体により上記課題が解決されることを見出し、本発明に到った。
即ち、本発明は以下の(1)〜(6)である。
(1)下記一般式(I)で表される構成単位を含有する含チオフェン基重合体。
【0007】
【化1】

【0008】
(上記一般式(I)中、Ar1〜Ar4はそれぞれ独立して、置換または無置換の芳香族炭化水素もしくは置換または無置換の芳香族複素環を含む二価基を表す。Rは、ハロゲン原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルコキシ基、及び置換又は無置換のアルキルチオ基からなる群より選択される基であり、xは1以上3以下の整数を表す。Rは、水素原子、置換または無置換のアルキル基、もしくは置換または無置換の芳香族炭化水素基を表す。)
(2)前記一般式(I)で表される構成単位が下記一般式(II)で表される構成単位であることを特徴とする前記(1)に記載の含チオフェン基重合体。
【0009】
【化2】

【0010】
(上記一般式(II)中、Ar1、Ar、R、Rおよびxは前記一般式(I)と同じ意味であり、RおよびRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルコキシ基、及び置換又は無置換のアルキルチオ基からなる群より選択される基であり、yおよびzはそれぞれ独立して、1以上4以下の整数を表し、yまたはzが2以上の場合、各RおよびRはそれぞれ独立に、同一でも異なっていてもよい。)
(3)前記一般式(II)で表される構成単位が下記一般式(III)で表される構成単位であることを特徴とする前記(2)に記載の含チオフェン基重合体。
【0011】
【化3】

【0012】
(上記一般式(III)中、Rは、ハロゲン原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルコキシ基、及び置換又は無置換のアルキルチオ基からなる群より選択される基であり、uは1以上4以下の整数を表し、uが2以上の場合、Rはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
(4)少なくとも一つの前記R1基は5位に結合していることを特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の含チオフェン基重合体。
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の重合体の製造方法であって、下記一般式(IV)で表されるジアルデヒド化合物と下記一般式(V)で表されるジホスホン酸エステル化合物とを反応させることを特徴とする含チオフェン基重合体の製造方法。
【0013】
【化4】

【0014】
(前記一般式(IV)中、Ar2〜Ar4、Rおよびxは前記一般式(I)と同じ意味である。)
【化5】

【0015】
(前記一般式(V)中、Ar1およびRは前記一般式(I)と同じ意味であり、R’はアルキル基を表し、各R’は同一でも異なっていてもよい。)
(6)前記一般式(IV)で表されるジアルデヒド化合物において、少なくとも一つの前記R1は5位に結合していることを特徴とする前記(5)に記載の含チオフェン基重合体の製造方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明の重合体は、高いホール輸送性を有すると共に耐久性に優れた光電変換素子用の高分子材料として、優れた発光特性を有すると共に耐久性に優れた発光素子用の高分子材料として、また薄膜トランジスタの活性層用高分子材料として、特に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明の含チオフェン基重合体は、下記一般式(I)で表される構成単位を有する。
【0018】
【化6】

【0019】
上記一般式(I)中、Ar1〜Ar4はそれぞれ独立して、置換または無置換の芳香族炭化水素もしくは置換または無置換の芳香族複素環の二価基を表す。Rは、ハロゲン原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルコキシ基、及び置換又は無置換のアルキルチオ基からなる群より選択される基であり、xは1以上3以下の整数を表す。Rは、水素原子、置換または無置換のアルキル基、もしくは置換または無置換の芳香族炭化水素基を表す。
【0020】
前記一般式(I)のAr1〜Ar4における置換もしくは無置換の芳香族炭化水素を含む二価基としては単環基、多環基(縮合多環基、非縮合多環基)のいずれでもよく、芳香族炭化水素の二価基として以下のものを挙げることができる。例えばフェニレン基、ナフチレン基、アントラセニル基、ピレニレン基、フルオレニレン基、アズレニレン基、アントリレン基、トリフェニレニレン基、クリセニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基どの二価の基、ジフェニルエーテル基、ポリエチレンジフェニルエーテル基、ジフェニルチオエーテル基及びジフェニルスルホン基等の単環式炭化水素化合物の二価基、あるいはビフェニレン基、ターフェニレン基などの単環を複数有するポリフェニレン基、ジフェニルアルキル基、ジフェニルアルケン基、ジフェニルアルキン基、トリフェニルメチル基、ジフェニルスチリル基、ジスチリルフェニル基、ジスチリルベンジル基、1,1−ジフェニルシクロアルキル基、ポリフェニルアルキル基、及びポリフェニルアルケン基、ポリフェニルアルキン基等の非縮合多環式炭化水素化合物の二価基、あるいは9,9−ジフェニルフルオレン等の環集合炭化水素化合物の2価基が挙げられる。
【0021】
芳香族複素環を含む二価基としては、好ましくは環を形成する炭素数が18個以下のもの、例えば、ペンタニレン基、インデニレン基、ナフチレン基、アズレニレン基、ヘプタニレン基、as−インダセニレン基、s−インダセニレン基、フルオレニレン基、アセナフチニレン基、プレイアデニレン基、アセナフテニレン基、フェナレニレン基、フェナントリレン基、アントリレン基、フルオランテニレン基、アセフェナントリレニレン基、アセアントリレニレン基、トリフェニレニレン基、ピレニレン基、クリセニレン基、及びナフタセニレン基、およびチオフェン、ベンゾチオフェン、ジチエニルベンゼン、フラン、ベンゾフラン、カルバゾール、オキサジアゾール基(ジフェニルオキサジアゾール基を含む)等の二価の基が挙げられる。
【0022】
前記した芳香族炭化水素または芳香族複素環の二価基が置換基を有する場合、その置換基としては、例えば以下に示す置換基を挙げることができる。
(1)ハロゲン原子(F、Cl、Br、Iなど)、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、スルフィド(−SH)、スルフォン基など。
(2)炭素数1〜25の無置換もしくは置換のアルキル基、アルコキシ基(アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基(n−プロピル基、iso−プロピル基)、ブチル基(n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基)、ペンチル基(n−ペンチル基、iso−ペンチル基、tert−ペンチル基など)、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などの炭素数1〜25の分岐していてもよいアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの脂環式アルキル基等が挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、トリフルオロメトキシ基等などの炭素数1〜25の脂肪族アルコキシ基、炭素数1〜25のベンジルオキシ基などの芳香族アルコキシ基が挙げられる。)。
(3)アリールオキシ基(アリール基としてフェニル基、ナフチル基を有するアリールオキシ基が挙げられる。これは、炭素数1〜25の無置換もしくは置換のアルキル基、炭素数1〜25の無置換もしくは置換のアルコキシ基、又はハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2 −ナフチルオキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4 −クロロフェノキシ基、6−メチル−2 −ナフチルオキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。)。
(4)アルキルチオ基又はアリールチオ基(具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。)。
(5)アルキル置換アミノ基(具体的には、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(p−トリル)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ユロリジル基等が挙げられる。)。
(6)アシル基(アシル基としては、具体的にはアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、マロニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。)。
また、上記の芳香族炭化水素基および芳香族複素環基は前記した(1)〜(6)に示す置換基を有していてもよい。
【0023】
また前記一般式(I)において、Rは、ハロゲン原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルコキシ基、及び置換又は無置換のアルキルチオ基からなる群より選択される基であり、xは1以上3以下の整数を表す。このようなRが、ハロゲン原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルコキシ基である場合の例としては、前記したArなどの置換基の項で説明したので、説明を省略する。
【0024】
また前記一般式(I)において、Rの一価基は、水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換の芳香族炭化水素基からなる群より選択される基である。前記の置換または無置換のアルキル基としては、Rの置換基の項で説明したのと同様な置換基が挙げられる。
置換または無置換の芳香族炭化水素基の例としては、たとえばフェニル基、ナフチル基、ピレニル基、フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などの1価の基、ジフェニルエーテル基、ポリエチレンジフェニルエーテル基、ジフェニルチオエーテル基及びジフェニルスルホン基等の単環式炭化水素化合物の1価基、あるいはビフェニル基、ターフェニル基などの単環を複数有するポリフェニル基、ジフェニルアルキル基、ジフェニルアルケン基、ジフェニルアルキン基、トリフェニルメチル基、ジスチリルフェニル基、ジスチリルベンジル基、1,1−ジフェニルシクロアルキル基、ポリフェニルアルキル基、及びポリフェニルアルケン基、ポリフェニルアルキン基等の非縮合多環式炭化水素化合物の1価基、あるいは9,9−ジフェニルフルオレン等の環集合炭化水素化合物の一価基が挙げられる。
【0025】
さらに芳香族炭化水素の1価基としては、好ましくは環を形成する炭素数が18個以下のもの、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ヘプタニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、及びナフタセニル基、およびチオフェン、ベンゾチオフェン、ジチエニルベンゼン、フラン、ベンゾフラン、カルバゾール等の1価の基を挙げることができる。
【0026】
このような一般式(I)で表される構成単位を有する重合体は、好ましくは、Arは−φ(R−であり、Ar4は−φ(R−で表される2価のフェニル基であることが好ましい。このような構成単位を直接表すと下記(II)で表される構成単位となる。
ただしφは置換基を有する2価のフェニレン基であり、Ar〜Arにおいて、RおよびRは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルコキシ基、及び置換又は無置換のアルキルチオ基からなる群より選択される基であり、yおよびzはそれぞれ独立に1以上4以下の整数を表し、yまたはzが2以上の場合、各基RおよびRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0027】
【化7】

【0028】
これら置換基Ar1、Ar2およびR〜Rが、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基などのより具体的な説明は、前記したのと同様であるので説明を省略する。またこれらに有していてもよい置換基についても前記した置換基と同様であるので説明を省略する。
【0029】
特に前記一般式(I)または(II)で表される構成単位において、前記Ar2の2価基が下記一般式(2)で表される基(置換基を有してもよいフェニレン基:−φ(R−)である化合物(III)であることが好ましい。
【0030】
【化8】

【0031】
【化9】

【0032】
上記一般式(2)中、Rは、ハロゲン原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルコキシ基、及び置換又は無置換のアルキルチオ基からなる群より選択される基であり、uは1以上4以下の整数を表し、uが2以上の場合、2以上のRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。Rについても、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基及びアルキルチオ基などの基は前記したのと同様の基であるので説明を省略する。またこれらに有していてもよい置換基についても前記した置換基と同様であるので説明を省略する。
【0033】
本発明の(I)、(II)およびこれらのAr2の2価基が一般式(2)、具体的には(III)で表される構成単位を有する重合体は、上述のように芳香環上に置換基を有するこができ、有機溶媒への溶解性向上の観点からアルキル基やアルコキシ基、アルキルチオ基などの置換基を有しているほうがより好ましい。これら置換基の炭素数が増加すれば溶解性はより向上するが、その反面、電荷輸送性等の特性は一般に低下してしまうため、溶解性が損なわれない範囲で所望の特性が得られるように置換基を選択することが好ましい。その場合の好適な置換基の例として、炭素数が1〜25のアルキル基、アルコキシ基及びアルキルチオ基が挙げられる。更に好適には、炭素数が2〜18のアルキル基、アルコキシ基及びアルキルチオ基が挙げられる。これら置換基は同一の基を複数導入してもよいし、異なる基を複数導入してもよい。また、これらのアルキル基、アルコキシ基及びアルキルチオ基はさらにハロゲン原子、シアノ基、フェニル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基または炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖もしくは環状のアルキル基やアルコキシ基、アルキルチオ基で置換されたフェニル基を含有していてもよい。
【0034】
また本発明の重合体は、前記一般式(I)、(II)または(III)で表される重合単位を有する重合体において、少なくとも一つのR1基は5位に結合している構成単位を有することが好ましい。
特に前記一般式(I)、(II)または(III)で表される重合単位を有する重合体において、少なくとも一つのR1基は5位に結合していることが好ましい。
【0035】
本発明の重合体は、アルキル基やアルコキシ基、アルキルチオ基を有することにより、溶媒への溶解性が向上する。これらの材質において溶解性を向上させることは、光電変換素子、薄膜トランジスタ素子、発光素子など製造の際、湿式成膜過程を含む製造においてその許容範囲が大きくなることから重要である。例えば湿式成膜の際に使用される塗工液において用いられる塗工溶媒の選択肢を拡大したり、溶液調製時における温度範囲を拡大したり、塗工液塗布後の乾燥時における温度と圧力範囲とが拡大することとなる。これらのプロセッシビリティー(Processibility)を高めることにより、高純度で均一性の高い高品質な薄膜が得られる。
【0036】
次に本発明の一般式(I)で表される構成単位を有する重合体の製造法について説明する。
本発明の重合体の製造方法は、アルデヒドとホスホネートを用いたWittig−Horner反応、アルデヒドとホスホニウム塩を用いたWittig反応、ビニル置換体とハロゲン化物を用いたHeck反応、あるいはアミンとハロゲン化物を用いたUllmann反応などを利用して製造することができる。特にWittig−Horner反応およびWittig反応は、反応操作の簡便さから有効である。
【0037】
本発明の重合体の製造方法は、例えばWittig−Horner反応を利用することができる。このようなWittig−Horner反応を利用した本発明の重合体の製造方法について、以下に説明する。
本発明における重合体は、一般的には以下に記載するスキーム1で示されるようにホスホン酸エステル化合物およびアルデヒド化合物(ジホスホン酸エステル化合物とジアルデヒド化合物)とを、化学量論的に略等しく存在する溶液とし、その2倍モル量以上の塩基の存在下に重合反応を進行させることができる。また、複数種のホスホン酸エステル化合物あるいはアルデヒド化合物を反応系内に添加することにより、ランダム共重合体を得ることもでき、このような手法を利用することにより、適宜、得られる重合体の諸特性を調整することも可能である。
【0038】
【化10】

【0039】
本発明で用いられる前記一般式(IV)’ で表されるジアルデヒド化合物は、下記式(IV)の1例を挙げたものであり、一般式(V)’で表されるジホスホン酸エステル化合物は、下記式(V)の1例を挙げたものである。
【0040】
【化11】

【0041】
前記一般式(IV)中、Ar2〜Ar4、Rおよびxは前記一般式(I)と同じ意味である。
また前記一般式(V)中、Ar1およびRは前記一般式(I)と同じ意味であり、R’は炭素数1〜50のアルキル基を表し、各R’は同一でも異なっていてもよい。
一般式(V)で表されるジホスホン酸エステル化合物の具体的な例としては、下記式(V-1)〜(V-13)で表される化合物を挙げることができる。
【0042】

【化12】

【0043】
上記スキーム1に示す反応に使用される塩基はホスホネートカルボアニオン(=C-―PO(OR))が形成されるものであれば特に限定されず、塩基としては、金属アルコシド、金属ヒドリド、有機リチウム化合物等が挙げられ、例えばカリウムt−ブトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、リチウムt−ブトキシド、カリウム2−メチル−2−ブトキシド、ナトリウム2−メチル−2−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、カリウムメトキシド、水素化ナトリウム、水素化カリウム、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、フェニルリチウム、リチウムナフチリド、リチウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド等を挙げることができる。
【0044】
反応に用いる塩基の量は、通常、ジホスホン酸エステル化合物の重合活性点に対して同量使用するが、塩基の量は過剰量用いてもよい。
【0045】
上記した塩基は固形状態や懸濁溶液の状態で反応系内に添加してもよい。得られる重合体の均質性が良好になる為に、特に均一溶液として添加するのが好ましい。均一溶液として用いられる溶媒としては、使用する塩基と安定な溶液を形成する溶媒を選択する。たとえばこのような塩基として、溶解度が高い塩基を選択し、この塩基は反応系で生成する高分子量化合物が反応溶媒に対する溶解性を損ねない(たとえば塩析などの効果の少ない)ものがよい。さらに前記した溶媒は、生成する高分子量化合物が良好に溶解する溶媒を選択するのがよく、用いる塩基と製造される高分子化合物の特性に応じて、一般に知られているアルコール系、エーテル系、アミン系、炭化水素系溶媒等から任意に選択される溶媒が挙げられる。
【0046】
塩基とそれを均一に溶解する溶媒の組み合わせとしては、例えばナトリウムメトキシドのメタノール溶液、ナトリウムエトキシドのエタノール溶液、カリウムt−ブトキシドの2−プロパノール溶液、カリウムt−ブトキシドの2−メチル−2−プロパノール溶液、カリウムt−ブトキシドのテトラヒドロフラン溶液、カリウムt−ブトキシドのジオキサン溶液、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液、メチルリチウムのエーテル溶液、リチウムt−ブトキシドのテトラヒドロフラン(THF)溶液、リチウムジイソプロピルアミドのシクロヘキサン溶液、カリウムビストリメチルシリルアミドのトルエン溶液等が挙げられ、これら種々の組み合わせの塩基−溶媒は、市販品として入手可能なものを選択することができる。温和な反応条件、取り扱いの容易さの観点から、好ましくは金属アルコキシドとアルコール系の塩基溶液、エーテル系、THF系などが挙げられ、生成する重合体の溶解性、取り扱いの容易さ、反応の効率性、生成する重合体の溶解性等の観点からより好ましくは金属t−ブトキシドのエーテル系、THF系、さらに好ましくはカリウムt−ブトキシドのテトラヒドロフラン(THF)溶液が挙げられる。
【0047】
上記重合反応はホスホン酸エステル化合物およびアルデヒド化合物(ジホスホン酸エステル化合物およびジアルデヒド化合物)の溶液と塩基溶液との添加の順序(接触方法)は、たとえば、この溶液に塩基溶液を添加してもよく、塩基溶液にホスホン酸エステル化合物およびアルデヒド化合物の溶液を加えてもよく、同時に反応系に加えてもよく、添加の順序に制約されない。
重合反応に要する重合時間は、用いられるモノマーの反応性、または重合体の分子量等に応じて適宜設定すればよく、たとえば0.2時間〜30時間が好ましい。
【0048】
上記重合反応時の反応温度は特に制御等はする必要はなく、室温(たとえば0〜30℃)において良好に重合反応が進行する。反応効率をより上げるために加熱したり、また、より温和な条件下に反応するように、冷却することも可能である。
【0049】
また上記した重合反応において、分子量を調節するために、分子量調節剤または末端修飾基として重合体の末端を封止あるいは修飾するための封止剤または停止剤を反応開始時、反応途中または反応後に添加することも可能である。従って、本発明のπ共役重合体には、その片末端または両末端に停止剤に基づく置換基が結合されていてもよい。
【0050】
本発明の重合体の好ましい分子量は数平均分子量(ポリスチレン換算)で、1000 〜1,000,000であり、より好ましくは2000〜500,000である。分子量が1000よりも小さすぎる場合にはクラックの発生等、成膜性が悪化し実用性に乏しくなる。また分子量が1,000,000よりも大きすぎると、有機溶媒への溶解性が悪くなったり、溶液の粘度が高くなって塗工などの加工特性等が困難になり、実用上、問題になる。
【0051】
また、機械的特性を改良するため、重合時などに分岐化剤を少量加えることもできる。使用される分岐化剤は、重合反応活性基を3つ以上(同種でも異種でもよい)有する化合物を挙げることができる。これらの分岐化剤は単独で使用してもよく、また複数併用してもよい。
【0052】
以上のようにして得られた重合体は、重合に使用した塩基、未反応モノマー、末端停止剤、又、重合中に生じた無機塩等の不純物を除去した後に使用される。これら精製操作はデカンテーション、再沈澱、カラムクロマト法、吸着法、ソックスレー抽出などを含む抽出、限外濾過、透析等など、従来公知の精製方法を使用できる。
【0053】
上記したような製造方法により得られた本発明の重合体は、スピンコート法、キャスト法、ディップ法、インクジェット法、ドクターブレード法、スクリーン印刷法、ディスペンス法等の公知の成膜方法により、クラックがなく、強度、靭性、耐久性等に優れた良好な薄膜を作製することが可能である。得られた薄膜を用いて、光電変換素子、薄膜トランジスタ素子、発光素子など種々の機能素子用材料として好適に用いることができる。
【実施例】
【0054】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
【0055】
【化13】

【0056】
〔実施例1〕
窒素ガスで置換した50mlフラスコ中に、上式(IV-1)で表されるジアルデヒド化合物0.662g(1.417mmol)、前記した(V−5)で示されるジホスホネート化合物0.880g(1.417mmol)とを脱水テトラヒドロフラン20mlに溶解し、カリウムt−ブトキシドの1.0moldm-3テトラヒドロフラン溶液4.2mlを室温下に徐々に滴下して加えた。滴下後室温で4.5時間撹拌した後、ベンズアルデヒド23mgを加え1.5時間攪拌し、ついで、ベンジルホスホン酸ジエチル45mgを加え1.5時間攪拌した後、酢酸で中和した。中和した内容物を水に滴下して粗ポリマーを得た。これをテトラヒドロフラン/メタノール、次いで、テトラヒドロフラン/アセトンで再沈させて精製をおこなった後、塩化メチレンに溶解し、イオン交換水でその洗浄液の導電率がイオン交換水と同等になるまで洗浄を繰り返した。洗浄後、メタノール中に滴下してオレンジ色の下式で示される本発明の重合体−1を0.33g得た。
【0057】
【化14】

【0058】
この重合体−1の元素分析値(%)は以下のとおりである。
ただし、実測値(計算値)として表す。
C:81.03(81.28) H:8.09(7.93) N:1.99(1.93) S:4.27(4.43)
またこの重合体−1のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)により測定したポリスチレン換算の数平均分子量は18,900であり、重量平均分子量は69,000であった。
この重合体−1の赤外吸収スペクトル(NaClキャスト膜により測定)を図1に示す。
【0059】
〔実施例2〕
窒素ガスで置換した50mlフラスコ中に、上式(IV-1)で表されるジアルデヒド化合物0.862g(1.843mmol)と、前記した(V−9)で示されるジホスホネート化合物1.170g(1.843mmol)とを脱水テトラヒドロフラン20mlに溶解し、カリウムt−ブトキシドの1.0mol・dm-3テトラヒドロフラン溶液5.6mlを室温下に徐々に滴下して加えた。滴下後室温で4.5時間撹拌した後、ベンズアルデヒド30mgを加え1.5時間攪拌し、次いで、ベンジルホスホン酸ジエチル59mgを加え1.5時間攪拌した後、酢酸で中和した。中和された内容物を水に滴下して粗ポリマーを得た。この粗ポリマーをテトラヒドロフラン/メタノール、次いで、テトラヒドロフラン/アセトンで再沈による精製をおこなった後、塩化メチレンに溶解し、イオン交換水でその洗浄液の導電率がイオン交換水と同等になるまで洗浄を繰り返した。洗浄後、メタノール中に滴下して黄色の下式で示される本発明の重合体−2、0.91gを得た。
【0060】
【化15】

【0061】
得られた重合体−2の元素分析値は以下のとおりであった。
元素分析値(%)実測値(計算値)
C:86.27(86.20) H:7.85(8.00) N:1.73(1.76) S:4.01(4.04)
重合体−2のGPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量は14,500、重量平均分子量は52,900であった。
重合体−2の赤外吸収スペクトル(NaClキャスト膜)を図2に示す。
【0062】
〔実施例3〕
窒素ガスで置換した50mlフラスコ中に、上式(IV-1)で表されるジアルデヒド化合物0.766g(1.637mmol)と、前記した(V−13)で示されるジホスホネート化合物0.767g(1.637mmol)とを脱水テトラヒドロフラン20mlに溶解し、カリウムt−ブトキシドの1.0mol・dm-3(1.0M)テトラヒドロフラン溶液5.0mlを室温下で徐々に滴下して加えた。滴下後室温で3時間撹拌した後、ベンズアルデヒド27mgを加え1.5時間攪拌し、次いで、ベンジルホスホン酸ジエチル52mgを加え1.5時間攪拌した後、酢酸で中和した。中和された内容物を水に滴下して粗ポリマーを得た。これをクロロホルム溶液としてシリカゲルカラムにて処理した後、このポリマー溶液をイオン交換水でその洗浄液の導電率がイオン交換水と同等になるまで洗浄を繰り返した。洗浄後、この洗浄物をメタノール中に滴下してオレンジ色の下式で示される本発明の重合体−3、0.35gを得た。
【0063】
【化16】

【0064】
得られた重合体−3の元素分析値は以下のとおりであった。
元素分析値(%)実測値(計算値)
C:80.02(80.34) H:6.98(7.22) N:2.12(2.23) S:10.05(10.21)
重合体−3のGPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量は2,800、重量平均分子量は4,800であった。
また重合体−3の赤外吸収スペクトル(NaClキャスト膜)を図3に示す。
【0065】
〔応用例1〕
Al電極が蒸着されたPET(ポリエチレンテレフタレート)基板上に、実施例1で得られた重合体−1の20wt%のテトラヒドロフラン溶液をブレード塗工し、膜厚16.2μmの薄膜を形成した。この薄膜の半導体フィルム上にさらに金電極を蒸着し、サンドイッチセルを作製した。このセルを用いて、タイムオブフライト法(TOF法)により有機半導体材料のキャリア移動度を測定したところ、2.46E+5 V/cm(2.46×10V/cm)の電界強度において2.22E−3 cmV−1s−1(2.22×10−3 cmV−1s−1)の高いキャリア移動度が観測された。
【0066】
〔応用例2〕
p−ドープされてゲートとして作用するシリコン基板表面を熱酸化してSiOの絶縁層を200nm形成した後、酸化膜を片面だけ除去し、除去した面にAlを蒸着してゲート電極とした。次に該SiOの絶縁層上に、実施例1で得られた重合体1の約1.0wt%のテトラヒドロフラン溶液をスピンコートして乾燥することにより有機半導体層を作製した。引き続きチャネル長30μm、チャネル幅10mmとなるようにソース・ドレイン電極のAu膜を蒸着した。
【0067】
また、以下の式を用いて有機半導体の電界効果移動度を算出した。
Ids=μCinW(Vg−Vth)/2L
ただし上式において、Cinはゲート絶縁膜の単位面積あたりのキャパシタンスであり、Wはチャネル幅であり、Lはチャネル長であり、Vgはゲート電圧であり、Idsはソース−ドレイン電流であり、μは移動度であり、Vthはチャネルが形成し始めるゲートの閾値電圧である。
上式を用いて移動度μを求めたところ、作製したTFTの移動度は6.4×10−5(cm/Vsec)であった。
またオン/オフ比(Vds=−20V、Vg=−40VにおけるIdsと、Vds=−20V、Vg=+20〜−40Vの範囲内で観測された最小のIdsとの比)は1.4×10であり、閾値電圧は−14.00Vであった。
【0068】
〔応用例3〕
p−ドープされてゲートとして作用するシリコン基板表面を熱酸化してSiOの絶縁層を200nm形成した後、酸化膜を片面だけ除去し、除去した面にAlを蒸着してゲート電極とした。次に該SiOの絶縁層上に、実施例2で得られた重合体2の約1.0wt%のテトラヒドロフラン溶液をスピンコートして乾燥することにより有機半導体層を作製した。引き続きチャネル長30μm、チャネル幅10mmとなるようにソース・ドレイン電極のAu膜を蒸着した。
【0069】
応用例2と同様にして電界効果移動度、オン/オフ比および閾値電圧を求めたところ、作製したTFTの移動度は7.6×10−5(cm/Vsec)であり、オン/オフ比は1.1×10であり、閾値電圧は、−8.70Vであった。
【0070】
〔応用例4〕
p−ドープされてゲートとして作用するシリコン基板表面を熱酸化してSiOの絶縁層を200nm形成した後、酸化膜を片面だけ除去し、除去した面にAlを蒸着してゲート電極とした。次にSiOの絶縁層上に、実施例3で得られた重合体3の約1.0wt%のテトラヒドロフラン溶液をスピンコートして乾燥することにより有機半導体層を作製した。引き続きチャネル長30μm、チャネル幅10mmとなるようにソース・ドレイン電極のAu膜を蒸着した。
【0071】
応用例2と同様にして電界効果移動度、オン/オフ比および閾値電圧を求めたところ、作製したTFTの移動度は1.7×10−5(cm/Vsec)であり、オン/オフ比は1.9×10であり、閾値電圧は、−1.43Vであった。
【0072】
本発明の重合体は、高いホール輸送性を有すると共に耐久性に優れた光電変換素子用の高分子材料として、優れた発光特性を有すると共に耐久性に優れた発光素子用の高分子材料として、また薄膜トランジスタの活性層用高分子材料として、特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】実施例1で得られた重合体−1の赤外吸収スペクトル(NaClキャスト膜)であり、横軸は波数(cm−1)を表し、縦軸は透過度(%T:transmittance%)を表す。
【図2】実施例2で得られた重合体−2の赤外吸収スペクトル(NaClキャスト膜)であり、横軸は波数(cm−1)を表し、縦軸は透過度(%T:transmittance%)を表す。
【図3】実施例3で得られた重合体−3の赤外吸収スペクトル(NaClキャスト膜)であり、横軸は波数(cm−1)を表し、縦軸は透過度(%T:transmittance%)を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表される構成単位を有する含チオフェン基重合体。
【化1】


(上記一般式(I)中、Ar1〜Ar4はそれぞれ独立して、置換または無置換の芳香族炭化水素もしくは置換または無置換の芳香族複素環を含む二価基を表す。Rは、ハロゲン原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルコキシ基、及び置換又は無置換のアルキルチオ基からなる群より選択される基であり、xは1以上3以下の整数を表す。Rは、水素原子、置換または無置換のアルキル基、もしくは置換または無置換の芳香族炭化水素基を表す。)
【請求項2】
前記一般式(I)で表される構成単位が下記一般式(II)で表される構成単位であることを特徴とする請求項1に記載の含チオフェン基重合体。
【化2】


(上記一般式(II)中、Ar1、Ar、R、Rおよびxは前記一般式(I)と同じ意味であり、RおよびRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルコキシ基、及び置換又は無置換のアルキルチオ基からなる群より選択される基であり、yおよびzはそれぞれ独立して、1以上4以下の整数を表し、yまたはzが2以上の場合、各RおよびRはそれぞれ独立に、同一でも異なっていてもよい。)
【請求項3】
前記一般式(II)で表される構成単位が下記一般式(III)で表される構成単位であることを特徴とする請求項2に記載の含チオフェン基重合体。
【化3】


(上記一般式(III)中、Rは、ハロゲン原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルコキシ基、及び置換又は無置換のアルキルチオ基からなる群より選択される基であり、uは1以上4以下の整数を表し、uが2以上の場合、基Rはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
【請求項4】
少なくとも一つの前記R1基は5位に結合していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の含チオフェン基重合体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の含チオフェン基重合体の製造方法であって、下記一般式(IV)で表されるジアルデヒド化合物と下記一般式(V)で表されるジホスホン酸エステル化合物とを反応させることを特徴とする含チオフェン基重合体の製造方法。
【化4】


(前記一般式(IV)中、Ar2〜Ar4、Rおよびxは前記一般式(I)と同じ意味である。)
【化5】


(前記一般式(V)中、Ar1およびRは前記一般式(I)と同じ意味であり、R’はアルキル基を表し、各R’は同一でも異なっていてもよい。)
【請求項6】
前記一般式(IV)で表されるジアルデヒド化合物において、少なくとも一つの前記R1は5位に結合していることを特徴とする請求項5に記載の含チオフェン基重合体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−1601(P2009−1601A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−160965(P2007−160965)
【出願日】平成19年6月19日(2007.6.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】