説明

吸入装置

医薬を吸入によって送達するための吸入器は、キャニスタ(305)と、前記キャニスタを受けるためのハウジング(311)を有する作動装置と、前記キャニスタ(305)を作動させるための作動機構(309)とを備える。前記作動機構(309)は、装填部材(361)を備え、前記装填部材(361)は、前記キャニスタ本体(323)の前記頭部に嵌められ、装填部分(375)を備え、前記装填部分(375)は、使用時に作用を受けて、前記装填部材(361)を、休止位置から、医薬を送達するために前記キャニスタ(305)が作動される作動位置へと駆動する。前記作動機構はさらに、少なくとも1つの作動部材(363a、b)を備え、作動部材は、前記装填部材(361)を前記作動方向において前記作動位置へと駆動するために、使用者が作動させることができる。前記少なくとも1つの作動部材(363a、b)は、前記ハウジング(311)に枢動式に結合され、把持要素(377)を備え、前記把持装置は、前記キャニスタ(305)を作動させる際に、使用者によって把持および押下されるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸入によって医薬を投与するための吸入器用の作動装置、およびそれを備える吸入器に関する。本発明は、特に、加圧式定量噴霧式吸入器(pMDI)用の作動装置に関するが、それに限定されない。
【背景技術】
【0002】
pMDIは、吸入装置業界でよく知られている。したがって、pMDIの構造および動作については、必要最低限以外は説明しなくてよい。
【0003】
pMDIは、キャニスタおよび作動装置ハウジングを備える。ハウジングは、必須ではないが一般に管状であり、一般に、たとえば成形によって、プラスチック材料で製作される。キャニスタは、アルミニウムなど金属で通常製作される、1つの開端部を有するキャニスタを含む。キャニスタの開端部は、計量弁アセンブリによって封止して覆われる。弁アセンブリは、通常、キャニスタの出口または作業端部から突出する、中空の分配部材または弁棒を備える。分配部材は、通常戻しばねである弁アセンブリ内の付勢機構により分配部材がそこへと付勢される拡張位置と、押下位置との間で、キャニスタに対して相対的に摺動運動するように取り付けられる。
【0004】
使用に際しては、封止されたキャニスタは、加圧された医薬用エアゾール製剤を収容する。製剤は、医薬および流体噴射剤、ならびに、任意で1つまたは複数の賦形剤および/または補助剤を含む。医薬は通常、製剤中の、溶液または懸濁液中にある。噴射剤は通常、無フロン噴射剤であり、液体噴射剤が適しており、たとえば、HFA−134a、またはHFA−227とすることができる。
【0005】
分配部材が拡張位置から押下位置へと運動することによって、1回の定量投与分のエアゾール製剤が、分配部材を通してキャニスタから分配される。通常、計量弁アセンブリは、規定の体積の計量チャンバを備える。分配部材の拡張位置にて、キャニスタの内容物が、分配部材を通して計量チャンバと流体連通させられ、それにより計量チャンバが、エアゾール製剤で満たされる。分配部材が押下されると、計量チャンバは、キャニスタの内部空間から隔離され、分配部材を通して外部環境と流体連通させられる。すなわち、計量チャンバ内の規定の体積のエアゾール製剤が、分配部材を通して外部環境へと分配される。
【0006】
そのような計量弁アセンブリは、当業界でよく知られており、とりわけ、Bespak Plc社(英国、Norfolk、King’s Lynn)、およびValois S.A.S.社(仏国、Le Neubourg)から入手することができる。
【0007】
ハウジングは、通常、開端部を有する内部通路を備える。キャニスタは、まずキャニスタを弁アセンブリ内に挿入した状態で、開端部を通して内部通路内へと摺動させることができる。キャニスタが「休止位置」でハウジング内に受けられるときにキャニスタの分配部材を受ける、ステムブロックは、分配部材を受けるための入口端部と、出口端部とを備える通路を有し、出口端部は、通常マウスピースまたは鼻用ノズルであるハウジングの分配出口と対面する。ステムブロックは、分配部材を固定して保持し、キャニスタをその休止位置へと、またさらにハウジング内へと「作動位置」まで押すことによって、分配部材が、キャニスタに対して相対的に、拡張位置から押下位置へと動かされる。それによって、1回の定量投与分のエアゾール製剤が、ステムブロックの内部通路を通してハウジングの分配出口から分配される。
【0008】
使用に際しては、医薬用エアゾール製剤の1回の定量投与を必要とする患者は、分配出口上で吸息すると同時に、キャニスタを休止位置から作動位置へと押下する。患者が生み出す吸気流は、定量投与分の医薬用エアゾール製剤を、患者の気道内へと引き込まれる。したがって、上記のタイプのpMDIは、呼吸協調(breath−coordinated)型吸入器である。
【0009】
吸入器は、一般に、吸入器が使用されていないときに分配出口を覆う、ダストキャップを備える。ダストキャップは、適用されると、異物がハウジング内に入ることを防ぐ。これによって、たとえば、そうでなければハウジング内に蓄積することがある塵または埃を、使用者が吸入することが防止される。これは、使用者が、異物の吸入による深刻な刺激を生じることがある喘息または別の呼吸状態を患う場合に、特に重要である。
【0010】
pMDIの開発は、作動指示器またはそのための投与計数器の提供を含んでいる。そのような投与計数器は、Glaxo Group Limited社のPCT特許出願WO−A−9856444(米国特許第6,431,168号)、およびWO−A−2004/001664(米国特許出願第10/518,421号)に記載されている。これらの各特許出願および特許の内容全体を、参照により本明細書に組み込むものとする。投与計数器は、キャニスタの弁アセンブリ端部上にしっかりと固定されており、また、表示部を備え、表示部は、キャニスタから分配された、またはその中に残っている、医薬用製剤の定量投与回数を示す。投与計数器は、好ましくは、米国特許出願公開第A2003/0,136,800号、またはWO−A−2004/065224(米国特許出願第10/543,049号)に記載されるように、弁アセンブリ端部上に恒久的に固定される。これらの各特許出願の内容全体を、参照により本明細書に組み込むものとする。患者は、ハウジング内に設けられた窓を通して、投与計数器の表示部を見ることができる。表示部は、共通の軸の周りに回転可能に取り付けられる複数の指示器回転盤とすることができ、各回転盤は、円周上に連続して表示される数字を有する。
【0011】
医薬の送達を容易にするという目的で、多くの作動装置が開発されており、その例が、米国特許第A−3,272,391号、同第A−3,272,392号、同第A−4,678,106号、同第A−5,899,365号、同第A−6,237,812号、およびWO−A−99/49917に開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の一目的は、吸入によって医薬を投与するための、吸入器用の改善された作動装置、およびそれを備える吸入器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一態様では、本発明は、医薬を吸入によって送達するための吸入器を提供する。この吸入器は、キャニスタを備え、キャニスタは、基部および頭部を有し、医薬を収容するチャンバを画成する本体と、本体の頭部から延びる弁棒とを備え、使用時にキャニスタが作動されると弁棒から医薬が送達され、吸入器はさらに、作動装置を備え、作動装置は、キャニスタを受けるハウジングを有する主本体と、キャニスタを作動させるための作動機構とを備え、
作動機構は、装填部材を備え、装填部材は、キャニスタ本体の頭部に嵌り、装填部分を備え、装填部分は、キャニスタの本体の基部から離隔して配置され、使用時に作用を受けて、装填部材を作動方向において、第1の休止位置から、医薬を送達するようにキャニスタが作動される第2の作動位置へと駆動させ、この作動機構はさらに、少なくとも1つの作動部材を備え、この作動部材は、医薬を送達するためにキャニスタを作動させるように、装填部材を作動方向において作動位置へと駆動するために使用者が作動させることができ、
少なくとも1つの作動装置は、ハウジングに対して第1の休止位置から第2の作動位置へと枢動運動するように、ハウジングに枢動式に結合され、第2の作動位置において、装填部材は、医薬を送達するためにキャニスタを作動させるように、作動方向において作動位置へと駆動され、
少なくとも1つの作動装置が、把持要素を備え、把持要素は、ハウジングの長さに沿って延び、キャニスタを作動させる際に使用者によって把持および押下されるように構成される。
【0014】
装填部分は、装填部材の外面上の、少なくとも1つのフランジまたは棚部の形とすることができる。
【0015】
ハウジングは、少なくとも1つの側方開口を備えることができ、その中に、使用者が押下するための少なくとも1つの作動部材が配置される。
【0016】
作動機構は、反対方向に向けられた関係となるように配置された第1および第2の作動部材を備えることができる。
【0017】
主本体は、キャニスタの弁棒を受けるノズルブロックを備えることができる。
【0018】
ハウジングは、出口部材を備えることができ、出口部材を通じて使用者が使用時に吸入する。
【0019】
出口部材はマウスピースとすることができる。
【0020】
本発明の別の態様では、本発明の吸入器の作動装置が提供される。
【0021】
本発明の別の態様および特徴を、添付の特許請求の範囲、ならびに添付の図面の図を参照しながら次に説明する例示的な実施形態において、以下で説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1から図3は、本発明の第1の実施形態による、手持ちの手動操作可能なpMDIタイプの吸入器を示す。図1の画像と図2の画像との間には、様式の相違があることに留意されたい。
【0023】
吸入器は、主本体303を有する作動装置と、主本体303内に嵌め込まれ、吸入器の作動時に送達されるべき医薬を収容するエアゾールキャニスタ305と、吸入器を作動させるために使用者が操作することができる作動機構309とを備える。
【0024】
主本体303は、使用時にキャニスタ305がその中に嵌め込まれるハウジング311と、本実施形態では管状要素である、マウスピース313とを備え、マウスピースは、ハウジング311の一方の、すなわち下方端部と流体連通し、使用時に使用者の唇内で把持される。マウスピース313は、その代わりに、鼻ノズルとして構成することもできる。
【0025】
本実施形態におけるキャニスタ305は、上記で概説したような標準的なタイプのものであり、基部および頭部を備える、たとえばHFA噴射剤など加圧下された無フロン噴射剤中の医薬を収容するチャンバを画成する本体323と、本体323の頭部から延びる弁棒325と、内部計量弁(図示せず)とを備え、内部計量弁は、通常、内部弁ばね(図示せず)によって閉位置へと付勢され、弁棒325がキャニスタ本体323内へと押下されると、キャニスタ305から1回の定量投与分の医薬を送達するために開かれる。
【0026】
ハウジング311は、本実施形態ではキャニスタ305の弁棒325を受けるためにハウジング311の基底面上に配置された、ノズルブロック333を備える。
【0027】
特に図2を参照すると、ノズルブロック333は、本実施形態ではハウジング311の長手軸と同軸である、キャニスタ305の弁棒325を受けるための管状ボア337を備える。管状ボア337は、その一端、すなわち上方端において開いており、また、弁棒325の外側寸法とほぼ同一の内側寸法を有する上方部分339と、より小さい直径を有する下方部分341とを備え、部分339、341は共に、弁棒325の末端のための環状座部を画成する。管状ボア337は、その下方部分341内に、側方へと方向付けられた噴霧オリフィス345をさらに備え、オリフィス345は、噴霧をマウスピース313内へと、またそれを通して送るように構成される。
【0028】
ハウジング311はさらに、本実施形態では細長開口である第1の側方開口部349aおよび第2の側方開口部349bを備え、側方開口部は、以下でより詳細に説明するように、マウスピース313の側面に対して対向した関係となるように配置され、作動機構309の作動部材363a、363bを受ける。作動部材363a、363bは、開口349a、349b内で、それらの間に隙間(図示せず)が形成されるように構成および配列される。隙間は、患者がマウスピース313のところで吸息するときに、空気が隙間を通ってハウジング311内へと引き込まれ、マウスピース313から出て患者の気道内へと流れるという意味で、ハウジング311への空気の入口として機能する。そのような吸息を、医薬をキャニスタ305から放出するための作動機構309の動作と協調させると、医薬が、患者の肺(または、マウスピース313が鼻ノズルとして構成される場合は鼻腔)への送達のために、この吸気流内に引き込まれる。
【0029】
ハウジング311は、側方開口部349a、349bの下方端部にそれぞれ配置された、第1の枢動要素351aおよび第2の枢動要素351bをさらに備え、それに対して、作動部材363a、363bのうちの一方が、以下でさらに詳細に説明するようにそれぞれ枢動させられる。本実施形態では、枢動要素351aおよび351bはそれぞれ、1対の枢動開口を備える。
【0030】
本実施形態では、ハウジング311は、ここでは成形などによって、単一の一体ユニットとして形成される。
【0031】
作動機構309は、図3に明確に示すような、キャニスタ305の本体323の頭部を覆って嵌められる装填部材361と、第1の作動部材363aおよび第2の作動部材363bとを備え、作動部材は、ハウジング311内の側方開口349a、349bのそれぞれ一方のところに配置されており、キャニスタ305を装填部材361との係合によって作動させるように、図2(a)に示す第1の休止または非動作配置と、図2(b)に示す第2の作動配置との間で枢動運動するよう、ハウジング311に枢動式に取り付けられる。本実施形態では、装填部材361は、キャップ部材として構成される。好ましくは、装填部材361は、たとえば、上記米国特許出願公開第A−2003/0,136,800号またはWO−A−2004/065224(米国特許出願第10/543,049号)に記載されるような割りリングカラーの使用によって、キャニスタ305の本体323の頭部に恒久的に嵌められる。ただし、たとえばスナップ嵌めによる連結部など、非恒久的な嵌合を用いることもできる。
【0032】
本実施形態では、装填部材361は、図2(a)に示すような第1の休止または非動作位置と、図2(b)に示すような、キャニスタ305が作動される第2の作動位置との間で、ノズルブロック333に対して摺動可能に配置されている。装填部材は、キャニスタ305の頭部の外周壁と締り嵌めされる、ここでは管状スリーブであるスリーブ371と、スリーブ371の一方の端部、すなわち下端部にあり、ここではスリーブ371をまたぐ端部分373とを備えている。該端部分373は、キャニスタ305の本体323の頭部に係合し、環状の装填部分375を提供し、装填部分375は、以下でより詳細に説明されるように、キャニスタ305を装填するために作動部材363a、363bによって係合される。装填部分375は、必ずしも環状である必要はなく、その代わりに、作動部材363a、363bがその上に作用するための、第1および第2の側方フランジを設けることができる。
【0033】
本実施形態では、作動部材363a、363bはそれぞれ、ハウジング311内の対応する枢動要素351a、bに係合する枢動要素376を備える。各作動部材363a、363bはさらに、第1の把持アーム377を備え、把持アーム377は、ハウジング311内のそれぞれの側方開口349a、349bを横断して延び、吸入器を作動させる際に使用者によって(たとえば使用者の手の対向する指で)把持および押下されるように構成される。各作動部材363a、363bはさらに、1対の第2の装填アーム379(作動部材363a、363bにつき1つずつのみ示す)を備え、装填アーム379は、それぞれの枢動要素376から内向きに、把持アーム377に対してほぼ垂直方向に、装填部材361をまたぐように延び、すなわち、ほぼ内向きのL字形を画成し、装填部材361の装填部分375に係合するように動作する。
【0034】
次に、作動装置の動作を以下で説明する。
【0035】
使用者はまず、図2(a)に示すような、休止または非動作配置にある作動装置を片手で持つ。
【0036】
使用者は次いで、マウスピース313を男性/女性の唇の間にはさみ、吸気と協調させて、作動装置を保持している手の1本または複数本の指で作動部材363a、363bの把持アーム377を押下することによって、吸引器を作動させる。
【0037】
図2(b)に示すように、作動部材363a、363bの把持アーム377を押下することによって、作動部材363a、363bが内側に回転し、そのことにより、作動部材363a、363bの装填アーム379が、装填部材361の装填部分375、したがって装填部材361を下向きに駆動し、装填部材361のその下向き運動によって、キャニスタ305のキャニスタ本体323が、ノズルブロック333によって固定して保持されたキャニスタ305の弁棒325に対して下向きに駆動される。
【0038】
キャニスタ305の本体323の、固定弁棒325に対するこの下向きの運動によって、キャニスタ305が作動されて、弁棒352から分配された医薬の噴霧が、マウスピース313内へと、またそれを通して送達される。
【0039】
作動部材363a、363bの解放時に、吸入器は、弁戻しばねによって図2(a)に示すような休止構成へと戻され、次の作動の準備状態となる。
【0040】
作動後に、吸入器は、口から取り外され、次の作動の準備状態となる。
【0041】
図4から図6は、本発明の第2の実施形態による、手持ちの手動操作可能なpMDIタイプの吸入器を示す。
【0042】
本実施形態の吸引器は、上記で説明した第1の実施形態の吸引器に非常に類似しており、したがって、不必要な説明の重複を避けるために、相違点のみを詳細に説明し、同様の部品を同様の参照符号によって示す。
【0043】
本発明の吸引器は、装填部材361の構造において、第一の実施形態と異なる。本実施形態では、装填部材361は、上記WO−A−2004/001664(米国特許出願第10/518,421号)に記載される投与計数器385の一修正形態として設けられる。これらの特許出願を、参照により本明細書に組み込む。
【0044】
投与計数器385は、すべて参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第A2003/0,136,800またはWO−A−2004/065224(米国特許出願第10/543,049号)に詳述される、割りリングカラー395の使用によって、また次に図6(a)〜図6(c)を参照しながら簡単に説明されるように、キャニスタ本体323の頭部へと恒久的に固定されて、それと共に1つのユニットを形成する。
【0045】
図6(a)〜図6(c)は、カラー395がキャニスタ本体323の首397の周りに嵌められ、投与計数器ハウジング394の環状スリーブ371に溶接される工程を示す。図6(a)は、キャニスタ本体323と投与計数器ハウジング394との間に配置される、カラー395の分解図であり、ここでは、キャニスタ305内に残されている、またはキャニスタ305から分配された、医薬の定量投与の回数がその中に表示される(図示せず)、計数器窓398と共に示される。図6(b)は、カラー395を開き、それをキャニスタ本体323の頭部を覆って摺動させ、次いでカラー395の戻り力によってそれを首397上へと閉じることを可能にすることによって首397の周りにすべらせた、カラー395を示す。図6(c)に示すように、カラー395は、キャニスタ305上で矢印Aの方向に摺動させられ、それによって、カラー395は、カラー395の内部円周面と首397の広がる表面との相互作用により、径方向に拡張される。一方、投与計数器ハウジング394は、下方へと矢印Bの方向に動かされることによって、キャニスタ本体323の頭部を覆って配置される。このようにして、ハウジング394の内側端壁(図示せず)は、キャニスタ本体323の頭部に当接し、カラー395は、スリーブ371の内面と首397との間に押し込まれる。カラー395は次いで、矢印Cによって指示される地点にて、超音波溶接によってスリーブ371の内面に接合され、それによって投与計数器385が、キャニスタ本体323へと恒久的に固定される。
【0046】
図4および図5に示すように、第2の実施形態の吸入器の動作は、上記で説明した第1の実施形態と同じであり、装填アーム379がその上に作用する装填部分375が、投与計数器ハウジング394上の環状フランジまたは突起として設けられる。
【0047】
図4および図5は、ノズルブロック333と並んでハウジング311の基底面に配置されたラック324を示し、該ラック324は、参照により本明細書に組み込まれる上記のWO−A−2004/001664(米国特許出願第10/518,421号)に記載されるように、キャニスタ305が作動機構309によって作動されると投与計数器385を駆動する。
【0048】
投与計数器窓398内の表示部は、各作動の発生時に更新され、患者または使用者は、キャニスタ−計数器ユニット305、385が作動装置ハウジング311内に取り付けられるときに、作動装置ハウジング311内で表示部と位置合せするための位置にて設けられた窓または開口(図示せず)を通して、表示部を見ることができる。
【0049】
図7(a)〜図7(c)は、装填部分375が、投与計数器ハウジング394ではなく割りリングカラー395によって設けられる、第2の実施形態の一修正形態を示す。それ以外は、吸入器の動作は、図4から図6を参照して説明した動作と同じである。
【0050】
装填部材361は、キャニスタ本体323の頂端部に対して固定的に連結される別の付属品の形をとることができることが、理解されるであろう。
【0051】
本発明の図示の実施形態における作動機構は、機械的な利点を提供することが理解されるであろう。すなわち、(弁の戻しばねの戻り力に打ち勝つことによって)吸入器を動作させるために、使用者が加える必要がある手の力は、これ以外の場合よりも、たとえば使用者が弁の戻しばねの戻り力に対抗してキャニスタの基部上を下方へと押さなければならない標準的なpMDIの動作時などよりも、小さい。
【0052】
好ましくは、例示的な実施形態の作動装置の部品はすべて、たとえば成形工程などによって、プラスチック材料から製作される。
【0053】
エアゾールキャニスタ内に収容される医薬は、穏やかな、中程度の、または深刻な、急性または慢性の症候の治療、あるいは予防的治療のためのものとすることができる。医薬は、たとえば喘息など呼吸器疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療に適しているが、たとえば鼻炎の治療など、別の治療適応症用とすることもできる。
【0054】
すなわち、適当な治療剤または治療薬は、たとえばコデイン、ジヒドロモルヒネ、エルゴタミン、フェンタニル、またはモルヒネなど鎮痛薬、たとえばジルチアゼムなど狭心症用製剤、たとえばクロモグリク酸(たとえばナトリウム塩として)、ケトチフェンまたはネドクロミル(たとえばナトリウム塩として)など抗アレルギー薬、たとえばセファロスポリン、ペニシリン、ストレプトマイシン、スルホンアミド、テトラサイクリン、およびペンタミジンなど抗感染症薬、たとえばメタピリレンなど抗ヒスタミン剤、たとえばベクロメタゾン(たとえば二プロピオン酸エステルとして)、フルチカゾン(たとえばプロピオン酸エステルとして)、フルニソリド、ブデソニド、ロフレポニド、モメタゾン(たとえばフランカルボン酸エステル(furoate ester)として)、シクレソニド、トリアムシノロン(たとえば、アセトニドとして)、6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−17α−プロピオニロキシ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−チオカルボン酸S−(2−オキソ−テトラヒドロ−フラン−3−イル)エステル、または6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−チオカルボン酸S−フルオロメチルエステルなど抗炎症剤、たとえばノスカピンなど鎮咳薬、たとえばアルブテロール(たとえば遊離塩基または硫酸塩として)、サルメテロール(たとえばキシナホ酸として)、エフェドリン、アドレナリン、フェノテロール(たとえば臭化水素酸塩として)、ホルモテロール(たとえばフマル酸塩として)、イソプレナリン、メタプロテレノール、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、ピルブテロール(たとえばアセテートとして)、レプロテロール(たとえば塩酸塩として)、リミテロール、テルブタリン(たとえば硫酸塩として)、イソエタリン、ツロブテロール、または4−ヒドロキシ−7−[2−[[2−[[3−(2−フェニルエトキシ)プロピル]スルホニル]エチル]アミノ]エチル−2(3H)ベンゾ−チアゾロンなど気管支拡張薬、たとえばシロミラストまたはロフルミラストなどPDE4阻害剤、たとえばモンテルカスト、プランルカスト、およびザフィルルカストなどロイコトリエン拮抗剤、たとえば2R,3R,4S,5R)−2−[6−アミノ−2−(1S−ヒドロキシメチル−2−フェニル−エチルアミノ)−プリン−9−イル]−5−(2−エチル−2H−テトラゾール−5−イル)−テトラヒドロ−フラン−3,4−ジオール(たとえばマイレン酸塩として)などアデノシン2a作動薬、たとえば(2S)−3−[4−({[4−(アミノカルボニル)−1−ピペリジニル]カルボニル}オキシ)フェニル]−2−[((2S)−4−メチル−2−{[2−(2−エチルフェノキシ)アセチル]アミノ}ペンタノイル)アミノ]プロパン酸(たとえば遊離酸またはカリウム塩として)などα4インテグリン阻害剤、たとえばアミロライドなど利尿薬、たとえばイプラトロピウム(たとえば臭化物として)、チオトロピウム、アトロピン、またはオキシトロピウムなど抗コリン薬、たとえばコルチゾン、ヒドロコルチゾン、またはプレドニゾロンなどホルモン、たとえばアミノフィリン、コリンテオフィリネート、リジンテオフィリネート、またはテオフィリンなどキサンチン、たとえばインシュリンまたはグルカゴンなど治療用タンパク質およびペプチドなどから、たとえば選択することができる。適当な場合には、医薬の活性および/または安定性を最適化するために、かつ/あるいは噴射剤中への医薬の溶解性を最低限に抑えるために、医薬を塩の形で(たとえばアルカリ金属もしくはアミン塩として、または酸付加塩として)、あるいはエステル(たとえば低アルキルエステルなど)として、あるいは溶媒和物(たとえば水和物)として使用することができることが、当業者には明らかであろう。
【0055】
好ましくは、医薬は、喘息および鼻炎など炎症性疾患または疾病を治療するための、抗炎症性化合物である。
【0056】
好ましくは、医薬は、HFA−134aまたはHFA−227、あるいはそれらの組合せなど、ヒドロフルオロアルカン噴射剤中に配合される。
【0057】
好ましくは、医薬は、たとえばプロピオン酸エステルとしてのフルチカゾンなど、副腎皮質ステロイドなど抗炎症ステロイド、または、たとえばキナシホ酸塩としてのサルメテロールなど、長時間作用性β作動薬(LABA)、あるいはそれらの組合せである。
【0058】
好ましい医薬は、サルメテロール、サルブタモール、アルブテロール、フルチカゾン、およびベクロメタゾン、ならびに、塩、エステル、またはそれらの溶媒和物、たとえば、プロピオン酸フルチカゾン、アルブテロール硫酸塩、キナシホ酸サルメテロール、およびベクロメタゾン二プロピオン酸塩である。
【0059】
医薬はまた、抗炎症特性を有する、グリココルチコイド化合物とすることもできる。1つの適当なグリココルチコイド化合物は、6α,9α−ジフルオロ−17α−(1−オキソプロポキシ)−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−チオカルボン酸S−フルオロメチルエステル(プロピオン酸フルチカゾン)の化学名を有する。別の適当なグリココルチコイド化合物は、6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−チオカルボン酸S−フルオロメチルエステルの化学名を有する。さらなる適当なグリココルチコイド化合物は、6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−17α−[(4−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボニル)オキシ]−3−オキソ−アンドロスタ−l,4−ジエン−17β−チオカルボン酸S−フルオロメチルエステルの化学名を有する。
【0060】
別の適当な抗炎症性化合物は、たとえばPDE4阻害剤、ロイコトリエン拮抗剤、iNOS阻害剤、トリプターゼおよびエラスターゼ阻害剤、β2インテグリン拮抗剤、ならびにアデノシン2a作動薬など、NSAIDを含む。
【0061】
医薬は、組み合わせて送達することができる。一例として、(たとえば硫酸塩の遊離塩基としての)サルブタモール、または(キシナホ酸塩としての)サルメテロールを、(たとえばエステル、好ましくは二プロピオン酸としての)ベクロメタゾン、または(たとえばエステル、好ましくはプロピオン酸としての)フルチカゾンなど、抗炎症性ステロイドと組み合わせて提供することができる。
【0062】
最後に、本発明を、その例示的な実施形態において説明してきたが、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の範囲から逸脱することなく、本発明を多くの異なる方法で修正することができることが理解されるであろう。
【0063】
また、添付の特許請求の範囲において参照符号を付すことに関して、参照符号は、例示目的のためだけに付されるものであり、特許請求される本発明に対するいかなる制限の付与も意図しないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第1の実施形態による吸入器を示す斜視図である。
【図2a】図1に厳密に対応する吸入器を、休止または非動作配置で示す部分断面図である。
【図2b】図1に厳密に対応する吸入器を、作動配置で示す部分断面図である。
【図3】図1および図2の吸入機内の装填部材と組み立てられるエアゾールキャニスタを示す図である。
【図4】投与計数器がエアゾールキャニスタに恒久的に固定された本発明の第2の実施形態による吸入器を、休止または非動作構成で示す部分断面図である。
【図5】図4の吸入器を作動構成で示す部分断面図である。
【図6】図6(a)は、図4および図5の吸入器内のエアゾールキャニスタと投与計数器とが、互いに恒久的に固定される工程を示す概略図である。図6(b)は、図4および図5の吸入器内のエアゾールキャニスタと投与計数器とが、互いに恒久的に固定される工程を示す概略図である。図6(c)は、図4および図5の吸入器内のエアゾールキャニスタと投与計数器とが、互いに恒久的に固定される工程を示す概略図である。
【図7】図7(a)は、図6(a)に対応するが、投与計数器が異なる構成を有する図である。図7(b)は、図6(b)に対応するが、投与計数器が異なる構成を有する図である。図7(c)は、図6(c)に対応するが、投与計数器が異なる構成を有する図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬を吸入によって送達するための吸入器であって、
キャニスタ(305)であって、基部および頭部を有し、医薬を収容するチャンバを画成する本体(323)と、前記本体(323)の前記頭部から延びる弁棒(325)とを備え、使用時に前記キャニスタ(305)が作動されると前記弁棒(325)から医薬が送達される、キャニスタ(305)と、
前記キャニスタを受けるハウジング(311)を有する主本体(303)、および前記キャニスタ(305)を作動させるための作動機構(309)を備える、作動装置とを備え、
前記作動機構(309)が、装填部材(361)を備え、前記装填部材(361)は、前記キャニスタ本体(323)の前記頭部に嵌められ、かつ、装填部分(375)を備え、前記装填部分(375)は、前記キャニスタ(305)の前記本体(323)の前記基部から離隔して配置され、使用時に作用を受けて、前記装填部材(361)を、作動方向において、第1の休止位置から、医薬を送達するために前記キャニスタ(305)が作動される第2の作動位置へと駆動し、前記作動機構(309)がさらに、少なくとも1つの作動部材(363a、b)を備え、前記作動部材は、医薬を送達するために前記キャニスタ(305)を作動させるように、前記装填部材(361)を前記作動方向において前記作動位置へと駆動するよう、使用者によって作動させることができ、
前記少なくとも1つの作動部材(363a、b)が、前記ハウジング(311)に対して第1の休止位置から第2の作動位置へと枢動運動するように、前記ハウジングに枢動式に結合され、前記第2の作動位置において、前記装填部材(361)が、医薬を送達するために前記キャニスタ(305)を作動させるように、前記作動方向において前記作動位置へと駆動され、
前記少なくとも1つの作動部材(363a、b)が、把持要素(377)を備え、前記把持要素(377)は、前記ハウジング(311)の長さに沿って延び、前記キャニスタ(305)を作動させる際に前記使用者によって把持および押下されるように構成される、吸入器。
【請求項2】
前記装填部材(361)の前記装填部分(375)が、実質的に環状の部分を備える、請求項1に記載の吸入器。
【請求項3】
医薬を送達するために前記キャニスタ(305)を作動させるように、前記装填部材(361)を前記作動方向において前記作動位置へと駆動するよう、前記少なくとも1つの作動部材が前記第1の休止位置から前記第2の作動位置へと枢動するときに、前記装填部材(361)の前記装填部分(375)に係合するための装填要素(379)を、前記少なくとも1つの作動部材(363a、b)が備える、請求項1または2に記載の吸入器。
【請求項4】
前記把持要素(377)が、前記ハウジング(311)の長さに沿って枢動部(376)から延び、前記装填要素(379)が、前記枢動部(376)から内向きに延びる、請求項3に記載の吸入器。
【請求項5】
前記ハウジング(311)は、少なくとも1つの側方開口(349a、b)を備え、前記側方開口(349a、b)内に、前記使用者が押下するための前記少なくとも1つの作動部材(363a、b)が配置される、請求項1から4のいずれか一項に記載の吸入器。
【請求項6】
前記作動機構(309)が、反対方向に向けられた関係となるように配置された第1および第2の作動部材(363a、b)を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の吸入器。
【請求項7】
前記主本体(303)が、前記キャニスタ(305)の前記弁棒(325)を受けるノズルブロック(333)を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の吸入器。
【請求項8】
前記ハウジング(311)が、出口部材(313)を備え、該出口部材を通じて前記使用者が使用時に吸入する、請求項1から7のいずれか一項に記載の吸入器。
【請求項9】
前記出口部材(313)が、マウスピースである、請求項8に記載の吸入器。
【請求項10】
前記装填部材(361)が、前記キャニスタ本体(323)の前記頭部に恒久的に嵌められる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の吸入器。
【請求項11】
前記装填部材(361)が、前記キャニスタ本体(323)の首(397)において前記キャニスタ本体(323)に取り付けられる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の吸入器。
【請求項12】
前記装填部材(361)が、前記首(397)に対して対向した関係にある内面を有するスリーブ(371)と、前記首(397)上に取り付けられて、かつ、前記内面に連結される環状要素(395)とを備える、請求項11に記載の吸入器。
【請求項13】
前記キャニスタ本体(323)が、前記基部から前記頭部へと延びる外周面を有し、前記装填部材(361)が、前記外周面の周りで前記頭部に隣接して配置されるスリーブ(371)を有し、前記装填部分(375)を提供する、請求項1から11のいずれか一項に記載の吸入器。
【請求項14】
前記環状要素(395)が、前記装填部分(375)を提供する、請求項12に記載の吸入器。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の吸入器の前記作動装置。
【請求項16】
実質的に、下記で添付の図面の図1から図3または図4から図6または図7を参照しながら説明する、医薬を吸入によって送達するための吸入器用の作動装置。
【請求項17】
実質的に、下記で添付の図面の図1から図3または図4から図6または図7を参照しながら説明する、医薬を吸入によって送達するための吸入器。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−532676(P2008−532676A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−501415(P2008−501415)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際出願番号】PCT/GB2006/000966
【国際公開番号】WO2006/097747
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】