説明

吸収用品において体に面するシートとして使用される不織材料

本発明は、吸収用品における体に面するシートとして使用される、互いに一体化された少なくとも二つの層(2,3)を備える不織材料(1)に関するものであり、このものにおいて、第1の層(2)は、スパンレイドフィラメント(4)を備えており、第2の層(3)は、ステープルファイバー(5)を備えており、ステープルファイバー(5)は1.5dtex以下の太さを有しており、フィラメント(4)は2.5dtex以上の太さを有している。さらに、本発明は、生理用ナプキン、パンティライナー、失禁プロテクター、またはおむつなどの、体に面するシートとして上述したような不織材料を備える吸収用品に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体に面するシートとして、吸収用品において使用される不織材料ならびに当該不織材料を備える吸収用品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
吸収用品は、多くの場合、液体透過性トップシートと、液体不透過性ボトムシートと、任意には、トップシートとボトムシートとの間に配置された吸収性エアレイド層とを備えている。トップシートは、3dtexの太さ(thickness)を有するスパンボンドフィラメントからなる二つの層から形成されていてもよい。そうした材料を使用することで、非常に良好な液体吸入機能が実現される。しかしながら、スパンボンド/スパンボンドフィラメントからなるトップシートは、フィラメントが粗くかつトップシートが柔らかくないため、使用者に快適なものではない。したがって、粗いフィラメントは良好な吸入特性を与えるが、その柔らかさは十分ではない。より細かいフィラメントであれば、より柔らかい層を形成するようになるが、そうした層は、より劣った吸入特性しか持たないようになる。また、コットン、ビスコース、リオセルなどの高い軟度および織物のような快適さを有するフィラメントを使用することによっても柔らかい感触を実現できる。しかしながら、そうしたフィラメントは、液体をまとめ、かつ液体がトップシートを通って吸収層に達することを妨げる。そうした表面は、使用中に使用者に対して湿った感触を与えるようになり、そして使用者が不快さを感じるようになる。
【0003】
さらに、連続フィラメントの層と短繊維を含む層とを備える不織材料の形態のトップシートも使用されている。そうしたトップシートは、例えば特許文献1に開示されている。短繊維を含む層は、ホットメルト接着剤複合短繊維を備えており、かつそれらは互いにホットメルト接着される。短繊維は波状となっているため、かさばった不織材料が得られるようになる。ホットメルト接着は熱結合によってなされるが、それは、使用中の吸入機能および快適さに関して不利益を与える。
【0004】
特許文献2は、不織ウェブを備える不織材料に関するものであり、そのものにおいて、長大な極微細繊維が水溶性スラリー(パルプ)として配置されている。その不織ウェブは、メルトブローン、スパンボンド、コフォーム、ボンデッド、およびカード(梳毛)またはエアレイされた繊維を備えている。この極微細繊維は、パーソナルケア製品を通る流体移動率の調整のために使用可能である。そうした層は、非常に密度の高いものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5 951 535号明細書
【特許文献2】国際公開第02/44456号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、吸収用品におけるトップシート材料を改良すること、ならびに上記問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、吸収用品において体に面するシートとして使用される、互いに一体化された少なくとも二つの層を備える不織材料であって、第1の層が、スパンレイドフィラメントを備えており、かつ第2の層がステープルファイバーを備えており、ステープルファイバーが1.5dtex以下の太さを有しており、フィラメントが2.5dtex以上の太さを有している不織材料に関するものである。1.5dtex以下の太さを有する繊維を有する層は柔らかい感触を与え、かつ2.5dtex以上の太さを有するフィラメントを有する層は、液体を層を通過させることに関して非常に良好な特性を与えるものである。これらの層、および、そのそれぞれの特性の組み合わせは、吸収用品において体に面するシートとして使用するのに非常に良好に機能する不織材料を実現するようになる。
【0008】
さらに、本発明は、体に面するシートとして不織材料を備えた、生理用ナプキン、パンティライナー、失禁プロテクターまたはおむつなどの吸収用品に関するものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に基づく不織材料の断面図である。
【図2】本発明の生理用ナプキンの実施形態である。
【図3】図2における生理用品の断面図である。
【図4】本発明の不織材料を製造するための工程の実施形態を概略的に示す図である。
【0010】
〔規定〕
本発明に関して、「フィラメント」は、その直径に比例して非常に長くなる、原則としてエンドレスな繊維を意味する。これは、微細ノズルを介して溶融熱可塑性ポリマーを押し出すことによって製造できる。その後、ポリマーは、例えばポリマーの流れにおいてかつそれに沿って吹く空気流の作用によって冷却されかつ延伸され、そして延伸、伸張または捲縮によって処理可能なストランドとなるように凝固されるようになる。付加的な機能のための化学物質をその表面に加えることも可能である。
【0011】
また、フィラメントは、試薬剤に混入された繊維形成作用物質の溶液の化学反応によって、例えば再生されたセルロースファイバーをセルロースザンテート溶液から硫酸の中へ巻き取ることによって製造された再生された繊維であってもよい。再生されたセルロースファイバーの一例として、ビスコースおよびリオセルファイバーが挙げられる。
【0012】
本明細書には「ステープルファイバー」という語が使用されている。ステープルファイバーは、上述したフィラメントと同じ材料から、かつそれと同じ工程によって製造できる。それは、合成繊維あるいはビスコースまたはリオセルなどの再生セルロース繊維のいずれかであってもよい。さらに絹繊維を使用することもできる。繊維束の切断は、通常、単一の切断長さとなるように実施される。
【0013】
「体に面するシート」は、使用者の体に最も近接するシートを意味する。体に面するシートは、例えば吸収用品におけるトップシートであってもよい。また、ベルト部材の、側方面材の、ならびに用品のウエスト部における領域の、使用者の体に最も隣接するシートであってもよい。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、図1に示すように、吸収用品において体に面するシートとして使用される、互いに一体化された少なくとも二つの層2,3を備える不織材料であって、第1の層2がスパンレイドフィラメント4を備えており、第2の層3がステープルファイバー5を備えており、ステープルファイバー5が1.5dtex以下の太さを有しており、フィラメント4が2.5dtex以上の太さを有している不織材料に関するものである。不織材料は吸収用品に使用でき、この場合、ステープルファイバー5を備える第2の層3が使用中に使用者に対して向けられる。1.5dtex以下の細さと同様に細い繊維を備えるシートのこの部分は、ステープルファイバー5が細いために、柔らかくかつ使用者に心地よい感触を与える。同時に、ステープルファイバー5よりも相対的に粗いフィラメント4を備える第1の層2は、良好な液体吸入特性を有している。体に面するシート1は、軟質表面層を、すなわちフィラメントを備える第1の層2を合体された第2の層3を有するようになる。フィラメント層2は移送層として機能してもよく、それを介して、尿、月経血および汗などの液体が吸収用品における下側層へと迅速に運ばれるようになる。粗いフィラメント4を備える第1の層2は相対的に大きな開口を有するようになり、それによって、液体が層を素早く通過するようになる。体に面するシートはトップシートであってもよい。第2の層2における柔らかさおよび快適さを使用者に感じさせる特性、ならびに第1の層3における液体吸入特性は、吸収用品におけるトップシートにおいて利点となる特性である。以下、体に面するシートのさらなる例を挙げる。
【0015】
不織布層は、以下でより詳細に説明される方法によって製造される。簡単に述べると、第1の層2は形成材料上にスパンレイされるようになっており、それは、フィラメントが、形成部材に到達する前に紡がれかつ凝固させられることを意味する。続いて、ステープルファイバーは、第1の層の上にエアレイされるか、あるいはウェットレイさせられる。ステープルファイバーがウェットレイさせられる場合、それは、第1の層の上側に発泡形成されてもよい。層同士の間の結合は水流交絡によってなされる。したがって、熱結合は使用されず、かつ、熱結合はトップシートにおける繊維の溶融によって形成される液体バリアを生じるために、それは利点となる。層は、繊維およびフィラメントが他のそれぞれの層となることを生じるように水流交絡され、それによって、層は互いに組み合せられるようになる。これは、二つの層の間に明確な境界が生じないことを意味する。水流交絡結合は、例えば材料内の液体に関する妨害を回避するため、本発明の不織材料に関して利点となる。もし熱結合が層を互いに結合するために用いられる場合、熱結合ステップの前に層を乾燥させる必要があるだろう。そうした乾燥ステップは余計なエネルギーを要求とする。
【0016】
本発明の不織布材料は、第2の層内にステープルファイバーを備えており、それは0.7dtex以下の太さを有する。この太さによって、その感触が使用者に対してよりいっそう柔らかいものとなる。繊維がさらに細いものであれば、より柔らかな感触が得られるようになる。本発明の不織材料は、さらに、0.5dtex以下の太さを有するステープルファイバーを備えていてもよい。これは、トップシートにおける液体吸入が非常に良好になされながらも、使用者に対して快適な感触を有する体に面するシートまたはトップシートを与えるようになる。
【0017】
第2の層におけるステープルファイバーは、6から40mmの長さを有している。ステープルファイバーは、フィラメントを備える第1の層の上にウェットレイされるか、あるいはエアレイされてもよい。ただし、カーデッド層がフィラメント層の上に配置される前に、繊維はそれぞれカーデットされてもよい。ステープルファイバーがカードされるとき、繊維が互いに引っかかるようにするために、それは約20〜40mmの長さを有している。さらに短い繊維はカードするのが困難である。ステープルファイバーがウェットレイされるかあるいはエアレイされる際に、それらはより短くなる、すなわち6から20mmとなる。ウェットレイドまたはエアレイドステープルファイバーは、小さな量で配置されるようになり、それは、ステープルファイバーからなる非常に薄手の層を得るために有利となり得る。
【0018】
フィラメントは、3detx以上の太さを有することもできる。そうした粗い繊維から形成された層は、良好な液体吸入特性を有するようになる。
【0019】
本発明の不織材料に関して、非常にさまざまな材料を使用することができる。フィラメントおよび繊維は、人工繊維から選択されても良い。人工のフィラメントおよび繊維は、天然ポリマー、合成ポリマー、および再生可能な資源による合成ポリマーから形成されたフィラメントおよび繊維において区分される。すべての種類のポリマーを不織材料に使用されるフィラメントおよび繊維に使用できる。さらに、天然繊維に属する絹繊維が、ステープルファイバーとして使用されてもよい。
【0020】
したがって、フィラメントは合成繊維および再生可能な資源による合成繊維から選択可能である。合成フィラメントは、ポリエチレンおよびポリプロピレン繊維などのポリオレフィンフィラメント、ポリアミドフィラメント、ポリエステルフィラメント、ならびにポリアクリルフィラメントであってもよい。再生可能な資源による合成フィラメントは、ポリラクチドフィラメントであってもよい。上記フィラメントの製造に使用されるポリマーのコポリマーを、不織材料のためのフィラメントを製造するために使用することもできる。
【0021】
また、ステープルファイバーは、天然繊維、合成繊維、再生可能な資源による合成繊維から選択できる。合成繊維は、ポリエチレンまたはポリプロピレンファイバーなどのポリオレフィンファイバー、ポリアミドファイバー、ポリエステルファイバー、ならびにポリアクリルファイバーであってもよい。再生可能な資源による合成繊維は、ポリラクチドファイバーであってもよい。また、上記繊維の製造に使用されるポリマーのコポリマーは、不織材料に使用される繊維の製造に使用されてもよい。さらに、繊維は、天然ポリマーから製造されてもよい。それゆえ、ビスコース繊維、およびリオセル繊維が本発明の不織材料に使用されてもよい。ステープルファイバーは、天然繊維である絹繊維であってもよい。上記のすべての繊維が柔らかい表面を提供するようになる。
【0022】
本発明に基づいて使用される繊維およびフィラメントは、いくつかの理由によって選択される。液体の透過性は、フィラメントに関して最も重要な要因の一つである。ステープルファイバーは、柔らかくあるべきであり、かつ、ある程度大きな広がりにおいて液体を吸収するべきである。
【0023】
不織材料は、20〜50g/mの秤量を有していてもよい。本発明は、不織材料に関するものであり、そのものにおいて、ステープルファイバーは、不織材料の全重量に基づいて算出されたとき、材料の重量で10〜40%を構成しており、かつフィラメントは、不織材料の全重量に基づいて算出されたとき、材料の重量で60〜90%を構成している。ステープルファイバーは高価であり、ゆえにその量を非常に小さくすることが望ましい。さらに、液体は、第2の層において、より小さな孔に吸引され、かつこの層は、ステープルファイバーを備える第2の層に液体が留まることを防ぐために非常に薄手のものであることが望ましい。重量で10%あれば、第1の層2をカバーするようになる第2の層3を形成可能とするのに、ほぼ十分である。重量で40%超のステープルファイバーは、密度が高すぎる層を形成し、それは、液体が第2の層を通過することを妨げるようになる。重量で60%超のフィラメントは、良好な液体吸入性を有する層を与えるようになり、そして、液体が非常に素早く層を通過するようになる。重量で90%を超えると、使用者にとって快適なものではなくなる。さらに、フィラメントを備える第1の層は、ステープルファイバーを備える第2の層の孔よりも大きな孔を有するようになる。第1の層は、第2の層と、吸収層などの下側層との間で、移送層として機能してもよい。第1の層における孔のサイズは、二つの層の間の接触面から、第1の層の下側まで連続的に増大されるようになる。これはまた、層が互いに水流交絡されることに起因している。
【0024】
体に面するシートは、トップシート、ウエスト部分として使用されるシート、側方面材またはベルト部材であってもよい。ゆえに、上述したすべての記載およびすべての規定もまた、本発明のそれらの実施形態と関連する。ベルト部材は、おむつの後部に、あるいはその前部に取り付けられてもよく、かつ固定手段によって着用者のウエストの周囲で互いに固定されるよう意図されている。そうしたベルト部材は、例えば国際公開第03/017902 A1号パンフレットに開示されている。おむつにおける側方面材は、前部または後部における一部であり、その上に、例えばベルト部材が取り付けられる。側方面材は、例えば国際公開第02/49567号パンフレットに開示されている。ウエスト部は、用品の使用時に、着用者のウエストに位置させられるものである。ウエスト部は、おむつ、またはプルオン式パンツに設けられている。
【0025】
ウエストパンツ、側方面材またはベルト部材において、トップシートとして使用される体に面するシートは、使用者の体に最も近接するシートとなる。柔らかい第2の層は、軟質でありかつ滑らかな層であるため、使用者の体に対して面するようになる。第2の層が使用者の体に対して向けられるので、第1の層は、使用者の体とは反対側を向くようになる。ベルト部材、側方面材、またはウエスト部は、本発明の不織材料のみによって構成されてもよい。この場合、第1の層は、吸収用品の外側の表面に取り付けられ、かつ外側の表面に使用可能となっている。「外側の表面」とは、用品が使用者の体において使用されるとき、使用者の体から離れる方向を向く面を意味している。このような場合には、体に面するシートは、もしウエスト部またはベルト部材に配置されるならば、吸収用品における付着手段のためのフック材料に関する付着のためのループ部材として使用されることもできる。スパンレイドフィラメントを備える第1の層が、フック材料の付着に使用されるようになる。体に面するシートは、柔らかくかつ滑らかであることに加えて、良好な液体吸入特性を有しているため、ウエスト部、ベルト部材、または側方面材を用いる場合に、吸収コアを被覆しない体に面するシートにおける使用に適している。
【0026】
また、本発明は、生理用ナプキン、パンティライナー、失禁プロテクターまたはおむつなどの、上述したような不織材料を備える吸収用品に関するものである。不織材料は、体に面するシートとして使用される。体に面するシートは、上述したように、トップシート、ベルト部材におけるシート、側方面材、またはウエスト部であってもよい。さらに、不織材料は、吸収用品におけるループ材料として使用することもできる。以下、体に面するシートをトップシートとするが、その規定および特徴は、体に面するシートの他の実施形態も含むようになる。
【0027】
吸収用品は、トップシートとしての不織材料と、さらにボトムシートとを、かつ場合によっては後述する中間層とを備えている。生理用ナプキン201の形態の実施形態を図2に示すが、このものにおいて、生理用ナプキンは、トップシート202として、本発明の不織材料を備えている。第2の層は、使用中に使用者の体に対して向けられる。また、ここでは図示されていないが、ボトムシートも、場合によっては後述する中間層も含まれている。不織材料は、少なくとも二つの層2,3を備えており、第1の層2はスパンレイドフィラメント4を備えており、かつ第2の層3はウェットレイドまたはエアレイドステープルファイバー5を備えており、ステープルファイバー5は、1.5dtex以下の太さを有しており、かつフィラメント4は、2.5dtex以上の太さを有している。
【0028】
図3には、図2における吸収用品の断面図を示す。ボトムシート301は、フレキシブルなフィルム、例えばプラスチックフィルムから構成されてもよい。フィルムにおけるプラスチック材料の一例として、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、あるいは疎水性不織布層、またはフィルムと不織材料のラミネートなどの他の適切な材料が挙げられる。こうしたタイプの材料は、多くの場合、ボトムシート301において柔らかくかつ織物のような表面を実現するために使用される。ボトムシート301は、液体が透過することを防ぐ一方で水蒸気が通過可能となるよう、通気性を有している。通気性材料は、多孔性ポリマーフィルム、スパンボンドまたはメルトブローンされた層から形成された不織ラミネート、ならびに多孔性ポリマーフィルムおよび不織材料から製造されたラミネートから構成できる。
【0029】
ボトムシートは、上側層とは反対側に面するボトムシートの側部において、例えばパンティー、下着またはブルマにそれらを固定可能にするために、接着剤からなるビーズの形態の粘着性付着物を有することができる。製品が使用されていないときに接着剤を保護するために、剥離材料が接着剤の上に取り付けられている。
【0030】
また、吸収製品は、トップシート303とボトムシート301との間に、吸収性コア302または構造物を備えることもできる。吸収コア302は、例えばセルロースフラッフパルプ、エアレイド、フラッフパルプ、乾燥繊維離解されたまたは圧縮されたパルプなどのセルロース繊維の、一つ以上の層から構成できる。含まれてもよい他の材料の一例として、吸収性不織材料、発泡材料、合成繊維材料またはピートが挙げられる。セルロース繊維または他の吸収材料とは別に、吸収コアは、超吸収材料、いわゆるSAP(超吸収ポリマー)を備えることもでき、それは、繊維、粒子、顆粒、またはフィルムなどの形態の材料である。超吸収ポリマーは、水によって膨張可能でありかつ水に関して不溶性である無機または有機材料であり、それは、塩化ナトリウムを重量で0.9%含む水溶液を、それ自身の重量の少なくとも20倍まで吸収する可能性を示す。超吸収材料への使用に適した有機材料は、ポリサッカリドまたはポリペプチドなどの天然材料と同様に合成ヒドロゲルポリマーなどの合成材料を含むことができる。そうしたヒドロゲルポリマーは、例えばポリアクリル酸のアルカリ金属塩、ポリアクリルアミド、リビニルアルコール、ポリアクリラート、ポリアクリルアミドまたはポリビニルピリジンなどを含むことができる。他の適切なポリマーは、加水分解アクリロニトリル−グラフト化スターチ、アクリル酸−グラフト化スターチ、およびイソブチレンマレイン酸無水物コポリマーならびにその混合物を含む。ヒドロゲルポリマーは、好ましくは、材料が本質的に不水溶性であることを確実にするために、容易に架橋されるものである。また、好ましい超吸収材料は、超吸収性粒子、繊維、球体などの殻の外面が、超吸収材の内部よりも高い架橋密度を有するように、表面架橋されている。吸収コアにおける超吸収材の割合は、重量で10から90%とすることができるか、あるいは好ましくは重量で30から70%とすることができる。
【0031】
吸収コアは、液体受容性、液体拡散能力および貯蔵容量に関連するさまざまな特性を有するさまざまな層を備えることができる。吸収コアは、通常、長手方向に延在しており、かつ例えば矩形状、T字形状または砂時計形状を有することができる。砂時計形状のコアは、そのデザインが、着用者に隣接してかつその周囲に形成されるよう製造されることを容易にすることに加えて、効果的な吸収性を提供するために、股部における幅よりも前部および後部における幅のほうが広くなっており、それによって、脚の周囲でのより良いフィット具合が実現される。
【0032】
吸収製品は、トップシートと吸収コアとの間に移送層を含むこともできる。移送層は、多孔性でありかつフレキシブルな材料であり、かつ次のもの:エアレイド、ワッディング、ティッシュ、カーデッド繊維ウェブ、超吸収性粒子、または超吸収性繊維:を一つ以上備えることができる。移送層は、液体を受容しかつ下方にある吸収コアによって液体が吸収される前に一時的に液体を保持可能とするため、高い瞬間的収容能力を有している。移送層は、吸収コア全体またはその一部を被覆可能となっている。
【0033】
トップシート、ボトムシート、および何らかの中間材料は、製品の端部においてシールされており、それは、例えば熱シーリングあるいは他の通常の手段によって達成可能である。
【0034】
吸収製品は、その側部にウィングを備えることもできる。それは、製品の着用時の体へのより良好な接触をもたらすために、かつさらに漏れを低減させるために、弾性を有することができる。
【0035】
ここで、以下、不織材料を製造するための方法について説明する。図4に、本発明の不織材料を製造するための工程の実施形態を概略的に示す。不織材料を製造するための方法は、形成部材412上に連続フィラメントのウェブを形成すること、および連続フィラメントの上に、ステープルファイバーを含むウェットまたは発泡形成された繊維分散物を加えることを、したがって、連続フィラメントおよびステープルファイバー繊維を含む繊維ウェブを形成し、続いて不織材料を形成するために繊維ウェブを水流交絡することを含んでいる。
【0036】
図4に示す実施形態では、適切な直径となるように冷却されかつ伸ばされた溶融ポリマーを押し出すことによって、スパンレイド繊維の形態で連続フィラメント411を形成することから始まっている。
【0037】
図4に示す実施形態によれば、繊維が相対的に互いから離れるように比較的緩く、孔のあるウェブ構造を形成するべく、スパンレイド繊維411は、形成ワイヤ412上に直接配置される。これは、フィラメントがワイヤ412上に配置される前に冷却可能となり、その際、その粘性が低下するように、スパンレイノズルとワイヤとの間の距離を相対的に大きくすることによっても実現される。ヘッドボックス414からの水性または発泡繊維分散物413が、スパンレイドフィラメントの上面に配置される。ウェットレイ技術において、繊維は付加的な添加物とともに水中で分散され、かつ繊維分散物は、ウェットレイド繊維ウェブを形成するよう、形成繊維上で脱水される。発泡形成技術において、繊維ウェブは、水および界面活性剤を含む発泡液内の繊維の分散物から形成される。発泡形成技術は、例えば独国特許第1,329,409号明細書、米国特許第4,443,297号明細書、国際公開第96/02701号パンフレット、および欧州特許出願公開第0 938 601号明細書に開示されている。発泡形成された繊維ウェブは、非常に不均一な繊維構成を有する。発泡形成技術に関連するさらなる詳細に関しては上記文献に記載されている。
【0038】
ステープルファイバーのスパンレイドフィラメントおよび繊維分散物は、同じ、または異なるワイヤ上で形成されてもよい。ワイヤ412上に配されたスパンレイドフィラメントのウェブは、実質的に非常に緩やかにしか結合されておらず、これは、ウェブが、非常に弱いものであり、かつ、処理されかつ次の形成ステーション(ヘッドボックス414)へ送られなければならないものであることを意味している。
【0039】
一実施形態によれば、相対的に粗い形成ワイヤ412が使用される。これは、上にまたは下に折り曲げることによって、ワイヤにスパンレイドフィラメントのウェブを「結合させる」かあるいは「保持させる」ことに役立ち、かつワイヤの地理的形状に一致するようになり、したがって、ウェットまたは発泡形成された繊維分散物がスパンレイドウェブの上面にヘッドボックス412から排出されるときに、それが移動することを防ぐことができる。
【0040】
さまざまな種類の、かつさまざまな混ざり合う特性における繊維を、ウェットレイドまたは発泡形成繊維ウェブを形成するために使用できる。さまざまな長さの繊維を用いることもできる。ただし、本発明によれば、20mm超の長さを有するステープルファイバーを使用することが有利である。いくつかの出願に関して、短い繊維は長い繊維よりもスパンレイドフィラメントと混合させかつ一体化させることが容易であるため、これは利点となる。また、材料からはみ出す繊維端がより多くなり、それは、材料の柔らかさおよび織物のような感触を増加させる。短いステープルファイバーには、ウェットレイおよび発泡形成技術のいずれも使用することができる。
【0041】
発泡形成技術では、ウェットレイ技術を使用可能な場合よりも、より長い繊維(約18〜30mm)も使用することができる。本発明の他の態様においては、長い繊維は、それがウェット状態と同様にドライ状態でも水流交絡された材料の強度を増大させるため、有利となる。
【0042】
スパンレイドフィラメントの上面に配された繊維分散物は、ワイヤ412の下に配置された吸込みボックス(図示せず)によって脱水される。ウェットおよび発泡形成は、形成ワイヤ412における増大された開放性による利益を受ける。ステープルファイバーは、スパンレイドウェブの上面に形成され、それは、必要な閉鎖性を提供し、かつステープルファイバーの形成のための特別なふるいとして機能する。また、この観点から、形成ワイヤ412の選択は、使用可能な範囲の粗い端部に基づいてなされてもよい。
【0043】
したがって、スパンレイドフィラメントおよびステープルファイバーを備える形成繊維ウェブは、スパンレイド繊維とかみ合うようになるステープルファイバーの存在によって非常に安定しており、それは、ひるがえって、その構造物を補強するようになる。続いて、ウェブは、いくつかの列のノズル(それから、高圧の非常に細かいウォータージェットが、繊維ウェブに対して向けられる)を含む交絡ステーション416において水流交絡される。水流交絡技術、または、いわゆるスパンレース技術のさらなる詳細については、例えばカナダ国特許第841,938号明細書を参照されたい。
【0044】
あるいは、繊維ウェブは、水流交絡前に、特別な交絡ワイヤへと移送されることもでき、それは、付加的には、パターンが付与された不織生地を形成するために、パターンが形成されていてもよい。この場合、ウェブは、ウェブをまとめるために、移送される前に、一つ以上のノズルを用いて第1の水流交絡ステーションによって水流交絡されることもできる。ただし、そうした前交絡は、ワイヤに対して材料をはめ込むこととなり、それは、交絡ワイヤへの移送における引抜きの連続的な増大を要求するようになる。代替的な実施形態においては、繊維ウェブは、同一のワイヤ412上で形成されかつ水流交絡される。
【0045】
水流交絡は、公知の様式で、繊維材料の両側からなされてもよい(図示せず)が、その際、さらに均一化された等辺の材料が得られる。
【0046】
形成ワイヤ412および/または交絡ワイヤ416は、もちろん、それぞれ、有孔ベルト、有孔ドラムなどの他の適切な形成しかつ交絡する部材に置き換えることもできる。複合材料全体の形成は、相対的に粗くてもよい同一のワイヤ上で完成される。
【0047】
水流交絡後、材料417は、乾燥されかつ巻き取られる。続いて、材料は、公知の様式で、適当な形式に変換され、かつパックされる。可能な場合には、プロセス水の閉ループを有していることが望ましいため、形成および水流交絡ステップにおいて脱水された水は、好ましくは、再循環させられる。ステープルファイバー層は、上述されたようにカードされてもよい。ただし、カーディングステップは、繊維がフィラメント層の上に配されたときには、行うことはできない。カーディングステップは、ステープルファイバー層がフィラメント層の上に置かれる前に実施する必要がある。
【0048】
したがって、不織材料は、水流交絡された不織材料であり、それは、機械的に結合された不織材料を提供するようになる。この不織材料は、非常に良好な織物のような快適さを有すると同時に、非常に良好な吸引機能も有している。
【符号の説明】
【0049】
1 体に面するシート
2 第1の層
3 第2の層
4 フィラメント
5 ステープルファイバー
201 生理用ナプキン
202 トップシート
301 ボトムシート
302 吸収コア
303 トップシート
411 連続フィラメント
412 形成ワイヤ
413 発泡繊維分散物
414 ヘッドボックス
416 交絡ステーション
417 材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収用品において体に面するシートとして使用される、互いに一体化された少なくとも二つの層(2,3)を具備してなる不織材料(1)であって、前記第1の層(2)はスパンレイドフィラメント(4)を具備してなり、かつ前記第2の層(3)はステープルファイバー(5)を具備してなり、前記ステープルファイバー(5)は1.5dtex以下の太さを有しており、かつ前記フィラメント(4)は2.5dtex以上の太さを有していることを特徴とする不織材料。
【請求項2】
前記ステープルファイバー(5)は、0.7dtex以下の太さを有していることを特徴とする請求項1に記載の不織材料。
【請求項3】
前記ステープルファイバー(5)は、0.5dtex以下の太さを有していることを特徴とする請求項2に記載の不織材料。
【請求項4】
前記ステープルファイバー(5)は、6から40mmの長さを有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の不織材料。
【請求項5】
前記ステープルファイバー(5)は、6から20mmの長さを有することを特徴とする請求項4に記載の不織材料。
【請求項6】
前記フィラメント(4)は、3dtex以上の太さを有していることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の不織材料。
【請求項7】
前記フィラメント(4)は、人工フィラメントであることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の不織材料。
【請求項8】
前記フィラメント(4)は、ポリエチレンフィラメント、ポリプロピレンフィラメント、ポリアミドフィラメント、ポリエステルフィラメント、ポリアクリル系フィラメント、またはポリラクチドフィラメントであることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の不織材料。
【請求項9】
前記ステープルファイバー(5)は、人工ファイバーまたは絹繊維であることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の不織材料。
【請求項10】
前記ステープルファイバー(5)は、ポリエチレンファイバー、ポリプロピレンファイバー、ポリアミドファイバー、ポリエステルファイバー、ポリアクリル系ファイバー、ポリラクチドファイバー、ビスコースファイバー、リオセルファイバー、または絹繊維であることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の不織材料。
【請求項11】
前記ステープルファイバー(5)は、前記材料の重量に対して10〜40%を構成しており、かつ前記フィラメント(4)は、前記材料(1)の重量に対して60〜90%を構成していることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載の不織材料。
【請求項12】
前記層は、ともに水流交絡されたものであることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか一項に記載の不織材料。
【請求項13】
生理用ナプキン、パンティライナー、失禁プロテクターまたはおむつなどの吸収用品であって、体に面するシートとして、請求項1ないし請求項12のいずれか一項に記載された不織材料を具備してなることを特徴とする吸収用品。
【請求項14】
前記体に面するシートが、トップシートであることを特徴とする請求項13に記載の不織材料。
【請求項15】
前記第2の層が、使用中に、使用者の体に対して向けられるものであるであることを特徴とする請求項13に記載の不織材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−527738(P2010−527738A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510252(P2010−510252)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【国際出願番号】PCT/SE2007/050372
【国際公開番号】WO2008/147264
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(506215320)エスセーアー・ハイジーン・プロダクツ・アーベー (157)
【Fターム(参考)】