説明

吸引システム、方法、及びキット

ポンプヘッド(414)に流体連通する吸引ヘッドが、標的部位へ準周囲の作動圧力を提供して、廃液容器への排液を可能にする。受動圧力調整システム(135)が、作動圧力が所望のレベルで維持されることを可能にする。また、吸引システムのための観測システムが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸引システム及び方法に関し、詳細には、生理学的部位等に負圧を加えるシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、創傷もしくは熱傷への負圧の印加、並びに/或いは創傷もしくは熱傷の排液、気管の排液、器官及び歯科に関する治療を含む手術もしくは治療を受けている身体の他の部分からの流体の排液等の、身体部位への吸引の適用が有益であり得る多くの医療的状況がある。例えば、創傷へ印加された負圧が、創傷からの流体又は滲出物の排液を高め、組織増殖及び創傷治癒を促進する。この治癒方法(「吸角法」として知られる)は、古代ギリシアの医師の時代から19世紀まで行われた。
【0003】
多くのシステム及び方法が、医療用吸引を提供するために開発されてきた。
【0004】
特許文献1には、チューブによりキャニスタへ連結された多孔質気泡パッドを有する装置が開示されている。真空ポンプが、キャニスタを受容するための凹部を有するハウジング内に配置される。細菌フィルタが、キャニスタの排出口を覆って配置され、真空ポンプが、キャニスタの中へ創傷の排液流体を吸い込む。
【0005】
特許文献2には、吸引ポンプと、創傷から汲み出された流体を収容するためのキャニスタとを含むハウジングを有する可搬式の創傷治療装置が開示されている。ハウジングは、患者により着用されたハーネス又はベルト上に支持され、カテーテルにより創傷箇所の多孔質の当て具へ連結される。
【0006】
特許文献3には、駆動装置及びそれへ連結される係合解除可能なポンプシステムと、その中に固体、液体、及び気体が互いから分離され得る2室又は3室のキャニスタとを有する真空ポンプが開示されている。
【0007】
特許文献4においては、真空デシケータ低圧真空ポンプ及びトラップを、ユーザが着用して搬送可能である。この装置は、流体捕捉剤を収容するデシケータカートリッジを有し、デシケータカートリッジは、デシケータカートリッジの内室へ低真空圧を提供するための真空ポンプ部材へ連結される。単一通路の、一方向の、気体/液体流経路が、排液されるべき創傷を覆っている閉鎖包帯へ、デシケータカートリッジの吸入ポートを連結する。制御回路が、電源回路、湿度センサ、タイマ回路、真空圧センサ、及び差圧センサなどの、デバイスの作動を制御するための1つ又はそれ以上の補助回路を有する。
【0008】
特許文献5には、負圧が、組織移行を促進し、創傷の閉鎖を助長するように意図されるのに十分な時間及び大きさで、創傷へ印加される方法及び装置が開示されている。
【0009】
特許文献6においては、そこから流体が可搬式吸引ポンプを使用してカテーテルを介してキャニスタの中へ汲み出される創傷に、多孔質の当て具が使用される。ポンプは、ハウジングの中に含まれ、ハーネス又はベルトに装着される。キャニスタの過剰充填は、キャニスタの中に含まれるフィルタと、排液がフィルタを覆うと生じる、キャニスタとポンプとの間のチューブ中の圧力低下を検出する圧力センサとによって、防がれる。フィルタは、ポンプとキャニスタとの間に配置され、創傷箇所での圧力は、多孔質の当て具へ連結された導管により監視される。
【0010】
特許文献7には、流体源へ連結可能な吸入口と、吸引源へ連結可能な排出口とを有する流体収集容器が開示されている。容器は、容器が満杯である場合に排出ポートを閉じる閉鎖部材を含む。閉鎖部材は、排出口付近で容器へ設置される通気弁に一体化される。
【0011】
特許文献8には、包帯、容器、及び真空源を備えた、創傷を負った患者を治療するためのシステムが開示さている。包帯は、創傷の周囲を密閉し、創傷の上に真空が形成される空間を画成するカバーを備える。更に、包帯は、空間との連通を提供するポートを備える。容器は、創傷からの滲出物を受けるためのポートへ連結され、創傷の下方に配置されるように設けられる。真空源は、容器から離間され、容器へ連結される。
【0012】
特許文献9には、創傷に使用するためのベンチレーテッド包帯システムが開示されている。このシステムは、創傷の周囲に密閉環境を作るために創傷へ隣接して配置される包帯を有する。システムの真空源が包帯に連通して、包帯と創傷との間に負圧を生じさせる。また、このシステムは、包帯に連通し、周囲大気に連通している第1の通路すなわち通気孔と、包帯に連通し、真空源に連通している第2の通路とを有していてもよい。
【0013】
特許文献10において、創傷排液システムが、患者の創傷から流体を排液するために開示される。このシステムは、排液カテーテルを有し、吸引手段が、流体が創傷から排液されるように、排液カテーテルに吸引をかける。創傷から流体を排液する間に、制御装置が、能動的な態様で、排液カテーテルでの吸引のかけ具合を周期的に増減させる。
【特許文献1】国際公開96/05873号パンフレット
【特許文献2】国際公開97/18007号パンフレット
【特許文献3】国際公開03/016719号パンフレット
【特許文献4】米国特許第6,648,862号
【特許文献5】米国特許第5,645,081号
【特許文献6】英国特許第2,307,180号(欧州特許第0865304号)
【特許文献7】米国特許第4,739,791号
【特許文献8】国際公開03/030966号パンフレット
【特許文献9】国際公開03/057070号パンフレット
【特許文献10】米国特許第2005/192548号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本明細書において、「標的容積」という用語は、それへ準周囲圧力(sub-ambient pressure)を印加する及び/又はそこから流体を排液することが所望される、任意の身体、システム、或いは環境に関連するものである。非限定的な例として、そのような標的容積は、化学汚染物質及び/又は生物汚染物質及び/又は他の汚染物質で汚染され得て、それらに関してそこから汚染された流体を除去することが有益である、身体、システム、環境などを含んでもよい。
【0015】
本明細書において、「医療標的容積」という用語は、そこへ準周囲圧力を印加する及び/又はそこから流体を排液することが所望される人又は動物の体の(外部又は内部の)任意の部分に関連するものである。非限定的な例として、そのような標的容積は、創傷/熱傷、気管、胃、腸、任意の体腔(例えば、口腔内部、洞などを含む)、器官、又は手術が行われている、もしくはそれに関して出血がある、もしくはそれに関してそこから流体を除去することが有益である他の身体部分を含んでもよい。
【0016】
本明細書で使用される「流体」という用語は、液体及び/又は気体を含み、前記液体及び/又は気体と混合された固体を任意に含んでよい。
【0017】
本明細書でより明らかになるであろうが、圧力調整システムに関する「受動」は、圧力調整システムが、標的容積で真空レベルを計測すること及び所望の真空レベルからのずれを補正するためにポンプ流を変化させることなく(すなわち閉ループ制御の不在の状態において)、ポンプ流に応じて、すなわち開ループ制御を介して、標的容積で、予め定められた準周囲の所望の圧力を生成する及び/又は制御するように構成されることを指す。従って、本発明の受動圧力調整システムは、外部制御ユニットによって実質的に駆動されず及び/又は制御されない。
【0018】
本明細書において、「上流」及び「下流」という用語は、標的部位から(又は標的部位の中に向けて)ポンプヘッドの方へ、及びそれを越える、一般的な流れ方向に関するものである。同様に、「遠位」及び「近位」という用語は、標的部位から(又は標的部位の中に向けて)ポンプヘッドへ、及びそれを越える、一般的な流れ方向に関するものである。
【0019】
本発明の一態様によれば、本発明は、標的容積へ準周囲圧力を提供するための真空システム(又は装置)に関し、従って、そのような標的容積から流体が排液されるのを可能にする。従って、本発明には、そのような標的容積から流体を排液するための対応するシステムが包含される。特に、真空システムは、標的容積から離れ、そこに真空を生成するポンプを備え、標的容積における真空レベルが、多様な開ループ制御方法の任意の1つを介して制御されてよく、そこにおいて標的容積の真空レベルは、必ずしも直接的に計測される必要はない。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の同態様によれば、標的容積へ準周囲圧力を提供するための真空システムが、
前記標的容積に流体連通するようになされた吸入口装置を有する吸引ヘッドと、
前記吸引ヘッドに流体連通しており、前記吸引ヘッドに対する外部環境の外部周囲圧力を下回ってシステム中に予め定められた作動圧力を提供するようになされた真空ポンプと、
前記真空ポンプと前記吸入口装置との少なくとも一方に流体連通している前記標的容積から排液されてよい物質の収集のための収集容積を画成する廃液容器と、
前記廃液容器の上流で前記吸引ヘッドに流体連通し、前記外部環境に選択的及び恒常的のいずれか一方の状態で流体連通している、前記作動圧力を維持するための受動圧力調整システムとを備える。
【0021】
幾つかの実施形態において、圧力調整システムは、周囲圧力の空気に対して予め定められた所与の圧力を下回る前記作動圧力の低下に応じた、システム中への周囲圧力の前記空気の進入を可能にし、前記所与の圧力が回復された場合に前記進入を中断させるようになされた通気弁装置を備える。任意には、通気弁装置は、弁座を有し、前記周囲空気に流体連通している吸入ポートと、前記真空システムに流体連通している排出ポートと、前記作動圧力が前記所与の圧力未満である場合に弁シールに作用する、圧力に誘起された力を実質的に下回る大きさの、圧力に誘起された力に対して概して反対方向への付勢力を生成する弾性要素によって、前記弁座に対して密閉的に閉じるために付勢される弁シールとを備えてよい。更に任意には、通気弁装置は、前記所与の圧力を調節するための調節機構を備えてよい。
【0022】
他の実施形態において、圧力調整システムは、前記標的容積と前記周囲空気との間で選択的な流体連通を可能にする前記吸引ヘッドへ連結されて、予め定められた所与の圧力を下回る前記作動圧力の低下に応じた、前記標的容積の中への周囲空気の進入を選択的に可能にし、前記所与の圧力が回復された場合に前記進入を中断させる。任意には、圧力調整システムは、前記作動圧力が前記所与の圧力を下回る場合に、真空ポンプの排出ポートからの流体と、前記外部周囲空気との少なくとも一方の進入を可能にするように、前記真空ポンプの前記排出ポートと、前記外部周囲空気とに選択的に流体連通してよい。
【0023】
本発明の幾つかの実施形態によれば、標的容積へ準周囲圧力を提供するための真空システムが、
前記標的容積に流体連通するようになされた吸入口装置を有する吸引ヘッドと、
前記吸引ヘッドに流体連通し、前記吸引ヘッドに対して外部環境の外部周囲圧力を下回って前記システム中に予め定められた作動圧力を提供するようになされた真空ポンプと、
前記真空ポンプの排出ポートに流体連通する前記標的容積から排液されてよい物質の収集のための収集容積を画成する廃液容器と、
前記廃液容器の上流で前記吸引ヘッドに流体連通する排出口を有し、前記収集容積に選択的に流体連通する吸入口を有する、前記作動圧力を維持するための受動圧力調整器と
を備えて、提供される。
【0024】
圧力調整器は、前記外部周囲圧力に対して予め定められた所与の圧力を下回る前記作動圧力の低下に応じた、システム中への外部周囲空気の侵入を可能にし、並びに前記所与の圧力が回復された場合に前記進入を中断させるようになされた通気弁装置を備えてよい。通気弁装置は、前記周囲空気に選択的に流体連通する弁座を有する吸入ポートと、前記作動圧力が前記所与の圧力未満である場合に弁シールに作用する、圧力に誘起された力を実質的に下回る大きさの、圧力に誘起された力に対し概して反対方向への付勢力を生成する弾性要素によって、前記弁座に対して密閉的に閉じるために付勢される弁シールとを備えてよい。ポンプは、手動の容易な態様で電動式ポンプ駆動ユニットに可逆的に係合可能なポンプヘッドを備えてよく、前記容器は、前記ポンプヘッドと一体型である、すなわちそれと共に一体的に形成される、又はそれへ適当に接合される。
【0025】
本発明の他の態様によれば、真空システムは、標的容積から離れ、そこで真空を生成するポンプを備え、そこにおいて真空レベルの変化は、真空レベルを必ずしも直接的に計測する必要のない間接的な方法を介して、観測されてよい。同観測は、閉塞部分とポンプとの間に高真空レベルを引き起こす閉塞がシステム中で特定されることを可能にし、また真空の低下があると、システム中で漏出が特定されるのを可能にする。
【0026】
吸引ヘッドは、吸引される特定の標的容積へ一般的に適している、限定のない任意の形状、寸法、又は形態であってよい。例えば標的容積が創傷、熱傷、及び同様のものに関連付けられるような、体外への適用例に関し、吸引ヘッドは、前記標的容積を含む密閉容積を画成するように、創傷/熱傷の周囲に密閉可能な包囲具を備えてよい。例えば気管排液及び同様のものなどの体内への適用例において、吸引ヘッドは、前記ポンプに流体連通する少なくとも1つの穴を有する排液カテーテル又は他の同様の装置を備えてよく、前記吸入口装置は、前記標的容積と前記少なくとも1つの穴との間に流体連通を提供するようになされた少なくとも1つの孔を備える。
【0027】
圧力調整システムは、前記外部周囲圧力に対して予め定められた所与の圧力を下回る前記作動圧力の低下に応じた、システム中への周囲空気の侵入を可能にし、並びに前記所与の圧力が回復された場合に前記進入を中断させるようになされた通気弁装置を備えてよい。通気弁装置は、弁座を有し、前記周囲空気に流体連通する吸入ポートと、前記真空システムに流体連通する排出ポートと、前記作動圧力が前記所与の圧力未満である場合に弁シールに作用する、圧力に誘起された力を実質的に下回る大きさの、圧力に誘起された力に対し概して反対方向への付勢力を生成する弾性要素によって、前記弁座に対して密閉的に閉じるために付勢される弁シールとを備えてよい。
【0028】
任意には、通気弁装置は、前記所与の圧力を調節するための調節機構を備える。弁装置の一形態において、前記調節機構は、前記付勢力の大きさを調節するための付勢調節装置を備える。弾性要素は、前記弁座の方へ前記弁シールを強制するように適当なハウジング内に設けられた圧縮ばねを備えてよく、前記付勢調節装置は、前記ばねの圧縮を調節するための圧縮制御機構を備える。
【0029】
圧力調整システムは、前記標的容積と前記周囲空気との間の選択的な流体連通を可能にする吸引ヘッドへ連結されてよく、予め定められた所与の圧力を下回る前記作動圧力の低下に応じた、前記標的容積の中への周囲空気の進入を可能にし、前記所与の圧力が回復された場合に前記進入を中断させる。
【0030】
いかなる場合においても、圧力調整システムは、廃液容器の上流又は遠位の位置に設けられてよく、更に、吸引ヘッドの近傍に、すなわち直ぐ下流又は近位に、或いは吸引ヘッドに構成されて、標的容積へ可能な限り近接して配置されてよい。幾つかの実施形態において、圧力調整システムは、例えば吸引ヘッドが創傷包囲具を備える場合に、吸引ヘッドの上流又は遠位に配置されてもよい。設置位置は、圧力調整弁が実際に配置される位置、又は圧力調整システムが、真空システムの特定の位置へ圧力調整弁の圧力を伝達するため、その下流の専用導管を備える位置を指し、実際にはそのような導管は、真空システムへ連結される。「近傍」は、圧力調整システムが、3つの構成要素間の流体流路に関して、廃液容器へに比べて、吸引ヘッドへより近くてよい、ということを指す。
【0031】
従って、受動圧力調整システムは、前記廃液容器の上流で前記吸引ヘッドに流体連通している。
【0032】
圧力調整システムは、直接的に又は適当な導管を介して、前記吸引ヘッドへ連結されてよい。幾つかの実施形態において、圧力調整システムは、前記作動圧力が前記所与の圧力を下回る場合に、前記真空ポンプの排出ポートからの流体と、前記外部周囲空気との少なくとも一方の進入を可能にするように、前記真空ポンプの排出ポートと前記外部周囲空気とに、選択的に流体連通してよい。
【0033】
従って、選択式通気弁装置を備える本発明の受動圧力調整システムの実施形態は、圧力調整システムを通る空気進入の実量流量に関わらず、吸引ヘッドで又は吸引ヘッド付近での圧力の特定の変化に直接的に応じて作動し、従って設定作動圧力からの任意の逸脱にほぼ即時に反応して、真空システム中の作動圧力を実質的に継続的に維持するように作動する。
【0034】
本発明の更に他の実施形態においては、圧力調整システムは、前記吸引ヘッドと、前記作動圧力が前記吸引ヘッドで維持されるのを可能にし、同時に前記通気装置を通る前記吸引ヘッドの中への周囲空気の所望の流量を可能にするために、前記外部環境との間、及び所望の灌注物質を用いた前記標的容積の灌注を可能にするために、灌注源との間の、少なくとも一方で、実質的に恒常的な流体連通を少なくとも前記システムの作動中に提供するようになされた通気装置を備える。任意には、通気装置は、前記所望の流量を供給するのに適合した有効流路面積を有する、少なくとも1つの放血孔を備えてよい。外部周囲空気が血孔を通りポンプへ流れるため、血孔又は他の孔が、その間で予め定められた圧力の低下を生じさせる。フローレベルが、血孔の間で所望の真空レベルを生成し、血孔は、標的容積に連結された場合に標的容積でそのような真空制御を可能にする。空気が、流れを制限するそのような血孔を通り流れる場合に、圧力差が、そこを通る流れを強制するためにそのような孔の間に生成される必要がある。増大させるために、流れは、差圧の増大を要し、(ポンプを介して流れを制御することにより)血孔を通る流れを変化させ又は制御することによって、差圧は、任意の所望のレベルへ制御されることが可能である。血孔の一方の側が周囲圧力であるため、そのような血孔の間の生成された差圧は、ポンプの特定の設定に応じて、そのような血孔の他方の側に準周囲圧力を提供する。
【0035】
幾つかの実施形態において、放血孔は、吸引ヘッドを介して標的容積へ通気するために使用されてよく、一方他の実施形態においては、放血孔は、吸引ヘッドとポンプとの間の導管の中の、閉塞を防止するため及び/又は任意の閉塞物(流体、凝固物、滲出物などを含む)を除去するためだけに使用されてよい。更に他の実施形態においては、放血孔は、標的容積の通気のため、及び導管から閉塞物を除去するためにも使用される。
【0036】
本発明の他の実施形態において、システムは、
標的容積に流体連通するようになされた吸入口装置を有する吸引ヘッドと、
前記吸引ヘッドに流体連通しており、外部周囲圧力を下回って前記システム中に作動圧力を提供するようになされた真空ポンプと、
前記真空ポンプと前記吸入口装置との少なくとも一方に流体連通している前記標的容積から排液されてよい物質の収集のための収集容積を画成する廃液容器と、
を備え、前記吸引ヘッドは、吸引ヘッドが通気されるのを可能にするための通気装置を備える。
【0037】
例えば、通気装置は、従来の創傷包囲具とは区別可能な、創傷包囲具を通気させ又は非気密にする放血孔を備えてよい。真空ポンプにより生成された負圧に応じた、創傷包囲具中の放血孔からの空気の流れが、他の場合ではチューブを凝固させ、乾燥させ、及び閉塞させるおそれのある滲出物の除去を容易にし、並びに創傷包囲具の真空レベルを制御する。
【0038】
本発明の他の態様によれば、開放創から滲出された液体より開放創を排液するための方法が提供される。方法は、
包囲具を提供し、密閉容積を画成するように創傷の周囲にそれを密閉させる工程と、
真空ポンプへ密閉容積を連結させる工程と、
真空ポンプへ、排液された液体の収集のための廃液容器を連結させる工程と、
創傷から滲出された液体を汲み出すために前記真空ポンプを作動させる工程とを含む。
【0039】
任意には、密閉容積が、真空ポンプの吸入口へ連結され、廃液容器が、排液された液体が前記真空ポンプを通り流れるように、真空ポンプの排出口へ連結される。
【0040】
方法は、周囲空気がチューブに進入し、排液された被滲出液体と共に流れることが可能となるように、放血孔を有する包囲具を使用する工程を含んでよい。
【0041】
任意には、気体が、排液された被滲出液体から分離され、除去されてよい。
【0042】
本発明の他の態様によれば、上述の方法を実施するための真空システムが提供される。真空システムは、例えばPCT出願第WO03016719号に開示される廃液収集バッグと共に、全体として使い捨て可能な真空ポンプを使用してよい。真空ポンプは、気体及び液体及び/又はそれらの任意の組合せを汲み上げるようになされた、2室隔膜ポンプであってよい。真空ポンプは、その排出ポートへ取り付けられた廃液バッグへ、その吸入ポートへ侵入する空気及び流体を汲み上げることが可能であってよい。廃液バッグは、それがそれへ進入する非気体の流体だけを収集するように、大気へ通気されてよい。
【0043】
真空ポンプは、ポンプ駆動ユニットへ取外し自在に作動可能に結合されるポンプヘッドを備えてよく、前記ポンプヘッドは、前記廃液容器へ固定される、又は前記廃液容器と一体型である。
【0044】
特に、ポンプヘッド及びポンプ駆動ユニットは、道具を必要とせずに、2つの構成要素の、迅速で、容易で、単純な、手動による連結及び分離が可能となるようになされている。従って、ポンプヘッド及びポンプ駆動ユニットは、相互に取付け及び取外し可能である。
【0045】
ポンプヘッドは、ポンプ室と、ポンプ室の部分を画成する往復動可能なポンプ部材とを備え、ポンプ室は、ポンプ駆動ユニットの中に含まれる往復動部材の形態の駆動要素の作動下で、ポンプ部材の2方向へ押しやられる往復運動により、膨張し収縮するようになされる。ポンプヘッド及びポンプ駆動ユニットは、ポンプ駆動ユニットへのポンプヘッドの取付けによって、往復動ポンプ部材及び駆動要素(往復動部材)が、ポンプ駆動ユニットの作動の際に駆動要素によりそれらの係合及びポンプ部材の往復運動を可能にする位置へ配置されるように、構成される。
【0046】
ポンプ駆動ユニットは、第1の取付手段を備えてよく、前記ポンプヘッド及び/又は容器は、第2の取付手段を備えてよく、2つの取付手段は、道具なしの簡単な操作により、ポンプ駆動ユニットへのポンプヘッドの前記取付けを可能にする。更に、ポンプヘッド及びポンプ駆動ユニットは、前記第1及び第2の取付手段が、道具なしの最も手動的な解除及び1つの取外し動作を含む操作によって、前記ポンプからの前記駆動ユニットの取り外しを可能にし、並びに同取外し動作が、前記駆動要素から前記相補的なポンプ部材を係合解除するように、構成されてよい。
【0047】
ポンプヘッドは、ポンプ吸入ポート及びポンプ排出ポートを備えてよく、ポンプ部材は、前記真空システム中で前記作動圧力を誘起するために、前記ポンプ駆動ユニットにより往復運動可能な、適当な変形可能な隔膜装置の形態であってよい。同時に、駆動ユニットは、往復動部材を駆動するための往復駆動装置を備えてよく、前記隔膜は、前記ポンプヘッドが前記ポンプユニットへ結合されるのに応じて、前記往復動部材に取外し自在に係合可能である。往復動部材及び隔膜は、相互に結合された場合に、空気が追い出されるため、真空がその間に生成され、真空が、一般的には自動的にポンプヘッドがポンプ駆動ユニットから分離されると、ユーザが往復動部材と隔膜とを互いから能動的に分離させるまで、2つの構成要素を結合された状態に維持するように、等角的に形作られてよい。例えば、往復動部材及び隔膜の一方が、往復動部材及び隔膜の他方の実質的に滑らかな面に対して係合させるための、吸引カップ装置を備えてよい。従って、ポンプ駆動装置ハウジングへポンプヘッドを装着することにより、それにより一方の往復運動が他方の往復運動をもたらすような位置へ、ポンプ駆動装置の往復動要素とポンプヘッドとを置く。ポンプヘッドとポンプユニットとの間の自動的な係合を可能にする他の装置が、提供されてよい。
【0048】
本発明によれば、ポンプは、電動式往復動ポンプであってよく、往復動部材は、例えば第2の隔膜を有する往復動ヘッドの形態、又はピストンヘッド装置の形態であってよい。
【0049】
ポンプヘッドの一部が、廃液容器の中に収容されてよく、ポンプ隔膜は、前記収集容器から概して離れる方向へ向いており、前記ポンプ吸入ポート及びポンプ排出ポートは、前記収集容積内に少なくとも部分的に存在する。一実施形態において、ポンプ吸入ポートは、容器の壁を貫通する導管を介して前記吸引ヘッドに流体連通しており、前記ポンプ排出ポートは、前記収集容積に流体連通しており、前記廃液容器は、前記外部周囲空気へ通気される。
【0050】
他の実施形態において、ポンプ吸入ポートは、前記収集容積を介して吸引ヘッドに流体連通しており、前記ポンプ排出ポートは、前記外部周囲空気へ通気される。そのような実施形態において、圧力調整システムは、適当な第1の導管を介して前記吸引ヘッドへ作動可能に連結されてよく、前記圧力調整システムは、予め定められた所与の圧力を下回る前記作動圧力の低下に応じた、前記標的容積の中への、前記真空ポンプの排出ポートからの流体と、外部周囲空気との少なくとも一方の進入を可能にするように、並びに前記所与の圧力が回復された場合に前記進入を中断させるように、前記ポンプ排出ポートと前記外部周囲空気とに選択的に流体連通している。更に、廃液容器は、適当な第2の導管を介して前記吸引ヘッドに流体連通してよく、任意には第1の導管及び第2の導管は、相互に流体連通してよい。
【0051】
ポンプヘッド、廃液容器、吸引ヘッド、及び圧力調整システムの、少なくとも幾つか、好ましくは全てが、使い捨て可能であるように構成される。任意には、ポンプヘッド及び廃液容器は、ラッチ装置によって前記ポンプ駆動ユニットに可逆的にロック可能に係合される。
【0052】
標的容積は、創傷、熱傷、又は同様のものに関連付けられた医療標的容積を含んでよく、前記吸引ヘッドは、前記標的容積を含む密閉容積を画成するように、創傷、熱傷、又は同様のもののそれぞれの周囲に密閉可能な包囲具を備えてよい。
【0053】
本発明の一態様によれば、開放創から滲出された液体より開放創を排液するための使い捨て可能な組立体が提供される。組立体は、密閉容積を画成するように創傷の周囲に取付け可能な包囲具と、負圧が密閉容積の中に生成され得るように包囲具へ連結される真空ポンプユニットと、真空ポンプユニットへ連結される廃液容器とを備える。真空ポンプユニットは、ポンプユニットを作動させるための駆動ユニットへ取外し自在に取り付けるための手段を有する。包囲具は、真空ポンプユニットの吸入口へ連結され、廃液容器は、真空ポンプユニットが作動される場合に、廃液された液体がそれを通り流れるように、真空ポンプユニットの排出口へ連結される。
【0054】
ポンプユニット及び駆動ユニットは、簡単な手動操作により取付け及び取外しされるようになされてよい。
【0055】
包囲具は、例えば上述のような放血孔を有してよい。
【0056】
真空ポンプユニットは、気体及び液体及び/又はそれらの任意の組合せを汲み上げるようになされた2室隔膜ポンプを備えてよい。
【0057】
廃液容器は、排液された液体を吸上げるようになされた多孔質媒体を含んでよく、収縮可能な又は折り畳み可能な袋の形態であってよい。
【0058】
排液された液体及び空気は、使い捨て可能な組立体の部品のみに接触する。次いで、排液された被滲出液体は、使い捨て可能な組立体と共に処分されてよい。より具体的には、ポンプユニットは、それへ連結されたチューブ及びその内容物を有する連結された廃液バッグと共に、並びにチューブを介してポンプユニットへ連結されてよい創傷包囲具と共に、使用後に処分されてよい。
【0059】
本発明の他の態様によれば、標的容積へ準周囲圧力を提供するための真空システムは、
前記標的容積に流体連通するようになされた吸入口装置を有する吸引ヘッドと、
前記吸引ヘッドに流体連通し、前記吸引ヘッドに対する外部環境の外部周囲圧力を下回って前記システム中に予め定められた作動圧力を提供するようになされている真空ポンプと、
前記標的容積から排液されてよい物質の収集のための収集容積を画成し、前記真空ポンプの上流部分へ結合される第1の廃液容器と、
前記標的容積から排液されてよい物質の収集のための収集容積を画成し、前記真空ポンプの下流部分へ結合される第2の廃液容器と
を備える。
【0060】
本発明によれば、廃液容器及びポンプは、創傷包囲具に対して任意の番号順で連結されてよく、例えば廃液容器について、ポンプに対して創傷包囲具から(吸引ヘッドからの流体流経路の観点において)遠位及び/又は近位に配置されてよい。
【0061】
また、本発明は、ポンプ駆動ユニット以外のシステムの全要素を特に備える、本発明のシステムと共に使用するためのキットに関する。これらの要素は、使い捨て可能であってよく、例えばポンプ駆動ユニットの経済コストに比較して、又はそのような構成要素の洗浄、滅菌、再生利用に関連する経済コストに比較して、経済コストが比較的低い。従って、そのようなキットは、
電気式ポンプ駆動ユニットへ取外し自在に作動可能に連結されるようになされ、その作動中にポンプを介して作動流体が汲み上げられることを可能にするためのポンプ吸入口及びポンプ排出口を備える真空ポンプヘッドと、
前記真空ポンプヘッドの少なくとも1つに流体連通する、排液された物質の収集のための収集容積を画成する廃液容器と
を備えてよく、前記真空ポンプヘッドは、前記ポンプ吸入口及び前記ポンプ排出口の少なくとも1つが、前記収集容積の中に収容されるように、前記廃液容器へ取り付けられるか、又は前記廃液容器と一体型であるかの一方である。
【0062】
従って、またそのようにキットは、本明細書に開示された、特に以下の少なくとも1つの吸引ヘッド及び/又は受動圧力調整システムを任意に備える。
-前記標的容積に流体連通するようになされた吸入口装置を有する吸引ヘッド
-前記標的容積を含む密閉容積を画成するように、創傷の周囲に密閉可能な包囲具を備える吸引ヘッドであって、前記包囲具は、前記廃液容器と前記ポンプ吸入口との少なくとも一方に流体連通する、吸引ヘッド
-前記作動圧力を調整するための受動圧力調整システム
【0063】
また、本発明は、本明細書に開示されるキットの全要素と、ポンプ駆動ユニットとを備える真空システムに関し、真空ポンプは、前記吸引ヘッドに流体連通しており、真空ポンプは、外部周囲圧力を下回って前記システム中に作動圧力を提供するようになされ、前記真空ポンプは、前記ポンプ駆動ユニットへ取外し自在に作動可能に連結された前記ポンプヘッドを備え、前記ポンプヘッドは、ポンプ吸引ポートと、ポンプ排出ポートと、前記真空システム中で前記作動圧力を誘起するための前記ポンプ駆動ユニットにより往復運動可能な、適当な変形可能な隔膜装置とを備える。
【0064】
また、本発明は、
(a)外部周囲圧力を下回って前記標的容積の中に作動圧力を誘起させる工程と、
(b)前記標的容積からの排液された物質の収集のための収集容積を提供する工程と、
(c)前記標的容積から前記収集容積への前記物質の流れを補助するために、前記標的容積と前記収集容積との間で正圧勾配を維持するように、前記標的容積中の作動圧力を調整する工程とを含む、標的容積へ準周囲圧力を提供するため、又はそこから流体を排液するための方法を対象とする。
【0065】
任意には、工程(c)は、前記外部周囲圧力に対して予め定められた所与の圧力を下回る前記作動圧力の低下に応じた、標的容積で又は標的容積付近での外部周囲空気の進入を可能にする工程と、前記所与の圧力が回復された場合に前記進入を中断させる工程とを含む。更に任意には、方法は、外部周囲空気の前記進入と共に、前記収集容積と前記標的容積又はその近位との間で、流体、特に空気の再循環を可能にする工程を含んでよい。
【0066】
任意には、工程(c)は、前記作動圧力が標的容積で維持されるのを可能にし、同時に標的容積中への周囲空気の所望の流量を可能にするように、標的容積への外部周囲空気の実質的に継続的な進入を選択的に可能にする工程を含む。
【0067】
任意には、方法は、前記標的容積で前記作動圧力の誘起を交互に行い、外部周囲圧力への前記標的容積の通気を交互に行うことによって、前記標的容積へ脈動圧力を提供する工程を含む。
【0068】
従って、本発明によれば、ポンプヘッドに流体連通する吸引ヘッドは、治療部位へ準周囲の作動圧力を提供し、廃液容器へのその排液を可能にし及び/又は部位での治癒を強化する。受動圧力調整器は、システムを通る流体流とは無関係に作動圧力が所望のレベルで維持されるのを可能にし、一方で通気装置は、プリセットの制御された流れに依存する。
【0069】
真空システムは歩行可能な患者により携帯されるようになされてよい。
【0070】
本発明の幾つかの特徴は以下を含むものである。調節可能な圧力調整器又は安全弁が、創傷に印加される真空条件又は負圧すなわち準周囲圧力が、ポンプ流又は創傷からポンプの方向へ流れる滲出物に関わらず、受動的な態様でそれにより正確に制御され得るように、創傷包囲具に一体化されてよく、又はチューブもしくは導管を介してそれと流体連通してよい。負圧が、その中で滲出物がそのような負圧の力により移動されるチューブの一方の端部で制御される場合、差圧が滲出物を通して生成され、これが滲出物を移動させる。同差圧は、調整器の設定圧力を変更する。本発明において、調整器の圧力は、実質的に滲出物のない導管によって創傷へ直接的に伝達されることができ、これにより吸引箇所において負圧を正確に制御する。
【0071】
準周囲圧力が、圧力調整器の設定レベルに達すると、調整器は、プリセットの準周囲圧力のレベルを維持するために、概して創傷の方向へ空気流を導くように開く。圧力調整器から概して創傷の方向への空気の流れが、滲出物又は創傷からの他の流体が、圧力調整器へ進入するのを、又は適切な場合には、調整器と創傷との間のチューブもしくは導管へ進入するのを実質的に防ぐ。圧力調整器を介した空気の流れは、概して継続的なものであり、実際の空気流とは無関係に設定真空レベルでシステムが作動するのを可能にし、従来の非通気の創傷包囲具と、真空条件が通気孔を通る流れに依存するようにする通気開口により通気された創傷包囲具とから区別可能であるように、創傷包囲具を通気させ又は非気密にする。
【0072】
ポンプ流は、調整器の設定負圧が、実際の流れとは無関係に、調整器が周囲へ開くと直ぐにほぼ即時的に得られ、低ポンプ流、低エネルギー消費、及び実質的に無音のすなわち低騒音の(音響的)作動を可能にするため、(本明細書においては安全弁とも呼ばれる)調整器の全ての負圧設定で低いことが可能である。そのような負圧を生成するポンプから離れた位置での負圧制御の説明された方法は、医療吸引などの様々な適用例について使用されてよい。ほとんどの医療的な適用例においては、高吸引で起こり得る組織の損傷を避けるために、予め定められた範囲内での吸引を維持することが望ましいであろう。
【0073】
本発明の他の態様によれば、負圧調整弁と一体化された廃液収集キャニスタ又は容器が提供され、それにより安全弁に進入する空気は、負圧を生成するために汲み上げられた空気となり、従って閉ループ中のポンプ流の循環は、他の負圧システムで普通に見られるように、汚染された汲み上げられた空気が周囲へ排出されるのを防ぐ。
【0074】
本発明の他の態様によれば、上述の方法を実施するための真空システムが提供される。真空システムは、全体として使い捨て可能な真空ポンプを使用してよく、それによりポンプは、その駆動装置へポンプを取り付けることが同時に廃液容器を取り付けることになるように、廃液容器に一体化される。廃液容器へのポンプの一体化は、ポンプと廃液容器との間の任意の導管を不要にし、処分の容易性を実現し、防音壁の代わりになる廃液容器によってその周囲から隔てられたポンプにより生成される騒音レベルを低減させる。
【0075】
本発明の他の態様によれば、駆動装置が隔膜に接触する場合に吸引結合があることにより、その駆動装置へポンプを係合させるための、吸引カップとして作動するその外面を有する隔膜を有する使い捨て可能なポンプを提供する。
【0076】
本発明の少なくとも幾つかの実施形態の他の特徴は、ポンプ駆動ユニットが、流れ又は創傷箇所への圧力脈動を誘起させ得て、次いで創傷の排液を高め得るような往復運動の態様で、真空ポンプを作動させることである。同パルス効果は、ポンプ吸入口が、廃液キャニスタを介してではなく創傷包囲具へ直接的に連結される実施形態において、高められ得る。
【0077】
本発明の少なくとも幾つかの実施形態の他の特徴は、圧力調整器により提供された選択的な通気効果が、その中の圧力が閾値レベルを下回って低下した場合に、創傷包囲具を通気させる役割を果たし、滲出物が乾燥し又は凝固してチューブを閉塞させる前に、包囲具から廃液収集容器中へと導管を進入する滲出物の比較的迅速な移動を可能にする。
【0078】
本発明の少なくとも幾つかの実施形態の他の特徴は、任意には創傷包囲具及び導管と共に、ポンプヘッド及び廃液容器を備える一体型ユニットが、ポンプ駆動ユニットから容易に分離され、使用後に処分されてよく、先行技術のポンプ部品の防染のそれに対し、代替的な経済的及び医学的な解決策を提供する。
【0079】
本発明の少なくとも幾つかの実施形態の更に他の特徴は、それが、先行技術のデバイスの作動に比較して、概して低減された作動騒音レベルを実現することが可能であることである。例えば、本明細書で説明された実施形態においては、ポンプヘッドは、廃液容器内に収容され、これが、ポンプ駆動ユニットにより生成された任意の騒音を減衰させる。更に、廃液容器がポンプヘッドを介して創傷包囲具に流体連通している実施形態においては、少量の空気だけが、必要とされる真空条件を実現するために創傷包囲具から除去される必要がある。そのような実施形態において、ポンプは、比較的低流量を必要とされて、比較的低速度で作動されてよく、これは対応する低騒音の利点を有する。
【0080】
幾つかの実施形態の特徴は、廃液容器の中のスリーブ内に収容された圧力調整器を有することによって、調整器を介してシステム中へと戻るように創傷から汲み上げられた空気を再循環させることが可能であり、汚染された空気が排気されて環境中へ戻る可能性を低減し、また廃液容器と、チューブ、調整器、及び創傷包囲具などの使い捨て可能な周辺装置との処分を容易にすることである。
【0081】
本発明の他の態様によれば、真空システムは、基準圧力を下回って前記システム中に予め定められた作動圧力を提供するようになされた真空ポンプを備えて提供され、前記真空ポンプは、電動式ポンプ駆動ユニットへ作動可能に結合されるポンプヘッドを備え、前記作動圧力を観測するための非流体侵襲性観測システムを更に備え、前記観測システムは、前記電動式ポンプの作動パラメータを観測するための少なくとも1つのセンサと、前記作動パラメータに対応する観測されたデータを閾値データと比較するための比較測定器とを備え、前記作動パラメータは、前記真空ポンプにより提供される前記作動圧力の大きさに直接的に関係する。「非流体侵襲性観測」は、前記観測が、その圧力が決定されることが望ましい吸引システム中の流体と観測手段との間の任意の流体連通を回避するような様式でなされ、従って流体圧力へ露出され及び/又は流体圧力を直接的に計測する任意のセンサを排除することを指す。
【0082】
観測システムは、前記観測されたデータが前記閾値データの大きさを超過する又は下回る場合に作動されるように構成された、適当な警報器を備えてよい。観測システムは、任意の適当な態様で前記観測されたデータを表示するための表示装置を備えてよい。駆動ユニットは、電気モータを備え、少なくとも1つの前記パラメータが、モータ電流、モータ電圧、モータ動力、モータ回転速度、モータトルクから任意の1つを含む。
【0083】
逆に、システム中の漏出がポンプへの負荷を低減し、それが低真空レベルで作動している場合、作動しているポンプのそのような低負荷は、任意の箇所での真空レベルの任意の直接的な計測を行う必要なく、漏出に直接的に関係付けられることが可能である。モータ電流は、制御され、ポンプ負荷/真空レベルへ直接的に関係する1つのパラメータであり得る。従って、制御システムは、記録された基準からの任意の偏差が、ポンプへの過剰負荷-閉塞、又は低減されたポンプ負荷-漏出のいずれかの指摘となり得るように、ポンプが適切に作動しており適切な真空レベルを生成している場合のモータ電流を制御する。
【0084】
従って、真空システム中で真空ポンプにより生成された作動圧力を間接的に観測するための方法が提供され、前記作動圧力は、基準圧力を下回っており、前記真空ポンプは、電動式ポンプ駆動ユニットへ作動可能に結合されたポンプヘッドを備え、当該方法は、前記電動式ポンプの作動パラメータを観測する工程と、前記作動パラメータに対応する観測されたデータを閾値データと比較する工程とを含み、前記作動パラメータは、前記真空ポンプにより提供された前記作動圧力の大きさに直接的に関係する。
【0085】
当該方法は、前記観測されたデータの大きさが、前記閾値データの大きさを超過する又は下回る場合に、警報器を始動させる工程を更に含むことができる。
【0086】
当該方法は、任意の適当な態様で、前記観測されたデータを表示する工程を更に含むことができる。
【0087】
少なくとも1つの前記パラメータは、モータ電流、モータ電圧、モータ動力、モータトルクから任意の1つを含んでよい。
【0088】
従って、本発明の同態様によれば、真空ポンプが、駆動ユニットと、予め定められたレベルの負圧が密閉容積の中で維持されるように駆動ユニットを駆動するようになされた制御ブロックとを有するような、上述の真空システムが提供される。制御ブロックは、駆動ユニットの作動パラメータを感知するためのセンサと、前記予め定められたレベルを維持するために、これらの作動パラメータから、密閉容積の中の負圧のレベルを引き出すための手段とを有する。センサは、密閉容積に流体連通していない。例えば、駆動ユニットは、直流電気モータを備えてよく、センサは、モータを駆動する電流を感知してよい。負圧制御の同一の機能が、モータ出力シャフトとポンプとの間に配置された調節可能なトルク制限クラッチによって遂行されてよい。制御ブロックは、予め定められたレベルの負圧が維持されない場合にユーザに警告するために、警報手段が設けられてよい。
【0089】
真空ポンプが使い捨て可能なポンプユニットを備え、駆動ユニットがポンプユニットへ取外し自在に取付け可能である場合に、観測手段を有する制御ブロックは、使い捨て不可能である駆動ユニットに関連付けられると好ましい。
【0090】
従って、間接的な手段が、それへ印加される負圧を有するシステムの任意の箇所への、真空センサ、変換器、又は計器の任意の直接的な接続を行うことなく、創傷へ印加される負圧のレベルを制御する又は観測するために提供される。間接的な負圧観測及び制御は、汚染されている又は伝染性であるおそれのある汲み上げられた媒体に接触し得るシステムの任意の箇所の処分の必要に由来するものである。従って、システム中の全ての使い捨て可能な構成要素は、使用後のそれらの廃棄を促進するため、比較的低コストなものであってよい。圧力変換機、真空計又はセンサは、比較的高価であり、従って通常は使い捨て可能なものとして考えられない。
【0091】
以下、本発明を理解し、それが実際にどのように実施され得るかを理解するために、多数の実施形態が、添付の図面を参照して、非限定的な実施例のみによって説明されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0092】
医療標的容積へ準周囲圧力を提供し、すなわち印加し、そこから流体が排液されるのを可能にするための本発明の第1の実施形態による真空システムが図1に示されており、参照番号10により一般的に示されるシステムは、吸引ヘッドと、真空ポンプ50と、廃液キャニスタ又は容器31と、圧力調整器35とを備える。
【0093】
吸引ヘッドは、標的容積に流体連通するようになされた吸入口装置を有し、創傷包囲具12の形態であってよく、これは、例えば創傷を含む標的容積と結合される。包囲具12は、身体34上の創傷箇所の周囲に密閉可能である外縁部51を有する。包囲具12は、そこから吸引下において、生物学的物質又は非生物学的物質を含んでよい液体及び他の流動可能な物質を除去することが所望される、創傷の露出された部分にわたる標的容積を含む密閉容積Vを画成するが、場合によっては、その治癒を促進するために創傷の上の密閉容積Vの中で負圧を維持することだけが所望されてもよい。
【0094】
他の実施形態において、吸引ヘッドは、例えば口腔内部、気管、手術を受けている身体器官などの医療標的部位へ予め定められた真空を印加するため、例えば排液カテーテル又は同様のものを、代替的に備えてよい。そのような排液カテーテルは、ポンプ50に流体連通している少なくとも1つのルーメンを備えてよく、吸入口装置は、標的容積と少なくとも1つのルーメンとの間に流体連通を提供するようになされた少なくとも1つの孔を備えてよい。
【0095】
ポンプ50は、電動式ポンプであり、それを用いて作動させるためのポンプ駆動ユニット40へ取外し自在に結合されるポンプヘッド14を備える。駆動ユニット40は、電気モータ39などの電動式ドライブを収容するハウジング52と、モータを作動させるための電池パック41とを備える。追加的に、又は代替的に、モータ39は、例えば電気の幹線(図示せず)などの外部電源から電力を供給されてよい。
【0096】
システム10は、モータ39の少なくとも1つの作業パラメータを観測し及び任意に制御するためのシステム300を更に備えてよく、同システムは、図4の実施形態に関して以下でより詳細に説明される一方で、それは必要な変更を加えて本発明の他の実施形態へ適用される。
【0097】
クランクとロッドに結合された往復動ヘッド26とを備える往復動機構27が、モータ39の回転駆動を往復動ヘッド26の往復運動へ変換するため、ハウジング52内に設けられる。往復動ヘッド26は、膜54の比較的滑らかな面55がハウジング52に対して露出されるように、並びにハウジング52の内部の汚染を防止するように、前記ハウジング52中のフレームへ適切に密閉的に固定されたその外縁部28を有する可撓性の膜54を備える。
【0098】
ポンプヘッド14は、ポンプヘッド14の実質的に剛体の部分56に構成されたポンプ吸入ポート19及びポンプ排出ポート20と、可変のポンプ容積Pを有するポンプ作動室29を画成するように、剛体部分56の外縁部へその外縁部で連結された可撓性の隔膜24とを備える。適当な一方向弁が、吸入ポート19から排出ポート20へのポンプヘッド14を介した一方向への流体流を確実にするために、ポンプ吸入ポート19とポンプ排出ポート20とに設けられる。可撓性の隔膜24は、最小ポンプ容積Pminを画成する剛体部分56の近傍の第1の位置と、最大ポンプ容積Pmaxを確定する第2の位置(システムの作動中に剛体部分56から最大に離間された場合)とから変形可能である。隔膜24の外面側は、それへ一体的に又は他の方法で接合され、前記滑らかな面55に対して取外し自在に係合するようになされた、吸引カップ25を備える。任意に、及び図1に図示されるように、吸引カップ25は、外縁リップ21を備えてよい。
【0099】
廃液容器31は、それへシステムが結合される創傷又は他の標的容積から、廃液物質、特に液体及び他の流動可能な物質を収集するようになされた、収集容積Cを画成する適切なハウジング60を備える。従って、ハウジング60は、実質的には少なくとも、外部環境Eに対し、これらの物質に関して、不透過性で、汚染及び漏出のないものであり、例えば一体型のアイテムとして、又は適切に一体的に接合される幾つかの部品から形成されてよい。容器31は、剛体又は半剛体であるが、実施形態の他の変形形態においては、容器は非剛性であり、駆動ユニット40に対し連結するように適合されてよい。
【0100】
ポンプヘッド14は、一体型ポンプ-ヘッド/容器ユニット18を形成するように、前記廃液容器31へ接合される。しかし、ポンプヘッド14もしくはその部品は、廃液容器31と一体的に形成されてよく、又は代替的には、各構成要素が、別個に形成され、一体型ユニット18を形成するように、例えば接着、溶接、締結などの任意の適当な態様で共に接合されてよい。ポンプヘッド14の少なくとも一部が、収集容積Cの中に収容されてよく、特に、ポンプ吸入ポート19及びポンプ排出ポート20は、前記収集容積C内に少なくとも部分的に収容され、一方隔膜24は、収集容積Cから概して離れる方向へ向いている。ポンプヘッド14は、容器31が駆動ユニット40へ結合されている場合に、隔膜24が滑らかな面55に整列されるような位置で、容器31に対して配置される。概して、隔膜24の本来の弾性により、ポンプヘッド14は、ポンプヘッド14が駆動ユニット40との係合状態から解除される際の最大ポンプ容積Pmaxでない場合には、前記最大ポンプ容量と最小ポンプ容量Pとの間の中間で、可変的な内部容積Pの容積を画成することとなる。そのような位置において、又は隔膜24が最小ポンプ容積Pを画成する第1の位置にあるべきような場合でさえも、吸引ポンプ25は、廃液容器31が駆動ユニット40へ結合されている場合にはすぐに、又は往復動機構が往復動ヘッドを押して隔膜24と係合接触状態にさせる場合には駆動ユニットの作動直後に、滑らかな面55に自動的に係合する。
【0101】
図1に図示される第1の実施形態において、包囲具12は、包囲具12から延在し、容器ハウジング60のニップル65へ連結される導管16を介して、そこから、ニップル65から容積C中へ突出し、吸入ポート19へ密閉的に固定される第2の導管67を介して、ポンプ吸入ポート19に直接流体連通している。
【0102】
排出ポート20は、包囲具12からポンプヘッド14の中へ吸い込まれた流体を、任意のスリーブ69を介して、容器31の収集容積Cの中へ排出し又は排液する。
【0103】
同実施形態において、また、容器31は、外部環境Eへ収集容積Cを通気させるための通気孔17を備える。適当な生物フィルタ、疎水性フィルタ、又は他のフィルタ(図示せず)が、容器31の内容物からの外部環境Eの汚染を防ぐために、通気孔17に任意に設けられてよい。
【0104】
容器31、又は実にポンプ-ヘッド/容器ユニット18は、駆動ユニット40に対するポンプ-ヘッド/容器ユニット18(又は容器31)の設置又は装着を容易にするための、ハウジング52の駆動ユニットインターフェース64に面し、ハウジング52の駆動ユニットインターフェース64へ概して相補的である形態を有する、インターフェース62を備える。システムは、他方から一方を取付け又は取外し可能にするための、ポンプ-ヘッド/容器ユニット18(又は容器31)と、ハウジング52(又は駆動ユニット40)とのそれぞれに適当な取付装置を有する、適切な結合及びロック機構を更に備え、取付装置は、道具なしの簡単な操作による、駆動ユニットへの容器及び/又はポンプヘッドの取付けを可能にする。そのような取付手段は、例えば歯30に係合可能なラッチ23と、スロット45に係合可能なタブ44とを備えてよく、それにより、駆動ユニット40に対するポンプ-ヘッド/容器ユニット18(又は容器31)の結合及び分離が可能となる。
【0105】
同実施形態において、圧力調整器35は、任意の適切な位置で、しかし典型的には、その作動が他の設備又は患者の身体部分によって妨げられないような位置、或いはその作動が患者へ施される必要があり得る特定の治療によって脅かされないような位置で、包囲具12へ設置されてよい。代替的には、調整器35は、例えば包囲具12へ固定され、包囲具12に開口連通しているその第2の端部を有する導管の第1の端部で、適当な導管中に設置されてよく、そのような配置は、例えば患者が包囲具の上にもかけられたブランケットで覆われているような、包囲部のすぐ上の部分が不適当な状態にある場合に、有用であり得る。
【0106】
圧力調整器35は、調整器35が閉位置にある場合にそれとの密閉的な係合を可能にするための、弁座68と協働する弁シール38を有する通気弁装置を備える。弁シール38は、それにナット59を有するピン72に設置され、ピンに対するナット59の軸方向の位置は、調節可能である。ピン72は、シール38が座68から変位される開位置と、前記閉位置との間で、ナットと包囲具12との間に配置されたコイルばね37の穴の中で往復動自在に移動可能である。調整器35は、外部周囲環境Eの周囲空気の圧力と、密閉容積V内の圧力との間に、閾値Mを超過する差圧がある場合に、開位置へ強制される。同差圧が、閾値Mである、又は閾値M未満である場合に、調整器35は、ばね37の復元力によって、閉位置へ強制される。ばね37により供給される所与の復元力は、閾値Mと、従ってそこで調整器35が外部環境Eへ開口する密閉容積Vの中の真空条件とを制御するために、ナット59によって調節されることが可能である。
【0107】
任意には、調整器35は、密閉容積Vを介した創傷の汚染の可能性、及び/又は外部環境Eの汚染の可能性を防ぐために、生物フィルタ又は他の適当なフィルタを備えてもよい。
【0108】
容器31及び弁ヘッド14を備える一体型ユニット18が、キット90として設けられてよく、キット90は、導管16、包囲具12、及び調整器35を備えてもよく、任意には既にユニット18へ連結される。代替的には、導管16、包囲具12、及び調整器35は、別個に提供されてよい。また、典型的には、キット90は、使用前に取り外される無菌バッグ又は他のパッケージ(図示せず)を備え、単一のすなわち一度の使用の後に、それは、典型的には汚染のない態様で処分される。従って、ユニット18は、例えば駆動ユニット40の製造コストに比較して比較的廉価な材料から作られてよく、またいずれの場合においても、適切なプラスチックなどを含む医学的に適合性のある材料から作られてよい。
【0109】
従って、本発明の一態様によれば、システムは一体型ユニット18、導管16、包囲具12、及び調整器35を含む使い捨て可能な部分と、ポンプ駆動ユニット40を含む再利用可能な部分とを備える。
【0110】
第1の実施形態によるシステム10は、以下のように作動されてよい。導管16及び包囲具12に相互連結されたユニット18が、ポンプヘッド14が往復動ヘッド54に係合され、ラッチ23を介して一体的にロックされるように、駆動ユニット40へ設置される。制御ユニット40は、吸引カップ25が滑らかな面55に緊密に係合されることを確実にする必要があるため、1往復動サイクル又は半往復動サイクルを介して、往復動ヘッド26を駆動するために、一時的にオン状態に切り替えられてよく、又は、代替的には、同係合工程は、システム10が標的容積へ結合された後にポンプを作動させる際に実行されてよい。包囲部12は、創傷箇所を被覆するため創傷箇所を覆って配置され、外縁部51が、例えば包帯、当て具、粘着テープなどの補助により身体34に密閉的に当接する。ナット59が、圧力調整器35に必要な設定を提供するために調節される。駆動ユニット40は、オン状態に切り替えられ、モータ39が作動されると、クランクが回転し、ロッド及び往復動ヘッド26を往復運動させ、隔膜24が隔膜54と共に往復運動するようにし、従ってポンプ容積Pを交互に増減させる。従って、ポンプヘッド14が作動し始めると、空気及び創傷から滲出された流体は、包含された容積Vから吸い出され、そこに負圧を提供し、部分的真空を生じさせる。創傷の中の流体及び他の滲出物質が、導管16及び導管67を通って直接的に吸入ポート19へ汲み上げられ運ばれ、ポンプ作動室29(作動の際に、周囲より下回る、すなわち負の圧力である)を通り、排出ポート20から出て、排出スリーブ69を通って容器容積Cへ至る。密閉容積Vの中の圧力が異常に低下すると、次いで差圧閾値Mが超過し、シール38が閉ざされず、密閉容積Vの中への外部周囲空気の進入が可能となる。密閉容積Vの中への空気の流入が、包囲部を通気させ、特に創傷からの流体及び物質が吸入ポート19への通路の一部を塞いでいるであろう場合には、ポンプヘッド14へ創傷からの流体及び物質を引っ張るのを補助する。隔膜24が往復運動すると、それは、特にポンプヘッド14と包囲具12との間の連結が短い場合には空気が脈動するため、導管16内に部分的循環流を誘起してよく、これによって、包囲具12の中の圧力と、身体34の創傷箇所への圧力とが、それに応じて脈動する、すなわちある度
合で変動し、創傷からの滲出物の排液を高め、及び/又は同箇所をマッサージすることにより治癒過程を強化するようにしてよい。また、適当な圧力条件下での圧力調整器35の比較的突然の開口が、閉塞物などの除去に役立ち得るパルス効果を提供してよい。
【0111】
必要であれば、ナット59が、密封された容積Vの中のより低い又はより高い真空レベルでの調整弁の作動が可能であるように調節されてよい。滲出物が収集容積Cを満杯にすると、空気が通気孔17を介して同容積から追い出される。
【0112】
導管16が塞がれると、ポンプ50により生成された真空が、閉塞物が廃液容器へ除去され排出されるまで、ポンプヘッド14の働きにより上昇し、これは、包囲された容積Vの中の真空を低下させる効果を有してよく、次いでこれは、調整器を開かせ、その中へ空気が入るのを可能にしてよい。
【0113】
例えば収集された物質又は滲出物49が、排出ポート20の高さ又は任意の他の適当な高さに達するなど、容器31の容器容積Cが全容量に達すると、ユニット18、導管16、及び包囲具12は、駆動ユニット40から分離され、以下に説明するように、治療の流れの最後と同様の態様で処分されてよく、新規のユニット18、導管16、及び包囲具12が、治療を継続するために駆動ユニット40と共に使用され、使い捨て可能な構成要素の交換が実施される間は、ポンプユニットは、オフ状態に切り替えられている。代替的には、導管16を任意に含むユニット18を取り外し、処分し、治療を続けるためにこれらのアイテムのみを交換することが可能である。そのような場合に、創傷箇所がそのままに置かれるため、患者の不快度は軽減される。他の状況においては、創傷包囲具12を変えるすなわち交換することが必要であってよく、一方導管16及び/又はユニット18は所定位置に置かれたままである。従って、しばしば、ユニット18、導管16、及び包囲具12を含む一連のアイテムを含むキットが、有用であり、一方またある場合には、ユニット18のみ、又はユニット18と導管16、又は導管16のみ、又は導管16と包囲具12のみ、又は包囲具12のみを含む多様なキットが、有用であり得る。
【0114】
創傷吸引治療の完了後に、駆動ユニット40がオフ状態に切り替えられ、ユニット18が、駆動ユニット40から外され、往復動ヘッド26からポンプヘッド14を自動的に係合解除し、創傷包囲具が、患者から取り外される。次いで、ユニット18、導管16、包囲具12は、処分される。
【0115】
従って、いったん設置されると、システム10は、創傷包囲具12で所望の真空レベルを効果的に提供し、創傷包囲具12は、ポンプヘッド14から離れていてよく、これらの条件は、創傷包囲具12での真空レベルの継続的及び直接的な観測や、閉ループタイプの制御システムを介してその変化を補正するための、ポンプヘッド14により生成された真空の調節を必要とせずに、実質的に維持され得る。
【0116】
図2に図示された、本発明の第2の実施形態による開放創を排液するための真空システムが、以下に説明される幾つかの相違点を有しながら、第1の実施形態の要素及び特徴を備える(必要に応じて変更を加えて)。従って、第2の実施形態によるシステム110が、創傷包囲具112と、真空ポンプ150、廃液キャニスタ又は容器131、及び圧力調整器135とをやはり備える。
【0117】
創傷包囲具112は、第1の実施形態のものと同様であり(必要に応じて変更を加えて)、身体34の創傷箇所の周囲に密閉可能である外縁部151を有し、密閉容積Vを画成し、第1の実施形態に対する一相違点は、圧力調整器135が包囲具112へ設置されないことであり、他については更に説明されるとおりである。
【0118】
真空ポンプ150が、第1の実施形態のものと同様であり(必要に応じて変更を加えて)、従って、それを用いて作動させるためのポンプ駆動ユニット140へ取外し自在に結合されるポンプヘッド114を備え、駆動ユニット140は、ハウジング152と、駆動ユニットインターフェース164と、電気モータ139と、電池パック141と、モータ139の少なくとも1つの作業パラメータを観測し、任意に制御するためのシステム300と、クランク、ロッド、外縁部128を備える可撓性の膜154を有する往復動ヘッド126、及び滑らかな面155を備える往復動機構127とを備えており、これらは、第1の実施形態のために説明されたポンプ駆動ユニット40の対応する構成要素と同様である(必要に応じて変更を加えて)。従って、ポンプヘッド114は、第1の実施形態のポンプ駆動ユニット40と共に使用されてよく、第1の実施形態のポンプヘッド14は、第2の実施形態のポンプ駆動ユニット140と共に使用されてよい。
【0119】
ポンプヘッド114は、適切な一方向弁を有するポンプ吸入ポート119及びポンプ排出ポート120を有する剛体部分156と、(吸引カップ125を有する)可撓性の隔膜124とを備え、可変的なポンプ容積Pを有するポンプ作動室129を画成しており、これらは、第1の実施形態のために説明された対応する構成要素と同様である(必要に応じて変更を加えて)。
【0120】
廃液容器131が、第1の実施形態のものと同様であり(必要に応じて変更を加えて)、従って収集容積Cを画成するハウジング160と、インターフェース162と、例えばラッチ123及び歯130、タブ144及びスロット145などの結合/分離及びロック機構とを備え、これらは、第1の実施形態のために説明された対応する構成要素と同様である(必要に応じて変更を加えて)。
【0121】
第2の実施形態において、ポンプヘッド114は、一体型ユニット118を形成するように、前記廃液容器131へやはり接合されており、これらは、第1の実施形態のために説明された対応する構成要素と同様であり(必要に応じて変更を加えて)、ポンプ吸入ポート119及びポンプ排出ポート120は前記収集容積C内に少なくとも部分的に収容され、一方隔膜124は、それから概して離れる方向へ向いている。
【0122】
第1の実施形態とは異なり、第2の実施形態においては、包囲具112は、導管116とニップル157により画成された廃液容器吸入ポートとを介して、本実施形態においては収集容積Cへ開口するポンプ吸入ポート19にではなく、容器131に直接流体連通している。従って、創傷からの滲出物は、収集容積Cへ直接的に排出される。他方、排出ポート120は、出口ポート188を通り、ハウジング160の外部へ延在するスリーブ169へ排出する。適当なフィルタ167が、汚染を防止するために、排出ポート120と出口ポート188との間に任意に設けられてよい。従って、排出ポート120は、外部周囲環境Eへ通気され、従って容器容積Cと排出ポート120とのあいだに直接的な連通はない。任意には、バッフルプレート装置(図示せず)が、排出ポート120の下流に設けられてよく、これは、外部環境に対する騒音を減衰させることにおいて有用であり得る。
【0123】
容器131は、収集容積Cを通気するための、第1の実施形態の通気孔17に対応する通気口を備えない。第2の実施形態において、圧力調整器135は、圧力調整器135と包囲具112との間に流体連通を提供する第2の導管123の第1の端部171へ設けられる。導管123の第2の端部172が、導管116及び123へ分岐する、包囲具112へ連結されたチューブ導管が存在するように、接合部177で導管116より接合される。接合部177は、包囲具112に近いが、代替的には導管116の長さ部分に沿った任意の他の位置にあってよい。代替的には、同実施形態の他の変形形態においては、第2の導管123は、第1の導管116から独立して、包囲具へ直接的に連結されてよい。代替的には、同実施形態の更に他の変形形態においては、第2の導管123は、その全長部分に沿って第1の導管116へ連結されてよく、任意には2穴導管の個別の穴を備えてよい。導管123、116のための他の配列もまた可能である。
【0124】
図3により詳細に図示されるように、圧力調整器135は、間に形成された環状ギャップ117を介したスリーブ169内の空間の通気を可能にするように、スリーブ169内に同軸上に収容されてよい。
【0125】
任意には、通気孔117は、外部環境Eの汚染の可能性、及び/又は排出ポート120からの流れを経てシステムから出る外部環境Eへの所望されない臭気の伝送を防ぐため、例えばチャコールフィルタ115(図2に示す)などの生物フィルタ又は他の適当なフィルタを備えてもよい。
【0126】
第2の実施形態による圧力調整器135は、前記スリーブ169内に同軸上に受けられ、前記環状ギャップ117を画成する外方環状弁本体181を有する通気弁装置を備える。弁本体は、前記出口ポート188から内方へ突出し、環状弁座168を画成するラジアル内向フランジを備える。弁本体181は、概して静止しており、スリーブ169内に同軸関係において一体的に形成される、又は他の方法で接合、設置、もしくは連結されてよい。環状調節ナット159が、ナット159と弁本体181との間の制御された相対的な軸方向変位を可能にするねじ山191を介して、弁本体181に調節自在に係合可能な外方環状本体198を備える。シール192が、弁構成要素間の漏れを防ぐ。ナット159は、環状プレート197を介して、外方環状本体198と同軸であり、外方環状本体198に対して半径方向へ変位された、内方スリーブ193を備える。内方スリーブ193は、そこを貫いて、環状肩部195を有する段を付けられた穴194を画成する。ディスク又はプレート189により後押しされた弁シール138が、弁座168に対して、圧縮コイルばね137によって付勢される。肩部195上に位置するコイルばね137は、調整器135が閉位置にある場合に、弁シール138が、弁座168との密閉係合を実現するために弁座168と協働することが可能となり、調整器135が開位置にある場合に、弁シール138が、弁座168から変位されることが可能となるように、穴194内を往復動自在に移動可能である。穴194は、容器131の外部方向へ、ニップル199を通って延在し、そこへの導管123の前記端部171の連結を可能にする。
【0127】
従って、図3の実施形態においては、コイルばね137は、様々な所望の真空調整レベルを実現するため、様々な調節度合へ圧縮されることが可能である。同実施形態の変形形態において、圧力調整器135のための同様の構造が、提供されてよく(必要に応じて変更を加えて)、そこにおいては、ねじ山191が省かれ、コイルばね137は、特定のプリセットの所望真空レベルを得るために、予め圧縮されて、調節不可能である。
【0128】
第1の実施形態と同様の態様において(必要に応じて変更を加えて)、調整器135は、外部周囲環境Eの環境空気の圧力と、密閉容積V内の圧力との間に、閾値Mを超過する差圧がある場合に、開位置へ強制される。スリーブ169が、通気孔117を介して外部周囲環境Eへ通気されるので、外部周囲環境Eの周囲圧力は、スリーブ169の中で、従って、シール138及び排出ポート120に対して維持される。同差圧が、閾値Mである、又は閾値M未満である場合に、調整器135は、ばね137の復元力によって閉位置へ強制される。
【0129】
ばね137により供給される所与の復元力は、ナット159の形態の圧力制御機構によって調節されることが可能であり、それによってばねの圧縮と、閾値Mの大きさと、従って、調整器135が外部環境Eへ開口している密閉容積Vの中の真空条件とを制御する。ナット159は、時計方向又は反時計方向へ回転するため、肩部195と弁座168との間の相対的な軸方向関係は、一方又はもう一方の方向へ変化し、それによって、圧力調整器135を緩め及び開けるために必要な弁シール138の上へ直接的に印加されるばね137の圧縮力を調節する。任意には、システム110は、ナットが特殊な道具を使用してのみ作動可能であるように構成されて、従ってその無認可の又は不慮の作動を防いでよい。
【0130】
第1の実施形態と同様に(必要に応じて変更を加えて)、一体型ユニット118は、1つ又はそれ以上の導管116及び123と、調整器135と、包囲具112とを任意に備えてもよいキット90として設けられてよく、任意には既にユニット118へ連結され、或いは代替的には1つ又はそれ以上の導管116及び123と、調整器135と、包囲具112とが、一体型ユニット118へ個別に設けられてよい。
【0131】
第2の実施形態によるシステム110は、第1の実施形態と同様の態様で作動されてよい。導管116、123、及び包囲具112に相互連結されたユニット118が、駆動ユニット140へ設置され、包囲具112は、第1の実施形態と同様の態様で創傷箇所を覆って配置される(必要に応じて変更を加えて)。ナット159は、圧力調整器135のために必要とされる設定を提供するように調節され、駆動ユニット140が、オン状態に切り替えられる。ポンプヘッド14が作動し始めると、空気及び創傷から滲出された流体が、包囲された容積Vから吸い出され、導管112を通って汲み出され運ばれ、ほとんどの液体滲出物が、容器131の収集容積Cへ直接的に排出される。しかし、空気は、吸入ポート119の中へ引き込まれ、(作動の際に、周囲より下回る、すなわち負の圧力である)ポンプ作動室129を通り、排出ポート20からスリーブ169へ出て、その後出される。密閉容積Vの中の圧力が、差圧閾値Mが超過されるように低下すると、シール138は、緩められ、外部周囲空気、及び/又はスリーブ169を通って排出ポート120から導管123の中へ排出された空気の進入を可能にする。次いで、この進入された空気が、導管116を通って収集容積Cへ再循環し、また、同流れの再循環は、創傷包囲具112から空気及び流動可能な物質を引っ張る。第2の実施形態の他の変形形態において、導管123が、導管116から独立して、創傷包囲具112へ直接的に取り付けられる場合には、再循環流は、密閉容積Vをも直接的に含む。いずれの場合においても、空気の再循環流は、包囲具112を通気させるのを助け、ポンプヘッド114へ創傷からの流体及び物質を引っ張るのを補助する。また、同再循環は、外部環境へ排出され得る汚染された空気の量を低減させるのを助ける。第1の実施形態と同様に(必要に応じて変更を加えて)、ナット159は、密封容積Vの中のより低い又はより高い真空レベルで調整弁の作動を可能にするように調節されてよい。他方で、創傷包囲具112とポンプ吸入ポート119との間に配設された比較的大きな収集容積Cは、ポンプヘッド114の往復動作により生成されたパルス効果を減衰させる傾向がある。
【0132】
導管112、123、圧力調整器135、及び包囲具112と共の、又は共にではない、ユニット118の分離が、第1の実施形態のために説明されたものと同様であり(必要に応じて変更を加えて)、次いで、使用済みの構成要素が、処分される。
【0133】
本発明の第3の実施形態が、図4に図示されており、全体的に示された410であり、以下のように、第1及び第2の実施形態の要素及び特徴の組合せを備える(必要に応じて変更を加えて)。システム410は、創傷包囲具112と、真空ポンプ150(ポンプヘッド414及びポンプ駆動ユニット140を含む)と、圧力調整器135とを備え、これらは実質的に第2の実施形態のために説明されたものであり(必要に応じて変更を加えて)、その全ての可能な変更形態を含む(必要に応じて変更を加えて)。また、システム410は、廃液容器431を備え、これは、第1の実施形態のものと同様であり(必要に応じて変更を加えて)、従って、収集容積Cを画成するハウジング460と、インターフェース462と、例えばラッチ123及び歯430、タブ444及びスロット145などの結合/分離及びロック機構とを備え、これらは第1の実施形態のために説明された対応する構成要素と同様である(必要に応じて変更を加えて)。第2の実施形態におけるように、包囲具112は、導管116及び廃液容器吸入ポート457を介して、容器431に直接流体連通しており、容器431は、第1の実施形態と同様の態様で、ポンプヘッド414のポンプ吸入ポート419に流体連通している。
【0134】
従って、創傷からの滲出物は、第1の実施形態のものと同様の態様で(必要に応じて変更を加えて)、ポンプヘッド414及び排出ポート420を介して、収集容積Cへ排出される。従って、第2の実施形態とは異なり、スリーブ469は、ハウジング460の外部へ延在せず、容積Cに直接流体連通している。
【0135】
第2の実施形態と同様に、容器431は、第2の実施形態のスリーブ169の一部と同様のスリーブ470を備え、圧力調整器135は、間に形成された環状ギャップ117を介したスリーブ470内の空間の通気を可能にするように、スリーブ470の中に同軸上に収容されてよい。
【0136】
第3の実施形態によるシステム410は、第2の実施形態と同様の態様で作動されてよい(必要に応じて変更を加えて)。容器431及びポンプヘッド414を備え、導管116、123、及び包囲具112に相互連結されたユニット418が、駆動ユニット140へ設置され、包囲具112は、第2の実施形態と同様の態様で創傷箇所を覆って配置される(必要に応じて変更を加えて)。ナット159は、圧力調整器135のために必要とされる設定を提供するように調節され、駆動ユニット140は、オン状態に切り替えられる。ポンプヘッド14が作動し始めると、空気及び創傷から滲出された流体が、包囲された容積Vから吸い出され、導管112を通って汲み出され運ばれ、ほとんどの液体滲出物が、ポンプヘッド414を介して容器131の収集容積Cへ排出される。密閉容積Vの中の圧力が、差圧閾値Mが超過されるように低下すると、シール138は、緩められ、外部周囲空気、及び/又はスリーブ470を通って排出ポート420から導管123の中へ排出された空気の進入を可能にする。次いで、この進入された空気が、導管116を通って収集容積Cへ再循環し、また、同流れの再循環は、創傷包囲具112から空気及び流動可能な物質を引っ張る。第2の実施形態の他の変形形態において、導管123が、導管116から独立して、創傷包囲具112へ直接的に取り付けられる場合には、再循環流は、密閉容積Vをも直接的に含む。いずれの場合においても、空気の再循環流は、包囲具112を通気させるのを助け、ポンプヘッド114へ創傷からの流体及び物質を引っ張るのを補助する。また、同再循環は、外部環境へ排出され得る汚染された空気の量を低減させるのを助ける。第2の実施形態と同様に(必要に応じて変更を加えて)、ナット159は、密封された容積Vの中のより低い又はより高い真空レベルでの調整弁の作動を可能にするように調節されてよい。他方で、創傷包囲具112とポンプ吸入ポート119との間に配設された比較的大きな収集容積Cは、ポンプヘッド114の往復動作により生成されたパルス効果を減衰させる傾向がある。
【0137】
導管112、123、圧力調整器135、及び包囲具112と共の、又は共にではない、ユニット418の分離が、第2の実施形態のために説明されたものと同様であり(必要に応じて変更を加えて)、次いで、使用済みの構成要素が、処分される。
【0138】
第3の実施形態において、またポンプヘッド414は、前記廃液容器431へ接合されて、第1の実施形態のために説明された対応する構成要素と同様の一体型ユニット118を形成してよく(必要に応じて変更を加えて)、ポンプ吸入ポート419及びポンプ排出ポート420が、前記収集容積C内に少なくとも部分的に収容され、一方隔膜424が、それから概して離れる方向へ向いている。
【0139】
図5、図6、及び図7を参照すると、本発明の第4の実施形態による真空システム210が、創傷包囲具212、真空ポンプ214、及び廃液収集キャニスタ又は容器231を備え、廃液収集キャニスタ又は容器231は、図示された実施形態においては、可撓性の容器の形態である。図示された実施形態において、創傷包囲具212は、開放創から滲出した液体より開放創を排液させるように特になされるが、同実施形態の他の変形形態においては、創傷包囲具は、例えば第1及び第2の実施形態のために説明されたもののような、任意の他の標的容積に適合される(必要に応じて変更を加えて)。
【0140】
創傷包囲具212は、吸引チューブ216によって、真空ポンプの吸入口211へ連結される。廃液収集容器231は、真空ポンプの排出口222へ連結される。それにより、真空ポンプ214が作動されると、排液された液体が、ポンプを通って廃液容器231の中へ流れる。
【0141】
吸引チューブ216は、チューブ216を介した空気の吸引が、身体234の創傷箇所の上部の容積中に負圧を生成するように、身体234の創傷箇所を被覆する包囲具212のニップル238へ連結される。
【0142】
創傷包囲具212のための通気装置が設けられ、これは、ポンプ214が作動中である際に、通気装置を介して創傷包囲具212の中へ予め定められた周囲空気の流通を提供すると共に、創傷包囲具212で予め定められた真空レベルが維持されることが可能となるように、周囲空気によってある程度の包囲具の通気を可能にするために構成される。通気装置は、包囲具212中に、又はチューブ孔237としてそれに隣接して設けられた少なくとも1つの放血孔235を備えてよく、周囲空気が吸引チューブ216の中へ及び吸引チューブ216を通って流れるのを可能にし、包囲具212を非気密に又は通気されるようにする。
【0143】
通気されていない従来の密閉された包囲具とは異なり、同実施形態の通気機能部は、滲出物が乾燥し、又は凝固し、チューブを塞いでしまう前に、真空ポンプ214の方へ、廃液容器231の中へと、吸引チューブ216へ進入する滲出物の迅速な移動を実現する。また同機能部は、真空ポンプが汲上げを停止する場合にはいつでも、身体234の創傷箇所への周囲圧力の空気の導入と、従って創傷箇所の空気圧の周囲圧力への均衡化とを実現し、真空ポンプを交互にオン及びオフを繰り返させることによって、創傷への周期的な負圧の印加を可能にする。
【0144】
追加的に、又は代替的に、図7に図示されるように、導管299が、包囲具中の開口298へ連結され、離れた位置へ創傷包囲具を通気させるために使用されてよい。任意には、導管の自由端部297が、例えば第1及び第2の実施形態に関連して本明細書で説明された圧力調整器(必要に応じて変更を加えて)などの適当な圧力調整器へ、並びに/或いは身体部位234を灌注し及び/又は滅菌するため灌注流体を導入するための適当な灌注源へ、連結されてよい。
【0145】
更に任意には、開口298及び238が、導管216及び299がY-連結部を介して創傷包囲具212の単一の合併された開口へ連結されるように、合併されてよい。そのような配列において、導管216を介した滲出物などの輸送が、導管299よりもたらされる空気流により強化されてよく、従って容積V自体の最小限の通気又は通気無しの状態で、そのような滲出物及び同様のものの移動を最大化するように、更に修正されてよい。同様の効果が、図5に図示された実施形態において、血孔237を維持し及び血孔235を塞ぐことによって得られてよい。代替的には、血孔237及び235が共に維持され、それらそれぞれの有効流路面積に応じて、そこから凝固した又は他の滲出物、流体などを除去するためだけに導管216へ進入する、すなわち血孔237を介して直接的に進入する周囲空気の量と、血孔235へ進入し、身体部位234を通気するためにも使用される空気の量とが、制御されることが可能である。
【0146】
包囲具中の放血孔235の代替として、又は包囲具中の放血孔235に加えて、調整された孔又は他の流量制限器が、包囲具の中へ又は排出口の中へ、周囲空気の制御された流量を提供するように使用されてよい。例えば、創傷包囲具は、穴の多い泡沫細胞を詰められた孔、又は金属栓を焼結された通気孔を備えてよく、これらは、流量を制限し、しかし、微細な塵粒は小さな孔とは異なり多孔性物質を通常塞がないため、詰まりやすくはない。
【0147】
真空ポンプ214は、以下に説明されるように、互いへ取外し自在に取付け可能なポンプユニット218と駆動ユニット240とを備える。ポンプユニット18は、2室ハウジング217と、作動室229を形成するように2室ハウジング217の下面へ固定された隔壁224とを有する。
【0148】
2室ハウジング217は、吸入口211を有する実質的に剛体の上流の第1の室213と、排出口222を有する実質的に剛体の下流の第2の室221とを備える。吸引チューブ216は、吸入口211へ連結される。2つの一方向弁219及び220が、第1の室213と第2の室221の底部にそれぞれ配置される。2室ハウジング217の底部に、駆動ユニット240へハウジング217を設置するために使用される取付基部223が、バヨネットロック又は他の適当な手動式の容易な係合装置によって、取り付けられる。
【0149】
第1の室213及び第2の室221の特定の構造によれば、これらの室は、容積Vから廃液を任意に収集するための上流及び/又は下流の剛体収集室を提供してよく、任意には、容器231が完全に省かれてよく、従ってまた、それぞれ上流及び/又は下流廃液容器として機能してよい。
【0150】
更に任意には、図6に図示されるように、例えば、第1の室213は、2つの隣接する室213a、213bへ分離されてよく、流体(及び場合によっては固体)が、創傷包囲具212から室213aへまず送られ、一方空気が2つの隣接する室213aと213bとの間の連結壁中の孔287を介して室213bへ通過する。室213aの中の液体の高さが最下位の孔287へ達すると、幾分かの液体が、室213bの中へ溢れ始め、そこからポンプ室229を経由して容器へと至ってよい。第4の実施形態の同変形形態において、システムは、上流収集室(室213a)と、下流収集室(容器231)とを共に備える。同実施形態の更に他の変形形態においては、上流収集室213aが、任意に構成されてよく、従って例えば実質的に全ての液体(及び存在し得る固体)が創傷包囲具を介して収集されるように、その中に実質的に全ての液体(及び存在し得る固体)を収集するための十分な容積を有してよく、従って容器231を完全に省いてよい。
【0151】
第1及び第2の実施形態と同様の修正がなされて(必要に応じて変更を加えて)、これらの実施形態が、ポンプの上流及び/又は下流で液体(及び固体)を収集することが可能とされるようにしてよい。
【0152】
隔壁224は、一体型ロッド形駆動部材225を備え、これは、駆動ユニット240に係合するために使用される。
【0153】
駆動ユニット240は、電気モータ239と、電池241と、以下に説明されるモータ239の少なくとも1つの作業パラメータを観測し任意に制御するためのシステム300とを有する。モータ239のシャフトは、往復動ロッド226の形態の駆動要素へ連結されたクランク227を有する。ロッド226は、その中に駆動部材225を受容しロックするようになされたキャビティを有する受容部を有する。
【0154】
ポンプユニット218が基部223中のバヨネットロックによって駆動ユニット240へ取り付けられると、駆動部材225は往復動ロッド226の受容部のキャビティに受容されて、モータシャフト239が回転するとその中でロックされる。
【0155】
例えば、駆動部材225及び駆動要素226は、ポンプユニットが前記駆動ユニットへ取り付けられるのに応じた、駆動部材と前記駆動要素との間の相互整列を実現するように、ポンプユニット218及び駆動ユニット240に対してそれぞれ配置される。更には、駆動部材225及び駆動要素226は、従って整列されると、前記駆動要素の作動中に駆動要素による駆動部材の往復運動が可能となるように、少なくとも前記駆動ユニットの作動に応じたそれらの相互係合を行うように、構成される。
【0156】
従って、モータ239が作動すると、クランク227は回転され、受容部ロッド226を往復運動させて、隔壁224が、作動室229を膨張/収縮させるようにする。従って、ポンプユニット218は、一方向弁219及び220を通過する空気又は液体を汲み上げる。
【0157】
空気及び液体は、吸入口211と滲出物の除去のために患者の創傷包囲具212へ連結される吸引チューブ216とを介して、2室ハウジング217へ入る。液体及び空気は、隔膜24が往復運動する際に負圧下にある第1の室213へ入り、一方向弁220を通って第2の室221中に入る。排出口222を通って汲み上げられた空気及び液体は、廃液容器231へ入る。
【0158】
第1及び第2の実施形態に関して、空気及び液体を汲み上げるポンプの能力は、一形態の物質のみを汲み上げるのに効果的である従来のポンプと異なり、液体を汲み上げる際に存在するような重い負荷を受ける場合に、隔膜が任意に動くことを可能にする隔膜224の可撓性により強化される。また、この隔膜の可撓性は、更に大きな利点を提供し、作動室229の中の負圧が高い場合に、隔膜224が延伸することによって、受容部ロッド226が電気モータ239への最小限の負荷で往復運動することを可能にする。
【0159】
廃液容器231は、通気孔215を有し、それを通って空気及び気体が大気へ排出され、任意には、適当なフィルタが、通気孔215に設けられてよい。従って、廃液容器231は、その中へ汲み上げられる廃液流体のみを保持する。廃液容器は、排液された液体を吸い上げるのに適した多孔質媒体247を含んでよい。
【0160】
特に2つの構成要素が整列され互いに係合される態様において同実施形態で使用される、ポンプユニット218及び駆動ユニット240が、第1及び第2の実施形態のために説明されたものと同様の構造体と交換されてよいことに留意すべきである(必要に応じて変更を加えて)。逆に、また第1及び第2の実施形態のポンプユニット及び駆動ユニットが、第4の実施形態のポンプユニット218及び駆動ユニット240と交換され得るであろう(必要に応じて変更を加えて)。
【0161】
ポンプユニット218及び駆動ユニット240は、性能表又は同様のものを生成するように調整されてよく、これは、ポンプユニット218により生成された負圧に対する駆動ユニット240の作業パラメータ間の関係を示す。これは、更に洗練されて、有効な孔寸法の範囲、又は通気装置によって提供された通気量に関する他のパラメータを考慮してもよい。従って、いったん調整されると、特定の負圧が、所与の通気装置の通気のために、創傷包囲具212で必要とされる場合にはいつでも、それが、前述の一覧にされた性能値から求められた特定のポンプ設定を介して提供されると考えられてよい。
【0162】
従って、いったん設定されると、システム210は、創傷包囲具212に所望の真空レベルを効果的に提供し、創傷包囲具212は、ポンプヘッド214から離れていてよく、これらの条件は、創傷包囲具212での真空レベルの継続的及び直接的な観測や、閉ループタイプの制御システムを介してその変化を補正するための、ポンプヘッド214により生成された真空の調節を必要とせずに、実質的に維持されてよい。
【0163】
任意には、廃液容器231は、薄いプラスチックシート又は任意の他の適当な可撓性もしくは非剛性の材料から作られてよく、これは、廃液容器231が満杯でない場合に、廃液容器231が折り畳まれ又は縮められることを可能にして、それを使用又は携帯する患者へ、最小限の容積を有する利便性と、最小限の不便性とを提供する。代替的には、廃液容器は、剛性又は半剛性の材料から作られてよく、任意にはポンプユニット218と一体的に形成され又はポンプユニット218へ接合されてよい。
【0164】
図6は、組立体260として、システムの使い捨て可能な部分を示し、これは、ポンプユニット218、廃液容器231、連結チューブ216、及び創傷包囲具212を有し、これら全ては、駆動ユニットから及び身体234の創傷箇所から離されている。本明細書で説明された他の実施形態と同様に、組立体260は、使用後にその全体として処分されてよく、新規の組立体に交換されて、従って高価な駆動ユニット240を任意の汚染から免れさせてよい。本発明が、使用後に駆動ユニットの任意の部分を洗浄する又は殺菌すること、或いは汚染物質が高価な駆動装置に接触しないようにするためにフィルタなどの保護手段を提供することの必要性を軽減させることは、明らかである。
【0165】
第4の実施形態において、創傷包囲具が自由に通気される一方、第1、2、及び3の実施形態においては、創傷包囲具の中の真空レベルは、受動的に調整されてよい。従って、これらの実施形態において、真空レベルは、開ループタイプの技術により、真空ヘッドにより生成された予め定められた真空レベルを準備することによって制御され、同真空レベルは、かなりの漏出及び/又は閉塞がシステム中で生じない限りは、標的容積で維持されてよい。
【0166】
本発明の他の態様によれば、システム300及び対応する方法が、ポンプにより生成された準周囲圧力レベルにおける変化を観測し及び任意に制御するために提供され、すなわち創傷包囲具とポンプとの間の、又は創傷包囲具とポンプとを超える任意の箇所から空気圧を直接的に計測する必要がなくなり、それを介して汲み上げられる流体への又は流体からの汚染の危険を最小限にする。システム300は、本発明の真空システムを、ポンプユニット又はその上流もしくは下流の任意の流体経路に関して非侵襲的な態様で、その中の漏出及び/又は閉塞について観測することを可能にし、漏出及び/又は閉塞に対し補正するため、真空システムの駆動ユニットの作動を制御するオプションを更に提供する。
【0167】
例えば図5を参照すると、第4の実施形態による駆動ユニット240は、前記システム300を備え、システム300は、モータポンプを交互にオン及びオフにするデューティサイクル制御装置342や、モータ239を駆動する電圧及び電流を制御することによって、ポンプユニット218により生成された負圧レベルを制御するモータ電圧電流観測制御装置343などの制御回路を有する、制御ブロック350を有する。モータ239を駆動する任意の所与の電圧で、モータの電流引き込みは、ポンプ218により生成された負圧へ直接的に関係する。従って、モータ239が引き込む電流の観測が、ポンプ218により生成された負圧の間接的な観測を可能にする。ポンプ218により展開された負圧を間接的に観測することが可能であることは、圧力変換機又は真空計へ、伝染性の負圧ラインの連結を行う必要を排除する。
【0168】
例えば、モータ239が直流モータである場合には、例えば電流計などのセンサが、モータを駆動する電流を計測し、又は他の場合には感知してよい。直流モータの出力トルクは、モータを駆動する電流に直接的に関係しているため、及びモータの出力トルクはポンプ218が生成する負圧へ直接的に関係しているため、モータ電流を観測すること及びモータへの電流を制御することが、真空ポンプにより生成された負圧を観測し及び制御することをそれぞれ可能にする。
【0169】
モータの電流の観測は、間接的な負圧の観測及び制御のための一つの方法に過ぎない。代替的には、又は追加的には、観測されるモータのパラメータが、モータのトルク及び/又はスピードであってよく、また次いでこれらが、ポンプによって生成された負圧に関係している。従って、一定トルクレベル又は毎分回転数が、トルククラッチのレベルの調節によりそれに応じて提供され、及び/又はトルクセンサが、トルクレベル又は毎分回転数(及び従って創傷包囲具212での負圧)が予め定められた値を下回って低下した場合にユーザに警告するために、警報器へ作動可能に連結されて提供されてよい。
【0170】
負圧制御の同機能が、モータ出力シャフトとクランク227との間に配置された調節可能なトルク制限クラッチによって、遂行されてよい。所望のプリセットの真空レベルに到達すると、クラッチは、空転を始め、任意の超過モータトルクが標的容積で過剰負圧を生成するのを防止する。
【0171】
制御ブロック350は、負圧比較測定器344を備え、これがポンプ218により求められた所望の設定負圧レベルと、モータ電圧電流観測制御ユニット343から間接的に求められる実際に観測された負圧レベルとを比較する。比較測定器344は、ポンプ218が所望される予め設定された負圧レベルに達することができない場合にはいつでも、可聴警報器345を作動させる。任意には、制御ブロック350は、観測されつつある駆動ユニットのパラメータから引き出された標的容積での真空レベルを、例えばデジタル式に、又は時間の関数として図式的に表示するための表示装置を備えてよい。
【0172】
制御ブロック350の構成要素は、本明細書で説明されたように作動するように作動可能に相互接続された別個の電子構成要素を含んでよく、代替的には、制御ブロック350は、適当なソフトウェアでプログラムされ、駆動ユニットへ作動可能に結合された、適当なマイクロプロセッサユニットを含んでよい。
【0173】
観測/制御システム300が、第4の実施形態に関連して上で説明されてきたが、システム300は、それと同様の態様で本明細書と共に説明された他の実施形態の中に含まれてよい(必要に応じて変更を加えて)。更に、システム300は、その吸引圧力を観測し制御することが所望されると同時に、それを介して汲み上げられる流体への又は流体からの汚染の危険を最小限にするような他の真空ポンプシステムと共に、使用されてもよい。
【0174】
本発明の幾つかの実施形態が、以下の番号を振られた段落において定義される。
1. 標的容積に流体連通するようになされた吸入口装置を有する吸引ヘッドと、
前記吸引ヘッドに流体連通しており、外部周囲圧力を下回ってシステム中に作動圧力を提供するようになされた真空ポンプと、
前記真空ポンプと前記吸入口装置との少なくとも一方に流体連通している前記標的容積から排液されてよい物質の収集のための収集容積を画成する廃液容器と、
前記廃液容器の上流で前記吸引ヘッドに流体連通している、前記作動圧力を受動的に調整するための受動圧力調整システムと
を備える、標的容積へ準周囲圧力を提供するための真空システム。
2. 前記圧力調整システムは、前記外部周囲圧力に対して予め定められた所与の圧力を下回る前記作動圧力の低下に応じた、システム中への外部環境空気の進入を可能にし、並びに前記所与の圧力が回復された場合に前記進入を中断させるようになされた通気弁装置を備える、実施形態1による真空システム。
3. 前記通気弁装置は、弁座を有し、前記周囲空気に流体連通している吸入ポートと、前記真空システムに流体連通している排出ポートと、前記作動圧力が前記所与の圧力未満である場合に弁シールに作用する、圧力に誘起された力を実質的に下回る大きさの、圧力に誘起された力に対して概して反対方向への付勢力を生成する弾性要素によって、前記弁座に対して密閉的に閉じるために付勢される弁シールとを備える、実施形態2による真空システム。
4. 前記通気弁装置は、前記所与の圧力を調節するための調節機構を備える、実施形態2による真空システム。
5. 前記通気弁装置は、前記周囲空気に流体連通している吸入ポートと、前記真空システムに流体連通している排出ポートと、前記作動圧力が前記所与の圧力未満である場合に弁シールに作用する、圧力に誘起された力を実質的に下回る大きさの、圧力に誘起された力に対して概して反対方向への付勢力を生成する弾性要素によって、前記吸入ポートを密閉的に閉じるために付勢される弁シールとを備え、前記調節機構は、前記付勢力の大きさを調節するために付勢調節装置を備える、実施形態4による真空システム。
6. 前記弾性要素は、前記弁座の方へ前記弁シールを強制するように、適当なハウジング内に設けられた圧縮ばねを備え、前記付勢調節装置は、前記ばねの圧縮を調節するための圧縮制御機構を備える、実施形態5による真空システム。
7. 前記圧力調整システムは、前記標的容積と前記外部周囲空気との間の選択的な流体連通を可能にする前記吸引ヘッドへ連結されて、予め定められた所与の圧力を下回る前記作動圧力の低下に応じた、前記標的容積中への外部周囲空気の進入を可能にし、前記所与の圧力が回復された場合に前記進入を中断させる、実施形態1による真空システム。
8. 前記圧力調整システムは、適当な導管を介して前記吸引ヘッドへ連結される、実施形態7による真空システム。
9. 前記圧力調整システムは、前記作動圧力が前記所与の圧力を下回る場合に、前記真空ポンプの排出ポートからの流体と、前記外部周囲空気との少なくとも一方の進入を可能にするように、前記真空ポンプの前記排出ポートと、前記外部周囲空気とに選択的に流体連通している、実施形態8による真空システム。
10. 前記真空ポンプは、ポンプ駆動ユニットへ取外し自在に作動可能に結合されたポンプヘッドを備え、前記ポンプヘッドは、前記廃液容器へ固定されるか、前記廃液容器と一体型であるかの一方である、実施形態1による真空システム。
11. 前記ポンプヘッドは、ポンプ吸入ポートと、ポンプ排出ポートとを備え、前記真空システム中で前記作動圧力を誘起するように、前記ポンプ駆動ユニットによって往復運動可能な、適当な変形可能な隔膜装置を更に備える、実施形態10による真空システム。
12. 前記駆動ユニットは、往復動部材を駆動するための往復駆動装置を備え、前記隔膜は、前記ポンプヘッドが前記ポンプユニットへ結合されるのに応じて、前記往復動部材に取外し自在に係合可能である、実施形態11による真空システム。
13. 前記往復動部材及び前記隔膜は、一方が他方に結合されると、真空がそれらの間で生成されるように、等角的に形作られる、実施形態12による真空システム。
14. 前記ポンプヘッドの一部が、前記廃液容器の中に収容され、前記隔膜は、前記収集容積から概して離れる方向へ向いており、前記ポンプ吸入ポート及びポンプ排出ポートは、前記収集容積内に少なくとも部分的に存在する、実施形態11による真空システム。
15. 前記ポンプ吸入ポートは、導管を介して前記吸引ヘッドに流体連通し、前記ポンプ排出ポートは、前記収集容積に流体連通し、前記廃液容器は、前記外部周囲空気へ通気される、実施形態14による真空システム。
16. 前記ポンプ吸入ポートは、前記収集容積を介して前記吸引ヘッドに流体連通し、前記ポンプ排出ポートは、前記外部周囲空気へ通気される、実施形態14による真空システム。
17. 前記圧力調整システムは、適当な第1の導管を介して前記吸引ヘッドに作動可能に連結されており、前記圧力調整システムは、予め定められた所与の圧力を下回る前記作動圧力の低下に応じた、前記標的容積の中への、前記真空ポンプの排出ポートからの流体と、外部周囲空気との少なくとも一方の進入を可能にするように、並びに前記所与の圧力が回復された場合に前記進入を中断させるように、前記ポンプ排出ポートと前記外部周囲空気とに選択的に流体連通している、実施形態16による真空システム。
18. 前記廃液容器は、適当な第2の導管を介して前記吸引ヘッドに流体連通している、実施形態17による真空システム。
19. 前記第1の導管及び前記第2の導管は、相互に流体連通している、実施形態18による真空システム。
20. 前記ポンプヘッド、前記廃液容器、及び前記吸引ヘッドは、使い捨て可能であるように構成される、実施形態14又は実施形態73による真空システム。
21. 前記標的容積は、創傷、熱傷、又は同様のものに関連付けられ、前記吸引ヘッドは、前記標的容積を含む密閉容積を画成するように、創傷の周囲に密閉可能な包囲具を備える、実施形態1による真空システム。
22. 前記吸引ヘッドは、前記ポンプに流体連通する少なくとも1つの穴を有する排液カテーテルを備え、前記吸入装置は、前記標的容積と前記少なくとも1つの穴との間に流体連通を提供するようになされた少なくとも1つの孔を備える、実施形態1による真空システム。
23. 標的容積に流体連通するようになされた吸入口装置を有する吸引ヘッドと、
前記吸引ヘッドに流体連通しており、外部周囲圧力を下回って前記システム中に作動圧力を提供するようになされ、ポンプ駆動ユニットへ取外し自在に作動可能に連結されたポンプヘッドを備える真空ポンプであって、前記ポンプヘッドは、ポンプ吸入ポートと、ポンプ排出ポートと、前記真空システムの中で前記作動圧力を誘起するための前記ポンプ駆動ユニットによって往復運動可能な、適当な変形可能な隔膜装置とを備える真空ポンプと、
前記標的容積からの排液された物質の収集を可能にするための収集容積を画成する廃液容器であって、前記ポンプヘッドは、前記ポンプ吸入ポートと前記ポンプ排出ポートとが前記収集容積中に収容されるように、前記廃液容器へ固定されるか、前記廃液容器と一体型であるかの一方であり、前記ポンプ吸入ポートは、前記吸引ヘッドに前記ポンプ吸入ポートを連結する導管を介して、前記吸引ヘッドに流体連通しており、前記導管の少なくとも一部が、前記収集容積中に収容されており、前記ポンプ排出ポートは、前記収集容積の中へ排出し、前記廃液容器は、外部周囲空気へ通気される廃液容器と、
前記導管と、使用時に前記標的容積からの物質の吸引流を誘起するように、前記外部周囲圧力に対して予め定められた所与の圧力を下回る前記作動圧力の低下に応じた、システム中への外部環境空気の進入を可能にし、並びに前記所与の圧力が回復された場合に前記進入を中断させるようになされた吸引ヘッドとの、一方に設けられた通気弁装置と
を備える、医療標的容積へ準周囲圧力を提供するための真空システム。
24. 前記ポンプヘッド及び前記廃液容器は、ラッチ装置によって、前記ポンプ駆動ユニットに取外し自在及びロック自在に係合される、実施形態23による真空システム。
25. 標的容積に流体連通するようになされた吸入口装置を有する吸引ヘッドと、
前記吸引ヘッドに流体連通しており、外部周囲圧力を下回って前記システム中に作動圧力を提供するようになされ、ポンプ駆動ユニットへ取外し自在に作動可能に連結されたポンプヘッドを備える真空ポンプであって、前記ポンプヘッドは、ポンプ吸入ポートと、ポンプ排出ポートと、前記真空システムの中で前記作動圧力を誘起するための前記ポンプ駆動ユニットによって往復運動可能な、適当な変形可能な隔膜装置とを備える真空ポンプと、
前記標的容積からの排液された物質の収集を可能にするための収集容積を画成する廃液容器であって、前記ポンプヘッドは、前記ポンプ吸入ポートと前記ポンプ排出ポートとが前記収集容積中に収容されるように、前記廃液容器へ固定されるか、前記廃液容器と一体型であるかの一方であり、前記ポンプ吸入ポートは、前記収集容積を介して、前記吸引ヘッドに流体連通しており、前記廃液容器は、第1の導管を介して前記吸引ヘッドに流体連通しており、前記ポンプ排出ポートは、外部周囲空気へ通気される廃液容器と、
第2の導管を介して前記吸引ヘッドに流体連通しており、前記廃液容器へ設けられ、使用時に前記標的容積からの物質の吸引流を誘起するように、前記外部周囲圧力に対して予め定められた所与の圧力を下回る前記作動圧力の低下に応じた、システム中への、前記真空ポンプの排出ポートからの流体と、外部周囲空気との少なくとも一方の進入を可能にし、並びに前記所与の圧力が回復された場合に前記進入を中断させるようになされた前記ポンプ排出ポートに選択的に流体連通している、通気弁装置と
を備える、医療標的容積へ準周囲圧力を提供するための真空システム。
26. 前記ポンプヘッド及び前記廃液容器は、ラッチ装置によって、前記ポンプ駆動ユニットに取外し自在にロック自在に係合される、実施形態25による真空システム。
27. 外部周囲圧力を下回って標的容積の中に作動圧力を誘起させる工程と、
前記標的容積からの排液された物質の収集のための収集容積を提供する工程と、
前記標的容積から前記収集容積への前記物質の流れを補助するために、前記標的容積と前記収集容積との間で正圧勾配を可能にするように、前記標的容積の中の作動圧力を調整する工程と
を含む、医療標的容積へ準周囲圧力を提供するための方法。
28. 工程(c)は、前記外部周囲圧力に対して予め定められた所与の圧力を下回る前記作動圧力の低下に応じた、前記標的容積で又は前記標的容積付近での外部周囲空気の進入を可能にする工程と、前記所与の圧力が回復された場合に前記進入を中断させる工程とを含む、実施形態27による方法。
29. 外部周囲空気の前記進入と共に、前記収集容積と前記標的容積との間で流体の再循環を可能にする工程を更に含む、実施形態28による方法。
30. ポンプ駆動ユニットへ取外し自在に作動可能に連結されるようになされ、その作動中に作動流体がポンプを介して汲み上げられることを可能にするためのポンプ吸入口とポンプ排出口とを備える、真空ポンプヘッドと、
少なくとも1つの前記真空ポンプヘッドに流体連通している、排液された物質の収集のための収集容積を画成する廃液容器と
を備える、医療標的容積へ準周囲圧力を提供するための真空システムと共に使用するためのキットであって、前記真空ポンプヘッドは、前記ポンプ吸入口及び前記ポンプ排出口の少なくとも一方が、前記収集容積中に収容されるように、前記廃液容器へ取り付けられるか、又は前記廃液容器と一体型であるかの一方である、キット。
31. 前記標的容積に流体連通するようになされた吸入口装置を有する吸引ヘッドを更に備える、実施形態30によるキット。
32. 前記吸引ヘッドは、前記標的容積を含む密閉容積を画成するように、創傷の周囲へ密閉可能な包囲具を備え、前記包囲具は、前記廃液容器及び前記ポンプ吸入口の少なくとも一方に流体連通している、実施形態30によるキット。
33. 前記吸引ヘッドは、前記ポンプに流体連通している少なくとも1つの穴を有する排液カテーテルを備え、前記吸入口装置は、前記標的容積と前記少なくとも1つの穴との間に流体連通を提供するようになされた少なくとも1つの孔を備え、前記排液カテーテルは、前記廃液容器と前記ポンプ吸入口との少なくとも一方に流体連通している、実施形態30によるキット。
34. 前記作動圧力を調整するための受動圧力調整システムを更に備える、実施形態30によるキット。
35. 標的容積に流体連通するようになされた吸入口装置を有する吸引ヘッドと、
ポンプ駆動ユニットへ取外し自在に作動可能に連結されるようになされ、ポンプ吸入ポートと、ポンプ排出ポートと、それへ連結される場合に前記ポンプ駆動ユニットによって往復可能に作動するようになされた適当な変形可能な隔膜装置とを備える、ポンプヘッドと、
前記標的容積から排液された物質の収集のための収集容積を画成する廃液容器であって、前記ポンプヘッドは、前記ポンプ吸入ポートと前記ポンプ排出ポートとが前記収集容積中に収容されるように、前記廃液容器へ固定されるか、又は前記廃液容器と一体型であるかの一方であり、前記ポンプ吸入ポートは、前記吸引ヘッドに前記ポンプ吸入ポートを連結する導管を介して、前記吸引ヘッドに流体連通しており、前記導管の少なくとも一部が、前記収集容積中に収容され、前記ポンプ排出ポートは、前記収集容積の中へ排出するようになされ、前記廃液容器は、外部周囲空気へ通気される、廃液容器と、
前記導管と、使用時に前記標的容積からの物質の吸引流を誘起するように、前記外部周囲圧力に対して予め定められた所与の圧力を下回る前記作動圧力の低下に応じた、システム中への外部周囲空気の侵入を可能にし、並びに前記所与の圧力が回復された場合に前記進入を中断させるようになされた吸引ヘッドとの、一方へ設けられた通気弁装置と
を備える、実施形態30によるキット。
36. 前記隔膜は、前記ポンプ駆動ユニットに係合するための吸引カップ装置を備える、実施形態35による真空システム。
37. 標的容積に流体連通するようになされた吸入口装置を有する吸引ヘッドと、
ポンプ駆動ユニットへ取外し自在に作動可能に連結されるようになされ、ポンプ吸入ポートと、ポンプ排出ポートと、それへ連結される際に前記ポンプ駆動ユニットによって往復可能に作動するようになされた適当な変形可能な隔膜装置とを備える、ポンプヘッドと、
排液された物質の収集のための収集容積を画成する廃液容器であって、前記ポンプヘッドは、前記ポンプ吸入ポートと前記ポンプ排出ポートとが前記収集容積中に収容されるように、前記廃液容器へ固定され、前記ポンプ吸入ポートは、前記収集容積を介して、前記吸引ヘッドに流体連通しており、前記廃液容器は、第1の導管を介して前記吸引ヘッドに流体連通しており、前記ポンプ排出ポートは、外部周囲空気へ通気される、廃液容器と、
第2の導管を介して前記標的容積に流体連通しており、前記廃液容器へ設置され、前記標的容積からの物質の吸引流を誘起するように、前記外部周囲圧力に対して予め定められた所与の圧力を下回る前記作動圧力の低下に応じた、システム中への、前記真空ポンプの排出ポートからの流体及び外部周囲空気の少なくとも一方の侵入を可能にするためと、前記所与の圧力が回復された場合に前記進入を中断させるためとの前記ポンプ排出ポートに選択的に流体連通する、通気弁装置と
を備える、実施形態30によるキット。
38. 前記隔膜は、前記ポンプ駆動ユニットに係合するための吸引カップ装置を備える、実施形態37による真空システム。
40. 密閉容積を画成するために創傷の周囲に密閉可能な包囲具と、前記密閉容積に流体連通する真空ポンプと、前記真空ポンプに流体連通する、廃液された液体の収集のための廃液容器とを備える、開放創から滲出された液体より開放創を排液するための真空システムであって、前記真空ポンプが作動されると、排液された液体が前記真空ポンプを介して流れるように、前記密閉容積は、前記真空ポンプの吸入口へ連結され、前記廃液容器は、前記真空ポンプの排出口へ連結される真空システム。
41. 前記包囲具は、前記真空ポンプの前記吸入口へチューブにより連結された排出口を有し、1つ又はそれ以上の放血孔が、周囲空気が前記チューブに進入し、排液された液体と共に流れ得るように、前記包囲具を貫通して又はその排出口に隣接して設けられる、実施形態40の真空システム。
42. 前記真空ポンプは、使い捨て不可能な駆動ユニットへ取外し自在に取付け可能な、使い捨て可能なポンプユニットを有し、前記包囲具及び前記廃液容器は、排液された液体及びそれらに接触するようになる空気が使い捨て可能な要素だけに接触するように、使い捨て可能であり、前記排液された液体は、前記使い捨て可能な要素と共に処分されてよい、実施形態40又は41の真空システム。
43. 前記ポンプユニット及び前記駆動ユニットは、簡単な手動操作によって取付け及び取外しを行うようになされる、実施形態42の真空システム。
44. 前記真空ポンプは、駆動ユニットと、予め定められたレベルの負圧が前記密閉容積の中で維持されるように前記駆動ユニットを駆動するようになされた制御ブロックとを有し、前記制御ブロックは、前記駆動ユニットの作動パラメータを感知するためのセンサと、前記予め定められたレベルを維持するため、前記作動パラメータから前記密閉容積内の負圧のレベルを引き出すための手段とを有し、前記センサは、前記密閉容積に流体連通していない、実施形態40から43のいずれか1つの真空システム。
45. 前記駆動ユニットは、電気モータを備え、前記作動パラメータは、前記モータの電流及び/又は電圧を含む、実施形態44の真空システム。
46. 前記廃液容器は、前記排液された液体と混合された気体を排出するために通気される、実施形態40から45のいずれか1つの真空システム。
47. 前記廃液容器は、収縮可能な袋である、実施形態40から46のいずれか1つの真空システム。
48. 前記真空ポンプは、気体及び液体及び/又はそれらの任意の組合せを汲み上げるようになされた2室隔膜ポンプである、実施形態40から47のいずれか1つの真空システム。
49. 歩行可能な患者により着用されるようになされた、実施形態40から48のいずれか1つのシステム。
50. 密閉容積を画成するように創傷の周囲へ取付け可能であり、負圧が前記容積中に生成され得るように真空ポンプの吸入口へチューブにより連結可能である排出口を有する、開放創から滲出された液体より開放創を排液するための包囲具であって、1つ又はそれ以上の放血孔が、周囲空気が、前記チューブへ進入し、負圧の作用下で滲出された液体と共に流れ、周囲圧力が、前記真空ポンプが作動していない場合に前記密閉容積の中で回復されてよいように、包囲具中に又はその排出口に隣接して設けられる、包囲具。
51. 前記チューブを連結するためのニップルを有する、実施形態50の包囲具。
52. 複数の放血孔が、前記包囲具中に設置された多孔体の形態で提供される、実施形態50から51のいずれか1つの包囲具。
53. 前記真空ポンプ吸入口へ連結するため、前記排出口へ連結されたチューブを用いて完成され、前記1つ又はそれ以上の放血孔は、前記排出口に隣接してチューブ中に設けられる、実施形態50から52のいずれか1つの包囲具。
54. 包囲具を提供し、密閉容積を画成するため創傷の周囲にそれを密閉させる工程と、
真空ポンプへ前記密閉容積を連結させる工程と、
前記真空ポンプへ、排液された液体の収集のための廃液容器を連結させる工程と、
滲出された液体を排液するために前記真空ポンプを作動させる工程と
を含み、前記密閉容積は、前記真空ポンプの吸入口へ連結され、前記廃液容器は、排液された液体及び空気が前記真空ポンプを介して流れるように、前記真空ポンプの排出口へ連結される、開放創から滲出された液体より開放創を排液するための方法。
55. 前記包囲具は、前記真空ポンプの前記吸入口へチューブにより連結される排出口を有し、周囲空気は、前記空気が排液された被滲出液体と共に流れるように、前記包囲具を貫通して又はその排出口に隣接して設けられた1つ又はそれ以上の放血孔を介して、前記チューブ中へ進入することが可能である、実施形態54の方法。
56. 前記排液された被滲出液体から気体を分離し放出する工程を含む、実施形態54から55のいずれか1つの方法。
57. 前記気体は、前記廃液容器中の通気口を介して排出される、実施形態56の方法。
58. 前記真空ポンプは、気体及び液体及び/又はそれらの任意の組合せを汲み上げるようになされた2室隔膜ポンプである。実施形態54から57のいずれか1つの方法。
59. 前記包囲具と、前記廃液容器と、前記排液された液体に接触する前記真空ポンプの少なくとも一部とは、使い捨て可能であり、方法は、前記排液された被滲出液体と共に使い捨て可能な要素を処分する工程を含む、実施形態54から58のいずれか1つの方法。
60. 前記真空ポンプの使い捨て可能な部分が、使い捨て不可能な駆動ユニットへ取外し自在に取付け可能なポンプユニットであり、排液前に前記駆動ユニットへ前記ポンプユニットを取り付ける工程と、前記処分の前に前記ポンプユニットを取り外す工程とを含む、実施形態59の方法。
61. 前記取り付ける工程と取り外す工程とが簡単な手動操作のみを含む、実施形態60の方法。
62. 歩行可能な患者の創傷へ適用可能な、実施形態54から61のいずれか1つの方法。
63. 密閉容積を画成するように創傷の周囲へ取付け可能な包囲具と、負圧が前記容積の中に生成され得るように前記包囲具へ連結された真空ポンプユニットとを備え、前記真空ポンプユニットは、前記ポンプユニットを作動するための駆動ユニットへ取外し自在に取り付けるための手段と、前記真空ポンプユニットへ連結された廃液容器とを有する、開放創から滲出された液体より開放創を排液するための使い捨て可能な組立体であって、前記包囲具は、前記真空ポンプユニットの吸入口へ連結され、前記廃液容器は、前記真空ポンプユニットが作動されると、排液された液体がそれを介して流れるように、前記真空ポンプユニットの排出口へ連結される、使い捨て可能な組立体。
64. 前記包囲具は、前記真空ポンプユニットの前記吸入口へチューブにより連結される排出口を有し、1つ又はそれ以上の放血孔が、周囲空気が排出された被滲出液体と共に前記チューブを通って流れ得るように、前記包囲具を貫通して又はその排出口に隣接して設けられる、実施形態63の使い捨て可能な組立体。
65. 前記真空ポンプユニットは、気体及び液体及び/又はそれらの任意の組合せを汲み上げるようになされた2室隔膜ポンプである、実施形態63から64のいずれか1つの使い捨て可能な組立体。
66. 前記廃液容器は、前記排液された液体を吸い上げるようになされた多孔質媒体を含む、実施形態63から65のいずれか1つの使い捨て可能な組立体。
67. 前記廃液容器は、収縮可能な袋である、実施形態63から66のいずれか1つの使い捨て可能な組立体。
68. 密閉容積を画成するように創傷の周囲に密閉可能な包囲具と、前記密閉容積に流体連通し、駆動ユニットを有する真空ポンプと、予め定められたレベルの負圧が前記密閉容積中で維持されるように、前記駆動ユニットを駆動するようになされた制御ブロックとを備える、開放創から滲出された液体より開放創を排液するための真空システムであって、前記制御ブロックは、前記駆動ユニットの作動パラメータを感知するためのセンサと、前記予め定められたレベルを維持するため、前記作動パラメータから前記密閉容積内の負圧のレベルを引き出すための手段とを有し、前記センサは、前記密閉容積に流体連通していない真空システム。
69. 前記駆動ユニットは、電気モータを備え、前記作動パラメータは、前記モータの電流及び/又は電圧を含む、実施形態68の真空システム。
70. 前記制御ブロックは、前記予め定められたレベルの負圧が維持されない場合に、ユーザに警告する警報手段を有する、実施形態68から69のいずれか1つの真空システム。
71. 排液された液体を収集するための廃液容器を更に備え、前記密閉容積は、前記真空ポンプの吸入口に流体連通しており、前記廃液容器は、前記真空ポンプが作動されると排液された液体がそこを介して流れるように、前記真空ポンプの排出口に流体連通している、実施形態68から70のいずれか1つの真空システム。
72. 前記真空ポンプは、前記吸入口及び前記排出口を含む使い捨て可能なポンプユニットを備え、前記ポンプユニットは、前記駆動ユニットへ取外し自在に取付け可能であり、前記センサを有する前記制御ブロックは、前記駆動ユニットに関連付けられている、実施形態68から71のいずれか1つの真空システム。
73. 標的容積に流体連通するようになされた吸入口装置を有する吸引ヘッドと、
電動式ポンプ駆動装置へ取外し自在に連結されたポンプヘッドを備える真空ポンプであって、前記ポンプヘッドは、前記吸引ヘッドに流体連通しており、前記真空ポンプは、外部周囲圧力を下回って前記システム中に作動圧力を提供するようになされた真空ポンプと、
前記標的容積から排液されてよい物質の収集のための収集容積を画成し、前記真空ポンプと前記吸入口装置との少なくとも一方に流体連通し、前記ポンプヘッドと一体型である廃液容器と、
前記廃液容器の上流で前記吸引ヘッドに流体連通している、前記作動圧力を受動的に調整するための受動圧力調整システムと
を備え、
前記包囲具及び前記廃液容器は、使い捨て可能であり、そのため前記滲出された液体は、真空システムの使い捨て可能な要素のみに接触し得て、前記駆動ユニットを取り外した後で、前記使い捨て可能な要素と共に処分されてよい、標的容積へ準周囲圧力を提供するための真空システム。
【0175】
以下に続く方法クレームにおいて、クレームの工程を指摘するために使用される英数字及びローマ数字は、便宜のためだけに提供され、工程を実施する任意の特定の順番を示唆しない。
【0176】
添付の特許請求の範囲の全体にわたり使用される「備えている」("comprising")の語は、「包含しているが(それへ)限定されない」("including but not limited to")ということを意味するように解釈されるべきであることに留意すべきである。
【0177】
本発明による例示の実施形態が示され開示されてきたが、本発明の精神から逸脱することなく、多くの変更がそれらにおいてなされ得ることが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0178】
【図1】ポンプ-ヘッド/容器ユニットがポンプ駆動ユニットから取り外され、創傷包囲具が創傷箇所へ固定されている、本発明の第1の実施形態の側断面の概略図である。
【図2】ポンプ-ヘッド/容器ユニットがポンプ駆動ユニットへ取り付けられ、創傷包囲具が創傷箇所へ固定されている、本発明の第2の実施形態の側断面の概略図である。
【図3】図2の実施形態の圧力調整器の、断片化された側断面の概略図である。
【図4】ポンプ-ヘッド/容器ユニットがポンプ駆動ユニットへ取り付けられ、創傷包囲具が創傷箇所へ固定されている、本発明の第3の実施形態の側断面の概略図である。
【図5】ポンプ-ヘッド/容器ユニットがポンプ駆動ユニットへ取り付けられ、創傷包囲具が創傷箇所へ固定されている、本発明の第4の実施形態の側断面の概略図である。
【図6】ポンプ駆動ユニットから分離された状態の、図5の実施形態のポンプ-ヘッド/容器ユニットの変形形態の側断面の概略図である。
【図7】ポンプ駆動ユニットから分離された状態の、図6の実施形態のポンプ-ヘッド/容器ユニットの他の変形形態の側断面の概略図である。
【符号の説明】
【0179】
C 収集容積、容器容積
E 外部環境
V 密閉容積
P ポンプ容積
M 閾値
10 真空システム
12 創傷包囲具
14 ポンプヘッド
16 導管
17 通気孔
18 ポンプ-ヘッド/容器ユニット
19 ポンプ吸入ポート
20 ポンプ排出ポート
21 外縁リップ
23 ラッチ
24 隔膜
25 吸引カップ
26 往復動ヘッド
27 往復動機構
28 外縁部
29 ポンプ作動室
30 歯
31 廃液容器
34 身体
35 圧力調整器
37 コイルばね
38 弁シール
39 モータ
40 ポンプ駆動ユニット
41 電池パック
44 タブ
45 スロット
49 滲出物
50 ポンプ
51 外縁部
52 ハウジング
54 往復動ヘッド
55 滑らかな面
56 実質的に剛体の部分
59 ナット
60 ハウジング
62 インターフェース
64 駆動ユニットインターフェース
65 ニップル
67 第2の導管
68 弁座
69 排出スリーブ
72 ピン
90 キット
110 システム
112 創傷包囲具
114 ポンプヘッド
115 チャコールフィルタ
116 導管
107 環状ギャップ、通気孔
118 一体型ユニット
119 ポンプ吸入ポート
120 ポンプ排出ポート
123 第2の導管/ラッチ
124 可撓性の隔膜
125 吸引カップ
126 往復動ヘッド
127 往復動機構
128 外縁部
129 ポンプ作動室
130 歯
131 廃液キャニスタ又は容器
135 圧力調整器
137 圧縮コイルばね
138 弁シール
139 電気モータ
140 ポンプ駆動ユニット
141 電池パック
144 タブ
145 スロット
150 真空ポンプ
151 外縁部
152 ハウジング
154 可撓性の膜
155 滑らかな面
156 剛体部分
157 ニップル
159 環状調整ナット
160 ハウジング
162 インターフェース
164 駆動ユニットインターフェース
167 適当なフィルタ
168 環状弁座
169 スリーブ
171 第2の導管の第1の端部
172 第2の導管の第2の端部
177 接合部
181 外方環状弁本体
188 出口ポート
189 ディスク又はプレート
191 ねじ山
192 シール
193 内方スリーブ
194 段を付けられた穴
195 環状肩部
197 環状プレート
198 外方環状本体
199 ニップル
210 真空システム
211 吸入口
212 創傷包囲具
213 実質的に剛体の上流の第1の室
214 真空ポンプ
213a 2つの隣接する室、上流収集室
213b 2つの隣接する室
214 真空ポンプ
215 通気孔
216 吸引チューブ、導管、連結チューブ
217 2室ハウジング
218 ポンプユニット
219 一方向弁
220 一方向弁
221 実質的に剛体の下流の第2の室
222 排出口
223 取付基部
224 隔壁
225 一体型ロッド形駆動部材
226 往復動ロッド、駆動要素、受容部ロッド
227 クランク
229 作動室、ポンプ室
230 電気モータ
231 廃液収集キャニスタ又は容器、下流収集室
234 身体
235 放血孔
237 チューブ孔
238 ニップル、開口
239 モータシャフト
240 駆動ユニット
241 電池
242 デューティサイクル制御装置
243 モータ電圧電流観測制御装置
247 多孔質媒体
260 組立体
287 孔
297 開口、自由端部
299 導管
300 システム
343 モータ電圧電流観測制御ユニット
344 負圧比較測定器
345 可聴警報器
350 制御ブロック
410 システム
414 ポンプヘッド
419 ポンプ吸入ポート
420 ポンプ排出ポート
424 隔膜
430 歯
431 廃液容器
444 タブ
457 廃液容器吸入ポート
460 ハウジング
462 インターフェース
469 スリーブ
470 スリーブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的容積に流体連通するようになされた吸入口装置を有する吸引ヘッドと、
前記吸引ヘッドに流体連通しており、前記吸引ヘッドに対する外部環境の外部周囲圧力を下回ってシステム中に予め定められた作動圧力を提供するようになされた真空ポンプと、
前記真空ポンプと前記吸入口装置との少なくとも一方に流体連通している前記標的容積から排液されてよい物質の収集のための収集容積を画成する廃液容器と、
前記廃液容器の上流で前記吸引ヘッドに流体連通し、前記外部環境に選択的及び恒常的のいずれか一方の状態で流体連通している、前記作動圧力を維持するための受動圧力調整システムと
を備える、標的容積へ準周囲圧力を提供するための真空システム。
【請求項2】
前記圧力調整システムは、前記外部周囲圧力に対して予め定められた所与の圧力を下回る前記作動圧力の低下に応じた、システム中への外部環境空気の進入を可能にし、並びに前記所与の圧力が回復された場合に前記進入を中断させるようになされた通気弁装置を備える、請求項1に記載の真空システム。
【請求項3】
前記通気弁装置は、弁座を有し、前記周囲空気に流体連通している吸入ポートと、前記真空システムに流体連通している排出ポートと、前記作動圧力が前記所与の圧力未満である場合に弁シールに作用する、圧力に誘起された力を実質的に下回る大きさの、圧力に誘起された力に対して概して反対方向への付勢力を生成する弾性要素によって、前記弁座に対して密閉的に閉じるために付勢される弁シールとを備える、請求項2に記載の真空システム。
【請求項4】
前記通気弁装置は、前記所与の圧力を調節するための調節機構を備える、請求項2に記載の真空システム。
【請求項5】
前記圧力調整システムは、前記標的容積と前記外部周囲空気との間の選択的な流体連通を可能にする前記吸引ヘッドへ連結されて、予め定められた所与の圧力を下回る前記作動圧力の低下に応じた、前記標的容積中への外部周囲空気の進入を可能にし、前記所与の圧力が回復された場合に前記進入を中断させる、請求項1に記載の真空システム。
【請求項6】
前記圧力調整システムは、前記作動圧力が前記所与の圧力を下回る場合に、真空ポンプの排出ポートからの流体と、前記外部周囲空気との少なくとも一方の進入を可能にするように、前記真空ポンプの前記排出ポートと、前記外部周囲空気とに選択的に流体連通している、請求項5に記載の真空システム。
【請求項7】
前記圧力調整システムは、前記吸引ヘッドと、前記作動圧力が前記吸引ヘッドで維持されるのを可能にし、同時に前記通気装置を介した前記吸引ヘッドの中への周囲空気の所望の流量を可能にするために、前記外部環境との間、及び所望の灌注物質を用いた前記標的容積の灌注を可能にするために、灌注源との間の、少なくとも一方で、実質的に恒常的な流体連通を、少なくとも前記システムの作動中に提供するようになされた通気装置を備える、請求項1に記載の真空システム。
【請求項8】
前記通気装置は、前記所望の流量を供給するのに適合した有効流路面積を有する少なくとも1つの放血孔を備える、請求項7に記載の真空システム。
【請求項9】
前記真空ポンプは、ポンプ駆動ユニットへ取外し自在に作動可能に結合されるポンプヘッドを備え、前記ポンプヘッドは、前記廃液容器へ固定されるか、前記廃液容器と一体型であるかの一方である、請求項1に記載の真空システム。
【請求項10】
前記真空ポンプは、電動式ポンプ駆動ユニットへ取外し自在に作動可能に結合されるポンプヘッドを備え、前記ポンプヘッドは、前記廃液容器へ固定されるか、前記廃液容器と一体型であるかの一方である、請求項2から8のいずれか一項に記載の真空システム。
【請求項11】
前記ポンプヘッドは、ポンプ吸入ポートと、ポンプ排出ポートとを備え、前記真空システム中で前記作動圧力を誘起するように、前記ポンプ駆動ユニットによって往復運動可能な、適当な変形可能な隔膜装置を更に備える、請求項10に記載の真空システム。
【請求項12】
前記駆動ユニットは、往復動部材を駆動するための往復駆動装置を備え、前記隔膜は、前記ポンプヘッドが前記ポンプユニットへ結合されるのに応じて、前記往復動部材に取外し自在に係合可能である、請求項11に記載の真空システム。
【請求項13】
前記往復動部材及び前記隔膜は、一方が他方に結合されると、真空がそれらの間で生成されるように、等角的に形作られる、請求項12に記載の真空システム。
【請求項14】
前記ポンプヘッドの一部が、前記廃液容器の中に収容され、前記隔膜は、前記収集容積から概して離れる方向へ向いており、前記ポンプ吸引ポート及びポンプ排出ポートは、前記収集容積内に少なくとも部分的に存在する、請求項11に記載の真空システム。
【請求項15】
前記ポンプ吸入ポートは、導管を介して前記吸引ヘッドに流体連通し、前記ポンプ排出ポートは、前記収集容積に流体連通し、前記廃液容器は、前記外部周囲空気へ通気される、請求項14に記載の真空システム。
【請求項16】
前記ポンプ吸入ポートは、前記収集容積を介して前記吸引ヘッドに流体連通し、前記ポンプ排出ポートは、前記外部周囲空気へ通気される、請求項14に記載の真空システム。
【請求項17】
前記圧力調整システムは、適当な第1の導管を介して前記吸引ヘッドへ作動可能に連結されており、予め定められた所与の圧力を下回る前記作動圧力の低下に応じた、前記標的容積の中への、前記真空ポンプの排出ポートからの流体と、外部環境空気との少なくとも一方の進入を可能にするように、並びに前記所与の圧力が回復された場合に前記進入を中断させるように、前記ポンプ排出ポートと前記外部周囲空気とに選択的に流体連通している、請求項16に記載の真空システム。
【請求項18】
前記廃液容器は、適当な第2の導管を介して前記吸引ヘッドに流体連通している、請求項17に記載の真空システム。
【請求項19】
前記第1の導管及び前記第2の導管は、相互に流体連通している、請求項18に記載の真空システム。
【請求項20】
前記ポンプヘッド、前記廃液容器、及び前記吸引ヘッドは、使い捨て可能であるように構成される、請求項14に記載の真空システム。
【請求項21】
前記標的容積は、創傷、熱傷、又は同様のものに関連付けられる医療標的容積であり、前記吸引ヘッドは、前記標的容積を含む密閉容積を画成するように、創傷、熱傷、又は同様のもののそれぞれの周囲に密閉可能な包囲具を備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の真空システム。
【請求項22】
前記作動圧力を観測するための非流体侵襲性観測システムを更に備え、前記観測システムは、前記電動式ポンプの作動パラメータを観測するための少なくとも1つのセンサと、前記作動パラメータへ対応する観測されたデータを閾値データと比較するための比較測定器ユニットとを備え、前記作業パラメータは、前記真空ポンプにより提供された前記作動圧力の大きさへ直接的に関係する、請求項1から9のいずれか一項に記載の真空システム。
【請求項23】
標的容積に流体連通するようになされた吸入口装置を有する吸引ヘッドと、
前記吸引ヘッドに流体連通し、前記吸引ヘッドに対する外部環境の外部周囲圧力を下回って前記システム中に予め定められた作動圧力を提供するようになされている真空ポンプと、
前記標的容積から排液されてよい物質の収集のための収集容積を画成し、前記真空ポンプの上流部分へ結合される第1の廃液容器と、
前記標的容積から排液されてよい物質の収集のための収集容積を画成し、前記真空ポンプの下流部分へ結合される第2の廃液容器と
を備える、標的容積へ準周囲圧力を提供するための真空システム。
【請求項24】
基準圧力を下回って前記システム中に予め定められた作動圧力を提供するようになされた真空ポンプを備える真空システムであって、前記真空ポンプは、電動式ポンプ駆動ユニットへ作動可能に結合されたポンプヘッドを備え、前記作動圧力を観測するための非流体侵襲性観測システムを更に備え、前記観測システムは、前記電動式ポンプの作動パラメータを観測するための少なくとも1つのセンサと、前記作動パラメータに対応する観測されたデータを閾値データと比較するための比較測定器ユニットとを備え、前記作動パラメータは、前記真空ポンプにより提供された前記作動圧力の大きさに直接的に関係する、真空システム。
【請求項25】
前記観測システムは、前記観測されたデータの大きさが、前記閾値データの大きさを超過する又は前記閾値データの大きさを下回る場合に、作動されるように構成された適当な警報器を備える、請求項24に記載の真空システム。
【請求項26】
前記観測システムは、任意の適当な態様で、前記観測されたデータを表示するための表示装置を備える、請求項24に記載の真空システム。
【請求項27】
前記駆動ユニットは、電気モータを備え、少なくとも1つの前記パラメータは、モータ電流、モータ電圧、モータ動力、モータ回転速度、モータトルクからの任意の1つを含む、請求項24に記載の真空システム。
【請求項28】
前記標的容積から排液されてよい物質の収集のための収集容積を画成し、前記真空ポンプの上流部分へ結合される、第1の廃液容器と、
前記標的容器から排液されてよい物質の収集のための収集容積を画成し、前記真空ポンプの下流部分へ結合される、第2の廃液容器と
を更に備える、請求項1から9、又は請求項22から27のいずれか一項に記載の真空システム。
【請求項29】
電気式ポンプ駆動ユニットへ取外し自在に作動可能に連結されるようになされ、その作動中にポンプを介して作動流体が汲み上げられることを可能にするためのポンプ吸入口及びポンプ排出口を備える、真空ポンプヘッドと、
前記真空ポンプヘッドの少なくとも1つに流体連通する、排液された物質の収集のための収集容積を画成する廃液容器と
を備え、前記真空ポンプヘッドは、前記ポンプ吸入口及び前記ポンプ排出口の少なくとも一方が、前記収集容積の中に収容されるように、前記廃液容器へ取り付けられるか、又は前記廃液容器と一体型であるかの一方である、標的容積へ準周囲圧力を提供するための真空システムと共に使用するためのキット。
【請求項30】
前記標的容積に流体連通するようになされた吸入口装置を有する吸引ヘッドを更に備える、請求項29に記載のキット。
【請求項31】
前記吸引ヘッドは、前記標的容積を含む密閉容積を画成するように、創傷の周囲に密閉可能である包囲具を備え、前記包囲具は、前記廃液容器と前記ポンプ吸入口との少なくとも一方に流体連通する、請求項29に記載のキット。
【請求項32】
前記作動圧力を調整するための受動圧力調整システムを更に備える、請求項29に記載のキット。
【請求項33】
(a)外部周囲圧力を下回って前記標的容積の中に作動圧力を誘起させる工程と、
(b)前記標的容積からの排液された物質の収集のための収集容積を提供する工程と、
(c)前記標的容積から前記収集容積への前記物質の流れを補助するために、前記標的容積と前記収集容積との間で正圧勾配を維持するように、前記標的容積中の作動圧力を調整する工程と
を含む、標的容積へ準周囲圧力を提供するための方法。
【請求項34】
工程(c)は、前記外部周囲圧力に対して予め定められた所与の圧力を下回る前記作動圧力の低下に応じた、前記標的容積への外部周囲空気の進入を可能にする工程と、前記所与の圧力が回復された場合に前記進入を中断させる工程とを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
外部周囲空気の前記進入と共に、前記収集容積と前記標的容積との間で流体の再循環を可能にする工程を更に含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
工程(c)は、前記作動圧力が前記標的容積で維持されるのを可能にし、同時に前記標的容積中への周囲空気の所望の流量を可能にするように、前記標的容積への外部周囲空気の実質的に継続的な進入を選択的に可能にする工程を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記標的容積で前記作動圧力の誘起を交互に行い、外部周囲圧力への前記標的容積の通気を交互に行うことによって、前記標的容積へ脈動圧力を提供する工程を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
真空システム中で真空ポンプにより生成された作動圧力を間接的に観測するための方法であって、前記作動圧力は、基準圧力を下回っており、前記真空ポンプは、電動式ポンプ駆動ユニットへ作動可能に結合されたポンプヘッドを備え、方法は、前記電動式ポンプの作動パラメータを観測する工程と、前記作動パラメータに対応する観測されたデータを閾値データと比較する工程とを含み、前記作動パラメータは、前記真空ポンプにより提供された前記作動圧力の大きさへ直接的に関係する、方法。
【請求項39】
前記観測されたデータの大きさが、前記閾値データの大きさを超過する又は下回る場合に、警報器を作動させる工程を更に含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
任意の適当な態様で、前記観測されたデータを表示する工程を更に含む、請求項38に記載の真空システム。
【請求項41】
少なくとも1つの前記パラメータは、モータ電流、モータ電圧、モータ動力、モータトルクから任意の1つを含む、請求項38に記載の真空システム。
【請求項42】
標的容積に流体連通するようになされた吸入口装置を有する吸引ヘッドと、
前記吸引ヘッドに流体連通し、前記吸引ヘッドに対して外部環境の外部周囲圧力を下回って前記システム中に予め定められた作動圧力を提供するようになされた、真空ポンプと、
前記真空ポンプの排出ポートに流体連通する前記標的容積から排液されてよい物質の収集のための収集容積を画成する廃液容器と、
前記廃液容器の上流で前記吸引ヘッドに流体連通する排出口を有し、前記収集容積に選択的に流体連通する吸入口を有する、前記作動圧力を維持するための受動圧力調整器と
を備える、標的容積へ準周囲圧力を提供するための真空システム。
【請求項43】
前記圧力調整器は、前記外部周囲圧力に対して予め定められた所与の圧力を下回る前記作動圧力の低下に応じた、システム中への外部周囲空気の侵入を可能にし、並びに前記所与の圧力が回復された場合に前記進入を中断させるようになされた通気弁装置を備える、請求項42に記載の真空システム。
【請求項44】
前記通気弁装置は、前記周囲空気に選択的に流体連通する弁座を有する吸入ポートと、前記作動圧力が前記所与の圧力未満である場合に弁シールに作用する、圧力に誘起された力を実質的に下回る大きさの、圧力に誘起された力に対し概して反対方向への付勢力を生成する弾性要素によって、前記弁座に対して密閉的に閉じるために付勢される弁シールとを備える、請求項43に記載の真空システム。
【請求項45】
前記ポンプは、電動式ポンプ駆動ユニットに可逆的に係合可能なポンプヘッドを備え、前記容器は前記ポンプヘッドと一体型である、請求項42から44のいずれか一項に記載の真空システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−502301(P2009−502301A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523532(P2008−523532)
【出願日】平成18年7月24日(2006.7.24)
【国際出願番号】PCT/IL2006/000855
【国際公開番号】WO2007/013064
【国際公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(593161526)
【Fターム(参考)】