説明

吸水性を有する土のうを路盤に用いた透水性舗装及び透水性舗装の路盤用土のう

【課題】ヒートアイランド現象の抑制に効果を発揮すると共に、軟弱な或いは振動の激しい地盤においても耐久性を有する透水性舗装を提供する。又、この様な透水性舗装を実現するのに最適な路盤用の吸水性を有する土のうを提供する。
【解決手段】保水性の路盤と表面に二酸化チタン皮膜を有する透水性材料から構成された透水性舗装によって解決される。特に、浄水場の脱水ケーキを解砕し、解砕したケーキにセメントを加えて造粒して製造した造粒粉を通水性を有する袋に詰めた土のうを敷設して形成した路盤とし、更に、路盤の上に敷設する透水板に、砕石粗骨材および多孔質セラミック粗骨材で構成された基層部と細骨材主体で形成された表層部とから構成された多孔質コンクリート体の表面に親水性二酸化チタン皮膜を有した透水板を用いることにより効果的に解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水性を有する土のうを路盤に用い、その上に透水性材料を舗装して構成される透水性舗装及び透水性舗装の路盤用土のうに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、透水性舗装としての歩道および自転車道等(以下、単に歩道舗装と称する)に於ける舗装に要求される性能は、透水性に優れていることの他、基本的にはすべり抵抗性、平たん性が求められる。又、これらの性能の他、景観、街路樹の保護育成などに優れた舗装が求められる。(非特許文献1を参照のこと)。
【0003】
更に、歩道舗装用透水板として大気中のNOxなどの有毒ガスを分解除去する浄化機能付多孔質コンクリート体が提案されている。(特許文献1を参照のこと)
しかしながら、夏季において、歩道舗装、ビルに囲まれた広場、ショピングセンター広場などの舗装における所謂「ヒートアイランド現象」を抑制し、且つ、実用に供しうる程度に低コストの舗装は未だ提案されていない。砕石を路盤に用い、透水ブロックを敷設した従来の透水性舗装は雨水を地下に浸透させることはできるが、盛夏の真昼に舗装表面が極めて高温になる問題は解決できていない。
【0004】
更に又、大型車両の通行量の多い車道沿いの歩道においては、大気中のNOxなどの有毒ガス含有量が多いことに加えて、大型車両の通行による振動で歩道舗装の路盤層がゆるみ易く、路盤上に敷設した透水板の傾斜、陥没などが発生し、歩道舗装の平坦性が損なわれるとの問題が発生していた。
軟弱な地盤に形成された歩道舗装においては特に透水板の傾斜、陥没の問題が発生し易い。
【0005】
【非特許文献1】書名「舗装設計施工指針」、編集「社団法人 日本道路協会」、発行所、「丸善株式会社出版事業部」、発行期日「平成14年11月1日」;第109頁
【特許文献1】特開2003−026486号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した従来の問題に鑑みてなされたものであり、歩道、ビルに囲まれた広場、ショピングセンター広場などの夏季に於ける舗装のヒートアイランド現象の抑制に効果を発揮すると共に、低コストで、且つ、大型車両の通行量の多い車道沿いの歩道及び軟弱な地盤に形成された舗装においても舗装の平坦性が損なわれることなく、充分な耐久性を有する透水性舗装を提供することにある。又、この様な透水性舗装を実現するのに最適な路盤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上述の課題を解決すべく鋭意研究した結果、吸水性を有する土のうを路盤に用いることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は、以下の透水性舗装及び透水性舗装の路盤用土のうを提供するものである。
【0008】
〔1〕通水性を有する袋の中に吸水性材料を詰めた土のうを埋設して形成した路盤と透水性を有する材料とから構成された透水性舗装。
【0009】
〔2〕前記通水性を有する袋が化学繊維を編んで製造した袋であることを特徴とする〔1〕に記載の透水性舗装。
【0010】
〔3〕前記〔1〕に記載の吸水性材料が水硬性バインダーを結合材として造粒した多孔質造粒紛であることを特徴とする〔1〕に記載の透水性舗装。
【0011】
〔4〕前記〔1〕に記載の吸水性材料が、浄水場泥土の脱水ケーキを解砕し、水硬性バインダーを加えて造粒し製造した造粒粉であることを特徴とする〔1〕に記載の透水性舗装。
【0012】
〔5〕前記〔3〕に記載の多孔質造粒粉が粒度20mm以下であることを特徴とする〔3〕に記載の透水性舗装。
【0013】
〔6〕前記〔4〕に記載の脱水ケーキが浄水場泥土に石灰を加えることなく脱水して製造した脱水ケーキであって、水硬性バインダーが高炉セメントであることを特徴とする〔4〕に記載の透水性舗装。
【0014】
〔7〕前記〔1〕に記載の透水性を有する材料が透水係数1×10−5cm/秒以上の特性を有する材料であることを特徴とする〔1〕に記載の透水性舗装。
【0015】
〔8〕前記〔1〕に記載の透水性を有する材料が表面に二酸化チタン皮膜が形成された透水板であることを特徴とする〔1〕に記載の透水性舗装。
【0016】
〔9〕前記〔8〕に記載の透水板が砕石粗骨材及び多孔質セラミック粗骨材を主体として形成された基層部と細骨材主体で形成された表層部とから構成された多孔質コンクリート体の表面に親水性二酸化チタン皮膜が形成された透水板であることを特徴とする〔8〕に記載の透水性舗装。
【0017】
〔10〕前記〔9〕に記載の二酸化チタン皮膜が粒子径20nm以下のアナターゼ超微粒子で形成された皮膜であるであることを特徴とする〔9〕に記載の透水性舗装。
【0018】
〔11〕前記〔9〕に記載の砕石粗骨材及び多孔質セラミック租骨材の最大粒径が5mm以下であって、細骨材の最大粒径が3mm以下であることを特徴とする〔9〕に記載の透水性舗装。
【0019】
〔12〕化学繊維を編んで製造した袋の中に、浄水場泥土の脱水ケーキを解砕し、水硬性バインダーを加えて造粒し製造した造粒粉を詰めて形成したことを特徴とする透水性舗装の路盤用土のう。
【発明の効果】
【0020】
本発明の透水性舗装は、吸水性、貯水性に極めて優れた土のうを路盤に用いているから、夏季、降雨時には、雨水は透水性材料を浸透し、路盤部で保水され、多量の水が貯水される。晴天時に、太陽光の照射、気温の上昇と共に舗装の路面温度は加熱され上昇するが、路盤層に貯水された水が路面表面から蒸発し、水分蒸発による気化熱により路面温度の上昇が抑制され、ヒートアイランド現象の発生が防止される。路盤層に保水、貯水される水の量が多いから、路面温度の上昇が長期間に亘って抑制される。
【0021】
又、透水性を有する材料として、親水性二酸化チタン皮膜を表面に有する透水板を用いた透水性舗装は、二酸化チタンの水ぬれ性が良く、効率良く路面より水分蒸発するからヒートアイランド現象の発生がより一層効果的に防止される。
【0022】
又、透水板として、砕石粗骨材および多孔質セラミック粗骨材を主体に形成された基層部と細骨材主体で形成された表層部とから構成された多孔質コンクリート体の表面に親水性二酸化チタン皮膜を有した透水板を用いた場合は、すべり抵抗性などの歩道としての基本特性は勿論のこと、透水性に加えて吸水性、保水性を有し、毛管現象により路盤層の水分を親水性二酸化チタン皮膜に補給し、二酸化チタン皮膜からの効率的な水分蒸発を可能とするから、極めて効果的にヒートアイランド現象の発生を防止する。
【0023】
又、親水性二酸化チタン皮膜の作用により、汚れのない美麗な透水性舗装の提供が可能となる。更に、光触媒活性に優れた二酸化チタン皮膜とした場合、大気中の有毒ガスの分解浄化に加えて犬の糞など有機物が分解され、大気浄化と防汚効果に優れた歩道などの透水性舗装が提供される。更に又、歩道等の透水性舗装の色あせが防止され、初期の歩道等の透水性舗装の色調が長期にわたり維持されるとの効果も得られる。
【0024】
又、本発明の路盤用土のうは、浄水場泥土の脱水ケーキを解砕し、水硬性バインダーを加え造粒した造粒粉を詰めて形成したものであるから、吸水性、貯水性に極めて優れると共に、路盤としての強度、安定性を有する路盤を形成する。大型車両の通行量の多い車道沿いの歩道や軟弱な地盤に形成された歩道においても透水板の傾斜、陥没などの発生が防止され、歩道舗装の平坦性が維持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
【0026】
以下、本発明の透水性舗装及び路盤用土のうを実施するための最良の形態について具体的に説明するが、本発明は下記の実施形態に限定されるものではない。
【0027】
本発明の透水性舗装は、通水性を有する袋の中に吸水性材料を詰めた土のうを埋設して形成した路盤の上に透水性を有する材料を敷設して構成された透水性舗装である。
通水性を有する袋として例えばポリエチレンやポリプロピレン等の化学繊維を編んで製造した土のう袋を用いることができる。
【0028】
吸水性材料は、水硬性バインダーを結合材として造粒した多孔質造粒粉が好ましい。特に浄水場泥土に石灰を加えることなく脱水して製造した脱水ケーキを解砕し、セメントを加えて造粒し、20mm以下に篩を通して分級した造粒粉が、保水性に極めて優れ、所定の強度を有するから特に好ましい。
【0029】
セメントを結合材として製造した多孔質造粒粉を直接路盤材として用いる場合は、従来の工法により多孔質造粒粉をローラーで締め固め、路盤を形成するが、所定の強度の路盤を得るにはセメント量を多くして製造した多孔質造粒粉を用いる必要がある。この場合は吸水特性を犠牲にした多孔質造粒粉であるから形成される路盤の吸水性、貯水性は低下する。
【0030】
しかしながら本発明においては、通水性を有する袋の中に吸水性材料を詰めた土のうを用いて路盤を形成しているから、強度を犠牲にして吸水性を高めた多孔質造粒粉、即ち、必要最小限のセメントで造粒した多孔質造粒粉であっても、それを土のうに詰め、その土のうで形成された路盤は路盤としての所定の強度を有する。したがって、極めて吸水性に優れた路盤が得られる点に特徴がある。
【0031】
水硬性バインダーを結合材として造粒した多孔質造粒粉は、加えるバインダーの量を適宜設定することにより最大限の保水性を有する造粒粉が得られ、保水性に極めて優れた路盤が形成される点で好ましい。
【0032】
尚、多孔質造粒粉を製造する際、好ましい実施態様として浄水場泥土に石灰を加えれることなく脱水して製造した脱水ケーキを用いる理由は、浄水場汚泥は水切りを良くするために石灰を加え、フィルタープレスして脱水ケーキをつくる場合もあるが、この様な脱水ケーキを用いた場合は解砕時にヘドロ状に成り、造粒に多量のセメントを要し、コスト高となり、吸水特性も低下するからである。
本発明の好ましい実施形態においては、浄水場汚泥は石灰を注入せずフィルタープレスしたものを用いる。
【0033】
高炉セメントを用いた場合は、PH値が8.5〜9.0の造粒粉が得られ、この様な造粒粉を詰めた土のうによって形成された路盤は路盤に貯水された水が中性に近く、街路樹等の植生に良い点で好ましい。水硬性バインダーを結合材として多孔質造粒粉を製造するには、パン型ミキサーの一種、解砕、混合、造粒を行う複合機能を備えた混合機、例えば商品名;ペレガイヤミキサー(製造元;株式会社 北川鉄工所)を用いて製造する。浄水場汚泥をフィルタープレスで脱水した脱水ケーキをペレガイヤミキサーに投入し、解砕後、所定量のセメントを投入し、混合と共に造粒させる。
【0034】
浄水場泥土の脱水ケーキを解砕し、高炉セメントを例えば、5%加えて造粒した多孔質造粒粉の保水特性は極めて高く、Dry状態を基準(wt%)にして165wt%の極めて高い含水特性を有する。
【0035】
次ぎに、本発明の構成要件である透水性を有する材料について説明する。
透水性を有する材料は、透水係数が1×10−5cm/秒以上の特性を有する材料が好ましい。路面に降り注ぐ雨水を滞りなく浸透するからである。透水性を有する材料としては、例えば、砕石粒をセメントで固めた多孔質板、ブロックまたは舗装、開粒度アスファルト舗装、焼成によって製造する多孔質板またはブロック、天然砂利やゴムチップを樹脂バインダーで固めた多孔質板、ブロックまたは舗装、土を消石灰で固めた多孔質板、ブロックまたは舗装等を用いることができる。
【0036】
特に、表面に二酸化チタン皮膜が形成された透水板が好ましい。二酸化チタンの水ぬれ性が良く、効率良く路面より水分蒸発するから、ヒートアイランド現象の発生がより一層効果的に防止されるからである。
【0037】
又、親水性の二酸化チタン皮膜の表面が湿潤状態に成り易く、自動車から排出される排ガス中のタール等の汚れの付着、固着化が防止され、又、アナターゼタイプの二酸化チタン皮膜の場合、光触媒作用により犬の糞尿などの有機物の付着物は分解され、その結果、汚れのない美麗な歩道の提供が可能になる。即ち、防汚効果に優れた歩道舗装が提供される。
【0038】
更に又、二酸化チタン皮膜の光触媒作用により大気中の窒素酸化物などを分解し、大気の浄化機能に優れた歩道舗装が提供される。二酸化チタン皮膜が粒子径20nm以下のアナターゼ超微粒子で形成された皮膜の場合、親水性、光触媒特性に優れ、上述のヒーとアイランド現象の抑制効果、防汚効果、大気浄化効果がより一層向上し、好ましい。
又、顔料で着色された歩道舗装の経時変化による色褪せが防止され、その色調を長期にわたり維持されるとの格別の効果が得られる。
【0039】
又、本発明においては、透水板として、砕石の粗骨材と多孔質セラミックの粗骨材を主体として形成された基層部と細骨材主体で形成された表層部とから構成された多孔質コンクリート体の表面に親水性を有する二酸化チタン皮膜を有した透水板が好ましい。
透水板を構成する基層部に混在している多孔質セラミック粗骨材により保水性が付与されており、透水板自体の貯溜水量が増大することは勿論のこと、基層部が路盤から水分を吸い上げ、表層部は毛管作用により基層部の水分を親水性二酸化チタン皮膜に供給する。即ち、毛管作用のある透水板であるから、路盤に保水された貯溜水が透水板に吸い上げられ、更に親水性の二酸化チタン皮膜表面から効率よく水分蒸発し、水分蒸発による気化熱により路面温度の上昇が抑制されるからである。
【0040】
基層部は路盤部に保水、貯溜されている水を吸い上げ、基層部に貯溜水し、表層部に水分補給し、親水性二酸化チタン皮膜への水分補給、更には二酸化チタン皮膜からの水分蒸発の持続を可能とする。降雨時あるいは多湿時には透水板および路盤で保水し、晴天時あるいは乾燥時には上述の通り、二酸化チタン皮膜からの水分蒸発を持続する。
【0041】
尚、多孔質セラミック粗骨材として、下水汚泥焼却灰を原料として製造した下水道用セラミック管の廃材を破砕して得た粗骨材を用いており、強度と保水性に優れ、且つコスト低減が可能である。又、砕石粗骨材および多孔質セラミック粗骨材の粒度は2.5〜5mmである。表層部を構成する細骨材は3mm以下の丸みのある珪砂である。この様な細骨材を用いることにより歩行者にソフトな感触を与える。更に、顔料を加え着色された表層部とする際に、顔料の色調が珪砂を用いれば阻害されないとの効果が得られる。
【0042】
又、本発明の透水板を構成する二酸化チタン皮膜は粒子径10nm以下のアナターゼ超微粒子で形成された皮膜である。この二酸化チタン皮膜は、未硬化の状態にある表層部の表面に吹き付け工法によりに二酸化チタン溶液を吹き付けて形成させた二酸化チタン皮膜である。擬硬化の状態にあるセメント表面に二酸化チタン微粒子が衝突し、一部セメントに食い込み、或いは接着し、セメントの硬化反応が進むにつれセメントとの接合が強化された状態にある。
【実施例】
【0043】
本発明の透水性舗装の実施態様について図1に基づいて説明する。
本発明の透水性舗装は図1に示す通り、図2に示す通水性を有する袋8に吸水性材料9を詰めた本発明の土のう6を埋設して形成した路盤2と透水性を有する材料3とから構成される。透水性材料3を敷設する際、路盤2の上に少量のレベル出しの砂5を用いるのが好ましい。
【0044】
通水性を有する袋8としてはポリエチレン繊維で編んだ土のう袋8を用いる。吸水性材料9としては浄水場泥土の脱水ケーキを解砕し、高炉セメントを5%加えて造粒し、200mm以下に篩通しした多孔質造粒紛を用いる。透水性を有する材料3としては、300mm×300mm×60mmの透水板を用いる。
【0045】
透水板3は図3に示す通り、粗骨材主体で形成された厚み50mmの基層部10と細骨材主体で形成された厚み10mmの表層部11の2層構造からなる多孔質コンクリート体15の空隙率は15〜25%であり、その多孔質コンクリート体15の表層部11の表面には巾(t1)1〜2mm、ピッチ(t2)8.5mm程度の細溝16が形成されている。
【0046】
更に、表層部11の最表面11a及び細溝の表面11b及び表面近傍の孔壁には二酸化チタン皮膜4が形成されている。
透水板3は、この様に表面に細溝16を設けているから、透水板3の最表面11aを除いて、細溝の表面11b及び表面近傍の孔壁に形成されている二酸化チタン皮膜4は歩行者によって剥離されることはない。又細溝16が設けられていることにより歩行中のすべりが防止される。透水板3についてすべり抵抗値の測定結果を表1に示す。70BPN以上の値であって優れたすべり抵抗性を有する。
【0047】
【表1】

【0048】
多孔質コンクリート体15の製造方法は、基層部10の成形に引き続いて表層部11の成形を行う。いずれも加圧振動成形法により成形するから高い生産性、コストの低減、必要最小限のセメント使用などを可能としている。
【0049】
基層部10を成形する際の代表的原料配合例を表2に示す。表2に示す通り、単位量(Kg/m)として、砕石である粗骨材(A)1180重量部、下水汚泥焼却灰を用いて製造した水道用ハイセラミック管のリサイクル材である租骨材(B)393重量部、セメント400重量部、水90重量部を強制2軸タイプのミキサーを用いて混練する。
【0050】

【0051】
強制2軸タイプのミキサーを用いる理由は、必要最小限のセメント及び水で骨材表面に均一にまぶすことが重要であるからである。混練物を加圧振動機のテーブルバイブレータ上に載置された金型内に投入し、上部加圧治具に1〜2秒間振動を与えながら、混練物投入量の10倍以上の加圧力で加圧成形する。上部加圧治具が所定の位置に達した時点で停止する。骨材表面に付着したセメントに流動性を与え、骨材間で垂れない程度にスラリー化させ、骨材間に所定の連続空隙を形成させる。(以下、基層部の加圧振動成形を一次プレスと称する。)
【0052】
基層部10の成形に続いて表層部11の成形を行う。表層部11として、表層部11を成形する際の代表的原料配合例を表3に示す。表3に示す通り、3号硅砂である細骨材1496重量部、顔料22.5重量部、白華防止剤6.75重量部、セメント450重量部、水100重量部を強制2軸タイプのミキサーを用いて混練する。混練物を金型内の基層部の上面に投入し、均した後、基層部の成形の際と同じ加圧力でテーブルバイブレータ及び上部加圧治具に振動をかけながら加圧振動成形する。加圧振動時間は3〜5秒間である。振動数は3500rpmである。(以下、表層部の加圧振動を二次プレスと称する。)
【0053】
【表3】

【0054】
加圧振動成形後未硬化の状態でパレット上で成形体を離型する。
次いで、未硬化の状態にある表層部11の表面に二酸化チタン溶液を吹きつけて二酸化チタン皮膜4を形成させる。二酸化チタン皮膜4を形成後、多孔質コンクリート体15全体を蒸気養生して、セメント反応を促進し、透水板3を製造する。
【0055】
尚、二酸化チタン溶液を吹き付けて二酸化チタン皮膜4を形成する際、二酸化チタン皮膜4の厚みの増大と共に表面の顔料による色調が二酸化チタンの白色により変化する。二酸化チタンの吹きつけ量を色見本を基準にして規定すれば二酸化チタン皮膜4の厚みが一定し、且つ、必要十分の二酸化チタン皮膜厚みとすることが出来、高価な二酸化チタン原料の無駄な使用が防止され、コスト低減に大幅に寄与する。
【0056】
又、二酸化チタン溶液としては、超微粒子の二酸化チタンがよく分散した溶液、例えば、粒子径7nmの光触媒活性にすぐれた二酸化チタン粉末ST−1(製造元;石原産業株式会社)を分散材を混入したアルカリ水中に入れ、混合して得られる二酸化チタン溶液を用いる。
【0057】
この様にして製造された透水板3は、空隙率15〜25%、透水係数1〜8×10−5cm/秒以上、曲げ強度3N/mm、保水量10.6L/m2以上の特性を有する。
【0058】
上述の構成からなる本発明の透水性舖装1について、夏季の高温時における路面温度を測定した結果を表4に示す。
【0059】
【表4】

【0060】
従来のアスファルト舖装においては路面温度が60℃、コンクリート板舗装においては路面温度が48℃にまで高温に達するのに対し、本発明例では路面温度42℃と大幅に路面温度の上昇を抑制できた。従来の光触媒機能を有する二酸化チタンを表面に有した透水板と比較しても3℃路面温度を低下させることができた。
又、本発明の透水性舗装の上記路面温度の低下効果は5日間持続できた。長期間にわたりヒートアイランド現象の発生を防止できた。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の透水性舗装の断面を示す模式図である。
【図2】本発明の路盤用土のうを示す断面図である。
【図3】透水板の断面を示す模式図である。
【図4】多孔質コンクリート体の斜視図である。
【図5】細溝の局部的拡大断面図である。
【符号の説明】
【0062】
1・・・本発明の透水性舗装、2・・・路盤、3・・・透水性を有する材料(透水板)、4・・・二酸化チタン皮膜、5・・・現地路床、6・・・通水性を有する袋に吸水性材料を詰めた土のう(本発明の路盤用土のう)、7・・・レベルだし砂、8・・・通水性を有する袋、9・・・吸水性材料、10・・・基層部、11・・・表層部、12・・・砕石粗骨材、13・・・多孔質セラミック粗骨材、14・・・細骨材、15・・・多孔質コンクリート体、16・・・細溝、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通水性を有する袋の中に吸水性材料を詰めた土のうを埋設して形成した路盤と透水性を有する材料とから構成された透水性舗装。
【請求項2】
請求項1に記載の通水性を有する袋が化学繊維を編んで製造した袋であることを特徴とする請求項1に記載の透水性舗装。
【請求項3】
請求項1に記載の吸水性材料が水硬性バインダーを結合材として造粒した多孔質造粒紛であることを特徴とする請求項1に記載の透水性舗装。
【請求項4】
請求項1に記載の吸水性材料が、浄水場泥土の脱水ケーキを解砕し、水硬性バインダーを加えて造粒し製造した造粒粉であることを特徴とする請求項1に記載の透水性舗装。
【請求項5】
請求項3に記載の造粒粉が粒度20mm以下であることを特徴とする請求項3に記載の透水性舗装。
【請求項6】
請求項4に記載の脱水ケーキが浄水場泥土に石灰を加えることなく脱水して製造した脱水ケーキであって、水硬性バインダーが高炉セメントであることを特徴とする請求項4に記載の透水性舗装。
【請求項7】
前記透水性を有する材料が透水係数1×10−5cm/秒以上の特性を有する材料であることを特徴とする請求項1に記載の透水性舗装。
【請求項8】
前記透水性を有する材料が表面に二酸化チタン皮膜が形成された透水板であることを特徴とする請求項1に記載の透水性舗装。
【請求項9】
請求項8に記載の透水板が砕石粗骨材及び多孔質セラミック粗骨材を主体として形成された基層部と細骨材主体で形成された表層部とから構成された多孔質コンクリート体の表面に親水性二酸化チタン皮膜が形成された透水板であることを特徴とする請求項8に記載の透水性舗装。
【請求項10】
請求項9に記載の二酸化チタン皮膜が粒子径20nm以下のアナターゼ超微粒子で形成された皮膜であるであることを特徴とする請求項9に記載の透水性舗装。
【請求項11】
請求項9に記載の砕石粗骨材及び多孔質セラミック粗骨材の最大粒径が5mm以下であって、細骨材の最大粒径が3mm以下であることを特徴とする請求項9に記載の透水性舗装。
【請求項12】
化学繊維を編んで製造した袋の中に、浄水場泥土の脱水ケーキを解砕し、水硬性バインダーを加えて造粒し製造した造粒粉を詰めて形成したことを特徴とする透水性舗装の路盤用土のう。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−118327(P2006−118327A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−332442(P2004−332442)
【出願日】平成16年10月19日(2004.10.19)
【出願人】(599104716)大有コンクリート工業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】