説明

吸水性ポリマー粒子を含む吸収性物品及びその製造方法

本発明は、吸収性物品に使用する吸収性構造体に関し、前記吸収性構造体は吸水性材料を含む。前記吸水性材料は、非表面架橋性吸水性ポリマー粒子を少なくとも1種の後架橋剤と、少なくとも1種の水不溶性金属ホスフェートと、少なくとも1種の更なる成分と、に接触させる工程からなるプロセスにより得られる。前記少なくとも1種の成分は、少なくとも1種の窒素含有水溶性ポリマー、及び少なくとも1種の疎水性ポリマーから選択される。前記粒子は、120℃〜300℃の範囲の温度で熱処理される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大きな流体輸送性及び吸収性能を持つ吸水性ポリマー粒子を含む改善された吸収性構造体、それらの製造プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
おむつのような使い捨て吸収性物品の重要な構成要素は、吸水性ポリマー粒子を含み、典型的には、ヒドロゲル形成水膨潤性ポリマー類(吸収性ゲル材料、AGM(absorbent gelling material)、又は超吸収性ポリマー類、又はSAP(super-absorbent polymer)とも呼ばれる)を含む吸収性コア構造体である。本ポリマー材料は、多量の体液、例えば尿を、物品が使用されている間、当該物品によって吸収し、閉じ込めることができ、それによって染み出るような再ぬれを低減し、皮膚を良好に乾燥させることを確実にする。
【0003】
吸水性ポリマー類とは、具体的には、(共)重合した親水性モノマー類のポリマー類、好適なグラフト基部上にある1種以上の親水性モノマーからなるグラフト(コ)ポリマー類、セルロース若しくはデンプンからなる架橋エーテル類、架橋カルボキシメチルセルロース、部分架橋ポリアルキレンオキシド又は例えばグアー誘導体類などの水性流体中にて膨潤性の天然物である。このようなポリマー類は、おむつ、タンポン、生理用ナプキン及びその他衛生物品を製造するための、水溶液を吸収可能な生成物として使用されるが、ガーデニングにおける水分保持剤としても使用される。
【0004】
例えば、おむつにおける塩水流の誘導性(Saline Flow Conductivity、SFC)及び荷重下吸収量(Absorbency under Load、AUL)などの性能特性を改善するために、一般に吸水性ポリマー粒子は後架橋される。本後架橋は、水性ゲル相中にて実施することができる。しかし、好適に粉砕かつ分級した(ベース)ポリマー粒子は、後架橋剤によって表面がコーティングされており、乾燥され、かつ熱的に後架橋されている。表面架橋された、及び後架橋されたという2つの表現は、以下、同等に使用される。このための有用な後架橋剤は、親水性ポリマーのカルボキシレート基と共有結合を形成可能な2種又はそれ以上の基を含む化合物である。他の有用な後架橋剤は、米国特許第4,043,952号に記載されているような多価イオンである。
【0005】
米国特許第5,599,335号は、より粗い粒子によって、ここで、膨潤ゲル層の塩水流の誘導性(SFC)がより大きくできる点について開示している。後架橋によって、塩水流の誘導性(SFC)が増加しうる点についても更に教示されているが、遠心分離保持能(Centrifuge Retention Capacity、CRC)、したがって吸水性ポリマー粒子の吸収能力が常に犠牲になるに過ぎない。
【0006】
内部架橋度を増大させる(ベースポリマー中により多くの架橋剤)ことにより、並びにより強力に後架橋させる(より多くの後架橋剤)ことによって、遠心分離保持能(CRC)を犠牲にして、塩水流の誘導性(SFC)を増大させることができるということは、当業者の間では周知の事実である。
【0007】
PCT国際公開特許WO 04/069293号は、多価カチオン類の水溶性塩類でコーティングされた吸水性ポリマー粒子について開示している。そのポリマー粒子は、改善された塩水流の誘導性(SFC)及び改善された吸収性を有する。いかにして、ウィッキング能力(wicking ability)(FHA(Fixed Height Absorption)=固定高さ吸収量)を最適化するかについての教示は与えられていない。
【0008】
PCT国際公開特許WO 04/069404号は、106μm以上で850μm未満の粒径の粒子を、90%以上の量で含有し、かつ類似の値の荷重下吸収量(AUL)及び遠心分離保持能(CRC)並びに改善された塩水流の誘導性を有する、食塩抵抗性吸水性樹脂について開示している。しかしながら、高い吸収能力(CRC)を得るために、かつ塩水流の誘導性(SFC)及びウィッキング能力(FHA)などを最適化するために、粒度分布をいかに最適化しなければならないかについての教示は与えられていない。
【0009】
PCT国際公開特許WO 04/069915号は、大きな塩水流の誘導性(SFC)と大きな毛細管力(即ち、重力に逆らって水性流体を吸い上げる能力)とを組み合わせる、吸水性ポリマー粒子の製造方法について記載する。ポリマー粒子の毛管現象は、特定の表面仕上げによって得られる。荷重下吸収量(AUL 4.83kPa(0.7psi))はそれ程大きくはなく、加えて、ウィッキング能力(FHA)は適用されたコーティングによって低下する。
【0010】
米国特許第5,731,365号は、膜形成ポリマーの分散液を用いたスプレーコーティングによる吸水性ポリマー粒子のコーティング工程について記載するが、塩水流の誘導性(SFC)及びウィッキング能力(FHA)の組み合わせは、依然として不十分である。
【0011】
PCT国際公開特許WO 2005/044900号は、吸水性ポリマー粒子を表面架橋剤、熱可塑性ポリマー及び不溶性無機粉末の分散液と共にコーティングする工程並びにこうして得られた粒子の熱処理について記載する。不溶性無機粉末は、0.01〜5重量%の範囲の量で使用してよい。前記生成物は、改善された塩水流の誘導性を示すが、ウィッキング能力(FHA)をいかに最適化するかについての教示は与えられていない。
【0012】
大きな塩水流の誘導性、高い吸収量(CRC、AUL 4.83kPa(0.7psi))及び高いウィッキング能力(FHA)を備えた吸水性ポリマー粒子の製造プロセスについて教示する先行技術文献は無い。
【0013】
PCT国際公開特許WO 2005/097313号は、0.3〜6.4mmの範囲の穿孔直径を有する穿孔構造体からヒドロゲルを押出成形し、それによって、ヒドロゲルを粉砕することによる、高い液体透過性(高SFC)吸水性ポリマー粒子の製造プロセスについて記載するが、その吸収能力は非常に低く、更に技術的かつ商業的に合格するレベルにまで、いかにして吸収能力を増大させるかについての教示は与えられていない。
【0014】
PCT国際公開特許WO 2004/024816号は、表面架橋剤及び硫酸アルミニウムによって吸水性ポリマー物品をコーティングする工程並びにこうして得られた粒子の熱処理及びそれに続くポリビニルアミンを用いた処理について記載する。
【0015】
PCT国際公開特許WO 2006/042704号は、狭い粒度分布を備え、更には輸送値(transport value、TV)で表される高いウィッキング能力を示す、高い液体透過性(高SFC)吸水性ポリマー粒子の製造プロセスについて記載する。表面架橋前にベースポリマーの中和度を調整することによって、液体透過性及びウィッキング能力は、吸収能力に対して最適化される。表面処理済粒子は、水不溶性金属ホスフェートで処理してよい。任意の処理が、膜形成ポリマー、ポリカチオン性ポリマー、及び界面活性剤を用いたコーティングである場合、特定の組成物又は量を参照することなく言及される。
【0016】
極薄衛生物品は、粗い粒子を含まない微粉砕吸水性ポリマー粒子を必要とするが、これは、粗い粒子は目立ちすぎて、消費者に拒絶されるからである。しかしながら、粒子が小さくなればなる程、塩水流の誘導性(SFC)も小さくなる。一方、小さなポリマー粒子はまた、膨潤した際により小さな孔を生じ、これがゲル層内でのウィッキング能力(FHA)による流体の輸送性を改善する。
【0017】
このことは極薄衛生物品における重要な要素であり、極薄衛生物品は、吸水性ポリマー粒子からなる構造要素を50重量%〜100重量%の範囲まで含んでよく、使用するポリマー粒子が流体貯蔵機能を発揮するのみでなく、流体の能動輸送(ウィッキング能力=FHA)及び流体の受動輸送(塩水流の誘導性=SFC)を確保するようにしてよいからである。吸水性ポリマー粒子又は合成繊維によって置き換えられるセルロースパルプの比率が大きくなればなる程、それらの貯蔵機能に加えて、より多くの液体輸送が、吸水性ポリマー粒子によって取り扱われなければならない。したがって、改善された吸水性ポリマー粒子は、良好な液体貯蔵性及び良好な液体輸送性を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第4,043,952号
【特許文献2】米国特許第5,599,335号
【特許文献3】PCT国際公開特許WO 04/069293号
【特許文献4】PCT国際公開特許WO 04/069404号
【特許文献5】PCT国際公開特許WO 04/069915号
【特許文献6】米国特許第5,731,365号
【特許文献7】PCT国際公開特許WO 2005/044900号
【特許文献8】PCT国際公開特許WO 2005/097313号
【特許文献9】PCT国際公開特許WO 2004/024816号
【特許文献10】PCT国際公開特許WO 2006/042704号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
したがって、本発明は、吸収性物品中にて使用する吸収性構造体、及びそれらの製造方法を提供することを目的とし、当該吸収性構造体は、大きな遠心分離保持能(CRC)、大きな荷重下吸収量(AUL)及び高いウィッキング能力(FHA)が組み合わされて大きな塩水流の誘導性(SFC)を有する吸水性ポリマー粒子を含む。
【0020】
更に、本発明は、吸収性物品内で使用する吸収性構造体の製造方法を提供することも目的とし、当該吸収性構造体は、吸水性ポリマー粒子を含み、その製造法は、特に流体を装填した際に気になる臭気が無い白色ポリマー粒子をもたらす。
更に、本発明は、吸収性物品内で使用する吸収性構造体の製造方法を提供し、当該吸収性構造体は、吸水性ポリマー粒子を含み、その製造法により、長期間高温多湿条件にさらされた場合でもその白色を保持する白色ポリマー粒子をもたらすことを目的とする。
【0021】
本発明者らは、この目的が、吸収性物品中にて使用する吸収性構造体を提供することによって達成されることを見出したが、ここで、当該吸収性構造体は、非表面架橋性吸水性ポリマーからなる粒子を
a)少なくとも1種の後架橋剤、
b)非表面架橋性吸水性ポリマーを基準にして、0.1重量%〜1.0重量%の、少なくとも1種の水不溶性金属ホスフェート、並びに
追加の成分であって、
c)少なくとも1種の窒素含有水溶性ポリマー(窒素はプロトン化され得る)と、
d)少なくとも1種の疎水性ポリマーとから選択される、少なくとも1種の追加成分、とに接触させる工程、
並びにこうして得られた粒子を、120℃〜300℃の範囲の温度にて熱処理する工程を含むプロセスによって得られる吸水性材料を含む。
【0022】
本発明は更に、吸収性物品中にて使用する吸収性構造体(ここで、当該吸収性構造体は、これら吸水性材料を含む)の製造方法も目的とする。
【0023】
本発明の更なる実施形態は、特許請求の範囲、明細書本文及び実施例から識別可能である。上述し、かつ以下により詳細に記述される本発明の主題の特徴は、表示した特定の組み合わせにおいてのみでなく、その他の組み合わせにおいても、本発明の範囲から逸脱することなく利用可能であることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】塩水流の誘導性試験を実施するのに好適な透過性測定システムの部分断面側面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
吸収性物品
「吸収性構造体」とは、尿又は血液のような液体を吸収及び保持するのに有用な任意の三次元構造体を指す。
【0026】
「吸収性物品」とは、液体(例えば血液及び尿)を吸収及び保持する装具を指し、より具体的には、着用者の身体に接触して又は近接して設置され、身体から排泄される様々な排泄物を吸収及び収容する装具を指す。吸収性物品としては、トレーニングパンツを含むおむつ、成人用失禁ブリーフ、おむつカバー及びおむつライナー、生理用ナプキン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
「おむつ」とは、一般に幼児及び失禁症者が胴体下部の周りに着用する吸収性物品を指す。
【0028】
「使い捨て」とは、本明細書では、一般に洗濯又は他の方法で復元又は再使用することを想定していない(即ち、1回使用した後に廃棄、好ましくはリサイクル、堆肥化、又は環境に適合する方法で処理することを前提としている)物品を説明するために使用する。
【0029】
本発明の吸収性構造体は、尿又は血液のような液体を吸収及び保持するために使用される任意の吸収性構造体であり得る。
【0030】
吸収性構造体は、通常、本明細書の水膨潤性材料と、芯包装材若しくは包装材、水膨潤性材料のための支持層、又は後述するような構造化剤などの構造化(structering)材料とを含む。
【0031】
吸収性構造体は、通常、吸収性物品、好ましくは使い捨て吸収性物品、例えば、好ましくは生理用ナプキンやパンティライナー、より好ましくは、成人用失禁製品、おむつ、及びトレーニングパンツであり、又は通常それらの一部を形成する。
【0032】
吸収性構造体が使い捨て吸収性物品の一部である場合、本発明の吸収性構造体は、通常、体液を貯蔵及び/又は取得するように作用する吸収性物品の一部であり、吸収性構造体は、2つ以上の層としてか又は単一構造体としてかのいずれかで、吸収性物品の貯蔵層、又は取得層、あるいはその両方であってもよい。
【0033】
吸収性構造体は、水膨潤性材料からなる、その後に必要な三次元構造体へと成形される構造体であってよいし、好ましくは、当該技術分野において吸収性構造体に使用されるような追加の構成要素を含んでいてもよい。
【0034】
吸収性構造体が、発泡体、フィルム、織布ウェブ、並びに/又は、スパンボンド、メルトブロウン、及び/若しくはカード不織材などの当該技術分野において既知の不織布ウェブなど、1つ以上の支持材若しくは包装材もまた含むことが好ましい。好ましい材料の1つは、スパンボンド層と、メルトブロウン層と、更にスパンボンド層とを含む、いわゆるSMS材料である。極めて好ましいのは、恒久的親水性不織布であり、特に、耐久的親水性コーティングを備える不織布である。好ましい代替材料は、SMMS構造を含む。最上層及び最下層は、2つ以上の別個のシート材料から供給されてもよく、あるいは一体型シート材料により提供されてよい。
【0035】
好ましい不織布材は、PE、PET、及び最も好ましくはPPなどの合成繊維から得られる。不織布の製造に使用されるポリマーは、本質的に疎水性であるので、これらは、当該分野で既知のように、親水性コーティング、例えば、ナノ粒子でコーティングされていることが好ましい。
【0036】
吸収性構造体は、それぞれ水膨潤性材料を固定する(immobilizae)働きをすることのできる、エアフェルト繊維などの吸収性繊維材料及び/若しくは接着剤などの、構造化剤又はマトリックス剤をまた含んでもよい。
【0037】
本明細書の水膨潤性材料は、膨潤した場合であっても優れた透過性を有するので、当該技術分野において通常使用されている吸収性繊維材料(エアフェルト)などの多量の構造化剤は必要ではない。
【0038】
このため、好ましくは吸収性構造体において、比較的少量の吸収性繊維性(セルロース)材料が使用されるか、又は当該吸収性繊維性材料が使用されない。ゆえに、本明細書の前記構造体が、本明細書の水膨潤性材料を多量に含み、及び吸収性(セルロース)繊維をほんのわずかだけ、好ましくは水膨潤性材料の20重量%未満、若しくは更に水膨潤性材料の10重量%未満、場合によっては5重量%未満を含み、又は当該吸収性繊維を含まないことが好ましい場合がある。
【0039】
本明細書で好ましい吸収性構造体は、本明細書に記載の芯包装材などの基材材料の層と、それらの上にある、任意選択的の不連続層としての水膨潤性材料層と、それらの上にある、接着剤若しくは熱可塑性材料の層、又は好ましくは、水膨潤性材料の層の上に置かれる(繊維性)熱可塑性接着剤材料の層とを含む。その場合、熱可塑性物質又は接着剤層が、水膨潤性材料と直接接触しているが、更に、基材層が吸収性ポリマー材料によって覆われていない場所では部分的に基材層とも直接接触していることが好ましい場合がある。このことにより、それ自体はx及びy方向への広がりに比べて相対的に厚み(z方向)が少ない元来二次元構造である熱可塑性又は接着剤材料の(繊維性)層に本質的三次元構造を提供する。
【0040】
それによって、熱可塑性又は接着剤材料は、水膨潤性材料を保持するための空洞をもたらし、それによってこの材料を固定する。他の一態様では、熱可塑性又は接着剤材料は、基材に結合し、したがって水膨潤性材料を基材に貼合させる。
【0041】
この実施形態では、吸収性構造体中に吸収性繊維材料が存在しないことが好ましい場合がある。
【0042】
熱可塑性組成物は、その全体において、ASTM方法D−36−95「環及びボール」(Ring and Ball)で測定される軟化点が50℃〜300℃の範囲である単一の熱可塑性ポリマー又は熱可塑性ポリマーの混合物を含んでもよい、又は別の方法としては、熱可塑性組成物は、粘着付与樹脂のような他の熱可塑性希釈剤、可塑剤、及び酸化防止剤のような添加剤と組み合わせた少なくとも1つの熱可塑性ポリマーを含むホットメルト接着剤であってもよい。
【0043】
熱可塑性ポリマーは典型的には、10,000よりも大きい分子量(Mw)と、通常は室温より低いガラス転移温度(Tg)とを有する。多種多様の熱可塑性ポリマー類が、本発明での使用に好適である。そのような熱可塑性ポリマー類は、好ましくは、水に反応しない。代表的なポリマー類は、A−B−A三元ブロック構造、A−B二元ブロック構造、及び(A−B)n放射状ブロックコポリマー構造を包含する(スチレン)ブロックコポリマー類であり、Aブロックは、典型的にはポリスチレンを含む非エラストマーポリマーブロックであり、またBブロックは、不飽和共役ジエン又はその(部分的に)水素添加したものである。Bブロックは典型的には、イソプレン、ブタジエン、エチレン/ブチレン(水素添加ブタジエン)、エチレン/プロピレン(水素添加イソプレン)、及びこれらの混合物である。
【0044】
使用可能な他の好適な熱可塑性ポリマー類は、メタロセンポリオレフィン類であり、これは、単座触媒又はメタロセン触媒を使用して調製されるエチレンポリマー類である。その中で、少なくとも1つのコモノマーは、エチレンと重合して、コポリマー、ターポリマー、又はより高い次数のポリマーを作製することができる。同様に適用可能なものは、C2〜C8のαオレフィン類のホモポリマー類、コポリマー類、又はターポリマー類である、非晶質ポリオレフィン類又は非晶質ポリαオレフィン類(APAO)である。
【0045】
樹脂は典型的には、5,000未満のMwと、通常は室温を超えるTgとを有し、ホットメルトにおける樹脂の典型的な濃度は、30〜60%の範囲である。可塑剤は、通常は1,000未満の低いMwと、室温未満のTgとを有し、典型的な濃度は、0〜15%である。
【0046】
好ましくは、接着剤は、コア全体を通して繊維の形態で存在する、即ち接着剤が繊維化されている。
【0047】
好ましくは、繊維は、1〜50マイクロメートルの平均厚さと5mm〜50cmの平均長さを有するのが好ましい。
【0048】
好ましくは、吸収性構造体は、特に前述のように吸収性繊維が全く又はほとんど存在しないときには、約0.4g/cmよりも大きい密度を有する。好ましくは、密度は、約0.5g/cmよりも大きく、より好ましくは約0.6g/cmよりも大きい。
【0049】
好ましい吸収性構造体は、例えば、次のように作製することができる。
【0050】
a)包装材料として利用できる基材材料を提供する工程、
b)好ましくは水膨潤性材料を実質的に含まない少なくとも1つの領域を含み、かつ水膨潤性材料を含む少なくとも1つの領域を含むパターンで、本明細書の水膨潤性材料を基材材料の第一表面上に付着させて、好ましくは水膨潤性材料を備える別個の領域間に開口部が形成されるようにする工程、
c)熱可塑性材料の一部分が基材の第一表面と直接接触し、熱可塑性材料の一部分が水膨潤性材料と直接接触するように、基材材料の第一表面及び水膨潤性材料上に熱可塑性材料を付着させる工程、
d)及び次いで通常、基材材料を折り畳むことによって、又は以上のものの上に別の基材物質を置くことによって、以上のものを密閉する工程。
【0051】
吸収性構造体は、取得層及び貯蔵層を含んでもよく、これらは、同一寸法を有してもよいが、取得層が、貯蔵層と同一の横幅であるが貯蔵層よりも短い長手方向の長さで、横方向に貯蔵層上の中心にあることが好ましいことがある。取得層は、また、貯蔵層よりも狭くてもよいが、依然として貯蔵層上に対して中心を一致させる。言い換えれば、取得層は、好適には貯蔵層に対する面積比が1.0であるが、面積比は、好ましくは1.0未満、例えば、約0.75未満、より好ましくは約0.50未満であってもよい。
【0052】
尿の吸収用に設計された吸収性構造体及び吸収性物品の場合、取得層が、貯蔵層よりも長手方向に短く、該取得層の長手方向長さの50%よりも多くが吸収性構造体の横軸又は本明細書の吸収性物品の横軸よりも前方にくるように位置決めされることが好ましい場合がある。この位置決めは、尿が吸収性構造体又は吸収性物品と初めに接触する可能性が最も高い地点の下に取得層を設置するために望ましい。
【0053】
また、吸収性コア、又はその取得層及び/若しくは貯蔵層は、機械方向若しくは横断方向の一方又は両方で、水膨潤性材料の坪量の不均一分布を含んでもよい。こうした不均一な坪量分布は、有利なことに、予め定められた追加の局部的吸収能力を吸収性構造体又は吸収性物品に提供するために適用され得る。
【0054】
本発明の吸収性構造体は、吸収性物品であっても、又は吸収性物品の一部であってもよいが、通常は、吸収性物品の吸収性コア、又はそのような物品の貯蔵層及び/若しくは取得層であってよい。
【0055】
本発明の吸収性構造体を含む好ましい(使い捨て)吸収性物品は、生理用ナプキン、パンティライナー、成人用失禁製品、及び乳幼児用おむつ又はトレーニングパンツ若しくはプルオンパンツであり、尿を吸収する働きをする物品、例えば、成人用失禁製品、おむつ、及びトレーニングパンツ若しくはプルオンパンツが、本明細書で最も好ましい物品である。
【0056】
本明細書で好ましい物品は、トップシートとバックシートとを有し、そのそれぞれが、前部と、後部と、それらの間に位置決めされた股部とを有する。本発明の吸収性構造体は、通常は、トップシートとバックシートとの間に位置決めされる。好ましいバックシートは、蒸気透過性であるが、液体不透過性である。好ましいトップシート材料は、少なくとも部分的に親水性であり、また、いわゆる有孔トップシートも好ましい。トップシートがスキンケア組成物、例えばローションを含むことが好ましい場合がある。
【0057】
これらの好ましい吸収性物品は、典型的に、液体不透過性(しかし、好ましくは空気又は水蒸気透過性)バックシート、バックシートに接合した、ないしは別の方法で結合された流体透過性トップシートを含む。このような物品は、当該技術分野において周知であり、本明細書全体を通じて言及される様々な文献に十分に開示されている。
【0058】
本明細書の水膨潤性材料は非常に高い吸収能力を有するので、本明細書の吸収性物品ではこの材料をわずかな低いレベルで使用することが可能である。ゆえに、本発明の吸収性構造体を含む、成人用及び乳幼児用おむつ、トレーニングパンツ、生理用ナプキンなどの薄い吸収性物品であって、股部における平均キャリパー(厚さ)が1.0cm未満、好ましくは0.7cm未満、より好ましくは0.5cm未満、又は更に0.3cm未満である吸収性物品が好ましい(この目的だけのために、股部は、平置きされて広げられたときの製品の中央領域として画定され、物品の長さの20%及び物品の幅の50%の寸法を有する)。
【0059】
本明細書の水膨潤性材料は非常に良好な透過性を有するので、エアフェルトのような吸収性繊維などの従来の構造化剤を多量に存在させる必要はなく、したがって前述したように、構造化剤は省略してもよいし、非常に少量だけ使用してもよい。これは更に、本明細書の吸収性構造体又は吸収性物品の厚さを低減するのに役立つ。
【0060】
本発明による好ましい物品は、相対的に狭いクロッチ幅を達成し、それが着用の快適さを増大させる。本発明による好ましい物品は、物品の前側縁部及び後側縁部まで等距離に位置する横断方向の線に沿って測定される場合に、100mm未満、90mm未満、80mm未満、70mm未満、60mm未満、又は更に50mm未満のクロッチ幅を達成する。故に、好ましくは本発明による吸収性構造体は、100mm未満、90mm未満、80mm未満、70mm未満、60mm未満、又は更に50mm未満である、コアの前側縁部及び後側縁部まで等距離に位置する横断方向の線に沿って測定されるクロッチ幅を有する。大部分の吸収性物品に関して、液体排泄は主に前側半分にて生じることが判明している。
【0061】
本明細書で好ましいおむつは、前側ウエストバンドと背側ウエストバンドとを有し、前側ウエストバンド及び背側ウエストバンドそれぞれが、第1の末端部分と、第2の末端部分と、これらの末端部分の間に配置された中央部分とを有し、好ましくは末端部分それぞれが前側ウエストバンドを後側ウエストバンドに締着させるための締着装置を含み、好ましくは末端部分が互いに連結され、あるいは、背側ウエストバンドの中央部分及び/又はバックシートの後部及び/又はバックシートのクロッチ部がランディング部材を含み、好ましくはランディング部材が、ループ、フック、スロット、スリット、ボタン、磁石から選択される第2の係合要素を含む。最も好ましいのは、フック、接着性又は粘着性のある第2の係合要素である。物品、好ましくはおむつの上の係合要素に、確実にそれらがある特定の瞬間にだけ係合可能になるようにするための手段が設けられていることが好ましい場合があり、例えば、前述したように、係合要素を係合させようとするときに取り外され、係合がもはや必要ないときに再び閉じることのできる、係合要素を取り外し可能な蓋によって覆ってもよい。
【0062】
本明細書で好ましいおむつ及びトレーニングパンツは、当該技術分野において既知のように、1組以上の脚弾性部及び/又はバリアレッグカフを有する。
【0063】
また、トップシートが、好ましくはその長さに沿って伸縮性をもたせる手段(elastication means)を備えた、開口部を有することも好ましい場合があり、開口部を通って汚物が吸収性構造体の上方の隙間空間へと到達でき、それによって確実に汚物が着用者の皮膚から離れてこの隙間空間内に隔離されるようになる。
【0064】
吸水性ポリマー類
遠心分離保持能は、EDANA(ヨーロッパ使い捨て及び不織布協会(European Disposables and Nonwovens Association))推奨試験方法No.441.2−02「遠心分離保持能」によって測定される。
【0065】
荷重下吸収量は、EDANA(ヨーロッパ使い捨て及び不織布協会(European Disposables and Nonwovens Association))推奨試験方法No.442.2−02「圧力下吸収」によって測定される。
【0066】
塩水流の誘導性(SFC)及び固定高さ吸収量(FHA)は、後述の試験方法のセクションに記載している。
【0067】
本発明によれば、非表面架橋性吸水性ポリマー粒子が処理される。好ましい非表面架橋性吸水性ポリマーは、重合した形態において、
i)少なくとも1種のエチレン系不飽和酸官能性モノマー、
ii)少なくとも1種の架橋剤、
iii)適切であれば、i)と共重合可能な1種以上のエチレン系及び/又はアリル系不飽和モノマー類、並びに
iv)適切であれば、モノマー類i)、ii)、及び必要ならば、iii)が少なくとも部分的にグラフトできる1種以上の水溶性ポリマー類を含む。
【0068】
有用なモノマーi)としては、例えば、エチレン系不飽和カルボン酸、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、及びイタコン酸、又はこれらの誘導体等、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル、及びメタクリル酸エステル等が挙げられる。アクリル酸及びメタクリル酸が、特に好ましいモノマーである。アクリル酸が、最も好ましい。
【0069】
吸水性ポリマーは架橋している。即ち、付加重合は、ポリマーネットワーク内部へフリーラジカル的相互重合(interpolymerize)可能な、2個又はそれ以上の重合性基を有する化合物の存在下で実施される。有用な架橋剤ii)としては、例えばエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、欧州公開特許第530 438号に記載されているようなテトラアリルオキシエタン、欧州公開特許第547 847号、同第559 476号、同第632 068号、PCT国際公開特許WO 93/21237号、同WO 03/104299号、同WO 03/104300号、同WO 03/104301号及びドイツ公開特許第103 31 450.4に記載されているようなジ−及びトリアクリレート類、ドイツ公開特許第103 31 456.3号及び同第103 55 401.7号に記載されているような、アクリレート基と同様にエチレン系不飽和基を更に含む混合アクリレート類、又は例えばドイツ公開特許第195 43 368号、同第196 46 484号、PCT国際公開特許WO 90/15830号及び同WO 02/32962号に記載されているような架橋剤混合物が挙げられる。
【0070】
有用な架橋剤ii)としては、特にN,N’−メチレンビスアクリルアミド及びN,N’−メチレンビスメタクリルアミド、ポリオール類との不飽和モノ−又はポリカルボン酸類のエステル類、例えばジアクリレート又はトリアクリレート、例えばブタンジオールジアクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート及び更にトリメチロールプロパントリアクリレート、並びにアリル化合物、例えばアリル(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、ジアリルマレエート、ポリアリルエステル類、テトラアリルオキシエタン、トリアリルアミン、テトラアリルエチレンジアミン、リン酸のアリルエステル類、及び更に例えば欧州公開特許第343 427号に記載されているようなビニルホスホン酸誘導体が挙げられる。有用な架橋剤ii)としては更に、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、エチレングリコールジアリルエーテル、グリセロールジアリルエーテル、グリセロールトリアリルエーテル、ソルビトールに基づくポリアリルエーテル類、及び更にそれらのエトキシル化変性体が挙げられる。本発明のプロセスは、ポリエチレングリコール類のジ(メタ)アクリレート類を利用するが、使用される当該ポリエチレングリコールは、300〜1000の分子量を有する。
【0071】
しかし、特に有利な架橋剤ii)は、全部で3〜15個のエトキシル化グリセロールのジ−及びトリアクリレート類、全部で3〜15個(tuply)のエトキシル化トリメチロールプロパンのジ−及びトリアクリレート類、特に全部で3個のエトキシル化グリセロール又は全部で3個のエトキシル化トリメチロールプロパン、3個のプロポキシル化グリセロール、3個のプロポキシル化トリメチロールプロパン、及びまた全部で3個の混合エトキシル化又はプロポキシル化グリセロール、全部で3個の混合エトキシル化又はプロポキシル化トリメチロールプロパン、全部で15個のエトキシル化グリセロール、全部で15個のエトキシル化トリメチロールプロパン、全部で40個のエトキシル化グリセロール、及びまた全部で40個のエトキシル化トリメチロールプロパンのジ−及びトリアクリレート類である。
【0072】
架橋剤ii)として使用するのに特に極めて好適なのは、例えば、先行するドイツ特許出願第103 19 462.2号に記載されているような、ジアクリレート化、ジメタクリレート化、トリアクリレート化又はトリメタクリレート化した多重エトキシル化及び/又はプロポキシル化グリセロール類である。3〜10個のエトキシル化グリセロールのジ−及び/又はトリアクリレート類は、特に有利である。特に極めて好ましいのは、1〜5個のエトキシル化及び/又はプロポキシル化グリセロールのジ−又はトリアクリレート類である。3〜5個のエトキシル化及び/又はプロポキシル化グリセロールのトリアクリレート類が最も好ましい。これらは、吸水性ポリマー中での残留濃度が特に低い点(通常10ppm未満)で注目に値し、それらを用いて製造された吸水性ポリマー類の水性抽出物は、同じ温度における水と比較して、ほぼ変化していない表面張力(通常0.068N/m以上)を有する。
【0073】
モノマー類i)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマー類iii)の例は、アクリルアミド、メタクリルアミド、クロトンアミド、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノブチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノネオペンチルアクリレート及びジメチルアミノネオペントチルメタクリレートである。
【0074】
有用な水溶性ポリマーiv)としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、デンプン誘導体類、ポリグリコール類又はポリアクリル酸類、好ましくはポリビニルアルコール及びデンプンが挙げられる。
【0075】
好適なベースポリマーの調製及び更にまた有用な親水性エチレン系不飽和モノマー類i)は、ドイツ公開特許第199 41 423号、欧州公開特許第686 650号、PCT国際公開特許WO 01/45758号及び同WO 03/14300号に記載されている。更に好適なポリマー類は、逆懸濁重合プロセス又は気相噴霧重合(gas-phase spray-polymerization)若しくは液滴重合(droplet-polymerization)にて調製可能である。
【0076】
反応は、例えばPCT国際公開特許WO 01/38402号に記載されているような混練機にて、又は、例えば欧州公開特許第955 086号に記載されているようなベルト反応器上にて行われるのが好ましい。
【0077】
したがって、好適なポリマー類は、球状又は不規則な形であってよく、かつ粒子が多孔質相又は高密度相であってよい。大きな自由膨潤速度(free swell rate)を得るために、多孔質粒子が有利であり、更に、多孔質かつ不規則な形の粒子がより有利である。多孔質性は、例えば、高速乾燥によって、発泡剤を重合中又はベースポリマーの乾燥プロセスに先立って添加することによって、かつ低固形分重合(low solids polymerization)によって、導入することができる。
【0078】
得られたヒドロゲルの酸基は、好ましくは60モル%超、より好ましくは63モル%超、更により好ましくは66モル%超、最も好ましくは66.5〜71モル%の範囲内で、好ましくは78モル%以下、より好ましくは75モル%以下、更により好ましくは72モル%以下が中和されており、このためには、通常の中和剤が使用可能であり、例えばアンモニア、アミン類、例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン又はジメチルアミノエタノールアミン、好ましくはアルカリ金属水酸化物類、アルカリ金属酸化物類、アルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属重炭酸塩類及び更にはこれらの混合物が使用可能であり、この場合には、アルカリ金属イオンとしてはナトリウム及びカリウムが特に好ましいが、最も好ましいのは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウム及び更にはこれらの混合物である。典型的には、水溶液として又は好ましくは固形材料としての中和剤を混合することによって中和を行う。
【0079】
周期表のII元素又はIII族元素の塩基性化合物類によって、0.001モル%〜10モル%の酸性基を中和することも可能である。例えば、Mg、Ca、及びAlを含む塩基性化合物類を使用することが可能である。このような化合物類としては、対応する炭酸塩類、重炭酸塩類、酸化物類、水酸化物類、アルミネート類、及びこれらの元素と有機酸との塩類が挙げられる。このような塩類の例は、アセテート類、プロピオネート類、乳酸塩類、クエン酸塩類、及び酒石酸塩類である。
【0080】
中和は、重合後、ヒドロゲルの段階で、行うことができる。しかし、モノマー溶液に中和剤の一部分を加えることによって、重合前に、酸性基の最大40モル%まで、好ましくは10〜30モル%、より好ましくは15〜25モル%を中和させ、重合後のヒドロゲルの段階でのみ、所望の最終中和度に調整することもまた可能である。所定の程度まで予め中和し、それに引き続いて、重合反応の後又はその間に、最終値にまで後中和することによって、あるいは、モノマー溶液を直接的に最終値にまで重合前に中和剤を混合することにより調整することによって、中和剤を混合することにより、モノマー溶液を中和してもよい。ヒドロゲルは、例えばミートグラインダによって機械的に粉砕することができ、こうした場合、中和剤はスプレーし、振りかけ、又は注いで、次いで入念に混合する。最終的に、得られたゲル塊はホモジナイズするために、繰り返し細断できる。
【0081】
低すぎる中和度によって、後続の乾燥過程において、そして更に後続のベースポリマーの後架橋中においても、吸水性ポリマーの遠心分離保持能(CRC)を大幅に低減する不所望の熱架橋の影響が生じ、無価値といってもよい程度にまでなる場合がある。
【0082】
しかしながら、中和度が高すぎる場合、後架橋はより非効率的となり、膨潤ヒドロゲルの一部における塩水流の誘導性(SFC)が減少する場合がある。
【0083】
効率的後架橋及びしたがって大きな塩水流の誘導性(SFC)が得られるようにベースポリマーの中和度を調整した際に、最高の結果が得られるが、同時に、中和は、ヒドロゲルが通常のベルト乾燥機、又は工業規模の通常の他の乾燥装置内で、遠心分離保持能(CRC)を失うことなく、乾燥可能で製造されるのに十分であるように実施される。
【0084】
次に、中和されたヒドロゲルはベルト乾燥機、流動床乾燥機、搭状乾燥機、撹拌乾燥機又はドラム乾燥機にて、残留湿分含量が好ましくは10重量%未満、特に5重量未満になるまで乾燥され、含水量はEDANA(ヨーロッパ使い捨て及び不織布協会(European Disposables and Nonwovens Association))推奨試験方法No.430.2−03「湿分含量」によって測定される。乾燥したヒドロゲルは、引き続いて粉砕、ふるい分けするが、有用な破砕器具としては、典型的には、ロールミル、ピンミル又はスウィングミルが挙げられ、吸水性ポリマー粒子を製造するのに必要なメッシュサイズを有するふるいが用いられる。
【0085】
吸水性粒子(ベースポリマー)の粒子サイズは、150〜850μmで変化し得るけれども、特定の狭い粒径分布が好ましい。
【0086】
1つの好ましい実施形態では、好ましくは2重量%未満、より好ましくは1.5重量%未満、最も好ましくは1重量%未満の吸水性粒子(water-particles)が、600μm超の粒径を有する。
【0087】
好ましくは、90重量%以上、より好ましくは95重量%以上、更により好ましくは98重量%以上、最も好ましくは99重量%以上が、150〜600μmの範囲内の粒径を有する、吸水性粒子である。
【0088】
好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、更により好ましくは85重量%以上、最も好ましくは90重量%以上が、300〜600μmの範囲内の粒径を有する、吸水性粒子である。
【0089】
別の好適な実施形態では、好ましくは30重量%未満、より好ましくは20重量%未満、更により好ましくは10重量%未満、最も好ましくは5重量%未満が、600μm超〜700μm未満の粒径を有する、吸水性粒子である。好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上、更により好ましくは98重量%以上、最も好ましくは99重量%以上が、150〜700μmの範囲内の粒径を有する、吸水性粒子である。
【0090】
好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、更により好ましくは85重量%以上、最も好ましくは90重量%以上が、300〜700μmの範囲内の粒径を有する、吸水性粒子である。
【0091】
本発明によれば、非表面架橋性吸水性ポリマー(以下、ベースポリマーとも称する)は、後架橋剤a)と、水不溶性金属ホスフェートb)と、並びに窒素含有水溶性ポリマーc)(ここで、窒素はプロトン化されていることができる)と疎水性ポリマーd)から選択される追加の成分の少なくとも1種とに接触させられる。
【0092】
有用な後架橋剤a)は、ポリマーのカルボキシレート基と共に共有結合を形成可能な2個又はそれ以上の基を含む化合物である。有用な化合物は、例えば、アルコキシシリル化合物類、ポリアジリジン類、ポリアミン類、ポリアミドアミン類、欧州公開特許第083 022号、同第543 303号及び同第937 736号に記載されているようなジ−又はポリグリシジル化合物類、ドイツ登録特許第33 14 019号、同第35 23 617号及び欧州公開特許第450 922号に記載されているような多価アルコール類、又はドイツ公開特許第102 04 938号及び米国特許第6,239,230号に記載されているようなβ−ヒドロキシアルキルアミド類である。混合官能性化合物、例えば、グリシドール、3−エチル−3−オクセタンメタノール(トリメチロールプロパンオキセタン)(欧州公開特許第1 199 327号に記載されているように)、アミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン又は、第1反応後に更なる官能性を発現する化合物、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、アジリジン、アゼチジン若しくはオキセタン、及びそれら各々の等価の誘導体類を使用することもまた可能である。
【0093】
有用な後架橋剤a)は、更に、ドイツ公開特許第40 20 780号の環状カーボネート類、ドイツ公開特許第198 07 502号の2−オキサゾリドン及びその誘導体、例えばN−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドン、ドイツ公開特許第198 07 992号のビス−及びポリ−2−オキサゾリドン類、ドイツ公開特許第198 54 573号の2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジン及びその誘導体、ドイツ公開特許第198 54 574号のN−アシル−2−オキサゾリドン類、ドイツ公開特許第102 04 937号の環状尿素類、ドイツ特許出願第103 34 584.1号の二環式アミドアセタール類、欧州公開特許第1 199 327号のオキセタン類及び環状尿素類、並びにPCT国際公開特許WO 03/031482号のモルホリン−2,3−ジオン及びその誘導体を含むとされる。
【0094】
後架橋は、通常、ヒドロゲル又はドライベースのポリマー粒子上に後架橋剤の溶液をスプレーすることによって行われる。スプレー後に熱乾燥が行われ、後架橋反応は乾燥前だけでなく乾燥中にも起こり得る。
【0095】
好ましい後架橋剤a)は、アミドアセタール類又は一般式Iのカルバミン酸エステル類であるか、
【化1】

式中、
は、C〜C12アルキル、C〜C12ヒドロキシアルキル、C〜C12アルケニル又はC〜C12アリールであり、
は、X又はORであり、
は、水素、C〜C12アルキル、C〜C12ヒドロキシアルキル、C〜C12アルケニル若しくはC〜C12アリール、又はXであり、
は、C〜C12アルキル、C〜C12ヒドロキシアルキル、C〜C12アルケニル又はC〜C12アリールであり、
は、水素、C〜C12アルキル、C〜C12ヒドロキシアルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アシル又はC〜C12アリールであり、
は、C〜C12アルキル、C〜C12ヒドロキシアルキル、C〜C12アルケニル又はC〜C12アリールであるとともに、
Xは、R及びRに共通するカルボニル酸素であり、
及びR並びに/又はR及びRは、架橋化合物のC〜Cアルカンジイルであることができ、かつここで、上記ラジカルR〜Rは、全体で1〜2個の自由原子価を依然として有することができ、かつこれらの自由原子価によって少なくとも1個の好適な基本構造と結合することができ、
あるいは、多価アルコール類であり、その場合には、当該多価アルコールの分子量は、ヒドロキシル基当たり、好ましくは100g/モル未満、好ましくは90g/モル未満、より好ましくは80g/モル未満、最も好ましくは70g/モル未満であり、かつ当該多価アルコールは、隣接、ジェミナル、二級又は三級のヒドロキシル基を持たず、多価アルコールは、一般式IIaのジオール類
【化2】

(式中、Rは、式−(CH−の非分岐鎖ジアルキルラジカルであって、式中nが3〜20、好ましくは3〜12の整数であるか、両ヒドロキシル基が末端基のものであるか、又は非分岐鎖、分枝鎖若しくは環状ジアルキルラジカルである。)であるか、
一般式IIbのポリオール類
【化3】

(式中、R、R、R及びR10が独立して、水素、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチルオキシメチル、1−ヒドロキシプロプ−2−イルオキシメチル、2−ヒドロキシプロピルオキシメチル、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、1,2−ジヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル又は4−ヒドロキシブチルであって、かつ、全体で、2,3又は4個の、好ましくは2又は3個のヒドロキシル基が存在し、R、R、R及びR10の中の1個以下がヒドロキシル基である。)
あるいは、一般式IIIの環状カーボネート類
【化4】

(式中、R11、R12、R13、R14及びR15は、独立して水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル又はヒドロキシアルキルであり、R16は、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、ヒドロキシアルキル又はヒドロキシであるとともに、nは0又は1のいずれかである。)
あるいは、一般式IVのビスオキサゾリン類
【化5】

(式中、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23及びR24は、独立して、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル又はイソブチルであるとともに、R25は、単結合、直鎖、分岐鎖、又は環状のC〜C12ジアルキルラジカル又はポリアルコキシジイルラジカルであって、それは1〜10個のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド単位によって構成されており、かつ例えばポリグリコールジカルボン酸によって所有されている。)である。
【0096】
好ましい後架橋剤a)は、選択的試薬である。揮発性であって、したがって悪臭のひどい化合物である、副生成物及び二次反応物は、最少化される。したがって、好ましい後架橋剤a)を用いて製造される吸水性ポリマーは、湿った状態においてでさえ、臭気がない。
【0097】
対照的に、エポキシ化合物は、高温にて、好適な触媒の存在下で各種転位反応を生じて、例えばアルデヒド類又はケトン類を生じる場合がある。次に、これらは更に二次反応を生じ、最終的には、その臭気ゆえに衛生物品には望ましくない、悪臭のひどい不純物を形成する。したがって、エポキシ化合物は、約140〜150℃より高い温度での後架橋には適していない。アミノ又はイミノ含有後架橋剤a)は、同様な温度で、より一層複雑な転位反応を生じて、悪臭のひどい微量不純物及び茶色がかった生成物の退色を引き起こす傾向がある。
【0098】
後架橋剤a)として使用される多価アルコール類は、それらの低反応性ゆえに、高い後架橋温度を必要とする。隣接の(vincinal)、ジェムの、二級及び三級の、ヒドロキシル基を含むアルコール類が、後架橋剤として用いられる場合、それらが製造中又は使用中に、不快な臭気及び/又は対応する衛生物品の着色をもたらすがゆえに、衛生部門において好ましくない副生成物を生じる。
【0099】
一般式Iの好ましい後架橋剤a)は、2−オキサゾリドン類、例えば、2−オキサゾリドン及びN−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドン、N−メチル−2−オキサゾリドン、N−アシル−2−オキサゾリドン類、例えばN−アセチル−2−オキサゾリドン、2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジン、二環式アミドアセタール類、例えば5−メチル−1−アザ−4,6−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン、1−アザ−4,6−ジオキサ−ビシクロ[3.3.0]オクタン及び5−イソプロピル−1−アザ−4,6−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン、ビス−2−オキサゾリドン類及びポリ−2−オキサゾリドン類である。
【0100】
一般式Iの特に好ましい後架橋剤a)は、2−オキサゾリドン、N−メチル−2−オキサゾリドン、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドン及びN−ヒドロキシプロピル−2−オキサゾリドンである。
【0101】
一般式IIaの好ましい後架橋剤a)は、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール及び1,7−ヘプタンジオールである。式IIaの後架橋剤の更なる例は、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール及び1,10−デカンジオールである。
【0102】
ジオールIIaは、好ましくは水に可溶性であって、ここで一般式IIaのジオール類は、23℃で30重量%以上、好ましくは40重量%以上、より好ましくは50重量%以上、最も好ましくは60重量%以上の程度まで水中に溶解し、この例としては、1,3−プロパンジオール及び1,7−ヘプタンジオールがある。25℃にて液体であるような後架橋剤がより一層好ましい。
【0103】
一般式IIbの好ましい後架橋剤a)は、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、エトキシル化グリセロール、トリメチロールエタン又はトリメチロールプロパン(各々、1分子当たり1〜3個のエチレンオキシド単位を有する)プロポキシル化グリセロール、トリメチロールエタン又はトリメチロールプロパン(各々、1分子当たり1〜3個のプロピレンオキシド単位を有する)である。2個のエトキシル化又はプロポキシル化のネオペンチルグリコールが、更に好ましい。2個又は3個のエトキシル化が施されたグリセロールが、特に好ましい。
【0104】
好ましい多価アルコール類IIa及びIIbは、23℃の粘度で、3000mPas未満、好ましくは1500mPas未満、より好ましくは1000mPas未満、更に好ましくは500mPas未満、最も好ましくは300mPasを有する。
【0105】
一般式IIIの特に好ましい後架橋剤a)は、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートである。
【0106】
一般式IVの特に好ましい後架橋剤a)は、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)である。
【0107】
少なくとも1種の後架橋剤a)は、典型的には、0.30重量%以下、好ましくは0.15重量%以下、より好ましくは0.001重量%〜0.095重量%の範囲内の量で使用され、全ての百分率は、水溶液としてのベースポリマーを基準にしている。
【0108】
上記選択から単一の後架橋剤a)を使用することも可能であり、又は種々の後架橋剤の任意の所望混合物を使用することも可能である。
【0109】
水性後架橋溶液、並びに少なくとも1種の後架橋剤a)は、典型的には、更に共溶媒を含むことができる。
【0110】
技術的に非常に有用な共溶媒は、C〜Cアルコール類、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール又は2−メチル−1−プロパノール、C〜Cジオール類、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール又は1,4−ブタンジオール、ケトン類、例えば、アセトン、又はカルボン酸エステル類、例えば、エチルアセテートである。これら共溶媒の多くの欠点は、それらが特徴的な固有の臭気を持つことである。
【0111】
前記共溶媒それ自体は、反応条件のもとで後架橋剤でないことが理想的である。しかしながら、境界例であって、かつ滞留時間及び温度によっては、共溶媒はある程度架橋に寄与する場合がある。このことは、後架橋剤a)が相対的に不活性であって、したがってそれ自体がその共溶媒を形成可能である場合であって、例えば、一般式IIIの環状カーボネート類、一般式IIaのジオール類又は一般式IIbのポリオール類と共に使用する場合に、特に当てはまる。このような後架橋剤a)もまた、より反応性の強い後架橋剤a)と共に混合する場合には共溶媒として使用できるが、これは反応性のより強い架橋剤a)が存在しない場合よりも、より低温かつ/又はより短い滞留時間で実際の後架橋反応を生じることができるからである。共溶媒は、比較的大量に使用され、ある程度は生成物中にも残存するので、有毒性であったり、刺激性であったり、過敏性であったりしてはならない。
【0112】
このような共溶媒を単独で使用しかつ架橋剤並びに共溶媒として機能させる場合、その使用量は、コーティングされるポリマー粒子の量を基準にして、3重量%未満、好ましくは2重量%未満、より好ましくは1重量%未満、最も好ましくは0.3〜0.8重量%である。一例は、水に溶解させたエチレンカーボネートの使用である。
【0113】
一般式IIaのジオール類、一般式IIbのポリオール類及び一般式IIIの環状カーボネート類もまた本発明のプロセスにおいて、共溶媒として有用である。一般式I及び/若しくはIVの反応性後架橋剤a)並びに/又はジ−若しくはトリグリシジル架橋剤の存在下にて、それらはこの機能を発揮する。しかしながら、本発明のプロセスにおいて好ましい共溶媒とは、具体的には、一般式IIaのジオール類であり、ヒドロキシル基が隣接基によって反応への関与から立体的に阻害される場合には、とりわけ好ましい。このようなジオール類は、原理上は後架橋剤a)としても有用であるが、これにより明らかにより高い反応温度が必要となったり、場合によっては、立体的に阻害されないジオール類よりも、より使用量が多くなったりする。立体的に阻害された、したがって反応不活性の、有用なジオール類としては、三級ヒドロキシル基を有するジオール類も挙げられる。
【0114】
このような立体的に阻害された、一般式IIaのジオール類で、したがって共溶媒として使用するために特に好ましいものの例は、2,2−ジメチルー1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール及び2,4−ジメチルペンタン−2,4−ジオールである。
【0115】
本発明のプロセスにおいて特に好ましい共溶媒としては更に、一般式IIbのポリオール類が挙げられる。これらのうちで、2〜3個のアルコキシル化ポリオール類が特に好ましい。しかし、特に有用な共溶媒としては更に、3〜15個の、とりわけ有用なものとしては、グリセロール(glycerole)、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン又はペンタエリスリトールを主成分とした5〜10個のエトキシル化ポリオール類が挙げられる。7個のエトキシル化トリメチロールプロパン及びグリセロール(glycerole)が、特に有用である。
【0116】
有用な共溶媒としては更に、ジ(トリメチロールプロパン)及び更には5−エチル−1,3−ジオキサン−5−メタノールが挙げられる。
【0117】
共溶媒としてより反応性の低い後架橋剤a)と反応性の強い後架橋剤a)との特に好ましい組み合わせは、好ましい多価アルコール類、一般式IIaのジオール類及び一般式IIbのポリオール類と、アミドアセタール類又は一般式Iのカルバミン酸エステル類との組み合わせである。
【0118】
特に極めて好ましい組み合わせは、2−オキサゾリドン/1,3−プロパンジオール及びN−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドン/1,3−プロパンジオールである。
【0119】
本発明の特に好ましい実施形態では、2−オキサゾリドン/グリセロール又はN−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドン/グリセロール又は2−オキサゾリドン及び/若しくはN−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドンと1,3−プロパンジオール及び/若しくはグリセロールとの混合物(全て水溶液から、又は水及びイソプロパノール(isopropanole)の溶媒混合物から適用される)の組み合わせが使用される。
【0120】
特に極めて好ましい組み合わせとしては更に、1,5−ペンタンジオール又は1,6−ヘキサンジオール又は2−メチル−1,3−プロパンジオール又は2,2−ジメチルー1,3−プロパンジオールと混ぜ合わされ、非反応性溶媒としての水及び/又はイソプロパノール中に溶解させた、反応性架橋剤としての2−オキサゾリドン又はN−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドンが挙げられる。
【0121】
本発明の特に好ましい実施形態では、少なくとも1種の後架橋剤a)の沸点は、好ましくは160℃以下、より好ましくは140℃以下、最も好ましくは120℃以下、あるいは好ましくは200℃以上、より好ましくは220℃以上、最も好ましくは250℃以上である。
【0122】
共溶媒の沸点は、好ましくは160℃以下、より好ましくは140℃以下、最も好ましくは120℃以下で、あるいは好ましくは200℃以上、より好ましくは220℃以上、最も好ましくは250℃以上である。
【0123】
したがって、本発明のプロセスにおいて特に有用な共溶媒としてはまた、水と又は第二共溶媒との低沸点共沸混合物を形成するようなものが挙げられる。本共沸混合物の沸点は、好ましくは160℃以下、より好ましくは140℃以下、最も好ましくは120℃以下である。同様に、水蒸気揮発性共溶媒が非常に有用であるが、それらが完全に又は部分的に、乾燥の過程において蒸発する水と共に除去可能だからである。
【0124】
後架橋剤水溶液中の共溶媒濃度は、後架橋剤溶液を基準として、多くの場合、15重量%〜50重量%の範囲内、好ましくは15重量%〜40重量%の範囲内、より好ましくは20重量%〜35重量%の範囲内である。水との限定された混和性を有する共溶媒の場合、適切であるならば共溶媒濃度を下げることによって、一相のみがあるように、後架橋剤水溶液を調整するのが有利である。
【0125】
好ましい実施形態は、いかなる共溶媒も利用しない。この場合、少なくとも1種の後架橋剤a)だけが、水中にて、添加される脱集塊化助剤(deagglomerating assistant)とともに又は脱集塊化助剤なしで溶液として使用される。
【0126】
後架橋水溶液中の少なくとも1種の後架橋剤a)の濃度は、例えば、後架橋溶液を基準として、1重量%〜50重量%の範囲、好ましくは1.5重量%〜10重量%の範囲、より好ましくは2重量%〜5重量%の範囲である。
【0127】
非表面架橋性吸水性ポリマーに基づく後架橋溶液の総量は、通常、0.3重量%〜15重量%の範囲内であり、好ましくは2重量%〜6重量%の範囲内である。
【0128】
好適な水不溶性金属ホスフェート類b)は、例えばホスフェート類であるが、これは技術的意味において、リン酸塩酸化物、リン酸塩水酸化物、リン酸塩ケイ酸塩、リン酸塩フッ化物などの「ホスフェート類」であると見なすことができる。
【0129】
本発明で使用する場合、用語「水不溶性」とは、25℃にて、水1000mL中に、1g未満、好ましくは0.1g未満、より好ましくは0.01g未満の溶解度を意味する。
【0130】
好適な水不溶性金属ホスフェート及び好適なコーティング方法は、本明細書に参考として明示的に組み込まれるPCT国際公開特許WO 02/060983号に開示されている。
【0131】
好ましい水不溶性金属ホスフェートは、ピロホスフェート類、リン酸水素塩及びカルシウムの、マグネシウムの、ストロンチウムの、バリウムの、亜鉛の、鉄の、アルミニウムの、チタンの、ジルコニウムの、ハフニウムの、スズの、セリウムの、スカンジウムの、イットリウムの又はランタンのホスフェート類、並びに更にはこれらの混合物である。
【0132】
好ましい水不溶性金属ホスフェートは、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、アパタイト、トーマス・ミール(Thomas meal)、バーリナイト(berlinite) 及びレナニア・ホスフェート(Rhenania phosphate)である。リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム及びアパタイトが特に好ましいが、用語「アパタイト」とは、フルオロアパタイト、ヒドロキシルアパタイト、クロロアパタイト、カーボネートアパタイト及びカーボネートフルオロアパタイトを指す。各種の水不溶性金属ホスフェートの混合物が使用可能であることを理解されたい。
【0133】
水不溶性金属ホスフェートは、通常、400μm未満、好ましくは100μm、より好ましくは50μm、更により好ましくは30μm、最も好ましくは2〜20μmの範囲の平均粒径を有する。
【0134】
水不溶性金属ホスフェートの含有比は、通常、吸水性ポリマー粒子を基準にして、0.1重量%〜1.0重量%の範囲であり、好ましくは0.2重量%〜0.8重量%の範囲であり、より好ましくは0.35重量%〜0.65重量%の範囲である。
【0135】
好適な窒素含有ポリマー類(その窒素機能は、プロトン化されていることができる)は、ポリビニルアミン及び部分的に加水分解されたポリビニルホルムアミド又はポリビニルアセトアミド、ポリアリルアミン、並びに熱的に安定なポリエチレンイミンの誘導体類である。前記ポリマーは、線状、分枝鎖状又は樹枝状であることができる。ポリビニルアミンは、その前駆体ポリビニルホルムアミド/−アセトアミドが完全に加水分解した際(これは、0モル%〜10モル%未満の加水分解性ビニルホルムアミド/−アセトアミド基が加水分解されないままであることを意味する)に得られた形態にて使用することが可能である。技術的に等価の上記ポリマーの誘導体も、これらがコーティングプロセス中の分解に対して熱的に十分安定している限りにおいて、使用できる。
【0136】
水溶液として窒素含有ポリマー類が用いられる場合、それらをそれらの少なくとも部分的に中和された形態にて適用することが好ましい。中和のために任意の有機酸又は無機酸を使用してよいが、部分的に中和されたポリマーが完全に溶解されたままであることが好ましい。有用な酸類は、例えば、塩酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、及びアミドスルホン酸であるが、これらに限定するものではない。
【0137】
窒素含有水溶性ポリマー(その窒素はプロトン化されていることができる)は、ポリビニルピロリドン、ポリビニルイミダゾール及び/又はポリビニルカプロラクタムとの混合物にて使用してもよい。
【0138】
しかしながら、本発明における最も好ましい窒素含有ポリマーは、部分的に加水分解されたポリビニルアミンの前駆体、例えば、約5〜17モル/kgの窒素官能基(nitrogen functions)(プロトン化されていることができる)を有する、部分的に加水分解されたポリビニルホルムアミドである。それらは、PCT国際公開特許WO 2004/024816号(本明細書にて明示的に参考として組み込まれる)に開示されている。このようなポリマーの混合物を使用することができる。部分的に加水分解されたポリビニルホルムアミド又は部分的に加水分解されたポリビニルアセトアミドであって、その20モル%〜80%、好ましくは40モル%〜60モル%の加水分解性ビニルホルムアミド/−アセトアミド基が加水分解されており、これによってアミノ基(プロトン化されている場合がある)に変換されていることが好ましい。
【0139】
前記窒素含有ポリマーが存在する場合、それは、非表面架橋性吸水性ポリマーを基準として、1000ppm以下、好ましくは700ppm以下、より好ましくは500ppm以下、より一層好ましくは300ppm以下、最も好ましくは250ppm以下、かつ好ましくは10ppm超、より好ましくは50ppm超、より一層好ましくは80ppm超、最も好ましくは100ppm超、最も好ましくは120〜250ppmの範囲の量で存在する。使用量が少なすぎる場合には、SFCが十分に増加しない。使用量が多すぎる場合には、荷重下吸収性が減衰し、21g/g未満となる。
【0140】
好適な疎水性ポリマーは、膜形成性を有してもよく、極めて好ましくはそれらがエラストマー系の物理的性質を示す。それらは、明示的に本明細書に参考として組み込まれる、米国特許第5,731,365号及び欧州特許第0703265号、かつ更にはPCT国際公開特許WO 2006/082242号及び同WO 2006/097389号にて開示されている。最も好ましい疎水性ポリマーは、ポリウレタン類、ポリ(メタ)アクリレート類(所望により、例えばZnによって架橋されていることができる)、ポリアクリレート類、及びスチレン−(メタ)アクリレートのコポリマー類、並びにアクリロニトリルを含むスチレン及び/又は(メタ)アクリレートのコポリマー類、ブタジエン−スチレン及び/又はアクリロニトリルのコポリマー類、架橋性N−ビニルピロリドンのコポリマー類及び酢酸ビニルのコポリマー類である。最も好ましい疎水性ポリマー類は、ポリウレタン類である。疎水性ポリマーが膜形成ポリマーである場合、膜形成最低温度は、−10℃超、好ましくは20℃超、より好ましくは50℃超、最も好ましくは80℃超であることが好ましい。
【0141】
前記疎水性ポリマーは、好ましくは水性分散液として適用され、かつ所望により融合助剤及び/又は酸化防止剤を加えてもよい。
【0142】
疎水性ポリマーが存在する場合、非表面架橋性吸水性ポリマーを基準にして、0.50重量%以下、好ましくは0.2重量%以下、より好ましくは0.15重量%以下、更により好ましくは0.1重量%以下、好ましくは0.05重量%以下、最も好ましくは0.03重量%以下、かつ好ましくは0.001重量%超、より好ましくは0.005重量%超、更により好ましくは0.008重量%超、最も好ましくは0.01〜0.03重量%の範囲の量で存在する。0.5重量%超で使用する場合には、コストが高くなり、かつFHAが非常に低い値にまで低下することが防止される。疎水性ポリマーを全く使用しない、あるいはほとんど使用しない場合、SFCは十分に増大しない。
【0143】
本発明は更に、吸収性物品に使用する吸収性構造体の製造方法を提供し、その吸収性構造体は吸水性材料を含み、その製造方法は、非表面架橋性吸水性ポリマー粒子を
a)後架橋剤と、
b)非表面架橋性吸水性ポリマーを基準にして、0.1重量%〜1.0重量%の、少なくとも1種の水不溶性金属ホスフェートと、
追加成分であって、
c)窒素がプロトン化されていることができる少なくとも1種の窒素含有水溶性ポリマー及び
d)少なくとも1種の疎水性ポリマーから選択される、少なくとも1種の追加成分と、に接触させる工程と、
こうして得られた粒子を、120℃〜300℃の範囲の温度で熱処理する工程と、を含む。
【0144】
こうして得られた粒子は、吸収性構造体中に組み込まれる。
【0145】
好ましい実施形態によれば、非表面架橋性吸水性ポリマーは、
a)後架橋剤、
b)非表面架橋性吸水性ポリマーを基準にして、0.1重量%〜1.0重量%の、少なくとも1種の水不溶性金属ホスフェート、及び
c)非表面架橋性吸水性ポリマーを基準にして、10〜1000ppmの、窒素がプロトン化されていることができる少なくとも1種の窒素含有水溶性ポリマーと接触させられる。
【0146】
好ましい実施形態によれば、それぞれ、非表面架橋性吸水性ポリマーを基準として、窒素含有水溶性ポリマーの量は、50〜1000ppmの範囲内であり、疎水性ポリマーの量は、0.2重量%以下、好ましくは0.02〜0.15重量%の範囲内である。
【0147】
本発明の吸水性ポリマー粒子の表面コーティングのために、疎水性ポリマーが全く使用されず、かつ少なくとも1種の窒素含有水溶性ポリマーが使用される1つの好ましい実施形態によれば、通常少なくとも18g/g、典型的には20g/g以上、好ましくは21g/g以上、より一層好ましくは22g/g以上、最も好ましくは23〜28g/gのFHAを示し、かつ典型的にはFHAは、35g/g以下である。
【0148】
好ましいプロセスによれば、非表面架橋性吸水性ポリマーは、
a)少なくとも1種の後架橋剤と、
b)非表面架橋性吸水性ポリマーを基準にして、0.1重量%〜1.0重量%の、少なくとも1種の水不溶性金属ホスフェートと、
d)非表面架橋性吸水性ポリマーを基準にして、0.001〜0.2重量%の、少なくとも1種の疎水性ポリマーと、に接触させられる。
【0149】
好ましい実施形態によれば、それぞれ非表面架橋性吸水性ポリマーを基準として、疎水性ポリマーの量は、0.01〜0.2重量%の範囲内であり、窒素含有水溶性ポリマーの量は、500ppm以下であり、好ましくは100〜350ppmの範囲内である。
【0150】
本発明の吸水性ポリマー粒子の表面コーティングのために、少なくとも1種の疎水性ポリマーが使用されかつ窒素含有水溶性ポリマーが全く使用されない好ましい1つの実施形態では、5g/g以上、好ましくは10g/g以上、より一層好ましくは15g/g以上、最も好ましくは16、18、20g/g以上のFHAが示され、かつ典型的には、FHAは26g/g以下である。
【0151】
別の好ましいプロセスによれば、非表面架橋性吸水性ポリマーは、
a)少なくとも1種の後架橋剤と、
b)0.1〜1.0重量%の少なくとも1種の水不溶性金属ホスフェートと
c)10〜1000ppmの、窒素がプロトン化されていることができる少なくとも1種の窒素含有水溶性ポリマーと、
d)0.001〜0.2重量%の少なくとも1種の疎水性ポリマーと、に接触させられる。
【0152】
本発明の吸水性ポリマー粒子の表面コーティングのために、少なくとも1種の疎水性ポリマー及び少なくとも1種の窒素含有水溶性ポリマーが使用される本実施形態では、10g/g以上、好ましくは15g/g以上、更により好ましくは20g/g以上、最も好ましくは21、22、23g/g超のFHAが示され、かつ典型的にはFHAは、30g/g以下である。
【0153】
後続の熱処理は、120℃以上、好ましくは150℃以上、より好ましくは165℃以上、更に好ましくは170℃以上、最も好ましくは175℃〜210℃の範囲内の温度で、かつ通常は、300℃以下にて5分〜80分間、好ましくは30分〜60分の持続時間で実施する。
【0154】
本発明は更に、吸収性物品に使用する吸収性構造体の製造方法を提供し、当該吸収性構造体は吸水性ポリマー類を含み、当該吸水性ポリマー類は、
i)少なくとも1種のエチレン系不飽和酸官能性モノマーと、
ii)少なくとも1つの架橋剤と、
iii)適切な場合は、i)と共重合可能な1種以上のエチレン性及び/又はアリル性不飽和モノマー類と、
iv)適切な場合は、モノマーi)、ii)及び必要ならばiii)と完全に又は部分的にグラフトさせた1種以上の水溶性ポリマーと、を含むモノマー溶液の重合によって製造され、
得られたポリマーは、乾燥させ、分級し、かつ
a)少なくとも1種の後架橋剤と、
b)非表面架橋性吸水性ポリマーを基準にして、0.1重量%〜1.0重量%の、少なくとも1種の水不溶性金属ホスフェートと、
追加の成分であって、
c)窒素がプロトン化されていることができる、少なくとも1種の窒素含有水溶性ポリマーと、
d)少なくとも1種の疎水性ポリマーと、から選択される、少なくとも1種の追加成分と、に接触され、
並びに、こうして得られた粒子を、120℃〜300℃の範囲の温度で熱処理することによって製造される。
【0155】
こうして得られた粒子は、吸収性構造体中に組み込まれる。
【0156】
好ましいプロセスによれば、吸水性材料が25g/g超の遠心分離保持能(CRC)及び21g/g超のAUL(4.83kPa(0.7psi))及び80×10−7cms/g以上のSFCを有し、かつ所望のFHAを示す場合には、熱処理を中止する。
【0157】
粉末として、又は分散液として、好ましくは水性分散液として、水不溶性金属ホスフェートを添加する。それらを水分散液として噴霧することが好ましい。所望により、更に防塵剤を添加して、吸水性ポリマーの表面上に金属ホスフェートを固着させる。防塵剤及び分散液の適用は、好ましくは後架橋溶液と共に行なうが、場合によっては、結合溶液(conjoint solution)から又は複数の個別の溶液から、個別のノズルシステムを介して、同時に又は異なる時点にて実施する。特に好ましい実施形態においては、水不溶性金属ホスフェートは、後架橋剤と同時に添加され、かつ水性分散液として噴霧されるか、あるいは不活性ガスストリームと共に固体粉末として噴出させられる。
【0158】
好ましくは(Preferrably)、後架橋剤を更に防塵剤として使用し、粉塵粒子と親水性ポリマー粒子の表面との間の接着性を増大させてもよい。この場合においては、典型的には、架橋反応によって後架橋剤の極一部のみが消費される。
【0159】
防塵剤は、ポリマーを架橋させる能力を有しないのが理想的であり、あるいは架橋反応が全く生じないか、ほんの少量の防塵剤が架橋反応によって消費され、主要部分が依然として未反応形態にて、親水性粒子の表面上の接着のために利用可能であるという条件下にて適用されることが理想的である。好ましい防塵剤は、樹枝状ポリマー類、高分岐鎖ポリマー類、例えば、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのランダム又はブロックコポリマーである。このための有用な防塵剤としては更に、グリセロール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン及びペンタエリスリトールなどの(as of)、ポリヒドロキシ化合物類のポリエトキシレート類又はポリプロポキシレート類が挙げられる。それらの例としては、n個のエトキシル化トリメチロールプロパン又はグリセロール(nは、1〜100の整数を表す)である。更なる例は、例えば、全体として、n個のエトキシル化され、かつ更にm個のプロポキシル化されたトリメチロールプロパン又はグリセロールのブロックコポリマー、(nは、1〜40の整数を表し、mは1〜40の整数を表す)である。ブロックの順番は、逆であってもよい。好適な防塵剤はまた、1,2−プロパンジオール(propandiole)、グリセロール(glycerole)、トリメチロールプロパン、及びトリメチロールエタンなどの単純なポリオール類である。
【0160】
しかし、水不溶性金属ホスフェートは、吸水性ポリマー粒子の表面上にてその場形成することもできる。この目的を達成するために、例えば、リン酸溶液又は可溶性ホスフェート類の溶液及び可溶性金属塩類の溶液を、水不溶性金属ホスフェート上に個別に噴霧して、粒子表面上に形成及び堆積させるが、これらに限定するものではない。
【0161】
本発明のプロセスにて使用される乾燥させた非表面架橋性吸水性ポリマー粒子は典型的には、乾燥後かつ後架橋溶液適用前において、0重量%〜13重量%の範囲の、好ましくは2重量%〜9重量%の範囲の残留湿分含量を有する。しかしながら、所望により、本湿分含量は、例えば、アップストリーム噴霧ミキサー中にて水を適用することによって、75重量%まで増加することもあり得る。湿分含量は、EDANA(ヨーロッパ使い捨て及び不織布協会(European Disposables and Nonwovens Association))推奨試験方法No.430.2−02「湿分含量」によって測定される。このような湿分含量の増大は、ベースポリマーのわずかな予備膨潤(preswelling)をもたらし、表面上の架橋剤の分布を、更には粒子中への浸透を改善する。
【0162】
本発明の最も好ましい実施形態では、後架橋溶液a)、及び水不溶性金属ホスフェートb)の分散液、並びに窒素含有水溶性ポリマーc)又は疎水性ポリマーd)(特に、疎水性ポリマー分散液d))を含む少なくとも1種の更なる溶液又は分散液を噴霧し、かつコーティングされた温かいポリマーをそれに引き続いて直ちに熱処理工程へと移す場合、残留湿分含量は、0重量%〜13重量%の範囲内であり、乾燥しかつ分級したベースポリマーの温度は少なくとも40℃、好ましくは少なくとも50℃、より好ましくは少なくとも60℃、更により好ましくは少なくとも70℃、最も好ましくは80〜110℃であって、典型的には140℃以下である。水不溶性金属ホスフェートb)は、プロセス中の同一工程にて添加してよく、あるいは後架橋剤のコーティング工程の前又は後において、吸水性ポリマー粒子上にコーティングすることができる。
【0163】
最も好ましい実施形態では、後架橋剤a)、及び水不溶性金属ホスフェートb)並びに窒素含有水溶性ポリマーc)及び/又は疎水性ポリマーd)を含む更なる成分、並びに適切であれば、上述のかつ/又は下記の追加のコーティング剤を1つの水性後架橋剤混合物としてベースポリマー上に噴霧する。
【0164】
本発明のプロセスにおいて有用なスプレーノズルは、いかなる制約も受けない。このようなノズルは、スプレー分散されるべき液体を圧力供給できる。スプレー分配されるべき液体の噴霧化は、この場合、液体が特定の最小速度に到達した後にノズルボア中の液体を減圧することによって行うことができる。一材料ノズル、例えばスロットノズル又は渦巻き若しくは旋回チャンバー(フルコーンノズル)(例えばデューセン・シュリック(Dusen-Schlick GmbH)(ドイツ)から、又はスプレーイング・システムズ・ドイツ(Spraying Systems Deutschland GmbH)(ドイツ)から市販されている)も有用である。このようなノズルはまた、欧州公開特許第0 534 228号及び同第1 191 051号にも記載されている。
【0165】
スプレー後に、ポリマー粉末を熱処理する。本処理中、後架橋反応が生じうる。粉末が乾燥される熱処理の前又は後において、温度の低下した相を有することが可能である。
【0166】
後架橋剤混合物を用いるスプレーは、好ましくは可動性混合機要素を有するミキサー、例えばスクリューミキサー、パドルミキサー、ディスクミキサー、プラウシェアミキサー及びショベルミキサーにて行われる。特に好ましいのは垂直ミキサーであり、特に極めて好ましいのはプラウシェアミキサー及びショベルミキサーである。有用なミキサーとしては、例えば、レーディゲ(Loedige)(登録商標)ミキサー、ベペックス(Bepex)(登録商標)ミキサー、ナウタ(Nauta)(登録商標)ミキサー、プロセサール(Processall)(登録商標)ミキサー、ルバーグ(Ruberg)(登録商標)ミキサー、ターボライザー(Turbolizer)(登録商標)ミキサー、及びシュギ(Schugi)(登録商標)ミキサーが挙げられる。
【0167】
乾燥はミキサーそれ自体で行うことができ、例えばジャケットを加熱すること、又は温風を導入することによって行うことができる。ダウンストリームドライヤ、例えば、トレイドライヤ、ロータリー・チューブ・オーブン又は加熱可能スクリューを使用することも同様に可能である。しかし、乾燥プロセスとして、例えば共沸蒸留を利用することもまた可能である。
【0168】
熱乾燥を行う装置として、接触乾燥機が好ましく、ショベル乾燥機がより好ましく、ディスク乾燥機が最も好ましい。好適な乾燥機としては、例えば、ベペックス(Bepex)乾燥機及びナラ(Nara)(登録商標)乾燥機が挙げられる。特に、連続モードにて稼動する場合、流動床乾燥機及び塔状乾燥機も同様に使用可能である。
【0169】
例えばシュギ−フレキソミックス(Schugi-Flexomix)(登録商標)又はターボライザー(Turbolizer)型の高速度ミキサー中で後架橋剤混合物をベースポリマーに適用することが特に好ましく、この場合、後者は、例えばナラ(Nara)−パドル−乾燥機型又はディスク乾燥機の反応乾燥機にて熱的に後架橋できる。使用するベースポリマー(非表面架橋性吸水性ポリマー)は、依然として、先行する操作から、10〜140℃の範囲の、好ましくは40〜110℃の範囲の、より好ましくは50〜100℃の範囲の、更により好ましくは60〜95℃の範囲の、最も好ましくは70〜85℃の範囲の温度を有することができ、後架橋混合物は、0〜150℃の範囲の温度を有することができる。より具体的には、後架橋混合物を加熱して、粘度を下げることができる。好ましい熱処理温度範囲は、120〜220℃、特に150〜210℃、最も好ましくは160〜195℃である。この温度での反応ミキサー又は乾燥機内での好ましい滞留時間は、100分未満、より好ましくは70分未満、最も好ましくは40分未満である。
【0170】
熱処理乾燥機は、乾燥及び後架橋反応中に、空気で、あるいは好ましくは不活性ガスでフラッシュして、蒸気を除去する。乾燥プロセスを補完するために、乾燥機及び付属アセンブリ全体を加熱するのが理想である。本発明の不活性ガスは、例えば、窒素、アルゴン、水蒸気、二酸化炭素、希ガスであるがこれらに限定するものではない(PCT国際公開特許WO 2006/058682号に記載されている)。
【0171】
蒸気で除去した共溶媒は、再循環させるのが適切であるならば、当然のことながら、反応乾燥機の外側で再度凝縮させてよい。
【0172】
好ましい実施形態では、熱処理工程は、酸素の不存在下にて、不活性ガスと共に熱処理乾燥機をフラッシングすることにより、かつ酸素含有量を好ましくは10容量%未満、より好ましくは1容量%未満、更に好ましくは0.01容量%未満、最も好ましくは0.001容量%まで減少させることにより実施する。
【0173】
特に好ましい実施形態においては、前記熱処理工程は、酸素の不存在下にて、かつ本明細書に参考として明示的に組み込まれるPCT国際公開特許WO 2006/058682号に記載されているように、少量の重合禁止剤を用いてモノマーから製造される非表面架橋性吸水性ポリマー(ベースポリマー)で、実施される。
【0174】
熱処理工程後、上記の窒素がプロトン化されていることができる窒素含有水溶性ポリマーで、又は上記の疎水性ポリマーが既に熱処理前の処理の一部となっていない場合には疎水性ポリマーと共に、粒子を処理することが可能である。
【0175】
加えて、次のように熱処理をする前、その間あるいはその後において、追加のコーティング剤を使用してもよい。
【0176】
−例えば、ソルビタンモノエステル(ソルビタンモノ−ココエート及びソルビタンモノラウレートなど)又はそのエトキシル化変性体などの界面活性剤類。非常に有用な界面活性剤類としては更に、2−プロピルヘプタノールのエトキシル化及びアルコキシル化誘導体(BASFアクチェンゲゼルシャフト(ドイツ)からルテンゾール(登録商標)XL及びルテンゾールXPのブランド名にて販売されている)が挙げられる。また、例えば、レヴォデルム(Rewoderm)S1333(米国化粧品工業会(CTFA):リシノレアミドMEAスルホコハク酸2Na977 060−63−1)を使用してもよい。
【0177】
特に好ましい界面活性剤は、非イオン性又は両性であって、かつ1分子当たりに少なくとも1つの−OH基又は−NH基の官能性基(−COOH基と共に共有結合を形成可能)を含有する。しかしながら、アニオン性又はカチオン性界面活性剤もまた、下記に述べるように、表面張力が上限内にとどまる限り、使用可能である。
【0178】
ベースポリマーを基準とした界面活性剤の有用な濃度は、例えば、0重量%〜0.02重量%の範囲、好ましくは0重量%〜0.005重量%の範囲、より好ましくは0.0005重量%〜0.004重量%、最も好ましくは0.001重量%〜0.003重量%の範囲である。界面活性剤は、好ましくは、膨潤ベースポリマーの水性抽出物及び/又は膨潤吸水性材料の水性抽出物の表面張力が、23℃にて、0.060N/m以上、好ましくは0.062N/m以上、より好ましくは0.065N/m以上、最も好ましくは0.069N/m以上、及び有利には、0.072N/m以下になるように加えられる。
【0179】
界面活性剤は、別個に、又は後架橋剤と同時に、あるいは後架橋剤との混合物として添加できる。好ましくは、界面活性剤は、後架橋剤溶液と共に混合する。
【0180】
−所望により、ほこりを吸水性ポリマー粒子に結合させるために、上記ポリオールのいずれかなどの制塵剤を熱処理工程後に使用することが可能である。このような場合、制塵剤は0.5重量%以下の量にて使用されるであろう。好ましい制塵剤は、グリセロール及び1,2−プロパンジオールである。
【0181】
−所望により、1種以上の水溶性金属塩を、水溶液として、吸水性ポリマー粒子上へと熱処理工程の前、その間、あるいはその後に、噴霧してよい。好ましくは、水溶性金属塩は、後架橋剤溶液と共に混合する。本発明で使用する場合、用語「水溶性」とは、25℃にて、水1000mL中1g以上、好ましくは水1000mL中10g超の溶解度を意味する。特に有用な多価金属塩は、本明細書に参考として明示的に組み込まれる米国特許第4,043,952号に列記される。好適な金属塩の例は、アルミニウム、カルシウム、ストロンチウム、亜鉛(Zink)、及びマグネシウムの硫酸塩類、酢酸塩類、プロピオン酸塩類、クエン酸塩類、酒石酸塩類、及び乳酸塩類があるが、これらに限定するものではない。コーティングは、例えば、PCT国際公開特許WO 2005/080479号に記載されている量でかつそこに記載されているようにして行うことができる。
【0182】
−所望により、水溶性金属塩を、水溶液又は分散液として、吸水性ポリマー粒子上に熱処理工程の前、その間、あるいはその後に、噴霧することができる。特に好ましい水溶性金属塩は、SrO、CaO、Sr(OH)、及びCa(OH)である。
【0183】
−所望により、シリカゾル溶液をコーティングとして、コーティングされた吸水性ポリマー粒子の表面に塗布し、粘着性を低減する。極めて好適なのは、シリカゾルであって、これはレヴァジル(Levasil)(登録商標)の商標名でヘルマン・C・スターク社(Hermann C Starck GmbH)(レバークーゼン)から販売されている。このようなシリカゾルは、水溶液として噴霧され、かつコーティングされる吸水性ポリマー粒子の量を基準としたシリカとして計算して、0.01〜1.0重量%の量で通常使用される。シリカゾルは、プロセスの任意の段階で添加できるが、好ましくは最外殻コーティングとしてコーティングされる。
【0184】
−所望により、非晶質シリカ又は任意形態での、MgO、ZnO、TiO、Al、ZrOなどの金属酸化物を、コーティングされた吸水性ポリマー粒子の表面へのコーティングとして塗布し、粘着性を減らすことができる。このような薬剤は、通常、コーティングされる吸水性ポリマー粒子の量を基準に計算して、0.01〜1.0重量%の量で使用される。このような薬剤は、粉末ブレンドとして添加でき、粉末として噴入され、あるいは水分散液として噴霧される。それらは、プロセスの任意の段階で添加できるが、好ましくは最外殻コーティングとしてコーティングされる。
【0185】
−所望により、ワックスをコーティングとして、コーティングされた吸水性ポリマー粒子の表面に塗布し、粘着性を低減する。好適なワックスは、本明細書に参考として明示的に組み込まれる米国特許第5,840,321号に開示されている。ワックス類は、通常、コーティングされる吸水性ポリマー粒子の量を基準にワックスとして計算して、0.01〜1.0重量%の量で使用される。このようなワックスは、粉末ブレンドとして添加でき、粉末として噴入され、あるいは水分散液として噴霧される。ワックスは、プロセスの任意の段階で添加できるが、好ましくは最外殻コーティングとしてコーティングされる。
【0186】
熱処理工程終了後、乾燥した水吸収性材料は、冷却される。そのために、温かく乾燥したポリマーは、好ましくは連続的に下流冷却機に移される。これは、例えばディスク冷却機、ナラ(Nara)パドル冷却機又はスクリュー冷却機であり得る。冷却は、冷却機の壁及び適切な場合は撹拌要素によって、好適な冷媒、例えば温かい又は冷たい水を流して行う。水又は添加物の水溶液若しくは水分散液は、好ましくは冷却機内の吸水性ポリマー粒子上へと噴霧し、あるいはそこへブレンドしてよく、これにより、冷却効率(水の部分蒸発)が増大し、完成品中の残留湿分含量は、0重量%〜6重量%の範囲、好ましくは0.01重量%〜4重量%の範囲、より好ましくは0.1重量%〜3重量%の範囲の間に調整可能である。本発明の吸水性材料の含水量は、通常、20重量%未満、好ましくは6重量%未満、より好ましくは4重量%未満、最も好ましくは3重量%未満である。増加した残留湿分含量は、生成物のダスト量を減らす。制塵剤を使用する場合、それは水溶液として冷却機中に添加してよい。所望により、界面活性剤又は水溶性多価金属塩を使用する場合、冷却機中に水溶液として添加するか、あるいは別個の下流混合装置(例えば、レーディゲ(Loedige)(登録商標)又はルバーグ(Ruberg)(登録商標)ミキサーであるが、これらに限定するものではない)に添加してよい。
【0187】
しかし、任意に、冷却のためだけの冷却機を使用し、別個の下流混合器内に水及び添加剤を添加することができる。冷却することで温度を反応温度未満まで下げて反応を停止させるが、温度は、生成物をプラスチックバッグ又はサイロトラックへと容易に充填できる程度にまで下げさえすればよい。
【0188】
特に、より高い湿分含量(即ち、20重量%以下)が所望される場合、別個の下流ミキサーを使用することが好ましい。
【0189】
しかし、所望により、当業者に周知のその他全てのコーティング剤、例えば水不溶性多価金属塩類、例えば硫酸カルシウム;水溶性多価金属塩類、例えばアルミニウム塩類、カルシウム塩類若しくはマグネシウム塩類、又は水溶性ジルコニウム塩類;又は親水性無機粒子類、例えば粘土鉱物類;を冷却機内で、又は後続の別個のコーティング工程で付加的に適用することができる。これにより、濾塊になりにくい、処理性が向上する又は塩水流の誘導性(SFC)が更に向上する等の更なる効果を得ることができる。添加剤を使用し、かつ分散液の形態で噴霧する場合、それらは水分散液として使用するのが好ましく、かつ所望により、防塵剤を適用して、添加剤を吸水性ポリマー表面に固着させることが可能である。
【0190】
本発明のプロセスは、優れた流体輸送性及び良好な吸収性能を備えた吸水性ポリマー粒子を得るための効果的な方法である。前記プロセスによって、所与のデザインのおむつのためにFHA及びSFCを最適化することもできる。本願において、使い捨ておむつのデザイナーには、対応するおむつのデザインのために、吸水性ポリマー粒子の性質を調整するプロセスが提供される。
【0191】
好ましくは5重量%未満、より好ましくは2重量%未満、最も好ましくは1重量%のポリマー粒子が、150μm未満、好ましくは200μm未満の粒径を有する。粒径は、EDANA(ヨーロッパ使い捨て及び不織布協会(European Disposables and Nonwovens Association))推奨試験方法No.420.2−02「粒度分布」によって測定される。
【0192】
本発明の吸水性材料は、次のように特徴付けられる。
【0193】
吸水性材料粒子の粒子サイズは、150〜850μmで変化し得るけれども、ある種の狭い粒径分布が好ましい。
【0194】
1つの好ましい実施形態では、好ましくは2重量%未満、より好ましくは1.5重量%未満、最も好ましくは1重量%未満の吸水性材料は、600μm超の粒径を有する。
【0195】
好ましくは90重量%未満、より好ましくは95重量%未満、更に好ましくは98重量%未満、最も好ましくは99重量%未満の吸水性材料は、150〜600μmの範囲の粒子を有する。
【0196】
好ましくは70重量%未満、より好ましくは80重量%未満、更に好ましくは85重量%未満、最も好ましくは90重量%未満の吸水性材料は、300〜600μmの範囲の粒子を有する。
【0197】
別の好適な実施形態では、好ましくは30重量%未満、より好ましくは20重量%未満、更により好ましくは10重量%未満、最も好ましくは5重量%未満の吸水性材料が、600μm超かつ700μm未満の粒径を有する。好ましくは90重量%未満、より好ましくは95重量%未満、更に好ましくは98重量%未満、最も好ましくは99重量%未満の吸水性材料は、150〜700μmの範囲の粒子を有する。
【0198】
好ましくは70重量%未満、より好ましくは80重量%未満、更に好ましくは85重量%未満、最も好ましくは90重量%未満の吸水性材料は、300〜700μmの範囲の粒子を有する。
【0199】
吸水性材料の遠心分離保持能(CRC)は、通常、25g/g以上、好ましくは26g/g以上、より好ましくは27g/g以上、更に好ましくは28g/g以上、最も好ましくは29〜35g/gの範囲であるとともに、通常は、50g/g以下である。
【0200】
吸水性材料の荷重下吸収量(4.83kPa(AUL 0.7psi))は、通常、21g/g以上、典型的には22g/g以上、好ましくは22.5g/g以上、より好ましくは23g/g以上、更に好ましくは23.5g/g以上、最も好ましくは24〜28g/g、かつ通常は45g/g以下である。
【0201】
吸水性材料の塩水流の誘導性(SFC)は、通常、50×10−7cms/g以上、好ましくは80×10−7cms/g以上、より好ましくは100×10−7cms/g以上、更に好ましくは120×10−7cms/g以上、最も好ましくは150×10−7cms/g以上、かつ通常1500×10−7cms/g以下である。
【0202】
最適なSFCは、衛生物品の対応するデザイン(ここでは、吸水性材料が組み込まれ、かつそれゆえ、ある種の範囲のSFCが特に好ましい)に依存するが、一方で、これらの選択された範囲に対して、CRCをそれぞれの事例において、最大化しなければならない。このような衛生物品の特定デザインによっては、FHA及び自由膨潤速度(FSR)もまた最大化する必要があり得る。
【0203】
窒素含有ポリマー又は疎水性ポリマーを少量、吸水性ポリマー粒子表面のコーティングに適用することによって、SFCが増大する場合があり、かつ疎水性ポリマーの使用量によっては、及び熱処理条件によっては、FHAを犠牲にすることで更なるSFCを得ることができることが顕著に観察された。このようにして、前記プロセスは、性能を調整した吸水性ポリマー粒子を供給することができる。
【0204】
本発明の特に好ましい1実施形態では、SFCは100〜200×10−7cms/gの範囲であり、最も好ましくは120〜150×10−7cms/gである。
【0205】
本発明の特に好ましい1実施形態において、SFCは300〜500×10−7cms/gの範囲であり、最も好ましくは350〜450×10−7cms/gの範囲である。
【0206】
本発明の特に好ましい更なる別の実施形態において、SFCは500〜700×10−7cms/gの範囲であり、最も好ましくは550〜650×10−7cms/gの範囲である。
【0207】
本発明の吸水性材料は、通常0.05g/g・s以上の、典型的には0.10g/g・s以上の、好ましくは0.15g/g・s以上の、より好ましくは0.20g/g・s以上の、更により好ましくは0.25〜0.50g/g・sの、かつ通常1.00g/g・s以下の自由膨潤速度(FSR)を示す。
【0208】
本発明の吸水性材料は、大きなウィッキング能力(FHA)で注目に値する。ウィッキング能力は、本明細書中で後述するように、ウィッキング試験「固定高さ吸収量(FHA)」を使用して決定することができる。コスト的に効率的な最新式のコーティング装置を使用しつつ、水不溶性金属ホスフェート、窒素含有ポリマー、及び疎水性ポリマーのコーティング量を調整することによって、本発明のプロセスにより、CRC及びSFCを最大化し、かつFHAを目標値へと調整することができる。
【0209】
本発明によれば、吸水性材料は、良好な遠心分離保持能(CRC)を有し、それは25g/g以上、好ましくは26g/g、より好ましくは27g/g以上、更に好ましくは28g/g以上、最も好ましくは29〜35g/gの範囲であり、荷重下吸収量(4.83kPa(AUL 0.7psi))は、通常は21g/g以上、典型的には22g/g以上、好ましくは22.5g/g以上、より好ましくは23g/g以上、更により好ましくは23.5g/g以上、最も好ましくは24〜28g/gであり、固定高さ吸収量(FHA)は、5g/g以上、好ましくは10g/g以上、より好ましくは15g/g以上、更により好ましくは20g/g以上、最も好ましくは少なくとも21、22、23、24、25、26g/gであるとともに、35g/g以下である。上記量(重量%、ppm)は、コーティング前の乾燥吸水性ポリマー粒子の量に対応して与えられる。
【0210】
遠心分離保持能(CRC)、塩水流の誘導性(SFC)、荷重下吸収量(AUL 4.83kPa(0.7psi))及び固定高さ吸収量(FHA)は、ベースポリマーの中和度(非表面架橋性吸水性ポリマー)により、及び熱処理中の反応条件により、並びに特に上記制限内にて選択したコーティング配合物によって最適化される。
【0211】
固定高さ吸収量(FHA)は、熱処理進行中に最大化され、非表面架橋性吸水性ポリマーの粒度分布、並びにその表面の親水性によって厳格にコントロールされる。非表面架橋性吸水性ポリマーが微細すぎる場合、FHAは大きいが、SFCは小さい。非表面架橋性吸水性ポリマーが粗すぎる場合、FHAは小さいが、SFCは大きい。したがって、200μm未満及び600μm超(上記制限内にて)の粒子の量を、所望の最適化された完成品性能を得ることができる濃度にまでコントロールすることが、本発明の目的である。150〜200μm及び600〜700μmの粒子が、完成品内に含有してよいが、完成品の性能が劣化しないように、入念なプロセスコントロールが必要である。
【0212】
更に、本発明の吸水性材料は、特に使用中に不快な臭気を生じる化合物を実質的に含まない。
【0213】
本発明の吸水性材料は極めて白く、多量の吸水性材料を有する極薄おむつに特に必要とされる。極薄おむつの薄いトップシートを通してわずかな色の変化が見えただけでも、消費者からは受け入れられない。本発明の特定の吸水性材料においても、高温(60℃)で、非常に湿った条件(相対湿度90%)下で、長時間(20日)保護されないまま保存されたとしても、その白色は大部分維持される。
【0214】
本発明の吸水性材料を含む吸収性構造体は、好ましくは50重量%〜100重量%、好ましくは60重量%〜100重量%、より好ましくは70重量%〜100重量%、更により好ましくは80重量%〜100重量%、最も好ましくは90重量%〜100重量%の吸水性材料を含む。
【0215】
熱処理(heat-trating)品質を判断するために、記載された試験方法を使用して、乾燥させた吸水性材料を検査する。
【0216】
方法:
特に指示しない限り、周囲温度23±2℃及び相対湿度50±10%にて測定しなければならない。吸水性材料は、測定前に完全に混合される。
【0217】
遠心分離保持能(CRC)
遠心分離保持能は、各試料において、実施例において報告された粒度分布を有する実サンプルが測定される点を除けば、EDANA(ヨーロッパ使い捨て及び不織布協会(European Disposables and Nonwovens Association))推奨試験方法No.441.2−02「遠心分離保持能」によって決定される。
【0218】
荷重下吸収量(AUL)
荷重下吸収量は、各試料において、実施例において報告された粒度分布を有する実サンプルが測定される点を除けば、EDANA(ヨーロッパ使い捨て及び不織布協会(European Disposables and Nonwovens Association))推奨試験方法No.442.2−02「圧力下吸収」によって決定される。
【0219】
固定高さ吸収量(FHA)
FHAは、膨潤ゲル層がウィッキングによって流体を輸送する能力を決定するための方法である。それは、欧州特許第01 493 453 A1号の9ページ及び10ページに記載されているように、実施かつ評価される。
【0220】
本明細書本文に対して、以下の調整を実施する必要がある。
【0221】
実験室条件は、23±2℃であり、相対湿度は50%以下である。
【0222】
ガラスフリット:500mLガラスフリットP40、ISO 4793で規定されるように、公称孔径16〜40μm、厚さ7mm、例えば、デュラン・ショット孔径クラス3。20℃おいて:30cm直径ディスクは、5kPa(50mbar)の圧力降下に対して、50mL/分の水流が得られなければならない。
【0223】
可撓性プラスチックタイゴン(Tygon)チューブ;分液漏斗をじょうごとフリットで接続する。じょうごを垂直に20cm動かせるように、十分な長さでなければならない。
【0224】
例えば、フリパ・パピエルファブリック・アルベルト・フリードリッヒ・KG(Fripa Papierfabrik Albert Friedrich KG)(ミルテンベルグ、D−63883)によって供給されている、高湿潤強度のセルロースティッシュ(最大坪量24.6g/cm、サイズ80×80mm、最低湿潤引張強度0.32N/cm(CD方向)、及び0.8N/cm(MD方向))の使用。
【0225】
ティッシュを金属製リングにて、サンプルホルダーの底面に締め付ける。
【0226】
計算:
FHA=(m3−m2)÷(m2−m1)
AGM1g当たりの吸収された食塩水(溶液)重量であって、
m1=空のサンプルホルダー重量(g)、
m2=乾燥AGMを入れたサンプルホルダー重量(g)、
m3=湿ったAGMを入れたサンプルホルダー重量(g)である。
【0227】
FHAは、本発明との関係においては、20cmのFHAに相当する流体静力学的カラム圧力と共にのみ測定される。
【0228】
塩水流の誘導性
膨潤ヒドロゲル層718の透過性を測定する方法は、「ゲル層透過性」としても知られている「塩水流の誘導性」であり、欧州公開特許第640 330号(1993年12月1日出願)、米国特許出願11/349,696号(2004年2月3日出願)、同第11/347,406号(2006年2月3日出願)、同第06/682,483号(1982年9月30日出願)、及び米国特許第4,469,710号(1982年10月14日出願)を含む、幾つかの参考文献中に記載されている。本方法のために使用する装置を以下に説明する。
【0229】
透過性測定システム
図1は、一定の静水頭部リザーバ414、空気アドミタンスのための末端開口チューブ410、再充填用栓付き通気孔412、実験室用ジャッキ416、配送チューブ418、ストップコック420、リング・スタンド支持体422、受取容器424、天秤426及びピストン/シリンダー・アセンブリ428と共に設定した透過性測定システム400を示す。
【0230】
ピストン/シリンダー・アセンブリ428は、金属ウェイト512、ピストンシャフト514、ピストンヘッド518、蓋516、及びシリンダー520を含む。シリンダー520は、透明なポリカーボネート(例えば、レキサン(Lexan)(登録商標))より構成され、かつ滑らかなシリンダー内壁550を備えた6.00cmの内径p(面積=28.27cm)を有する。シリンダー520の底部548は、シリンダー520の底部548へ取り付ける前にぴんと張るように二軸方向に伸ばした米国規格400メッシュ・ステンレススチール・スクリーンクロス(図示せず)と面している。ピストンシャフト514は、透明なポリカーボネート(例えば、レキサン(Lexan)(登録商標))より構成され、かつ約127mmの全長qを有する。ピストンシャフト514の中央部分526は、21.15mmの直径rを有する。ピストンシャフト514の上部528は、直径15.8mmを有し、ショルダー524を形成する。ピストンシャフト514の下部546は、約15.9mm(約5/8インチ)の直径tを有し、かつピストンヘッド518のセンター穴618内としっかり螺着されている。ピストンヘッド518には穴が開けられており、透明なポリカーボネート(例えば、レキサン(Lexan)(登録商標))から作製され、かつ更には広げた米国規格400メッシュ・ステンレススチール・スクリーンクロス(図示せず)によって覆われている。ウェイト512はステンレス鋼であり、センターボア530を有し、ピストンシャフト514の上部528の上をスライドし、かつショルダー524上に載っている。ピストンヘッド518、ピストンシャフト514及びウェイト512の総合重量は、596g(±6g)であり、これはシリンダー520の領域に対する2.07kPa(0.30psi)に相当する。総合重量は、ピストンシャフト514の中心軸線532へと止まり穴を開け、材料を取り除き及び/又はウェイトを空洞へ提供することによって調整してよい。シリンダーの蓋516は、ピストンシャフト514の垂直位置合わせのための第一蓋開口部534をその中心に有し、かつ一定の静水頭部リザーバ414からシリンダー520内へと流体を導入するための第二蓋開口部536を端部538近傍に有する。
【0231】
第一リニアインデックス・マーク(図示せず)を半径方向にウェイト512の上面552に沿ってけがき、当該第一リニアインデックス・マークが、ピストンシャフト514の中心軸線532を横断するようにする。対応する第二リニアインデックス・マーク(図示せず)は、ピストンシャフト514の上面560に沿って放射状にけがき、当該第二リニアインデックス・マークがピストンシャフト514の中心軸線532に対して横断するようにする。対応する第三リニアインデックス・マーク(図示せず)は、ピストンシャフト514の中央部分526に沿ってけがき、当該第三リニアインデックス・マークがピストンシャフト514の中心軸線532と平行となるようにする。対応する第四リニアインデックス・マーク(図示せず)は、シリンダーの蓋516の上面540に沿って放射状にけがき、当該第四リニアインデックス・マークがピストンシャフト514の中心軸線532に対して横断するようにする。更に、対応する第五リニアインデックス・マーク(図示せず)は、シリンダーの蓋516のへり554に沿ってけがき、当該第五リニアインデックス・マークがピストンシャフト514の中心軸線532と平行となるようにする。対応する第六リニアインデックス・マーク(図示せず)は、シリンダー外壁542に沿ってけがき、当該第六リニアインデックス・マークがピストンシャフト514の中心軸線532と平行となるようにする。第一、第二、第三、第四、第五、及び第六のリニアインデックス・マークの整列には、ウェイト512、ピストンシャフト514、シリンダーの蓋516、及びシリンダー520が、各測定のために互いに対して、同一の向きで再度位置合わせすることを可能にする。
【0232】
シリンダー520の仕様詳細は次の通りである。
【0233】
シリンダー520の外径u:70.35mm
シリンダー520の内径p:60.0mm
シリンダー520の高さv:60.5mm
シリンダーの蓋516の仕様詳細は次の通りである。
【0234】
シリンダーの蓋516の外径w:76.05mm
シリンダーの蓋516の内径x:70.5mm
シリンダーの蓋516の厚みy(へり554を含む):12.7mm
シリンダーの蓋516の厚みz(へりは除く):6.35mm
第一蓋開口部534の直径a:22.25mm
第二蓋開口部536の直径b:12.7mm
第一及び第二蓋開口部534及び536の中心間距離:23.5mm
ウェイト512の仕様詳細は次の通りである。
【0235】
外径c:50.0mm
センターボア530の直径d:16.0mm
高さe:39.0mm
ピストンヘッド518の仕様詳細は次の通りである。
【0236】
直径f:59.7mm
高さg:16.5mm
外側の穴614(全14個)(直径hは9.65mm)。外側の穴614は、センター穴618の中央から47.8mmの中心が、等しく間隔を置かれている。
【0237】
内側の穴616(全7個)(直径iは9.65mm)。内側の穴616は、センター穴618の中央から26.7mmの中心が、等しく間隔を置かれている。
【0238】
センター穴618は、15.9mm(5/8インチ)の直径jを有し、ピストンシャフト514の下部546にはめ込まれるようにねじ切られている。
【0239】
使用前に、ピストンヘッド518及びシリンダー520のステンレススチールスクリーン(図示せず)は、目詰まり、ホール又は過度な伸長について検査すべきであって、必要なら交換すべきである。損傷したスクリーンを有するSFC装置は、間違ったSFC結果を導く可能性があり、スクリーンが取り替えられるまで使用してはならない。
【0240】
5.00cmのマーク556をシリンダー520上に、5.00cm(±0.05cm)の高さkにて、シリンダー520の底部548に結合したスクリーン(図示せず)の上方にけがいた。これは、分析中に維持されるべき流体レベルをマークしている。正確かつ一定の流体レベル(流体静力学的圧力)を維持することは、測定精度にとって重要である。
【0241】
一定の静水頭部リザーバ414を使用して、シリンダー520へ食塩水432を送達し、かつ食塩水432のレベルを、シリンダー520の底部548に結合させたスクリーン(図示せず)の上5.00cmの高さkに維持する。吸気チューブ410の底部434は、シリンダー520内での食塩水432のレベルが、測定中に必要とされる5.00cmの高さkとなるように、即ち、空気チューブ410の底部434が平面438とほぼ同じところにあって、シリンダー520上の5.00cmのマーク556とほぼ同様に、受取容器424の上のリング・スタンド440のサポートスクリーン(図示せず)に収まるように、位置決めされる。吸気チューブ410及びシリンダー520上の5.00cmのマーク556について、正確に高さの位置決めをすることは、分析にとって重要である。好適なリザーバ414は、流体送達のための水平に向けられたL型配送チューブ418、一定の静水頭部リザーバ414内に固定高さにて空気が入るように垂直に向けられた末端開口チューブ410、及び一定の静水頭部リザーバ414に再充填するための栓付き通気孔412を包含するジャー430から構成される。チューブ410の内径はxx mmである。配送チューブ418(一定の静水頭部リザーバ414の底部442の近傍に配置されている)は、食塩水432の送達を開始/停止するためのストップコック420を含む。配送チューブ418の出口444は、第二蓋開口部536を通って、シリンダーの蓋516内へと挿入するような寸法にされ、その端はシリンダー520内の食塩水432の表面の下になる(食塩水432の高さ5.00cmがシリンダー520内で達成された後)。吸気チューブ410は、O−リングカラー(図示せず)によって所定の位置に保持される。一定の静水頭部リザーバ414は、シリンダー520の高さに対してその高さを調節するために実験用ジャッキ416上に配置することができる。一定の静水頭部リザーバ414の構成要素は、必要とされる高さ(即ち、静水頭部)までシリンダー520を素早く充填し、測定している間この高さを維持するような大きさにされる。一定の静水頭部リザーバ414は、食塩水432を少なくとも3g/秒の流量にて少なくとも10分間送達することが可能でなければならない。
【0242】
ピストン/シリンダー・アセンブリ428は、リング・スタンド440又は好適な代替的剛性スタンド上に支持されている16メッシュ剛性ステンレススチール支持スクリーン(図示せず)(又は同等品)上に配置される。この支持スクリーン(図示せず)は、食塩水432の流れを妨害しないように十分透過性であり、伸長を妨げるステンレススチールメッシュクロス(図示せず)を支持するのに十分なだけ剛性である。支持スクリーン(図示せず)は平坦であるとともに、試験中にピストン/シリンダー・アセンブリ428が傾かないように水平でなければならない。支持スクリーン(図示せず)を貫通する食塩水432を受取容器424内に収集し、支持スクリーン(図示せず)の下に配置させる(図示せず)。受取容器424を、少なくとも0.01gまで精確である天秤426上に配置する。天秤426のデジタル出力は、コンピュータデータ収集システム(図示せず)に連結される。
【0243】
試薬の調製(図示せず)
ジェイコ(Jayco)合成尿(JSU)712が膨潤試験段階のために使用され(以下のSFC手順を参照のこと)かつ0.118Mの塩化ナトリウム(NaCl)溶液が流れ試験段階のために使用される(以下のSFC手順を参照のこと)。次の調製は、標準1リットル体積についてのものとする。1リットル以外の容量の調製の場合、全ての量はそれに応じて量調節する。
【0244】
JSU:1リットルのメスフラスコを蒸留水にてその容量80%まで満たし、電磁撹拌棒をフラスコ内に置く。別個に、秤量紙又はビーカーを使用し、化学天秤を使用して次の量の乾燥成分を±0.01g以内で計量し、メスフラスコへ以下に列記するのと同じ順番で定量的に添加する。好適な撹拌プレート上で全ての固体が溶解するまで溶液を撹拌し、撹拌棒を除去し、蒸留水にて溶液を1リットル容量にまで希釈する。再度撹拌棒を挿入し、撹拌プレート上にて更に2〜3分間溶液を撹拌する。
【0245】
1リットルのジェイコ(Jayco)合成尿を調製するための塩の量:
塩化カリウム(KCl)2.00g
硫酸ナトリウム(NaSO)2.00g
リン酸二水素アンモニウム(NHPO)0.85g
リン酸二アンモニウム(NHHPO)0.15g
塩化カルシウム(CaCl)0.19g−[又は水和塩化カルシウム(CaCl・2HO)0.25g]
塩化マグネシウム(MgCl)0.23g−[又は水和塩化マグネシウム(MgCl・6HO)0.50g]
より素早く調製するためには、次の塩を添加する前に各塩を完全に溶解させる。ジェイコ(Jayco)合成尿は、2週間清浄なガラス容器内に保存してよい。溶液が濁ってきたら、使用してはならない。清浄なプラスチック容器中での貯蔵寿命は10日間である。
【0246】
0.118M塩化ナトリウム(NaCl)溶液:塩溶液432として0.118M塩化ナトリウムを使用する。秤量紙又はビーカーを使用して、6.90g(±0.01g)の塩化ナトリウムを計量し、定量的に1リットルメスフラスコ内へ移し、当該フラスコに蒸留水を規定量まで充填した。撹拌棒を加え、撹拌プレート上にて全ての固体が溶解するまで溶液を混合する。
【0247】
測定準備
固体参照シリンダーウェイト(図示せず)(直径40mm、高さ140mm)を使用して、キャリパゲージ(図示せず)(例えば、ミツトヨ(Mitotoyo)・ディジマチック・ハイト・ゲージ)を読み値ゼロに設定する。この作業は、好都合には、平坦かつ水平なベンチトップ446上で実施される。ピストン/シリンダー・アセンブリ428は、超吸収体無しで、キャリパゲージ(図示せず)の下方に配置され、測定値L1は、0.01mm単位にて記録される。
【0248】
一定の静水頭部リザーバ414を、塩溶液432で満たす。吸気チューブ410の底部434は、シリンダー520内の液体メニスカス(図示せず)の最上部(図示せず)を測定中5.00cmのマーク556に維持するように配置する。吸気チューブ410をシリンダー520上の5.00cmのマーク556にて正確に高さ位置決めをすることは、分析にとって重要である。
【0249】
受取容器424を天秤426上に置き、天秤426のデジタル出力をコンピュータデータ収集システム(図示せず)に接続する。16メッシュ剛性ステンレススチール支持体スクリーン(図示せず)を備えたリング・スタンド440は、受取容器424の上に配置する。16メッシュスクリーン(図示せず)は、測定中にピストン/シリンダー・アセンブリ428を支持するために十分に剛性でなければならない。支持スクリーン(図示せず)は、平坦かつ水平でなければならない。
【0250】
SFC手順
化学天秤を使用して、好適な秤量紙上に超吸収体0.9g(±0.05g)を計量する。化学天秤を使用して、好適な秤量紙上に超吸収体0.9g(±0.05g)を計量する。超吸収体の湿分含量は、エダナ(Edana)湿分含量試験方法430.1−99(「超吸収体材料−ポリアクリレート超吸収体粉末−湿分含量−加熱による重量喪失」(1999年2月))に従って測定する。ポリマー湿分含量が5%超である場合、ポリマー重量は湿分について補正しなければならない(即ち、添加したポリマーは、乾燥重量基準で0.9gでなければならない)。
【0251】
空のシリンダー520は、水平なベンチトップ446上に置き、超吸収体は定量的にシリンダー520内に移す。超吸収体粒子は、シリンダー520を緩やかに振盪、回転、及び/又はタッピングすることによって、シリンダー520の底部548に取り付けたスクリーン(図示せず)上に均一に分散させる。最も正確な結果を得るためには、シリンダー520の底部548に取り付けたスクリーン(図示せず)上に粒子を均一に分布させることが重要である。シリンダー520の底部548に取り付けたスクリーン(図示せず)上に超吸収体を均一に分布させた後、粒子はシリンダー内壁550へ付着してはならない。蓋516のへり554がピストンヘッド518に面するようにしつつ、ピストンシャフト514を、第一蓋開口部534を通して挿入する。ピストンヘッド518は、シリンダー520内2〜3cmの深さまで慎重に挿入する。次に、ピストンヘッド518を超吸収体から離して維持するように注意しながら、蓋516をシリンダー520の上部縁544上に置く。次に、蓋516及びピストンシャフト526を慎重に回転させ、第3、第4、第5、及び第6リニアインデックス・マークを整列させる。次に、ピストンヘッド518(ピストンシャフト514を介して)をゆっくりと下げて、乾燥超吸収体上に置く。ピストンシャフト514の上部528にウェイト512を配置させ、それがショルダー524上に載っており、これにより第1及び第2リニアインデックス・マークが位置合わせされる。蓋516を適切に取り付けることによって、バインディング(binding)を防止し、ヒドロゲル層718上のウェイトの均一な分布を確実にする。
【0252】
膨潤段階:ガラス濾板710が飽和するまで過剰量のJSU 712をガラス濾板710へ添加することによって、直径8cmのガラス濾板(厚み7mm;例えば、ケムグラス社(Chemglass Inc.)製、No.CG 201−51、粗多孔性)710を飽和させる。幅広平底ペトリ皿714内に飽和ガラス濾板710を置き、ガラス濾板710の上面716に到達するまでJSU 712を添加した。JSU高さは、ガラス濾板(fitted disc)710の高さを超えてはならない。
【0253】
シリンダー520の底部548に取り付けたスクリーン(図示せず)は、容易に引き伸ばされる。伸びを防止するために、蓋516のすぐ上にあるピストンシャフト514上に、人差し指でピストン/シリンダー・アセンブリ428のシリンダー520をつかみながら、横からの圧力を適用する。これにより、ピストンシャフト514を蓋516に対して定位置に「ロック」して、ピストン/シリンダー・アセンブリ428を、スクリーン(図示せず)上に作用する過度の力無しで持ち上げることができるようになる。
【0254】
ピストン/シリンダー・アセンブリ428全体をこのようにして持ち上げ、ペトリ皿714内のガラス濾板710上に置く。ペトリ皿714からのJSU 712は、ガラス濾板710を通過し、超吸収性ポリマー(図示せず)に吸収され、ヒドロゲル層718を形成する。ペトリ皿714内で利用可能なJSU 712は、全ての膨潤相にとって十分なものでなければならない。必要であれば、水和期間中により多くのJSU 712をペトリ皿714に加えて、JSU 712のレベルをガラス濾板710の上面716に維持してもよい。60分の期間後、上記のように、蓋516に対してピストンシャフト514をロックするように注意しながら、本手順中、ヒドロゲル層718がJSU 712を失ったり空気を取り込んだりしないように注意して、ガラス濾板710からピストン/シリンダー・アセンブリ428を取り外す。ピストン/シリンダー・アセンブリ428をキャリパゲージ(図示せず)下に置き、測定値L2を0.01mm単位で記録する。計測値が時間の経過とともに変化する場合、初期値のみを記録する。ヒドロゲル層718の厚みL0は、L2−L1から0.1mm単位で決定される。
【0255】
ピストン/シリンダー・アセンブリ428全体は、前述したような方法で(in this the fashion)持ち上げられ、リング・スタンド440に取り付けた支持スクリーン(図示せず)上に置かれる。この手順の間に、ヒドロゲル層718がJSU 712を失わないように、あるいは空気を取り込まないように注意すべきである。ペトリ皿714内で利用可能なJSU 712は、全ての膨潤相にとって十分なものでなければならない。必要であれば、水和期間中により多くのJSU 712をペトリ皿714に加えて、JSU 712のレベルを5.00cmのマーク556のレベルに維持してよい。60分後、上述したように、蓋516に対してピストンシャフト514をロックするように注意しながら、ピストン/シリンダー・アセンブリ428を取り外す。ピストン/シリンダー・アセンブリ428をキャリパゲージ(図示せず)の下に置き、キャリパー(図示せず)をL2として0.01mm単位で測定する。ヒドロゲル層718の厚みL0は、L2−L1から0.1mm単位で決定される。計測値が時間の経過とともに変化する場合、初期値のみを記録する。
【0256】
ピストンシャフト514を蓋516に対し所定位置にロックさせるように注意しながら、ピストン/シリンダー・アセンブリ428をリング支持スタンド440に取り付けた支持スクリーン(図示せず)へ移す。一定の静水頭部リザーバ414は、配送チューブ418を第二蓋開口部536に通して置くように配置させる。測定は、以下の順序で開始される。
【0257】
a)一定の静水頭部リザーバ410のストップコック420を開けて、塩溶液432をシリンダー520上の5.00cmマーク556まで到達させる。本塩溶液432のレベルは、ストップコック420の開放から10秒以内に得なければならない。
【0258】
b)塩溶液432の5.00cmが一旦得られたら、データ収集プログラムが開始される。
【0259】
天秤426に取り付けたコンピュータ(図示せず)を用いて、ヒドロゲル層718を通過する塩溶液432の量を10分間、20秒間隔で記録する。10分間終了時に、一定の静水頭部リザーバ410上のストップコック420を閉じる。ピストン/シリンダー・アセンブリ428を直ちに取り外し、キャリパゲージ(図示せず)下に置き、測定値L3を0.01mm単位で記録する。ヒドロゲル層718の最終厚さLfは、上述したように、L3−L1から0.1mm単位で決定する。ヒドロゲル層718の厚み変化(%)は、(Lf/L0)×100から決定される。一般に、ヒドロゲル層718の厚み変化は約±10%である。
【0260】
60秒から実験終了までのデータをSFC計算に使用する。60秒よりも前に収集されたデータは、計算に含めない。流量Fs(g/s)は、60秒〜600秒の時間(秒)の関数として塩溶液432の収集重量(グラム単位)のグラフに線形最小二乗法をフィッティングさせた勾配である。
【0261】
別個の測定では、透過性測定システム400を通る流量(Fa)は、ヒドロゲル層718が存在しない場合を除いて、上記のように測定する。ヒドロゲル層718が存在する際に、Faが透過性測定システム400を通る流量よりはるかに大きい場合(Fs)には、透過性測定システム400(ピストン/シリンダー・アセンブリ428を含む)の流動抵抗の修正は不要である。この制限では、Fg=Fsであり、ここでFgは、透過性測定システム400の流量に対するヒドロゲル層718の寄与分である。しかし、本必要条件が充たされない場合、次の補正を行なって、Fs及びFaの値からFgの値を計算する。
【0262】
Fg=(Fa×Fs)/(Fa−Fs)
ヒドロゲル層718の塩水流の誘導性(K)は、次式を使用して計算する。
【0263】
K=[Fg(t=0)×L0]/[ρ×A×ΔP]
式中、Fgは、流量結果の回帰分析及び透過性測定システム400の流動抵抗に起因する任意の補正から決定される流量(g/秒単位)であり、L0は、ヒドロゲル層718の初期厚さ(cm単位)であり、ρは、塩溶液432の密度(g/cm単位)である。A(上式より)は、ヒドロゲル層718の面積(cm単位)であり、ΔPは、流体静力学的圧力(ダイン/cm単位)であり、塩水流の誘導性Kは、cm秒/g単位である。3回の測定の平均値が用いられる。
【0264】
流量がほぼ一定であるヒドロゲル層718の場合、透過係数(κ)は、次式を使用して塩水流の誘導性から計算することができる。
【0265】
κ=Kη
式中、ηは塩溶液432の粘度(ポアズ単位)であり、透過係数κは、cm単位である。
【0266】
一般的に、流量は一定である必要はない。システムを通る時間依存性流量Fs(t)は、透過性測定システム400を通過する塩溶液432の増分重量(グラム単位)を増分時間(秒単位)で除することにより、g/秒単位で決定される。60秒〜10分の間の時間で収集されたデータのみを使用して、流量を計算する。60秒〜10分の間の流量結果を使用して、ヒドロゲル層718を通る初期流量である、Fs(t=0)の値を計算する。Fs(t=0)は、Fs(t)対時間の最小二乗法フィッティングの結果をt=0まで外挿することによって計算する。
【0267】
16時間抽出可能物
吸水性ポリマー粒子中の抽出可能な構成成分のレベルは、EDANA(ヨーロッパ使い捨て及び不織布協会(European Disposables and Nonwovens Association))推奨試験方法No.470.2−02「電位差滴定法による抽出可能なポリマー含有量の測定(Determination of extractable polymer content by potentiometric titration)」により、測定される。
【0268】
pH値
吸水性材料のpHは、EDANA(ヨーロッパ使い捨て及び不織布協会(European Disposables and Nonwovens Association))推奨試験方法No.400.2−02「pHの測定(Determination of pH)」により、決定される。
【0269】
自由膨潤速度(FSR:Free Swell Rate)
1.00g(=W1)の乾燥吸水性材料を25mLガラス製ビーカーへ計量し、ガラス製ビーカーの底部に均一に分布させる。次に、20mLの0.9重量%塩化ナトリウム溶液を第2のガラス製ビーカー内に注ぎ、本ビーカーの内容物を素早く第1ビーカーに加え、ストップウォッチをスタートさせる。塩溶液の最後の一滴が吸収され、液体表面の反射が消失したことを確認したら直ちに、ストップウオッチを停止させる。第2ビーカーから注いだ液体の量及び第1ビーカー内のポリマーに吸収された液体の量は、第2ビーカー(=W2)へ計量して戻すことによって正確に決定する。ストップウォッチで測定した吸収に要する時間をtとする。表面上で液体の最後の一滴が消失した時間をtとする。
【0270】
自由膨潤速度(FSR)は、以下の通り計算する。
【0271】
FSR[g/gs]=W2/(W1×t)
しかし、ヒドロゲル形成ポリマーの湿分含量が3重量%超である際には、重量W1はこの湿分含量について補正しなければならない。
【0272】
水性抽出物の表面張力
0.50gの吸水性材料を小さなガラスビーカーに量り入れ、40mLの0.9重量%塩溶液と混合する。ビーカーの内容物を500rpmにて3分間マグネットスターラにて撹拌し、次いで2分間静置する。最後に、上澄み水相の表面張力を、K10−STデジタル表面張力計又は白金プレート(クリュス(Kruess)から)を有する、同等の装置によって測定する。測定は、温度23℃で実施される。
【0273】
ヒドロゲルの湿分含量
吸水性材料の含水量は、EDANA(ヨーロッパ使い捨て及び不織布協会(European Disposables and Nonwovens Association))推奨試験方法No.430.2−02「湿分含量」によって測定される。
【0274】
臭気試験
膨潤吸水性材料の臭気を評価するため、2.0gの乾燥ポリマー粒子を50mLガラス製ビーカー内へ計量する。次に、20gの0.9重量%塩化ナトリウム溶液を23℃にて添加する。膨潤吸水性材料を入れたガラス製ビーカーをパラフィルムで被い、3分間静置させる。その後、フィルムを取り除き、臭気を評価する。各サンプルは、少なくとも3人の試験者で検査するが、別個のサンプルを各人用に準備する。
【0275】
CIE色数(Lab)
色測定は、CIELAB手順(ハンター・ラボ(Hunterlab)、第8巻、1996年、第7版、1〜4ページ)に従って実施した。CIELABシステムにおいては、色は三次元システムの座標L、a及びbによって記述される。Lは明度を示し、L=0は黒、L=100は白を意味する。a及びbの値は、それぞれ赤/緑及び黄/青の色軸上の色の位置を示し、+aは赤を表し、−aは緑を表し、+bは黄を表し、−bは青を表す。
【0276】
色測定は、ドイツ標準仕様DIN 5033−6の3領域法(three-range method)に従う。
【0277】
ハンター(Hunter)60値は、表面白色度の指標であり、L−3bで定義される。即ち、値が小さいほど暗くなり、色がより黄色になる。
【0278】
ハンター・ラボ(Hunterlab)LS 5100比色計を使用した。
【0279】
EDANA試験方法は、例えば、ヨーロッパ使い捨て及び不織布協会(European Disposables and Nonwovens Association)(ユージン通り、プラスキー157、B−1030、ブリュッセル、ベルギー)にて入手可能である。
【実施例】
【0280】
実施例1−ベースポリマーの調製
レーディゲ(Loedige)VT 5R−MK・すき先混練機5L容量に、脱イオン水206.5g、アクリル酸271.6g、37.3重量%アクリル酸ナトリウム溶液(100モル%中和済)2115.6g、及び更に3倍量のエトキシル化グリセロールトリアクリレート架橋剤3.5gを充填した。この最初の充填は、20分間、それを通して窒素をバブリングすることによって不活性化した。この後、過硫酸ナトリウム2.453gの希釈水溶液(水13.9gに溶解した)、アスコルビン酸0.053g(水10.46g中に溶解した)及び更に、30重量%過酸化水素0.146g(水1.31g中に溶解させた)に追加し、約20℃にて重合を開始させた。反応開始後、加熱ジャケットの温度を制御し、反応装置内の反応温度に正確に合わせた(断熱反応に模する)。最終的には、脆いゲルが得られ、次に、空気循環乾燥キャビネット内にて160℃で約3時間乾燥させた。
【0281】
乾燥ベースポリマーを粉砕し、ふるいにかけて200〜600μmに分級し、大きすぎる粒子及び小さ過ぎる粒子を除去した。
【0282】
ポリマーの性質(平均値)は、次の通りであった。
【表1】

CRC=35.6g/g
AUL 2.07kPa(0.3psi)=17.9g/g
16時間抽出可能物=12.7重量%
pH=5.9
【0283】
実施例2−ベースポリマーの調製
調製は実施例1と同様であったが、18個のエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート架橋剤である内部架橋剤5.25gを使用した点が異なる。
【0284】
乾燥ベースポリマーを粉砕し、ふるいにかけて150〜500μmに分級し、大きすぎる粒子及び小さ過ぎる粒子を除去した。
【0285】
ポリマーの性質(平均値)は、次の通りであった。
【表2】

CRC=34g/g
AUL 2.07kPa(0.3psi)=11.2g/g
16時間抽出可能物=12.1重量%
pH=5.9
【0286】
実施例3:(窒素含有水溶性ポリマーを用いる)
次の通り、コーティング懸濁液を調製した。
【表3】

【0287】
成分をビーカー内に充填し、約1分間ウルトラテュラックス(Ultraturrax)(IKA、型式TP18/10、シャフト:S25N−10G)にてホモジナイズした。
【0288】
実施例1に従って、容量5Lのレーディゲ(Loedige)プラウシェアミキサーに、室温で1200gのベースポリマーを充填した。200rpmの回転にて、約10分以内で、2−スタッフ(stuff)ノズルから、0.1MPa(1バール)の圧力の窒素を噴霧ガスに使用して、かつコーティング懸濁液の供給に蠕動ポンプを使用して、コーティング懸濁液をポリマー粒子上に噴霧した。
【0289】
コーティング完了直後に、コーティングされたポリマー粒子を第2の、容量5Lの予熱済みレーディゲ(Loedige)プラウシェアミキサー(サーモスタット温度245℃)に移し、190℃(生成物温度)まで60分間窒素不活性化しつつ加熱した。生成物温度が上昇し、目標温度に近づくと共に、サーモスタット温度を215℃に下げ、運転終了まで変化させずに維持した。予熱済みミキサーに充填後20分経過してから、サンプルを10分毎に取り、ポリマー性能を滞留時間に対して特性評価した。場合により形成される凝塊物を排除するために、熱処理後、600μmスクリーンにて表面架橋ポリマー粒子をふるい分けした。
【0290】
次表1にて結果を列記する。
【表4】

【0291】
実施例4〜5:
実施例1のベースポリマーは、実施例3と全く同様にして表面架橋させたが、ポリビニルアミン(ルレデュール(Luredur)PR 8097)の量は変更し、更に疎水性ポリマー分散液(アスタチンフィニッシュ(AstacinFinish)PUMN TF水性アニオン性、脂肪族ポリウレタン分散液(BASF社(ドイツ)、ポリエーテルオール(Polyetherols)を主成分とする、固形物含量率約38%、pH約8)を実施例5にて適用した。使用に供した量及びタイプ、並びに対応する表面架橋ポリマーの性能は、表2に列記する。
【表5】

Bop:コーティングされるベースポリマーの重量に基づく使用量
【0292】
実施例6及び8〜11:(疎水性ポリマーを用いる)
【表6】

【0293】
成分をビーカー内に充填し、約1分間ウルトラテュラックス(Ultraturrax)(IKA、型式TP18/10、シャフト:S25N−10G)にてホモジナイズした。各実施例で使用する対応量A〜E及びX、Yは、表3に列記する。
【表7】

【0294】
疎水性ポリマー分散液は、水でのみ希釈され、標準的研究室用撹拌機でホモジナイズした。各実施例にて使用する分散液の対応量及びタイプは、表3に列記する。
【0295】
実施例2に従って、容量5Lのレーディゲ(Loedige)プラウシェアミキサーに、室温で1200gのベースポリマーを充填した。
【0296】
2−スタッフノズルを並列に使用した点を除いて、コーティング懸濁液の適用は、実施例3と同様であった。ノズル1を介して懸濁液Aを含有する架橋剤を、ノズル2を介して疎水性ポリマー分散液Bを適用した。両分散液を並列に約10分間適用した。200rpmの回転にて、約10分以内で、2−スタッフ(two 2-stuff)ノズルから、0.1MPa(1バール)の圧力の窒素を噴霧ガスに使用して、かつ2種類の分散液の供給に蠕動ポンプを使用して、分散液をポリマー粒子上に噴霧した。コーティング完了直後に、コーティングされたポリマー粒子を第2の、容量5Lの予熱済みレーディゲ(Loedige)プラウシェアミキサー(サーモスタット温度245℃)に移し、185℃(生成物温度)まで60分間窒素不活性化しつつ加熱した。生成物温度が上昇し、目標温度に近づくと共に、サーモスタット温度を210℃に下げ、運転終了まで変化させずに維持した。予熱済みミキサーに充填後20分経過してから、サンプルを10分毎に取り出し、滞留時間に対するポリマー性能を特性評価した。場合により形成される凝塊物を排除するために、熱処理後、500μmスクリーンにて表面架橋ポリマー粒子をふるい分けした。結果を表3に列記する。
【0297】
実施例7:
生成物が185℃まで加熱された点を除いて、実施例7の手順は、実施例3と全く同様であった。使用したコーティング剤の量とタイプを表3に列記する。
【0298】
次の通り、コーティング懸濁液を調製した。
【表8】

【0299】
成分をビーカー内に充填し、約1分間ウルトラテュラックス(Ultraturrax)(IKA、型式TP18/10、シャフト:S25N−10G)にてホモジナイズした。
【表9】

【表10】

【0300】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。それよりむしろ、特に指定されない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示した寸法は、「約40mm」を意味することを意図したものである。
【0301】
「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に参照により組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものと解釈されるべきではない。この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれた文献におけるその用語のいずれかの意味又は定義と矛盾する範囲については、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が優先するものとする。
【0302】
本発明の特定の実施形態を例示し記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品に使用する吸収性構造体であって、前記吸収性構造体が吸水性材料を含み、前記吸水性材料が、非表面架橋性吸水性ポリマー粒子を
a)少なくとも1種の後架橋剤と、
b)前記非表面架橋性吸水性ポリマーを基準にして、0.1重量%〜1.0重量%の、少なくとも1種の水不水溶性金属ホスフェートと、
追加成分であって、
c)窒素がプロトン化され得る、少なくとも1種の窒素含有水溶性ポリマーと、
d)少なくとも1種の疎水性ポリマーと
から選択される少なくとも1種の追加成分と、に接触させる工程、並びに、こうして得られた粒子を120℃〜300℃の範囲の温度で熱処理する工程、を含むプロセスによって得られる、吸収性構造体。
【請求項2】
前記吸水性ポリマー粒子が、
i)少なくとも1種のエチレン系不飽和酸官能性モノマーと、
ii)少なくとも1種の架橋剤と、
iii)適切であれば、i)と共重合可能な1種以上のエチレン系及び/又はアリル系不飽和モノマー類と、
iv)適切であれば、モノマーi)、ii)及び必要ならばiii)と完全に又は部分的にグラフトさせた1種以上の水溶性ポリマーと、を重合した形態で含む、請求項1に記載の吸収性構造体。
【請求項3】
前記後架橋剤が、アミドアセタール類、カルバミン酸エステル類、環状炭酸エステル類、ビスオキサゾリン類及び/又は多価アルコール類、ヒドロキシル基当たり100g/モル未満の分子量を有する多価アルコール類、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の吸収性構造体。
【請求項4】
前記水不溶性金属ホスフェートが、ピロホスフェート類、リン酸水素塩類及びカルシウムの、マグネシウムの、ストロンチウムの、バリウムの、亜鉛の、鉄の、アルミニウムの、チタンの、ジルコニウムの、ハフニウムの、スズの、セリウムの、スカンジウムの、イットリウムの又はランタンのホスフェート類、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜3に記載の吸収性構造体。
【請求項5】
前記非表面架橋性吸水性ポリマーが、
a)少なくとも1種の後架橋剤と、
b)前記非表面架橋性吸水性ポリマーを基準にして、0.1重量%〜1.0重量%の、少なくとも1種の水不溶性金属ホスフェートと、
c)前記非表面架橋性吸水性ポリマーを基準にして、10〜1000ppmの、窒素がプロトン化されていることができる少なくとも1種の窒素含有水溶性ポリマーと、に接触させられる、請求項1〜4に記載の吸収性構造体。
【請求項6】
前記非表面架橋性吸水性ポリマーが、
a)少なくとも1種の後架橋剤と、
b)前記非表面架橋性吸水性ポリマーを基準にして、0.1重量%〜1.0重量%の、少なくとも1種の水不溶性金属ホスフェートと、
c)前記非表面架橋性吸水性ポリマーを基準にして、50〜1000ppmの、窒素がプロトン化されていることができる少なくとも1種の窒素含有水溶性ポリマーと、
d)前記非表面架橋性吸水性ポリマーを基準にして、0.2重量%以下の、少なくとも1種の疎水性ポリマーと、に接触させられる、請求項1〜4に記載の吸収性構造体。
【請求項7】
前記非表面架橋性吸水性ポリマーが、
a)少なくとも1種の後架橋剤と、
b)前記非表面架橋性吸水性ポリマーを基準にして、0.1重量%〜1.0重量%の、少なくとも1種の水不溶性金属ホスフェートと、
d)前記非表面架橋性吸水性ポリマーを基準にして、0.001〜0.2重量%の、少なくとも1種の疎水性ポリマーと、に接触させられる、請求項1〜4に記載の吸収性構造体。
【請求項8】
前記非表面架橋性吸水性ポリマーが、
a)少なくとも1種の後架橋剤と、
b)前記非表面架橋性吸水性ポリマーを基準にして、0.1重量%〜1.0重量%の、少なくとも1種の水不溶性金属ホスフェートと、
c)前記非表面架橋性吸水性ポリマーを基準にして、500ppm以下の、窒素がプロトン化されていることができる少なくとも1種の窒素含有水溶性ポリマーと、
d)前記非表面架橋性吸水性ポリマーを基準にして、0.01〜0.2重量%の、少なくとも1種の疎水性ポリマーと、に接触させられる、請求項1〜4に記載の吸収性構造体。
【請求項9】
前記非表面架橋性吸水性ポリマーが、
a)少なくとも1種の後架橋剤と、
b)0.1〜1.0重量%の少なくとも1種の水不溶性金属ホスフェートと、
c)10〜1000ppmの、窒素がプロトン化されていることができる少なくとも1種の窒素含有水溶性ポリマーと、
d)0.001〜0.2重量%の少なくとも1種の疎水性ポリマーと、
に、各々が前記非表面架橋性吸水性ポリマーを基準にしている濃度で接触させられる、請求項1〜4に記載の吸収性構造体。
【請求項10】
吸収性物品に使用する吸収性構造体の製造方法であって、前記吸収性構造体が請求項1〜9に記載の吸水性材料を含み、前記プロセスが非表面架橋性吸水性ポリマー粒子を
a)後架橋剤と、
b)前記非表面架橋性吸水性ポリマーを基準にして、0.1重量%〜1.0重量%の、少なくとも1種の水不溶性金属ホスフェートと、
追加成分であって、
c)窒素がプロトン化されていることができる少なくとも1種の窒素含有水溶性ポリマーと、
d)少なくとも1種の疎水性ポリマーと、から選択される少なくとも1種の追加成分と、に接触させる工程、
並びに、こうして得られた粒子を120℃〜300℃の範囲の温度で熱処理する工程、を含む、吸収性構造体の製造方法。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2010−534101(P2010−534101A)
【公表日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517534(P2010−517534)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際出願番号】PCT/IB2008/052979
【国際公開番号】WO2009/016558
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】