説明

吸湿・抗菌シート材

【課題】吸湿、調湿、抗菌、抗カビ、消臭、結露防止機能を発揮する吸湿・抗菌シート材を提供する。
【解決手段】周縁に壁部1aが周設され、その壁部で取り囲まれた凹部空間1Aが形成されている基材シート1の凹部空間1Aの中に、ゴム弾性を有する樹脂材料をマトリックスとし、少なくとも吸湿性を有する多孔質無機粉末と、少なくとも抗菌・抗カビ性を有する機能性無機粉末とがマトリックスの中に均一に分散して成る抗菌層2が配置され、抗菌層2の上に人工ゼオライト粉末から成る吸湿層3が配置され、更に吸湿層3と基材シート1の壁部上面1bを被覆して通水性と通気性を有する表面シート4が配置された構造である吸湿・抗菌シート材A。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規構造の吸湿・抗菌シート材に関し、更に詳しくは、吸湿、調湿、結露防止機能を有し、また抗菌・抗カビ、消臭、触媒機能も併有していて、例えば室内の結露防止具、寝具の中敷、車シートや背もたれなどに用いて好適な吸湿・抗菌シート材に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の運転操作は、運転手が座席に着座した状態で行われるが、そのとき運転手の背中やでん部は座席シートに密着した状態になる。とくに、タクシーや長距離輸送トラックの運転手の場合、長時間の運転操作を行うので、それだけ長時間に亘って座席シートに背中やでん部は密着した状態になる。そして仮に運転手が発汗した場合、座席シートに密着していない身体部分からの汗は蒸発していくが、通気が遮断されている密着している身体部分からの汗は蒸発することはなく液滴となって流れ落ちることがあり、運転手に不快感を与える。
【0003】
最近の自動車のほとんどは冷房装置を搭載しているが、その場合であっても、座席シートと密着している身体部分に冷気は通流しないので、依然としてその身体部分からの汗は蒸発しにくい。そのため、運転手は、時々、体をずらしたり、発汗した身体部分を座席シートから離したりして、そこに冷気を通流させて汗を蒸発させている。
このようなことから、例えば籐製のメッシュ材を座席との間に介在させて、背中やでん部への通気性を確保し、汗を蒸発させてそれが液滴化することを防いでいる。
【0004】
また、社会の高齢化が進むにつれて、要介護の老人の数が増加している。これら老人の身体・運動機能は衰弱しているので、彼・彼女らの多くは外出することもなく、長時間、室内で横臥しているケースがほとんどである。そして彼・彼女らが横臥中に発汗して、ベッドや寝具などが湿気を帯びてしまうことがある。また無意識のうちに、排尿して寝具などを汚染することがある。
【0005】
そのような場合、彼・彼女らは、それらベッドや寝具などを新品に取り替える体力もないので、介護人がくるまで不快な環境にそのまま横臥し続けなければならない。
このような問題に対処するため、吸水性を有する繊維素材を用いた各種のシーツや枕カバーやオムツなどが商品化されている。これらの多くは、確かに汗や尿を吸収することはできるが、しかし汗や尿が発する特異な臭気を消すことができないという問題がある。
【0006】
また、最近の住居は、例えばマンションルームに代表されるように、密閉性が高い。そのため、室内は一般に温暖で、通気性が悪く、湿度も高い状態になっている。とくに高温多湿の夏期においては、室内が不快な環境になり、クーラを除湿モードで運転することが必須となっている。
このような環境下にあっては、通気の悪い箇所に細菌やばい菌が繁殖しやすく、またゴキブリなどの害虫が発生しやすい。そして、異臭が発生し、例えば壁面のしみや変色も起こり、更にはアトピー性疾患を誘発することがあり、居住空間としては劣悪になる。
【0007】
このような問題に対しては、例えばティッシュペーパーのような2枚の家庭用薄葉紙の間に特定の人工ゼオライト粉末の層を挟み込み、これら薄葉紙を例えばアルカリ澱粉で接着した消臭・吸湿シート材が提案されている(特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2002−625827号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記した先行技術の消臭・吸湿シート材は、外被が破れやすい薄葉紙で構成されているので、動きの少ない介護老人のシーツや枕カバーなどには使用できるであろうが、例えば前記した自動車の座席シートと運転手の身体の間に介在させて使用した場合には、自動車走行時における前後左右の複雑な揺れなどで運転手の身体が複雑に動いたときに、薄葉紙が破れてしまい、人工ゼオライト粉末が散乱する虞がある。
【0009】
本発明は、先行技術における上記したような問題を解決し、先行技術と同様に例えば吸湿、調湿、結露防止の機能と、抗菌、抗カビ、消臭、触媒機能を併有すると同時に、全体として柔軟で可撓性富み、強度的にも適正であるため、例えば自動車の座席シートに設置して有効であり、また結露防止材としても有用な吸湿・抗菌シート材の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した目的を達成するために、本発明においては、
周縁に壁部が周設され、少なくとも一方の表面には前記壁部で取り囲まれた凹部空間が形成されている基材シートの前記凹部空間の中に、ゴム弾性を有する樹脂材料をマトリックスとし、少なくとも吸湿性を有する多孔質無機粉末と、少なくとも抗菌・抗カビ性を有する機能性無機粉末とが前記マトリックスの中に均一に分散して成る抗菌層が配置され、前記抗菌層の上に人工ゼオライト粉末から成る吸湿層が配置され、更に前記吸湿層と前記基材シートの壁部上面を被覆して通水性と通気性を有する表面シートが配置されていることを特徴とする吸湿・抗菌シート材が提供される。
【0011】
その場合、前記抗菌層が、前記樹脂材料と、前記多孔質無機粉末と、前記機能性無機粉末と、前記樹脂材料を溶解する溶剤と、前記2種類の無機粉末の分散剤とから成る液状塗料を、前記凹部空間内に注型または噴霧して成膜した塗膜であり、前記基材シートの材料が軟質なゴム材料であり、前記表面シートが不織布または織布であり、前記マトリックスが、天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性エラストマの群から選ばれる少なくとも1種であり、前記多孔質無機粉末が活性炭粉末または/および人工ゼオライト粉末であり、前記機能性無機粉末が、Ag粉末、Ag溶液に浸漬した人工ゼライト粉末の焼成粉末、酸化チタン粉末の群から選ばれる少なくとも1種であることを好適とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の吸湿・抗菌シート材は、外装が軟質なゴム材であることを好適とする基材シートと不織布または織布であることを好適とする表面シートで構成されているので、多少の力が加わっても破損することがない。そして、この外装材の中に収容されている吸湿層は吸湿、調湿、結露防止の機能を発揮し、また抗菌層は抗菌、抗カビ、消臭の機能を発揮するので、基材シートに軟質なゴム材を用いれば例えば運転手の汗を吸収するための運転席の背もたれとして有用であり、またマンションルームの結露防止に用いて好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明のシート材の1例Aを示す断面図であり、図2はこのシート材の分解斜視図である。
図1と図2において、本発明のシート材Aは、周縁にある高さの壁部1aが周設されて一方の表面に凹部空間1Aが形成されている基材シート1の前記凹部空間1Aの中に、後述する抗菌層2と人工ゼオライト粉末から成る吸湿層3がこの順序で配置され、吸湿層3と基材シート1の壁部上面1bの上に通水性と通気性を備えた表面シート4が配置され、表面シート4の周縁と壁部上面1bを接着することにより、抗菌層2と吸湿層3が基材シート1の凹部空間1Aの中に収容・固定された構造になっている。
【0014】
基材シート1の材料は後述する抗菌層2の形成方法を考えると、液洩れを起こさない材用であることが好ましい。そして、例えばこのシート材Aを、自動車座席の背もたれや寝具の中敷のような用途に使用する場合には、使用者の不規則な体重移動を受けてもそれを吸収できるように、軟質のゴム材であることが好ましい。また、このシート材Aを、例えば室内に吊設して結露防止材として使用する場合には、基材シート1は例えば段ボール紙などであってもよい。
【0015】
壁部1aの高さ、すなわち凹部空間1Aの深さは格別限定されるわけではないが、この中に配置される抗菌層2と吸湿層3の厚みに対応して適宜に決められる。
しかしこのシート材Aを、例えば寝具の中敷に使用する場合、それがあまり厚いと寝心地の点で不適当であるので、厚くても5mm程度に設定することが好ましい。
図の基材シートの場合、凹部空間1Aは一方の表面にしか形成されていないが、この凹部空間1Aは両面に形成されていてもよい。
【0016】
次に、抗菌層2は、ゴム弾性を有する樹脂材料の中に、少なくとも吸湿性を有する多孔質無機粉末と少なくとも抗菌・抗カビ性を有する機能性無機粉末が均一に分散した材料で構成されている。
その場合、樹脂材料としては、天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性エラストマの1種または2種以上であることが好ましい。これらはいずれも、柔軟でゴム弾性に富んでいるため、使用者の不規則な体重移動を吸収し、また環境湿度が変化した場合でも塑性変形して、多孔質無機粉末と機能性無機粉末との接触界面の熱応力を吸収し、もってシート材Aにおける亀裂発生を有効に抑制するからである。
【0017】
多孔質無機粉末としては、活性炭粉末または/および人工ゼオライト粉末であることが好ましい。これらはいずれも吸湿性が優れ、人工ゼオライト粉末の場合は調湿機能と消臭機能を発揮し、活性炭粉末の場合は更に悪臭源を吸着して効果的に消臭機能を発揮する。
機能性無機粉末としては、Ag粉末、Ag溶液に浸漬した人工ゼオライト粉末の焼成粉末、酸化チタン粉末の1種または2種以上であることが好ましい。
【0018】
Ag粉末は環境中の水分との共存下でイオン化し、そのAgイオンによって当該Ag粉末と接触する菌類に対して抗菌・殺菌機能を発揮する。
上記した焼成粉末の場合は、人工ゼオライトの細孔内に安定した状態でAgイオンを保持しているので、製造したシート材Aの抗菌・抗カビ機能を長期に亘って維持することができる。この焼成粉末は、例えば所定濃度の硝酸銀溶液に人工ゼオライト粉末を浸漬してAgイオンを細孔内に吸着させ、ついでその人工ゼオライト粉末を大気中またはN雰囲気中で焼成して製造することができる。
【0019】
酸化チタン粉末は、その表面における光触媒作用により、悪臭源を分解して無臭化し、同時に抗菌機能を発揮する。
この抗菌層2を凹部空間1A内に配置する際には、一旦、後述する液状塗料を調製し、この塗料の所定量を凹部空間1A内に注型または噴霧してその塗料を塗膜に転化するか、または塗料である大きさの塗膜を作製し、それを所定の大きさに切断加工してその加工品を凹部空間1A内に配置すればよい。
【0020】
塗料の調製にあっては、まず、多孔質無機粉末と機能性無機粉末を均一に混合して混合粉末を調製する。各粉末はその平均粒径が0.1〜2μmであるものが好ましく、また、多孔質無機粉末60〜80質量%、機能性無機粉末20〜40質量%と、前者の割合を多くすることが好ましい。
前記の多孔質無機粉末の方を多くすることにより、製造された抗菌層2においては、層の表面から内部にかけていわば多孔質の道が形成されて、層内部に分散する機能性無機粉末もこの多孔質無機粉末を媒介にして外部環境と接触しやすくなり、機能性無機粉末が有効利用できる。
【0021】
一方、用いる樹脂材料を所定量の溶剤で溶解して樹脂原液を調製する。
また、前記した混合粉末と、残りの溶剤と、例えば界面活性剤のような分散剤とを混合して、溶剤中に混合粉末が均一分散している分散液を調製する。
そして最後に、前記した樹脂原液と分散液を混合して、用いる樹脂材料が溶剤に溶解し、そこに多孔質無機材粉末と機能性無機粉末が均一に分散している樹脂溶液から成る塗料が調製される。
【0022】
この塗料の調製に際しては、用いる樹脂材料100質量部に対し、多孔質無機粉末と機能性無機粉末から成る混合粉末が80〜120質量部、溶剤が30〜50質量部、分散剤が20〜30質量部となるように、各成分の配合量を調整することが好ましい。
このようにして調製された塗料を、ついで、基材シート1の凹部空間1Aの中に流し込み、乾燥させることにより塗膜化して凹部空間1A内に抗菌層2を成形・配置する。
【0023】
なお、塗料の流し込みに代えて、塗料を凹部空間1A内にスプレーして塗膜を成膜してもよい。
ついで、この塗膜(抗菌層)の上に人工ゼライト粉末を均一に散布して所望する厚みの層を形成する。
人工ゼオライト粉末としては、細孔径5〜10Å、比表面積100〜150m2/gのものを用いることが好ましい。この人工ゼオライト粉末は、通常、石炭灰から製造され、その形状は概ね球状である。そして、吸着機能と陽イオン交換機能と触媒機能を発揮する。
【0024】
このような人工ゼオライト粉末を均一散布することにより、抗菌層2の上には、通気性と通水性を備えた多孔質の吸湿層3が形成される。
このとき、抗菌層2と吸湿層3の合計の厚みは、凹部空間1Aの深さと略同じとなるように各層の厚みが調整される。また各層の厚みにおいて、吸湿層3の厚みの方を抗菌層2の厚みよりも厚くすることが好ましい。例えば、シート材Aを結露防止材として使用することを想定した場合、その結露防止材では、吸湿機能や調湿機能の点で、吸湿層3の方が抗菌層2よりも大きな効果を発揮するからである。
【0025】
シート材Aに抗菌・効カビ機能を有効に発揮させることをも考慮すると、吸湿層3を抗菌層2の1.5〜2倍程度の厚みにすることが好ましい。
ついで、吸湿層3の上に表面シート4が配置される。シート材Aを実使用したときに、吸湿層の人工ゼオライト粉末が脱落することを防止するためである。
具体的には、表面シート4で吸湿層3を覆い、表面シート4の周縁部を基材シート1の壁部上面1bに接着して、抗菌層2と吸湿層3を凹部空間1Aの中に収容・固定する。
【0026】
表面シート4としては、例えば各種の不織布や織布など、通気性と通水性を備えたシート材が好適に用いられる。
【実施例1】
【0027】
(1)抗菌層用塗料の調製
多孔質無機粉末として、活性炭粉末(平均粒径2μm)と、人工ゼオライト粉末(平均粒径1.2μm)を用意した。
機能性無機粉末としてAg粒子(平均粒径1μm)と、ルチル型酸化チタン粉末(平均粒径1.5μm)を用意した。
【0028】
これら4種類の粉末を、回転羽根付き攪拌機の中に、活性炭粉末45質量%、人工ゼオライト粉末25質量%、Ag粉末5質量%、酸化チタン粉末25質量%の割合で投入し、2時間攪拌して混合粉末を調製した。
一方、樹脂材料として液状合成ゴムを選定し、ゴム質量1に対して0.6倍質量のシンナー(溶剤)で合成ゴムを完全に溶解して樹脂原液を調製した。
【0029】
また、混合粉末100質量部に対し、シンナー60質量部と分散剤(アセチレンジオール界面活性剤)30質量部を混合し、回転羽根付き攪拌機を用いて、2時間攪拌・混合して、混合粉末の分散液を調製した。
ついで、樹脂原液と分散液を合体し、約1時間緩慢に攪拌して混合した。液状の黒色塗料が得られた。混合粉末の混合割合は樹脂溶液100質量部に対し、100質量部であった。
【0030】
(2)結露防止材の製造
縦500mm、横500mm、厚み10mmの段ボール紙の4周の幅5mmを残し、中央部を圧縮して凹部空間の深さが8mmである基材シートとした。この基材シートの中央の凹部空間に上記塗料を流し込んだのち温度60度で1.5時間乾燥して厚み3mmの抗菌層を形成した。
ついで、この抗菌層の上に、市販の人工ゼオライト粉末を均一に散布して厚み5mmの吸湿層を形成した。
最後に、この吸湿層の上に縦500mm、横500mmのポリプロピレン製不織布を載せ、その縁部を基材シートの4周とポリビニルアルコール系の接着剤を用いて接着してシート材を製造した。
【0031】
(3)性能評価
このシート材を温度30℃、相対湿度92%の恒温槽の中に24時間放置したのち取り出して重量を測定したところ、重量増が認められた。
ついで、恒温槽の作動条件を温度30℃、相対湿度35%に変化させ、ここに重量増が認められたシート材を入れて24時間放置したのち取り出して重量を測定したところ重量減が認められた。
このように、このシート材は、相対湿度の高低に対応して吸湿、脱着の調湿機能を発揮することが確認された。
【0032】
また、このシート材を浴室の壁に吊設した状態で浴室を使用した。1週間後にシート材を取り外し、その表面を培養処理することなく、走査電顕で観察した。5000倍の倍率の範囲内では菌体は確察されなかった。また1ヶ月後にシート材を取り外し、その表面を走査電顕で観察したところ、カビの発生は認められなかった。
このように、このシート材は、抗菌・効カビ機能も発揮することが確認された。
つぎにこれまでは夏期になると結露が発生していたタンス裏の壁面にこのシート材を吊設して、6〜9月にかけて、毎日、この壁面における結露の発生状態を目視観察した。結露は発生しなかった。
【実施例2】
【0033】
平面形状が、乗用車の運転席シートと略同じ形状で、かつ、用いた材料が液状の合成ゴムであり、全体として可撓性に富む基材シートを製造した。
この基材シートの凹部空間に、実施例1と同様の材料を用いて、順次、抗菌層、吸湿層、表面シートを配置して、運転席用の背もたれを製造した。
この背もたれを自動車の運転席に装着し、その上に10人の運転手にそれぞれ座ってもらい、約1時間、そのままの姿勢で運転操作をしてもらった。なお、車内温度は30℃、相対湿度は80%に保持した。
【0034】
比較のために、この背もたれを装着しない場合についても、同様の試験を行った。
運転操作の終了後、各運転手にそれぞれの場合の感触をたずねた。10人中8人が背もたれを装着した場合の方が不快感を受けないという回答を得た。事実、彼らは背中やでん部に汗はかいていなかった。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の吸湿・抗菌シート材は、吸湿、調湿、抗菌、抗カビ、消臭、結露防止などの諸機能を発揮するので、例えば室内の結露防止材として有用である。また、基材シートの材料として軟質でゴム弾性を有する材料を用いれば、シート材は全体として可撓性を示すので、例えば自動車運転席の背もたれ、寝具の中敷などに用いて発汗に伴う不快感を解消することができる。また、室内に吊設して結露防止材とし使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の吸湿・抗菌シート材の1例Aを示す断面図である。
【図2】吸湿・抗菌シート材Aの分解斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
1 基材シート
1A 凹部空間
1a 壁部
1b 壁部上面
2 抗菌層
3 吸湿層
4 表面シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周縁に壁部が周設され、少なくとも一方の表面には前記壁部で取り囲まれた凹部空間が形成されている基材シートの前記凹部空間の中に、ゴム弾性を有する樹脂材料をマトリックスとし、少なくとも吸湿性を有する多孔質無機粉末と、少なくとも抗菌・抗カビ性を有する機能性無機粉末とが前記マトリックスの中に均一に分散して成る抗菌層が配置され、前記抗菌層の上に人工ゼオライト粉末から成る吸湿層が配置され、更に前記吸湿層と前記基材シートの壁部上面を被覆して通水性と通気性を有する表面シートが配置されていることを特徴とする吸湿・抗菌シート材。
【請求項2】
前記抗菌層が、前記樹脂材料と、前記多孔質無機粉末と、前記機能性無機粉末と、前記樹脂材料を溶解する溶剤と、前記2種類の無機粉末の分散剤とから成る液状塗料を、前記凹部空間内に注型または噴霧して成膜した塗膜である請求項1の吸湿・抗菌シート材。
【請求項3】
前記基材シートの材料が軟質なゴム材料である請求項1または2の吸湿・抗菌シート材。
【請求項4】
前記表面シートが不織布または織布である請求項1〜3のいずれかの吸湿・抗菌シート材。
【請求項5】
前記マトリックスが、天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性エラストマの群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかの吸湿・抗菌シート材。
【請求項6】
前記多孔質無機粉末が活性炭粉末または/および人工ゼオライト粉末である請求項1〜5のいずれかの吸湿・抗菌シート材。
【請求項7】
前記機能性無機粉末が、Ag粉末、Ag溶液に浸漬した人工ゼライト粉末の焼成粉末、酸化チタン粉末の群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜6のいずれかの吸湿・抗菌シート材。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−117906(P2007−117906A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−314518(P2005−314518)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【出願人】(505378574)
【Fターム(参考)】