説明

吸湿性顔料およびそれを含有する化粧料

【課題】コラーゲンを用いることなく、みずみずしい素肌感、使用感を有し、吸湿性に優れる化粧料を供することのできる吸湿性顔料およびそれを含有する化粧料を提供する。
【解決手段】地上に生息する植物由来の多糖類で顔料の表面に被覆することにより、吸湿性が付与された吸湿性顔料を得る。この吸湿性顔料を化粧料に配合して植物性多糖類の吸湿性を発揮させることにより、みずみずしい素肌感、使用感を有し、吸湿性に優れる化粧料を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸湿性顔料に関し、より具体的には例えばファンデーション、アイシャドー、口紅等のメークアップ化粧料または乳液、クリーム等の基礎化粧料に用いられて好適な吸湿性顔料およびそれを含有する化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ファンデーション、アイシャドー、口紅等のメークアップ化粧料または乳液、クリーム等の基礎化粧料の吸湿性を向上させるための手段として、コラーゲンを直接に化粧料に配合したり、コラーゲンを顔料表面に処理して化粧料に配合したりする技術が一般的に知られている。
【0003】
なお、関連先行技術として、本出願人は、大豆から抽出分離された大豆タンパク質を用いて顔料を表面処理するという技術を既に提案している(特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開平9−302260号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、コラーゲンを直接に化粧料に配合したり、コラーゲンを顔料表面に処理して化粧料に配合したりする従来技術では、吸湿性を向上させる上で十分な効果が得られておらず、みずみずしい素肌感や使用感に乏しく肌荒れの原因にもなるという問題点がある。さらに、コラーゲンは、動物性タンパク質に由来しているものであり、欧米並びに日本においては、敬遠されがちである等の問題点もある。
【0006】
本発明は、このような問題点を解消するためになされたもので、コラーゲンを用いることなく、みずみずしい素肌感、使用感を有し、吸湿性に優れる化粧料を供することのできる吸湿性顔料およびそれを含有する化粧料を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明による吸湿性顔料は、
陸上に生息する植物由来の植物性多糖類で顔料の表面を被覆してなることを特徴とするものである(第1発明)。
【0008】
第1発明において、前記顔料の表面に対する前記植物性多糖類の被覆は、金属イオンの存在下で行われても良い(第2発明)。
【0009】
また、前記顔料の表面に対する前記植物性多糖類の被覆は、金属イオンおよびN−ラウロイル−L−リジンの存在下で同時に行われても良い(第3発明)。
【0010】
次に、本発明による化粧料は、
第1発明〜第3発明のいずれかに係る吸湿性顔料を配合してなることを特徴とするものである(第4発明)。
【発明の効果】
【0011】
本発明の吸湿性顔料によれば、顔料の表面に被覆されている陸上に生息するシダ、コケ、種子植物等の植物由来の植物性多糖類によって吸湿性が発揮されるので、化粧料に配合された際にはその化粧料の吸湿性を向上させることができ、その化粧料に対してみずみずしい素肌感、使用感を付与することができる。したがって、かかる吸湿性顔料が配合された化粧料は、吸湿性が向上され、しっとりとした使用感を有するものとなる。なお、植物性多糖類は、皮膚に対して親和性が良く、化粧料に配合されて好適なものである。
【0012】
なお、本発明における表面被覆処理方法としては、1)植物性多糖類水溶液に顔料を混合分散させ、その後、水分を除去するという方法や、2)植物性多糖類水溶液に顔料を混合分散させ、この分散液中に金属塩水溶液を添加して、植物性多糖類と金属塩とを反応させてゲル状し、その後、水分を除去するという方法や、3)植物性多糖類水溶液にN−ラウロイル−L−リジンおよび顔料が混合分散された分散液中に、希塩酸に金属を溶解させてなる金属イオン溶液を滴下することにより、植物性多糖類金属塩と、N−ラウロイル−L−リジンとを同時に顔料の表面に被覆する方法などが挙げられる。ここで、混合分散方法は、溶液の濃度や粘度などに応じて適当な方法を選択することができる。例を挙げると、ディスパー、ヘンシェルミキサー、レディゲミキサー、ニーダー、V型混合機、ロールミル、ビーズミル、2軸混練機等の混合機による方法や、水溶液と顔料を加熱空気中に噴霧して水分を一気に除去するスプレードライ方式による方法などを選択することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明による吸湿性顔料およびそれを含有する化粧料の具体的な実施の形態について説明する。
【0014】
本発明において、植物性多糖類を顔料の表面に被覆処理する方法としては、まず植物性多糖類、例えば柑橘類より抽出されるペクチンを精製水に溶解させ、この水溶液中に顔料を混合撹拌により分散させた後に、乾燥させ水分を除去して被覆処理顔料を得るという方法がある。ここで、混合液の乾燥方法としては、加熱乾燥法、凍結乾燥法、噴霧乾燥法などが挙げられる。いずれの方法でも同等の品質のものが得られるため、特に限定されるものではない。
【0015】
本発明において、植物性多糖類、例えば柑橘類を金属イオンの存在下で顔料の表面に被覆処理する方法としては、まずペクチンを精製水に溶解させ、この水溶液中に顔料を混合撹拌により分散させた後に、この分散液中に例えば硫酸亜鉛水溶液を滴下してペクチン亜鉛ゲルを形成し、その後、乾燥させ水分を除去して被覆処理顔料を得るという方法がある。ここで、混合液の乾燥方法としては、先の表面被覆処理方法と同様に、加熱乾燥法、凍結乾燥法、噴霧乾燥法などの中から適宜に選択される。
【0016】
本発明において、植物性多糖類、例えば柑橘類より抽出されるペクチンとN−ラウロイル−L−リジンを同時に顔料の表面に被覆処理する方法としては、まずペクチン、N−ラウロイル−L−リジンおよび水酸化ナトリウムを精製水に加温溶解させ、この水溶液中に顔料を混合撹拌により分散させる。次いで、この分散液中に、希塩酸を金属に溶解させてなる金属イオン溶液(例えば硫酸亜鉛水溶液など)をpHが5以下になるまで滴下する。そして、水酸化ナトリウム溶液にて中和した後に、この混合液を乾燥させ水分を除去して被覆処理顔料を得るという方法がある。ここで、混合液の乾燥方法としては、先の表面被覆処理方法と同様に、加熱乾燥法、凍結乾燥法、噴霧乾燥法などの中から適宜に選択される。
【0017】
本発明では、前記各表面被覆処理における乾燥工程の後に、得られた被覆処理顔料を粉砕する工程を行っても構わない。この粉砕工程においては、ハンマーミル、ボールミル、サンドミル、ジェットミル等の通常の粉砕機を用いることができるが、いずれの粉砕機によっても同等の品質のものが得られるため、特に限定されるものではい。
【0018】
本発明において、植物性多糖類により被覆される顔料としては、無機顔料、有機顔料、プラスチック粉体顔料などが挙げられる。このうち無機顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、マイカ、セリサイト、タルク、シリカ、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、チタン被覆雲母等が挙げられる。また、有機顔料としては、リソールルビンB、レーキレッドC、リソールレッド、ローダミンB、ヘリンドンピンクCN、ベンジジンオレンジG、フタロシアニンブルー等が挙げられる。また、プラスチック粉体顔料としては、ナイロンパウダー、アクリルパウダー、シリコンパウダー、ウレタンパウダー等が挙げられる。
【0019】
本発明において、植物性多糖類としては、アミロース、アミロペクチン、セルロース、イヌリン、マンナン、キシラン、アラビアガム、グアールガム、グルコマンナン、ペクチン、トンガカントガム、ローカストビーンガムなどが挙げられるが、本発明はかかる例示のみに限定されるものではない。
【0020】
本発明において、植物性多糖類と反応させて植物性多糖類金属ゲルを形成する際に用いられる金属イオンとしては、マグネシウム、鉄、マンガン、コバルト、ニッケル、亜鉛、カルシウム、カドミウム、ストロンチウム、銅、鉛、バリウムなどが挙げられる。
【0021】
本発明において、植物性多糖類とN−ラウロイル−L−リジンとの組成比は、特に定められるものではないが、0.5:9.5〜9.5:0.5の範囲での比率が好ましい。より好ましくは1:4〜4:1の範囲が適当である。植物性多糖類とN−ラウロイル−L−リジンとの組成比が0.5:9.5〜9.5:0.5の範囲外にある場合には、それぞれの物性の性能が損なわれる可能性があり好ましくない。
【0022】
本発明において、顔料に対する被覆剤(植物性多糖類、植物性多糖類金属塩およびN−ラウロイル−L−リジン)の被覆量は、特に定められるものではないが、0.1〜10wt%の範囲が好ましく、より好ましくは、0.5〜5wt%の範囲である。被覆量が0.1wt%以下であると、被覆量が少なすぎて吸湿効果が十分でなく、被覆量が10wt%以上であると、顔料自体の性能が損なわれる場合がある。
【0023】
本発明の吸湿性顔料が配合される化粧料においては、その吸湿性顔料以外に、通常の化粧料に用いられる油剤、粉体(顔料、色素、樹脂)、フッ素化合物、樹脂、界面活性剤、粘剤、防腐剤、香料、保湿剤、生理活性成分、塩類、溶媒、キレート剤、中和剤、pH調整剤等の各種成分を同時に配合することができる。
【0024】
被覆されるべき顔料(顔料粉体)としては、例えば、赤色104号、赤色201号、黄色4号、青色1号、黒色401号等の色素、黄色4号アルミニウムレーキ、黄色203号バリウムレーキ等のレーキ色素、ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、テフロン(登録商標)パウダー、シリコンパウダー、セルロースパウダー、シリコンエラストマー等の高分子、黄酸化鉄、赤色酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、カーボンブラック、群青、紺青等の有色顔料、酸化チタン、酸化セリウム等の白色顔料、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン等の体質顔料、雲母チタン等のパール顔料、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム等の金属塩、シリカ、アルミナ等の無機粉体、微粒子酸化チタン、微粒子酸化鉄、アルミナ処理微粒子酸化チタン、シリカ処理微粒子酸化チタン、ベントナイト、スメクタイト等が挙げられる。これらの粉体の形状、大きさに特に制限はない。
【0025】
前記油剤としては、例えば、セチルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール、イソステアリン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸等の脂肪酸、グリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール、ミリスチン酸ミリスチン、ラウリル酸ヘキシル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸イソプロピル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、モノステアリン酸グリセリン、フタル酸ジエチル、モノステアリン酸エチレングリコール、オキシステアリン酸オクチル等のエステル類、流動パラフィン、ワセリン、スクワラン等の炭化水素、ラノリン、還元ラノリン、カルナバロウ等のロウ、ミンク油、カカオ油、ヤシ油、バーム核油、ツバキ油、ゴマ油、ヒマシ油、オリーブ油等の油脂、エチレン・α−オレフィン・コオリゴマー等が挙げられる。また、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、フルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性オルガノポリシロキサン、アルキル変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン、アモジメチコン、アミノ変性オルガノポリシロキサン、シリコンゲル、アクリルシリコン、トリメチルシロキシケイ酸、シリコンRTVゴム等のシリコン化合物、パーフルオロポリエーテル、フッ化ピッチ、フルオロカーボン、フルオロアルコール、フッ素化シリコンレジン等のフッ素化合物が挙げられる。
【0026】
また、前記界面活性剤としては、例えば、アニオン型界面活性剤、カチオン型界面活性剤、ノニオン型界面活性剤、ベタイン型界面活性剤を用いることができる。
【0027】
前記溶媒としては、精製水、エタノール、軽質流動イソパラフィン、低級アルコール、エーテル類、LPG、フルオロカーボン、N−メチルピロリドン、フルオロアルコール、パーフルオロポリエーテル、代替フロン、揮発性シリコン等が挙げられる。
【0028】
本発明の化粧料の具体例としては、例えば、ファンデーション、白粉、アイシャドー、アイライナー、チーク、口紅、ネイルカラー等のメイクアップ化粧料、乳液、クリーム、ローション、カラミンローション、サンスクリーン剤、サンタン剤、アフターシェープローション、プレシェープローション、パック料、クレンジング剤、洗顔料、アクネ対策化粧料等の基礎化粧料、ヘアカラー、ボディーパウダー、デオドラン、石鹸、ボディーシャンプー、入浴剤、香水等が挙げられる。
【0029】
本発明の化粧料に配合される前記吸湿性顔料の配合量としては、化粧料の総量に対して、0.1〜80重量%が好ましく、さらに好ましくは1〜60重量%である。なお、抗酸化剤を配合する場合、その抗酸化剤の配合量としては、0.001〜10重量%が好ましい。
【0030】
本発明の化粧料の剤型としては、二層状、油中水型エマルション、水中油型エマルション、ジェル状、スプレー、ムース状、油性、固型状など従来公知の剤型を使用することができる。特に、サンスクリーン剤の用途には、二層状、油中水型エマルション、ジェル状、水中油型エマルション、油性、ムース状等が好ましい。
【0031】
なお、本発明の吸湿性顔料に撥水性を付与するために、シリコンやアルキルシラン、パーフルオロアルキルリン酸エステルで処理しても構わない。
【実施例】
【0032】
次に、本発明による吸湿性顔料およびそれを含有する化粧料の具体的な実施例について、図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は、以下に述べる実施例に限定されるものではない。
【0033】
(製造実施例1)
市販のペクチンを用いて1%ペクチン水溶液を調製し、セリサイトに対して1重量%処理になるように、ペクチン水溶液とセリサイトとをビーカーに仕込み、混合分散させ、スプレードライヤーにて噴霧乾燥させ、1重量%ペクチン被覆処理セリサイト粉体を得た。
【0034】
(製造実施例2)
5重量%処理になるように水溶液を調製し用いた以外は、前記製造実施例1と同様にして、5重量%ペクチン被覆処理セリサイト粉体を得た。
【0035】
(製造実施例3)
市販のペクチンを用いて1重量%ペクチン水溶液を調製し、セリサイトに対して1重量%処理になるようにペクチン水溶液とセリサイトとをビーカーに仕込み、混合分散させ、そこに、硫酸亜鉛水溶液を添加し、ペクチン亜鉛ゲルを形成した後、乾燥、粉砕し、1重量%ペクチン亜鉛被覆処理セリサイト粉体を得た。
【0036】
(製造実施例4)
5重量%処理になるように水溶液を調製し用いた以外は、前記製造実施例3と同様にして、5重量%ペクチン亜鉛被覆処理セリサイト粉体を得た。
【0037】
(製造実施例5)
市販のペクチンを用いて1重量%ペクチン水溶液を調製し、セリサイトに対してペクチン亜鉛が2重量%処理になるように、ペクチン水溶液をビーカーに入れ、そこに、5重量%N−ラウロイル−L−リジン処理になるように、水酸化ナトリウムとN−ラウロイル−L−リジンを仕込み、加温溶解した後にセリサイトを仕込み、混合分散させる。次いで、この分散液中に、希塩酸に亜鉛を溶解させてなる硫酸亜鉛溶液をpH5以下になるまで滴下する。そして、水酸化ナトリウム溶液にて中和した後に、この混合液を乾燥させて水分を除去することにより、2重量%ペクチン亜鉛と5重量%N−ラウロイル−L−リジンとによって表面処理された表面被覆処理セリサイト粉体を得た。
【0038】
(製造比較例1)
未処理のセリサイトを製造比較例1とした。
【0039】
前述の製造実施例1〜5および製造比較例1の各粉体を105℃の温度条件下において3時間乾燥させ、その後、30℃、95%RH恒温恒湿槽に移し、24時間毎の水分重量含有率を測定した。その結果が図1に示されている。図1に示される結果から明らかなように、本発明による表面被覆処理顔料は、未処理顔料と比べて高い吸湿効果を有することが分かる。
【0040】
次に、前記製造実施例1〜5により得られた各表面被覆処理顔料を用いて、以下に述べるような化粧料を調製した。
【0041】
(実施例1:パウダーファンデーション)
製造実施例2で得られた表面被覆処理顔料をそれぞれ用いて以下の配合にてパウダーファンデーションを調製した。

表面被覆処理セリサイト(製造実施例2) 28.0
タルク 20.0
マイカ 16.0
チタン 8.0
黄酸化鉄 3.2
赤酸化鉄 1.0
黒酸化鉄 0.6
ナイロンパウダー 3.2
ジメチルポリシロキサン(6CS) 6.0
ジメチルポリシロキサン(10,000CS) 5.0
精製ラノリン 1.8
エステル油 7.2
合計 100.0
【0042】
(実施例2:パウダーファンデーション)
製造実施例4で得られた表面被覆処理顔料をそれぞれ用いて以下の配合にてパウダーファンデーションを調製した。

表面被覆処理セリサイト(製造実施例4) 28.0
タルク 20.0
マイカ 16.0
チタン 8.0
黄酸化鉄 3.2
赤酸化鉄 1.0
黒酸化鉄 0.6
ナイロンパウダー 3.2
ジメチルポリシロキサン(6CS) 6.0
ジメチルポリシロキサン(10,000CS) 5.0
精製ラノリン 1.8
エステル油 7.2
合計 100.0
【0043】
(実施例3:パウダーファンデーション)
製造実施例5で得られた表面被覆処理顔料を用いて以下の配合にてパウダーファンデーションを調製した。

表面被覆処理セリサイト(製造実施例5) 28.0
タルク 20.0
マイカ 16.0
チタン 8.0
黄酸化鉄 3.2
赤酸化鉄 1.0
黒酸化鉄 0.6
ナイロンパウダー 3.2
ジメチルポリシロキサン(6CS) 6.0
ジメチルポリシロキサン(10,000CS) 5.0
精製ラノリン 1.8
エステル油 7.2
合計 100.0
【0044】
(比較例1)
実施例1の配合にて未処理の顔料を用いてパウダーファンデーションを調製した。
【0045】
(比較例2)
実施例2の配合にて未処理の顔料を用いてパウダーファンデーションを調製した。
【0046】
(比較例3)
実施例3の配合にて未処理の顔料を用いてパウダーファンデーションを調製した。
【0047】
以上に述べた、実施例1〜3および比較例1〜3の各化粧料を肌に塗布して、塗布直後と塗布後約1時間経過した時点でのしっとり感について評価をしてもらった。その結果が表1に示されている。
【0048】
【表1】

【0049】
表1から明らかなように、本発明による表面被覆処理顔料を用いた化粧料は、しっとり感の感触および持続性が向上したと言える結果を得ることができた。
【0050】
以上のように、本実施例の表面被覆処理粉体は、図1に示されるように、顔料そのものに優れた吸湿性が付与されていることが明らかになった。また、この表面被覆処理粉体が配合された化粧料は、表1に示されるように、使用感としてみずみずしさや潤い感に代表されるしっとり感を十分に有し、また塗布後1時間経過した時点でもそのしっとり感が持続するという特性を有するものであることが明らかになった。さらに、水分ミストのような形態で外的に水分を補給することにより、しっとり感の持続が延長され乾燥から肌を守ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】吸湿性試験の結果を表わすグラフ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陸上に生息する植物由来の植物性多糖類で顔料の表面を被覆してなることを特徴とする吸湿性顔料。
【請求項2】
前記顔料の表面に対する前記植物性多糖類の被覆は、金属イオンの存在下で行われる請求項1に記載の吸湿性顔料。
【請求項3】
前記顔料の表面に対する前記植物性多糖類の被覆は、金属イオンおよびN−ラウロイル−L−リジンの存在下で同時に行われる請求項1に記載の吸湿性顔料。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の吸湿性顔料を配合してなることを特徴とする化粧料。

【図1】
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【公開番号】特開2007−284483(P2007−284483A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−110368(P2006−110368)
【出願日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(391015373)大東化成工業株式会社 (97)
【Fターム(参考)】