吸音材取付構造
【課題】コストを掛けることなくしかも容易に吸音材を取付け得るようにする。
【解決手段】内装パネル部材1の裏面側に吸音材2を当接状態で取付ける吸音材取付構造であって、吸音材2にスリット部3を形成すると共に、内装パネル部材1の裏面側に、スリット部3と対応してスリット部3内へ挿入可能な縦リブ部5を立設し、縦リブ部5の先端部に吸音材2を係止可能な横リブ部6を設けるようにしている。
【解決手段】内装パネル部材1の裏面側に吸音材2を当接状態で取付ける吸音材取付構造であって、吸音材2にスリット部3を形成すると共に、内装パネル部材1の裏面側に、スリット部3と対応してスリット部3内へ挿入可能な縦リブ部5を立設し、縦リブ部5の先端部に吸音材2を係止可能な横リブ部6を設けるようにしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、吸音材取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両には、車室内の前部にインストルメントパネルなどの内装パネル部材が設けられている。このような内装パネル部材には、その裏面側に不織布やフェルト等の吸音材を当接状態で取付けたものが存在する。従来の内装パネル部材に対する吸音材の取付構造としては、クリップ止め(例えば、特許文献1参照)や、両面テープまたは糊引き等による接着や、熱溶着などが行われている。
【特許文献1】特開平11−151994号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記した従来の吸音材の取付構造には、クリップや両面テープや糊などの部品費がかかったり、接着に手間や時間がかかったり、熱溶着の場合には必要な設備が大掛かりになる等の問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明では、内装パネル部材の裏面側に吸音材を当接状態で取付ける吸音材取付構造において、吸音材にスリット部を形成すると共に、内装パネル部材の裏面側に、スリット部と対応してスリット部内へ挿入可能な縦リブ部を立設し、該縦リブ部の先端部に吸音材を係止可能な横リブ部を設けた吸音材取付構造を特徴としている。
【発明の効果】
【0005】
請求項1の発明によれば、内装パネル部材の裏面側に吸音材を当接状態で取付ける吸音材取付構造において、吸音材にスリット部を形成すると共に、内装パネル部材の裏面側に、スリット部と対応してスリット部内へ挿入可能な縦リブ部を立設し、該縦リブ部の先端部に吸音材を係止可能な横リブ部を設けたので、縦リブ部に吸音材のスリット部を通して横リブ部で吸音材を係止させるようにすることにより、コストを掛けることなくしかも容易に吸音材を取付けることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明を具体化した実施例について、図示例と共に説明する。
【実施例】
【0007】
図1〜図17は、この発明の実施例およびその変形例を示すものである。
【0008】
まず、構成について説明する。自動車などの車両には、車室内の前部にインストルメントパネルなどの内装パネル部材1が設けられている。このような内装パネル部材1に対し、その裏面側に不織布やフェルト等の吸音材2を当接状態で取付けるようにする。なお、この吸音材2は、通常、10mm〜15mm程度の厚みを有している(以上図1、図2参照、なお、図1、図2では、吸音材2の取付状態を示しているため、使用状態とは上下が逆となっている。)。
【0009】
この実施例では、図1、図2に示すように、吸音材2にスリット部3を形成する。そして、内装パネル部材1の裏面側に、吸音材取付部4として、スリット部3と対応してスリット部3内へ挿入可能な縦リブ部5を立設する。更に、吸音材取付部4として、縦リブ部5の先端部に吸音材2を係止可能な横リブ部6を設けるようにする。
【0010】
なお、吸音材2が小さい場合には、スリット部3は1本としても良いが、吸音材2が有る程度の大きさを有している場合には、取付けの安定性を考慮してスリット部3は複数本設けるようにする。この場合には、スリット部3は、吸音材2の両側部に沿って平行に2本設けられている。スリット部3は、吸音材2の両側部との間、および、吸音材2の両端部との間に、所要の余裕代を有して設けられている。
【0011】
スリット部3の両端部は、亀裂防止用として、図3に示すようなストップホール7を設けるようにしても良い。或いは、スリット部3の両端部に、亀裂防止用として、図4に示すような短い横スリット8を設けて全体をI字状などとなるようにしても良い。
【0012】
また、縦リブ部5も、吸音材2やスリット部3の本数に応じて、1本または複数本とすることができる。縦リブ部5は、基本的には、吸音材2の厚みとほぼ等しい高さか、それよりも若干低い高さ等とする。この場合には、例えば、10mm〜15mm程度の厚みの吸音材2に対して、縦リブ部5の高さは、8mm〜10mm程度等としている。また、縦リブ部5の付根部分には、成形による表面側のヒケ防止用として、図2に示すような薄肉部9を形成するようにしても良い。縦リブ部5は、吸音材2の縦方向や横方向や斜方向などの方向に自由に延設することができる。縦リブ部5は、スリット部3とほぼ等しいか若干短い長さに形成する。
【0013】
そして、横リブ部6は、縦リブ部5のほぼ全長に亘って設けるようにするのが好ましい。横リブ部6は、基本的には、縦リブ部5に対してほぼ直角に形成されるようにする。これにより、横リブ部6で吸音材2の表面をほぼ平行に押さえて、内装パネル部材1との間で吸音材2を部分的に軽圧縮状態で挟着し得るようにする。但し、図5に示すように、横リブ部6を若干傾斜させて吸音材2の表面を部分的に異なる圧縮状態で挟着し得るようにしても良い。
【0014】
なお、縦リブ部5が2本設けられている場合には、横リブ部6の折曲方向は、外れ難さを考慮して、図1、図2に示すように外向きとしたり、図6に示すように内向きとしたりすることができる。或いは、入れ易さを考慮して、図7に示すように同じ向きとすることもできる。また、図8に示すように縦リブ部5を平行ではなく、ハ字状などとすることもできる。この場合には、吸音材2のスリット部3もハ字状とする。横リブ部6の折曲方向は、外向き以外でも良い。
【0015】
また、縦リブ部5が3本設けられている場合には、例えば、両端の縦リブ部5に対して、上記と同様の折曲方向へ向けて横リブ部6を設けるようにする。そして、真中の縦リブ部5については、図9、図10に示すように両側へ延びるT字状としたり、図11に示すように矢印状としたりすることができる。なお、真中の縦リブ部5については、両端の縦リブ部5よりも若干短くしても良い。
【0016】
そして、縦リブ部5が4本以上設けられるような場合には、特に図示しないが、上記を適宜組合せるなどして対応する。
【0017】
また、横リブ部6の表面側に、図9、図10に示すように、先細りの挿入ガイドリブ部11を設けることもできる。この場合、この挿入ガイドリブ部11は、その面が縦リブ部5および横リブ部6と直交する方向へ向けられている。なお、この場合、横リブ部6が3本有るうちの全ての両端部に対して挿入ガイドリブ部11が設けられているが、これに限るものではない。また、挿入ガイドリブ部11は、中央の縦リブ部5の延長線方向へ向かって傾斜されているが、これに限るものではない。なお、上記した図11の矢印状の横リブ部6も挿入ガイドリブ部11と同様の挿入ガイド機能を有している。
【0018】
更に、隣接する縦リブ部5の間に対し、図12、図13に示すように、ズレ止め用の突条15を設けるようにしても良い。この場合、突条15は、内装パネル部材1の肉厚程度の高さのものが、内装パネル部材1の肉厚程度の間隔を有して縦リブ部5と平行に複数本設けられている。なお、突条15は、縦リブ部5と平行でない方向へ向けて設けることもできる。この場合、突条15は、吸音材2に食い込むこととなる。
【0019】
また、図14または図15に示すように、突条15とは別に、或いは、突条15に加えて、隣接する縦リブ部5の内側部分の長手方向ほぼ中央部から内方へ向けてズレ止め用のリブ部18を設けるようにしても良い。
【0020】
なお、図14のズレ止め用のリブ部18(18a)は、内装パネル部材1の面と平行な平面視ほぼ矩形状の突起とされている。このリブ部18は、縦リブ部5の高さ方向の中央部よりも若干先端部寄りの位置に、縦リブ部5の長さのほぼ1/3程度の長さで設けられている。この場合、リブ部18は、吸音材2に食い込むこととなる。
【0021】
また、図15のズレ止め用のリブ部18(18b)は、縦リブ部5の付根部分を頂角とし、縦リブ部5の内側面と内装パネル部材1とに沿う辺を直交する2辺とする側面視ほぼ直角三角形状とされている。このリブ部18は、後述するような補強リブ19としても機能する。この場合には、吸音材2の側にも、三角形状のリブ部18を収容可能な横スリット部3aを、スリット部3の対応する位置に対して設けるようにすることもできる。
【0022】
或いは、縦リブ部5と横リブとの間に対し、図16、図17に示すように、ズレ止め用のリブ部18(18c)としても機能する補強リブ19を設けることもできる。この補強リブ19は、縦リブ部5の外側部分の長手方向ほぼ中央部に設けられている。この補強リブ19は、縦リブ部5の先端側に頂角を有し、縦リブ部5の内側面と横リブ部6の裏面とに沿う辺を直交する2辺とする側面視ほぼ逆直角三角形状を呈している。この場合には、吸音材2の側にも、補強リブ19を収容可能な横スリット部3bを、スリット部3の対応する位置に対して設けるようにすることもできる。
【0023】
加えて、図14、図15に示すように、横リブ部6の表面に、ハーネスクリップ21などを設けることができる。このハーネスクリップ21は、例えば、内向きに湾曲または屈曲された一対の弾性係止爪片22を、ハーネス23を収容保持可能な所要の間隔を有して対向配置したものである。
【0024】
なお、上記した各変形例については、図示以外の組合せが可能であることは勿論である。
【0025】
次に、この実施例の作用について説明する。
【0026】
内装パネル部材1の裏面側に、吸音材2を取付ける場合には、吸音材2に形成されたスリット部3を広げて、内装パネル部材1の裏面側から立設された縦リブ部5へ通し、縦リブ部5の先端部に設けられた横リブ部6で吸音材2の表面を係止させるようにする。これにより、クリップや両面テープや糊などの部品や道具などを使用することなく、手間や時間をかけることなく、大掛かりな設備を用いることなく、簡単に吸音材2を取付けることが可能となる。
【0027】
このように、この実施例によれば、内装パネル部材1の裏面側に吸音材2を当接状態で取付ける吸音材取付構造において、吸音材2にスリット部3を形成すると共に、内装パネル部材1の裏面側に、スリット部3と対応してスリット部3内へ挿入可能な縦リブ部5を立設し、縦リブ部5の先端部に吸音材2を係止可能な横リブ部6を設けたので、縦リブ部5に吸音材2のスリット部3を通して横リブ部6で吸音材2を係止させるようにすることにより、コストを掛けることなくしかも容易に吸音材2を取付けることが可能となる。
【0028】
また、スリット部3の両端部に、図3に示すようなストップホール7を設けたり、図4に示すような短い横スリット8を設けて全体をI字状などとしたりすることにより、有効に亀裂防止を行わせることができる。
【0029】
そして、縦リブ部5を吸音材2の厚みとほぼ等しい高さか、それよりも若干低い高さ等とすることにより、吸音材2を、無圧縮状態または軽圧縮状態で取付けることができるので、吸音材2の取付けが容易であると共に、吸音材2の機能を損わずに取付けることができる。また、縦リブ部5の付根部分に図2に示すような薄肉部9を形成することにより、成形による表面側のヒケを防止することができる。縦リブ部5を、吸音材2の縦方向や横方向や斜方向などに延設することにより、状況に応じて最適な押さえ効果を得ることができる。
【0030】
更に、横リブ部6を、縦リブ部5のほぼ全長に亘って設けることにより、吸音材2をより広い面積で支持することができ、吸音材2の取付状態を安定させることができる。横リブ部6を、縦リブ部5に対してほぼ直角にすることにより、横リブ部6で吸音材2の表面をほぼ平行に押さえて、内装パネル部材1との間で吸音材2を部分的に軽圧縮状態で挟着することができる。または、図5に示すように、横リブ部6を若干傾斜させることにより、吸音材2の表面を部分的に異なる圧縮状態で挟着・保持することができる。
【0031】
そして、縦リブ部5が2本設けられている場合に、横リブ部6の折曲方向を、図1、図2に示すように外向きとしたり、図6に示すように内向きとしたりすることにより、吸音材2が外れ難くなるようにすることができる。或いは、横リブ部6の折曲方向を、図7に示すように同じ向きとすることにより、スリット部3へ入れ易くすることができる。また、図8に示すように縦リブ部5を平行ではなく、ハ字状などとすることにより、縦方向と横方向の両方向に対する押さえ効果を同時に得ることができる。
【0032】
更に、縦リブ部5を3本設けることにより、より面積の広い吸音材2を、中だるみ起こさせずに取付けることができる。この際、真中の縦リブ部5の横リブ部6を、図9、図10に示すように両側へ延びるT字状としたり、図11に示すように矢印状としたりすることがにより、両隣の縦リブ部5の横リブ部6と折曲方向を合せることができる。
【0033】
そして、縦リブ部5を4本以上設けことにより、更に面積の広い吸音材2を、中だるみ起こさせずに取付けることができる。
【0034】
更に、横リブ部6表面側の両端部に対して、図9、図10に示すように、先細りの挿入ガイドリブ部11を設けることや、図11に示すような矢印状の横リブ部6とすることにより、スリット部3に対する挿入ガイドを行わせることができる。
【0035】
そして、隣接する縦リブ部5の間に対し、図12、図13に示すように、ズレ止め用の突条15を設けることにより、走行中などに吸音材2がズレるのを効果的に防止することができる。
【0036】
更に、図14または図15に示すように、突条15とは別に、或いは、突条15に加えて、隣接する縦リブ部5の内側部分の長手方向ほぼ中央部から内方へ向けてズレ止め用のリブ部18を設けることにより、走行中などに吸音材2がズレるのを有効に防止することができる。
【0037】
そして、図15、図16に示すように、縦リブ部5に対して補強リブ19を設けることにより、縦リブ部5を効果的に補強することが可能である。
【0038】
更に、ハーネスクリップ21を設けることにより、吸音材2の表面に沿ってハーネスを配索することが可能となると共に、ハーネスによって吸音材2を軽く押さえさせることができる。
【0039】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が示されている場合には、これらの可能な組合せが含まれることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施例にかかる吸音材取付構造の分解斜視図である。
【図2】図1の側方断面図である。
【図3】ストップホールを有するスリット部の平面図である。
【図4】横スリットを有するスリット部の平面図である。
【図5】横リブ部を傾斜させた場合の部分側方断面図である。
【図6】横リブ部を内向きとした場合の分解斜視図である。
【図7】横リブ部の向きを同じとした場合の分解斜視図である。
【図8】縦リブ部をハ字状に配置した場合の分解斜視図である。
【図9】縦リブ部を3本配置した場合の分解斜視図である。
【図10】図9の側方断面図である。
【図11】矢印状の横リブ部を有する場合の図9と同様の分解斜視図である。
【図12】縦リブ部間に突条を有する場合の図1と同様の分解斜視図である。
【図13】図12の側方断面図である。
【図14】ズレ止め用のリブ部を有する場合の図12と同様の分解斜視図である。
【図15】別のズレ止め用のリブ部を有する場合の図12と同様の分解斜視図である。
【図16】補強リブおよびハーネスクリップを有する場合の図12と同様の分解斜視図である。
【図17】図16の部分拡大側面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 内装パネル部材
2 吸音材
3 スリット部
4 吸音材取付部
5 縦リブ部
6 横リブ部
【技術分野】
【0001】
この発明は、吸音材取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両には、車室内の前部にインストルメントパネルなどの内装パネル部材が設けられている。このような内装パネル部材には、その裏面側に不織布やフェルト等の吸音材を当接状態で取付けたものが存在する。従来の内装パネル部材に対する吸音材の取付構造としては、クリップ止め(例えば、特許文献1参照)や、両面テープまたは糊引き等による接着や、熱溶着などが行われている。
【特許文献1】特開平11−151994号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記した従来の吸音材の取付構造には、クリップや両面テープや糊などの部品費がかかったり、接着に手間や時間がかかったり、熱溶着の場合には必要な設備が大掛かりになる等の問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明では、内装パネル部材の裏面側に吸音材を当接状態で取付ける吸音材取付構造において、吸音材にスリット部を形成すると共に、内装パネル部材の裏面側に、スリット部と対応してスリット部内へ挿入可能な縦リブ部を立設し、該縦リブ部の先端部に吸音材を係止可能な横リブ部を設けた吸音材取付構造を特徴としている。
【発明の効果】
【0005】
請求項1の発明によれば、内装パネル部材の裏面側に吸音材を当接状態で取付ける吸音材取付構造において、吸音材にスリット部を形成すると共に、内装パネル部材の裏面側に、スリット部と対応してスリット部内へ挿入可能な縦リブ部を立設し、該縦リブ部の先端部に吸音材を係止可能な横リブ部を設けたので、縦リブ部に吸音材のスリット部を通して横リブ部で吸音材を係止させるようにすることにより、コストを掛けることなくしかも容易に吸音材を取付けることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明を具体化した実施例について、図示例と共に説明する。
【実施例】
【0007】
図1〜図17は、この発明の実施例およびその変形例を示すものである。
【0008】
まず、構成について説明する。自動車などの車両には、車室内の前部にインストルメントパネルなどの内装パネル部材1が設けられている。このような内装パネル部材1に対し、その裏面側に不織布やフェルト等の吸音材2を当接状態で取付けるようにする。なお、この吸音材2は、通常、10mm〜15mm程度の厚みを有している(以上図1、図2参照、なお、図1、図2では、吸音材2の取付状態を示しているため、使用状態とは上下が逆となっている。)。
【0009】
この実施例では、図1、図2に示すように、吸音材2にスリット部3を形成する。そして、内装パネル部材1の裏面側に、吸音材取付部4として、スリット部3と対応してスリット部3内へ挿入可能な縦リブ部5を立設する。更に、吸音材取付部4として、縦リブ部5の先端部に吸音材2を係止可能な横リブ部6を設けるようにする。
【0010】
なお、吸音材2が小さい場合には、スリット部3は1本としても良いが、吸音材2が有る程度の大きさを有している場合には、取付けの安定性を考慮してスリット部3は複数本設けるようにする。この場合には、スリット部3は、吸音材2の両側部に沿って平行に2本設けられている。スリット部3は、吸音材2の両側部との間、および、吸音材2の両端部との間に、所要の余裕代を有して設けられている。
【0011】
スリット部3の両端部は、亀裂防止用として、図3に示すようなストップホール7を設けるようにしても良い。或いは、スリット部3の両端部に、亀裂防止用として、図4に示すような短い横スリット8を設けて全体をI字状などとなるようにしても良い。
【0012】
また、縦リブ部5も、吸音材2やスリット部3の本数に応じて、1本または複数本とすることができる。縦リブ部5は、基本的には、吸音材2の厚みとほぼ等しい高さか、それよりも若干低い高さ等とする。この場合には、例えば、10mm〜15mm程度の厚みの吸音材2に対して、縦リブ部5の高さは、8mm〜10mm程度等としている。また、縦リブ部5の付根部分には、成形による表面側のヒケ防止用として、図2に示すような薄肉部9を形成するようにしても良い。縦リブ部5は、吸音材2の縦方向や横方向や斜方向などの方向に自由に延設することができる。縦リブ部5は、スリット部3とほぼ等しいか若干短い長さに形成する。
【0013】
そして、横リブ部6は、縦リブ部5のほぼ全長に亘って設けるようにするのが好ましい。横リブ部6は、基本的には、縦リブ部5に対してほぼ直角に形成されるようにする。これにより、横リブ部6で吸音材2の表面をほぼ平行に押さえて、内装パネル部材1との間で吸音材2を部分的に軽圧縮状態で挟着し得るようにする。但し、図5に示すように、横リブ部6を若干傾斜させて吸音材2の表面を部分的に異なる圧縮状態で挟着し得るようにしても良い。
【0014】
なお、縦リブ部5が2本設けられている場合には、横リブ部6の折曲方向は、外れ難さを考慮して、図1、図2に示すように外向きとしたり、図6に示すように内向きとしたりすることができる。或いは、入れ易さを考慮して、図7に示すように同じ向きとすることもできる。また、図8に示すように縦リブ部5を平行ではなく、ハ字状などとすることもできる。この場合には、吸音材2のスリット部3もハ字状とする。横リブ部6の折曲方向は、外向き以外でも良い。
【0015】
また、縦リブ部5が3本設けられている場合には、例えば、両端の縦リブ部5に対して、上記と同様の折曲方向へ向けて横リブ部6を設けるようにする。そして、真中の縦リブ部5については、図9、図10に示すように両側へ延びるT字状としたり、図11に示すように矢印状としたりすることができる。なお、真中の縦リブ部5については、両端の縦リブ部5よりも若干短くしても良い。
【0016】
そして、縦リブ部5が4本以上設けられるような場合には、特に図示しないが、上記を適宜組合せるなどして対応する。
【0017】
また、横リブ部6の表面側に、図9、図10に示すように、先細りの挿入ガイドリブ部11を設けることもできる。この場合、この挿入ガイドリブ部11は、その面が縦リブ部5および横リブ部6と直交する方向へ向けられている。なお、この場合、横リブ部6が3本有るうちの全ての両端部に対して挿入ガイドリブ部11が設けられているが、これに限るものではない。また、挿入ガイドリブ部11は、中央の縦リブ部5の延長線方向へ向かって傾斜されているが、これに限るものではない。なお、上記した図11の矢印状の横リブ部6も挿入ガイドリブ部11と同様の挿入ガイド機能を有している。
【0018】
更に、隣接する縦リブ部5の間に対し、図12、図13に示すように、ズレ止め用の突条15を設けるようにしても良い。この場合、突条15は、内装パネル部材1の肉厚程度の高さのものが、内装パネル部材1の肉厚程度の間隔を有して縦リブ部5と平行に複数本設けられている。なお、突条15は、縦リブ部5と平行でない方向へ向けて設けることもできる。この場合、突条15は、吸音材2に食い込むこととなる。
【0019】
また、図14または図15に示すように、突条15とは別に、或いは、突条15に加えて、隣接する縦リブ部5の内側部分の長手方向ほぼ中央部から内方へ向けてズレ止め用のリブ部18を設けるようにしても良い。
【0020】
なお、図14のズレ止め用のリブ部18(18a)は、内装パネル部材1の面と平行な平面視ほぼ矩形状の突起とされている。このリブ部18は、縦リブ部5の高さ方向の中央部よりも若干先端部寄りの位置に、縦リブ部5の長さのほぼ1/3程度の長さで設けられている。この場合、リブ部18は、吸音材2に食い込むこととなる。
【0021】
また、図15のズレ止め用のリブ部18(18b)は、縦リブ部5の付根部分を頂角とし、縦リブ部5の内側面と内装パネル部材1とに沿う辺を直交する2辺とする側面視ほぼ直角三角形状とされている。このリブ部18は、後述するような補強リブ19としても機能する。この場合には、吸音材2の側にも、三角形状のリブ部18を収容可能な横スリット部3aを、スリット部3の対応する位置に対して設けるようにすることもできる。
【0022】
或いは、縦リブ部5と横リブとの間に対し、図16、図17に示すように、ズレ止め用のリブ部18(18c)としても機能する補強リブ19を設けることもできる。この補強リブ19は、縦リブ部5の外側部分の長手方向ほぼ中央部に設けられている。この補強リブ19は、縦リブ部5の先端側に頂角を有し、縦リブ部5の内側面と横リブ部6の裏面とに沿う辺を直交する2辺とする側面視ほぼ逆直角三角形状を呈している。この場合には、吸音材2の側にも、補強リブ19を収容可能な横スリット部3bを、スリット部3の対応する位置に対して設けるようにすることもできる。
【0023】
加えて、図14、図15に示すように、横リブ部6の表面に、ハーネスクリップ21などを設けることができる。このハーネスクリップ21は、例えば、内向きに湾曲または屈曲された一対の弾性係止爪片22を、ハーネス23を収容保持可能な所要の間隔を有して対向配置したものである。
【0024】
なお、上記した各変形例については、図示以外の組合せが可能であることは勿論である。
【0025】
次に、この実施例の作用について説明する。
【0026】
内装パネル部材1の裏面側に、吸音材2を取付ける場合には、吸音材2に形成されたスリット部3を広げて、内装パネル部材1の裏面側から立設された縦リブ部5へ通し、縦リブ部5の先端部に設けられた横リブ部6で吸音材2の表面を係止させるようにする。これにより、クリップや両面テープや糊などの部品や道具などを使用することなく、手間や時間をかけることなく、大掛かりな設備を用いることなく、簡単に吸音材2を取付けることが可能となる。
【0027】
このように、この実施例によれば、内装パネル部材1の裏面側に吸音材2を当接状態で取付ける吸音材取付構造において、吸音材2にスリット部3を形成すると共に、内装パネル部材1の裏面側に、スリット部3と対応してスリット部3内へ挿入可能な縦リブ部5を立設し、縦リブ部5の先端部に吸音材2を係止可能な横リブ部6を設けたので、縦リブ部5に吸音材2のスリット部3を通して横リブ部6で吸音材2を係止させるようにすることにより、コストを掛けることなくしかも容易に吸音材2を取付けることが可能となる。
【0028】
また、スリット部3の両端部に、図3に示すようなストップホール7を設けたり、図4に示すような短い横スリット8を設けて全体をI字状などとしたりすることにより、有効に亀裂防止を行わせることができる。
【0029】
そして、縦リブ部5を吸音材2の厚みとほぼ等しい高さか、それよりも若干低い高さ等とすることにより、吸音材2を、無圧縮状態または軽圧縮状態で取付けることができるので、吸音材2の取付けが容易であると共に、吸音材2の機能を損わずに取付けることができる。また、縦リブ部5の付根部分に図2に示すような薄肉部9を形成することにより、成形による表面側のヒケを防止することができる。縦リブ部5を、吸音材2の縦方向や横方向や斜方向などに延設することにより、状況に応じて最適な押さえ効果を得ることができる。
【0030】
更に、横リブ部6を、縦リブ部5のほぼ全長に亘って設けることにより、吸音材2をより広い面積で支持することができ、吸音材2の取付状態を安定させることができる。横リブ部6を、縦リブ部5に対してほぼ直角にすることにより、横リブ部6で吸音材2の表面をほぼ平行に押さえて、内装パネル部材1との間で吸音材2を部分的に軽圧縮状態で挟着することができる。または、図5に示すように、横リブ部6を若干傾斜させることにより、吸音材2の表面を部分的に異なる圧縮状態で挟着・保持することができる。
【0031】
そして、縦リブ部5が2本設けられている場合に、横リブ部6の折曲方向を、図1、図2に示すように外向きとしたり、図6に示すように内向きとしたりすることにより、吸音材2が外れ難くなるようにすることができる。或いは、横リブ部6の折曲方向を、図7に示すように同じ向きとすることにより、スリット部3へ入れ易くすることができる。また、図8に示すように縦リブ部5を平行ではなく、ハ字状などとすることにより、縦方向と横方向の両方向に対する押さえ効果を同時に得ることができる。
【0032】
更に、縦リブ部5を3本設けることにより、より面積の広い吸音材2を、中だるみ起こさせずに取付けることができる。この際、真中の縦リブ部5の横リブ部6を、図9、図10に示すように両側へ延びるT字状としたり、図11に示すように矢印状としたりすることがにより、両隣の縦リブ部5の横リブ部6と折曲方向を合せることができる。
【0033】
そして、縦リブ部5を4本以上設けことにより、更に面積の広い吸音材2を、中だるみ起こさせずに取付けることができる。
【0034】
更に、横リブ部6表面側の両端部に対して、図9、図10に示すように、先細りの挿入ガイドリブ部11を設けることや、図11に示すような矢印状の横リブ部6とすることにより、スリット部3に対する挿入ガイドを行わせることができる。
【0035】
そして、隣接する縦リブ部5の間に対し、図12、図13に示すように、ズレ止め用の突条15を設けることにより、走行中などに吸音材2がズレるのを効果的に防止することができる。
【0036】
更に、図14または図15に示すように、突条15とは別に、或いは、突条15に加えて、隣接する縦リブ部5の内側部分の長手方向ほぼ中央部から内方へ向けてズレ止め用のリブ部18を設けることにより、走行中などに吸音材2がズレるのを有効に防止することができる。
【0037】
そして、図15、図16に示すように、縦リブ部5に対して補強リブ19を設けることにより、縦リブ部5を効果的に補強することが可能である。
【0038】
更に、ハーネスクリップ21を設けることにより、吸音材2の表面に沿ってハーネスを配索することが可能となると共に、ハーネスによって吸音材2を軽く押さえさせることができる。
【0039】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が示されている場合には、これらの可能な組合せが含まれることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施例にかかる吸音材取付構造の分解斜視図である。
【図2】図1の側方断面図である。
【図3】ストップホールを有するスリット部の平面図である。
【図4】横スリットを有するスリット部の平面図である。
【図5】横リブ部を傾斜させた場合の部分側方断面図である。
【図6】横リブ部を内向きとした場合の分解斜視図である。
【図7】横リブ部の向きを同じとした場合の分解斜視図である。
【図8】縦リブ部をハ字状に配置した場合の分解斜視図である。
【図9】縦リブ部を3本配置した場合の分解斜視図である。
【図10】図9の側方断面図である。
【図11】矢印状の横リブ部を有する場合の図9と同様の分解斜視図である。
【図12】縦リブ部間に突条を有する場合の図1と同様の分解斜視図である。
【図13】図12の側方断面図である。
【図14】ズレ止め用のリブ部を有する場合の図12と同様の分解斜視図である。
【図15】別のズレ止め用のリブ部を有する場合の図12と同様の分解斜視図である。
【図16】補強リブおよびハーネスクリップを有する場合の図12と同様の分解斜視図である。
【図17】図16の部分拡大側面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 内装パネル部材
2 吸音材
3 スリット部
4 吸音材取付部
5 縦リブ部
6 横リブ部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内装パネル部材の裏面側に吸音材を当接状態で取付ける吸音材取付構造において、
吸音材にスリット部を形成すると共に、
内装パネル部材の裏面側に、スリット部と対応してスリット部内へ挿入可能な縦リブ部を立設し、該縦リブ部の先端部に吸音材を係止可能な横リブ部を設けたことを特徴とする吸音材取付構造。
【請求項1】
内装パネル部材の裏面側に吸音材を当接状態で取付ける吸音材取付構造において、
吸音材にスリット部を形成すると共に、
内装パネル部材の裏面側に、スリット部と対応してスリット部内へ挿入可能な縦リブ部を立設し、該縦リブ部の先端部に吸音材を係止可能な横リブ部を設けたことを特徴とする吸音材取付構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−49721(P2008−49721A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−224977(P2006−224977)
【出願日】平成18年8月22日(2006.8.22)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月22日(2006.8.22)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】
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