説明

周期運動体の状態診断方法、診断装置、診断システム、コンピュータプログラム及び記録媒体

【課題】軸受、歯車等の回転体においては劣化が進行するに従って振動が大きくなり、これらを的確にとらえて検知し、即ち、計測対象から得られた振幅振動を周期運動体において衝撃波が発生する振動信号を計測し、衝撃波の間隔数などのデータに基づいて、統計的に異常を検知するとともに設備の状態診断を行うことを目的とし、そのための手段を講じる。
【解決手段】軸受、歯車等の回転体において振動信号などをとらえ、簡易化した1次遅れ自己相関係数を計算し、衝撃波の発生していないときの計算された1次遅れ自己相関係数とを比較し、前者が大きい時には、異常信号として判定する状態診断方法、状態診断システム、装置などを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設備などに衝撃波が生起した場合に、衝撃波による異常を診断するための 1 次遅れ自己相関係数の簡易計算方法を導出し、それに基づく設備診断の良好な指標となる新しいシステム、診断方法、プログラム、記録媒体、診断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
大型設備を有する鉄鋼業界等では、突発的に発生する設備故障でラインが停止すると、設備の稼働率の低下、次工程への材料供給の不足、納期が切迫している受注物件の納期遅れ等、多大な損害をこうむる。そこで,これらを防止するために設備異常検知は重要な役割を果たす。従来は時間基準保全( Time Based Maintenance : TBM )が主流をなしていたが、近年は設備監視のハードウエア、ソフトウエアの充実も相まって、状態基準保全( Condition Based Maintenance: CBM)へと大きくシフトしている。このほうが部品コスト低減、保全コスド低減、故障率提言につながるからである。保全をすると、保全後の初期故障を生じる確率が高くなるので、保全しなくてもよいものも定期保全で保全したために初期故障を生じたりする。これを現場では「当たり壊し」と呼んでいるところもある。
CBM に移行してくると、異常の兆候をできるだけ早く捉えることがクローズアップされる。そのための手法として、さまざまなものが検討されている。分野によってその指標も異なるので,本発明では機械系の異常検知として最も普遍的なテーマである回転体の異常検知にテーマを絞って述べることにする。従来は感度のよい指標として 尖度(クルトシス:Kurtosis) , バイコヒーレンス(Bicoherence) などが検討されてきた。本発明では振動振幅を指標化するものに対象を絞り検討する。従来手法では クルトシス は精密診断技法の 1 つであり、振動信号の確率密度関数の 4 次モーメントを正規化して計算していた。現場において精密診断のニーズはあるものの、ハードウエア、ソフトウエア、コスト面から精密診断技術を組み込めないところもある。また、現場で信号波形をモニターしながら早急に対応が要求される場合なども考えられる。
【特許文献1】特開2004−21843号
【特許文献2】特開2004−287733号
【特許文献3】特公昭62−60011号
【特許文献4】特公昭64−4611号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明では衝撃波が生起した場合の 1 次遅れ自己相関係数の簡易計算方法を導出し、それが設備診断の良好な指標となる新しい手法を提案する。これは電卓などでも簡易に計算でき、また、マイコンチップなどにも容易に組み込めるものとし、データの量による感度を他の文献等で示されたデータと比較する診断方法、システム、装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、振動振幅を指標化するものに対象を絞り、衝撃波が生起した場合の 1 次遅れ自己相関係数の簡易計算として、自己相関係数
【数1】

とし、
【数2】

【数3】

の方法を導出し、それが設備診断の良好な指標となる新しい手法を提案する。簡便で精度の高いものが導入できれば実用上大いなる効果があることが期待される。
以下に数値計算の実施を示し、詳述する。
【0005】
軸受、歯車等の回転体においては劣化が進行するにしたがって振動が大きぐなる。また、据付等が不適切な場合も振動が大きくなることは一般的によく知られている。振幅の大きさは次のような指標で把握できる。計測対象から得られた振動信号を時間の関数 x ( t ) ,サンプリング間隔を △ t とし、離散データを
【数4】

とする。機械部品などから発生する振動を平均値0の定常確率過程と仮定し、その確率密度関数を p ( x )とする。振幅の大きさを示す指標として下記のものが周知である。
【数5】

【数6】

【数7】

【数8】

これらは指標が正規化されていない有次元指標である。これらは仮に正常状態であっても機械部品などの大きさや回転数などによっても異なる。したがって汎用的に利用できる指標として正規化された無次元指標として下記のようなものがあげられる。
大別して下記の 4 通りがある。
A . rms 値を正規化するもの
B .ピーク値を正規化するもの
C .モーメントを正規化したもの
D .周波数成分間の相関を正規化するもの、
それぞれについてみることにする。
【0006】
A .rms 値を正規化するもの
a 波形率(Shape Factor : SF )
【数9】

B .ピーク値を正規化するもの
b . 波高率( Crest Factor : CrF )
【数10】

c. クリアランス率(Clearance Factor : ClF )
【数11】

d .衝撃指数( Impulse Factor : IF )
【数12】

e .衝撃劣化指標(Inpact deterioration Factor : ID Factor)
【数13】

C .モーメントを正規化したもの
f. 歪度( skewness : SK )
【数14】

g. 尖り度( Kurtosis : KT )
【数15】

D .周波数成分間の相関を正規化するもの
n.バイコヒーレンス(Bicoherence)
バイコヒーレンスは各周波数成分間の関わりあいを定量化するもので次式のように計算される。
【数16】

ここで
【数17】

【数18】

【数19】

【数20】

である。
【数21】

であり、周波数 f 1とf2との関わりあいが大きいとき、バイコヒーレンスは1に近づき、そうでないとき 0 に近づく。これらの各指標は組み合わせて総合的に判断されることが多い。なかでも、g 尖り度( クルトシス )は他のパラメータより有効であると報告されており、関連研究も多い。
また過去の実験結果では、バイコヒーレンスも感度のよいものであった。
【0007】
新たに文献では、 e 衝撃劣化指標がよい指標であると提案されている。本論文では振動振幅を指標化するものに対象を絞り、衝撃波が生起した場合の 1 次遅れ自己相関係数の簡易計算方法を導出し、それが設備診断の良好な指標となる新しい手法を提案する。簡便で精度の高いものが導入できれば実用上大いなる効果があることが期待される。
【0008】
1 次遅れ自己相関係数の簡易計算方法について、
上述に示した振動信号を離散時間系で記述すると、信号データをサンプリングしたものとして、
【数22】

【数23】

【数24】

である。 上述では平均値が 0 と仮定していたが、以下では計算の一般化のために

【数25】

である。自己相関関数は次のように定義される。
【数26】

そのため前式は、
【数27】

と書き変えることができる。つまり、 0 次の自己相関関数は分数に他ならない。自己相関係数は
【数28】

と表される。
回転体に傷がついた場合等には、回転周期ごとにピーク波形が生じる。サンプリングしたデータの m 回ごとに通常の S 倍のピークをもつ信号が現れるものと仮定する。なお、サンプリング間隔の定め方についてはサンプリング定理にもとづく決定方法が周知であるが、ここでは議論を本題テーマに絞って明確化するために単純化している。
m 回ごとに通常のS倍の信号が生ずると仮定する。また、特別なピーク(S倍の信号)時以外の平均、分散は通常時の平均、分散と同じであると仮定する。
【数29】

【数30】

【数31】

である。{Xl}を並べて m 回ごとに通常の S 倍の信号が生ずると、数35は下記の∧を付けたところにピークが発生すると考えられる。(個々に見るとピークにならないケースもあろうが、全体で統計的にみると差は明瞭に現れる。)
【数32】

これを見ると
【数33】

が発生する。
【数34】

である。
通常の信号レペルに比べ、S が大きい場合、計算を簡易化して
【数35】

と仮定すると次のようになる。
【0009】
(ケース1)
【数36】

【数37】

数30を用いて、
【数38】

を得る。
【0010】
(ケース2)
【数39】

となる。ケース1と同様にして、
【数40】

を得る。これは所定の仮定のもと、1次遅れの自己相関係数を近似計算したものであるため、疑似1次遅れ自己相関係数と言い換えることができる。この仮定のもとでは、系が正常である

【0011】
数値計算例
今、数33の仮定の元で m = 12 とする。また、数33における S 倍のピークを S = 2、4、6、8 の各ケースで N = 100、300、500、1000、3000、5000、10000 の場合を考え、数42の値の変遷結果を表 1 に示す。
【表1】

これからわかるように

これを擬似 1 次遅れの自己相関係数型劣化指標と呼ぶことにする。そして、この結果より擬似 1 次遅れの自己相関係数型劣化指標は N が小さいほど感度がよいことが分かる。
【0012】
以下、この結果を多目的に検討するため、まず 尖度(クルトシス) 、ついで バイコヒーレンス の過去の検討結果を確認する。シミュレータで振動波形を発生させ、( a )正常状態( S = 1 )、(b)小さい傷が生じている状態( S = 2 )、( c ) 大きな傷が生じている状態(S = 6 )について、クルトシスを正常値の比 Fa で比較する(表 3 )。ここで
【数41】

Pnor :正常時の指標値、Pabn:異常時の指標値である。クルトシス は系が正常値では 3.0である。また文献による クルトシス の簡易計算方法を用いて KT の値は、
【数42】

として出すことができる。これを m = 12 、 S = 2 , 4 , 6 のケースで計算すると表 2 のようになる。
【表2】

【0013】
文献の結果を合わせると Fa は次のようになる。
【表3】

S= 6 のような大きな傷の場合は近似した値となっている。 S = 2 のような小さな傷が生じている場合は、過去の何回かの実験から見ても、 KT が 3.5〜4.5 のことが多く表 2 の結果は納得のできる数値である。
【0014】
また文献には軸受転動体の傷の小、中、大で回転速度を変えた場合の KT を計測している。まとめて表 4 に示す。傷の大小の定義など必ずしも厳密に一致しているわけではないが、参考にすることができる。
【表4】

【0015】
次に バイコヒーレンス についてみてみる。文献には、概略次のようなものである。小型減速機の歯車の歯面に次のようなピッチング傷を印加し、おのおの傷小レベル、中レベル、大レベルとした。
傷小レベル:第二段歯車の総歯数のうち、約1/3 に印加
傷中レベル:第二段歯車の総歯数のうち、約 2/3 に印加
傷大レベル:第二段歯車の総歯数のうち、全部に印加
数16におけるf1 とf2については、何種類かの組み合わせで検討したが,
1:固有振動のうち、パワースペクトル値が最大となる周波数
2:2f1
としたときに最もよい結果を得た。そのときのバイコヒーレンスの推移結果を表 5 に示す。
【表5】

このように バイコヒーレンス はきわめて感度のよい指標であることがわかった。なお、先ほどと同様、実験対象設備や傷の大小の定義など必ずしも厳密に一致しているわけではないが、参考にすることができる。バイコヒーレンスは数21に示すように、0と 1 との間で示される絶対指標である点、普遍性が高いといえる。
【0016】
さて、これらと今回の擬似 1 次遅れの自己相関係数型劣化指標とを比較する。明らかに今回の手法は バイコヒーレンスのように 0 と 1 との間の値をとる絶対指標である。感度は バイコヒーレンス ほどではないが,傷が大レべルであると0.5 以下になり、傷が中レべルであると0.67、傷が小レべルで0.93となるので、ある程度実態を表すものとして感覚的に分かりやすいともいえる。何より本手法は数42に示されているように電卓でも簡単に計算できる点が特徴である。簡便で実用的であるため、数16〜数21などを計算しなくてはならないバイコヒーレンスに比べ、現場において格段に扱いやすいものといえる。また、 クルトシスについては、系が正常の場合その値が3.0で、系の異常が進展すると表 2〜 4 に示すように値が大きくなっていく。そのため直接比較はできないが、 バイコヒーレンス と クルトシス を併用しながら総合的に判断するような活用の仕方が考えられる。 クルトシスについても数42に示す簡易計算方法を提出し、その実用性も検証しているので、双方とも同様に簡便に算出して総合的判断に供することができる。
【0017】
衝撃波が生じた場合の 1 次遅れ自己相関係数の簡易計算方法を導出し、それが設備診断の良好な指標となることを示した。それを擬似 1 次遅れの自己相関係数型劣化指標と名付け、バイコヒーレンス や クルトシスとの比較を行った。この新しい劣化指標は過去の文献データと比較してほぼ妥当な数値となっている。この方法による異常検知のステップは次のようになる。

擬似 1 次遅れの自己相関係数型劣化指標は電卓でも簡便に計算できるので、現場における保全において重装備を必要とせず、実用度の高いものである。また、 N が小さいほうが感度がよかったことからも、設備異常の早期発見につながると考えられるので、現場のニーズにより対応した指標といえる。さらに、マイコンチップなどに組み込み、異常の早期発見ツールとしても活用することができる。
【0018】
図1は、通常の周期振動体から得られるデータの例を示す模式的特性図であり、(a)は正常時回転体の振動信号を示し、(b)は衝撃波などの生じる異常時における回転体の振動信号を示す。例えば、回転体が傷ついた場合、回転周期毎のS倍のピーク波形1が生じ、m間隔でl個蓄積される。特に初期異常の場合、当該回転体の単独損傷が他の回転体に派生的に影響を伝播しない間は、このピークが明確に出てくる。これをモデル化して分析すると、サンプリングしたデータのm間隔毎に通常のS倍のピークを持つ信号が現れる。
【0019】
図2は、具体的な周期運動体の状態診断システムの構成を示すブロック図である。工場内の周期運動体である回転体において、振動を検知するセンサ31が設けられ、データ取得装置32に接続され、計測データを装置に入力する。データ取得装置32は計測データを所定の周期でサンプリングし、複数の信号からなる信号列を作成し、作成した信号列から各種のデータを取得する機能を有している。さらに工場内の通信ネットワークNW33に接続され、状態診断装置本体10に送信する。
データ取得装置32からNW33と並列して状態診断装置本体10に接続されている。
状態診断装置本体10は、本発明の1次遅れ自己相関係数計算装置としての機能を兼備し、コンピュータを用いて構成されている。装置本体10は、演算を行うCPU11と、演算に伴って発生する一時的な情報を記憶するRAM12と、CD−ROMドライブ等の外部記憶装置13と、ハードディスク等の内部記憶装置14とを備えており、CD−ROM等の本発明状態診断判定システム20から本発明コンピュータプログラム21を外部記憶装置13にて読み取り、読み取ったコンピュータプログラム21を内部記憶装置14に記憶し、RAM12にコンピュータプログラム21をロードし、CPU11はコンピュータプログラム21に基づいて状態診断装置10に必要な処理を実行する。また、状態診断装置10は工場内の通信ネットワークNW33に接続された入力部15(受付部)を備えており、通信ネットワークNW33を介してデータ取得装置32からデータを入力部15にて受信する。更に、状態診断装置10は情報を外部へ出力する出力部16を備えており、出力部16は警報装置34に接続され、状態診断装置10は設備の異常を示す情報を出力部16から警報装置34へ送信する。警報装置34はブザー、ランプ、または警報の内容を表示する表示部などを備え、状態診断装置10から受信した情報に従って設備の異常を報知する。
【0020】
なお、状態診断装置10は、通信ネットワークNW33に接続されている、図示しない外部のサーバ装置から本発明にかかるコンピュータプログラム21をダウンロードし、CPU11にて処理を実行する形態であってもよい。
【0021】
内部記憶装置14は、診断対象の設備が正常であるときにデータ取得装置32が取得したN個の信号からなる標準信号列と、標準信号列から計算される1次遅れ自己相関係数数1と記憶している。
【0022】
図3は、本発明の状態診断システムが行う動作を示すフローチャートである。センサ31は、設備の稼動に伴って発生した図1のごとき振動などのデータを計測し、データ取得装置32は、設備の振動に略一致した周期などの所定の周期でセンサ31から入力された計測データをサンプリングし(S101)、平均値が0である複数の信号からなる信号列を取得する。データ取得装置32は、サンプリングの結果、取得した信号がl個蓄積されたか否かを判定し(S102)、信号がl個蓄積されていない場合は(S102:NO)、ステップS101へ処理を戻してサンプリングを継続し、信号がl個蓄積されている場合は(S102:YES)、蓄積されたl個の信号からなる第1信号列における信号の絶対値の平均の所定倍などの所定値よりも大きい絶対値を有する大信号が前記第1信号列に含まれているか否かを判定する(S103)。大信号が第1信号列にふくまれていた場合には(S103:YES)、データ取得装置32は、第1信号列にて、他の信号の絶対値に対する大信号の絶対値の倍率S、カウント数l及び大信号間の信号間隔数mを計測し(S104)、倍率S、カウント数l、間隔数m、及び第1信号列を、通信ネットワークNW33を介して状態診断装置10へ送信する(S105)。
【0023】
状態診断装置10は、倍率S、カウント数l、信号間隔数mなど、第1信号列をデータ取得装置32から受信し(S106)、内部記憶装置14に記憶してある1次遅れ自己相関係数を読み出し(S107)、一方、S、l、mから1次遅れ自己相関係数計算式によって

これらを表やグラフに表したものでもよい。この判定によって、所定より大きな値を示せば、異常情報として警報信号の送信し(S110)、異常のない場合は正常として計測状態に戻る。異常のある場合は、ブザーやランプなどで表示するとともに、その設備についてマニュアルに基づき停止などが実行される。
【0024】
図4は、本発明の実施の一形態を示した状態診断方法の概念図である。これは電卓などによる簡易的な

設備に設けられたセンサ31にはオシロスコープ等のデータ表示装置51が接続されており、データ表示装置51にはセンサ31が計測したデータを図1に示すような表示にすることができる。また、設備の作業者は、データ表示装置から、所定のデータを電卓にインプットして、

計算式にて計算し、設備稼働中のチェックに用いることが可能である。また、数40を含む1次遅れ自己相関係数の計算方法を内蔵したコンピュータプログラムとしてもよく、更に、これら数40を含むコンピュータプログラムを内蔵した記録媒体とすることでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に用いる、通常回転体の正常時(a)及び異常時(b)の振動信号の模 式的図である。
【図2】本発明の状態診断システムの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の状態診断システムが行う動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の一形態を示した状態診断方法の概念図である。
【符号の説明】
【0026】
1 ピーク波形
10 状態診断装置
12 RAM
13 外部記憶装置
14 内部記憶装置
15 入力部
16 出力部
20 状態診断判定システム
3 片側派生衝撃波
31 センサ
32 データ取得装置
34 警報装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期運動体において傷がついた場合、回転周期ごとにピーク波形が生じ、その衝撃波の振動信号(通常のS倍のピークを持つ信号)を計測し、間隔数m、を用いて、標準のパターンとを比較して、異常などを検知する工程において、周期運動体の振動信号を計測したデータに対し、衝撃波が生じた場合の 1 次遅れ自己相関係数の簡易計算方法を導出し、設備の異常検知をする際、
【数1】

の1次遅れの自己相関関数の簡易計算にて
【数2】

の0次自己相関関数とにおいて、1 次遅れ自己相関係数を
【数3】

({xi}(i=1,2、・・・、N)は計測対象から得られた振動信号を時間の関数x(t)としたときの離散データ、

に基づいて計算し、得られた結果に基づいて、状態を判定することを特徴とする周期運動体の状態診断方法。
【請求項2】
請求項1において、
【数4】

(但し、系が正常である

となる。また

にて、1次遅れ自己相関係数を近似計算する疑似1次遅れ自己相関係数による周期運動体の状態診断方法。
【請求項3】
周期運動体の振動信号を計測したデータに対し、衝撃波を計測し、疑似1次遅れ自己相関係数の変遷でもって、予め正常時の1次遅れ自己相関係数との対比において大きい場合、異常と判定することを特徴とする周期運動体の状態診断システム。
【請求項4】
異常信号を音、光として発信することを特徴とする請求項3記載の周期運動体の状態診断システム。
【請求項5】
周期運動体の振動信号を計測したデータに対し、衝撃波が生じた場合の 1 次遅れ自己相関係数の簡易計算方法を導出し、設備の異常検知をする際、正常・異常各レべルの

信号データよりピーク値を計測し、正常データ時におけるピーク値の比をとって、請求項2記載の数4より

異常レべルを判定することを特徴とする周期運動体の状態診断システム。
【請求項6】
周期運動体の振動信号を計測したデータに対し、衝撃波が生じた場合の 1 次遅れ自己相関係数の簡易計算方法を導出し、設備の異常検知をする際、

信号データよりピーク値を計測する手段、

を備えた周期運動体の状態診断装置。
【請求項7】
前記判定手段から、音又は光の媒体による伝達手段を備えた請求項6記載の周期運動体の状態診断装置。
【請求項8】
外部コンピュータに予め1次遅れ自己相関係数の計算式を設定しておき、外部データと連動して瞬間的に表、図、グラフなどを表示するモニター手段を備えたことを特徴とする請求項6記載の周期運動体の状態診断装置。
【請求項9】
請求項1記載の数1、数2、数3を備えた周期運動体の状態診断コンピュータプログラム。
【請求項10】
周期運動体の振動信号を計測したデータに対し、衝撃波が生じた場合の 1 次遅れ自己相関係数の簡易計算方法を導出し、設備の異常検知をする際、

信号データよりピーク値を計測し、正常データ時におけるピーク値の比をとって、請求項2記載の数4より

異常レべルを判定することを備えた周期運動体の状態診断コンピュータプログラム。
【請求項11】
請求項1記載の数1、数2、数3を備えた周期運動体の状態診断記録媒体。
【請求項12】
請求項5の内容を記録した周期運動体の状態診断記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−153774(P2006−153774A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−347722(P2004−347722)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000205627)大阪府 (238)
【Fターム(参考)】