周波数生成装置、周波数生成方法、信号処理装置及び信号処理方法
【課題】
入力信号に含まれる所定信号に精度良く同期しつつ、入力信号を精度良く処理する。
【解決手段】
直交化信号生成部110Aが、入力信号SIAに含まれる角周波数ωCのパイロット信号の位相を反映し、互いの直交化が図られた信号PSA1,PSA2を生成する。これらの信号PSA1,PSA2に基づいて、位相算出部120Aが、パイロット信号PSを反映した各時点における位相を算出する。この算出結果に基づいて、生成部130がパイロット信号PSを反映した角周波数を生成する。そして、生成部130により生成された角周波数に基づいて、位相補正部140が、直交化信号生成部110A内のフィルタによる位相シフトの周波数特性を補正する。
入力信号に含まれる所定信号に精度良く同期しつつ、入力信号を精度良く処理する。
【解決手段】
直交化信号生成部110Aが、入力信号SIAに含まれる角周波数ωCのパイロット信号の位相を反映し、互いの直交化が図られた信号PSA1,PSA2を生成する。これらの信号PSA1,PSA2に基づいて、位相算出部120Aが、パイロット信号PSを反映した各時点における位相を算出する。この算出結果に基づいて、生成部130がパイロット信号PSを反映した角周波数を生成する。そして、生成部130により生成された角周波数に基づいて、位相補正部140が、直交化信号生成部110A内のフィルタによる位相シフトの周波数特性を補正する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周波数生成装置、周波数生成方法、周波数生成プログラム、及び、当該周波数生成プログラムが記録された記録媒体、並びに、信号処理装置、信号処理方法、信号処理プログラム、及び、当該信号処理プログラムが記録された記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、復調処理等のための基準となるパイロット信号等の所定信号を含む信号をFM(Frequency Modulation)変調した信号であるFM放送波等を受信して処理するFM受信装置等が広く普及している。こうした装置においては、当該所定信号を再生したり、当該所定信号の周波数の整数倍の周波数の信号を生成したりするために、位相同期ループ(PLL)の手法が一般的に採用されている(特許文献1参照;以下、「従来例1」という)。
【0003】
かかる従来例1の技術とは別に、PLLの手法を採用せずに、当該所定信号を再生したり、当該所定信号の周波数の整数倍の周波数の信号を生成したりする技術も提案されている(特許文献2参照;以下、「従来例2」という)。この従来例の技術では、内部的に発生したベースとなる信号と、当該所定信号との位相差を求める。そして、求められた位相差を当該ベースとなる信号に付与することにより、所定信号の再生を行っている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−13339号公報
【特許文献2】特表2006−528451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来例1の技術ではPLLの手法を採用するが、PLLは、一般に設計が難しい。また、PLLの手法を用いた場合には、例えばFM放送波の移動受信等の場合のように受信環境が変化する状況においては、当該所定信号に対して追従性良く同期させることは困難である。
【0006】
また、上述した従来例2の技術では、当該所定信号の位相に合わせるための基準となる信号が必要である。しかしながら、マルチパスの発生などにより、当該所定信号の周波数や位相が変動する場合には、精度良く当該所定信号と同期をとるための基準信号を生成することは、必ずしも容易ではない。
【0007】
さらに、当該所定信号を再生した信号や、当該所定信号に同期した信号(以下、「基準信号」とも呼ぶ)の生成のためには、所定信号又は当該所定信号に対応する信号を、周波数をキーに抽出することが必要となるが、かかる抽出にはフィルタを用いることになる。ここで、当該フィルタは、一般的に、通過する信号の周波数によって位相ずれや、振幅変化の特性が異なる。このため、所望の基準信号を精度良く生成するためには、当該フィルタの特性を考慮することが必要となる。例えば、振幅変化の特性が精度良く特定できなければ、FM信号におけるパイロット信号のキャンセル処理を精度良く行うことができない。
【0008】
このため、簡易にかつ迅速に所定信号との同期が精度良く図りつつ、入力信号を精度良く処理することができる新たな技術が待望されている。かかる要請に応えることが、本発明が解決すべき課題の一つとして挙げられる。
【0009】
本発明は、上記を鑑みてなされたものであり、入力信号に含まれる所定信号に対応する周波数を精度良く生成することができる周波数生成装置及び周波数生成方法を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、入力信号に含まれる所定信号に精度良く同期するとともに、入力信号を精度良く補正処理することができる信号処理装置及び信号処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、入力信号に含まれる所定信号に対応する周波数を生成する周波数生成装置であって、少なくとも前記所定信号について直交化を行う処理を行い、前記所定信号に対応する成分が互いに直交する第1直交化信号及び第2直交化信号を生成する直交化手段と;前記第1直交化信号に含まれ、前記所定信号の位相を反映した位相を有する第1信号、及び、前記第2直交化信号に含まれ、前記第1信号と直交する第2信号を選択的に通過させるフィルタ手段と;前記第1信号及び前記第2信号に基づいて、前記所定信号を反映した信号の位相を算出する位相算出手段と;前記位相算出手段による算出結果に基づいて、前記所定信号に対応する周波数を生成する生成手段と;を備えることを特徴とする信号処理装置である。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の周波数生成装置と;前記周波数生成装置により生成された周波数に基づいて、前記フィルタ手段の周波数特性の影響を受けている補正対象信号を補正する補正手段と;を備えることを特徴とする信号処理装置である。
【0013】
請求項16に記載の発明は、入力信号に含まれる所定信号に対応する周波数を生成する周波数生成方法であって、少なくとも前記所定信号について直交化を行う処理を行い、前記所定信号に対応する成分が互いに直交する第1直交化信号及び第2直交化信号を生成する直交化工程と;前記第1直交化信号に含まれ、前記所定信号の位相を反映した位相を有する第1信号、及び、前記第2直交化信号に含まれ、前記第1信号と直交する第2信号を選択的に通過させるフィルタリング工程と;前記第1信号及び前記第2信号に基づいて、前記所定信号を反映した信号の位相を算出する位相算出工程と;前記位相算出工程における算出結果に基づいて、前記所定信号に対応する周波数を生成する生成工程と;を備えることを特徴とする周波数生成方法である。
【0014】
請求項17に記載の発明は、請求項16に記載の周波数生成方法により、所定信号に対応する周波数を生成する周波数生成工程と;前記周波数生成工程において生成された周波数に基づいて、前記フィルタリング工程における処理の周波数特性の影響を受けている補正対象信号を補正する補正工程と;を備えることを特徴とする信号処理方法である。
【0015】
請求項18に記載の発明は、請求項16に記載の周波数生成方法を演算手段に実行させる、ことを特徴とする周波数生成プログラムである。
【0016】
請求項19に記載の発明は、請求項17に記載の信号処理方法を演算手段に実行させる、ことを特徴とする信号処理プログラムである。
【0017】
請求項20に記載の発明は、請求項18に記載の周波数生成プログラムが、演算手段により読み取り可能に記録されている、ことを特徴とする記録媒体である。
【0018】
請求項21に記載の発明は、請求項19に記載の信号処理プログラムが、演算手段により読み取り可能に記録されている、ことを特徴とする記録媒体である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明においては、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0020】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態を、図1〜図9を参照しつつ説明する。
【0021】
<構成>
図1には、本第1実施形態に係る信号処理装置100Aの概略的な構成がブロック図にて示されている。この信号処理装置100Aは、信号源910から出力された信号SIAを、入力端子191を介して受信して処理し、出力端子192から基準信号BSAとして出力する装置である。
【0022】
本第1実施形態では、信号SIAは、図2に示されるように、角周波数ωcのパイロット信号PSを含んでいるものとする。ここでパイロット信号PSの角周波数ωCは、わずかではあるが、標準角周波数ωC0から時間的に変動することがあることを想定している。
【0023】
また、本第1実施形態においては、説明を簡略化するため、信号SIAに含まれているパイロット信号PSは、次の(1)式によって表されるものとする。
PS(t)∝sin[θC(t)]=sin(ωCt+φ0) …(1)
ここで、値φ0は、時間t=0としたときのパイロット信号PSの位相である。
【0024】
なお、信号処理装置100Aが車両等の移動体に搭載される場合に、角周波数ωCや、初期位相値φ0が、僅かとはいえ変化することになる。
【0025】
かかる(1)式で表される信号としては、例えば、FM放送波をFM検波した信号であるコンポジット信号中のパイロット信号等を挙げることができる。
【0026】
図1に戻り、信号処理装置100Aは、周波数生成装置180Aと、補正手段としての位相補正部140とを備えている。さらに、信号処理装置100Aは、基準信号生成部150を備えている。ここで、周波数生成装置180Aは、直交信号生成部110Aと、位相算出手段としての位相算出部120Aと、生成手段としての生成部130とを備えている、
【0027】
上記の直交信号生成部110Aは、入力端子191を介して受信した信号SIAから、それぞれが角周波数ωCを含む帯域の信号であって、角周波数ωCの成分が互いに直交する2つの信号PSA1,PSA2を生成する。かかる機能を有する直交信号生成部110Aは、図3に示されるように、直交化手段としての直交化部112Aと、フィルタ手段としてのフィルタ(FIL)113A1,113A2とを備えている。
【0028】
直交化部112Aは、信号SIAに含まれる角周波数ωCの成分(すなわち、パイロット信号PS)に基づいて、互いに直交するとともに、パイロット信号PSの位相θC(t)を反映した2つの信号OSA1,OSA2を生成する。かかる機能を有する直交化部112Aは、図4に示されるように、角周波数ωCの信号に関する90°移相部119を備えている。
【0029】
このように構成された直交化部112Aでは、受信した信号SIAと同相の信号が、信号OSA1として、FIL113A1へ向けて出力される。一方、直交化部112Aにおいては、受信した信号SIAについて、角周波数ωCの成分について90°だけ位相がずらされ、信号OSA2としてFIL113A2へ向けて出力する。
【0030】
図3に戻り、FIL113A1は、例えば無限インパルス応答フィルタ(IIR)等のデジタルフィルタとして構成されている。このFIL113A1は、直交化部112Aからの信号OSA1を受ける。そして、FIL113A1は、信号OSA1における角周波数が角周波数ωC0の近傍の成分、すなわち、パイロット信号PSに対応する信号成分を選択的に通過させ、信号PSA1として位相算出部120Aへ向けて出力する。
【0031】
なお、FIL113A1を介することにより、フィルタリング演算に伴う位相シフトΔθが発生する場合がある。この位相シフトΔθは、例えば、図5に示されるように、角周波数依存性を有している。本第1実施形態では、かかる位相シフトΔθが発生するものとする。ここで、FIL113A1による位相シフトΔθの角周波数依存性は、FIL113A1の構成にて定まるものであり、FIL113A1の設計段階で定まる。本第1実施形態では、図5に示されるように、角周波数ωC0の信号には位相シフトΔθ0が発生するものとする。
【0032】
この場合、かかるFIL113A1から出力される信号PSA1は、次の(2)式のように表される。
PSA1(t)=A(t)・sin[θS(t)]
=A(t)・sin[θC(t)−Δθ(ωC)]
=A(t)・sin[(ωCt+φ0)−Δθ(ωC)] …(2)
ここで、A(t)は、パイロット信号PSの振幅値を表す。
【0033】
図3に戻り、FIL113A2は、FIL113A1と同様に構成されている。このFIL113A2は、直交化部112Aからの信号OSA2を受ける。そして、FIL113A2は、信号OSA2における角周波数ωCの成分、すなわち、パイロット信号PSに対応する信号成分を選択的に通過させ、信号PSA2を出力する。
【0034】
かかるFIL113A2から出力される信号PSA2は、次の(3)式のように表される。
PSA2(t)=A(t)・cos[θS(t)]
=A(t)・cos[θC(t)−Δθ(ωC)]
=A(t)・cos[(ωCt+φ0)−Δθ(ωC)] …(3)
【0035】
図1に戻り、位相算出部120Aは、直交信号生成部110Aからの信号PSA1及び信号PSA2に基づいて、パイロット信号PSの位相θCE(t)を算出する。かかる算出に際して、位相算出部120Aは、例えば、信号PSA1及び信号PSA2についてarctan等の演算を行って、位相θCE(t)を算出する。
【0036】
こうして算出された位相θCE(t)は、信号PHAとして、位相算出部120Aから生成部130及び位相補正部140へ向けて出力される。
【0037】
生成部130は、位相算出部120Aからの信号PHAに基づいて、角周波数ωCの値を生成する。かかる機能を有する生成部130は、図6に示されるように、周波数算出部131と、ローパスフィルタ(LPF)132とを備えている。
【0038】
周波数算出部131は、位相算出部120Aからの信号PHAを受ける。そして、周波数算出部131は、信号PHAとして受けた位相θCE(t)の位相差から、各時点における角周波数ωC1(t)を算出する。こうして算出された角周波数ωC1(t)は、信号FRCとして、LPF132へ向けて出力される。
【0039】
LPF132は、周波数算出部131からの信号FRCを受ける。そして、LPF132は、信号FRCとして受けた各時点の角周波数の不要な変動成分を除去した信号を、角周波数ωC2(t)として出力する。かかる角周波数ωC2(t)が生成部130による最終生成結果である。
【0040】
こうして生成された角周波数ωC2(t)は、信号FRQとして、LPF132から位相補正部140へ向けて出力される。なお、以下の説明においては、角周波数ωC2(t)を、「生成角周波数ωCE」とも記す。
【0041】
図1に戻り、位相補正部140は、生成部130からの信号FRQとして受けた生成角周波数ωCEを利用して、位相算出部120Aからの信号PHAとして受けた位相θCE(t)を補正する。かかる機能を有する位相補正部140は、図7に示されるように、位相補正計算手段としての加算部141と、補正制御部142とを備えている。
【0042】
加算部141は、A端子で受けた信号と、B端子で受けた信号とを加算し、加算結果をC端子から出力する。ここで、加算部141は、位相算出部120Aからの信号PHAをA端子で受けるとともに、補正制御部142からの信号MPVをB端子で受ける。そして、C端子から補正位相信号PHMを出力するようになっている。
【0043】
補正制御部142は、記憶手段としての位相補正テーブル143を備えて構成されている。この位相補正テーブル143には、図8に示されるような角周波数ωに対応する補正値δθ(ω)が、予め登録されている。
【0044】
図7に戻り、補正制御部142は、生成部130からの信号FRQを受ける。そして、補正制御部142は、信号FRQとして受けた生成角周波数ωCEに基づいて、位相補正テーブル143を参照し、補正値δθ(ωCE)を読み出す。こうして読み出された補正値δθ(ωCE)が、値δθ(ωC)とみなされ、信号MPVとして加算部141へ向けて出力される。
【0045】
この結果、加算部141では、次の(4)式の計算が行われ、入力端子191で受信した状態におけるパイロット信号PSの位相θC(t)が精度良く算出される。
θC(t)=θCE(t)+δθ(ωC) =(ωCt+φ0) …(4)
【0046】
こうして算出された位相θC(t)が、信号PHMとして、位相補正部140から基準信号生成部150へ向けて出力される。
【0047】
図1に戻り、基準信号生成部150は、位相補正部140からの信号PHMに基づいて、パイロット信号PSに同期し、角周波数2ωCの基準信号BSAを生成する。かかる機能を有する基準信号生成部150は、図9に示されるように、位相加工部151と、信号発生部152とを備えている。
【0048】
位相加工部151は、位相補正部140からの信号PHMを受けて、信号PHMが示す位相θC(t)を加工する。本第1実施形態においては、位相加工部151は、次の(5)式により、位相θM(t)を算出する。
θM(t)=2θC(t)=2(ωCt+φ0) …(5)
【0049】
すなわち、本第1実施形態では、位相加工部151は、パイロット信号PSに同期し、角周波数2ωCで変化する位相θM(t)を算出する。こうして算出された位相θM(t)は、位相加工信号MPAとして信号発生部152へ向けて出力される。
【0050】
信号発生部152は、位相加工部151からの位相加工信号MPAに基づいて、基準信号BSAを生成する。本第1実施形態では、信号発生部152は、位相値に対応した振幅値が登録された正弦値テーブルを備えており、位相加工信号MPAによって示された位相θM(t)の正弦波信号を基準信号BSAとして生成する。
【0051】
この基準信号BSAは、次の(6)式で表される。
BSA(t)=C0・sin[θM(t)]
=C0・sin[2θC(t)]
=C0・sin[2(ωCt+φ0)] …(6)
ここで、C0は定数である。
【0052】
こうして生成された基準信号BSAは、出力端子192を介して外部へ出力される。
【0053】
<動作>
次に、上記のように構成された信号処理装置100Aにおける信号処理動作について説明する。
【0054】
信号源910からの信号SIAが、入力端子191を介して信号処理装置100Aで受信されると、信号処理装置100Aでは、信号SIAが直交信号生成部110Aに供給される(図1参照)。信号SIAの供給を受けた直交信号生成部110Aでは、まず、直交化部112Aが、信号SIAに含まれる角周波数ωCの成分が互いに直交する2つの信号OSA1,OSA2を生成し、FIL113A1,113A2へ送る(図4参照)。
【0055】
引き続き、信号OSA1を受けたFIL113A1が、信号OSA1における角周波数ωCの成分、すなわち、パイロット信号PSに対応する信号成分を選択的に通過させ、信号PSA1として位相算出部120Aへ向けて出力する。また、信号OSA2を受けたFIL113A2が、信号OSA2における角周波数ωCの成分、すなわち、パイロット信号PSに対応する信号成分を選択的に通過させ、信号PSA2として位相算出部120Aへ向けて出力する(図3参照)。
【0056】
ここで、信号PSA1は、上述した(2)式で表される波形となる。一方、信号PSA2は、上述した(3)式で表される波形となる。
【0057】
信号PSA1,PSA2を受けた位相算出部120Aは、上述したように動作して、パイロット信号PSの位相θCE(t)を算出する。こうして算出された位相θCE(t)は、信号PHAとして、生成部130及び位相補正部140へ送られる(図1参照)。
【0058】
信号PHAを受けた生成部130では、周波数算出部131が、信号PHAとして受けた位相θCE(t)の時間変化に基づいて、各時点における角周波数ωC1(t)を算出する。こうして算出された角周波数ωC1(t)は、信号FRCとして、LPF132へ送られる(図6参照)。信号FRCを受けたLPF132は、信号FRCにおける不要な変動成分を除いた角周波数ωC2(t)すなわち生成角周波数ωCEを求め、信号FRQとして位相補正部140へ送る(図6参照)。
【0059】
信号PHA及び信号FRQを受けた位相補正部140では、まず、補正制御部142が、信号FRQとして受けた生成角周波数ωCEに基づいて、位相補正テーブル143を参照し、補正値δθ(ωCE)を読み出す。補正制御部142は、こうして読み出された補正値δθ(ωCE)をその時点における値δθ(ωC)とみなし、信号MPVとして加算部141へ送る(図7参照)。
【0060】
信号PHA及び信号MPVを受けた加算部141は、上述した(4)式により、パイロット信号PSの位相θC(t)を算出する。こうして算出された位相θC(t)は、信号PHMとして、位相補正部140から基準信号生成部150へ送られる(図7参照)。
【0061】
信号PHMを受けた基準信号生成部150は、信号PHMに基づいて、パイロット信号PSに同期し、角周波数2ωCの基準信号BSAを生成する。かかる基準信号BSAの生成に際して、基準信号生成部150では、まず、位相加工部151が、上述した(5)式により、パイロット信号PSに同期し、角周波数2ωCで変化する位相θM(t)を算出し、信号発生部152へ送る(図9参照)。位相θM(t)を受けた信号発生部152は、位相θM(t)に基づいて内部の正弦値テーブルを参照して、上述した(6)式で表される正弦波信号である基準信号BSAを生成する。こうして生成された基準信号BSAは、出力端子192を介して外部へ出力される(図9参照)。
【0062】
以上説明したように、本第1実施形態では、角周波数ωCのパイロット信号PSを含む帯域の信号SIAから、PLL方式におけるフィードバックループや、位相生成のための基準となるベース信号を用いることなく、パイロット信号PSの位相θC(t)を導出する。このため、簡易にかつ迅速にパイロット信号PSとの同期が図られた基準信号BSAを生成することができる。
【0063】
また、本第1実施形態では、直交信号生成部110Aにおいて、パイロット信号PSを直交化して取り出す際に生じる位相シフトの周波数特性を、生成部130において生成された角周波数に基づいて補正している。このため、パイロット信号PSの角周波数に変動があった場合でも、パイロット信号PSとの同期が精度良く図られた基準信号BSAを生成することができる。
【0064】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を、図10〜図12を主に参照しつつ説明する。
【0065】
図10には、本第2実施形態に係る信号処理装置100Bの概略的な構成がブロック図にて示されている。なお、信号処理装置100Bは、第1実施形態における信号処理装置100Aと同様に、信号源910から出力された信号SIAを、入力端子191を介して受信して処理し、出力端子192から基準信号BSAとして出力する装置である。
【0066】
図10に示されるように、信号処理装置100Bは、上述した信号処理装置100Aと比べて、周波数生成装置180Aに代えて周波数生成装置180Bを備えるとともに、位相補正部140に代えてフィルタ制御部145を備える点のみが異なっている。そして、周波数生成装置180Bは、上述した周波数生成装置180Aと比べて、直交信号生成部110Aに代えて直交信号生成部110Bを備える点のみが異なっている。以下、これらの相違点に主に着目して説明する。
【0067】
直交信号生成部110Bは、図11に示されるように、直交信号生成部110Aと比べて、FIL113A1,113A2に代えてFIL113B1,113B2を備える点が異なっている。ここで、FIL113B1とFIL113B2とは、同様に構成されている。
【0068】
FIL113B1,FIL113B2は、フィルタ制御部145からの信号FLCで指定されるフィルタパラメータの値に従って、通過させる信号に付与される位相シフトの周波数特性が、図12に示されるように、変化するようになっている。このため、信号FLCで指定されるフィルタパラメータの値を調整することで、所望の角周波数の値に対して、位相シフトの量を値Δθ0とすることができるようになっている。
【0069】
FIL113B1,FIL113B2を通過した信号成分は、信号PSB1,PSB2として、直交信号生成部110Bから位相算出部120Aへ向けて出力される。
【0070】
図10に戻り、フィルタ制御部145は、生成部130からの信号FRQを受ける。そして、フィルタ制御部145は、信号FRQとして受けた角周波数ωCEに基づいて、角周波数ωCEの信号がFIL113B1,FIL113B2により付与される位相シフト量が値Δθ0となるフィルタパラメータの値を決定する。こうして決定されたフィルタパラメータの値は、信号FLCとして直交信号生成部110B(より詳しくは、FIL113B1,FIL113B2)へ向けて出力される。
【0071】
なお、本第2実施形態では、位相算出部120Aから出力された信号PHMが、基準信号生成部150により直接受信されるようになっている。
【0072】
<動作>
次に、上記のように構成された信号処理装置100Bにおける信号処理動作について説明する。
【0073】
信号源910からの信号SIAが、入力端子191を介して信号処理装置100Bで受信されると、信号処理装置100Bでは、信号SIAが直交信号生成部110Bに供給される(図10参照)。信号SIAの供給を受けた直交信号生成部110Bでは、まず、直交化部112Aが、信号SIAに含まれる角周波数ωCの成分が互いに直交する2つの信号OSA1,OSA2を生成し、FIL113B1,113B2へ送る(図11参照)。
【0074】
FIL113B1,113B2は、現在時点における角周波数ωCEの信号に付与される位相シフト量が値Δθ0となるようなフィルタパラメータが指定されたフィルタ制御部145からの信号FLCに従ったフィルタリングを行う。この結果、FIL113B1,113B2からは、信号OSA1,OSA2における角周波数が角周波数ωC0の近傍の成分、すなわち、パイロット信号PSに対応する信号成分を選択的に通過させ、信号PSB1,PSB2として位相算出部120Aへ送られる(図11参照)。
【0075】
かかる信号PSB1,PSB2は、次の(7)及び(8)式のように表される。
PSB1(t)=A(t)・sin[(ωCt+φ0)−Δθ0] …(7)
PSB2(t)=A(t)・cos[(ωCt+φ0)−Δθ0] …(8)
【0076】
信号PSB1,PSB2を受けた位相算出部120Aは、上述した第1実施形態の場合と同様に、例えば、信号PSA1及び信号PSA2についてarctan等の演算を行って、位相θC(t)を算出する。
【0077】
こうして算出された位相θC(t)は、信号PHMとして位相算出部120Aから生成部130及び基準信号生成部150へ送られる。
【0078】
信号PHMを受けた生成部130は、第1実施形態の場合と同様にして、各時点における生成角周波数ωCEを求め、信号FRQとしてフィルタ制御部145へ送る。信号FRQを受けたフィルタ制御部145は、信号FRQとして受けた生成角周波数ωCEに基づいて、生成角周波数ωCEの信号がFIL113B1,FIL113B2により付与される位相シフト量が値Δθ0となるフィルタパラメータの値を決定し、信号FLCとして直交信号生成部110B(より詳しくは、FIL113B1,FIL113B2)へ向けて送る。
【0079】
以上のFIL113B1,FIL113B2、位相算出部120A、生成部130及びフィルタ制御部145により形成される制御ループの作用により、位相算出部120Aからは、上記の第1実施形態における位相補正部140から出力される信号PHMと同等に精度良くパイロット信号PSの位相θC(t)を反映した値が出力されることになる。この意味で、本第2実施形態においては、位相算出部120Aからの出力信号を信号PHMと記している。
【0080】
信号PHMを受けた基準信号生成部150は、上記の第1実施形態の場合と同様にして、信号PHMに基づいて、パイロット信号PSに同期し、角周波数2ωCの基準信号BSAを生成する。こうして生成された基準信号BSAは、出力端子192を介して外部へ出力される(図9参照)。
【0081】
以上説明したように、本第2実施形態では、上述の第1実施形態の場合と同様に、角周波数ωCのパイロット信号PSを含む帯域の信号SIAから、PLL方式におけるフィードバックループや、位相生成のための基準となるベース信号を用いることなく、パイロット信号PSの位相θCを導出する。このため、簡易にかつ迅速にパイロット信号PSとの同期が図られた基準信号BSAを生成することができる。
【0082】
また、本第2実施形態では、直交信号生成部110Bにおいて、パイロット信号PSを直交化して取り出す際に生じる位相シフトの周波数特性を、生成部130において生成された角周波数に基づいて、FIL113B1,113B2による位相シフトの周波数特性を制御することにより、補正している。このため、パイロット信号PSの角周波数に変動があった場合でも、パイロット信号PSとの同期が精度良く図られた基準信号BSAを生成することができる。
【0083】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を、図13〜図18を主に参照しつつ説明する。
【0084】
図13には、本第3実施形態に係る信号処理装置100Cの概略的な構成がブロック図にて示されている。なお、信号処理装置100Cは、第1実施形態における信号処理装置100Aと同様に、信号源910から出力された信号SIAを、入力端子191を介して受信して処理し、出力端子192から基準信号BSAとして出力する装置である。
【0085】
図13に示されるように、信号処理装置100Cは、上述した信号処理装置100Aと比べて、周波数生成装置180Aに代えて周波数生成装置180Cを備える点のみが異なっている。そして、周波数生成装置180Cは、上述した周波数生成装置180Aと比べて、直交信号生成部110Aに代えて直交信号生成部110Cを備えるとともに、位相算出部120Aに代えて位相算出部120Cを備える点のみが異なっている。以下、これらの相違点に主に着目して説明する。
【0086】
直交信号生成部110Cは、入力端子191を介して受信した信号SIAから、互いに直交する2つの信号PSC1,PSC2を生成する。かかる機能を有する直交信号生成部110Cは、図14に示されるように、帯域制限手段としての帯域制限フィルタ111と、直交化手段としての直交化部112Cと、フィルタ手段としてのフィルタ(FIL)113C1,113C2とを備えている。
【0087】
帯域制限フィルタ111は、有限インパルス応答(FIR)フィルタ等のデジタルフィルタとして構成されている。帯域制限フィルタ111は、信号SIAにおける角周波数ωCを含む所定の周波数帯域の信号成分を選択的に通過させ、周波数帯域が制限された帯域制限信号LSIとして直交化部112Cへ向けて出力する。
【0088】
本第3実施形態では、帯域制限フィルタ111は、直交化部112Cにおける周波数変換に際して行われる正弦波(∝sin(ωSH・t))の乗算の結果、周波数0で折り返された成分が、パイロット信号PSの周波数シフトの結果(本第3実施形態では、角周波数(ωSH−ωC)の成分)と重ならない(又は、十分に抑圧されている)ように、通過させる信号の周波数帯域を制限する。また、帯域制限フィルタ111Bは、サンプルレートfSMの1/2の周波数(fSM/2)で折り返された成分が、パイロット信号PSの周波数シフトの結果と重ならない(又は、十分に抑圧されている)ように、通過させる信号の周波数帯域を制限する。かかる機能を有する帯域制限フィルタ111は、例えば、FIR方式のローパスフィルタとして実現することができる。
【0089】
なお、帯域制限フィルタ111を介することにより、フィルタ遅延により、位相シフトが発生する場合がある。本第3実施形態では、当該帯域制限フィルタ111におけるフィルタ遅延による位相シフトΔθ1が発生するものとして、以下の説明を行う。
【0090】
以上のように構成された帯域制限フィルタ111から出力された帯域制限信号LSIにおけるパイロット信号PSに対応する信号成分PS’は、次の(9)式で表されるようになっている。
PS’(t)∝sin[θC(t)−Δθ1(ωC)]
=sin[(ωCt+φ0)−Δθ1(ωC)] …(9)
【0091】
直交化部112Cは、帯域制限信号LSIに基づいて、互いに直交するとともに、パイロット信号PSの位相θC(t)を反映した2つの信号OSC1,OSC2を生成する。かかる機能を有する直交化部112Cは、本第3実施形態では、図15に示されるように、発振部210Cと、乗算部2201,2202とを備えている。
【0092】
発振部210Cは、乗算部2201へ供給すべき信号OTS1、及び、乗算部2202へ供給すべき信号OTS2を発生する。本第3実施形態では、信号OTS1及び信号OTS2は、次の(10)及び(11)式で表されるようになっている。
OTS1(t)=B0・cos(ωSH・t) …(10)
OTS2(t)=B0・sin(ωSH・t) …(11)
ここで、B0は定数である。
【0093】
本第3実施形態では、角周波数ωSHは、3ωCよりも大きな所定値に設定されている。かかる角周波数ωSHの値は、パイロット信号PSの周波数シフト結果へのノイズ成分の混入の防止という観点から、上述した帯域制限フィルタ111による帯域制限の仕様と併せた総合的な見地から定められる。
【0094】
乗算部2201は、帯域制限信号LSIをA端子で受け、発振部210Cからの信号OTS1をB端子で受ける。そして、A端子における受信結果と、B端子における受信結果との乗算結果が、C端子から信号OSC1としてFIL113C1へ向けて出力される。ここで、信号SIAにおけるパイロット信号PSは、角周波数ωCを有し、信号OTS1は角周波数ωSHの成分のみを有している。このため、信号OSC1におけるパイロット信号PSに対応する信号成分は、角周波数(ωSH−ωC)及び角周波数(ωSH+ωC)の2成分に周波数変換される。
【0095】
乗算部2202は、帯域制限信号LSIをA端子で受け、発振部210Cからの信号OTS2をB端子で受ける。そして、A端子における受信結果と、B端子における受信結果との乗算結果が、C端子から信号OSC2としてFIL113C2へ向けて出力される。ここで、信号SIAにおけるパイロット信号PSは、角周波数ωCを有し、信号OTS2は角周波数ωSHの成分のみを有している。このため、信号OSC2におけるパイロット信号PSに対応する信号成分は、信号OSC1との場合と同様に、角周波数(ωSH−ωC)及び角周波数(ωSH+ωC)の2成分に周波数変換される。
【0096】
図14に戻り、FIL113C1は、無限インパルス応答フィルタ(IIR)等のデジタルフィルタとして構成されている。このFIL113C1は、直交化部112Cからの信号OSC1を受ける。そして、FIL113C1は、パイロット信号PSに対応する信号成分の一方、本第3実施形態では角周波数(ωSH−ωC)の成分を選択的に通過させ、信号PSC1として位相算出部120Cへ向けて出力する。
【0097】
なお、FIL113C1を介することにより、フィルタ遅延により、位相シフトが発生する場合がある。本第3実施形態では、当該FIL113C1におけるフィルタ遅延による位相シフトΔθ2が発生するものとして、以下の説明を行う。
【0098】
かかるFIL113C1から出力される信号PSC1は、次の(12)式のように表される。
PSC1(t)=A(t)・sin[θS(t)]
=A(t)・sin[ωSHt−θC(t)+Δθ1(ωC)−Δθ2(ωC)]
=A(t)・sin[ωSHt−(ωCt+φ0)+Δθ(ωC)]…(12)
ここで、A(t)は、パイロット信号PSの振幅値を表す。また、Δθ(ωC)=Δθ1(ωC)−Δθ2(ωC)である。
【0099】
FIL113C2は、FIL113C1と同様に構成されている。このFIL113C2は、直交化部112Cからの信号OSC2を受ける。そして、FIL113C2は、信号OSC2における角周波数(ωSH−ωC)の成分を選択的に通過させ、信号PSC2を出力する。
【0100】
かかるFIL113C2から出力される信号PSC2は、次の(13)式のように表される。
PSC2(t)=A(t)・cos[θS(t)]
=A(t)・cos[ωSHt−θC(t)+Δθ1(ωC)−Δθ2(ωC)]
=A(t)・cos[ωSHt−(ωCt+φ0)+Δθ(ωC)]…(13)
【0101】
ここで、位相シフトΔθ(ωC)は、角周波数依存性を有している。この位相シフトΔθ(ωC)は、帯域制限フィルタ111及びFIL113C1,FIL113C2の構成にて定まるものである。本第3実施形態では、位相シフトΔθ(ωC)は、上述の第1実施形態と同様に、角周波数ωC0の信号には位相シフトΔθ0が発生するものとする。
【0102】
図13に戻り、位相算出部120Cは、直交信号生成部110Cからの信号PSC1及び信号PSC2に基づいて、パイロット信号PSの位相θC(t)を算出する。かかる算出に際して、位相算出部120Cは、例えば、信号PSC1及び信号PSC2についてarctan等の演算を行う等して、パイロット信号PSを反映した、第1実施形態の場合と同様な位相θCE(t)を算出する。
【0103】
こうして算出された位相θCE(t)は、信号PHAとして、位相算出部120Cから生成部130及び位相補正部140へ向けて出力される。
【0104】
<動作>
次に、上記のように構成された信号処理装置100Cにおける信号処理動作について説明する。
【0105】
信号源910からの信号SIAが、入力端子191を介して信号処理装置100Cで受信されると、信号処理装置100Cでは、信号SIAが、直交信号生成部110Cに供給される(図13参照)。信号SIAの供給を受けた直交信号生成部110Cでは、まず、帯域制限フィルタ111が、信号SIAにおける角周波数ωCを含む所定の周波数帯域の信号成分を選択的に通過させ、周波数帯域が制限された帯域制限信号LSIとして直交化部112Cへ送る(図14参照)。この結果、図16において二点鎖線で示されるように、信号SIAが角周波数ωCよりも大きな周波数領域に広く信号成分を有する場合であっても、例えば、図17に示されるように、信号成分の周波数帯域が制限される。
【0106】
帯域制限信号LSIを受けた直交化部112Cは、帯域制限信号LSIに基づいて、互いに直交する2つの信号OSC1,OSC2を生成し、FIL113C1,113C2へ送る(図14参照)。ここで、信号OSCj(j=1,2)のそれぞれは、図18に示されるように、パイロット信号PSに対応する信号成分として、角周波数(ωSH−ωC)の信号成分PSMj及び角周波数(ωSH+ωC)の信号成分PSPjの2つの信号成分を含んでいる。
【0107】
なお、本実施形態では、直交化部112Cが帯域制限信号LSIの周波数変換を行うことにしている。このため、上述した図16において二点鎖線で示されるように、角周波数ωCよりも高い周波数領域に広く信号成分を有する信号SIAの周波数変換を行った場合に生じ得る信号成分PSMj及び信号成分PSPjへのノイズの混入(図18における一点鎖線を参照)を防止することができるようになっている。
【0108】
引き続き、信号OSC1を受けたFIL113C1が、信号OSC1における角周波数(ωSH−ωC)の成分、すなわち、パイロット信号PSに対応する信号成分を選択的に通過させ、サンプリング角周波数ωSM1の信号PSC1として位相算出部120Cへ向けて出力する。また、信号OSC2を受けたFIL113C2が、信号OSC2における角周波数(ωSH−ωC)の成分、すなわち、パイロット信号PSに対応する信号成分を選択的に通過させ、サンプリング角周波数ωSM1の信号PSC2として位相算出部120Cへ向けて出力する(図14参照)。
【0109】
ここで、信号PSC1は、上述した(12)式で表される波形となる。一方、信号PSC2は、上述した(13)式で表される波形となる。
【0110】
信号PSC1,PSC2を受けた位相算出部120Cは、上述したように動作して、パイロット信号PSを反映した位相θCEを算出する。こうして算出された位相θCEは、信号PHAとして生成部130及び位相補正部140へ送られる(図13参照)。
【0111】
以後、第1実施形態の信号処理装置100Aの場合と同様に、信号PHAを受けた生成部130が生成角周波数ωCEを生成し、信号FRQとして位相補正部140へ送る(図13参照)。かかる信号FRQ及び位相算出部120Cからの信号PHAを受けた位相補正部140は、信号PSの位相θC(t)を算出する。こうして算出された位相θC(t)は、信号PHMとして、位相補正部140から基準信号生成部150へ送られる(図13参照)。
【0112】
信号PHMを受けた基準信号生成部150は、第1実施形態の信号処理装置100Aの場合と同様に、信号PHMに基づいて、角周波数2ωCの基準信号BSAを生成する。こうして生成された基準信号BSAは、出力端子192を介して外部へ出力される(図13参照)。
【0113】
以上説明したように、本第3実施形態では、第1実施形態の場合と同様に、角周波数ωCのパイロット信号PSを含む信号SIAから、PLL方式におけるフィードバックループや、位相生成のための基準となるベース信号を用いることなく、パイロット信号PSの位相θC(t)を導出する。このため、簡易にかつ迅速にパイロット信号PSとの同期が図られた基準信号BSAを生成することができる。
【0114】
また、本第3実施形態では、直交信号生成部110Cにおいて、パイロット信号PSを直交化して取り出す際に生じる位相シフトの周波数特性を、生成部130において生成された角周波数に基づいて補正している。このため、パイロット信号PSの角周波数に変動があった場合でも、パイロット信号PSとの同期が精度良く図られた基準信号BSAを生成することができる。
【0115】
また、本第3実施形態では、直交化部112Cにおいて周波数変換を行いつつ直交化を行うので、ヒルベルト変換等を用いて直交化する場合と比べて演算量を削減することができる。
【0116】
また、本第3実施形態では、帯域制限フィルタ111により信号SIAを帯域制限した帯域制限信号LSIを、周波数変換を行いつつ直交化するので、パイロット信号PSの周波数変換結果へのノイズの混入を低減させることができる。
【0117】
なお、本第3実施形態では、位相算出部120Cで算出した位相θCE(t)の補正を位相補正部140において行うようにしたが、位相算出部120Cにおいて位相補正を行った位相を算出するようにし、位相補正部140を省略するようにしてもよい。
【0118】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態を、図19〜図21を主に参照しつつ説明する。
【0119】
<構成>
図19には、本第4実施形態に係る信号処理装置100Dの概略的な構成がブロック図にて示されている。この信号処理装置100Dは、第3実施形態における信号処理装置100Cと同様に、信号源910から出力された信号SIAを、入力端子191を介して受信して処理し、出力端子192から基準信号BSAとして出力する装置である。
【0120】
図19に示されるように、信号処理装置100Dは、上述した信号処理装置100Cと比べて、周波数生成装置180Cに代えて周波数生成装置180Dを備えるとともに、位相補正部140に代えて周波数変換制御部146を備える点のみが異なっている。そして、周波数生成装置180Dは、上述した周波数生成装置180Cと比べて、直交信号生成部110Cに代えて直交信号生成部110Dを備えるとともに、位相算出部120Cに代えて位相算出部120Dを備える点のみが異なっている。以下、これらの相違点に主に着目して説明する。
【0121】
直交信号生成部110Dは、図20に示されるように、直交信号生成部110Cと比べて、直交化部112Cに代えて直交化部112Dを備える点が異なっている。この直交化部112Dは、図21に示されるように、上記の直交化部112Cと比べて、発振部210Cに代えて発振部210Dを備える点のみが異なっている。
【0122】
発振部210Dは、周波数変換制御部146からの信号FTCで指定された角周波数ωSHMの正弦波を生成することにより、乗算部2201へ供給すべき信号OTV1、及び、乗算部2202へ供給すべき信号OTV2を発生する。本第4実施形態では、信号OTV1及び信号OTV2は、次の(14)及び(15)式で表されるようになっている。
OTV1(t)=B0・cos(ωSHM・t) …(14)
OTV2(t)=B0・sin(ωSHM・t) …(15)
ここで、B0は定数である。
【0123】
なお、角周波数ωSHMは、角周波数(ωSHM−ωC)の信号に対して帯域制限フィルタ111とFIL113C1との組、又は、帯域制限フィルタ111とFIL113C2との組によって付与される位相シフトΔθが所定値Δθ0となるように、周波数変換制御部146により定められるようになっている。
【0124】
この結果、直交信号生成部110Dから出力される信号PSD1,PSD2は、次の(16)及び(17)式で表される。
PSD1(t)=A(t)・sin[ωSHMt−(ωCt+φ0)+Δθ0] …(16)
PSD2(t)=A(t)・cos[ωSHMt−(ωCt+φ0)+Δθ0] …(17)
【0125】
図19に戻り、位相算出部120Dは、直交信号生成部110Dからの信号PSD1及び信号PSD2、並びに周波数変換制御部146からの信号FTCで指定された角周波数ωSHMに基づいて、パイロット信号PSの位相θC(t)を算出する。かかる算出に際して、位相算出部120Dは、例えば、信号PSD1及び信号PSD2についてarctan等の演算を行って、位相θC(t)を算出する。
【0126】
こうして算出された位相θC(t)は、信号PHMとして、位相算出部120Dから生成部130及び基準信号生成部150へ向けて出力される。
【0127】
周波数変換制御部146は、生成部130からの信号FRQを受ける。そして、周波数変換制御部146は、信号FRQとして受けた生成角周波数ωCEに基づいて、帯域制限フィルタ111とFIL113C1との組、又は、帯域制限フィルタ111とFIL113C2との組によって付与される位相シフトΔθが、所定値Δθ0となる角周波数(ωSHM−ωCE)とするための角周波数ωSHMを求める。こうして求められた角周波数ωSHMは、信号FTCとして、直交信号生成部110D(より詳しくは、発振部210D)及び位相算出部120Dへ向けて出力される。
【0128】
なお、本第4実施形態では、位相算出部120Dから出力された信号PHMが、基準信号生成部150により直接受信されるようになっている。
【0129】
<動作>
次に、上記のように構成された信号処理装置100Dにおける信号処理動作について説明する。
【0130】
信号源910からの信号SIAが、入力端子191を介して信号処理装置100Dで受信されると、信号処理装置100Dでは、信号SIAが直交信号生成部110Dに供給される(図19参照)。信号SIAの供給を受けた直交信号生成部110Dでは、帯域制限フィルタ111が、信号SIAにおける角周波数ωCを含む所定の周波数帯域の信号成分を選択的に通過させ、周波数帯域が制限された帯域制限信号LSIとして直交化部112Dへ送る(図20参照)。
【0131】
帯域制限信号LSIを受けた直交化部112Dは、上述したように、帯域制限信号LSI及び周波数変換制御部146からの信号FTCに基づいて、互いに直交する2つの信号OSD1,OSD2を生成し、FIL113C1,113C2へ送る(図21参照)。引き続き、信号OSD1を受けたFIL113C1が、信号OSD1における角周波数(ωSHM−ωC)の成分、すなわち、パイロット信号PSに対応する信号成分を選択的に通過させ、信号PSD1として位相算出部120Dへ向けて出力する。また、信号OSD2を受けたFIL113C2が、信号OSD2における角周波数(ωSHM−ωC)の成分、すなわち、パイロット信号PSに対応する信号成分を選択的に通過させ、信号PSD2として位相算出部120Dへ向けて出力する(図20参照)。
【0132】
信号PSD1,PSD2を受けた位相算出部120Dは、上述したように動作して、パイロット信号PSの位相θC(t)を算出する。こうして算出された位相θC(t)は、信号PHMとして生成部130及び基準信号生成部150へ送られる(図19参照)。
【0133】
信号PHMを受けた生成部130は、第1実施形態の場合と同様にして、各時点における生成角周波数ωCEを生成し、信号FRQとして周波数変換制御部146へ送る。信号FRQを受けた周波数変換制御部146は、信号FRQとして受けた生成角周波数ωCEに基づいて、角周波数(ωSHM−ωCE)の信号に対して帯域制限フィルタ111とFIL113C1との組、又は、帯域制限フィルタ111とFIL113C2との組によって付与される位相シフトΔθが所定値Δθ0となる角周波数ωSHMを求める。こうして求められた角周波数ωSHMは、信号FTCとして、直交信号生成部110D(より詳しくは、発振部210D)及び位相算出部120Dへ送られる(図19参照)。
【0134】
以上の直交信号生成部110D、位相算出部120D、生成部130及び周波数変換制御部146により形成される制御ループの作用により、位相算出部120Dからは、上記の第3実施形態における位相補正部140から出力される信号PHMと同等に精度良くパイロット信号PSの位相θC(t)を反映した値が出力されることになる。この意味で、本第4実施形態においては、位相算出部120Dからの出力信号を信号PHMと記している。
【0135】
信号PHMを受けた基準信号生成部150は、上記の第3実施形態の場合と同様にして、信号PHMに基づいて、角周波数2ωCの基準信号BSAを生成する。こうして生成された基準信号BSAは、出力端子192を介して外部へ出力される(図19参照)。
【0136】
以上説明したように、本第4実施形態では、上述の第3実施形態の場合と同様に、角周波数ωCのパイロット信号PSを含む信号SIAから、PLL方式におけるフィードバックループや、位相生成のための基準となるベース信号を用いることなく、パイロット信号PSの位相θCを導出する。このため、簡易にかつ迅速にパイロット信号PSとの同期が図られた基準信号BSAを生成することができる。
【0137】
また、本第4実施形態では、直交信号生成部110Dにおいて、パイロット信号PSを直交化して取り出す際に生じる位相シフトが所定値となるように、直交化部112Dにおける周波数変換を制御する。したがって、パイロット信号PSの角周波数に変動があった場合でも、パイロット信号PSとの同期が精度良く図られた基準信号BSAを生成することができる。
【0138】
また、本第4実施形態では、第3実施形態の場合と同様に、直交化部112Dにおいて周波数変換を行いつつ直交化を行うので、ヒルベルト変換等を用いて直交化する場合と比べて演算量を削減することができる。
【0139】
また、本第4実施形態では、第3実施形態の場合と同様に、帯域制限フィルタ111により信号SIAを帯域制限した帯域制限信号LSIを、周波数変換を行いつつ直交化するので、パイロット信号PSの周波数変換結果へのノイズの混入を低減させることができる。
【0140】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態を、図22〜図25を主に参照しつつ説明する。
【0141】
<構成>
図22には、本第5実施形態に係る信号処理装置100Eの概略的な構成がブロック図にて示されている。この信号処理装置100Eは、信号源910から出力された信号SIAを、入力端子191を介して受信して処理し、信号SIAに含まれるパイロット信号PSの角周波数及び振幅を再現した信号MPSを出力端子192から出力する装置である。
【0142】
図22に示されるように、信号処理装置100Eは、上述した信号処理装置100Aと比べて、位相補正部140及び基準信号生成部150に代えて利得補正部160を備える点のみが異なっている。以下、この相違点に主に着目して説明する。
【0143】
なお、直交信号生成部110AにおけるFIL113A1(図3参照)は、利得の角周波数依存性を有している。本第5実施形態においては、FIL113A1の利得の角周波数依存性は、図23に示される通りであるものとする。
【0144】
図22に戻り、利得補正部160は、直交信号生成部110Aから出力された信号PSA1を、生成部130からの信号FRQによって報告された生成角周波数ωCMに基づいて定められる増幅率によって増幅する。かかる機能を有する利得補正部160は、図24に示されるように、振幅補正計算手段としての増幅部161と、利得制御部162とを備えている。
【0145】
増幅部161は、A端子で受けた信号を、B端子で受けた信号により指定された増幅率で増幅し、増幅結果をC端子から出力する。ここで、増幅部161は、直交信号生成部110Aからの信号PSA1をA端子で受けるとともに、利得制御部162からの信号GCTをB端子で受ける。そして、C端子から利得補正信号MPSを出力するようになっている。
【0146】
利得制御部162は、記憶手段としての利得補正テーブル163を備えて構成されている。この利得補正テーブル163には、図25に示されるような角周波数ωに対応して定められた増幅率A(ω)が、予め登録されている。ここで、増幅率A(ω)としては、上述した図23に示されるFIL113A1の利得の角周波数依存性を相殺する値が登録されている。
【0147】
利得制御部162は、生成部130からの信号FRQを受ける。そして、利得制御部162は、信号FRQとして受けた生成角周波数ωCEに基づいて、利得補正テーブル163を参照し、増幅率A(ωCE)を読み出す。こうして読み出された増幅率A(ωCE)が、信号GCTとして増幅部161へ向けて出力される。
【0148】
この結果、増幅部161からは、信号SIAに含まれるパイロット信号PSの振幅に正確に比例した振幅の信号が出力される。こうして増幅部161により増幅された信号が、信号MPSとして、出力端子192を介して外部へ出力される。
【0149】
<動作>
次に、上記のように構成された信号処理装置100Eにおける信号処理動作について説明する。
【0150】
信号源910からの信号SIAが、入力端子191を介して信号処理装置100Eで受信されると、信号処理装置100Eでは、信号SIAが直交信号生成部110Aに供給される(図22参照)。信号SIAの供給を受けた直交信号生成部110Aでは、第1実施形態の場合と同様にして、パイロット信号PSに対応する信号PSA1,PSA2が生成される。そして、信号PSA1が、位相算出部120A及び利得補正部160へ送られるとともに、信号PSA2が、位相算出部120Aへ送られる(図22参照)。
【0151】
信号PSA1,PSA2を受けた位相算出部120Aは、例えば、信号PSA1及び信号PSA2についてarctan等の演算を行って、位相θC(t)を算出する。こうして算出された位相θC(t)は、信号PHAとして位相算出部120Aから生成部130へ送られる(図22参照)。
【0152】
信号PHAを受けた生成部130は、第1実施形態の場合と同様に動作して、生成角周波数ωCEを生成する。こうして生成された生成角周波数ωCEは、信号FRQとして利得補正部160へ送られる(図22参照)。
【0153】
信号FRQを受けた利得補正部160では、利得制御部162が、信号FRQとして受けた生成角周波数ωCEに基づいて、利得補正テーブル163を参照し、増幅率A(ωCE)を読み出し、信号GCTとして増幅部161へ送る(図24参照)。信号GCTを受けた増幅部161は、信号GCTとして受けた増幅率A(ωCE)で、直交信号生成部110Aからの信号PSA1を増幅する。この増幅結果が、信号MPSとして、出力端子192を介して外部へ出力される(図24参照)。
【0154】
以上説明したように、本第5実施形態では、上述の第1実施形態の場合と同様に、角周波数ωCのパイロット信号PSを含む信号SIAから、PLL方式におけるフィードバックループや、位相生成のための基準となるベース信号を用いることなく、パイロット信号PSの位相θC(t)を導出する。このため、簡易にかつ迅速にパイロット信号PSとの同期が図られた信号MPSを生成することができる。
【0155】
また、本第5実施形態では、直交信号生成部110Aにおいて、パイロット信号PSを直交化して取り出す際に生じる利得の周波数特性を、生成部130において生成された角周波数に基づいて補正している。このため、パイロット信号PSの角周波数に変動があった場合でも、パイロット信号PSの振幅に正確に比例する振幅の信号MPSを生成することができる。
【0156】
[実施形態の変形]
本発明は、上記の第1〜第5実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0157】
例えば、上記の第1〜第4実施形態では、基準信号として、パイロット信号PSの角周波数ωCの2倍の角周波数2ωCを有する信号を生成するようにした。これに対し、信号源から信号における加工対象信号成分の態様に応じて、角周波数ωCの任意倍の角周波数を有する信号を、基準信号として生成するようにすることもできる。さらに、第3実施形態の場合には、角周波数ωCとシフト角周波数との任意の線形結合によって得られる角周波数を有する信号を基準信号として生成するようにすることもできる。
【0158】
また、上記の第1〜第4実施形態では、1種類の基準信号を生成することにしたが、複数種類の基準信号を生成するようにすることもできる。
【0159】
また、上記の第3及び第4の実施形態では、周波数変換後のパイロット信号PSに対応する信号のうち、低周波側の信号を抽出して利用するようにしたが、高周波側の信号を抽出して利用するようにしてもよい。
【0160】
また、上記の第5実施形態では、パイロット信号PSの同相の信号PSA1の利得を補正するようにしたが、信号PSA1に直交する信号PSA2の利得を補正するようにしてもよい。
【0161】
また、第1実施形態に対する第2実施形態への変形を、第3又は第4実施形態に適用することもできるし、第1実施形態に対する第3又は第4実施形態への変形を、第2実施形態に適用することもできる。
【0162】
また、第1実施形態に対する第5実施形態への変形を、第2〜4実施形態に適用することもできるし、第1実施形態に対する第2〜4実施形態への変形を、第5実施形態に適用することもできる。
【0163】
第1実施形態と第5実施形態とを組み合わせることもできる。
【0164】
なお、第1〜第5実施形態の信号処理装置を、DSP(Digital Signal Processor)におけるプログラムの実行によって実現することができる。これらのプログラムは、CD−ROM、DVD等の可搬型記録媒体に記録された形態で取得されるようにしてもよいし、インターネットなどのネットワークを介した配送の形態で取得されるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】本発明の第1実施形態に係る信号処理装置の概略的な構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態において想定する信号源からの信号の周波数分布を説明するための図である。
【図3】図1における直交信号生成部の構成を示すブロック図である。
【図4】図3における直交化部の構成を示すブロック図である。
【図5】図3のフィルタ(FIL)の位相シフトの周波数依存性の例を説明するための図である。
【図6】図1における生成部の構成を説明するためのブロック図である。
【図7】図1における位相補正部の構成を説明するためのブロック図である。
【図8】図7における位相補正テーブルの登録内容を説明するための図である。
【図9】図1の装置における基準信号生成部の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る信号処理装置の概略的な構成を示すブロック図である。
【図11】図10における直交信号生成部の構成を示すブロック図である。
【図12】図11のフィルタ(FIL)の位相シフトの周波数依存性の可変性を説明するための図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係る信号処理装置の概略的な構成を示すブロック図である。
【図14】図13における直交信号生成部の構成を示すブロック図である。
【図15】図14における直交化部の構成を示すブロック図である。
【図16】第3実施形態において想定する信号源からの信号の周波数分布を説明するための図である。
【図17】帯域制限フィルタから出力される帯域制限信号の周波数分布を説明するための図である。
【図18】図15の直交化部による周波数変換結果を示すための図である。
【図19】本発明の第4実施形態に係る信号処理装置の概略的な構成を示すブロック図である。
【図20】図19における直交信号生成部の構成を示すブロック図である。
【図21】図20における直交化部の構成を示すブロック図である。
【図22】本発明の第5実施形態に係る信号処理装置の概略的な構成を示すブロック図である。
【図23】図22の装置におけるフィルタ(FIL)の利得の周波数依存性の例を説明するための図である。
【図24】図22における利得補正部の構成を説明するためのブロック図である。
【図25】図24における利得補正テーブルの登録内容を説明するための図である。
【符号の説明】
【0166】
100A〜100E … 信号処理装置
111 … 帯域制限フィルタ(帯域制限手段)
112A〜112D … 直交化部(直交化手段)
113A1,113A2 … フィルタ(フィルタ手段)
113B1,113B2 … フィルタ(フィルタ手段)
113C1,113C2 … フィルタ(フィルタ手段)
120A,120C … 位相算出部(位相算出手段)
130 … 生成部(生成手段)
131 … 周波数算出部(第1段階算出手段)
132 … ローパスフィルタ(第2段階算出手段)
140 … 位相補正部(補正手段)
141 … 加算部(位相補正計算手段)
143 … 位相補正テーブル(記憶手段)
145 … フィルタ制御部(補正手段)
146 … 周波数変換制御部(補正手段)
160 … 利得補正部(補正手段)
161 … 増幅部(振幅補正計算手段)
163 … 利得補正テーブル(記憶手段)
180A〜180D … 周波数生成装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、周波数生成装置、周波数生成方法、周波数生成プログラム、及び、当該周波数生成プログラムが記録された記録媒体、並びに、信号処理装置、信号処理方法、信号処理プログラム、及び、当該信号処理プログラムが記録された記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、復調処理等のための基準となるパイロット信号等の所定信号を含む信号をFM(Frequency Modulation)変調した信号であるFM放送波等を受信して処理するFM受信装置等が広く普及している。こうした装置においては、当該所定信号を再生したり、当該所定信号の周波数の整数倍の周波数の信号を生成したりするために、位相同期ループ(PLL)の手法が一般的に採用されている(特許文献1参照;以下、「従来例1」という)。
【0003】
かかる従来例1の技術とは別に、PLLの手法を採用せずに、当該所定信号を再生したり、当該所定信号の周波数の整数倍の周波数の信号を生成したりする技術も提案されている(特許文献2参照;以下、「従来例2」という)。この従来例の技術では、内部的に発生したベースとなる信号と、当該所定信号との位相差を求める。そして、求められた位相差を当該ベースとなる信号に付与することにより、所定信号の再生を行っている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−13339号公報
【特許文献2】特表2006−528451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来例1の技術ではPLLの手法を採用するが、PLLは、一般に設計が難しい。また、PLLの手法を用いた場合には、例えばFM放送波の移動受信等の場合のように受信環境が変化する状況においては、当該所定信号に対して追従性良く同期させることは困難である。
【0006】
また、上述した従来例2の技術では、当該所定信号の位相に合わせるための基準となる信号が必要である。しかしながら、マルチパスの発生などにより、当該所定信号の周波数や位相が変動する場合には、精度良く当該所定信号と同期をとるための基準信号を生成することは、必ずしも容易ではない。
【0007】
さらに、当該所定信号を再生した信号や、当該所定信号に同期した信号(以下、「基準信号」とも呼ぶ)の生成のためには、所定信号又は当該所定信号に対応する信号を、周波数をキーに抽出することが必要となるが、かかる抽出にはフィルタを用いることになる。ここで、当該フィルタは、一般的に、通過する信号の周波数によって位相ずれや、振幅変化の特性が異なる。このため、所望の基準信号を精度良く生成するためには、当該フィルタの特性を考慮することが必要となる。例えば、振幅変化の特性が精度良く特定できなければ、FM信号におけるパイロット信号のキャンセル処理を精度良く行うことができない。
【0008】
このため、簡易にかつ迅速に所定信号との同期が精度良く図りつつ、入力信号を精度良く処理することができる新たな技術が待望されている。かかる要請に応えることが、本発明が解決すべき課題の一つとして挙げられる。
【0009】
本発明は、上記を鑑みてなされたものであり、入力信号に含まれる所定信号に対応する周波数を精度良く生成することができる周波数生成装置及び周波数生成方法を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、入力信号に含まれる所定信号に精度良く同期するとともに、入力信号を精度良く補正処理することができる信号処理装置及び信号処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、入力信号に含まれる所定信号に対応する周波数を生成する周波数生成装置であって、少なくとも前記所定信号について直交化を行う処理を行い、前記所定信号に対応する成分が互いに直交する第1直交化信号及び第2直交化信号を生成する直交化手段と;前記第1直交化信号に含まれ、前記所定信号の位相を反映した位相を有する第1信号、及び、前記第2直交化信号に含まれ、前記第1信号と直交する第2信号を選択的に通過させるフィルタ手段と;前記第1信号及び前記第2信号に基づいて、前記所定信号を反映した信号の位相を算出する位相算出手段と;前記位相算出手段による算出結果に基づいて、前記所定信号に対応する周波数を生成する生成手段と;を備えることを特徴とする信号処理装置である。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の周波数生成装置と;前記周波数生成装置により生成された周波数に基づいて、前記フィルタ手段の周波数特性の影響を受けている補正対象信号を補正する補正手段と;を備えることを特徴とする信号処理装置である。
【0013】
請求項16に記載の発明は、入力信号に含まれる所定信号に対応する周波数を生成する周波数生成方法であって、少なくとも前記所定信号について直交化を行う処理を行い、前記所定信号に対応する成分が互いに直交する第1直交化信号及び第2直交化信号を生成する直交化工程と;前記第1直交化信号に含まれ、前記所定信号の位相を反映した位相を有する第1信号、及び、前記第2直交化信号に含まれ、前記第1信号と直交する第2信号を選択的に通過させるフィルタリング工程と;前記第1信号及び前記第2信号に基づいて、前記所定信号を反映した信号の位相を算出する位相算出工程と;前記位相算出工程における算出結果に基づいて、前記所定信号に対応する周波数を生成する生成工程と;を備えることを特徴とする周波数生成方法である。
【0014】
請求項17に記載の発明は、請求項16に記載の周波数生成方法により、所定信号に対応する周波数を生成する周波数生成工程と;前記周波数生成工程において生成された周波数に基づいて、前記フィルタリング工程における処理の周波数特性の影響を受けている補正対象信号を補正する補正工程と;を備えることを特徴とする信号処理方法である。
【0015】
請求項18に記載の発明は、請求項16に記載の周波数生成方法を演算手段に実行させる、ことを特徴とする周波数生成プログラムである。
【0016】
請求項19に記載の発明は、請求項17に記載の信号処理方法を演算手段に実行させる、ことを特徴とする信号処理プログラムである。
【0017】
請求項20に記載の発明は、請求項18に記載の周波数生成プログラムが、演算手段により読み取り可能に記録されている、ことを特徴とする記録媒体である。
【0018】
請求項21に記載の発明は、請求項19に記載の信号処理プログラムが、演算手段により読み取り可能に記録されている、ことを特徴とする記録媒体である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明においては、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0020】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態を、図1〜図9を参照しつつ説明する。
【0021】
<構成>
図1には、本第1実施形態に係る信号処理装置100Aの概略的な構成がブロック図にて示されている。この信号処理装置100Aは、信号源910から出力された信号SIAを、入力端子191を介して受信して処理し、出力端子192から基準信号BSAとして出力する装置である。
【0022】
本第1実施形態では、信号SIAは、図2に示されるように、角周波数ωcのパイロット信号PSを含んでいるものとする。ここでパイロット信号PSの角周波数ωCは、わずかではあるが、標準角周波数ωC0から時間的に変動することがあることを想定している。
【0023】
また、本第1実施形態においては、説明を簡略化するため、信号SIAに含まれているパイロット信号PSは、次の(1)式によって表されるものとする。
PS(t)∝sin[θC(t)]=sin(ωCt+φ0) …(1)
ここで、値φ0は、時間t=0としたときのパイロット信号PSの位相である。
【0024】
なお、信号処理装置100Aが車両等の移動体に搭載される場合に、角周波数ωCや、初期位相値φ0が、僅かとはいえ変化することになる。
【0025】
かかる(1)式で表される信号としては、例えば、FM放送波をFM検波した信号であるコンポジット信号中のパイロット信号等を挙げることができる。
【0026】
図1に戻り、信号処理装置100Aは、周波数生成装置180Aと、補正手段としての位相補正部140とを備えている。さらに、信号処理装置100Aは、基準信号生成部150を備えている。ここで、周波数生成装置180Aは、直交信号生成部110Aと、位相算出手段としての位相算出部120Aと、生成手段としての生成部130とを備えている、
【0027】
上記の直交信号生成部110Aは、入力端子191を介して受信した信号SIAから、それぞれが角周波数ωCを含む帯域の信号であって、角周波数ωCの成分が互いに直交する2つの信号PSA1,PSA2を生成する。かかる機能を有する直交信号生成部110Aは、図3に示されるように、直交化手段としての直交化部112Aと、フィルタ手段としてのフィルタ(FIL)113A1,113A2とを備えている。
【0028】
直交化部112Aは、信号SIAに含まれる角周波数ωCの成分(すなわち、パイロット信号PS)に基づいて、互いに直交するとともに、パイロット信号PSの位相θC(t)を反映した2つの信号OSA1,OSA2を生成する。かかる機能を有する直交化部112Aは、図4に示されるように、角周波数ωCの信号に関する90°移相部119を備えている。
【0029】
このように構成された直交化部112Aでは、受信した信号SIAと同相の信号が、信号OSA1として、FIL113A1へ向けて出力される。一方、直交化部112Aにおいては、受信した信号SIAについて、角周波数ωCの成分について90°だけ位相がずらされ、信号OSA2としてFIL113A2へ向けて出力する。
【0030】
図3に戻り、FIL113A1は、例えば無限インパルス応答フィルタ(IIR)等のデジタルフィルタとして構成されている。このFIL113A1は、直交化部112Aからの信号OSA1を受ける。そして、FIL113A1は、信号OSA1における角周波数が角周波数ωC0の近傍の成分、すなわち、パイロット信号PSに対応する信号成分を選択的に通過させ、信号PSA1として位相算出部120Aへ向けて出力する。
【0031】
なお、FIL113A1を介することにより、フィルタリング演算に伴う位相シフトΔθが発生する場合がある。この位相シフトΔθは、例えば、図5に示されるように、角周波数依存性を有している。本第1実施形態では、かかる位相シフトΔθが発生するものとする。ここで、FIL113A1による位相シフトΔθの角周波数依存性は、FIL113A1の構成にて定まるものであり、FIL113A1の設計段階で定まる。本第1実施形態では、図5に示されるように、角周波数ωC0の信号には位相シフトΔθ0が発生するものとする。
【0032】
この場合、かかるFIL113A1から出力される信号PSA1は、次の(2)式のように表される。
PSA1(t)=A(t)・sin[θS(t)]
=A(t)・sin[θC(t)−Δθ(ωC)]
=A(t)・sin[(ωCt+φ0)−Δθ(ωC)] …(2)
ここで、A(t)は、パイロット信号PSの振幅値を表す。
【0033】
図3に戻り、FIL113A2は、FIL113A1と同様に構成されている。このFIL113A2は、直交化部112Aからの信号OSA2を受ける。そして、FIL113A2は、信号OSA2における角周波数ωCの成分、すなわち、パイロット信号PSに対応する信号成分を選択的に通過させ、信号PSA2を出力する。
【0034】
かかるFIL113A2から出力される信号PSA2は、次の(3)式のように表される。
PSA2(t)=A(t)・cos[θS(t)]
=A(t)・cos[θC(t)−Δθ(ωC)]
=A(t)・cos[(ωCt+φ0)−Δθ(ωC)] …(3)
【0035】
図1に戻り、位相算出部120Aは、直交信号生成部110Aからの信号PSA1及び信号PSA2に基づいて、パイロット信号PSの位相θCE(t)を算出する。かかる算出に際して、位相算出部120Aは、例えば、信号PSA1及び信号PSA2についてarctan等の演算を行って、位相θCE(t)を算出する。
【0036】
こうして算出された位相θCE(t)は、信号PHAとして、位相算出部120Aから生成部130及び位相補正部140へ向けて出力される。
【0037】
生成部130は、位相算出部120Aからの信号PHAに基づいて、角周波数ωCの値を生成する。かかる機能を有する生成部130は、図6に示されるように、周波数算出部131と、ローパスフィルタ(LPF)132とを備えている。
【0038】
周波数算出部131は、位相算出部120Aからの信号PHAを受ける。そして、周波数算出部131は、信号PHAとして受けた位相θCE(t)の位相差から、各時点における角周波数ωC1(t)を算出する。こうして算出された角周波数ωC1(t)は、信号FRCとして、LPF132へ向けて出力される。
【0039】
LPF132は、周波数算出部131からの信号FRCを受ける。そして、LPF132は、信号FRCとして受けた各時点の角周波数の不要な変動成分を除去した信号を、角周波数ωC2(t)として出力する。かかる角周波数ωC2(t)が生成部130による最終生成結果である。
【0040】
こうして生成された角周波数ωC2(t)は、信号FRQとして、LPF132から位相補正部140へ向けて出力される。なお、以下の説明においては、角周波数ωC2(t)を、「生成角周波数ωCE」とも記す。
【0041】
図1に戻り、位相補正部140は、生成部130からの信号FRQとして受けた生成角周波数ωCEを利用して、位相算出部120Aからの信号PHAとして受けた位相θCE(t)を補正する。かかる機能を有する位相補正部140は、図7に示されるように、位相補正計算手段としての加算部141と、補正制御部142とを備えている。
【0042】
加算部141は、A端子で受けた信号と、B端子で受けた信号とを加算し、加算結果をC端子から出力する。ここで、加算部141は、位相算出部120Aからの信号PHAをA端子で受けるとともに、補正制御部142からの信号MPVをB端子で受ける。そして、C端子から補正位相信号PHMを出力するようになっている。
【0043】
補正制御部142は、記憶手段としての位相補正テーブル143を備えて構成されている。この位相補正テーブル143には、図8に示されるような角周波数ωに対応する補正値δθ(ω)が、予め登録されている。
【0044】
図7に戻り、補正制御部142は、生成部130からの信号FRQを受ける。そして、補正制御部142は、信号FRQとして受けた生成角周波数ωCEに基づいて、位相補正テーブル143を参照し、補正値δθ(ωCE)を読み出す。こうして読み出された補正値δθ(ωCE)が、値δθ(ωC)とみなされ、信号MPVとして加算部141へ向けて出力される。
【0045】
この結果、加算部141では、次の(4)式の計算が行われ、入力端子191で受信した状態におけるパイロット信号PSの位相θC(t)が精度良く算出される。
θC(t)=θCE(t)+δθ(ωC) =(ωCt+φ0) …(4)
【0046】
こうして算出された位相θC(t)が、信号PHMとして、位相補正部140から基準信号生成部150へ向けて出力される。
【0047】
図1に戻り、基準信号生成部150は、位相補正部140からの信号PHMに基づいて、パイロット信号PSに同期し、角周波数2ωCの基準信号BSAを生成する。かかる機能を有する基準信号生成部150は、図9に示されるように、位相加工部151と、信号発生部152とを備えている。
【0048】
位相加工部151は、位相補正部140からの信号PHMを受けて、信号PHMが示す位相θC(t)を加工する。本第1実施形態においては、位相加工部151は、次の(5)式により、位相θM(t)を算出する。
θM(t)=2θC(t)=2(ωCt+φ0) …(5)
【0049】
すなわち、本第1実施形態では、位相加工部151は、パイロット信号PSに同期し、角周波数2ωCで変化する位相θM(t)を算出する。こうして算出された位相θM(t)は、位相加工信号MPAとして信号発生部152へ向けて出力される。
【0050】
信号発生部152は、位相加工部151からの位相加工信号MPAに基づいて、基準信号BSAを生成する。本第1実施形態では、信号発生部152は、位相値に対応した振幅値が登録された正弦値テーブルを備えており、位相加工信号MPAによって示された位相θM(t)の正弦波信号を基準信号BSAとして生成する。
【0051】
この基準信号BSAは、次の(6)式で表される。
BSA(t)=C0・sin[θM(t)]
=C0・sin[2θC(t)]
=C0・sin[2(ωCt+φ0)] …(6)
ここで、C0は定数である。
【0052】
こうして生成された基準信号BSAは、出力端子192を介して外部へ出力される。
【0053】
<動作>
次に、上記のように構成された信号処理装置100Aにおける信号処理動作について説明する。
【0054】
信号源910からの信号SIAが、入力端子191を介して信号処理装置100Aで受信されると、信号処理装置100Aでは、信号SIAが直交信号生成部110Aに供給される(図1参照)。信号SIAの供給を受けた直交信号生成部110Aでは、まず、直交化部112Aが、信号SIAに含まれる角周波数ωCの成分が互いに直交する2つの信号OSA1,OSA2を生成し、FIL113A1,113A2へ送る(図4参照)。
【0055】
引き続き、信号OSA1を受けたFIL113A1が、信号OSA1における角周波数ωCの成分、すなわち、パイロット信号PSに対応する信号成分を選択的に通過させ、信号PSA1として位相算出部120Aへ向けて出力する。また、信号OSA2を受けたFIL113A2が、信号OSA2における角周波数ωCの成分、すなわち、パイロット信号PSに対応する信号成分を選択的に通過させ、信号PSA2として位相算出部120Aへ向けて出力する(図3参照)。
【0056】
ここで、信号PSA1は、上述した(2)式で表される波形となる。一方、信号PSA2は、上述した(3)式で表される波形となる。
【0057】
信号PSA1,PSA2を受けた位相算出部120Aは、上述したように動作して、パイロット信号PSの位相θCE(t)を算出する。こうして算出された位相θCE(t)は、信号PHAとして、生成部130及び位相補正部140へ送られる(図1参照)。
【0058】
信号PHAを受けた生成部130では、周波数算出部131が、信号PHAとして受けた位相θCE(t)の時間変化に基づいて、各時点における角周波数ωC1(t)を算出する。こうして算出された角周波数ωC1(t)は、信号FRCとして、LPF132へ送られる(図6参照)。信号FRCを受けたLPF132は、信号FRCにおける不要な変動成分を除いた角周波数ωC2(t)すなわち生成角周波数ωCEを求め、信号FRQとして位相補正部140へ送る(図6参照)。
【0059】
信号PHA及び信号FRQを受けた位相補正部140では、まず、補正制御部142が、信号FRQとして受けた生成角周波数ωCEに基づいて、位相補正テーブル143を参照し、補正値δθ(ωCE)を読み出す。補正制御部142は、こうして読み出された補正値δθ(ωCE)をその時点における値δθ(ωC)とみなし、信号MPVとして加算部141へ送る(図7参照)。
【0060】
信号PHA及び信号MPVを受けた加算部141は、上述した(4)式により、パイロット信号PSの位相θC(t)を算出する。こうして算出された位相θC(t)は、信号PHMとして、位相補正部140から基準信号生成部150へ送られる(図7参照)。
【0061】
信号PHMを受けた基準信号生成部150は、信号PHMに基づいて、パイロット信号PSに同期し、角周波数2ωCの基準信号BSAを生成する。かかる基準信号BSAの生成に際して、基準信号生成部150では、まず、位相加工部151が、上述した(5)式により、パイロット信号PSに同期し、角周波数2ωCで変化する位相θM(t)を算出し、信号発生部152へ送る(図9参照)。位相θM(t)を受けた信号発生部152は、位相θM(t)に基づいて内部の正弦値テーブルを参照して、上述した(6)式で表される正弦波信号である基準信号BSAを生成する。こうして生成された基準信号BSAは、出力端子192を介して外部へ出力される(図9参照)。
【0062】
以上説明したように、本第1実施形態では、角周波数ωCのパイロット信号PSを含む帯域の信号SIAから、PLL方式におけるフィードバックループや、位相生成のための基準となるベース信号を用いることなく、パイロット信号PSの位相θC(t)を導出する。このため、簡易にかつ迅速にパイロット信号PSとの同期が図られた基準信号BSAを生成することができる。
【0063】
また、本第1実施形態では、直交信号生成部110Aにおいて、パイロット信号PSを直交化して取り出す際に生じる位相シフトの周波数特性を、生成部130において生成された角周波数に基づいて補正している。このため、パイロット信号PSの角周波数に変動があった場合でも、パイロット信号PSとの同期が精度良く図られた基準信号BSAを生成することができる。
【0064】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を、図10〜図12を主に参照しつつ説明する。
【0065】
図10には、本第2実施形態に係る信号処理装置100Bの概略的な構成がブロック図にて示されている。なお、信号処理装置100Bは、第1実施形態における信号処理装置100Aと同様に、信号源910から出力された信号SIAを、入力端子191を介して受信して処理し、出力端子192から基準信号BSAとして出力する装置である。
【0066】
図10に示されるように、信号処理装置100Bは、上述した信号処理装置100Aと比べて、周波数生成装置180Aに代えて周波数生成装置180Bを備えるとともに、位相補正部140に代えてフィルタ制御部145を備える点のみが異なっている。そして、周波数生成装置180Bは、上述した周波数生成装置180Aと比べて、直交信号生成部110Aに代えて直交信号生成部110Bを備える点のみが異なっている。以下、これらの相違点に主に着目して説明する。
【0067】
直交信号生成部110Bは、図11に示されるように、直交信号生成部110Aと比べて、FIL113A1,113A2に代えてFIL113B1,113B2を備える点が異なっている。ここで、FIL113B1とFIL113B2とは、同様に構成されている。
【0068】
FIL113B1,FIL113B2は、フィルタ制御部145からの信号FLCで指定されるフィルタパラメータの値に従って、通過させる信号に付与される位相シフトの周波数特性が、図12に示されるように、変化するようになっている。このため、信号FLCで指定されるフィルタパラメータの値を調整することで、所望の角周波数の値に対して、位相シフトの量を値Δθ0とすることができるようになっている。
【0069】
FIL113B1,FIL113B2を通過した信号成分は、信号PSB1,PSB2として、直交信号生成部110Bから位相算出部120Aへ向けて出力される。
【0070】
図10に戻り、フィルタ制御部145は、生成部130からの信号FRQを受ける。そして、フィルタ制御部145は、信号FRQとして受けた角周波数ωCEに基づいて、角周波数ωCEの信号がFIL113B1,FIL113B2により付与される位相シフト量が値Δθ0となるフィルタパラメータの値を決定する。こうして決定されたフィルタパラメータの値は、信号FLCとして直交信号生成部110B(より詳しくは、FIL113B1,FIL113B2)へ向けて出力される。
【0071】
なお、本第2実施形態では、位相算出部120Aから出力された信号PHMが、基準信号生成部150により直接受信されるようになっている。
【0072】
<動作>
次に、上記のように構成された信号処理装置100Bにおける信号処理動作について説明する。
【0073】
信号源910からの信号SIAが、入力端子191を介して信号処理装置100Bで受信されると、信号処理装置100Bでは、信号SIAが直交信号生成部110Bに供給される(図10参照)。信号SIAの供給を受けた直交信号生成部110Bでは、まず、直交化部112Aが、信号SIAに含まれる角周波数ωCの成分が互いに直交する2つの信号OSA1,OSA2を生成し、FIL113B1,113B2へ送る(図11参照)。
【0074】
FIL113B1,113B2は、現在時点における角周波数ωCEの信号に付与される位相シフト量が値Δθ0となるようなフィルタパラメータが指定されたフィルタ制御部145からの信号FLCに従ったフィルタリングを行う。この結果、FIL113B1,113B2からは、信号OSA1,OSA2における角周波数が角周波数ωC0の近傍の成分、すなわち、パイロット信号PSに対応する信号成分を選択的に通過させ、信号PSB1,PSB2として位相算出部120Aへ送られる(図11参照)。
【0075】
かかる信号PSB1,PSB2は、次の(7)及び(8)式のように表される。
PSB1(t)=A(t)・sin[(ωCt+φ0)−Δθ0] …(7)
PSB2(t)=A(t)・cos[(ωCt+φ0)−Δθ0] …(8)
【0076】
信号PSB1,PSB2を受けた位相算出部120Aは、上述した第1実施形態の場合と同様に、例えば、信号PSA1及び信号PSA2についてarctan等の演算を行って、位相θC(t)を算出する。
【0077】
こうして算出された位相θC(t)は、信号PHMとして位相算出部120Aから生成部130及び基準信号生成部150へ送られる。
【0078】
信号PHMを受けた生成部130は、第1実施形態の場合と同様にして、各時点における生成角周波数ωCEを求め、信号FRQとしてフィルタ制御部145へ送る。信号FRQを受けたフィルタ制御部145は、信号FRQとして受けた生成角周波数ωCEに基づいて、生成角周波数ωCEの信号がFIL113B1,FIL113B2により付与される位相シフト量が値Δθ0となるフィルタパラメータの値を決定し、信号FLCとして直交信号生成部110B(より詳しくは、FIL113B1,FIL113B2)へ向けて送る。
【0079】
以上のFIL113B1,FIL113B2、位相算出部120A、生成部130及びフィルタ制御部145により形成される制御ループの作用により、位相算出部120Aからは、上記の第1実施形態における位相補正部140から出力される信号PHMと同等に精度良くパイロット信号PSの位相θC(t)を反映した値が出力されることになる。この意味で、本第2実施形態においては、位相算出部120Aからの出力信号を信号PHMと記している。
【0080】
信号PHMを受けた基準信号生成部150は、上記の第1実施形態の場合と同様にして、信号PHMに基づいて、パイロット信号PSに同期し、角周波数2ωCの基準信号BSAを生成する。こうして生成された基準信号BSAは、出力端子192を介して外部へ出力される(図9参照)。
【0081】
以上説明したように、本第2実施形態では、上述の第1実施形態の場合と同様に、角周波数ωCのパイロット信号PSを含む帯域の信号SIAから、PLL方式におけるフィードバックループや、位相生成のための基準となるベース信号を用いることなく、パイロット信号PSの位相θCを導出する。このため、簡易にかつ迅速にパイロット信号PSとの同期が図られた基準信号BSAを生成することができる。
【0082】
また、本第2実施形態では、直交信号生成部110Bにおいて、パイロット信号PSを直交化して取り出す際に生じる位相シフトの周波数特性を、生成部130において生成された角周波数に基づいて、FIL113B1,113B2による位相シフトの周波数特性を制御することにより、補正している。このため、パイロット信号PSの角周波数に変動があった場合でも、パイロット信号PSとの同期が精度良く図られた基準信号BSAを生成することができる。
【0083】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を、図13〜図18を主に参照しつつ説明する。
【0084】
図13には、本第3実施形態に係る信号処理装置100Cの概略的な構成がブロック図にて示されている。なお、信号処理装置100Cは、第1実施形態における信号処理装置100Aと同様に、信号源910から出力された信号SIAを、入力端子191を介して受信して処理し、出力端子192から基準信号BSAとして出力する装置である。
【0085】
図13に示されるように、信号処理装置100Cは、上述した信号処理装置100Aと比べて、周波数生成装置180Aに代えて周波数生成装置180Cを備える点のみが異なっている。そして、周波数生成装置180Cは、上述した周波数生成装置180Aと比べて、直交信号生成部110Aに代えて直交信号生成部110Cを備えるとともに、位相算出部120Aに代えて位相算出部120Cを備える点のみが異なっている。以下、これらの相違点に主に着目して説明する。
【0086】
直交信号生成部110Cは、入力端子191を介して受信した信号SIAから、互いに直交する2つの信号PSC1,PSC2を生成する。かかる機能を有する直交信号生成部110Cは、図14に示されるように、帯域制限手段としての帯域制限フィルタ111と、直交化手段としての直交化部112Cと、フィルタ手段としてのフィルタ(FIL)113C1,113C2とを備えている。
【0087】
帯域制限フィルタ111は、有限インパルス応答(FIR)フィルタ等のデジタルフィルタとして構成されている。帯域制限フィルタ111は、信号SIAにおける角周波数ωCを含む所定の周波数帯域の信号成分を選択的に通過させ、周波数帯域が制限された帯域制限信号LSIとして直交化部112Cへ向けて出力する。
【0088】
本第3実施形態では、帯域制限フィルタ111は、直交化部112Cにおける周波数変換に際して行われる正弦波(∝sin(ωSH・t))の乗算の結果、周波数0で折り返された成分が、パイロット信号PSの周波数シフトの結果(本第3実施形態では、角周波数(ωSH−ωC)の成分)と重ならない(又は、十分に抑圧されている)ように、通過させる信号の周波数帯域を制限する。また、帯域制限フィルタ111Bは、サンプルレートfSMの1/2の周波数(fSM/2)で折り返された成分が、パイロット信号PSの周波数シフトの結果と重ならない(又は、十分に抑圧されている)ように、通過させる信号の周波数帯域を制限する。かかる機能を有する帯域制限フィルタ111は、例えば、FIR方式のローパスフィルタとして実現することができる。
【0089】
なお、帯域制限フィルタ111を介することにより、フィルタ遅延により、位相シフトが発生する場合がある。本第3実施形態では、当該帯域制限フィルタ111におけるフィルタ遅延による位相シフトΔθ1が発生するものとして、以下の説明を行う。
【0090】
以上のように構成された帯域制限フィルタ111から出力された帯域制限信号LSIにおけるパイロット信号PSに対応する信号成分PS’は、次の(9)式で表されるようになっている。
PS’(t)∝sin[θC(t)−Δθ1(ωC)]
=sin[(ωCt+φ0)−Δθ1(ωC)] …(9)
【0091】
直交化部112Cは、帯域制限信号LSIに基づいて、互いに直交するとともに、パイロット信号PSの位相θC(t)を反映した2つの信号OSC1,OSC2を生成する。かかる機能を有する直交化部112Cは、本第3実施形態では、図15に示されるように、発振部210Cと、乗算部2201,2202とを備えている。
【0092】
発振部210Cは、乗算部2201へ供給すべき信号OTS1、及び、乗算部2202へ供給すべき信号OTS2を発生する。本第3実施形態では、信号OTS1及び信号OTS2は、次の(10)及び(11)式で表されるようになっている。
OTS1(t)=B0・cos(ωSH・t) …(10)
OTS2(t)=B0・sin(ωSH・t) …(11)
ここで、B0は定数である。
【0093】
本第3実施形態では、角周波数ωSHは、3ωCよりも大きな所定値に設定されている。かかる角周波数ωSHの値は、パイロット信号PSの周波数シフト結果へのノイズ成分の混入の防止という観点から、上述した帯域制限フィルタ111による帯域制限の仕様と併せた総合的な見地から定められる。
【0094】
乗算部2201は、帯域制限信号LSIをA端子で受け、発振部210Cからの信号OTS1をB端子で受ける。そして、A端子における受信結果と、B端子における受信結果との乗算結果が、C端子から信号OSC1としてFIL113C1へ向けて出力される。ここで、信号SIAにおけるパイロット信号PSは、角周波数ωCを有し、信号OTS1は角周波数ωSHの成分のみを有している。このため、信号OSC1におけるパイロット信号PSに対応する信号成分は、角周波数(ωSH−ωC)及び角周波数(ωSH+ωC)の2成分に周波数変換される。
【0095】
乗算部2202は、帯域制限信号LSIをA端子で受け、発振部210Cからの信号OTS2をB端子で受ける。そして、A端子における受信結果と、B端子における受信結果との乗算結果が、C端子から信号OSC2としてFIL113C2へ向けて出力される。ここで、信号SIAにおけるパイロット信号PSは、角周波数ωCを有し、信号OTS2は角周波数ωSHの成分のみを有している。このため、信号OSC2におけるパイロット信号PSに対応する信号成分は、信号OSC1との場合と同様に、角周波数(ωSH−ωC)及び角周波数(ωSH+ωC)の2成分に周波数変換される。
【0096】
図14に戻り、FIL113C1は、無限インパルス応答フィルタ(IIR)等のデジタルフィルタとして構成されている。このFIL113C1は、直交化部112Cからの信号OSC1を受ける。そして、FIL113C1は、パイロット信号PSに対応する信号成分の一方、本第3実施形態では角周波数(ωSH−ωC)の成分を選択的に通過させ、信号PSC1として位相算出部120Cへ向けて出力する。
【0097】
なお、FIL113C1を介することにより、フィルタ遅延により、位相シフトが発生する場合がある。本第3実施形態では、当該FIL113C1におけるフィルタ遅延による位相シフトΔθ2が発生するものとして、以下の説明を行う。
【0098】
かかるFIL113C1から出力される信号PSC1は、次の(12)式のように表される。
PSC1(t)=A(t)・sin[θS(t)]
=A(t)・sin[ωSHt−θC(t)+Δθ1(ωC)−Δθ2(ωC)]
=A(t)・sin[ωSHt−(ωCt+φ0)+Δθ(ωC)]…(12)
ここで、A(t)は、パイロット信号PSの振幅値を表す。また、Δθ(ωC)=Δθ1(ωC)−Δθ2(ωC)である。
【0099】
FIL113C2は、FIL113C1と同様に構成されている。このFIL113C2は、直交化部112Cからの信号OSC2を受ける。そして、FIL113C2は、信号OSC2における角周波数(ωSH−ωC)の成分を選択的に通過させ、信号PSC2を出力する。
【0100】
かかるFIL113C2から出力される信号PSC2は、次の(13)式のように表される。
PSC2(t)=A(t)・cos[θS(t)]
=A(t)・cos[ωSHt−θC(t)+Δθ1(ωC)−Δθ2(ωC)]
=A(t)・cos[ωSHt−(ωCt+φ0)+Δθ(ωC)]…(13)
【0101】
ここで、位相シフトΔθ(ωC)は、角周波数依存性を有している。この位相シフトΔθ(ωC)は、帯域制限フィルタ111及びFIL113C1,FIL113C2の構成にて定まるものである。本第3実施形態では、位相シフトΔθ(ωC)は、上述の第1実施形態と同様に、角周波数ωC0の信号には位相シフトΔθ0が発生するものとする。
【0102】
図13に戻り、位相算出部120Cは、直交信号生成部110Cからの信号PSC1及び信号PSC2に基づいて、パイロット信号PSの位相θC(t)を算出する。かかる算出に際して、位相算出部120Cは、例えば、信号PSC1及び信号PSC2についてarctan等の演算を行う等して、パイロット信号PSを反映した、第1実施形態の場合と同様な位相θCE(t)を算出する。
【0103】
こうして算出された位相θCE(t)は、信号PHAとして、位相算出部120Cから生成部130及び位相補正部140へ向けて出力される。
【0104】
<動作>
次に、上記のように構成された信号処理装置100Cにおける信号処理動作について説明する。
【0105】
信号源910からの信号SIAが、入力端子191を介して信号処理装置100Cで受信されると、信号処理装置100Cでは、信号SIAが、直交信号生成部110Cに供給される(図13参照)。信号SIAの供給を受けた直交信号生成部110Cでは、まず、帯域制限フィルタ111が、信号SIAにおける角周波数ωCを含む所定の周波数帯域の信号成分を選択的に通過させ、周波数帯域が制限された帯域制限信号LSIとして直交化部112Cへ送る(図14参照)。この結果、図16において二点鎖線で示されるように、信号SIAが角周波数ωCよりも大きな周波数領域に広く信号成分を有する場合であっても、例えば、図17に示されるように、信号成分の周波数帯域が制限される。
【0106】
帯域制限信号LSIを受けた直交化部112Cは、帯域制限信号LSIに基づいて、互いに直交する2つの信号OSC1,OSC2を生成し、FIL113C1,113C2へ送る(図14参照)。ここで、信号OSCj(j=1,2)のそれぞれは、図18に示されるように、パイロット信号PSに対応する信号成分として、角周波数(ωSH−ωC)の信号成分PSMj及び角周波数(ωSH+ωC)の信号成分PSPjの2つの信号成分を含んでいる。
【0107】
なお、本実施形態では、直交化部112Cが帯域制限信号LSIの周波数変換を行うことにしている。このため、上述した図16において二点鎖線で示されるように、角周波数ωCよりも高い周波数領域に広く信号成分を有する信号SIAの周波数変換を行った場合に生じ得る信号成分PSMj及び信号成分PSPjへのノイズの混入(図18における一点鎖線を参照)を防止することができるようになっている。
【0108】
引き続き、信号OSC1を受けたFIL113C1が、信号OSC1における角周波数(ωSH−ωC)の成分、すなわち、パイロット信号PSに対応する信号成分を選択的に通過させ、サンプリング角周波数ωSM1の信号PSC1として位相算出部120Cへ向けて出力する。また、信号OSC2を受けたFIL113C2が、信号OSC2における角周波数(ωSH−ωC)の成分、すなわち、パイロット信号PSに対応する信号成分を選択的に通過させ、サンプリング角周波数ωSM1の信号PSC2として位相算出部120Cへ向けて出力する(図14参照)。
【0109】
ここで、信号PSC1は、上述した(12)式で表される波形となる。一方、信号PSC2は、上述した(13)式で表される波形となる。
【0110】
信号PSC1,PSC2を受けた位相算出部120Cは、上述したように動作して、パイロット信号PSを反映した位相θCEを算出する。こうして算出された位相θCEは、信号PHAとして生成部130及び位相補正部140へ送られる(図13参照)。
【0111】
以後、第1実施形態の信号処理装置100Aの場合と同様に、信号PHAを受けた生成部130が生成角周波数ωCEを生成し、信号FRQとして位相補正部140へ送る(図13参照)。かかる信号FRQ及び位相算出部120Cからの信号PHAを受けた位相補正部140は、信号PSの位相θC(t)を算出する。こうして算出された位相θC(t)は、信号PHMとして、位相補正部140から基準信号生成部150へ送られる(図13参照)。
【0112】
信号PHMを受けた基準信号生成部150は、第1実施形態の信号処理装置100Aの場合と同様に、信号PHMに基づいて、角周波数2ωCの基準信号BSAを生成する。こうして生成された基準信号BSAは、出力端子192を介して外部へ出力される(図13参照)。
【0113】
以上説明したように、本第3実施形態では、第1実施形態の場合と同様に、角周波数ωCのパイロット信号PSを含む信号SIAから、PLL方式におけるフィードバックループや、位相生成のための基準となるベース信号を用いることなく、パイロット信号PSの位相θC(t)を導出する。このため、簡易にかつ迅速にパイロット信号PSとの同期が図られた基準信号BSAを生成することができる。
【0114】
また、本第3実施形態では、直交信号生成部110Cにおいて、パイロット信号PSを直交化して取り出す際に生じる位相シフトの周波数特性を、生成部130において生成された角周波数に基づいて補正している。このため、パイロット信号PSの角周波数に変動があった場合でも、パイロット信号PSとの同期が精度良く図られた基準信号BSAを生成することができる。
【0115】
また、本第3実施形態では、直交化部112Cにおいて周波数変換を行いつつ直交化を行うので、ヒルベルト変換等を用いて直交化する場合と比べて演算量を削減することができる。
【0116】
また、本第3実施形態では、帯域制限フィルタ111により信号SIAを帯域制限した帯域制限信号LSIを、周波数変換を行いつつ直交化するので、パイロット信号PSの周波数変換結果へのノイズの混入を低減させることができる。
【0117】
なお、本第3実施形態では、位相算出部120Cで算出した位相θCE(t)の補正を位相補正部140において行うようにしたが、位相算出部120Cにおいて位相補正を行った位相を算出するようにし、位相補正部140を省略するようにしてもよい。
【0118】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態を、図19〜図21を主に参照しつつ説明する。
【0119】
<構成>
図19には、本第4実施形態に係る信号処理装置100Dの概略的な構成がブロック図にて示されている。この信号処理装置100Dは、第3実施形態における信号処理装置100Cと同様に、信号源910から出力された信号SIAを、入力端子191を介して受信して処理し、出力端子192から基準信号BSAとして出力する装置である。
【0120】
図19に示されるように、信号処理装置100Dは、上述した信号処理装置100Cと比べて、周波数生成装置180Cに代えて周波数生成装置180Dを備えるとともに、位相補正部140に代えて周波数変換制御部146を備える点のみが異なっている。そして、周波数生成装置180Dは、上述した周波数生成装置180Cと比べて、直交信号生成部110Cに代えて直交信号生成部110Dを備えるとともに、位相算出部120Cに代えて位相算出部120Dを備える点のみが異なっている。以下、これらの相違点に主に着目して説明する。
【0121】
直交信号生成部110Dは、図20に示されるように、直交信号生成部110Cと比べて、直交化部112Cに代えて直交化部112Dを備える点が異なっている。この直交化部112Dは、図21に示されるように、上記の直交化部112Cと比べて、発振部210Cに代えて発振部210Dを備える点のみが異なっている。
【0122】
発振部210Dは、周波数変換制御部146からの信号FTCで指定された角周波数ωSHMの正弦波を生成することにより、乗算部2201へ供給すべき信号OTV1、及び、乗算部2202へ供給すべき信号OTV2を発生する。本第4実施形態では、信号OTV1及び信号OTV2は、次の(14)及び(15)式で表されるようになっている。
OTV1(t)=B0・cos(ωSHM・t) …(14)
OTV2(t)=B0・sin(ωSHM・t) …(15)
ここで、B0は定数である。
【0123】
なお、角周波数ωSHMは、角周波数(ωSHM−ωC)の信号に対して帯域制限フィルタ111とFIL113C1との組、又は、帯域制限フィルタ111とFIL113C2との組によって付与される位相シフトΔθが所定値Δθ0となるように、周波数変換制御部146により定められるようになっている。
【0124】
この結果、直交信号生成部110Dから出力される信号PSD1,PSD2は、次の(16)及び(17)式で表される。
PSD1(t)=A(t)・sin[ωSHMt−(ωCt+φ0)+Δθ0] …(16)
PSD2(t)=A(t)・cos[ωSHMt−(ωCt+φ0)+Δθ0] …(17)
【0125】
図19に戻り、位相算出部120Dは、直交信号生成部110Dからの信号PSD1及び信号PSD2、並びに周波数変換制御部146からの信号FTCで指定された角周波数ωSHMに基づいて、パイロット信号PSの位相θC(t)を算出する。かかる算出に際して、位相算出部120Dは、例えば、信号PSD1及び信号PSD2についてarctan等の演算を行って、位相θC(t)を算出する。
【0126】
こうして算出された位相θC(t)は、信号PHMとして、位相算出部120Dから生成部130及び基準信号生成部150へ向けて出力される。
【0127】
周波数変換制御部146は、生成部130からの信号FRQを受ける。そして、周波数変換制御部146は、信号FRQとして受けた生成角周波数ωCEに基づいて、帯域制限フィルタ111とFIL113C1との組、又は、帯域制限フィルタ111とFIL113C2との組によって付与される位相シフトΔθが、所定値Δθ0となる角周波数(ωSHM−ωCE)とするための角周波数ωSHMを求める。こうして求められた角周波数ωSHMは、信号FTCとして、直交信号生成部110D(より詳しくは、発振部210D)及び位相算出部120Dへ向けて出力される。
【0128】
なお、本第4実施形態では、位相算出部120Dから出力された信号PHMが、基準信号生成部150により直接受信されるようになっている。
【0129】
<動作>
次に、上記のように構成された信号処理装置100Dにおける信号処理動作について説明する。
【0130】
信号源910からの信号SIAが、入力端子191を介して信号処理装置100Dで受信されると、信号処理装置100Dでは、信号SIAが直交信号生成部110Dに供給される(図19参照)。信号SIAの供給を受けた直交信号生成部110Dでは、帯域制限フィルタ111が、信号SIAにおける角周波数ωCを含む所定の周波数帯域の信号成分を選択的に通過させ、周波数帯域が制限された帯域制限信号LSIとして直交化部112Dへ送る(図20参照)。
【0131】
帯域制限信号LSIを受けた直交化部112Dは、上述したように、帯域制限信号LSI及び周波数変換制御部146からの信号FTCに基づいて、互いに直交する2つの信号OSD1,OSD2を生成し、FIL113C1,113C2へ送る(図21参照)。引き続き、信号OSD1を受けたFIL113C1が、信号OSD1における角周波数(ωSHM−ωC)の成分、すなわち、パイロット信号PSに対応する信号成分を選択的に通過させ、信号PSD1として位相算出部120Dへ向けて出力する。また、信号OSD2を受けたFIL113C2が、信号OSD2における角周波数(ωSHM−ωC)の成分、すなわち、パイロット信号PSに対応する信号成分を選択的に通過させ、信号PSD2として位相算出部120Dへ向けて出力する(図20参照)。
【0132】
信号PSD1,PSD2を受けた位相算出部120Dは、上述したように動作して、パイロット信号PSの位相θC(t)を算出する。こうして算出された位相θC(t)は、信号PHMとして生成部130及び基準信号生成部150へ送られる(図19参照)。
【0133】
信号PHMを受けた生成部130は、第1実施形態の場合と同様にして、各時点における生成角周波数ωCEを生成し、信号FRQとして周波数変換制御部146へ送る。信号FRQを受けた周波数変換制御部146は、信号FRQとして受けた生成角周波数ωCEに基づいて、角周波数(ωSHM−ωCE)の信号に対して帯域制限フィルタ111とFIL113C1との組、又は、帯域制限フィルタ111とFIL113C2との組によって付与される位相シフトΔθが所定値Δθ0となる角周波数ωSHMを求める。こうして求められた角周波数ωSHMは、信号FTCとして、直交信号生成部110D(より詳しくは、発振部210D)及び位相算出部120Dへ送られる(図19参照)。
【0134】
以上の直交信号生成部110D、位相算出部120D、生成部130及び周波数変換制御部146により形成される制御ループの作用により、位相算出部120Dからは、上記の第3実施形態における位相補正部140から出力される信号PHMと同等に精度良くパイロット信号PSの位相θC(t)を反映した値が出力されることになる。この意味で、本第4実施形態においては、位相算出部120Dからの出力信号を信号PHMと記している。
【0135】
信号PHMを受けた基準信号生成部150は、上記の第3実施形態の場合と同様にして、信号PHMに基づいて、角周波数2ωCの基準信号BSAを生成する。こうして生成された基準信号BSAは、出力端子192を介して外部へ出力される(図19参照)。
【0136】
以上説明したように、本第4実施形態では、上述の第3実施形態の場合と同様に、角周波数ωCのパイロット信号PSを含む信号SIAから、PLL方式におけるフィードバックループや、位相生成のための基準となるベース信号を用いることなく、パイロット信号PSの位相θCを導出する。このため、簡易にかつ迅速にパイロット信号PSとの同期が図られた基準信号BSAを生成することができる。
【0137】
また、本第4実施形態では、直交信号生成部110Dにおいて、パイロット信号PSを直交化して取り出す際に生じる位相シフトが所定値となるように、直交化部112Dにおける周波数変換を制御する。したがって、パイロット信号PSの角周波数に変動があった場合でも、パイロット信号PSとの同期が精度良く図られた基準信号BSAを生成することができる。
【0138】
また、本第4実施形態では、第3実施形態の場合と同様に、直交化部112Dにおいて周波数変換を行いつつ直交化を行うので、ヒルベルト変換等を用いて直交化する場合と比べて演算量を削減することができる。
【0139】
また、本第4実施形態では、第3実施形態の場合と同様に、帯域制限フィルタ111により信号SIAを帯域制限した帯域制限信号LSIを、周波数変換を行いつつ直交化するので、パイロット信号PSの周波数変換結果へのノイズの混入を低減させることができる。
【0140】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態を、図22〜図25を主に参照しつつ説明する。
【0141】
<構成>
図22には、本第5実施形態に係る信号処理装置100Eの概略的な構成がブロック図にて示されている。この信号処理装置100Eは、信号源910から出力された信号SIAを、入力端子191を介して受信して処理し、信号SIAに含まれるパイロット信号PSの角周波数及び振幅を再現した信号MPSを出力端子192から出力する装置である。
【0142】
図22に示されるように、信号処理装置100Eは、上述した信号処理装置100Aと比べて、位相補正部140及び基準信号生成部150に代えて利得補正部160を備える点のみが異なっている。以下、この相違点に主に着目して説明する。
【0143】
なお、直交信号生成部110AにおけるFIL113A1(図3参照)は、利得の角周波数依存性を有している。本第5実施形態においては、FIL113A1の利得の角周波数依存性は、図23に示される通りであるものとする。
【0144】
図22に戻り、利得補正部160は、直交信号生成部110Aから出力された信号PSA1を、生成部130からの信号FRQによって報告された生成角周波数ωCMに基づいて定められる増幅率によって増幅する。かかる機能を有する利得補正部160は、図24に示されるように、振幅補正計算手段としての増幅部161と、利得制御部162とを備えている。
【0145】
増幅部161は、A端子で受けた信号を、B端子で受けた信号により指定された増幅率で増幅し、増幅結果をC端子から出力する。ここで、増幅部161は、直交信号生成部110Aからの信号PSA1をA端子で受けるとともに、利得制御部162からの信号GCTをB端子で受ける。そして、C端子から利得補正信号MPSを出力するようになっている。
【0146】
利得制御部162は、記憶手段としての利得補正テーブル163を備えて構成されている。この利得補正テーブル163には、図25に示されるような角周波数ωに対応して定められた増幅率A(ω)が、予め登録されている。ここで、増幅率A(ω)としては、上述した図23に示されるFIL113A1の利得の角周波数依存性を相殺する値が登録されている。
【0147】
利得制御部162は、生成部130からの信号FRQを受ける。そして、利得制御部162は、信号FRQとして受けた生成角周波数ωCEに基づいて、利得補正テーブル163を参照し、増幅率A(ωCE)を読み出す。こうして読み出された増幅率A(ωCE)が、信号GCTとして増幅部161へ向けて出力される。
【0148】
この結果、増幅部161からは、信号SIAに含まれるパイロット信号PSの振幅に正確に比例した振幅の信号が出力される。こうして増幅部161により増幅された信号が、信号MPSとして、出力端子192を介して外部へ出力される。
【0149】
<動作>
次に、上記のように構成された信号処理装置100Eにおける信号処理動作について説明する。
【0150】
信号源910からの信号SIAが、入力端子191を介して信号処理装置100Eで受信されると、信号処理装置100Eでは、信号SIAが直交信号生成部110Aに供給される(図22参照)。信号SIAの供給を受けた直交信号生成部110Aでは、第1実施形態の場合と同様にして、パイロット信号PSに対応する信号PSA1,PSA2が生成される。そして、信号PSA1が、位相算出部120A及び利得補正部160へ送られるとともに、信号PSA2が、位相算出部120Aへ送られる(図22参照)。
【0151】
信号PSA1,PSA2を受けた位相算出部120Aは、例えば、信号PSA1及び信号PSA2についてarctan等の演算を行って、位相θC(t)を算出する。こうして算出された位相θC(t)は、信号PHAとして位相算出部120Aから生成部130へ送られる(図22参照)。
【0152】
信号PHAを受けた生成部130は、第1実施形態の場合と同様に動作して、生成角周波数ωCEを生成する。こうして生成された生成角周波数ωCEは、信号FRQとして利得補正部160へ送られる(図22参照)。
【0153】
信号FRQを受けた利得補正部160では、利得制御部162が、信号FRQとして受けた生成角周波数ωCEに基づいて、利得補正テーブル163を参照し、増幅率A(ωCE)を読み出し、信号GCTとして増幅部161へ送る(図24参照)。信号GCTを受けた増幅部161は、信号GCTとして受けた増幅率A(ωCE)で、直交信号生成部110Aからの信号PSA1を増幅する。この増幅結果が、信号MPSとして、出力端子192を介して外部へ出力される(図24参照)。
【0154】
以上説明したように、本第5実施形態では、上述の第1実施形態の場合と同様に、角周波数ωCのパイロット信号PSを含む信号SIAから、PLL方式におけるフィードバックループや、位相生成のための基準となるベース信号を用いることなく、パイロット信号PSの位相θC(t)を導出する。このため、簡易にかつ迅速にパイロット信号PSとの同期が図られた信号MPSを生成することができる。
【0155】
また、本第5実施形態では、直交信号生成部110Aにおいて、パイロット信号PSを直交化して取り出す際に生じる利得の周波数特性を、生成部130において生成された角周波数に基づいて補正している。このため、パイロット信号PSの角周波数に変動があった場合でも、パイロット信号PSの振幅に正確に比例する振幅の信号MPSを生成することができる。
【0156】
[実施形態の変形]
本発明は、上記の第1〜第5実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0157】
例えば、上記の第1〜第4実施形態では、基準信号として、パイロット信号PSの角周波数ωCの2倍の角周波数2ωCを有する信号を生成するようにした。これに対し、信号源から信号における加工対象信号成分の態様に応じて、角周波数ωCの任意倍の角周波数を有する信号を、基準信号として生成するようにすることもできる。さらに、第3実施形態の場合には、角周波数ωCとシフト角周波数との任意の線形結合によって得られる角周波数を有する信号を基準信号として生成するようにすることもできる。
【0158】
また、上記の第1〜第4実施形態では、1種類の基準信号を生成することにしたが、複数種類の基準信号を生成するようにすることもできる。
【0159】
また、上記の第3及び第4の実施形態では、周波数変換後のパイロット信号PSに対応する信号のうち、低周波側の信号を抽出して利用するようにしたが、高周波側の信号を抽出して利用するようにしてもよい。
【0160】
また、上記の第5実施形態では、パイロット信号PSの同相の信号PSA1の利得を補正するようにしたが、信号PSA1に直交する信号PSA2の利得を補正するようにしてもよい。
【0161】
また、第1実施形態に対する第2実施形態への変形を、第3又は第4実施形態に適用することもできるし、第1実施形態に対する第3又は第4実施形態への変形を、第2実施形態に適用することもできる。
【0162】
また、第1実施形態に対する第5実施形態への変形を、第2〜4実施形態に適用することもできるし、第1実施形態に対する第2〜4実施形態への変形を、第5実施形態に適用することもできる。
【0163】
第1実施形態と第5実施形態とを組み合わせることもできる。
【0164】
なお、第1〜第5実施形態の信号処理装置を、DSP(Digital Signal Processor)におけるプログラムの実行によって実現することができる。これらのプログラムは、CD−ROM、DVD等の可搬型記録媒体に記録された形態で取得されるようにしてもよいし、インターネットなどのネットワークを介した配送の形態で取得されるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】本発明の第1実施形態に係る信号処理装置の概略的な構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態において想定する信号源からの信号の周波数分布を説明するための図である。
【図3】図1における直交信号生成部の構成を示すブロック図である。
【図4】図3における直交化部の構成を示すブロック図である。
【図5】図3のフィルタ(FIL)の位相シフトの周波数依存性の例を説明するための図である。
【図6】図1における生成部の構成を説明するためのブロック図である。
【図7】図1における位相補正部の構成を説明するためのブロック図である。
【図8】図7における位相補正テーブルの登録内容を説明するための図である。
【図9】図1の装置における基準信号生成部の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る信号処理装置の概略的な構成を示すブロック図である。
【図11】図10における直交信号生成部の構成を示すブロック図である。
【図12】図11のフィルタ(FIL)の位相シフトの周波数依存性の可変性を説明するための図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係る信号処理装置の概略的な構成を示すブロック図である。
【図14】図13における直交信号生成部の構成を示すブロック図である。
【図15】図14における直交化部の構成を示すブロック図である。
【図16】第3実施形態において想定する信号源からの信号の周波数分布を説明するための図である。
【図17】帯域制限フィルタから出力される帯域制限信号の周波数分布を説明するための図である。
【図18】図15の直交化部による周波数変換結果を示すための図である。
【図19】本発明の第4実施形態に係る信号処理装置の概略的な構成を示すブロック図である。
【図20】図19における直交信号生成部の構成を示すブロック図である。
【図21】図20における直交化部の構成を示すブロック図である。
【図22】本発明の第5実施形態に係る信号処理装置の概略的な構成を示すブロック図である。
【図23】図22の装置におけるフィルタ(FIL)の利得の周波数依存性の例を説明するための図である。
【図24】図22における利得補正部の構成を説明するためのブロック図である。
【図25】図24における利得補正テーブルの登録内容を説明するための図である。
【符号の説明】
【0166】
100A〜100E … 信号処理装置
111 … 帯域制限フィルタ(帯域制限手段)
112A〜112D … 直交化部(直交化手段)
113A1,113A2 … フィルタ(フィルタ手段)
113B1,113B2 … フィルタ(フィルタ手段)
113C1,113C2 … フィルタ(フィルタ手段)
120A,120C … 位相算出部(位相算出手段)
130 … 生成部(生成手段)
131 … 周波数算出部(第1段階算出手段)
132 … ローパスフィルタ(第2段階算出手段)
140 … 位相補正部(補正手段)
141 … 加算部(位相補正計算手段)
143 … 位相補正テーブル(記憶手段)
145 … フィルタ制御部(補正手段)
146 … 周波数変換制御部(補正手段)
160 … 利得補正部(補正手段)
161 … 増幅部(振幅補正計算手段)
163 … 利得補正テーブル(記憶手段)
180A〜180D … 周波数生成装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号に含まれる所定信号に対応する周波数を生成する周波数生成装置であって、
少なくとも前記所定信号について直交化を行う処理を行い、前記所定信号に対応する成分が互いに直交する第1直交化信号及び第2直交化信号を生成する直交化手段と;
前記第1直交化信号に含まれ、前記所定信号の位相を反映した位相を有する第1信号、及び、前記第2直交化信号に含まれ、前記第1信号と直交する第2信号を選択的に通過させるフィルタ手段と;
前記第1信号及び前記第2信号に基づいて、前記所定信号を反映した信号の位相を算出する位相算出手段と;
前記位相算出手段による算出結果に基づいて、前記所定信号に対応する周波数を生成する生成手段と;
を備えることを特徴とする周波数生成装置。
【請求項2】
前記生成手段は、
前記位相算出手段による算出結果に基づいて、前記所定信号に関する第1段階周波数を算出する第1段階算出手段と;
前記第1段階算出手段による算出結果に含まれる不要な変動成分を除去して前記所定信号に関する第2段階周波数を算出する第2段階算出手段と;
を備えることを特徴とする請求項1に記載の周波数生成装置。
【請求項3】
前記直交化手段は、前記直交化に加えて、周波数シフトを行う、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の周波数生成装置。
【請求項4】
前記入力信号の周波数帯域を制限した帯域制限信号を生成し、前記直交化手段に供給する帯域制限手段を更に備える、ことを特徴とする請求項3に記載の周波数生成装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の周波数生成装置と;
前記周波数生成装置により生成された周波数に基づいて、前記フィルタ手段の周波数特性の影響を受けている補正対象信号を補正する補正手段と;
を備えることを特徴とする信号処理装置。
【請求項6】
前記補正対象信号には、前記位相算出手段から出力される位相情報信号が含まれ、
前記補正手段は、前記位相情報信号における前記フィルタ手段の周波数特性に由来する前記所定信号の位相と前記位相算出手段による算出結果との位相ずれの補正を制御する、
ことを特徴とする請求項5に記載の信号処理装置。
【請求項7】
前記補正手段は、
前記所定信号の周波数値と、補正すべき位相量との関係が登録された記憶手段と;
前記生成手段による生成結果及び前記記憶手段における登録内容に基づいて、前記生成手段による生成結果に対応した位相補正量を決定する位相補正計算手段と;
を備えることを特徴とする請求項6に記載の信号処理装置。
【請求項8】
前記フィルタ手段は、位相特性設定に従って位相変化に関する周波数特性が変化し、
前記位相算出手段は、前記所定信号の周波数が標準周波数であり、かつ、前記フィルタ手段の位相特性設定が標準位相設定である標準状態の場合における前記フィルタ手段に由来する標準位相変化量を考慮して位相算出を行い、
前記補正手段は、前記生成手段による生成結果の周波数に対応する前記フィルタ手段に由来する位相変化量が前記標準位相変化量となる位相特性設定を前記フィルタ手段に対して行う、
ことを特徴とする請求項6に記載の信号処理装置。
【請求項9】
前記直交化手段は、前記直交化に加えて、周波数シフト設定に従った周波数シフトを行い、
前記位相算出手段は、前記所定信号の周波数が標準周波数であり、かつ、前記周波数シフト設定が標準周波数シフト設定である標準状態の場合における前記フィルタ手段に由来する標準位相変化量を考慮して位相算出を行い、
前記補正手段は、前記標準状態における前記直交化手段による前記所定信号の周波数変換結果の周波数と、前記生成手段により生成された周波数の信号の前記直交化手段による周波数シフト後の周波数とを一致させる周波数シフト設定を前記直交化手段に対して行う、
ことを特徴とする請求項6に記載の信号処理装置。
【請求項10】
前記補正対象信号には、前記第1信号及び前記第2信号の少なくとも一方が含まれ、
前記補正手段は、前記補正対象信号における前記直交化手段の周波数特性に由来する前記補正対象信号の位相及び振幅の少なくとも一方の補正を制御する、
ことを特徴とする請求項5〜9のいずれか一項に記載の信号処理装置。
【請求項11】
前記補正手段は、
前記所定信号の周波数値と、補正すべき振幅量との関係が登録された記憶手段と;
前記生成手段による生成結果及び前記記憶手段における登録内容に基づいて、前記生成手段による生成結果に対応した振幅補正量を決定する振幅補正計算手段と;
を備えることを特徴とする請求項10に記載の信号処理装置。
【請求項12】
前記フィルタ手段は、利得特性設定に従って利得の周波数特性が変化し、
前記補正手段は、前記所定信号の周波数が標準周波数であり、かつ、前記フィルタ手段の利得特性設定が標準利得設定である標準利得状態の場合における前記フィルタ手段の利得である標準利得と、前記生成手段による生成結果の周波数の信号に対する前記フィルタ手段における利得とを一致させる利得特性設定を前記フィルタ手段に対して行う、
ことを特徴とする請求項11に記載の信号処理装置。
【請求項13】
前記直交化手段は、利得設定に従って利得特性が変化し、
前記補正手段は、前記所定信号の周波数に伴う前記フィルタ手段の利得特性の変化を相殺させる利得設定を前記直交化手段に対して行う、
ことを特徴とする請求項11に記載の信号処理装置。
【請求項14】
前記フィルタ手段は、位相特性設定に従って位相変化に対する周波数特性が変化し、
前記補正手段は、前記所定信号の周波数が標準周波数であり、かつ、前記フィルタ手段の位相特性設定が標準位相設定である標準位相状態の場合の前記フィルタ手段における位相変化である標準位相変化と、前記生成手段による生成結果の周波数の信号に対する前記フィルタ手段における位相変化とを一致させる位相特性設定を前記フィルタ手段に対して行う、
ことを特徴とする請求項11〜13のいずれか一項に記載の信号処理装置。
【請求項15】
前記直交化手段は、位相設定に従って位相特性が変化し、
前記補正手段は、前記所定信号の周波数に伴う前記フィルタ手段の位相特性の変化を相殺させる位相設定を前記直交化手段に対して行う、
ことを特徴とする請求項11〜13に記載の信号処理装置。
【請求項16】
入力信号に含まれる所定信号に対応する周波数を生成する周波数生成方法であって、
少なくとも前記所定信号について直交化を行う処理を行い、前記所定信号に対応する成分が互いに直交する第1直交化信号及び第2直交化信号を生成する直交化工程と;
前記第1直交化信号に含まれ、前記所定信号の位相を反映した位相を有する第1信号、及び、前記第2直交化信号に含まれ、前記第1信号と直交する第2信号を選択的に通過させるフィルタリング工程と;
前記第1信号及び前記第2信号に基づいて、前記所定信号を反映した信号の位相を算出する位相算出工程と;
前記位相算出工程における算出結果に基づいて、前記所定信号に対応する周波数を生成する生成工程と;
を備えることを特徴とする周波数生成方法。
【請求項17】
請求項16に記載の周波数生成方法により、所定信号に対応する周波数を生成する周波数生成工程と;
前記周波数生成工程において生成された周波数に基づいて、前記フィルタリング工程における処理の周波数特性の影響を受けている補正対象信号を補正する補正工程と;
を備えることを特徴とする信号処理方法。
【請求項18】
請求項17に記載の周波数生成方法を演算手段に実行させる、ことを特徴とする周波数生成プログラム。
【請求項19】
請求項17に記載の信号処理方法を演算手段に実行させる、ことを特徴とする信号処理プログラム。
【請求項20】
請求項18に記載の周波数生成プログラムが、演算手段により読み取り可能に記録されている、ことを特徴とする記録媒体。
【請求項21】
請求項19に記載の信号処理プログラムが、演算手段により読み取り可能に記録されている、ことを特徴とする記録媒体。
【請求項1】
入力信号に含まれる所定信号に対応する周波数を生成する周波数生成装置であって、
少なくとも前記所定信号について直交化を行う処理を行い、前記所定信号に対応する成分が互いに直交する第1直交化信号及び第2直交化信号を生成する直交化手段と;
前記第1直交化信号に含まれ、前記所定信号の位相を反映した位相を有する第1信号、及び、前記第2直交化信号に含まれ、前記第1信号と直交する第2信号を選択的に通過させるフィルタ手段と;
前記第1信号及び前記第2信号に基づいて、前記所定信号を反映した信号の位相を算出する位相算出手段と;
前記位相算出手段による算出結果に基づいて、前記所定信号に対応する周波数を生成する生成手段と;
を備えることを特徴とする周波数生成装置。
【請求項2】
前記生成手段は、
前記位相算出手段による算出結果に基づいて、前記所定信号に関する第1段階周波数を算出する第1段階算出手段と;
前記第1段階算出手段による算出結果に含まれる不要な変動成分を除去して前記所定信号に関する第2段階周波数を算出する第2段階算出手段と;
を備えることを特徴とする請求項1に記載の周波数生成装置。
【請求項3】
前記直交化手段は、前記直交化に加えて、周波数シフトを行う、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の周波数生成装置。
【請求項4】
前記入力信号の周波数帯域を制限した帯域制限信号を生成し、前記直交化手段に供給する帯域制限手段を更に備える、ことを特徴とする請求項3に記載の周波数生成装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の周波数生成装置と;
前記周波数生成装置により生成された周波数に基づいて、前記フィルタ手段の周波数特性の影響を受けている補正対象信号を補正する補正手段と;
を備えることを特徴とする信号処理装置。
【請求項6】
前記補正対象信号には、前記位相算出手段から出力される位相情報信号が含まれ、
前記補正手段は、前記位相情報信号における前記フィルタ手段の周波数特性に由来する前記所定信号の位相と前記位相算出手段による算出結果との位相ずれの補正を制御する、
ことを特徴とする請求項5に記載の信号処理装置。
【請求項7】
前記補正手段は、
前記所定信号の周波数値と、補正すべき位相量との関係が登録された記憶手段と;
前記生成手段による生成結果及び前記記憶手段における登録内容に基づいて、前記生成手段による生成結果に対応した位相補正量を決定する位相補正計算手段と;
を備えることを特徴とする請求項6に記載の信号処理装置。
【請求項8】
前記フィルタ手段は、位相特性設定に従って位相変化に関する周波数特性が変化し、
前記位相算出手段は、前記所定信号の周波数が標準周波数であり、かつ、前記フィルタ手段の位相特性設定が標準位相設定である標準状態の場合における前記フィルタ手段に由来する標準位相変化量を考慮して位相算出を行い、
前記補正手段は、前記生成手段による生成結果の周波数に対応する前記フィルタ手段に由来する位相変化量が前記標準位相変化量となる位相特性設定を前記フィルタ手段に対して行う、
ことを特徴とする請求項6に記載の信号処理装置。
【請求項9】
前記直交化手段は、前記直交化に加えて、周波数シフト設定に従った周波数シフトを行い、
前記位相算出手段は、前記所定信号の周波数が標準周波数であり、かつ、前記周波数シフト設定が標準周波数シフト設定である標準状態の場合における前記フィルタ手段に由来する標準位相変化量を考慮して位相算出を行い、
前記補正手段は、前記標準状態における前記直交化手段による前記所定信号の周波数変換結果の周波数と、前記生成手段により生成された周波数の信号の前記直交化手段による周波数シフト後の周波数とを一致させる周波数シフト設定を前記直交化手段に対して行う、
ことを特徴とする請求項6に記載の信号処理装置。
【請求項10】
前記補正対象信号には、前記第1信号及び前記第2信号の少なくとも一方が含まれ、
前記補正手段は、前記補正対象信号における前記直交化手段の周波数特性に由来する前記補正対象信号の位相及び振幅の少なくとも一方の補正を制御する、
ことを特徴とする請求項5〜9のいずれか一項に記載の信号処理装置。
【請求項11】
前記補正手段は、
前記所定信号の周波数値と、補正すべき振幅量との関係が登録された記憶手段と;
前記生成手段による生成結果及び前記記憶手段における登録内容に基づいて、前記生成手段による生成結果に対応した振幅補正量を決定する振幅補正計算手段と;
を備えることを特徴とする請求項10に記載の信号処理装置。
【請求項12】
前記フィルタ手段は、利得特性設定に従って利得の周波数特性が変化し、
前記補正手段は、前記所定信号の周波数が標準周波数であり、かつ、前記フィルタ手段の利得特性設定が標準利得設定である標準利得状態の場合における前記フィルタ手段の利得である標準利得と、前記生成手段による生成結果の周波数の信号に対する前記フィルタ手段における利得とを一致させる利得特性設定を前記フィルタ手段に対して行う、
ことを特徴とする請求項11に記載の信号処理装置。
【請求項13】
前記直交化手段は、利得設定に従って利得特性が変化し、
前記補正手段は、前記所定信号の周波数に伴う前記フィルタ手段の利得特性の変化を相殺させる利得設定を前記直交化手段に対して行う、
ことを特徴とする請求項11に記載の信号処理装置。
【請求項14】
前記フィルタ手段は、位相特性設定に従って位相変化に対する周波数特性が変化し、
前記補正手段は、前記所定信号の周波数が標準周波数であり、かつ、前記フィルタ手段の位相特性設定が標準位相設定である標準位相状態の場合の前記フィルタ手段における位相変化である標準位相変化と、前記生成手段による生成結果の周波数の信号に対する前記フィルタ手段における位相変化とを一致させる位相特性設定を前記フィルタ手段に対して行う、
ことを特徴とする請求項11〜13のいずれか一項に記載の信号処理装置。
【請求項15】
前記直交化手段は、位相設定に従って位相特性が変化し、
前記補正手段は、前記所定信号の周波数に伴う前記フィルタ手段の位相特性の変化を相殺させる位相設定を前記直交化手段に対して行う、
ことを特徴とする請求項11〜13に記載の信号処理装置。
【請求項16】
入力信号に含まれる所定信号に対応する周波数を生成する周波数生成方法であって、
少なくとも前記所定信号について直交化を行う処理を行い、前記所定信号に対応する成分が互いに直交する第1直交化信号及び第2直交化信号を生成する直交化工程と;
前記第1直交化信号に含まれ、前記所定信号の位相を反映した位相を有する第1信号、及び、前記第2直交化信号に含まれ、前記第1信号と直交する第2信号を選択的に通過させるフィルタリング工程と;
前記第1信号及び前記第2信号に基づいて、前記所定信号を反映した信号の位相を算出する位相算出工程と;
前記位相算出工程における算出結果に基づいて、前記所定信号に対応する周波数を生成する生成工程と;
を備えることを特徴とする周波数生成方法。
【請求項17】
請求項16に記載の周波数生成方法により、所定信号に対応する周波数を生成する周波数生成工程と;
前記周波数生成工程において生成された周波数に基づいて、前記フィルタリング工程における処理の周波数特性の影響を受けている補正対象信号を補正する補正工程と;
を備えることを特徴とする信号処理方法。
【請求項18】
請求項17に記載の周波数生成方法を演算手段に実行させる、ことを特徴とする周波数生成プログラム。
【請求項19】
請求項17に記載の信号処理方法を演算手段に実行させる、ことを特徴とする信号処理プログラム。
【請求項20】
請求項18に記載の周波数生成プログラムが、演算手段により読み取り可能に記録されている、ことを特徴とする記録媒体。
【請求項21】
請求項19に記載の信号処理プログラムが、演算手段により読み取り可能に記録されている、ことを特徴とする記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
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【図14】
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【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2009−225156(P2009−225156A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−67939(P2008−67939)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】
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