説明

周状多面体壁缶製造用金型及びこの金型の製造方法並びにこの金型を用いた周状多面体壁缶の製造方法

【課題】 周状多面体の始点と終点とを一致させ、かつ、ピッチのずれをなくし、外観性及び耐圧性に優れた周状多面体壁缶を得ることのできる周状多面体壁缶製造用金型を提供する。
【解決手段】 缶胴3の少なくとも一部に周状多面体が形成された周状多面体壁缶の製造に用いられる金型であって、前記周状多面体を構成する構成単位面6の周方向の繰り返し数よりもN個(Nは自然数)少ない繰り返し数の多面体4を有する内型1と、この内型1と相似形であって缶胴3の肉厚に相当する寸法t分だけ内型1より大きい基準型を回転させて得られる包絡線により構成される多面体5を有する外型とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周状多面体壁缶の製造に用いられる金型、この金型の製造方法及びこの金型を用いた周状多面体壁缶の製造方法に関し、特に、缶胴に周状多面体を形成する際に、缶胴壁の周囲に形成される周状多面体の位置ずれをなくし、かつ、始点と終点とを高精度に一致させることができる周状多面体壁缶製造用金型、この金型の製造方法及びこの金型を用いた外観性と耐圧性に優れる周状多面体壁缶の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
缶胴の側壁に多面体形状を形成した、いわゆる周状多面体壁缶が知られている。そして、この周状多面体壁缶は、第一に、素材が薄肉化された場合にも、内容物充填殺菌後の冷却過程あるいはその後の保存中における減圧変形などに対して大きな耐性を有し、第二に、缶を把持したときのすべりが小さく、第三に、缶のデザインとして斬新性を有するなど、多くの優れた点を備えていることから需要者の注目を集めている(例えば、本願出願人による特許文献1,2参照)。
【特許文献1】特開平4−300038号公報
【特許文献2】特許第2705684号
【0003】
図6は、上記した周状多面体壁缶の一例を示す図で、図6(a)は周状多面体壁缶の側面図、図6(b)は(a)の周状多面体壁缶をX−X方向で断面した平面図である。
この周状多面体壁缶は、缶詰用に用いられるもので、絞り缶やしごき缶等の2ピース缶の片端開口の缶胴3に、缶蓋10を巻締めて形成されるものである。なお、この周状多面体壁缶は、両端が開口した缶胴3の両端に天地缶蓋10,10を巻締めて形成される3ピース缶(図9参照)にも適用が可能である。
周状多面体壁は、多数の構成単位面6から構成され、個々の構成単位面6は、隣合う構成単位面6の位相を缶軸方向(図6(a)において上下方向)に1/2づつずらして配置されている。
隣合う個々の構成単位面6は、境界稜線7とこの境界稜線7同士が交わる交叉部8とを共有し、前記した境界稜線7及び交叉部8は、構成単位面6に比べて相対的に缶外側に凸となっている。
【0004】
また、隣合う個々の構成単位面6は、交叉部8に位置する四つの頂点a,b,c,dをそれぞれ結ぶ稜線で屈曲した形状をしている。そのため、缶胴3を例えば頂点b,dを結ぶ稜線に沿ったX−X方向に切断すると、その断面形状は、図6(b)に示すように、頂点b,dを結ぶ稜線を一辺とする正多角形になる。
【0005】
図7は、上記の周状多面体壁缶の製造方法を説明する概略図である。なお、図7においては、説明の便宜のため、内型と外型の形状は簡素化してある。
周状多面体壁缶は、缶胴3の内部に挿入される内型101と、缶胴3の外側に内型101に対向して配置された外型102とを有する金型を用いて製造することができる。
【0006】
内型101は、缶胴3の多面体壁を構成する構成単位面6の頂点及び稜線に対応する突条から構成される多面体104を有している。この内型101に形成される多面体104の数は、缶胴3に形成される周状多面体を構成する単位構成面6の周方向の繰り返し数よりもN個(Nは1,2,3・・・の自然数)少ない繰り返し数としている。
外型102は、内型101の多面体104を構成する前記突条と噛合する谷で構成される多面体105を有している。そして、これらの内型101と外型102とを、互いに対応する突条と谷とが噛合するように配置し、内型101と外型102との間に缶胴3の側壁を挟み込んだ状態で逆方向に同一の周速度で回転させることで、周状多面体壁を形成することができる。
【0007】
このように、缶胴3の周状多面体は、内型101と外型102とが噛合した状態で互いに転動することにより形成されるため、外型102の多面体105の周方向の形状は、内型101が転動することによって得られる包絡線を基準とする必要がある。そして、上記特許文献1,2に記載の技術では、外型102の多面体105の周方向の形状を、外型102と内型101とを相対的に移動させたとき内型101の中心から外型102への垂線と内型101の表面とが交わる位置の包絡線(図中、破線IIIで示す)からほぼ缶胴厚みtだけ差引いた形状としている。
【0008】
しかし、上記したような内型101と外型102とで実際に缶胴3の側壁の全周にわたって周状多面体を形成しようとすると、缶胴3に形成された周状多面体の頂点の始点と終点とが一致せずに二重になったり、周状多面体壁缶に傷がついたり、周状多面体の稜線が明確に表れなくなったりして、周状多面体壁缶胴の外観性を損ねるという問題が生じる。
また、周状多面体は、その幾何学的構造により薄板でも缶胴3の強度(耐圧性)を向上させることを目的としているが、多面体の個々を構成する構成単位面6間の稜線にずれが生じると、耐圧強度が低下するという問題が生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記の問題点にかんがみてなされたもので、缶胴の側壁に周状多面体を形成する際に、周状多面体の頂点の始点と終点とを高精度に一致させることができ、傷をつけることがなく、稜線を明確に浮き出させることで、外観性及び耐圧性に優れた周状多面体壁缶を得ることのできる周状多面体壁缶製造用の金型の提供、さらにはこの金型の製造方法及びこの金型を用いた周状多面体壁缶の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するにあたり、本発明の発明者は、上記の従来技術における問題は、外型102の多面体105の形状と、缶胴に周状多面体が形成される際に当該周状多面体(構成単位面6)によって描かれる実際の包絡線の形状との間に差異があることに着目した。
すなわち、図7において、内型101が転動することによって得られる包絡線IIIを点線で示すが、この包絡線IIIと内型101とは、缶胴3を挟み込まない状態で噛み合わせたときには、両者にほとんど滑りが生じない理想的な噛合状態となる。
上記特許文献1,2に記載されている外型102は、図7の包絡線IIIから、缶胴の肉厚に相当する寸法t分を差し引いた形状となっている。図7では、外型102の形状を実線で示し、以後、この形状を「疑似包絡線I」と称することとする。
【0011】
この外型102の形状(疑似包絡線I)は、包絡線IIIよりも小さいから、缶胴3を挟み込まない状態では、内型101との間で理想的な噛合状態とはならない。
次に、図8を参照しながら、外型102と内型101との間に缶胴3を挟み込んだときの状態について検討する。
図8(a)に示すように、内型101と外型102との間に缶胴3を挟み込み、その側面に周状多面体を形成すると、缶胴3の外面側における構成単位面6の周長L1は、内型101の多面体104の周長L0よりも大きくなる(Ll>L0)。
ここで、缶胴3の構成単位面6に基づく包絡線II(図8において二点鎖線で示す)を描くと、この包絡線IIは、缶胴3の構成単位面6と理想的に噛合する包絡線である。しかし、この包絡線IIを外型102の疑似包絡線Iと比較すると、両者の間には形状のずれがある。つまり、包絡線IIの弧の部分の周長をL2、疑似包絡線Iの弧の部分の周長をL3とすると、外型102の周長L3が、包絡線IIの周長L2よりも小さくなる(L3<L2)。
【0012】
内型101と外型102は、歯車のように噛合しながら互いに回転するため、内型101と外型102の回転中心を結ぶ軸線上では、内型101の突条と外型102の谷とは一致する。しかし、外型102の疑似包絡線Iは、内型101の包絡線III及び缶胴3の構成単位面6の包絡線IIのいずれとも一致しないから、缶胴3は、外型102の多面体105に対して滑りながら加工されることになる。これにより、缶胴3の構成単位面6の頂点の始点と終点が一致せずに二重になったり、缶胴3の表面に庇が付いたり、稜線が明確に現れないなどの問題の原因になっている、と予想される。
【0013】
この検討結果に基づき、本発明の発明者は、外型102の形状を、包絡線IIと同じ形状にすることで、つまり、図8(b)に示すように、内型101と理想的に噛合する包絡線III及び特許文献1,2に記載された外型102の疑似包絡線Iよりも大きく、かつ、缶胴3の構成単位面6に基づく包絡線IIとほぼ一致した形状を有する外型を用いることで、上記の問題点を一挙に解決できることを見出した。
【0014】
具体的には、請求項1に記載するように、缶胴の少なくとも一部に周状多面体が形成された周状多面体壁缶の製造に用いられる金型であって、前記周状多面体を構成する多面体の周方向の繰り返し数よりもN個(Nは自然数)少ない繰り返し数の多面体を有する内型と、この内型と相似形であって前記缶胴の肉厚に相当する分だけ前記内型より大きい基準型を回転させて得られた包絡線からなる多面体を有する外型とを備える構成の金型としてある。
この構成によれば、外型の包絡線の周長が周状多面体壁の構成単位面の周長と一致するので、缶胴の側壁に周状多面体を形成する際に、多面体と外型とが理想的に噛合し、始点と終点とを高精度に一致させ、かつ、ピッチにずれが生じることもない。
なお、内型と噛合して相対的に移動することにより缶胴壁に周状多面体を形成することができるのであれば、外型は所謂ラック状のものであってもよい。また、請求項2に記載するように、円周面又は円弧面の周方向に多面体を繰り返し形成したものであってもよい。
【0015】
上記の金型は、電極と被加工物との間に放電を生じさせることで前記被加工物を所定形状に形成する放電加工法を利用して製造することができる。
具体的には、請求項3に記載するように、缶胴の内部に挿入される内型と相似形であって前記缶胴の肉厚に相当する分だけ前記内型より大きい電極を準備し、この電極に外型母材を近接させつつ同期させた速度で移動させながら、前記電極と前記外型母材との間で放電を生じさせて放電加工を行い、前記外型母材に前記電極の電極面に基づいた包絡線からなる多面体を形成して前記外型を形成するようにしてもよい。
【0016】
また、請求項4に記載するように、前記外型母材が円弧状の周面を有する場合には、前記電極と前記外型母材とを相反する方向に同一の周速度で回転させながら、前記外型母材の周面の周方向に多面体を繰り返し形成することで製造することができる。
本発明の周状多面体壁缶の製造方法は、請求項5に記載するように、缶胴の少なくとも一部に周状多面体が形成された周状多面体壁缶の製造方法において、前記周状多面体を構成する多面体の周方向の繰り返し数よりもN個(Nは自然数)少ない繰り返し数の多面体を有する内型と、この内型と相似形であって前記缶胴の肉厚に相当する分だけ前記内型より大きい基準型を回転させて得られる包絡線から構成される多面体を有する外型とからなる金型を準備し、前記内型を前記缶胴内に挿入するとともに前記外型を前記缶胴の外側に配置し、前記内型と前記外型とで前記缶胴の側壁を挟み付けるように前記内型と前記外型とを噛合させ、前記内型と外型とを同期させた速度で相対的に移動させながら前記缶胴に周状多面体を形成する方法としてある。
【0017】
また、請求項6に記載の発明は、前記外型の多面体が周方向に繰り返し形成されている場合において、前記内型と外型とを互いに逆方向に同一の周速度で回転させながら前記缶胴に周状多面体を形成する方法としてある。
これら方法によれば、外型は前記缶胴の肉厚に相当する分だけ前記内型より大きい基準形を一回転させて得られる包絡線の多面体を有するように形成されているので、外型の包絡線の弧の部分の周長と構成単位面によって描かれる包絡線の弧の部分の周長とを一致させることができ、周状多面体のピッチずれや始点と終点のずれを無くすことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、缶胴の全周にわたって周状多面体を形成する場合でも、缶胴と外型との間で滑りが生じず、周状多面体の頂点の始点と終点とを一致させることができるので、外観性に優れた立体模様を缶胴に形成することができ、缶胴の外面に傷や亀裂を生じさせることもない。
また、構成単位面間の稜線のずれが生じないため、周状多面体壁缶の耐圧強度を低下させることもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の好適な一実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1及び図2は、本発明の一実施形態にかかり、図1は、内型と外型によって缶胴の側壁に周状多面体を成形する様子を示す概略図、図2は、内型と外型とによる缶胴の加工部分の拡大図である。
なお、この図1及び図2においては、図示及び説明の便宜のため、内型と外型の形状は簡素化してある。また、以下の説明において、従来例と同一部分、同一部材には同一の符号を付して詳しい説明は省略する。
【0020】
図1及び図2に示すように、この実施形態において缶胴3に挿入される内型1及び外型2の基本的な形状は、図7及び図8に示す従来の内型101及び外型102と同じである。
この実施形態では、外型2の周面に形成される包絡線状の多面体5の周長L2は、図2に示すように、缶胴3の側壁に形成される構成単位面6の周長L1とほぼ一致した長さとしてある。すなわち、外型2は、図8を参照しながら検討した包絡線IIとほぼ同じ形状としてある。
【0021】
このような外型2は、図3に示すような方法で形成することができる。
すなわち、内型1と相似形で、かつ、内型1よりも缶胴3の肉厚に相当する寸法t分だけ大きい基準型としての電極11を準備する。そして、この電極11を使って、断面円形状の外型母材12の外周面に放電加工を施す。
具体的には、電極11を外型母材12に近接させ、電極11と外型母材12との間で断続的に放電を生じさせつつ、外型電極11と外型母材12とを同一の周速度で互いに逆方向に回転させて放電加工を行う。
これにより、外型母材12の周面には、電極11の電極面11aに応じた包絡線を有する多面体5が形成される。電極11の電極面11aの周長は、缶胴3の側壁に形成される周状多面体の周長(L1)とほぼ一致するので、前記包絡線の弧の部分の周長は、前記周状多面体の周長とほぼ一致することになる。
【0022】
図4は、内型1の多面体4の周長L0及び電極11の電極面11aの周長(周長L1に一致する)の決定方法を説明する図で、図4(a)は構成単位面6を形成する前の缶胴3の部分断面図、図4(b)は構成単位面6を形成したときの缶胴3の部分断面図を示している。
図4(a)に示すように、缶胴3を形成している材料には、曲げ加工を施したり、周状多面体を形成したりしても伸縮しない中立線Jが存在する。
この中立線Jの缶胴3における周方向の全長Ljは、缶胴3の内径をDp、缶胴3の肉厚をtとしたとき、
Lj=(Dp+t)π (1)
で表すことができる。
【0023】
一方、周方向の繰り返し回数がN回(Nは自然数)の周状多面体を缶胴3の側壁に形成すると、任意のk番目の構成単位面6における中立線Jの長さLkは、図4(b)に示すように、
Lk=Lj/N (2)
で表すことができる。
また、繰り返し回数がN回の周状多面体を缶胴3の側壁に形成する際には、缶胴3を形成している前記材料は、図4(b)に示すように、缶胴3の内側では内型1の多面体4に密着し、缶胴3の外側では周方向に引き延ばされることになる。
【0024】
このときも、中立線Jの周方向の全長Ljは変化しないから、一つの構成単位面6を底辺とし、缶胴3の中心に頂点を有する二等辺三角形の頂角をα(α=2π/N)とした場合に、単位構成面6の缶胴内側の周長L0及び缶胴外側の周長L1は、それぞれ、
L0=Lk−t・tan(α/2) (3)
L1=Lk+t・tan(α/2) (4)
で表すことができる。
したがって、内型1の多面体4の周長は上記のL0、外型2を形成するための電極11における電極面11aの周長は上記L1として求めることができる。
【0025】
上記のようにして形成された内型1と外型2とは、互いに対応する突条部分と谷部分とが噛合するように、かつ、缶胴3の肉厚に相当する距離tだけ離間させて配置する。そして、内型1を缶胴3に挿入して内型1と外型2とで缶胴3の側壁を挟み付け、内型1と外型2とを同期させた周速度で互いに逆方向に回転させながら、缶胴3の側壁に周状多面体を形成する。
【0026】
図5は、上記構成の内型1と外型2とを使ってロータリー式の成形装置で缶胴3に周状多面体加工を施す手順を説明するものである。なお、この成形装置については公知であるので、各部の詳細については説明を省略する。
【0027】
図5中(1)で示す位置から缶胴3が内型に挿入される。
ターレット位置(3)から(9)の範囲よりやや広い範囲にわたって、カム部材140が内型1の外方に配置されている。このカム部材140は、図示しないカムローラで外型2を内型1側へシフトさせることで、缶胴3の外周を押す。これにより、ターレット位置(4)から(8)の範囲で、外型2と接する側の缶胴3の内壁が、内型1に押し付けられる。
【0028】
そして、ターレット位置(4)から(8)の範囲で、内型1及び外型2を同期回転させながら缶胴3に周面多面体加工が施される。缶胴3が、ターレット位置(9)の位置まで送られてくると、カム部材140による図示しないカムローラの押圧が解除され、缶胴3が内型1から抜け出る。
このようにして、缶胴3の側壁に周状多面体加工が施される。加工を終了した缶胴3は、排出位置Aでこの成形装置から搬出される。
【0029】
本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態により何ら限定されるものではない。
例えば、外型2は、円形状の外型母材12を加工して形成され、円周上に多面体5を繰り返し形成した構成としてあるが、ラック上の外型母材上に、直線状に多面体を繰り返し形成した構成としてもよい。
また、図1〜図3では、図示及び説明の便宜上、外型2の角数は内型1の角数と同数(八角)としているが、外型2の包絡線の周長が周状多面体の周長と同じであれば、外型2の角数は内型1の角数よりもN個(Nは1,2,3・・・の自然数)多くてもよいし、少なくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の方法は、缶胴の側壁の全周にわたって周状多面体を形成する場合に好適であるが、缶胴の側壁の一部に周状多面体を形成する場合にも適用が可能である。また、本発明により周状多面体が形成された缶は、食品や飲料に限らず、医薬品やオイル等の工業製品にも適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態にかかり、内型と外型によって缶胴壁に周状多面体を成形する様子を示す概略図である。
【図2】内型と外型とによる缶胴の加工部分の拡大図である。
【図3】外型の成形方法を説明する概略図である。
【図4】内型の多面体の周長及び電極の電極面の周長の決定の方法を説明する図で、図4(a)は周状多面体を形成する前の缶胴の部分断面図、図4(b)は周状多面体を形成したときの缶胴の部分断面図を示している。
【図5】内型と外型とを使ってロータリー式の成形装置で缶胴に周状多面体加工を施す手順を説明する図である。
【図6】周状多面体壁缶(2ピース缶)の一例を示す図で、図6(a)は周状多面体壁缶の側面図、図6(b)は(a)の周状多面体壁缶をX−X方向で断面した図である。
【図7】特許文献1,2に記載された周状多面体壁缶の製造方法を説明する概略図である。
【図8】図8(a)は従来技術における問題点を説明する図、図8(b)は本発明の原理を説明する図である。
【図9】周状多面体壁缶(3ピース缶)の他の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
1 内型
2 外型
3 缶胴
4,5 多面体
6 構成単位面
7 稜線
8 交叉部
10 缶蓋
11 電極
11a 電極面
12 外型母材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶胴の少なくとも一部に周状多面体が形成された周状多面体壁缶の製造に用いられる金型であって、
前記周状多面体を構成する多面体の周方向の繰り返し数よりもN個(Nは自然数)少ない繰り返し数の多面体を有する内型と、
この内型と相似形であって前記缶胴の肉厚に相当する寸法分だけ前記内型より大きい基準型を回転させて得られた包絡線からなる多面体を有する外型と、
を備えることを特徴とする周状多面体壁缶製造用金型。
【請求項2】
前記外型の多面体が、周方向に繰り返し形成されていることを特徴とする請求項1に記載の周状多面体壁缶製造用金型。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の周状多面体壁缶製造用金型の製造方法であって、
缶胴の内部に挿入される内型と相似形であって前記缶胴の肉厚に相当する寸法分だけ前記内型より大きい電極を準備し、
この電極に外型母材を近接させつつ同期させた速度で移動させながら、前記電極と前記外型母材との間で放電を生じさせて放電加工を行い、前記外型母材に、前記電極の電極面に基づいた包絡線からなる多面体を形成して前記外型とすること、
を特徴とする周状多面体壁缶用金型の製造方法。
【請求項4】
前記被加工物が円弧状の周面を有する場合に、前記電極と前記被加工物とを相反する方向に同一の周速度で回転させながら、前記被加工物の周面の周方向に多面体を繰り返し形成することを特徴とする請求項3に記載の周状多面体壁缶用金型の製造方法。
【請求項5】
缶胴の少なくとも一部に周状多面体が形成された周状多面体壁缶の製造方法において、
前記周状多面体を構成する多面体の周方向の繰り返し数よりもN個(Nは自然数)少ない繰り返し数の多面体を有する内型と、この内型と相似形であって前記缶胴の肉厚に相当する寸法分だけ前記内型より大きい基準型を回転させて得られる包絡線から構成される多面体を有する外型とからなる金型を準備し、
前記内型を前記缶胴内に挿入するとともに前記外型を前記缶胴の外側に配置し、前記内型と前記外型とで前記缶胴の側壁を挟み付けるように前記内型と前記外型とを噛合させ、前記内型と外型とを同期させた速度で相対的に移動させながら前記缶胴に周状多面体を形成すること、
を特徴とする周状多面体壁缶の製造方法。
【請求項6】
前記外型の多面体が周方向に繰り返し形成されている場合において、前記内型と外型とを互いに逆方向に同一の周速度で回転させながら前記缶胴に周状多面体を形成することを特徴とする請求項5に記載の周状多面体壁缶の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−15357(P2006−15357A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−194002(P2004−194002)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】