説明

周辺露光方法及び周辺露光装置

【課題】周辺露光幅の不均一を簡便に把握することを可能とする周辺露光装置及び周辺露光方法を提供する。
【解決手段】フォトレジスト膜が形成された基板を基板保持回転部により保持するステップと、前記フォトレジスト膜を露光可能な露光光が、前記基板の周辺部に照射されるとともに前記基板の周縁の外側を通過するように、前記基板保持回転部により前記基板を回転しながら前記基板に向けて前記露光光を放射するステップと、前記基板の周縁の外側を通過した前記露光光に基づいて前記周辺部に照射される前記露光光の幅を検出するステップとを含む周辺露光方法により上記課題が達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等の基板に形成されたフォトレジスト膜の周辺露光方法及び周辺露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程においては、半導体ウエハやFPD用ガラス基板等の基板の表面に回路パターンを形成するため、フォトリソグラフィ技術が用いられている。フォトリソグラフィ技術では、基板の表面にフォトレジスト膜を形成し、所定のフォトマスクを用いてフォトレジスト膜を露光することにより回路パターンの潜像を形成し、露光後のフォトレジスト膜を現像液で現像することにより回路パターンが形成される。基板の表面へのフォトレジスト膜の形成は、基板の表面にフォトレジスト液を供給し、基板を回転してフォトレジスト液を基板の表面に広げることにより行われる。
【0003】
このように形成されるフォトレジスト膜は、基板の周辺部で厚くなる傾向があるため、露光処理の均一性が悪化するおそれがある。また、周辺部のフォトレジスト膜は基板の搬送中又は処理中に剥離し易いため、パーティクルを発生するおそれがある。そこで、基板の周辺部のフォトレジスト膜を除去するため、フォトレジスト膜の形成後に周辺部に紫外光を照射する周辺露光が行われる。具体的には、フォトレジスト膜が形成された基板を、例えば裏面中央部においてスピンチャックで保持して回転させつつ、基板の周辺部の所定の幅の領域に紫外光を照射することにより、フォトレジスト膜の周辺部が露光される(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−110712号公報
【特許文献2】特開2007−149903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような周辺露光においては、基板の中心とスピンチャックの回転中心軸とが一致していない場合には、基板の外周に沿った周辺露光幅が不均一となる。周辺露光幅が不当に広くなった場合、基板上のダイ(チップ)領域にまで露光され、不良チップが発生してしまう場合さえある。逆に周辺露光幅が不当に狭くなった場合には、パーティクルの発生を抑制できないことともなる。
【0006】
このような問題を解決するため、例えばスピンチャックで基板を保持した後、かつ周辺露光を開始する前に、スピンチャックの回転中心に対する基板の中心のずれを検出し、その検出結果に基づいて、周辺露光幅を調整することが行われている。
【0007】
しかし、基板の中心のずれを検出したとしても、その検出から周辺露光までの間や、周辺露光中に中心ずれが発生する可能性がある。そのようなずれが発生した場合に周辺露光幅の不均一を把握できることが望ましい。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、周辺露光幅の不均一を簡便に把握することを可能とする周辺露光装置及び周辺露光方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、フォトレジスト膜が形成された基板を基板保持回転部により保持するステップと、前記フォトレジスト膜を露光可能な露光光が、前記基板の周辺部に照射されるとともに前記基板の周縁の外側を通過するように、前記基板保持回転部により前記基板を回転しながら前記基板に向けて前記露光光を放射するステップと、前記基板の周縁の外側を通過した前記露光光に基づいて前記周辺部に照射される前記露光光の幅を検出するステップとを含む周辺露光方法が提供される。
【0010】
本発明の第2の態様は、フォトレジスト膜が形成された基板を保持する基板保持回転部;前記フォトレジスト膜を露光可能な露光光を発する発光部と前記露光光を検知可能な受光部とを含む露光部であって、前記基板保持回転部により保持される前記基板の周辺部により、前記発光部から前記受光部に至る前記露光光の光路の一部が遮られるように配置される当該露光部;及び前記基板の周辺部により遮られずに前記受光部に到達する前記露光光に応じて前記受光部から出力される信号に基づき、前記周辺部に照射される前記露光光の幅が許容範囲に収まるか否かを判定する制御部;を含む周辺露光装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態によれば、周辺露光幅の不均一を簡便に把握することを可能とする周辺露光装置及び周辺露光方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態による周辺露光装置が組み込まれる塗布現像装置を示す平面図である。
【図2】図1の塗布現像装置の側面図である。
【図3】本発明の実施形態による周辺露光装置を示す概略上面図である。
【図4】本発明の実施形態による周辺露光装置を示す概略側面図である。
【図5】本発明の実施形態による周辺露光装置における位置検出器及び周辺露光部の基板に対する位置を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施形態による周辺露光方法を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態による周辺露光装置における周辺露光部の紫外光センサと、これに照射される周辺露光用の紫外光との位置関係を示す概略図である。
【図8】本発明の実施形態による周辺露光装置における周辺露光部の変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一又は対応する部材又は部品については、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
図1および図2を参照しながら、本発明の実施形態による周辺露光装置を備える、本発明の実施形態による塗布現像装置について説明する。図1は塗布現像装置の平面図であり、図2は図1の塗布現像装置の側面図である。
図1に示すように、本実施形態の塗布現像装置30は、キャリアブロックB1、処理ブロックB2、およびインターフェイスブロックB3を備えている。また、インターフェイスブロックB3は露光装置B4に結合されている。
【0015】
キャリアブロックB1は、複数のウエハを収容する密閉型のキャリアCが載置される載置部60と、載置部60に載置されるキャリアCからウエハを取りだして処理ブロックB2へ搬送し、処理ブロックB2にて処理されたウエハをキャリアCへ収容する搬送アーム62とを有している。
【0016】
処理ブロックB2には、図2に示すように、現像処理を行うためのDEV層L1と、フォトレジスト膜の下地層としての反射防止膜を形成するためのBCT層L2と、フォトレジスト液を塗布するためのCOT層L3と、フォトレジスト膜の上に形成される反射防止膜を形成するためのTCT層L4とが下方から順に設けられている。
【0017】
また、DEV層L1には、図1に示す現像ユニット68が例えば2段に積層されており、この2段の現像ユニット68にウエハWを搬送するための搬送アーム69a(図2)が設けられている。BCT層L2とTCT層L4には、図示を省略するが、各々反射防止膜用の薬液をスピンコーティングして反射防止膜を形成する塗布ユニットと、この塗布ユニットにて行われる処理の前処理及び後処理を行うための加熱ユニットや冷却ユニットとが設けられている。また、各ユニット間でウエハWの受け渡しを行うため、BCT層L2には搬送アーム69bが、TCT層L4には搬送アーム69dが配置されている。
なお、上述の種々のユニットは、各層L1〜L4に対応して設けられる処理ユニット群63(図1)内に積層して設けられている。
【0018】
さらに、処理ブロックB2には、キャリアブロックB1側に第1棚ユニットU1が設けられ、インターフェイスブロックB3側に第2棚ユニットU2が設けられている。第1棚ユニットU1及び第2棚ユニットU2には複数の受け渡しユニットが設けられている。これらの受け渡しユニットのうち、図2にて参照符号CPL+数字で示される受け渡しユニットには温度調節用の冷却ユニットが備えられており、参照符号BF+数字で示される受け渡しユニットには複数枚のウエハWを載置可能なバッファユニットが備えられている。
また、第1棚ユニットU1のX方向側(図1参照)に隣接して、第1棚ユニットU1の各部間でウエハWを搬送する昇降自在な搬送アーム16が設けられている。
【0019】
インターフェイスブロックB3は、インターフェイスアームFを備えており、このインターフェイスアームFによって第2棚ユニットU2と露光装置B4との間でウエハWが受け渡される。露光装置B4では、インターフェイスアームFから搬送されたウエハWに対して所定の露光処理が行われる。また、インターフェイスブロックB3には、本発明の実施形態による周辺露光装置10(後述)が配置されており、周辺露光装置10に対するウエハWの搬入出は、インターフェイスアームFにより行われる。
【0020】
この塗布現像装置30において、フォトレジストパターンをウエハWに形成する場合、まずキャリアブロックB1からウエハWを第1棚ユニットU1の受け渡しユニット、例えばBCT層L2に対応する受け渡しユニットCPL2に搬送アーム62によって搬送する。次に、このウエハWは、搬送アーム16により受け渡しユニットCPL3へ搬送され、搬送アーム69cにより、COT層L3に搬入される。COT層L3において、ウエハWの表面(または最上層)が疎水化される。次いで、搬送アーム69cにより塗布ユニットへ搬送され、ここでフォトレジスト膜が形成される。ウエハWの表面が疎水化されているため、フォトレジスト膜はウエハWの表面(また下地層)に対して高い密着性をもって形成される。
【0021】
その後ウエハWは、搬送アーム69cにより第1棚ユニットU1の受け渡しユニットBF3へ搬送される。受け渡しユニットBF3に搬送されたウエハWは、搬送アーム16により受け渡しユニットCPL4へと搬送され、搬送アーム69dによってTCT層L4へと搬送される。そして、TCT層L4にてウエハWのフォトレジスト膜の上に反射防止膜が形成され、受け渡しユニットTRS4に搬送される。なお、求められる仕様等に応じてフォトレジスト膜の上に反射防止膜を形成しない場合や、ウエハWに対して疎水化処理を行う代わりに、BCT層L2にてウエハWに直接反射防止膜が形成される場合もある。
【0022】
また、DEV層L1内の上部にはシャトルアーム700が設けられている(図2参照)。シャトルアーム700は、第1棚ユニットU1の受け渡しユニットCPL11から第2棚ユニットU2の受け渡しユニットCPL12にウエハWを直接搬送する。フォトレジスト膜や反射防止膜が形成されたウエハWは、搬送アーム16(図1)により、受け渡しユニットBF3又はTRS4から受け渡しユニットCPL11へと搬送され、シャトルアーム700によって受け渡しユニットCPL12に搬送される。
【0023】
シャトルアーム700によって受け渡しユニットCPL12に搬送されたウエハWは、インターフェイスブロックB3のインターフェイスアームF(図1)によって、周辺露光装置10へ搬送される。周辺露光装置10において、ウエハWの表面周辺部に形成されたフォトレジスト膜が露光される。周辺露光が行われたウエハWは、インターフェイスアームFにより周辺露光装置10から取り出されて、露光装置B4へ搬送される。そして、露光装置B4においてウエハW上に形成されたフォトレジスト膜が露光された後、ウエハWは、インターフェイスアームFによって第2棚ユニットU2の受け渡しユニットTRS6へ搬送される。続けて、ウエハWは、搬送アーム69aによりDEV層L1に搬送され、ここで、露光されたフォトレジスト膜が現像された後、搬送アーム69aによって第1棚ユニットU1の受け渡しユニットTRS1へ搬送され、搬送アーム62によってキャリアCへ収容される。このようにして本実施形態の塗布現像装置30により、ウエハWにフォトレジストパターンが形成される。
【0024】
次に、図3から図5まで及び図7を参照しながら、本発明の実施形態による周辺露光装置10について説明する。
図3及び図4を参照すると、周辺露光装置10は、一端にウエハWの搬入出口51が形成された筐体50を有している。ウエハWは、インターフェイスアームFにより搬入出口51を通して筐体50内に搬入され、筐体50から搬出される。また、筐体50内には、ウエハWの裏面中央部を吸着によりウエハWを保持するチャック80と、チャック80を回転するモータ81(図4)と、チャック80及びモータ81を搬入出口51側又は露光部60側に移動する移動機構90(図4)と、チャック80にて保持されたウエハWの中心からの偏心量を検出する位置検出器100と、搬入出口51と反対側の上部に設けられ、ウエハWの周辺部に紫外光を照射する露光部60と、搬入出口51から筐体50内に挿入されるインターフェイスアームFとチャック80との間で、ウエハWを受け渡す受け渡し手段であるバッファ85とが設けられている。
【0025】
位置検出器100は、図5に示す例では、チャック80の中心に対して露光部60と180°ずれた位置に配置され、ウエハWの周辺部を上下から挟む発光部9及び受光部11を有している。なお、位置検出器100は、図3に示すように、チャック80の中心に対して露光部60と90°ずれた位置に配置されても良い。
本実施形態においては、発光部9は、ウエハWに形成されるフォトレジスト膜を露光しない波長を有する光を発する。例えば黄色光や赤色光を発するLEDランプを発光部9として使用することができる。受光部11は例えば電荷結合素子(CCD)ラインセンサで構成されている。受光部11としてのCCDラインセンサは、その長手方向と、チャック80に保持されるウエハWのエッジとが交差するように配置される。また、発光部9としてのLEDランプは、ウエハWがチャック80により保持されていないときに、CCDラインセンサ11の受光面全体に光を照射できるように配置されている。これにより、チャック80がウエハWを保持したときに、CCDラインセンサ11においてウエハWにより遮光された領域と、遮光されずに光が照射された領域とが生じる。これらの領域の境界の位置に基づいてウエハWのエッジを検出することができる。
【0026】
露光部60は、図4及び図5に示すように、光源61と、光源61からの光を集光する集光ミラー62と、光源61と集光ミラー62を収納する光源ボックス63と、光源ボックス63の下部に設けられ、光源61からの紫外光を光学系64に導くロッド65と、ロッド65の下端開口部の近傍に配置され、露光面積を調節する矩形開口66を有するマスク67と、マスク67の矩形開口66を透過する紫外光を検出する紫外光センサ70とを有している。また、光源ボックス63内において、光源61とロッド65との間にはシャッタ61Sが設けられている。
【0027】
光源61は、ウエハWに形成されるフォトレジスト膜を露光可能な波長成分を含む例えば紫外光(UV光)を発する。具体的には、使用するフォトレジスト膜に応じて、例えば超高圧UVランプ、高圧UVランプ、低圧UVランプ、エキシマランプなどを光源61として使用することができる。また、紫外光センサ70としては、光源61からの紫外光に対して感度を有する受光素子(例えば半導体紫外線素子)を使用することができる。
【0028】
光学系64は例えば複数のレンズを含み、ロッド65により導かれた紫外光をほぼ平行光に変換してマスク67に照射する。マスク67の矩形開口66は、例えば4mmの幅w及び5mmの長さt(図5参照)を有することができる。これにより、4mmの幅と5mmの長さを有する断面を有する紫外光(の光束)が紫外光センサ70に向かって放射される。紫外光センサ70(の受光面)は、マスク67の矩形開口66の幅wよりも大きい幅を有していることが好ましい。これにより、図7(a1)に示すように、マスク67を通過した紫外光LがウエハWに遮られることなく直接に紫外光センサ70に照射される場合、図7(a2)に示すように、幅方向については紫外光センサ70の内側に紫外光Lが収まることができる。
【0029】
なお、露光部60は、(露光部60側に位置する)チャック80に偏心なく保持されるウエハWの周辺部に対して、ウエハWのエッジから一定の幅(例えば0.1mmから4.0mm)で紫外光が照射されるように位置決めされる。
【0030】
再び図3及び図4を参照すると、移動機構90は、チャック80とモータ81を支持するチャック支持台91と、チャック支持台91を搬入出口51側又は露光部60側に移動するボールねじ機構92とを有している。ボールねじ機構92は、チャック支持台91を軸方向に移動可能に係合(螺合)するねじ軸93と、ねじ軸93を正逆回転する移動用モータ94とで構成されている。また、チャック支持台91を摺動可能に支持する一対のガイド軸95がねじ軸93と平行に設けられている。このように構成される移動機構90において、移動用モータ94がねじ軸93を正逆方向に回転することによって、チャック支持台91ひいてはチャック80及びモータ81が、搬入出口51側又は露光部60側に移動される。
【0031】
バッファ85は、図3に示すように、上方から見てチャック80の外方を包囲する円弧状の切欠き86aを有する支持板86と、支持板86上に起立する3つの支持ピン87と、支持板86をチャック80の上下方向に昇降する昇降機構(例えば昇降用のエアーシリンダ)88とを有している。このように構成されるバッファ85は、図4に二点鎖線で示すように、エアーシリンダ88の駆動によりチャック80より上方に上昇することにより、インターフェイスアームFに保持されたウエハWを支持ピン87で受け取り、その後、チャック80より下方に下降することにより、チャック80にウエハWを受け渡すことができる。また、逆にチャック80の下方位置から上昇することにより、チャック80に保持されたウエハWをチャック80から支持ピン87が受け取り、その後、周辺露光装置10の筐体50内に進入してウエハWの下方に位置するインターフェイスアームFにウエハWを受け渡すことができる。
【0032】
また、チャック80駆動用のモータ81、移動用モータ94、昇降用のエアーシリンダ88、及び位置検出器100は、例えば中央演算処理装置(CPU)を含む制御部200に電気的に接続されている。制御部200は図示しない記憶部を有しており、例えばウエハWのエッジからウエハW内のチップ(素子)までの距離、アライメントの位置や寸法等の情報や、位置検出器100からの検出情報を記憶することができる。これらの情報に基づいて、制御部200は、モータ81、移動用モータ94、及び昇降用エアーシリンダ88等を動作させることができる。
【0033】
以下、図6及び図7を参照しながら、本発明の実施形態による周辺露光方法を、上述の塗布現像装置30及び周辺露光装置10を用いて実施する場合を例にとり説明する。このため、以下の説明では、図3から図5も適宜参照する。
(ウエハの搬入)
まず、移動機構90により、チャック支持台91が搬入出口51側に移動される(図4の実線で示すチャック支持台91を参照)。これにより、チャック支持台91に支持されるモータ81及びチャック80が搬入出口51側(搬入出口51に望む位置)に位置する。次に、塗布現像装置30においてフォトレジスト膜が形成され、プリベークされたウエハWが、インターフェイスアームFによって、搬入出口51を通して筐体50内に搬入される。インターフェイスアームFにより保持されるウエハWが、支持板86及び支持ピン87により、チャック80へ受け渡され、吸着によりチャック80によって保持される(ステップS61)。
【0034】
(露光用紫外光の強度調整)
ウエハWの搬入中(または搬入後であって搬入出口51側にある間)に、露光部60の光源61が点灯し、シャッタ61Sが開くことにより、光源61からの紫外光がロッド65、光学系64、及びマスク67を通過して、紫外光センサ70に照射される。照射された紫外光の強度が測定され、その測定値に基づいて光源61へ供給される電力が調整される。これにより、光源61からの紫外光の強度が、例えば、使用するフォトレジストの仕様で決まる露光強度に調整される(ステップS62)。調整された紫外光の強度を受光する紫外光センサ70の強度は、制御部200の記憶部(図示せず)に記憶される。以上で強度調整が終了し、シャッタ61Sが閉まり、紫外光センサ70へ紫外光の照射が妨げられる。
【0035】
(ウエハWの偏心検出)
次いで、移動機構90によりチャック支持台91が露光部60側に移動され、モータ81、チャック80、及びチャック80に保持されるウエハWが露光部60側に位置する。このとき、ウエハWの周辺部が、図4に一点鎖線で示すように露光部60のマスク67と紫外光センサ70との間に位置し、また、図5に示すように位置検出器100の発光部9と受光部11との間に位置する。
【0036】
次に、ステップS63において、制御部200の制御の下、位置検出器100の発光部9が点灯するとともに、モータ81が起動されてチャック80及びウエハWが所定の速度で1回転する。このとき、発光部9からの光は、その一部がウエハWにより遮られて受光部11に照射される。これにより、受光部11は、受光面における照射された領域と、照射されていない領域との境界に関する情報を含む信号(以下、便宜上、位置信号という)を制御部200に対して出力する。位置信号を入力した制御部200は、位置信号から上述の境界の位置を把握することができる。また、把握した境界の位置とウエハWの回転角(0〜360°)とが関連付けられて制御部200の記憶部(図示せず)に記憶される。
【0037】
(周辺露光)
続けて、ステップS64において、露光部60のシャッタ61Sが開き、先に調整された所定の強度を有する紫外光がウエハWの周辺部に向けて放射されるとともに、モータ81が起動されてチャック80及びウエハWが所定の速度で1回転する。このとき、制御部200は、先に把握し記憶したウエハWの回転角と上述の境界の位置との関係に基づいて移動機構90を制御し、ウエハWの偏心(チャック80の回転中心とウエハWの中心のずれ)に起因する、紫外光の照射幅のずれを相殺する。例えば、位置検出器100を用いた検出の結果、或る回転角θ1のときにウエハWのエッジがウエハWの中心方向にαμmずれていることが分かっているとする。この場合、回転角θ1+(露光部60と位置検出器100との角度の差)のときに、ウエハWのエッジがαμm外側にずれるようにチャック80が移動機構90により移動される。このようなチャック80の移動をウエハWの回転とともに連続的に行うことにより、ウエハWの周辺部には、一定の幅で紫外光が照射され得る。
【0038】
一方、露光部60の光源61からの紫外光がウエハWの周辺部に照射されている間(ウエハWが1回転する間)、露光部60の紫外光センサ70もまた、紫外光センサ70に照射される紫外光の強度を反映した信号(以下、便宜上、露光幅信号という)を制御部200に対して出力する。
すなわち、図7(b1)に示すように、光源61からの紫外光Lの一部がウエハWにより遮られ、ウエハWのエッジの外側を通過した紫外光Lが紫外光センサ70に至る。このため、図7(b2)に示すように、ウエハWによる影(右上がりの斜線で示す部分)が生じ、紫外光センサ70には、右下がりの斜線で領域S(以下、照射面積S)にのみ紫外光が照射される。そして、照射面積Sに対応した強度を有する露光幅信号が紫外光センサ70から出力される。ここで、照射面積Sは、図7(b1)及び図7(c1)に示すように、ウエハWの中心Cwとチャック80の回転中心Ccとのずれ(偏心)に応じて、図7(b2)及び図7(c2)に示すように変化する。したがって、ずれに応じた強度を有する露光幅信号が紫外光センサ70から出力される。露光幅信号を入力した制御部200は、先に紫外光強度を調整した際に得た紫外光強度により露光幅信号を規格化し、規格化した露光幅信号の強度が、仕様で決まる露光幅に許容範囲に対応した所定の範囲内に収まっているか否かを判定する(ステップS65)。所定の範囲を超えたと判定された場合には(ステップS65:NO)、そのウエハWは、周辺露光装置10から搬出され、元のキャリアCへ戻されるとともに、ソフトマーキングされる。また、アラーム信号を出力し、これに応じて、例えば塗布現像装置30の操作パネルにそのウエハWのウエハ番号を表示しても良い。
【0039】
(ウエハWの露光及び現像処理)
一方、露光幅信号が所定の範囲に収まっていると判定された場合には(ステップS65:NO)、周辺露光装置10からウエハWが搬出され、これ以降、インターフェイスアームFによりウエハWが露光装置B4へ搬送され、ウエハWの周辺部より内側のフォトレジスト膜が露光され現像されて回路パターンを有するフォトレジストマスクが形成される。その後、ウエハWは元のキャリアCに戻される。そして、ソフトマーキングされたウエハWは、キャリアCから取り出されてリワークされる。
【0040】
以上説明したとおり、本発明の実施形態による周辺露光装置10を用いて実施される、本発明の実施形態による周辺露光方法によれば、ウエハWの周辺に露光光を照射することにより周辺露光をしているときに、周辺露光用の露光光を用いることにより露光幅が監視される。すなわち、ウエハWの周辺部により遮られることなく紫外光センサ70に到達する露光光に応じた露光幅信号に基づいて、露光幅が許容範囲内に収まるか否かを判定することができる。
上述のとおり、周辺露光に先立って位置検出器100によりウエハWの偏心が検出され、これに基づいて露光幅が一定化される場合であっても、偏心検出の後、例えば周辺露光のためウエハWを回転し始めた時にウエハWがチャック80に対してずれたときには、偏心検出の結果に基づいた制御には意味はなく、しかも、露光幅の不良を見出すことができない。しかし、本発明の実施形態による周辺露光方法によれば、周辺露光をしている間に露光幅を監視しているため、露光幅の不良を発見することができる。
【0041】
しかも、周辺露光用の光源61と、これが発する周辺露光用の紫外光の強度を調整するために設けられる紫外光センサ70とを利用しているため、別途の機器や部品を周辺露光装置10に追加する必要がない。すなわち、周辺露光装置10のコストを上昇させることがない。
【0042】
以上、幾つかの実施形態を参照しながら本発明を説明したが、本発明の上述の実施形態に限定されることなく、添付の特許請求の範囲に照らし、種々に変形又は変更が可能である。
【0043】
例えば、露光部60の紫外光センサ70は、図8(a)に示すように、チャック80により保持されるウエハWの下方に、受光面が横方向を向くように配置され、ウエハWのエッジの外側を通過する紫外光Lを平面ミラーM1により反射させることにより、紫外光センサ70へ導いても良い。チャック80に保持されるウエハWの下方の空間を利用すれば、周辺露光装置10を小型化することが可能となる。また、この場合であっても、ウエハWの周辺部に遮られることなく紫外光センサ70に到達する紫外光に応じた露光幅信号が出力され、上述の実施形態と同様の効果が奏される。また、平面ミラーM1の代わりに、図8(b)に示すように凹面ミラーM2を用いても良い。
【0044】
また、上述の実施形態においてはロッド65からの紫外光をほぼ平行光に変換する光学系64が使用されるが、これは必ずしも必要ではない。また、光学系64の代わりに集光レンズを用いても良い。
【0045】
また、上記の実施形態において、周辺露光装置10は、塗布現像装置30のインターフェイスブロックB3に配置されたが、処理ブロックB2の処理ユニット群63又は第2棚ユニットU2内に配置されても良い。
【0046】
また、本発明の実施形態による周辺露光方法及び周辺露光装置は、半導体ウエハだけでなく、FPD用ガラス基板や樹脂基板に形成されるフォトレジスト膜に対する周辺露光にも適用することができる。
【符号の説明】
【0047】
30・・・塗布現像装置、B1・・・キャリアブロック、B2・・・処理ブロック、B3・・・インターフェイスブロック、B4・・・露光装置、C・・・キャリア、63・・・処理ユニット群、U1・・・第1棚ユニット、U2・・・第2棚ユニット、F・・・インターフェイスアーム、10・・・周辺露光装置、50・・・筐体、51・・・搬入出口、60・・・露光部、61・・・光源、70・・・紫外光センサ、80・・・チャック、81・・・モータ、85・・・バッファ、100・・・位置検出器、9・・・発光部、11・・・受光部、64・・・光学系、65・・・ロッド、66・・・矩形開口、67・・・マスク、90・・・移動機構、91・・・チャック支持台、92・・・ボールねじ機構、93・・・ねじ軸、94・・・移動用モータ、W・・・ウエハ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトレジスト膜が形成された基板を基板保持回転部により保持するステップと、
前記フォトレジスト膜を露光可能な露光光が、前記基板の周辺部に照射されるとともに前記基板の周縁の外側を通過するように、前記基板保持回転部により前記基板を回転しながら前記基板に向けて前記露光光を放射するステップと、
前記基板の周縁の外側を通過した前記露光光に基づいて前記周辺部に照射される前記露光光の幅を検出するステップと
を含む周辺露光方法。
【請求項2】
前記検出するステップにおいて、前記基板の周縁の外側を通過した前記露光光が前記露光光に対して感度を有する受光部により受光され、該受光部の受光面に照射される前記露光光の照射面積に基づいた信号が出力される、請求項1に記載の周辺露光方法。
【請求項3】
前記放射するステップに先立って、前記基板保持回転部の回転中心軸と、前記基板保持回転部により保持される前記基板の中心との間の位置ずれを検出する位置ずれ検出ステップと、
前記放射するステップにおいて、前記基板保持回転部により前記基板を回転しながら、前記位置ずれ検出ステップで検出された前記位置ずれを補正するステップと
を更に含む、請求項1又は2に記載の周辺露光方法。
【請求項4】
前記位置ずれ検出ステップが
前記フォトレジスト膜を露光しない検出用の光が、前記基板の周辺部に照射されるとともに前記基板の周縁の外側を通過するように、前記基板保持回転部により前記基板を回転しながら前記基板に向けて前記検出用の光を放射するステップ
を含み、
前記基板の周縁の外側を通過した前記検出用の光に基づいて前記位置ずれが検出される、請求項3に記載の周辺露光方法。
【請求項5】
前記位置ずれを補正するステップにおいて、前記位置ずれを補正するように前記基板保持回転部の位置が調整される、請求項3又は4に記載の周辺露光方法。
【請求項6】
フォトレジスト膜が形成された基板を保持する基板保持回転部;
前記フォトレジスト膜を露光可能な露光光を発する発光部と前記露光光を検知可能な受光部とを含む露光部であって、前記基板保持回転部により保持される前記基板の周辺部により、前記発光部から前記受光部に至る前記露光光の光路の一部が遮られるように配置される当該露光部;及び
前記基板の周辺部により遮られずに前記受光部に到達する前記露光光に応じて前記受光部から出力される信号に基づき、前記周辺部に照射される前記露光光の幅が許容範囲に収まるか否かを判定する制御部;
を含む周辺露光装置。
【請求項7】
前記フォトレジスト膜を露光しない検出用の光を発する第2の発光部と、前記検出用の光を検知可能な第2の受光部とを含む基板位置検出部であって、前記基板保持回転部により保持される前記基板の周辺部により、前記第2の発光部から前記第2の受光部に至る前記検出用の光の光路の一部が遮られるように配置される当該位置検出部を更に備え、
前記制御部が、前記基板の周辺部により遮られずに前記第2の受光部に到達する前記検出用の光に応じて前記第2の受光部から出力される信号に基づき、前記基板と前記基板保持回転部との間の位置ずれを求める、請求項6に記載の周辺露光装置。
【請求項8】
前記制御部が、求めた前記位置ずれを補正するように前記基板保持回転部の位置を調整する、請求項6又は7に記載の周辺露光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−220896(P2012−220896A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89596(P2011−89596)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】