説明

呼び出し方法、コアネットワーク装置、無線アクセスネットワーク装置及びゲートウェイ装置

【課題】アイドル状態のUE10に対するパケットの着信があった場合に、当該UE10の呼び出しを柔軟に行うことを可能とする。
【解決手段】本発明の呼び出し方法は、P−GW20によってアイドル状態のUE10に対するパケットが着信された場合に、UE10の呼び出しを行う呼び出し方法であって、S−GW30が、P−GW20で着信された前記パケットの着信種別情報を「Donwlink Data Notification」に設定し、該「Donwlink Data Notification」をMME40及びSGSN60に送信する工程と、MME40及びSGSN60が、S−GW30からの「Donwlink Data Notification」に含まれる着信種別情報に基づいて、UE10の呼び出しを行うか否かを判断する工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイドル状態のユーザ端末宛てのパケットが着信された場合に、当該ユーザ端末の呼び出しを行う呼び出し方法、コアネットワーク装置、無線アクセスネットワーク装置及びゲートウェイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動通信システムでは、アイドル状態のユーザ端末に対してパケットの着信があった場合、コアネットワークに設けられたコアネットワーク装置(例えば、MME(Mobility Managemement Entity)やSGSN(Serving GPRS Support Node)など)が、無線アクセスネットワークに設けられた無線アクセスネットワーク装置(例えば、RNC(Radio Network Controller)/BSC(Base Station Controller)やeNodeBなど)に対して、ユーザ端末を呼び出すページング信号を送信する。無線アクセスネットワーク装置は、コアネットワーク装置から受信したページング信号に応じて、ユーザ端末を呼び出すページング信号を送信する。ユーザ端末は、無線アクセスネットワーク装置から送信されたページング信号に応じて、コアネットワーク装置との間で着信処理を行う(例えば、非特許文献1)。
【0003】
また、かかる移動通信システムでは、アイドル状態のユーザ端末に対してパケットの着信があった場合、コアネットワーク装置や無線アクセスネットワーク装置において、当該ユーザ端末の呼び出しを規制する呼び出し規制を行うことが知られている。このような呼び出し規制は、例えば、コアネットワーク装置や無線アクセスネットワーク装置が輻輳状態である場合などに行われる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】3GPP TS23.401
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の移動通信システムでは、コアネットワーク装置や無線アクセスネットワーク装置において上述の呼び出し規制が行われる場合、アイドル状態のユーザ端末宛に届くパケットの種別に関係なく、当該ユーザ端末の呼び出しを中止してしまう。このため、着信させるべき優先度の高いパケット(例えば、混雑時でも疎通させたい通信に属するパケット)を受信した場合でも、アイドル状態のユーザ端末を呼び出すことができない場合があるという問題点があった。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、アイドル状態のユーザ端末に対するパケットの着信があった場合に、当該ユーザ端末の呼び出しを柔軟に行うことが可能な呼び出し方法、コアネットワーク装置、無線アクセスネットワーク装置及びゲートウェイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1側面に係る呼び出し方法は、第1ゲートウェイ装置によってアイドル状態のユーザ端末に対するパケットが着信された場合に、該ユーザ端末の呼び出しを行う呼び出し方法であって、第2ゲートウェイ装置が、前記第1ゲートウェイ装置で着信された前記パケットの着信種別情報を呼び出し要求信号に設定し、該呼び出し要求信号をコアネットワーク装置に送信する工程と、前記コアネットワーク装置が、前記第2ゲートウェイ装置からの前記呼び出し要求信号に含まれる前記着信種別情報に基づいて、前記ユーザ端末の呼び出しを行うか否かを判断する工程と、を有することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、第2ゲートウェイ装置が、第1ゲートウェイ装置で着信されたアイドル状態のユーザ端末に対するパケットについての着信種別情報を呼び出し要求信号に設定するので、コアネットワーク装置は、呼び出し要求信号に含まれる着信種別情報に基づいて、ユーザ端末の呼び出しを行うべきか否かを判断できる。したがって、コアネットワーク装置は、例えば、自装置が輻輳状態である場合など通常ユーザ端末の呼び出し規制が行われる状況であっても、着信種別情報の内容によってはユーザ端末の呼び出しを行うことができる。
【0009】
本発明の第2側面に係る呼び出し方法は、第1ゲートウェイ装置によってアイドル状態のユーザ端末に対するパケットが着信された場合に、該ユーザ端末の呼び出しを行う呼び出し方法であって、第2ゲートウェイ装置が、前記第1ゲートウェイ装置で着信された前記パケットの着信種別情報を呼び出し要求信号に設定し、該呼び出し要求信号をコアネットワーク装置に送信する工程と、前記コアネットワーク装置が、前記第2ゲートウェイ装置からの前記呼び出し要求信号に含まれる前記着信種別情報に基づいて、前記ユーザ端末を呼び出すための呼び出し情報を呼び出し信号に設定し、該呼び出し信号を無線アクセスネットワーク装置に送信する工程と、前記無線アクセスネットワーク装置が、前記コアネットワーク装置からの前記呼び出し信号に含まれる前記呼出情報に基づいて、前記ユーザ端末の呼び出しを行うか否かを判断する工程と、を有することを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、コアネットワーク装置が、第2ゲートウェイ装置からの呼び出し要求信号に含まれる着信種別情報に基づいて呼出情報を呼び出し信号に設定するので、無線アクセスネットワーク装置は、呼び出し信号に含まれる呼出情報に基づいて、ユーザ端末の呼び出しを行うことができる。したがって、無線アクセスネットワーク装置は、例えば、自装置が輻輳状態である場合など通常ユーザ端末の呼び出し規制が行われる状況であっても、呼出情報の内容によってはユーザ端末の呼び出しを行うことができる。
【0011】
本発明の第3側面に係るコアネットワーク装置は、第1ゲートウェイ装置によってアイドル状態のユーザ端末に対するパケットが着信された場合に、該ユーザ端末の呼び出しを行うコアネットワーク装置であって、前記第1ゲートウェイ装置に接続された第2ゲートウェイ装置から、前記パケットの着信種別を示す着信種別情報を含む呼び出し要求信号を受信し、受信した前記呼び出し要求信号に含まれる前記着信種別情報に基づいて、前記ユーザ端末の呼び出しを行うか否かを判断することを特徴とする。
【0012】
本発明の第4側面に係る無線アクセスネットワーク装置は、第1ゲートウェイ装置によってアイドル状態のユーザ端末に対するパケットが着信された場合に、該ユーザ端末の呼び出しを行う無線アクセスネットワーク装置であって、コアネットワーク装置が、前記第1ゲートウェイ装置に接続された第2ゲートウェイ装置から、前記パケットの着信種別を示す着信種別情報を含む呼び出し要求信号を受信した場合に、該コアネットワーク装置から、前記着信種別情報に基づいて設定された呼出情報を含む呼び出し信号を受信し、前記コアネットワーク装置からの前記呼び出し信号に含まれる前記呼出情報に基づいて、前記ユーザ端末の呼び出しを行うか否かを判断することを特徴とする。
【0013】
本発明の第5側面に係るゲートウェイ装置は、アイドル状態のユーザ端末に対するパケットが着信された場合に、コアネットワーク装置に対して呼び出し要求信号を送信するゲートウェイ装置であって、前記パケットの着信種別情報を前記呼び出し要求信号に設定し、該呼び出し要求信号を前記コアネットワーク装置に送信することを特徴とする。
【0014】
本発明の第6側面に係るゲートウェイ装置は、アイドル状態のユーザ端末に対するパケットを着信するゲートウェイ装置であって、前記パケットの着信種別情報を呼び出し要求信号に設定して送信する他のゲートウェイ装置に対して、前記パケットの種別を示すパケット種別を通知し、前記パケット種別は、前記他のゲートウェイ装置において前記着信種別情報を設定するために用いられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、アイドル状態のユーザ端末に対するパケットの着信があった場合に、当該ユーザ端末の呼び出しを柔軟に行うことが可能な呼び出し方法、コアネットワーク装置、無線アクセスネットワーク装置及びゲートウェイ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施形態に係る移動通信システムの概略構成図である。
【図2】第1の実施形態に係る移動通信システムにおける呼び出し処理の機能構成図である。
【図3】第1の実施形態に係る移動通信システムにおける呼び出し動作を示すシーケンス図である。
【図4】第1の実施形態に係るMME又はSGSNにおける呼び出し処理を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施形態に係る移動通信システムにおける呼び出し処理の機能構成図である。
【図6】第2の実施形態に係る移動通信システムにおける呼び出し動作を示すシーケンス図である。
【図7】第2の実施形態に係るeNodeB又はRNC/BSCにおける呼び出し処理を示すフローチャートである。
【図8】第3の実施形態に係る移動通信システムにおける呼び出し処理の機能構成図である。
【図9】変更例1に係る移動通信システムにおける呼び出し処理の機能構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
[第1の実施形態]
<移動通信システムの概略構成>
図1は、第1の実施形態に係る移動通信システムの概略構成図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る移動通信システムは、LTEなどの次世代通信方式と第2/第3世代通信方式との互換性を備えたシステムであり、次世代通信方式のコアネットワークであるEPC(Evolved Packet Core)1と、次世代通信方式の無線アクセスネットワークであるE−UTRAN2と、第2/第3世代通信方式のコアネットワークであるUMTS(Universal Mobile Telecommunications System)/GPRS(General Packet Radio Service)コアネットワーク3と、第2/第3世代通信方式の無線アクセスネットワークであるUTRAN/GERAN4と、から構成される。
【0019】
UE(User Equipment)10は、例えば、携帯電話端末、ノートパソコンなど、一つ又は複数の通信方式に対応したユーザ端末である。例えば、図1において、UE10は、LTEなどの次世代通信方式と第2/第3世代通信方式とに対応し、E−UTRAN2とUTRAN/GERAN4との無線ゾーンの双方に在圏可能である。また、図1において、UE10は、LTEなどの次世代通信方式のみに対応し、E−UTRAN2の無線ゾーンのみに在圏可能に構成されていてもよい。
【0020】
EPC1には、インターネットなどのPDN(Packet Data Network)との接続点となるP−GW(PDN Gateway)20(第1ゲートウェイ装置)と、E−UTRAN2とUTRAN/GERAN4との無線ゾーン間を移動するUE10のパケット伝送経路のアンカーポイントとなるS−GW(Serving Gateway)30(第2ゲートウェイ装置)と、E−UTRAN2の無線ゾーンに在圏するUE10の呼び出しを行うMME40(コアネットワーク装置)と、が設けられる。S−GW30は、P−GW20とMME40と後述するeNodeB50とSGSN60とに接続される。
【0021】
E−UTRAN2には、E−UTRAN2の無線ゾーンに在圏するUE10と無線通信を行うeNodeB50(無線アクセスネットワーク装置)が設けられる。eNodeB50は、S−GW30とMME40とに接続される。
【0022】
UMTS/GPRSコアネットワーク3には、UTRAN/GERAN4の無線ゾーンに在圏するUE10の呼び出しを行うSGSN60(コアネットワーク装置)が設けられる。
【0023】
UTRAN/GERAN4には、E−UTRAN2の無線ゾーンに在圏するUE10と無線通信を行うNodeB(不図示)と、UE10とNodeB(不図示)との間の無線通信を制御するRNC/BSC70(無線アクセスネットワーク装置)が設けられる。RNC/BSC70は、SGSN60に接続される。
【0024】
図1に示す移動通信システムでは、UE10とPDN(不図示)との間には、P−GW20経由で、IPセッションであるPDNコネクションが設定される。かかるPDNコネクションによって、IPアドレスで識別されるUE10は、APN(Access Point Name)で識別されるPDN(不図示)に接続される。
【0025】
また、図1に示す移動通信システムでは、E−UTRAN2の無線ゾーンに在圏するUE10とP−GW20又はS−GW30との間には、次世代通信方式の論理的な通信路であるEPSベアラが設定される。かかるEPSベアラを介して、PDN(不図示)から着信されたパケットがE−UTRAN2の無線ゾーンに在圏するUE10に伝送される。具体的には、PDN(不図示)から着信されたパケットは、P−GW20あるいはS−GW30において、TFT(Traffic Flow Template)に従って判別され、当該パケットのフロー毎にEPSベアラにマッピングされ、マッピングされたEPSベアラを介して伝送される。
【0026】
また、図1に示す移動通信システムでは、UTRAN/GERAN4の無線ゾーンに在圏するUE10とSGSN60との間に、第2/第3世代通信方式の論理的な通信路であるUMTS/GPRSベアラが設定される。かかるUMTS/GPRSベアラは、SGSN60とS−GW30又はP−GW20との間に設定されるEPSベアラに連接される。かかるUMTS/GPRSベアラとEPSベアラとを介して、PDN(不図示)から着信されたパケットがUTRAN/GERAN4の無線ゾーンに在圏するUE10に伝送される。
【0027】
また、図1に示す移動通信システムでは、E−UTRAN2又はUTRAN/GERAN4の無線ゾーンに在圏するUE10とP−GW20との間には、上述のPDNコネクションを設定する際にデフォルトベアラが設定される。
【0028】
<移動通信システムの詳細構成>
以下、第1の実施形態では、コアネットワーク装置であるMME40及びSGSN60において、アイドル状態のUE10の呼び出し判断を行う場合について説明する。図2は、第1の実施形態に係る移動通信システムにおける呼び出し処理の機能構成図である。なお、図2では、E−UTRAN2とUTRAN/GERAN4との無線ゾーン間を移動するアイドル状態のUE10が位置登録エリアを更新する頻度を低減するためのISR(Idle State Reduction)が適用されているものとする。
【0029】
図2に示すように、P−GW20は、PDN(不図示)から、アイドル状態のUE10に対する異なる通信ベアラ(ここでは、情報Aと情報B)に属するパケットを受信する。P−GW20は、通信ベアラ毎にパケットをカプセリングし、GTP−Uパケット又はGRE(Generic Routing Encapsulation)パケットとしてS−GW30に送信する。
【0030】
S−GW30は、P−GW20で着信されたアイドル状態のUE10に対するパケットの着信種別を示す着信種別情報を、「Downlink Data Notification」に設定する。ここで、「Downlink Data Notification」とは、アイドル状態のUE10の呼び出しを要求する呼び出し要求信号である。
【0031】
具体的には、S−GW30は、ベアラ識別情報と、ベアラQoS情報と、デフォルトベアラ情報と、P−GW情報と、PDNコネクション情報と、フロー識別情報と、S−GW負荷情報の少なくとも一つに基づいて、着信種別情報を設定する。
【0032】
ここで、ベアラ識別情報とは、P−GW20で着信されたパケットを伝送するベアラの識別情報である。ベアラ識別情報には、例えば、上述のEPSベアラを識別する「EPSベアラID」や、上述のGPRS/UMTSベアラを識別「GPRS/UMTSベアラID」などが含まれる。
【0033】
また、ベアラQoS情報とは、P−GW20で着信されたパケットを伝送するためのベアラのQoSを示す情報である。ベアラQoS情報には、例えば、上述のEPSベアラを設定・変更する場合のEPSベアラ間の相対的な優先順位を示す「ARP:Allocation and Retention Priority」や、上述のEPSベアラやUMTS/GPRSベアラが、転送レートが保障されるGBRベアラである場合に、当該GPRベアラの保障転送レートを示す「GBR:Guaranteed Bit Rate」や、当該GBRベアラの最大ビットレートを示す「MBR:Maximum Bit Rate」や、上述のEPSベアラやUMTS/GPRSベアラのQoSクラスを示す「QCI:QoS Class Identifier」などが含まれる。
【0034】
また、デフォルトベアラ情報とは、上述のようにUE10とP−GW20との間に設定されるデフォルトベアラの情報である。デフォルトベアラ情報には、例えば、デフォルトベアラを識別する「デフォルトベアラID」や、当該デフォルトベアラのQoSを示す情報などが含まれる。
【0035】
また、P−GW情報(第1ゲートウェイ装置情報)とは、PDN(不図示)からアイドル状態のUE10に対するパケットを着信したP−GW20の情報である。P−GW情報には、例えば、P−GW20を識別するP−GW識別子や、P−GW20で終端するGTPトンネルの終端識別子である「TEID:Tunnel Endpoint Identifier」やGPEトンネルの終端識別子である「GRE Key」、P−GW20のIPアドレスなどである。
【0036】
また、PDNコネクション情報とは、P−GW20で着信されたパケットを伝送するために、P−GW20を介してUE10とPDN(不図示)との間で設定される上述のPDNコネクションの情報である。PDNコネクション情報には、例えば、上述のPDN(不図示)とPDN(不図示)への接続点であるP−GW20との双方を識別する「APN:Access Point Name」などが含まれる。
【0037】
また、フロー識別情報とは、P−GW20で着信されたIPパケットのサービスデータフローの識別情報である。フロー識別情報には、例えば、「TFT:Traffic Flow Template」などが含まれる。また、S−GW負荷情報(第2ゲートウェイ装置負荷情報)とは、S−GW30の負荷を示す情報である。
【0038】
なお、着信種別情報は、以上のような、ベアラ識別情報と、ベアラQoS情報と、デフォルトベアラ情報と、P−GW情報と、PDNコネクション情報と、フロー識別情報と、S−GW負荷情報の少なくとも一つをそのまま含んでいてもよい。また、着信種別情報は、以上のような、ベアラ識別情報と、ベアラQoS情報と、デフォルトベアラ情報と、P−GW情報と、PDNコネクション情報と、フロー識別情報と、S−GW負荷情報の少なくとも一つに関連づけられたパラメータ(例えば、1:着信種別1、2:着信種別2、3:着信種別3など)であってもよい。
【0039】
S−GW30は、S−GW30に接続されるコアネットワーク装置に対して、着信種別情報を含む「Downlink Data Notification」を送信する。具体的には、S−GW30は、EPC1に設けられるコアネットワーク装置であるMME40とUMTS/GPRSコアネットワーク3に設けられるコアネットワーク装置であるSGSN60とに対して、着信種別情報を含む「Downlink Data Notification」を送信する。
【0040】
EPC1に設けられるコアネットワーク装置であるMME40は、S−GW30からの「Downlink Data Notification」に含まれる着信種別情報に基づいて、E−UTRAN2の無線ゾーンに在圏するUE10の呼び出しを行うか否かを判断する。MME40は、所定の着信種別情報である場合、E−UTRAN2に設けられる無線アクセスネットワーク装置であるeNodeB50に対して、「Paging」を送信する。ここで、「Paging」は、UE10を呼び出すための呼び出し信号である。eNodeB50は、MME40からの「Paging」に応じて、UE10に対して、「Paging」を送信する。
【0041】
同様に、UMTS/GPRSコアネットワーク3に設けられるコアネットワーク装置であるSGSN60は、S−GW30からの「Downlink Data Notification」に含まれる着信種別情報に基づいて、UTRAN/GERAN4の無線ゾーンに在圏するUE10の呼び出しを行うか否かを判断する。SGSN60は、所定の着信種別情報である場合、UTRAN/GERAN4に設けられる無線アクセスネットワーク装置であるRNC/BSC70に対して、「Paging」を送信する。RNC/BSC70は、SGSN60からの「Paging」に応じて、UE10に対して、「Paging」を送信する。
【0042】
以上のように、第1の実施形態に係る移動通信システムでは、S−GW30が、P−GW20で受信したアイドル状態のUE10に対するパケットの着信種別情報を「Donwlink Data Notification」に設定するので、コアネットワーク装置であるMME40とSGSN60とは、それぞれ、「Donwlink Data Notification」に含まれる着信種別情報に基づいて、UE10の呼び出しを行うべきか否かを判断できる。したがって、MME40やSGSN60は、例えば、自装置が輻輳状態である場合など通常UE10の呼び出し規制が行われる状況であっても、着信種別情報の内容によってはUE10の呼び出しを行うことができる。
【0043】
また、第1の実施形態に係る移動通信システムでは、ベアラ識別情報と、ベアラQoS情報と、デフォルトベアラ情報と、P−GW情報と、PDNコネクション情報と、フロー識別情報と、S−GW負荷情報の少なくとも一つに基づいて、着信種別情報が設定されるので、コアネットワーク装置であるMME40とSGSN60とにおいて、ベアラ毎、ベアラのQoS毎、PDNコネクション毎、フロー毎、或いは、これらの組み合わせなどの詳細な条件で、UE10の呼び出しを行うか否かを判断でき、柔軟な呼び出し制御を行うことができる。
【0044】
なお、図2に示す呼び出し処理では、S−GW30が、MME40とSGSN60との双方に対して着信種別情報を含む「Downlink Data Notofication」を送信し、MME40とSGSN60とが、それぞれ、着信種別情報に基づいてUE10の呼び出しを行うか否かを判断する例を説明した。しかしながら、本発明は、かかる例に限られるものではなく、MME40又はSGSN60のいずれか一方に対して着信種別情報を含む「Donwlink Data Notification」を送信し、いずれか一方が着信種別情報に基づいてUE10の呼び出しを行うか否かを判断してもよい。
【0045】
また、本発明のUE10の呼び出し判断を行うコアネットワーク装置は、EPC1に設けられるMME40や、UMTS/GPRSコアネットワーク3に設けられるSGSN60に限られるものではなく、他の通信方式のコアネットワークに設けられたUE10の呼び出し用の装置であってもよい。同様に、本発明の無線アクセスネットワーク装置は、E−UTRAN2に設けられるeNodeB50や、UTRAN/GERAN4に設けられるRNC/BSC70に限られるものではなく、他の通信方式の無線アクセスネットワークに設けられたUE10の呼び出し用の装置であってもよい。
【0046】
また、図2に示す各装置(すなわち、P−GW20、S−GW30、MME40、eNodeB50、SGSN60、RNC/BSC70)は、通信インタフェース、プロセッサ、メモリ、送受信回路などを含むハードウェアを有しており、メモリには、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールが記憶されている。上述した各装置の機能構成は、上述のハードウェアによって実現されてもよいし、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実現されてもよいし、両者の組み合わせによって実現されてもよい。
【0047】
<移動通信システムの動作>
次に、図3及び図4を参照し、以上のように構成された第1の実施形態に係る移動通信システムにおける呼び出し動作について説明する。なお、以下の動作には、上述のISRが適用されているものとする。
【0048】
図3に示すように、P−GW20は、PDN(不図示)からのパケットを着信する(ステップS101)。P−GW20は、着信したパケットをカプセリングし、GTP−Uパケット又はGREパケットとしてS−GW30に送信する(ステップS102)。
【0049】
S−GW30は、P−GW20からのGTP−Uパケット又はGREパケットの受信に応じて、P−GW20におけるパケット着信の種別を示す着信種別情報を「Downlink Data Notification」に設定する(ステップS103)。具体的には、上述のように、S−GW30は、ベアラ識別情報、ベアラQoS情報、デフォルトベアラ情報、P−GW情報、PDNコネクション情報、フロー識別情報及びS−GW負荷情報の少なくとも一つに基づいて、着信種別情報を設定する。
【0050】
S−GW30は、MME40に対して、着信種別情報を含む「Downlink Data Notification」を送信する(ステップS104a)。MME40は、着信種別情報を含む「Downlink Data Notification」をS−GW30から受信した場合、その旨を示す「Downlink Data Notification Ack」をS−GW30に送信する(ステップS105a)。MME40は、S−GW30からの「Downlink Data Notification」に含まれる着信種別情報に基づいて、E−UTRAN2の無線ゾーンに在圏するUE10の呼び出しを行うか否かを判断する(ステップS106a)。図4を参照し、ステップS106aにおける呼び出し処理について詳述する。図4は、MME40における呼び出し処理を示すフローチャートである。
【0051】
図4に示すように、MME40は、S−GW30から「Downlink Data Notification」を受信した場合、MME40において呼び出し規制が行われているか否かを判断する(ステップS201)。呼び出し規制は、例えば、MME40が輻輳状態である場合やオペレータによって特定の加入者単位あるいは全加入者に対して呼び出し規制を行うことが指示された場合に行われる。なお、本ステップは、省略可能であり、本フローチャートは、ステップS203から開始されてもよい。
【0052】
MME40において呼び出し規制が行われていない場合(ステップS201;No)、MME40は、eNodeB50に対して、アイドル状態のUE10を呼び出す「Paging」を送信する(ステップS202)。
【0053】
MME40において呼び出し規制が行われている場合(ステップS201;Yes)、MME40は、S−GW30からの「Downlink Data Notification」に着信種別情報が含まれているか否かを判断する(ステップS203)。
【0054】
S−GW30からの「Downlink Data Notification」に着信種別情報が含まれていない場合(ステップS203;No)、MME40は、一般呼出規制に従って、アイドル状態のUE10を呼び出す「Paging」を送信するか否かを判断する(ステップS204)。かかる一般呼出規制では、MME40が輻輳状態である場合や、オペレータによって設定された所定の条件が満たされた場合(例えば、特定の加入者単位あるいは全加入者が指定された場合)などに、上述の着信種別情報に関係なく、「Paging」の送信が中止される。MME40は、一般呼出規制に従って「Paging」の送信が中止された場合、S−GW30やP−GW20などとの間で着信失敗処理を行う。一方、MME40は、一般呼出規制に従って「Paging」の送信が中止されなかった場合、eNodeB50に対して、「Paging」を送信する。
【0055】
S−GW30からの「Downlink Data Notification」に着信種別情報が含まれる場合(ステップS203;Yes)、MME40は、当該着信種別情報に基づいて、UE10を優先的に呼び出すべき着信であるか否かを判断する(ステップS205)。
【0056】
UE10を優先的に呼び出すべき着信であると判断された場合(ステップS205;Yes)、MME40は、特定呼出規制に従って、アイドル状態のUE10を呼び出す「Paging」を送信するか否かを判断する(ステップS206)。かかる特定呼出規制では、上述の着信種別情報が所定の条件を満たす場合に、「Paging」の送信が中止される。MME40は、特定呼出規制に従って「Paging」の送信が中止された場合、S−GW30やP−GW20などとの間で着信失敗処理を行う。一方、MME40は、特定呼出規制に従って「Paging」の送信が中止されなかった場合、eNodeB50に対して、「Paging」を送信する。
【0057】
UE10を優先的に呼び出すべき着信ではないと判断された場合(ステップS205;No)、MME40は、一般呼出規制に従って、アイドル状態のUE10を呼び出す「Paging」の送信を中止する(ステップS207)。なお、本ステップの処理内容は、ステップS204と同様であるため、説明を省略する。
【0058】
以上のように、図3のステップS106aでは、MME40における呼び出し判断処理が行われる。図4のステップS206において「Paging」の送信が中止されなかった場合、MME40は、eNodeB50に対して、「Paging」を送信する(ステップS107a)。eNodeB50は、eNodeB50からの「Paging」に応じて、E−UTRAN2の無線ゾーンに在圏するUE10に対して、「Paging」を送信する(ステップS108a)。
【0059】
以上のステップS104a〜S108aと同様の処理が、ステップS104b〜S108bでも行われる。なお、ステップS104a〜S108aにおけるMME40及びeNodeB50は、それぞれ、ステップS104b〜S108bにおけるSGSN60及びRNC/BSC70に対応するものとする。なお、ステップS106bでは、図4のステップS201〜S207に示す呼び出し判断処理が、SGSN60で行われるものとする。
【0060】
UE10は、E−UTRAN2の無線ゾーンに位置する場合、eNodeB50から送信された「Paging」に応じて、eNodeB50とMME40とS−GW30との間で、パケットの着信処理を行う(ステップS109)。或いは、UE10は、UTRAN/GERAN4の無線ゾーンに位置する場合、SGSN60から送信された「Paging」に応じて、RNC/BSC70とSGSN60とS−GW30との間で、パケットの着信処理を行う。
【0061】
S−GW30は、ステップS109の着信処理が完了すると、MME40とSGSN60との双方に対して、「Paging」の送信停止を要求する「Stop Paging」を送信する(ステップS110a及びS110b)。
【0062】
S−GW30は、UE10がE−UTRAN2の無線ゾーンに位置する場合、UE10に対して、eNodeB50を介して、ステップS102で受信したパケットを送信する(ステップS111a)。或いは、S−GW30は、UE10がUTRAN/GERAN4の無線ゾーンに位置する場合、UE10に対して、SGSN60及びRNC/BSC70及び不図示のNodeBを介して、或いは、RNC/BSC70及び不図示のNodeBを介して、ステップS102で受信したパケットを送信する(ステップS111b)。
【0063】
<作用・効果>
第1の実施形態に係る移動通信システムによれば、S−GW30が、P−GW20で着信されたアイドル状態のUE10に対するパケットの着信種別情報を「Donwlink Data notification」に設定するので、MME40とSGSN60とは、それぞれ、「Donwlink Data Notification」に含まれる着信種別情報に基づいて、UE10の呼び出しを行うべきか否かを判断できる。したがって、MME40やSGSN60は、例えば、自装置が輻輳状態である場合など通常UE10の呼び出し規制が行われる状況であっても、着信種別情報の内容によってはUE10の呼び出しを行うことができる。
【0064】
また、第1の実施形態に係る移動通信システムでは、ベアラ識別情報と、ベアラQoS情報と、デフォルトベアラ情報と、P−GW情報と、PDNコネクション情報と、フロー識別情報と、S−GW負荷情報の少なくとも一つに基づいて、着信種別情報が設定されるので、コアネットワーク装置であるMME40とSGSN60とにおいて、ベアラ毎、ベアラのQoS毎、PDNコネクション毎、フロー毎、或いは、これらの組み合わせなどの詳細な条件で、UE10の呼び出しを行うか否かを判断でき、柔軟な呼び出し制御を行うことができる。
【0065】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、無線アクセスネットワーク装置(eNodeB50、RNC/BSC70)においてアイドル状態のUE10の呼び出し判断を行う場合について、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0066】
<移動通信システムの詳細構成>
図5は、第2の実施形態に係る移動通信システムにおける呼び出し処理の機能構成図である。なお、図5では、第1の実施形態と同様に、ISRが適用されているものとする。
【0067】
図5に示すように、EPC1に設けられるコアネットワーク装置であるMME40は、S−GW30からの「Downlink Data Notification」に含まれる着信種別情報に基づいて、E−UTRAN2の無線ゾーンに在圏するUE10を呼び出すための呼出情報を「Paging」に設定する。具体的には、MME40は、着信種別情報によって判別される情報と、UE10の能力情報との少なくとも一つに基づいて、呼出情報を設定する。MME40は、eNodeB50に対して、呼出情報を含む「Paging」を送信する。
【0068】
ここで、着信種別情報によって判別される情報とは、ベアラ識別情報と、ベアラQoS情報と、デフォルトベアラ情報と、P−GW情報と、PDNコネクション情報と、フロー識別情報と、S−GW負荷情報との少なくとも一つである。また、UE10の能力情報には、例えば、UE10の無線アクセス能力を示す「UE Radio Access Capability」などが含まれる。
【0069】
なお、呼出情報は、以上のような、着信種別情報によって判別される情報と、UE10の能力情報との少なくとも一つを、そのまま含んでいてもよい。また、呼出情報は、着信種別情報によって判別される情報と、UE10の能力情報との少なくとも一つに関連づけられたパラメータであってもよい。このようなパラメータとしては、例えば、UE10を呼び出す優先度を示す呼出優先度(例えば、1:優先度高、2:優先度中、3:優先度低3など)などがある。
【0070】
E−UTRAN2に設けられる無線アクセスネットワーク装置であるeNodeB50は、MME40からの「Paging」に含まれる呼出情報に基づいて、E−UTRAN2の無線ゾーンに在圏するUE10の呼び出しを行うか否かを判断する。eNodeB50は、所定の着信種別情報である場合、UE10に対して、「Paging」を送信する。
【0071】
同様に、UMTS/GPRSコアネットワーク3に設けられるコアネットワーク装置であるSGSN60は、S−GW30からの「Downlink Data Notification」に含まれる着信種別情報に基づいて、UTRAN/GERAN4の無線ゾーンに在圏するUE10を呼び出すための呼出情報を「Paging」に設定する。SGSN60は、RNC/BSC70に対して、呼出情報を含む「Paging」を送信する。
【0072】
UTRAN/GERAN4に設けられる無線アクセスネットワーク装置であるRNC/BSC70は、SGSN60からの「Paging」に含まれる呼出情報に基づいて、UTRAN/GERAN4の無線ゾーンに在圏するUE10の呼び出しを行うか否かを判断する。RNC/BSC70は、所定の着信種別情報である場合、UE10に対して、「Paging」を送信する。
【0073】
<移動通信システムの動作>
次に、図6及び図7を参照し、以上のように構成された第2の実施形態に係る移動通信システムにおける呼び出し動作について説明する。なお、以下の動作には、ISRが適用されているものとする。また、図6のステップS301〜S303、S304a〜S305a、S304b〜S305bは、図3のステップS101〜S103、S104a〜S105a、S104b〜S105bと同様であるため、説明を省略する。
【0074】
図6に示すように、MME40は、S−GW30からの「Donwlink Data Notification」に含まれる着信種別情報に基づいて、アイドル状態のUE10を呼び出すための呼び出し情報を「Paging」に設定する(ステップS306a)。具体的には、上述のように、MME40は、着信種別情報によって判別される情報と、UE10の能力情報との少なくとも一つに基づいて、呼出情報を設定する。MME40は、eNodeB50に対して、呼出情報を含む「Paging」を送信する(ステップS307a)。
【0075】
eNodeB50は、MME40からの「Paging」に含まれる呼出情報に基づいて、E−UTRAN2の無線ゾーンに在圏するUE10の呼び出しを行うか否かを判断する(ステップS308a)。図7を参照し、ステップS308aにおける呼び出し判断処理について詳述する。図7は、eNodeB50における呼び出し判断処理を示すフローチャートである。
【0076】
図7に示すように、eNodeB50は、MME40から「Paging」を受信した場合、eNodeB50において呼び出し規制が行われているか否かを判断する(ステップS401)。呼び出し規制は、例えば、eNodeB50が輻輳状態である場合やオペレータによって特定の加入者単位あるいは全加入者に対して呼び出し規制を行うことが指示された場合に行われる。なお、本ステップは、省略可能であり、本フローチャートは、ステップS403から開始されてもよい。
【0077】
eNodeB50において呼び出し規制が行われていない場合(ステップS401;No)、eNodeB50は、アイドル状態のUE10を呼び出す「Paging」を送信する(ステップS402)。
【0078】
eNodeB50において呼び出し規制が行われている場合(ステップS401;Yes)、eNodeB50は、MME40からの「Paging」に呼出情報が含まれているか否かを判断する(ステップS403)。
【0079】
MME40からの「Paging」に呼出情報が含まれていない場合(ステップS403;No)、eNodeB50は、一般呼出規制に従って、アイドル状態のUE10を呼び出す「Paging」を送信するか否かを判断する(ステップS404)。かかる一般呼出規制では、eNodeB50が輻輳状態である場合や、オペレータによって設定された所定の条件が満たされた場合(例えば、特定の加入者単位あるいは全加入者が指定された場合)などに、上述の呼出情報に関係なく、「Paging」の送信が中止される。eNodeB50は、一般呼出規制に従って「Paging」の送信が中止された場合、MME40やS−GW30やP−GW20などとの間で着信失敗処理を行う。一方、eNodeB50は、一般呼出規制に従って「Paging」の送信が中止されなかった場合、UE10に対して、「Paging」を送信する。
【0080】
MME40からの「Paging」に呼出情報が含まれている場合(ステップS403;Yes)、eNodeB50は、当該呼出情報に基づいて、UE10を優先的に呼び出すべき着信であるか否かを判断する(ステップS405)。
【0081】
UE10を優先的に呼び出すべき着信であると判断された場合(ステップS405;Yes)、eNodeB50は、特定呼出規制に従って、アイドル状態のUE10を呼び出す「Paging」を送信するか否かを判断する(ステップS406)。かかる特定呼出規制では、上述の呼出情報が所定の条件を満たす場合に、「Paging」の送信が中止される。eNodeB50は、特定呼出規制に従って「Paging」の送信が中止された場合、MME40やS−GW30やP−GW20などとの間で着信失敗処理を行う。一方、eNodeB50は、特定呼出規制に従って「Paging」の送信が中止されなかった場合、UE10に対して、「Paging」を送信する。
【0082】
UE10を優先的に呼び出すべき着信ではないと判断された場合(ステップS405;No)、MME40は、一般呼出規制に従って、アイドル状態のUE10を呼び出す「Paging」を送信するか否かを判断する(ステップS407)。なお、本ステップの処理内容は、ステップS404と同様であるため、説明を省略する。
【0083】
以上のように、図6のステップS308aでは、eNodeB50における呼び出し判断処理が行われる。上述の図7のステップS406において「Paging」の送信が中止されなかった場合、eNodeB50は、UE10に対して、「Paging」を送信する(ステップS309a)。
【0084】
以上のステップS306a〜S309aと同様の処理が、ステップS306b〜S309bでも行われる。なお、ステップS306a〜S309aにおけるMME40及びeNodeB50は、それぞれ、ステップS306b〜S309bにおけるSGSN60及びRNC/BSC70に対応するものとする。なお、ステップS308bでは、図7のステップS401〜S407に示す呼び出し判断処理が、RNC/BSC70で行われるものとする。
【0085】
図6のステップS310、S311a〜S312a、S311b〜S312bは、図3のステップS109、S110a〜S111a、S110b〜S111bと同様であるため、説明を省略する。
【0086】
<作用・効果>
第2の実施形態に係る移動通信システムによれば、MME40とSGSN60とが、それぞれ、S−GW30からの「Donwlink Data Notification」に含まれる着信種別情報に基づいて呼出情報を「Paging」に設定するので、eNodeB50とRNC/BSC70とは、それぞれ、「Paging」に含まれる呼出情報に基づいて、UE10の呼び出しを行うべきか否かを判断できる。したがって、eNodeBやRNC/BSC70は、例えば、自装置が輻輳状態である場合など通常UE10の呼び出し規制が行われる状況であっても、呼出情報の内容によってはUE10の呼び出しを行うことができる。
【0087】
また、第2の実施形態に係る移動通信システムでは、着信種別情報によって判別される情報(ベアラ識別情報と、ベアラQoS情報と、デフォルトベアラ情報と、P−GW情報と、PDNコネクション情報と、フロー識別情報と、S−GW負荷情報など)と、UE10の能力情報との少なくとも一つに基づいて、呼出情報が設定されるので、eNodeB50とRNC/BSC70とにおいて、ベアラ毎、ベアラのQoS毎、PDNコネクション毎、フロー毎、或いは、これらの組み合わせなどの詳細な条件で、UE10の呼び出しを行うか否かを判断でき、柔軟な呼び出し制御を行うことができる。
【0088】
[第3の実施形態]
第3の実施形態では、S−GW30においてアイドル状態のUE10の呼び出し判断を行う場合について、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0089】
図8は、第3の実施形態に係る移動通信システムにおける呼び出し処理の機能構成図である。図8に示すように、S−GW30は、上述のように、ベアラ識別情報と、ベアラQoS情報と、デフォルトベアラ情報と、P−GW情報と、PDNコネクション情報と、フロー識別情報と、S−GW負荷情報の少なくとも一つに基づいて、アイドル状態のUE10の呼び出しを行うか否かを判断する。S−GW30は、呼び出しを行うべきであると判断した場合、EPC1に設けられるコアネットワーク装置であるMME40に対して、「Donwlink Data Notification」を送信する。同様に、S−GW30は、UMTS/GPRSコアネットワーク3に設けられるコアネットワーク装置であるSGSN60に対して、「Donwlink Data Notification」を送信する。
【0090】
[変更例1]
次に、第1乃至第3実施形態の変更例1について説明する。変更例1では、P−GW20が、着信したパケットの種別を示すパケット種別情報をS−GW30に通知し、S−GW30が、当該パケット種別情報に基づいて着信種別情報を「Donwlink Data Notification」に設定する。ここで、P−GW20は受信したパケットに関する情報(例えば、受信パケットのIPヘッダに設定される情報(例えばDSCPコードポイントや、送信元サーバ情報(IPアドレス、ポート番号等))や、パケットデータの内容(アプリケーション情報など)に基づいて、パケット種別情報を判断してもよい。
【0091】
図9は、変更例1に係る移動通信システムにおける呼び出し処理の機能構成図である。図9に示すように、P−GW20は、PDN(不図示)から、アイドル状態のUE10に対するパケットを着信する。P−GW20は、着信したパケットの種別を示すパケット種別情報をGTP−Uパケット又はGREパケットに設定し、当該GTP−Uパケット又はGREパケットをS−GW30に送信する。P−GW20からS−GW30に通知するパケット種別情報は、例えばカプセル化したGTP−UあるいはGREパケットのIPヘッダ部であるDSCPコードポイントに設定されてもよい。かかる場合、パケット種別情報はDSCPコードポイントの値によって表現されるように設定されている。
【0092】
S−GW30は、P−GW20からのパケット種別情報と、上述のベアラ識別情報と、ベアラQoS情報と、デフォルトベアラ情報と、P−GW情報と、PDNコネクション情報と、フロー識別情報と、S−GW負荷情報の少なくとも一つに基づいて、着信種別情報を「Downlink Data Notification」に設定する。
【0093】
変更例1に係る移動通信システムによれば、パケット種別情報に基づいて、着信種別情報が設定されるので、コアネットワーク装置であるMME40及びSGSN60、又は、無線アクセスネットワーク装置であるeNodeB50及びRNC/BSC70において、1つのベアラ内を伝送されるパケット種別毎に、UE10の呼び出しを行うべきか否かを判断でき、より柔軟な呼び出し制御を行うことができる。
【0094】
[その他の実施形態]
上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。
【0095】
例えば、第1及び第2の実施形態を組み合わせて、コアネットワーク装置であるMME40及びSGSN60と、無線アクセスネットワーク装置であるeNodeB50及びRNC/BSC70との双方において、アイドル状態のUE10の呼び出しを行うか否かを判断してもよい。同様に、第1及び第3の実施形態、第2及び第3の実施形態、第1乃至第3の実施形態を組み合わせて、アイドル状態のUE10の呼び出しを行うか否かを判断してもよい。
【0096】
以上のように、本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0097】
1…EPC、2…E−UTRAN、3…UMTS/GPRSコアネットワーク、4…UTRAN/GERAN、10…UE、20…P−GW、30…S−GW、40…MME、50…eNodeB、60…SGSN、70…RNC/BSC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ゲートウェイ装置によってアイドル状態のユーザ端末に対するパケットが着信された場合に、該ユーザ端末の呼び出しを行う呼び出し方法であって、
第2ゲートウェイ装置が、前記第1ゲートウェイ装置で着信された前記パケットの着信種別情報を呼び出し要求信号に設定し、該呼び出し要求信号をコアネットワーク装置に送信する工程と、
前記コアネットワーク装置が、前記第2ゲートウェイ装置からの前記呼び出し要求信号に含まれる前記着信種別情報に基づいて、前記ユーザ端末の呼び出しを行うか否かを判断する工程と、
を有することを特徴とする呼び出し方法。
【請求項2】
前記着信種別情報は、前記パケットを伝送するためのベアラを識別するベアラ識別情報と、前記ベアラのQoSを示すベアラQoS情報と、前記ユーザ端末と前記第1ゲートウェイ装置との間に設定されるデフォルトベアラの情報であるデフォルトベアラ情報と、前記第1ゲートウェイ装置の情報である第1ゲートウェイ装置情報と、前記第1ゲートウェイ装置を介して設定されるPDNコネクションの情報であるPDNコネクション情報と、前記パケットのサービスデータフローを識別するフロー識別情報と、前記第2ゲートウェイ装置の負荷を示す第2ゲートウェイ装置負荷情報の少なくとも一つに基づいて、設定されることを特徴とする請求項1に記載の呼び出し方法。
【請求項3】
前記第1ゲートウェイ装置が、前記第2ゲートウェイ装置に対して、前記パケットの種別を示すパケット種別情報を通知する工程を更に有し、
前記着信種別情報は、前記第1ゲートウェイ装置から通知された前記パケット種別情報と、前記ベアラ識別情報と、前記ベアラQoS情報と、前記デフォルトベアラ情報と、前記第1ゲートウェイ装置情報と、前記PDNコネクション情報と、前記フロー識別情報と、前記第2ゲートウェイ装置負荷情報との少なくとも一つに基づいて、設定されることを特徴とする請求項2に記載の呼び出し方法。
【請求項4】
第1ゲートウェイ装置によってアイドル状態のユーザ端末に対するパケットが着信された場合に、該ユーザ端末の呼び出しを行う呼び出し方法であって、
第2ゲートウェイ装置が、前記第1ゲートウェイ装置で着信された前記パケットの着信種別情報を呼び出し要求信号に設定し、該呼び出し要求信号をコアネットワーク装置に送信する工程と、
前記コアネットワーク装置が、前記第2ゲートウェイ装置からの前記呼び出し要求信号に含まれる前記着信種別情報に基づいて、前記ユーザ端末を呼び出すための呼び出し情報を呼び出し信号に設定し、該呼び出し信号を無線アクセスネットワーク装置に送信する工程と、
前記無線アクセスネットワーク装置が、前記コアネットワーク装置からの前記呼び出し信号に含まれる前記呼出情報に基づいて、前記ユーザ端末の呼び出しを行うか否かを判断する工程と、
を有することを特徴とする呼び出し方法。
【請求項5】
前記着信種別情報は、前記パケットを伝送するためのベアラを識別するベアラ識別情報と、前記ベアラのQoSを示すベアラQoS情報と、前記ユーザ端末と前記第1ゲートウェイ装置との間に設定されるデフォルトベアラの情報であるデフォルトベアラ情報と、前記第1ゲートウェイ装置の情報である第1ゲートウェイ装置情報と、前記第1ゲートウェイ装置を介して設定されるPDNコネクションの情報であるPDNコネクション情報と、前記パケットのサービスデータフローを識別するフロー識別情報と、前記第2ゲートウェイ装置の負荷を示す第2ゲートウェイ装置負荷情報の少なくとも一つに基づいて、設定されることを特徴とする請求項4に記載の呼び出し方法。
【請求項6】
前記第1ゲートウェイ装置が、前記第2ゲートウェイ装置に対して、前記パケットの種別を示すパケット種別情報を通知する工程を更に有し、
前記着信種別情報は、前記第1ゲートウェイ装置から通知された前記パケット種別情報と、前記ベアラ識別情報と、前記ベアラQoS情報と、前記デフォルトベアラ情報と、前記第1ゲートウェイ装置情報と、前記PDNコネクション情報と、前記フロー識別情報と、前記第2ゲートウェイ装置負荷情報との少なくとも一つに基づいて、設定されることを特徴とする請求項5に記載の呼び出し方法。
【請求項7】
前記呼出情報は、前記着信種別情報と、前記ユーザ端末の無線アクセス能力を示す能力情報と、の少なくとも一つに基づいて、設定されることを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の呼び出し方法。
【請求項8】
第1ゲートウェイ装置によってアイドル状態のユーザ端末に対するパケットが着信された場合に、該ユーザ端末の呼び出しを行うコアネットワーク装置であって、
前記第1ゲートウェイ装置に接続された第2ゲートウェイ装置から、前記パケットの着信種別を示す着信種別情報を含む呼び出し要求信号を受信し、
受信した前記呼び出し要求信号に含まれる前記着信種別情報に基づいて、前記ユーザ端末の呼び出しを行うか否かを判断することを特徴とするコアネットワーク装置。
【請求項9】
第1ゲートウェイ装置によってアイドル状態のユーザ端末に対するパケットが着信された場合に、該ユーザ端末の呼び出しを行う無線アクセスネットワーク装置であって、
コアネットワーク装置が、前記第1ゲートウェイ装置に接続された第2ゲートウェイ装置から、前記パケットの着信種別を示す着信種別情報を含む呼び出し要求信号を受信した場合に、該コアネットワーク装置から、前記着信種別情報に基づいて設定された呼出情報を含む呼び出し信号を受信し、
前記コアネットワーク装置からの前記呼び出し信号に含まれる前記呼出情報に基づいて、前記ユーザ端末の呼び出しを行うか否かを判断することを特徴とする無線アクセスネットワーク装置。
【請求項10】
アイドル状態のユーザ端末に対するパケットが着信された場合に、コアネットワーク装置に対して呼び出し要求信号を送信するゲートウェイ装置であって、
前記パケットの着信種別情報を前記呼び出し要求信号に設定し、該呼び出し要求信号を前記コアネットワーク装置に送信することを特徴とするゲートウェイ装置。
【請求項11】
アイドル状態のユーザ端末に対するパケットを着信するゲートウェイ装置であって、
前記パケットの着信種別情報を呼び出し要求信号に設定して送信する他のゲートウェイ装置に対して、前記パケットの種別を示すパケット種別を通知し、
前記パケット種別は、前記他のゲートウェイ装置において前記着信種別情報を設定するために用いられることを特徴とするゲートウェイ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−34238(P2012−34238A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−172794(P2010−172794)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【特許番号】特許第4767357号(P4767357)
【特許公報発行日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】