説明

呼出システム、制御機、無線電話端末、及び呼出システムの制御方法

【課題】低コストで呼出システムの利便性を向上させる。
【解決手段】呼出システムは、対応者の呼び出しを示す呼出信号を子機から受信したとき、該対応者の無線電話端末に対して、該呼び出しの種別である呼出種別に対応づけられた種別コードを含む発番号で発呼を行う制御機と、種別コードを含む電話番号を通信相手の電話番号とし、該種別コードに対応する呼出種別を示す文字列を該通信相手の名称として登録した電話帳データを記憶しており、着呼したとき、該着呼の発番号に対応する該文字列を該電話帳データから読み出して表示する無線電話端末と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線電話端末を利用したナースコールシステムのような呼出システムを制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
無線電話端末を利用した呼出システムが広く利用されるようになっている。この種の呼出システムの代表的なものとして、福祉、看護、または介護の分野において用いられているような、ナースコールシステムと無線電話システムとが連携したシステムがある(特許文献1参照)。
【0003】
ナースコールシステムはナースコール子機とナースコール親機とナースコール制御機とを有する。無線電話システムは構内交換機と無線電話端末とを有する。病室のベッド、バス、トイレ等に複数のナースコール子機が設置され、ナースセンターなどにナースコール親機が設置される。このナースコール制御機は、ナースコール親機、ナースコール子機、および無線電話システムの構内交換機に接続されている。そして、例えば看護師のような呼び出しに対応する者が無線電話端末を携帯する。
【0004】
そして、ナースコール子機は、ボタンが押されると、呼出信号をナースコール制御機に送信する。呼出信号を受信したナースコール制御機は、ナースコール親機に呼出信号を中継し、ナースコール親機は、そのナースコール子機が設置された病室やベッドの位置を表示する。また、ナースコール制御機は無線電話システムの構内交換機を介して無線電話端末へ発呼する。これにより、看護師はナースセンターにいなくても、呼び出しに対応することができる。
【0005】
さらに、例えば、特許文献1に記載されたシステムでは、呼出種別および呼出元または病室番号を発番号情報要素に挿入した呼設定メッセージが無線電話端末に送信される。発番号情報要素に挿入された情報は、着信時に、図10に示すように無線電話端末に表示される。これにより、着信時に無線電話端末に呼出種別および呼出元または病室番号を表示する機能を既存の発番号表示機能を利用することで実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−343543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された呼出システムには、システムの利便性が低いという問題があった。
【0008】
呼出種別には、ナースコールのほか、スタッフコール、バスコール、脱落断線など、多くの種類がある。
【0009】
それなのに、特許文献1に記載された呼出システムでは、発番号表示機能を利用しているため、ナースコール制御機と、構内交換機との間の通信インターフェースの仕様の制約上、ナースコール制御機と構内交換機との間では、呼出種別を示す文字として1バイト文字しか使用することができない。そのため、半角英数字は表示できるものの、仮名文字や漢字を表示することができなかった。
【0010】
このため、無線電話端末は、各呼出種別を半角英数字などで表現しなくてはならない。これでは、業務に不慣れな看護師が、呼出種別を識別できなかったり、呼出種別を誤認したりする恐れがあった。
【0011】
構内交換機の通信インターフェースの仕様を変更することにより、ナースコール制御機が、2バイト文字の発信者名で発呼しても、そのまま無線電話端末に送信できるようにすることもできるが、この改造には、多額の費用と時間を要する。
【0012】
本発明は、低コストで呼出システムの利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の呼出システムは、対応者の呼び出しを示す呼出信号を子機から受信したとき、該対応者の無線電話端末に対して、該呼び出しの種別である呼出種別に対応づけられた種別コードを含む発番号で発呼を行う制御機と、種別コードを含む電話番号を通信相手の電話番号とし、該種別コードに対応する呼出種別を示す文字列を該通信相手の名称として登録した電話帳データを記憶しており、着呼したとき、該着呼の発番号に対応する該文字列を該電話帳データから読み出して表示する無線電話端末と、を有する。
【0014】
また、本発明の制御機は、呼び出しの種別である呼出種別と、電話帳機能を備えた無線電話端末により電話番号の少なくとも一部として認識される種別コードとを対応付けたテーブルと、対応者の呼び出しを示す呼出信号を子機から受信したとき、前記対応者の無線電話端末に対して、該呼び出しの呼出種別に対応する種別コードを前記テーブルから読み出し、該種別コードを含む発番号で発呼する制御手段と、を有する。
【0015】
本発明の無線電話端末は、呼び出しの種別である呼出種別に対応付けられた種別コードを含む電話番号を通信相手の電話番号とし、該種別コードに対応する該呼出種別を示す文字列を該通信相手の名称として登録した電話帳データと、着呼したとき、該着呼の発番号に対応する前記文字列を前記電話帳データから読み出して表示する制御手段と、を有する。
【0016】
本発明の呼出システムの制御方法は、対応者の呼び出しを示す呼出信号を子機から受信した制御機が、該対応者の無線電話端末に対して、該呼び出しの種別である呼出種別に対応づけられた種別コードを含む発番号で発呼を行い、種別コードを含む電話番号を通信相手の電話番号とし、該種別コードに対応する呼出種別を示す文字列を該通信相手の名称として登録した電話帳データを記憶した無線電話端末が、着呼したとき、該着呼の発番号に対応する該文字列を該電話帳データから読み出して表示する、呼出システムの制御方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、制御機が、呼出種別に対応する種別コードを含む発番号で発呼し、無線電話端末が、種別コードを含む電話番号を通信相手の電話番号とし、呼出種別を示す文字列を通信相手の名称として登録した電話帳データを記憶しておき、着呼の発番号に対応する名称を電話帳データから読み出して表示するので、各無線電話端末を携帯する看護師は、呼出種別を確実に識別できる。また、構内交換機の構成は変更しなくてよいので、低コストで呼出システムの利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態のナースコール連動システムの一構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の各NC子機の外観図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の呼出種別とNC子機の設置場所とを示す表である。
【図4】本発明の第1の実施形態の呼出信号テーブルを示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の内線番号変換テーブルを示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態のNC受信機の一構成例を示すブロック図である。
【図7】本発明の第1の実施形態の電話帳における登録内容を示す表である。
【図8】本発明の第1の実施形態のナースコール連動システムの動作を示すシーケンス図である。
【図9】(a)本発明の第1の実施形態のNC受信機の表示画面の一例を示す図である。(b)本発明の第1の実施形態のNC受信機の表示画面の一例を示す図である。
【図10】(a)一般的なNC受信機の表示画面の一例を示す図である。(b)一般的なNC受信機の表示画面の一例を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施形態のNC受信機の一構成例を示すブロック図である。
【図12】本発明の第2の実施形態の電話帳における登録内容を示す表である。
【図13】本発明の第2の実施形態のイルミネーション設定情報の内容を示す表である。
【図14】本発明の第3の実施形態の電話帳における登録内容を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
本発明を実施するための第1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
図1は、本実施形態のナースコール連動システム1の一構成例を示すブロック図である。同図を参照すると、ナースコール連動システム1は、NC(Nurse Call)子機群10と、NC制御機20と、NC親機30と、端子盤40と、電話交換機50と、WL(Wireless LAN)コントローラ60と、無線AP(Access Point)70と、複数のNC受信機80、81とを有する。
【0021】
図1には、NC受信機が2個である場合が例示されているが、NC受信機の個数は、これに限定されるものではない。
【0022】
ナースコール連動システム1は、ナースコールシステムと、無線電話システムとを連動させたシステムである。ナースコールシステムには、NC(Nurse Call)子機群10と、NC制御機20と、NC親機30とが含まれる。無線電話システムには、電話交換機50と、WL(Wireless LAN)コントローラ60と、無線AP(Access Point)70と、複数のNC受信機80、81とが含まれる。
【0023】
NC子機群10は、病室のベッドや、バス、トイレ等に設置された複数のNC子機である。各NC子機には、1つ以上の呼出ボタンが設けられている。呼出ボタンが押下されたり、断線、脱落を検知するセンサーなどが動作したりすると、NC子機は、そのボタンやセンサーに対応する呼び出しの種別(以下、「呼出種別」という)の呼出信号をNC制御機20へ送信する。
【0024】
NC制御機20は、NC子機およびNC親機を制御する機器であり、呼出番号テーブル201、および制御部202を有する。呼出番号テーブル201は、呼出信号を、無線電話端末が受信できる呼に変換するためのテーブルである。呼出番号テーブル201には、呼出種別とNC子機の設置場所の組み合わせと、発信番号と、呼び出し先のNC受信機80、81の識別番号とが対応付けて記載される。呼出番号テーブル201の記載内容の詳細については、図4で後述する。
【0025】
制御部202は、NC子機から呼出信号を受信したとき、その呼出信号をNC親機30に中継するとともに、その呼出信号から、呼出種別と、そのNC子機の設置場所とを取得する。そして、制御部202は、呼出種別および設置場所の組み合わせに対応する発信番号と、発呼対象のNC受信機とを、呼出番号テーブル201から読み出す。制御部202は、読み出した発信番号を発信元とし、発呼対象のNC受信機の識別番号を着信先として、構内交換機50に対し、発呼する。
【0026】
NC親機30は、NC子機からNC制御機20を介して呼出信号を受信したとき、その呼出信号から、呼出種別および設置場所を取得する。そして、NC親機30は、呼出種別および設置場所をモニターなどに表示する。
【0027】
端子盤40は、NC制御機20と、電話交換機50とを接続する。端子盤40は、責任分岐点を明確にするなどの目的で設けられる。
【0028】
電話交換機50は、一般的な構成の構内交換機(PBX:Private Branch eXchange)に、NC制御機20と接続するための通信用インターフェースとして使用できるパッケージを追加したものである。
【0029】
電話交換機50は、内線番号変換テーブル501を有する。この内線番号変換テーブル501は、NC制御機20からの発呼における発信先の識別番号を、各NC受信機(80等)に割り当てられた内線番号に変換するためのテーブルである。この内線番号変換テーブル501の記載内容の詳細については、図5で後述する。
【0030】
電話交換機50は、各NC受信機80、81を収容し、NC制御機20からの発呼を受け付ける。電話交換機50は、内線番号変換テーブル501を使用して、発呼における発信先の識別番号を内線番号に変換して各NC受信機に送信する。
【0031】
WLコントローラ60は、各NC受信機が接続される無線LANを制御する。無線AP60は、電話交換機50と、各NC受信機との間の通信を中継する。
【0032】
NC受信機80、81は、FOMA(Freedom Of Multimedia Access:登録商標)サービスなど公衆の携帯電話システムで用いられる端末を流用した、あるいはそれと兼用した無線電話端末である。各NC受信機は、携帯電話の端末が一般的に備えている電話帳機能を利用して、発信番号ごとに、その発信番号に対応する呼出種別、およびNC子機の設置場所を示す文字列を氏名(通信相手の名称)として予め登録しておいた電話帳データを有する。電話帳データに登録する氏名には、漢字、平仮名などの2バイト文字を使用できる。この電話帳データの登録内容の詳細については、図13で後述する。
【0033】
NC受信機は、電話交換機50からの呼を受け付けたとき、その着呼における発信番号に対応する発信者名を電話帳データから読み出して表示する。前述したように、電話帳データの氏名には2バイト文字を含めることができるので、呼出種別やNC子機の設置場所などの情報を仮名や漢字により表示することができる。その結果、NC受信機を携帯する看護師は、呼出種別および設置場所を正確に識別できる。
【0034】
図2は、NC子機群10に含まれる各NC子機の外観図である。同図に示すように、NC子機群10には、NC子機11、12、13などが含まれる。NC子機11は、例えば、病院のベッドの近くに取り付けられる。このNC子機11は、呼出ボタン111、112、113、114と、センサー115とが設けられている。
【0035】
呼出ボタン111は、患者がナースコールをするときに押下するボタンである。呼出ボタン112は、患者がスタッフコールをするときに押下するボタンである。呼出ボタン113は、患者が点滴を依頼するときに押下するボタンである。呼出ボタン114は、患者がトイレの介助を依頼するときに押下されるボタンである。センサー115は、NC子機11における配線の脱落、断線を検知するセンサーである。
【0036】
NC子機12は、例えば、病院のバスルームに取り付けられ、呼出ボタンが1つ設けられている。この呼出ボタンは、患者が入浴の介助を依頼するときに押下するボタンである。NC子機13は、例えば、病院のトイレ内に取り付けられ、呼出ボタンが1つ設けられている。この呼出ボタンは、患者がトイレ内で看護師に呼び出し(トイレコール)をかけるときに押下するボタンである。
【0037】
図3は、呼出種別と、その呼出種別の呼出信号を発信するNC子機の取り付け場所とをまとめた表である。同図を参照すると、「呼出種別」には、「ナースコール」、「スタッフコール」、「トイレコール」、「バスコール」、「コール」、「点滴」、「トイレ介助」、「脱落断線」などの種類がある。
【0038】
呼出種別のうち、「ナースコール」、「スタッフコール」、「点滴」、「トイレ介助」の呼出信号は、ベッド単位に設けられたNC子機11が、呼出ボタン111、112、113、114が押下に応じて発信する信号である。
【0039】
「トイレコール」の呼出信号は、各部屋のトイレに設けられたNC子機13が、呼出ボタンの押下に応じて発信する信号である。
【0040】
「バスコール」、「コール」の呼出信号は、各部屋のバスルームに設けられたNC子機12が、呼出ボタンの押下に応じて発信する信号である。
【0041】
「脱落断線」の呼出信号は、ベッド単位に設けられたNC子機11においてセンサー115が脱落または断線を検知したときに、NC子機11が発信する信号である。
【0042】
図4は、呼出信号テーブル201の記載内容をまとめた表である。呼出信号テーブル201には、「子機番号」および「呼出ボタン・センサー番号」の組み合わせごとに、「発番号」と「PS_ID」とが記載される。
【0043】
「子機番号」は、NC子機(11等)ごとに、その設置場所に応じて割り当てられた番号である。「呼出ボタン・センサー番号」は、呼出ボタンまたはセンサーごとに、「呼出信号」の種別に応じて割り当てられた番号である。
【0044】
例えば、1001号室の1番ベッドに設置されたNC子機には、「10011」の子機番号が割り当てられる。1002号室の1番ベッドに設置されたNC子機には、「10021」の子機番号が割り当てられる。また、「ナースコール」、「スタッフコール」、「点滴」、「トイレ介助」、「脱落断線」の呼出信号を発信するための呼出ボタンまたはセンサーには、「01」〜「05」の「呼出ボタン・センサー番号」が割り当てられる。
【0045】
「発番号」は、発信元の電話番号として用いられる番号である。NC受信機80等が、この「発番号」を発信者の電話番号と認識し、電話帳データを検索するようにするために、「発番号」に使用できるのは、数字と電話番号として認識される記号だけである。本実施形態では0〜9の数字と#だけが使用される。この「発番号」には、「呼出種別」に対応するコード(以下、「種別コード」という)と、NC子機の設置場所に対応するコード(以下、「設置場所コード」という)とが挿入される。
【0046】
例えば、「発番号」の1桁目、2桁目の数字は、種別コードである。「ナースコール」、「スタッフコール」、「点滴」、「トイレ介助」、「脱落断線」に、それぞれ「10」、「11」、「15」、「16」、「17」などの種別コードが割り当てられる。
【0047】
「発番号」の4桁目〜8桁目の数字は、NC子機の設置場所コードである。設置場所コードのうち、4〜7桁目が各部屋に割り当てられたコード、8桁目が各ベッドに割り当てられたコードである。例えば、1001号室の1番ベッドに設置されたNC子機には、「10011」の設置場所コードが割り当てられる。
【0048】
「PS_ID」は、呼出信号を着信させるNC受信機ごとに割り当てられた識別番号であり、呼における発信先として用いられる。呼出種別とNC子機の設置場所とに応じて、担当の看護師が予め定められており、その看護師の携帯するNC受信機のPS_IDが呼出信号テーブル201に記載される。
【0049】
例えば、1001号室の1番ベッドのNC子機からのナースコールに対し、「0101」および「0102」のPS_IDを携帯する看護師が対処する場合、電話番号「10#10001」に対応づけて、「0101」および「0102」のPS_IDが記載される。
【0050】
図5は、内線番号変換テーブル501の記載内容をまとめた表である。同図に示すように、「PS_ID」に対応付けて、「内線番号」が記載される。
【0051】
「内線番号」は、電話交換機50が収容する各NC受信機(80等)に割り当てられた内線番号である。
【0052】
例えば、発信先のPS_IDを「0101」とする呼を受け付けたとき、電話交換機50は、「0101」に対応する「5800」の内線番号が割り当てられたNC受信機へ、その呼を中継する。
【0053】
図6は、NC受信機80の一構成例を示すブロック図である。同図を参照すると、NC受信機80は、電話帳801、制御部802、および表示部803を有する。NC受信機81の構成も同様である。
【0054】
図7は、電話帳801の登録内容を示す表である。同図に示すように、電話帳801には、複数の「氏名」と「電話番号」とが対応付けて登録される。電話帳801への電話番号および氏名の登録は、電話帳ツールなどの所定のソフトウェアを使用することで行ったり、手動で行ったりする。
【0055】
「電話番号」には、図4で示した呼出信号テーブル201における「発番号」と同じ電話番号が登録される。「氏名」には、「電話番号」に挿入された種別番号および設置場所番号に対応する、呼出種別および設置場所を示す情報が記載される。
【0056】
例えば、「10#10011」の電話番号は、1001号室の1番ベッドのNC子機からナースコールが発信されたことを示す。この場合、図7の電話帳801において、「ナース10011」の氏名が、「10#10011」の電話番号に対応付けて登録される。
【0057】
図6に戻り、制御部802は、電話交換機50からの呼を受け付けたとき、その発信元の番号と一致する「電話番号」を電話帳801において探索し、探索した「電話番号」に対応する「氏名」を表示部803に表示させる。
【0058】
表示部803は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)などの表示用デバイスである。
【0059】
続いて、図8を参照してナースコール連動システム1の動作について説明する。同図は、ナースコール連動システム1の動作を示すシーケンス図である。
【0060】
NC子機11から、NC受信機80に呼出信号が送信される場合について考える。図6を参照すると、NC子機11は、呼出ボタンの押下などに応じて、呼出信号を、NC制御機20へ送信する(ステップS1)。
【0061】
NC制御機20は、呼出種別およびNC子機11の設置場所に対応する発番号(発信元)から、呼出対象のPS_ID(発信先)のNC受信機80へ発呼する(ステップS2)。
【0062】
電話交換機50は、受け付けた呼の発信先のPS_IDを内線番号に変換して、その番号のNC受信機80へ呼を中継する(ステップS3)。
【0063】
NC受信機80は、呼を受け付けたとき、その発信元の電話番号に対応する「氏名」を電話帳801から読み出して表示する(ステップS4)。
【0064】
NC受信機80を携帯する看護師が、NC受信機80の通話ボタンを押下するなどの操作を行うことにより、NC受信機80とNC子機11との間の呼が確立され、看護師は、通話を開始できる。
【0065】
図9を参照して、NC受信機80の動作結果の一例について説明する。図9は、NC受信機80の表示部803に表示される画面の一例である。
【0066】
1001号室の1番ベッドのNC子機からナースコールが発信された場合、NC制御機20が、「10#10011」の発番号から発呼する。NC受信機80は、図9(a)に示すように、電話帳801から「10#10011」に対応する「氏名」である「ナース10011」を読み出して表示する。
【0067】
1001号室の1番ベッドのNC子機から、点滴の呼出信号が発信された場合、NC制御機20が、「15#10011」の発番号から発呼する。NC受信機80は、図9(b)に示すように、電話帳801から「15#10011」に対応する「氏名」である「点滴10011」を読み出して表示する。
【0068】
このように、NC受信機80は、漢字や平仮名で呼出種別を表示できるので、看護師は呼出種別を正確に識別できる。
【0069】
これに対して、電話帳801を用いない一般的なナースコール連動システムでは、NC受信機は、図10(a)、(b)に示すように、ナースコールであれば「NS−10011」と表示するなど、1バイト文字でしか、呼出種別を表示できない。このため、呼出種別の誤認が生じやすい。
【0070】
なお、本実施形態では、ナースコール連動システムに本発明を適用したが、子機からの呼び出しを無線電話端末(NC受信機)で受け付ける呼出システムであれば、ナースコール連動システム以外の呼出システムに本発明を適用してもよい。
【0071】
例えば、ホテル、結婚式場や旅館において、ルームサービス等の呼び出しを無線で、ホテルマンなどの電話端末に着信させる呼出システムに本発明を適用してもよい。あるいは、レストランやファーストフードにおいて、顧客の注文内容を無線で、ウェイターなどの無線電話端末に着信させる呼出システムに、本発明を適用してもよい。
【0072】
また、本実施形態では、電話帳801の「氏名」において、ナースコールなどを「ナース」と簡略化して記載しているが、最後の文字まで画面に表示できるのであれば、「ナースコール」と簡略化せずに記載してもよい。また、設置場所は「1001」などと簡略化して登録しているが、最後の文字まで画面に表示できるのであれば、「1001号室1番ベッド」と簡略化せずに記載したり、「1001−1」と部屋番号とベッド番号とを区別しやすいように登録したりしてもよい。
【0073】
また、「氏名」には、呼出種別、設置場所を示す文字列に加えて、医療サービスを受ける患者の氏又は名称を記載することもできる。
【0074】
本実施形態では、ナースコースシステム1が本発明の呼出システムに相当する。NC子機群10が本発明の子機に相当し、NC制御機20が本発明の制御機に相当する。NC受信機80、81等が、本発明の無線電話端末に相当する。看護師は、本発明の対応者の一例である。電話帳801は、本発明の電話帳データに相当する。
【0075】
以上説明したように、本実施形態によれば、呼出種別に対応する種別コードを含む発番号で発呼し、無線電話端末が、種別コードを含む電話番号を通信相手の電話番号とし、呼出種別を示す文字列を通信相手の名称として登録した電話帳データを記憶しておき、着呼の発番号に対応する名称を電話帳データから読み出して表示するので、各無線電話端末を携帯する看護師は、呼出種別を確実に識別できる。また、構内交換機の構成は変更しなくてよいので、低コストで呼出システムの利便性が向上する。
【0076】
無線電話端末は、呼出種別に加えて、設置場所も表示するので、看護師は、どの場所へ向かえばよいのかがわかり、呼出システムの利便性が更に向上する。
【0077】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について、図11〜図13を参照して説明する。図11は、本実施形態のNC受信機80aの一構成例を示すブロック図である。本実施形態のNC受信機80aは、呼出種別に応じて、イルミネーション(発光素子)の発光パターンを変化させる点で、第1の実施形態のNC受信機80と異なる。
【0078】
図11を参照すると、NC受信機80aは、電話帳801の代わりに電話帳801aを有し、イルミネーション設定情報804を更に有する。イルミネーション設定情報804は、NC受信機80aの着信時におけるイルミネーションの発光パターンの設定内容を示す情報である。
【0079】
図12は、本実施形態の電話帳801aの登録内容を示す表である。同図に示すように、電話帳801aにおいては、呼出種別ごとに「グループ」が設けられ、各「電話番号」および「氏名」は、氏名の示す呼出種別のグループに登録される。
【0080】
例えば、「ナース10011」の氏名と、その電話番号とは、呼出種別がナースコールであるから、「ナースコール」のグループに登録される。
【0081】
図13は、イルミネーション設定情報804の示す設定内容をまとめた図である。同図に示すように、「グループ」(呼出種別)ごとに「イルミネーションパターン」が設定される。
【0082】
制御部802は、イルミネーション設定情報804の示す設定内容に応じて、着信時にイルミネーションを点灯させる。
【0083】
なお、本実施形態では、呼出種別ごとに、イルミネーションパターンを設定する構成としているが、呼出種別ごとに、鳴動パターン(バイブレーションや呼出音のパターン)を設定してもよい。また、呼出種別ごとに、イルミネーションパターンと、鳴動パターンとの組み合わせを変更する構成としてもよい。また、設置場所に応じてイルミネーションパターンや鳴動パターンを変更してもよい。
【0084】
以上説明したように、本実施形態では、無線電話端末(NC受信機)に呼出種別に応じて、イルミネーションパターンなどを変えるので、看護師は、より正確に呼出種別を識別できる。
【0085】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態について、図14を参照して説明する。本実施形態のナースコール連動システムは、呼出信号に基づく着信に対し、看護師が応答できなかった場合に、看護師が折り返して、発信元に発信できる点で第1のナースコール連動システムと異なる。
【0086】
本実施形態のNC受信機80は、電話帳801の代わりに電話帳801bを設ける以外は、第1の実施形態のNC受信機80と同様の構成である。
【0087】
図14は、電話帳801bの登録内容をまとめた表である。同図を参照すると、電話帳801bには、氏名に対応付けて電話番号が2つ登録されている。1つ目の電話番号は、折り返し発信するための電話番号であり、2つめの電話番号は、NC受信機80が、着信時に検索するための電話番号である。
【0088】
これらの電話番号のうち、折り返し発信するための電話番号は、折り返し発信のための操作を容易にするため、先頭に登録する。
【0089】
本実施形態では、折り返し発信するための電話番号が、本発明の第2の電話番号に相当する。
【0090】
以上、説明したように、本実施形態によれば、無線電話端末(NC受信機)から、折り返し発信できるので呼出システムの利便性が更に向上する。
【符号の説明】
【0091】
1 ナースコール連動システム
10 NC子機群
20 NC制御機
30 NC親機
40 端子盤
50 電話交換機
60 WLコントローラ
70 無線AP
80 NC受信機
11〜13 NC子機
111〜114 呼出ボタン
117 センサー
201 呼出番号テーブル
202 制御部
501 内線番号変換テーブル
801、801a、801b 電話帳
802 制御部
803 表示部
804 イルミネーション設定情報
S1〜S4 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対応者の呼び出しを示す呼出信号を子機から受信したとき、該対応者の無線電話端末に対して、該呼び出しの種別である呼出種別に対応づけられた種別コードを含む発番号で発呼を行う制御機と、
種別コードを含む電話番号を通信相手の電話番号とし、該種別コードに対応する呼出種別を示す文字列を該通信相手の名称として登録した電話帳データを記憶しており、着呼したとき、該着呼の発番号に対応する該文字列を該電話帳データから読み出して表示する無線電話端末と、
を有する呼出システム。
【請求項2】
前記制御機は、前記種別コードと、前記呼出信号を送信した前記子機が設置された設置場所に対応付けられた設置場所コードとを含む発番号で発呼を行い、
前記無線電話端末は、種別コード及び設置場所コードを含む電話番号を通信相手の電話番号とし、該種別コードに対応する呼出種別、及び該設置場所コードに対応する設置場所を示す文字列を該通信相手の名称として登録した電話帳データを有する、請求項1に記載の呼出システム。
【請求項3】
前記制御機は、呼出種別と種別コードとを対応付けてテーブルに記憶しておき、前記呼出信号を受信すると、該呼出信号の呼出種別に対応する種別コードを該テーブルから読み出し、該種別コードを含む発番号で発呼する、請求項1又は2に記載の呼出システム。
【請求項4】
前記制御機は、呼出種別及び子機の設置場所と、種別コード及び設置場所コードとを対応付けて前記テーブルに更に記憶しておき、前記呼出信号を受信すると、該呼出信号の呼出種別に対応する種別コードと、該子機の設置場所に対応する設置場所コードとを該テーブルから読み出し、該種別コード及び該設置場所コードを含む発番号で発呼する、請求項2に記載の呼出システム。
【請求項5】
前記文字列は、2バイト文字を含む、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の呼出システム。
【請求項6】
前記文字列は、前記対応者が提供するサービスを受ける者の氏又は名称を含む、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の呼出システム。
【請求項7】
前記電話帳データのデータは、複数のグループにグループ化され、前記グループ毎に鳴動パターンが設定されている、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の呼出システム。
【請求項8】
前記無線電話端末は発光手段を有し、前記グループ毎に該発光手段の発光パターンが設定されている、請求項7に記載の呼出システム。
【請求項9】
前記電話帳データのデータは前記呼出種別に応じてグループ化されている、請求項7又は8に記載の呼出システム。
【請求項10】
前記子機および制御機は医療または介護が行われる施設に設置され、前記呼出種別には、ナースコールが含まれる、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の呼出システム。
【請求項11】
前記無線電話端末は、前記親機に接続された構内交換機に収容された内線電話端末である、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の呼出システム。
【請求項12】
前記制御機は、子機が操作されると、前記種別コードを含む発番号で、前記対応者の無線電話端末を識別するための識別情報を発信先とした発呼を前記構内交換機に対して行い、
前記構内交換機は、前記親機による前記発呼に応じて、前記発番号で、前記識別情報に対応する前記無線電話端末に対して発呼する、請求項11に記載の呼出システム。
【請求項13】
呼び出しの種別である呼出種別と、電話帳機能を備えた無線電話端末により電話番号の少なくとも一部として認識される種別コードとを対応付けたテーブルと、
対応者の呼び出しを示す呼出信号を子機から受信したとき、前記対応者の無線電話端末に対して、該呼び出しの呼出種別に対応する種別コードを前記テーブルから読み出し、該種別コードを含む発番号で発呼する制御手段と、
を有する制御機。
【請求項14】
呼び出しの種別である呼出種別に対応付けられた種別コードを含む電話番号を通信相手の電話番号とし、該種別コードに対応する該呼出種別を示す文字列を該通信相手の名称として登録した電話帳データと、
着呼したとき、該着呼の発番号に対応する前記文字列を前記電話帳データから読み出して表示する制御手段と、
を有する無線電話端末。
【請求項15】
対応者の呼び出しを示す呼出信号を子機から受信した制御機が、該対応者の無線電話端末に対して、該呼び出しの種別である呼出種別に対応づけられた種別コードを含む発番号で発呼を行い、
種別コードを含む電話番号を通信相手の電話番号とし、該種別コードに対応する呼出種別を示す文字列を該通信相手の名称として登録した電話帳データを記憶した無線電話端末が、着呼したとき、該着呼の発番号に対応する該文字列を該電話帳データから読み出して表示する、呼出システムの制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2010−263294(P2010−263294A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−110737(P2009−110737)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】