説明

呼吸シンシチウムウイルス複製の阻害剤としての1,3−ジヒドロ−ベンズイミダゾール−2−イリデンアミン類

【化1】


RSV阻害剤である、式(I)[式中、各AlkはC1−6アルカンジイルであり、Qは水素;1もしくは2個のAr基で置換されたC1−6アルキル;キノリニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、もしくはピロリジノニルで置換されたC1−6アルキル;−CO−Arであるか、またはQは式の基であり、ここでtは1、2または3であり、Rはアミノ、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノであり、RはAr、−CO−Arまたは場合により置換されていてもよい単環式もしくは二環式複素環であり、RはRの通りでありそしてさらに水素であることもでき、ここでQが水素以外である場合には、Rは水素であり、そしてここでQが水素以外である場合には、Rは基:(b)であり、ここでRは水素、C1−6アルキル、置換されたC1−6アルキルであり、R、R、Rはハロ、シアノ、C1−6アルキル、置換されたC1−6アルキル、C2−6アルケニル、シアノC2−6アルケニル、C2−6アルキニル、シアノC2−6アルキニル、Ar、R10a−O−、R10a−S−、−N(R5a5b)、R10a−O−C(=O)−、N(R5a5b)−C(=O)−、R10a−C(=O)−NR5b−、R10b−C(=O)−O−であり、そしてRおよび/またはRは水素であることもできる]の新規な1,3−ジヒドロ−ベンズイミダゾ1−2−イリデンアミン誘導体、付加塩、および立体化学的異性体形態。これらの化合物を含有する組成物並びにこれらの化合物および組成物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸シンシチウムウイルス(RSV)の複製に対する阻害活性を有する1,3−ジヒドロ−ベンズイミダゾール−2−イリデンアミン誘導体、それらの製造方法および活性成分としてこれらの化合物を含んでなる製薬学的組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトRSVすなわち呼吸シンシチウムウイルスは、牛RSVウイルスと一緒に、パラミクソウイルス(Paramyxoviridae)科、ニューモウイルス(pneumoviridae)亜科の員である大きいRNAウイルスである。ヒトRSVは世界中の全ての年令の人間におけるある範囲の呼吸管疾病の原因である。それは幼児および児童の期間中の下部呼吸管疾病の主要原因である。全ての幼児の半分以上が彼らの人生の最初の年に、そしてほとんど全てが彼らの最初の2年以内に、RSVに遭遇する。幼少児童における感染は肺損傷を引き起こし、それは数年にわたり持続し且つ後半の人生における慢性肺疾患(慢性喘鳴、喘息)の原因になりうる。それより年令の高い児童および成人はしばしばRSV感染時に(悪性の)感冒に罹る。老令では、罹患率が再び上昇し、そしてRSVは老人性肺炎の多くの大発生に関与して有意な死亡率をもたらす。
【0003】
特定亜群からのウイルスによる感染は翌年の冬季における同一亜群からのRSV単離体によるその後の感染に対して防御しない。RSVによる再感染は従って、2種だけの亜群であるAおよびBの存在にもかかわらず、よく起きる。
【0004】
RSV感染に対する使用のためには現在では3種だけの薬品が認可されている。最初のものはヌクレオシド同族体であるリバビリン(ribavirin)であり、入院児童における重篤なRSV感染のためのエアロゾル処置を提供する。エアロゾル投与経路、毒性(奇形発生の危険性)、費用および高度に変動する効力がその使用を制限している。他の2種の薬品であるポリクローンおよびモノクローン抗体免疫刺激剤であるレスピガム(RespiGam)(R)およびパリビズマブ(palivizumab)は予防方法で使用されることが意図される。
【0005】
安全且つ有効なRSVワクチンを開発するための他の試みは全てそんなわけでずっと失敗していた。不活性化されたワクチン類は疾病を予防することに失敗しており、そして実際に、ある場合にはその後の感染期間中に疾病を重くした。寿命減衰ワクチン類が試みられたが、限られた成功しか収めなかった。明らかに、RSV複製に対する有効で、無毒な、そして投与が容易な薬品に関する要望がある。
【0006】
特許文献1、特許文献2および特許文献3は、RSV阻害性質を有する一連のベンズイミダゾール誘導体を記述している。
【特許文献1】国際公開第01/00615号パンフレット
【特許文献2】国際公開第01/00611号パンフレット
【特許文献3】国際公開第01/00612号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、これらの先行技術化合物と構造的に関連しない1,3−ジヒドロ−ベンズイミダゾール−2−イリデンアミン誘導体である別のRSV阻害化合物を提供することをめざす。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、式(I)
【0009】
【化1】

【0010】
[式中、
各Alkは独立してC1−6アルカンジイルであり、
Qは水素;1もしくは2個のAr基で置換されたC1−6アルキル;キノリニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、もしくはピロリジノニルで置換されたC1−6アルキル;−CO−Arであるか、またはQは式
【0011】
【化2】

【0012】
の基であり、
ここでtは1、2または3であり、
はアミノ、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノであり、
はAr、−CO−Arまたはピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、フラニル、テトラヒドロフラニル、チエニル、ピロリル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル、キノリニル、キノキサリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズチアゾリル、ピリドピリジル、ナフチリジニル、1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジニル、3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニルおよび2,3−ジヒドロ−1,4−ジオキシノ[2,3−b]ピリジルから選択される単環式もしくは二環式複素環であり、
ここで該単環式もしくは二環式複素環の各々は場合によりハロ、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、カルボキシル、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルオキシC1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノ、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキル、ポリハロC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニルアミノ、C1−6アルキルオキシカルボニルおよび−C(=O)−NR5a5bよりなる群から各々独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基で置換されていてもよく、
は独立してRと同じ意味を有しそしてさらに水素であることもでき、
ここでQが水素以外である場合には、Rは水素であり、或いはQが水素である場合には、Rは式:
【0013】
【化3】

【0014】
の基であり、
ここで
は水素、C1−6アルキル、Ar1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、(C1−6アルキルオキシ)C1−6アルキル、アミノC1−6アルキル、モノ−およびジ(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキル、カルボキシルC1−6アルキル、C1−6アルキルオキシカルボニルC1−6アルキル、アミノカルボニルC1−6アルキル、モノ−およびジ(C1−6アルキル)アミノカルボニルC1−6アルキルから選択され、
、R、Rは各々独立してハロ、シアノ、C1−6アルキル、Ar−C1−6アルキル、シアノC1−6アルキル、C2−6アルケニル、シアノC2−6アルケニル、C2−6アルキニル、シアノC2−6アルキニル、Ar、R10a−O−、R10a−S−、−N(R5a5b)、ポリハロC1−6アルキル、R10a−O−C(=O)−、N(R5a5b)−C(=O)−、R10a−O−C1−6アルキル、N(R5a5b)−C1−6アルキル、R10a−O−C(=O)−C1−6アルキル、N(R5a5b)−C(=O)−C1−6アルキル、R10a−C(=O)−NR5b−、R10b−C(=O)−O−、R10b−C(=O)−O−C1−6アルキルから選択され、そしてRおよび/またはRは水素であることもでき、
各R5aおよびR5bは互いに独立して水素またはC1−6アルキルであり、
10aは水素、C1−6アルキルまたはAr1−6アルキルであり、
10bはC1−6アルキルまたはAr1−6アルキルであり、
Arはフェニルまたはハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、ポリハロC1−6アルキルおよびC1−6アルキルオキシから独立して選択される1、2、3もしくは4個の置換基で置換されたフェニルであり、
Arはフェニルまたはハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシC1−6アルキル、ポリハロC1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、ヒドロキシC1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルオキシカルボニル、ArおよびArOから独立して選択される1、2、3もしくは4個の置換基で置換されたフェニルである]、
それらの付加塩、およびそれらの立体化学的異性体形態により表すことができるRSV複製の阻害剤に関する。
【0015】
以上および以下で使用される基または基の部分としての「C1−4アルキル」は、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分枝鎖状の飽和炭化水素基、例えばメチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−プロピル、t.ブチルを定義し、基または基の部分としての「C1−6アルキル」は、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分枝鎖状の飽和炭化水素基、例えばC1−4アルキルに関して定義された基および1−ペンチル、2−ペンチル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチルブチル、3−メチルペンチルなどを定義し、「C1−2アルキル」はメチルまたはエチルを定義する。C1−6アルキルの中ではC1−4アルキルおよびC1−2アルキルが好ましい。
【0016】
ここで使用される基または基の部分としての用語「C3−6アルケニル」は、少なくとも1個の二重結合を有し、そして好ましくは1個の二重結合を有し、且つ炭素数3〜6の直鎖状もしくは分枝鎖状の不飽和炭化水素基、例えば1−プロペニル、2−プロペニル(またはアリル)、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−メチル−2−プロペニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、2−メチル−1−ブテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、2−メチル−2−ペンテニル、1,2−ジメチル−1−ブテニルなど、を含んでなることを意味する。ここで使用される基または基の部分としての用語「C2−6アルケニル」は、C3−6アルケニルおよびエチレン(またはビニル)を含んでなることを意味する。用語「C3−6アルキニル」は、1個の三重結合を有し且つ炭素数3〜6の直鎖状もしくは分枝鎖状の不飽和炭化水素基、例えばプロペニル、ブチン−1−イル、ブチン−2−イル、ペンチン−1−イル、ペンチン−2−イル、ヘキシン−1−イル、ヘキシン−2−イル、ヘキシン−3−イル、2−メチルブチン−1−イルなど、を定義する。ここで使用される基または基の部分としての用語「C2−6アルキニル」は、C3−6アルキニルおよびエチニルを含んでなることを意味する。
【0017】
1−4アルカンジイルは炭素数1〜4の2価の直鎖状および分枝鎖状の飽和炭化水素基、例えば、メチレン、1,2−エタンジイル(エチレン)、1,3−プロパンジイル、1,4−ブタンジイル、1,2−プロパンジイル、2,3−ブタンジイル、1,5−ペンタンジイルなど、を定義する。C1−6アルカンジイルはC1−4アルカンジイルおよび炭素数5〜6の高級同族体、例えば、1,5−ペンタンジイル、1,6−ヘキサンジイルなどを包含することを意味する。C1−6アルカンジイルの中ではC1−4アルカンジイルが好ましい。
【0018】
以上で使用される用語(=O)は、炭素原子に結合される場合にはカルボニル部分を、硫黄原子に結合される場合にはスルホキシド部分をそして該用語の2つが硫黄原子に結合される場合にはスルホニル部分を生成する。
【0019】
カルボキシル、カルボキシまたはヒドロキシカルボニルの用語は基−COOHをさす。
【0020】
ハロの用語はフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを総称する。
【0021】
以上および以下で使用される基または基の部分としての、例えばポリハロC1−6アルキルオキシ中の、「ポリハロC1−6アルキル」は、モノ−もしくはポリハロ置換されたC1−6アルキル、例えば1、2、3、4、5、6個まで、もしくはそれ以上のハロ原子で置換されたC1−6アルキル、例えば1個もしくはそれ以上のフルオロ原子を有するメチルまたはエチル、例えば、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、として定義される。全ての水素原子がフルオロ原子により置換されたC1−6アルキル基であるペルフルオロC1−6アルキル基、例えばペンタフルオロエチル、も包含される。ポリハロC1−4アルキルの定義内で1個より多いハロゲン原子がアルキル基に結合される場合には、ハロゲン原子は同一もしくは相異なりうる。
【0022】
酸素原子または窒素原子上で置換される場合のヒドロキシC1−6アルキルまたはアミノC1−6アルキル基は好ましくは、ヒドロキシ基および酸素または窒素が少なくとも2個の炭素原子により離されているヒドロキシC2−6アルキル基またはアミノ基および窒素原子が少なくとも2個の炭素原子により離されているアミノC2−6アルキル基である。窒素原子上で置換されている場合には、(C1−6アルキルオキシ)C1−6アルキルまたはモノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノ−C1−6アルキル基の中では、C1−6アルキルオキシ基および窒素原子並びにモノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノ基および窒素原子が少なくとも2個の炭素原子により離されている(C1−6アルキ
ルオキシ)C2−6アルキルまたはモノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノ−C2−6アルキル基が好ましい。
【0023】
定義で使用されるいずれかの分子部分上の基の位置はそれが化学的に安定である限りそのような部分上のいずれでもよいことに注目すべきである。
【0024】
変数の定義で使用される基は断らない限り全ての可能な異性体を包含する。例えばピリジルは2−ピリジル、3−ピリジルおよび4−ピリジルを包含し、ペンチルは1−ペンチル、2−ペンチルおよび3−ペンチルを包含する。
【0025】
いずれかの変数がいずれかの部分で1つより多く生ずる場合には、各定義は独立している。
【0026】
以下で使用される場合は常に、用語「式(I)の化合物」もしくは「本化合物」または同様な用語は、式(I)の化合物、付加塩および立体化学的異性体形態を包含することを意味する。
【0027】
式(I)の化合物のあるものが1個もしくはそれ以上のキラル中心を含有することができそして立体化学的異性体形態として存在しうることは認識されよう。
【0028】
以上で使用された用語「立体化学的異性体形態」は、式(I)の化合物が有することができる、同じ結合順序により結合された同じ原子から製造されるが相互交換可能でない異なる三次元構造を有する全ての可能な化合物を定義する。
【0029】
断らない限り、化合物の化学的表示は該化合物が有することができる全ての可能な立体化学的異性体形態の混合物を包括する。該混合物は該化合物の基本的分子構造の全てのジアステレオマーおよび/またはエナンチオマーを含有しうる。純粋形態または互いの混合物状の両方の本発明の化合物の全ての立体化学的異性体形態が本発明の範囲内に包括されることが意図される。
【0030】
ここで挙げられる化合物および中間体の純粋な立体異性体形態は、該化合物または中間体の同じ基本的分子構造の他のエナンチオマーまたはジアステレオマー形態を実質的に含まない異性体として定義される。特に、用語「立体異性体的に純粋な」は、少なくとも80%の立体異性体過剰率(すなわち最少90%の1種の異性体および最大10%の他の可能な異性体)から100%までの立体異性体過剰率(すなわち100%の1種の異性体および他のものなし)を有する化合物または中間体、より特に、90%から100%までの立体異性体過剰率を有する、さらにより特に94%から100%までの立体異性体過剰率を有する、そして最も特に97%から100%までの立体異性体過剰率を有する、化合物または中間体に関する。用語「エナンチオマー的に純粋な」および「ジアステレオマー的に純粋な」は、同様な方法で理解すべきであるが、当該混合物のエナンチオマー過剰率またはジアステレオマー過剰率に関連する。
【0031】
本発明の化合物および中間体の純粋な立体異性体形態は当該技術で既知の工程の適用により得られうる。例えば、エナンチオマーは光学的に活性な酸または塩基を用いるそれらのジアステレオマー塩の選択的結晶化により互いに分離されうる。それらの例は酒石酸、ジベンゾイル−酒石酸、ジトルオイル酒石酸および樟脳スルホン酸である。或いは、エナンチオマー類はキラル静止相を用いるクロマトグラフィー技術により分離されうる。反応が立体特異的に起きるなら、該純粋な立体化学的異性体形態は適当な出発物質の対応する純粋な立体化学的異性体形態からも誘導されうる。好ましくは、特異的な立体異性体が所望される場合には、該化合物は立体特異的な製造方法により合成されるであろう。これら
の方法は有利にはエナンチオマー的に純粋な出発物質を使用するであろう。
【0032】
式(I)のジアステレオマー性ラセミ体は従来方法により別個に得られうる。有利に使用できる適切な物理的分離方法は、例えば、選択的結晶化およびクロマトグラフィー、例えばカラムクロマトグラフィー、である。
【0033】
式(I)の化合物のあるものおよびそれらの製造において使用される中間体に関すると、絶対的な立体化学的構造が実験的に決められていないことがある。当業者は当該技術で既知の方法、例えば、X線回折、を用いてそのような化合物の絶対的な構造を決めることができる。
【0034】
本発明は本化合物に対して生ずる原子の全ての同位体を包含することも意図する。同位体は同じ原子番号を有するが異なる質量数を有する原子を包含する。一般的な例であり限定用でないが、水素の同位体はトリチウムおよびジューテリウムを包含する。炭素の同位体はC−13およびC−14を包含する。
【0035】
治療使用のためには、式(I)の化合物の塩は中心イオンが製薬学的に許容可能なであるものである。しかしながら、製薬学的に許容可能でない酸および塩基類の塩も、例えば、製薬学的に許容可能な化合物の製造または精製において用途を見出しうる。製薬学的に許容可能であるかまたはない全ての塩が本発明の範囲内に包含される。
【0036】
以上で挙げられた製薬学的に許容可能な酸および塩基付加塩は、式(I)の化合物が生成しうる治療的に活性な無毒の酸および塩基付加塩形態を含んでなることを意味する。治療的に活性な酸付加塩は、塩基形態をそのような適当な酸で処理することにより、簡便に得られうる。適当な酸は、例えば、無機酸、例えばハロゲン化水素酸、例えば塩酸または臭化水素酸、硫酸、硝酸、燐酸および同様な酸、または有機酸、例えば、酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸(すなわちエタンジオン酸)、マロン酸、琥珀酸(すなわちブタンジオン酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸(すなわちヒドロキシブタンジオン酸)、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸および同様な酸を含んでなる。
【0037】
逆に、該塩形態を適当な塩基を用いる処理により遊離塩基形態に転化することができる。
【0038】
酸性部分を含有する式(I)の化合物を適当な有機および無機塩基を用いる処理によりそれらの無毒の金属またはアミン付加塩形態に転化することもできる。適する塩基塩形態は、例えば、アンモニウム塩類、アルカリおよびアルカリ土類金属塩、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩など、有機塩基との塩、例えばベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、ヒドラバミン塩、並びにアミノ酸、例えば、アルギニン、リシンなどとの塩を含んでなる。
【0039】
以上で使用された付加塩の用語は、式(I)の化合物並びにそれらの塩が生成しうる溶媒和物も包含する。そのような溶媒和物は例えば水和物、アルコレートなどである。
【0040】
用語「式(I)の化合物」または例えば「本発明の化合物」などの如きいずれかの同様な用語は、式(I)の化合物が生成しうるいずれかのプロドラッグも含んでなることを意味する。ここで使用される用語「プロドラッグ」は、生ずる誘導体のインビボ生転換生成物が式(I)の化合物で定義されたような活性薬品であるいずれかの薬理学的に許容可能な誘導体、例えばエステル、アミドおよび燐酸エステルを含んでなることを意味する。プ
ロドラッグを一般的に記載しているGoodmanおよびGilmanによる文献(The Pharmacological Basis of Therapeutics,8th ed,McGraw−Hill,Int.Ed.1992,“Biotransformation of Drugs”,p13−15)は引用することにより本発明の内容となる。プロドラッグ類は好ましくは優れた水溶性、増加したバイオアベイラビリティーを有し、そしてインビボで活性な阻害剤に容易に代謝される。化合物内に存在する官能基を、改変が分解であるような方法で、日常的な処理によるかまたはインビボのいずれかで、親化合物に改変することにより、本発明の化合物のプロドラッグ類を製造することができる。
【0041】
インビボで加水分解可能であり且つヒドロキシまたはカルボキシル基を有する式(I)の化合物から誘導される製薬学的に許容可能なエステルプロドラッグが好ましい。インビボで加水分解可能なエステルは、人間または動物の体内で加水分解して親酸またはアルコールを製造するエステルである。カルボキシに適する製薬学的に許容可能なエステルは、C1−6アルコキシメチルエステル、例えばメトキシメチル、C1−6アルカノイルオキシメチルエステル、例えばピバロイルオキシメチル、フタリジルエステル、C3−7シクロアルコキシカルボニルオキシC1−6アルキルエステル、例えば1−シクロヘキシルカルボニルオキシエチル;1,3−ジオキソレン−2−オニルメチルエステル、例えば5−メチル−1,3−ジオキソレン−2−オニルメチル;並びに本発明の化合物内のいずれかのカルボキシ基のところで生成しうるC1−6アルコキシカルボニルオキシエチルエステル、例えば1−メトキシカルボニルオキシエチルを包含する。
【0042】
ヒドロキシ基を含有する式(I)の化合物のインビボで加水分解可能なエステルは、無機エステル、例えば燐酸エステルおよびα−アシルオキシアルキルエーテル並びにエステル分裂のインビボ加水分解の結果として親ヒドロキシ基を与える関連化合物を包含する。α−アシルオキシアルキルエーテルの例はアセトキシ−メトキシおよび2,2−ジメチルプロピオニルオキシ−メトキシを包含する。ヒドロキシに関するインビボで加水分解可能なエステル生成基の選択肢は、アルカノイル、ベンゾイル、フェニルアセチル並びに置換されたベンゾイルおよびフェニルアセチル、アルコキシカルボニル(アルキル炭酸エステル類を与えるため)、ジアルキルカルバモイルおよびN−(ジアルキルアミノエチル)−N−アルキルカルバモイル(カルバミン酸エステル類を与えるため)、ジアルキルアミノアセチルおよびカルボキシアセチルを包含する。ベンゾイル上の置換基の例は、環窒素原子からメチレンを介してベンゾイル環の3−もしくは4−位置に結合されるモルホリノおよびピペラジノを包含する。アルカノイルエステルは例えば、いずれかのC1−30アルカノイルエステル、特にC8−30アルカノイルエステル、より特にC10−24アルカノイルエステル、さらに特にC16−20アルカノイルエステルであり、ここでアルキル部分は1個もしくはそれ以上の二重結合を有することができる。アルカノイルエステルの例はデカン酸エステル、パルミチン酸エステルおよびステアリン酸エステルである。
【0043】
用語「式(I)の化合物」または例えば「本発明の化合物」などの如きいずれかの同様な用語は、薬品の投与でインビボで生成するいずれかの代謝産物も含んでなることを意味する。本発明に従う代謝産物の数例は(a)式(I)の化合物がメチル基を含有する場合にはそのヒドロキシメチル誘導体、(b)式(I)の化合物がアルコキシ基を含有する場合にはそのヒドロキシ誘導体、(c)式(I)の化合物が第三級アミノ基を含有する場合にはその第二級アミノ誘導体、(d)式(I)の化合物が第二級アミノ基を含有する場合にはその第一級アミノ誘導体、(e)式(I)の化合物がフェニル部分を含有する場合にはそのフェノール誘導体、および(f)式(I)の化合物がアミド基を含有する場合にはそのカルボン酸誘導体を包含するが、それらに限定されない。
【0044】
用語「式(I)の化合物」または例えば「本発明の化合物」などの如きいずれかの同様
な用語は、1個もしくは数個の窒素原子がN−オキシド形態に酸化されている式(I)の化合物である、式(I)の化合物のいずれかのN−オキシド形態も含んでなることを意味する。
【0045】
式(I)の化合物は金属結合、キレート化および/または錯体生成性質を有することができ、そしてその結果として金属錯体または金属キレート類として存在しうる。式(I)の化合物のそのような金属錯体誘導体は本発明の範囲内に包含されることが意図される。
【0046】
式(I)の化合物のあるものはそれらの互変異性体形態でも存在しうる。そのような形態は上記式に明白に示されていないが本発明の範囲内に包含されることが意図される。
【0047】
多くの式(I)の化合物の亜群が以下で式(I)の化合物内の種々の基の制限された定義により特定される。しかしながら、これらの亜群は以下で挙げられる制限された定義のいずれかの組み合わせを有するものも含んでなることを意味する。
【0048】
式(I)の化合物の亜群Iは、
(a)1個もしくはそれ以上の基AlkがC1−4アルカンジイルであり、
(b)1個もしくはそれ以上の基AlkがC1−2アルカンジイルであり、
(c)1個もしくはそれ以上の基Alkがメチレンであり、或いは
(d)全ての基Alkがメチレンである、
式(I)の化合物またはここで特定された式(I)の化合物のいずれかの亜群である。
【0049】
式(I)の化合物の亜群IIは、
(a)Qが1もしくは2個のAr基で置換されたC1−6アルキル;キノリニル、モルホリニルもしくはピロリジノニルで置換されたC1−6アルキル;−CO−Arであり、またはQが式
【0050】
【化4】

【0051】
の基であり、
ここでtが2であり、Rがアミノ、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノであり、
(b)Qが1もしくは2個のAr基で置換されたC1−6アルキル;キノリニル、モルホリニルもしくはピロリジノニルで置換されたC1−6アルキルであり、
(c)Qが−CO−Arであり、或いは
(d)Qが式(a)の基であり、ここでtが2であり、Rがアミノ、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノであり、
(e)Qが水素である、
式(I)の化合物またはここで特定された式(I)の化合物のいずれかの亜群、例えば上記の亜群Iである。
【0052】
式(I)の化合物の亜群IIIは、
(a)Rおよび/またはRがAr、−CO−Arまたはピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、フラニル、テトラヒドロフラニル、チエニル、ピロリル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、キノリニル、キノキサリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンズイミダゾ
リル、ベンゾキサゾリル、ベンズチアゾリルから選択される複素環であり、ここで該複素環の各々が場合によりハロ、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、カルボキシル、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルオキシC1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノから各々独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基で置換されていてもよく、或いは
(b)Rおよび/またはRがAr、−CO−Ar、またはモルホリニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、フラニル、テトラヒドロフラニル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリルおよびキノリニルから選択される複素環であり、ここで該複素環の各々が場合によりハロ、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、C1−6アルキルおよびC1−6アルキルオキシから独立して選択される1もしくは2個の置換基で置換されていてもよく、或いは
(c)Rおよび/またはRがAr、−CO−Ar、モルホリニル、ピリジルまたはキノリニルであり、ここで該複素環の各々が場合によりヒドロキシおよびC1−6アルキルから独立して選択される1もしくは2個の置換基で置換されていてもよく、或いは
(d)Rおよび/またはRがAr、−CO−Ar、モルホリニルまたはキノリニルである、
式(I)の化合物またはここで特定された式(I)の化合物のいずれかの亜群、例えば上記の亜群IおよびIIである。
【0053】
式(I)の化合物の亜群IVは、Rが水素である、式(I)の化合物またはここで特定された式(I)の化合物のいずれかの亜群、例えば上記の亜群I、IIおよびIIIである。
【0054】
式(I)の化合物の亜群Vは、
(a)Rが水素でありそしてQが水素以外であり、
(b)Rが式:
【0055】
【化5】

【0056】
の基であり、
ここで
が水素、C1−6アルキル、Ar1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、(C1−6アルキルオキシ)C1−6アルキル、アミノC1−6アルキル、カルボキシルC1−6アルキル、アミノカルボニルC1−6アルキルから選択され、
、R、Rが互いに独立してハロ、シアノ、C1−6アルキル、シアノC1−6アルキル、R10a−O−、−N(R5a5b)、トリフルオロメチル、R10a−O−C(=O)−、N(R5a5b)−C(=O)−、R10a−O−C1−6アルキル、N(R5a5b)−C1−6アルキル、R10a−O−C(=O)−C1−6アルキル、N(R5a5b)−C(=O)−C1−6アルキル、R10b−C(=O)−O−、R10b−C(=O)−O−C1−6アルキルから選択され、そしてRおよび/またはRが水素であることもでき、
各R5aおよびR5bが互いに独立して水素またはC1−6アルキルであり、
10aが水素またはC1−6アルキルであり、
10bがC1−6アルキルであり、或いは
(c)Rが式(b)の基であり、ここで
が水素、C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、アミノC1−6アルキル、カルボキシルC1−6アルキルおよびアミノカルボニルC1−6アルキルから選択され、
、R、Rが互いに独立してハロ、シアノ、C1−6アルキル、シアノC1−6アルキル、R10a−O−、−N(R5a5b)、R10a−O−C(=O)−、N(R5a5b)−C(=O)−、R10a−O−C1−6アルキル、N(R5a5b)−C1−6アルキル、R10a−O−C(=O)−C1−6アルキル、N(R5a5b)−C(=O)−C1−6アルキル、R10b−C(=O)−O−C1−6アルキルから選択され、そしてRおよび/またはRが水素であることもでき、
各R5aおよびR5bが互いに独立して水素またはC1−6アルキルであり、
10aが水素またはC1−6アルキルであり、
10bがC1−6アルキルであり、或いは
(d)Rが式(b)の基であり、ここで
が水素、ヒドロキシC1−6アルキル、アミノC1−6アルキルおよびアミノカルボニルC1−6アルキルから選択され、
、R、Rが互いに独立してハロ、C1−6アルキル、シアノC1−6アルキル、R10a−O−、−N(R5a5b)、R10a−O−C1−6アルキル、N(R5a5b)−C1−6アルキル、R10a−O−C(=O)−C1−6アルキル、R10b−C(=O)−O−C1−6アルキルから選択され、そしてRおよび/またはRが水素であることもでき、
5aおよびR5bが水素であり、
10aが水素またはC1−6アルキルであり、
10bがC1−6アルキルであり、或いは
(e)Rが式(b)の基であり、ここで
が水素であり、
、R、Rが互いに独立してC1−6アルキル、R10a−O−C1−6アルキルから選択され、そしてRおよび/またはRが水素であることもでき、
5aおよびR5bが水素であり、
10aが水素またはC1−6アルキルであり、
そして制限(b)、(c)および(d)の場合には、Qが水素である、
式(I)の化合物またはここで特定された式(I)の化合物のいずれかの亜群、例えば上記の亜群I、II、IIIおよびIVである。
【0057】
式(I)の化合物の亜群VIは、Arがフェニルまたはハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、CFおよびC1−6アルキルオキシから選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されたフェニルである、式(I)の化合物またはここで特定された式(I)の化合物のいずれかの亜群、例えば上記の亜群I、II、III、IVおよびVである。
【0058】
式(I)の化合物の亜群VIIは、Arがフェニルまたはハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシルC1−6アルキル、CF、C1−6アルキルオキシ、ヒドロキシC1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルオキシカルボニル、フェニルおよびフェノキシから選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されたフェニルである、式(I)の化合物またはここで特定された式(I)の化合物のいずれかの亜群、例えば上記の亜群I、II、III、IV、VおよびVIである。
【0059】
好ましい化合物は、表1および2に挙げられたいずれかの化合物、より特に化合物番号1−7、57である。
【0060】
式(I)の化合物は、以下の反応スキームに概略記述される通りにして、N−アルキル化によりまたはある場合にはN−アシル化反応により製造することができ、ここでQ、Alk、R、R、R、Rは式(I)の化合物または式(I)の化合物のいずれかの亜群に関して特定された意味を有する。Wは脱離基、例えばトシル、メシル、ハロ、特にクロロまたはブロモを表わす。これらのN−アルキル化反応は典型的には適当な溶媒、例えばエーテル、例えばTHF、ジオキサン、ハロゲン化された炭化水素、例えばジクロロメタン、CHCl、トルエン、有極性非プロトン性溶媒、例えばDMF、DMSO、DMA、HMPT、NMP、アセトニトリルなどの中で行われる。塩基、例えばアルカリ金属炭酸塩または炭酸水素塩、トリアルキルアミン、例えばトリエチルアミン、または、所望するなら、より強い塩基、例えばアルカリ金属水素化物、例えばNaHを加えて反応中に遊離される酸を吸収することができる。所望するなら、ある種の触媒、例えばヨウ化物塩類(例えばKI)を加えることができる。
【0061】
式(I)の化合物は、以下の反応スキームに概略記述される通りにして、ベンズイミダゾール(II)をアルキル化剤(III)でN−アルキル化することにより製造することができる。
【0062】
【化6】

【0063】
式(I)の化合物は、以下の反応スキームに概略記述される通りにして、ベンズイミダゾール(IV)をアルキル化もしくはアシル化剤(V)でN−アルキル化もしくは(QがAr−CO−である場合には)N−アシル化することにより製造することもできる。
【0064】
【化7】

【0065】
11がC1−6アルキル、特にメチルまたはエチル、である式(VI)の中間体を、例えばLiAlHを用いる、還元反応によりヒドロキシメチレン基を有する中間体(VII)に還元することにより、式(1−a)により表すことができる、Rが基(b)であり、ここで基Alkがメチレンである式(I)の化合物を製造することができる。後者の基を穏やかな酸化剤で、例えばMnOで、アルデヒド基に酸化し(中間体VIII)、それをさらにアミン類で、例えば還元的アミノ化方法で、式(1−a)の所望する化合物に誘導化することができる。
【0066】
【化8】

【0067】
N−アルキル化反応に関して以上で記載されたものと同じ反応条件を用いて式(IX)の中間体を試薬R−Alk−WでN−アルキル化することにより、式(1−b)により表すことができる、Qが基(a)である式(I)の化合物を製造することができる。
【0068】
【化9】

【0069】
式(I)の化合物を以下に記載されるものを含んでなる当該技術で既知の官能基転換反応に従い互いに転化することができる。
【0070】
ニトロ基をアミノ基に還元することができ、それらを引き続きモノ−もしくはジアルキルアミノ基にアルキル化するか、またはアリールカルボニルアミノもしくはアルキルカルボニルアミノおよび同様な基にアシル化することができる。シアノ基をアミノメチレン基に還元することができ、それらを同様にして誘導化することができる。
【0071】
式(I)の化合物を製造するために使用される多くの中間体は既知化合物であるかまたは当業者が容易に利用可能な当該技術で既知方法の改変に従い製造できる既知化合物の同族体である。多くの中間体の製造が以下で幾分さらに詳細に示される。以下の反応スキームにおいて、基Q、R、R、Rは式(I)の化合物または式(I)の化合物のいずれかの亜群に関して特定された意味を有する。Wは脱離基、例えばトシル、メシル、ハロ、特にクロロまたはブロモを表わす。
【0072】
式(II)の中間体は以下のスキームに概略記述される通りにして製造することができる:
【0073】
【化10】

【0074】
第一段階で、ジアミノベンゼン(X)を適当な溶媒、例えばキシレン、の中でウレアを用いて環化して、ベンズイミダゾロン(XI)を生ずる。特に(XI)と適当なハロゲン化剤、例えばPOClとの反応により、後者をWが以上で特定された脱離基であるベンズイミダゾール誘導体(XII)に転化し、そして生じた中間体(XIII)をアミン誘導体Q−NHと反応させて式(II)の中間体を得る。或いは後者を以下の通りにして製造することもできる:
【0075】
【化11】

【0076】
中間体(XII)をアミン誘導体Q−NHと反応させて式(XIV)の中間体を得、それを次に試薬W−Alk−Rと反応させて中間体(II)を得る。
【0077】
式(IV)の中間体を以下のスキームに概略記述された通りにして製造することができる:
【0078】
【化12】

【0079】
最初に、2−アミノベンズイミダゾール誘導体(XV)を試薬W−Alk−RでN−アルキル化して、中間体(XVI)を生じ、それらを引き続きアルキル化して式(IV)
の所望する中間体を生ずる。N−アルキル化反応を(II)または(IV)のアルキル化に関して以上で記載されたものと同じ工程に従い行って化合物(I)を得ることができる。最初に中間体(X)をアルキル化して中間体(XVII)を得、それらを臭化シアンで中間体(XVI)に環化することにより、中間体(XVI)を製造することもできる:
【0080】
【化13】

【0081】
式(VI)の中間体は以下の通りにして製造することができる:
【0082】
【化14】

【0083】
ニトロベンゼン誘導体(XVIII)をR−Alk−NHと反応させて中間体(XIX)にし、ここでニトロ基を例えばラネー・ニッケルで還元して中間体(XX)を生じ、それらを臭化シアンで2−アミノベンズイミダゾール(XXI)に環化する。後者を次にN−アルキル化して中間体(VI)を得る。
【0084】
式(I)の化合物を、3価窒素をそのN−オキシド形態に転化するための当該技術で既知の工程に従い対応するN−オキシド形態に転化することができる。該N−酸化反応は一般的に、式(I)の出発物質を適当な有機または無機過酸化物と反応させることにより行うことができる。適する無機過酸化物は、例えば、過酸化水素、アルカリ金属またはアルカリ土類金属過酸化物、例えば過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、を含んでなり、適する有機過酸化物はペルオキシ酸、例えば、ベンゼンカルボペルオキソ酸またはハロ置換されたベンゼンカルボペルオキソ酸、例えば3−クロロベンゼンカルボペルオキソ酸、ペルオキソアルカン酸、例えばペルオキソ酢酸、アルキルヒドロ過酸化物、例えばヒドロ−過酸化t.ブチルを含んでなる。適する溶媒は、例えば、水、低級アルコール、例えばエタノールなど、炭化水素類、例えばトルエン、ケトン、例えば2−ブタノン、ハロゲン化された炭化水素類、例えばジクロロメタン、およびそのような溶媒の混合物である。
【0085】
式(I)の化合物の純粋な立体化学的異性体形態は当該技術で既知の工程の適用により得られうる。ジアステレオマーは物理的方法、例えば選択的結晶化およびクロマトグラフィー技術、例えば、向流分布、液体クロマトグラフィーなどにより分離されうる。
【0086】
上記の方法で製造された式(I)の化合物は一般的にエナンチオマーのラセミ混合物であり、それらは当該技術で既知の分解工程に従い互いに分離されうる。充分に塩基性または酸性である式(I)のラセミ化合物は適当なキラル酸またはキラル塩基との反応により対応するジアステレオマー塩形態に転化することができる。該ジアステレオマー塩形態は引き続き、例えば、選択的または分別結晶化により分離され、そしてエナンチオマーはそこからアルカリまたは酸により遊離される。式(I)の化合物のエナンチオマー形態を分離する別の方法は、液体クロマトグラフィー、特にキラル静止相を用いる液体クロマトグラフィーを包括する。反応が立体特異的に起きるなら、該純粋な立体化学的異性体形態は適当な出発物質の対応する純粋な立体化学的異性体形態からも誘導されうる。好ましくは、特異的な立体異性体が所望される場合には、該化合物は立体特異的な製造方法により合成されるであろう。これらの方法は有利にはエナンチオマー的に純粋な出発物質を使用するであろう。
【0087】
式(I)の化合物は抗ウイルス性質を示す。本発明の化合物および方法を用いて処置可能なウイルス感染症は、オルト−およびパラミクソウイルスによりそして特に人間および牛の呼吸シンシチウムウイルス(RSV)によりもたらされる感染症を包含する。多くの本発明の化合物はさらにRSVの突然変異した菌株に対しても活性である。さらに、本発明の化合物は好ましい薬物動力学特徴を示しそして許容可能な半減期、AUCおよびピーク値を包含するバイオアビリティーに関する魅力的な性質を示し且つ例えば不充分な急速開始および組織保持の如き好ましくない現象はない。
【0088】
本化合物のRSVに対するインビトロ抗ウイルス活性は記述の実験部分に記載された通りの試験で試験され、そしてウイルス成果減少検定において示されうる。本化合物のRSVに対するインビトロ抗ウイルス活性はWyde他(Antiviral Research (1998),38,31−42)に記載された通りにしてコットンラットを用いる試験モデルでも示されうる。
【0089】
それらの抗ウイルス性質、特にそれらの抗−RSV性質のために、式(I)の化合物もしくはそのいずれかの亜群、それらの付加塩類または立体化学的異性体形態はウイルス感染症、特にRSV感染症に罹った個体の処置において、並びにこれらの感染症の予防のために有用である。一般的に、本発明の化合物はウイルス、特に呼吸シンシチウムウイルスに感染した温血動物の処置において有用でありうる。
【0090】
本発明の化合物またはそれらの亜群は従って薬品として使用することができる。薬品または処置方法としての該使用は、ウイルス感染患者またはウイルス感染の疑いのある患者に対するウイルス感染症、特にRSV感染症に伴う症状を除くのに有効な量の全身的投与を含んでなる。
【0091】
本発明はまた、ウイルス感染症、特にRSV感染症の処置または予防のための薬品の製造における本化合物またはそれらの亜群の使用にも関する。
【0092】
本発明の化合物またはそれらの亜群は投与目的のための種々の製薬学的形態に調合することができる。適する組成物として、全身投与薬品用に一般的に使用されている全ての組成物が挙げられうる。本発明の製薬学的組成物を製造するためには、有効量の活性成分としての特定化合物を、場合により付加塩形態または金属錯体状で、製薬学的担体と密に混合し、この担体は投与に所望される調剤の形態により広範囲の形態をとることができる。
これらの製薬学的組成物は、特に、経口、直腸、皮下、または非経口的注射による投与に適する単位薬用量形態が望ましい。例えば、経口薬用量形態の組成物を製造する際には、一般的な製薬学的媒体のいずれか、例えば、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤および液剤の如き経口液体調剤の場合には水、グリコール類、油類、アルコール類など;散剤、丸剤、カプセル剤、および錠剤の場合には例えば澱粉、糖類、カオリン、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などの如き固体担体、を使用することができる。投与におけるそれらの容易さのために、錠剤およびカプセル剤が最も有利な経口薬用量単位形態であり、その場合にはもちろん固体の製薬学的担体が使用される。非経口組成物のためには、担体は一般的には少なくとも大部分が殺菌水であるが、例えば溶解を助けるための、他の成分を含むことができる。例えば、担体が食塩水溶液、グルコース溶液または食塩水およびグルコース溶液の混合物を含んでなる注射溶液を製造することもできる。注射懸濁液を製造することもでき、その場合には適当な液体担体、懸濁化剤などを使用することができる。使用直前に液体形態調剤に転化される固体形態調剤も包含される。皮下投与に適する組成物では、担体は場合により浸透促進剤および/または適当な湿潤剤を、場合により少量のいずれかの性質の適当な添加剤と共に、含んでなってもよく、これらの添加剤は皮膚に有意な悪影響をもたらさないものである。
【0093】
本発明の化合物は経口吸入または通気によりこの方法による投与に関して当該技術で使用される方法および調剤により投与することもできる。それ故、本発明の化合物は肺に液剤、懸濁剤または乾燥散剤の形態で投与することができ、液剤が好ましい。吸入または通気による液剤、懸濁剤または乾燥散剤の分配に関して開発されたいずれのシステムでも本化合物の投与に適する。
【0094】
それ故、本発明は式(I)の化合物および製薬学的に許容可能な担体を含んでなる口を通る吸入または通気による投与に適する製薬学的組成物も提供する。好ましくは、本発明の化合物は霧状にされたかまたはエアロゾル状にされた服用量での液剤の吸入により投与される。
【0095】
投与の容易さおよび服用量の均一性のために、上記の製薬学的組成物を単位薬用量形態に調合することが特に有利である。ここで使用される単位薬用量形態は、各々の単位が所望する治療効果を生ずるように計算された予め決められた量の活性成分を必要な製薬学的担体と一緒に含有する単位薬用量として適する物理的に分離している単位をさす。そのような単位薬用量形態の例は、錠剤(刻み目付きまたはコーティング錠剤)、カプセル剤、丸剤、坐剤、粉末パケット剤、ウエファー剤、注射溶液または懸濁液など、並びにそれらの区分された複数分である。
【0096】
一般的に、抗ウイルス有効1日量は0.01mg/kg〜500mg/kgの体重、より好ましくは0.1mg/kg〜50mg/kgの体重であろう。必要な服用量を1日当たり2回、3回、4回もしくはそれ以上の細分服用量として適当な間隔で投与することが適切でありうる。該細分服用量は、例えば、1個の単位薬用量形態当たり、1〜1000mg、そして特に5〜200mgの活性成分を含有する単位薬用量形態として調合することができる。
【0097】
正確な服用量および投与の頻度は、当業者に既知のように、使用される特定の式(I)の化合物、処置される特定の症状、処置される症状の重篤度、特定患者の年令、体重、性別、疾患の程度および一般的な身体的状態、並びに個体が受けている他の投薬に依存する。さらに、処置される患者の応答によりおよび/または本発明の化合物を処方する医師の評価により、該有効1日量を増減しうることは明らかである。上記の有効1日量範囲は従って単なる指針である。
【0098】
また、別の抗ウイルス剤と式(I)の化合物との組み合わせを薬品として使用することもできる。それ故、本発明は抗ウイルス処置における同時の、別個のまたは連続的な使用のための組み合わせ調剤としての(a)式(I)の化合物、および(b)他の抗ウイルス剤を含有する製品にも関する。異なる薬品を製薬学的に許容可能な担体と一緒に単一調剤中で組み合わせることができる。例えば、RSV感染症を処置または予防するために本発明の化合物をインターフェロン−ベータまたは腫瘍壊死因子−アルファと組み合わせることができる。
【実施例】
【0099】
以下の実施例は本発明を説明することを意図する。化合物は以下の方法の1つを用いるLC/MSにより分析された。
【0100】
LCT:100〜900amuへの走査方式である正方式での電子噴霧イオン化、;エクステラ(Xterra)MS C18(ウォーターズ(Waters)、ミルフォード、マサチュセッツ州)5μm、3.9×150mm);流速1ml/分。2つの移動相(移動相A:85%6.5mA酢酸アンモニウム+15%アセトニトリル;移動相B:20%6.5mA酢酸アンモニウム+80%アセトニトリル)を使用して、3分間にわたる100%Aから5分間での100%Bへの、6分間にわたる100%Bから3分間での100%Aへの勾配を行い、そして3分間にわたり100%Aで再び平衡化した。
【0101】
ZQ:100〜1000amuで走査する正および負(パルス)の両方の方式での電子噴霧イオン化;エクステラRP C18(ウォーターズ、ミルフォード、マサチュセッツ州)5μm、3.9×150mm);流速1ml/分。2つの移動相(移動相A:85%6.5mA酢酸アンモニウム+15%アセトニトリル;移動相B:20%6.5mA酢酸アンモニウム+80%アセトニトリル)を使用して、3分間にわたる100%Aから5分間での100%Bへの、6分間にわたる100%Bから3分間での100%Aへの勾配を行い、そして3分間にわたり100%Aで再び平衡化した。
【0102】
以下の実施例における最終生成物の番号(化合物1など)は表1〜5の化合物番号に相当する。
実施例1
【0103】
【化15】

【0104】
中間体a−3の製造
a−1(11.7g、0.076モル)、a−2(7.5g、0.076モル)および炭酸カリウム(15.9g、0.11モル)のアセトニトリル(280ml)中混合物を4時間にわたり加熱還流した。反応混合物を室温に冷却し、そして水を加えた。生成物をCHClで3回抽出した。一緒にした有機抽出物をMgSO上で乾燥し、そして溶媒を減圧下で除去して、a−3を定量的収率で与えた。
【0105】
中間体a−5の製造
a−3(10g、0.037モル)、およびa−4(5.7g、0.037モル)の混合物を4時間にわたり130℃に加熱した。反応フラスコを次に室温に冷却した。HOを加え、そして生成物をCHClで抽出した。一緒にした有機抽出物をMgSO上で乾燥し、そしてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl/MeOH/NHOH;97/3/0.5)による濃縮濾液の精製が3.6gのa−5(26%)を与えた。
【0106】
中間体a−7の製造
a−5(4.00g、0.01モル)、およびa−6(2.3g、0.01モル)の混合物を3時間にわたり130℃に加熱した。反応フラスコを次に室温に冷却した。HOを加え、そして生成物をCHClで抽出した。一緒にした有機抽出物をMgSO上で乾燥し、そしてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl/MeOH/NHOH;94/6/0.5)による濃縮濾液の精製が1.8gのa−7(33%)を与えた。
【0107】
中間体a−8の製造
a−7(1.4g、0.0027モル)を70mlのCHClの中に溶解させた。溶液を次に0℃に冷却し、そしてBBrの溶液(CHCl中1M、10.7ml、0.011)を加えた。混合物を室温において1時間にわたりさらに撹拌しそして次に水でクエンチした。一般的な処理がa−8を定量的収率で与えた。
【0108】
最終化合物1の製造
a−8(0.5g、0.001モル)、2−クロロエタノール(0.1ml、0.0015モル)、KCO(0.17g、0.0012モル)の乾燥DMF(5ml)中混合物を72時間にわたり80℃に加熱し、その後に、それを室温に冷却した。酢酸エチルを用いる抽出、その後のカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl/MeOH/NHOH;95/5/0.5)が130mgの化合物1(24%)を与えた。
実施例2
【0109】
【化16】

【0110】
中間体b−3の製造
NaH(60%鉱油、6g、0.15モル)を一部分ずつb−1(20g、0.15モル)のDMF(100ml)中溶液にN下で加えた。反応混合物を1時間にわたり撹拌し、そして次にb−2(14.7g、0.075モル)を一部分ずつ加え、そして撹拌をさらに2時間にわたり続けた。混合物を氷および水の混合物の中に注ぎ、そして生成物を酢酸エチルで抽出した。一緒にした有機抽出物をMgSO上で乾燥し、そしてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl/MeOH/NHOH;95/5/0.5)による濃縮濾液の精製が14gのb−3(38%、融点:221℃)を与えた。
【0111】
中間体b−5の製造
b−3(13g、0.052モル)、b−4(11.6g、0.052モル)、炭酸カリウム(10.8g、0.078モル)および触媒量のKIのアセトニトリル(600ml)中混合物を12時間にわたり加熱還流した。反応混合物を室温に冷却し、そして水を加えた。生成物をCHClで3回抽出した。一緒にした有機抽出物をMgSO上で乾燥し、そして溶媒を減圧下で除去した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン/イソプロパノール/NHOH;85/15/1)による精製が6.5gのb−5(32%)を与えた。
【0112】
最終化合物19の製造
b−5(0.3g、0.0008モル)、およびb−6(0.4g、0.0023モル
)の混合物を4時間にわたり130℃に加熱した。反応フラスコを次に室温に冷却した。HOを加え、そして生成物をCHClで抽出した。一緒にした有機抽出物をKCOの水溶液(10%)で洗浄し、そして次にMgSO上で乾燥した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl/MeOH/NHOH;99/1/0.1)による濃縮濾液の精製が0.25gの化合物19(85%、融点:160℃)を与えた。
実施例3
【0113】
【化17】

【0114】
中間体c−3の製造
c−1(5.00g、0.033モル)、およびc−2(13.13g、0.066モル)の混合物を4時間にわたり130℃に加熱した。反応フラスコを次に室温に冷却した。HOを加え、そして生成物をCHClで抽出した。一緒にした有機抽出物をMgSO上で乾燥し、そしてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl/MeOH/NHOH;97/3/0.1)による濃縮濾液の精製が11.5gのc−3(92%)を与えた。
【0115】
中間体c−5の製造
c−3(11.0g、0.035モル)、c−4(7.75g、0.035モル)および炭酸カリウム(7.21g、0.052モル)のアセトニトリル(165ml)中混合物を12時間にわたり加熱還流した。反応混合物を室温に冷却し、そして水を加えた。生成物を酢酸エチルで3回抽出した。一緒にした有機抽出物をMgSO上で乾燥し、そしてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl/MeOH;98/2)による濃縮濾液の精製が9.78gのc−5(61%)を与えた。
【0116】
最終化合物35の製造
c−5(0.5g、0.0011モル)、およびc−6(0.75g、0.0033モル)の混合物を2時間にわたり130℃に加熱した。反応フラスコを次に室温に冷却した。HOを加え、そして生成物をCHClで抽出した。一緒にした有機抽出物をMgSO上で乾燥し、そしてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl/MeOH/NHOH;93/7/0.1)による濃縮濾液の精製が3.6gの化合物35(
23%、融点:128℃)を与えた。
実施例4
【0117】
【化18】

【0118】
中間体d−2の製造
MeONa(66mlのMeOH中30%ゾル、0.34モル)をd−1(52g、0.17モル)のMeOH(500ml)中混合物に5℃において加えそして2時間にわたり室温において撹拌した。(Boc)O(41g、0.17モル)を次に同じ温度において加えそして室温において一晩にわたり撹拌した。混合物を蒸発させそして水/ジイソプロピルエーテルの中に懸濁させた。残渣を濾別し、水/ジイソプロピルエーテルで洗浄しそして乾燥して、40gのd−1(73%)を生じた。
【0119】
中間体d−4の製造
d−2(5g、0.0158モル)、d−3(4.5g、0.0158モル)およびKCO(5.4g、0.039モル)のアセトニトリル(100ml)中混合物を12時間にわたり還流した。溶媒を蒸発乾固した。化合物をCHClで抽出した。有機層をMgSO上で乾燥し、濾過し、そして溶媒を蒸発させて、9gのd−4(100%)を与えた。
【0120】
中間体d−6の製造
d−4(7.9g、0.015モル)、d−5(2.9g、0.015モル)、KCO(3.1g、0.022モル)およびKI(触媒量)のアセトニトリル(150ml
)中混合物を6時間にわたり還流し、次に室温に冷却しそして溶媒を蒸発乾固した。残渣をCHClの中に溶解させた。有機層をHOで洗浄し、乾燥し(MgSO上)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣(10.6g)をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl/CHOH/NHOH;92/8/0.5)により精製して、3gのd−4(31%)を与えた。
【0121】
中間体d−7の製造
d−6(2.3g、0.0035モル)、HCl(20mlのイソプロパノール中5Nゾル)のイソプロパノール(20ml)中混合物を1時間にわたり60℃において撹拌した。溶媒を蒸発乾固した。残渣をEtOの中に溶解させた。沈殿を濾別しそして乾燥して、3gの標記化合物を定量的収率で与えた。化合物を精製なしにさらに使用した。
【0122】
中間体d−9の製造
d−7(2.08g、0.0035モル)、d−8(1.2g、0.0053モル)およびKCO(2.0g、0.0143モル)のアセトニトリル(100ml)中混合物を室温において2時間にわたり撹拌し、そして次に24時間にわたり還流した。溶媒を蒸発乾固した。残渣をCHClの中に溶解させた。有機層をHOで洗浄し、乾燥し(MgSO上)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣(2.3g)をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl/CHOH/NHOH;90/10/1)により精製して、0.61gのd−9(25%)を与えた。
【0123】
中間体d−10の製造
d−9(0.6g、0.0009モル)およびPd/C(0.2g、10%)のMeOH(15ml)中混合物を大気圧において30分間にわたり水素化し、そして次にセライト(Celite)上で濾過した。セライトをCHOHで洗浄し、そして濾液を蒸発させて、0.5gのd−10(96%)を与えた。化合物を精製なしにさらに使用した。
【0124】
最終化合物55の製造
d−10(0.5g、0.0008モル)、HCl(5mlのイソプロパノール中5Nゾル)のイソプロパノール(25ml)中混合物を60℃において6時間にわたり撹拌し、次に室温に冷却した。熱い沈殿を濾過し、イソプロパノールで、次にジエチルエーテルで洗浄し、そして乾燥した。この画分をHOの中に溶解させ、NHOHで塩基性とし、そしてCHCl/CHOHで抽出した。有機層をHOで洗浄し、乾燥し(MgSO上)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。CHCN/EtOHからの結晶化が0.29gの化合物55(70%、融点:212℃)を生じた。
実施例5
【0125】
【化19】

【0126】
中間体e−3の製造
e−1(0.0114モル)、e−2(0.0114モル)およびKCO(0.0399モル)のDMF(50ml)中混合物を70℃において2時間にわたり撹拌した。沈殿を濾過した。濾液を蒸発させた。残渣をCHCl/CHOHの中に加えた。有機層をHOで2回洗浄し、乾燥し(MgSO上)、濾過しそして溶媒を蒸発乾固した。残渣(5.1g)を2−プロパノンから結晶化させた。沈殿を濾別しそして乾燥した。母液層(3.1g)をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:CHCl/CHOH/NHOH;90/10/0.5;10μm)により精製した。2つの画分を集めそして溶媒を蒸発させた。収量:1.4gのe−4(36%)および1.2gのe−3(31%)。e−4の一部(0.2g)を2−プロパノンから再結晶化させた。沈殿を濾別しそして乾燥した。収量:0.132gのe−4(融点>250℃)。e−3の一部(0.1g)を2−プロパノンから再結晶化させた。沈殿を濾別しそして乾燥して、0.062gのe−3(融点:192℃)を生じた。
【0127】
中間体e−5の製造
LiAlH(0.007モル)を一部分ずつ5℃においてe−3(0.0035モル)のTHF(30ml)中混合物にN流の下で加えた。混合物を5℃において30分間にわたり撹拌し、次に室温において2時間にわたり撹拌し、HOの中に注ぎそしてセライト上で濾過した。セライトをCHCl/CHOHで洗浄した。濾液を蒸発させた。残渣(1.5g)を1N HClの中に加えた。混合物をCHClで洗浄し、3N NaOHで塩基性とした。沈殿を濾過し、HOで洗浄しそしてジエチルエーテルで乾燥した、収量:0.5gのe−5(48%)。
【0128】
中間体e−6の製造
MnO(4.5g)を一部分ずつ室温においてe−5(0.0015モル)のCHCOH(0.5ml)およびCHOH(20ml)中混合物に加えた。混合物を室温
において2時間にわたり撹拌し、そして次にセライト上で濾過した。セライトをCHCl/CHOHで洗浄した。濾液を蒸発させて、0.6gのe−6(CHCOH塩、100%)を生じた。この生成物を次の反応段階で直接使用した。
【0129】
最終化合物58の製造
CHCOH(4滴)および固体担体上のBHCN−(0.0013モル)をe−6(0.0007モル)およびe−7(0.001モル)のCHOH(12ml)中混合物に加えた。混合物を室温において48時間にわたり撹拌し、そして次に濾過した。固体担体をCHCl/CHOHで洗浄した。濾液を蒸発させた。残渣(0.35g)をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:CHCl/CHOH/NHOH;90/10/0.5;10μm)により精製した。純粋画分を集めそして溶媒を蒸発させた。残渣(0.067g)を2−プロパノンから結晶化させた。沈殿を濾別しそして乾燥して、0.054gの化合物58(17%、融点:195℃)を生じた。
実施例6
【0130】
【化20】

【0131】
中間体f−3の製造
f−1(0.022モル)、f−2(0.066モル)およびNEt(0.066モル)のCOH(50ml)中混合物を60℃において12時間にわたり撹拌し、次に蒸発乾固しそしてCHClの中に加えた。有機層をHOで洗浄し、乾燥し(MgSO上)、濾過しそして溶媒を蒸発乾固した。収量:7.4gのf−3(100%)。
【0132】
中間体f−4の製造
f−3(0.022モル)およびラネー・ニッケル(15g)のエタノール(110ml)中混合物を室温において1時間にわたり水素化し、そして次にセライト上で濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。収量:7gのf−4(100%)。粗製化合物を次の反応段階で直接使用した。
【0133】
中間体f−5の製造
f−4(0.022モル)およびBrCN(0.0242モル)のCOH(70ml)中混合物を12時間にわたり加熱還流し、次に蒸発乾固した。残渣をCHClの中に加えた。有機層を10%KCOで洗浄し、乾燥し(MgSO上)、濾過しそして溶媒を蒸発乾固した。残渣をCHCNから結晶化させた。沈殿を濾別しそして乾燥した、収量:2.4gのf−5(33%、融点:199℃)。
【0134】
中間体f−7の製造
f−5(0.0009モル)、f−6(0.0009モル)およびKCO(0.0031モル)のDMF(30ml)中混合物を65℃において12時間にわたり撹拌し、HO/CHClの中に注いだ。有機層を分離し、乾燥し(MgSO上)、濾過しそして溶媒を蒸発乾固した。残渣をCHCNから結晶化させた。沈殿を濾別しそして乾燥した、収量:0.19gのf−7(46%、融点:199℃)。
【0135】
中間体f−8の製造
LiAlH(0.0012モル)を5℃においてf−7(0.0002モル)のTHF(15ml)中混合物にN流の下で加えた。混合物を5℃において2時間にわたり撹拌し、次に室温において4時間にわたり撹拌し、そして最少量のHOの中に注いだ。CHClおよびCHOH(微量)を加えた。有機層を分離し、乾燥し(MgSO上)、濾過しそして溶媒を蒸発乾固した。残渣を2−プロパノン/CHCN/ジイソプロピルエーテルから結晶化させた。沈殿を濾別しそして乾燥した、収量:0.062gのf−8(75%、融点:199℃)。
【0136】
中間体f−9の製造
f−8(0.0036モル)およびMnO(3g)のCHCl(100ml)およびCHOH(2ml)中混合物を室温において12時間にわたり撹拌し、そして次にセライト上で濾過した。濾液を蒸発させた。残渣をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:CHCl/CHOH/NHOH 96/4/0.5;15−40μm)により精製した。純粋画分を集めそして溶媒を蒸発させた、収量:1.1gのf−9(74%)
【0137】
最終化合物58の製造
f−9(0.0003モル)、f−10(0.0004モル)および固体担体上のBHCN−(0.0005モル)のCHOH(20ml)およびCHCOH(0.15ml)中混合物を室温において12時間にわたり撹拌し、そして次に濾過した。濾液を蒸発乾固した。残渣をCHClの中に加えた。有機層を10%KCOで洗浄し、乾燥し(MgSO上)、濾過しそして溶媒を蒸発乾固した。残渣(0.26g)をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:CHCl/CHOH/NHOH
91/9/0.5;10μm)により精製した。純粋画分を集めそして溶媒を蒸発させた。残渣(0.16g、78%)をCHCN/ジイソプロピルエーテルから結晶化させた。沈殿を濾別しそして乾燥した、収量:0.127gの化合物59(62%、融点:158℃)。
実施例7
【0138】
【化21】

【0139】
中間体g−3の製造
g−1(0.003モル)、g−2(0.0033モル)およびKCO(0.006モル)のDMF(50ml)中混合物を60℃において6時間にわたり撹拌し、氷水の中に注ぎ、KCOで飽和させそしてCHClで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO上)、濾過しそして溶媒を蒸発乾固した。残渣(2.4g)をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:CHCl/CHOH/NHOH 93/7/0.5、20−45μm)により精製した。純粋画分を集めそして溶媒を蒸発させた、収量:0.63gのg−3(44%)。
【0140】
中間体g−4の製造
LiAlH(0.0079モル)のTHF(20ml)中懸濁液を5℃においてg−3(0.0013モル)のTHF(20ml)中混合物にN流の下で加えた。混合物を5℃において2時間にわたり撹拌し、次に室温において2時間にわたり撹拌しそして5℃に冷却した。氷を加えた。CHCl/CHOHを加えた。有機層を分離し、乾燥し(MgSO上)、濾過しそして溶媒を蒸発させて、0.176gのg−4(31%、融点:186℃)を生じた。
【0141】
中間体g−5の製造
g−4(0.0002モル)およびMnO(0.3g)のCHCl(10ml)中混合物を室温において1時間30分にわたり撹拌し、そして次にセライト上で濾過した。セライトをCHClで洗浄した。濾液を蒸発乾固して、0.126gのg−5を生じた。
【0142】
最終化合物60の製造
g−5(0.0003モル)、g−6(0.0003モル)、固体担体上のBHCN−(0.0004モル)およびCHCOH(5滴)のCHOH(7ml)中混合物を室温において24時間にわたり撹拌し、そして次に濾過した。濾液を蒸発乾固した。残渣をCHCl/CHOH/10%KCOの中に加えた。混合物をKCO(粉末)で飽和させそしてCHClで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO上)、濾過しそして溶媒を蒸発乾固した。残渣(0.17g)をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:CHCl/CHOH/NHOH 89/10/1)
により精製した。純粋画分を集めそして溶媒を蒸発させた。残渣を2−プロパノンの中に加えた。沈殿を濾別しそして乾燥して、0.047gの化合物60(28%、融点:90℃)を生じた。
【0143】
【表1】

【0144】
【表2】

【0145】
【表3】

【0146】
【表4】

【0147】
【表5】

【0148】
【表6】

【0149】
【表7】

【0150】
【表8】

【0151】
【表9】

【0152】
【表10】

【0153】
【表11】

【0154】
実施例8:RSVに対する活性に関する式(I)の化合物のインビトロ・スクリーニング
試験した化合物により得られるウイルスにより引き起こされる細胞病理学に対する防御百分率(抗ウイルス活性またはEC50)およびそれらの細胞毒性(CC50)は両方とも服用量−応答曲線から計算される。抗ウイルス効果の選択性は、CC50(細胞の50%に関する細胞毒性服用量)をEC50(細胞の50%に関する抗ウイルス活性)により割り算することにより計算される選択指数(SI)により表示される。以上の実験部分における表は製造された化合物の各々が属する種類を挙げており、活性種類「A」に属する化合物は7に相当するかまたはそれより大きいpEC50(モル単位で表示される場合のEC50の−log)を有する。活性種類「B」に属する化合物は6〜7の間のpEC50を有する。活性種類「C」に属する化合物は6に等しいかまたはそれより小さいpEC50を有する。
【0155】
試験化合物のEC50およびCC50の測定のために、自動化されたテトラゾリウムを基にした熱量計検定を使用した。平底の96−ウエル・プラスチック・マイクロタイター・トレイに、5%FCS(FLUに関して0%)および20mMヘペス緩衝液を補充した180μlのイーグルの基本培地を充填した。引き続き、化合物の貯蔵溶液(7.8×最終試験濃度)を45μlの量で一連の三組ウエルに加えてウイルス−および擬似−感染細胞に対するそれらの効果の同時評価を行った。5個の5倍希釈物をマイクロタイター・トレイの中でロボット・システムを用いて直接製造した。未処置のウイルス対照およびヒーラ細胞が各試験に含まれた。約100TCID50の呼吸シンシチウムウイルスを三列の中の二つに50μlの量で加えた。同量の培地を第三列に加えて化合物の細胞毒性を抗ウイルス活性を測定するために使用されたものと同じ濃度で測定した。2時間のインキュベ
ーション後に、ヒーラ細胞の懸濁液(4×10個の細胞/ml)を全てのウエルに50μlの量で加えた。培養物を37℃において5%CO雰囲気中でインキュベートした。感染から7日後に、細胞毒性および抗ウイルス活性を分光光度法で試験した。マイクロタイター・トレイの各ウエルに、25μlのMTT(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)の溶液を加えた。トレイを37℃において2時間にわたりさらにインキュベートし、その後に培地を各コップから除去した。100μlの2−プロパノールを加えることによりホルマザン結晶の溶解を行った。トレイをプレート・シェーカー上に10分間にわたり置いた後に、ホルマザン結晶の完全な溶解が得られた。最後に、8−チャンネルのコンピューター−調節光度計(マルチスキャン(Multiskan)MCC、フロウ・ラボラトリーズ(Flow Laboratories))の中で2つの波長(540および690nm)において吸光度を読み取った。690nmにおいて測定された吸光度を540nmにおいて測定された吸光度から自動的に引き算して、非−特異的吸収の効果を評価した。
【0156】
試験した化合物により得られるウイルスにより引き起こされる細胞病理学に対する防御百分率(抗ウイルス活性またはEC50)およびそれらの細胞毒性(CC50)が両方とも服用量−応答曲線から計算された。抗ウイルス効果の選択性は、CC50(細胞の50%に関する細胞毒性服用量)をEC50(細胞の50%に関する抗ウイルス活性)により割り算することにより計算される選択指数(SI)により表示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

[式中、
各Alkは独立してC1−6アルカンジイルであり、
Qは水素;1もしくは2個のAr基で置換されたC1−6アルキル;キノリニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、もしくはピロリジノニルで置換されたC1−6アルキル;−CO−Arであるか、またはQは式
【化2】

の基であり、
ここでtは1、2または3であり、
はアミノ、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノであり、
はAr、−CO−Arまたはピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、フラニル、テトラヒドロフラニル、チエニル、ピロリル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル、キノリニル、キノキサリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズチアゾリル、ピリドピリジル、ナフチリジニル、1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジニル、3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニルおよび2,3−ジヒドロ−1,4−ジオキシノ[2,3−b]ピリジルから選択される単環式もしくは二環式複素環であり、
ここで該単環式もしくは二環式複素環の各々は場合によりハロ、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、カルボキシル、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルオキシC1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノ、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキル、ポリハロC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニルアミノ、C1−6アルキルオキシカルボニルおよび−C(=O)−NR5a5bよりなる群から各々独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基で置換されていてもよく、
は独立してRと同じ意味を有しそしてさらに水素であることもでき、
ここでQが水素以外である場合には、Rは水素であり、或いはQが水素である場合には、Rは式:
【化3】

の基であり、
ここで
は水素、C1−6アルキル、Ar1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、(C1−6アルキルオキシ)C1−6アルキル、アミノC1−6アルキル、モノ−およびジ(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキル、カルボキシルC1−6アルキル、C1−6アルキルオキシカルボニルC1−6アルキル、アミノカルボニルC1−6アルキル、モノ−およびジ(C1−6アルキル)アミノカルボニルC1−6アルキルから選択され、
、R、Rは各々独立してハロ、シアノ、C1−6アルキル、Ar−C1−6アルキル、シアノC1−6アルキル、C2−6アルケニル、シアノC2−6アルケニル、C2−6アルキニル、シアノC2−6アルキニル、Ar、R10a−O−、R10a−S−、−N(R5a5b)、ポリハロC1−6アルキル、R10a−O−C(=O)−、N(R5a5b)−C(=O)−、R10a−O−C1−6アルキル、N(R5a5b)−C1−6アルキル、R10a−O−C(=O)−C1−6アルキル、N(R5a5b)−C(=O)−C1−6アルキル、R10a−C(=O)−NR5b−、R10b−C(=O)−O−、R10b−C(=O)−O−C1−6アルキルから選択され、そしてRおよび/またはRはまた水素であることもでき、
各R5aおよびR5bは互いに独立して水素またはC1−6アルキルであり、
10aは水素、C1−6アルキルまたはAr1−6アルキルであり、
10bはC1−6アルキルまたはAr1−6アルキルであり、
Arはフェニルまたはハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、ポリハロC1−6アルキルおよびC1−6アルキルオキシから独立して選択される1、2、3もしくは4個の置換基で置換されたフェニルであり、
Arはフェニルまたはハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシC1−6アルキル、ポリハロC1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、ヒドロキシC1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルオキシカルボニル、ArおよびArOから独立して選択される1、2、3もしくは4個の置換基で置換されたフェニルである]を有する化合物、その付加塩、またはその立体化学的異性体形態。
【請求項2】
Qが水素;1もしくは2個のAr基で置換されたC1−6アルキル;キノリニル、モルホリニルもしくはピロリジノイルで置換されたC1−6アルキル;−CO−Arであるか、またはQが式
【化4】

の基であり、
ここでtが2であり、Rがアミノ、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノである
請求項1で請求された化合物。
【請求項3】
Qが水素である請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Qが1もしくは2個のAr基で置換されたC1−6アルキル;キノリニル、モルホリニルもしくはピロリジノイルで置換されたC1−6アルキルであるか、
Qが−CO−Arであるか、または
Qが式(a)の基であり、ここでtが2であり、Rがアミノ、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノである
請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
およびRが独立してAr、−CO−Ar、モルホリニルまたはキノリニルである請求項1−4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
が水素である請求項1−5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
が式(b)の基であり、ここで
が水素、ヒドロキシC1−6アルキル、アミノC1−6アルキルおよびアミノカルボニルC1−6アルキルから選択され、
、R、Rが互いに独立してハロ、C1−6アルキル、シアノC1−6アルキル、R10a−O−、−N(R5a5b)、R10a−O−C1−6アルキル、N(R5a5b)−C1−6アルキル、R10a−O−C(=O)−C1−6アルキル、R10b−C(=O)−O−C1−6アルキルから選択され、そしてRおよび/またはRが水素であることもでき、
5aおよびR5bが水素であり、
10aが水素またはC1−6アルキルであり、
10bがC1−6アルキルである
請求項1−6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
が水素または式(b)の基であり、ここで
が水素であり、
、R、Rが互いに独立してC1−6アルキル、R10a−O−C1−6アルキルから選択され、そしてRおよび/またはRがまた水素であることもでき、
5aおよびR5bが水素であり、
10aが水素またはC1−6アルキルである
請求項1−6のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
が水素である請求項1−6のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
薬品としての使用のための請求項1−9のいずれかに定義された通りの化合物。
【請求項11】
製薬学的に許容可能な担体、および活性成分としての治療的に有効な量の請求項1−9のいずれかに記載の化合物を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項12】
(a)以下の反応スキーム:
【化5】

[このおよび以下の反応スキームにおいて、Q、Alk、R、R、R、Rは請求項1−8のいずれかに定義された意味を有しそしてWは脱離基を表わす]
に概略記述された通りにしてベンズイミダゾール(II)をアルキル化剤(III)でN−アルキル化し、
(b)以下の反応スキーム:
【化6】

に概略記述された通りにしてベンズイミダゾール(IV)をアルキル化もしくはアシル化剤(V)でN−アルキル化もしくは(QがAr−CO−である場合には)N−アシル化し、
(c)R11がC1−6アルキルである式(VI)の中間体を還元反応によりヒドロキシメチレン基を有する中間体(VII)に還元しそして後者の基を穏やかな酸化剤でアルデヒド基に酸化し(中間体VIII)、それをさらにアミンで式(1−a)の化合物に誘導化してもよいことにより、式(1−a)により表すことができる、Rが基(b)であり、ここで基Alkがメチレンである式(I)の化合物を製造し、
【化7】

(d)式(IX)の中間体を試薬R−Alk−WでN−アルキル化することにより、式(1−b)により表すことができる、Qが基(a)である式(I)の化合物を製造し、
【化8】

(e)当該技術で既知の官能基転換反応に従い式(I)の化合物を互いに転化する
ことを含んでなる、請求項1−9のいずれかに定義された通りの化学化合物の製造方法。

【公表番号】特表2008−533103(P2008−533103A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−501332(P2008−501332)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【国際出願番号】PCT/EP2006/060852
【国際公開番号】WO2006/097534
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(504347371)テイボテク・フアーマシユーチカルズ・リミテツド (94)
【Fターム(参考)】