説明

呼気中特定ガス濃度の測定装置

呼気中の特定のガスの濃度を測定するための装置が提供され、前記装置が:前記呼気中の前記特定のガスの濃度を表す測定値を与えるための光音響センサを含み、前記光音響センサが第1の周波数で変調される光源を含み;前記呼気の音速を測定するための音速測定モジュールを含み、前記音速測定モジュールが、前記第1の周波数と実質的に異なる周波数で、又はパルスモードで操作され;前記変調光源の前記第1の周波数が、前記呼気の前記測定される音速に応じて呼気の間に調節される、装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は呼気中の特定のガスの濃度を測定するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
呼気中の酸化窒素(NO)の濃度が種々の病理学的状態を示すものとして使用されていることが知られている。例えば、呼気酸化窒素(eNO)の濃度は気道炎症の非侵襲性マーカの1つである。気道の炎症は通常喘息を持つ人々に現れ、高濃度のeNOを監視(モニタ)することが喘息を同定するために使用される試験の1つである。さらに、eNOの測定は、吸引コルチコステロイド(ICS)の有効性の監視ため、及び抗炎症性喘息管理においてICS投与を滴定するため使用され得る。
【0003】
eNO測定の標準方法は、少なくとも5cmHOの加圧下で固定流速50ml/秒での単一の呼気試験を必要とする。前記呼気試験は、少なくとも10秒の所与の時間一定の呼気フローを必要とし、呼吸困難を持つ人々や子供にとって簡単に実施できるものではない。従って、従来の装置は、前記試験を通じて前記ユーザを成功に導くために可視及び音響的フィードバックシグナルを使用する。Aerocrine及びApieronから入手の市販システムは、子供年齢7〜18歳及び大人が、医者の医院で、訓練を受けたオペレータの指導の下で標準eNO測定のための米国食品医薬品局(USFDA)から承認を得ている。若い子供のための食品医薬品局(FDA)から承認されたシステムは現在存在しない。
【0004】
明らかなことは、若い子供及び非専門家が使用するために、より直感的な自然な呼吸手順(例えば換気呼吸)がより好ましいものであろう、ということである。
【0005】
欧州特許出願第09166814.5には、呼気中の流速とeNOを測定し、続いて気道内でのNOの生成と移動を記載するモデルを用いて前記測定データを分析することが開示されている。この方法で、フロー非依存性パラメータが呼吸パターンから導き出され、かつ必要ならば前記標準方法で用いられる50ml/秒での値を導き出せる。
【0006】
eNOをNOからNOへ(酸化窒素から二酸化窒素へ)の変換装置及びNOの光音響センサを用いた測定が開発されている。これはKalkman及びVan Kesterenの「Relaxation effects and high sensitivity photoacoustic detection of N0 with a blue laser diode」(Applied Physics B90(2008)p197−200)に記載されている。この装置は、NOからNO変換装置と組み合わせて、NOの検出限界を低いピーピービー(ppb)範囲とし、かつ換気呼吸で必要とされるNO濃度のリアルタイム測定を可能とするが、高品質ファクタを持つ音響共鳴装置がこの検出限界を達成するためには前記光音響センサの音部として必要とされる。
【0007】
しかし、換気呼吸の間に、呼気中のO及びCOの濃度は変化し、これは前記呼気の音速を変化させる結果となる。音響共鳴装置の共鳴周波数の前記関連するシフトは呼気中のNOの存在への応答に変更を導く。
【0008】
Arnottらによる論文、「Photoacoustic spectrometer for measuring light absorption by aerosol: instrument description」(Atmospheric Environment 33(1999)p2845−2852)には、光音響分光装置が記載され、これは前記光音響セルの共鳴周波数を決めるために使用され得る音響生成のための圧電ディスクを含む。この分光装置は、前記圧電ディスクで共鳴周波数を決定するモードで操作されるか、又は固定周波数で変調される光源と前記圧電ディスクは切られた光音響ガス検出モードのいずれかで操作され得る。ゆっくりと変化する成分及び温度を持つ環境空気についてはこの方法は十分作用する。しかし、既に記載した装置の場合は、この光音響分光装置は、O及びCOの濃度の変更による呼気中に生じる共鳴周波数のシフトに適合することができない。
【0009】
原理的に、光音響センサは前記音響共鳴装置の種々のモードで操作され、かつ非干渉モード波及び横モードが光音響検出及び共鳴トラッキングのための選択され得る。実際には、横モード同様に縦モードを含めることは大きな共鳴装置サイズと検出感度の大きな損失を伴う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願第09166814.5号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】”Relaxation effects and high sensitivity photoacoustic detection of N02 with a blue laser diode” by Kalkman and Van Kesteren in Applied Physics B90(2008)p197−200
【非特許文献2】”Photoacoustic spectrometer for measuring light absorption by aerosol:instrument description” by Arnott et al.in Atmospheric Environment 33(1999)p2845−2852
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、呼気中のNO及び他の特定の成分ガスを測定する際の問題を解消する改良された装置の要求が存在する。さらに有利なことは、呼気中のNO検出のためのセンサモードが、気道中でのNO生成および移動の正確な分析を可能とするために、ガス混合物のフロー及び分子量と組み合わせてNO濃度を提供する、ことである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
呼気中の特定のガスの濃度を測定するための装置が提供され、前記装置が:前記呼気中の前記特定のガスの濃度を表す測定値を与えるための光音響センサを含み、前記光音響センサが第1の周波数で変調される光源を含み;前記呼気の音速を測定するための音速測定モジュールを含み、前記音速測定モジュールが、前記第1の周波数と実質的に異なる周波数で、又はパルスモードで操作され;前記変調光源の前記第1の周波数が、前記呼気の前記測定される音速に応じて呼気の間に調節される、装置である。
【0014】
本発明の第2の側面は、呼気中の特定のガスの濃度を測定する方法であり、前記方法が:前記呼気の音速を測定し;前記呼気の音速に応じて呼気の間光音響センサ中で光源の変調周波数を調節し;及び前記呼気中の前記特定のガスの濃度を表す測定値を与えるために前記光音響センサを使用し;及び前記音速が、前記変調周波数と実質的に異なる周波数で測定されるか又はパルスモードで測定される、方法である。
【0015】
以下本発明の実施態様が、次に図面を参照しつつ例示の方法で、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の第1の実施態様による装置のブロックダイヤグラムを示す。
【図2】図2は、本発明の第2の実施態様による装置のブロックダイヤグラムを示す。
【図3】本発明の第3の実施態様による装置のブロックダイヤグラムを示す。
【図4】図4は、本発明による方法を示すフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明による呼気酸化窒素(NO)測定するための装置の第1の実施態様が図1に示される。装置2は、患者が呼気するためのチューブ又はマスク4、前記呼吸チューブ4に位置される音速測定モジュール6、湿度低減ユニット7、呼気中の少量の測定サンプル中の酸化窒素を似酸化窒素へ変換するための酸化窒素から二酸化窒素(NO)変換装置8、及び前記測定サンプル中の二酸化窒素の濃度を測定する光音響センサ10を含む。
【0018】
前記音速測定モジュール6は好ましくは超音波周波数範囲(即ち通常は、20KHzと200kHzの間)で操作され、前記呼気呼吸のフローの方向に沿って及び対抗する一対のトランスデューサ12、14の間の音パルスの遷移時間を測定する。前記フローは、遷移時間の違いから導かれ、ガス成分とは独立している(即ち、酸素及び二酸化炭素の濃度の変化には影響されない)。換気呼吸の際、音速測定モジュール6は、装置2が、前記患者の気道内のフロー依存性NO生成を考慮にいれることを可能とする。
【0019】
2つのトランスデューサ12、14の超音波パルス遷移時間の和は、呼気ガス混合物の音速を導くために使用され、かつこの情報は前記光音響センサ10の周波数を調節するために使用される。これは、換気呼吸の際のeNO検出の精度を大きく改善する。よく知られている呼気の温度と組み合わせて、呼気の分子量がまた、前記超音波パルス遷移時間の和から導かれ得る。高い精度のために、温度センサ21は呼吸チューブ4内に挿入され得る。呼気の際の分子量パターンの形状は、カプノグラムと類似しており、CO/Oガス交換及び呼吸気管内の障害物についての情報を与える。これらは欧州特許出願第07111132.2号に記載される気道中のフロー依存性NO生成の分析に考慮にいれることが可能となる。
【0020】
図示される実施態様で、一対のトランスデューサ12、14は、呼気気道が装置2を通る方向に垂直な平面に対して非ゼロ角で設けられる。言い換えると、トランスデューサ12、14は呼気のフローの方向を横切るように超音波パルスを放射する。
【0021】
トランスデューサ12、14のそれぞれはトランスミッタとしての作用同様、前記呼気フローの横切る両方の方向で短い超音波パルスの遷移時間の測定を可能とするレシーバとして作用することができる。
【0022】
前記チューブ4を通る呼気通路は側フロー16を持ち、前記湿度低減ユニット7及びNOからNOへの変換装置8を通る測定サンプルを与える。前記変換装置の材料及び成分に依存し、通常は80%から100%のNOがNOへ変換される。前記変換装置8の後、測定サンプル(NOを持つ)が光音響センサ10へ通され、ここでNO濃度が測定される。
【0023】
光音響センサ10は、縦面波モードで操作され、共鳴周波数frを持つ共鳴チューブ18及び、前記共鳴チューブ18内の測定サンプルへ、ウィンドウ19及びバッファ容積15を通るレーザーを生成するレーザ20を含む。マイクロホン22が、前記測定サンプルを通過する前記レーザビームにより生成される音の強度を記録する。前記レーザ20は、NOの吸収範囲の波長を持つレーザビームを生成し、前記レーザビームの強度は、前記共鳴チューブ18の共鳴周波数frに実質的に応じた周波数で変調される。周期的な、光学エネルギの吸収及びその後の熱エネルギの放出は、圧力変化を生じ、これがマイクロホン22で拾われる。前記レーザ変調で前記マイクロホンの同調検出は、NO濃度に比例するシグナルを与える結果となる。
【0024】
共鳴チューブ18の最適寸法及びそれによる共鳴周波数は、多くのファクタに依存し、例えば検出されるガスの緩和動力学、前記マクロホン22の具体的なノイズ挙動、干渉ノイズ源などである。通常、共鳴周波数frは、数百Hzから数kHzの範囲である。光音響センサ10がNO濃度を検出するために使用される場合には、共鳴周波数は例えば5kHzであり得る。
【0025】
好ましくは、音速測定モジュール6は、前記共鳴チューブ18の共鳴周波数とは実質的に異なる周波数で操作される(又は音速測定モジュール6はパルスモードで操作される)。
【0026】
背景技術で示されるように、光音響共鳴装置の具体的なバンド幅は、品質ファクタで記載され、前記品質ファクタは、前記共鳴周波数、frを前記バンド幅で割り算した値と等しい。通常は光音響共鳴装置の品質ファクタは5から50の範囲である。一つの実施態様で、音速測定モジュール6が操作される周波数は、前記音速測定モジュール6が光音響センサ10の共鳴周波数、frからバンド幅の5倍よりもずれている場合には、共鳴チューブ18の共鳴周波数とは実質的に異なる。
【0027】
これは、光音響センサ10が音速の測定を、測定サンプルを同時又は実質的に同じ時間に分析することを行うことを可能とする(即ち、両方の測定を対象体による通常の呼吸の間に実施され得る)。例えば、音速測定モジュール6で使用される周波数はkHzからMHzの範囲であり、これらの高周波数は、小さい距離の正確な遷移時間測定を可能とし、数kHz又は数百Hzである音響共鳴に干渉を与えない。
【0028】
音速測定モジュール6がパルスモードで操作される場合には、通常のパルスは2サイクルから100KHz波であり得る。同じくNO検出のために、かかる共鳴周波数は5kHzであり得る。
【0029】
前記バックグラウンド部で説明したように、共鳴チューブ18の品質ファクタは、好ましくは、低ピーピービー(ppb)範囲の濃度でNOを正確に検出することを可能とするために十分高いものである。しかし、高い品質ファクタは、装置2を、O及びCOなどの呼気の主成分の変動に2倍以上敏感となり、これらの成分は換気呼吸の間に変動するものである。
【0030】
従って、プロセッサ24が設けられ、これは音速測定モジュール6へ接続され、前記呼気フローの前記トランスデューサ12、14のそれぞれから他のトランスデューサへの超音波遷移時間の差及び前記遷移時間の和から導かれるパルス遷移時間、および呼気混合物についての音速とを受け取る。
前記呼気フローは前記呼気NO濃度と組み合わせて使用されて、前記起動中でのNO生成及び移動を記述する1以上のフロー非依存性パラメータを導く。
【0031】
前記プロセッサ24は、前記光音響センサ10内のレーザ20のための制御シグナルを導くために前記呼気の音速を用いる。前記制御シグナルは、前記光音響センサ10内のレーザ20の変調周波数を微調節するために使用される。好ましくは前記光音響センサ10内のレーザ20の変調周波数は呼吸サイクル間で連続的又は規則的に調節される。音速及び共鳴周波数での変化は、共鳴チューブ18が固定長であるので結合(カップル)される。従って、光音響センサの最適化性能のために、共鳴周波数及びレーザ変調周波数は、ガス成分の変化に合わせて調節されるべきである。
【0032】
理解されるべきことは、音速測定モジュール6の近くの呼吸チューブ4内の呼気及び光音響センサ10内の測定サンプル内の呼気の温度及び湿度は異なる、ということである。さらに、超音波周波数内で測定される音速は、光音響センサ10の共鳴周波数で関連する音速からわずかにずれることもあり得る。固定装置2では、即ち音速測定モジュール6と光音響センサ10との間の距離及びそれぞれの配置は固定であり、前記温度差は別々に決定でき(例えば較正試験により)、かつ補正定数がプロセッサ24内に前記の効果を補償するために設定され得る。他の方法では、温度センサ21及び23が呼吸チューブ及び光音響センサ10内にそれぞれに挿入される。音速の温度依存性が知られており、音速は温度差について正確に補償され得る。音速への湿度差の効果は温度差よりもずっと小さく、従って普通はこの効果を補償する必要はない。呼気の湿度は飽和に近く、湿度低減装ユニット7は湿度を知られる方法で低減し、湿度差が知られ、音速は必要ならばこの差が補償され得る。光音響センサ10及び音速測定モジュール6内で適用される音周波数の差による音速の違いは、超音波センサが100Khz未満の周波数で操作される場合には通常は無視できる程度である。
【0033】
さらに、側フロー16内の具体的な長さ及びフローに依存して、音速モジュール6測定と光音響センサ10測定間には小さな遅延時間があり得る。プロセッサ24はこの時間遅延を考慮するように構成され得る。
【0034】
図2に示される本発明の他の実施態様では、超音波遷移時間測定に基づく音速測定モジュール6と光音響センサ10は単一の装置に組み合わせることができる。具体的には、遷移時間センサ6は前記バッファチャンバ15に挿入され、これにより測定サンプルからの音速を正確に決定することを可能とする。この組み合わせは、前記損足測定モジュール6がkHzからMHz範囲の周波数で操作されることから可能であり、これらの高周波数は、小さい距離のわたる正確な遷移時間測定を可能とし、数kHzから数百Hzでの音響共鳴に干渉しない(即ち、前記実施態様のように、音速測定モジュール6は、前記共鳴チューブ18の周波数が設けられる周波数(又は音速測定モジュール6がパルスモードで操作される)とは実質的に異なる周波数範囲で操作される)。
【0035】
第3の実施態様が図3に示される。光音響セルは、透明材料、例えばガラスで作られており、共鳴チャンバ18を含み、共鳴周波数frで操作され、これは前記ウィンドウ19の位置周りに圧力節を持ち、かつ前記マイクロホン22の位置及び前記ウィンドウの間の中間で圧力腹を持つ。音速測定モジュールは2つのアンチフェーズ変調光源31と32(例えば2つのLED)及びマイクロフォンを生成された音シグナルを拾うために有する。前記音は共鳴チャンバ18の壁で前記光の部分的吸収及び共鳴チャンバ18内で前記ガスと熱結合することで生成される。音速測定モジュールは、1/2)frに近い周波数で前記光音響セルの特別の縦共鳴を利用する。このモードはfrでのモードに干渉しない。というのはこのモードは、前記アンチフェーズ変調光源31及び32により励起される腹相圧力腹によってのみ励起されるからである。前記セル長さにわたり実質的に一定のパワー分布を持つレーザビームはこのモードを励起しない。音速は、最大マイクロホンシグナルを生成する光源31、32の変調周波数から導かれる。プロセッサ24は、このシグナルに基づいて、共鳴周波数frを計算し、従ってレーザ変調周波数を調節する。LED光源31、32の波長は重要ではない。というのは一般的に光音響セル壁は広い吸収を持つ構成とされているからである。温度センサ23により決定されるガス混合物の温度と共に光源31、32の最適化変調周波数から導かれる音速から、光音響セル内のガスサンプルの分子量が得られる。この実施態様の具体的な実施では、NO検出の共鳴周波数は5kHzであり、この周波数は音速測定モジュール6が周波数2.5kHzで操作され、光音響センサ10の品質ファクタは20となる。
【0036】
装置2がNO以外の他のガスの濃度を測定するために使用される場合に本発明の実施は、前記特定のガスの吸収範囲内の波長を持つレーザビームを生成するように構成される。さらに、変換装置8は、測定されるべき呼気中の特定のガスに依存して変更されるか除去され得る。
【0037】
本発明による呼気中の酸化窒素の決定方法が図4に示される。ステップ101で、呼気サンプルが音速測定モジュール6を通過する。その後ステップ103で、測定手順の開始からの時間が決められる。
【0038】
その後ステップ105で、好ましくは前記フローセンサ6を用いて呼気の流速が測定される。
【0039】
ステップ107で、呼気の音速が決められる。
【0040】
ステップ109で、分子量が、呼気サンプルの遷移時間と温度から決められる。
【0041】
ステップ111で、呼気サンプルの測定サンプルが湿度低減ユニット7,NOからNO変換装置8を通り、得られるサンプルが光音響センサ10の共鳴チャンバ18を通過する(ステップ113)。
【0042】
ステップ105で、NOの吸収範囲内の波長を持つレーザビームが生成され、そのレーザビームの強度が実質的に光音響センサ10の共鳴周波数に応じた周波数で変調され、前記共鳴周波数が呼吸サンプルの音速から、側フローライン16で音速及びガス遷移時間への補正ファクタを考慮して決められる。
【0043】
ステップ117で、呼気中のNO濃度が、前記NOの濃度単位ごとのマイクロホン出力及びNOからNOへの変換装置8の変換率についての前記装置の定数を用いて前記測定された音から決められる。
【0044】
最後に、ステップ109で、出力データセットが、NO濃度と対応するフロー、分子量及び測定開始時間を組み合わせて生成される。
【0045】
前記方法はその後ステップ101へ戻り、決まった時間枠でデータ生成を繰り返す。理解されるべきことは、前記方法は換気呼吸する間に用いられており、従って連続的に繰り返すことができる、ということである。
【0046】
本発明により生成される1回又は多数回の呼気についての出力データセットは、分析モジュールへの入力を形成し、これは気道内のNO生成及び移動を記述する1以上のパラメータを抽出する。すなわちこれらは、気道炎症の測定、又は気道障害物についての情報との組み合わせて、又は組み合わせることなく提供する。
【0047】
従って、呼気中の特定のガス、特に酸化窒素の濃度を測定するための改良された装置を提供する。
【0048】
本発明はこれまで、図面及び前見記載に基づき詳細に説明された。しかしかかる記載及び図面は説明を目的とするものであり、なんらを限定することを目的とするものではない。本発明は開示された実施態様に限定されるものではない。
【0049】
開示された実施態様の種々の変更等が、これらの図面と開示及び特許請求の範囲に基づいて、当業者であれば実施する上で有効であることが理解されるであろう。特許請求の範囲において、「含む」は他の要素又はステップを排除することを意味するものではなく、「ひとつ」は複数を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットは、特許請求の範囲に列記されるいくつかの要素の機能を完全に奏することができる。いくつかの手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利なものではない、ということを意味するものではない。コンピュータプログラムは、適切な媒体上に記憶/分配され得る。例えば光学記憶媒体又は半導体記憶媒体であって、他のハードウェアとともに又はその一部として提供されるものを含み、またインターネットやその他の有線や無線通信システムを介して他の形で分配されるものを含む。すべての参照符号は、特許請求の範囲を限定するように解釈されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼気中の特定のガスの濃度を測定するための装置であり、前記装置が:
前記呼気中の前記特定のガスの濃度を表す測定値を与えるための光音響センサを含み、
前記光音響センサが第1の周波数で変調される光源を含み;
前記呼気の音速を測定するための音速測定モジュールを含み、
前記音速測定モジュールが、前記第1の周波数と実質的に異なる周波数で、又はパルスモードで操作され;
前記変調光源の前記第1の周波数が、前記呼気の前記測定される音速に応じて呼気の間に調節される、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であり、前記光音響センサが平面波モードで操作される共鳴チャンバを含み、かつ前記変調される光源の前記第1の周波数が、前記呼気の測定された音速と前記共鳴チャンバの音響モードに応じて調節される、装置。
【請求項3】
請求項1又は2のいずれか1項に記載の装置であり、前記音速測定モジュールが、一対のトランスデューサを含み、それぞれのトランスデューサが、超音波パルスを前記呼気を通じて前記他のトランスデューサへ伝達させるように構成される、装置。
【請求項4】
請求項1又は2のいずれか1項に記載の装置であり、前記音速測定モジュールが、アンチフェーズ変調される2つの光源を含む、装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置であり、前記音速測定モジュールが、前記第1の周波数の約半分の周波数で操作される、装置。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装置であり、前記音速測定モジュールが:
一対のトランスデューサを含み、前記呼気が通過する通路の対応する側に設けられ、それぞれのトランスデューサが、
前記呼気を通って超音波パルスを前記他方のトランスデューサへ伝達させ、
前記超音波パルスの遷移時間を示すシグナルを与えるように構成され、
前記一対のトランスデューサが、それぞれのトランスデューサが、前記呼気が流れる方向と垂直である平面に関して非ゼロ角でそれぞれの超音波パルスを伝達するように構成され;かつ
前記遷移時間の和から前記呼気中の音速を決め、かつ前記呼気を通じる前記超音波パルスの前記遷移時間の差から前記呼気フローを決めるためのプロセッサを含み;
前記装置が、特定のガス及び呼気フローの測定値を与えるように構成される、装置。
【請求項7】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装置であり、前記音速測定モジュールが:
一対のトランスデューサを含み、前記トランスデューサが前記呼気が通ル通路の対応する側に設けられ、それぞれのトランスデューサが、前記呼気を通って超音波パルスを他のトランスデューサに伝達し、かつ前記超音波パルスの遷移時間を示すシグナルを与えるように構成され;
前記トランスデューサに近い前記ガスの温度を決めるための温度センサを含み;及び
前記呼気中の音速を、前記超音波パルスの遷移時間から決め、及び前記遷移時間と温度から分子量を決めるためのプロセッサを含み;及び
前記装置が、特定のガス及びその分子量の測定値を与えるように構成される、装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の装置であり、前記特定のガスが酸化窒素である、装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置であり、前記装置がさらに、呼気中の酸化窒素を似酸化窒素へ変換し測定サンプルを与えるための変換装置を含み、かつ前記光音響センサが、前記呼気中の酸化窒素の濃度に応じて測定される前記測定サンプル中の二酸化窒素を測定する、装置。
【請求項10】
請求項8又は9のいずれか1項に記載される装置であり、さらに、前記呼気酸化窒素に基づく気道中の酸化窒素の生成と1以上の呼気の間のフローパターンを記述する1以上のパラメータを決めるための処理ユニットを含む、装置。
【請求項11】
請求項8又は9のいずれか1項に記載の装置であり、前記装置はさらに、前記呼気酸化窒素に基づく酸化窒素生成と1以上の呼気呼吸の間のフロー及び分子量のパターンを記述する1以上のパラメータを決めるための処理ユニットを含む、装置。
【請求項12】
呼気中の特定のガスの濃度を測定する方法であり、前記方法が:
前記呼気の音速を測定し;
前記呼気の音速に応じて呼気の間光音響センサ中で光源の変調周波数を調節し;及び
前記呼気中の前記特定のガスの濃度を表す測定値を与えるために前記光音響センサを使用し;及び
前記音速が、前記変調周波数と実質的に異なる周波数で測定されるか、又はパルスモードで測定される、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であり、前記光音響センサが前記呼気中の特定のガスの濃度を表す測定値を:
前記光音響センサの共鳴チャンバ内に含まれる前記呼気の測定サンプルをレーザビームを通過させ、
前記レーザビームが前記特定のガスの吸収範囲の波長を持ち:
前記呼気の測定サンプルを通る前記レーザビームから生成される音を測定し、前記呼気中の特定のガスを表す測定値を与える、ことにより与える方法。
【請求項14】
請求項12又は13のいずれか1項に記載の方法であり、前記特定のガスが酸化窒素であり、前記方法がさらに:
前記呼気のサンプルを酸化窒素から二酸化窒素への変換装置に通じて測定サンプルを生成するステップを含み;
前記光音響センサが前記測定サンプル内の二酸化窒素の濃度を測定して前記呼気中の酸化窒素の濃度を表す測定値を与える、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−510293(P2013−510293A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−536004(P2012−536004)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【国際出願番号】PCT/IB2010/054912
【国際公開番号】WO2011/055286
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】