和−差方位識別技法を用いる小開口呼び掛け機アンテナシステム
アンテナシステムであって、ホーンアンテナに対応する第1のアンテナ26、42と、
ホーンアンテナに対応する第2のアンテナ28、44であって、該第2のアンテナのE面が第1のアンテナのE面と同一平面になると共に、第1のアンテナの開口及び第2のアンテナの開口が実質的に共通面内にあるように配置される、第2のアンテナと、ホーンアンテナに対応する第3のアンテナ30、46であって、該第3のアンテナのE面が第1のアンテナのE面と実質的に同一平面になると共に、該第3のアンテナの開口が第1のアンテナの開口及び第2のアンテナの開口と実質的に同じ面内にあるように配置される、第3のアンテナとを備え、第2のアンテナ及び第3のアンテナは互いに向かって傾斜している、アンテナシステム。
ホーンアンテナに対応する第2のアンテナ28、44であって、該第2のアンテナのE面が第1のアンテナのE面と同一平面になると共に、第1のアンテナの開口及び第2のアンテナの開口が実質的に共通面内にあるように配置される、第2のアンテナと、ホーンアンテナに対応する第3のアンテナ30、46であって、該第3のアンテナのE面が第1のアンテナのE面と実質的に同一平面になると共に、該第3のアンテナの開口が第1のアンテナの開口及び第2のアンテナの開口と実質的に同じ面内にあるように配置される、第3のアンテナとを備え、第2のアンテナ及び第3のアンテナは互いに向かって傾斜している、アンテナシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線周波数(RF)アンテナに関し、より詳細には、ミリメートル波(mmW)周波数範囲において動作可能なアレイアンテナシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
当該技術分野において既知であるように、戦闘識別(又はCID)は、戦闘空間でターゲットにされると共に検出される目標物の正確な特徴付けを達成するプロセスである。状況に依拠して、そのような特徴付けは、「味方」、「敵」、又は「中立」のような識別子を用いた目標物の識別に限定される場合がある。他の状況では、クラス、タイプ、国籍を含むがそれらに限定されない他の特徴付けが必要とされる場合があり、適切な識別子と共にミッション構成が使用される場合がある。
【0003】
これもまた既知であるように、そのような識別プロセスは、ミリメートル波(mmW)周波数において戦闘識別システムを介して実行される場合がある。そのような戦闘識別システムは、通常、アンテナ素子のアレイから成る指向性アンテナを備える呼び掛け機アンテナシステムを使用する。そのような呼び掛け機アンテナシステムは、比較的大型で重く、このため兵士が担ぐことができる兵器のような比較的軽量の兵器に使用するのには一般的に適していない。結果として、これらの戦闘識別システムは通常、このかなり大型で重い機器を支持することができる戦車及び他の大型車両兵器プラットフォーム上に配備される。
【0004】
戦闘識別技術をより軽い兵器(たとえば戦車及び電動車両よりも軽い)に拡張する試みは、大型の呼び掛け機アンテナアレイのサイズ及び重量を低減することを中心としてきた。呼び掛け機アンテナのサイズ及び重量を低減するための1つの一般的な手法は、指向性アンテナアレイを形成するアンテナ素子の数を低減することであった。この手法の1つの問題は、アレイ内のアンテナ素子の数を低減することによって、アレイアンテナの電気開口寸法のサイズがそれに応じて低減することである。これによって今度は、方位識別角度が大きくなり、これは特定の目標物ターゲッティングに役立たない。
【0005】
呼び掛け機システムに対するサイズ及び重量の制限は、空挺用途においてさらにより深刻になる。さらに、空挺用途の場合、搭載配置、航空機の重量及びバランスのようなさらなる実装制約、並びに他の関連する空気力学的問題が注意を要する。望ましくないペイロードを過剰に生じさせないように、サイズ及び重量は全て小さく保たれなくてはならない。いくつかの応用形態では、空挺呼び掛け機システムは、空間の提供が限られた所与の寸法の外部航空機補助タンク(pod)内に収まらなくてはならない。また、空挺呼び掛け機システムの動作範囲は、地上の戦闘IDシステムによって達成される動作範囲と釣り合いが取れていることも期待される。地上用途で使用される1つの従来のアンテナアレイは、およそ、7インチ×4 1/2インチ、すなわち31 1/2平方インチ(in2)の前面面積を有する、マルチ素子連続横断スタブアレイである。空挺用途の場合、地上用途において使用されるよりも大幅に小さな前面開口が使用される場合がある。したがって、戦闘識別を多様な用途に拡張するために、既存の最新技術による実装のサイズ及び重量を低減することが必要とされている。軽量の兵器及び空挺の用途の場合、小さな開口で、指向性で、軽量で、かつ物理サイズの小さい戦闘IDシステムが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
本明細書において説明される概念によれば、呼び掛け機アンテナシステムは、1つの錐体ホーンアンテナ及び2つの傾斜したセクターホーンアンテナのアセンブリを備える。この特定の構成を用いて、戦闘識別用途に適した比較的小型で指向性の高いアンテナアレイが提供される。錐体ホーンアンテナ及びセクターホーンアンテナは、和−差アンテナアーキテクチャで配置される。和パターンは最適な錐体ホーンアンテナを用いて確立され、一方、差パターンは2つの傾斜したセクターホーンアセンブリを用いて確立される。このため、和パターン及び差パターンは、3つのホーンアンテナのみを用いて達成される。これによって、従来の呼び掛け機アンテナシステムと比較して大幅に低減されたサイズ及び重量を有する呼び掛け機アンテナシステムとなる。このサイズ及び重量が低減された呼び掛け機アンテナは、37ギガヘルツ(GHz)付近のKa周波数帯内のミリメートル波(mmW)周波数でも動作する。さらに、この3ホーン呼び掛け機アンテナシステムの要求される方位識別角度及び使用可能な範囲性能は、和差アンテナアーキテクチャにおいて最適なセクターホーンアンテナを使用することによって維持される。ホーンアンテナ(ホーン放射体としても知られる)のこの組み合わせは、特定の和方位放射特性及び差方位放射特性を達成するために特定の形で設置される。これによって、ボアサイト角領域においてのみ和応答が差応答よりも大きくなる。差パターンを様々な他の方位角において和パターンに侵入させるグレーティングローブは、ボアサイト以外で差パターンが常に和パターンよりも大きくなるように抑制される。1つの実施の形態では、錐体ホーンアンテナが最適な錐体ホーンアンテナとして設けられ得る。
【0007】
アレイ構成において線形アンテナ素子ではなくホーンアンテナを使用することによって、結果としてのアンテナパターン内にいくつかの(望ましくなく所望されていない)グレーティングローブが生じるが、これは線形アンテナ素子アレイの使用によって生じるであろうグレーティングローブの数と比較して、低減される。差パターン生成のために使用されるセクターホーンを傾斜させることによって、差パターン内に形成されるグレーティングローブはさらに抑制される。このため、本明細書において説明される手法によって、呼び掛け機アンテナシステムが、従来のmmW呼び掛け機アンテナにおいて用いられている全指向性ガードアンテナのような全指向性ガードアンテナを備える必要がなくなる。
【0008】
本明細書において説明される手法によって、従来の線形素子アレイ呼び掛け機に一般的であるグレーティングローブによる侵害が解消する。本明細書において説明される手法は、侵害なしで和放射パターン及び差放射パターンを形成することに加えて、従来の線形素子アレイ呼び掛け機が3つの(すなわち、和、差、及び全方向)パターンを使用しなくてはならないところを2つの放射パターンで所望のボアサイト応答を解決する。3ホーン呼び掛け機アンテナシステムがグレーティングローブを大きく抑制するため、全方向パターンの必要性がなくなる。
【0009】
本明細書において説明される3ホーン呼び掛け機アンテナシステムは、従来技術の呼び掛け機アンテナシステムのサイズ及び重量と比較して低減されたサイズ及び重量を有し、一方で同時に、同様の方位識別及び射程能力を有して提供される。このため、本明細書において説明されるアンテナアレイは、要員操作型(crew-served)軽量車両及び潜在的には降車歩兵に、味方又は見知らぬ者(unknown)の識別手段を提供する。
【0010】
従来のアレイIDアンテナシステムは、高い指向性及び利得を有する。しかしながら、これらのタイプのIDアンテナシステムによって要求される必要なビーム形成回路によって、該アンテナシステムは非効率になる。これは、そのようなアレイのいくつかの線形放射素子に必要な時相差によって発生する信号損失に起因する。
【0011】
一方、本明細書において説明される3ホーン呼び掛け機アレイは、従来のアレイよりも小さい物理的及び電気的開口を有するが、このより小さな開口の効率性によって、この3ホーン呼び掛け機アレイは、より大型で重い従来のIDアンテナシステムと同等に機能する。このため、本明細書において説明される3ホーン呼び掛け機アレイの電機性能特性は、従来のIDアンテナシステムの電機性能特性に実質的に等しく、一方で同時に、従来のIDアンテナシステムよりも小さいサイズ及び重量を有する。
【0012】
アレイ物理学は、いわゆる「グレーティングローブ」を抑制するために、アンテナ素子離間が或る寸法で保たれることを指示する。これらのローブは、アンテナの放射パターンにおいて現れる。3ホーン呼び掛け機アンテナは複数の個々の放射素子ではなく3つのアンテナ素子のみから成るため、そのようなグレーティングローブは大幅に低減される。
【0013】
2つのセクターホーンアンテナは、差パターンを生成するのに使用される。これらのホーンを互いに向かって内側に傾斜させることによって、結果としての差パターンにおけるグレーティングローブの発生が大幅に抑制され、実際的に除去される。このため、グレーティングローブ抑制は、この3ホーン呼び掛け機アンテナシステムによってもたらされる主な特徴である。
【0014】
セクター差ホーンを、ボアサイト角以外の任意の角度で互いに向かって傾斜させることによって、各セクターホーンから広がった放射は等しくなくなる。これらの2つのホーンからの位相差が180度(位相の完全不一致)であったとしても、結果としての電磁線の振幅が等しくならないため、不完全なキャンセレーションとなる。一方の電磁線が他方から差し引かれるが、残存する放射量が依然として存在する。完全なキャンセレーションは発生し得ないため、グレーティングローブは生じ得ない。換言すれば、セクターホーンを傾斜させることは単純に完全な角電磁線キャンセレーションを防ぎ、これによってグレーティングローブが生じなくなる。深いヌル及び結果としてのグレーティングローブを形成するのは(特定の方位角における)電磁線キャンセレーションである。この現象は線形アレイアンテナシステムに特有である。
【0015】
さらに、従来技術の呼び掛け機アレイシステムに必要とされる製造技法と比較して、ホーンタイプアンテナの製造の容易さは、コスト節約をもたらし、戦闘識別をより多くのユーザーに利用可能にする。3ホーン呼び掛け機アンテナシステムの製造の容易さによってもたらされるスケールの経済性によって、要員操作型部隊及び降車部隊が戦闘識別手段を装備することが可能になる。これらのユーザーに戦闘識別を提供するコストは、現在使用されている、大型車両プラットフォーム(たとえば戦車)にしか付与することができない機器(大型アレイ)よりも大幅に少ない。
【0016】
戦場ターゲット識別装置(BTID)の概念は、味方識別のために「尋ねる」ために、潜在的なターゲットに「向ける」ことができる狭ビーム呼び掛けを提供することを含む。ターゲットがBTIDを装備している場合、該ターゲットは(たとえば全指向性アンテナを使用して)返答信号で応答する。理想的には、呼び掛け機のビーム幅は、特にターゲットにされていないが、所望のターゲットに方位的に非常に近接した目標物を回避するのに十分小さい。そのようなターゲットにされていない目標物が味方である場合、それらの目標物からの応答は発生しないはずである。所定のアレイ幾何学的形状で配置されたアンテナ素子のセットからの和パターン及び差パターンの双方を利用する指向性アンテナシステムを使用することによって、狭く方向付けられたビームが達成される。狭ビームのビーム幅は数度しかなく、和パターン及び差パターンを多様な時間に放射することによって確立される。1つの例示的な実施の形態では、1度〜5度の範囲のビーム幅を有し、1度〜3度の範囲のビーム幅が好ましいシステムが提供される。他のビーム幅も当然使用することができる。一般的に、ビーム幅はシステムが使用されている特定の用途を含むがそれに限定されないさまざまな要因に従って選択される。一般的に、可能なかぎり狭いビームを有することが望ましい。ただし、ビームはターゲットに向けるのが困難になるほど狭くしないものとする。
【0017】
したがって、呼び掛け機方位識別は、意図しないトランスポンダーが応答するのを避けるのに十分狭くなくてはならない。さらに、方位識別ビーム幅は、ターゲットにされている所望のトランスポンダー(車両)を十分に照射(すなわち「カバー」)できないほど小さくしてはならない。この目標を容易にするため、呼び掛け機の視野(FOV)外で受信されるトランスポンダー返答間の呼び掛け機サイドローブ抑制(ISLS)を使用することができる。アンテナアレイが和パターンを放射するように構成されるとき、基本指向性は、放射される和パターンによって確立される。アンテナアレイが差パターンを放射するように構成されるとき、アレイのボアサイト照準方向において放射ヌルが存在するのが観測される。このようにして、差パターンはISLSビームの尖鋭化を提供する。ボアサイトからの方位変位のためのISLSを提供するために、全指向性アンテナの一定のエンベロープパターンの使用が用いられる。
【0018】
本発明の上記の特徴及び本発明自体は、図面の以下の説明からさらに十分に理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】呼び掛け機システムの組立分解等角図である。
【図2】アレイアンテナの等角図である。
【図2A】アレイアンテナの等角図である。
【図2B】アレイアンテナの等角図である。
【図2C】従来技術のアレイアンテナの等角図である。
【図3】3ホーンアンテナレイの典型の等角図である。
【図3A】図3のセクターホーンアンテナの上面図である。
【図4】3ホーンアンテナレイの典型の等角図である。
【図5】セクターホーンアンテナ素子の側面図である(Eフィールド(E field:電界)は垂直方向に、すなわちページの下方向に位置する)。
【図6】同じセクターホーンアンテナ素子の上面図である(ここでもまたEフィールドは垂直方向にページの下方向に位置する)。
【図7】開口対軸方向ホーン長のプロットである。
【図8】ビーム幅対軸方向ホーン長のプロットである。
【図9】Eフィールド面フレア角度対軸方向ホーン長のプロットである。
【図10】Hフィールド(H field:磁界)面フレア角度対軸方向ホーン長のプロットである。
【図11】10λの最適な錐体ホーンアンテナ及びセクターホーンアンテナ構造からの方位和パターン及び方位差パターンの一連のプロットのうちの1つである。
【図11A】10λの最適な錐体ホーンアンテナ及びセクターホーンアンテナ構造からの方位和パターン及び方位差パターンの一連のプロットのうちの1つである。
【図11B】10λの最適な錐体ホーンアンテナ及びセクターホーンアンテナ構造からの方位和パターン及び方位差パターンの一連のプロットのうちの1つである。
【図11C】10λの最適な錐体ホーンアンテナ及びセクターホーンアンテナ構造からの方位和パターン及び方位差パターンの一連のプロットのうちの1つである。
【図12】アンテナの3次元遠距離場放射パターンである。
【図12A】アンテナの3次元遠距離場放射パターンである。
【図13】アンテナの3次元遠距離場放射パターンである。
【図13A】アンテナの3次元遠距離場放射パターンである。
【図14】和アンテナパターン、差アンテナパターン、及び全指向性アンテナパターンが時間領域多重化されて返答に関する判断基準をいかに確立するかを示すアンテナ放射パターンプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ここで図1を参照すると、軽量車両要員操作型戦闘ID(CSCID)10は、小型制御インターフェース電子モジュール(MCM)14が結合されたシャーシ12を備える。MCM14は、送受信機16、アンテナマッチング回路網21、22、ホーンアンテナアセンブリ20、及び偏波器/カバー24に、送信機出力をマッチング回路網21、22の和ポートに方向付けることによって和パターンを送信するか、又は送信機出力をマッチング回路網21、22の差ポートに方向付けることによって差パターンを送信するように命令する。1つの特定の実施形態では、送信機16の出力は、送受信機と和ホーンとの間の直接接続を介してマッチング回路網和ポートに結合される。和パターン及び差パターンは、MCM14によって制御される、それぞれのための特定の時間期間を有して配列される。
【0021】
送受信機16はMCM14に結合され、ホーンアンテナアセンブリ20はMCM14に信号を送信/MCM14から信号を送信するように結合され、アンテナマッチング回路網21、22はホーンアンテナアセンブリ20に結合される。図1に示す例示的な実施形態では、アンテナマッチング回路網21、22は、ホーンアンテナアセンブリ20にRFエネルギーを提供するように結合される。
【0022】
前面カバー及び偏波器24は、ホーンアンテナアセンブリ20の放射開口20a上に配置される。本明細書において図2と合わせて下記で提供される説明から明らかとなるように、開口20aは、3つの別個の開口26a(図2A)、28a(図2A)、30a(図2A)を含むことを理解されたい。
【0023】
下記でさらに詳細に説明されるように、ホーンアンテナアセンブリ20は、3つのホーンアンテナ構造を備える。通常、2つのホーンアンテナが並んで設置され、180度位相をずらして給電されるとき、結果として差パターンとなり、非常に深いヌルがボアサイト位置に(方位及び仰角面の双方において)観測される。錐体ホーンの場合、それらの最も短い開口寸法は複数波長の長さである。そのようなアンテナを、ボアサイトにおける深いヌルに加えて差パターンを確立するように互いに近接して設置するとき、規則的に離間した角度間隔において、他の深いヌルが生じる。この現象はグレーティングとして既知である。いくつかの用途の場合(上述した呼び掛けアンテナ用途を含む)、そのような「グレーティングローブ」は歓迎されない。同様に、密接して離間され同位相で給電された2つのホーンアンテナ構造も「グレーティングローブ」を呈する。しかしながら、それらの深さは、差パターンと比較してそれほど顕著とならない。和パターンに関するグレーティングローブの生成を最小にするために、単一のホーンを使用することができる。
【0024】
1つの実施形態では、ボアサイト位置からホーン構造の側面への主要な視野(FOV)に関して、ボアサイトの±90度領域においてわずかなグレーティングしか観測されない。
【0025】
差パターンに関して、錐体ホーンではなくセクターホーンを使用することによって、「グレーティングローブ」は実質的に低減する(又はいくつかのケースでは最小にさえする)ことができる。このため、好ましい実施形態では、差パターンは、2つの横並びのセクターホーンアンテナを使用することによって達成される。また、これらのホーンは、0度のボアサイト角以外の任意の特定の方位角において等しくない放射振幅が生じるように、互いに向かって傾斜している。
【0026】
ここで図2〜図2Bを参照すると、ここで同様の要素は同様の参照符号を有して提供され、ホーンアンテナアセンブリ20(図1にも示される)は、開口26aを有する最適な錐体ホーン26、及びそれぞれ開口28a、30aを有する1対の傾斜したセクターホーン28、30を備える。この例示的な実施形態では、ホーンアンテナアセンブリ20は、(たとえば射出成形技法又は他の技法を介して)プラスチックから設けられ、これは導電面を設けるようにめっきされる。ホーンアンテナは当然、当業者に既知の任意の製作技法を用いて製作することができる。
【0027】
1つの実施形態では、約37GHzにおける動作の場合、ホーンアセンブリ20は3.8インチの長さL、2.5インチの幅W、及び4.0インチの高さHを有し、このため、38立方インチ(cu in)の体積を有する。
【0028】
ここで図2Cを参照すると、約37GHzにおける動作のための、導電性金属から製作された従来技術の呼び掛け機アンテナ32は、233.8立方インチ(cu in)の体積を有する。このため、呼び掛け機アンテナ20(図2A)及び呼び掛け機アンテナ32(図2B)を比較することによって見て取ることができるように、呼び掛け機アンテナ20が占める体積はより小さい。また、アンテナ20をプラスチックから製造し、該プラスチックをめっきするか、又は他の方法で、電磁波を反射する特性を有するようにすることによって、アンテナ20はアンテナ32よりも軽くなる。
【0029】
ここで図3及び図3Aを参照すると、ホーンアンテナアセンブリ40は、一対の傾斜したセクターホーン44、46の上に配置される。図3Aに示すように、ホーン44、46のそれぞれは、中心縦軸44a、46aを有する。ホーン44、46は、各ホーン44、46の中心縦軸44a、46aが、通常約10度の範囲内にある角度αで交差するように配置される。理想的には、ホーン44、46は、各ホーン44、46の中心縦軸が、2つのホーン44、46間に延びる中心線48に対して通常約5度の範囲内の角度にあるように配置される。角度αは、和パターンと差パターンとの間の侵害がこれ以上発生せず、かつさらなる3dBのマージンによって保護されるように、グレーティングローブを最小にするように選択される。角度αは、傾斜したセクター差ホーンアンテナの最大利得を保持するために必要な最小値でなくてはならない。
【0030】
空挺補助タンク用途の場合、小さな前面開口サイズは、指向性が高い単一素子和アンテナと、2セクターの傾斜した差ホーンとを用いて達成される。ホーンアンテナは、空挺戦闘ID用途に有望である。これは、線形偏波放射パターン又は円形偏波放射パターンのいずれも実装することができるためである。地形に応じて、呼び掛け信号の地表反射効果(effects ground reflections)及び望ましくない多経路散乱を最小にするように、別の偏波(線形又は円形)と対比的な1つの偏波の使用を選択することができる。
【0031】
1つの実施形態では、アンテナ42は最適な利得錐体ホーンとして提供される。他のホーン構成を使用することができるが、最適な利得構成は、最小サイズの実装で最大の利得を確実にする。このアンテナは和パターンを提供する。2つの逆位相で給電された垂直セクターホーン44、46は、良好な差ビームパターン性能を提供する。セクターホーンのサイズは、和ホーンのサイズと釣り合いが取れるように選択される。37GHzにおける戦闘ID Ka周波数帯の場合、そのような構成の前面面積は、5 3/4平方インチよりも小さくなる。そのような構成は、ボアサイト領域内で十分な和パターン利得を提供する。数度の和差交差領域を超えて、ボアサイトから約±30度に至るまで、差パターン利得が優勢である。ボアサイトの±30度から±180度までは、差パターンが優位であり続ける。しかしながら、これらの方位角における和信号レベル及び差信号レベルの検出が不明瞭になることを防ぐために、全指向性ガードアンテナを使用することによって、低い確率の返答を提供するのにさらに役立つことができる。いくつかの実施形態では、グレーティング現象を除去するおかげで、全指向性ガードアンテナ技法を用いる必要がない。
【0032】
ホーン42のポート42aは、送受信機(図示せず)のいわゆる和(Σ)ポートに結合される。差ホーン44、46のポート44a、46aは、ハイブリッド接合部50を通じて送受信機(図示せず)の差(Δ)ポートのそれぞれの1つに結合される。
【0033】
第1のハイブリッド接合部ポート50aは送受信機の差ポートに対応し、第2のハイブリッド接合部ポート51aは、アンテナ46の入力ポートに結合され、第3のハイブリッド接合部ポート51bはアンテナ44の入力ポートに結合される。第4のハイブリッド接合部ポートは終端される。ハイブリッド接合部50は、2つの傾斜したセクターホーン44及び46間の180度の位相シフトを提供する。
【0034】
ハイブリッド接合部50は、ハイブリッド接合部差ポートに供給される信号が、実質的に等しい大きさであるが実質的に180度ずれた位相で、第2のハイブリッド接合部ポート51a及び第3のハイブリッド接合部ポート51bのそれぞれに結合されるように動作する。
【0035】
1つの特定の実施形態では、ハイブリッド接合部50は導波管マジックTとして提供される。特に、アンテナポート44a、46aは、マジックTのE面90度アーム51a、51bに結合される。180度ポート50aは、送受信機の差(Δ)ポートに結合され、一方マジックT和ポート50bは(好ましくは整合インピーダンスで)終端される。
【0036】
当業者であれば当然、マジックT以外のハイブリッド接合部の形状が存在すると共に、該形状を、ハイブリッド接合部50によって実行される必要な電気的機能を実行するのに使用することができることを理解するであろう。
【0037】
ここで図4を参照すると、図3の同様の要素は同様の参照符号を有して提供され、和ホーン42は、送受信機(図4に図示せず)の和(Σ)ポートに直接接続される。マジックT60の和ポート60aは、整合インピーダンス63で終端される。傾斜したセクターホーン44、46は、マジックT60のE面アーム61a、61bのそれぞれの1つに結合される。マジックT差ポート60bに提供される信号に応答して、マジックTはポート61a及び61bにおいて2つの180度シフトした信号を提供する。
【0038】
和パターンの生成に使用される最適な錐体ホーンアンテナは、いわゆる「10λホーン」として提供される。ホーンの軸長(すなわちホーンの中心縦軸に沿った長さ)は、10波長の長さであり、37GHzにおいてこれは81.1ミリメートルに等しい。図示される物理開口は、最適な遠距離場利得を提供する。したがって、ホーンのフレアは最適であるとして知られる。他の長さを使用することができるが、ホーン構成の幾何学的形状は、ホーンの開口において生じる位相ゆがみを最小に保つように維持されなくてはならない。(ホーンの開口における波面は物理的に球面である。理想的に求められているのは理論上平面の波面である)。特定の許容可能な歪み(球面と平面との差異)の場合、最適な利得が存在する。最適な幾何学的形状からのいかなる逸脱も、この位相歪み及びまた利得に影響を及ぼす。
【0039】
セクターホーンは、それらを組み合わせた幅が最小の寸法となるように配置される。2つのホーンの幅にわたる波長数も低く保たなくてはならない。これによってグレーティングも抑制される。これらのセクターホーンアンテナも長さ10λであり、遠距離場利得のために最適化されている。このアンテナ配置によって、24dBiの和パターン利得及び19.0dBiの最大デルタパターン最大ローブ利得がもたらされる。ボアサイトからの最初の30度の方位変位に関して、1組の和−デルタ交差しか存在しない。ボアサイト領域に関して、和パターンが優位であり、交差地点を越えてボアサイトの±30度まで、デルタパターンが優位である。アンテナ構造パターンは本明細書の詳細な説明(detailed section)に示す。
【0040】
地上戦闘ID(CID)用途に使用される送信機モジュールが結合されたそのようなアンテナ構造を用いて、正のリンクマージンで最大6KMの呼び掛け斜方向距離が達成可能である。
【0041】
線形アレイ、反射アンテナ、コーナー反射器及び放物面反射器システム、並びにホーンアンテナに関する研究が行われた。サイズ対指向性及び対象周波数(36.7GHz〜37GHz)に関する利得を検討すると、ホーンアンテナは、検討されるこれらのアンテナのうちで最も良好な性能トレードオフを提供する。線形アレイ及び反射型アンテナはより大きな利得性能をもたらすが、この性能の結果として、ホーンアンテナの構造と比較して幾分大きな構造となる。15dBi〜25dBiの範囲内の利得において、ホーンアンテナは、他の候補に勝るサイズの利点を有する。この数字を上回る利得の場合、ホーンアンテナの体積は3次的(3次指数関数的)に増大し、放物面反射器と比較してより大きな構造となる。
【0042】
検討されるホーンアンテナ寸法は、一般的に「最適である」として知られている。最大利得を達成するために、特定の物理開口のための特定のホーンフレア角度を維持しなくてはならない。アンテナシステム設計の検討に関して、FEKO(登録商標)、HFSS(登録商標)、及びCST Microwave Suite(登録商標)のような電磁場モデリングツールが使用された。そのようなモデリングツールを使用して、本明細書において説明されるアンテナシステムのアンテナシステム性能を求めると共に特徴付けることができる。
【0043】
これらのモデリングツールのうちのいくつかが近距離場放射パターン情報及び遠距離場放射パターン情報の双方、並びに予測されるVSWR特徴付けを提供する一方で、それらは最適化を迅速に提供しない。このため、最適なホーン性能、すなわち所与の指向性及び利得に関する最小の達成可能な構造を別個に求めることができる。たとえば、指向性及び利得は、Henry Jasikによって編集された「Antenna Engineering Handbook」、及びJohn D. Krausによるテキスト「Antennas」に提示される技法を使用して達成することができる。錐体ホーンアンテナの場合、これらの参照文献において所与の数学的関係及び派生物を使用して、設計曲線を展開するためにExcel(登録商標)3スプレッドシートが構築された。この構築された情報から、最適にサイズ調整されたアンテナ構造を求め、検討し、比較することができる。そのような設計曲線は、図7及び図8と合わせて以下で提示される。最適な開口、ビーム幅、Eフィールド及びHフィールドのフレア角度が、アンテナホーン長の関数として提示される。全ての寸法が波長λを単位として表される。
【0044】
ここで図5及び図6を参照すると、ホーンアンテナの寸法が示されている。図5はホーンアンテナ素子の側面図(Eフィールドは垂直方向に、すなわちページの下方向に位置する)であり、図6はホーンアンテナ素子の上面図(ここでもまたEフィールドは垂直にページの下方向に位置する)である。
【0045】
図7〜図10は、ホーンアンテナ構造のための最適な寸法を示している。グラフに沿って示されているのは、対応する特性曲線表現である。全てのパラメトリクスは、ホーンアンテナの軸長の関数であり、全ての寸法は波長λ単位で表されることに留意されたい。
【0046】
これらのアンテナの利得は、該アンテナの物理開口に直接比例し、以下となる。
【0047】
Ga=(4пaea-h)/λ2
ここで、
Gaはアンテナの理論上の理想利得であり、
aeは線形e面開口(長)であり、
ahは線形h面開口(長)であり、
λは波長である。
【0048】
ae、ah、及びλの値は、全て同じ単位で表されることに留意されたい。ホーンアンテナの電気的開口効率は約60%であり、したがって、ホーンアンテナの実際的な又は実現可能な利得は、通常Gaの約60%である。
【0049】
以下の表1は、最適なホーンアンテナの利得をそれらの軸長の関数として示している。
【0050】
【表1】
【0051】
10λに等しい軸長L(すなわち、81.1mm−表1の第1行)を有するアンテナの場合、理想の利得は25.19dBiであり、実際的な利得は22.98dBiであることに留意されたい。ホーン長が20λ、すなわち162.2mmまで増大する場合、利得は2dB〜2.5dBしか増大しない。サイズと利得とのトレードは迅速に増大し、この理由により、10λホーンが空挺呼び掛け機用途のために選択された。いくつかの用途では、所与のサイズ制約の結果、わずか数dBのさらなる利得のためにアンテナサイズを割り増しすることは認められないと結論付けられる場合がある。しかしながら、これはトレードオフであり、決定は、各特定の用途の要因に依拠して、用途によって変動する場合がある。ホーンアンテナを、物理制限内で、様々な用途のための特定の利得及び指向性を提供するようにスケーリングすることができることも注目に値する。
【0052】
最適なセクターホーンが、錐体ホーンと同様の形式で設計される。ここで、ah又はaeのいずれかは、給電導波管幅と同じ寸法に保たれる。最適なセクターフレアは、錐体ホーンの対応するそれぞれのah又はaeと同じである。WR−28導波管給電の幅はセクターホーン幅として維持される。2つのそのようなホーンは、差パターンを生成するために、180度ずれた位相で給電される。
【0053】
ここで図11〜図11Cを参照すると、図2〜図4に示したアンテナ構造と同じか又は同様の構造を有するアンテナによって生成される和方位アンテナパターン及び差方位アンテナパターンが示されている。図11に示す方位和パターン及び方位差パターンは、10λの最適な錐体ホーンアンテナ構造及びセクターホーンアンテナ構造からのものである。領域70は、シグマパターンへのデルタパターンの侵害を表している。理想的には、デルタパターンはボアサイトにおいてのみシグマパターンよりも小さくなくてはならない。図11A〜図11Cは、ほぼボアサイト+/−7.5度の領域内でのみシグマパターンよりも小さいデルタパターンを示している。この角度範囲の外側では、デルタパターンはシグマパターンよりも大きい。
【0054】
これらの遠距離場パターンを得るために、FEKO(登録商標)モデリングツールは、全ての導電性表面にメッシュ生成アルゴリズムを適用する。メッシュが細かいほど、方位掃引当たりの生成されるデータポイントが多くなる。ツールベンダーによって付与されるライセンスは1GBのファイルサイズしか提供せず、これによってメッシュの粒度に制限が課されている。この理由により、ボアサイトにおけるヌルの深さは、適用することができるデータポイントの数によって制限される。実際はより大きく約22dB〜25dBとなることが予期されるところで約10dBのヌルとなっていることが示されている。非対称パターン表現は、ホーンアンテナにRFエネルギーを与えるのに使用される給電メカニズムの結果である。WR−28導波管のバックショートから4分の1波に配置される4分の1波スタブがRF発射(RF launch)としての役割を果たす。導波管給電は、ホーンのフレアが開始するよりかなり前の2λになるように選択された。このRF入射方法はほぼ1.45:1のVSWRを生成した。給電方法の最適化は試行錯誤によって最も良好に達成されると考えられている。給電の非対称性によって、パターンの非対称性が生じる。
【0055】
上記に示したパターンは、空挺用途の場合に非常に好ましい。ボアサイトの最初の±60度の場合、デルタパターンは交差エリアの外側で優勢を保つ。交差エリアでは和パターンがより大きい。デルタパターンが和パターンと同じレベルまで降下するか又は非常に近くなるのは+60度及び+120度である。非対称問題をより最適な給電法によって解消することができる場合、これらのほぼ等しいパターン応答のエリアを解消することができることが有望である。そうでない場合、全方向ガードアンテナの使用を、図13に示すように使用することができる。
【0056】
ここで図12及び図12Aを参照すると、アンテナ和パターンの3次元遠距離場が示されている。
【0057】
ここで図13及び13Aを参照すると、アンテナ差パターンに関する3次元遠距離場が示されている。
【0058】
ここで図14を参照すると、和パターン100、差パターン102、及び全方向パターン104は、返答の判断基準を確立するために多重化される時間領域である。このデータシーケンスは、車両106上に配置された呼び掛け器による呼び掛けとして送信される。トランスポンダーによって受信されると、受信信号電力測定が行われ、Σ信号、Δ信号、及びΩ信号の相対信号強度に依拠して、トランスポンダーは呼び掛け機に応答する(これは、トランスポンダーが、該トランスポンダーが実際にターゲットにされていると判断したためである)。トランスポンダーは、車両108〜114の任意のもの又は全てに搭載することができる。この場合、車両108上のトランスポンダーのみが呼び掛け機に応答し、車両110〜114上の応答機は返答しない。
【0059】
上述したように、戦場ターゲット識別装置(BTID)は、味方識別のために「尋ねる」ために、潜在的なターゲットに「向ける」ことができる狭ビーム呼び掛けを提供する。ターゲットがBTIDを装備している場合、該ターゲットは(たとえば全指向性アンテナを使用して)返答信号で応答する。理想的には、呼び掛け機のビーム幅は、特にターゲットにされていないが、所望のターゲットに方位的に非常に近接した目標物を回避するのに十分小さくする必要がある。そのようなターゲットにされていない目標物が味方である場合、それらの目標物からの応答は発生しないはずである。所定のアレイで配置されたアンテナ素子のセットからの和パターン及び差パターンの双方を利用する指向性アンテナシステムを使用することによって、狭く方向付けられたビームが達成される。狭ビームのビーム幅はわずか数度の範囲内にあり、和パターン及び差パターンを多様な時間に放射することによって確立される。一般的に、可能なかぎり狭いビームを有することが望ましい。ただし、ビームはターゲットがカバーされないほど狭くしないものとする。
【0060】
したがって、呼び掛け機方位識別は、意図しないトランスポンダーが応答するのを避けるのに十分狭くなくてはならない。さらに、方位識別ビーム幅は、ターゲットにされている所望のトランスポンダー(車両)を十分に照射(すなわち「カバー」)できないほど小さくなってはならない。この目標を容易にするため、呼び掛け機の視野(FOV)外で受信されるトランスポンダー返答間の呼び掛け機サイドローブ抑制(ISLS)を使用することができる。アンテナアレイが和パターンを放射するように構成されるとき、基本指向性は、放射される和パターンによって確立される。アンテナアレイが差パターンを放射するように構成されるとき、アレイのボアサイト照準方向において放射ヌルが存在するのが観測される。このようにして、差パターンはISLSビームの尖鋭化を提供する。ボアサイトからの方位変位のためのISLSを提供するために、全指向性アンテナの一定のエンベロープパターンの使用が用いられる。
【0061】
以下の表2及び表3は、IASからTASの、空中から地上のリンク、及びTASからIASの、地上のトランスポンダーから空挺呼び掛け機へ戻す応答リンクに関するリンクマージン分析を提示する。これらの見積もりは、晴天の日の条件の場合のものである。IASアンテナシステムの固有の指向性に起因して、多経路損失は、4.5dBまでも起こる場合がある陸上呼び掛けシステムと比較して、大幅に抑制されるようになる。
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】
本発明の好ましい実施形態を説明したが、ここで、当業者には、これらの概念を組み入れた他の実施形態を使用することができることが明らかとなろう。したがって、本発明は説明される実施形態に限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲によってのみ限定されるべきであることが提起される。
【技術分野】
【0001】
本発明は無線周波数(RF)アンテナに関し、より詳細には、ミリメートル波(mmW)周波数範囲において動作可能なアレイアンテナシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
当該技術分野において既知であるように、戦闘識別(又はCID)は、戦闘空間でターゲットにされると共に検出される目標物の正確な特徴付けを達成するプロセスである。状況に依拠して、そのような特徴付けは、「味方」、「敵」、又は「中立」のような識別子を用いた目標物の識別に限定される場合がある。他の状況では、クラス、タイプ、国籍を含むがそれらに限定されない他の特徴付けが必要とされる場合があり、適切な識別子と共にミッション構成が使用される場合がある。
【0003】
これもまた既知であるように、そのような識別プロセスは、ミリメートル波(mmW)周波数において戦闘識別システムを介して実行される場合がある。そのような戦闘識別システムは、通常、アンテナ素子のアレイから成る指向性アンテナを備える呼び掛け機アンテナシステムを使用する。そのような呼び掛け機アンテナシステムは、比較的大型で重く、このため兵士が担ぐことができる兵器のような比較的軽量の兵器に使用するのには一般的に適していない。結果として、これらの戦闘識別システムは通常、このかなり大型で重い機器を支持することができる戦車及び他の大型車両兵器プラットフォーム上に配備される。
【0004】
戦闘識別技術をより軽い兵器(たとえば戦車及び電動車両よりも軽い)に拡張する試みは、大型の呼び掛け機アンテナアレイのサイズ及び重量を低減することを中心としてきた。呼び掛け機アンテナのサイズ及び重量を低減するための1つの一般的な手法は、指向性アンテナアレイを形成するアンテナ素子の数を低減することであった。この手法の1つの問題は、アレイ内のアンテナ素子の数を低減することによって、アレイアンテナの電気開口寸法のサイズがそれに応じて低減することである。これによって今度は、方位識別角度が大きくなり、これは特定の目標物ターゲッティングに役立たない。
【0005】
呼び掛け機システムに対するサイズ及び重量の制限は、空挺用途においてさらにより深刻になる。さらに、空挺用途の場合、搭載配置、航空機の重量及びバランスのようなさらなる実装制約、並びに他の関連する空気力学的問題が注意を要する。望ましくないペイロードを過剰に生じさせないように、サイズ及び重量は全て小さく保たれなくてはならない。いくつかの応用形態では、空挺呼び掛け機システムは、空間の提供が限られた所与の寸法の外部航空機補助タンク(pod)内に収まらなくてはならない。また、空挺呼び掛け機システムの動作範囲は、地上の戦闘IDシステムによって達成される動作範囲と釣り合いが取れていることも期待される。地上用途で使用される1つの従来のアンテナアレイは、およそ、7インチ×4 1/2インチ、すなわち31 1/2平方インチ(in2)の前面面積を有する、マルチ素子連続横断スタブアレイである。空挺用途の場合、地上用途において使用されるよりも大幅に小さな前面開口が使用される場合がある。したがって、戦闘識別を多様な用途に拡張するために、既存の最新技術による実装のサイズ及び重量を低減することが必要とされている。軽量の兵器及び空挺の用途の場合、小さな開口で、指向性で、軽量で、かつ物理サイズの小さい戦闘IDシステムが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
本明細書において説明される概念によれば、呼び掛け機アンテナシステムは、1つの錐体ホーンアンテナ及び2つの傾斜したセクターホーンアンテナのアセンブリを備える。この特定の構成を用いて、戦闘識別用途に適した比較的小型で指向性の高いアンテナアレイが提供される。錐体ホーンアンテナ及びセクターホーンアンテナは、和−差アンテナアーキテクチャで配置される。和パターンは最適な錐体ホーンアンテナを用いて確立され、一方、差パターンは2つの傾斜したセクターホーンアセンブリを用いて確立される。このため、和パターン及び差パターンは、3つのホーンアンテナのみを用いて達成される。これによって、従来の呼び掛け機アンテナシステムと比較して大幅に低減されたサイズ及び重量を有する呼び掛け機アンテナシステムとなる。このサイズ及び重量が低減された呼び掛け機アンテナは、37ギガヘルツ(GHz)付近のKa周波数帯内のミリメートル波(mmW)周波数でも動作する。さらに、この3ホーン呼び掛け機アンテナシステムの要求される方位識別角度及び使用可能な範囲性能は、和差アンテナアーキテクチャにおいて最適なセクターホーンアンテナを使用することによって維持される。ホーンアンテナ(ホーン放射体としても知られる)のこの組み合わせは、特定の和方位放射特性及び差方位放射特性を達成するために特定の形で設置される。これによって、ボアサイト角領域においてのみ和応答が差応答よりも大きくなる。差パターンを様々な他の方位角において和パターンに侵入させるグレーティングローブは、ボアサイト以外で差パターンが常に和パターンよりも大きくなるように抑制される。1つの実施の形態では、錐体ホーンアンテナが最適な錐体ホーンアンテナとして設けられ得る。
【0007】
アレイ構成において線形アンテナ素子ではなくホーンアンテナを使用することによって、結果としてのアンテナパターン内にいくつかの(望ましくなく所望されていない)グレーティングローブが生じるが、これは線形アンテナ素子アレイの使用によって生じるであろうグレーティングローブの数と比較して、低減される。差パターン生成のために使用されるセクターホーンを傾斜させることによって、差パターン内に形成されるグレーティングローブはさらに抑制される。このため、本明細書において説明される手法によって、呼び掛け機アンテナシステムが、従来のmmW呼び掛け機アンテナにおいて用いられている全指向性ガードアンテナのような全指向性ガードアンテナを備える必要がなくなる。
【0008】
本明細書において説明される手法によって、従来の線形素子アレイ呼び掛け機に一般的であるグレーティングローブによる侵害が解消する。本明細書において説明される手法は、侵害なしで和放射パターン及び差放射パターンを形成することに加えて、従来の線形素子アレイ呼び掛け機が3つの(すなわち、和、差、及び全方向)パターンを使用しなくてはならないところを2つの放射パターンで所望のボアサイト応答を解決する。3ホーン呼び掛け機アンテナシステムがグレーティングローブを大きく抑制するため、全方向パターンの必要性がなくなる。
【0009】
本明細書において説明される3ホーン呼び掛け機アンテナシステムは、従来技術の呼び掛け機アンテナシステムのサイズ及び重量と比較して低減されたサイズ及び重量を有し、一方で同時に、同様の方位識別及び射程能力を有して提供される。このため、本明細書において説明されるアンテナアレイは、要員操作型(crew-served)軽量車両及び潜在的には降車歩兵に、味方又は見知らぬ者(unknown)の識別手段を提供する。
【0010】
従来のアレイIDアンテナシステムは、高い指向性及び利得を有する。しかしながら、これらのタイプのIDアンテナシステムによって要求される必要なビーム形成回路によって、該アンテナシステムは非効率になる。これは、そのようなアレイのいくつかの線形放射素子に必要な時相差によって発生する信号損失に起因する。
【0011】
一方、本明細書において説明される3ホーン呼び掛け機アレイは、従来のアレイよりも小さい物理的及び電気的開口を有するが、このより小さな開口の効率性によって、この3ホーン呼び掛け機アレイは、より大型で重い従来のIDアンテナシステムと同等に機能する。このため、本明細書において説明される3ホーン呼び掛け機アレイの電機性能特性は、従来のIDアンテナシステムの電機性能特性に実質的に等しく、一方で同時に、従来のIDアンテナシステムよりも小さいサイズ及び重量を有する。
【0012】
アレイ物理学は、いわゆる「グレーティングローブ」を抑制するために、アンテナ素子離間が或る寸法で保たれることを指示する。これらのローブは、アンテナの放射パターンにおいて現れる。3ホーン呼び掛け機アンテナは複数の個々の放射素子ではなく3つのアンテナ素子のみから成るため、そのようなグレーティングローブは大幅に低減される。
【0013】
2つのセクターホーンアンテナは、差パターンを生成するのに使用される。これらのホーンを互いに向かって内側に傾斜させることによって、結果としての差パターンにおけるグレーティングローブの発生が大幅に抑制され、実際的に除去される。このため、グレーティングローブ抑制は、この3ホーン呼び掛け機アンテナシステムによってもたらされる主な特徴である。
【0014】
セクター差ホーンを、ボアサイト角以外の任意の角度で互いに向かって傾斜させることによって、各セクターホーンから広がった放射は等しくなくなる。これらの2つのホーンからの位相差が180度(位相の完全不一致)であったとしても、結果としての電磁線の振幅が等しくならないため、不完全なキャンセレーションとなる。一方の電磁線が他方から差し引かれるが、残存する放射量が依然として存在する。完全なキャンセレーションは発生し得ないため、グレーティングローブは生じ得ない。換言すれば、セクターホーンを傾斜させることは単純に完全な角電磁線キャンセレーションを防ぎ、これによってグレーティングローブが生じなくなる。深いヌル及び結果としてのグレーティングローブを形成するのは(特定の方位角における)電磁線キャンセレーションである。この現象は線形アレイアンテナシステムに特有である。
【0015】
さらに、従来技術の呼び掛け機アレイシステムに必要とされる製造技法と比較して、ホーンタイプアンテナの製造の容易さは、コスト節約をもたらし、戦闘識別をより多くのユーザーに利用可能にする。3ホーン呼び掛け機アンテナシステムの製造の容易さによってもたらされるスケールの経済性によって、要員操作型部隊及び降車部隊が戦闘識別手段を装備することが可能になる。これらのユーザーに戦闘識別を提供するコストは、現在使用されている、大型車両プラットフォーム(たとえば戦車)にしか付与することができない機器(大型アレイ)よりも大幅に少ない。
【0016】
戦場ターゲット識別装置(BTID)の概念は、味方識別のために「尋ねる」ために、潜在的なターゲットに「向ける」ことができる狭ビーム呼び掛けを提供することを含む。ターゲットがBTIDを装備している場合、該ターゲットは(たとえば全指向性アンテナを使用して)返答信号で応答する。理想的には、呼び掛け機のビーム幅は、特にターゲットにされていないが、所望のターゲットに方位的に非常に近接した目標物を回避するのに十分小さい。そのようなターゲットにされていない目標物が味方である場合、それらの目標物からの応答は発生しないはずである。所定のアレイ幾何学的形状で配置されたアンテナ素子のセットからの和パターン及び差パターンの双方を利用する指向性アンテナシステムを使用することによって、狭く方向付けられたビームが達成される。狭ビームのビーム幅は数度しかなく、和パターン及び差パターンを多様な時間に放射することによって確立される。1つの例示的な実施の形態では、1度〜5度の範囲のビーム幅を有し、1度〜3度の範囲のビーム幅が好ましいシステムが提供される。他のビーム幅も当然使用することができる。一般的に、ビーム幅はシステムが使用されている特定の用途を含むがそれに限定されないさまざまな要因に従って選択される。一般的に、可能なかぎり狭いビームを有することが望ましい。ただし、ビームはターゲットに向けるのが困難になるほど狭くしないものとする。
【0017】
したがって、呼び掛け機方位識別は、意図しないトランスポンダーが応答するのを避けるのに十分狭くなくてはならない。さらに、方位識別ビーム幅は、ターゲットにされている所望のトランスポンダー(車両)を十分に照射(すなわち「カバー」)できないほど小さくしてはならない。この目標を容易にするため、呼び掛け機の視野(FOV)外で受信されるトランスポンダー返答間の呼び掛け機サイドローブ抑制(ISLS)を使用することができる。アンテナアレイが和パターンを放射するように構成されるとき、基本指向性は、放射される和パターンによって確立される。アンテナアレイが差パターンを放射するように構成されるとき、アレイのボアサイト照準方向において放射ヌルが存在するのが観測される。このようにして、差パターンはISLSビームの尖鋭化を提供する。ボアサイトからの方位変位のためのISLSを提供するために、全指向性アンテナの一定のエンベロープパターンの使用が用いられる。
【0018】
本発明の上記の特徴及び本発明自体は、図面の以下の説明からさらに十分に理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】呼び掛け機システムの組立分解等角図である。
【図2】アレイアンテナの等角図である。
【図2A】アレイアンテナの等角図である。
【図2B】アレイアンテナの等角図である。
【図2C】従来技術のアレイアンテナの等角図である。
【図3】3ホーンアンテナレイの典型の等角図である。
【図3A】図3のセクターホーンアンテナの上面図である。
【図4】3ホーンアンテナレイの典型の等角図である。
【図5】セクターホーンアンテナ素子の側面図である(Eフィールド(E field:電界)は垂直方向に、すなわちページの下方向に位置する)。
【図6】同じセクターホーンアンテナ素子の上面図である(ここでもまたEフィールドは垂直方向にページの下方向に位置する)。
【図7】開口対軸方向ホーン長のプロットである。
【図8】ビーム幅対軸方向ホーン長のプロットである。
【図9】Eフィールド面フレア角度対軸方向ホーン長のプロットである。
【図10】Hフィールド(H field:磁界)面フレア角度対軸方向ホーン長のプロットである。
【図11】10λの最適な錐体ホーンアンテナ及びセクターホーンアンテナ構造からの方位和パターン及び方位差パターンの一連のプロットのうちの1つである。
【図11A】10λの最適な錐体ホーンアンテナ及びセクターホーンアンテナ構造からの方位和パターン及び方位差パターンの一連のプロットのうちの1つである。
【図11B】10λの最適な錐体ホーンアンテナ及びセクターホーンアンテナ構造からの方位和パターン及び方位差パターンの一連のプロットのうちの1つである。
【図11C】10λの最適な錐体ホーンアンテナ及びセクターホーンアンテナ構造からの方位和パターン及び方位差パターンの一連のプロットのうちの1つである。
【図12】アンテナの3次元遠距離場放射パターンである。
【図12A】アンテナの3次元遠距離場放射パターンである。
【図13】アンテナの3次元遠距離場放射パターンである。
【図13A】アンテナの3次元遠距離場放射パターンである。
【図14】和アンテナパターン、差アンテナパターン、及び全指向性アンテナパターンが時間領域多重化されて返答に関する判断基準をいかに確立するかを示すアンテナ放射パターンプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ここで図1を参照すると、軽量車両要員操作型戦闘ID(CSCID)10は、小型制御インターフェース電子モジュール(MCM)14が結合されたシャーシ12を備える。MCM14は、送受信機16、アンテナマッチング回路網21、22、ホーンアンテナアセンブリ20、及び偏波器/カバー24に、送信機出力をマッチング回路網21、22の和ポートに方向付けることによって和パターンを送信するか、又は送信機出力をマッチング回路網21、22の差ポートに方向付けることによって差パターンを送信するように命令する。1つの特定の実施形態では、送信機16の出力は、送受信機と和ホーンとの間の直接接続を介してマッチング回路網和ポートに結合される。和パターン及び差パターンは、MCM14によって制御される、それぞれのための特定の時間期間を有して配列される。
【0021】
送受信機16はMCM14に結合され、ホーンアンテナアセンブリ20はMCM14に信号を送信/MCM14から信号を送信するように結合され、アンテナマッチング回路網21、22はホーンアンテナアセンブリ20に結合される。図1に示す例示的な実施形態では、アンテナマッチング回路網21、22は、ホーンアンテナアセンブリ20にRFエネルギーを提供するように結合される。
【0022】
前面カバー及び偏波器24は、ホーンアンテナアセンブリ20の放射開口20a上に配置される。本明細書において図2と合わせて下記で提供される説明から明らかとなるように、開口20aは、3つの別個の開口26a(図2A)、28a(図2A)、30a(図2A)を含むことを理解されたい。
【0023】
下記でさらに詳細に説明されるように、ホーンアンテナアセンブリ20は、3つのホーンアンテナ構造を備える。通常、2つのホーンアンテナが並んで設置され、180度位相をずらして給電されるとき、結果として差パターンとなり、非常に深いヌルがボアサイト位置に(方位及び仰角面の双方において)観測される。錐体ホーンの場合、それらの最も短い開口寸法は複数波長の長さである。そのようなアンテナを、ボアサイトにおける深いヌルに加えて差パターンを確立するように互いに近接して設置するとき、規則的に離間した角度間隔において、他の深いヌルが生じる。この現象はグレーティングとして既知である。いくつかの用途の場合(上述した呼び掛けアンテナ用途を含む)、そのような「グレーティングローブ」は歓迎されない。同様に、密接して離間され同位相で給電された2つのホーンアンテナ構造も「グレーティングローブ」を呈する。しかしながら、それらの深さは、差パターンと比較してそれほど顕著とならない。和パターンに関するグレーティングローブの生成を最小にするために、単一のホーンを使用することができる。
【0024】
1つの実施形態では、ボアサイト位置からホーン構造の側面への主要な視野(FOV)に関して、ボアサイトの±90度領域においてわずかなグレーティングしか観測されない。
【0025】
差パターンに関して、錐体ホーンではなくセクターホーンを使用することによって、「グレーティングローブ」は実質的に低減する(又はいくつかのケースでは最小にさえする)ことができる。このため、好ましい実施形態では、差パターンは、2つの横並びのセクターホーンアンテナを使用することによって達成される。また、これらのホーンは、0度のボアサイト角以外の任意の特定の方位角において等しくない放射振幅が生じるように、互いに向かって傾斜している。
【0026】
ここで図2〜図2Bを参照すると、ここで同様の要素は同様の参照符号を有して提供され、ホーンアンテナアセンブリ20(図1にも示される)は、開口26aを有する最適な錐体ホーン26、及びそれぞれ開口28a、30aを有する1対の傾斜したセクターホーン28、30を備える。この例示的な実施形態では、ホーンアンテナアセンブリ20は、(たとえば射出成形技法又は他の技法を介して)プラスチックから設けられ、これは導電面を設けるようにめっきされる。ホーンアンテナは当然、当業者に既知の任意の製作技法を用いて製作することができる。
【0027】
1つの実施形態では、約37GHzにおける動作の場合、ホーンアセンブリ20は3.8インチの長さL、2.5インチの幅W、及び4.0インチの高さHを有し、このため、38立方インチ(cu in)の体積を有する。
【0028】
ここで図2Cを参照すると、約37GHzにおける動作のための、導電性金属から製作された従来技術の呼び掛け機アンテナ32は、233.8立方インチ(cu in)の体積を有する。このため、呼び掛け機アンテナ20(図2A)及び呼び掛け機アンテナ32(図2B)を比較することによって見て取ることができるように、呼び掛け機アンテナ20が占める体積はより小さい。また、アンテナ20をプラスチックから製造し、該プラスチックをめっきするか、又は他の方法で、電磁波を反射する特性を有するようにすることによって、アンテナ20はアンテナ32よりも軽くなる。
【0029】
ここで図3及び図3Aを参照すると、ホーンアンテナアセンブリ40は、一対の傾斜したセクターホーン44、46の上に配置される。図3Aに示すように、ホーン44、46のそれぞれは、中心縦軸44a、46aを有する。ホーン44、46は、各ホーン44、46の中心縦軸44a、46aが、通常約10度の範囲内にある角度αで交差するように配置される。理想的には、ホーン44、46は、各ホーン44、46の中心縦軸が、2つのホーン44、46間に延びる中心線48に対して通常約5度の範囲内の角度にあるように配置される。角度αは、和パターンと差パターンとの間の侵害がこれ以上発生せず、かつさらなる3dBのマージンによって保護されるように、グレーティングローブを最小にするように選択される。角度αは、傾斜したセクター差ホーンアンテナの最大利得を保持するために必要な最小値でなくてはならない。
【0030】
空挺補助タンク用途の場合、小さな前面開口サイズは、指向性が高い単一素子和アンテナと、2セクターの傾斜した差ホーンとを用いて達成される。ホーンアンテナは、空挺戦闘ID用途に有望である。これは、線形偏波放射パターン又は円形偏波放射パターンのいずれも実装することができるためである。地形に応じて、呼び掛け信号の地表反射効果(effects ground reflections)及び望ましくない多経路散乱を最小にするように、別の偏波(線形又は円形)と対比的な1つの偏波の使用を選択することができる。
【0031】
1つの実施形態では、アンテナ42は最適な利得錐体ホーンとして提供される。他のホーン構成を使用することができるが、最適な利得構成は、最小サイズの実装で最大の利得を確実にする。このアンテナは和パターンを提供する。2つの逆位相で給電された垂直セクターホーン44、46は、良好な差ビームパターン性能を提供する。セクターホーンのサイズは、和ホーンのサイズと釣り合いが取れるように選択される。37GHzにおける戦闘ID Ka周波数帯の場合、そのような構成の前面面積は、5 3/4平方インチよりも小さくなる。そのような構成は、ボアサイト領域内で十分な和パターン利得を提供する。数度の和差交差領域を超えて、ボアサイトから約±30度に至るまで、差パターン利得が優勢である。ボアサイトの±30度から±180度までは、差パターンが優位であり続ける。しかしながら、これらの方位角における和信号レベル及び差信号レベルの検出が不明瞭になることを防ぐために、全指向性ガードアンテナを使用することによって、低い確率の返答を提供するのにさらに役立つことができる。いくつかの実施形態では、グレーティング現象を除去するおかげで、全指向性ガードアンテナ技法を用いる必要がない。
【0032】
ホーン42のポート42aは、送受信機(図示せず)のいわゆる和(Σ)ポートに結合される。差ホーン44、46のポート44a、46aは、ハイブリッド接合部50を通じて送受信機(図示せず)の差(Δ)ポートのそれぞれの1つに結合される。
【0033】
第1のハイブリッド接合部ポート50aは送受信機の差ポートに対応し、第2のハイブリッド接合部ポート51aは、アンテナ46の入力ポートに結合され、第3のハイブリッド接合部ポート51bはアンテナ44の入力ポートに結合される。第4のハイブリッド接合部ポートは終端される。ハイブリッド接合部50は、2つの傾斜したセクターホーン44及び46間の180度の位相シフトを提供する。
【0034】
ハイブリッド接合部50は、ハイブリッド接合部差ポートに供給される信号が、実質的に等しい大きさであるが実質的に180度ずれた位相で、第2のハイブリッド接合部ポート51a及び第3のハイブリッド接合部ポート51bのそれぞれに結合されるように動作する。
【0035】
1つの特定の実施形態では、ハイブリッド接合部50は導波管マジックTとして提供される。特に、アンテナポート44a、46aは、マジックTのE面90度アーム51a、51bに結合される。180度ポート50aは、送受信機の差(Δ)ポートに結合され、一方マジックT和ポート50bは(好ましくは整合インピーダンスで)終端される。
【0036】
当業者であれば当然、マジックT以外のハイブリッド接合部の形状が存在すると共に、該形状を、ハイブリッド接合部50によって実行される必要な電気的機能を実行するのに使用することができることを理解するであろう。
【0037】
ここで図4を参照すると、図3の同様の要素は同様の参照符号を有して提供され、和ホーン42は、送受信機(図4に図示せず)の和(Σ)ポートに直接接続される。マジックT60の和ポート60aは、整合インピーダンス63で終端される。傾斜したセクターホーン44、46は、マジックT60のE面アーム61a、61bのそれぞれの1つに結合される。マジックT差ポート60bに提供される信号に応答して、マジックTはポート61a及び61bにおいて2つの180度シフトした信号を提供する。
【0038】
和パターンの生成に使用される最適な錐体ホーンアンテナは、いわゆる「10λホーン」として提供される。ホーンの軸長(すなわちホーンの中心縦軸に沿った長さ)は、10波長の長さであり、37GHzにおいてこれは81.1ミリメートルに等しい。図示される物理開口は、最適な遠距離場利得を提供する。したがって、ホーンのフレアは最適であるとして知られる。他の長さを使用することができるが、ホーン構成の幾何学的形状は、ホーンの開口において生じる位相ゆがみを最小に保つように維持されなくてはならない。(ホーンの開口における波面は物理的に球面である。理想的に求められているのは理論上平面の波面である)。特定の許容可能な歪み(球面と平面との差異)の場合、最適な利得が存在する。最適な幾何学的形状からのいかなる逸脱も、この位相歪み及びまた利得に影響を及ぼす。
【0039】
セクターホーンは、それらを組み合わせた幅が最小の寸法となるように配置される。2つのホーンの幅にわたる波長数も低く保たなくてはならない。これによってグレーティングも抑制される。これらのセクターホーンアンテナも長さ10λであり、遠距離場利得のために最適化されている。このアンテナ配置によって、24dBiの和パターン利得及び19.0dBiの最大デルタパターン最大ローブ利得がもたらされる。ボアサイトからの最初の30度の方位変位に関して、1組の和−デルタ交差しか存在しない。ボアサイト領域に関して、和パターンが優位であり、交差地点を越えてボアサイトの±30度まで、デルタパターンが優位である。アンテナ構造パターンは本明細書の詳細な説明(detailed section)に示す。
【0040】
地上戦闘ID(CID)用途に使用される送信機モジュールが結合されたそのようなアンテナ構造を用いて、正のリンクマージンで最大6KMの呼び掛け斜方向距離が達成可能である。
【0041】
線形アレイ、反射アンテナ、コーナー反射器及び放物面反射器システム、並びにホーンアンテナに関する研究が行われた。サイズ対指向性及び対象周波数(36.7GHz〜37GHz)に関する利得を検討すると、ホーンアンテナは、検討されるこれらのアンテナのうちで最も良好な性能トレードオフを提供する。線形アレイ及び反射型アンテナはより大きな利得性能をもたらすが、この性能の結果として、ホーンアンテナの構造と比較して幾分大きな構造となる。15dBi〜25dBiの範囲内の利得において、ホーンアンテナは、他の候補に勝るサイズの利点を有する。この数字を上回る利得の場合、ホーンアンテナの体積は3次的(3次指数関数的)に増大し、放物面反射器と比較してより大きな構造となる。
【0042】
検討されるホーンアンテナ寸法は、一般的に「最適である」として知られている。最大利得を達成するために、特定の物理開口のための特定のホーンフレア角度を維持しなくてはならない。アンテナシステム設計の検討に関して、FEKO(登録商標)、HFSS(登録商標)、及びCST Microwave Suite(登録商標)のような電磁場モデリングツールが使用された。そのようなモデリングツールを使用して、本明細書において説明されるアンテナシステムのアンテナシステム性能を求めると共に特徴付けることができる。
【0043】
これらのモデリングツールのうちのいくつかが近距離場放射パターン情報及び遠距離場放射パターン情報の双方、並びに予測されるVSWR特徴付けを提供する一方で、それらは最適化を迅速に提供しない。このため、最適なホーン性能、すなわち所与の指向性及び利得に関する最小の達成可能な構造を別個に求めることができる。たとえば、指向性及び利得は、Henry Jasikによって編集された「Antenna Engineering Handbook」、及びJohn D. Krausによるテキスト「Antennas」に提示される技法を使用して達成することができる。錐体ホーンアンテナの場合、これらの参照文献において所与の数学的関係及び派生物を使用して、設計曲線を展開するためにExcel(登録商標)3スプレッドシートが構築された。この構築された情報から、最適にサイズ調整されたアンテナ構造を求め、検討し、比較することができる。そのような設計曲線は、図7及び図8と合わせて以下で提示される。最適な開口、ビーム幅、Eフィールド及びHフィールドのフレア角度が、アンテナホーン長の関数として提示される。全ての寸法が波長λを単位として表される。
【0044】
ここで図5及び図6を参照すると、ホーンアンテナの寸法が示されている。図5はホーンアンテナ素子の側面図(Eフィールドは垂直方向に、すなわちページの下方向に位置する)であり、図6はホーンアンテナ素子の上面図(ここでもまたEフィールドは垂直にページの下方向に位置する)である。
【0045】
図7〜図10は、ホーンアンテナ構造のための最適な寸法を示している。グラフに沿って示されているのは、対応する特性曲線表現である。全てのパラメトリクスは、ホーンアンテナの軸長の関数であり、全ての寸法は波長λ単位で表されることに留意されたい。
【0046】
これらのアンテナの利得は、該アンテナの物理開口に直接比例し、以下となる。
【0047】
Ga=(4пaea-h)/λ2
ここで、
Gaはアンテナの理論上の理想利得であり、
aeは線形e面開口(長)であり、
ahは線形h面開口(長)であり、
λは波長である。
【0048】
ae、ah、及びλの値は、全て同じ単位で表されることに留意されたい。ホーンアンテナの電気的開口効率は約60%であり、したがって、ホーンアンテナの実際的な又は実現可能な利得は、通常Gaの約60%である。
【0049】
以下の表1は、最適なホーンアンテナの利得をそれらの軸長の関数として示している。
【0050】
【表1】
【0051】
10λに等しい軸長L(すなわち、81.1mm−表1の第1行)を有するアンテナの場合、理想の利得は25.19dBiであり、実際的な利得は22.98dBiであることに留意されたい。ホーン長が20λ、すなわち162.2mmまで増大する場合、利得は2dB〜2.5dBしか増大しない。サイズと利得とのトレードは迅速に増大し、この理由により、10λホーンが空挺呼び掛け機用途のために選択された。いくつかの用途では、所与のサイズ制約の結果、わずか数dBのさらなる利得のためにアンテナサイズを割り増しすることは認められないと結論付けられる場合がある。しかしながら、これはトレードオフであり、決定は、各特定の用途の要因に依拠して、用途によって変動する場合がある。ホーンアンテナを、物理制限内で、様々な用途のための特定の利得及び指向性を提供するようにスケーリングすることができることも注目に値する。
【0052】
最適なセクターホーンが、錐体ホーンと同様の形式で設計される。ここで、ah又はaeのいずれかは、給電導波管幅と同じ寸法に保たれる。最適なセクターフレアは、錐体ホーンの対応するそれぞれのah又はaeと同じである。WR−28導波管給電の幅はセクターホーン幅として維持される。2つのそのようなホーンは、差パターンを生成するために、180度ずれた位相で給電される。
【0053】
ここで図11〜図11Cを参照すると、図2〜図4に示したアンテナ構造と同じか又は同様の構造を有するアンテナによって生成される和方位アンテナパターン及び差方位アンテナパターンが示されている。図11に示す方位和パターン及び方位差パターンは、10λの最適な錐体ホーンアンテナ構造及びセクターホーンアンテナ構造からのものである。領域70は、シグマパターンへのデルタパターンの侵害を表している。理想的には、デルタパターンはボアサイトにおいてのみシグマパターンよりも小さくなくてはならない。図11A〜図11Cは、ほぼボアサイト+/−7.5度の領域内でのみシグマパターンよりも小さいデルタパターンを示している。この角度範囲の外側では、デルタパターンはシグマパターンよりも大きい。
【0054】
これらの遠距離場パターンを得るために、FEKO(登録商標)モデリングツールは、全ての導電性表面にメッシュ生成アルゴリズムを適用する。メッシュが細かいほど、方位掃引当たりの生成されるデータポイントが多くなる。ツールベンダーによって付与されるライセンスは1GBのファイルサイズしか提供せず、これによってメッシュの粒度に制限が課されている。この理由により、ボアサイトにおけるヌルの深さは、適用することができるデータポイントの数によって制限される。実際はより大きく約22dB〜25dBとなることが予期されるところで約10dBのヌルとなっていることが示されている。非対称パターン表現は、ホーンアンテナにRFエネルギーを与えるのに使用される給電メカニズムの結果である。WR−28導波管のバックショートから4分の1波に配置される4分の1波スタブがRF発射(RF launch)としての役割を果たす。導波管給電は、ホーンのフレアが開始するよりかなり前の2λになるように選択された。このRF入射方法はほぼ1.45:1のVSWRを生成した。給電方法の最適化は試行錯誤によって最も良好に達成されると考えられている。給電の非対称性によって、パターンの非対称性が生じる。
【0055】
上記に示したパターンは、空挺用途の場合に非常に好ましい。ボアサイトの最初の±60度の場合、デルタパターンは交差エリアの外側で優勢を保つ。交差エリアでは和パターンがより大きい。デルタパターンが和パターンと同じレベルまで降下するか又は非常に近くなるのは+60度及び+120度である。非対称問題をより最適な給電法によって解消することができる場合、これらのほぼ等しいパターン応答のエリアを解消することができることが有望である。そうでない場合、全方向ガードアンテナの使用を、図13に示すように使用することができる。
【0056】
ここで図12及び図12Aを参照すると、アンテナ和パターンの3次元遠距離場が示されている。
【0057】
ここで図13及び13Aを参照すると、アンテナ差パターンに関する3次元遠距離場が示されている。
【0058】
ここで図14を参照すると、和パターン100、差パターン102、及び全方向パターン104は、返答の判断基準を確立するために多重化される時間領域である。このデータシーケンスは、車両106上に配置された呼び掛け器による呼び掛けとして送信される。トランスポンダーによって受信されると、受信信号電力測定が行われ、Σ信号、Δ信号、及びΩ信号の相対信号強度に依拠して、トランスポンダーは呼び掛け機に応答する(これは、トランスポンダーが、該トランスポンダーが実際にターゲットにされていると判断したためである)。トランスポンダーは、車両108〜114の任意のもの又は全てに搭載することができる。この場合、車両108上のトランスポンダーのみが呼び掛け機に応答し、車両110〜114上の応答機は返答しない。
【0059】
上述したように、戦場ターゲット識別装置(BTID)は、味方識別のために「尋ねる」ために、潜在的なターゲットに「向ける」ことができる狭ビーム呼び掛けを提供する。ターゲットがBTIDを装備している場合、該ターゲットは(たとえば全指向性アンテナを使用して)返答信号で応答する。理想的には、呼び掛け機のビーム幅は、特にターゲットにされていないが、所望のターゲットに方位的に非常に近接した目標物を回避するのに十分小さくする必要がある。そのようなターゲットにされていない目標物が味方である場合、それらの目標物からの応答は発生しないはずである。所定のアレイで配置されたアンテナ素子のセットからの和パターン及び差パターンの双方を利用する指向性アンテナシステムを使用することによって、狭く方向付けられたビームが達成される。狭ビームのビーム幅はわずか数度の範囲内にあり、和パターン及び差パターンを多様な時間に放射することによって確立される。一般的に、可能なかぎり狭いビームを有することが望ましい。ただし、ビームはターゲットがカバーされないほど狭くしないものとする。
【0060】
したがって、呼び掛け機方位識別は、意図しないトランスポンダーが応答するのを避けるのに十分狭くなくてはならない。さらに、方位識別ビーム幅は、ターゲットにされている所望のトランスポンダー(車両)を十分に照射(すなわち「カバー」)できないほど小さくなってはならない。この目標を容易にするため、呼び掛け機の視野(FOV)外で受信されるトランスポンダー返答間の呼び掛け機サイドローブ抑制(ISLS)を使用することができる。アンテナアレイが和パターンを放射するように構成されるとき、基本指向性は、放射される和パターンによって確立される。アンテナアレイが差パターンを放射するように構成されるとき、アレイのボアサイト照準方向において放射ヌルが存在するのが観測される。このようにして、差パターンはISLSビームの尖鋭化を提供する。ボアサイトからの方位変位のためのISLSを提供するために、全指向性アンテナの一定のエンベロープパターンの使用が用いられる。
【0061】
以下の表2及び表3は、IASからTASの、空中から地上のリンク、及びTASからIASの、地上のトランスポンダーから空挺呼び掛け機へ戻す応答リンクに関するリンクマージン分析を提示する。これらの見積もりは、晴天の日の条件の場合のものである。IASアンテナシステムの固有の指向性に起因して、多経路損失は、4.5dBまでも起こる場合がある陸上呼び掛けシステムと比較して、大幅に抑制されるようになる。
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】
本発明の好ましい実施形態を説明したが、ここで、当業者には、これらの概念を組み入れた他の実施形態を使用することができることが明らかとなろう。したがって、本発明は説明される実施形態に限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲によってのみ限定されるべきであることが提起される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナシステムであって、
ホーンアンテナに対応する第1のアンテナと、
ホーンアンテナに対応する第2のアンテナであって、該第2のアンテナのE面が前記第1のアンテナのE面と同一平面になると共に、前記第1のアンテナの有効電気開口及び該第2のアンテナの有効電気開口が実質的に共通面内にあるように配置される、第2のアンテナと、
ホーンアンテナに対応する第3のアンテナであって、該第3のアンテナのE面が前記第1のアンテナの前記E面と実質的に同一平面にあると共に、該第3のアンテナの有効電気開口が前記第1のアンテナの前記有効電気開口及び前記第2のアンテナの前記有効電気開口と実質的に同じ面内にあるように配置される、第3のアンテナとを備え、前記第2のアンテナ及び前記第3のアンテナは互いに向かって傾斜している、アンテナシステム。
【請求項2】
前記第2のアンテナ及び前記第3のアンテナは、実質的に0度のボアサイト角以外の任意の方位角において等しくない放射振幅を生じるように選択された量だけ互いに向かって傾斜している、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1のホーンアンテナは最適な錐体形状を有して設けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2のホーンアンテナはセクターホーンアンテナとして設けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第3のホーンアンテナはセクターホーンアンテナとして設けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1のホーンアンテナは最適な錐体形状を有して設けられ、
前記第2のホーンアンテナはセクターホーンアンテナとして設けられると共に、
前記第3のアンテナはセクターホーンアンテナとして設けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1のホーンアンテナ、前記第2のホーンアンテナ、及び前記第3のホーンアンテナの物理開口は実質的に同じ物理面内にある、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記システムは、差ポートに対応する第1のポートと、前記第2のアンテナの出力ポートに結合される第2のポートと、前記第3のアンテナの出力ポートに結合される第3のポートとを有するハイブリッド接合部をさらに備え、ハイブリッド接合部差ポートに供給される信号は、第2のハイブリッド接合部ポート及び第3のハイブリッド接合部ポートのそれぞれに、実質的に等しい大きさであるが実質的に180度ずれた位相で結合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
アレイアンテナシステムであって、3つのホーンアンテナの開口が実質的に共通面にあり、放射パターンの特定の和及び差のセットを達成するように構成される該3つのホーンアンテナの組み合わせを備え、和パターンは0±規定の限定された角度許容範囲のボアサイト方位角においてのみ、デルタパターンからの信号電力においてより大きい、アレイアンテナシステム。
【請求項10】
最も最適な錐体ホーンアンテナを使用して和放射パターンを生成する、請求項9に記載の3つのホーンアンテナの組み合わせ。
【請求項11】
2つの傾斜したセクターホーンアンテナを使用して差放射パターンを生成する、請求項9に記載の3つのホーンアンテナの組み合わせ。
【請求項12】
不利益な影響を受けないように最小化されたグレーティングローブを有する和放射パターン及び差放射パターンを生成する、請求項9に記載の3つのホーンアンテナの組み合わせ。
【請求項13】
特定の利得並びに特定の和放射パターン及び差放射パターンのセットのために任意のサイズ及び開口にスケーリングすることができる和放射パターン及び差放射パターンを生成する、請求項9に記載の3つのホーンアンテナの組み合わせ。
【請求項14】
3つのホーンアンテナの組み合わせであって、該3つのホーンアンテナの開口が共通面あり、放射パターンの特定の和及び差のセットを達成するように構成され、差パターンは0±規定の限定された角度許容範囲のボアサイト領域以外の全ての他の方位角において、和パターンからの信号強度においてより大きい、3つのホーンアンテナの組み合わせ。
【請求項15】
前記3つのホーンアンテナの組み合わせは和放射パターン及び差放射パターンを生成し、不利益な影響を受けないように最小化されたグレーティングローブを有し、それによってボアサイト方位識別角度変位を解消するための第3の全指向性放射体を用いる必要がない、請求項14に記載の3つのホーンアンテナの組み合わせ。
【請求項16】
3つのホーンアンテナの組み合わせであって、該3つのホーンアンテナの開口が共通面あり、放射パターンの特定の和及び差のセットを達成するように構成され、該セットにおいて、和パターンはボアサイト方位角の周囲の領域において差パターンからの信号強度においてより大きく、ここで前記ボアサイト位置からの規定の角度許容範囲である前記領域を任意の所望の角度許容範囲に制御することができる、3つのホーンアンテナの組み合わせ。
【請求項17】
前記3つのホーンアンテナの組み合わせは和放射パターン及び差放射パターンを生成し、不利益な影響を受けないように最小化されたグレーティングローブを有し、それによってボアサイト方位識別角度変位を解消するための第3の全指向性放射体を用いる必要がない、請求項16に記載の3つのホーンアンテナの組み合わせ。
【請求項1】
アンテナシステムであって、
ホーンアンテナに対応する第1のアンテナと、
ホーンアンテナに対応する第2のアンテナであって、該第2のアンテナのE面が前記第1のアンテナのE面と同一平面になると共に、前記第1のアンテナの有効電気開口及び該第2のアンテナの有効電気開口が実質的に共通面内にあるように配置される、第2のアンテナと、
ホーンアンテナに対応する第3のアンテナであって、該第3のアンテナのE面が前記第1のアンテナの前記E面と実質的に同一平面にあると共に、該第3のアンテナの有効電気開口が前記第1のアンテナの前記有効電気開口及び前記第2のアンテナの前記有効電気開口と実質的に同じ面内にあるように配置される、第3のアンテナとを備え、前記第2のアンテナ及び前記第3のアンテナは互いに向かって傾斜している、アンテナシステム。
【請求項2】
前記第2のアンテナ及び前記第3のアンテナは、実質的に0度のボアサイト角以外の任意の方位角において等しくない放射振幅を生じるように選択された量だけ互いに向かって傾斜している、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1のホーンアンテナは最適な錐体形状を有して設けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2のホーンアンテナはセクターホーンアンテナとして設けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第3のホーンアンテナはセクターホーンアンテナとして設けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1のホーンアンテナは最適な錐体形状を有して設けられ、
前記第2のホーンアンテナはセクターホーンアンテナとして設けられると共に、
前記第3のアンテナはセクターホーンアンテナとして設けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1のホーンアンテナ、前記第2のホーンアンテナ、及び前記第3のホーンアンテナの物理開口は実質的に同じ物理面内にある、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記システムは、差ポートに対応する第1のポートと、前記第2のアンテナの出力ポートに結合される第2のポートと、前記第3のアンテナの出力ポートに結合される第3のポートとを有するハイブリッド接合部をさらに備え、ハイブリッド接合部差ポートに供給される信号は、第2のハイブリッド接合部ポート及び第3のハイブリッド接合部ポートのそれぞれに、実質的に等しい大きさであるが実質的に180度ずれた位相で結合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
アレイアンテナシステムであって、3つのホーンアンテナの開口が実質的に共通面にあり、放射パターンの特定の和及び差のセットを達成するように構成される該3つのホーンアンテナの組み合わせを備え、和パターンは0±規定の限定された角度許容範囲のボアサイト方位角においてのみ、デルタパターンからの信号電力においてより大きい、アレイアンテナシステム。
【請求項10】
最も最適な錐体ホーンアンテナを使用して和放射パターンを生成する、請求項9に記載の3つのホーンアンテナの組み合わせ。
【請求項11】
2つの傾斜したセクターホーンアンテナを使用して差放射パターンを生成する、請求項9に記載の3つのホーンアンテナの組み合わせ。
【請求項12】
不利益な影響を受けないように最小化されたグレーティングローブを有する和放射パターン及び差放射パターンを生成する、請求項9に記載の3つのホーンアンテナの組み合わせ。
【請求項13】
特定の利得並びに特定の和放射パターン及び差放射パターンのセットのために任意のサイズ及び開口にスケーリングすることができる和放射パターン及び差放射パターンを生成する、請求項9に記載の3つのホーンアンテナの組み合わせ。
【請求項14】
3つのホーンアンテナの組み合わせであって、該3つのホーンアンテナの開口が共通面あり、放射パターンの特定の和及び差のセットを達成するように構成され、差パターンは0±規定の限定された角度許容範囲のボアサイト領域以外の全ての他の方位角において、和パターンからの信号強度においてより大きい、3つのホーンアンテナの組み合わせ。
【請求項15】
前記3つのホーンアンテナの組み合わせは和放射パターン及び差放射パターンを生成し、不利益な影響を受けないように最小化されたグレーティングローブを有し、それによってボアサイト方位識別角度変位を解消するための第3の全指向性放射体を用いる必要がない、請求項14に記載の3つのホーンアンテナの組み合わせ。
【請求項16】
3つのホーンアンテナの組み合わせであって、該3つのホーンアンテナの開口が共通面あり、放射パターンの特定の和及び差のセットを達成するように構成され、該セットにおいて、和パターンはボアサイト方位角の周囲の領域において差パターンからの信号強度においてより大きく、ここで前記ボアサイト位置からの規定の角度許容範囲である前記領域を任意の所望の角度許容範囲に制御することができる、3つのホーンアンテナの組み合わせ。
【請求項17】
前記3つのホーンアンテナの組み合わせは和放射パターン及び差放射パターンを生成し、不利益な影響を受けないように最小化されたグレーティングローブを有し、それによってボアサイト方位識別角度変位を解消するための第3の全指向性放射体を用いる必要がない、請求項16に記載の3つのホーンアンテナの組み合わせ。
【図1】
【図2】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図3A】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12】
【図12A】
【図13】
【図13A】
【図14】
【図2】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図3A】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12】
【図12A】
【図13】
【図13A】
【図14】
【公表番号】特表2011−519250(P2011−519250A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507571(P2011−507571)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/041903
【国際公開番号】WO2009/134751
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(503455363)レイセオン カンパニー (244)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/041903
【国際公開番号】WO2009/134751
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(503455363)レイセオン カンパニー (244)
【Fターム(参考)】
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