説明

咳の処置のためのキナゾリン化合物

咳の処置用医薬の生成のための、式I
【化1】


[式中、R、R、R、R、R、R、R、RおよびRは、本明細書に記載の意味を有する。]
の化合物の遊離塩基または酸付加塩形の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機化合物、および特に医薬としてのそれらの使用に関する。
【発明の開示】
【0002】
1つの局面において、本発明は、咳の処置用医薬の生成のための、式I
【化1】

[式中、
、R、R、RおよびRは、独立して、水素;ハロゲン;C−Cアルキル;C−Cアルケニル;C−Cシクロアルキル;C−CシクロアルキルC−Cアルキル;C−CアルコキシC−Cアルキル;C−Cアルキルカルボキシ;ヒドロキシC−CアルコキシC−Cアルキル;ヒドロキシ;ヒドロキシC−Cアルキル;ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、カルボキシ、C−CアルコキシカルボニルC−Cアルキル、C−Cアルコキシカルボニル、シアノにより置換されていてもよいフェニルC−Cアルキル;−SO10;シアノ;−SON(R10)R11;−S−R10または−SOR10であるか;または、RおよびRがもしくはRおよびRが、それらの結合している炭素原子と一緒に、5から10個の環原子を有する芳香族性または脂肪族炭素環式基または1、2または3個が窒素、酸素および硫黄から選択されるヘテロ原子である5から10個の環原子を有するヘテロ環式基を示し;
は、−CH−O−C(O)−N(R12)R13、−CH−X−C(O)−R14、C−CアルキルまたはヒドロキシC−Cアルキルであり;
、RおよびRは、独立してC−Cアルキルであり;
10およびR11は、独立して、水素、C−Cアルキル;C−Cアルケニル;C−Cシクロアルキル;C−CシクロアルキルC−Cアルキル;C−CアルコキシC−Cアルキル;C−Cアルキルカルボキシ;ヒドロキシC−CアルコキシC−Cアルキル;ヒドロキシ;ヒドロキシC−Cアルキル;所望によりヒドロキシ、C−Cアルコキシ、カルボキシ、C−CアルコキシカルボニルC−Cアルキル、C−Cアルコキシカルボニル、シアノにより置換されていてもよいフェニルC−Cアルキルであるか;またはR10およびR11が、一緒に1、2または3個が窒素、酸素および硫黄から選択されるヘテロ原子である5から10個の環原子を有するヘテロ環式基を形成し;
12およびR13は、独立して水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、C−CシクロアルキルC−Cアルキル、C−CアルコキシC−Cアルキル、ヒドロキシC−CアルコキシC−Cアルキル、ヒドロキシC−Cアルキル、ジヒドロキシC−Cアルキル、C−CアルコキシカルボニルC−Cアルキル、C−Cアルコキシカルボニル、シアノ、−SO10、−SON(R10)R11、−S−R10、−SOR10、−C−C−アルキレン−SO10、−C−C−アルキレン−SOR10、−C−C−アルキレン−NH−SO10、−C−C−アルキレン−CON(R10)R11、−CON(R10)R11、−C−C−アルキレン−C(O)OR10、フルオロアルキルであるか、またはR12およびR13が、5から10個の環原子を有する置換または非置換ヘテロ環式基を形成し;
14は、NH、C−Cアルキル−NH−、C−Cアルケニル−NH−、C−Cシクロアルキル−NH−、C−CシクロアルキルC−Cアルキル−NH−、C−CアルコキシC−Cアルキル−NH−、ヒドロキシC−CアルコキシC−Cアルキル−NH−、ヒドロキシC−Cアルキル−NH−、ジヒドロキシC−Cアルキル−NH−、C−CアルコキシカルボニルC−Cアルキル−NH−、C−Cアルコキシカルボニル−NH−、−NH−C−C−アルキレン−CN、−NH−SO10、−NH−SON(R10)R11、−NH−C−C−アルキレン−S−R10、−NH−SOR10、−NH−C−C−アルキレン−SO10、−NH−C−C−アルキレン−SOR10、−NH−C−C−アルキレン−NH−SO10、−NH−C−C−アルキレン−CON(R10)R11、−NH−CON(R10)R11、−NH−C−C−アルキレン−C(O)OR10、−NH−フルオロアルキル、または5から10個の環原子を有する置換または非置換ヘテロ環式基であり;そして
Xは、OまたはCHである。]
の化合物の遊離塩基または酸付加塩形の使用を提供する。
【0003】
さらなる局面において、本発明は、このような処置を必要な対象に、特にヒト対象に有効量の上記定義の式Iの化合物を該対象に投与することを含む、咳の処置法を提供する。
【0004】
本発明に従う咳の処置は、対症的なものであり得る。
本発明で処置される咳は、のど、喉頭および気道の刺激の結果として起こる作用に関連する状態を含む。それは、騒々しく空気を排出する形をとり、そしてその機能は、煙の粒子から塵埃、化学物質、およびウイルス−汚染粘液に至る何か刺激の原因である物質を気道から除去することである。咳は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、上気道ウイルス感染症(URTI)、後鼻漏、急性ウイルス感染、喘息、肺癌、間質性肺炎、逆流性食道炎(GERD)、アンギオテンシン変換酵素−誘導咳および心不全を含む、1個以上の基礎疾患が原因であり得る。式Iの化合物は、乾性咳嗽(空咳としても既知)、特にCOPDまたは急性ウイルス感染に関連する乾性咳嗽を含む咳の処置に有効である。
【0005】
本明細書で使用の用語は、下記の意味を有する。
本明細書で使用される“所望により置換されてもよい”は、その前に記載の基の1個または組合せにより1個以上の位置で置換され得る基を意味する。
【0006】
本明細書で使用される“ハロ”または“ハロゲン”は、元素周期表の17族(かつてはVII族)に属する元素を示し、例えば、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり得る。好ましくは、ハロまたはハロゲンはフッ素または塩素である。
【0007】
本明細書で使用される“C−C−アルキル”は、1から4個の炭素原子を含む、直鎖または分岐鎖アルキルを示す。
本明細書で使用される“C−C−アルキレン”は、1から4個の炭素原子を含む、直鎖または分岐鎖アルキレンを示す。
【0008】
本明細書で使用される“C−C−アルケニル”は、2から4個の炭素原子および1個以上の炭素−炭素二重結合を含む、直鎖または分岐鎖炭化水素鎖を示す。
本明細書で使用される“C−C−アルコキシ”は、1から4個の炭素原子を含む、直鎖または分岐鎖アルコキシを示す。
【0009】
本明細書で使用される“フルオロ−C−C−アルキル”、“ヒドロキシ−C−C−アルキル”および“フェニル−C−C−アルキル”は各々、フルオロ、ヒドロキシまたはフェニルにより1個以上の位置で置換された上記定義のC−C−アルキルを示す。
本明細書で使用される“C−C−アルキル−NH−”および“C−C−アルケニル−NH”は各々、上記定義のC−C−アルキルまたは上記定義のC−C−アルケニルにより置換されたアミノを示す。
【0010】
本明細書で使用される“C−C−アルコキシ−C−C−アルキル”は、C−C−アルコキシにより置換された上記定義のC−C−アルキルを示す。
本明細書で使用される“C−C−アルコキシカルボキシ”および“C−C−アルコキシカルボニル”は各々、酸素原子を介してカルボキシ基またはカルボニル基に結合した上記定義のC−C−アルコキシを示す。
【0011】
本明細書で使用される“ヒドロキシ−C−C−アルコキシ”は、ヒドロキシ基により置換された上記定義のC−C−アルコキシを示す。
本明細書で使用される“ヒドロキシ−C−C−アルコキシ−C−C−アルキル”は、C−C−アルコキシ基の酸素原子を介して上記定義のヒドロキシ−C−C−アルコキシにより置換された上記定義のC−C−アルキルを示す。
【0012】
本明細書で使用される“5から10個の環原子を有する炭素環式基”は、5から10個の環炭素原子を有する炭素環式基を示し、それは脂肪族、例えばC−C−シクロアルキル、または芳香族、例えばフェニルであり得る(それぞれの場合で、所望により1個以上の、通常1または2個のC−C−アルキル基により置換されていてもよい)。
【0013】
本明細書で使用される“C−C−シクロアルキル”は、3から7個の環炭素原子を有するシクロアルキル、例えば、単環式基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチル(それらは、1個以上の、通常1または2個のC−C−アルキル基により置換されていてもよい)、または二環式基、例えばビシクロヘプチルを示す。好ましくはC−C−シクロアルキルが、C−C−シクロアルキル、例えばシクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルである。
【0014】
本明細書で使用される“C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル”は、上記定義のC−C−シクロアルキルにより置換された上記定義のC−C−アルキルを示す。
【0015】
本明細書で使用される“1、2または3個が窒素、酸素および硫黄から選択されるヘテロ原子である5から10個の環原子を有するヘテロ環式基”は、例えば、ピロール、ピロリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアジアソール、オキサゾール、イソオキサゾール、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、オキサジアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、ピペリジン、ピペラジン、トリアジン、オキサジン、モルホリノ、キノリン、イソキノリン、ナフチリジン、インダンまたはインデンであり得る。好ましいヘテロ環式環は、ピロリジンおよびモルホリノである。
【0016】
本発明は、好ましくは、
式中、
が、水素、クロロ、メチル、メトキシ、−CHC(O)OCH、−CHCHC(O)OCH、−C(O)N(CH、−C(O)OCH、シアノ、−SO−1−ピロリジニル、−SOCH、−SONHCH、−SON(CH、−SON(CH)CHCOOH、−S−CHまたは−SOCHであり、
が、水素、クロロ、メチルまたはトリ−フルオロメチルであり、そして
が、水素、フルオロ、メチルであるか、
またはRおよびRが、−NH−CH−CH−CH−環または−CH=CH−CH=CH−環を形成するか、
またはRおよびRが、−CH=CH−CH=CH−環を形成し;
が水素またはクロロであり;
が水素またはクロロであり;
がメチル、ヒドロキシメチル、−CH−O−C(O)−N(R12)R13または−CH−X−C(O)−R14であり;
およびRが、メチルであり;
が、エチルまたはプロピルであり;
10が、1−ピロリジニル、−CHCOOH、メチルまたは水素であり;
11が、メチルまたは水素であり;
12が、メチル、エチル、プロピル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル、シアノ、−CHCH−SOCH、−CHCH−S−CH、−CHCH−NH−SOCH、−CHC(O)OCH、−CHCONH、2,2,2−トリフルオロ−エチルであり、
そしてR13が、水素であるか、
またはR12およびR13が、−CH−CH−CHOH−CH−CH−環を形成し;
14が、−NH−CH、−NH−CHCH、−NH−CHCHCH、2−ヒドロキシエチル−NH−、3−ヒドロキシプロピル−NH−、2,3ジヒドロキシプロピル−NH−、1−(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル−NH−、−NH−CHCN、−NH−CHCH−SOCH、−NH−CHCH−S−CH、−NH−CHCH−NH−SOCH、−NH−CHC(O)OCH、−NH−CHCONH、2,2,2−NH−トリフルオロ−エチル、
【化2】

または
【化3】

であり;そして
XがOである
ものを含む、式Iの化合物の使用に関する。
【0017】
本発明は、とりわけ、
式中、
が、−SONHCHであり;
が、水素であり;
が、水素およびクロロであり;
が、水素であり;
が、水素であり;
が、メチル、ヒドロキシメチル、−CH−O−C(O)−N(R12)R13または−CH−X−C(O)−R14であり;
およびRが、両方メチルであり;
が、エチルであり;
10が、メチルであり;
11が、水素であり;
12が、エチルまたは2−ヒドロキシエチルであり、そしてR13が、水素であるか、
またはR12およびR13が、−CH−CH−CHOH−CH−CH−環を形成し;
14が、
【化4】

【化5】

または2−ヒドロキシエチル−NH−であり;そして
XがOである
ものを含む、式Iの化合物の使用に関する。
【0018】
本発明の化合物は、遊離塩基または酸付加塩形で存在する。本発明が、遊離形ならびに酸付加塩形、例えばトリフルオロ酢酸塩または塩酸塩における式Iの化合物を含むことは理解されよう。本発明の医薬的使用のための適当な薬学的に許容される酸付加塩は、特に塩酸塩である。
【0019】
とりわけ、式Iの化合物の好ましい例は下記の化合物を含む:
2−エチルカルバモイルオキシメチル−5,7−ジメチル−3−(2−メチルスルファモイル−フェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−6−カルボン酸エチルエステル;
2−(2−ヒドロキシ−エチルカルバモイルオキシメチル)−5,7−ジメチル−3−(2−メチルスルファモイル−フェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−6−カルボン酸エチルエステル;
3−(2−クロロフェニル)−2−(2−エチルカルバモイルエチル)−5,7−ジメチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−6−カルボン酸エチルエステル;
2−(2−ヒドロキシ−エチルカルバモイルオキシメチル)−5,7−ジメチル−3−(2−メチルスルファモイルフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−6−カルボン酸プロピルエステル;
2−ヒドロキシメチル−5,7−ジメチル−3−(2−メチルスルファモイル−フェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−6−カルボン酸ブチルエステル;および
2,5,7−トリメチル−3−(2−メチルスルファモイルフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−6−カルボン酸シクロブチルメチルエステル。
【0020】
本発明は、最も重要には、2−(2−ヒドロキシ−エチルカルバモイルオキシ−メチル)−5,7−ジメチル−3−(2−メチルスルファモイル−フェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−6−カルボン酸エチルエステル、すなわち式II
【化6】

の化合物の使用に関する。
【0021】
遊離塩基または酸付加塩形における式Iの化合物は、WO 03/066603(この文献の内容は本明細書の一部とする)に記載の通りに製造し得る。
【0022】
可変基の性質および不斉中心の対応する数に依存して、そして選択した出発物質および手順にもまた依存して、式Iの化合物は、立体異性体の混合物、例えばジアステレオ異性体の混合物またはエナンチオマーの混合物、例えばラセミ体の形態で、または純立体異性体の形態でもまた得ることが可能である。本工程またはいくつかの他の方法により得られるジアステレオ異性体の混合物は、慣例の方法、例えば成分間の物理化学的差異に基づいて分別結晶、蒸留および/またはクロマトグラフィーによる既知の方法でエナンチオマーの混合物、例えばラセミ体に、または個々のジアステレオ異性体に分離できる。有利には、より活性な異性体を単離する。
【0023】
本工程またはいくつかの他の方法により得られる、エナンチオマーの混合物、とりわけラセミ体は、既知の方法、例えば微生物の助けを借りた光学活性溶媒からの再結晶により、クロマトグラフィーによりおよび/またはジアステレオ異性体の塩または官能性誘導体、例えばエステルの混合物の形成のために光学活性補助化合物、例えば塩基、酸またはアルコールと反応させ、それらを分離し、そして所望の光学異性体を遊離することにより、個々のエナンチオマーに分離できる。有利には、より活性なエナンチオマーを単離する。
【0024】
本発明の疾患の処置において、遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物は、適当な経路、例えば経口で、例えば錠剤、カプセルまたは液体形態で、非経腸的に、例えば注射可能溶液または懸濁液の形態で、または鼻腔内に、例えば適当な鼻腔内送達デバイスで、例えば当分野で既知の鼻腔用スプレーを使用する、エアロゾル形態または他の噴霧可能製剤により、または吸入により投与され得る。しかし、経口投与が好ましい。
【0025】
遊離塩基または酸付加塩形の式IまたはIIの化合物は、薬学的に許容される希釈剤または担体と共に医薬組成物として投与され得る。このような組成物は、WO 03/066603に記載されている、例えば、乾燥粉末、錠剤、カプセルおよび液体だけでなく、また当分野で既知の他の製剤成分および技術を使用して製造され得る、注射溶液、輸液または吸入懸濁液でもあり得る。
【0026】
遊離塩基または酸付加塩形の式IまたはIIの化合物の用量は、活性成分の活性および持続時間、処置される状態の重症度、投与経路、対象の種、性別、人種、年齢および体重および/またはその個々の状態などの様々な要素に依存し得る。通常、温血動物、特に約75kgのヒトに投与、例えば経口投与される1日用量は、約0.7mgから約1400mg、とりわけ約5mgから約200mgと概算される。該用量は、例えば、単回投与または例えば、5から200mgの複数回投与で投与され得る。
【0027】
咳、例えば乾性咳嗽の処置のための式Iの化合物の適合性を、El-Hashim A. et al. Pulmonary Pharmacology & Therapeutics 17(1) (2004) pages 11-18に記載の方法を用いて、モルモットにおける内因性神経ペプチドの放出により誘導される咳における、式Iの化合物の阻害効果を測定することにより試験できる。
本発明は、下記の実施例(本発明を限定すべきでない)により説明される。
【実施例】
【0028】
雄Dunkin−Hartleyモルモット(350−550g)を空気に、または4本の実験用タバコ(2R4F; Kentucky, USA)により生成されたタバコ煙に、30秒ごとに一吹き3秒間で2日間、暴露する。最後の暴露から24時間後に、意識のある非拘束動物をプレチスモグラフチェンバー(Buxco, USA)に置き、そして10分間、0.9%塩水中、0.3Mクエン酸のエアロゾルで攻撃する。咳およびPenh AUC(気管支収縮の指標)を、El-Hashim A. et al. Pulmonary Pharmacology & Therapeutics 17(1) (2004) pages 11-18に記載の方法を使用して、暴露中10分間および暴露後さらに10分間記録する。
【0029】
高められた咳の応答に対する、2−(2−ヒドロキシ−エチルカルバモイルオキシメチル)−5,7−ジメチル−3−(2−メチルスルファモイル−フェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−6−カルボン酸エチルエステル効果を評価するために、クエン酸テスト1時間前に、動物に化合物(0.3−10mg/kg、n=3−10)または賦形剤(3:1 PEG200:塩水、n=10)を皮下投与する。化合物投与後のタバコ煙暴露動物における、賦形剤投与と比較した該咳応答の阻害%を測定する。データは平均±s.e.平均で表し、有意性はp<0.05(ANOVA & Dunnettの多重比較検定)として定義する。
【0030】
タバコ煙暴露後に、0.3Mクエン酸に対する咳応答の有意な増加が、Penhに対する作用無しで最後の暴露から24時間後に観察される。2−(2−ヒドロキシ−エチルカルバモイルオキシメチル)−5,7−ジメチル−3−(2−メチルスルファモイル−フェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−6−カルボン酸エチルエステル(0.3、1、3または10mg/kg)は、各々18±14、49±17、80±13および100±0%までタバコ煙により高められた咳を阻害し、1から10mg/kgで有意である。0.3、1、3および10mg/kgの2−(2−ヒドロキシ−エチルカルバモイルオキシメチル)−5,7−ジメチル−3−(2−メチルスルファモイル−フェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−6−カルボン酸エチルエステルに関して、基準Penh値が、各々48±17、55±19、77±10および86±2%まで阻害され、3mg/kgでのみ有意な阻害を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
咳の処置用医薬の生成のための、式I
【化1】

[式中、
、R、R、RおよびRは、独立して、水素;ハロゲン;C−Cアルキル;C−Cアルケニル;C−Cシクロアルキル;C−CシクロアルキルC−Cアルキル;C−CアルコキシC−Cアルキル;C−Cアルキルカルボキシ;ヒドロキシC−CアルコキシC−Cアルキル;ヒドロキシ;ヒドロキシC−Cアルキル;ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、カルボキシ、C−CアルコキシカルボニルC−Cアルキル、C−Cアルコキシカルボニル、シアノにより置換されていてもよいフェニルC−Cアルキル;−SO10;シアノ;−SON(R10)R11;−S−R10または−SOR10であるか;または、RおよびRがもしくはRおよびRが、それらの結合している炭素原子と一緒に、5から10個の環原子を有する芳香族性または脂肪族炭素環式基または1、2または3個が窒素、酸素および硫黄から選択されるヘテロ原子である5から10個の環原子を有するヘテロ環式基を示し;
は、−CH−O−C(O)−N(R12)R13、−CH−X−C(O)−R14、C−CアルキルまたはヒドロキシC−Cアルキルであり;
、RおよびRは、独立してC−Cアルキルであり;
10およびR11は、独立して、水素、C−Cアルキル;C−Cアルケニル;C−Cシクロアルキル;C−CシクロアルキルC−Cアルキル;C−CアルコキシC−Cアルキル;C−Cアルキルカルボキシ;ヒドロキシC−CアルコキシC−Cアルキル;ヒドロキシ;ヒドロキシC−Cアルキル;所望によりヒドロキシ、C−Cアルコキシ、カルボキシ、C−CアルコキシカルボニルC−Cアルキル、C−Cアルコキシカルボニル、シアノにより置換されていてもよいフェニルC−Cアルキルであるか;またはR10およびR11が、一緒に1、2または3個が窒素、酸素および硫黄から選択されるヘテロ原子である5から10個の環原子を有するヘテロ環式基を形成し;
12およびR13は、独立して水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、C−CシクロアルキルC−Cアルキル、C−CアルコキシC−Cアルキル、ヒドロキシC−CアルコキシC−Cアルキル、ヒドロキシC−Cアルキル、ジヒドロキシC−Cアルキル、C−CアルコキシカルボニルC−Cアルキル、C−Cアルコキシカルボニル、シアノ、−SO10、−SON(R10)R11、−S−R10、−SOR10、−C−C−アルキレン−SO10、−C−C−アルキレン−SOR10、−C−C−アルキレン−NH−SO10、−C−C−アルキレン−CON(R10)R11、−CON(R10)R11、−C−C−アルキレン−C(O)OR10、フルオロアルキルであるか、またはR12およびR13が、5から10個の環原子を有する置換または非置換ヘテロ環式基を形成し;
14は、NH、C−Cアルキル−NH−、C−Cアルケニル−NH−、C−Cシクロアルキル−NH−、C−CシクロアルキルC−Cアルキル−NH−、C−CアルコキシC−Cアルキル−NH−、ヒドロキシC−CアルコキシC−Cアルキル−NH−、ヒドロキシC−Cアルキル−NH−、ジヒドロキシC−Cアルキル−NH−、C−CアルコキシカルボニルC−Cアルキル−NH−、C−Cアルコキシカルボニル−NH−、−NH−C−C−アルキレン−CN、−NH−SO10、−NH−SON(R10)R11、−NH−C−C−アルキレン−S−R10、−NH−SOR10、−NH−C−C−アルキレン−SO10、−NH−C−C−アルキレン−SOR10、−NH−C−C−アルキレン−NH−SO10、−NH−C−C−アルキレン−CON(R10)R11、−NH−CON(R10)R11、−NH−C−C−アルキレン−C(O)OR10、−NH−フルオロアルキル、または5から10個の環原子を有する置換または非置換ヘテロ環式基であり;そして
Xは、OまたはCHである。
ただし、Rがハロゲン、メチル、エチル、メトキシ、トリフルオロメチルまたは水素のいずれかであり、そしてR、R、Rが水素、メチルまたはメトキシのいずれかであり、そしてRが水素またはメチルであるとき、R12は水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、ヒドロキシC−Cアルキル、−C−C−アルキレン−SO10、−C−C−アルキレン−SOR10でない。]
の化合物の遊離塩基または酸付加塩形の使用。
【請求項2】
が、水素、クロロ、メチル、メトキシ、−CHC(O)OCH、−CHCHC(O)OCH、−C(O)N(CH、−C(O)OCH、シアノ、−SO−1−ピロリジニル、−SOCH、−SONHCH、−SON(CH、−SON(CH)CHCOOH、−S−CHまたは−SOCHであり、
が、水素、クロロ、メチルまたはトリ−フルオロメチルであり、そして
が、水素、フルオロ、メチルであるか、
またはRおよびRが、−NH−CH−CH−CH−環または−CH=CH−CH=CH−環を形成するか、
またはRおよびRが、−CH=CH−CH=CH−環を形成し;
が水素またはクロロであり;
が水素またはクロロであり;
がメチル、ヒドロキシメチル、−CH−O−C(O)−N(R12)R13または−CH−X−C(O)−R14であり;
およびRが、メチルであり;
が、エチルまたはプロピルであり;
10が、1−ピロリジニル、−CHCOOH、メチルまたは水素であり;
11が、メチルまたは水素であり;
12が、メチル、エチル、プロピル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル、シアノ、−CHCH−SOCH、−CHCH−S−CH、−CHCH−NH−SOCH、−CHC(O)OCH、−CHCONH、2,2,2−トリフルオロ−エチルであり、
そしてR13が、水素であるか、
またはR12およびR13が、−CH−CH−CHOH−CH−CH−環を形成し;
14が、−NH−CH、−NH−CHCH、−NH−CHCHCH、2−ヒドロキシエチル−NH−、3−ヒドロキシプロピル−NH−、2,3−ジヒドロキシプロピル−NH−、1−(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル−NH−、−NH−CHCN、−NH−CHCH−SOCH、−NH−CHCH−S−CH、−NH−CHCH−NH−SOCH、−NH−CHC(O)OCH、−NH−CHCONH、2,2,2−NH−トリフルオロ−エチル、
【化2】

または
【化3】

であり;そして
XがOである、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
が、−SONHCHであり;
が、水素であり;
が、水素およびクロロであり;
が、水素であり;
が、水素であり;
が、メチル、ヒドロキシメチル、−CH−O−C(O)−N(R12)R13または−CH−X−C(O)−R14であり;
およびRが、両方メチルであり;
が、エチルであり;
10が、メチルであり;
11が、水素であり;
12が、エチルまたは2−ヒドロキシエチルであり、そしてR13が、水素であるか、
またはR12およびR13が、−CH−CH−CHOH−CH−CH−環を形成し;
14が、
【化4】

【化5】

または2−ヒドロキシエチル−NH−であり;そして
XがOである、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
式Iの化合物が、
2−エチルカルバモイルオキシメチル−5,7−ジメチル−3−(2−メチルスルファモイル−フェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−6−カルボン酸エチルエステル;
2−(2−ヒドロキシ−エチルカルバモイルオキシメチル)−5,7−ジメチル−3−(2−メチルスルファモイル−フェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−6−カルボン酸エチルエステル;
3−(2−クロロフェニル)−2−(2−エチルカルバモイルエチル)−5,7−ジメチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−6−カルボン酸エチルエステル;
2−(2−ヒドロキシ−エチルカルバモイルオキシメチル)−5,7−ジメチル−3−(2−メチルスルファモイルフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−6−カルボン酸プロピルエステル;
2−ヒドロキシメチル−5,7−ジメチル−3−(2−メチルスルファモイル−フェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−6−カルボン酸ブチルエステル;および
2,5,7−トリメチル−3−(2−メチルスルファモイルフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−6−カルボン酸シクロブチルメチルエステル
からなる群から選択される、請求項1から3に記載のいずれかの使用。
【請求項5】
式Iの化合物が式II
【化6】

の化合物である、請求項1から4に記載のいずれかの使用。
【請求項6】
該咳が喀痰を伴う咳である、請求項1から5に記載のいずれかの使用。
【請求項7】
該咳が乾性咳嗽である、請求項1から5に記載のいずれかの使用。
【請求項8】
該咳が慢性閉塞性肺疾患または急性ウイルス感染に関連する咳である、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
該咳が喘息に関連する咳である、請求項7に記載の使用。
【請求項10】
処置を必要とする対象における咳の処置法であって、有効量の請求項1に定義の式Iの化合物の遊離形または薬学的に許容される塩形を該対象に投与することを含む方法。

【公表番号】特表2008−502639(P2008−502639A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515887(P2007−515887)
【出願日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【国際出願番号】PCT/EP2005/006494
【国際公開番号】WO2005/123694
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】