説明

商品販売登録装置

【課題】 エラー発生後の登録業務をスムーズに行うことである。
【解決手段】 数字キー入力と操作キー入力との組み合わせて一ステップの業務を遂行する業務遂行手段と、この業務遂行手段による業務の進行時に入力エラーがあったか否かを検出するエラー検出手段と、エラーの内容を表示するエラー内容表示手段と、エラー発生時にエラー発生直前状態に復帰させる復帰手段とを備えた商品販売登録装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品の売上記録及びその集計に使用される電子式キャッシュレジスタやPOS(Point of Sales)端末等の商品販売登録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の商品販売登録装置において、商品の売上登録やデータの入力に際しては、キャッシャーやオペレータによるキーボード操作を伴うものである。このキーボード操作は、手入力によるものであるため、間違ったキーを押下したり、誤った操作をしてしまう等のミスの発生をなくすことは不可能である。このようなときには、当然、正しいキー入力あるいは操作をし直す必要がある。
【0003】
従来のエラー発生時の処理状態を図1に基いて説明する。まず、実例として、部門1の150円の商品が売り上げられ、ついで、部門2の180円の商品が売り上げられ、客から500円の売上金額を預かっていたにも拘わらず、入金金額を50円と誤って入力した場合を想定している。まず、商品の売上金額として150円を入力し、かつ、その商品が部門1であることを入力する。この部門1の入力が一ステップの終了を意味しているので、売上金額150円はメモリに登録されるとともにレシートに売上金額として印字される。これにより、一ステップの業務が終了したことであるので、メモリがクリアされ、ついで、二個目の商品の登録業務に移行する。まず、商品の売上金額として180円を入力し、かつ、その商品が部門2であることを入力する。この部門2の入力が一ステップの終了を意味しているので、売上金額180円はメモリに登録されるとともにレシートに売上金額として印字される。このときの売上金額180円はメモリに登録されるとともにレシートに売上金額として印字される。これにより、一ステップの業務が終了したことであるので、メモリがクリアされる。客からの売上はこれだけであるので、精算業務に移行するが、客からは、全売上高150円+180円=330円であるため、500円を預かる。すなわち、客に返却すべきお釣りは、170円である。この状態でキャッシャーは、預り金額500円を入力したつもりであったが、実際には、50円と誤ったキー操作をしてしまったとする。この入力データはメモリに記憶される。そして、集計業務の終了を意味する「預/現計キー」を操作する。この時点で、誤りがあったか否かのチェックがなされる。もし、500円と正しく入力されていたとすれば、預り金500円で釣り銭が170円である旨の内容が印刷され、メモリがクリアされて一人の客に対する販売業務が終了する。しかしながら、実際には、預り金額500円を入力したつもりで50円と誤ったキー操作をしてしまったのであるから、預り金が売上総額330円に達していないため、当然、エラー発生ということになる。このエラー発生時には、エラーした旨のエラー音やエラーメッセージが報知され、オペレータはエラーが発生したことを認識し、クリアキーを操作する。これにより、50円の金額入力と「預/現計キー」の操作とがクリアされ、かつ、メモリもクリアされて集計業務の先頭に戻る。このとき、オペレータが集計業務においてエラーが発生したと認識できる根拠は、150円売上と180円売上との登録時には、レシートにそれぞれのステップが印字されているにも拘わらず、集計業務の印字はいまだなされていないことによる。そのため、集計業務の操作中にエラーが発生したと認識したオペレータは、再度、預り金を確認して、正しい500円と入力する。そして、「預/現計キー」の操作することにより、業務は進行し、今回はエラーではないので、集計の印字がなされ、メモリがクリアされて一連の業務が終了する。
【0004】
このようなキーボード入力エラーが発生した時に、そのエラー発生をブザーの鳴動で報知するか、表示装置にメッセージを表示することが行われることは、特許文献1に記載されている。もっとも、この特許文献1に記載された発明は、エラー発生をブザーの鳴動で報知するか、表示装置にメッセージを表示することが行われていることを従来技術として、エラー発生時に、オペレータにメッセージによりエラー原因と回復方法を指示するようにしたものである。
【0005】
【特許文献1】特開平2−15395号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されているように、エラー発生時の報知がなされるとともに、エラー発生時に、オペレータにメッセージによりエラー原因と回復方法を指示することが行われているものであるが、一連の業務遂行時におけるエラー発生の直前までの状態に戻し、その後の作業をスムーズに行うことができるように配慮されているものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、数字キー入力と操作キー入力との組み合わせで一ステップの業務を遂行する業務遂行手段と、この業務遂行手段による業務の進行時に入力エラーがあったか否かを検出するエラー検出手段と、エラーの内容を表示するエラー内容表示手段と、エラー発生時にエラー発生直前状態に復帰させる復帰手段とを備えた商品販売登録装置である。
【発明の効果】
【0008】
したがって、エラー発生時には、エラー内容表示手段によりエラーの内容を表示するとともに、復帰手段によりエラー発生直前状態に復帰させることができ、これにより、キャッシャー等の操作者は、直ちにエラー発生前の状態から入力操作を続行することができ、これにより、エラー発生時の継続業務をスムーズに行うことができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施の態様を図2〜図5に基いて説明する。図1は、POS端末100の外観斜視図である。POS端末100は、貨幣を収納するドロワ101の上に載置されて使用される。このようなPOS端末100は、ハウジング102を備えている。ハウジング102の上面後方部分には、表示器103が設けられている。表示器103は、ハウジング102の上面に載置されたオペレータ面表示器103aと、ハウジング102から立設された客面表示器103bとから構成されている。ハウジング102の上面前方部分には、キーボード104が配置されている。キーボード104には、テンキー104a、小計キー104b、預/現計キー104c、両替キー104dが含まれている。これらの表示器103及びキーボード104は、マンマシンインターフェースを構成する。マンマシンインターフェースを構成するものとしては、更に、オペレータ面表示器103aにタッチパネル104e(図2参照)が積層して設けられている。
【0010】
ハウジング102の上面左部分には、レシートプリンタ105(図4参照)が設けられている。レシートプリンタ105は、レシート発行口105aを備えている。
【0011】
さらに、POS端末100には、商品コードを光学的に読み取るためのバーコードスキャナ106が接続されている。
【0012】
ここで、テンキー104aは、例えば、客の預かり金額を入力するためのキーであり、本実施の形態では、外国通貨の預かり金額を入力する場合にも用いられる。小計キー104bは、商品販売データ処理業務において売上合計金額の算出を宣言するためのキーである。本実施の形態において、小計キー104bは、両替換算後の通貨額の表示を宣言する役割も兼ねている。預/現計キー104cは、商品販売データ処理業務において現金取引による締めを宣言するためのキーである。本実施の形態において、預/現計キー104cは、両替取引による締めを宣言する役割も兼ねている。外国通貨両替キー104dは、両替取引の開始を宣言するためのキーである。
【0013】
図2は、POS端末100のハードウエア構成を示すブロック図である。POS端末100は、図示しないメイン基板上にマイクロコンピュータ107を備え、マイクロコンピュータ107が各部を駆動制御する。マイクロコンピュータ107は、各部を集中的に制御するCPU107aに、ROM107bとRAM107cとがバスライン107dを介してバス接続されて構成されている。ROM107bには固定データが固定的に記憶されている。RAM107cは、可変データを書き換え自在に記憶し、ワークエリアとして使用される。
【0014】
マイクロコンピュータ107には、ドロワ制御部107eを介してドロワ101が接続され、表示制御部107fを介して表示器103が接続され、入力制御部107gを介してキーボード104及びタッチパネル104eが接続され、プリンタ制御部107hを介してレシートプリンタ105が接続され、バーコードスキャナ制御部107iを介してバーコードスキャナ106が接続されている。
【0015】
POS端末100のメイン基板上には、通信I/F107jも搭載されている。通信I/F107jは、バスライン107dを介して外部機器との間でデータ通信を可能にする。通信が可能となる外部機器は、例えば、店舗10の内部に設けられたストアコントローラや通信サーバ等である。
【0016】
POS端末100は、記憶装置としてHDD107kを備えている。HDD107kは、マイクロコンピュータ107にバスライン107dを介して接続されている。各種の処理プログラムは、一例として、HDD107kにインストールされている。HDD107kにインストールされている各種の処理プログラムとしては、商品販売データ処理を実行する処理プログラムである。
【0017】
まず、図4に示すものは、従来例として図1に示した例と同様な入力をした時のもので、全ての操作が正常に実行された場合である。すなわち、商品の売上金額として150円を入力し、かつ、その商品が部門1であることを入力する。この部門1の入力が一ステップの終了を意味しているので、売上金額150円はメモリに登録されるとともにレシートに売上金額として印字される。これにより、一ステップの業務が終了したことであるので、メモリがクリアされ、ついで、二個目の商品の登録業務に移行する。まず、商品の売上金額として180円を入力し、かつ、その商品が部門2であることを入力する。この部門2の入力が一ステップの終了を意味しているので、売上金額180円はメモリに登録されるとともにレシートに売上金額として印字される。このときの売上金額180円はメモリに登録されるとともにレシートに売上金額として印字される。これにより、一ステップの業務が終了したことであるので、メモリがクリアされる。客からの売上はこれだけであるので、精算業務に移行するが、客からは、全売上高150円+180円=330円であるため、500円を預かる。すなわち、客に返却すべきお釣りは、170円である。この状態でキャッシャーは、預り金額500円を入力する。ついで、「預/現計キー104c」を操作する。これにより、預り金500円で釣り銭が170円である旨の内容が印刷され、メモリがクリアされて一人の客に対する販売業務が終了する。
【0018】
このような図4に示す業務遂行において、預り金額500円を入力したつもりであったのに、50円しか入力しなかった状態が図5である。すなわち、商品の売上金額として150円を入力し、かつ、その商品が部門1であることを入力する。この部門1の入力が一ステップの終了を意味し、業務遂行手段として作用するので、売上金額150円はメモリに登録されるとともにレシートに売上金額として印字される。これにより、一ステップの業務が終了したことであるので、メモリがクリアされ、ついで、二個目の商品の登録業務に移行する。まず、商品の売上金額として180円を入力し、かつ、その商品が部門2であることを入力する。この部門2の入力が一ステップの終了を意味しているので、売上金額180円はメモリに登録されるとともにレシートに売上金額として印字される。このときの売上金額180円はメモリに登録されるとともにレシートに売上金額として印字される。これにより、一ステップの業務が終了したことであるので、メモリがクリアされる。客からの売上はこれだけであるので、精算業務に移行するが、客からは、全売上高150円+180円=330円であるため、500円を預かる。すなわち、客に返却すべきお釣りは、170円である。この状態でキャッシャーは、預り金額500円を入力したつもりであったが、実際には、50円と誤ったキー操作をしてしまった。この入力データはメモリに記憶される。そして、集計業務の終了を意味する「預/現計キー104c」を操作する。この時点で、誤りがあったか否かのチェックがなされる。ここでは、預り金額500円を入力したつもりで50円と誤ったキー操作をしてしまったのであるから、預り金が売上総額330円に達していないため、エラー検出手段が動作することにより、当然、エラー発生ということになる。このエラー発生時には、エラー発生報知手段により一定時間エラー音が発生する。このエラー音発生があったとき、金額ミスをした内容、すなわち、メモリ内容が表示器103に表示される。これがエラー内容表示手段である。具体的には、入力金額「50円」が表示される。そのため、キャッシャーは、預り金の金額の入力ミスであることをすぐに知ることができる。そのため、修正金額入力をすることになるが、「50」と表示されている状態は、エラー発生直前状態であるため、そのまま、「0」キーを操作して「50」を「500」にするだけの操作で正常な入力が完了し、つぎに、「預/現計キー104c」を操作することにより、エラー検出はなされずレシートに集計結果が印字されてメモリがクリアされ、一連の販売業務が完了する。
【0019】
また、前述の実例では、預り金の金額を間違えた状態について説明したが、「預/現計キー104c」を操作すべきところ、「両替キー104d」を操作してしまった場合も誤った操作であるため、エラーとなる。この場合にも、エラー発生報知手段によるエラー発生報知と何が間違っていたかをエラー内容表示手段により表示され、かつ、エラー発生直前の状態に復帰しているため、その後の操作がきわめて容易である。また、キャッシャーやオペレータがパニックになることもない。
【0020】
さらに、前述の実施の態様においては、一ステップの業務が完了する毎にレシートに印字される状態で説明したが、「預/現計キー104c」の操作に基いて一括して印字される一括印字方式のレシート発行形態であっても実施可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】従来の一連の販売業務の流れを示すフローチャートである。
【図2】本発明の実施の態様を示すPOS端末の斜視図である。
【図3】POS端末の内部構造を示すブロック図である。
【図4】正常な操作で一連の販売業務が実行された場合の流れを示すフローチャートである。
【図5】操作ミスがあった状態のフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
数字キー入力と操作キー入力との組み合わせで一ステップの業務を遂行する業務遂行手段と、この業務遂行手段による業務の進行時に入力エラーがあったか否かを検出するエラー検出手段と、入力エラーが発生したことを報知するエラー発生報知手段と、エラー発生時にエラー発生直前状態に復帰させる復帰手段とを備えたことを特徴とする商品販売登録装置。
【請求項2】
一ステップの業務が終了する毎に入力データを記憶するメモリがクリアされることを特徴とする請求項1記載の商品販売登録装置。
【請求項3】
一ステップの業務が終了する毎に入力データが印字されることを特徴とする請求項1又は2記載の商品販売登録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−47908(P2007−47908A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−229395(P2005−229395)
【出願日】平成17年8月8日(2005.8.8)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】