説明

商品運搬器具

【課題】 商品運搬器具に入った商品の決済状況を、容易に確認可能とする。
【解決手段】 実施形態の商品運搬器具は、容器と、読取手段と、判定手段と、第1の表示器と、第2の表示器と、制御手段とを含む。容器は、1つまたは複数の商品を収容する。読取手段は、商品を識別する識別情報を容器に収容された1つまたは複数の商品のそれぞれから読み取る。判定手段は、読取手段により読み取られた1つまたは複数の識別情報により識別される全ての商品についての決済が完了したことを判定する、第1の表示器は、容器に収容された1つまたは複数の商品を購入する顧客に対して通知する情報を表示する。第2の表示器は、第1の表示器が表示する情報を目視可能な範囲よりも広範囲から目視可能である。制御手段は、決済が完了したことが判定手段により判定されているか否かを表示するように第2の表示器を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、商品運搬器具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にスーパーマーケットなどにおいては、ショッピングカートなどの商品運搬器具を使用して商品が運搬される。そして、多くの場合、決算前の商品も、決算後の商品も、同じ商品運搬器具を使用して運搬される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−034789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
商品運搬器具に入った商品が決済済みであるか否かは、商品運搬器具に入った商品と、取引証明書に記載された商品名とを照合しなければ分からない。
【0005】
このような事情から、商品運搬器具に入った商品の決済状況を、周囲に居る人間が容易に確認できることが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の商品運搬器具は、容器と、読取手段と、判定手段と、第1の表示器と、第2の表示器と、制御手段とを含む。容器は、1つまたは複数の商品を収容する。読取手段は、商品を識別する識別情報を容器に収容された1つまたは複数の商品のそれぞれから読み取る。判定手段は、読取手段により読み取られた1つまたは複数の識別情報により識別される全ての商品についての決済が完了したことを判定する、第1の表示器は、容器に収容された1つまたは複数の商品を購入する顧客に対して通知する情報を表示する。第2の表示器は、第1の表示器が表示する情報を目視可能な範囲よりも広範囲から目視可能である。制御手段は、決済が完了したことが判定手段により判定されているか否かを表示するように第2の表示器を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】ショッピングカートが備える電気設備のブロック図。
【図2】ショッピングカートの外観の斜視図。
【図3】商品リストエリアに記憶された商品リストの一例を示す図。
【図4】CPUの処理のフローチャート。
【図5】表示画面の一例を示す図。
【図6】CPUの処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下実施の形態の一例を図面を用いて説明する。なお、本実施の形態では、商品運搬器具としてショッピングカートを例に説明する。
【0009】
図1は本実施形態に係るショッピングカート100が備える電気設備のブロック図である。図2はショッピングカート100の外観の斜視図である。
【0010】
図1に示すようにショッピングカート100は、電気設備として、CPU(central processing unit)1、記憶部2、操作部3、客面表示器4、決済ランプ5、タグ通信部6、無線LAN(local area network)通信部7、重量計8、カードリーダ9およびプリンタ10を含む。CPU1、記憶部2、操作部3、客面表示器4、決済ランプ5、タグ通信部6、無線LAN通信部7、重量計8、カードリーダ9およびプリンタ10は、バス11に接続される。なお、客面表示器4、決済ランプ5、タグ通信部6、無線LAN通信部7、重量計8、カードリーダ9およびプリンタ10は、コントローラおよび通信ケーブルを介してバス11に接続されても良い。これらの電気設備は、図示しないバッテリから供給される電力により動作する。
【0011】
図2に示すようにショッピングカート100は、商品かご101、走行機構102、ユーザインタフェースユニット103およびランプユニット104を含む。
【0012】
CPU1は、記憶部2に記憶されたオペレーティングシステム、ミドルウェアおよびアプリケーションプログラムに基づいて動作し、記憶部2、操作部3、客面表示器4、決済ランプ5、タグ通信部6、無線LAN通信部7、重量計8、カードリーダ9およびプリンタ10を制御する。
【0013】
記憶部2は、ROM(read-only memory)およびRAM(random-access memory)を含む。記憶部2は、例えばハードディスクドライブやSSD(solid state drive)などの補助記憶ユニットを含んでも良い。記憶部2は、上記のオペレーティングシステム、ミドルウェアおよびアプリケーションプログラムを記憶する。記憶部2は、CPU1が各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する場合も有る。記憶部2は、CPU1が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておくエリア、つまりワークエリアとして利用される。記憶部2の記憶領域の一部は、商品リストエリアとして使用される。
【0014】
図3は商品リストエリアに記憶された商品リストの一例を示す図である。
【0015】
図3に示すように商品リストエリアには、タグコード、商品コード、商品名、単価、重量および決済フラグの各情報を互いに関連付けて記憶するためのデータフィールドがそれぞれ複数づつ設けられる。かくして商品リストエリアには、タグコードおよび商品コードの組合せからなる商品識別情報に対応して、商品名、単価、重量および決済フラグの各情報を記憶することができる。
【0016】
なお、図3においては、タグコードおよび商品コードは、具体的な情報の図示を省略している。
【0017】
操作部3は、典型的にはタッチセンサである。操作部3がタッチセンサである場合、操作部3は客面表示器4の表示面に積層配置される。操作部3は、客面表示器4の表示画面へのタッチがなされた際に、そのタッチ位置に応じた検出信号を出力する。
【0018】
客面表示器4は、典型的にはLCD(liquid crystal display)である。客面表示器4は、CPU1の制御の下に画像を表示する。客面表示器4が表示する画像は、通常はショッピングカート100を使用している顧客(以下、単に顧客と称する)に対して提示するべき各種の情報を表した画像である。
【0019】
決済ランプ5は、少なくとも2つの表示状態をCPU1の制御の下に選択的にとり得る。2つの表示状態は、例えば点灯状態と消灯状態とである。あるいは2つの表示状態は、互いに点灯色(例えば赤と青)が異なる2つの点灯状態である。決済ランプ5は、ショッピングカート100の周囲の広範囲に居る、当該ショッピングカートを使用している顧客以外の人間から表示状態を認識可能である。決済ランプ5は、その表示状態を水平方向についての360度の範囲のどこからでも、かつ遠距離からでも視認できることが望ましい。決済ランプ5は、少なくとも客面表示器4よりも表示状態の視認可能範囲が広い。
【0020】
タグ通信部6は、商品に取り付けられたRFID(radio frequency identification)タグと通信し、RFIDタグの識別コード(以下、タグコードと記す)と商品の識別コード(以下、商品コードと記す)とを少なくともRFIDタグから取得する。タグ通信部6は、商品かご101の中を通信範囲とする。
【0021】
無線LAN通信部7は、複数の無線アクセスポイント200のうちの1つとLAN300とを介してサーバ400と通信する。なお、無線アクセスポイント200は、店舗内のさまざまな位置に設置される。サーバ400は、店舗に備えられたいわゆる店舗サーバや、複数の店舗を総括する本部に備えられたいわゆる本部サーバである。サーバ400は、商品販売データを集計したり、ショッピングカート100で使用するデータを管理する。サーバ400は、店舗にて販売する商品に関するPLU(price lock up)ファイルを保持している。PLUファイルは、店舗にて販売する商品のそれぞれの商品コードに関連付けて、商品名、単価および重量を含んだ各種の情報を含んでいる。また、サーバ400は、それぞれの商品コードに関連付けて、店舗にて販売した商品のそれぞれの売上を計上する売上ファイルも保持している。
【0022】
重量計8は、商品かご101の中にある商品の総重量を計測する。
【0023】
カードリーダ9は、決済カードに記録されたカード情報を読み取る。なお、決済カードとは、現金によらずに決済を行うためのカードのことであり、クレジットカード、電子マネー対応IC(integrated circuit)カード、デビットカードおよびプリペイドカードなどが含まれ得る。
【0024】
プリンタ10は、例えばサーマルプリンタやドットインパクトプリンタなどであり、取引証明書(レシート)を印刷する。
【0025】
商品かご101は、商品を収容する収容空間を内部に形成している。商品かご101の底部は箱状のケース101aとなっている。ケース101aは、CPU1、記憶部2、タグ通信部6、無線LAN通信部7および重量計8を収容する。商品かご101は、ユーザインタフェースユニット103およびランプユニット104を支持する。
【0026】
走行機構102は、商品かご101の下方に位置し、商品かご101を支持する。走行機構102は、4つの車輪102aを備え、手押しによる走行可能である。
【0027】
ユーザインタフェースユニット103は、操作部3、客面表示器4、カードリーダ9およびプリンタ10を収容する。ユーザインタフェースユニット103は、客面表示器4の表示面を顧客に向ける。本実施形態では、カードリーダ9は、磁気ストライプタイプのクレジットカードおよび非接触タイプの電子マネー対応ICカードに対応する。カードリーダ9は、スリット9aに沿って顧客によりスライドされるクレジットカードからカード情報を読み取る。カードリーダ9は、読み取りユニット9bに近接したICカードから無線でカード情報を読み取る。なおカードリーダ9は、ICカード以外の媒体に搭載されたICチップからもカード情報と同種の情報を読み取ることができる。プリンタ10は、プリントした取引証明書を排出口10aからユーザインタフェースユニット103の外に排出する。
【0028】
ランプユニット104は、決済ランプ5を含む。ランプユニット104は、決済ランプ5の点灯状態を、顧客以外の周囲の人間から容易に目視可能なように決済ランプ5を位置させる。
【0029】
次に以上のように構成されたショッピングカート100の動作について説明する。
【0030】
CPU1は起動されると、図4に示すような処理を開始する。
【0031】
ステップSa1およびステップSa2の待ち受け状態においてCPU1は、決済要求がなされたか否かと、スキャンタイミングが到来したか否かを繰り返し確認する。そしてスキャンタイミングが到来したならば、CPU1はステップSa2からステップSa3へ進む。なお、スキャンタイミングは、例えば一定時間(数秒程度)間隔とする。
【0032】
ステップSa3においてCPU1は、商品かご101に入っている商品をスキャンする。具体的には、商品かご101に入っている商品に取り付けられたRFIDタグから情報を取得するようにタグ通信部6に指示し、この指示に応じてタグ通信部6がRFIDタグから取得した情報を取り込む。
【0033】
ステップSa4においてCPU1は、ステップSa3で取り込んだ情報と商品リストエリアの情報とを照合することによって、商品リストに登録されている商品と今回検出された商品とに不一致があるか否かを確認する。そしてCPU1は、不一致があるならばステップSa4からステップSa5へ進み、不一致がないならば後述するステップSa5およびステップSa6を行わずにステップSa7へ進む。
【0034】
ステップSa5においてCPU1は、商品リストを更新する。具体的には、今回新たに検出された商品に関するタグコードおよび商品コードを商品リストエリアに追加する。また、その商品コードに基づいて、サーバ400から商品名、単価および重量の情報を取得し、それらの情報を上記のタグコードおよび商品コードに関連付けて商品リストエリアに書き込むとともに、決済フラグは「0」とする。なお、PLUファイルをサーバ400から取得して記憶部2に記憶しておき、商品名、単価および重量の情報をCPU1が記憶部2から読み出しても良い。また、商品リストに登録されていながら今回は検出されなかった商品に関する情報を商品リストエリアから削除する。
【0035】
ステップSa6においてCPU1は、更新後の商品リストの内容を表すように客面表示器4の表示画面を変更する。
【0036】
図5は客面表示器4の表示画面の一例を示す図である。図5は商品リストが図3に示す状態であるときの表示画面の例である。
【0037】
図5に示す表示画面は、表示領域A1,A2,A3,A4およびボタンBを含む。
【0038】
表示領域A1は、後述する決済処理により決済が済んだ商品についての商品名、単価、点数および金額を示す。CPU1は、商品リストにおいて「1」となっている決済フラグに関連付けられた情報をこの表示領域A1に示す。
【0039】
表示領域A2は、決済が済んだ商品についての合計点数および合計金額を示す。
【0040】
表示領域A3は、決済が済んでいない商品についての商品名、単価、点数および金額を示す。CPU1は、商品リストにおいて「0」となっている決済フラグに関連付けられた情報をこの表示領域A1に示す。
【0041】
表示領域A2は、決済が済んでいない商品についての合計点数および合計金額を示す。
【0042】
ボタンBは、顧客が決済を要求するためのボタンである。
【0043】
ここで、決済処理について説明する。
【0044】
CPU1がステップSa1およびステップSa2の待ち受け状態にあるときにボタンBを顧客がタッチしたならば、CPU1はステップSa1においてYESと判断し、ステップSa1からステップSa12の決済処理へ進む。
【0045】
図6は決済処理のフローチャートである。
【0046】
ステップSb1においてCPU1は、商品リストエリアに記憶された重量の総和として求まる総重量と、重量計8での計量値との重量差を算出する。
【0047】
ステップSb2においてCPU1は、重量差が予め定められた許容値以下であるか否かを確認する。そして重量差が許容値よりも大きいならば、CPU1はステップSb2からステップSb3へ進み、エラー処理を行う。このエラー処理は例えば、商品かご101に入っている商品の情報を正しくスキャンできないことを顧客に報知するなどの処理である。そしてこのエラー処理を終えたならばCPU1は、決済処理を終了する。
【0048】
重量差が許容値以下であるならば、CPU1はステップSb2からステップSb4へ進む。
【0049】
ステップSb4においてCPU1は、商品かご101に入っている商品のうちで決済が済んでいない商品についての買上金額を算出する。具体的には、商品リストにおいて「0」となっている決済フラグに関連付けられた単価の総和として買上金額を算出し、この買上金額を客面表示器4に表示させる。
【0050】
客面表示器4に表示された買上金額を確認した顧客は、クレジットカードをスリット9aに沿ってスライドさせるか、ICカードを読み取りユニット9bにかざす。そうするとカードリーダ9が、クレジットカードまたはICカードからカード情報を読み取る。
【0051】
ステップSb5においてCPU1は、カードリーダ9が読み取ったカード情報をカードリーダ9から取得する。
【0052】
ステップSb6においてCPU1は、ステップSb4で算出した買上金額とステップSb5で取得したカード情報とを含んだ決済要求情報を、サーバ400へ送信する。
【0053】
なお、サーバ400において、物品販売の売上実績等の管理を行うのであれば、CPU1はこのときに商品かご101に入っている商品のうちで決済が済んでいない商品に関する登録要求情報をサーバ400へ送信する。登録要求情報は、少なくとも商品コードを含む。登録要求情報には、タグコード、数量、検出日時などの他の様々な情報を含んでも良い。登録要求情報は、決済要求情報に含まれても良いし、決済要求情報とは別であっても良い。サーバ400は、受信した登録要求情報に基づいて、例えば売上ファイルを更新処理する。
【0054】
この決済要求情報を受けるとサーバ400は、買上金額を決済するための周知の処理を実行する。そして、決済が完了したか否かを表した応答情報をショッピングカート100に送信する。この応答情報を、無線LAN通信部7が受信する。無線LAN通信部7は、応答情報をCPU1に与える。
【0055】
ステップSb7においてCPU1は、決済が完了したか否かを応答情報に基づいて判断する。そして決済が完了していなかったら、CPU1はステップSb7からステップSb8へ進み、エラー処理を行う。このエラー処理は、決済に失敗したことを顧客に報知するなどの処理である。そしてこのエラー処理を終えたならばCPU1は、決済処理を終了する。
【0056】
決済が完了したならば、CPU1はステップSb7からステップSb9へ進む。
【0057】
ステップSb9においてCPU1は、商品リストを更新する。具体的にはCPU1は、商品リストにて商品コードが関連付けられていて、かつ「0」である決済フラグを全て「1」に変更する。
【0058】
ステップSb10においてCPU1は、今回決済した商品に関する取引証明書をプリントするようにプリンタ10に指示する。この指示に応じてプリンタ10は、取引証明書をプリントする。そしてこののちにCPU1は、決済処理を終了する。
【0059】
決済処理を終了したらCPU1は、図4中のステップSa1およびステップSa2の待ち受け状態に戻る。
【0060】
以上のようにして、決済が済んだ商品に関する決済フラグは「1」である。そこで図4中のステップSa7においてCPU1は、商品リストに登録された全商品に関する決済フラグの全てが「1」となっているか否かを確認することにより、商品かご101に入っている全商品が決済済みであるか否かを判断する。そして全商品が決済済みであると判断したならばCPU1は、ステップSa7からステップSa8へ進む。
【0061】
ステップSa8においてCPU1は、商品リストエリアに記憶された重量の総和として求まる総重量と、重量計8での計量値との重量差を算出する。
【0062】
ステップSa9においてCPU1は、重量差が予め定められた許容値以下であるか否かを確認する。そして重量差が許容値以下であるならば、CPU1はステップSa9からステップSa10へ進む。そしてステップSa10においてCPU1は、決済ランプ5の点灯状態を決済状態とする。決済状態とは例えば、点灯状態や青色での点灯状態などである。
【0063】
一方CPU1は、一部の商品でも決済が済んでいない場合はステップSa7から、また重量差が許容値よりも大きい場合はステップSa9からステップSa11へ進む。そしてステップSa11においてCPU1は、決済ランプ5の点灯状態を未決済状態とする。未決済状態とは例えば、消灯状態や赤色での点灯状態などである。
【0064】
ステップSa10またはステップSa11を終えたらCPU1は、ステップSa1およびステップSa2の待ち受け状態に戻る。
【0065】
以上のようにショッピングカート100においては、無線LAN通信部7が複数の無線アクセスポイント200のいずれかと通信することが可能であるならば、店舗内のどの場所においても、買い物かご101に入れた商品について決済することができる。この結果、決済コーナーで決済する場合に比べて、決済に関わる顧客の手間を大幅に軽減できる。そして、買い物かご101に入った全商品の決済が完了しているのか否かは、決済ランプ5の点灯状態によって、ショッピングカート100の周囲に居る店員などが容易に確認することができる。このため店員は、未決済状態であるショッピングカート100を店舗外に持ち出そうとする行為や、未決済状態であるショッピングカート100に入った商品を袋に移す行為などをチェックすれば良く、不正のチェックに関わる店員の負担も小さい。
【0066】
またショッピングカート100においては、RFIDを利用して買い物かご101に入った商品を検出している。このため、買い物かご101に入っている商品についての検出漏れや、買い物かご101に入っていない周囲の商品の誤検出が生じてしまう恐れが無いとは言えない。しかしショッピングカート100においては、検出された商品についてPLUファイルに予め登録された重量の総和と、重量計8での計量値との重量差を監視している。そしてこの重量差が許容値を超えている場合には決済を実行しないので、上記のような検出漏れや誤検出に起因する誤決済が防止できる。また商品リストに登録された全商品に関する決済フラグの全てが「1」となっていても、重量差が許容値を超えている場合には決済ランプ5を決済状態とはしないので、上記のような検出漏れや誤検出が生じている状態で誤って決済済みとして表示してしまうことが無い。なお、上記のような検出漏れや誤検出の恐れなく高精度に商品の検出を行うことが可能とした上で、重量によるチェックを省略することも可能である。
【0067】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
【0068】
手持ちのかごなどのような、ショッピングカート100とは別形態の商品運搬器具においても、上記実施形態と同様に実施が可能である。
【0069】
決済は、従来のように決済コーナーにおいて、ショッピングカート100とは別の決済端末において行われても良い。この場合にCPU1は、商品リストに含まれた未決済の商品に関するタグコードおよび商品コードを決済端末に通知する。決済端末では、CPU1により通知されたタグコードおよび商品コードに基づいて決済を完了したのちには、その決済の対象となったタグコードおよび商品コードをCPU1に通知する。この通知を受けてCPU1は、該当する商品に関する決済フラグを「1」に変更する。このようにすれば、商品を商品かご101から取り出すことなく、それらの商品の決済を行うことが可能であり、しかも商品かご101に入った商品が決済済みであるか否かを決済ランプ5の点灯状態によって容易に確認することが可能となる。この結果、未決済である商品を決済済みであるかのように装って店舗から持ち出すような不正を効率的に防止することが可能となる。なお、この場合には重量計8、カードリーダ9およびプリンタ10の一部または全てを、ショッピングカート100に設けなくても良い。
【0070】
商品の識別情報は、商品に表示されたバーコードをバーコードスキャナにより読み取ることや、客面表示器4に表示した商品選択画面での顧客による商品選択操作を操作部3で入力するなどの別の手法により行っても良いし、複数の手法をいずれも利用可能としても良い。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
1…CPU、2…記憶部、3…操作部、4…客面表示器、5…決済ランプ、6…タグ通信部、7…無線LAN通信部、8…重量計、9…カードリーダ、10…プリンタ、100…ショッピングカート、101…商品かご、102…走行機構、103…ユーザインタフェースユニット、104…ランプユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の商品を収容する容器と、
前記容器に収容された1つまたは複数の商品のそれぞれの識別情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された1つまたは複数の識別情報により識別される全ての商品についての決済が完了したことを判定する判定手段と、
前記容器に収容された1つまたは複数の商品を購入する顧客に対して通知する情報を表示する第1の表示器と、
前記第1の表示器が表示する情報を目視可能な範囲よりも広範囲から目視可能な第2の表示器と、
前記決済が完了したことが前記判定手段により判定されているか否かを表示するように前記第2の表示器を制御する制御手段とを具備した商品運搬器具。
【請求項2】
前記決済のための情報を入力する入力手段をさらに備える請求項1に記載の商品運搬器具。
【請求項3】
プリンタと、
前記決済が完了したことが前記判定手段により判定されていることに応じて、当該決済に関わる証明書をプリントするように前記プリンタを制御する手段とを更に具備する請求項1に記載の商品運搬器具。
【請求項4】
前記容器に収容された1つまたは複数の商品の総重量を計測する計測手段と、
前記取得手段により取得された1つまたは複数の識別情報により識別される全ての商品についての想定される総重量を算出する算出手段とをさらに具備し、
前記制御手段は、前記計測手段により計測された総重量と前記算出手段により算出された総重量との差が規定の制限値を超える場合には前記決済が完了したことが前記判定手段により判定されていない旨を表示するように前記第2の表示器を制御する請求項1に記載の商品運搬器具。
【請求項5】
前記第1の表示器は、前記取得手段により取得された1つまたは複数の識別情報により識別される全ての商品についての名称、数量および金額を表示可能であり、
前記第2の表示器は、前記決済が完了したことが前記判定手段により判定されているか否かのみを表示可能である請求項1に記載の商品運搬器具。
【請求項6】
1つまたは複数の商品を収容する容器と、
前記容器に収容された1つまたは複数の商品のそれぞれの識別情報を取得する取得読取手段と、
前記取得手段により取得された1つまたは複数の識別情報により識別される全ての商品についての決済のための決済情報を入力する入力手段と、
前記取得手段により取得された1つまたは複数の識別情報と前記入力手段により入力された決済情報とを決済装置へ送信する送信手段と、
前記決済装置から決済結果を通知するために送信される結果情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された結果情報に基づいて前記決済が完了したことを判定する判定手段と、
前記容器に収容された1つまたは複数の商品を購入する顧客に対して通知する情報を表示する第1の表示器と、
前記第1の表示器が表示する情報を目視可能な範囲よりも広範囲から目視可能な第2の表示器と、
前記決済が完了したことが前記判定手段により判定されているか否かを表示するように前記第2の表示器を制御する制御手段と、
プリンタと、
前記決済が完了したことが前記判定手段により判定されていることに応じて、当該決済に関わる証明書をプリントするように前記プリンタを制御する手段とを具備した商品運搬器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−178005(P2012−178005A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39915(P2011−39915)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】