説明

喘息などの5−リポキシゲナーゼ活性上昇および/またはロイコトリエン活性上昇に関連する状態における使用のためのR−ジロートン

本発明は、患者に(R)-ジロートンおよび薬学的に許容される賦形剤を含む組成物を投与する段階を含む、例えば喘息などの、5-リポキシゲナーゼ活性の上昇によって仲介されるかまたは特徴づけられる状態を患っている患者においてその状態を治療する方法に関する。組成物は実質的に(S)-ジロートンを含まない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は2007年1月5日提出の米国特許仮出願第60/879,273号の恩典を主張し、その全教示は参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
酵素5-リポキシゲナーゼは、5-ヒドロキシエイコサテトラエン酸(5-HETE)ならびにロイコトリエンを生成する経路におけるアラキドン酸の代謝の第一段階を触媒する。ロイコトリエン(例えば、LTB4、LTC4、LTD4およびLTE4を含む)は、好中球および好酸球遊走の誘導、白血球接着、毛細管透過性上昇、および平滑筋収縮を含むいくつかの生物効果を有すると認識されており、これらは次いで炎症、浮腫、粘液分泌、および気管支収縮に寄与する。したがって、5-リポキシゲナーゼ活性を阻害する化合物は、そのような生物効果に関連する疾患または状態の治療および/または予防において有用である。
【0003】
5-リポキシゲナーゼを阻害する1つの化合物はジロートン((±)-1-(1-ベンゾ[b]チエン-2-イルエチル)-1-ヒドロキシ尿素)である。ジロートンは以下の化学構造を有する。

【0004】
600ミリグラム(mg)のジロートンを含む錠剤(ZYFLO(登録商標)およびZyflo(登録商標) CRジロートン錠)が喘息の治療のために現在市販されている。ジロートンは特に鎌状赤血球貧血、鼻ポリープ症、ざ瘡、全身性紅斑性狼蒼、アトピー性皮膚炎、アレルギーおよび関節リウマチを患っている患者を治療する際に有効であるとも報告されている(Zouboulis et al., Arch. Dermatol., 139(5):668-70 (2003);Parnes et al., Ear Nose Throat J. 79(1): 18-20, 24-5 (2000);米国特許第7,026,344号;Hakshaw et al., J Rheumatol. 22(3):462-8 (1998);Woodmansee et al., 83(6 Pt 1):548-52 (1999);Kane et al., 97(2):646-54, (1996);Weinblatt et al., 19(10):1537-41 (1992);Willemsen et al., 31(1):1-3 (2000))。加えて、動物試験において、ジロートンは腫瘍増殖の阻害ならびに内毒血症によって引き起こされる多臓器障害、腎虚血-再灌流障害、実験的結腸炎、リポ多糖誘導性低体温、呼吸器合胞体ウイルスおよび急性水疱性口内炎ウイルス(VSV)脳炎の治療において有効性を示している(Collin et al, J Leukoc Biol. 2004 Nov;76(5):961-70, Patel et al., 66(2):220-7 (2004), Mazzon et al., Shock, 25(4):377-83 (2006), Singh et al., Indian J Exp Biol., 43(12): 1150-5 (2005), Welliver et al., J Infect Dis. 187(11):1773-9 (2003), Chen et al., 120(1-2):94-102 (2001), Hussey et al., Br J Cancer. 74(5):683-7 (1996))。さらに、ジロートンの肺癌を予防する能力が現在臨床試験で調べられている(http://www.clinicaltrials.gov/ct/show/NCT00056004)。
【0005】
その現在市販されている形では、ジロートンはR(+)およびS(-)鏡像異性体のラセミ混合物として投与される。ジロートンについて現在推奨される投与法は、1日合計用量2400mgを1日4回の投与(ならびに各用量1200mgで1日2回のZyflo(登録商標) CR)である。ラセミジロートンを現在投与しているよりも低用量および/または低頻度の投与間隔でジロートンを投与することによる、5-リポキシゲナーゼ活性を阻害する方法を開発することは有益であると考えられる。
【発明の概要】
【0006】
驚くことに、(R)-ジロートンは5-リポキシゲナーゼ活性を阻害する上で(S)-ジロートンおよびラセミジロートンのいずれよりも有効であることが明らかとなった。例えば、(R)-ジロートンはヒト全血中のLTB4生成を阻害する上で(S)-ジロートンの12倍の効力を示すことが明らかにされている(下記実施例3参照)。さらに、アレルギー性肺炎症のBALB/cマウスモデルにおいて、2または4mg/kgのいずれかの1日1回経口服用で投与した(R)-ジロートンはラセミジロートンよりも有意に大きい有効性を示した(実施例5)。このアレルギー性肺炎症のBALB/cマウスモデルにおいて、最大の有効性を達成し、ヒトの治療用量に近似させるために、10mg/kgで1日4回の投薬が典型的に用いられる。
【0007】
したがって、本発明は、患者に(R)-ジロートンおよび薬学的に許容される賦形剤を含む組成物を投与する段階を含む、5-リポキシゲナーゼ活性の上昇によって仲介されるかまたは特徴づけられる状態を患っている患者においてその状態を治療する方法であって、該組成物が実質的に(S)-ジロートンを含まない方法に関する。一つの態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約450mgから約1200mgの1日合計用量で投与する。もう一つの態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約500mgから約1000mgの1日合計用量で投与する。さらにもう一つの態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約600mgから約900mgの1日合計用量で投与する。もう一つの態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約600mgの1日合計用量で投与する。さらにもう一つの態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約900mgの1日合計用量で投与する。さらなる態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約1000mgの1日合計用量で投与する。もう一つの態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約1200mgの1日合計用量で投与する。さらなる態様において、前記1日合計用量を1回の服用として投与する。さらにもう一つの態様において、1日合計用量を2回の服用として投与する。
【0008】
さらなる態様において、本発明は、患者に(R)-ジロートンおよび薬学的に許容される賦形剤を含む組成物を投与する段階を含む、ロイコトリエン活性の上昇によって仲介されるかまたは特徴づけられる状態を患っている患者においてその状態を治療する方法であって、該組成物が実質的に(S)-ジロートンを含まない方法である。一つの態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約450mgから約1200mgの1日合計用量で投与する。もう一つの態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約500mgから約1000mgの1日合計用量で投与する。さらにもう一つの態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約600mgから約900mgの1日合計用量で投与する。もう一つの態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約600mgの1日合計用量で投与する。さらにもう一つの態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約900mgの1日合計用量で投与する。さらなる態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約1000mgの1日合計用量で投与する。もう一つの態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約1200mgの1日合計用量で投与する。さらなる態様において、前記1日合計用量を1回の服用として投与する。さらにもう一つの態様において、1日合計用量を2回の服用として投与する。
【0009】
さらなる態様において、本発明は、患者に(R)-ジロートンおよび薬学的に許容される賦形剤を含む組成物を投与する段階を含む、炎症状態を患っている患者においてその状態を治療する方法であって、該組成物が実質的に(S)-ジロートンを含まない方法に向けられている。一つの態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約450mgから約1200mgの1日合計用量で投与する。もう一つの態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約500mgから約1000mgの1日合計用量で投与する。さらにもう一つの態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約600mgから約900mgの1日合計用量で投与する。もう一つの態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約600mgの1日合計用量で投与する。さらにもう一つの態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約900mgの1日合計用量で投与する。さらなる態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約1000mgの1日合計用量で投与する。もう一つの態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約1200mgの1日合計用量で投与する。さらなる態様において、前記1日合計用量を1回の服用として投与する。さらにもう一つの態様において、1日合計用量を2回の服用として投与する。
【0010】
さらにもう一つの態様において、本発明は、患者に(R)-ジロートンおよび薬学的に許容される賦形剤を含む組成物を投与する段階を含む、ある状態を患っている患者においてその状態を治療する方法であって、該組成物が実質的に(S)-ジロートンを含まず、かつ該状態が喘息、関節リウマチ、痛風、乾癬、アレルギー、鼻炎、成人呼吸障害症候群、慢性閉塞性肺疾患、ざ瘡、アトピー性皮膚炎、結膜炎、虚血/再灌流障害、アテローム性動脈硬化症、大動脈瘤、鼻ポリープ症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、癌、腫瘍、呼吸器合胞体ウイルス、シェーグレン-ラルソン症候群、鎌状赤血球病、敗血症、内毒素ショック、心筋梗塞、および卒中からなる群より選択される方法に向けられる。
【0011】
もう一つの態様において、本発明は、患者に(R)-ジロートンおよび薬学的に許容される賦形剤を含む組成物を投与する段階を含む、ある状態を患っている患者においてその状態を治療する方法であって、該組成物が実質的に(S)-ジロートンを含まず、かつ該状態が喘息、関節リウマチ、痛風、乾癬、アレルギー、鼻炎、成人呼吸障害症候群、慢性閉塞性肺疾患、ざ瘡、アトピー性皮膚炎、虚血/再灌流障害、アテローム性動脈硬化症、大動脈瘤、鼻ポリープ症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、癌、腫瘍、呼吸器合胞体ウイルス、シェーグレン-ラルソン症候群、鎌状赤血球病、敗血症、内毒素ショック、心筋梗塞、および卒中からなる群より選択される方法に向けられる。
【0012】
一つの態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約450mgから約1200mgの1日合計用量で投与する。もう一つの態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約500mgから約1000mgの1日合計用量で投与する。さらにもう一つの態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約600mgから約900mgの1日合計用量で投与する。もう一つの態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約600mgの1日合計用量で投与する。さらにもう一つの態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約900mgの1日合計用量で投与する。さらなる態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約1000mgの1日合計用量で投与する。もう一つの態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約1200mgの1日合計用量で投与する。さらなる態様において、前記1日合計用量を1回の服用として投与する。さらにもう一つの態様において、1日合計用量を2回の服用として投与する。
【0013】
さらにもう一つの態様において、本発明は、患者に(R)-ジロートンおよび薬学的に許容される賦形剤を含む組成物を投与する段階を含む、中等症持続型喘息または重症持続型喘息を治療する方法であって、該組成物が実質的に(S)-ジロートンを含まない方法である。一つの態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約450mgから約1200mgの1日合計用量で投与する。もう一つの態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約500mgから約1000mgの1日合計用量で投与する。さらにもう一つの態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約600mgから約900mgの1日合計用量で投与する。もう一つの態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約600mgの1日合計用量で投与する。さらにもう一つの態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約900mgの1日合計用量で投与する。さらなる態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約1000mgの1日合計用量で投与する。もう一つの態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約1200mgの1日合計用量で投与する。さらなる態様において、前記1日合計用量を1回の服用として投与する。さらにもう一つの態様において、1日合計用量を2回の服用として投与する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】10ミリグラム/キログラム(mpk)のラセミジロートンまたは5mpkの(R)-ジロートンをイヌに経口投与した後の経時的(分)なジロートンの平均血漿濃度(ng/ml)を示すグラフである。ラセミジロートンおよび(R)-ジロートンの代謝物(A66193)の濃度も示している。
【図2A】10mpkのラセミジロートンをイヌに経口投与した後の経時的(分)なジロートンおよびその代謝物の平均血漿濃度(ng/ml)ならびにLTB4生成の阻害パーセントを示すグラフである。
【図2B】5mpkの(R)-ジロートンをイヌに経口投与した後の経時的(分)なジロートンおよびその代謝物の平均血漿濃度(ng/ml)ならびにLTB4生成の阻害パーセントを示すグラフである。
【図3】ラセミジロートン、(R)-ジロートンおよび(S)-ジロートンの濃度(μM)に対するインビトロでのヒト全血中のLTB4生成の阻害パーセントを示すグラフである。
【図4】オボアルブミンで曝露し、R-、S-またはラセミジロートンで治療したマウスにおける気管支肺胞洗浄液の1mLあたりの全細胞数を示すプロットである(実施例5参照)。
【図5】図5Aおよび図5Bは、オボアルブミンで曝露し、R-、S-またはラセミジロートンで治療したマウスにおける気管支肺胞洗浄液の1mLあたりの好酸球(A)または好中球(B)数を示すプロットである(実施例5参照)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
本明細書において用いられる「a」または「an」は、特に記載がないかぎり、1つまたは複数を意味すると理解される。
【0016】
ジロートンは、上で1つの不斉中心を有する式(I)で示した化学構造を有する。ジロートンは本明細書において(R)-ジロートンおよび(S)-ジロートンと呼ぶ一対の鏡像異性体として存在する。(R)-ジロートンまたは(+)-ジロートンの構造を以下の式(II)に示す。

(S)-ジロートンまたは(-)-ジロートンの構造を以下の式(III)に示す。

本発明の方法は、患者に実質的に(S)-ジロートンを含まないジロートンを含む組成物を投与する段階を含む。本明細書において用いられる実質的に(S)-ジロートンを含まないジロートンは(R)-ジロートンである。「実質的に(S)-ジロートンを含まないジロートン」および「実質的に(S)-ジロートンを含まない(R)-ジロートン」なる語句は本明細書において交換可能に用いられる。ジロートンを含む組成物は、組成物中のジロートンの少なくとも80重量%が(R)-ジロートンであり、組成物中のジロートンの20%以下が(S)-ジロートンである場合に、実質的に(S)-ジロートンを含まない。もう一つの態様において、組成物は、ジロートンの少なくとも85重量%が(R)-ジロートンであり、ジロートンの15%以下が(S)-ジロートンである場合に、実質的に(S)-ジロートンを含まない。さらにもう一つの態様において、組成物は、ジロートンの少なくとも90重量%が(R)-ジロートンであり、ジロートンの10%以下が(S)-ジロートンである場合に、実質的に(S)-ジロートンを含まない。もう一つの態様において、組成物は、ジロートンの少なくとも95重量%が(R)-ジロートンであり、ジロートンの5%以下が(S)-ジロートンである場合に、実質的に(S)-ジロートンを含まない。さらにもう一つの態様において、組成物は、ジロートンの少なくとも97重量%が(R)-ジロートンであり、ジロートンの3%以下が(S)-ジロートンである場合に、実質的に(S)-ジロートンを含まない。さらなる態様において、組成物は、ジロートンの少なくとも99重量%が(R)-ジロートンであり、ジロートンの1%以下が(S)-ジロートンである場合に、実質的に(S)-ジロートンを含まない。もう一つの態様において、本発明の方法は、光学的に純粋な(R)-ジロートンまたは実質的に光学的に純粋な(R)-ジロートンを含む組成物を投与する段階を含む。(R)-ジロートンは、組成物中のジロートンの少なくとも95重量%が(R)-ジロートンである場合に、「実質的に光学的に純粋」である。もう一つの態様において、(R)-ジロートンは、組成物中のジロートンの少なくとも97重量%が(R)-ジロートンである場合に、実質的に光学的に純粋である。さらなる態様において、(R)-ジロートンは、組成物中のジロートンの少なくとも99重量%が(R)-ジロートンである場合に、実質的に光学的に純粋である。本明細書において用いられる「ラセミの」とは、化合物の(-)および(+)鏡像異性体または(S)-および(R)-鏡像異性体の混合物を意味し、ここで(-)および(+)鏡像異性体または(S)-および(R)-鏡像異性体はほぼ1:1の比で存在する。
【0017】
(R)-ジロートンは、キラルシントンもしくはキラル試薬を用いて調製してもよく、または通常の技術を用いて分割してもよい。ラセミジロートンの調製法は、例えば、米国特許第4,873,259号および同第6,080,874号ならびにHisao et al, Tetrahedron Letters, 33(19): 2629-32 (1992)に記載されている。(R)-ジロートンは、塩化(4S)-4-ベンジル-2-オキサゾリジノン-3-カルボニルを用いてなどの、ラセミジロートンの分割によって調製することも可能である(Garigipati et al., Tetrahedron Letters, 34(35): 5537-40 (1993))。(R)-ジロートンは、下記を用いて化学的に分割することもできる。すなわち、塩化オキサリルおよびR-マンデル酸によりエステル化し、冷酢酸エチルからジアステレオマー混合物を単離し、ジアステレオマーを加水分解して(R)-ジロートンを生成し、次いでこれを再結晶により精製することができる。(R)-ジロートンのエナンチオ選択的合成の方法も記載されている。例えば、N-グリコシルニトロンへのグリニャール試薬添加を用いての(R)-ジロートンの調製法が記載されている(Basha et al., J Org. Chem., 59(20), 6103-6 (1994))。L-(+)-乳酸またはグロフラノースのいずれかの補助剤を用いての(R)-ジロートンのエナンチオ選択的合成も記載されている(Hsiao et al., 33: 2629-32 (1992);Roloff et al., 35(7): 1011-14 (1994))。さらに、(R)-ジロートンの調製法は米国特許第5,663,368号にも記載されている。
【0018】
5-リポキシゲナーゼは、ロイコトリエンを生成する経路におけるアラキドン酸の5-ヒドロペルオキシエイコサテトラエン酸(5-HPETE)への変換を触媒する酵素である。ロイコトリエンはアラキドン酸の代謝によって生成される生体分子である。ロイコトリエンは次の2群に分けられる:炎症が好中球に依存する状態で役割を果たすロイコトリエン、ならびに細胞表面受容体、cysLT1およびcysLT2、肥満細胞と、好酸球で作用し、喘息などの呼吸器状態における気管支収縮および粘液分泌において役割を有するシステイニルロイコトリエン(LTC4、LTD4およびLTE4)。本発明の方法を用いて、5-リポキシゲナーゼ活性上昇および/またはロイコトリエン活性上昇に関連するかまたは仲介されることが現在公知であるかまたは後に判明する、任意の状態を治療しうる。5-リポキシゲナーゼ活性上昇および/またはロイコトリエンの合成の増大に関連するかまたは仲介される状態には、炎症状態ならびに鎌状赤血球病、鼻ポリープ症、副鼻腔炎、大動脈瘤、呼吸器合胞体ウイルス、VSV脳炎、腫瘍および癌が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0019】
一つの態様において、本発明は、喘息、関節リウマチ、痛風、乾癬、アレルギー、鼻炎、成人呼吸障害症候群、慢性閉塞性肺疾患、ざ瘡、アトピー性皮膚炎、結膜炎、アテローム性動脈硬化症、大動脈瘤、鎌状赤血球病、急性肺障害、虚血/再灌流障害、鼻ポリープ症、炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性結腸炎およびクローン病を含む)、過敏性腸症候群、癌、腫瘍、呼吸器合胞体ウイルス、敗血症、内毒素ショック、心筋梗塞、シェーグレン-ラルソン症候群、および卒中からなる群より選択される状態を治療する方法に向けられている。
【0020】
一つの態様において、本発明は、喘息、関節リウマチ、痛風、乾癬、アレルギー、鼻炎、成人呼吸障害症候群、慢性閉塞性肺疾患、ざ瘡、アトピー性皮膚炎、アテローム性動脈硬化症、大動脈瘤、鎌状赤血球病、急性肺障害、虚血/再灌流障害、鼻ポリープ症、炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性結腸炎およびクローン病を含む)、過敏性腸症候群、癌、腫瘍、呼吸器合胞体ウイルス、敗血症、内毒素ショック、心筋梗塞、シェーグレン-ラルソン症候群、および卒中からなる群より選択される状態を治療する方法に向けられている。
【0021】
もう一つの態様において、本発明は、喘息、関節リウマチ、アレルギー性鼻炎、成人呼吸障害症候群、慢性閉塞性肺疾患、ざ瘡、結膜炎、アテローム性動脈硬化症、炎症性腸疾患、鎌状赤血球病、鼻ポリープ症、副鼻腔炎、大動脈瘤、および卒中からなる群より選択される状態を治療する方法に向けられている。
【0022】
さらにもう一つの態様において、本発明は、喘息、関節リウマチ、アレルギー性鼻炎、成人呼吸障害症候群、慢性閉塞性肺疾患、ざ瘡、アテローム性動脈硬化症、炎症性腸疾患、鎌状赤血球病、鼻ポリープ症、副鼻腔炎、大動脈瘤、および卒中からなる群より選択される状態を治療する方法に向けられている。
【0023】
さらなる態様において、本発明は、喘息、成人呼吸障害症候群および慢性閉塞性肺疾患からなる群より選択される状態を治療する方法に向けられている。さらにもう一つの態様において、本発明は、鎌状赤血球病、鼻ポリープ症、アテローム性動脈硬化症、副鼻腔炎、大動脈瘤、および卒中からなる群より選択される状態を治療する方法に向けられている。
【0024】
もう一つの態様において、本発明は、喘息、関節リウマチ、アレルギー性鼻炎、成人呼吸障害症候群、慢性閉塞性肺疾患、ざ瘡、アテローム性動脈硬化症、炎症性腸疾患、鎌状赤血球病、鼻ポリープ症、副鼻腔炎、大動脈瘤、および卒中からなる群より選択される状態を治療する方法に向けられている。さらなる態様において、本発明は、喘息、成人呼吸障害症候群および慢性閉塞性肺疾患からなる群より選択される状態を治療する方法に向けられている。さらにもう一つの態様において、本発明は、鎌状赤血球病、鼻ポリープ症、アテローム性動脈硬化症、副鼻腔炎、大動脈瘤、および卒中からなる群より選択される状態を治療する方法に向けられている。
【0025】
一つの態様において、リポキシゲナーゼおよび/またはロイコトリエン活性によって仲介される状態は炎症状態である。炎症状態には、虫垂炎、消化性の胃もしくは十二指腸潰瘍、腹膜炎、膵炎、急性もしくは虚血性結腸炎、憩室炎、喉頭蓋炎、アカラシア、胆道炎、胆嚢炎、肝炎、炎症性腸疾患(例えば、クローン病および潰瘍性結腸炎を含む)、腸炎、ウィップル病、喘息、慢性閉塞性肺疾患、急性肺障害、腸閉塞(例えば、術後腸閉塞を含む)、アレルギー、アナフィラキシーショック、免疫複合体疾患、臓器虚血、再灌流障害、臓器壊死、枯草熱、敗血症、毒血症、内毒素ショック、カヘキシー、異常高熱、好酸球性肉芽腫、肉芽腫症、サルコイドーシス、敗血症性流産、副睾丸炎、膣炎、前立腺炎、尿道炎、気管支炎、気腫、鼻炎、嚢胞性線維症、間質性肺炎、塵肺症、肺胞炎、細気管支炎、咽頭炎、胸膜炎、副鼻腔炎、インフルエンザ、呼吸器合胞体ウイルス、疱疹、播種性菌血症、デング熱、カンジダ症、マラリア、フィラリア症、アメーバ症、包虫嚢胞、熱傷、皮膚炎、皮膚筋炎、結膜炎、日焼け、じんま疹、いぼ、膨疹、ざ瘡、血管炎、脈管炎、心内膜炎、動脈炎、アテローム性動脈硬化症、血栓性静脈炎、心膜炎、心筋炎、心筋虚血、結節性動脈周囲炎、リウマチ熱、アルツハイマー病、セリアック病、うっ血性心不全、成人呼吸障害症候群、髄膜炎、脳炎、多発性硬化症、脳梗塞、脳塞栓症、ギラン-バレー症候群、神経炎、神経痛、ブドウ膜炎、関節炎、関節痛、骨髄炎、筋膜炎、ページェット病、痛風、歯周病、関節リウマチ、滑膜炎、重症筋無力症、甲状腺炎、全身性紅斑性狼瘡、グッドパスチャー症候群、ベーチェット症候群、同種移植片拒絶、移植片対宿主病、I型糖尿病、強直性脊椎炎、ベルガー病、II型糖尿病、ライター症候群、またはホジキン病が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0026】
もう一つの態様において、炎症状態には、虫垂炎、消化性の胃もしくは十二指腸潰瘍、腹膜炎、膵炎、急性もしくは虚血性結腸炎、憩室炎、喉頭蓋炎、アカラシア、胆道炎、胆嚢炎、肝炎、炎症性腸疾患(例えば、クローン病および潰瘍性結腸炎を含む)、腸炎、ウィップル病、喘息、慢性閉塞性肺疾患、急性肺障害、腸閉塞(例えば、術後腸閉塞を含む)、アレルギー、アナフィラキシーショック、免疫複合体疾患、臓器虚血、再灌流障害、臓器壊死、枯草熱、敗血症、毒血症、内毒素ショック、カヘキシー、異常高熱、好酸球性肉芽腫、肉芽腫症、サルコイドーシス、敗血症性流産、副睾丸炎、膣炎、前立腺炎、尿道炎、気管支炎、気腫、鼻炎、嚢胞性線維症、間質性肺炎、塵肺症、肺胞炎、細気管支炎、咽頭炎、胸膜炎、副鼻腔炎、インフルエンザ、呼吸器合胞体ウイルス、疱疹、播種性菌血症、デング熱、カンジダ症、マラリア、フィラリア症、アメーバ症、包虫嚢胞、熱傷、皮膚炎、皮膚筋炎、日焼け、じんま疹、いぼ、膨疹、ざ瘡、血管炎、脈管炎、心内膜炎、動脈炎、アテローム性動脈硬化症、血栓性静脈炎、心膜炎、心筋炎、心筋虚血、結節性動脈周囲炎、リウマチ熱、アルツハイマー病、セリアック病、うっ血性心不全、成人呼吸障害症候群、髄膜炎、脳炎、多発性硬化症、脳梗塞、脳塞栓症、ギラン-バレー症候群、神経炎、神経痛、ブドウ膜炎、関節炎、関節痛、骨髄炎、筋膜炎、ページェット病、痛風、歯周病、関節リウマチ、滑膜炎、重症筋無力症、甲状腺炎、全身性紅斑性狼瘡、グッドパスチャー症候群、ベーチェット症候群、同種移植片拒絶、移植片対宿主病、I型糖尿病、強直性脊椎炎、ベルガー病、II型糖尿病、ライター症候群、またはホジキン病が含まれるが、それらに限定されることはない。
【0027】
さらなる態様において、炎症状態は喘息、関節リウマチ、慢性閉塞性肺疾患、炎症性腸疾患、アレルギー、臓器虚血、再灌流障害、鼻炎、皮膚炎、アテローム性動脈硬化症、心筋虚血、成人呼吸障害症候群および嚢胞性線維症からなる群より選択される。さらにもう一つの態様において、炎症状態は喘息、関節リウマチ、慢性閉塞性肺疾患、アレルギー、アテローム性動脈硬化症、成人呼吸障害症候群および嚢胞性線維症からなる群より選択される。さらなる態様において、炎症状態は喘息、関節リウマチ、慢性閉塞性肺疾患、アレルギー、アテローム性動脈硬化症、成人呼吸障害症候群および嚢胞性線維症からなる群より選択される。さらなる態様において、炎症状態は喘息、慢性閉塞性肺疾患および成人呼吸障害症候群からなる群より選択される。
【0028】
一つの態様において、本発明の方法を用いて喘息を治療することができる。喘息は次の4つの範疇に分類される:軽症間欠型、軽症持続型、中等症持続型および重症持続型(National Institutes of Healthの一部門であるNational Heart, Lung, and Blood Instituteによって提供されるThe 2007 Third Expert Panel Report and Guidelines for the Diagnosis and Management of Asthmaがhttp://www.nhlbi.nih.gov/guidelines/asthma/asthgdln.htmで利用可能である)。軽症間欠型喘息を患っている患者は、1週間に2回以下の日中喘息症状および1ヶ月に2回以下の夜間喘息症状を示す。軽症間欠型喘息の患者は、1秒間努力呼気量(全肺気量のレベルから開始した努力呼気動作の最初の1秒間に呼出される量;FEV1)の予測FEV1の少なくとも80%および/または最大呼気流量(最大の力で行い、完全吸気後に開始した呼気中に生じる最大の流量;PEF)の患者の自己ベスト(患者の最高の流量)の少なくとも80%も示す。軽症持続型喘息の患者は、1週間に2回を超えるが1日1回未満の日中喘息症状および1ヶ月に2回以上の夜間喘息症状を示す。軽症持続型喘息患者は80%以上のFEV1および/または自己ベストの少なくとも80%のPEFを有する。中等症持続型喘息を患っている患者は、少なくとも1日1回の喘息症状および1週間に1回以上の夜間喘息症状を示す。中等症持続型喘息患者は予測値の60〜80%のFEV1および/または自己ベストの少なくとも60〜80%のPEFを有する。重症持続型喘息を患っている患者は、継続的な日中喘息症状、高頻度の夜間症状を示し、身体活動が制限される。重症持続型喘息患者は予測値の60%以下のFEV1および/または自己ベストの60%以下のPEFを有する。一つの態様において、本発明は、実質的に(S)-ジロートンを含まない(R)-ジロートンおよび薬学的に許容される賦形剤を含む組成物を投与する段階を含む、中等症持続型喘息または重症持続型喘息を患っている患者を治療する方法に向けられる。もう一つの態様において、本発明は、実質的に(S)-ジロートンを含まない(R)-ジロートンおよび薬学的に許容される賦形剤を含む組成物を投与する段階を含む、中等症持続型喘息または重症持続型喘息を患っている患者を治療する方法であって、該(R)-ジロートンを1日に約250mgから約1000mgの1日合計用量で投与する方法である。
【0029】
一つの態様において、本発明は、実質的に(S)-ジロートンを含まない(R)-ジロートンおよび薬学的に許容される賦形剤を含む組成物を投与する段階を含む、5-リポキシゲナーゼ活性上昇および/またはロイコトリエンの合成の増大によって仲介される状態を患っている患者を治療するための方法であって、該(R)-ジロートンを1日に約450mgから約1200mgの1日合計用量で投与する方法に向けられる。もう一つの態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約500mgから約1000mgの1日合計用量で投与する。さらにもう一つの態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約600mgから約900mgの1日合計用量で投与する。もう一つの態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約600mgの1日合計用量で投与する。さらにもう一つの態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約900mgの1日合計用量で投与する。さらなる態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約1000mgの1日合計用量で投与する。もう一つの態様において、前記(R)-ジロートンを1日に約1200mgの1日合計用量で投与する。さらなる態様において、前記1日合計用量を1回の服用として投与する。さらにもう一つの態様において、1日合計用量を2回の服用として投与する。一つの態様において、治療は開示した1日合計用量で開始し、患者を維持することを含む。開示した1日量は、例えば、3、4、5もしくは6日間、または1、2、3もしくは4週間、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10もしくは11ヶ月間または1、2もしくは3年間の間維持する。例えば、患者の治療は1日に約450mgから約1200mgの1日合計用量で開始され、維持される可能性がある。もう一つの態様において、患者は成人である。さらにもう一つの態様において、患者は65歳未満の成人である。さらにもう一つの態様において、患者は腎または肝機能の損傷を持たない。
【0030】
本明細書において用いられる「治療」および/または「治療すること」とは、治療的処置ならびに予防的処置または防止手段を意味する。本発明の薬学的組成物の化合物と共に含まれる腑形剤は、治療的適用において予期される組成物の投与経路に基づいて選択される。組成物の投与経路は治療する状態に依存する。例えば、内毒素ショックなどの全身障害の治療には静脈内注射が好ましく、胃潰瘍などの胃腸障害を治療するためには経口投与が好ましいと考えられる。投与する組成物の投与経路および用量は、当業者であれば、過度の実験をすることなく、標準の用量反応試験と併せて決定することができる。それらの決定を行う際に考慮すべき関連する状況には、治療する1つまたは複数の状態、投与する組成物の選択、個々の患者の年齢、体重、および反応、ならびに患者の症状の重症度が含まれる。
【0031】
実質的に(S)-ジロートンを含まない(R)-ジロートンを含む組成物を、非経口、経口、肺、眼、鼻、直腸、膣、耳、局所、口腔、経皮、静脈内、筋肉内、皮下、眼球、皮内、眼内、脳内、リンパ管内、関節内、くも膜下および腹腔内を含むが、それらに限定されることはない、様々な経路により投与することができる。一つの態様において、組成物を経口投与する。1日量を1回の服用で、または複数の分割服用で投与することができる。一つの態様において、1日量を1回の1日量で投与する。もう一つの態様において、1日量を2回の服用で投与する。
【0032】
一つの態様において、本発明の薬学的組成物を経口投与する。経口治療的な投与のために、本発明の薬学的組成物を腑形剤と組み合わせ、錠剤、トローチ、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ、カシェ剤、チューインガムなどの形で用いてもよい。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチなどは結合剤、腑形剤、崩壊剤、滑沢剤、滑り剤(glidant)、甘味剤、および着香剤を含んでいてもよい。結合剤のいくつかの例には、微結晶セルロース、トラガカントゴムまたはゼラチンが含まれる。腑形剤の例には、デンプンまたはラクトースが含まれる。崩壊剤のいくつかの例には、アルギン酸、トウモロコシデンプンなどが含まれる。滑沢剤の例には、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カリウムが含まれる。滑り剤の一例はコロイド状二酸化ケイ素である。甘味剤のいくつかの例には、スクロース、サッカリンなどが含まれる。着香剤の例には、ペパーミント、サリチル酸メチル、オレンジ香料などが含まれる。これらの様々な組成物を調製する際に用いる材料は、用いる量で薬学的に純粋かつ非毒性であるべきである。もう一つの態様において、組成物を錠剤またはカプセル剤として投与する。
【0033】
様々な他の材料はコーティングとして、または用量単位の物理的形状を改変するために存在してもよい。例えば、錠剤をセラック、糖または両方でコーティングしてもよい。シロップまたはエリキシル剤は、活性成分に加えて、甘味剤としてのスクロース、保存剤としてのメチルおよびプロピルパラベン、色素およびチェリーまたはオレンジ香料などの着香剤などを含んでいてもよい。膣投与のために、薬学的組成物はペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、軟膏、フォームまたは噴霧剤として提供してもよい。
【0034】
前述の一般的剤形に加えて、当業者には周知の通り、本発明の組成物を米国特許第3,845,770号;同第3,916,899号;同第3,536,809号;同第3,598,123号;同第4,008,719号;同第5,674,533号;同第5,059,595号;同第5,591,767号;同第5,120,548号;同第5,073,543号;同第5,639,476号;同第5,354,556号;および同第5,733,566号に記載のものなどの、制御放出手段、送達装置、または両方によって投与してもよい。これらの薬学的組成物を用いて、例えば、所望の放出特性を提供するための様々な比率のヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマー基質、ゲル、透過膜、浸透圧系、多層コーティング、微小粒子、リポソーム、ミクロスフェアなど、またはその組み合わせを用いての、活性成分の遅延または制御放出を提供することができる。活性成分の制御放出は様々な誘導因子、例えば、pH、温度、酵素、水、または他の生理的条件もしくは化合物によって刺激してもよい。本発明の文脈における「制御放出」なる用語は、本明細書において、薬学的組成物中の(R)-ジロートンの制御放出を促進する、ポリマー、ポリマー基質、ゲル、透過膜、リポソーム、ミクロスフェアなど、またはその組み合わせを含む、1つまたは複数の化合物の薬学的組成物中の包含と定義される。
【0035】
本発明は、組成物の治療上有効な量の哺乳動物への鼻投与を含む。本明細書において用いられる、鼻に投与すること、または鼻投与とは、患者の鼻道または鼻腔の粘膜に組成物を投与することを含む。本明細書において用いられる、組成物の鼻投与のための薬学的組成物は、例えば、鼻噴霧剤、点鼻薬、懸濁剤、ゲル、軟膏、クリームまたは散剤として投与するための、周知の方法により調製した化合物の治療上有効な量を含む。組成物の投与は鼻タンポンまたは鼻スポンジを用いて行われてもよい。
【0036】
局所投与のために、適当な製剤は生体適合性の油、ワックス、ゲル、粉末、ポリマー、または他の液体もしくは固体担体を含んでいてもよい。そのような製剤は、患部組織に直接適用することにより投与してもよく、例えば、結膜組織の感染を治療するための液体製剤を被険者の眼に点眼投与することができ、またはクリーム製剤を皮膚に投与することもできる。
【0037】
本発明の組成物を、例えば、静脈内、筋肉内、くも膜下または皮下注射などにより非経口投与することもできる。非経口投与は、本発明の組成物を液剤または懸濁剤中に取り込むことによって達成することが可能である。そのような液剤または懸濁剤は、注射用蒸留水、食塩液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒などの、滅菌希釈剤も含みうる。非経口製剤は、例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤、例えば、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤およびEDTAなどのキレート化剤も含みうる。酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩などの緩衝剤および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの張性を調節するための物質を加えてもよい。非経口製剤は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、ディスポーザブルシリンジまたは複数用量バイアル中に封入することも可能である。
【0038】
直腸投与は、薬学的組成物を直腸または大腸内に投与することを含む。これは、坐剤または浣腸剤を用いて行うことができる。坐剤製剤は当技術分野において公知の方法によって容易に調製することができる。例えば、坐剤製剤はグリセリンを約120℃に加熱し、薬学的組成物をグリセリンに溶解し、加熱したグリセリンを混合し、その後、精製水を加えてもよく、かつ熱混合物を坐剤の型に流し込むことにより調製することが可能である。
【0039】
経皮投与は、皮膚を通しての組成物の経皮吸収を含む。経皮製剤にはパッチ、軟膏、クリーム、ゲル、膏薬などが含まれる。
【0040】
本発明の目的のために、本明細書に記載の製剤を、主な機能が外部環境とのガス交換である任意の部分、組織または臓器に投与することの通常の意味に加えて、「肺の」とは気道に付随する組織または空洞、特に副鼻腔も意味することになる。肺投与のために、活性物質を含むエアロゾル製剤、手動ポンプ噴霧剤、ネブライザーまたは加圧定量噴霧式吸入器ならびにドライパウダー製剤が企図される。この型の適当な製剤には、開示する化合物を有効なエアロゾルとして維持するための、帯電防止剤などの他の物質を含ませることも可能である。
【0041】
エアロゾルを送達するための薬物送達装置は、前述の薬学的エアロゾル製剤を含む計量バルブの付いた適当なエアロゾルキャニスター、およびキャニスターを保持し、薬物送達を可能にするよう適合させたアクチュエータハウジングを含む。薬物送達装置のキャニスターは、キャニスターの全容量の約15%を超える容量に相当するヘッドスペースを有する。肺投与が意図される化合物は、溶媒、界面活性剤、および噴射剤の混合物に溶解、懸濁または乳化されることが多い。混合物は計量バルブ付きの密封したキャニスター内で加圧化に維持される。
【0042】
実施例
本発明を以下の実施例によって例示するが、これらはいかなる様式でも限定を意図するものではない。
【0043】
実施例1:ラセミまたは(R)-ジロートンをイヌに投与した後の経時的なジロートンの平均血漿濃度(ng/ml)(図1のための方法)
ラセミジロートンおよび(R)-ジロートンの血漿濃度-時間特性を、ゲルキャップ中10mg/kgのラセミジロートンまたは5mg/kgの(R)-ジロートンのいずれかを経口投与したビーグル犬で評価した。経口投与に続き、投与後48時間までの選択した時点で血液試料を試験動物からナトリウム-EDTA抗凝血チューブに採取し、血漿へと処理し、LC-MS/MS法でジロートン濃度を分析した。LC-MS/MS法は水中0.1%トリフルオロ酢酸とメタノールの勾配HPLCシステム(Zorbax SB-C18 4.6×30mmカラムを用いて4分間、最初は45:55から10:90%まで、流速1.5mL/分)を用いた。ジロートンの保持時間は2.0分であった。分析の内部標準としてジロートンの安定標識体を用いた。HPLC溶出液のエレクトロスプレーイオン化による質量分析をSRMモード(ESI 3.5kV;チューブレンズ電圧71.0;キャピラリーオフセット40.3;L11 -24.3;キャピラリー温度350℃;ドウェル100msec;衝突エネルギー15eV)で実施した。試験試料中のジロートンの血漿濃度を、標準濃度-ピーク面積/高さプロットから試料ピーク面積/高さプロットの内挿により推定した。血漿濃度-時間曲線下面積(AUC)を、台形公式を用いての非コンパートメント薬物動態分析(WinNonlin, Pharsight, Mountain View, CA)により計算した。
【0044】
図1は、経時的(分)なラセミジロートンおよび(R)-ジロートンの平均血漿濃度(ng/ml)を示している。図1に示す通り、(R)-ジロートンはラセミジロートンAUC(曲線下面積)の58%を構成する。10mg/kgで経口(po)投与したラセミジロートンのAUCは87μg/ml*hrであり、5mg/kg、poの(R)-ジロートンのAUCは52μg/ml*hrである。
【0045】
実施例2:ラセミまたは(R)-ジロートンをイヌに経口投与した後のジロートンの平均血漿濃度および全血中のLTB4生成の阻害(図2Aおよび2Bのための方法)
ラセミおよび(R)-ジロートンの薬力学をイヌの新鮮全血においてエクスビボで評価するために、0.5mlの一定量を試験の各薬力学試料から取り出した。0.5mlの血液をそれぞれ個々にラベルを付けた1.5mlポリプロピレンチューブに入れた。5mMのカルシウムイオノフォアA23187溶液(DMSO中)5μlを各試料に加え、ボルテックスで10秒間混合した。全血中のA23187の最終濃度は50μMであった(最終DMSO濃度は1%であった)。混合後、各試料を37℃の循環水浴に入れ、30分間インキュベートした。インキュベーション後、各試料を水浴から取り出し、30分間インキュベートした。インキュベーション後、各試料を水浴から取り出し、直ちに氷上に2分間置いた。2分後、試料を氷から取り出し、直ちにEppendorf Microfuge(VWR Scientific, USA)により14,000rpm、室温で2分間遠心分離した。遠心分離後、上清(血漿)を回収し、EIA緩衝液(1Mリン酸緩衝液、pH7.4)中で希釈し、-80℃でアッセイまで保存した。LTB4のレベルを、酵素イムノアッセイにより分析した(Cayman Chemical Co., Ann Arbor, Michigan)。
【0046】
図2Aに示す通り、10mg/kgのラセミジロートンは投与後30分から24時間の間の測定した時点でLTB4生成を100%阻害した。投与後36時間の時点で、ラセミジロートンはLTB4生成を約84%阻害した。図2Bに示す通り、5mg/kgの(R)-ジロートンは投与後60分から24時間の間の測定した時点でLTB4生成を>91%阻害した。投与後36時間の時点で、(R)-ジロートンはLTB4生成を約74%阻害した。これらの結果は、ラセミジロートンによって提供されるLTB4阻害の主な成分は2分の1の用量の(R)-ジロートン単独によって提供されうることを示している。
【0047】
実施例3:(R)-ジロートンはヒト全血アッセイにおけるLTB4生成阻害において(S)-ジロートンの12倍の効力を有する(図3のための方法)
ラセミおよび(R)-ジロートンの効力を、新鮮ヒト全血中で、基本的にはCarter et al., J. Pharm. Exp. Ther. 1991: 256:929の方法により評価した。簡単に言うと、各供血者からの0.5mlのヘパリン加(20 USP U/ml)ヒト血液を媒体(DMSO)、または様々な濃度のラセミジロートン、(R)-ジロートンもしくは(S)-ジロートン(DMSO中で調製)と共に37℃で15分間インキュベートした。エイコサノイド生合成を、DMSO中のカルシウムイオノフォアA23187を最終濃度50μM(最終DMSO濃度1%)まで加えることにより開始した。試料をA23187存在下、37℃でさらに30分間インキュベートした。氷浴中で2分間冷却し、続いて遠心分離することにより、反応を停止した。次いで、血漿をEIA緩衝液(1Mリン酸緩衝液、pH7.4)中に回収し、次いで-80℃でアッセイまで保存した。LTB4のレベルを、酵素イムノアッセイにより分析した。
【0048】
図3に示す通り、LTB4阻害のヒト全血アッセイで、(R)-ジロートンはLTB4生成の阻害においてラセミジロートンまたは(S)-ジロートンの12倍の効力を示した。ラセミジロートンのIC50は745nM、(R)-ジロートンのIC50は399nM、(S)-ジロートンのIC50は4.77μMであった。S(-)ジロートンIC50/R(+)-ジロートンIC50比は11.9であった。
【0049】
実施例4:ラセミジロートンによる1日4回の治療はアレルギー性肺炎症のマウスモデルでの炎症細胞浸潤予防において有効である
雄BALB/cマウスを第1日目および14日目にオボアルブミン(10μg)で腹腔内(i.p.)感作した。アレルギー性肺炎症反応を誘発するために、第29、30および31日目にマウスにオボアルブミン(100μg)(または擬似群には食塩水)による鼻内(i.n.)曝露を3回行った。感作期間の後、動物を第29、30および31日目のオボアルブミン曝露の30分前に以下の治療法で経口治療した:ラセミジロートン(10mg/kg、1日4回(qid))、モンテルカスト(0.17mg/kg、1日1回(qd))、デキサメタゾン(4mg/kg、1日1回(qd))。最後の曝露の24時間後(1群あたりn=16、2つの別の試験を合わせた)、動物を屠殺し、気管支肺胞洗浄(BAL)を行った。炎症細胞による気道の浸潤をサイトスピン、顕微鏡検査および/またはフローサイトメトリーにより定量した。ジロートンおよびモンテルカストの用量レベルおよび頻度を、ヒト臨床使用に近似させるよう選択した。ジロートン、モンテルカストおよびデキサメタゾンをそれぞれの「qid」および「qd」対照群と比較した。
【0050】
それぞれの型の医学的介入を受けたマウスにおける気道の細胞浸潤の阻害パーセントを示すデータを以下の表1に示す。
【0051】
【表1】

【0052】
表1に示すデータは、ジロートンによる好中球の気道浸潤の阻害はデキサメタゾンによる阻害に匹敵し、モンテルカストによる阻害のほぼ4倍であることを示している。同様に、全細胞数のジロートンによる減少はデキサメタゾンとほとんど同じで、モンテルカストよりもほぼ10%高かった。
【0053】
実施例5:R(+)ジロートンは喘息のマウスモデルにおいてラセミジロートンよりも活性が高い
雄BALB/cマウスをTaconic Labs(Taconic, NY)から入手し、OVAを含まない(オボアルブミンを含まない)飼料で維持した。少なくとも5日間の平衡化後、動物をOVAに感作させ、次いで以下の手順で曝露した。第1日目および14日目に、10μLの量の2mg Al(OH)3(水酸化アルミニウム(Aldrox))に乳化した10μg OVAの腹腔内(ip)注射により感作を行った。第29、30および31日目に、イソフルラン浅麻酔下で20μL(10μL/鼻孔)のOVA(1mg/mL)の鼻内滴下によるアレルゲン曝露を行った。
【0054】
バックグラウンド対照群には、感作および曝露を行わなかった。擬似対照群には、OVA感作は行ったが、PBSで曝露した。得られる最大反応レベルを調べるために、媒体対照群を用いた。
【0055】
動物にジロートン(2または4mg/kg、経口(po)、1日1回(qd))または(経口)を各オボアルブミン曝露の30分前に投与した。
【0056】
最後のオボアルブミン曝露の8時間後、動物を屠殺し、気管支肺胞洗浄(BAL)を行った。気管内チューブを気管に挿入し、0.01%EDTAおよび0.05%BSA(ウシ血清アルブミン)を含む、発熱性物質を含まない滅菌PBSで肺を2回洗浄した。室温で維持した洗浄液を肺にゆっくり注入し;肺を手でマッサージして液を30秒間分布させ、気管支肺胞洗浄液(BALF)をゆっくり抜き取り、個々にラベルを付けた滅菌ポリプロピレンチューブに回収した。この手順を動物ごとに2回繰り返し、洗浄液をプールした。炎症細胞の気道への浸潤の程度をフローサイトメトリーにより評価した。
【0057】
前もってOVAに感作させた動物におけるOVA曝露に対する反応は、図4の媒体対照群(Veh)で見られる通り、曝露部位での細胞流入を含む顕著な免疫応答を引き起こす(各実験群と媒体対照群(Veh)の阻害パーセントの値を括弧内に示す。媒体対照と比較しての実験群の統計学的評価はダネット多重比較事後検定を伴う分散分析により行った(***p<0.001)。)4mg/kg、1日1回(qd)のラセミジロートン、またはR(+)鏡像異性体による治療は、BAL液の全細胞数増加の有意な阻害を提供した(それぞれ66%および85%阻害)。これに対し、S(-)鏡像異性体は炎症細胞浸潤の阻止において有意に有効ではなかった(図4)。R(+)鏡像異性体は半分の用量(2mg/kg)でも非常に効果的で、全細胞浸潤の66%阻害を提供した(図4)。
【0058】
好酸球または好中球の特定の浸潤に対する化合物治療の効果を、BAL液の試料のサイトスピン/血球計数により評価した。3つの化合物はすべて、4mg/kg用量で好酸球のいくらかの阻害を示した(図5A)が、ラセミ体およびR(+)鏡像異性体だけが有意な阻害を示した(それぞれ67%および75%に対し、S(-)による阻害は51%)。3つの化合物はすべて、好中球浸潤を阻害するいくらかの傾向を示したが、4mg/kgのR(+)で見られる65%の阻害だけが統計学的に有意であった(図5B)。ラセミ体およびS(-)はいずれも好中球流入のいくらかの阻害を示した(それぞれ54%および35%阻害)が、これらの効果は統計学的有意性には達しなかった。(図5Aおよび5Bの両方において、媒体対照と比較しての実験群の統計学的評価はダネット多重比較事後検定を伴う分散分析により行った(*p<0.05;**p<0.01)。
【0059】
まとめとして、R(+)ジロートンは、S(-)ジロートンまたはラセミジロートンと比べると、高い有効性を示す。したがって、アレルゲン誘導性気道炎症(喘息)のマウスモデルにおけるインビボ有効性により評価して、R(+)ジロートンの投与はラセミジロートンまたはS(-)ジロートンを超える明白な利益を提供する。
【0060】
本発明をその例となる態様に関連して特に示し、記載してきたが、当分野の技術者であれば、添付の特許請求の範囲に含まれる本発明の範囲から逸脱することなく、形状および詳細における様々な変更をその中に加えうることが理解されると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に(i)実質的に(S)-ジロートンを含まないジロートン;および(ii)薬学的に許容される賦形剤を含む組成物を投与する段階を含む、喘息、関節リウマチ、痛風、乾癬、アレルギー、鼻炎、成人呼吸障害症候群、慢性閉塞性肺疾患、ざ瘡、アトピー性皮膚炎、結膜炎、虚血/再灌流障害、アテローム性動脈硬化症、大動脈瘤、鼻ポリープ症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、癌、腫瘍、呼吸器合胞体ウイルス、シェーグレン-ラルソン症候群、鎌状赤血球病、敗血症、内毒素ショック、心筋梗塞、および卒中からなる群より選択される状態を患っている患者においてその状態を治療する方法であって、該ジロートンを1日に約450ミリグラムから約1200ミリグラムの1日量で投与する、方法。
【請求項2】
患者に(i)実質的に(S)-ジロートンを含まないジロートン;および(ii)薬学的に許容される賦形剤を含む組成物を投与する段階を含む、喘息、関節リウマチ、痛風、乾癬、アレルギー、鼻炎、成人呼吸障害症候群、慢性閉塞性肺疾患、ざ瘡、アトピー性皮膚炎、虚血/再灌流障害、アテローム性動脈硬化症、大動脈瘤、鼻ポリープ症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、癌、腫瘍、呼吸器合胞体ウイルス、シェーグレン-ラルソン症候群、鎌状赤血球病、敗血症、内毒素ショック、心筋梗塞、および卒中からなる群より選択される状態を患っている患者においてその状態を治療する方法であって、該ジロートンを1日に約450ミリグラムから約1200ミリグラムの1日量で投与する、方法。
【請求項3】
ジロートンを1日に約500ミリグラムから約1000ミリグラムの1日量で投与する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
ジロートンを1日に約600ミリグラムから約900ミリグラムの1日量で投与する、請求項3記載の方法。
【請求項5】
ジロートンを1日に約600ミリグラムの1日量で投与する、請求項1または2記載の方法。
【請求項6】
ジロートンを1日に約900ミリグラムの1日量で投与する、請求項1または2記載の方法。
【請求項7】
ジロートンを1日に約1000ミリグラムの1日量で投与する、請求項1記載の方法。
【請求項8】
ジロートンを1日に約1200ミリグラムの1日量で投与する、請求項1または2記載の方法。
【請求項9】
前記用量を経口的に投与する、請求項1または2記載の方法。
【請求項10】
前記1日量を1回の1日量として投与する、請求項1または2記載の方法。
【請求項11】
前記1日量を2回の服用として投与する、請求項1または2記載の方法。
【請求項12】
前記1日量を1回の1日量として投与する、請求項3記載の方法。
【請求項13】
前記1日量を1回の1日量として投与する、請求項4記載の方法。
【請求項14】
前記1日量を2回の服用として投与する、請求項4記載の方法。
【請求項15】
前記1日量を2回の服用として投与する、請求項4記載の方法。
【請求項16】
組成物が、少なくとも90重量%の(R)-ジロートンおよび10重量%以下の(S)-ジロートンであるジロートンを含み、該パーセントが組成物中のジロートンの全重量に基づいている、請求項1または2記載の方法。
【請求項17】
組成物が、少なくとも95重量%の(R)-ジロートンおよび5重量%以下の(S)-ジロートンであるジロートンを含み、該パーセントが組成物中のジロートンの全重量に基づいている、請求項16記載の方法。
【請求項18】
組成物が、少なくとも99重量%の(R)-ジロートンおよび1重量%以下の(S)-ジロートンであるジロートンを含み、該パーセントが組成物中のジロートンの全重量に基づいている、請求項17記載の方法。
【請求項19】
組成物を錠剤として投与する、請求項1または2記載の方法。
【請求項20】
組成物を制御放出製剤で投与する、請求項1または2記載の方法。
【請求項21】
前記状態が喘息である、請求項1または2記載の方法。
【請求項22】
前記状態が中等症持続型喘息および重症持続型喘息からなる群より選択される、請求項21記載の方法。
【請求項23】
患者に(i)実質的に(S)-ジロートンを含まないジロートン;および(ii)薬学的に許容される賦形剤を含む組成物を投与する段階を含む、喘息、関節リウマチ、痛風、乾癬、アレルギー、鼻炎、成人呼吸障害症候群、慢性閉塞性肺疾患、ざ瘡、アトピー性皮膚炎、結膜炎、虚血/再灌流障害、アテローム性動脈硬化症、大動脈瘤、鼻ポリープ症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、癌、腫瘍、呼吸器合胞体ウイルス、シェーグレン-ラルソン症候群、鎌状赤血球病、敗血症、内毒素ショック、心筋梗塞、および卒中からなる群より選択される状態を患っている患者においてその状態を治療する方法であって、該ジロートンを1日に約600ミリグラムの1日量で投与する、方法。
【請求項24】
患者に(i)実質的に(S)-ジロートンを含まないジロートン;および(ii)薬学的に許容される賦形剤を含む組成物を投与する段階を含む、喘息、関節リウマチ、痛風、乾癬、アレルギー、鼻炎、成人呼吸障害症候群、慢性閉塞性肺疾患、ざ瘡、アトピー性皮膚炎、虚血/再灌流障害、アテローム性動脈硬化症、大動脈瘤、鼻ポリープ症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、癌、腫瘍、呼吸器合胞体ウイルス、シェーグレン-ラルソン症候群、鎌状赤血球病、敗血症、内毒素ショック、心筋梗塞、および卒中からなる群より選択される状態を患っている患者においてその状態を治療する方法であって、該ジロートンを1日に約600ミリグラムの1日量で投与する、方法。
【請求項25】
前記1日量を1回の服用として投与する、請求項23または24記載の方法。
【請求項26】
前記1日量を2回の服用として投与する、請求項23または24記載の方法。
【請求項27】
患者に(i)実質的に(S)-ジロートンを含まないジロートン;および(ii)薬学的に許容される賦形剤を含む組成物を投与する段階を含む、喘息、関節リウマチ、痛風、乾癬、アレルギー、鼻炎、成人呼吸障害症候群、慢性閉塞性肺疾患、ざ瘡、アトピー性皮膚炎、結膜炎、虚血/再灌流障害、アテローム性動脈硬化症、大動脈瘤、鼻ポリープ症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、癌、腫瘍、呼吸器合胞体ウイルス、シェーグレン-ラルソン症候群、鎌状赤血球病、敗血症、内毒素ショック、心筋梗塞、および卒中からなる群より選択される状態を患っている患者においてその状態を治療する方法であって、該ジロートンを1日に約900ミリグラムの1日量で投与する、方法。
【請求項28】
患者に(i)実質的に(S)-ジロートンを含まないジロートン;および(ii)薬学的に許容される賦形剤を含む組成物を投与する段階を含む、喘息、関節リウマチ、痛風、乾癬、アレルギー、鼻炎、成人呼吸障害症候群、慢性閉塞性肺疾患、ざ瘡、アトピー性皮膚炎、虚血/再灌流障害、アテローム性動脈硬化症、大動脈瘤、鼻ポリープ症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、癌、腫瘍、呼吸器合胞体ウイルス、シェーグレン-ラルソン症候群、鎌状赤血球病、敗血症、内毒素ショック、心筋梗塞、および卒中からなる群より選択される状態を患っている患者においてその状態を治療する方法であって、該ジロートンを1日に約900ミリグラムの1日量で投与する、方法。
【請求項29】
前記1日量を1回の服用として投与する、請求項27または28記載の方法。
【請求項30】
前記1日量を2回の服用として投与する、請求項27または28記載の方法。
【請求項31】
患者に(i)実質的に(S)-ジロートンを含まないジロートン;および(ii)薬学的に許容される賦形剤を含む組成物を投与する段階を含む、喘息、関節リウマチ、痛風、乾癬、アレルギー、鼻炎、成人呼吸障害症候群、慢性閉塞性肺疾患、ざ瘡、アトピー性皮膚炎、結膜炎、虚血/再灌流障害、アテローム性動脈硬化症、大動脈瘤、鼻ポリープ症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、癌、腫瘍、呼吸器合胞体ウイルス、シェーグレン-ラルソン症候群、鎌状赤血球病、敗血症、内毒素ショック、心筋梗塞、および卒中からなる群より選択される状態を患っている患者においてその状態を治療する方法であって、該(R)-ジロートンを1日に約1000ミリグラムの1日量で投与する、方法。
【請求項32】
患者に(i)実質的に(S)-ジロートンを含まないジロートン;および(ii)薬学的に許容される賦形剤を含む組成物を投与する段階を含む、喘息、関節リウマチ、痛風、乾癬、アレルギー、鼻炎、成人呼吸障害症候群、慢性閉塞性肺疾患、ざ瘡、アトピー性皮膚炎、虚血/再灌流障害、アテローム性動脈硬化症、大動脈瘤、鼻ポリープ症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、癌、腫瘍、呼吸器合胞体ウイルス、シェーグレン-ラルソン症候群、鎌状赤血球病、敗血症、内毒素ショック、心筋梗塞、および卒中からなる群より選択される状態を患っている患者においてその状態を治療する方法であって、該(R)-ジロートンを1日に約1000ミリグラムの1日量で投与する、方法。
【請求項33】
前記1日量を1回の服用として投与する、請求項31または32記載の方法。
【請求項34】
前記1日量を2回の服用として投与する、請求項31または32記載の方法。
【請求項35】
患者に(i)実質的に(S)-ジロートンを含まないジロートン;および(ii)薬学的に許容される賦形剤を含む組成物を投与する段階を含む、喘息、関節リウマチ、痛風、乾癬、アレルギー、鼻炎、成人呼吸障害症候群、慢性閉塞性肺疾患、ざ瘡、アトピー性皮膚炎、結膜炎、虚血/再灌流障害、アテローム性動脈硬化症、大動脈瘤、鼻ポリープ症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、癌、腫瘍、呼吸器合胞体ウイルス、シェーグレン-ラルソン症候群、鎌状赤血球病、敗血症、内毒素ショック、および心筋梗塞からなる群より選択される状態を患っている患者においてその状態を治療する方法であって、該ジロートンを1日に約1200ミリグラムの1日量で投与する、方法。
【請求項36】
患者に(i)実質的に(S)-ジロートンを含まないジロートン;および(ii)薬学的に許容される賦形剤を含む組成物を投与する段階を含む、喘息、関節リウマチ、痛風、乾癬、アレルギー、鼻炎、成人呼吸障害症候群、慢性閉塞性肺疾患、ざ瘡、アトピー性皮膚炎、虚血/再灌流障害、アテローム性動脈硬化症、大動脈瘤、鼻ポリープ症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、癌、腫瘍、呼吸器合胞体ウイルス、シェーグレン-ラルソン症候群、鎌状赤血球病、敗血症、内毒素ショック、および心筋梗塞からなる群より選択される状態を患っている患者においてその状態を治療する方法であって、該ジロートンを1日に約1200ミリグラムの1日量で投与する、方法。
【請求項37】
前記1日量を1回の服用として投与する、請求項35または36記載の方法。
【請求項38】
前記1日量を2回の服用として投与する、請求項35または36記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−515682(P2010−515682A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544925(P2009−544925)
【出願日】平成20年1月4日(2008.1.4)
【国際出願番号】PCT/US2008/000101
【国際公開番号】WO2008/085875
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(509188757)コーナーストーン セラピューティックス インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】