説明

噴出器用ストッパ部材、および噴出器

【課題】使用の際にストッパ部材を紛失するおそれをなくす。
【解決手段】噴出器用ストッパ部材30に、外周の一部に軸方向のスリットを有する筒状をなし、弾性に抗してスリットが押し開かれることによりステム22のまわりに着脱自在にかつ軸方向に反転自在にはめ付け可能とされる取付部32と、その取付部の軸方向一端に形成されて、ステムに対する取付部の取り付け向きによりスパウト(操作部材)23の操作を規制する鍔部33とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、容器の口部に、ポンプ式やエアゾール式の噴射装置が取り付けられ、その噴射装置の、スパウトやトリガーレバーなどの操作部材が操作されてステムが押し込まれることにより、容器の内容物がステム内を通して外部に噴出される、化粧用等で用いる噴出器に関する。および、そのような噴出器に使用され、ステムのまわりにはめ付けられることにより操作部材の操作を規制する噴出器用ストッパ部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、噴出器では、例えばユーザーが携行するとき、バック内にある噴出器のスパウトやトリガーレバー等の操作部材を誤って押し込んだり回動したりして内容物を噴出し、バック内を汚したり、容器の内容物を無駄に消費したりする問題があった。
【0003】
そこで、従来の噴出器の中には、例えば図7に示すように、噴射装置1に、その噴射装置1を容器2の口部2aに取り付けるねじキャップ3と、そのねじキャップ3の中心から突出されるステム4と、そのステム4の先端に取り付けられるスパウト5とが備えられ、スパウト5が操作されてステム4が押し込まれることにより、容器2の内容物がステム4内を通してスパウト5のくちばし状の噴出部5aの先端から外部に向けて噴出される噴出器において、不使用時には、ステム4のまわりにストッパ部材6を着脱自在に取り付けて、そのストッパ部材6をスパウト5とねじキャップ3との間に挟み込むことにより、スパウト5の押し下げ操作を不能とするものがある。
【0004】
【特許文献1】特開2006−240638号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、このような噴出器では、使用する際にストッパ部材6を取り外したとき、誤って、取り外したストッパ部材6を紛失してしまうおそれがあった。
【0006】
そこで、この発明の目的は、ステムのまわりにストッパ部材をはめ付けることによりスパウト等の操作部材の操作を規制し、不用意な内容物の噴出を阻止してバック内を汚したり、容器の内容物を無駄に消費したりする問題を解消する噴出器において、使用の際にストッパ部材を紛失するおそれをなくすことにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのため、請求項1および2に記載の発明は、
容器の口部に噴射装置が取り付けられ、その噴射装置の操作部材が操作されてステムが押し込まれることにより、容器の内容物がステム内を通して外部に噴出される噴出器に使用され、
ステムのまわりにはめ付けられることにより操作部材の操作を規制する噴出器用ストッパ部材において、
外周の一部に軸方向のスリットを有する筒状をなし、弾性に抗してスリットが押し開かれることによりステムのまわりに着脱自在にかつ軸方向に反転自在にはめ付け可能とされる取付部と、
その取付部の軸方向一端に形成されて、ステムに対する取付部の取り付け向きにより操作部材の操作を規制する鍔部と、
を有する、ことを特徴とする。
【0008】
ここで、取付部と鍔部とで形成されるコーナー部には、液溜まり防止用の膨らみが設けられているとよい。そして、使用時にこぼれた内容物が、表面張力等によりコーナー部に滞留して、外見を悪くしたり不衛生となったりする問題を解消することができる。
【0009】
そして、噴出器の不使用時には、鍔部を操作部材側としてステムのまわりにストッパ部材をはめ付け、鍔部に当てて操作部材の操作が規制されるようにする。他方、噴出器の使用時には、ステムに対する取付部の取り付け向きを逆にしてステムのまわりにストッパ部材を取り付け、鍔部に当たらないようにして操作部材の操作規制が解除され、操作部材が操作されてステムが押し込まれることにより容器の内容物がステム内を通して外部に噴出される。
【0010】
請求項3ないし6に記載の発明は、容器の口部にポンプ式やエアゾール式などの噴射装置が取り付けられる、請求項1または2に記載の噴出器用ストッパ部材が備えられていることを特徴とする噴出器である。
【0011】
例えば、噴射装置に、その噴射装置を容器の口部に取り付けるねじキャップと、そのねじキャップの中心から突出されるステムと、そのステムの先端に取り付けられる操作部材であるスパウトとが備えられ、
ステムに対する取付部の取り付け向きにより、スパウトを押し下げ操作するときに、取付部が入り込んでスパウトの押し下げ操作を可能とするように、該スパウトとステムとの間に隙間が形成される一方、
ステムに対する取付部の取り付け向きを逆にした場合、スパウトを押し下げ操作するときに、そのスパウトが突き当たって該スパウトの操作を規制するように鍔部が形成されている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1および2に記載の発明によれば、噴出器の使用時にも、ステムのまわりにストッパ部材をはめ付けた状態とするので、ストッパ部材を紛失するおそれをなくすことができる。そして、噴出器の不使用時には、鍔部を操作部材側としてステムのまわりにストッパ部材をはめ付けることにより、鍔部に当てて操作部材の操作が規制されるので、不用意な内容物の噴出を阻止してバック内を汚したり、容器の内容物を無駄に消費したりする問題を解消することができる。
【0013】
請求項3ないし6に記載の発明によれば、請求項1または2に記載の噴出器用ストッパ部材が備えられているので、ステムのまわりにストッパ部材をはめ付けることによりスパウト等の操作部材の操作を規制し、不用意な内容物の噴出を阻止してバック内を汚したり、容器の内容物を無駄に消費したりする問題を解消している噴出器において、使用時にもステムまわりにストッパ部材をはめ付けた状態とするので、使用の際にストッパ部材を紛失するおそれをなくすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、この発明の実施の最良形態につき説明する。
図1には、この発明によるストッパ部材を使用している往復ポンプ式噴出器における不使用時の外観を示す。
【0015】
図中符号10は、容器である。容器10は、プラスチック材料でボトル形状につくり、その口部11外周に雄ネジを設け、図示省略するが、この例では、内部に、内容物として化粧液が収納されている。その容器10の口部11には、ポンプ式噴射装置20が取り付けられる。
【0016】
図示省略するが、ポンプ式噴射装置20には、周知のとおり、ハウジング、そのハウジング内に挿入してハウジング内にシリンダ室を形成するピストン、シリンダ室の入口に設ける入口弁、出口に設ける出口弁、シリンダ室に設けてピストンを復帰する復帰スプリングなどが備えられている。
【0017】
噴射装置20には、また、内周に設ける雌ねじを容器10の口部11外周にねじ付けることにより噴射装置20を容器10の口部11に取り付けるねじキャップ21と、そのねじキャップ21の中心から突出されるステム22と、そのステム22の先端に取り付けられる操作部材であるスパウト23とが備えられている。この例では、スパウト23には、くちばし状の噴出部24が形成されている。
【0018】
図中符号25は、スパウト23の操作を規制するストッパ部材であり、ねじキャップ21とスパウト23との間においてステム22のまわりにはめ付けられている。
【0019】
図2には、図1に示す噴出器で使用するストッパ部材30を示す。
図2から判るとおり、ストッパ部材30は、外周の一部に軸方向のスリット31を有する筒状をなす取付部32と、その取付部32の軸方向の一端に形成される鍔部33とを有する。
【0020】
そして、スリット31がステム22に押し当てられて押し付けられ、弾性に抗してスリット31が押し開かれることにより、図1に示すようにステム22のまわりにストッパ部材30がはめ付けられる。ストッパ部材30は、例えば鍔部33を持って押し付けたり引っ張ったりすることにより、ステム22に対して着脱自在となっており、また軸方向に反転自在にはめ付け可能となっている。そして、噴出器の不使用時にあっては、図示するように、鍔部33をスパウト23側としてステム22のまわりに取り付けられている。
【0021】
図3には、図1に示す不使用状態で、スパウト23を押し下げ操作した場合を示す。
このように、鍔部33をスパウト23側としてステム22のまわりにストッパ部材30がはめ付けられている状態では、スパウト23を押し下げ操作しても、鍔部33に突き当たってスパウト23の操作が規制されるようになっている。
【0022】
図4には、図1の噴出器における使用時の外観を示す。
噴出器の使用時には、ストッパ部材30を軸方向に反転してステム22に対する取付部32の取り付け向きを逆にし、図示するように鍔部33をねじキャップ21側として、ねじキャップ21とスパウト23との間においてステム22のまわりにはめ付けられる。
【0023】
図5には、図4に示す使用状態で、スパウト23を押し下げ操作した場合を示す。
このように、鍔部33をねじキャップ21側としてステム22のまわりにストッパ部材30がはめ付けられている状態で、スパウト23を押し下げ操作すると、スパウト23とステム22との間の隙間に取付部32が入り込んでスパウト23の押し下げ操作を可能とすることができる。
【0024】
これにより、鍔部33に当たらないようにしてスパウト23の操作規制が解除され、スパウト23が操作されてステム22が押し込まれることにより、容器10の内容物がステム22と通してスパウト23内に入り、噴出部24の先端の噴口から外部に噴出されることとなる。
【0025】
図6(A)にはストッパ部材30の改良例を示し、(B)には取付部32と鍔部33とで形成されるコーナー部の拡大断面を示す。
取付部32と鍔部33とで形成されるコーナー部には、図示するように液溜まり防止用の膨らみ34が設けられ、噴出器の使用時にこぼれた内容物が、表面張力等によりコーナー部に滞留して、外見を悪くしたり不衛生となったりするおそれを解消することができるようになっているとよい。
【0026】
ところで、上述した図示例では、往復ポンプ式の噴出器にストッパ部材30を設けた場合について説明したが、エアゾール式の噴出器にも同様にこの発明によるストッパ部材を用いることができ、また図示例のようなストッパ部材を用いてこの発明による噴出器を形成することができる。
【0027】
一方、操作部材としてスパウト23を用いたが、操作部材はスパウトに限るものではなく、トリガーレバーなどであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明によるストッパ部材を使用している往復ポンプ式噴出器における不使用時の外観図である。
【図2】図1に示す噴出器で使用するストッパ部材の斜視図である。
【図3】図1に示す不使用状態で、スパウトを押し下げ操作した場合を示す状態図である。
【図4】図1に示す噴出器の使用時の外観図である。
【図5】図4に示す使用状態で、スパウトを押し下げ操作した場合を示す状態図である。
【図6】(A)はストッパ部材の改良例の斜視図、(B)にはその取付部と鍔部とで形成されるコーナー部の拡大断面図である。
【図7】従来のストッパ部材を使用している噴出器の不使用時の外観図である。
【符号の説明】
【0029】
10 容器
11 口部
20 噴射装置
21 ねじキャップ
22 ステム
23 スパウト(操作部材)
24 スパウトの噴出部
30 ストッパ部材
31 スリット
32 取付部
33 鍔部
34 膨らみ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部に噴射装置が取り付けられ、その噴射装置の操作部材が操作されてステムが押し込まれることにより、前記容器の内容物が前記ステム内を通して外部に噴出される噴出器に使用され、
前記ステムのまわりにはめ付けられることにより前記操作部材の操作を規制する噴出器用ストッパ部材において、
外周の一部に軸方向のスリットを有する筒状をなし、弾性に抗して前記スリットが押し開かれることにより前記ステムのまわりに着脱自在にかつ軸方向に反転自在にはめ付け可能とされる取付部と、
その取付部の軸方向一端に形成されて、前記ステムに対する前記取付部の取り付け向きにより前記操作部材の操作を規制する鍔部と、
を有することを特徴とする噴出器用ストッパ部材。
【請求項2】
前記取付部と前記鍔部とで形成されるコーナー部に、液溜まり防止用の膨らみが設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の噴出器用ストッパ部材。
【請求項3】
請求項1または2に記載の噴出器用ストッパ部材が備えられていることを特徴とする噴出器。
【請求項4】
前記噴射装置に、その噴射装置を前記容器の口部に取り付けるねじキャップと、そのねじキャップの中心から突出される前記ステムと、そのステムの先端に取り付けられる前記操作部材であるスパウトとが備えられ、
前記ステムに対する前記取付部の取り付け向きにより、前記スパウトを押し下げ操作するときに、前記取付部が入り込んで前記スパウトの押し下げ操作を可能とするように、該スパウトと前記ステムとの間に隙間が形成される一方、
前記ステムに対する前記取付部の取り付け向きを逆にした場合、前記スパウトを押し下げ操作するときに、そのスパウトが突き当たって該スパウトの操作を規制するように前記鍔部が形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の噴出器。
【請求項5】
前記噴射装置がポンプ式であることを特徴とする、請求項3または4に記載の噴出器。
【請求項6】
前記噴射装置がエアゾール式であることを特徴とする、請求項3または4に記載の噴出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−286486(P2009−286486A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−144055(P2008−144055)
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【出願人】(000144463)株式会社三谷バルブ (142)
【Fターム(参考)】