説明

噴霧可能な音響材料

本発明は、噴霧可能な音響材料、製造法および使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴霧可能な音響材料(spritzbare Akustikmassen)、製造法および使用に関する。
【0002】
振動させられる表面は、音を反射する。これは、例えば楽器の場合にまさに所望されることがある;しかしながら、特に、この音が騒音として認められる場合、煩わしく感じられることもある。
【0003】
例えば自動車の車体の薄板(Bleche)は、エンジン、道路舗装表面または舗装用砕石によって振動を引き起こされ、これらは車内で振動音として感じられる。
【0004】
これらの不所望の薄板の振動を減衰するために、自動車産業においてしばしばアスファルトマットが薄板上に施与される。それによって車内での雑音負荷を効果的に減衰することに成功する一方で、この方法は同時に多数の欠点をもたらす:
アスファルトマットは、どの表面にも適切な形で裁断されて備蓄されなければならない;しかしながら、種々の車両モデルのためにそのつど複数のマット形状が準備されていなければならない場合、これはロジスティックスおよび在庫管理への挑戦となる。
【0005】
マットの付着は手製で行われ、これにより当然の事ながら品質変動が生じる。
【0006】
さらに、アスファルトは、毒物学的な見地の下、議論の余地がないわけではない。
【0007】
そのようなアスファルトマットを代用するために、数年前から、アスファルトマットより様々な点で優れている噴霧可能なまたは押出可能な材料が議題にのぼっている。
【0008】
ロボットにより塗布されるそのような材料は、複雑に形作られたまたは屈曲された薄板上にも難なく施工されうる。変更された要求またはモデルチェンジに適合させることは非常に容易に可能である。
【0009】
オートメーション化により、手製の軽減およびプロセス品質の改善が達成されうる。
【0010】
そのような材料はすでに記載されており、かつ一部ではまたすでに少量で自動車製造に際して使用される。しかしながら、これまでそのような材料は、まだ現状を打破するには至っていない。それというのも、これまで提案された全てのシステムは、それらの変換を妨げるという欠点を有するからである。
【0011】
まず、PVCまたは塩素化された熱可塑性樹脂をベースとする材料が、例えばEP0456473またはEP766714におけるプラスチゾルとして、またはEP1277823における高温で処理されるべき材料として提案されていた。しかしながら、塩素含有プラスチックは、環境保護的な理由から有利ではない。それというのも、それらは燃焼に際してHClおよび毒性の高いダイオキシンを形成しえ、これにより、特にまた資源回収に際して欠点が伴われる。さらに、EP1277823で開示された材料の場合、高温での処理が必要とされることが欠点である。
【0012】
そのうえ、乾燥に際して薄膜を付与する水性分散液が記載されており、該薄膜は、所望された減衰特性を有する;そのような材料は、例えば出願公開EP1457530およびEP1520865に記載されている。しかしながら、この場合、良好な減衰作用のために必要とされる、より厚みのある層においてちょうど、噴霧された層から水を除去するために長い乾燥時間が要される。それと結び付いて、とりわけ乾燥プロセスの加速に際して、気泡の不所望の形成が生じる恐れがある。
【0013】
エポキシド樹脂をベースとする材料も同様に幅広く提案されている;例は、出願公開EP0407157、EP1023413およびEP1500690である。しかしながら、そのような樹脂の構成成分は問題がないわけではなく、かつしばしばアレルギー性またはそれどころか突然変異誘発性および発癌性である。そのような被覆(Beschichtungen)は、しばしば非常に硬くかつ脆性であるので、それらは外側領域には、たいていの場合、適していない。損傷した場合の修繕も、この材料の場合、非常に困難である。
【0014】
最後に、(メタ)アクリレートベースのバインダーを有するプラスチゾルも、例えばEP0702708またはEP1090067に記載されている。
【0015】
その際、(メタ)アクリレートという表記の仕方は、ここでおよび以下で、メタクリル酸のエステルのみならずアクリル酸のエステルならびにまた双方からの混合物も意味する。そのようなモノマーの例は、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、エチルアクリレートおよびブチルアクリレートである。
【0016】
(メタ)アクリレート−プラスチゾルという概念は、以下で、それらのポリマー構成成分が実質的な部分で(メタ)アクリレートからなるプラスチゾルの記載に使用される。
【0017】
しかしながら、そのような(メタ)アクリレート−プラスチゾルは、十分な加工性を保証するために、かなり高い含量の可塑剤を要する。しかしながら、これらは新車両においてちょうど、限られた量で被覆から蒸散しうる。そのようなプラスチゾルの車内での使用に際して、これはフォギング"Fogging"を強め、すなわち車両窓ガラスにてこれらの蒸気(Ausduenstungen)が堆積する。フォギングは所望されておらず、かつ妨げになる。それというのも、それによって窓ガラスの見通しの良さが、とりわけ直射日光またはその他のグレア作用に際して損なわれるからである。
【0018】
それゆえ課題は、従来技術において示された全ての欠点を排除する、振動減衰のための材料を提供するという点にあった。そのうえ、既存のプラスチゾル材料の改善に関する課題もあった。フォギングの要因である揮発性の構成成分をより少なめに含有するプラスチゾルが提供されるべきである。
【0019】
これらの課題、ならびに他の明確には挙げられなかった、しかしながらこの中で最初に議論されるコンテキストから容易く導出可能なまたは推論可能である課題は、
a)20000g/モル未満の分子量を有するオリゴマー1〜60質量%
b)オリゴマーa)のための溶剤0〜60質量%、
c)100000g/モルより大きい分子量を有する粉末状ポリマー5〜60質量%ならびに
d)他の充填剤、助剤および/または添加剤を含有する配合物によって解決され、その際、成分a)〜c)は配合物の少なくとも20%となる。有利には、成分a)〜c)は配合物の40%となる。
【0020】
通常プラスチゾル中で使用される可塑剤の全量または一部を、オリゴマー、殊に(メタ)アクリレートオリゴマーで代用することによって、"フォギング"が軽減されうることが判明した。
【0021】
本発明による配合物は、際立った加工性を有する。
【0022】
意想外にも、さらに被覆の減衰特性の明らかな改善が観察されうることが判明した。
【0023】
種々の表面形状および曲りに対する柔軟性への要求は、(メタ)アクリレート−プラスチゾルの使用により満たされる;それによって、減衰材料の最適化された在庫管理も可能となる。
【0024】
オリゴマーa)は、種々のモノマー型から構成されていてもよいだけでなく、また分布曲線に相応して種々の鎖長も包含するモノマー組成物を包含する。
【0025】
オリゴマーa)は、分子量M<20000g/モル、有利には分子量<10000g/モル、とりわけ有利には分子量<5000g/モルを有し、かつ有利には(メタ)アクリレート少なくとも30質量%、とりわけ有利には(メタ)アクリレート少なくとも60質量%を含有する。
【0026】
有利には、オリゴマーa)は、(メタ)アクリレート、例えばC原子1〜22個を有する直鎖の、分岐鎖のまたは脂環式のアルコールのアルキル(メタ)アクリレート、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、例えばベンジル(メタ)アクリレートまたはフェニル(メタ)アクリレート(それらは、そのつど非置換のまたは1〜4回置換されたアリール基を有してもよい)、エーテルのモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはC原子5〜80個を有するそれらの混合物、例えばテトラヒドロフルフリルメタクリレート、メトキシ(m)エトキシエチルメタクリレート、1−ブトキシプロピルメタクリレート、シクロヘキシルオキシメチルメタクリレート、ベンジルオキシメチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、アリルオキシメチルメタクリレート、1−エトキシブチルメタクリレート、1−エトキシエチルメタクリレート、エトキシメチルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、スチレンおよび置換されたスチレン、例えば4−ビニル安息香酸の群から選択されている。
【0027】
本発明によるオリゴマーは、いかなる反応性基も有する必要がない。それというのも、配合物の加工可能な形におけるそれらの役目は溶剤の役目であり、かつ完全にゲル化された形におけるそれらの役目はバインダーの役目であるからである。
【0028】
しかしながら、特別な実施態様において、オリゴマーの物理的な特性、例えば親水性または極性の特性を、付加的な官能基の取り込みによって変化させることも有利でありうる;例として、ヒドロキシル基(例えばコモノマーとしてのヒドロキシエチルメタクリレートまたはヒドロキシプロピルメタクリレートの使用によって)、酸基(例えばコモノマーとしてのアクリル酸またはメタクリル酸またはヒドロキシプロピルメタクリレートの使用によって)またはアミド基(例えばコモノマーとしてのアクリルアミドまたはメタクリルアミドの使用によって)が挙げられるべきである。
【0029】
オリゴマーは、当業者に公知の方法により合成される。通常、それらは連鎖移動剤の使用下で溶液重合によって製造される;典型的な連鎖移動剤は、硫黄化合物、例えばメルカプタン(例えば1−ドデカンチオール、1−ブタンチオール等)である。特定のモノマーのために、触媒的連鎖延長剤(katalytische Kettenuebertraeger)も使用されうる;そのようなCCT触媒は、例えばポルフィリン配位子またはグリオキシム配位子を有するコバルト(II)錯体(例えば5,10,15,20−テトラキス(4−メトキシフェニル)−21H,23H−ポルフィリン−コバルト(II)、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H、23H−ポルフィリン−コバルト(II)、ビス[(ジフルオロボリル)ジフェニルグリオキシム]−コバルト(II)またはビス[(ジフルオロボリル)ジフェニルグリオキシム]−コバルト(II))である。これが可能である場合においては、触媒的連鎖延長剤の使用がとりわけ有利である。
【0030】
配合物は、溶剤を用いても溶剤なしでも製造されうる。溶剤として、そのつどのオリゴマーとの二成分混合物において、そのつどの配合物中で意図された量比で光学的に透明な溶液を形成する液体または液体の混合物が考慮に入れられ、該溶液は、20℃にて24時間静止させた後にも分離または相形成を示さない。
【0031】
オリゴマーとのこの混合物において即座にまたは24時間以内に濁りを示すが、ただし成分の一つは沈殿またはクリーミングが起こらない液体は、あまり有利ではないが、しかし特別な実施態様においてそれでも考慮に入れられうる。
【0032】
以下の溶剤が別個に言及され、その際、リストは任意にさらに連ねることができ、かつ制限するものではないと理解されるべきである:
フタル酸のエステル、例えばジウンデシルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジオクチルフタレート、ジエチルヘキシルフタレート、ジ−C〜C11−n−アルキルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ベンジルオクチルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジベンジルフタレートおよびトリクレシルホスフェート、ジヘキシルジカプリルフタレート。
【0033】
ヒドロキシカルボン酸エステル、例えばクエン酸のエステル(例えばトリブチル−O−アセチルシトレート、トリエチル−O−アセチルシトレート)、酒石酸のエステルまたは乳酸のエステル。
【0034】
脂肪族ジカルボン酸エステル、例えばアジピン酸のエステル(例えばジオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート)、セバシン酸のエステル(例えばジブチルセバケート、ジオクチルセバケート、ビス(2−エチルヘキシル)−セバケート)またはアゼライン酸のエステル。
【0035】
トリメリット酸のエステル、例えばトリス(2−エチルヘキシル)トリメリテート。安息香酸のエステル、例えばベンジルベンゾエート。
【0036】
リン酸のエステル、例えばトリクレシルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルクレシルホスフェート、ジフェニルオクチルホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリス(2−ブトキシエチル)ホスフェート。
【0037】
フェノールまたはクレゾールのアルキルスルホン酸エステル、ジベンジルトルエン、ジフェニルエーテル。
【0038】
有利には、フタレート、アジペート、ホスフェートまたはシトレートが使用される;その際、フタレートがとりわけ有利である。
【0039】
あまり有利ではないが、しかし特別な実施において、易揮発性の溶剤、例えば低沸点炭化水素またはそれらの混合物(例えば石油エーテル)の使用も十分理に適っている。易揮発性の溶剤の使用は、殊に、例えば車体下部保護における外側の適用を目的とし、その際、フォギングは問題にならない。
【0040】
記載された溶剤およびその他の溶剤は、混合物としても使用されうる。
【0041】
ポリマーc)は、通常、分子量>100000g/モル、有利には400000g/モルを有する。これらのポリマーは、当業者に公知の方法(例えばラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、重付加または重縮合)に従って行われうる。有利なのはラジカル重合である。
【0042】
それに応じて、これらの重合反応が可能な全てのモノマーが−混合物においても−使用されうる。有利なのはエチレン性不飽和化合物、例えば(メタ)アクリレート、スチレンおよびその誘導体、非分岐鎖のまたは分岐鎖のアルケン、ビニルエステル等である。(メタ)アクリレートがとりわけ有利である。
【0043】
有利なのは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオール(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエトキシメチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ビニルオキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、1−ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、1−メチル−(2−ビニルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルオキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシメトキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジルオキシメチル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエトキシメチル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチルアクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、アリルオキシメチル(メタ)アクリレート、1−エトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシメチル(メタ)アクリレート、1−エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシメチル(メタ)アクリレート、2,3−エポキシブチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−(ジメチルホスファト)プロピル(メタ)アクリレート、2−(エチレンホスファイト)プロピル(メタ)アクリレート、ジメチルホスフィノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルホスホノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルメタクリロイルホスホネート、ジプロピルメタクリロイルホスフェート、エチルスルフィニルエチル(メタ)アクリレート、4−チオシアナトブチル(メタ)アクリレート、エチルスルホニルエチル(メタ)アクリレート、チオシアナトメチル(メタ)アクリレート、メチルスルフィニルメチル(メタ)アクリレート、ビス(メタクリロイルオキシエチル)スルフィド、トリメチロイルプロパントリ(メタ)アクリレート、1−ヘキセン、1−ヘプテン、シクロヘキセン、ビニルシクロヘキサン、3,3−ジメチルプロペン、3−メチル−1−ジイソブチレン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルアセテート、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン、マレイン酸のエステルまたはジエステル、9−ビニルカルバゾール、3−ビニルカルバゾール、4−ビニルカルバゾール、ビニルオキソラン、ビニルフラン、ビニルチオフェン、ビニルチオランの群から選択される化合物である。
【0044】
有利には、ポリマーc)の少なくとも1つは、60質量%を超えて、とりわけ有利には80質量%を超えて(メタ)アクリレートからなる。別個の実施態様において、ポリマーc)は、そのつど60質量%を超えて、有利には80質量%を超えて(メタ)アクリレートからなる。
【0045】
他の有利な実施態様において、ポリマーc)の少なくとも1つは、60質量%を超えて、とりわけ有利には80質量%を超えてメチルメタクリレートからなる。
【0046】
通常、ポリマーc)は、60質量%を超えて(メタ)アクリレートからなる。
【0047】
良好な加工性のために、オリゴマーa)および/またはポリマーc)は、後架橋が行われうる1つ以上の官能基を有してもよい。考慮に入れられる官能基は、例えばヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基、カルボキシル基、カルボニル基、スルホニル基、エポキシ基、β−ケトエステル基およびイソシアネート基である。
【0048】
これらは、場合により、例えばアルコール、フェノール、オキシム、カプロラクタム、アミンまたはC−H−酸化合物との反応によるイソシナネート基のように保護されて存在してもよい。
【0049】
有利なのはヒドロキシル基である。
【0050】
ポリマーの製造は、乳化重合、懸濁重合、溶液重合または塊状重合によって行われうる。有利なのは、乳化重合による製造である。
【0051】
乳化重合による製造の場合には、ポリマーは水中に分散されたポリマー粒子の形で生じる。これらは乾燥粉末の形に変えられなければならない;そのために、通常の方法、例えば凝結、噴霧乾燥および凍結乾燥が適している。有利なのは噴霧乾燥である。
【0052】
乳化重合および噴霧乾燥による有利な製造によって、通常1〜500μmの平均粒径を有する粉末粒子が作り出され、該粉末粒子は、通常200〜1200nmの平均粒径を有する個々のポリマー粒子から構成されている。そのような粉末は、本発明による配合物の製造のためにとりわけ適している。
【0053】
(‘平均粒径’とは、ここでおよび以下で、他に記載されない限り、体積基準(Volumendarstellung)における試料の粒度分布の平均値とされる。これらの値は、例えばCoulter LS 13 320、製造元Beckmann-Coulterを用いたレーザー回折によって測定されうる)。
【0054】
当業者に公知の乳化重合の処理方法によって、コアおよびその周りに1つ以上のシェルを有するポリマー粒子を製造することも可能であり、その際、コアもしくはそのつどのシェルを形成するポリマーは、全ての種々のモノマー組成物を有してもよい(コア/シェル粒子)。
【0055】
同様の方法にて、それらのモノマー組成物が中心から粒子の表面に向かって連続的に変化する粒子も製造されえ、これは、いわば非常に多数のシェルを有するコア/シェル粒子に相当する。この場合、粒子の傾斜構造(Gradientenmorphologie)または‘傾斜格子(Gradientenlatices)’についても言及される。
【0056】
一般的に公知であるように、実際に常にポリマーおよびオリゴマーは種々の分子の混合物からなり、それらの特性はおよそ1つ以上の最大ピークが分布してある。そのような特性の一例は、平均値によって特徴付けられる分子量であり、その際、個々のポリマー分子の分子量は、多かれ少なかれ幅広い分布において、かつ場合によりまたポリモーダルな分布において、この平均値周辺に存在する。
【0057】
その他の一例は、化学的な組成に関する。例えば、コポリマー(特にラジカル重合に際して)は、たいていの場合、使用可能なモノマーのランダムな組み込みによって生じる。特定のモノマーAが、例えば2%でモノマー混合物中に存在する場合、それは平均して50のモノマー単位からなるオリゴマー中に、オリゴマー1つにつきランダムに1回組み込まれる。事実、たとえ、まさに1つの組み込まれたモノマーAを有するオリゴマーが多数であっても、このモノマーAを含まないオリゴマーが、このタイプの2および3のモノマー単位を有するオリゴマーと同様に見つけられる。
【0058】
これによりはっきりと明らかにされるべきことは、ポリマーおよびオリゴマーの使用に際して常にある意味において混合物が使用されることであり、該混合物は、しかしながら通常それとして認められずかつ呼ばれない。(理解をより深めるためにかつ区分するために、そのような‘必然的な’混合物は、以下の説明においてポリマー材料もしくはオリゴマー材料と呼ばれる)。
【0059】
この明細書中で‘ポリマー’および‘オリゴマーについて触れられる場合、しかしながら、それに加えてはっきりと複数のポリマー材料または複数のオリゴマー材料の混合物も意図される:例えば、種々の分子量分布または種々のモノマー組成物を有する2つ以上の分けられて製造された材料を混合してもよい。そのうえ、ポリマーもしくはオリゴマーとして、種々の製造法(例えば乳化重合および懸濁重合)に従って取得された材料も混合して使用してよい。
【0060】
そのうえ、乳化重合によって製造された、コア/シェル構造または傾斜構造を有するポリマー粒子も、この構造がまさに様々の材料によって現れることから、種々のポリマー材料の混合物を意味する。
【0061】
個々のポリマー材料もしくはオリゴマー材料の特性を所望したように調整するのみならず、特殊な適用の全ての要求に合致させて種々の材料を混合するという可能性。
【0062】
配合物に、通常の充填剤、助剤および/または添加剤を添加してもよい。
【0063】
慣例の充填剤は、なかでも炭酸カルシウム(異なる変種において、例えば天然のまたは沈降した、表面処理された等)、硫酸バリウム(重晶石)およびシリケート、例えば雲母、ベントナイト、モンモリロナイト、タルクまたはバーミキュライトである。殊に有利なのは、硫酸バリウムである。
【0064】
充填剤および添加剤には、着色顔料、老化防止剤、レオロジー添加剤、発泡剤等が含まれる。
【0065】
殊にプラスチゾルのフォーミングのために、配合物に発泡剤が添加される。慣例の発泡剤は、例えばアゾ化合物(例えばアゾジカルバミド)、N−ニトロソ化合物(例えばジ−ニトロソペンタメチレンテトラミン)、スルホニルヒドラジド(例えば4,4'−オキシビス(ベンゾスルホン酸ヒドラジド))またはスルホニルセミカルバジド(p−トルエンスルホニルセミカルバジド)である。
【0066】
着色顔料として、しばしばカーボンブラックが使用される。
【0067】
場合により、後架橋のために助剤を添加してもよい。一般に、そのような助剤は、それ自体がかつ/または配合物のその他の成分と結合する、2つ以上の官能基を有する化合物である。そのために、場合により開始剤または触媒の添加および/または、例えば熱、UV線等の形におけるエネルギーの供給が必要となりうる。
【0068】
反応性成分として、例えばヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基、カルボキシル基、カルボニル基、スルホニル基、エポキシ基、β−ケトエステル基、イソシアネート基、ビニル基が考慮に入れられる;有利なのはイソシアネートである。
【0069】
これらは、場合により、例えばアルコール、フェノール、オキシム、カプロラクタム、アミンまたはC−H−酸化合物との反応によるイソシナネート基のように保護されて存在してもよい。
【0070】
配合物は、幅広い適用領域を持ち、かつ表面の振動が減衰されるべきあらゆる箇所で有利に使用されうる。
【0071】
一般家庭におけるそのような適用の例は、例えば家庭用器具、例えば洗濯機、冷蔵庫、調理用電気器具および空気調節装置の外装(Verkleidung)である。そのうえ、パーソナルコンピューターの外装に適用される。
【0072】
建築材料および工業材料における例は、管、床および壁装材である。
【0073】
多数の他の適用および適用領域は、容易く考えられうる。被覆されるべき表面自体は、その際、種々の材料、例えばプラスチック、木材、セラミック、厚紙、チップ材料および木質繊維材料からなっていてもよい。頻繁に遭遇し、かつとりわけ有利な表面は、金属薄板の表面である。
【0074】
殊に有利なのは、自動車構造における車体部品の被覆である。被覆材が自動車両の車体下部領域およびホイールアーチ領域において外側で使用される場合、薄板振動を減衰させるのに加えて、なお石、砂および水の衝突による雑音も低減される。
【0075】
同じ配合物を用いて、自動車構造において、例えばルーフバーの中にまたはAピラー、BピラーおよびCピラーの中に生じる空洞部も充填されうる。しばしば、そのような適用のために発泡性の配合物が使用される。薄板振動の減衰の他に、この場合、これらの空洞部の中に閉じこめられた空気柱が振動するに至りうることが防止される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも30質量%で(メタ)アクリレートを含有する、20000g/モル未満の分子量を有するオリゴマー1〜60質量%、
b)オリゴマーa)のための溶剤0〜60質量%、
c)100000g/モルを上回る分子量を有する粉末状ポリマー5〜60質量%ならびに
d)他の充填剤、助剤および/または添加剤、
を含有するプラスチゾル配合物であって、その際、成分a)〜c)が配合物の少なくとも20%となるプラスチゾル配合物。
【請求項2】
成分a)〜c)が配合物の少なくとも40質量%となることを特徴とする、請求項1記載のプラスチゾル配合物。
【請求項3】
オリゴマーa)が、(メタ)アクリレート少なくとも60質量%を含有することを特徴とする、請求項1記載のプラスチゾル配合物。
【請求項4】
オリゴマーa)が、そのつど分子量<10000g/モルを有することを特徴とする、請求項1記載のプラスチゾル配合物。
【請求項5】
オリゴマーa)が、そのつど分子量<5000g/モルを有することを特徴とする、請求項1記載のプラスチゾル配合物。
【請求項6】
オリゴマーまたはオリゴマーの一つが、遊離したヒドロキシル基、カルボキシル基またはアミド基を含有することを特徴とする、請求項1記載のプラスチゾル配合物。
【請求項7】
溶剤b)として、フタレート、アジペート、ホスフェートまたはシトレートが使用されていることを特徴とする、請求項1記載のプラスチゾル配合物。
【請求項8】
溶剤b)として、有利にはフタレートが使用されていることを特徴とする、請求項1記載のプラスチゾル配合物。
【請求項9】
ポリマーc)が分子量>400000g/モルを有することを特徴とする、請求項1記載のプラスチゾル配合物。
【請求項10】
ポリマーc)の少なくとも1つが60質量%を超えて(メタ)アクリレートからなることを特徴とする、請求項1記載のプラスチゾル配合物。
【請求項11】
ポリマーc)がそのつど60質量%を超えて(メタ)アクリレートからなることを特徴とする、請求項10記載のプラスチゾル配合物。
【請求項12】
ポリマーc)の少なくとも1つが80質量%を超えて(メタ)アクリレートからなることを特徴とする、請求項1記載のプラスチゾル配合物。
【請求項13】
ポリマーc)の少なくとも1つが60質量%を超えてメチルメタクリレートからなることを特徴とする、請求項10記載のプラスチゾル配合物。
【請求項14】
ポリマーc)の少なくとも1つが80質量%を超えてメチルメタクリレートからなることを特徴とする、請求項10記載のプラスチゾル配合物。
【請求項15】
ポリマーが200〜1200nmの大きさを有する粒子の形で存在することを特徴とする、請求項1記載のプラスチゾル配合物。
【請求項16】
粒子が、コアの周りに場合により異なるモノマー組成物を有する1つ以上のシェルが存在する構造を有することを特徴とする、請求項1記載のプラスチゾル配合物。
【請求項17】
オリゴマーa)および/またはポリマーc)が、後架橋が行われうる1つ以上の官能基を有することを特徴とする、請求項1記載のプラスチゾル配合物。
【請求項18】
官能基がヒドロキシル基であることを特徴とする、請求項17記載のプラスチゾル配合物。
【請求項19】
反応性成分の添加によって後架橋が行われていることを特徴とする、請求項1記載のプラスチゾル配合物。
【請求項20】
反応性成分の一つがイソシアネートであることを特徴とする、請求項19記載のプラスチゾル配合物。
【請求項21】
助剤、充填剤または添加剤d)が発泡剤であることを特徴とする、請求項1記載のプラスチゾル配合物。
【請求項22】
表面を被覆するための、請求項1から21までのいずれか1項記載のプラスチゾル配合物の使用。
【請求項23】
金属薄板を被覆するための、請求項1から21までのいずれか1項記載のプラスチゾル配合物の使用。
【請求項24】
自動車構造において車体を被覆するための、請求項1から21までのいずれか1項記載のプラスチゾル配合物の使用。
【請求項25】
薄板振動を減衰するための、請求項1から21までのいずれか1項記載のプラスチゾル配合物の使用。
【請求項26】
空洞部を充填するための、請求項1から21までのいずれか1項記載のプラスチゾル配合物の使用。

【公表番号】特表2009−513757(P2009−513757A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−537022(P2008−537022)
【出願日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際出願番号】PCT/EP2006/065382
【国際公開番号】WO2007/048647
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee,D−64293 Darmstadt,Germany
【Fターム(参考)】