説明

噴霧弁用のリング

噴霧弁用のリング
圧着カプセルといった固定部品(50)により、投与の対象となる物質が入った容器(1)に設置される噴霧式ディスペンサ弁(20)の弁本体(21)を囲む形で配置されるリング(10)であって、特徴となるのは、少なくとも外側部分(15)と内側部分(11、11’)とを有し、当該内側部分(11、11’)は前記弁本体(21)と協働し、前記外側部分(15)は変形可能な軸方向の壁部分(16)を有し、当該壁部分(16)は、容器の底の方に延び、径方向内向きに弾性変形が可能なことである、という前記リング(10)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴霧式ディスペンサ弁用のリングに関する。
【背景技術】
【0002】
噴霧式ディスペンサ弁、特に、投与の対象となる物質が入った容器に設置される定量弁と共にリングを用いることは、公知である。具体的に言えば、そうしたリングは、上下逆さまで(すなわち、1ドーズ分の放出中に容器の下方に弁がくる形で)使用されるのに適した弁において用いられる。そうしたリングは、一般的に2つの主要な機能を果たす。すなわち、第1に、弁が上下逆さまの動作位置にある際の、前記弁の入り口の下方に位置するデッドボリュームを制限することにより、容器の内部に入れられた物質について、投与できる量が最大限となることを保証することである。そして、第2に、そうしたリングは、物質とネックガスケット(通常、容器のネックと、弁を容器に固定する働きをする固定フープまたはカプセルとの間に配置されるもの)との接触を制限する働きもする。ガスケットと容器に入った物質との接触を制限することで、前記ガスケットから浸出する可能性のある抽出物により物質の品質が低下する危険が制限され、また、ガスケットが物質(特に推進ガス)と接触することにより起こる当該ガスケットの劣化を制限することができる。
【0003】
一般的に言えば、リングは、リングの内側エッジを弁本体に径方向にクランプ留めすることによって、前記弁本体に組み付けられる。この形には、以下の欠点が見られる。その欠点とは、径方向のクランプ留めが強すぎると、弁本体、特に当該本体の内側が時間経過と共に変形する可能性があり、そうなれば、弁は故障しかねない、というものである。さまざまな弁で、スライド移動する弁部材と弁本体との間には比較的幅の狭い隙間が設けられている。弁本体が径方向に変形すれば、摩擦、そして前記弁部材のジャムさえ起こり得る。加えて、上述した2つの機能を効率的に果たすため、リングは一般的に、その外側部分を介して容器のネックの一部分と接触する。特に、固定カプセルが圧着留め可能なカプセルの場合、圧着留めにより、容器のネックは径方向に変形し、それにより、リングに加えられる径方向の圧縮力は増大する。リングの内側エッジに伝わる径方向の圧縮力のこうした増大によっても、やはり、弁本体に加えられる圧力は増し、前記弁本体は変形される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の問題を生じないリング、および、そうしたリングを有する噴霧式ディスペンサ装置を提供することを目的とする。
さらに具体的に言えば、本発明は、弁本体に径方向の過度の圧力がかからないようにし、それにより、特に弁の容器への圧着中に弁本体が過度に変形する危険を防ぐ、という噴霧ディスペンサ装置用のリングを提供することを目的とする。
【0005】
また、本発明は、弁本体への径方向の圧力を増大させることなく、製造および組み立て時の誤差のばらつきを補うことを可能にするリングを提供することを目的とする。
また、本発明のもう1つの目的は、容器の中身の投与可能量を最大にする、というリングを提供することである。
また、本発明のさらに別の目的は、ネックガスケットと容器に入った物質との間の接触を最小限にする、というリングを提供することである。
【0006】
また、本発明のさらに別の目的は、製造および組み立てが容易かつ低コストである、というリングを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明は、圧着カプセルといった固定部品により、投与の対象となる物質が入った容器に設置される噴霧式ディスペンサ弁の弁本体を囲む形で配置されるリングであって、少なくとも外側部分と内側部分とを有し、当該内側部分は前記弁本体と協働し、前記外側部分は変形可能な軸方向の壁部分を有し、当該壁部分)は、容器の底の方に延び、径方向内向きに弾性変形が可能なことである、という前記リングを提供する。
【発明の効果】
【0008】
効果的な構成として、前記リングは、弁本体の一部分と協働する径方向内側部分と、弁本体の別の部分と協働する第2の内側部分とを有することとする。
また、効果的な構成として、周縁ギャップが溝などの形で前記変形可能な壁の径方向内側に設けられ、それによって、前記変形可能な壁は径方向内向きに変形が可能であることとする。
【0009】
また、効果的な構成として、前記周縁ギャップは、軸方向の中央壁により前記径方向内側部分から隔てられており、前記中央壁には径方向の貫通溝が少なくとも1つ設けられ、当該貫通溝は、前記周縁ギャップを前記径方向内側部分に接続することとする。
また、効果的な構成として、前記軸方向の中央壁には、複数の径方向の貫通溝が設けられていることとする。
また、効果的な構成として、前記軸方向の中央壁は、実質的に軸方向の径方向外側後面と傾いた径方向内側前面とを有し、当該傾いた前面によって、前記軸方向の中央壁の上部は前記径方向内側部分に接続されていることとする。
【0010】
また、効果的な構成として、前記周縁ギャップと前記少なくとも1つの径方向の溝とは、共通の底面を有することとする。
また、効果的な構成として、前記少なくとも1つの径方向の貫通溝の側壁は、実質的に軸方向であることとする。
また、変形例において、前記少なくとも1つの径方向の貫通溝の側壁は傾いていることとする。
【0011】
また、効果的な構成として、前記外側部分は、前記容器の一部分と協働するよう作られていることとする。
また、効果的な構成として、前記固定部品が容器に組み付けられた後は、前記外側部分は容器の一部分と耐漏洩様態で協働し、それによって、投与の対象となる物質と、容器と固定部品との間に配置されたネックガスケットとの間の接触を防ぐこととする。
また、効果的な構成として、リングは、弁本体と接触する内側部分を1つだけ有することとする。
【0012】
また、効果的な構成として、前記リングは、ネックガスケットと接触しないこととする。
また、効果的な構成として、前記リングは、前記ネックガスケットと接触しており、固定部品が容器に固定された後は、変形した軸方向の壁部分がリングを前記ネックガスケットに押しつけることで、密封性が向上することとする。
【0013】
また、効果的な構成として、前記ネックガスケットは、弁本体から距離を置いた形で配置されており、前記ネックガスケットと前記リングとの接触面は小さいこととする。
また、効果的な構成として、前記リングは、接続部品を形成するリングの内側部分において、前記弁本体と一体化された形で作られていることとする。
また、効果的な構成として、変形可能な軸方向の壁部分の外側面は、実質的に滑らかで、好ましくは、固定部品を固定する前に鏡面研磨されていることとする。
【0014】
また、本発明はさらに、投与の対象となる物質が入った容器と、噴霧式弁と、そして、上述したリングとを有する噴霧ディスペンサ装置を提供する。
また、効果的な構成として、前記弁本体は、物質が容器から前記弁の中に入ることを可能にする開口部を1つ以上有し、前記周縁ギャップおよび前記径方向の溝の前記底面は、弁が前記容器よりも下になる上下逆さまの動作位置において、前記開口部の下側エッジの所に位置することとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に関する特徴、効果、その他については、添付の図面を参照しながら、非限定的な例として示す本発明のいくつかの実施の形態に関する以下の詳細な説明を読めば、さらに明らかになるだろう。
図1をさらに詳細に参照する。噴霧装置は、投与の対象となる物質が入れられた容器1を有する。この物質は、医薬品のタイプであってもよく、噴霧式弁20(好ましくは定量弁)からの物質の投与のために推進ガスを入れておくことができる。噴霧式弁は弁本体21を有し、当該本体21の中で弁部材30がスライド移動する。弁本体21は、具体的に言えば、圧着可能なタイプの固定フープまたはカプセル50を用いて、容器1のネックに組み付けられているが、密封のためにネックガスケット40を間に挿入するのが好ましい。具体的に言えば、図示された弁は、上下逆さま(すなわち、ドーズの放出中に弁が容器の下方に位置する形)で用いられるものである。しかし、上向きの状態で用いられるのに適したものであってもよい。それから、弁本体には、流体を弁本体を介してチャンバに運ぶためのチューブが装着される。弁本体21は、1つまたは複数の開口部22を有し、当該開口部22により、容器からの物質を弁に充填することができる。開口部は、弁本体21の高さの一部にわたって延びる側面縦方向スロット22の形で示されている。変形例においては、この目的のため、異なった形状の開口部を1つまたは複数設けてもよい。
【0016】
本発明において、リング10は、弁本体21を囲む形に組み付けられている。リング10は、2つの主要な機能を果たす。それら機能とはすなわち、第1に、弁が上下逆さまの動作位置にある際の、弁本体21の開口部22の下側エッジの下方に位置するデッドボリュームを最小限にすることで、容器の中身ができる限り使い切られることを保証する機能である。そして、第2に、リングは、ネックガスケット40と容器1に入った物質との接触を最小限におさえる働きもする。リングは、効果的な構成として、カプセル50が圧着された後、容器の一部分と共に密封状態を形成することで、物質とネックガスケット40との間の接触を防ぐことができる。
【0017】
リング10は、弁本体21と協働する内側部分11を少なくとも1つ有する。内側部分11は、リング10のうち径方向に見て最も内側にある部分とすることが好ましい。効果的な構成として、弁本体の別の部分と協働する第2の内側部分11’も設けられている。この形により、リング10により弁本体21に加えられる径方向の力を、1つではなく2つの固定ゾーンに分配することが可能となる。それにより、第1に、前記ゾーンそれぞれに個別に加えられる径方向の圧力が制限され、第2に、リング10が本体21の上でスライド移動するのを実質的に完全に防ぐことが可能となる(前記リングは前記本体に異なった2つの位置でクランプ留めされている)。リング10はさらに、ネックガスケット40と容器1の中に入った物質との間の接触を制限することも可能にする。
【0018】
リング10は、外側部分15(好ましくは、径方向に見て最も外側にある部分)を有し、当該部分15は、径方向内向きの方向に弾性変形することができる変形可能な軸方向の壁部分16を有する。具体的に言えば、壁16を変形可能とする目的とは、特に固定カプセル50の圧着時に前記容器が径方向内向きに変形される瞬間に、容器1により壁16に加えられる径方向の力を相殺または吸収することである。変形可能な壁16は、(図1乃至4に示す方向で見て)リングの上側部分(ネックガスケット40と接触しているか、またはその近傍の部分)から容器の底に向かって軸方向に延びている。この形により、リングを弁本体21を囲む形で組み付けやすくなる。また、この形により、リングの寸法を規定する際に、変形可能な部分は、カプセル50の圧着時にのみ変形し、リングを弁本体を囲む形で取り付ける間や弁を容器に挿入する間は変形しない、という形になるよう規定することが可能となる。もしこの間に変形すれば、リングは弁本体に沿って軸方向に移動される可能性があるためである。加えて、具体的に図4から見て取れるように、変形可能な壁16の、容器の底に向かって細くなるというこの特定の形状により、当該変形可能な壁に、物質を弁本体の開口部22の方に誘導する役割を分担させることができる。圧着中は、容器と変形可能な壁16との間の接触は、効果的な構成として、変形可能な壁のうち変形しやすいゾーンにおいて生じる。図1に示す実施の形態において、このゾーンは、前記変形可能な壁16のほぼ中央に位置している。このゾーンは、軸方向にずらすこともできるが、壁がまさに始まる部分に位置していないことが好ましい。というのも、そうした部分においては、弾性変形能力が小さいか、または存在さえしないためである。
【0019】
変形可能な壁が容器の底の方を向いていることのもう1つの効果とは、ネックガスケット40がリング10と接触している実施の形態において、リング10は、圧着後に前記ガスケット40に軸方向に押しやられるか、または押し付けられるという点である。壁16は、変形すると力を及ぼすが、この力は、軸方向、かつガスケットの方に方向付けられた成分を有する。これにより、リング10の弁本体21への固定性が向上される。加えて、ネックガスケット40の圧力により、特にカプセルがクランプ留めされる間、ガスケットの力の分配がより良い形となり、密封性が向上する。もし変形可能な壁が逆向きに方向付けられていれば、リングは、反対に、壁が変形した後、ガスケットから離れる形に押される。したがって、その埋め合わせのため、リング10を弁本体21にさらに強く固定しなければならず、それによって弁本体に悪影響を及ぼす危険が増す。さらに、ネックガスケット40における密封性は向上しない。
【0020】
効果的な構成として、外側部分15、特に変形可能な軸方向の壁部分16の外面は滑らかで、好ましい構成として鏡面研磨されている(すなわち、そのラフネス指数は、1.0以下であって、効果的な構成として0.8以下で、約0.05であることが好ましい)。この形は、圧着後の容器とリングとの間の接触の耐漏洩性を高める。
リング10が変形可能な壁部分16を有するため、容器1の変形が、前記リングの内側エッジ11、11’に自動的に伝わることはなく、したがって、弁本体21にも自動的に伝わることはない。そのため、弁本体21が変形し、それによって弁にジャムまたは故障が生じる、という危険は回避される。さらに、変形後は、変形可能な壁と容器との間の接触によって周縁に密封状態が作られ、この密封状態のおかげで、物質とネックガスケット40との間の接触は防がれる。これにより、投与される物質の品質が低下する危険がなくなる。
【0021】
さまざまな効果的な変形例の実施の形態を考えることができるが、そのいくつかを図5乃至11に示す。
図11には、最も単純な変形例が示されている。この変形例の実施の形態において、変形可能な軸方向の壁部分16には、リング10の径方向外側部分15が形成され、それが径方向内向きに延びた先には周縁ギャップ17があり、当該周縁ギャップ17は、径方向内側エッジ11の方へ延びている。図11から見て取れるように、変形可能な壁16の径方向内部に配置された周縁ギャップにより、変形可能な壁16を径方向内向きに変形させることが可能となる。図11の変形例において、周縁ギャップ17は、端部面だけによって規定されている。図11の実施の形態に従って作られたリングが収容された弁を示す図4から見て取れるように、周縁ギャップ17の端部面は、図4に示す位置において水平であっても、または、わずかに傾いていてもよい。端部面は、効果的な構成として、図4に示すように、実質的に弁本体21の開口部22の上側エッジにおいて前記径方向内側部分11が終端となっている。図4に示す直立状態における開口部22の上側エッジは、明らかに、上下逆さまの弁の動作位置においては同じ開口部22の下側エッジに当たる。これにより、容器の内部に入った物質は、弁が上下逆さまの動際位置にある際の物質のデッドボリュームを限定、さらには消滅することで、できる限り使い切られることが確実となる。周縁ギャップ17の端部面をわずかに傾けることにより、この機能はさらに高められる。
【0022】
図5乃至10に示す他の実施の形態において、リング10は、軸方向の中央壁19をさらに有し、当該壁19は、前記径方向内側部分11を前記周縁ギャップ17、および、リング10の外側部分15が形成された前記変形可能な軸方向の壁部分16から隔てる。そのため、軸方向の中央壁19には、前記周縁ギャップ17を前記径方向内側部分11に接続するための貫通溝12が少なくとも1つ設けられている。この少なくとも1つの径方向の貫通溝12の機能とは、単に、変形可能な壁16が径方向に変形できるようにするために設けられた前記周縁ギャップ17の内部に物質がたまるのを回避することである。これにより、弁が上下逆さまの動作位置にある際の物質のデッドボリュームを最小限にすることが可能となる。
【0023】
前記軸方向の中央壁19は、径方向外側後面13と径方向内側前面14とを有し、効果的な構成として、前記面13は実質的に軸方向(すなわち、具体的には、図2に示す直立状態において実質的に縦)で、前記面14は、効果的な構成として傾いており、好ましい構成として、前記軸方向の中央壁19の上部を前記径方向内側部分11に接続している。この形は図5乃至10において明らかに見て取れ、この形により、物質は確実にリング10の前記径方向内側エッジ11の方、したがって、弁本体21に設けられた開口部22の方へ誘導される。これは、特に図3において明らかに見られ、図3において観察すべき点として、リングの径方向内側エッジ11は、実質的に弁本体21の前記側面開口部22の(直立状態で見て)上側エッジの位置に配置されている。
【0024】
図6には、径方向の貫通溝12を1つだけ備えたリング10が示されている。一方、図7および8には、効果的な構成として、径方向の貫通溝12を直径方向に向かい合う形で2つ備えたリングが示されている。図9には、径方向の貫通溝12を4つ、図10には、径方向の貫通溝12を6つ備えたリングが示されている。当然のことながら、溝12の数はいくつにしてもよい。留意すべき点として、周縁ギャップ17と径方向の溝12とは、効果的な構成として共通の端部面を有し、当該端部面は、図11の変形例の場合のように、実質的に平面とすることもできるし、わずかに傾いた形として、上下逆さまの動作位置において物質が弁本体の開口部22の方へ誘導されるよう促すこともできる。
【0025】
図5、6、そして7に示されているように、径方向の貫通溝12は、側壁18を有し、当該側壁18は、実質的に軸方向(すなわち、直立状態において実質的に縦)とすることができる。変形例においては、図8、9、そして10に示すように、側壁18は多かれ少なかれ傾いた形にすることができる。具体的に言えば、図8には、大きく傾いた側壁が示されており、この実施の形態では、弁が上下逆さまの動作位置にある際、物質は開口部22の方へ流れるよう特に促される。
【0026】
図12、13、そして14は、本発明の他の実施の形態を示している。
図12において、リング10は、弁本体21と容器1との間に直接固定されているネックガスケット40と接触していない。カプセル50が圧着された後、リング10は、その外側部分15において容器1と耐漏洩様態で周縁接触した形とすることができる。この変形例のリングは、好ましい構成として、弁本体21と接触する接触点11を1つだけ有し、当該接触点は、前記弁本体の径方向ショルダーに設けることができる。この変形例の効果は、リングの形状が極めて単純で、そのため製造が容易かつ低コストであるという点である。
【0027】
図13において、リング10は弁本体21と一体化された形で作られており、リングの内側部分11には接続部品が形成されている。この形により、リングを弁本体に組み付ける工程をなくすことができるため、弁の組み立ては単純になる。
図14において、ネックガスケット40は、リング10の上面と接触しているが、寸法が小さく、弁本体21とは接触していない。したがって、ガスケット40とリング10との間の接触面も小さい。この実施の形態では、ガスケットに必要な素材の量を減らし、それにより、コストを下げることができる。さらに、物質がガスケットと接触した場合にその品質が低下する危険についてさえ、さらに制限することができる。
【0028】
ここまで、本発明について、そのいくつかの図示された変形例の実施の形態を参照しながら説明してきが、当然のことながら、本発明は、これらの変形例に限定されるものではない。それどころか逆に、当業者であれば、他の有益な変更を加えることもできるだろう。具体的には、弁はいかなる構造であってもよい。さらに、弁本体や開口部の形状は、図示されたものと異なっていてもよい。同じことは容器、特にそのネックや、固定フープまたはカプセルにも当てはまり、これらは、異なった形(たとえば、スナップ留めまたはネジ留め)で作ることができる。一般的に、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲を逸脱しない形であれば、いかなる変更も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施の形態を構成するリングを有する噴霧式ディスペンサ装置を上向きの状態で示す概略断面図である。
【図2】図1の装置の一部分の詳細を示す拡大図である。
【図3】本発明の変形例の実施の形態を構成する、弁に設置されたリングを、断面において示す概略部分切り欠き斜視図である。
【図4】図3と同様の図であって、本発明の別の変形例の実施の形態を構成するリングを示す図である。
【図5】リングのうち噴霧式弁を囲む形で組み付けるための部分を示す概略斜視図である。
【図6】本発明のリングの6つの変形例の実施の形態のうち1つを示す図である。
【図7】本発明のリングの6つの変形例の実施の形態のうち1つを示す図である。
【図8】本発明のリングの6つの変形例の実施の形態のうち1つを示す図である。
【図9】本発明のリングの6つの変形例の実施の形態のうち1つを示す図である。
【図10】本発明のリングの6つの変形例の実施の形態のうち1つを示す図である。
【図11】本発明のリングの6つの変形例の実施の形態のうち1つを示す図である。
【図12】本発明の別の実施の形態の概略断面図である。
【図13】本発明のさらに別の実施の形態の概略断面図である。
【図14】本発明のさらに別の実施の形態の概略断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧着カプセルといった固定部品(50)により、投与の対象となる物質が入った容器(1)に設置される噴霧式ディスペンサ弁(20)の弁本体(21)を囲む形で配置されるリング(10)であって、
特徴となるのは、
少なくとも外側部分(15)と内側部分(11、11’)とを有し、当該内側部分(11、11’)は前記弁本体(21)と協働し、前記外側部分(15)は変形可能な軸方向の壁部分(16)を有し、当該壁部分(16)は、容器の底の方に延び、径方向内向きに弾性変形が可能なことである、
という前記リング(10)。
【請求項2】
前記リング(10)は、弁本体(21)の一部分と協働する径方向内側部分(11)と、弁本体(21)の別の部分と協働する第2の内側部分(11’)とを有すること、
を特徴とする請求項1に記載のリング。
【請求項3】
周縁ギャップ(17)が溝などの形で前記変形可能な壁(16)の径方向内側に設けられ、それによって、前記変形可能な壁(16)は径方向内向きに変形が可能であること、
を特徴とする請求項1または2に記載のリング。
【請求項4】
前記周縁ギャップ(17)は、軸方向の中央壁(19)により前記径方向内側部分(11)から隔てられており、前記中央壁(19)には径方向の貫通溝(12)が少なくとも1つ設けられ、当該貫通溝(12)は、前記周縁ギャップ(17)を前記径方向内側部分(11)に接続すること、
を特徴とする請求項3に記載のリング。
【請求項5】
前記軸方向の中央壁(19)には、複数の径方向の貫通溝(12)が設けられていること、
を特徴とする請求項4に記載のリング。
【請求項6】
前記軸方向の中央壁(19)は、実質的に軸方向の径方向外側後面(13)と傾いた径方向内側前面(14)とを有し、当該傾いた前面(14)によって、前記軸方向の中央壁(19)の上部は前記径方向内側部分(11)に接続されていること、
を特徴とする請求項4または5に記載のリング。
【請求項7】
前記周縁ギャップ(17)と前記少なくとも1つの径方向の溝(12)とは、共通の底面を有すること、
を特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載のリング。
【請求項8】
前記少なくとも1つの径方向の貫通溝(12)の側壁(18)は、実質的に軸方向であること、
を特徴とする請求項4乃至7のいずれかに記載のリング。
【請求項9】
前記少なくとも1つの径方向の貫通溝(12)の側壁(18)は傾いていること、
を特徴とする請求項4乃至7のいずれかに記載のリング。
【請求項10】
前記外側部分(15)は、前記容器(1)の一部分と協働するよう作られていること、
を特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のリング。
【請求項11】
前記固定部品(50)が容器(1)に組み付けられた後は、前記外側部分(15)は容器(1)の一部分と耐漏洩様態で協働し、それによって、投与の対象となる物質と、容器(1)と固定部品(50)との間に配置されたネックガスケット(40)との間の接触を防ぐこと、
を特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のリング。
【請求項12】
リング(10)は、弁本体(21)と接触する内側部分(11)を1つだけ有すること、
を特徴とする請求項1に記載のリング。
【請求項13】
前記リング(10)は、ネックガスケット(40)と接触しないこと、
を特徴とする請求項12に記載のリング。
【請求項14】
前記リング(10)は、前記ネックガスケット(40)と接触しており、固定部品(50)が容器(1)に固定された後は、変形した軸方向の壁部分(16)がリング(10)を前記ネックガスケット(40)に押しつけることで、密封性が向上すること、
を特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のリング。
【請求項15】
前記ネックガスケット(40)は、弁本体(21)から距離を置いた形で配置されており、前記ネックガスケット(40)と前記リング(10)との接触面は小さいこと、
を特徴とする請求項14に記載のリング。
【請求項16】
前記リング(10)は、接続部品を形成するリングの内側部分(11)において、前記弁本体(21)と一体化された形で作られていること、
を特徴とする請求項1に記載のリング。
【請求項17】
変形可能な軸方向の壁部分(16)の外側面は、実質的に滑らかで、好ましくは、固定部品(50)を固定する前に鏡面研磨されていること、
を特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載のリング。
【請求項18】
投与の対象となる物質が入った容器(1)と、噴霧式弁(20)とを有する噴霧式ディスペンサ装置であって、
特徴となるのは、
請求項1乃至17のいずれかに記載のリング(10)を有することである、
という装置。
【請求項19】
前記弁本体(21)は、物質が容器(1)から前記弁(20)の中に入ることを可能にする開口部(22)を1つ以上有し、前記周縁ギャップ(17)および前記径方向の溝(12)の前記底面は、弁(20)が前記容器(1)よりも下になる上下逆さまの動作位置において、前記開口部(22)の下側エッジの所に位置すること、
を特徴とする請求項18に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2009−521374(P2009−521374A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548017(P2008−548017)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際出願番号】PCT/FR2006/051362
【国際公開番号】WO2007/074274
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(502343252)バルワー エス.アー.エス. (144)
【Fターム(参考)】