説明

嚢胞性線維症を含む重症感染症の処置および管理

本発明は、同時に2種以上の異なる抗生物質を送達するための抗生物質の併用剤を含む医薬組成物を提供し、2種の異なる抗生物質は、1種は濃度依存性殺菌、そしてもう1種は濃度非依存性殺菌または時間依存性殺菌活性からなるものを含む。本発明は、抗生物質レジメンを最適化して、臨床結果を改善し、そして耐性の発現を潜在的に減少させるために、薬物動態学的および薬力学的原理を利用して成し遂げられた。セフタジジムとトブラマイシンの併用は、特に発明を例証するために導き出された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に複合抗生剤に関する。本発明はまた、複合抗生剤の非経口的剤形およびヒトを含む哺乳類における疾患の処置のための、2種以上の異なる抗生物質を送達するための、それらの製造方法に関連する。
【0002】
発明の背景
嚢胞性線維症のような疾患は、多くの器官、特に肺および膵臓に影響を及ぼす遺伝性疾患である。嚢胞性線維症患者の外分泌腺は、患者の気管支を遮断する異常に厚い粘膜を分泌する。その結果、多くの嚢胞性線維症患者は、慢性気管支炎を有し;彼らはまた、肺炎および他の肺感染症に感染しやすい。特に、嚢胞性線維症患者は、シュードモナス感染症に感染しやすい。
【0003】
残念なことに、多くの嚢胞性線維症患者の感染症は、肺感染症を処置するために伝統的に使用する抗生物質に反応しない。そのような状況において、この無効な疾患のための処置は、疾患の症状を軽減することに重点的に取り組む。
【0004】
感染症は、急性、慢性、最も生じやすくは耐性細菌の感染症に起因し、単剤療法は効果がないことを示し、より良好な経験的代替法は、患者の救済を得るための最も有望な治療薬を提供することが必要であることが明らかな場合には、多くのそのような同様の状況は、現実的な解決案を必要としている。
【0005】
そのような疾患と戦うために、製薬界は、医療活動に革命をもたらしている多くの異なる抗生剤を開発している。そのような薬剤は、アミカシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アモキシシリン、アムホテリシンB、アンピシリン、アトバクオン、アジスロマイシン、セファゾリン、セフェピム、セフォタキシム、セフォテタン、セフポドキシム、セフタジジム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフロキシム、セファレキシン、クロラムフェニコール、クロトリマゾール、シプロフロキサシン、クラリスロマイシン、クリンダマイシン、ジクロキサシリン、ドキシサイクリン、ラクトビオン酸エリスロマイシン、イミペネム、イソニアジド、メトロニダゾール、ナフシリン、ニトロフラントイン、ナイスタチン、ペニシリン、ペンタミジン、ピペラシリン、リファンピン、チカルシリン、トリメトプリム、バンコマイシンなどを含む。そのような薬剤は、ほとんどの細菌に対して有効であり、したがって、そのような細菌の存在と関連した病状の治療に有用であるが、細菌の特定の菌株が1種以上の公知の抗生剤に対して耐性となっている証拠が増加している。多くの人は、薬剤耐性菌の出現が抗生物質の乱用の結果であり、したがって、抗生剤の制御され、制限された使用が必要であると確信している。
【0006】
従来技術
Helmら(Ophthalmology. 1997 May; 104(5):838-43)は、静脈内投与のセフタジジムとアミノグリコシドによる併用療法が、局所用抗生物質に加えて使用し、補助的な外科的行為(例えば、凍結療法、外科的摘出、または結膜の後退)のための必要性を未然に防いでもよい場合、単回静脈内投与薬剤より有効であってもよいと報告している。
【0007】
Kikuchiら(Jpn J Antibiot. 1992 Jul;45(7):799-808)は、「主に緑膿菌に起因する難治性肺感染症のためのセフタジジムとトブラマイシンの併用療法の臨床評価」を研究した。開放された多施設試験において、彼らは併用療法の有用性を評価して、総合的な有効度は、肺炎の病原体が緑膿菌であった場合には、60.0%であった;しかし、中等度症例における有効度は100%であり、重症例においては45.5%であった。病原菌がグラム陰性菌であった症例において、総合的な有効度は72.2%であり、中等度症例のうちでは100%の有効度および重症例のうちでは68.8%あった。緑膿菌に起因する慢性気道感染症をともなう症例において、有効度は82.6%であって、根絶度は65.2%であった。
【0008】
上記の結果は、セフタジジムとトブラマイシンの併用療法が、緑膿菌に起因する難治性肺感染症に有用であることを、非常に明瞭に示す。上記臨床試験において、重症例の45.5%以上、および中等度症例の72.2〜100%の治癒の効率性は、これら2種の抗生物質の間の相乗作用の存在を明瞭に示す。
【0009】
Jacobsら(Infection. 1993 Jul-Aug; 21(4):223-8)は、癌の化学療法薬による続発性の好中球減少を伴う熱病の児童(8ヵ月〜18才の範囲)の処置において、セフタジジム対セフタジジム+トブラマイシンの有効性と安全性を研究した。5〜10日間、評価可能な89患者の、45名はセフタジジムの投与を受け、44名はセフタジジム+トブラマイシンの投与を受けた。治療終了後、45名のセフタジジム治療患者のうちの30名(67%)が、44名の併用処置患者のうちの38名(86%)と比較して臨床的に治癒した。結果は、発熱性好中球減少症児童の異なる症例において、セフタジジム+トブラマイシンの併用療法は、セフタジジムの単剤療法に対して、より良好な代替案であることを示す。
【0010】
発熱性顆粒球減少癌患者のための経験的抗生物質療法として、アミノグリコシド/β−ラクタムレジメンと比較して、2つのβ−ラクタムのレジメンが、Joshiら(Support Care Cancer. 1993 Jul; 1(4):186-94)によって研究された。両レジメンは、グラム陰性菌に対して優れた血清殺菌レベル(C±T相乗平均ピーク 1:170;C+Pピーク 1:137)を生じるが、菌血症の原因になったグラム陽性病原菌(それぞれ1:4、1:7)に対しては生じない。耐性の出現ならびに重大な凝血障害および/または出血は、治療中に発生しなかった。深刻な(<100/μl)持続的顆粒球減少症を伴う患者における二次感染の発生は、C±T群(P=0.04)ではより低かった。
【0011】
癌患者における感染症の処置のためのセフタジジムとトブラマイシンとを比較したセフタジジムの無作為試験は、Fainstein Vら(J Antimicrob Chemother. 1983 Jul;12 Suppl A:101-10)により行われた。彼らは、セフタジジムは、好中球減少症患者におけるグラム陽性病原菌に対して活性な薬剤と組み合わせるべきことを強調した。セフタジジムのみで治療された83の感染症エピソードにおける総合的な反応度は60%であり、併用療法を受けたそれらにおいては73%であった。敗血症における総合的な反応度は、セフタジジムのみで75%であり、併用で85%であった。好中球減少患者における肺炎は、同様に良好に反応した。しかしながら、十分な好中球の数値を有する患者は、単剤治療に対して併用の方がより良好な反応をした。重複感染および毒性の程度は、非常に低かった。
【0012】
Balkeら(Eur J Clin Microbiol Infect Dis. 2006 Jan; 25(1):25-30)は、抗菌薬併用の相乗的な効果の決定が、多耐性緑膿菌分離株に慢性的に感染している嚢胞性線維症患者の抗生物質療法において改善された治療上の選択肢につなげることができることを報告した。相乗効果の程度は、セフタジジムとトブラマイシンの抗生物質併用(嚢胞性線維症菌株の28.8%)がメロペネムとトブラマイシンの併用より高かった。
【0013】
Cantonら(Clinical Microbiology & Infection, Volume 11, Number 9, September 2005, pp. 690-703(14))は、肺の病原性定着のための抗菌剤療法、および嚢胞性線維症患者における緑膿菌による感染の研究をし、急性感染症を伴う患者が、静脈内処置の間または終わりの吸入処置の有無にかかわらず、2種の静脈内抗菌剤の高用量での14〜21日間の処置をすべきことがわかった。安定した患者(>6歳より上)における慢性緑膿菌感染症/定着(病原菌の定着)の進行後の維持療法は、28日周期(オン−オフ)で吸入トブラマイシン(1日2回、300mg)、または代替案として、コリスチン(1日2回、1−300万単位)を伴うべきである。中等度および重度の増悪は、2〜3週間、静注セフタジジム(1日3回、50〜70mg/kg)またはセフェピム(1日3回、50mg/kg)+トブラマイシン(24時間毎、5〜10mg/kg)またはアミカシン(24時間毎、20〜30mg/kg)で処置することができる。
【0014】
Hollanderら(Antimicrob Agents Chemother. 1997 Jan;41(1):95-100.)は、「耐性緑膿菌株に対するトブラマイシンとセフタジジム間の相乗作用を、生体外薬動力学モデルにおいて試験した」において、耐性シュードモナス菌株の顕著な殺菌をもたらす、MICより下の減少する抗生物質濃度で、トブラマイシンとセフタジジム間の相乗効果があることを報告した。耐性シュードモナス菌株による感染症は、これら薬物の相乗効果併用により治療されるかもしれない。
【0015】
ChenとZabransky(Diagn Microbiol Infect Dis. 1987 Feb;6(2): 157-64.)は、彼らの研究で、緑膿菌およびシュードモナス・マルトフィリアのトブラマイシン耐性菌株に対するトブラマイシン−セフタジジム併用において、チェッカーボード技術を使用した緑膿菌のトブラマイシン感受性株に対する全てのトブラマイシン併用を伴って相乗的または相加的効果を報告した。
【0016】
Zelenitskyら(Diagn Microbiol Infect Dis. 2004 May;49(1):67-70.)は、彼らの研究において、抗生物質のシークエンスが、抗菌反応に重要な、そしてクラス依存効果を有することを示した。
【0017】
Hollanderら(Antimicrob Agents Chemother. 1998 Apr; 42(4):744-8.)は、彼らの研究において、トブラマイシンとセフタジジムによる併用療法のために、T>FICiが有効性を最もよく予測するパラメータであり、そして併用療法の感受性テストのためのE−テストで、有望な結果が得られると推論した。併用療法のためのこれらの新たな薬力学的パラメータは、併用療法の背後にある論拠によりよい洞察を与える。
【0018】
in vitroでの研究を伴う併用でのin vivo研究で、2種の抗生物質を使用する上述の従来技術の方法は、薬剤耐性感染症の処置のための併用抗生物質の使用の裏付けを示す。しかしながら、併用処置のための複数の抗生物質を投与することは、欠点ばかりでなく不利益と、いくつかの制限を有する。先に記載した参照文献の1つの特徴は、そこで使用された併用の各々の薬剤が、特定または既定の比率なしで次々に、個々に投与されたことである。そのような投与、およびいくつかの上記参照の場合に言及されたような同時投与も、多くの不利益を有する。従来技術に記載された薬物のセフタジジムおよびトブラマイシンの成分の個別投与は、以下の理由のために、満足に処置問題を解決できなかった:
1. 多剤処置において使用された、併用として言及される薬物は、本発明よりも最適ではない異なる用量において次々に個々に投与された。
2. これらの薬物は、単剤として事前混合された組成物で利用できなかった。
3. より多くの刺し傷を必要とし、投与時間も長いので、薬物の投与においてさらなる複雑性を伴う。
4. これらの薬物を個別に投与した場合は、処置期間が約14〜21日間に延長される。
5. 患者に対する費用は、増えた入院期間のためにより高い。
6. 失敗率は、用量の不一致のためにより高い。成分は、均等な割合においてか、比率が未定義で、固定されないかのどちらかで投与される。例えば、Cantonらは、吸入トブラマイシン(1日2回、300mg)を使用し、Chest(2005)においてBlumerらは、静注トブラマイシン(血清ピーク≧8μg/mL、および血清トラフ<2μg/mLにおいて)とともに投与されたセフタジジム(5mg/kg〜2g q8h)を使用した;したがって、そのような種類の感染症の処置に使用可能である固定用量がなかったことを意味する。
7. 非経口経路での吸入としてのトブラマイシンの使用といった、その他の経路の使用が、場合によっては採用される。
8. 固定間隔で薬学的に有効な固定用量の組成物が利用可能でないので、記載された従来の方法の場合、耐性の発現の機会が非常に高い。公知の効力による既定の投与スケジュールがない場合、ケースによって処置を変化させるに至る用量を任意に選択する余地があり、それは最も確かなものでも最適に準ずるものでしかない。
9. 同時投与は、2種の個々の成分が、化学的に各々に適合しないものとして、非常に慎重に完了させなければならなく、そして、個々の成分のための異なるシリンジの使用、2種の薬物の投与時間の管理といった従来技術の場合では従わなければならない、いくつかの注意がある。
【0019】
これらの制限、不利益および欠点を、本発明において、除去/回避する。
【0020】
本発明における併用療法の利点は、より広範囲の作用機序、相加効果、相乗効果および耐性生体/重複感染率の減少の理由で、組成物の改善された有効性を含む。
【0021】
通常、死滅菌は、突然変異できず、そして耐性を伝えることが認められる。この2つの基準は、細菌を殺すことを要求されるような最大細菌濃度(MBC)、および突然変異抑制濃度(Tulkins、ECCMIDにおけるMouton ISAP会議、2001年4月を参照)であるMPCである。MPCは、急速に全ての細菌を殺し、減少した感受性を有する細菌を殺すであろう抗生物質濃度として見なすことができる。薬物のパラメーターは、薬物動態的および薬力学的パラメーターならびに誘導されたMBCまたはMPC濃度を包含するが、これに限定されない。MBCおよびMPC濃度は、算出されるか、測定されるかのどちらかである。
【0022】
本発明は、少なくとも部分的に、特定の抗生物質薬の薬物動態データを使用して、その特定の薬物のための送達系にプログラムできるその薬物のための投入特性を導き出すことができるという認識に基づく。その系を使用すれば、より少ない抗生物質しか治療的処置に必要としないことを意味するであろうし、その処置時間はより短いであろうと期待する。
【0023】
それは、本発明の実施態様であり、ここで、公表された臨床的な試みにおける、それらの証明されたより良い組合せの効果に基づいて選択された異なる抗生物質が、より有効かつ便利であるとされ、生体外実験に基づいて最も有効な併用を発明することにより、ならびに明確な投与計画をともなう固定用量の組合せを発明することにより投与され、それらは、非経口的経路処置として筋肉内、または静脈内注射で与えることができる注入可能な剤形において互いに適合する。この方法では、多くの抗生物質の併用が可能であり、そしてその全ては、本発明に含まれる。本発明の例証は、セフタジジムとトブラマイシンの固定用量の組合せにより提供され、臨床試験によりすでに示されている併用が、今のところ、非常に広範囲の病原菌に対して、相乗的に有効であることが報告された。
【0024】
病因論および抗菌性の感受性を知る前に実施された処置は、経験に基づいている。したがって、本発明は、全ての細菌性感染症の最も広い周知の範囲の制御のために所望な経験的治療を提供する。本発明のそのような併用は、in vitroの感受性試験においてはまさに併用の高められた効果を示し、臨床試験は進行中である。
【0025】
例えば、細胞壁活性薬剤、アミノグリコシド、ペニシリン、アンピシリン、およびバンコマイシンといった、広範囲の抗菌薬に耐性を示す腸球菌は、本発明のクリティカルな濃度でセフタジジムと併用されたトブラマイシンの進歩的な相乗的併用により制御されることがより良いと、in vitro試験において観察された。
【0026】
セフタジジムとトブラマイシンの併用に適用されるような本発明のアプローチは、別々の用量として投与された場合に相乗的に有用であると公表された臨床試験により示された2種以上の抗生物質の同様な組合せのために、潜在的に有用となりうる。しかしながら、1個の注射可能な医薬組成物として、さらに、感染症状の治療および予防の方法として複数の抗菌剤の投与を可能とするために、下記を確実にすることが必要である。
それらは、互いに安全で、化学的に適合性であり、
それらは、いかなる医学的危険をもたらさずに、容易に投与することができ、
それらは、細菌感染の処置のための入院患者の効果的処置を提供して、抗生物質のレジメンを最適化し、臨床症状を改善し、そして潜在的に耐性の発達を減少させ、
それらは、多種多様な感染性生物に対して有効性を提供し、
それらは、有効性を提供しつつも、低用量の治療薬を投与する可能性があり、
それらは、副作用の増加なしに高用量の抗菌剤を投与する可能性がある。
それらは、その一般毒性を減少させて、全身的作用の危険を最小としつつも、活性薬剤の治療指数の改善を確実にする。
それらは、重複感染の発症率を下げる。
前記必要条件を兼ね備えることは、成分の混合という単純なアプローチによって可能となるのではないが、基準以上に全てを満足させる標的抗菌剤の組成物を発明することが、必要である。
【0027】
本特許についての発明性は、以下である:
1. 2種の薬物は、注射用乾燥粉末および固定用量の組合せとして注射用液体溶液として、初めての、1個の薬物として組み合わされている。
2. 一般に、セファロスポリンおよびアミノグリコシドは互いに適合しないにもかかわらず、それらが安定化剤と他成分の特定の濃度のみで存在すれば適合することを、本発明で見出している。
3. 高用量において腎毒性および致命的となる可能性があれば、トブラマイシンのように含まれる、用量決定は最も画期的である。安全であることがわかっている用量は、セフタジジム500mgを伴うトブラマイシン60mg、セフタジジム1.0gを伴うトブラマイシン120mg、およびセフタジジム2.0gを伴うトブラマイシン180mgであった。
4. 併用は、相乗作用を提供し、単独での薬物のどちらよりも効果的である。
5. 選択された成分の両方は、本発明において確認されている比率および特定の投与計画において薬物共動態的および共薬力学的適合性を有する。
6. 処置期間は短縮し、患者に対する費用は非常に少ない。
7. 処置期間は、従来技術と比較して25〜30%減少する。
従って、本発明の目的を、以下に記載する:
それゆえに、本発明の目的は、安全であり、多種多様の感染性生物に対して有効性を有する医薬組成物を提供すること、および多剤耐性菌の非眼性感染症状に対して効果的な治療を提供することに有用である組成物を提供することである。
【0028】
さらに、本発明の別の目的は、感染症状の部位に対して治療薬の迅速な治療的送達を確実にする、非眼性感染症状の治療方法を提供することである。
【0029】
さらに、本発明の目的は、急性または重篤な非眼性感染症を伴う入院患者への、非経口的投与のための、薬学的に有効な量を提供することである。
【0030】
さらに別の本発明の目的は、腎毒性のような副作用の増加なしに、有効な処置を提供する可能性を有する投与スケジュールを提供することである。
【0031】
本発明のさらなる目的は、本発明の医薬組成物の製造方法を提供することである。
【0032】
本発明のなおさらなる目的は、投与が容易な、化学的に適合する安定な製剤を提供することである。
【0033】
本発明の他の目的は、患者における治療のための、より少ない処置期間を提供することである。
【0034】
本発明のなおさらなる目的は、入院期間の減少を伴う、費用効果的な処置を提供することである。
【0035】
本発明の他の目的は、医師が、来たる培養の報告を待つことができない非常に重篤なICU患者に、適時適切な処置を提供することである。
【0036】
本発明のなおさらなる目的は、慢性疾患の患者に対して、副作用が増加する可能性を最小にする、より高い用量を投与することである。
【0037】
本発明のなおさらなる目的は、特定の細菌に対して2つの個々に投与された薬物のどちらかよりもより良い有効性を有する、低用量の併用を投与することである。
【0038】
本発明の他の目的は、その一般毒性を減少させて、全身作用の危険を最小とするとともに、活性薬剤の治療指数の改善を確実にすることである。
本発明の他の目的は、より良い薬物動態的および薬力学的な適合性を有する、固定用量の併用剤を確実にすることである。
【0039】
以下において、本発明の要約、発明の詳細および発明の仕組みを例証する実施例を示す。本発明は、以下に記載される本発明の特定の実施態様に限定されず、本発明の操作を例示する限定的な目的のためにあり、当業者にとって明白な特定の実施態様のバリエーションをなすことができるが、添付の請求の範囲内にさらにあるものとして、理解されるべきである。同様に、使用された専門用語は、特定の実施態様に記載する目的であり、制限することを意図しないと理解されるべきである。また、本発明の範囲は、添付された特許請求の範囲により確立されるであろう。さらに、この明細書および添付された特許請求の範囲において、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに他の指示をしない限り、それらの複数形に対しての参照を包含する。このように、例えば、「β−ラクタム抗生物質」は、1種以上の全てのβ−ラクタム抗生物質も包含し;「安定剤」は、全ての公知の安定剤を包含し、同じ組成物において、1種だけまたは1種を超える安定剤の使用を包含し;「疾患」の記載は、1つ以上の疾患などの記載を包含する。さらに、他の定義がされない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的な用語は、共通に、本発明が属する当業者に理解するのと同じ意味を有する。
【0040】
発明の要約
本発明は、医薬組成物および、ヒトにおける抗菌剤として使用するための非経口的注入に適している組成物自身の成分とを製造する方法を開示し、それは相乗作用またはより有効な抗生物質の併用の乾燥粉末/液体の剤形を含んでおり、そのうちの少なくとも1つは濃度依存的な様式において作用し、好ましくはアミノグリコシド抗生物質またはその薬学的に許容しうる塩を含み、時間依存的な様式において作用する少なくとももう1つの抗生物質と適合し、好ましくは約2時間の血漿半減期でほぼ同時に血清中で注射後Cmaxに到達する形態および濃度において添加される、β−ラクタム抗生物質またはその薬学的に許容しうる塩を含み;組成物のパフォーマンスにおける改善に寄与する1種以上の安定化剤、無痛化剤、緩衝剤、補助剤、防腐剤、キレート化剤、麻酔剤および/または添加剤を添加してもしなくてもよい。
【0041】
セフタジジムとトブラマイシンのそのような併用は、トブラマイシンまたはその薬学的に許容しうる塩を、遊離酸として20〜220mg、ならびに、セフタジジムまたはその薬学的に許容しうる塩を、遊離酸として250mg〜2g含み、トブラマイシン:セフタジジムの重量/重量比が1:8.33〜1:11.2の範囲で、詳細に研究され、標準化された。組成物は、好ましくは、窒素で充填される小さいヘッドスペースを有する密閉容器において、無菌状態下で密閉される。本発明の組成物の筋肉内または静脈内注射は、急性肺増悪(APEs)、発熱性好中球減少症、嚢胞性線維症、その他肺細菌感染症、肺炎を含む下気道感染症を包含するがこれに限定されるものではない、いくつかの疾患に起因する急性および耐性菌感染症を含むいくつかの病状の処置方法を提供する。
【0042】
発明の詳述
本発明は、薬物動態学的および薬力学的原理ならびにその使用を用いた抗生物質組成物に関する。組成物は、2種の抗生物質を送達し、そのうちの1種が、濃度依存殺菌性の抗生物質であり、そしてもう1種が、濃度非依存殺菌性の抗生物質または時間依存殺菌性の抗生物質である。より詳しくは、本発明は、2種の異なる抗生物質の非経口的送達、それらの投与計画およびその使用のための組成物に関する。
【0043】
専門用語「濃度依存殺菌性の抗生物質」は、in vitroで濃度依存性殺菌作用を示す薬剤を意味し;抗生物質濃度が高いほど、活性の範囲が大きい。
【0044】
専門用語「濃度非依存殺菌性の抗生物質」は、殺菌作用が時間に依存しており、細菌に対する作用にとって注射部位で得られ、そして濃度には依存していない抗生物質を意味する。
【0045】
多くの場合に、そのような抗生物質が、広域スペクトルの範囲、細菌活性および潜在的な相乗効果を促進する相補的な作用機序を有するかもしれないという点において、細菌感染症の処置における2種の異なる抗生物質を用いて、重度のまたは急性の細菌感染症の処置中に耐性の発達を最小とすることが望ましい。
【0046】
本発明の実施において使用されることができる非限定的で典型的な「濃度非依存殺菌性の抗生物質のβ−ラクタム」としての例は、以下の抗生物質、ベンジルペニシリン、フェノキシメチルペニシリン、フェネチシリン、プロピシリン、アンピシリン、メチシリン、オキサシリン、クロキサシリン、フルクロキサシリン、ジクロキサシリン、ヘタシリン、タランピシリン、バカンピシリン、レナンピシリン、アモキシシリン、シクラシリン、カルベニシリン、スルベニシリン、チカルシリン、カリンダシリン、カルフェシリン、ピペラシリン、メズロシリン、アスポキシシリン、セファロリジン、セファゾリン、セファピリン、セファセトリル、セフテゾール、セファログリシン、セファレキシン、セファレキシン、セファトリジン、セファクロール、セフロキサジン、セファドロキシル、セファマンドール、セフォチアム、セファロチン、セフラジン、セフロキシム、セホキシチン、セフォタキシム、セフチゾキシム、セフメノキシム、セフォジジム、セフトリアキソン、セフゾナム、セフタジジム、セフェピム、セフピロム、セフォゾプラン、セフォセリス、セフルプレナム、セフォペラゾン、セフピミゾール、セフピラミド、セフィキシム、セフテラム ピボキシル、セフポドキシム プロキセチル、セフチブテン、セフェタメト ピボキシル、セフジニル、セフジトレン ピボキシル、セフカペン ピボキシル、セフスロジン、セフォキシチン、セフメタゾール、ラタモキセフ、セフォテタン、セフブペラゾン、セフミノックス、フロモキセフ、アズトレオナム、エルタペネム、カルモナム、イミペネム、パニペネム、メロペネム、ビアペネム、ファロペネム、リチペネム アコキシル、またはそれらの薬学的に許容しうる、そして効果的な塩、または非タンパク合成阻害性であるそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
【0047】
本発明の実施において使用されることができる非限定的で典型的な「濃度依存殺菌性の抗生物質であるアミノグリコシドまたはその薬学的に許容しうる塩」としての例は、ゲンタマイシン、アミカシン、トブラマイシン;エリスロマイシン、ストレプトマイシン、リンコマイシン;テトラサイクリン、ドキシサイクリン、クロルテトラサイクリン、ミノサイクリン;リネゾリド;フシジン酸;カナマイシン、ネチルマイシン、およびクロラムフェニコール、ならびにその他タンパク合成阻害性抗生物質、およびタンパク合成を阻害するものであるその薬学的に許容しうる塩の1種以上を含む。
【0048】
好ましい実施態様においては、そのような2種の抗生物質を、同時に送達する。
【0049】
本発明は、特に、重篤な急性の感染症の処置のための感受性細菌に起因する細菌感染症の処置のための特定の用量において、トブラマイシンまたはその薬学的に許容しうる塩、およびセフタジジムまたはその薬学的に許容しうる塩を送達する、新規な改善された製剤を目的とする。
【0050】
注射前の再調製のための液体/乾燥粉末における非経口的剤形の異なる強度を含む、本発明の抗生物質組成物を製剤化することにおいて、先に記載されているように、第一の抗生物質、トブラマイシンのような濃度依存殺菌性の抗生物質は、通常、重量によって、セフタジジムのような濃度非依存殺菌性の抗生物質の約9〜12%を構成する。
【0051】
注射前の再調製のための液体/乾燥粉末における非経口的剤形の異なる強度を含む、本発明の抗生物質組成物を製剤化することにおいて、先に記載されているように、より適切には、第二の抗生物質、すなわちセフタジジムのような濃度非依存殺菌性の抗生物質または時間依存殺菌性の抗生物質は、通常、重量によって、トブラマイシンのような濃度依存殺菌性の抗生物質の約800〜約1200%を構成する。
【0052】
注射前の再調製のための液体/乾燥粉末における非経口的剤形の異なる強度を含む、本発明の抗生物質組成物を製剤化することにおいて、先に記載されているように、最も適切には、第二の抗生物質、セフタジジムのような、濃度非依存殺菌性の抗生物質または時間依存殺菌性の抗生物質は、通常、重量によって併用剤の約89〜91%を形成し、一方で、トブラマイシンのような、濃度依存殺菌性の抗生物質は、通常、重量によって併用剤の約11〜9%を構成する。
【0053】
抗生物質は、薬学的に許容しうる塩の形態であってもよい。薬学的に許容しうる塩類は、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウムなどの塩類、ならびにプロカイン、ジベンジルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、メチルグルカミン、タウリンなどのアミン塩類、ならびに塩酸塩、硫酸塩および塩基性アミノ酸などのような酸付加塩類を包含する、通常、医薬産業における抗生物質の塩類として使用されている塩類に関する。
【0054】
本発明を、1つ以上の、以下の観点における本発明の抗生物質組成物で例示する:
1. 個々の成分の高用量の毒性作用を最小とするために、組成物におけるトブラマイシンとセフタジジムの固定的比率を決定すること。
2. 一般に、1種/それ以上の安定化剤/その他の試薬の使用、ならびに特に、L−アルギニンおよび/または炭酸ナトリウムの使用。
【0055】
本発明の一実施態様において、トブラマイシン対セフタジジム対アルギニンおよび/または炭酸ナトリウムの併用は、1:7:1の比率である。
他の実施態様において、トブラマイシン対セフタジジム対アルギニンの併用は、1:8:1〜1:10:1の比率である。
さらに他の実施態様において、トブラマイシン対セフタジジム対アルギニンの併用は、1:9.8:1.3の比率である。
【0056】
本発明はまた、無菌混合された液体/乾燥粉末の組成物の製造方法も含む。一実施態様において、本発明は、非経口的投与の前に、適合する再調製用希釈剤の添加により再調製することができ、そして所望ならば、非経口的投与の前に、適合する希釈剤で希釈された、医薬組成物の製造方法を提供する。その組成物は、(a)トブラマイシンまたはその薬学的に許容しうる塩、好ましくは硫酸塩、(b)セフタジジムまたはその薬学的に許容しうる塩、好ましくは五水和物塩、ならびにL−アルギニンおよび/または炭酸ナトリウムの形態である安定化剤の有効量を含む。この場合、適切な溶媒は、通常、好ましくは注射用蒸留水であるが、発明に従っていれば限定されず、無菌混合された組成物に加えられる。
【0057】
液体剤形のための他の実施態様において、両方の活性成分を、適切な媒質に溶解し、得られた溶液は、滅菌濾過して、次に適切なアンプルまたはバイアルに、充填して密封する。液状注射剤は、局所麻酔効果を有する無痛化剤(例えば、塩酸プロカイン、塩酸キシロカイン、ベンジルアルコールおよびフェノール)、防腐剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノール、メチルまたはプロピルパラベンおよびクロロブタノール)、緩衝剤(例えば、クエン酸、リン酸、酢酸のナトリウム塩)、溶液補助剤(例えば、塩酸アルギニン、メタ重亜硫酸ナトリウム)、安定化剤(例えば、L−システイン、L−メチオニン、L−ヒスチジン)、ならびに所望ならば、キレート化剤のような添加剤を含んでもよい。
【0058】
好ましい実施態様において、両方の抗生物質の非経口的剤形は、ほぼ同等の動力学を有する。
【0059】
他の態様において、本発明は、それを必要としている宿主、好ましくは哺乳類、さらに好ましくはヒトに投与することにより細菌感染症を処置することを目的とし、抗生剤として上記および以下に記載する。
【0060】
別の態様において、本発明は、好気性グラム陰性菌:Citrobacter freundiiおよびCitrobacter diversusを含むCitrobacter spp.;Enterobacter cloacaeおよびEnterobacter aerogenesを包含するEnterobacter spp.;Escherichia coli;アンピシリン耐性菌を包含するHaemophilus influenzae;Klebsiella spp.(Klebsiella pneumoniaeを包含する);Neisseria meningitidis;Proteus mirabilis;Proteus vulgaris;Pseudomonas spp.(Pseudomonas aeruginosaを含む);ならびにSerratia spp.の好気性グラム陽性菌:ペニシリナーゼおよびペニシリナーゼ非産生菌を包含する、Staphylococcus aureus;Streptococcus agalactiae(B群連鎖球菌);Streptococcus pneumoniae;ならびにStreptococcus pyogenes(A群β型溶血連鎖球菌)。嫌気性菌:Bacteroides spp.、Acinetobacter spp.、Clostridium spp.、(Clostridium difficileを除く)、Haemophilus parainfluenzae、Morganella morganii(以前はProteus morganii)、Neisseria gonorrhoeae、Peptococcus spp.、Peptostreptococcus spp.、Providencia spp.(以前はProteus rettgeriであったProvidencia rettgeriを含む)、Salmonella spp.、Shigella spp.、Staphylococcus epidermidisおよびYersinia enterocolitica.、メチシリン耐性ブドウ球菌、Streptococcus faecalisならびにその他多くの腸球菌、Listeria monocytogenes、Campylobacter spp.、またはClostridium difficileに起因する細菌感染症を処置することを目的とする。
このように、本発明の態様に従えば、非経口的剤形としてその中に固定用量の抗生物質を含有する併用剤が提供され、それは同時に抗生物質の放出を開始し、L−アルギニンおよび/または炭酸ナトリウムとともに、少なくとも濃度依存殺菌性の抗生物質(例えば、硫酸トブラマイシン)、濃度非依存殺菌性の抗生物質または時間依存殺菌性の抗生物質(例えば、セフタジジム五水和物)を含有する。
別の態様において、本発明は、嚢胞性線維症、肺炎を包含する下気道感染症、皮膚および皮膚組織感染症、複雑性尿路感染症および単純性尿路感染症の両者、細菌性敗血症、骨および関節感染症、子宮内膜症、骨盤蜂巣炎を含む産婦人科感染症、その他女性生殖系の感染症、腹膜炎および複数菌感染症を含む腹腔内感染症、髄膜炎を含む中枢神経系感染症などのような、細菌感染症の処置のための特定の用量における、セフタジジムまたはその薬学的に許容しうる塩とともに、トブラマイシンまたはその薬学的に許容しうる塩を送達する製剤に関する。
【0061】
好ましい実施態様によれば、トブラマイシンとセフタジジムの排泄は、主に、2.0(±0.3)の平均(±SD)半減期および約100.0(±10.0)mL/minの平均腎クリアランスを有する腎排泄を経由し、計算された血漿クリアランスは、健康な被験者において約115.0ml/minである。
【0062】
本発明の好ましい一実施態様によれば、トブラマイシンとセフタジジムによる平均処置期間は、7日(5〜10日)に相当する。
一般に、本発明は、適切な溶媒で注射前に再調製される、固定比率における2種以上の乾燥粉末の殺菌された混合物として使用できる。しかしながら、それを製剤化し、液体組成物として密封することもできる。
【0063】
好ましい実施態様において、抗生剤の投与は、適切な注入において投与前に希釈される濃縮物であり;例えば、注射用蒸留水、塩化ナトリウム0.9%、ブドウ糖5%の注射剤である。
本発明の実施態様において、本発明の組成物は、適切な溶媒で満たされた充填容積、および多くて約5%の窒素圧を有する微小雰囲気で満たされたヘッドスペース容積を含む内部を有する密閉容器に無菌包装されていて、ここで、ヘッドスペース容積に対する再調製された充填容積の比は、約1:1以上である。
本発明の別の実施態様において、上記併用の薬学的に有効な単回/反復投与量は、バイアル、モノバイアル、アンプル、注射器、パケット、パウチおよび自動注入器からなる群より選択される密閉された気密容器において供給され、上記容器は、上記併用剤の適切な再調製された溶液の形態で、単位/反復投与量を形成するのに十分な水性溶媒の適切な容量の導入が十分なヘッドスペース容積を有する。
【0064】
本発明のさらに他の実施態様において、上記医薬組成物は、密閉容器に包装され、ここで、該容器は上記医薬組成物の濃縮液を形成するのに十分な水性溶媒の容積の導入が十分なヘッドスペースを有する。
【0065】
本発明の抗生物質組成物を、以下の投与経路によって投与してもよい。すなわち、非経口的な、筋肉内または静脈内投与であり、好ましい治療レジメンは、製剤が、筋肉内注射については2〜3回、そして24時間にわたって静脈内注射で投与される。
【0066】
特許請求の範囲に記載されるように、発明の範囲を限定せずに、本発明のさまざまな実施態様を例証する実施例が、以下に示される。
【0067】
実施例1
細菌感受性試験
【0068】
本試験を、Hi Mediaから購入したMueller−Hinton寒天培地上でセフタジジムとトブラマイシンのためのディスク拡散試験により実施した。培地を調整し、製造業者の指示に従って使用した。異なる微生物について、セフタジジム単独、トブラマイシン単独およびセフタジジムとトブラマイシンの併用を取り上げた。抗生物質またはそれらの併用の異なる濃度を、データおよびディスクにおいて、最高濃度(セフタジジム10mg/ml、トブラマイシン1.2mg/ml、および2種の併用として10mg/ml+1.2mg/ml)、高濃度(セフタジジム1mg/ml、トブラマイシン0.12mg/ml、および2種の併用として1mg/ml+0.12mg/ml)、低濃度(セフタジジム0.1mg/ml、トブラマイシン0.012mg/ml、および2種の併用として0.1mg/ml+0.012mg/ml)、最低濃度(セフタジジム0.01mg/ml、トブラマイシン0.001mg/mlおよび2種の併用として0.01mg/ml+0.001mg/ml)と言及されたように選択した。域寸法をmmで測定した。セフタジジムとトブラマイシンの活性は、P.auerignosa、E.coli、Klebsiella pneumoniae、Staphylococcus (MSSA)、C.albicanus、MRSAにおいて最も見られる。試験された3つの強度は、560mg(セフタジジム500mgとトブラマイシン60mg)、1120mg(セフタジジム1000mgとトブラマイシン120mg)ならびに2180mg(セフタジジム2000mgとトブラマイシン180mg)であった。それぞれの濃度について、3つの区分、すなわち、併用、セフタジジム単独およびトブラマイシン単独を観察し、そして微生物のさまざまな型に対して有効性を試験した。
【0069】
結果を以下の表1に示す:
【0070】
【表1】

【0071】
トブラマイシンの前または後にセフタジジムを使用する従来の処置の平均入院期間は、14〜21日であった。従来の処置では、トブラマイシンを1日2回40mg〜80mg、セフタジジム1日2回1g〜2gを、14〜21日間投与した。
【0072】
本発明の処置のための平均入院期間は、25%に減少した。減少した入院および処置期間のため、患者/処置に対する費用は減少した。
【0073】
より少ない処置期間および減少した入院期間とともに、処置費用がより少なかったことは明らかであり、そして、患者にとっての安心は、本発明の処置によって大幅に改善された。
【0074】
実施例2
【0075】
本発明の組成物は、加速安定性試験を受けた。全ての手順を、標準試験手順に従って実施した。結果は、トブラマイシンとセフタジジムの本発明の組成物が安定であることを示す。
【0076】
【表2】

【0077】
【表3】

【0078】
【表4】

【0079】
実施例3
液体組成物の製造方法
【0080】
EDTAを注射用水に溶解した。メタ重亜硫酸ナトリウムを、連続的な撹拌および窒素パージをしながら、この溶液に加えた(溶液−1)。
0.017Mクエン酸ナトリウムおよびpH5.8の0.01Mクエン酸の緩衝液を、溶液−1に加えて、溶液―2を作った。
トブラマイシンとセフタジジムを、摂氏25℃以下で連続的な撹拌をしながら、1種ずつ溶液―2に加えた。
フェノールを、連続的な撹拌および窒素パージをしながら加えた。容積は注射用水によって補い、必要な場合はpHを再調整した。
2ミクロンで濾過する時の活性炭処理は、無色溶液を得るために必要である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトを含む哺乳類用の抗菌性の固定用量の併用療法として使用するための非経口的注射に適した組成物であって、
a. 流体、好ましくは注射用の水で再調製後に注射用に整えられる、改善された有効な組合せの、好ましくは相乗的な組合せの乾燥粉末を含み、濃度依存的な方法で反応する少なくとも1種の抗生物質(好ましくは、アミノグリコシド抗生物質またはその薬学的に許容されうる塩を含む)の組合せであって、時間依存的な方法で反応する少なくとももう1種の抗生物質(好ましくは、形態および濃度で添加された、β−ラクタム抗生物質またはその薬学的に許容されうる塩を含む)に適合し、
i それは、注射後、ほぼ同時にそして瞬時に血清中でCmaxに、約2時間の血漿半減期で到達し;
ii 組成物のパフォーマンスにおいて改善に寄与する1種以上の安定化剤、無痛化剤、緩衝剤、補助剤、防腐剤、キレート化剤、麻酔剤および/または添加剤を添加し、または添加せず、
b. 請求項1の下位クレームに記載の組成物の成分を溶解する液体媒質を使用することによって製造される液状注射剤を含む
組成物。
【請求項2】
a. 前記注射用乾燥粉末が、ゲンタマイシン、アミカシン、トブラマイシン、ネチルマイシン、およびその薬学的に許容されうる塩の、1種以上の前記アミノグリコシド抗生物質またはその薬学的に許容されうる塩の活性成分;ならびに、セフロキシム、セフォタキシム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフタジジム、セフェピム、セフピロム、セフォペラゾン、アズトレオナム、イミペネム、パニペネム、メロペネム、ビアペネム、ファロペネム、リチペネム アコキシルなど、またはそれらの混合物の、1種以上をさらに含む前記β−ラクタム抗生物質またはその薬学的に許容されうる塩の活性成分を含み、
i. 前記安定化剤が、L−アルギニン、炭酸ナトリウム、L−システイン、L−メチオニン、L−ヒスチジンなどの1種以上を含み、
ii. 前記無痛化剤および局所麻酔剤が、塩酸プロカイン、塩酸キシロカイン、ベンジルアルコールおよびフェノールなどを含み、
iii. 前記緩衝剤が、1種以上の酸類のナトリウム塩を含み、さらに1種以上のクエン酸、リン酸、酢酸などを含み、
iv. 前記補助剤が、塩酸アルギニン、メタ重亜硫酸ナトリウムなどの1種以上を含み、
v. 前記防腐剤が、ベンジルアルコール、フェノール、メチルまたはプロピルパラベンおよびクロロブタノールなどの1種以上を含み、
vi. 前記キレート化剤が、EDTAおよびそのナトリウム塩などを含み;
b. 前記液状注射剤が、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エチルアルコール、Tween−80、注射用水などの1種以上を含む
請求項1記載の組成物。
【請求項3】
a. 前記注射用乾燥粉末が2種の薬剤の組合せ、特には、トブラマイシンまたはその薬学的に許容されうる塩を遊離酸の形態として20〜220mg、セフタジジムまたはその薬学的に許容されうる塩を遊離酸の形態として250mg〜2g、トブラマイシン:セフタジジムの重量/重量比が、1:8.33〜1:11.2の範囲で含み、
i. 前記安定化剤が、L−アルギニン、炭酸ナトリウム、L−システイン、L−メチオニン、L−ヒスチジン、好ましくはL−アルギニンまたは炭酸ナトリウムなどの1種以上を、トブラマイシン:セフタジジム:L−アルギニンまたは炭酸ナトリウムが1:7:1、または1:8:1〜1:10:1、または1:9.8:1.3の比率で含み、
ii. 前記無痛化剤および麻酔剤が、塩酸プロカイン、塩酸キシロカイン、ベンジルアルコールおよびフェノールなどを含み、約1mg/ml〜4mg/mlの範囲で添加され、
iii. 前記緩衝剤が、クエン酸およびクエン酸ナトリウムなどを含み、約1mg/ml〜8mg/mlの範囲で添加され、
iv. 前記補助剤が、塩酸アルギニン、メタ重亜硫酸ナトリウムなどの1種以上を含み、約1mg/ml〜5mg/mlの範囲で添加され、
v. 前記防腐剤が、ベンジルアルコール、フェノール、メチルまたはプロピルパラベンおよびクロロブタノールなどの1種以上を含み、約0.1mg/ml〜4mg/mlの範囲で添加され、
vi. 前記キレート化剤が、好ましくは、エチレンジアミン四酢酸およびそのナトリウム塩などを含み、約0.5mg/ml〜0.2mg/mlの範囲で添加され、
b. 前記液状注射剤が、注射用水、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エチルアルコールを、請求項2の下位クレームa.において記述されているような他の試薬とともに含み、約2ml〜20mlの範囲で添加される
請求項1記載の組成物。
【請求項4】
請求項1、2または3記載の組成物を、ヒトにおいて筋肉内または静脈内に注射することによる、眼性感染症を除く疾患の処置法。
【請求項5】
前記疾患が、発熱性好中球減少症による急性肺増悪(APEs)、嚢胞性線維症、肺炎を含む下気道感染症のような細菌性感染症、皮膚感染症、皮膚組織感染症、複雑性尿路感染症はもとより初期尿路感染症も、細菌性敗血症、骨および関節感染症、骨盤蜂巣炎はもとより子宮内膜炎も含む婦人科感染症、女性生殖系の他疾患、腹膜炎および複数菌感染症を包含する腹腔内感染症、髄膜炎を包含する中枢神経系感染症、好気性グラム陰性菌、Citrobacter diversusはもとよりCitrobacter freundiiも包含するCitrobacter spp.、Enterobacter aerogenesはもとよりEnterobacter cloacaeも包含するEnterobacter spp.、Pseudomonas aeruginosa P 12またはEnterococcal sppの薬剤耐性菌からくるもの、Escherichia coli、アンピシリン耐性菌を含むHaemophilus influenzae、Klebsiella pneumoniaeを含むKlebsiella spp.、Neisseria meningitides、Proteus mirabilis、Proteus vulgaris、Pseudomonas aeruginosaを含むPseudomonas spp.、およびSerratia spp.、好気性グラム陽性菌、ペニシリナーゼおよび非ペニシリナーゼ産生菌を包含するStaphylococcus aureus、Streptococcus agalactiae、B群連鎖球菌、Streptococcus pneumonia、Streptococcus pyogenes、A群β型溶血連鎖球菌、嫌気性菌、Bacteroides spp.、Acinetobacter spp.、Clostridium difficileを除くClostridium spp.、Haemophilus parainfluenzae、Morganella morganii、Neisseria gonorrhoeae、Peptococcus spp.、Peptostreptococcus spp.、以前はProteus rettgeriであったProvidencia rettgeriを含むProvidencia spp.、Salmonella spp.、Shigella spp.、Staphylococcus epidermidis、Yersinia enterocolitica.、メチシリン耐性ブドウ球菌、Streptococcus faecalis、ならびにその他多くの腸球菌、Listeria monocytogenes、Campylobacter spp.、Clostridium difficileに起因する細菌感染症を含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記疾患が、嚢胞性線維症による急性肺増悪(APEs)である、請求項4記載の方法。
【請求項7】
適切な溶媒、好ましくは注射用水で満たされる充填容積および約5%以下の窒素圧を有する微小雰囲気で満たされるヘッドスペース容積を含む内部空間を有する密閉容器に無菌包装された、ヘッドスペース容積に対する再調製した充填容積の比率が、約1:1以上である、請求項1、2または3記載の組成物。
【請求項8】
前記固定用量の組合せの薬学的に有効な単位/複合投与量が、バイアル、モノバイアル、アンプル、注射器、パケット、パウチおよび自動注入器からなる群より選択される密閉された気密容器において供給され、前記容器が、前記併用の適切な再調製された溶液の形態で単位/複合投与量を形成するのに十分である水性溶媒の適切量の導入に十分であるヘッドスペース容積を有する、請求項1、2または3記載の組成物。
【請求項9】
薬物耐性菌とともに非眼性感染症状のための非経口的固定用量の併用療法のための請求項1、2または3記載の適切な医薬組成物の製造方法であって、
a. 第一の抗菌有効成分が、トブラマイシンまたは塩酸トブラマイシンのようなその第一の薬学的に許容されうる塩;および、第二の抗菌活性成分が、セフタジジムまたはセフタジジム五水和物のようなその第二の薬学的に許容されうる塩である、2種以上の抗菌剤を滅菌充填/滅菌混合し;
b. 化学ベクトルの形態における1種以上の安定化剤を添加し;
c. 前記滅菌充填/滅菌混合の操作を、約1時間〜約8時間の時間継続し;
d. それぞれ約1:8.33〜1:11.2の範囲において前記第二の抗菌剤に対する前記第一の抗菌剤の重量比における所望の薬学的に有効な投与量を得るために、工程(a)の滅菌充填/滅菌混合を釣り合わせ;
e. 第一の抗生物質成分:第二の抗生物質成分:前記化学ベクトルの率が約1:7:1、または1:8:1〜1:10:1、または1:9.8:1.3の範囲とする均衡;
f. 無痛化剤、補助剤、防腐剤、キレート化剤などを含む1種以上の他の成分の範囲が、注射の液状形態における他方に対する用量の強度と異なり、
g. 続いて、前後に不活性ガスを用いて無菌的に栓をする
工程を含む製造方法。
【請求項10】
注射用液のための組成物の製造のための方法であって、
a. EDTAを注射用水に溶解し、
b. メタ重亜硫酸ナトリウムを、好ましくは連続的に撹拌し、さらに好ましくは窒素パージをともなってこの溶液に溶解し、続いて、
c. 0.017Mクエン酸ナトリウム−0.01Mクエン酸緩衝液、pH約5.8を添加し、
d. 好ましくは連続的に撹拌し、さらに好ましくは約25℃未満で、トブラマイシンおよびセフタジジムを1つずつ添加し、
e. 好ましくは連続的に撹拌し、さらに好ましくは窒素パージを行いつつフェノールを添加し、
f. 所望であれば、pHを再調整した注射用水を用いて容量を補い、そして
g. 好ましくは、約0.2ミクロンのフィルターを通して、さらに好ましくは活性炭処理をともなって濾過する
工程を含む請求項9記載の方法。

【公表番号】特表2008−540515(P2008−540515A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−510726(P2008−510726)
【出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【国際出願番号】PCT/IN2006/000158
【国際公開番号】WO2006/120705
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(507182520)ヴィーナス・レメディーズ・リミテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】VENUS REMEDIES LIMITED
【Fターム(参考)】