説明

嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子の調節因子

本発明は、ATP−結合カセット(「ABC」)輸送体またはその断片の調節因子に関し、これには、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子、その組成物、およびそれを用いる方法を包含する。本発明は、このような調節因子を用いて、ABC輸送体媒介性疾患を処置する方法に関する。本発明の化合物によって処置される疾患としては、例えば、嚢胞性線維症、遺伝性肺気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝血−線維素溶解欠損症、例えばプロテインC欠乏症、1型遺伝性血管浮腫などが挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
この出願は、米国特許法§119の下、2007年9月14日に出願され、表題「MODULATORS OF CYSTIC FIBROSIS TRANSMEMBRANE CONDUCTANCE REGULATOR」の米国仮出願第60/972,599号(この全体の内容は、参考として本明細書に援用される)の優先権を主張する。
【0002】
発明の技術的分野
本発明は、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(「CFTR」)の調節因子、その組成物、およびそれを用いる方法に関する。本発明はまた、このような調節因子を用いてCFTR媒介性疾患を処置する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
ABC輸送体は、広範な種々の薬剤、毒性の可能性がある薬物、および異物、ならびに陰イオンの輸送を調節する膜輸送体タンパク質のファミリーである。ABC輸送体は、細胞質アデノシン三リン酸(ATP)に結合し、それをその特異的活性のために用いる相同な膜タンパク質である。これらの輸送体のいくつかは、化学療法剤から悪性癌細胞を守る、多剤耐性タンパク質(MDR1−P糖タンパク質、または多剤耐性タンパク質MRP1など)として発見された。現在までに、48個のABC輸送体が同定されており、それらの配列同一性および機能を基に7個のファミリーに分類されている。
【0004】
ABC輸送体は、体内で種々の重要な生理的役割を調節し、有害な環境化合物に対する防御を提供する。このため、それらは、この輸送体の欠失と関連する疾患の処置、標的細胞からの薬物輸送の阻止、およびABC輸送体活性の調節が有益であり得る他の疾患への介入のための重要な可能性のある薬物標的である。
【0005】
疾患と通常関連しているABC輸送体ファミリーの1つのメンバーは、cAMP/ATPにより媒介される陰イオンチャネルであるCFTRである。CFTRは、吸収性および分泌性の上皮細胞を含む種々の細胞タイプにおいて発現され、そこで、膜を通過する陰イオン流量を調節し、同時に他のイオンチャネルおよびタンパク質の活性を調節する。上皮細胞において、CFTRの正常な機能は、呼吸器および消化器組織を含む身体全体の電解質輸送の維持に重要である。CFTRは、6個の膜貫通ヘリックスおよび1個のヌクレオチド結合ドメインをそれぞれ含む、膜貫通ドメインの反復配列を構成するタンパク質をコード化する約1480個のアミノ酸から構成される。2個の膜貫通ドメインは、チャネル活性および細胞輸送を調節する、複数のリン酸化部位を有する、大きな極性の調節性(R)−ドメインにより結合される。
【0006】
CFTRをコードする遺伝子は、同定され、配列決定されている(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3を参照のこと)。この遺伝子の欠失は、CFTRの変異をもたらし、これがヒトにおける最も高頻度におこる致死的遺伝疾患である嚢胞性線維症(「CF」)をもたらす。嚢胞性線維症は、米国において2,500人あたり約1人の幼児に影響を与える。全アメリカ合衆国民中、最大で1千万人の人々が、疾患の影響を現すことなく、1コピーの欠損遺伝子を有する。対照的に、2個のコピーのCF関連遺伝子を有する個体は、慢性肺疾患を含むCFの消耗性で、かつ致死的な影響を被る。
【0007】
嚢胞性線維症を有する患者において、呼吸器上皮に内生的に発現するCFTRにおける変異は、イオンおよび液体輸送の不均衡をもたらす頂端陰イオン分泌の低下をもたらす。結果として生じるその陰イオン輸送の減少は、肺における粘液貯留の増大および、最終的にCF患者の死をもたらす、付随する微生物感染に寄与する。呼吸器疾患に加えて、CF患者は、代表的には、消化器の異常およびすい臓不全を有し、これを治療せずに放置すると死に至る。さらに、嚢胞性線維症を有する男性の多くは不妊症であり、嚢胞性線維症を有する女性では、生殖能力が低下している。2個のコピーのCF関連遺伝子の深刻な影響とは対照的に、1コピーのCF関連遺伝子を有する個体は、コレラおよび下痢による脱水症に対して高い耐性を呈しており−これによって、集団内においてCF遺伝子が比較的高頻度であることが説明されるであろう。
【0008】
CF染色体のCFTR遺伝子の配列解析により、病因となる種々の変異が明らかにされている(非特許文献4;非特許文献5;および非特許文献6;非特許文献7)。現在までに、CF遺伝子の1000を越える病因となる変異が同定されている(http://www.genet.sickkids.on.ca/cftr/)。最も普遍的な変異は、CFTRアミノ酸配列の508位でのフェニルアラニンの欠失であり、これは一般的には△F508−CFTRと称される。この変異は、嚢胞性線維症の症例の約70%で起こり、重篤な疾患と関連している。
【0009】
△F508−CFTRにおける残基508の欠失により、形成されつつあるタンパク質の正確な折り畳みが妨げられる。この結果、変異タンパク質がERを出て、細胞膜へ輸送されることが不可能となる。結果として、膜に存在するチャネルの数は、野生型CFTRを発現する細胞で観察されるものより遥かに少ない。損なわれた輸送機構に加えて、変異はチャネル開閉にも欠陥をもたらす。まとめると、膜におけるチャネルの数の減少および欠陥のある開閉により、上皮を通過する陰イオン輸送は減少し、イオンおよび体液輸送の欠陥を招くことになる(Quinton,P.M.(1990),FASEB J.4:2709〜2727)。しかしながら、本発明は、膜における△F508−CFTRの数の減少が、野生型CFTRより少ないが、機能的であることを示している(Dalemansら、(1991),Nature Lond.354:526〜528;Denning ら,前出;PasykおよびFoskett(1995),J.Cell.Biochem.270:12347〜50)。△F508−CFTRに加えて、輸送機構、合成および/またはチャネル開閉に欠陥をもたらす、他の疾患の原因となるCFTRにおける変異を上方または下方制御することにより、陰イオン分泌が改変され、疾患の進行および/または重症度も緩和され得る。
【0010】
CFTRは陰イオンに加えて種々の分子を輸送するが、この役割(陰イオンの輸送)が、上皮を通過してイオンおよび水を輸送する重要な機構における一要素であることは明らかである。他の要素には、上皮性Naチャネル、ENaC、Na/2Cl/K共輸送体、Na−K−ATPアーゼポンプおよび基底側膜Kチャネルが含まれ、これらは細胞への塩化物の取り込みに関与する。
【0011】
これらの要素が一緒になって作用して、細胞内におけるそれらの選択的発現および局在性により上皮を通過する指向性の輸送を達成する。塩化物吸収は、頂端側膜に存在するENaCおよびCFTRの協調的活性および細胞の基底膜側表面で発現されるNa−K−ATPアーゼポンプおよびCl−チャネルにより行われる。内腔側からの塩化物の二次的能動輸送により、細胞内塩化物の蓄積がもたらされ、次いでClチャネルにより受動的に細胞から排出されることにより、ベクトル輸送が生じる。Na/2Cl/K共輸送体、Na−K−ATPアーゼポンプおよび基底膜側表面での基底膜Kチャネルおよび内腔側でのCFTRの配置を調和させることにより、内腔側でのCFTRを介した塩化物の分泌が促される。水はそれ自体能動輸送されないと考えられるため、上皮を通過するその流動は、ナトリウムおよび塩化物の大きな流動により生じた小さな経上皮浸透圧勾配に左右される。
【0012】
嚢胞性線維症に加えて、CFTR活性の調節は、CFTRでの変異によって直接誘発されない他の疾患、例えば分泌性疾患およびCFTRにより媒介される他のタンパク質折り畳みの疾患にも有益であり得る。これらとしては、限定するものではないが、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、ドライアイ疾患、およびシェーグレン症候群が挙げられる。COPDは、進行性であり、完全には可逆性ではない気道の制限を特徴とする。気道の制限は、粘液過剰分泌、気腫および細気管支炎に起因する。変異体または野生型CFTRの活性化因子は、COPDに共通する粘液過剰分泌および損なわれた粘膜毛様体クリアランスの可能性のある治療法を提供する。具体的には、CFTRを通過する陰イオン分泌の増加によって、気道表面液への体液輸送が促され、粘液を水和し、かつ毛様体周囲(periciliary)液の粘度が最適化され得る。これにより、粘膜毛様体クリアランスは向上し、COPDに伴う症状は軽減される。ドライアイ疾患は、涙液産生量低下および異常な涙膜脂質、タンパク質およびムチンプロフィールを特徴とする。ドライアイ疾患には多くの原因があり、そのいくつかの例としては、加齢、レーシック眼科手術、関節炎、薬物療法、化学的熱傷/熱傷、アレルギー、ならびに例えば嚢胞性線維症およびシェーグレン症候群などの疾患が挙げられる。CFTRを介する陰イオン分泌の増加により、角膜内皮細胞および眼の周囲の分泌腺からの液体輸送が増大し、角膜水和作用を高め得るであろう。これは、ドライアイ疾患に伴う症状を軽減する一助となり得るであろう。シェーグレン症候群は、免疫系が、眼、口腔、皮膚、呼吸器組織、肝臓、膣、および消化管を含む体中の水分産生腺を攻撃する自己免疫疾患である。症状としては、眼、口腔および膣の乾燥、ならびに肺疾患が挙げられる。この疾患はまた、慢性関節リウマチ、紅斑性狼瘡、全身性硬化症および多発性筋炎(polymypositis)/皮膚筋炎とも関係する。欠陥のあるタンパク質輸送は、疾患を誘発すると考えられており、これについての治療の選択範囲は制限されている。CFTR活性の調節は、疾患に冒された種々の臓器を水和し、随伴症状の向上を促し得る。
【0013】
上記で考察したとおり、△F508−CFTRにおける残基508の欠失により、新生のタンパク質の正確な折り畳みが阻止され、その結果、この変異タンパク質がERを出て、細胞膜へ輸送されることが不可能になると考えられる。結果として、細胞膜に存在する成熟タンパク質の量は不十分となり、上皮組織内での塩化物輸送は著しく低下する。事実、ER機構によるABC輸送体の欠陥ERプロセッシングというこの細胞現象は、CF疾患だけでなく、広範囲の他の単発的および遺伝的疾患の基礎原因であることが示されている。ER機構が機能不全に陥り得る2つの過程は、分解に至るタンパク質のER輸送へのカップリングの喪失によるか、またはこれらの欠損/ミスフォールディング(誤った折り畳み)のタンパク質のER蓄積によるものである[Aridor M,ら、Nature Med.,5(7),pp 745〜751(1999);Shastry,B.S.ら、Neurochem.International,43,pp 1〜7(2003);Rutishauser,J.ら、Swiss Med Wkly,132,pp 211〜222(2002);Morello,JP ら、TIPS,21,pp.466〜469(2000);Bross P.ら、Human Mut.,14,pp.186〜198(1999)]。第一の分類のER機能不全に伴う疾患は、嚢胞性線維症(上記のミスフォールディング△F508−CFTRに起因)、遺伝性肺気腫(a1−抗トリプシンに起因;非Piz変異型)、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝血−線維素溶解欠損症、例えばプロテインC欠乏症、1型遺伝性血管浮腫、脂質処理欠損症(lipid processing deficiencies)、例えば家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症、リソソーム蓄積疾患、例えばI細胞病(I−cell disease)/偽性ハーラー病、ムコ多糖体症(リソソームプロセッシング酵素に起因)、サンドホッフ/テイ−サックス病(β−ヘキソサミニダーゼに起因)、クリグラー−ナジャーII型(UDP−グルクロニル−シアル−トランスフェラーゼに起因)、多発性内分泌腺症/高インスリン血症、真性糖尿病(インスリン受容体に起因)、ラロン型小人症(成長ホルモンレセプターに起因)、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症(プレプロ副甲状腺ホルモンに起因)、黒色腫(チロシナーゼに起因)である。後者の分類のER機能不全に伴う疾患は、グリカン糖鎖異常(glycanosis)CDG1型、遺伝性肺気腫(α1−抗トリプシンに起因(PiZ変異型))、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症(I、II、IV型プロコラーゲンに起因)、遺伝性低フィブリノーゲン血症(フィブリノーゲンに起因)、ACT欠損症(α1−抗キモトリプシンに起因)、尿崩症(DI)、ニューロフィシン性(neurophyseal)DI(バソプレッシンホルモン/V2−受容体に起因)、腎性DI(アクアポリンIIに起因)、シャルコー−マリー−トゥース症候群(末梢ミエリンタンパク質22に起因)、ペリツェウス−メルツバッハー病、神経変性疾患、例えばアルツハイマー病(βAPPおよびプレセニリンに起因)、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺(plasy)、ピック病、いくつかのポリグルタミン神経障害、例えばハンチントン病、脊髄小脳性運動失調I型、球脊髄性筋萎縮症(spinal and bulbar muscular atrophy)、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、および筋緊張性ジストロフィー、ならびに海綿状脳症、例えば遺伝性クロイツフェルト−ヤコブ病(プリオンタンパク質プロセッシング欠損に起因)、ファブリー病(リソソーム性α−ガラクトシダーゼAに起因)およびストロイスラー−シャインカー症候群(Prpプロセッシング欠損に起因)である。
【0014】
CFTR活性の上方制御に加えて、CFTR調節因子による陰イオン分泌の低下は、分泌性下痢の処置に有益であり得、上皮水分輸送は、分泌促進剤活性化塩化物輸送の結果として劇的に増大する。この機構は、cAMPの上昇およびCFTRの刺激を伴う。
【0015】
下痢には多くの原因があるが、過度の塩化物輸送から生じる下痢性疾患の主たる結果は全て共通しており、脱水症、アシドーシス、成長障害および死亡が挙げられる。
【0016】
急性および慢性の下痢は、世界の多くの地域における主たる医学的問題を代表する。下痢は、栄養失調における重大因子であるとともに5歳未満の子供における第一の死因である(1年あたり5,000,000例の死亡数)。
【0017】
分泌性下痢はまた、後天性免疫不全症候群(AIDS)および慢性炎症性腸疾患(IBD)の患者においては危険な状態である。毎年、先進国から開発途上国への1600万人の旅行者が下痢を発症し、下痢の症例の重症度および数は、旅行した国および地域によって異なる。
【0018】
白痢としても公知の、家畜およびペット、例えばウシ、ブタおよびウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコおよびイヌの下痢は、これらの動物の主たる死因である。下痢は、主たる過渡期、例えば離乳または身体的動きから、ならびに種々の細菌またはウイルス感染症に応答して起こり得、一般的には動物の生涯において最初の数時間以内に起こる。
【0019】
下痢の最も一般的な病原菌は、K99線毛抗原を有する腸毒素産生性のE.coli(ETEC)である。下痢の一般的ウイルスの病因としては、ロタウイルスおよびコロナウイルスが挙げられる。他の感染源としては、とりわけクリプトスポリジウム、ランブル鞭毛虫およびサルモネラが挙げられる。
【0020】
ロタウイルス感染の症状には、水様便の排泄、脱水症および衰弱が挙げられる。コロナウイルスは、生まれたての動物ではさらに深刻な疾患を誘発し、ロタウイルス感染よりも死亡率は高い。しかしながら、多くの場合、若年動物は、一時に複数のウイルス、またはウイルスおよび細菌性微生物の組み合わせに感染し得る。このことにより、疾患の重症度は劇的に増大する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】Gregory,R.J.ら、Nature(1990)347:382〜386
【非特許文献2】Rich,D.P.ら、Nature(1990)347:358〜362
【非特許文献3】Riordan,J.R.ら、Science(1989)245:1066〜1073
【非特許文献4】Cutting,G.R.ら、Nature(1990)346:366〜369
【非特許文献5】Dean,M.ら、Cell(1990)61:863:870
【非特許文献6】Kerem,B−S.ら、Science(1989)245:1073〜1080
【非特許文献7】Kerem,B−Sら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1990)87:8447〜8451
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
従って、哺乳動物の細胞膜でのCFTRの活性を調節するのに用いられ得るCFTR活性の調節因子、およびその組成物が必要とされている。
【0023】
CFTR活性のこのような調節因子を用いるCFTR媒介性疾患の処置方法が必要とされている。
【0024】
エスクビボでの哺乳動物の細胞膜におけるCFTR活性の調節方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0025】
発明の要旨
今回、本発明の化合物、およびその薬学的に許容可能な組成物が、ABC輸送体活性、の調節因子として有用であることが見出された。これらの化合物は、一般式I:
【0026】
【化1】

またはその薬学的に許容可能な塩を有し、式中、R、R、R、R、Z、Zおよびkは一般的に、かつ下の分類および小分類で記載される。
【0027】
これらの化合物および薬学的に許容可能な組成物は、限定するものではないが、嚢胞性線維症、遺伝性肺気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝血−線維素溶解欠損症、例えばプロテインC欠乏症、1型遺伝性血管浮腫、脂質処理欠損症、例えば家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症、リソソーム蓄積疾患、例えばI細胞病/偽性ハーラー病、ムコ多糖体症、サンドホッフ/テイ−サックス病、クリグラー−ナジャーII型、多発性内分泌腺症/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、黒色腫、グリカン糖鎖異常CDG1型、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠損症、尿崩症(DI)、ニューロフィシン性DI、腎性DI、シャルコー−マリー−トゥース症候群、ペリツェウス−メルツバッハー病、神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、いくつかのポリグルタミン神経障害、例えばハンチントン病、脊髄小脳性運動失調1型、球脊髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、および筋緊張性ジストロフィー、ならびに海綿状脳症、例えば遺伝性クロイツフェルト−ヤコブ病、ファブリー病、ストロイスラー−シャインカー症候群、COPD、ドライアイ疾患またはシェーグレン病を含む、種々の疾患、障害、または病態の処置または重症度の軽減に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
発明の詳細な説明
I.本発明の化合物の一般的説明
本発明は、ABC輸送体活性の調節因子として有用な式Iの化合物:
【0029】
【化2】

またはその薬学的に許容可能な塩に関する。
【0030】
は−Zであり、各Zは独立して結合であるか、もしくは非置換のC1−6の分岐もしくは直鎖の脂肪族鎖であり、かつRはアリールまたはヘテロアリールであり、そのいずれかが任意に置換されているか、またはRは任意に置換されているアリールおよび任意に置換されているヘテロアリールから独立して選択される、1〜2個の基で置換されている3〜6員の脂環式である。
【0031】
各Rは独立して−X−Rであり、式中、各Xは独立して結合であるかもしくは任意に置換されているC1−6の直鎖もしくは分岐の脂肪族鎖であって、式中Xの最大2個までの炭素単位は任意にかつ独立して−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−、または−NR’SONR’−によって置換されており;Rは独立してR’、ハロ、−NO、−CN、−CF、または−OCFである。R’は水素であるか、または任意にC1−8脂肪族、3〜8員の飽和、部分的に不飽和、もしくは完全に不飽和であって、窒素、酸素もしくはイオウから独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する単環式の環、または8から12員の飽和、部分的に不飽和、もしくは完全に不飽和であって、窒素、酸素もしくはイオウから独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有する二環式の環系から選択される置換された基であるか;あるいはR’が2つ存在すると、それらが結合する原子(単数または複数)と一緒になって、任意に置換されている3〜12員の飽和、部分的に不飽和、もしくは完全に不飽和であって、窒素、酸素もしくはイオウから独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する単環式または二環式の環を形成する。
【0032】
は水素である。
【0033】
は水素または−X−Rで任意に置換されているC1−6脂肪族基である。
【0034】
またはZの各々は独立して−CH−、−CR−、またはNであって、かつZまたはZのうちの少なくとも1つはNである。
【0035】
2.化合物および定義:
本発明の化合物は、上記に一般的に記載される化合物を包含し、かつ本明細書に開示される分類、小分類および種によってさらに例示される。本明細書において用いる場合、他に特記しない限り、以下の定義を適用するものとする。
【0036】
本明細書で用いる場合、「ABC輸送体」という用語は、ABC輸送体タンパク質または少なくとも1つの結合ドメインを含むその断片を意味し、このようなタンパク質またはその断片は、インビボまたはインビトロで存在する。本明細書で用いる場合「結合ドメイン」という用語は、調節因子と結合し得るABC輸送体上のドメインを意味する。例えば、Hwang,T.C.ら、J.Gen.Physiol.(1998):111(3),477〜90を参照のこと。
【0037】
本明細書で用いる場合、「CFTR」という用語は、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子、または限定するものではないが△F508 CFTRおよびG551D CFTRを含む、調節因子活性能力を有するその変異体を意味する(CFTR変異については、例えば、http://www.genet.sickkids.on.ca/cftr/を参照のこと)。
【0038】
本明細書で用いる場合、「調節、修飾(する、すること、する工程)」という用語は、測定可能な量での増大または低下を意味する。
【0039】
本発明の目的に関して、化学元素は元素周期表、CAS version,Handbook of Chemistry and Physics,第75版に従って同定する。さらに、有機化学の一般的原理は、「Organic Chemistry」,Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito:1999および「March’s Advanced Organic Chemistry」,第5版:Smith,M.B.およびMarch,J.,John Wiley & Sons,New York:2001に記載されており、それらの全内容が出典明記により本明細書に包含される。
【0040】
本明細書で記載のとおり、本発明の化合物は、一般的に上記の例示のように、または本発明の特定の分類、小分類および化学種によって例示されるように、任意に1個以上の置換基で置換されていてもよい。
【0041】
本明細書で用いる場合、「脂肪族」という用語は、アルキル、アルケニル、アルキニルという用語を包含し、それらはそれぞれ、下記のとおり任意に置換されている。
【0042】
本明細書で用いる場合、「アルキル」基とは、1〜12個(例えば、1〜8個、1〜6個または1〜4個)の炭素原子を含んでいる飽和脂肪族炭化水素基を意味する。アルキル基は直鎖でも分枝鎖でもよい。アルキル基の例としては、限定するものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘプチル、または2−エチルヘキシルが挙げられる。アルキル基は、ハロ、ホスホ、脂肪環式[例えば、シクロアルキルまたはシクロアルケニル]、ヘテロ脂肪環式[例えば、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルケニル]、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アシル[例えば、(脂肪族)カルボニル、(脂環式)カルボニルまたは(ヘテロ脂環式)カルボニル]、ニトロ、シアノ、アミド[例えば、(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、シクロアルキルアミノカルボニル、ヘテロシクロアルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、またはヘテロアリールアミノカルボニル]、アミノ[例えば、脂肪族アミノ、脂環式アミノ、またはヘテロ脂環式アミノ]、スルホニル[例えば、脂肪族−SO−]、スルフィニル、スルファニル、スルホキシ、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミド、オキソ、カルボキシ、カルバモイル、脂環式オキシ、ヘテロ脂環式オキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアリールアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、または、ヒドロキシのような1個以上の置換基で置換されてもよい(すなわち、任意に置換されていてよい)。限定するものではないが、置換アルキルのいくつかの例としては、カルボキシアルキル(例えば、HOOC−アルキル、アルコキシカルボニルアルキル、およびアルキルカルボニルオキシアルキル)、シアノアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アシルアルキル、アラルキル、(アルコキシアリール)アルキル、(スルホニルアミノ)アルキル(例えば、(アルキル−SO−アミノ)アルキル)、アミノアルキル、アミドアルキル、(脂環式)アルキル、または、ハロアルキルが挙げられる。
【0043】
本明細書で用いる場合、「アルケニル」基とは、2〜8個(例えば、2〜12個、2〜6個または2〜4個)の炭素原子および少なくとも1個の二重結合を含む脂肪族炭素基を意味する。アルキル基同様、アルケニル基は直鎖であっても分枝鎖であってもよい。アルケニル基の例としては、限定するものではないが、アリル、イソプレニル、2−ブテニル、および2−ヘキセニルが挙げられる。アルケニル基は、任意にハロ、ホスホ、脂環式[例えば、シクロアルキルまたはシクロアルケニル]、ヘテロ脂環式[例えば、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルケニル]、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アシル[例えば、(脂肪族)カルボニル、(脂環式)カルボニル、または(ヘテロ脂環式)カルボニル]、ニトロ、シアノ、アミド[例えば、(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、シクロアルキルアミノカルボニル、ヘテロシクロアルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、またはヘテロアリールアミノカルボニル]、アミノ[例えば、脂肪族アミノ、脂環式アミノ、ヘテロ脂環式アミノ、または脂肪族スルホニルアミノ]、スルホニル[例えば、アルキル−SO−、脂環式−SO−、またはアリール−SO−]、スルフィニル、スルファニル、スルホキシ、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミド、オキソ、カルボキシ、カルバモイル、脂環式オキシ、ヘテロ脂環式オキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、またはヒドロキシなどの1個以上の置換基で置換されていてもよい。限定するものではないが、置換アルケニルのいくつかの例としては、シアノアルケニル、アルコキシアルケニル、アシルアルケニル、ヒドロキシアルケニル、アラルケニル、(アルコキシアリール)アルケニル、(スルホニルアミノ)アルケニル(例えば、(アルキル−SO−アミノ)アルケニル)、アミノアルケニル、アミドアルケニル、(脂環式)アルケニル、またはハロアルケニルが挙げられる。
【0044】
本明細書で用いる場合、「アルキニル」基とは、2〜8個(例えば、2〜12個、2〜6個または2〜4個)の炭素原子および少なくとも1個の三重結合を含む脂肪族炭素基を意味する。アルキニル基は、直鎖であっても分枝鎖であってもよい。アルキニル基の例としては限定するものではないが、プロパルギルおよびブチニルが挙げられる。アルキニル基は、任意にアロイル、ヘテロアロイル、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ニトロ、カルボキシ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、スルホ、メルカプト、スルファニル[例えば、脂肪族スルファニルまたは脂環式スルファニル]、スルフィニル[例えば、脂肪族スルフィニルまたは脂環式スルフィニル]、スルホニル[例えば、脂肪族−SO−、脂肪族アミノ−SO−、または脂環式−SO−]、アミド[例えば、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルアミノカルボニル、ヘテロシクロアルキルアミノカルボニル、シクロアルキルカルボニルアミノ、アリールアミノカルボニル、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノまたはヘテロアリールアミノカルボニル]、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミド、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール、ヘテロアリール、アシル[例えば、(脂環式)カルボニルまたは(ヘテロ脂環式)カルボニル]、アミノ[例えば、脂肪族アミノ]、スルホキシ、オキソ、カルボキシ、カルバモイル、(脂環式)オキシ、(ヘテロ脂環式)オキシ、または(ヘテロアリール)アルコキシのような1個以上の置換基で置換されていてもよい。
【0045】
本明細書で用いる場合、「アミド」は、「アミノカルボニル」および「カルボニルアミノ」の両方を包含する。単独でまたは別の基と組み合わせて用いる場合、これらの用語は、末端で用いるとき−N(R)−C(O)−Rまたは−C(O)−N(R、ならびに内部に用いるとき−C(O)−N(R)−または−N(R)−C(O)−(ここで、RおよびRは、下記に定義のとおりである)のようなアミド基を意味する。アミド基の例としては、アルキルアミド(例えば、アルキルカルボニルアミノまたはアルキルアミノカルボニル)、(ヘテロ脂環式)アミド、(ヘテロアラルキル)アミド、(ヘテロアリール)アミド、(ヘテロシクロアルキル)アルキルアミド、アリールアミド、アラルキルアミド、(シクロアルキル)アルキルアミド、またはシクロアルキルアミドを包含する。
【0046】
本明細書で用いる場合「アミノ」基とは、−NR(ここで、RおよびRは、それぞれ独立して水素、脂肪族、脂環式、(脂環式)脂肪族、アリール、芳香脂肪族、ヘテロ脂環式、(ヘテロ脂環式)脂肪族、ヘテロアリール、カルボキシ、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、(脂肪族)カルボニル、(脂環式)カルボニル、((脂環式)脂肪族)カルボニル、アリールカルボニル、(芳香脂肪族)カルボニル、(ヘテロ脂環式)カルボニル、((ヘテロ脂環式)脂肪族)カルボニル、(ヘテロアリール)カルボニル、または(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニルであり、各々が本明細書で定義のとおりであり、そして任意に置換されていてよい)を意味する。アミノ基の例としては、アルキルアミノ、ジアルキルアミノまたはアリールアミノが挙げられる。「アミノ」という用語は末端基ではないとき(例えば、アルキルカルボニルアミノ)、それは−NR−により表される。Rは、上記の定義と同じ意味を有する。
【0047】
本明細書で用いる場合、単独でまたは「アラルキル」、「アラルコキシ」もしくは「アリールオキシアルキル」のような大きな部分の一部として使用される「アリール」基は、単環式(例えば、フェニル);二環式(例えば、インデニル、ナフタレニル、テトラヒドロナフチル、テトラヒドロインデニル);および、三環式(例えば、フルオレニル、テトラヒドロフルオレニル、またはテトラヒドロアントラセニル、アントラセニル)環系(ここで、単環式環系は芳香族性であるか、または二環式もしくは三環式環系の少なくとも1個の環が芳香族性である)を意味する。この二環式および三環式基は、ベンゾ縮合2〜3員の炭素環式環を含む。例えば、ベンゾ縮合基は、2個以上のC4−8炭素環式部分と縮合したフェニルを含む。アリールは、任意に脂肪族[例えば、アルキル、アルケニルまたはアルキニル];脂環式;(脂環式)脂肪族;ヘテロ脂環式;(ヘテロ脂環式)脂肪族;アリール;ヘテロアリール;アルコキシ;(脂環式)オキシ;(ヘテロ脂環式)オキシ;アリールオキシ;ヘテロアリールオキシ;(芳香脂肪族)オキシ;(ヘテロ芳香脂肪族)オキシ;アロイル;ヘテロアロイル;アミノ;オキソ(ベンゾ縮合二環式または三環式アリールの非芳香族性炭素環式環上である);ニトロ;カルボキシ;アミド;アシル[例えば、脂肪族カルボニル、(脂環式)カルボニル、((脂環式)脂肪族)カルボニル、(芳香脂肪族)カルボニル、(ヘテロ脂環式)カルボニル、((ヘテロ脂環式)脂肪族)カルボニル、または(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニル];スルホニル[例えば、脂肪族−SO−またはアミノ−SO−];スルフィニル[例えば、脂肪族−S(O)−または脂環式−S(O)−];スルファニル[例えば、脂肪族−S−];シアノ;ハロ;ヒドロキシ;メルカプト;スルホキシ;ウレア;チオウレア;スルファモイル;スルファミド;または、カルバモイルを含む1個以上の置換基で置換されている。または、アリールは、非置換であってもよい。
【0048】
置換アリールの限定しない例としては、ハロアリール[例えば、モノ−、ジ(例えば、p,m−ジハロアリール)、および(トリハロ)アリール];(カルボキシ)アリール[例えば、(アルコキシカルボニル)アリール、((アラルキル)カルボニルオキシ)アリール、および(アルコキシカルボニル)アリール];(アミド)アリール[例えば、(アミノカルボニル)アリール、(((アルキルアミノ)アルキル)アミノカルボニル)アリール、(アルキルカルボニル)アミノアリール、(アリールアミノカルボニル)アリール、および(((ヘテロアリール)アミノ)カルボニル)アリール];アミノアリール[例えば、((アルキルスルホニル)アミノ)アリールまたは((ジアルキル)アミノ)アリール];(シアノアルキル)アリール;(アルコキシ)アリール;(スルファモイル)アリール[例えば、(アミノスルホニル)アリール];(アルキルスルホニル)アリール;(シアノ)アリール;(ヒドロキシアルキル)アリール;((アルコキシ)アルキル)アリール;(ヒドロキシ)アリール、((カルボキシ)アルキル)アリール;(((ジアルキル)アミノ)アルキル)アリール;(ニトロアルキル)アリール;(((アルキルスルホニル)アミノ)アルキル)アリール;((ヘテロ脂環式)カルボニル)アリール;((アルキルスルホニル)アルキル)アリール;(シアノアルキル)アリール;(ヒドロキシアルキル)アリール;(アルキルカルボニル)アリール;アルキルアリール;(トリハロアルキル)アリール;p−アミノ−m−アルコキシカルボニルアリール;p−アミノ−m−シアノアリール;p−ハロ−m−アミノアリール;または、(m−(ヘテロ脂環式)−o−(アルキル))アリールが挙げられる。
【0049】
本明細書で用いる場合、「アラルキル」基などの「芳香脂肪族」基は、アリール基で置換されている脂肪族基(例えば、C1−4アルキル基)を意味する。「脂肪族」、「アルキル」および「アリール」は、本明細書中に定義されている。アラルキル基のような芳香脂肪族の例はベンジルである。
【0050】
本明細書で用いる「アラルキル」基は、アリール基で置換されているアルキル基(例えば、C1−4アルキル基)を意味する。「アルキル」および「アリール」の両方とも上記で定義されている。アラルキル基の例はベンジルである。アラルキルは、任意に脂肪族[例えば、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキルまたはトリフルオロメチルのようなハロアルキルを含むアルキル、アルケニルまたはアルキニル]、脂環式[例えば、シクロアルキルまたはシクロアルケニル]、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロシクロアルキル、(ヘテロシクロアルキル)アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、アロイル、ヘテロアロイル、ニトロ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アミド[例えば、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノまたはヘテロアラルキルカルボニルアミノ]、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、アシル、メルカプト、アルキルスルファニル、スルホキシ、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミド、オキソ、または、カルバモイルのような1個以上の置換基で置換されている。
【0051】
本明細書で用いる「二環式環系」は、2環を形成する8〜12(例えば、9、10または11)員の構造を含み、ここで、この2環は、少なくとも1個の原子を共通して含む(例えば、2個の原子が共通)。二環式環系としては、二脂環式(例えば、ビシクロアルキルまたはビシクロアルケニル)、ビシクロヘテロ脂肪族、二環式アリール、および二環式ヘテロアリールが挙げられる。
【0052】
本明細書で用いる場合、「炭素環」または「脂環式」基は、「シクロアルキル」基および「シクロアルケニル」基(それぞれ、下記のとおりに任意に置換されていてよい)を包含する。
【0053】
本明細書で用いる場合「シクロアルキル」基は、3〜10個(例えば、5〜10個)の炭素原子の飽和炭素環式単環式、または二環式(縮合または架橋)環を意味する。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、ノルボルニル、クビル、オクタヒドロ−インデニル、デカヒドロ−ナフチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.3.1]ノニル、ビシクロ[3.3.2.]デシル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンチル、または((アミノカルボニル)シクロアルキル)シクロアルキルが挙げられる。
【0054】
本明細書で用いる場合「シクロアルケニル」基とは、1個以上の二重結合を有する3〜10個(例えば、4〜8個)の炭素原子の、非芳香族性炭素環式環を意味する。シクロアルケニル基の例としては、シクロペンテニル、1,4−シクロヘキサ−ジ−エニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、ヘキサヒドロ−インデニル、オクタヒドロ−ナフチル、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、ビシクロ[2.2.2]オクテニルまたはビシクロ[3.3.1]ノネニルが挙げられる。
【0055】
シクロアルキルまたはシクロアルケニル基は、任意にホスホ、脂肪族[例えば、アルキル、アルケニル、またはアルキニル]、脂環式、(脂環式)脂肪族、ヘテロ脂環式、(ヘテロ脂環式)脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、(脂環式)オキシ、(ヘテロ脂環式)オキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、(芳香脂肪族)オキシ、(ヘテロ芳香脂肪族)オキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アミノ、アミド[例えば、(脂肪族)カルボニルアミノ、(脂環式)カルボニルアミノ、((脂環式)脂肪族)カルボニルアミノ、(アリール)カルボニルアミノ、(芳香脂肪族)カルボニルアミノ、(ヘテロ脂環式)カルボニルアミノ、((ヘテロ脂環式)脂肪族)カルボニルアミノ、(ヘテロアリール)カルボニルアミノ、または(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニルアミノ]、ニトロ、カルボキシ[例えば、HOOC−、アルコキシカルボニル、またはアルキルカルボニルオキシ]、アシル[例えば、(脂環式)カルボニル、((脂環式)脂肪族)カルボニル、(芳香脂肪族)カルボニル、(ヘテロ脂環式)カルボニル、((ヘテロ脂環式)脂肪族)カルボニル、または(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニル]、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、スルホニル[例えば、アルキル−SO−およびアリール−SO−]、スルフィニル[例えば、アルキル−S(O)−]、スルファニル[例えば、アルキル−S−]、スルホキシ、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミド、オキソ、またはカルバモイルのような1個以上の置換基で置換されていてもよい。
【0056】
本明細書で用いる場合、「ヘテロ環」または「ヘテロ脂環式」という用語は、ヘテロシクロアルキル基およびヘテロシクロアルケニル基(それぞれ、下記のとおりに任意に置換されている)を包含する。
【0057】
本明細書で用いる「ヘテロシクロアルキル」基とは、1個以上の環原子がヘテロ原子(例えば、N、O、S、またはそれらの組み合わせ)である、3〜10員の単環式または二環式(縮合または架橋)(例えば、5員ないし10員の単環式または二環式)飽和環構造を意味する。ヘテロシクロアルキル基の例としては、ピペリジル、ピペラジル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフリル、1,4−ジオキソラニル、1,4−ジチアニル、1,3−ジオキソラニル、オキサゾリジル、イソキサゾリジル、モルホリニル、チオモルホリル、オクタヒドロベンゾフリル、オクタヒドロクロメニル、オクタヒドロチオクロメニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロピリンジニル(octahydropyrindinyl)、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロベンゾ[b]チオフェネイル(thiopheneyl)、2−オキサ−ビシクロ[2.2.2]オクチル、1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクチル、3−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクチル、および2,6−ジオキサ−トリシクロ[3.3.1.03,7]ノニルを含む。単環式ヘテロシクロアルキル基は、フェニル部分と縮合して、ヘテロアリールとして分類されるであろうテトラヒドロイソキノリンのような構造を形成してもよい。
【0058】
「ヘテロシクロアルケニル」基とは、本明細書で用いる場合、1個以上の二重結合を有しており、かつ1個以上の環原子がヘテロ原子(例えば、N、O、またはS)である、単環式または二環式(例えば、5員ないし10員の単環式または二環式)非芳香環構造を意味する。単環式および二環式ヘテロ脂環式は、標準化学命名法に従っていナンバリングされる。
【0059】
ヘテロシクロアルキル基またはヘテロシクロアルケニル基は、ホスホラ、脂肪族[例えば、アルキル、アルケニル、またはアルキニル]、脂環式、(脂環式)脂肪族、ヘテロ脂環式、(ヘテロ脂環式)脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、(脂環式)オキシ、(ヘテロ脂環式)オキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、(芳香脂肪族)オキシ、(ヘテロ芳香脂肪族)オキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アミノ、アミド[例えば、(脂肪族)カルボニルアミノ、(脂環式)カルボニルアミノ、((脂環式)脂肪族)カルボニルアミノ、(アリール)カルボニルアミノ、(芳香脂肪族)カルボニルアミノ、(ヘテロ脂環式)カルボニルアミノ、((ヘテロ脂環式)脂肪族)カルボニルアミノ、(ヘテロアリール)カルボニルアミノ、または(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニルアミノ]、ニトロ、カルボキシ[例えば、HOOC−、アルコキシカルボニル、またはアルキルカルボニルオキシ]、アシル[例えば、(脂環式)カルボニル、((脂環式)脂肪族)カルボニル、(芳香脂肪族)カルボニル、(ヘテロ脂環式)カルボニル、((ヘテロ脂環式)脂肪族)カルボニル、または(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニル]、ニトロ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、スルホニル[例えば、アルキルスルホニルまたはアリールスルホニル]、スルフィニル[例えば、アルキルスルフィニル]、スルファニル[例えば、アルキルスルファニル]、スルホキシ、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミド、オキソ、またはカルバモイルのような1個以上の置換基で任意に置換されてもよい。
【0060】
本明細書で用いる「ヘテロアリール」基は、4〜15個の環原子を有する単環式、二環式、または三環式環系を意味し、ここで1個以上の環原子はヘテロ原子(例えば、N、O、S、またはそれらの組み合わせ)であり、そして単環式環系は芳香族性であるか、または二環式もしくは三環式環系の少なくとも1個の環が芳香族性である。ヘテロアリール基は、2〜3環を有するベンゾ縮合環系を含む。例えば、ベンゾ縮合基は、1個または2個の4員〜8員のヘテロ脂環式部分と縮合したベンゾ(例えば、インドリジル、インドリル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリニル、ベンゾ[b]フリル、ベンゾ[b]チオフェニル、キノリニル、またはイソキノリニル)を含む。ヘテロアリールのいくつかの例は、アゼチジニル、ピリジル、1H−インダゾリル、フリル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ベンゾフリル、イソキノリニル、ベンズチアゾリル、キサンテン、チオキサンテン、フェノチアジン、ジヒドロインドール、ベンゾ[1,3]ジオキソール、ベンゾ[b]フリル、ベンゾ[b]チオフェニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンズチアゾリル、プリル、シンノリニル、キノリル、キナゾリニル、シンノリル、フタラジル、キノキサリニル、キノキサリル、イソキノリニル、4H−キノリジル、ベンゾ−1,2,5−チアジアゾリル、または1,8−ナフチリジルである。
【0061】
限定するものではないが、単環式ヘテロアリールとしては、フリル、チオフェニル、2H−ピロリル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、2H−ピラニル、4−H−ピラニル、ピリジル、ピリダジル、ピリミジル、ピラゾリル、ピラジル、または1,3,5−トリアジルが挙げられる。単環式ヘテロアリールは、標準化学命名法に従っていナンバリングされる。
【0062】
限定するものではないが、二環式ヘテロアリールとしては、インドリジル、インドリル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリニル、ベンゾ[b]フリル、ベンゾ[b]チオフェニル、キノリニル、イソキノリニル、インドリジル、イソインドリル、インドリル、ベンゾ[b]フリル、ベクソ[b]チオフェニル、インダゾリル、ベンズイミダジル、ベンズチアゾリル、プリニル、4H−キノリジル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、フタラジル、キナゾリル(quinazolyl)、キノキサリル、1,8−ナフチリジル、またはプテリジルが挙げられる。二環式ヘテロアリールは、標準化学命名法に従っていナンバリングされる。
【0063】
ヘテロアリールは、脂肪族[例えば、アルキル、アルケニル、またはアルキニル];脂環式;(脂環式)脂肪族;ヘテロ脂環式;(ヘテロ脂環式)脂肪族;アリール;ヘテロアリール;アルコキシ;(脂環式)オキシ;(ヘテロ脂環式)オキシ;アリールオキシ;ヘテロアリールオキシ;(芳香脂肪族)オキシ;(ヘテロ芳香脂肪族)オキシ;アロイル;ヘテロアロイル;アミノ;オキソ(二環式または三環式ヘテロアリールの非芳香族性炭素環式またはヘテロ環式環上の);カルボキシ;アミド;アシル[例えば、脂肪族カルボニル;(脂環式)カルボニル;((脂環式)脂肪族)カルボニル;(芳香脂肪族)カルボニル;(ヘテロ脂環式)カルボニル;((ヘテロ脂環式)脂肪族)カルボニル;または(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニル];スルホニル[例えば、脂肪族スルホニルまたはアミノスルホニル];スルフィニル[例えば、脂肪族スルフィニル];スルファニル[例えば、脂肪族スルファニル];ニトロ;シアノ;ハロ;ヒドロキシ;メルカプト;スルホキシ;ウレア;チオウレア;スルファモイル;スルファミド;またはカルバモイルのような1個以上の置換基で任意に置換されていてよい。または、ヘテロアリールは非置換であってもよい。
【0064】
置換ヘテロアリールの限定しない例としては、(ハロ)ヘテロアリール[例えば、モノ−およびジ−(ハロ)ヘテロアリール];(カルボキシ)ヘテロアリール[例えば、(アルコキシカルボニル)ヘテロアリール];シアノヘテロアリール;アミノヘテロアリール[例えば、((アルキルスルホニル)アミノ)ヘテロアリールおよび((ジアルキル)アミノ)ヘテロアリール];(アミド)ヘテロアリール[例えば、アミノカルボニルヘテロアリール、((アルキルカルボニル)アミノ)ヘテロアリール、((((アルキル)アミノ)アルキル)アミノカルボニル)ヘテロアリール、(((ヘテロアリール)アミノ)カルボニル)ヘテロアリール、((ヘテロ脂環式)カルボニル)ヘテロアリール、および((アルキルカルボニル)アミノ)ヘテロアリール];(シアノアルキル)ヘテロアリール;(アルコキシ)ヘテロアリール;(スルファモイル)ヘテロアリール[例えば、(アミノスルホニル)ヘテロアリール];(スルホニル)ヘテロアリール[例えば、(アルキルスルホニル)ヘテロアリール];(ヒドロキシアルキル)ヘテロアリール;(アルコキシアルキル)ヘテロアリール;(ヒドロキシ)ヘテロアリール;((カルボキシ)アルキル)ヘテロアリール;(((ジアルキル)アミノ)アルキル)ヘテロアリール;(ヘテロ脂環式)ヘテロアリール;(脂環式)ヘテロアリール;(ニトロアルキル)ヘテロアリール;(((アルキルスルホニル)アミノ)アルキル)ヘテロアリール;((アルキルスルホニル)アルキル)ヘテロアリール;(シアノアルキル)ヘテロアリール;(アシル)ヘテロアリール[例えば、(アルキルカルボニル)ヘテロアリール];(アルキル)ヘテロアリール、および(ハロアルキル)ヘテロアリール[例えば、トリハロアルキルヘテロアリール]が挙げられる。
【0065】
本明細書において用いる場合、「ヘテロ芳香脂肪族」基(例えば、ヘテロアラルキル基)とは、ヘテロアリール基で置換されている脂肪族基(例えば、C1−4アルキル基)を意味する。「脂肪族」、「アルキル」および「ヘテロアリール」は、上記で定義されている。
【0066】
「ヘテロアラルキル」基とは、本明細書において用いる場合、ヘテロアリール基で置換されているアルキル基(例えば、C1−4アルキル基)を意味する。「アルキル」および「ヘテロアリール」の両方とも上記で定義されている。ヘテロアラルキルは、任意にアルキル(カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、およびトリフルオロメチルのようなハロアルキルを含む)、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロシクロアルキル、(ヘテロシクロアルキル)アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、アロイル、ヘテロアロイル、ニトロ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、アシル、メルカプト、アルキルスルファニル、スルホキシ、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミド、オキソ、またはカルバモイルのような1個以上の置換基で置換されている。
【0067】
本明細書で用いる場合、「環式部分」および「環式基」とは、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール、またはヘテロアリール(それぞれ、上記で定義されている)を含んでいる、単環式、二環式、および三環式の環系を意味する。
【0068】
本明細書で用いる場合、「架橋二環式環系」とは、二環式ヘテロ環式脂肪族環系または二環式脂環式環系(この環は架橋されている。)を意味する。架橋二環式環系の例としては、限定するものではないが、アダマンタニル、ノルボルナニル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.3.1]ノニル、ビシクロ[3.2.3]ノニル、2−オキサビシクロ[2.2.2]オクチル、1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクチル、3−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクチル、および2,6−ジオキサ−トリシクロ[3.3.1.03,7]ノニルが挙げられる。架橋二環式環系は、任意にアルキル(カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキルおよびトリフルオロメチルようなハロアルキル)、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロシクロアルキル、(ヘテロシクロアルキル)アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、アロイル、ヘテロアロイル、ニトロ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、アシル、メルカプト、アルキルスルファニル、スルホキシ、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミド、オキソ、またはカルバモイルのような1個以上の置換基で置換されていてもよい。
【0069】
本明細書で用いる場合、「アシル」基とは、ホルミル基またはR−C(O)−(例えば、−アルキル−C(O)−、「アルキルカルボニル」とも称する)を意味し、ここで、Rおよび「アルキル」は、上記に定義のとおりである。アセチルおよびピバロイルは、アシル基の例である。
【0070】
本明細書で用いる場合、「アロイル」または「ヘテロアロイル」とは、アリール−C(O)−またはヘテロアリール−C(O)−を意味する。アロイルまたはヘテロアロイルのアリールおよびヘテロアリール部分は、上記のとおり任意に置換されている。
【0071】
本明細書で用いる場合、「アルコキシ」基は、アルキル−O−基(「アルキル」は上記で定義のとおりである。)を意味する。
【0072】
本明細書で用いる場合、「カルバモイル」基とは、構造−O−CO−NRまたは−NR−CO−O−R(式中、RおよびRは上記で定義のとおりであり、そしてRは脂肪族、アリール、芳香脂肪族、ヘテロ脂環式、ヘテロアリール、またはヘテロ芳香脂肪族であり得る。)を有する基を意味する。
【0073】
本明細書で用いる場合、「カルボキシ」基とは、末端基として用いるとき、−COOH、−COOR、−OC(O)H、−OC(O)Rを意味し、内部基として用いるとき、−OC(O)−または−C(O)O−を意味する。
【0074】
本明細書で用いる場合、「ハロ脂肪族」基とは、1〜3個のハロゲンで置換された脂肪族基を意味する。例えば、用語ハロアルキルは基−CFを含む。
【0075】
本明細書で用いる場合、「メルカプト」基とは、−SHを意味する。
【0076】
本明細書で用いる場合、「スルホ」基とは、末端に用いるとき−SOHまたは−SOを意味し、内部に用いるとき−S(O)−を意味する。
【0077】
本明細書で用いる場合、「スルファミド」基とは、末端に用いるとき構造−NR−S(O)−NRを意味し、内部に用いるとき−NR−S(O)−NR−を意味する(式中、R、RおよびRは、上記で定義されている)。
【0078】
本明細書で用いる場合、「スルホンアミド」基とは、末端に用いるとき構造−S(O)−NRもしくは−NR−S(O)−Rを意味するか、または、内部に用いるとき−S(O)−NR−もしくは−NR−S(O)−を意味する(式中、R、R、およびRは、上記で定義されている)。
【0079】
本明細書で用いる場合、「スルファニル」基とは、末端に用いるとき−S−Rを意味し、内部に用いるとき−S−を意味する(式中、Rは上記で定義されている)。スルファニルの例としては、脂肪族−S−、脂環式−S−、アリール−S−などが挙げられる。
【0080】
本明細書で用いる場合、「スルフィニル」基とは、末端に用いるとき−S(O)−Rを意味し、内部に用いるとき−S(O)−を意味する(式中、Rは上記で定義されている)。スルフィニル基の例としては、脂肪族−S(O)−、アリール−S(O)−、(脂環式(脂肪族))−S(O)−、シクロアルキル−S(O)−、ヘテロ脂環式−S(O)−、ヘテロアリール−S(O)−などが挙げられる。
【0081】
本明細書で用いる場合、「スルホニル」基とは、末端に用いるとき−S(O)−Rを意味し、内部に用いるとき−S(O)−を意味する(式中、Rは上記で定義されている)。スルホニル基の例としては、脂肪族−S(O)−、アリール−S(O)−、(脂環式(脂肪族))−S(O)−、脂環式−S(O)−、ヘテロ脂環式−S(O)−、ヘテロアリール−S(O)−、(脂環式(アミド(脂肪族)))−S(O)−などが挙げられる。
【0082】
本明細書で用いる場合、「スルホキシ」基とは、末端で用いるとき−O−SO−Rまたは−SO−O−Rを意味し、内部に用いるとき−O−S(O)−または−S(O)−O−を意味する(式中、Rは上記で定義されている)。
【0083】
本明細書で用いる場合、「ハロゲン」または「ハロ」基とは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
【0084】
本明細書で用いる場合、単独でまたは別の基と組み合わせて用いられる、カルボキシという用語を包含する「アルコキシカルボニル」とは、アルキル−O−C(O)−のような基を意味する。
【0085】
本明細書で用いる場合、「アルコキシアルキル」は、アルキル−O−アルキル−(ここで、アルキルは、上記で定義されている)のようなアルキル基を意味する。
【0086】
本明細書で用いる場合、「カルボニル」とは−C(O)−を意味する。
【0087】
本明細書で用いる場合、「オキソ」とは=Oを意味する。
【0088】
本明細書で用いる場合、「ホスホ」としては、ホスフィナートおよびホスホナートを意味する。ホスフィナートおよびホスホナートの例としては、−P(O)(Rが挙げられ、ここで式中、Rは、脂肪族、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、(脂環式)オキシ、(ヘテロ脂環式)オキシ、アリール、ヘテロアリール、脂環式またはアミノである。
【0089】
本明細書で用いる場合、「アミノアルキル」とは、構造(RN−アルキル−を意味する。
【0090】
本明細書で用いる場合、「シアノアルキル」とは、構造(NC)−アルキル−を意味する。
【0091】
本明細書で用いる場合、「ウレア」基とは、構造−NR−CO−NRを意味し、「チオウレア」基とは、末端に用いるとき構造−NR−C(S)−NRを意味し、内部に用いるとき構造−NR−CO−NR−または−NR−CS−NR−を意味し、ここでR、R、およびRは、上記で定義されている。
【0092】
本明細書で用いる場合、「グアニジン」基とは、構造−N=C(N(R))N(R)または−NR−C(=NR)NR(式中、RおよびRは、上記で定義されている)を意味する。
【0093】
本明細書で用いる場合、「アミジノ」基とは、構造−C=(NR)N(R)(式中、RおよびRは、上記で定義されている)を意味する。
【0094】
一般に、「近接、隣接(vicinal:ビシナル)」という用語は、置換基が隣接炭素原子に結合している、2個以上の炭素原子を含む基の上の置換基の配置を意味する。
【0095】
一般に、「2つ結合した(geminal:ジェミナル)」という用語は、置換基が同じ炭素原子に結合している、2個以上の炭素原子を含む基の上の置換基の配置を意味する。
【0096】
「末端に」および「内部に」という用語は、置換基内の基の位置を意味する。基は、この基が、残りの化学構造にさらに結合しない、置換基の末端に存在するとき、末端である。カルボキシアルキル、すなわちRO(O)C−アルキルは、末端で用いるカルボキシ基の例である。基は、この基が、化学構造の置換基の中間に存在するとき、内部である。アルキルカルボキシ(例えば、アルキル−C(O)O−またはアルキル−OC(O)−)およびアルキルカルボキシアリール(例えば、アルキル−C(O)O−アリール−またはアルキル−O(CO)−アリール−)が、内部で用いるカルボキシ基の例である。
【0097】
本明細書で用いる場合、「脂肪族鎖」とは、分枝鎖または直鎖脂肪族基(例えば、アルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基)を意味する。直鎖脂肪族鎖は、構造−[CH−(ここで、vは1〜12である)を有する。分枝鎖脂肪族鎖は、1個以上の脂肪族基で置換されている直鎖脂肪族鎖である。分枝鎖脂肪族鎖は、構造−[CHQ]−(ここで、各Qは、独立して、水素または脂肪族基である;しかしながら、少なくとも1つのQは、少なくとも一例において、脂肪族基であるはずである)を有する。脂肪族鎖という用語は、アルキル鎖、アルケニル鎖、およびアルキニル鎖を包含し、ここでアルキル、アルケニル、およびアルキニルは上記で定義されている。
【0098】
「任意に置換されていている」という句は、「置換または非置換」という句と互換的に用いられる。本明細書に記載のとおり、本発明の化合物は、一般的に上記の説明または、本発明の特定の分類、小分類および化学種により例示されるように、任意に1個以上の置換基で置換されていてよい。本明細書に記載のとおり、本明細書に記載の式に包含される可変基R、R、R、およびR、ならびに他の可変基は、アルキルおよびアリールのような特定の基を包含する。他に特記しない限り、そこに包含される可変基R、R、R、およびR、ならびに他の可変基についての各特定の基は、任意に本明細書に記載の1個以上の置換基で置換されてもよい。特定の基の各置換基は、任意に1〜3個のハロ、シアノ、オキソ、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、アリール、脂環式、ヘテロ脂環式、ヘテロアリール、ハロアルキル、およびアルキルでさらに置換されてもよい。例えば、アルキル基は、アルキルスルファニルで置換されていてよく、このアルキルスルファニルは、任意にハロ、シアノ、オキソ、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、アリール、ハロアルキル、およびアルキルのうち1〜3個で置換されてもよい。さらなる例として、(シクロアルキル)カルボニルアミノのシクロアルキル部分は、任意にハロ、シアノ、アルコキシ、ヒドロキシ、ニトロ、ハロアルキルおよびアルキルのうち1〜3個で置換されてもよい。2個のアルコキシ基が同じ原子または隣接原子に結合するとき、2個のアルコキシ基は、それらが結合する原子(単数または複数)と一緒になって環を形成し得る。
【0099】
一般に、「置換」という用語は、「任意に」という用語が前にあってもなくても、所定の構造の水素ラジカルの、特定の置換基のラジカルでの置換を意味する。特定の置換基は、定義において上記されているとおりであり、かつ化合物の記載およびその実施例において下記のとおりである。他に特記しない限り、任意に置換されている基は、この基の各置換可能な位置に置換基を有してよく、そして、所定の構造において2個以上の位置を、特定の基から選択された2個以上の置換基で置換されてもよく、この置換基は、全ての位置で同一であっても異なっていてもよい。ヘテロシクロアルキルのような環置換基は、シクロアルキルのような別の環と結合して、スピロ二環式環系を形成可能であり、例えば、両方の環が共通原子を共有する。当業者には理解され得るとおり、本発明により想定される置換基の組み合わせは、安定なまたは化学的に実現可能な化合物の形成をもたらす組み合わせである。
【0100】
本明細書で用いる場合、「安定なまたは化学的に実現可能な」という句とは、それらの製造、検出、および好ましくはそれらの回収、精製、および本明細書に開示の目的の1つ以上のための使用を可能にする条件に供されたときに、実質的に変わらない化合物を意味する。いくつかの実施形態において、安定な化合物または化学的に実現可能な化合物は、40℃以下の温度で、湿気または他の化学的に反応性の条件の非存在下に維持したとき、少なくとも1週間実質的に変わらないものである。
【0101】
本明細書で用いる場合、「有効量」とは、処置する患者に対して治療的効果を与えるのに必要な量として定義され、代表的に患者の年齢、体表面積、体重、および病態に基づき決定される。動物およびヒトの投与量の相互関係(体表面積の平方メートルあたりのミリグラムに基づく)は、Freireich ら、Cancer Chemother.Rep.,50:219(1966)に記載されている。体表面積は、患者の身長および体重から近似的に決定できる。例えば、Scientific Tables,Geigy Pharmaceuticals,Ardsley,New York,537(1970)を参照のこと。本明細書で用いる場合、「患者」とは、ヒトを含む哺乳動物を意味する。
【0102】
他に特記しない限り、本明細書に記載の構造は、その構造の全ての異性体(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマー、および幾何(または配座))形態;例えば、各不斉中心に対するRおよびS配置、(Z)および(E)二重結合異性体、ならびに(Z)および(E)配座異性体を含むことも意図する。従って、本発明化合物の単一の立体化学的異性体ならびにエナンチオマー、ジアステレオマー、および幾何(または配座)混合物は、本発明の範囲内である。他に特記しない限り、本発明の化合物の全ての互変異性体形態は本発明の範囲内である。さらに、他に特記しない限り、本明細書に記載の構造はまた、1個以上の同位体富化原子の存在によってのみ異なる化合物を含むことも意図する。例えば、水素の重水素もしくはトリチウムによる置換、または炭素の13C−もしくは14C−富化炭素による置換を除いて本発明の構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。このような化合物は、例えば、生物学的アッセイにおける分析ツールもしくはプローブとして、または治療剤として、有用である。例えば、式Iの化合物中のRが水素であるとき、式Iの化合物は互変異性体として存在してもよい:
【0103】
【化3】

さらに、他に特記しない限り、本明細書に記載の構造はまた、1個以上の同位体富化原子の存在によってのみ異なる化合物を含むことも意図する。例えば、水素の重水素もしくはトリチウムによる置換、または炭素の13C−もしくは14C−富化炭素による置換を除いて本発明の構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。このような化合物は、例えば、生物学的アッセイにおける分析ツールまたはプローブとして有用である。
【0104】
3.例示的な化合物の説明
本発明のいくつかの実施形態では、Rは以下:
【0105】
【化4】

から選択され、式中環Aは、窒素、酸素もしくはイオウから独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の芳香族の単環式の環であり;環Aは任意に置換されているアリールおよび任意に置換されているヘテロアリールから独立して選択される、1〜2個の基で置換されている3〜6員の脂環式であるか;あるいはAおよびAは一緒になって、8〜14員の二環式アリールまたは三環式のアリールを形成するか;あるいはAおよびAは一緒になって、窒素、酸素もしくはイオウから独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する8〜14員の二環式ヘテロアリールまたは三環式ヘテロアリールを形成する。各Wは、結合であるか、もしくは任意に置換されているC1−6の直鎖もしくは分岐の脂肪族鎖であって、ここで炭素単位の最大2個までが任意にかつ独立して−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−、または−NR’SONR’−で置換され;かつRは独立してR’、ハロ、−NO、−CN、−CF、または−OCFであり;mは0〜5であり;かつR’は上記されるとおりである。
【0106】
いくつかの実施形態では、Aは0〜4個のヘテロ原子を有する任意に置換されている6員の芳香族環であって、ここでこのヘテロ原子は窒素である。いくつかの実施形態では、Aは任意に置換されているフェニルである。または、Aは任意に置換されているピリジル、ピリミジニル、ピラジニルまたはトリアジニルである。または、Aは任意に置換されているピラジニルまたはトリアジニルである。または、Aは任意に置換されているピリジルである。
【0107】
いくつかの実施形態では、Aは1〜3個のヘテロ原子を有する、任意に置換されている5員の芳香族環であって、ここでこのヘテロ原子は独立して窒素、酸素およびイオウから選択される。いくつかの実施形態では、Aは、1〜2個の窒素原子を有する任意に置換されている 5員の芳香族環である。一実施形態では、Aは、チアゾリル以外の、任意に置換されている5員の芳香族環である。
【0108】
いくつかの実施形態では、Aは0〜4個のヘテロ原子を有する、任意に置換されている6員の芳香族環であって、ここでこのヘテロ原子は、窒素である。いくつかの実施形態では、Aは、任意に置換されているフェニルである。または、Aは、任意に置換されているピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、またはトリアジニルである。
【0109】
いくつかの実施形態では、Aは、0〜3個のヘテロ原子を有する、任意に置換されている5員の芳香族環であって、ここでこのヘテロ原子は独立して窒素、酸素およびイオウから選択される。いくつかの実施形態では、Aは、1〜2個の窒素原子を有する、任意に置換されている5員の芳香族環である。特定の実施形態では、Aは、任意に置換されているピロリルである。
【0110】
いくつかの実施形態では、Aは、窒素、イオウまたは酸素から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有する、任意に置換されている5〜7員の飽和または不飽和の複素環である。このような環の例示としては、ピペリジル、ピペラジル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、などが挙げられる。
【0111】
いくつかの実施形態では、Aは、任意に置換されている5〜10員の飽和または不飽和の炭素環である。一実施形態では、Aは、任意に置換されている5〜10員の飽和の炭素環である。このような環の例示としては、シクロヘキシル、シクロペンチルなどが挙げられる。
【0112】
いくつかの実施形態では、環Aは:
【0113】
【化5】

【0114】
【化6】

から選択され、
ここで環Aは2つの隣接する環原子を通じて環Aに縮合される。
【0115】
他の実施形態では、Wは結合であるかまたは、任意に置換されているC1−6の直鎖もしくは分岐の脂肪族鎖であって、ここで、1または2つの炭素単位が任意にかつ独立して−O−、−NR’−、−S−、−SO−、−SO−、または−COO−、−CO−、−SONR’−、−NR’SO−、−C(O)NR’−、−NR’C(O)−、−OC(O)−、−OC(O)NR’−によって置換され、そしてRはR’またはハロである。さらに他の実施形態では、−WRの各々の存在は独立して−C1−3アルキル、−C1−3ペルハロアルキル、−O(C1−3アルキル)、−CF、−OCF、−SCF、−F、−Cl、−Br、または−COOR’、−COR’、−O(CHN(R’)(R’)、−O(CH)N(R’)(R’)、−CON(R’)(R’)、−(CHOR’、−(CH)OR’、任意に置換されている5〜7員の複素環、任意に置換されている単環式または二環式の芳香環、任意に置換されているアリールスルホン、任意に置換されている5員のヘテロアリール環、−N(R’)(R’)、−(CHN(R’)(R’)、または−(CH)N(R’)(R’)である。
【0116】
式a−iにおけるArの一実施形態では、環Aはフェニル環であり、mは1であり、かつWRは独立して任意に置換されているピロリジンまたはピペリジンである。
【0117】
いくつかの実施形態では、mは0である。または、mは1である。または、mは2である。いくつかの実施形態では、mは3である。さらに他の実施形態では、mは4である。
【0118】
本発明の一実施形態では、R、R、RおよびRは同時に水素である。
【0119】
本発明の別の実施形態では、kは1または2であり、かつ各Rは独立してC1−3アルキルまたはC3−6シクロアルキルである。
【0120】
一実施形態では、kは1または2であり、かつ各Rがハロである。
【0121】
いくつかの実施形態では、Xは結合であるかまたは、任意に置換されているC1−6の分岐のもしくは直鎖の脂肪族鎖であって、ここで1つまたは2つの隣接していない炭素単位は任意にかつ独立して−O−、−NR’−、−S−、−SO−、または−COO−、−CO−で置換されており、かつRはR’またはハロである。さらなる他の実施形態では、−XRの各々の存在は独立して−C1−3アルキル、−O(C1−3アルキル)、−CF、−OCF、−SCF、−F、−Cl、−Br,OH、−COOR’、−COR’、−O(CHN(R’)(R’)、−O(CH)N(R’)(R’)、−CON(R’)(R’)、−(CHOR’、−(CH)OR’、任意に置換されているフェニル、−N(R’)(R’)、−(CHN(R’)(R’)、または−(CH)N(R’)(R’)である。
【0122】
一実施形態では、RはH、−C1−4脂肪族、ハロ、または−C3−6脂環式である。
【0123】
いくつかの実施形態では、RはH、またはC1−C3アルキルである。例えば、RはHまたは−CHである。
【0124】
いくつかの実施形態では、Rは水素である。特定の他の実施形態では、RはC1−4の直鎖もしくは分岐の脂肪族である。
【0125】
いくつかの実施形態では、Rは、ハロ、シアノ、−CF、−CHF、−OCHF、Me、Et、−CH(Me)、−CHMeEt、n−プロピル、t−ブチル、−OMe、−OEt、−OPh,O−フルオロフェニル、−O−ジフルオロフェニル、−O−メトキシフェニル、−O−トリル、−O−ベンジル、−SMe、−SCF、−SCHF、−SEt、−CHCN、−NH、−NHMe、−N(Me)、−NHEt、−N(Et)、−C(O)CH、−C(O)Ph、−C(O)NH、−SPh、−SO−(アミノ−ピリジル)、−SONH、−SOPh、−SONHPh、−SO−N−モルホリノ、−SO−N−ピロリジル、N−ピロリル、N−モルホリノ、1−ピペリジル、フェニル、ベンジル、(シクロヘキシル−メチルアミノ)メチル、4−メチル−2,4−ジヒドロ−ピラゾール−3−オン−2−イル、ベンズイミダゾール−2イル、フラン−2−イル、4−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル、3−(4’−クロロフェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル、−NHC(O)Me、NHC(O)Et、−NHC(O)Ph、−NHSOMe、2−インドリル、5−インドリル、−CHCHOH、−OCF、O−(2,3−ジメチルフェニル)、5−メチルフリル、−SO−N−ピペリジル、2−トリル、3−トリル、4−トリル、O−ブチル、NHCOC(Me)、COC(Me)、イソプロペニル、n−ブチル、−O−(2,4−ジクロロフェニル)、NHSOPhMe、O−(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)、フェニルヒドロキシメチル、2,5−ジメチルピロリル、NHCOCHC(Me),O−(2−tert−ブチル)フェニル、2,3−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、4−ヒドロキシメチルフェニル、4−ジメチルアミノフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル、3−トリフルオロメチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、4−シアノメチルフェニル、4−イソブチルフェニル、3−ピリジル、4−ピリジル、4−イソプロピルフェニル、3−イソプロピルフェニル、2−メトキシフェニル、3−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル、3,4−メチレンジオキシフェニル、2−エトキシフェニル、3−エトキシフェニル、4−エトキシフェニル、2−メチルチオフェニル、4−メチルチオフェニル、2,4−ジメトキシフェニル、2,5−ジメトキシフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、5−クロロ−2−メトキシフェニル、2−OCF−フェニル、3−トリフルオロメトキシ−フェニル、4−トリフルオロメトキシフェニル、2−フェノキシフェニル、4−フェノキシフェニル、2−フルオロ−3−メトキシ−フェニル、2,4−ジメトキシ−5−ピリミジル、5−イソプロピル−2−メトキシフェニル、2−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、3−シアノフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2,3−ジフルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2,5−ジフルオロフェニル、3,4−ジフルオロフェニル、3,5−ジフルオロフェニル、3−クロロ−4−フルオロ−フェニル、3,5−ジクロロフェニル、2,5−ジクロロフェニル、2,3−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、3−メトキシカルボニルフェニル、4−メトキシカルボニルフェニル、3−イソプロピルオキシカルボニルフェニル、3−アセトアミドフェニル、4−フルオロ−3−メチルフェニル、4−メタンスルフィニル−フェニル、4−メタンスルホニル−フェニル、4−N−(2−N,N−ジメチルアミノエチル)カルバモイルフェニル、5−アセチル−2−チエニル、2−ベンゾチエニル、3−ベンゾチエニル、フラン−3−イル、4−メチル−2−チエニル、5−シアノ−2−チエニル、N’−フェニルカルボニル−N−ピペラジニル、−NHCOEt、−NHCOMe、N−ピロリジニル、−NHSO(CHN−ピペリジン、−NHSO(CHN−モルホリン、−NHSO(CHN(Me)、−COCHN(Me)COCHNHMe、−COEt、−O−プロピル、−CHCHNHCOC(Me)、ヒドロキシ、アミノメチル、ペンチル、アダマンチル、シクロペンチル、エトキシエチル、−C(Me)CHOH、−C(Me)COEt、−CHOHMe、CHCOEt、−C(Me)CHNHCOC(Me)、−O(CHOEt、−O(CHOH、−COMe、ヒドロキシメチル、1−メチル−1−シクロヘキシル、1−メチル−1−シクロオクチル、1−メチル−1−シクロヘプチル、−C(Et)C(Me)、−C(Et)、−CONHCHCH(Me)、2−アミノメチル−フェニル、エテニル、1−ピペリジニルカルボニル、エチニル、シクロヘキシル、4−メチルピペリジニル、−OCOMe、−C(Me)CHNHCOCHCH(Me)、−C(Me)CHNHCOCHCHCH3、−C(Me)CHNHCOEt、−C(Me)CHNHCOMe、−C(Me)CHNHCOCHC(Me)、−CHNHCOCF、−CHNHCOC(Me)、−C(Me)CHNHCO(CHCH、−C(Me)CHNHCO(CHOMe、−C(OH)(CF、−C(Me)CHNHCOCH−テトラヒドロフラン−3−イル、−C(Me)CHO(CHOMe、または3−エチル−2,6−ジオキソピペリジン−3−イルから選択される。
【0126】
一実施形態では、R’は水素である。
【0127】
一実施形態では、R’は、ハロ、−CN、−CF、−CHF、−OCF、または−OCHFから選択される最大3個までの置換基で任意に置換されているC1−8脂肪族基であって、ここでこのC1−8脂肪族の最大2個までの炭素単位は任意にかつ独立して−CO−、−CONH(C1−4アルキル)−、−CO−、−OCO−、−N(C1−4アルキル)CO−、−O−、−N(C1−4アルキル)CON(C1−4アルキル)−、−OCON(C1−4アルキル)−、−N(C1−4アルキル)CO−、−S−、−N(C1−4アルキル)−、−SON(C1−4アルキル)−、−N(C1−4アルキル)SO−、または−N(C1−4アルキル)SON(C1−4アルキル)−で置き換えられる。
【0128】
一実施形態では、R’は3〜8員の飽和、部分的に不飽和、もしくは完全に不飽和の単環式の環であって、窒素、酸素もしくはイオウから独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有しており、ここでR’は任意にハロ、−CN、−CF、−CHF、−OCF、−OCHF、または−C1−6アルキルから選択される最大3個までの置換基で任意に置換されており、このC1−6アルキルの最大2個までの炭素単位は独立してかつ任意に−CO−、−CONH(C1−4アルキル)−、−CO−、−OCO−、−N(C1−4アルキル)CO−、−O−、−N(C1−4アルキル)CON(C1−4アルキル)−、−OCON(C1−4アルキル)−、−N(C1−4アルキル)CO−、−S−、−N(C1−4アルキル)−、−SON(C1−4アルキル)−、−N(C1−4アルキル)SO−、または−N(C1−4アルキル)SON(C1−4アルキル)−で置換されている。
【0129】
一実施形態では、R’は、8〜12員の飽和、部分的に不飽和、もしくは完全に不飽和の二環式の環系であって、窒素、酸素もしくはイオウから独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有しており;ここでR’は、ハロ、−CN、−CF、−CHF、−OCF、−OCHF、または−C1−6アルキルから選択される最大3個までの置換基で任意に置換されており、ここでこのC1−6アルキルの最大2個までの炭素単位は独立してかつ任意に−CO−、−CONH(C1−4アルキル)−、−CO−、−OCO−、−N(C1−4アルキル)CO−、−O−、−N(C1−4アルキル)CON(C1−4アルキル)−、−OCON(C1−4アルキル)−、−N(C1−4アルキル)CO−、−S−、−N(C1−4アルキル)−、−SON(C1−4アルキル)−、−N(C1−4アルキル)SO−、または−N(C1−4アルキル)SON(C1−4アルキル)−で置換されている。
【0130】
一実施形態では、R’の2つの存在はそれらが結合する原子(単数または複数)と一緒になって任意に置換されている3〜12員の飽和、部分的に不飽和、もしくは完全に不飽和の単環式または二環式の環であって、窒素、酸素もしくはイオウから独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する環を形成し、ここでR’はハロ、−CN、−CF、−CHF、−OCF、−OCHF、または−C1−6アルキルから選択される最大3個までの置換基で任意に置換されており、ここでこの−C1−6アルキルの最大2個までの炭素単位は独立してかつ任意に−CO−、−CONH(C1−4アルキル)−、−CO−、−OCO−、−N(C1−4アルキル)CO−、−O−、−N(C1−4アルキル)CON(C1−4アルキル)−、−OCON(C1−4アルキル)−、−N(C1−4アルキル)CO−、−S−、−N(C1−4アルキル)−、
−SON(C1−4アルキル)−、−N(C1−4アルキル)SO−、または−N(C1−4アルキル)SON(C1−4アルキル)−で置換されている。
【0131】
一実施形態によれば、本発明は、式IIAの化合物:
【0132】
【化7】

を提供する。
【0133】
一実施形態によれば、本発明は、式IIBの化合物:
【0134】
【化8】

を提供する。
【0135】
一実施形態によれば、本発明は、式IIIAの化合物:
【0136】
【化9】

を提供し、式中、X、X、X、X、およびXの各々は独立してCH,CWR、またはNから選択される。
【0137】
一実施形態によれば、本発明は、式IIIBの化合物:
【0138】
【化10】

を提供し、式中、X、X、およびXの各々は独立してCH、CWR、またはNから選択される。
【0139】
一実施形態によれば、本発明は、式IIICの化合物:
【0140】
【化11】

を提供し、式中、X、X、およびXの各々は独立してCH、CWR、またはNから選択される。
【0141】
一実施形態によれば、本発明は、式IIIDの化合物:
【0142】
【化12】

を提供し、式中、Xは独立してCH、CWR、またはNから選択され、かつXはO、S、またはNR’である。
【0143】
一実施形態によれば、本発明は、式IIIEの化合物:
【0144】
【化13】

を提供し、式中、Xは独立してCH、CWR、またはNから選択され、かつXはO、S、またはNR’である。
【0145】
式IIIAのいくつかの実施形態では、X、X、X、X、およびXの各々はCHである。
【0146】
式IIIAのいくつかの実施形態では、X、X、X、X、およびXは一緒になって、ピリジル、ピラジニル、またはピリミジニルから選択される任意に置換されている環である。
【0147】
式IIIB、式IIIB’、式IIIC、式IIIC’、式IIID、式IIID’、式IIIEのいくつかの実施形態では、X、X、X、X、X、またはXは環Aと一緒になって、以下:
【0148】
【化14】

【0149】
【化15】

【0150】
【化16】

【0151】
【化17】

から選択される任意に置換されている環である。
【0152】
いくつかの実施形態では、Rは、ハロ、シアノ、−CF、−CHF、−OCHF、−Me、−Et、−CH(Me)、−CHMeEt、n−プロピル、t−ブチル、−OMe、−OEt、−OPh、−O−フルオロフェニル、−O−ジフルオロフェニル、−O−メトキシフェニル、−O−トリル、−O−ベンジル、−SMe、−SCF、−SCHF、−SEt、−CHCN、−NH、−NHMe、−N(Me)、−NHEt、−N(Et)、−C(O)CH、−C(O)Ph、−C(O)NH、−SPh、−SO−(アミノ−ピリジル)、−SONH、−SOPh、−SONHPh、−SO−N−モルホリノ、−SO−N−ピロリジル、−N−ピロリル、−N−モルホリノ、1−ピペリジル、フェニル、ベンジル、−(シクロヘキシル−メチルアミノ)メチル、4−メチル−2,4−ジヒドロ−ピラゾール−3−オン−2−イル、ベンズイミダゾール−2イル、フラン−2−イル、4−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル、3−(4’−クロロフェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル、−NHC(O)Me、−NHC(O)Et、−NHC(O)Ph、または−NHSOMeから選択される。
【0153】
いくつかの実施形態では、XおよびR,一緒になって、Me、Et、ハロ、−CN、−CF、−OH、−OMe、−OEt、−SON(Me)(フルオロフェニル)、−SO−(4−メチル−ピペリジン−1−イル、または−SO−N−ピロリジニルである。
【0154】
別の実施形態によれば、本発明は、式IVAの化合物を提供する。
【0155】
【化18】

別の実施形態によれば、本発明は、式IVBの化合物を提供する。
【0156】
【化19】

別の実施形態によれば、本発明は、式IVCの化合物を提供する。
【0157】
【化20】

一実施形態では、本発明は、式IVA、式IVA’、式IVB、式IVB’、式IVCの化合物を提供し、ここでkは1または2であり、かつRはH、Me、またはハロである。別の実施形態では、kは1であり、かつRはMeである。別の実施形態では、kは2であり、かつRはMeである。
【0158】
一実施形態では、本発明は、式IVB、式IVB’、式IVCの化合物を提供し、式中環Aは、任意に置換されている、飽和であるか、不飽和であるか、または芳香族7員の環であって、O、S、またはNから選択される0〜3個のヘテロ原子を有する。例示的な環としては、アゼパニル、5,5−ジメチルアゼパニルなどが挙げられる。
【0159】
一実施形態では、本発明は、式IVBまたは式IVCの化合物を提供し、式中環Aは、任意に置換されている、飽和であるか、不飽和であるか、または芳香族の6員の環であって、O、S、またはNから選択される0〜3個のヘテロ原子を有する。例示的な環としては、ピペリジニル、4,4−ジメチルピペリジニルなどが挙げられる。
【0160】
一実施形態では、本発明は、式IVB、式IVB’、式IVCの化合物を提供し、式中環Aは、任意に置換されている、飽和であるか、不飽和であるか、または芳香族の5員の環であって、O、S、またはNから選択される0〜3個のヘテロ原子を有する。
【0161】
一実施形態では、本発明は、式IVBまたは式IVCの化合物であって、式中環Aが、窒素原子を有する、任意に置換されている5員の環、例えば、ピロリルまたはピロリジニルである化合物を提供する。
【0162】
式IVAの一実施形態によれば、式VA−1の以下の化合物が提供される。
【0163】
【化21】

式中、WRW2およびWRW4の各々は独立して水素、−CN、−CF、−OCF、ハロ、C1−6の直鎖もしくは分岐のアルキル、3〜12員の脂環式、フェニル、C5−10ヘテロアリールまたはC3−7複素環式から選択され、ここでこのヘテロアリールまたは複素環式は、O、S、またはNから選択される最大3個までのヘテロ原子を有し、ここでこのWRW2およびWRW4は独立して、かつ任意に、−OR’、−CF、−OCF、SR’、S(O)R’、SOR’、−SCF、ハロ、−CN、−COOR’、−COR’、−O(CHN(R’)(R’)、−O(CH)N(R’)(R’)、−CON(R’)(R’)、−(CHOR’、−(CH)OR’、−CHCN、任意に置換されているフェニルまたはフェノキシ、−N(R’)(R’)、−NR’C(O)OR’、−NR’C(O)R’、−(CHN(R’)(R’)、または−(CH)N(R’)(R’)から選択される最大3個までの置換基で置換されており;かつWRW5は、水素、ハロ、−OH、−NH、−CN、−CHF、−NHR’、−N(R’)、−NHC(O)R’、−NHC(O)OR’、−NHSOR’、−OR’、−CHOH、−CHN(R’)、−C(O)OR’、−C(O)N(R’)、−SONHR’、−SON(R’)、−OSON(R’)、−OSOCF、または−CHNHC(O)OR’から選択される。または、WRW4およびWRW5は一緒になって、N、OまたはSから選択される0〜3個のヘテロ原子を含んでいる5〜7員の環を形成し、ここでこの環は、最大3個までのWR置換基で任意に置換されている。
【0164】
一実施形態では、本発明は、式VA−1の化合物を提供し、ここでkは0である。
【0165】
別の実施形態では、本発明は、式V−A−2の化合物:
【0166】
【化22】

を提供し、
式中:
QはWであり;
はRであり;
mは0〜4であり;
nは0〜4であり;かつ
、k、WおよびRは上記のとおりである。
【0167】
一実施形態では、nは0〜2である。
【0168】
別の実施形態では、mは0〜2である。一実施形態では、mは0である。一実施形態では、mは1である。または、mは2である。
【0169】
一実施形態では、QRは一緒になってハロ、−CF、−OCF、−CN、−C1−6脂肪族、−O−C1−6脂肪族、−O−フェニル、−NH(C1−6脂肪族)、または−N(C1−6脂肪族)であり、ここでこの脂肪族およびフェニルは、−C1−6アルキル、−O−C1−6アルキル、ハロ、シアノ、−OH、または−CFから選択される最大3個までの置換基で任意に置換されており、ここでこのC1−6脂肪族またはC1−6アルキルの最大2個までの炭素単位は、−CO−、−CONR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’CO−、−S−、−NR’−、−SOR’、−SOR’、−SONR’−、−NR’SO−、または−NR’SONR’−で任意に置換されている。別の実施形態では、上記のR’はC1−4アルキルである。
【0170】
例示的なQR部分としては、メチル、イソプロピル、sec−ブチル、ヒドロキシメチル、−CF、−NMe、−CN、−CHCN、フルオロ,クロロ、−OEt、−OMe、−SMe、−OCF、−OPh、−C(O)OMe、−C(O)O−iPr、−S(O)Me、−NHC(O)Me、または−S(O)Meが挙げられる。
【0171】
別の実施形態では、本発明は、式V−A−3の化合物:
【0172】
【化23】

を提供し、
式中:
環Bは5〜7員の単環もしくは二環式、複素環式またはヘテロアリールの環であって、最大n個までの−Q−Rの存在で任意に置換されており、ここでnは0〜4であり、かつQおよびRは、上記で定義されているとおりであり;かつQ、R、k、R、WおよびRは上記で定義されるとおりである。
【0173】
一実施形態では、mは0〜2である。または、mは0である。または、mは1である。
【0174】
一実施形態では、nは0〜2である。または、nは0である。または、nは1である。
【0175】
別の実施形態では、環Bは5〜7員の単環式、複素環式の環であって、O、S、またはNから選択される最大2個までのヘテロ原子を有しており、最大n個までの−Q−Rの存在で任意に置換されている。例示的な複素環としては、N−モルホリニル、N−ピペリジニル、4−ベンゾイル−ピペラジン−1−イル、ピロリジン−1−イル、または4−メチル−ピペリジン−1−イルが挙げられる。
【0176】
別の実施形態では、環Bは5〜6員の単環式、ヘテロアリール環であって、O、S、またはNから選択される最大2個までのヘテロ原子を有しており、任意に最大n個までの−Q−Rの存在で置換されている。このような環の例示としては、ベンズイミダゾール−2−イル、5−メチル−フラン−2−イル、2,5−ジメチル−ピロール−1−イル、ピリジン−4−イル、インドール−5−イル、インドール−2−イル、2,4−ジメトキシ−ピリミジン−5−イル、フラン−2−イル、フラン−3−イル、2−アシル−チエン−2−イル、ベンゾチオフェン−2−イル、4−メチル−チエン−2−イル、5−シアノ−チエン−2−イル、3−クロロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イルが挙げられる。
【0177】
別の実施形態では、本発明は、式V−B−1の化合物:
【0178】
【化24】

を提供し、
式中:
W1は、水素もしくはC1−6脂肪族であるか;
各RW3は水素もしくはC1−6脂肪族であるか;または
両方のRW3は一緒になって、O、S、またはNR’から選択される最大2個までのヘテロ原子を有するC3−6シクロアルキルまたは複素環を形成し、この環は任意に最大2個までのWR置換基で置換されており;
mは0〜4であり;かつ
k、R、WおよびRは上記で定義されるとおりである。
【0179】
一実施形態では、WRW1は水素、C1−6脂肪族、−C(O)−C1−6脂肪族、または−C(O)O−C1−6脂肪族である。
【0180】
別の実施形態では、各RW3は水素、C1−4アルキルである。または、両方のRW3は一緒になって、O、S、またはNから選択される最大2個までのヘテロ原子を有するC3−6脂環式環または5〜7員の複素環を形成し、ここでこの脂環式または複素環は、WRW1から選択される最大3個までの置換基で任意に置換されている。このような環の例示としては、シクロプロピル、シクロペンチル、任意に置換されているピペリジルなどが挙げられる。
【0181】
別の実施形態では、本発明は、式V−B−2の化合物:
【0182】
【化25】

を提供し、式中:
環Aはフェニルまたは5〜6員のヘテロアリール環であって、ここで環Aおよびそこに縮合されたフェニル環一緒になって、WRから独立して選択される最大4個までの置換基を有しており;
mは0〜4であり;かつ
W、R、k、およびRは上記で定義されるとおりである。
【0183】
一実施形態では、環Aは、ピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、またはトリアゾリルから選択される任意に置換されている5員の環である。
【0184】
一実施形態では、環Aは、ピロリル、ピラゾリル、チアジアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、またはトリアゾリルから選択される任意に置換されている5員の環である。このような環の例示としては以下:
【0185】
【化26】

が挙げられ、
式中、この環は、上記のように任意に置換されている。
【0186】
別の実施形態では、環Aは、任意に置換されている6員の環である。このような環の例示としてはピリジル、ピラジニル、またはトリアジニルが挙げられる。別の実施形態では、上記環は任意にピリジルである。
【0187】
一実施形態では、環Aはフェニルである。
【0188】
別の実施形態では、環Aはピロリル、ピラゾリル、ピリジル、またはチアジアゾリルである。
【0189】
式V−B−2中の例示的なWとしては、結合、−C(O)、−C(O)Oまたは−C1−6アルキレンが挙げられる。
【0190】
式V−B−2中の例示的なRとしてはシアノ、ハロ、C1−6脂肪族、C3−6脂環式、アリール、5〜7員の複素環式の環が挙げられ、これはO、S、およびNから選択される最大2個までのヘテロ原子を有しており、ここでこの脂肪族、フェニル、および複素環式は独立してかつ任意に、−C1−6アルキル、−O−C1−6アルキル、ハロ、シアノ、−OH、または−CFから選択される最大3個までの置換基で任意に置換されており、ここでこのC1−6脂肪族またはC1−6アルキルの最大2個までのメチレン単位は、−CO−、−CONR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’CO−、−S−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−、または−NR’SONR’−で任意に置換されている。別の実施形態では、上記のR’はC1−4アルキルである。
【0191】
一実施形態では、本発明は、式V−B−3の化合物;
【0192】
【化27】

を提供し、
式中:
は水素、ハロ、−CN、−CF、−CHF、−CHF、任意に置換されているC1−6脂肪族、アリール−C1−6アルキル、またはフェニルであり、ここでGは最大4個までのWR置換基で任意に置換されており;ここでC1−6脂肪族またはC1−6アルキルの最大2個までの炭素単位は、−CO−、−CONR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’CO−、−S−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−、または−NR’SONR’−で任意に置換されており;
は水素、任意に置換されているC1−6脂肪族、−CF、または−CNであり;ここで上記インドール環系はさらに、WRから選択される最大3個までの置換基で任意に置換されている。
【0193】
一実施形態では、Gは水素である。または、Gは水素である。
【0194】
別の実施形態では、Gは水素であり、かつGはC1−6脂肪族、−CF、または−CNであり、この脂肪族はC1−6アルキル、ハロ、シアノ、または−CFで任意に置換されており、ここで、C1−6脂肪族またはC1−6アルキルの2つの炭素単位は、−CO−、−CONR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’CO−、−S−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−、または−NR’SONR’−で任意に置換されている。別の実施形態では、上記のR’はC1−4アルキルである。
【0195】
別の実施形態では、Gは水素であり、かつGはシアノ、−CF、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シアノメチル、メトキシエチル、−CHC(O)OMe、−(CH−NHC(O)O−tert−ブチル、またはシクロペンチルである。
【0196】
別の実施形態では、Gは水素であり、かつGがハロ、C1−6脂肪族またはフェニルであり、ここでこの脂肪族またはフェニルは、C1−6アルキル、ハロ、シアノ、または−CFで任意に置換されており、このC1−6脂肪族またはC1−6アルキルの最大2個までの炭素単位は−CO−、−CONR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’CO−、−S−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−、または−NR’SONR’−で任意に置換されている。別の実施形態では、上記のR’はC1−4アルキルである。
【0197】
別の実施形態では、Gは水素であり、Gはハロ、−CF、エトキシカルボニル、t−ブチル、2−メトキシフェニル、2−エトキシフェニル、(4−C(O)NH(CH−NMe)−フェニル、2−メトキシ−4−クロロ−フェニル、ピリジン−3−イル、4−イソプロピルフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、sec−ブチルアミノカルボニル、エチル、t−ブチル、またはピペリジン−1−イルカルボニルである。
【0198】
別の実施形態では、GおよびGは両方とも水素であり、かつ上記インドール環の窒素環原子は、C1−6脂肪族、C(O)(C1−6脂肪族)、またはベンジルで置換され、上記脂肪族またはベンジルはC1−6アルキル、ハロ、シアノ、または−CFで任意に置換されており、ここでこのC1−6脂肪族またはC1−6アルキルの最大2個までの炭素単位は−CO−、−CONR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’CO−、−S−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−、または−NR’SONR’−で任意に置換される。別の実施形態では、上記のR’はC1−4アルキルである。
【0199】
別の実施形態では、GおよびGは両方が水素であり、かつ上記インドール環の窒素環原子は、アシル、ベンジル、−C(O)CHN(Me)C(O)CHNHMe、またはエトキシカルボニルで置換される。
【0200】
本発明の代表的な化合物は、下の表1に示される。
【0201】
【表1−1】

【0202】
【表1−2】

【0203】
【表1−3】

4.一般的な合成スキーム
本発明の化合物は、本発明の化合物の調製のための例示的な方法であり、当該分野において公知で、かつ下記のスキームに例示されるような方法によって調製される。
【0204】
一方法では、ナフチリジンカルボン酸は、スキーム1に例示されるように調製される。
【0205】
スキーム1:
【0206】
【化28】

スキーム1を参照して、アミノピリジン1aは、例えば、Dowtherm(登録商標)などの不活性溶媒中において、高温でエチリデンエステル1bと反応して、ナフチリジンエステル1cが得られる。例えば、水酸化ナトリウム水溶液での1cの加水分解によって、ナフチリジン酸1dが得られる。
【0207】
別の方法では、1,7−ナフチリジンカルボン酸は、スキーム2に例示されるようにアミノピリジン−3−N−オキシドを用いて調製され得る。
【0208】
スキーム2:
【0209】
【化29】

スキーム2を参照して、ピリジン−n−オキシドカルボキサミド2aは、例えば、次亜塩素酸ナトリウムでの酸化によってホフマン転位を受けて、アミン2bが得られる。2bとエチリデンエステル1bとの反応によって、中間体2cが得られ、これが以前に記載されたとおり高温で環化されて、ナフチリジン2dが得られる。例えば、酢酸の存在下における鉄でのN酸化物2dの還元によってエステル2eが得られる。
【0210】
水酸化ナトリウム水溶液での2eの加水分解によって、所望のナフチリジン酸2fが得られる。本発明のナフチリジンカルボキサミドは、スキーム3に例示されるようにナフチリジンカルボン酸から調製され得る。
【0211】
スキーム3:
【0212】
【化30】

スキーム3を参照して、塩基の存在下で、HATU(2−(1H−7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチル ウロニウム ヘキサフルオロホスフェート メタンアミニウム)またはT3P(2−プロパンホスホン酸無水物)などのカップリング試薬を用いて、酸3aを、任意のアミンと反応させてアミド(3b)を形成することができる。
【0213】
アミノ−フェノール類は市販されているか、または公知の方法論を用いて適切なフェノール出発材料から調製してもよい。このような方法論としては、例えば、ハロゲン化、ニトロ化、アルキル化および鈴木カップリングが挙げられる。このような合成ストラテジーの一例はスキーム4に概説される。
【0214】
スキーム4:
【0215】
【化31】

スキーム4を参照して、フェノール4aを、ハロゲン化して、ハロフェノール4bを得てもよい。適切なアリールボロン酸との鈴木カップリングによって、中間体4cを得て、ここでRW’は例えば、アリール部分である。中間体4eは炭酸メチル4dとして保護されてもよい。公知の条件下での4dのニトロ化によってニトロ化合物4eを得る。3eの脱保護によって、ニトロフェノール4fを得て、これをアミノフェノール4gに還元する。
【0216】
あるいは、特定のアルキルフェノール類を、スキーム5に例示されるようにフェノールのアルキル化によって調製してもよい。
【0217】
スキーム5:
【0218】
【化32】

スキーム5を参照して、フェノール5aは、例えば、硫酸などの強酸の存在下で三級アルコールを用いてアルキル化して、中間体5bを得てもよく、ここでRW’は三級アルキル部分である。対応するアミノフェノールの調製は、記載されるような4cを得るための工程に従ってう。
【0219】
特定のアミノ−インドールを、スキーム6に例示されるように調製してもよい。
【0220】
スキーム6:
【0221】
【化33】

スキーム6を参照して、適切に置換されたトルエン6aを、ニトロ化してジニトロ化合物6bを得る。5bとアミノ−アセタール6cとの反応によって、ジニトロ化合物6dを得る。6dの還元によってアミノ−インドール6eを得る。
【0222】
5−トリフルオロメチル−1H−インドール−6−イルアミンは、Hadida Ruah、S.S.ら、「Modulators of ATP−Binding Cassette Transporters」PCT出願番号WO2006/002421に記載されるような手順を用いて調製され得る。
【0223】
アミノ−インドール類を調製するための別の方法は、スキーム7に図示される。
【0224】
スキーム6:
【0225】
【化34】

スキーム7を参照して、ニトロインドール7aを、トリフル酸亜鉛、TBAIおよびDIEAの存在下で適切なRヨウ化物または臭化物でアルキル化して、中間体6bを得る。7bのニトロ基の還元によって、アミノ−インドール7cを得る。
【0226】
アミノ−インドールの調製のためのさらなる方法をスキーム8に図示する。
【0227】
スキーム8:
【0228】
【化35】

スキーム8を参照して、アニリン8aを、例えば、DMF中のNBSで臭素化して、ブロモ−アニリン8bを得る。8bのニトロ化によって、ニトロ中間体8dを得る。パラジウム触媒、ヨウ化銅、および三級アミンの存在下でのトリメチルシリルアセチレンとの8dの反応によって、中間体8dを得る。例えば、ヨウ化銅を用いる8dの閉環によってニトロ−インドール8eを得る。8eのニトロ基の還元によって所望のアミノ−インドール8fを得る。
【0229】
アニリンは市販されているか、または公知の方法論を用いて適切なニトロベンゼン出発材料から調製してもよい。このような合成ストラテジーの一例は、スキーム9に概説される。
【0230】
スキーム9:
【0231】
【化36】

スキーム9を参照して、ニトロ化合物9aのハロゲン部分を、塩基の存在下においてアミンで置き換えて、ニトロ化合物9bを得る。その後引き続いて、ニトロ基をパラジウム触媒の存在下で水素を用いて還元して、アニリン9cを得る。
【0232】
アルキルアミン類は、市販されているか、または公知の方法論を用いて適切な出発材料から調製してもよい。このような合成ストラテジーの一例は、スキーム10に概説される。
【0233】
スキーム10:
【0234】
【化37】

スキーム10を参照して、ニトリル10aを塩基の存在下においてジハロゲン化アルカンで処理してニトリル10bを得る。ニトリル基を引き続き還元して、アミン10cを得る。
【0235】
5.用法、処方物および投与
薬学的に許容可能な組成物
上記で考察されるとおり、本発明は、ABC輸送体の調節因子として有用であり、従って、嚢胞性線維症、遺伝性肺気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝血−線維素溶解欠損症、例えばプロテインC欠乏症、1型遺伝性血管浮腫、脂質処理欠損症、例えば家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症、リソソーム蓄積疾患、例えばI細胞病/偽性ハーラー病、ムコ多糖体症、サンドホッフ/テイ−サックス病、クリグラー−ナジャーII型、多発性内分泌腺症/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、黒色腫、グリカン糖鎖異常CDG1型、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠損症、尿崩症(DI)、ニューロフィシン性DI、腎性DI、シャルコー−マリー−トゥース症候群、ペリツェウス−メルツバッハー病、神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、いくつかのポリグルタミン神経障害、例えばハンチントン病、脊髄小脳性運動失調1型、球脊髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、および筋緊張性ジストロフィー、ならびに海綿状脳症、例えば遺伝性クロイツフェルト−ヤコブ病(プリオンタンパク質プロセシングに起因)、ファブリー病、ストロイスラー−シャインカー症候群、COPD、ドライアイ疾患またはシェーグレン病などの疾患、障害または病態の処置に有用である化合物を提供する。
【0236】
従って、本発明の別の局面において、薬学的に許容可能な組成物が提供され、これらの組成物は、本明細書に記載の任意の化合物を含み、かつ薬学的に許容可能な担体、アジュバントまたはビヒクルを任意に含む。特定の実施形態において、これらの組成は任意に、さらに1個以上の追加の治療剤を含む。
【0237】
また、本発明の化合物の一部は、処置のための自由形状において、または適切な場合、その薬学的に許容可能な誘導体またはプロドラッグとして存在し得ることは理解されるであろう。本発明によれば、薬学的に許容可能な誘導体またはプロドラッグとしては、限定するものではないが、薬学的に許容可能な塩、エステル、このようなエステルの塩、または、これを必要とする患者への投与時に、直接であるか間接であるかを問わず、本明細書の他のいずれかに記載の化合物、またはその代謝物または残基を提供することのできる、その他の任意の付加化合物または誘導体が挙げられる。
【0238】
本明細書において用いられる「薬学的に許容可能な塩」という用語は、理にかなった医学的判断の範囲内において、ヒトおよび下等動物の組織に接触して使用するのに適した、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴わない、合理的な利益/リスク比と釣り合った塩を指す。「薬学的に許容可能な塩」とは、受け手への投与時、直接であるか間接であるかを問わず、本発明の化合物またはその阻害活性の代謝体またはその残基を提供することのできる、本発明の化合物の任意の毒性のない塩またはエステルの塩を意味する。
【0239】
薬学的に許容可能な塩は、当業者には周知である。例えば、S.M.Bergeら、は、出典明記によって本明細書に援用されるJ.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1〜19において、薬学的に許容可能な塩について詳細に記載している。本発明の化合物の薬学的に許容可能な塩としては、適切な無機および有機の酸および塩基由来のものが挙げられる。薬学的に許容可能な、毒性のない酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過酸化塩などの無機酸、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸またはマロン塩などの有機塩で形成されるアミノ基の塩、またはイオン交換などの、当該分野で用いられるその他の方法を用いて生成されるアミノ基の塩である。他の薬学的に許容可能な塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、クエン酸、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。適切な塩基に由来する塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムおよびN(C1−4アルキル)塩が挙げられる。本発明はまた、本明細書に開示の化合物の、任意の塩基性窒素含有基の四級化を想定する。水溶性、油溶性または分散性の生成物は、四級化によって得ることができる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。さらなる薬学的に許容可能な塩としては、任意に、非毒性アンモニウム、四級アンモニウム、およびハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低アルキルスルホン酸塩およびアリールスルホン酸塩などの対イオンを用いて生成されたアミン陽イオンが挙げられる。
【0240】
上述のとおり、本発明の薬学的に許容可能な組成物はさらに、本明細書において用いる場合、任意のかつ全ての溶媒、希釈剤、またはその他の液体賦形剤、分散または懸濁補助剤、界面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、防腐剤、固体結合剤、潤滑剤などを含む、薬学的に許容可能な担体、アジュバント、またはビヒクルを、所望の個々の投薬形態に応じて含む。Remington’s:Pharmaceutical Sciences、第16版,E.W.Martin(Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1980)は、薬学的に許容可能な組成物の処方およびその調製のための公知の技術において用いられる、種々の担体を開示する。任意の従来の担体媒体が、任意の望ましくない生物学的影響を生じるか、またはそうでなければ有害な態様で薬学的に許容可能な組成の任意の他の成分(単数または複数)と相互作用することなどによって、本発明の化合物と混合できない場合を除き、その使用は本発明の範囲内であると考えられる。薬学的に許容可能な担体の働きをすることのできる材料のいくつかの例としては、限定するものではないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸、グリシン、ソルビン酸、またはソルビン酸カリウムなどの緩衝物質、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または硫酸プロタミンなどの電解質、リン酸一水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸塩、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロック重合体、羊毛脂、糖、例えば、ラクトース、ブドウ糖およびスクロース、コーンスターチおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;セルロースおよびその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース;トラガント末;麦芽;ゼラチン;滑石;賦形剤、例えば、ココアバターおよび坐剤ワックス;落花生油、綿実油、ベニバナ油、ごま油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油などの油;グリコール;例えば、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;パイロジェンフリー水;等張性生理食塩水;リンガー溶液;エチルアルコール、およびリン酸緩衝液、ならびにその他の毒性のない混合可能な潤滑剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムが挙げられ、着色剤、解除剤、コーティング剤、甘味剤、香料添加剤、防腐剤および酸化防止剤も、処方者の判断により、組成中に存在してもよい。
【0241】
化合物および薬学的に許容可能な組成物の使用
さらに別の局面において、本発明は、ABC輸送体(例えば、CFTR)活性にかかわる病態、疾患、または障害の処置方法を提供する。特定の実施形態において、本発明は、ABC輸送体活性の欠損にかかわる病態、疾患、または障害の処置方法を提供し、この方法は、式(I)の化合物を含む組成物を、これを必要とする被験体、好ましくは哺乳動物へ投与する工程を包含する。
【0242】
特定の実施形態において、本発明は、本発明の化合物を含む組成物の有効量を、当該哺乳動物に投与する工程を包含している、嚢胞性線維症、遺伝性肺気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝血−線維素溶解欠損症、例えばプロテインC欠乏症、1型遺伝性血管浮腫、脂質処理欠損症、例えば、家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症、リソソーム蓄積疾患、例えばI細胞病/偽性ハーラー病、ムコ多糖体症、サンドホッフ/テイ−サックス病、クリグラー−ナジャーII型、多発性内分泌腺症/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、黒色腫、グリカン糖鎖異常CDG1型、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠損症、尿崩症(DI)、ニューロフィシン性DI、腎性DI、シャルコー−マリー−トゥース症候群、ペリツェウス−メルツバッハー病、神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、いくつかのポリグルタミン神経障害、例えばハンチントン病、脊髄小脳性運動失調1型、球脊髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、および筋緊張性ジストロフィー、ならびに海綿状脳症、例えば遺伝性クロイツフェルト−ヤコブ病(プリオンタンパク質プロセシング欠陥に起因する)、ファブリー病、ストロイスラー−シャインカー症候群、COPD、ドライアイ疾患またはシェーグレン病を処置する方法を提供する。
【0243】
代替的な好適な実施形態によれば、本発明は、本発明の化合物を含む組成物の有効量を、当該哺乳動物に投与する工程を包含する、嚢胞性線維症の処置方法を提供する。
【0244】
本発明によれば、化合物または薬学的に許容可能な組成物の「有効量」とは、嚢胞性線維症、遺伝性肺気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝血−線維素溶解欠損症、例えばプロテインC欠乏症、1型遺伝性血管浮腫、脂質処理欠損症、例えば、家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症、リソソーム蓄積疾患、例えばI細胞病/偽性ハーラー病、ムコ多糖体症、サンドホッフ/テイ−サックス病、クリグラー−ナジャーII型、多発性内分泌腺症/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、黒色腫、グリカン糖鎖異常CDG1型、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠損症、尿崩症(DI)、ニューロフィシン性DI、腎性DI、シャルコー−マリー−トゥース症候群、ペリツェウス−メルツバッハー病、神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、いくつかのポリグルタミン神経障害、例えばハンチントン病、脊髄小脳性運動失調1型、球脊髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、および筋緊張性ジストロフィー、ならびに海綿状脳症、例えば遺伝性クロイツフェルト−ヤコブ病(プリオンタンパク質プロセシング欠陥に起因する)、ファブリー病、ストロイスラー−シャインカー症候群、COPD、ドライアイ疾患またはシェーグレン病のうちの1つ以上を処置するかまたはその重症度を緩和するために有効な量である。
【0245】
本発明の方法による、化合物および組成物は、嚢胞性線維症、遺伝性肺気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝血−線維素溶解欠損症、例えばプロテインC欠乏症、1型遺伝性血管浮腫、脂質処理欠損症、例えば、家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症、リソソーム蓄積疾患、例えばI細胞病/偽性ハーラー病、ムコ多糖体症、サンドホッフ/テイ−サックス病、クリグラー−ナジャーII型、多発性内分泌腺症/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、黒色腫、グリカン糖鎖異常CDG1型、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠損症、尿崩症(DI)、ニューロフィシン性DI、腎性DI、シャルコー−マリー−トゥース症候群、ペリツェウス−メルツバッハー病、神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、いくつかのポリグルタミン神経障害、例えばハンチントン病、脊髄小脳性運動失調1型、球脊髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、および筋緊張性ジストロフィー、ならびに海綿状脳症、例えば遺伝性クロイツフェルト−ヤコブ病(プリオンタンパク質プロセシング欠陥に起因する)、ファブリー病、ストロイスラー−シャインカー症候群、COPD、ドライアイ疾患またはシェーグレン病のうちの1つ以上を処置するかまたは重症度を緩和するために有効な、任意の量および任意の投与経路を用いて投与してもよい。
【0246】
一実施形態では、本発明の化合物および組成物は、患者の嚢胞性線維症を処置するかまたは重症度を緩和するために有用である。
【0247】
特定の実施形態では、本発明の化合物および組成物は、呼吸器および非呼吸器上皮の頂側膜においてCFTR活性の残留を呈する患者において嚢胞性線維症を治療するか、またはその重症度を緩和するのに有用である。上皮面における残留のCFTR活性の存在は、当該分野で公知の方法、例えば、標準的な電気生理学的、生化学的、または組織化学的技術を用いることによって容易に検出することが可能である。このような方法は、インビボもしくはエキゾビボにおける体外性電気生理学技術、汗もしくは唾液腺におけるCl濃度の測定、またはエキソビボにおける生化学的もしくは組織化学的技術を用い細胞表面密度を監視することによってCFTR輸送体活性を特定する。このような方法を用い、種々の異なる突然変異についてヘテロまたはホモ接合体を有する患者において、例えば、最も一般的な突然変異ΔF508についてホモまたはヘテロ接合体を持つ患者において、残留CFTR活性を容易に検出することが可能である。
【0248】
別の実施形態では、本発明の化合物および組成物は、薬理学的方法または遺伝子治療を用いて、残留CFTR活性を誘発または増強された患者において、嚢胞性線維症を治療するか、またはその重症度を緩和するために有用である。このような方法は、細胞表面に存在するCFTRの量を増し、そうすることによって患者においてこれまで見られなかったCFTR活性を誘発するか、または、患者における残留CFTR活性の既存レベルを増強する。
【0249】
一実施形態では、本発明の化合物および組成物は、残留CFTR活性を示す特定の遺伝型、例えば、クラスIII突然変異(調節またはゲート開閉の障害)、クラスIV突然変異(コンダクタンス変化)、またはクラスV突然変異(合成の低下)内に納まる患者の嚢胞性線維症を治療するか、またはその重症度を緩和するのに有用である(Lee R.Choo−Kang,Pamela L.,Zeitlin,Type I,II,III,and V cystic fibrosis Transmembrane Conductance Regulator Defects and Opportunities of Therapy;Current Opinion in Pulmonary Medicine 6:521〜529,2000)。残留CFTR活性を呈する、他の患者遺伝子型としては、上記クラスの内の1つに対してホモ接合性の患者、または、クラスI突然変異、クラスII突然変異を含む、他の任意の突然変異、あるいは、分類を欠く突然変異についてヘテロ接合性の患者が挙げられる。
【0250】
一実施形態では、本発明の化合物および組成物は、ある種の臨床的表現型、例えば、上皮の頂側膜における残留CFTR活性の量と代表的には相関する、中等から低度の臨床的表現型内に納まる患者の嚢胞性線維症を治療するか、またはその重症度を緩和するのに有用である。そのような表現型としては、すい臓の十分な機能性を示す患者、または、特発性すい臓炎および両側精管の先天的欠損、または軽度の肺疾患と診断された患者が挙げられる。
【0251】
正確な必要量は、被験体によってまちまちであり、その動物種、年齢、その被験体の全身状態、感染の重症度、特定の薬剤、その投与方式などに応じて変動する。本発明の化合物は、投与のやり易さおよび用量の均一性のために、単位剤形として処方されるのが好ましい。本明細書で用いる「単位剤形」という表現は、治療される患者にとって適切な、薬剤の、物理的不連続単位を指す。しかしながら、本発明の化合物および組成物の1日総使用量は、主治医によって、妥当な医学的判断の範囲内において決定されることが理解される。任意の特定の患者または生物体における特定の有効用量レベルは、治療される障害、および障害の重症度;使用される特定化合物の活性;使用される特定の組成物;患者の年齢、体重、全身の健康状態、性別、および食餌;使用される特定の化合物の投与時間、投与ルート、および排泄速度;治療の持続時間;使用される特定の化合物と組み合わせて、または同時に使用される薬剤などの医学分野において周知の要因を含む種々の要因に依存する。本明細書で用いる「患者」という用語は、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。
【0252】
本発明の薬学的に許容可能な組成物は、ヒトおよび他の動物に対し、経口的に、直腸内に、非経口的に、クモ膜下槽内に、膣内に、腹腔内に、局所的に(散剤、軟膏、または滴下によって)、頬内に、口内または鼻腔内噴霧としてなど、治療されている感染の重症度に応じて投与することが可能である。特定の実施形態では、本発明の化合物は、所望の治療効果を実現するために、1日に1回以上、1日あたり被験体の体重1kgあたり、約0.01mg〜約50mg、そして好ましくは約1mg〜約25mgの用量レベルで、経口的に、または非経口的に投与してもよい。
【0253】
経口投与用の液体剤形としては、限定するものではないが、薬学的に許容可能なエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、縣濁液、シロップ、およびエリキシルが挙げられる。活性化合物に加えて、液体剤形は、当該分野において一般的に使用される不活性希釈剤、例えば、水、またはその他の溶媒、可溶化剤、および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、カルボン酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルフォルムアミド、油類(特に、綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびごま油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、およびそれらの混合物を含んでもよい。不活性希釈剤のほかに、経口組成物はさらに、アジュバント、例えば、湿潤剤、乳化および縣濁剤、甘味剤、芳香剤、および香料を含んでもよい。
【0254】
注射可能な調製物、例えば、滅菌の注射可能な、水性または油性の縣濁液を、適切な分散または湿潤剤、および縣濁剤を用い、当該分野で公知の技術に従って処方してよい。滅菌の注射可能な調剤はまた、非毒性の非経口的投与において許容可能な希釈液または溶媒中の滅菌の注射可能な溶液、縣濁液、または乳剤として、例えば、1,3−ブタンジオールに溶かした溶液であってもよい。とりわけ使用可能な許容可能なビヒクルおよび溶媒は、水、米国薬局方のリンゲル液、および等張の塩化ナトリウム溶液である。さらに、滅菌された不揮発性油が、溶媒または縣濁媒体として常習的に使用される。この目的のために、任意の、無刺激性の不揮発性油、例えば、合成のモノ−、またはトリ−グリセリドを含む油を使用することが可能である。さらに、注射剤の調製物には、オレイン酸などの脂肪酸が用いられる。
【0255】
注射可能な処方物は、例えば、細菌保持フィルターを通過する濾過によって、または、滅菌剤を、固体の滅菌組成物の形態で取り込むことによって滅菌することが可能である。後者では、使用の前に、滅菌水、または他の、滅菌の注射媒体に、この組成物を溶解または分散させてもよい。
【0256】
本発明の化合物の効果を延長させるために、皮下または筋肉内注射においてこの化合物の吸収を遅らせることが好ましい場合が多い。水溶性の劣る結晶性または非晶性物質の液体縣濁液の使用によって、これを実現してもよい。その際、この化合物の吸収速度は、溶解速度に依存するが、この溶解速度は、次いで、結晶のサイズおよび結晶形に依存する場合がある。それとは別に、非経口的に投与される化合物形の吸収遅延は、この化合物を油状ビヒクルに溶解または縣濁することによって実現される。ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生物分解性ポリマーの中に化合物を納めてマイクロカプセル基質を形成することによって、注射可能なデポ形態が作製される。ポリマーに対する化合物の比率、および使用する特定のポリマーの性質に応じて、化合物の放出速度を制御することが可能である。他の、生物分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエーテル)、およびポリ(無水物)が挙げられる。注射可能なデポ処方物はまた、生体組織と適合するリポソームまたはマイクロエマルジョンの中に化合物を捕捉することによっても調製される。
【0257】
直腸または膣内投与用の組成物は好ましくは、適切な非刺激性賦形剤または担体、例えば、ココアバター、ポリエチレングリコール、または坐剤ワックスと本発明の化合物とを混合することによって調製することが可能な坐剤である。これらの賦形剤または担体は、周囲温度では固体で、体温では液体となり、従って、直腸または膣腔において溶解して活性化合物を放出する。
【0258】
経口投与用の固体剤形としては、カプセル、錠剤、丸剤、散剤、および顆粒が挙げられる。このような固体剤形では、活性化合物は、少なくとも1つの不活性な、薬学的に許容可能な賦形剤または担体、例えば、クエン酸ナトリウム、またはリン酸二カルシウム、および/または、a)充填剤または増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸、b)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニールピロリジノン、スクロース、およびアカシアなど、c)保湿剤、例えば、グリセロール、d)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカのデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩類、および炭酸ナトリウム、e)溶解遅延剤類、例えば、パラフィン、f)吸収加速剤類、例えば、四級アンモニウム化合物、g)湿潤剤類、例えば、セチルアルコール、およびモノステアリン酸グリセロール、h)吸収剤類、例えば、カオリンおよびベントナイトクレイ、ならびに、i)潤滑剤、例えば、滑石、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体のポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、および、それらの混合物と混合される。カプセル、錠剤、および丸剤の場合、剤形はさらに緩衝化剤を含んでもよい。
【0259】
同様のタイプの固体組成物はまた、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングルコールなどの賦形剤を用いた、軟質および硬質の充填性ゼラチンカプセルにおいて充填剤として使用してもよい。錠剤、糖衣錠、カプセル、丸剤、および顆粒という固体剤形は、製薬処方の分野で周知のコーティングおよび外殻、例えば、腸吸収コーティングおよびその他のコーティングによって調製することが可能である。これらの剤形は任意に、乳白剤を含んでもよく、さらに、腸管のある特定部位のみに、またはその部位に優先的に、任意に遅延的に、活性成分(単数または複数)を放出するような組成物として構成することも可能である。使用が可能な埋め込み組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。同様のタイプの固体組成物はさらに、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングルコールなどの賦形剤を用いる、軟質および硬質の充填性ゼラチンカプセルにおいて充填剤として使用してもよい。
【0260】
この活性化合物はまた、前述の1つ以上の賦形剤とともにマイクロカプセル形で存在してもよい。錠剤、糖剤、カプセル、丸剤、および顆粒という固体剤形は、製剤処方の分野で周知のコーティングおよび外殻、例えば、腸吸収コーティング、徐放性コーティング、およびその他のコーティングによって調製することが可能である。このような固体剤形では、活性化合物を、少なくとも1つの不活性希釈剤、例えば、スクロース、ラクトース、またはデンプンと混ぜ合わせてもよい。このような剤形はさらに、通常の慣行として行われるように、不活性希釈剤以外の添加物質、例えば、錠剤潤滑剤、およびその他の錠剤支援剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムおよびマイクロ結晶セルロースを含んでもよい。カプセル、錠剤、および丸剤の場合、剤形はさらに緩衝化剤を含んでもよい。これらの剤形は任意に乳白剤を含んでもよく、さらに、腸管のある特定部位のみに、またはその部位に優先的に、任意に遅延的に、活性成分(単数または複数)を放出するような組成物であってもよい。使用が可能な埋め込み組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。
【0261】
本発明の化合物の局所または経皮投与用の剤形としては、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸引剤、またはパッチが挙げられる。活性成分は、無菌条件下で、薬学的に許容可能な担体と混ぜ合わされ、任意に任意の防腐剤または緩衝液と混ぜ合わされる。眼科用処方、点耳薬、および点眼薬も、本発明の範囲内にあると思量される。さらに、本発明は、生体に対し化合物の調節的送達を実現する新たな利点を提供する、経皮パッチの使用も考慮の対象とする。このような剤形は、適切な媒体に化合物を溶解または滴下することによって調製される。皮膚を横切る化合物のフラックスを増すために、吸収強化剤を用いることも可能である。この速度は、速度調節膜を供給するか、または、化合物をポリマー基質またはゲルの中に分散させることによって制御することが可能である。
【0262】
上に概説したように、本発明の化合物は、ABC輸送体の調節因子として有用である。従って、この化合物および組成物は、ABC輸送体の、過度の活性または不活性が関与する、疾患、病態、または障害の処置、またはその重症度の緩和のために特に有用であるが、ただし、いかなる特定の理論にも縛られることを望むものではない。ABC輸送体の過度の活性または不活性がある特定の疾患、病態、または障害に関与する場合、その疾患、病態、または障害はまた、「ABC輸送体媒介性の疾患、病態、または障害」と呼んでもよい。従って、別の局面では、本発明は、ABC輸送体の過度の活性または不活性が、その病状に関与する、疾患、病態、または障害を処置するための、またはその重症度の緩和するための方法を提供する。
【0263】
本発明においてABC輸送体の調節因子として利用される化合物の活性は、当該分野および本明細書の例において一般的に説明される方法に従ってアッセイすることができる。
【0264】
本発明の化合物および薬学的に許容可能な組成物は、併用療法において使用されてもよいということ、すなわち、この化合物および薬学的に許容可能な組成物は、1個以上の他の所望の治療手順または医療手順と同時に、先行して、または後で、投与されてもよいということも理解されるであろう。併用レジメンで使用される治療(治療剤または手順)の特定の組み合わせは、所望する治療用薬剤および/または手順と達成を望む治療効果との適合性を考慮する。使用される治療は、同じ障害に対する所望の効果を得ることができる(例えば、発明の化合物は、同じ障害の処置に用いられる別の薬剤と同時に投与されてもよい)、または異なる効果を得ることができる(例:なんらかの副作用の制御)ということも理解されるであろう。本明細書において使用される、特定の疾患、または病態を処置または予防するために通常投与される追加的な治療剤は、「治療される疾患、または病態に適する」として公知である。
【0265】
一実施形態では、追加の薬剤を、気管支拡張剤、抗生物質、抗感染症剤、抗炎症剤、本発明の化合物以外のCFTR調節因子、または栄養剤から選択する。
【0266】
本発明の組成物に存在する追加的な治療薬の量は、この治療薬を唯一の有効薬剤として含む組成物において一般的に投与される量を超えない。本明細書において開示される組成物の追加的な治療剤の量は、好ましくは、この治療剤を唯一の治療的な有効薬剤として含んでいる組成物において一般的に投与される量の約50%〜100%の範囲である。
【0267】
本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な組成物はまた、人工補綴物、人工弁、代用血管、ステントおよびカテーテルなどの埋め込み型医療デバイスをコーティングする組成物に組み込まれてもよい。従って、本発明は、別の局面において、上記および本明細書における分類および小分類に一般的に記載したように、本発明の化合物、および前述の埋め込み型デバイスのコーティングに適した担体を含む埋め込み型デバイスをコーティングする組成物を包含する。さらに別の局面において、本発明は、上記および本明細書における分類および小分類に一般的に記載したように、本発明の化合物、および上記の埋め込み型デバイスのコーティングに適した担体を含んでいる組成物でコーティングされた埋め込み型デバイスを含む。適したコーティングおよびコーティングされた埋め込み型デバイスの一般的な調製は、米国特許第6,099,562号;同第5,886,026号および同第5,304,121号に記載されている。コーティング剤は通常、ヒドロゲルポリマー、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、エチレン酢酸ビニル、およびそれらの混合物などの生体適合性のポリマー材料である。コーティング剤を、任意に、フルオロシリコン、多糖類、ポリエチレングリコール、リン脂質またはそれらの組み合わせの適切なトップコーティングによってさらに覆って、その組成物に徐放性を与えてもよい。
【0268】
本発明の別の局面は、生体サンプルまたは患者(例えば、インビトロまたはインビボ)におけるABC輸送体活性の変調に関し、その方法は、患者への投薬、または上記の生体サンプルと式Iの化合物または上記の化合物を含む組成物との接触を包含する。本明細書において使用される場合「生体サンプル」という用語は、限定するものではないが、細胞培養またはその抽出物;哺乳動物から得られた生検をおこなった材料またはその抽出物;ならびに血液、唾液、尿、便、精液、涙、またはその他の体液またはその抽出物を包含する。
【0269】
生体サンプルにおけるABC輸送体、例えば、CFTRの活性の変調は、当業者に公知の種々の目的に有用である。このような目的の例としては、限定するものではないが、生物学的および病理学的な現象におけるABC輸送体の研究;およびABC輸送体の新しい調節因子の比較評価が挙げられる。
【0270】
さらに別の実施形態において、インビトロまたはインビボでの陰イオンチャネルの活性を変調する方法は、このチャネルと式(I)の化合物とを接触させる工程を含んで提供される。好適な実施形態において、この陰イオンチャネルは、塩化物チャネルまたは重炭酸塩チャネルである。他の好適な実施形態において、陰イオンチャネルは塩化物チャネルである。
【0271】
代替的な実施形態によれば、本発明は、細胞の膜における機能的ABC輸送体の数を増やす方法を提供し、この方法はこの細胞と、式(I)の化合物と接触させる工程を包含する。本明細書において用いられる「機能的ABC輸送体」という用語は、輸送活性を果たし得るABC輸送体を意味する。好適な実施形態において、この機能的ABC輸送体はCFTRである。
【0272】
別の好適な実施形態によれば、ABC輸送体の活性は、膜貫通型電位を測定することによって測定される。生体サンプルにおいて膜間におけるこの電位を測定する手段には、光学膜電位アッセイまたはその他の電気生理学的方法などの当該分野で公知の任意の方法を使用してもよい。
【0273】
この光学膜電位アッセイは、GonzalezおよびTsien(Gonzalez,J.E.and R.Y.Tsien(1995)「Voltage sensing by fluorescence resonance energy transfer in single cells」Biophys J 69(4):1272〜80,およびGonzalez,J.E.and R.Y.Tsien(1997)「Improved indicators of cell membrane potential that use fluorescence resonance energy transfer」Chem Biol 4(4):269〜77を参照のこと)によって説明される電位感受性FRETセンサーを、Voltage/Ion Probe Reader(VIPR)(Gonzalez,J.E.,K.Oades ら(1999)「Cell−based assays and instrumentation for screening ion−channel targets」Drug Discov Today 4(9):431〜439を参照のこと)などの蛍光変化を測定する装置と組み合わせて利用する。
【0274】
これらの電位感受性アッセイは、膜溶性、電位感受性色素、DiSBAC(3)と、原形質膜の外葉に結合してFRETドナーとして働く蛍光リン脂質CC2−DMPEとの間における、蛍光共鳴エネルギー伝達(FRET)の変化に基づく。膜電位(V)の変化は、負に帯電したDiSBAC(3)を原形質膜間に再分配させ、CC2−DMPEからのエネルギーの伝達量は、これにともなって変化する。蛍光発光の変化は、96ウェルまたは384ウェルのマイクロタイタープレートにおいて細胞ベースのスクリーニングをおこなうために設計された統合液体ハンドラーおよび蛍光検出器であるVIPR(商標)IIを用いてモニターすることができる。
【0275】
別の局面において、本発明は、インビトロまたはインビボにおける生体サンプル中でのABC輸送体またはその断片の活性の測定における使用のためのキットを提供し、このキットは、(i)式(I)または任意の上記の実施形態の化合物を含んでいる組成物;ならびに(ii)説明書であって、a)この組成物を生体サンプルと接触させる工程、およびb)このABC輸送体またはその断片の活性を測定する工程のための説明書を備えている。一実施形態において、このキットは、a)さらなる組成物を生体サンプルと接触させる工程、およびb)このABC輸送体またはその断片の活性を、このさらなる化合物の存在下で測定する工程、およびc)この追加的な化合物の存在下におけるABC輸送体の活性を、式(I)の組成物の存在下におけるABC輸送体の密度と比較するための説明書をさらに備える。好適な実施形態において、このキットは、CFTRの密度を測定するために用いられる。
【0276】
本明細書に記載される本発明がさらに十分に理解されるように、下記の実施例が記載される。これらの実施例は、単に例示目的のためだけであって、いかなるやり方でも本発明を限定するものと見なしてはならないことを理解しなければならない。
【実施例】
【0277】
調製および実施例
A.ナフチリジンカルボン酸の調製
調製1:4−ヒドロキシ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸
工程1:4−ヒドロキシ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキシル酸エチル
【0278】
【化38】

Dowtherm A(150mL)に3−アミノピリジン(4.8g、50mmol)および2−(エトキシメチレン)マロン酸ジエチル(4.8g、50mmol)を添加した。蒸留によってアルコールが除去されるまでその混合物を撹拌し、150℃まで加熱した。次いでその反応混合物を1時間還流し、室温まで冷却して、その沈殿物を濾過して取り出し、石油エーテルで洗浄して、表題の化合物(2.6g)を褐色の粉末として得た。
【0279】
工程2:4−ヒドロキシ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸
【0280】
【化39】

4−ヒドロキシ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸エチル(2.6g、11mmol)を、水酸化ナトリウム(25mL,4%)とともに6時間還流した。その熱溶液を木炭で脱色し、濾過して、pH3に酸性化した。冷却後、その沈殿物を濾過して取り出し水で洗浄し、乾燥して表題の化合物(1.3g)を黄褐色の粉末として得た。H NMR(DMSO_d):δ:14.66(s,1H)、12.8−14(br,1H)、9.42(s,1H)、8.98(s,1H)、8.80(d,J=5.6,1H)、7.69(d,J=5.6,1H)、MS(ESI)m/e(M+H)191.12。
【0281】
調製2:4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,7−ナフチリジン−3−カルボン酸
工程1:ジエチル3−アミノピリジン1−オキシド
【0282】
【化40】

NaOCl(9.0%,100.0mL)の溶液に、NaOH(9.3g、232mmol)を添加した。その混合物を、溶液が得られるまで氷浴中で撹拌した。次いでその混合物にニコチンアミド−N−オキシド(8.0g、58.0mmol)を添加し、その反応物を室温で15分間撹拌した。次いでその混合物を深い赤紫色が観察されるまで90℃に加熱した。次いで、その反応物を室温まで冷却し、濃HClを用いてpH2まで調節し、これを減圧下で乾燥するまでエバポレートした。その残滓を熱エタノール(50×6mL)で抽出した。その抽出物を合わせて、NaSOで乾燥し、真空中で濃縮した。その粗生成物を、シリカカラムクロマトグラフィー(メタノール/CHCl、5%)によって精製して表題の化合物(3.0g)を得た。H NMR(400MHz,MeOD)δ7.75−7.74(m,1H)、7.58(dd,J=1.2,6.4Hz,1H)、7.21〜7.18(m,1H)、6.91(dd,J=1.6,8.4Hz,1H)。
【0283】
工程2:3−(3−エトキシ−2−(エトキシカルボニル)−3−オキソプロパ−1−エニルアミノ)ピリジン1−オキシド。
【0284】
【化41】

ジエチル3−アミノピリジン1−オキシド(3.0g、27.3mmol)および2−(エトキシメチレン)マロン酸ジエチル(11.8g、54.6mmol)の混合物をDean−Starkトラップのもとで、130℃に2時間加熱した。室温まで冷却した後、その混合物をエタノール(100mL)とともに撹拌した。その固体を濾過によって収集し、石油エーテル(100mL)で洗浄し、真空中で乾燥して表題の化合物(6.0g)を得た。H NMR(400MHz,MeOD)δ8.40〜8.39(t,J=1.6Hz,1H)、8.36(s,1H)、8.01(d,J=6.4Hz,1H)、7.49(d,J=1.2Hz,1H)、7.46−7.44(m,1H)、4.22(q,J=7.2Hz,2H)、4.14(q,J=7.2Hz,2H)、1.08(t,J=7.2Hz,6H)。
【0285】
工程3:4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,7−ナフチリジン−7−オキシド−3−カルボン酸エチル。
【0286】
【化42】

Dowtherm A(120mL)の還流溶液に、3−(3−エトキシ−2−(エトキシカルボニル)−3−オキソプロパ−1−エニルアミノ)ピリジン1−オキシド(4.0g、14.2mmol)を添加し、次いで、その混合物を15分間還流撹拌して、室温まで急速に冷却しヘキサン(200mL)を添加した。その沈殿物を濾過によって収集し、熱エタノール(20mL)次いで、ヘキサン(50mL)で洗浄して、真空中で乾燥して表題の化合物(1.55g)を得て、これをさらに精製することなく次の工程に用いた。H NMR(300MHz,DMSO)δ12.36(br s,1H)、8.64(s,1H)、8.59(s,1H)、8.11(d,J=1.2Hz,1H)、7.97(d,J=5.1Hz,1H)、4.22(q,J=5.4,2H)、1.29(t,J=5.4Hz,3H)。
【0287】
工程4:4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,7−ナフチリジン−3−カルボン酸
【0288】
【化43】

酢酸(12mL)およびピリジン(2.5mL)中の4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,7−ナフチリジン−7−オキシド−3−カルボン酸エチル(700mg、2.98mmol)および鉄粉(500mg)の懸濁物を室温で2時間撹拌した。その溶媒を真空中でエバポレートして、その残滓を水(15mL)中で撹拌し、40%のNaOHを添加して、その溶液をわずかに塩基性にした(約5mL)。その混合物を30分間100℃で加熱した。反応混合物を冷却し、濾過して、その固体を水(5mL)で洗浄した。その濾液を、1N塩酸水溶液を用いて酸性にした。沈殿物を形成させて濾過して取り出し、冷水で洗浄して、真空中で乾燥して表題の化合物(193mg)を得た。H NMR(300MHz,DMSO)δ14.80(br,1H)、13.6(brs,1H)、9.26(s,1H)、9.04(s,1H)、8.72(m,1H)、8.13(s,1H)。
【0289】
B.アミンの調製
調製3:3−tert−ブチル−1H−インドール−6−イルアミン
工程1:3−tert−ブチル−6−ニトロ−1H−インドール
【0290】
【化44】

無水トルエン(11mL)中の6−ニトロインドール(1g、6.2mmol)、トリフル酸亜鉛(2.06g、5.7mmol)およびTBAI(1.7g、5.16mmol)の混合物に、DIEA(1.47g、11.4mmol)を窒素下、室温で添加した。その反応混合物を120℃で10分間撹拌し、続いて、臭化t−ブチル(0.707g、5.16mmol)を添加した。得られた混合物を120℃で45分間撹拌した。その固体を濾過して、その濾液を乾燥するまで濃縮して、シリカゲル(石油エーテル/EtOAcが20:1)でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、3−tert−ブチル−6−ニトロ−1H−インドールを黄色固体として得た(0.25g)。H NMR(CDCl)δ8.32(d,J=2.1Hz,1H)、8.00(dd,J=2.1,14.4Hz,1H)、7.85(d,J=8.7Hz,1H)、7.25(s,1H)、1.46(s,9H)。
【0291】
工程2:3−tert−ブチル−1H−インドール−6−イルアミン
【0292】
【化45】

エタノール中の3−tert−ブチル−6−ニトロ−1H−インドール(3.0g、13.7mmol)およびラネーNi(0.5g)の懸濁液を、H(1気圧)下において室温で3時間撹拌した。その触媒を濾過して除き、その濾液を乾燥するまで濃縮した。その残滓をシリカゲル(石油エーテル/EtOAcが4:1)でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、3−tert−ブチル−1H−インドール−6−イルアミン(2.0g)を灰色固体として得た。H NMR(CDCl):δ7.58(m,2H)、6.73(d,J=1.2Hz,1H)、6.66(s,1H)、6.57(dd,J=0.8,8.6Hz,1H)、3.60(br s,2H)、1.42(s,9H)。
【0293】
調製4:N−(5−tert−ブチル−1H−インドール−6−イル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,7ナフチリジン−3−カルボキサミド
工程1:2−ブロモ−4−tert−ブチル−フェニルアミン
【0294】
【化46】

DMF(500mL)中の4−tert−ブチル−フェニルアミン(447g、3mol)の溶液に、室温でDMF(500mL)中のNBS(531g、3mol)を滴下した。終了後、その反応混合物を水で希釈して、EtOAcで抽出した。有機層を水、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥して、濃縮した。その粗生成物を、さらに精製することなく次の工程に直接用いた。
【0295】
工程2:2−ブロモ−4−tert−ブチル−5−ニトロ−フェニルアミン
【0296】
【化47】

2−ブロモ−4−tert−ブチル−フェニルアミン(162g、0.71mol)を、室温でHSO(410mL)に滴下し、透明な溶液を得た。次いで、その透明溶液を−5〜−10℃まで冷却した。HSO(410mL)中のKNO(82.5g、0.82mol)の溶液を、温度を−5〜−10℃に維持したまま滴下した。終了後、その反応混合物を氷/水に注いで、EtOAcで抽出した。その合わせた有機層を5%のNaCOおよびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥して濃縮した。その残滓をカラムクロマトグラフィー(EtOAc/石油エーテルが1/10)によって精製して2−ブロモ−4−tert−ブチル−5−ニトロ−フェニルアミンを黄色固体として得た(152g)。
【0297】
工程3:4−tert−ブチル−5−ニトロ−2−トリメチルシラニルエチニル−フェニルアミン
【0298】
【化48】

トルエン(200mL)中の2−ブロモ−4−tert−ブチル−5−ニトロ−フェニルアミン(27.3g、100mmol)および水(100mL)の混合物に、EtN(27.9mL,200mmol)、Pd(PPhCl(2.11g、3mmol)、CuI(950mg、0.5mmol)およびトリメチルシリルアセチレン(21.2mL,150mmol)を、窒素雰囲気下で添加した。その反応混合物を密閉した加圧フラスコ中において70℃で2.5時間加熱して、室温まで冷却して、Celite(登録商標)を通して濾過した。その濾過ケーキをEtOAcで洗浄した。その合わせた濾液を、5%のNHOH溶液および水で洗浄し、NaSOで乾燥して、濃縮した。その粗生成物をカラムクロマトグラフィー(0〜10%のEtOAc/石油エーテル)によって精製して4−tert−ブチル−5−ニトロ−2−トリメチルシラニルエチニルフェニルアミンを褐色の粘性の液体として得た(25g、81%)。
【0299】
工程4:5−tert−ブチル−6−ニトロ−1H−インドール
【0300】
【化49】

DMF(100mL)中の4−tert−ブチル−5−ニトロ−2−トリメチルシラニルエチニルフェニルアミン(25g、86mmol)の溶液に、窒素雰囲気下でCuI(8.2g、43mmol)を添加した。その混合物を密閉した加圧フラスコ中において一晩135℃で加熱し、室温まで冷却してCelite(登録商標)を通して濾過した。その濾過ケーキをEtOAcで洗浄した。その合わせた濾液を水で洗浄し、NaSOで乾燥して濃縮した。その粗生成物をカラムクロマトグラフィー(10〜20%のEtOAc/ヘキサン)によって精製して5−tert−ブチル−6−ニトロ−1H−インドールを黄色の固体として得た(12.9g)。
【0301】
工程5:5−tert−ブチル−1H−インドール−6−イルアミン
【0302】
【化50】

ラネーNi(3g)をメタノール(100mL)中の5−tert−ブチル−6−ニトロ−1H−インドール(14.7g、67mmol)に添加した。その混合物を水素(1気圧)下において30℃で3時間撹拌した。その触媒を濾過した。その濾液をNaSOで乾燥して、濃縮した。その濃褐色の粘性の粗油状物を、カラムクロマトグラフィー(10〜20%のEtOAc/石油エーテル)によって精製して5−tert−ブチル−1H−インドール−6−イルアミンを灰色固体として得た(11g)。H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ10.3(br s,1H)、7.2(s,1H)、6.9(m,1H)、6.6(s,1H)、6.1(m,1H)、4.4(br s,2H)、1.3(s,9H)。
【0303】
調製5:炭酸メチル5−アミノ−4−フルオロ−2−(1−メチルシクロヘキシル)フェニル
工程1:4−フルオロ−2−(1−メチルシクロヘキシル)フェノール
【0304】
【化51】

600mLの乾燥CHClに溶解した4−フルオロフェノール(41.8g,373mmol)および1−メチルシクロヘキサノール(63.8g,560mmol)を、濃硫酸(98%,22.3mL,418mmol)で処理した。その混合物を室温で50時間撹拌した。次いで、反応混合物をCHCl2(250mL×3)によって抽出した。その有機層を飽和NaHCO水溶液で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空下でエバポレートした。その残滓をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製して4−フルオロ−2−(1−メチルシクロヘキシル)フェノールを濃い緑色の油状物として得た(47.6g)。H NMR(400MHz,CDCl)δ7.00(dd,J=3.2,11.2Hz,1H)、6.76−6.71(m,1H)、6.62−6.59(m,1H)、5.27(brs,1H)、2.13−2.07(m,2H)、1.70−1.37(m,8H)、1.32(s,3H)。
【0305】
工程2:炭酸メチル4−フルオロ−2−(1−メチルシクロヘキシル)フェニル
【0306】
【化52】

CHCl(250mL)中の4−フルオロ−2−(1−メチルシクロヘキシル)フェノール(23.5g,113mmol)、TEA(31mL,226mmol)およびDMAP(700mg、5.7mmol)の溶液に、クロロギ酸メチルを0℃で滴下した。その混合物を室温まで温め、2時間撹拌した。その反応混合物を砕いた氷に注いで、CHCl1(100mL×3)で抽出した。その有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧下でエバポレートした。その粗生成物を(ヘキサン:酢酸エチル=100:1)で希釈したシリカゲル上のクロマトグラフィーによって精製して炭酸メチル4−フルオロ−2−(1−メチルシクロヘキシル)フェニルを赤褐色の油状物として得た(43.9g,72.1%の収率)。H NMR(400MHz,CDCl)δ7.10(dd,J=3.2,11.2Hz,1H)、7.05−7.02(m,1H)、6.93−6.88(m,1H)、3.91(s,3H)、2.02−1.96(m,2H)、1.66−1.36(m,8H)、1.23(s,3H)。
【0307】
工程3:炭酸メチル4−フルオロ−2−(1−メチルシクロヘキシル)−5−ニトロフェニル
【0308】
【化53】

10mLの濃硫酸中の炭酸メチル4−フルオロ−2−(1−メチルシクロヘキシル)フェニル(21.5g,81mmol)の溶液を、濃硫酸(120mL)およびKNO(8.2g,81mmol)の氷冷混合物に0℃で滴下した。添加後、その反応混合物を外界温度まで温めながら15分間撹拌して、砕いた氷に注いで、酢酸エチル(120mL×3)で抽出した。その有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、真空中でエバポレートした。その残滓をシリカゲル(ヘキサン:エチルアセテート=100:1)でのクロマトグラフィーによって精製して炭酸メチル4−フルオロ−2−(1−メチルシクロヘキシル)−5−ニトロフェニルを黄色の油状物として得た(40.8g,81%の収率)。H NMR(400MHz,CDCl)δ7.90(d,J=6.8Hz,1H)、7.34(d,J=13.2Hz,1H)、3.97(s,1H)、2.02−1.96(m,2H)、1.73−1.45(m,8H)、1.39(s,3H)。
【0309】
工程4:炭酸メチル5−アミノ−4−フルオロ−2−(1−メチルシクロヘキシル)フェニル
【0310】
【化54】

220mLのCHOH中の炭酸メチル4−フルオロ−2−(1−メチルシクロヘキシル)−5−ニトロフェニル(24.1g、77.5mmol)の溶液に、Pd/Cの10%、9.6gを、次いで、ギ酸アンモニウム(26.7g,445mmol)を、出発材料が消費されるまで室温で上記反応混合物中に滴下した。その混合物を濾過してその濾液を真空下でエバポレートした。その残滓を、ヘキサン:酢酸エチル=50:1で希釈したシリカゲルでのカラム・クロマトグラフィーによって精製して炭酸メチル5−アミノ−4−フルオロ−2−(1−メチルシクロヘキシル)フェニルを赤褐色の油状物として得た(17.9g,82%の収率)。H NMR(400MHz,CDCl)δ6.99(d,J=13.6Hz,1H)、6.51(d,J=8.4Hz,1H)、3.89(s,3H)、3.43(brs,2H)、1.96−1.91(m,2H)、1.58−1.38(m,8H)、1.18(s,3H):MS m/z:281.9[M+H]
【0311】
工程5:2−tert−ブチル−5−アミノ−4−フルオロフェノール
【0312】
【化55】

EtOH(20mL)中の2−tert−ブチル−4−フルオロ−5−ニトロフェノール(400mg、1.88mmol)およびギ酸アンモニウム(400mg、6.1mmol)の還流溶液に、5%のPd−C(260mg)を添加した。その混合物をさらに1時間還流して、冷却し、Celiteを通して濾過した。その溶媒をエバポレーションによって除去して、2−tert−ブチル−5−アミノ−4−フルオロフェノール(550mg)を得た。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ8.83(br s,1H)、6.66(d,J=13.7Hz,1H)、6.22(d,J=8.5Hz,1H)、4.74(br s,2H)、1.26(s,9H);HPLC保持時間2.58分、10〜99%のCHCN、5分実施;ESI−MS 184.0 m/z(MH)。
【0313】
調製6:(S)−4−(2−メチルピロリジン−1−イル)−2−(トリフルオロメチル)アニリン
工程1:(S)−2−メチル−1−(4−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)ピロリジン
【0314】
【化56】

ACN中の(R)−3−メチルピロリジン(1.000g、8.226mmol)、4−フルオロ−1−ニトロ−2−(トリフルオロメチル)ベンゼン(1.72g、8.226mmol)およびEt3N(2.080g、2.865mL、20.56mmol)の溶液を5時間80℃で加熱した。その反応物を室温まで冷却し、水でクエンチして、その層を分離して、水相をDCMで抽出した。合わせた有機層を1MのHClで洗浄して、未反応のアミンを除去した。その有機層をNaSOで乾燥し、濾過して、濃縮し(S)−3−メチル−1−(4−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)ピロリジン(1.97g、7.184mmol)MS 275.0 m/z(MH)を得た。
【0315】
工程2:(S)−4−(2−メチルピロリジン−1−イル)−2−(トリフルオロメチル)アニリン
【0316】
【化57】

(S)−3−メチル−1−(4−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)ピロリジン(1g、3.646mmol)およびパラジウム(100mg、0.9397mmol)を充填したフラスコを、Nでフラッシュし、続いて真空中で排出する。メタノール(10mL)を、不活性雰囲気下で添加し、続いて真空中で排出した。この反応物を水素の雰囲気下に置き、その反応物を一晩撹拌した。Pd/Cを濾過して取り出し、その溶媒を減圧下で除去して、(S)−4−(3−メチルピロリジン−1−イル)−2−(トリフルオロメチル)アニリン(850mg、95%)MS 245.0m/z(MH)を得た。
【0317】
調製7:3−(トリフルオロメチル)−1H−インドール−6−アミン
工程1:2−(2,4−ジニトロフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロパン酸メチル
【0318】
【化58】

無水THF(11.0mL)中の1,4−ジニトロヨードベンゼン(2.12g、7.21mmol)の溶液に、−78℃で窒素下において塩化フェニルマグネシウム(THF中で2M)(4.0mL、8.0mmol,1.1当量)を滴下した。暗赤色溶液を−78℃で30分間撹拌し、次いで、トリフルオロピルビン酸メチル(0.75mL、8.65mmol、1.2当量)を滴下した。その反応混合物を−78℃で30分間、そして室温で2時間撹拌した。その反応物を−10℃まで冷却し、1MのHCl(6mL)の添加によってクエンチした。その混合物を水(10mL)およびDCM(30mL)で希釈した。その有機相を分離して、その水相をDCM(3×30mL)で抽出した。その有機相を合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して、乾燥するまで濃縮した。その粗残渣を、ヘキサン中の0.5〜30%の酢酸エチル勾配を用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、1.4gの2−(2,4−ジニトロフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロパン酸メチル(1.34g、60%)を得た。
【0319】
工程2:6−アミノ−3−ヒドロキシ−3−(トリフルオロメチル)インドリン−2−オン
【0320】
【化59】

酢酸エチル(18mL)中の2−(2,4−ジニトロフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロパン酸メチル(1.3g、4.01mmol)の溶液に、連続して、pH3 HCl(5.2mL)、次いで酢酸エチル(3mL)中のPdC(350mg)を添加した。その混合物をH(1気圧)下で一晩活発に撹拌した。その触媒を、Celiteを通して濾過して除き、その濾液を乾燥するまで濃縮した。得られた粗残渣を、DCM(25mL)と飽和NaHCO(15mL)水溶液との間で分配した。その有機相を分離して、その水相をDCM(2×25mL)で抽出した。その有機相を合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過して濃縮した。得られた粗残渣を、ヘキサン中の50〜100%の酢酸エチル勾配を用いて、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって精製して6−アミノ−3−ヒドロキシ−3−(トリフルオロメチル)インドリン−2−オン(921mg、99%)を得た。
【0321】
工程3:3−(トリフルオロメチル)−1H−インドール−6−アミン
【0322】
【化60】

無水THF(0.5mL)中の6−アミノ−3−ヒドロキシ−3−(トリフルオロメチル)インドリン−2−オン(58mg、0.25mmol)の溶液に、0℃で、BHTHF錯体(THF中に1M)(1mL、0.95mmol、4当量)を滴下した。その混合物を0℃で5分間次いで室温で3時間撹拌した。その反応物を、これ以上ガスの放出が観察されなくなるまで、極めて注意深く6MのHCl(3.5mL)を添加することによってクエンチした。次いで、その混合物を80℃で2時間撹拌した。その溶媒を減圧下で除去して、得られた固体残渣をDMF(3mL)に溶解し、濾過して、逆相HPLC(水中の10〜99%のACN)によって精製して3−(トリフルオロメチル)−1H−インドール−6−アミン(30mg、54%,TFA塩)を得た。
【0323】
調製8:(1−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)シクロペンチル)メタンアミン
工程1:1−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)シクロペンタンカルボニトリル
【0324】
【化61】

無水THF(5mL)中の水素化ナトリウム(600mg、15mmol)に0℃で、2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)アセトニトリル(1006mg、5mmol)を滴下し、次いで、その反応混合物を5分間撹拌し、続いてジブロモブタン(1075mg、5mmol)を滴下した。その反応混合物を16時間加熱還流し、次いで0℃まで冷却して、MeOH(1mL)でクエンチして、EtOAc(50mL)で希釈して、ブライン(3×50mL)で洗浄した。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥して、真空中で濃縮して1−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)シクロペンタンカルボニトリルを黄色の油状物として得た(905mg、71%)(H NMR(400MHz,CDCl3)7.50(dd,J=2.1,6.7Hz,2H)、7.25(d,J=8.2Hz,2H)、2.53−2.49(m,2H)、2.10−1.97(m,6H)。
【0325】
工程2:(1−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)シクロペンチル)メタンアミン
【0326】
【化62】

EtO(10mL)中の水素化リチウムアルミニウム(379mg、10mmol)にEtO(5mL)中の1−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)シクロペンタンカルボニトリル(905mg、4mmol)を0℃で滴下した。その反応混合物を室温で窒素雰囲気下において16時間撹拌し、次いで飽和硫酸ナトリウム溶液(3mL)でクエンチし、EtOで抽出した。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥して、真空中でエバポレートして(1−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)シクロペンチル)メタンアミンを油状物として得た(810mg、77%)。
【0327】
C.ナフチリジンカルボキサミドの調製
調製9:N−(5−tert−ブチル−1H−インドール−6−イル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,7−ナフチリジン−3−カルボキサミド
【0328】
【化63】

DMF(1mL)中の4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,7−ナフチリジン−3−カルボン酸(48mg、0.25mmol)、5−tert−ブチル−1H−インドール−6−アミン(48mg、0.25mmol)に、HATU(106mg、0.28mmol)、続いてトリエチルアミン(106μL,0.76mmol)を添加し、その反応混合物を80℃で16時間加熱した。次いで、その反応混合物を水中の10〜99%のACNでの逆相HPLCによって精製して、N−(5−tert−ブチル−1H−インドール−6−イル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,7−ナフチリジン−3−カルボキサミドを得た。MS m/z:361.5 [M+H]
【0329】
表1の化合物の分析データを表2に示す。
【0330】
【表2】

”−”は利用できるデータはないことを示すことに注意のこと。
【0331】
化合物のΔF508−CFTR増強特性を検出および測定するためのアッセイ
化合物のΔF508−CFTR変調特性をアッセイするための光学膜電位測定法
光学的膜電位アッセイは、蛍光変化の測定のための装置、例えば電位差/イオンプローブリーダー(VIPR)(Gonzalez,J.E.,K.Oades,ら、(1999)「Cell−based assays and instrumentation for screening ion−channel targets」Drug Discov Today 4(9):431〜439を参照のこと)と組み合わせて、GonzalezおよびTsienにより記載された電位感受性FRETセンサー(Gonzalez,J.E.およびR.Y.Tsien(1995)「Voltage sensing by fluorescence resonance energy transfer in single cells」Biophys J 69(4):1272〜80、およびGonzalez,J.E.およびR.Y.Tsien(1997)「Improved indicators of cell membrane potential that use fluorescence resonance energy transfer」Chem Biol 4(4):269〜77を参照のこと)を利用する。
【0332】
これらの電位感受性アッセイは、膜可溶性の電位感受性色素であるDiSBAC(3)と、蛍光リン脂質であるCC2−DMPE(それは、細胞膜の外葉に結合して、FRET供与体として作用する)との間の、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)における変化に基づく。膜電位(V)の変化は、負電荷のDiSBAC(3)が細胞膜を通過して再分布するのを誘発し、それに応じてCC2−DMPEからのエネルギー伝達量が変化する。蛍光発光の変化を、96ウェルまたは384ウェルのマイクロタイタープレートにおいて細胞ベースのスクリーニングを行うよう設計された、統合的な液体取扱装置および蛍光検出器であるVIPR(商標)IIを用いてモニターした。
【0333】
増強化合物の同定
代表的なプロトコールは、基底側から頂端膜のCl濃度勾配を利用した。この勾配を設定するため、生理的リンゲル溶液を基底側膜に用い、ニスタチン(360μg/mL)で透過処理し、一方、頂端NaClを、等モルのグルコン酸ナトリウムに置き換え(NaOHを用いてpH7.4に滴定)、上皮を横切る大きなCl濃度勾配を得た。全ての実験を、ニスタチン透過処理後30分に行った。フォルスコリン(10μM)および全ての試験化合物を、両サイドの細胞培養挿入物に添加した。推定上の△F508−CFTR増強剤の効果を、公知の増強剤であるゲニステインの効果と比較した。
【0334】
溶液
基底側溶液(mM):NaCl(135)、CaCl(1.2)、MgCl(1.2)、KHPO(2.4)、KHPO(0.6)、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)(10)、およびデキストロース(10)。溶液を、NaOHを用いてpH7.4に滴定した。
【0335】
頂端側溶液(mM):、NaClをグルコン酸Na(135)に置き換え、基底側溶液と同様にした。
【0336】
細胞培養
F508−CFTRを発現するフィッシャーラット上皮(FRT)細胞(FRT△F508−CFTR)を、本発明者らの光学アッセイにより同定された推定上の△F508−CFTR調節因子に関してユッシングチャンバー実験に用いた。細胞を、Costar Snapwell細胞培養インサート上で、37℃および5%COにて5日間、5%ウシ胎仔血清、100U/mLペニシリン、および100μg/mLストレプトマイシンを補充したCoonの修飾ハムF−12培地中で培養した。化合物の増強剤活性を特徴付けるために使用前に、この細胞を、△F508−CFTRの補正のために、16〜48時間、27℃でインキュベートした。補正化合物の活性を決定するため、細胞を、化合物の有無下で、27℃または37℃にて24時間、インキュベートした。
【0337】
2.細胞全体での記録
△F508−CFTRを安定に発現する、温度で補正したおよび試験化合物で補正したNIH3T3細胞における肉眼的△F508−CFTR電位(I△F508)を、穿孔パッチを用いて、細胞全体で記録をモニターした。要するに、I△F508の電圧固定記録を、Axopatch 200B patch−clamp amplifier(Axon Instruments Inc.,Foster City,CA)を用いて室温で行った。10kHzおよび1kHzでの低域フィルターのサンプリング回数で全ての記録を取得した。ピペットを細胞内溶液で満たしたとき、それは5〜6MΩの抵抗性を有した。これらの記録条件下で、室温でのClの計算した逆転電位(ECl)は、−28mVであった。全ての記録は、シール抵抗>20GΩおよび直列抵抗<15MΩを有した。パルス発生、データ収集、および分析を、Clampex 8(Axon Instruments Inc.)と組み合わせてDigidata 1320 A/D interfaceを装備したPCを用いて行った。この浴は、250μl未満の生理食塩水を含み、重力駆動のかん流システムを用いて、2mL/分の流速で連続的にかん流させた。
【0338】
本発明の化合物は、ATP結合カセット輸送体の調節因子として有用である。下の表3は、EC50および表1における特定の実施形態の相対的有効性を例示している。
【0339】
下の表3では、以下の意味を適用する:
EC50:「+++」は、10μM未満を意味し;「++」は、10μM〜25μMを意味し;「+」は、25μM〜60μMを意味する。
有効%:「+」は<25%を意味し;「++」は、25%〜100%を意味し;「+++」は、100%を上回ることを意味する。
【0340】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物
【化64】

であって、
は−Zであり、式中、各Zは独立して結合もしくは非置換のC1−6の分岐のもしくは直鎖の脂肪族鎖であって、かつRはアリールもしくはヘテロアリールであり、そのいずれかが任意に置換されているか、またはRは任意に置換されているアリールおよび任意に置換されているヘテロアリールから独立して選択される、1〜2個の基で置換されている3〜6員の脂環式であり;
各Rは独立して−X−Rであり、式中、各Xは独立して結合であるかもしくは任意に置換されているC1−6の直鎖もしくは分岐の脂肪族鎖であって、ここで、Xの最大2個までの炭素単位は任意にかつ独立して−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−、または−NR’SONR’−によって置換されており;
は独立してR’、ハロ、−NO、−CN、−CF、または−OCFであり;
各R’は水素であるかまたはC1−8脂肪族、3〜8員の飽和、部分的に不飽和、もしくは完全に不飽和であって、窒素、酸素もしくはイオウから独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する単環式の環、または8から12員の飽和、部分的に不飽和、もしくは完全に不飽和であって、窒素、酸素もしくはイオウから独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有する二環式の環系から選択される任意に置換された基であるか;あるいはR’の2つの存在はそれらが結合する原子(単数または複数)と一緒になって、任意に置換されている3〜12員の飽和、部分的に不飽和、もしくは完全に不飽和であって、窒素、酸素もしくはイオウから独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する単環式または二環式の環を形成し;
は水素であり;
は水素またはC1−6脂肪族基であって、−X−Rで任意に置換されており;かつ
各ZまたはZは独立して−CH−、−CR−、またはNであって、かつZまたはZのうちの少なくとも1つはNである、化合物、
あるいはその薬学的に許容可能な塩もしくは互変異性体。
【請求項2】
が、
【化65】

から選択され、
式中、環Aが、窒素、酸素もしくはイオウから独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の芳香族の単環式の環であるか;環Aが、任意に置換されているアリールおよび任意に置換されているヘテロアリールから独立して選択される1〜2個の基で置換されている3〜6員の脂環式であるか;または
およびAは一緒になって、8〜14員の芳香族、二環式もしくは三環式の芳香族環を形成し、ここで各環が窒素、酸素もしくはイオウから独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が0〜4個のヘテロ原子を有し、任意に置換されている6員の芳香族環であって、該ヘテロ原子が窒素である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
が任意に置換されているフェニルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
が、窒素、酸素もしくはイオウから独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有し、任意に置換されている6員の芳香族環である、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
が、窒素、酸素もしくはイオウから独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有し、任意に置換されている5員の芳香族環である、請求項2に記載の化合物。
【請求項7】
が、1〜2個の窒素原子を有する5員の芳香族環である、請求項2に記載の化合物。
【請求項8】
が:
【化66】

【化67】

から選択され、
式中、環Aが、2つの隣接する環原子を通じて環Aに縮合されている、請求項2に記載の化合物。
【請求項9】
およびRが水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
が水素、または任意に置換されているC1−3アルキルである、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
が水素または−CHである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
前記化合物が、式IIAまたは式IIB
【化68】

を有する、請求項2に記載の化合物。
【請求項13】
前記化合物が式IIIA、式IIIB、式IIIC、式IIIDまたは式IIIE
【化69】

を有しており、
式中:
、X、X、XおよびXの各々が独立してCHまたはNから選択され;かつ
がO、S、またはNR’である、請求項2に記載の化合物。
【請求項14】
式IIIA中のX、X、X、X、およびXの各々がCHである、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
、X、X、X、およびXが式IIIAの化合物中で一緒になって、ピリジル、ピラジニル、またはピリミジニルから選択される任意に置換されている環である、請求項13に記載の化合物。
【請求項16】
請求項13に記載の化合物であって、X、X、X、X、X、またはXが、式IIIB、式IIIB’、式IIIC、式IIIC’、式IIID、式IIID’の化合物中の環Aと一緒になって:
【化70】

【化71】

【化72】

【化73】

から選択される、任意に置換されている環である、化合物。
【請求項17】
前記化合物が、式IVA、式IVB、または式IVC:
【化74】

を有する、請求項2に記載の化合物。
【請求項18】
環Aが、O、SまたはNから選択される0〜3個のヘテロ原子を有する、任意に置換された、飽和、不飽和または芳香族の5〜7員の環である、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
請求項17に記載の化合物であって、該化合物が、式VA−1
【化75】

を有し、
式中、各WRW2およびWRW4が独立して、水素、CN、CF、OCF、ハロ、C1〜C6の直鎖もしくは分岐のアルキル、3〜12員の脂環式、フェニル、C5−C10ヘテロアリールまたはC3−C7複素環式から選択され、式中該ヘテロアリールまたは複素環式が、O、S、またはNから選択される最大3個までのヘテロ原子を有し、該WRW2およびWRW4が独立してかつ任意に−OR’、−CF、−OCF、SR’、S(O)R’、SOR’、−SCF、ハロ、CN、−COOR’、−COR’、−O(CHN(R’)(R’)、−O(CH)N(R’)(R’)、−CON(R’)(R’)、−(CHOR’、−(CH)OR’、CHCN、任意に置換されているフェニルまたはフェノキシ、−N(R’)(R’)、−NR’C(O)OR’、−NR’C(O)R’、−(CHN(R’)(R’)、または−(CH)N(R’)(R’)から選択される最大3個までの置換基で置換されており、
WRW5が、水素、ハロ、−OH、−NH、−CN、−CHF、−NHR’、−N(R’)、−NHC(O)R’、−NHC(O)OR’、−NHSOR’、−OR’、−CHOH、−CHN(R’)、−C(O)OR’、−C(O)N(R’)、−SONHR’、−SON(R’)、−OSON(R’)、−OSOCF、または−CHNHC(O)OR’から選択される、化合物。
【請求項20】
請求項19に記載の化合物であって、該化合物が式V−A−3:
【化76】

であって、式中、環Bが、5〜7員の単環もしくは二環式、複素環式またはヘテロアリール環であって、最大n個までの−Q−Rで任意に置換されており;
QがWであり;
がRであり;
mが0〜4であり;かつ
nが0〜4である、化合物。
【請求項21】
請求項17に記載の化合物であって、前記化合物が式V−B−2:
【化77】

を有し、
式中、
W1が水素またはC1−C6脂肪族であるか;
各RW3が水素またはC1−C6脂肪族であるか;または
両方のRW3が一緒になって、C3−C6シクロアルキルまたは複素環を形成し、O、S、またはNR’から選択される最大2個までのヘテロ原子を有しており、ここで、該環が任意に最大2個までのWR置換基で置換されており;かつ
mが0〜4である、化合物。
【請求項22】
WRW1が水素、C1−6脂肪族、C(O)C1−C6脂肪族、またはC(O)OC1−C6脂肪族である、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
請求項21に記載の化合物であって、各RW3が水素、C1−4アルキルであるか;または両方のRW3が一緒になって、C3−6脂環式環または5〜7員の複素環を形成し、O、S、またはNから選択される最大2個までのヘテロ原子を有しており、式中該脂環式または複素環が、WRW1から選択される最大3個までの置換基で任意に置換されている、化合物。
【請求項24】
請求項21に記載の化合物であって、環Aが:
【化78】

から選択され、
式中、該環が任意に置換されている、化合物。
【請求項25】
請求項24に記載の化合物であって、式V−B−3:
【化79】

を有し、
式中、
が水素、ハロ、CN、CF、CHF、CHF、任意に置換されているC1−6脂肪族、アリール−C1−6アルキル、またはフェニルであり、ここでGが任意に最大4個までのWR置換基で置換されており;ここで該C1−6脂肪族またはC1−6アルキルの最大2つのメチレン単位が任意に−CO−、−CONR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’CO−、−S−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、または−NR’SONR’−で置換されており;
は水素、CN、または任意に置換されているC1−6脂肪族であり;
ここで該インドール環系がさらに、WRから独立して選択される最大3個までの置換基で任意に置換されている、化合物。
【請求項26】
請求項25に記載の化合物であって、Gが水素であり、かつGがC1−6脂肪族であり、該脂肪族が、C1−6アルキル、ハロ、シアノまたはCFで任意に置換されており、かつここで該C1−6脂肪族またはC1−6アルキルの最大2個までのメチレン単位が任意に、−CO−、−CONR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’CO−、−S−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、または−NR’SONR’−で置換されている、化合物。
【請求項27】
請求項25に記載の化合物であって、Gが水素であり、かつGがシアノ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シアノメチル、メトキシエチル、CHC(O)OMe、(CH−NHC(O)O−tert−But、またはシクロペンチルである、化合物。
【請求項28】
請求項25に記載の化合物であって、Gが水素、CNまたはCFであり、かつGがハロ、C1−6脂肪族またはフェニルであり、該脂肪族またはフェニルが任意にC1−6アルキル、ハロ、シアノ、またはCFで置換されており、ここで該C1−6脂肪族またはC1−6アルキルの最大2個までのメチレン単位が任意に−CO−、−CONR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’CO−、−S−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−、または−NR’SONR’−で置換されている、化合物。
【請求項29】
請求項28に記載の化合物であって、Gが水素、CNまたはCFである、かつGがハロ、エトキシカルボニル、t−ブチル、2−メトキシフェニル、2−エトキシフェニル、(4−C(O)NH(CH−NMe)−フェニル、2−メトキシ−4−クロロ−フェニル、ピリジン−3−イル、4−イソプロピルフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、sec−ブチルアミノカルボニル、エチル、t−ブチル、またはピペリジン−1−イルカルボニルである、化合物。
【請求項30】
前記化合物が表1から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項31】
請求項1に記載の式Iの化合物、および薬学的に許容可能な担体またはアジュバントを含んでいる、医薬組成物。
【請求項32】
前記組成物が、粘液溶解剤、気管支拡張剤、抗生物質、抗感染症剤、抗炎症剤、CFTR調節因子、または栄養性剤から選択される追加の薬剤を含む、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
CFTRと式(I)の化合物:
【化80】

またはその薬学的に許容可能な塩または互変異性体とを接触させる工程を包含する、CFTR活性を調節する方法であって、式中:
は−Zであり、各Zが独立して結合であるか、もしくは非置換のC1−6の分岐のもしくは直鎖の脂肪族鎖であり、かつRはアリールまたはヘテロアリールであり、そのいずれかが任意に置換されているかまたはRは任意に置換されているアリールおよび任意に置換されているヘテロアリールから独立して選択される、1〜2個の基で置換されている3〜6員の脂環式であり;
各Rは独立して−X−Rであり、式中、各Xは独立して結合であるかもしくは任意に置換されているC1−6の直鎖もしくは分岐の脂肪族鎖であって、ここでXの最大2個までの炭素単位は任意にかつ独立して−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO、−SO−、−NR’−、−SONR’−、−NR’SO−、または−NR’SONR’−によって置換されており;
は独立してR’、ハロ、−NO、−CN、−CF、または−OCFであり;
各R’は水素であるかまたはC1−8脂肪族、3〜8員の飽和、部分的に不飽和、もしくは完全に不飽和であって、窒素、酸素もしくはイオウから独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する単環式の環、または8から12員の飽和、部分的に不飽和、もしくは完全に不飽和であって、窒素、酸素もしくはイオウから独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有する二環式の環系から選択される任意に置換された基であるか;あるいはR’の2つの存在はそれらが結合する原子(単数または複数)と一緒になって、任意に置換されている3〜12員の飽和、部分的に不飽和、もしくは完全に不飽和であって、窒素、酸素もしくはイオウから独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する単環式または二環式の環を形成し;
は水素であり;
は水素またはC1−6脂肪族基であって、−X−Rで任意に置換されており;かつ
各ZまたはZは独立して−CH−、−CR−、またはNであって、かつZまたはZのうちの少なくとも1つはNである、
方法。
【請求項34】
患者における疾患を処置またはその重症度を緩和する方法であって、該疾患が、嚢胞性線維症、遺伝性肺気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝血−線維素溶解欠損症、例えば、プロテインC欠乏症、1型遺伝性血管浮腫、脂質処理欠損症、例えば、家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポタンパク質血症、リソソーム蓄積症、例えば、I細胞病/偽性ハーラー病、ムコ多糖体症、サンドホフ/テイ−サックス病、クリグラ−ナジャーII型、多発性内分泌腺症/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠乏症;原発性副甲状腺機能低下症、黒色腫、グリカン糖鎖異常CDG1型、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノゲン血症、ACT欠乏、尿崩症(DI)、ニューロフィシン性DI、腎性DI、シャルコー・マリー・ツース症候群、ペリツェウス−メルツバッハー病、神経変性疾患、例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上麻痺、ピック病、いくつかのポリグルタミン神経学的障害、例えば、ハンチントン病、脊髄小脳性運動失調I型、球脊髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症および筋強直緊張性ジストロフィー、ならびに、海綿状脳症、例えば、遺伝性クロイツフェルト−ヤコブ病(プリオンタンパク質処理欠陥に起因する)、ファブリー病、ストロイスラー・シャインカー症候群、COPD、ドライアイ疾患、またはシェーグレン病から選択され、該方法は、該患者に対して、請求項33に記載の式Iの化合物の有効量を投与する工程を包含する、方法。
【請求項35】
インビトロまたはインビボにおいて生体サンプル中でCFTRまたはその断片の活性を測定するのに使用するためのキットであって、
(i)請求項33に記載の式(I)の化合物を含んでいる組成物と;
(ii)以下:
a)該組成物と該生体サンプルとを接触させる工程;
b)該CFTRまたはその断片の活性を測定する工程;
のための説明書と;
を備える、キット。
【請求項36】
請求項35に記載のキットであって、
a)追加の組成物と前記生体サンプルとを接触させる工程と;
b)該追加の化合物の存在下で前記CFTRまたはその断片の活性を測定する工程と;
c)該追加の化合物の存在下における該CFTRの活性と、式(I)の組成物の存在下におけるCFTRの密度とを比較する工程と;
のための説明書をさらに備える、キット。

【公表番号】特表2010−539185(P2010−539185A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525061(P2010−525061)
【出願日】平成20年9月15日(2008.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/076376
【国際公開番号】WO2009/036412
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】