説明

四方シール包装体の製造装置

【課題】開封摘み部を設けて四方シールした包装体を効率的に大量生産することができるようにした四方シール包装体の製造装置を提供する。
【解決手段】この装置は、長さ方向に搬送されながら重ね合わされる包材原反201と包材原反202との間に次々と挟まれた被包装物(製剤1)を囲むように四方シールするシール手段10と、一端側に開封起点となる開封摘み部211,221を設けるように両包材原反201,202を打ち抜くことによって包装体Aを連続して製造するフルカット手段30とを備えている。シール手段10は、製剤1が幅方向に複数列に並べられる幅の2本の包材原反201,202を、製剤1ごとに四方シールする。フルカット手段30は、製剤1ごとに開封摘み部211,221を設け、かつ、開封摘み部211,221を設けない三方でシールされた2枚の包材原反201,202を完全に打ち抜く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、フィルム製剤のような扁平な被包装物を包装袋に密封し、一端部に開封摘み部を設けた包装体を製造するための四方シール包装体の製造装置に関し、詳しくは、2本の包材原反が被包装物を両面から挟み、被包装物の周囲を四方シールした後、2本の包材原反を打ち抜くことによって包装体を製造する四方シール包装体の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
可食性フィルムに薬物や医薬成分を配合し、水なしで飲めるようにしたフィルム製剤(以下、「製剤」という。)は、包装袋に密封された包装体として携行できるようにされている。
【0003】
図11及び図12に示すように、包装体Aは、例えば5cm×7cm程度の大きさの2枚のシート体210,220の間に例えば2cm×2.5cm程度の大きさの製剤1を挟み、この製剤1を囲むように2枚のシート体210,220を四方シールすることで製剤1を密封している(シールされている部位をドットで示す。以下同じ。)。なお、図面では、シート体210,220及び製剤1は、見易くするため、厚さを誇張して描いてある。
【0004】
この四方シールは、頂部を有するヘ字状の2辺とコ字状の3辺とを組み合わせた五角形にイージーピールによって施され、へ字状の頂部から容易に開封することができるようにされている。そして、この包装体Aは、ヘ字状の2本のシールを施した側に開封摘み部211,221を設けている。したがって、ヘ字状の2本のシールは、両シート体210,220の一端縁よりも内側寄りに施され、一端縁とへ字状のシールとの間が開封摘み部211,221とされている。
【0005】
また、図11及び図12(a)に示した包装体Aは、表面(図面において上)側の開封摘み部221が裏面(図面において下)側の開封摘み部211よりも短くされることで、2枚の開封摘み部211,221を摘み易くしている。ただし、図12(a)に示した包装体Aは、コーナーを円弧状とすることで、コーナーが指などに当たっても突き刺さらないようにしている。また、包装体Aは、図12(b)に示すように、両方の開封摘み部211,221を同じ長さとしたものも提供されている。
【0006】
このような包装体Aは、図13に示すような四方シール包装体の製造装置によって製造される。この製造装置は、製剤原反の供給手段110、ハーフカット手段120、製剤の転載手段130、包材原反の供給手段140、メインローラ150、シール手段160、カット手段170を備えている。
【0007】
製剤原反の供給手段110は、ロール状に巻回された製剤原反100をハーフカット手段120の方へ送り出す。製剤原反100は、可食性のライナー100a上に薬物や医薬成分を配合した薬剤を積層したもので、薬剤がライナー100aから剥離できるようにされている。
【0008】
そして、ハーフカット手段120は、製剤原反100が半周程度巻き付くドラム121や、このドラム121に巻きついている製剤原反100の薬剤に切込みを入れる刃を設けたローラ122などを備えている。
【0009】
そして、製剤の転載手段130は、薬剤に切込みを入れて直列に次々と形成された製剤1を包材原反200に転載するためのナイフエッジ部材131やライナー100aを引っ張るニップローラ132などを備えている。ナイフエッジ部材131は、ニップローラ132に引っ張られるライナー100aから製剤1を剥離して、この製剤1をメインローラ150の上部(時計の文字盤で12時の位置)に押し付ける。
【0010】
そして、包材原反の供給手段140は、包装袋となるシート体210,220の2倍の幅の包材原反200をロール状に巻回した状態から繰り出す。ロールから繰り出された包材原反200は、スリッター141によって中心線で切断されて2本の包材原反201,202とされた後、一方(裏面側)の包材原反201がメインローラ150の上流側に送られてメインローラ150の下部(時計の文字盤で6時の位置)で接触し、他方(表面側)の包材原反202がメインローラ150の下流側に送られ、ともに水平方向に連続して搬送される。
【0011】
そして、メインローラ150は、ライナー100aから次々と剥離した製剤1を一定の間隔を空けて半周程度吸着しながら一方向(図面では反時計方向)に回転し、下部において接触している裏面側の包材原反201に製剤1を転載する。そして、メインローラ150下流側では製剤1を次々と1列に転載した裏面側の包材原反201に表面側の包材原反202に被せられる。すなわち、裏面側の包材原反201と表面側の包材原反202が製剤1を挟むように重ね合わされる。
【0012】
そして、シール手段160は、重なり合った裏面側と表面側の包材原反201,202を挟んでヒートシールする一対のロールで、ロール本体161の周面にはシールする形状の凸部162が突出している。このシール手段160は、包材原反201,202の搬送方向にロール本体161を二対並列、換言すれば、合計4本配置している。
【0013】
そして、カット手段170は、シール手段160の下流側に設けられ、スリッター171とトップカッター172とを組み合わせたものである。スリッター171は、上流側に設けられ、シールされた包材原反201,202の両側部を切断し、この両側部は、耳スクラップ203として廃棄される。トップカッター172は、包材原反201,202を幅方向に切断し、包装体Aとして完成させる。
【0014】
このような装置にあっては、多数の製剤1が一定の間隔を空けて、裏面側の包材原反201と表面側の包材原反202の間に次々と挟まれ、シール手段160が各製剤1を囲むように裏面側の包材原反201と表面側の包材原反202を四方シールし、カット手段170がシールされた包材原反201,202を切断することで、開封摘み部211,2221を設けた包装体Aを1列に並んだ状態に次々と製造する。
【0015】
なお、上方から下方へ鉛直方向に搬送(下降)する2枚の包装紙間に顆粒体や紛体などの内容物を充填した予備包装体を3列で連続して形成し、この予備包装体を分離切断することで四方シール型包装体を製造する製造装置についての発明が特許文献1に記載されている。
【0016】
この製造装置は、2枚の包装紙を挟持する一対のヒータローラ、予備包装体を挾持して分離切断するカッタローラと受けローラなどを備えている。ヒータローラには、予備包装体を3列で製造するための凹部が横方向に3列に形成され、この凹部を囲むように凸部が形成されている。そして、カッタローラと受けローラとによって切断された包装体は、3個ずつコンベア上に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2003−94536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
図13に示した従来の製造装置は、包装体Aを1列ずつ製造するが、短時間に大量生産するため、包装体Aを3列以上、好ましくは4列以上並列した状態で製造することが好ましい。一方、特許文献1に記載された四方シール型包装体の製造装置は、包装体を3列ずつ製造するが、包装体に開封摘み部を設けるための手段を備えていない。
【0019】
そこで、本発明は、開封摘み部を設けて四方シールした包装体を効率的に大量生産することができるようにした四方シール包装体の製造装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明に係る四方シール包装体の製造装置は、長さ方向に搬送されながら重ね合わされる包材原反と包材原反との間に次々と挟まれた被包装物を囲むように四方シールするシール手段と、一端側に開封摘み部を設けるように両包材原反を打ち抜くことによって包装体を連続して製造するフルカット手段とが備えられている四方シール包装体の製造装置であって、前記シール手段は、被包装物が幅方向に複数列に並べられる幅の2本の包材原反を、被包装物ごとに、かつ、開封摘み部同士が隣り合って向き合い、開封摘み部を設けない部位同士が向き合うように四方シールする枠状の突出部を有し、前記フルカット手段は、被包装物ごとに開封摘み部を設けるように一端側でシールされた部位から離れた部位で2本の包材原反を完全に打ち抜き、かつ、開封摘み部を設けない三方でシールされた部位で2本の包材原反を完全に打ち抜く枠状の刃を有していることを特徴としている。
【0021】
この四方シール包装体の製造装置は、幅方向に複数列並べることのできる幅広の包材原反から包装体を製造するシール手段とフルカット手段とを備えている。被包装物は、包装原反の幅方向に複数列に並べられ、長さ方向に搬送される2本の包装原反の間に次々と挟まれ、シール手段が重ね合わされた包材原反と包材原反を四方シールする。
【0022】
この四方シールは、各被包装物を個別に密封し、しかも、開封摘み部を設けるように包材原反の幅方向に間隔を空けるように施される。すなわち、開封摘み部は、包材原反の幅方向に隣り合っている一組の被包装物間に設けられ、この被包装物の開封摘み部を設けていない側で隣り合っている被包装物の間には設けられない。
【0023】
そして、フルカット手段は、包材原反の幅方向に密封された各被包装物ごとに2本の包材原反を打ち抜く。すなわち、フルカット手段は、被包装物ごとに摘み部を設けるように一端側でシールされた部位から離れた部位で2本の包材原反を完全に打ち抜き、かつ、摘み部を設けない三方でシールされた2枚の包材原反を打ち抜く。このようにして、この四方シール包装体の製造装置は、包材原反の幅方向に包装体を複数ずつ製造することができる。
【0024】
また、前記本発明に係る四方シール包装体の製造装置において、前記開封摘み部の一方側を他方側よりも短くした包装体を製造するため、前記2本の包材原反の間で包材原反の幅方向に隣り合って挟まれている被包装物側に近寄った位置で一方側の包材原反のみ打ち抜く刃を有するハーフカット手段が備えられていることが好ましい。
【0025】
この四方シール包装体の製造装置によれば、ハーフカット手段が一方側の包材原反のみ打ち抜き、他方側の包材原反を打ち抜かないため、ハーフカット手段によって打ち抜かれた一方側の包材原反が帯状の中間スクラップとして除去される。したがって、打ち抜かれなかった他方側の包材原反が打ち抜かれた一方側の包材原反から突出し、製造された包装体は、一方側の包材原反から形成される開封摘み部が他方側の包材原反から形成される開封摘み部よりも短くすることができる。
【0026】
また、前記本発明に係る四方シール包装体の製造装置において、コーナーを円弧状とした包装体を製造するため、前記フルカット手段は、前記枠状の刃のコーナーが円弧状とされ、包材原反の幅方向に隣り合っている刃と刃との間に間隔が空けられていることが好ましい。
【0027】
包装体のコーナーが角張っていると、このコーナーが指などに当たると痛みを感じることから、コーナーを円弧状にした包装体も提供されている。包装体のコーナーを円弧状とするため、フルカット手段の枠状の刃は、コーナーが円弧状に形成される。そして、仮に、包材原反の幅方向に隣り合っている刃と刃との間に間隔が空けられていないフルカット手段によって包材原反を打ち抜くと、隣り合って製造される包装袋の間に四角形星型状の小片のチップスクラップが形成される。しかし、この微小なスクラップは、いずれかの包装体に付着して除去しにくいものとなる。
【0028】
そこで、この四方シール包装体の製造装置では、包材原反の幅方向に隣り合っている刃と刃との間に間隔を空けることにより、包装体のコーナーを円弧状に形成し、一方、包装体のコーナーを形成する部分から変形三角状の突出部が突出した帯状の中間スクラップを形成する。この中間スクラップは、製造される包装体に付着することなく、廃棄することができる。
【0029】
また、前記本発明に係る四方シール包装体の製造装置において、前記シール手段は、ヒートシールローラを備えていることが好ましい。
【0030】
この四方シール包装体の製造装置によれば、シール手段がヒートシールローラを備えていることで、包材原反を長さ方向に連続して搬送し、ヒートシールローラが包材原反を挟むように回転することで、2枚の包材原反を連続して四方シールすることができる。
【0031】
また、前記本発明に係る四方シール包装体の製造装置において、前記フルカット手段は、ダイロールを備えていることが好ましい。
【0032】
この四方シール包装体の製造装置によれば、フルカット手段がダイロールを備えていることにより、包材原反を長さ方向に連続して搬送し、ダイロールが包材原反に接触しつつ回転することで、2枚の包材原反を連続して打ち抜くことができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、シール手段及びフルカット手段によって包材原反の幅方向に並べられた複数の被包装物ごとに四方シールした包装体を製造することができるため、四方シール包装体の生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る四方シール包装体の製造装置の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図2】本発明に係る四方シール包装体の製造装置を構成しているシール手段の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図3】本発明に係る四方シール包装体の製造装置を構成しているハーフカット手段の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図4】本発明に係る四方シール包装体の製造装置を構成しているフルカット手段の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図5】本発明に係る第1の実施形態の四方シール包装体の製造装置によって包装体を製造する途中を示し、(a)は四方シールされた状態の平面図、(b)は(a)のV−V線断面面図である。
【図6】本発明に係る第1の実施形態の四方シール包装体の製造装置によって包装体を製造する途中を示し、(a)はハーフカット手段によって一方の包材原反を完全に打ち抜いた状態の平面図、(b)は(a)のVI−VI線断面面図である。
【図7】本発明に係る第1の実施形態の四方シール包装体の製造装置によって包装体を製造する途中を示し、(a)はフルカット手段によって両方の包材原反及び他方の包材を完全に打ち抜いた状態の平面図、(b)は(a)のVII−VII線断面面図である。
【図8】本発明に係る第2の実施形態の四方シール包装体の製造装置を構成しているフルカット手段の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図9】本発明に係る第2の実施形態の四方シール包装体の製造装置によって包装体を製造する途中を示し、(a)はフルカット手段によって一方の包材原反及び他方の包材を完全に打ち抜いた後の状態の平面図、(b)は(a)のIX−IX線断面面図である。
【図10】本発明に係る第3の実施形態の四方シール包装体の製造装置によって包装体を製造する途中を示し、(a)はフルカット手段によって一方の包材原反及び他方の包材を完全に打ち抜いた後の状態の平面図、(b)は(a)のX−X線断面面図である。
【図11】(a)は包装体の一例を示す分解斜視図、(b)は包装体の一例を示す斜視図である。
【図12】(a)は図11と異なる包装体を示す斜視図、(b)は、さらに異なる包装体を示す斜視図である。
【図13】従来の四方シール包装体の製造装置を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明に係る四方シール包装体の製造装置の第1の実施形態について図1ないし図7を参照しながら説明する。なお、第1の実施形態では、図11に示したような包装体A、すなわち上側の開封摘み部221が下側の開封摘み部211よりも短く、また、コーナーが直角に角張った包装体Aを製造する。
【0036】
この第1の実施形態の四方シール包装体の製造装置は、図1に示すように、製剤の供給手段(図示せず)の下流側にシール手段10、ハーフカット手段20、フルカット手段30を搬送ラインL上に連続するように配置している。
【0037】
製剤の供給手段は、幅広(実施形態では4枚の製剤1分の幅)の製剤原反(図13のおける符号10に相当)をロール状に巻回したロールと、このロールから繰り出された製剤原反を複数本(図面では4本)の細長い製剤テープに切断するカッターと、隣り合っている製剤テープの間に隙間を空けるローラと、製剤テープを幅方向に切断することで製剤1を形成するカッターとを備えている。
【0038】
そして、搬送ラインLでは、前記製剤の供給手段の下流側で、裏面側の包材原反(以下、「下側原反」という。)201が水平方向に搬送され、表面側の包材原反(以下、「上側原反」という。)202が下側原反201の上に重なって下側原反201と同一速度で水平方向に搬送される。下側原反201も上側原反202も、同じ幅であるが、複数枚(図面では4枚)の製剤1と隣り合っている製剤1の隙間を合わせた長さ以上の広幅のものが使用される。
【0039】
そして、下側原反201の上流端において製剤1が下側原反201に移載され、その下流側で上側原反202が製剤1を覆うように下側原反201に重ね合わされる。換言すれば、下側原反201と上側原反202が幅方向にも長さ方向にも多数枚の製剤1を等間隔に空けて次々と挟む。
【0040】
そして、シール手段10は、製剤1を挟んだ下側原反201と上側原反202とを製剤1ごとに四方シールする。したがって、このシール手段10は、図2に示すように、四方シールする枠状(図面では五角形)の突出部11bを周方向に回転するロール本体11aの外周面に複数個設けたヒートシールローラ11によって構成されている。
【0041】
また、シール手段10は、ヒートシールローラ11がそれぞれ下側原反201と上側原反202を挟み、上流側と下流側で2組すなわち4本配置され、下側,上側原反201,202が高速で搬送されても、必要な強度をもって確実に四方シールすることができるようにされている。なお、例えば、下側,上側原反201,202及び製剤1が低速に搬送されるなどの場合は、ヒートシールローラ11は一組のみ配置してもよい。
【0042】
また、突出部11bは、図面において五角形状にヒートシールするため、ヘ字状の頂部とコ字状の底部及び一対の側部とを連続して枠状に突出している。この実施形態では、軸方向両端の突出部11bの底部がロール本体11aの各端面と同一面に突出し、下側,上側原反201,202の両側縁部もシールする。
【0043】
そして、ヒートシールローラ11の中心線において突出した中間の突出部11bの底部が連続して隣り合っている。また、外側の突出部11bと中間の突出部11bは、間隔を空けて頂部が向き合って突出している。そして、周方向に隣り合っている突出部11bは、側部同士が連続している。
【0044】
そして、ハーフカット手段20は、図3に示すような上側原反202のみ打ち抜く刃21bをロール本体21aの外周から突出したダイロール21と、受け台であるアンビルロール22とを組み合わせたものとされている。このダイロール21の刃21bは、前記ヒートシールローラ11の向き合っている頂部の突出部11bによってヘ字状にヒートシールされた間を打ち抜く位置に2枚ずつ突出している。また、このダイロール21は、ロール本体21aの両端に、上側原反202の両側部を押さえる膨出部21cを設けている。
【0045】
このダイロール21とアンビルロール22が下側,上側原反201,202を挟み、一方の包材原反である上側原反202のみ2枚の刃21bの幅で打ち抜き、打ち抜かれた幅狭の上側原反202が中間スクラップ204として除去される。
【0046】
そして、フルカット手段30は、上側原反202がハーフカット手段20によって打ち抜かれて中間スクラップ204として除去されることで、露出している他方の包材原反である下側原反201の部分と、ハーフカット手段20によって切除されていない上側原反202及び下側原反201の部分とを打ち抜く刃31bをロール本体31aから突出したダイロール31と、受け台であるアンビルロール32とを組み合わせたものとされている。
【0047】
また、このダイロール31の刃31bは、包装体Aの外形に合わせて四角形枠を軸方向に複数(図面では4つ)並列し、かつ、周方向にも並列して突出、換言すれば、格子状に突出している。また、このダイロール31も、ロール本体31aの両端に、上側原反202の両側部を押さえる膨出部31cを設けている。
【0048】
この第1の実施形態の四方シール包装体の製造装置は、以上のように構成され、次に包装体の製造方法について説明する。
【0049】
この製造装置では、上流側に配置された製剤の供給手段によって製剤原反から切断された製剤1を下側原反201と上側原反202が挟む。下側原反201と上側原反202は、製剤1を幅方向に複数枚(図面では4枚)ずつ間隔を空けて、また、長さ方向にも間隔を空けて次々と挟む。
【0050】
そして、シール手段10が下側原反201と上側原反202を挟むことで、各製剤1を囲むように長さ方向に連続して四方シールする。この実施形態では、下側原反201と上側原反202は、図5に示すように、原反の中心線を対象にして、へ字状(図面ではく字状と逆く字状)の2辺のシールが向き合い、この2辺のシールの間に開封摘み部211,221となる部位が設けられている。また、下側原反201と上側原反202の中心線上と両側縁部もシールされる。
【0051】
このように四方シールされた下側原反201と上側原反202は、シール手段10の下流側のハーフカット手段20の方へ搬送される。ハーフカット手段20は、図6に示すように、下側,上側原反201,202の幅方向に隣り合って設けられる一方の開封摘み部221が他方の開封摘み部211よりも短くなるように、上側原反202のみを製剤1側に近寄った位置で打ち抜き、この打ち抜かれた幅狭の中間スクラップ204は、図1に示すように除去される。
【0052】
この中間スクラップ204が除去された下側原反201と上側原反202は、ハーフカット手段20の下流側のフルカット手段30の方へ搬送される。フルカット手段30は、図7に示すように、中間スクラップ204が除去された部位では下側原反201のみ、また、それ以外の部位では上側原反202と下側原反201を打ち抜くことで、包装体Aを製造する。なお、図7では、見やすくするため、各包装体A間に大き目の隙間が描かれているが、実際は、各包装体A間には、刃31b分の隙間が空けられるだけである。
【0053】
この包装体Aは、図11に示すように、上側の開封摘み部221が下側の開封摘み部221よりも短く、また、コーナーが直角に角張って形成されている。なお、上側,下側原反202,201の両側部は、図1に示すように、帯状の耳スクラップ203として除去される。
【0054】
次に、第2の実施形態について図8及び図9を参照しながら説明する。第2の実施形態は、図12(a)に示したようなコーナーが円弧状に形成された包装体Aを製造する。
【0055】
包装体Aのコーナーを円弧状とするには、上側原反202及び下側原反201を打ち抜くフルカット手段30が四角形の枠状の刃31bのコーナーを円弧状としたダイロール31を使用する。
【0056】
第1の実施形態において説明したように、フルカット手段30が包装体Aを刃31bの隙間だけで、円弧状のコーナーを形成するように上側原反202及び下側原反201を打ち抜くと、隣り合っている4枚の包装体Aで囲まれた部分に、ほぼ四角形星型状の小片のチップスクラップが形成される。しかし、このチップスクラップは、小片であるがゆえに、除去することが困難であり、何れかの包装体Aに付着したままとなりやすい。
【0057】
そこで、第2の実施形態の四方シール包装体の製造装置では、チップスクラップを形成することなく、コーナーを円弧状にした包装体Aを製造するため、図8に示すようなフルカット手段30を使用する。このフルカット手段30は、軸方向に隣り合っている四角形枠状の刃31bと四角形枠状の刃31bとの間に間隔が空けられ、各四角形枠状の刃31bのコーナーが円弧状とされている。
【0058】
このようなフルカット手段30によって上側原反202及び下側原反201を打ち抜いて包装体Aを製造する場合も、包装体Aは、第1の実施形態同様、幅方向に複数(図面では4枚)の製剤1を上下から上側原反202と下側原反201とが挟み、図5に示すように、シール手段10によって製剤1の周囲を四方シールし、図6に示すように、ハーフカット手段20によって開封摘み部221を設ける側の上側原反202を打ち抜き、中間スクラップ204として除去する。
【0059】
この上側原反202と下側原反201は、ハーフカット手段20よりも下流側に搬送され、フルカット手段30が部分的に下側原反201のみ、また、別の部分で上側原反202と下側原反201を打ち抜く。すなわち、フルカット手段30は、ハーフカット手段20によって上側原反202が中間スクラップ204として除去された部位において下側原反201のみ打ち抜き、中間スクラップ204として除去されていない部位において上側原反202と下側原反201を打ち抜く。
【0060】
そして、フルカット手段30は、軸方向に隣り合っている刃31bと刃31bとの間に間隔が空けられていることから、軸方向に隣り合って製造する包装体Aと包装体Aとの間に(図面において3本の)中間スクラップ204を形成する。この中間スクラップ204には、長さ方向に隣り合って製造される包装体Aと包装体Aとの境界に変形V字状(一対の円弧状)に食い込む突出部が形成されている。
【0061】
したがって、製造された包装体Aは、図9に示すように、コーナーが円弧状に形成され、さらに、中間スクラップ204によって小片のチップスクラップが何れかの包装体Aに付着しないものとなっている。このようにして、第2の実施形態においては、図12(a)に示したような包装体Aを次々と製造することができる。
【0062】
次に、第3の実施形態について図10を参照しながら説明する。第3の実施形態は、図12(b)に示したような一対の開封摘み部211,221が同じ長さとされた包装体Aを製造する。したがって、第3の実施形態では、ハーフカット手段20を備えておらず、図2に示すようなシール手段10が各製剤1を四方シールした後、図4に示すようなフルカット手段30が上側,下側原反202,201を打ち抜くことで、図10に示すように包装体Aを次々と製造する。
【0063】
なお、本発明は、第1ないし第3の実施形態に限定することなく種々変更することができる。例えば、第3の実施形態において説明した一対の開封摘み部211,221が同じ長さの包装体Aであっても、図8に示すようなフルカット手段30を使用することで、第2の実施形態で説明したようにコーナーを円弧状に形成することができる。
【0064】
また、前記の実施形態では、上側原反202及び下側原反201の幅方向に対して包装体Aを4枚ずつ製造する場合について説明したが、原反の中心線に対して対象となるような6枚ずつや8枚ずつなど偶数枚ずつ製造することができることはいうまでもなく、3枚ずつや5枚ずつなど奇数枚ずつ製造してもよい。
【0065】
また、上側,下側原反202,201を間歇的に搬送することにより、シール手段10は、ヒートシールローラ11でなく昇降動するプレートに四方シールする枠状の突出部11bを設け、ハーフカット手段20及びフルカット手段30は、ダイロール31でなく、昇降動するプレートに枠状の刃31bを突出したものとしてもよい。
【0066】
また、包装体Aに包装される被包装物は、製剤1に限定することなく、扁平な食品や日用品であってもよい。また、四方シール包装体は、五角形状でなく、四角形状に四方シールしたものであっても、シール手段10の突出部11bを四角形状とすることで前記実施の形態と同様に製造することができる。
【符号の説明】
【0067】
1………被包装物(製剤)
10……シール手段
11……ヒートシールローラ
11b…突出部
20……ハーフカット手段
21……ダイロール
21b…刃
30……フルカット手段
31……ダイロール
31b…刃
201…他方の包材原反(下側原反)
202…一方の包材原反(上側原反)
211…開封摘み部
221…開封摘み部
A………包装体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ方向に搬送されながら重ね合わされる包材原反と包材原反との間に次々と挟まれた被包装物を囲むように四方シールするシール手段と、一端側に開封摘み部を設けるように両包材原反を打ち抜くことによって包装体を連続して製造するフルカット手段とが備えられている四方シール包装体の製造装置であって、
前記シール手段は、被包装物が幅方向に複数列に並べられる幅の2本の包材原反を、被包装物ごとに、かつ、開封摘み部同士が隣り合って向き合い、開封摘み部を設けない部位同士が向き合うように四方シールする枠状の突出部を有し、前記フルカット手段は、被包装物ごとに開封摘み部を設けるように一端側でシールされた部位から離れた部位で2本の包材原反を完全に打ち抜き、かつ、開封摘み部を設けない三方でシールされた部位で2本の包材原反を完全に打ち抜く枠状の刃を有していることを特徴とする四方シール包装体の製造装置。
【請求項2】
前記開封摘み部の一方側を他方側よりも短くした包装体を製造するため、前記2本の包材原反の間で包材原反の幅方向に隣り合って挟まれている被包装物側に近寄った位置で一方側の包材原反のみ打ち抜く刃を有するハーフカット手段が備えられていることを特徴とする請求項1に記載の四方シール包装体の製造装置。
【請求項3】
コーナーを円弧状とした包装体を製造するため、前記フルカット手段は、前記枠状の刃のコーナーが円弧状とされ、包材原反の幅方向に隣り合っている刃と刃との間に間隔が空けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の四方シール包装体の製造装置。
【請求項4】
前記シール手段は、ヒートシールローラを備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の四方シール包装体の製造装置。
【請求項5】
前記フルカット手段は、ダイロールを備えていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の四方シール包装体の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−188151(P2012−188151A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54492(P2011−54492)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(593089666)池田機械産業株式会社 (21)
【Fターム(参考)】