説明

四級ピリジニウム塩の血管保護剤としての使用

【課題】血管内皮の機能不全、酸化ストレス、および/または内皮プロスタサイクリンPGIの産生不足、とくに、限定されるものではないが、高コレステロール症、高トリグリセリド症または低HDLレベルと同時に起こる疾患または病気に関連するものの処置または予防のための血管保護剤の製造のための化合物の使用。
【解決手段】式I


[式中、RはNH、CH、またはN(H)CHOH基であり、Xは薬学的に受容可能なカウンターイオンを示す]で表される四級ピリジニウム塩類の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ある種の四級ピリジンニウム塩の、血管内皮の機能不全、酸化ストレス、および/または内皮プロスタサイクリンPGIの産生不足といった疾患または病気に関連するもの、特に限定はしないが、上記が高コレステロール症/高トリグリセリン症と同時に発症する場合の処置または予防のための血管保護剤の製造のための使用ならびに食物補助における経口使用のためのピリジニウム塩の使用に関する。
【0002】
内皮機能不全が、アテローム斑の形成および発達において鍵となる役割を果たしていることの証拠が積み重ねられている。近時、内皮の機能不全の、診断、予後および治療における重要性が、アテローム血栓症において増大している (Heitzer T, Schlinzig T, Krohn K, Meinertz T, Munzel T. Endothelial dysfunction, oxidative stress, and risk of cardiovascular events in patients with coronary artery disease. Circulation 2001; 104: 2673-2678; Schachinger V, Britten MB, Zeiher AM. Prognostic impact of coronary vasodilator dysfunction on adverse long-term outcome of coronary heart disease. Circulation 2000; 101: 1899-1906; Perticone F, Ceravolo R, Pujia A, Ventura G, Iacopino S, Scozzafava A, Ferraro A, Chello M, Mastroroberto P, Verdecchia P, Schillaci G. Prognostic significance of endothelial dysfunction in hypertensive patients. Circulation 2001; 104 : 191-196; Suwaidi JA, Hamasaki S, Higano ST, Nishimura RA, Holmes DR, Jr., Lerman A. Long-term follow-up of patients with mild coronary artery disease and endothelial dysfunction. Circulation 2000; 101: 948-954)。
【0003】
臨床的には、内皮機能不全は、NOの生物学的活性に対する障害であると認識され、血管拡張性のNO活性の障害であると診断される。NOの活性に対する障害は、酸化ストレスに一致し(Heitzer T, Schlinzig T, Krohn K, Meinertz T, Munzel T. Endothelial dysfunction, oxidative stress, and risk of cardiovascular events in patients with coronary artery disease. Circulation 2001; 104: 2673-2678)、PGI合成の障害に一致する(Kyrle PA, Minar E, Brenner B, Eichler HG, Heistinger M, Marosi L, Lechner K. Thromboxane A2 and prostacyclin generation in the microvasculature of patients with atherosclerosis- effect of low-dose aspirin. Thromb Haemost 1989; 61:374-377)が、全身的なPGIのレベルは増大している。
【0004】
実際に、数年前に、脂質の過酸化の増大によって、アテローム硬化症が促進され、これは内皮細胞におけるプロスタサイクリンの選択的な障害およびそれに続く血小板の活性化によるものである可能性があると提唱されている(Gryglewski RJ. Prostacyclin and atherosclerosis. TIPS 1980; 1: 164-168 ; Gryglewski RJ. Prostaglandins, platelets, and atherosclerosis. CRC Crit Rev Biochem 1980; 7: 291-338; Gryglewski RJ, Szczeklik A. Prostacyclin and atherosclerosis - experimental and clinical approach. 1983; 213- 226)。この考え方は、その後実験で支持された。
【0005】
現在は、内皮におけるPGI合成の障害によって、TXA、PGIまたは他のエイコサノイドによって内皮および血管平滑筋細胞のTPレセプターが過剰に刺激され、続いて血管収縮、血小板の凝集、および内皮の炎症反応とともに内皮のアポトーシスが起きる可能性があることは明らかである(Chlopicki S, Gryglewski RJ. Endothelial secretory function and atherothrombosis in "The Eicosanoids", chapter 23,267-276. ed. P. Curtis-Prior, John Wiley and Sons, Ltd, 2004)。このことは、PGIの不足が血管壁における炎症および血栓症のプロセスを解発するかまたは増大せしめることを意味している。これらは、現在ではアテローム硬化症の鍵となる要因であると考えられている。
【0006】
低密度リポタンパクコレステロール(LDL)および/またはトリグリセリド(TG)の血漿レベルの上昇が、アテローム硬化症発達の主要な危険因子を表すことが受け入れられている(Levine GN, Keaney JF Jr, Vita JA. Cholesterol reduction in cardiovascular disease. Clinical benefits and possible mechanisms. N Engl J Med 1995 ; 332:512-521)。また、高密度リポタンパクコレステロール(HDL)の血漿レベルの低下が、アテローム硬化症の重要な独立した危険因子である。HDLには、NOおよびPGIの利用率を増大せしめて、内皮機能不全を防ぎ、また修正する潜在的な能力がある(Ng DS. Treating low HDL - from bench to bedside. Clin Biochem 2004; 37: 649-659; Chapman MJ, Assman G, Fruchart JC, Shepherd J, Sirtoti C. Raising high-density lipoprotein cholesterol with reduction of cardiovascular risk: the role of nicotinic acid-a position paper developed by the European Consensus Panel on HDL-C. Curr Med Res Opin 2004; 20:1253-1268; Calabresi L, Gomarashi M, Franceschini G. Endothelial protection by high-density lipoproteins. Arterioscler Thromb Vase Biol 2003; 290: 2292-2300)。
【0007】
WO00/40559には、ニコチンアミド誘導体類の一種である1,3−ジ置換ピリジニウム塩類として1−メチルニコチンアミド(MNA)塩類および1−メチル−N’−(ヒドロキシメチル)ニコチンアミド(MNAF)塩類を包含するものの治療および化粧における使用について開示されている。該誘導体が、皮膚病、特に下腿腫瘍、座瘡、乾癬、アトピー性皮膚炎、白斑、ならびに火傷および熱傷の局所的処置においてならびに創傷治癒において実用的であることが報告された。該誘導体は、毛髪再生促進活性も有することから、異なる原因による脱毛の処置に用いられる。異なる種類の外用製剤として、これらの化合物の皮膚や粘膜の表面への投与を目的とするシャンプー、軟膏、クリーム、ジェル、ローション、溶液、エアゾール等、および皮膚病の処置のための経口投与のためのものが記載されている。また、これらの化合物の化粧活性として記載されていて、とくに皮膚の再生およびスムージングである。
【0008】
1−メチルニコチンアミドクロリド(MNA)のいくつかの皮膚病に対する効果が、最近の刊行物に記載されている(Gebicki J,Sysa-Jedrzejowska A, Adamus J, Wozniacka A, Rybak M, Zielonka J. 1-Methylnicotinamide: a potent anti-inflammatory agent of vitamin origin. Pol J Pharmacol 2003; 55: 109-112)。MNAが抗炎症活性を示すことが提唱されているが、その効果の機構は検討されていなかった。
1−メチル−3−アセチルピリジニウム塩(MAP)は、刊行物に記載されている(Takashi Sakurai, Haruo Hosoya. Charge transfer complexes of nicoti- namide-adenine dinucleotide analogs and flavine mononucleotide. Bio- chim. Biophys. Acta 1966; 112 (3): 359-468)。
【0009】
今、MAPおよびWO00/40559に記載されているいくつかの化合物、とくにMNAおよびMNAFが、血管内皮からの内因性プロスタサイクリン(PGI)の放出能に関連するユニークな医薬の特性を有することが見出され、該特性によって、それらは構造的に近い関連するニコチンアミド、ニコチン酸、トリゴネリンおよび内因性MNA代謝物、例えば1−メチル−2−ピリドン−5−カルボキシアミド(2−PYR)および1−メチル−4−ピリドン−3−カルボキシアミド(4−PYR)と区別される。驚くべきことに、本発明の発明者らが見出したとおり、ある化合物にはリポタンパクのプロファイルの修正能があり、とくにLDLおよびTGの血漿レベルを低下せしめ、HDLの血漿レベルを増大せしめ、抗アテローム硬化症効果をもたらす。本発明のある四級ピリジニウム塩類のリポタンパクのプロファイルに対する効果とは独立して、四級ピリジニウム塩類によるPGIの合成の増大が本発明者らによって見出され、かかる増大によって以下において議論する、血管内皮の機能不全、酸化ストレス、および/またはPGIの不足が病理学的な影響を及ぼす、高コレステロール症/高トリグリセリド症に関連するものを含む、多くの病気に対する治療の可能性が示されるかもしれない。
【0010】
本発明は、第一の側面において、式Iの四級ピリジニウム塩類の使用を提供する:
【化1】

式中、RはNH、CH、またはN(H)CHOH基であり、Xは薬学的に受容可能なカウンターイオンであり、
下記の疾患または病気に関連するものの処置または予防のための血管保護剤の製造のための使用:
血管内皮の機能不全、酸化ストレス、および/または内皮プロスタサイクリンPGIの産生不足。
【0011】
好ましくは、前記血管内皮の機能不全、酸化ストレス、および/または内皮プロスタサイクリンPGIの産生不足が、高コレステロール症、高トリグリセリド症または低HDLレベルに関連する。
式Iの化合物のとくに有利な作用は、PGIの放出に関連するそれらの内皮活性であって、それによって式Iの該化合物は組織内の血流を改善し、抗凝集活性、血栓溶解活性、抗アポトーシス活性、抗アテローム硬化症活性を発揮し、胃腸粘膜を保護し得る。
本発明の有利な点は、式Iの化合物の血栓溶解活性には血圧降下作用を伴わないことである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】薬剤の血栓溶解活性の検出のための、ラットにおけるインビボによる方法のスキーム(Gryglewskiらによる)。
【図2】MNAのインビボの静脈投与(30mg/kg)によって誘導される血栓溶解作用反応。
【図3】MNAの静脈投与(30mg/kg)後の6−ケト−PGF1α(●)および TXB(○)の血漿レベルの変化。
【図4】ニコチンアミドまたはニコチン酸の静脈投与(30mg/kg)後の血栓溶解作用反応の欠如。
【0013】
【図5】2−PYRまたはトリゴネリンの静脈投与(30mg/kg)後の血栓溶解反応の欠如。
【図6】MAPのインビボの静脈投与(30mg/kg)によって誘導される血栓溶解反応。
【図7】MAPの静脈投与(30mg/kg)後の6−ケト−PGF1α(●)および TXB(○)の血漿レベルの変化。
【図8】MNAFのインビボの静脈投与(30mg/kg)によって誘導される血栓溶解反応。
【図9】コラーゲン誘導性血小板凝集に対するMNAの効果の欠如(1mg/ml)。
【図10】ラテックス誘導性好中球の活性化に対するMNAの効果の欠如。
【0014】
本発明の一態様において、前記疾患または病気は、血管ベッドのあらゆるアテローム硬化症であり、慢性的な冠動脈の病気、虚血性脳血管の症状の患者におけるアテローム硬化症、または閉塞性血栓血管炎を含む四肢のアテローム硬化症が包含される。
本発明の他の一態様においては、前記疾患または病気は、急性の心血管事象であって下記に関連するものである:
アテローム硬化症、とくに突発性心臓死、急性冠動脈シンドローム(不安定な冠動脈疾患および心筋梗塞を含む)、冠動脈血管形成の必要(PCI)、冠動脈−大動脈バイパス手術(CABG)、虚血性脳梗塞、または末梢循環血管再開通術。
【0015】
さらに他の一態様においては、前記疾患または病気は、下記アテローム硬化症のリスクファクターの群から選択される:高コレステロール症、動脈性高血圧、喫煙、高ホモシステイン症、インスリン耐性症、糖尿病、閉経、加齢、肥満、心理的ストレス、感染、炎症状態で、歯周病、関節リウマチ、同種移植血管障害および硝酸塩耐性症を含む。
【0016】
さらに他の一態様においては、前記疾患または病気は、異常脂質血症、とくに高コレステロール症または高トリグリセリド症であり、とくに低血漿HDLレベルに関連するものである。
さらに他の一態様においては、前記疾患または病気は、アテローム硬化症に直接関連しない血栓症であり、とくに金属製人工血管(ステント)の移植、冠動脈−大動脈バイパス手術(CABG)、あらゆる種類の体外循環の手術、血液透析、静脈血栓塞栓症に関連する血栓症である。
【0017】
別の一態様においては、前記疾患または病気は、下記の群から選択される:慢性心疾患、肺性高血圧、糖尿病性網膜症および糖尿病性神経障害のような微小血管糖尿病合併症、糖尿病性神経障害、ネフローゼ症候群、慢性腎不全、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、子癇前症/子癇、勃起不全、スタイン・レーベンタール症候群、睡眠時無呼吸、全身性紅斑性狼瘡、鎌状赤血球貧血、非特異性炎症性大腸炎、胃潰瘍または十二指腸潰瘍、緑内障、慢性肝臓疾患、原発性アミロイドーシス、神経変性疾患、特に血管性認知症、アルツハイマー病およびパーキンソン病から選択される神経変性疾患。
【0018】
式Iの化合物の、胃潰瘍または十二指腸潰瘍の予防または処置のための医薬の製造のための使用も有利である。
別の好ましい一態様においては、前記疾患または病気は、慢性の肝臓病であり、とくに慢性のウイルス性肝炎である。
別の好ましい一態様においては、前記疾患または病気は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)である。
【0019】
前記医薬の形態は、あらゆる投与経路に好適なものであってよく、それは経口、非経口、経鼻または吸入の経路等である。このような投与経路は、勿論個々の処置される状態または病気に依存する。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の処置を意図する医薬の場合、吸入経路を介して吸入投与に好適な形態によって好ましく与えられる。
上記において定義したとおり、X−はあらゆる生理学的に重要可能なカウンターイオンである。したがって、式Iの塩類は、あらゆる生理学的に受容可能な酸として、有機および無機のいずれから得られるものであってもよい。無機酸との好適な塩類は、例えば、塩素塩、臭素塩、ヨウ素塩および炭酸塩である。有機酸との好適な塩類は、モノ−、ジ−およびトリカルボン酸との塩であってよく、例えば酢酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、ヒドロキシ酢酸塩、乳酸塩、マロン酸塩およびクエン酸塩である。好ましい塩は塩素塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、酢酸塩、クエン酸塩および乳酸塩である。とくに有利なのは塩素塩である。
式(I)の具体的な化合物は1−メチルニコチンアミド塩類(MNA)、1−メチル−3−アセチルピリジニウム塩類(MAP)および1−メチル−N’−(ヒドロキシメチル)ニコチンアミド塩類(MNAF)である。
【0020】
本発明は第2の側面において、血管内皮の機能不全、酸化ストレス、および/または内皮プロスタサイクリンPGIの産生不足に関連する疾患または病気(高コレステロール症、高トリグリセリド症または低HDLレベルに関連するものまたはしないもの)、とくに上記において議論したもの、の処置または予防の方法として、それを必要としている対象に治療上有効な量の上記式Iの四級ピリジニウム塩を投与することを含む方法を与える。
本発明の処置の方法の一態様においては、前記疾患または病気は、慢性的な冠動脈の病気、虚血性脳血管の症状の患者におけるアテローム硬化症、または閉塞性血栓血管炎を含む四肢のアテローム硬化症である。
【0021】
本発明の処置の方法の他の態様においては、前記疾患または病気は、急性の心血管事象であって下記に関連するものである:
アテローム硬化症、とくに突発性心臓死、急性冠動脈シンドローム(不安定な冠動脈疾患および心筋梗塞を含む)、冠動脈血管形成の必要(PCI)、冠動脈−大動脈バイパス手術(CABG)、虚血性脳梗塞、または末梢循環血管再開通術。
本発明の処置の方法のさらに他の態様においては、下記アテローム硬化症のリスクファクターの群から選択される:高コレステロール症、動脈性高血圧、喫煙、高ホモシステイン症、インスリン耐性症、糖尿病、閉経、加齢、肥満、心理的ストレス、感染、炎症状態で、歯周病、関節リウマチ、同種移植血管障害および硝酸塩耐性症を含む。
【0022】
本発明の処置の方法のさらに他の態様においては、 前記疾患または病気は、異常脂質血症、とくに高コレステロール症または高トリグリセリド症であり、とくに低血漿HDLレベルに関連するものである。
本発明の処置の方法のさらに他の態様においては、前記疾患または病気は、アテローム硬化症に直接関連しない血栓症であり、とくに金属製人工血管(ステント)の移植、冠動脈−大動脈バイパス手術(CABG)、あらゆる種類の体外循環の手術、血液透析、静脈血栓塞栓症に関連する血栓症である。
【0023】
本発明の処置の方法のさらに他の態様においては、前記疾患または病気は、下記の群から選択される:慢性心疾患、肺性高血圧、糖尿病性網膜症および糖尿病性ネフロパシーのような微小血管糖尿病合併症、糖尿病性神経障害、ネフローゼ症候群、慢性腎不全、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、子癇前症/子癇、勃起不全、スタイン・レーベンタール症候群、睡眠時無呼吸、全身性紅斑性狼瘡、鎌状赤血球貧血、非特異性炎症性大腸炎、胃潰瘍または十二指腸潰瘍、緑内障、慢性肝臓疾患、原発性アミロイドーシス、神経変性疾患、特に血管性認知症、アルツハイマー病およびパーキンソン病から選択される神経変性疾患。
【0024】
他の好ましい態様においては、前記疾患または病気は、慢性肝臓疾患、とくにウィルス性肝炎である。
他の好ましい態様においては、前記疾患または病気は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)である。
式Iの化合物群の、胃潰瘍または十二指腸潰瘍の予防または処置の方法における使用も有利である。
式Iの四級ピリジニウム塩類の投与は、単独で行っても他の心血管剤と組み合わせて行ってもよい。
式Iのピリジニウム塩類の投与は、とくに経口的に、通常の経口製剤の形態、例えば錠剤、カプセル、通常の薬学的に受容される液体キャリア中の経口溶液/懸濁液によって行うことができる。前記製剤の調製は、本技術分野において公知の通常の方法によって行うことができ、通常の薬学的な賦形剤およびキャリアを含有してよい。
【0025】
式Iのピリジニウム塩類の投与は、非経口的に、とくに注射の形態によって行ってもよく、皮下および経静脈注射および注入が包含される。
他の投与経路として考えられるものは、吸入によるもの、経鼻的なものおよび経腸的なものである。
如何なる場合も、投与経路は勿論処置される個々の病気に依存する。
例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の場合、ピリジニウム塩類の投与は、好ましくは吸入経路を介する吸入投与に適した形態によって行う。
式Iのピリジニウム塩類の日用量は、10〜1000mgの範囲であってよく、単一の服用または分割した服用が可能である。
【0026】
本発明は、哺乳類におけるPGIのレベルを高める方法であって、治療上有効な量の上記式Iの四級ピリジニウム塩を経口投与することを含む方法にも関する。
本発明は、上記式Iの四級ピリジニウム塩類として、経口的な食物補助における使用のためのものにも関する。上記式Iの四級ピリジニウム塩類を経口的な補助食品として用いると、プロスタサイクリンレベルが増大し、それによって心臓保護剤として作用する。
【0027】
本発明は、上記式Iの四級ピリジニウム塩類の使用であって、血管内皮の機能不全、酸化ストレス、および/または内皮プロスタサイクリン(PGI)の産生不足に関連する状態または病気である対象の血管保護のための栄養製剤の製造のための使用も与える。
栄養製剤が投与され得る前記疾患または病気は、アテローム硬化症であり、とくに慢性的な冠動脈の病気、虚血性脳血管の症状または閉塞性血栓血管炎を含む四肢のアテローム硬化症の対象におけるものである。
【0028】
栄養製剤が投与され得る前記疾患または病気は、下記アテローム硬化症のリスクファクターの群から選択してよい:高コレステロール症、動脈性高血圧、喫煙、高ホモシステイン症、インスリン耐性症、糖尿病、閉経、加齢、肥満、心理的ストレス、感染、炎症状態で、歯周病、関節リウマチ、同種移植血管障害および硝酸塩耐性症を含む。
栄養製剤が投与され得る前記疾患または病気は、異常脂質血症、とくに高コレステロール症または高トリグリセリド症であり、とくに低HDL血漿レベルに関連するものである。
栄養製剤が投与され得る前記疾患または病気は、アテローム硬化症に直接関連しない血栓症であり、とくに金属製人工血管(ステント)の移植、冠動脈−大動脈バイパス手術(CABG)、あらゆる種類の体外循環の手術、血液透析、静脈血栓塞栓症に関連する血栓症であってもよい。
【0029】
食物補助および/また栄養製剤において用いられる具体的なピリジニウム塩類は、RがCH基であるものである。
食物補助および/また栄養製剤において用いられる具体的なピリジニウム塩類は、RがNH基であるものである。
食物補助および/また栄養製剤において用いられる具体的なピリジニウム塩類は、RがN(H)CHOH基であるものである。
【0030】
補助食品類および栄養製剤は、経口による消化に好適な形態を有するものでよく、例えば錠剤、カプセル、飲用の溶液および懸濁液ならびに同様な、通常の、薬学技術において知られていて、本技術分野において公知の方法によって、通常の賦形剤およびキャリアを用いて製造されるものである。
有利であり得る補助食品類および栄養製剤は、式Iのピリジニウム塩を少なくとも5重量%含むものである。
【0031】
本発明を、以下の例によって、式Iのピリジニウム塩類の薬学活性を示し、さらに説明する。
【0032】
例1
血栓溶解活性
ピリジニウム塩類の血栓溶解活性の評価を、Gryglewskiらののオリジナルの方法(Gryglewski RJ, Korbut R, Ocetkiewicz A, Stachura J. In vivo method for quantitation for anti-platelet potency of drugs. Naunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol 1978;302:25-30)を用いて行った。そのスキームを図1に示した。
体重300〜350gのWistarラットを麻酔し(チオペンタール30mgkg-1i.p.)、ヘパリン処理した(未分画ヘパリン800i.u.kg−1i.v.)。動脈血圧の測定を、カニューレを挿入した右頸動脈から行い、体外循環を左頸動脈および左頸静脈の間に構築した。ウサギのアキレス腱からのコラーゲンストリップを、体外循環において、動脈血と1.5ml min−1の速度で表面環流せしめ、その重量のモニターを、オキソトニックハーバードトランスデユーサ(auxotonic Harvard transducer)によって連続的に行った。
【0033】
表面環流を行った最初の20〜30分の間、ストリップの重量は80〜120mg増加したが、これは血小板リッチな血栓の沈着によるものであり、その後のコントロール条件下においては、次の3〜5時間にわたり変化しなかった。血栓溶解反応の検出は、血栓の重量の減少によって行った。動脈血圧もモニターしたため、このモデルによって化合物の血栓溶解活性と降圧作用の解析が可能であった(図1)。
この実験系における血栓溶解反応の解析の検討は、動脈血漿における6−ケト−PGF1a、TXBおよびPGEのアッセイによって行った。これを目的として、血液サンプル(500ml)をエッペンドルフチューブにインドメタシンとともに集め、最終濃度を10mMとし、EDTAとともに集め、最終濃度を1mMとした。次に、前記血液サンプルの回転を5分間、2,000×gにて行った。血漿サンプルを−70℃にて保存した。プロスタノイド類のアッセイを、酵素免疫アッセイキット(Cayman Chemical Co, Ann Arbor, MI)を用いて行った。
【0034】
MNA(3〜30mg/kg)を静脈投与すると、濃度依存性の血栓溶解が体外循環を伴うWistarラットにおいて生じた。最大の反応は、MNAの投与量30mg/kgにおいて観察された。MNAの30mg/kgの単回注射によって、長時間保たれる血栓溶解反応として42±4%のレベルが誘導され、ほぼ同じレベルに2〜3時間の時間にわたり観察された。MNAとは対照的に、ニコチンアミド、ニコチン酸、トリゴネリンおよび2−PYR(MNAの内因性代謝物)については、それぞれ30mg/kgであったが、有意な血栓溶解反応を生じせしめなかった。ニコチンアミドおよびニコチン酸によって誘導された反応は一時的なものであり(15〜20分未満)、それらの最大値は、それぞれ9±0.6%、5±0.9%にすぎなかった。トリゴネリンは全く血栓溶解反応を生じせしめず、2−PYRに対する反応も極めて小さく(<10%)、一時的であった(<15分)。
【0035】
MNA、ニコチンアミドおよびニコチン酸の血栓溶解反応能および持続性は、これらの化合物によって誘導された動脈血漿への6−ケト−PGF1aの放出パターンとの相関があった。MNA(30mg/kg)によって、6−ケト−PGF1aの放出のレベルの顕著な増大が、薬物の注射15分後には早くも誘導され(104±7から460±58pg/mlへ)、約400pg/mlの停滞期に少なくとも1時間にわたり達していた。一方、TXBおよびPGEのレベルは、いずれもMNAに対して有意な変化を示さなかった。TXBのレベルの上昇は緩慢であり、生理食塩水の注射の後にも観察された。6−ケト−PGF1aのレベルはニコチンアミドの注射後またはニコチン酸の注射後(30mg/kg)には増大しなかった。
【0036】
インドメタシン(5mg/kg)の存在下においては、MNAに対する血栓溶解反応は消失し、MNA誘導性の6−ケト−PGF1aの放出についても同様であった。重要なことは、MNA(30mg/kg)によって誘導された血栓溶解反応は、動脈血圧の降下を伴わなかったことである。血小板リッチな血漿におけるコラーゲン誘導性凝集は、インビトロにおいてMNAによって10mMの濃度まで影響を受けなかった。このことから、インビボにおける血小板リッチな血栓は、MNAの血小板に対する直接の作用によるという可能性は排除される。さらに、MNA(1mM)によって、ラテックス誘導性の好中球の活性化は阻害されなかったことから、内皮に対するMNAの選択性が示唆された。
【0037】
図2は、インビボにおけるMNAによって誘導された血栓溶解反応を示し、図3は同時に起こる6−ケト−PGF1a(PGIの安定な代謝物)の血中におけるレベルの増大を示す。ニコチンアミド、ニコチン酸(図4)、トリゴネリンおよび2−PYR(図5)は、有意な血栓溶解反応を示さなかった。しかし、MAP(30mg/kg)およびMNAF(30mg/kg)、それぞれ血栓溶解反応を誘導し(図6および8)、それは30mg/kgのMNAによって誘導されるものに匹敵した。MAP誘導性血栓溶解反応は、PGIの放出を伴っていたが、これはMNA誘導性血栓溶解と同様であった。MNA(30〜300mg/kg)は、血圧降下を引き起こさなかった。図9および10に示したように、MNAは、血小板のコラーゲン誘導性凝集および好中球のラテックス誘導性活性化を阻害しなかった。前者の反応はCOX1−TXAに依存しアスピリンによって消失し、後者の反応はNADPH酸化酵素に依存し、DPIまたはアポシニンによって消失した。
【0038】
例2
抗アテローム生成に対する、インビボにおける患者に対する効果
MNAの抗アテローム生成効果の評価を、15人の異常脂質血症の患者において行った。
対象者の基準は、高いレベルのTG(≧250mg/dl)および低いレベルのHDL(男性は≦35mg/dl、女性は≦45mg/dl)であった。患者の平均年齢は61.4才(範囲は45〜81才)であった。
患者に対する処置を、MNAによって2週間行った。MNAの投与は経口的、日に3回、食後の1カプセル(30mgのMNA)によって行った。
TC、TG、HDLの血漿レベルの測定をベースラインおよび2週間の治療の後において行った。LDLレベルの測定は、可能な場合(高いTGレベルのため)に行った。
MNAによって、TCレベル(267.0対225.1mg/dl)の低下(−15.7%)およびTGレベル(472.6対249.9mg/dl)の低下(−47.1%)が、ベースラインにおける測定および2週間後の測定の間において見出された。HDLレベル(39.2対53.4mg/dl)の増大(36.2%)も2週間の治療の後に見出された。TG/HDL比は顕著に減少していること(13.9対5.8)が観察された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの四級ピリジニウム塩類の使用であって:
【化1】

式中、RはNH、CH、またはN(H)CHOH基であり、Xは薬学的に受容可能なカウンターイオンであり、
下記の疾患または病気に関連するものの処置または予防のための血管保護剤の製造のための使用:
血管内皮の機能不全、酸化ストレス、および/または内皮プロスタサイクリンPGIの産生不足。
【請求項2】
血管内皮の機能不全、酸化ストレス、および/または内皮プロスタサイクリンPGIの産生不足が、高コレステロール症、高トリグリセリド症または低HDLレベルと同時に発生する、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
疾患または病気がアテローム硬化症である、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
疾患または病気が、急性の心血管事象であって下記に関連するものである、請求項1または2に記載の使用:
アテローム硬化症、とくに突発性心臓死、急性冠動脈シンドローム(不安定な冠動脈疾患および心筋梗塞を含む)、冠動脈血管形成の必要(PCI)、冠動脈−大動脈バイパス手術(CABG)、あらゆる種類の体外循環の手術、虚血性脳梗塞、または末梢循環血管再開通術。
【請求項5】
疾患または病気が、慢性的な冠動脈の病気、虚血性脳血管の症状の患者におけるアテローム硬化症、または閉塞性血栓血管炎を含む四肢のアテローム硬化症である、請求項1または2に記載の使用。
【請求項6】
疾患または病気が、下記アテローム硬化症のリスクファクターの群から選択される請求項1に記載の使用:高コレステロール症、動脈性高血圧、喫煙、高ホモシステイン症、インスリン耐性症、糖尿病、閉経、加齢、肥満、心理的ストレス、感染、炎症状態で、歯周病、関節リウマチ、同種移植血管障害および硝酸塩耐性症を含む。
【請求項7】
疾患または病気が、異常脂質血症、とくに高コレステロール症または高トリグリセリド症であり、とくに低血漿HDLレベルに関連するものである、請求項1に記載の使用。
【請求項8】
疾患または病気が、アテローム硬化症に直接関連しない血栓症であり、とくに金属製人工血管(ステント)の移植、冠動脈−大動脈バイパス手術(CABG)、血液透析、静脈血栓塞栓症に関連する血栓症である、請求項1に記載の使用。
【請求項9】
疾患または病気が、下記の群から選択される請求項1に記載の使用:慢性心疾患、肺性高血圧、糖尿病性網膜症および糖尿病性ネフロパシーのような微小血管糖尿病合併症、糖尿病性神経障害、ネフローゼ症候群、慢性腎不全、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、子癇前症/子癇、勃起不全、スタイン・レーベンタール症候群、睡眠時無呼吸、全身性紅斑性狼瘡、鎌状赤血球貧血、非特異性炎症性大腸炎、胃潰瘍または十二指腸潰瘍、緑内障、慢性肝臓疾患、原発性アミロイドーシス、および神経変性疾患。
【請求項10】
疾患または病気が、慢性閉塞性肺疾患である、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
疾患または病気が、慢性肝臓疾患、とくにウィルス性肝炎である、請求項9に記載の使用。
【請求項12】
神経変性疾患が、血管性認知症、アルツハイマー病およびパーキンソン病から選択される、請求項9に記載の使用。
【請求項13】
疾患または病気が、胃潰瘍または十二指腸潰瘍である、請求項9に記載の使用。
【請求項14】
血管保護剤が、経口投与のための形態である、請求項9に記載の使用。
【請求項15】
血管保護剤が、非経口投与のための形態である、請求項9に記載の使用。
【請求項16】
血管保護剤が、吸入による気道への投与のための形態である、請求項1〜13に記載の使用。
【請求項17】
疾患または病気が、慢性閉塞性肺疾患であり、医薬が吸入投与のための形態である、請求項9に記載の使用。
【請求項18】
RがCH基である、請求項1〜17に記載の使用。
【請求項19】
RがNH基である、請求項1〜17に記載の使用。
【請求項20】
RがN(H)CHOH基である、請求項1〜17に記載の使用。
【請求項21】
四級ピリジニウム塩が、1−メチルニコチンアミド塩であり、疾患または病気が高コレステロール症、高トリグリセリド症または低HDLレベルである、請求項1または2に記載の使用。
【請求項22】
血管内皮の機能不全、酸化ストレス、および内皮PGIの産生不足に関連する疾患または病気の処置または予防の方法であって、それを必要としている対象に治療上有効な量の式I
【化2】

式中、RはNH、CH、またはN(H)CHOH基であり、Xは薬学的に受容可能なカウンターイオンである、
で表される、四級ピリジニウム塩を投与することを含む方法。
【請求項23】
血管内皮の機能不全、酸化ストレス、および/または内皮プロスタサイクリンPGIの産生不足が、高コレステロール症、高トリグリセリド症または低HDLレベルと同時に発生する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
疾患または病気がアテローム硬化症である、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
疾患または病気が、急性の心血管事象であって下記に関連するものである、請求項22または23に記載の方法:
アテローム硬化症、とくに突発性心臓死、急性冠動脈シンドローム(不安定な冠動脈疾患および心筋梗塞を含む)、冠動脈血管形成の必要(PCI)、冠動脈−大動脈バイパス手術(CABG)、虚血性脳梗塞、または末梢循環血管再開通術。
【請求項26】
疾患または病気が、慢性的な冠動脈の病気、虚血性脳血管の症状の患者におけるアテローム硬化症、または閉塞性血栓血管炎を含む四肢のアテローム硬化症である、請求項22または23に記載の方法。
【請求項27】
疾患または病気が、下記アテローム硬化症のリスクファクターの群から選択される請求項22または23に記載の方法:高コレステロール症、動脈性高血圧、喫煙、高ホモシステイン症、インスリン耐性症、糖尿病、閉経、加齢、肥満、心理的ストレス、感染、炎症状態で、歯周病、関節リウマチ、同種移植血管障害および硝酸塩耐性症を含む。
【請求項28】
疾患または病気が、異常脂質血症、とくに高コレステロール症または高トリグリセリド症であり、とくに低血漿HDLレベルに関連するものである、請求項22または23に記載の方法。
【請求項29】
疾患または病気が、アテローム硬化症に直接関連しない血栓症であり、とくに金属製人工血管(ステント)の移植、冠動脈−大動脈バイパス手術(CABG)、あらゆる種類の体外循環の手術、血液透析、静脈血栓塞栓症に関連する血栓症である、請求項22または23に記載の方法。
【請求項30】
疾患または病気が、下記の群から選択される請求項22または23に記載の方法:慢性心疾患、肺性高血圧、微小血管糖尿病合併症、糖尿病性神経障害、ネフローゼ症候群、慢性腎不全、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、子癇前症/子癇、勃起不全、スタイン・レーベンタール症候群、睡眠時無呼吸、全身性紅斑性狼瘡、鎌状赤血球貧血、非特異性炎症性大腸炎、胃潰瘍または十二指腸潰瘍、緑内障、慢性肝臓疾患、原発性アミロイドーシス、および神経変性疾患。
【請求項31】
神経変性疾患が、血管性認知症、アルツハイマー病およびパーキンソン病から選択される、請求項30に記載の使用。
【請求項32】
疾患または病気が、胃潰瘍または十二指腸潰瘍である、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
疾患または病気が、慢性閉塞性肺疾患である、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
疾患または病気が、慢性肝臓疾患、とくにウィルス性肝炎である、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
式Iのピリジニウム塩が、経口投与のための形態である、請求項22または23に記載の方法。
【請求項36】
式Iのピリジニウム塩が、非経口投与のための形態である、請求項22または23に記載の方法。
【請求項37】
式Iのピリジニウム塩が、吸入による気道への投与のための形態である、請求項22または23に記載の方法。
【請求項38】
疾患または病気が、慢性閉塞性肺疾患であり、医薬が吸入投与のための形態である、請求項22または23に記載の方法。
【請求項39】
RがCH基である、請求項22または23に記載の方法。
【請求項40】
RがNH基である、請求項22または23に記載の方法。
【請求項41】
RがN(H)CHOH基である、請求項22または23に記載の方法。
【請求項42】
ピリジニウム誘導体を心・血管作動薬とともに投与する、請求項22または23に記載の方法。
【請求項43】
ピリジニウム誘導体が、1−メチルニコチンアミド塩であり、疾患または病気が高コレステロール症、高トリグリセリド症または低HDLレベルである、請求項22または23に記載の方法。
【請求項44】
哺乳類におけるプロスタサイクリンのレベルを高める方法であって、治療上有効な量の式Iの四級ピリジニウム塩を経口投与することを含む方法。
【化3】

式中、RはNH、CH、またはN(H)CHOH基であり、Xは消費に受容可能なカウンターイオンである。
【請求項45】
式Iの四級ピリジニウム塩類:
【化4】

式中、RはNH、CH、またはN(H)CHOH基であり、Xは消費に受容可能なカウンターイオンであり、経口的な食物補助における使用のためのもの。
【請求項46】
式Iの四級ピリジニウム塩類の使用であって:
【化5】

式中、RはNH、CH、またはN(H)CHOH基であり、Xは消費に受容可能なカウンターイオンであり、血管内皮の機能不全、酸化ストレス、および/または内皮プロスタサイクリン(PGI)の産生不足に関連する状態または病気である哺乳動物の血管保護のための栄養製剤の製造のための使用。
【請求項47】
血管内皮の機能不全、酸化ストレス、および/または内皮プロスタサイクリンPGIの産生不足が、高コレステロール症、高トリグリセリド症および/または低HDLレベルと同時に発生する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
疾患または病気が、慢性的な冠動脈の病気、虚血性脳血管の症状の患者におけるアテローム硬化症、または閉塞性血栓血管炎を含む四肢のアテローム硬化症である、請求項46または47に記載の使用。
【請求項49】
疾患または病気が、下記アテローム硬化症のリスクファクターの群から選択される請求項46または47に記載の使用:高コレステロール症、動脈性高血圧、喫煙、高ホモシステイン症、インスリン耐性症、糖尿病、閉経、加齢、肥満、心理的ストレス、感染、炎症状態で、歯周病、関節リウマチ、同種移植血管障害および硝酸塩耐性症を含む。
【請求項50】
疾患または病気が、異常脂質血症、とくに高コレステロール症または高トリグリセリド症であり、とくに低HDL血漿レベルに関連するものである、請求項46または47に記載の使用。
【請求項51】
疾患または病気が、アテローム硬化症に直接関連しない血栓症であり、とくに金属製人工血管(ステント)の移植、冠動脈−大動脈バイパス手術(CABG)、あらゆる種類の体外循環の手術、血液透析、静脈血栓塞栓症に関連する血栓症である、請求項46または47に記載の使用。
【請求項52】
内皮プロスタサイクリンの産生不足が年齢に関連するものである、請求項46に記載の使用。
【請求項53】
RがCH基である、請求項46〜52に記載の使用。
【請求項54】
RがNH基である、請求項46〜52に記載の方法。
【請求項55】
RがN(H)CHOH基である、請求項46〜52に記載の方法。
【請求項56】
四級ピリジニウム塩が、1−メチルニコチンアミド塩であり、疾患または病気が高コレステロール症、高トリグリセリド症または低HDLレベルである、請求項46〜52に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−72150(P2012−72150A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−233155(P2011−233155)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【分割の表示】特願2006−548308(P2006−548308)の分割
【原出願日】平成17年1月7日(2005.1.7)
【出願人】(506238145)ファルメナ エスエー (2)
【Fターム(参考)】