説明

回動装置および携帯電子機器

【課題】不完全縦開き状態を防止できる回動装置および携帯電子機器を提供する。
【解決手段】回動装置45は、第1スリーブ68および第2スリーブ69を有する第1部材51と、第1スリーブおよび第2スリーブに対して相対的に軸回動可能な軸部材87を有する第2部材52と、第2スリーブ69の母線に沿って形成された案内スリット61と、案内スリット61に収容され、軸部材87に向かって突出可能な突出部材62と、軸部材87の周方向に対して交差するとともに突出部材62に面当接可能な軸部材当接面94とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作部が設けられた第1筐体と表示部が設けられた第2筐体とが連結部を介して開閉自在に連結された携帯電子機器の連結部として用いられる回動装置および携帯電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、主に操作部を有する第1筐体と、主に液晶画面等の表示部を有する第2筐体とが、ヒンジ機構を介して開閉可能な折りたたみ式の携帯電子機器が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
近年、このような携帯電子機器の表示部および操作部を用いて、メールの送受信や、ゲームを行ったり、TV放送を受信したりすることが行われるようになってきた。このような携帯電子機器の使用態様の多様化に伴い、例えば、通話やメールの送受信やゲームを行う場合には、使用者が長方形の表示部を縦長使いで見ながら片手で操作できるように、下筐体(第1筐体)と上筐体(第2筐体)とを連結部(ヒンジ機構)を介して長手方向へ開いて表示部と操作部とを縦長にするいわゆる縦開き状態とするのが便利である。一方、ゲーム、ブラウザやTV受信の場合には、表示部を横長使いで使用するように、第1筐体と第2筐体とを幅方向(短手方向)へ開くいわゆる横開き状態とするのが便利である。
【0004】
このため、特許文献1に記載の携帯電子機器である携帯端末においては、連結部(ヒンジ機構)を介して、第1筐体と第2筐体とを縦方向に開く縦開き状態および横方向に開く横開き状態が可能となっている。
【0005】
一般的な連結部は、一方の筐体に固定されるスリーブと、スリーブに挿通されるとともに他方の筐体に固定される軸部材とを有し、スリーブおよび軸部材が軸部材の軸線を中心として相対的に回動することにより携帯電子機器を閉じ状態および開き状態の間で各筐体を相対的に回動させる。
【特許文献1】特開2006−22899号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した携帯電子機器では、横開き状態に移行した後、使用者が第1連結軸を中心として第1筐体に対して第2筐体を回動させて不完全縦開き状態となる可能性があり、対策が望まれていた。
【0007】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、閉じ状態から横開き状態に移行した後、横開き状態のままで第1回動軸を中心として第1筐体に対して第2筐体が回動することを防止できる回動装置および携帯電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の回動装置は、スリーブを有する第1部材と、前記スリーブに挿通され、前記スリーブに対して相対的に軸回動可能な軸部材を有する第2部材と、前記スリーブの長手方向に沿って形成された案内スリットと、前記案内スリットに収容され、前記軸部材に向かって突出可能な突出部材と、前記軸部材の周方向に対して交差するとともに前記突出部材に当接可能な軸部材当接面とを備える構成を有している。
【0009】
以上のような本発明の回動装置においては、突出部材および軸部材当接面を互いに当接させることにより軸部材の軸線を中心とする第1部材および第2部材の相対的な回動を規制するため、例えば縦開き状態および横開き状態を取り得る携帯電子機器の連結部における横開き用の回動装置として採用した場合、閉じ状態から縦開き状態に移行を開始したときにスリーブから突出部材が突出するように設定しておけば、縦開き状態において横開き状態となることを確実に防止できることになる。
【0010】
また、本発明の回動装置は、前記軸部材に向かって前記突出部材を付勢する弾性部材を備える構成を有している。
【0011】
このような本発明の回動装置においては、必要なときに弾性部材によりスリーブから突出部材が突出するため、軸部材の軸線を中心とする第1部材および第2部材の相対的な回動を確実に規制できることになる。
【0012】
さらに、本発明の回動装置は、前記突出部材の先端部が突出方向および前記スリーブの径方向に沿う略板状であるとともに、前記突出方向に沿って厚み寸法が連続的に小さくなる傾斜当接面を備える構成を有している。
【0013】
このような本発明の回動装置においては、軸部材当接面に対して面当接する当接傾斜面が突出部の先端部に設けられているため、換言すれば軸部材当接面および当接傾斜面がそれぞれスリーブおよび軸部材の周方向に対して直交している場合に比較して、軸部材当接面および当接傾斜面が互いに面当接することによりスリーブおよび軸部材が互いに周方向に沿った反対方向に向かって相対的に回動するように押圧されることになる。
【0014】
すなわち、本発明の回動装置においては、単にスリーブおよび軸部材が相対的に回動することを規制するだけではなく、あたかも楔が食い込むように軸部材当接面および当接傾斜面が互いに面当接することにより、スリーブおよび軸部材間にガタ等が生じない状態で相対位置を維持できることになる。
【0015】
ところで、本発明の回動装置においては、例えば縦開き状態および横開き状態を取り得る携帯電子機器の連結部における横開き用の回動装置として採用した場合であって、閉じ状態においてスリーブから突出部材が突出せず、かつ、閉じ状態から縦開き状態に移行を開始したときにスリーブから突出部材が突出するように設定した場合、軸部材当接面とは反対側に軸部材の周方向に対して直交する直立面が形成されていると、以下のような可能性が生ずる。
すなわち、この携帯電子機器は、使用者が閉じ状態から横開き状態に移行した後、縦開き用の回動軸を中心として下筐体に対して上筐体を回動させるという本来の使用形態から逸脱した操作を行って不完全縦開き状態となった場合、横開き状態から不完全縦開き状態に移行を開始したときにスリーブから突出部材が突出することになる。
従って、このような携帯電子機器は、突出部材に直立面が干渉するため、スリーブおよび軸部材が相対的に回動できなくなり、不完全縦開き状態から正規の縦開き状態に復帰できない可能性がある。
【0016】
これに対して、本発明の回動装置は、前記軸部材の周方向に対して交差するとともに前記軸部材当接面とは反対側に復帰傾斜面を備える構成を有している。
このような本発明の回動装置においては、前述したように携帯電子機器が不完全縦開き状態となっても、復帰傾斜面により突出部材をスリーブに押し込みながらスリーブおよび軸部材が相対的に回動できるため、不完全縦開き状態から正規の縦開き状態に復帰できることになる。
【0017】
次に、本発明の携帯電子機器は、操作部が設けられた第1筐体と、表示部が設けられた第2筐体と、前記第1筐体および前記第2筐体を連結するための連結筐体と、前記第1筐体と前記連結筐体とを連結するために、前記操作部が設けられた操作面と、前記操作面とは反対側の面との間に配置された第1連結軸と、前記第2筐体と前記連結筐体とを連結するために配置された第2連結軸と、を備え、前記第1筐体および前記第2筐体が積層された閉じ状態において、前記連結筐体の表面が前記第1筐体の前記操作面に連続するとともに、前記連結筐体の表面と前記第2筐体の前記表示部が設けられた表示面とが対面し、前記閉じ状態から前記第1連結軸を中心として前記第1筐体および前記第2筐体が相対的に回動する縦開き状態において、前記連結筐体の表面が前記第2筐体の前記表示面に対面した状態で前記連結筐体が回動するとともに、前記連結筐体の表面と前記操作面とが互いに異なる方向を向き、前記閉じ状態から前記第2連結軸を中心として前記第1筐体および前記第2筐体が相対的に回動する横開き状態において、前記連結筐体の表面が前記第1筐体の前記操作面に連続するとともに、前記連結筐体の表面と前記第2筐体の前記表示面とが互いに異なる方向を向く携帯電子機器において、前記第2連結軸に前述した回動装置とを備え、前記連結筐体に前記回動装置の第1部材が固定され、前記第2筐体に前記回動装置の第2部材が固定されていて、前記第1筐体には上記突出部材の前記軸部材との係合を制御する係止部を設けた構成を有している。
【発明の効果】
【0018】
本発明の回動装置および携帯電子機器によれば、閉じ状態から横開き状態に移行した後、横開き状態のままで第1回動軸を中心として第1筐体に対して第2筐体が回動することを防止できるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態の携帯電子機器について、図面を用いて説明する。
図1〜図4は本発明にかかる第1実施形態の携帯電子端末である携帯端末を示す図、図5は連結部の分解斜視図、図6は回動装置の分解斜視図、図7は回動装置の断面図、図8は軸部材当接面および突出部材を示す図、図9は携帯端末が閉じた状態において軸部材当接面および突出部材と凸部57および第1凹部との関係を説明する図、図10は携帯端末が横開き状態において軸部材当接面および突出部材と凸部57および第1凹部との関係を説明する図、図11は第1係合部および第2係合部を示す分解斜視図、図12は第1スリーブおよび第2スリーブを離間配置させた理由を示す原理図、図13は復帰傾斜面の役割を説明する斜視図である。
【0020】
(第1実施形態)
図1〜図3に本発明の第1実施形態を示す。第1実施形態の携帯電子機器としての携帯端末10は、矩形箱状の第1筐体20と、矩形箱状の第2筐体30と、第1筐体20および第2筐体30を連結する連結部40とを有している。
この携帯端末10は、第1筐体20および連結部40が第1回動軸41を介して連結されているとともに、第2筐体30および連結部40が第2回動軸42を介して連結されている。
【0021】
なお、以下に示す第1実施形態において、第1筐体20と連結部40との配列方向に沿った方向を長手方向と称し、長手方向に対して直交する方向を短手方向と称し、長手方向および短手方向に対して直交する方向を第1筐体20の厚み方向と称する。
そして、第2筐体30における長手方向、短手方向、厚み方向は、第1筐体20における長手方向、短手方向、厚み方向と同様に称する。
【0022】
また、携帯端末10は、第1筐体20および第2筐体30が相対的に積層された閉じ状態(図3の状態)と、閉じ状態から第1回動軸41を中心として第1筐体20に対して第2筐体30および連結部40が一体となって回動する縦開き状態(図2の状態)と、閉じ状態から第2回動軸42を中心として第1筐体20に対して第2筐体30が回動する横開き状態(図1の状態)とを取り得る。
【0023】
第1筐体20は、携帯端末10を使用者が使用する際に片手または両手で把持する部分であり、数字や文字を入力するための入力キー群21aと、各種設定や機能の切替えを行うための機能キー群21bとを備えた操作部21が操作面20aに設けられている。
【0024】
第1筐体20は、長手方向に沿った一方の端部(機能キー群21b側の端部)に一対の第1筐体支持部24a、24bが設けられているとともに、長手方向に沿った他方の端部の操作面20aにマイクロフォン22が設けられている。
マイクロフォン22は、携帯端末10を電話として使用するために縦開き状態とした際に使用者の音声を集音するためのものである。
【0025】
第1筐体支持部24a、24bは、第1筐体20の短手端面から長手方向に突設され、第1筐体20の短手方向に沿って切欠き23を介して所定間隔で配置されている。第1筐体支持部24aは略U字状の端面が第1筐体20の側端面に対して連続し、第1筐体支持部24bは略U字状の端面が第1筐体20の側端面に対して段差となるように配置されている。
これらの第1筐体支持部24a、24bは、第1筐体20の操作面20aと、操作面20aとは反対側の外面20bとに対して突出しない。
【0026】
なお、第1筐体支持部24aの端面には、携帯端末10を閉じ状態から縦開き状態に移行させるための機構であるワンプッシュオープナの操作ボタン41aが配置されている。
ワンプッシュオープナは、第1筐体20および連結部40間に掛け渡された内蔵スプリング(図示せず)を圧縮状態から伸張状態に開放させることにより、携帯端末10を閉じ状態から縦開き状態に移行させる機構である。
【0027】
第1筐体20は、第1回動軸41が第1筐体支持部24a、24bに支持されるため、換言すれば操作面20aと、操作面20aとは反対側の外面20bとの間において、第1筐体20と連結部40との配列方向に沿った長手方向に対して直交する短手方向に沿うとともに操作面20aに対して平行に第1回動軸41が配置されることになる。
このため、第1筐体20は、第1回動軸41を収容するための突起を操作面20aに設ける必要性がなく、操作面20aが平坦となっている。
【0028】
第2筐体30は、閉じ状態(図3の状態)において第1筐体20の操作面20aに対面する表示面30aにLCD等の主表示部31が設けられているとともに、表示面30aとは反対側の外面30bに副表示部35が設けられている。
主表示部31は、縦開き状態および横開き状態においてゲームやTV放送の表示画面として使用される。
【0029】
第2筐体30は、表示面30aにおける長手方向に沿った一方の端部に、縦開き状態において電話として使用する際に、使用者の耳に当接させることにより送信された音声等を発する発音部33が設けられているとともに、長手方向に沿った他方の端部(連結部40側)に窪み32およびアンテナ37(図1参照)が設けられている。
アンテナ37は、第2筐体30に内蔵されている。
【0030】
図4および図5に示すように、連結部40は、第1回動軸41に挿通される略筒状の連結部本体43と、連結部本体43に支持される回動装置45と、回動装置45を覆う連結部カバー部材47とを備えている。
連結部本体43は、携帯端末10が縦開き状態および横開き状態において、第1筐体20の操作面20aに対して段差等が生じることなく連続した面となる表面43aを部分的に有するとともに、表面43aとは反対側に切欠43bが形成された略円筒形状とされている。
【0031】
連結部本体43は、表面43aから一方の端部43c(図5中、奥行側端部)に向かって斜面43dが形成されているとともに、内外を連通する切欠43dが端部43c側に形成されている。
この連結部本体43は、他方の端部43f(図5中、手前側端部)が第1筐体支持部24aに当接するとともに(図4参照)、切欠43bに第1筐体支持部24bが収容され、端部43cが第1筐体20の側端面に対して連続する状態で第1回動軸41に軸通される(図1参照)。
【0032】
従って、連結部本体43は、第1回動軸41の軸線を中心として第1筐体20に対して回動可能となっている。
この連結部本体43は、携帯端末10が縦開き状態あるいは横開き状態において、第1筐体20の操作面20aに対して突出しない形状、直径寸法を有している。
なお、表面43aとしては、操作面20aの表面形状に対応して、例えば平坦面、円弧面、曲面等を例示でき、表面43aに別途表示部や操作ボタン等を配置してもよい。
【0033】
図5および図6に示すように、回動装置45は、連結部40の連結部本体43にビス84で固定される第1部材51と、第2筐体30(図1参照)に固定されるとともに第1部材51に連結される第2部材52と、第2部材52に設けられた回動軸である第2連結軸87に対して同期回動する環状部材53と、環状部材53を付勢する付勢部材54と、第1部材51および第2部材52の相対位置を所定の角度で維持する相対角度維持手段55と、第1部材51に対して第2部材52を連結した状態に維持する挿入維持手段56とを備える。
【0034】
また、回動装置45は、第2連結軸87の軸線を中心とする第1部材51および第2部材52の回動角度を規制する回動規制手段58と、第1部材51に形成された案内スリット61と、案内スリット61に収容されて第2部材52に向かって突出可能な突出部材62と、第2部材52に向かって突出部材62を付勢する弾性部材64とを備える。
【0035】
第1部材51は、同一線に沿って離間配置された第1スリーブ68および第2スリーブ69を有する。
第1スリーブ68および第2スリーブ69は、筐体固定部71を介して一体的に形成されている。筐体固定部71は、連結部本体43(図5参照)の外端部内にビス84で取り付けられている。
なお、第1部材51は、付勢部材54(付勢手段)により第1スリーブ68および第2スリーブ69の相対位置が変化しないような構造であれば、第1スリーブ68および第2スリーブ69を別体としてもよい。
【0036】
第1スリーブ68は、第2部材52の軸部材87が挿通可能に形成され、第1端面68aに第1凹部75および第2凹部76が設けられている。
第1凹部75および第2凹部76は、2つで一組とされ、第1スリーブ68の軸線を中心として例えば120度前後の間隔をおいて第1端面68aに設けられている(図9および図10も参照)。
【0037】
第2スリーブ69は、第2部材52の軸部材87が挿通可能に形成され、第1スリーブ68とは反対側の端部69aに第2スリーブ当接面78が設けられ、第2スリーブ69の母線に沿って(長手方向に沿って)案内スリット61が設けられている。
【0038】
筐体固定部71は、外側部材81の外側窓部81aと、内側部材82の内側窓部82aとが一致するように、外側部材81の内部に内側部材82が収容される。内側部材82は、その内部にスライド部材83および弾性部材64が配置されている。
【0039】
この筐体固定部71は、外側窓部81aの上端部および内側窓部82aの上端部が案内スリット61に連通している。
【0040】
スライド部材83は、外側窓部81a、内側窓部82aおよび案内スリット61に沿ってスライド自在、かつ、弾性部材64のばね力により第2部材52に向かって突出している。
スライド部材83に突出部材62および規制腕部63が設けられている。
【0041】
また、連結部本体43の外端部内には、ヒンジガイド85の小径部85aおよび規制突起85bが配置されている。このヒンジガイド85は、大径部85cが第1筐体支持部24bと連結部本体43の外端部との間に配置され、第1筐体固定部85dが第1筐体20に固定されている。
規制突起85dは、規制腕部63に当接可能となっている。
【0042】
第2部材52は、第2筐体30に固定された第2筐体固定部88と、第2筐体固定部88に設けられた軸部材87とを備える。
軸部材87は、第1スリーブ68および第2スリーブ69に挿通され、第1スリーブ68および第2スリーブ69に対して相対的に軸回動可能な部材である。
この軸部材87は、ワイヤーハーネス89が挿通可能に中空状に形成され、周面87aに周方向スリット91および一対の廻り止めスリット92が形成され、第2スリーブ当接面78に対して面当接可能な軸部材当接面94(図8(A)参照)が形成されている。
【0043】
環状部材53は、第1スリーブ68における第2スリーブ69側の第1端面68aに対面した状態で、第1スリーブ68および第2スリーブ69間において軸部材87に挿通可能に形成されている。
図7(A)に示すように、環状部材53は、内周に一対の廻り止め突起53aが形成され、第1端面68aに対面する環状端面53bに一対の凸部57が形成されている。
廻り止め突起53aが一対の廻り止めスリット92に嵌合することで、この環状部材53を軸部材87と同期回動することが可能である。
【0044】
付勢部材54は、第2スリーブ69および環状部材53間において軸部材87に挿通され、環状部材53の環状端面53bを第1スリーブ68の第1端面68aに向かって付勢する複数の皿ばねである。
なお、第1実施形態においては、付勢部材として皿ばねが例示されているが、本発明における付勢部材としては例えばコイルスプリング、竹の子ばね、ウェーブワッシャ等を採用してもよい。
【0045】
相対角度維持手段55は、環状部材53の環状端面53bに設けられて第1スリーブ68の第1端面68aに向けて突出する一対の凸部57と、一対の凸部57が係合する第1凹部75および第2凹部76とを有する(図6も参照)。
【0046】
この相対角度維持手段55は、凸部57が第1凹部75や第2凹部76に係合することにより、第1スリーブ68の軸線および軸部材87の軸線を中心として第1スリーブ68および軸部材87の相対位置を所定の角度で維持する手段である。
【0047】
図7(B)に示す挿入維持手段56は、第1スリーブ68および第2スリーブ69に対して軸部材87が挿入した状態を維持する手段である。
この挿入維持手段56は、軸部材87の周面87aに設けられた周方向スリット91と、周方向スリット91に係合されるCリング部材(Eリング)96とを備える。
周方向スリット91は、軸部材87における第2スリーブ69と付勢部材54との間に対応する周面87aにおいて周方向に沿って設けられている。
【0048】
第2スリーブ69と付勢部材54との間において、周方向スリット91にCリング部材96を矢印Aの如く係合させることで、Cリング部材96で付勢部材54が矢印Bの如く圧縮される。
これにより、環状部材53の環状端面53bを第1スリーブ68の第1端面68aに向かって付勢する付勢部材54の付勢圧力が設定値に設定される。
【0049】
なお、第1実施形態では、挿入維持手段56として軸部材87の周方向スリット91にCリング部材96を係合させた構造を例示したが、第1スリーブ68および第2スリーブ69から軸部材87が抜け出さないように維持できればよく、例えば軸部材87の端部にCリング部材、割りピン等を係合させる構造を採用してもよい。
【0050】
図8(A)〜(C)に示すように、回動規制手段58は、第2スリーブ69に第2スリーブ当接面78と、軸部材87に設けられた軸部材当接面94とを有する。
第2スリーブ当接面78は、第2スリーブ69における第1スリーブ68とは反対側の端部69aに、第2スリーブ69の周方向に対して交差するように設けられている。
軸部材当接面94は、第2スリーブ当接面78に面当接可能な面である。
第2スリーブ当接面78および軸部材当接面94が互いに面当接することにより、軸部材87の軸線を中心とする第1部材51および第2部材52(図5参照)の回動角度を規制するストッパである。
【0051】
案内スリット61は、前述したように、第2スリーブ69の母線に沿って(すなわち、長手方向に沿って)形成されたスリットである。
図8(B)に示す突出部材62は、案内スリット61に収容されて軸部材87に向かって突出可能な部材である。
この突出部材62は、その先端部が第2スリーブ69の径方向に沿う略板状であるとともに、突出方向に沿って厚み寸法が連続的に小さくなる傾斜当接面62aを備える。
【0052】
弾性部材64(図6参照)は、突出部材62を軸部材87に向かって付勢する部材である。
案内スリット61に突出部材62を軸部材87に向かって突出可能に備えることで、突出部材62に軸部材当接面94が面当接可能となる。
【0053】
図6に戻って、前述した規制腕部63および規制突起85bの関係について説明する。
規制腕部63および規制突起85bは、携帯端末10が縦開き状態において離れた状態に保持される。
よって、弾性部材64の付勢力で突出部材62が案内スリット61から軸部材87に向かって突出される。
一方、規制腕部63および規制突起85bは、携帯端末10が閉じ状態において規制突起85bが弾性部材64の付勢力に抗して規制腕部63を第1スリーブ68に押し込む。 よって、突出部材62が案内スリット61内に収納される。
【0054】
図9(A)に示すように、携帯端末10が閉じ状態において突出部材62が案内スリット61内に収納される。これにより、軸部材87の軸線を中心とする第1部材51および第2部材52(図6参照)の相対的な回動が可能になり、携帯端末10を横開きできる。
ここで、携帯端末10が閉じ状態において、図9(B)に示すように、一対の第1凹部75に一対の凸部57が係合(嵌合)されている。よって、一定以上の力を加えないと、一対の第1凹部75から一対の凸部57が抜け出して横開きしないように設定できる。
【0055】
また、携帯端末10が縦開きを開始すると、図8(A)に示すように、弾性部材64の付勢力で突出部材62が案内スリット61から軸部材87に向かって突出される。
これにより、図8(D)の示すように、突出部材62(傾斜当接面62a)に軸部材当接面94が面当接して軸部材87の軸線を中心とする第1部材51および第2部材52の相対的な回動を規制できる。
従って、携帯端末10が縦開き状態において横開き状態となることを防止できる。
【0056】
図10(A)に示すように、第2スリーブ当接面78に軸部材当接面94が当接して、携帯端末10が横開き状態において突出部材62が案内スリット61内に収納される。これにより、軸部材87の軸線を中心とする第1部材51および第2部材52(図6参照)の相対的な回動が可能になり、携帯端末10を閉じることができる。
ここで、携帯端末10が閉じ状態において、図10(B)に示すように、一対の第2凹部76に一対の凸部57が係合(嵌合)されている。よって、一定以上の力を加えないと、一対の第2凹部76から一対の凸部57が抜け出して閉じないように(元に戻らないように)設定できる。
【0057】
図8(A)に示すように、軸部材当接面94とは反対側で、かつ、軸部材87の周方向に対して交差する復帰傾斜面66を備えている。
なお、軸部材当接面94の反対側に復帰傾斜面66を設けた理由は図13で詳しく説明する。
【0058】
図5に示す連結部カバー部材47は、第1部材51の上半分を覆うことで、携帯端末10の外観性を高めるカバーである。
【0059】
図11に示すように、第1筐体20に設けられている第1係合部95は、係合爪96と、この係合爪96を保持する保持部97と、係合爪96が保持部97から脱落するのを防止するストッパ98と、第1筐体磁石99とを有している。
係合爪96は、第1筐体20から第2筐体30に突出する第1突出部101と、第1突出部101に接続されて交差する方向に延びる第2突出部102とを有している。
【0060】
また、第2筐体30に設けられている第2係合部105は、開口106を有し、開口106内部において回動自在に設けられ第1突出部101を収容するとともに内部に磁石がインサート成型されている第1収容部107と、第2筐体30と一体で回動し第2突出部102を収容する開口部108aを有する第2収容部108と、第2収容部108を回転させて、第1収容部107の開口の向きと第2収容部108の向きを合わせるリターンスプリング109とを有している。
【0061】
従って、携帯端末10は、閉じ状態において、第1収容部107にインサート成型されている磁石の磁力により、係合爪96が第2係合部105の方向へ突出する。この状態では、第1係合部95と第2係合部105とは、係合していない。
この状態から第2回動軸42を中心として第2筐体30を横開きに回動させると、第2収容部108が第2筐体30と一体で回転して開口部108aにより係合爪96の第2突出部102を係止する。すなわち、第1係合部95と第2係合部105とが係合する。
【0062】
これにより、閉じ状態では、第1筐体20の第1係合部95と、第2筐体30の第2係合部105とが相互に係合しないので、閉じ状態から第1回動軸41を中心として縦開きに開く際に、障害とならない。
また、閉じ状態から第2回動軸42を中心として横開きに開く際には、第2筐体30が第2回動軸42を中心として回動を開始すると、第1係合部95と第2係合部105とが係合されるので十分な強度が得られ、安定して横開きを行うことができる。
【0063】
第1実施形態の携帯端末10は、閉じ状態において連結部40の表面43aが第1筐体20の操作面20aに連続するとともに、連結部40の表面43aと第2筐体30の表示面30aとが対面し、縦開き状態において連結部40の表面43aが第2筐体30の表示面30aに対面した状態で連結部40が回動するとともに、連結部40の表面43aと第1筐体20の操作面20aとが互いに異なる方向を向き、横開き状態において連結部40の表面43aが第1筐体20の操作面20aに連続するとともに、連結部40の表面43aと第2筐体30の表示面30aとが互いに異なる方向を向く構成となっている。
【0064】
以上、説明した第1実施形態の回動装置45によれば、図12(A)に示すように、第1スリーブ68および第2スリーブ69が離間配置されているため、第1スリーブ68の全長寸法L3と第2スリーブ69の全長寸法L4との合算値よりも、第1スリーブ68および第2スリーブ69における最も離れた端部間同士の寸法L2を大きくできることになる。
【0065】
すなわち、本発明の回動装置45においては、第1スリーブ68の軸線および第2スリーブ69の軸線と、軸部材87の軸線とが互いに傾くような外力が矢印の如く加わった場合でも、第1スリーブ68の軸線および第2スリーブ69の軸線と軸部材87の軸線との傾きを小さくでき、これによりガタ等が生じ難くできることになる。
【0066】
一方、図12(B)に示すように、第1スリーブ68の全長寸法L3と第2スリーブ69の全長寸法L4とを合算した全長寸法L1を有する一本のスリーブ110を採用した場合は、スリーブ110の軸線と軸部材87の軸線とが互いに傾くような外力が矢印の如く加わった場合に、スリーブ110の軸線と軸部材87の軸線との傾きを小さく抑えることが難しく、ガタ等が生じ易くなる。
【0067】
特に、近年では、携帯電子機器の小型化に伴って連結部にも小型化が求められている。このような要望に対して、図12(C)に示すように、スリーブ111の全長寸法L1を短くすることが考えられる。
ところが、スリーブ111を短小化すると、スリーブ111の軸線と軸部材87の軸線とが傾くような外力が矢印の如く加わった場合、軸部材87に対するスリーブ111の支持力が弱く、ガタが生じ一層易くなる。
【0068】
また、本発明の回動装置45においては、従来と同等のガタを許容できる場合、従来よりも第1スリーブ68および第2スリーブ69のうちの一方あるいは双方の肉厚寸法や全長寸法を小さくできるため、全体形状を小さくできることになる。
【0069】
さらに、本発明の回動装置45においては、軸部材87と同期回動する環状部材53に相対角度維持手段55の一対の凸部57が設けられているため、一対の凸部57の位置を適宜選択することにより第1スリーブ68に対して軸部材87がどのような角度で回動しても、その状態を維持できることになる。
【0070】
従って、本発明の回動装置45においては、第1部材51および第2部材52をそれぞれ携帯端末10の連結部40および第2筐体30に固定するとともに、携帯端末10が閉じ状態および横開き状態において、凸部57が第1凹部75や第2凹部76に係合するように設定しておけば、閉じ状態から横開き状態に移行する際、および横開き状態から閉じ状態に移行する際に、第1凹部75や第2凹部76に対して凸部57が係合したり、あるいは第1凹部75および第2凹部76から凸部57が外れることによる明確なクリック感を使用者に与えることができ、これにより使用者が良好な使用感を得られることになる。
【0071】
特に、本発明の回動装置45においては、付勢部材54による付勢圧力の程度や、第1凹部75や第2凹部76と凸部57の係合深さ等を適宜選択することにより、クリック感の強弱・硬さ等を任意に設定可能であるとともに、前述した閉じ状態と横開き状態との間においても、第1スリーブ68の第1端面68aに対して凸部57が摺接するため一定の回動トルクが得られることになる。
【0072】
また、本発明の回動装置45においては、第2スリーブ69と付勢部材54との間において軸部材87の周方向スリット91にCリング部材96を係合させる挿入維持手段56により付勢圧力が設定値となるため、換言すればCリング部材96を周方向スリット91に係合させるまでは付勢圧力が発生しないことになる。
従って、本発明の回動装置45においては、軸部材87を第1スリーブ68、第2スリーブ69、環状部材53および付勢部材54に挿通させるという組立作業を容易に行えるとともに、Cリング部材96を周方向スリット91から取り外すことにより分解も容易に行えることになる。
【0073】
特に、本発明の回動装置45においては、分解時、例えば特定の部品にかしめ加工、溶接加工、接着加工、圧入加工等を施した場合のように破壊的分解を行う必要がないため、再度組み立てる際に各部品の再利用が可能となるとともに、素材毎の分別廃棄が可能となる。
【0074】
その上、本発明の回動装置45においては、挿入維持手段56として軸部材87の周方向スリット91にCリング部材96を係合させるため、例えば軸部材87の端部87b(図6参照)において周方向スリット91にCリング部材96を係合させる場合に比較して、第1スリーブ68および第2スリーブ69における最も離れた端部間同士の寸法L2(図5、図12(A)参照)を大きくでき、これにより前述した第1スリーブ68の軸線および第2スリーブ69の軸線と軸部材87の軸線との傾きを小さくできるという効果が向上することになる。
【0075】
そして、本発明の回動装置45においては、Cリング部材96を周方向スリット91に係合させることにより付勢圧力が発生するため、Cリング部材96の軸方向寸法を適宜選択することにより、付勢圧力を任意に設定でき、組立後であっても軸方向寸法が異なるCリング部材96を選択的に用いることにより、付勢圧力を変更できることになる。
【0076】
さらに、本発明の回動装置45においては、第1スリーブ68および第2スリーブ69が筐体固定部71を介して一体的に形成されているため、第1スリーブ68および第2スリーブ69の離間寸法L2(図5、図12(A)参照)を確実に維持できることになる。
すなわち、本発明の回動装置45においては、第1スリーブ68および第2スリーブ69の離間寸法Lを設計値の通りに維持できるため、第1スリーブ68の第1端面68aに対して環状部材53の環状端面53bが所望の付勢圧力により付勢され、これによりクリック感および回動時の回動トルクが良好になるとともに、個体差が生じることなく動作精度を高度に均一化できる。
【0077】
また、本発明の回動装置45においては、第1スリーブ68および第2スリーブ69が筐体固定部71を介して一体的に形成されているため、例えば携帯端末10の連結部40として用いる場合、第1スリーブ68および第2スリーブ69が別体である場合に比較して、組み込みを容易に行えることになる。
【0078】
加えて、本発明の回動装置45においては、第2スリーブ当接面78および軸部材当接面94が互いに面当接することにより第1部材51および第2部材52の回動角度が規制されるため、換言すれば第2回動軸42(軸部材87)の廻りに回動規制手段58が設けられているため、直接的、かつ、確実に回動を規制できることになる。
【0079】
また、本発明の回動装置45においては、突出部材62および軸部材当接面94を互いに面当接させることにより軸部材87の軸線を中心とする第1部材51および第2部材52の相対的な回動を規制するため、例えば縦開き状態および横開き状態を取り得る携帯端末10の連結部40における横開き用の回動装置45として採用した場合、閉じ状態から縦開き状態に移行を開始したときに第2スリーブ69から突出部材62が突出するように設定しておけば、縦開き状態において横開き状態となることを確実に防止できることになる。
【0080】
さらに、本発明の回動装置45においては、必要なときに弾性部材64により第2スリーブ69から突出部材62が突出するため、軸部材87の軸線を中心とする第1部材51および第2部材52の相対的な回動を確実に規制できることになる。
【0081】
加えて、本発明の回動装置45においては、軸部材当接面94に対して面当接する傾斜当接面62aが突出部材62の先端部に設けられているため、換言すれば軸部材当接面94および傾斜当接面62aがそれぞれ第2スリーブ69および軸部材87の周方向に対して直交している場合に比較して、図8(D)に示すように、軸部材当接面94および傾斜当接面62aが互いに面当接することにより第2スリーブ69および軸部材87が互いに周方向に沿った反対方向に向かって相対的に回動するように押圧されることになる。
【0082】
すなわち、本発明の回動装置45においては、単に第2スリーブ69および軸部材87が相対的に回動することを規制するだけではなく、あたかも楔が食い込むように軸部材当接面94および傾斜当接面62aが互いに面当接することにより、第2スリーブ69および軸部材87間にガタ等が生じない状態で相対位置を維持できることになる。
【0083】
ところで、本発明の回動装置45においては、例えば縦開き状態および横開き状態を取り得る携帯端末10の連結部40における横開き用の回動装置45として採用した場合であって、閉じ状態において第2スリーブから突出部材62が突出せず、かつ、閉じ状態から縦開き状態に移行を開始したときに第2スリーブ69から突出部材62が突出するように設定した場合、軸部材当接面94とは反対側に軸部材87の周方向に対して直交する直立面が形成されていると、以下のような可能性が生ずる。
【0084】
すなわち、この携帯端末10は、使用者が閉じ状態から横開き状態に移行した後、縦開き用の回動軸を中心として下筐体に対して上筐体を回動させるという本来の使用形態から逸脱した操作を行って不完全縦開き状態となった場合、横開き状態から不完全縦開き状態に移行を開始したときに、図8(A)に示すように第2スリーブ69から突出部材62が突出することになる。
従って、このような携帯端末10は、突出部材62に直立面が干渉するため、第2スリーブ69および軸部材87が相対的に回動できなくなり、不完全縦開き状態から正規の縦開き状態に復帰できない可能性がある。
【0085】
これに対して、本発明の回動装置45は、図8(A)に示すように、軸部材87の周方向に対して交差するとともに軸部材当接面94とは反対側に復帰傾斜面66を備える構成を有している。
これにより、本発明の回動装置45においては、図13(A)に示すように、携帯端末10の第2筐体30を矢印の如く横開き状態に移行した後、図13(B)に示すように、縦開き用の第1回動軸41を中心として第1筐体20に対して第2筐体30を矢印の如く不完全縦開き状態となることが考えられる。
【0086】
この状態において、復帰傾斜面66により突出部材62を第2スリーブ69に押し込みながら第2スリーブ69および軸部材87が相対的に回動できる。
これにより、図13(C)に示すように、第2筐体30を矢印の如く不完全縦開き状態から正規の縦開き状態に復帰できることになる。
【0087】
次に、本発明にかかる第2〜第4の実施形態の携帯電子機器である携帯端末を図14〜図16に基づいて説明する。
なお、以下に説明する第2〜第4の実施形態において、前述した第1実施形態の携帯端末10と共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
【0088】
(第2実施形態)
図14は第2実施形態の携帯端末に備えた付勢部材を示す断面図である。
図14に示すように、第2実施形態の携帯端末130においては、付勢部材54に代えてコイルスプリングの付勢部材131が設け、Cリング部材96が軸部材87の端部87bに設けられている。
【0089】
以上、説明した第2実施形態の携帯端末130によれば、コイルスプリングの付勢部材131を用いることで、一つのコイルスプリングで付勢可能として部品数を減らすことができる。
なお、付勢部材としては、第1実施形態の皿ばねや第2実施形態のコイルスプリングに代えて、例えば竹の子ばねやウェーブワッシャ等を例示でき、使用数は任意である。
【0090】
(第3実施形態)
図15は第3実施形態の携帯端末に備えた環状部材およびCリング部材を示す断面図である。
図15に示すように、第3実施形態の携帯端末140においては、環状部材53が第2スリーブ69側に配置し、Cリング部材96が第1スリーブ68側に配置されている。
【0091】
なお、本発明の携帯電子機器は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
例えば、第1実施形態においては、携帯端末10の閉じ状態において凸部57が係合する第1凹部75と、横開き状態において凸部が係合する第2凸部とを例示したが、どちらか一方の凹部を設けることも可能である。
【0092】
また、第1実施形態においては、環状部材53に相対角度維持手段55の一対の凸部57を設け、第1スリーブ68に第1凹部75および第2凹部76を設けた例について説明したが、環状部材53に第1凹部75および第2凹部76を設け、第1スリーブ68に一対の凸部57を設けることも可能である。
【0093】
なお、本発明の携帯電子機器は、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
例えば、前述した実施形態においては、携帯電子機器として携帯端末を例示したが、この他、PDA、ノートパソコン、ゲーム機等の持ち運び可能な携帯電子機器にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、携帯端末等の携帯電子機器への適用に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる携帯端末の横開き状態を示す斜視図
【図2】本発明の第1実施形態にかかる携帯端末の縦開き状態を示す斜視図
【図3】本発明の第1実施形態にかかる携帯端末の閉じた状態を示す斜視図
【図4】本発明の第1実施形態にかかる携帯端末の分解図
【図5】連結部の分解斜視図
【図6】回動装置の分解斜視図
【図7】回動装置の断面図
【図8】軸部材当接面および突出部材を示す図
【図9】携帯端末が閉じた状態において軸部材当接面および突出部材と凸部57および第1凹部との関係を説明する図
【図10】携帯端末が横開き状態において軸部材当接面および突出部材と凸部57および第1凹部との関係を説明する図
【図11】第1係合部および第2係合部を示す分解斜視図
【図12】第1スリーブおよび第2スリーブを離間した理由を示す原理図
【図13】復帰傾斜面の役割を説明する斜視図
【図14】本発明の第2実施形態にかかる付勢部材を示す断面図
【図15】本発明の第3実施形態にかかる環状部材およびCリング部材を示す断面図
【符号の説明】
【0096】
10,130,140 携帯端末(携帯電子機器)
21 操作部
20 第1筐体
30 第2筐体
31 主表示部(表示部)
35 副表示部(表示部)
51 第1部材
52 第2部材
53 環状部材
53b 環状端面
54,131 付勢部材
55 相対角度維持手段
56 挿入維持手段
57 凸部
58 回動規制手段
61 案内スリット
62 突出部材
62a 傾斜当接面
64 弾性部材
66 復帰傾斜面
68 第1スリーブ
68a 第1スリーブの第1端面
69 第2スリーブ
69a 第2スリーブの端部
71 筐体固定部
75 第1凹部(凹部)
76 第2凹部(凹部)
78 第2スリーブ当接面
87 軸部材
91 周方向スリット
94 軸部材当接面
96 Cリング部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スリーブを有する第1部材と、
前記スリーブに挿通され、前記スリーブに対して相対的に軸回動可能な軸部材を有する第2部材と、
前記スリーブの長手方向に沿って形成された案内スリットと、
前記案内スリットに収容され、前記軸部材に向かって突出可能な突出部材と、
前記軸部材の周方向に対して交差するとともに前記突出部材に当接可能な軸部材当接面とを備える回動装置。
【請求項2】
前記軸部材に向かって前記突出部材を付勢する弾性部材を備える請求項1に記載の回動装置。
【請求項3】
前記突出部材の先端部が突出方向および前記スリーブの径方向に沿う略板状であるとともに、前記突出方向に沿って厚み寸法が連続的に小さくなる傾斜当接面を備える請求項1または請求項2に記載の回動装置。
【請求項4】
前記軸部材の周方向に対して交差するとともに前記軸部材当接面とは反対側に復帰傾斜面を備える請求項1ないし請求項3のうちのいずれかに記載の回動装置。
【請求項5】
操作部が設けられた第1筐体と、
表示部が設けられた第2筐体と、
前記第1筐体および前記第2筐体を連結するための連結筐体と、
前記第1筐体と前記連結筐体とを連結するために、前記操作部が設けられた操作面と、
前記操作面とは反対側の面との間に配置された第1連結軸と、
前記第2筐体と前記連結筐体とを連結するために配置された第2連結軸と、を備え、
前記第1筐体および前記第2筐体が積層された閉じ状態において、前記連結筐体の表面が前記第1筐体の前記操作面に連続するとともに、前記連結筐体の表面と前記第2筐体の前記表示部が設けられた表示面とが対面し、
前記閉じ状態から前記第1連結軸を中心として前記第1筐体および前記第2筐体が相対的に回動する縦開き状態において、前記連結筐体の表面が前記第2筐体の前記表示面に対面した状態で前記連結筐体が回動するとともに、前記連結筐体の表面と前記操作面とが互いに異なる方向を向き、
前記閉じ状態から前記第2連結軸を中心として前記第1筐体および前記第2筐体が相対的に回動する横開き状態において、前記連結筐体の表面が前記第1筐体の前記操作面に連続するとともに、前記連結筐体の表面と前記第2筐体の前記表示面とが互いに異なる方向を向く携帯電子機器において、前記第2連結軸に請求項1ないし請求項4のうちいずれか1項に記載の回動装置とを備え、前記連結筐体に前記回動装置の第1部材が固定され、前記第2筐体に前記回動装置の第2部材が固定されていて、前記第1筐体には上記突出部材の前記軸部材との係合を制御する係止部を設けた携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−141493(P2010−141493A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−314446(P2008−314446)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【特許番号】特許第4425975号(P4425975)
【特許公報発行日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】