説明

回折光学的有効安全層を備えたドキュメントの検査方法

【課題】
素早く安価にドキュメントを検査する方法を提供する。
【解決手段】
金属層を含む回折光学的有効安全層を備えたドキュメントを検査する方法であって、送信器と受信器との間での容量性結合及び前記送信器と前記受信器との間でのエネルギ伝達を用いた電子センサシステムにおける送信器と受信器との間を前記ドキュメントをして所定の速度で通過せしめるように案内する行程と、前記送信器の送信電極から前記受信器の受信電極への前記回折光学的有効安全層を介した容量的エネルギ伝達によって前記受信電極において生成される測定信号を増幅し、且つ、参照信号と比較して比較出力を得る行程と、前記比較出力によって、前記ドキュメントを更に処理するための前記ドキュメントを選別する信号を得る行程と、からなる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】
【0002】
本発明は、ドキュメントの検査方法に関する。
【背景技術】
【0003】
現在まで、回折光学的有効安全層、特にホログラムを有するドキュメントは、高価な光学的検査機器によって検査されてきた。これらの手順では、検査対象物は、非常に正確に配置されなければならなかった。全検査行程は時間が長くかかるため、これらの検査手続は高速処理機では、使用され得なかった。例えば、ホログラム認証標を備えた銀行券を、銀行券計数器で検査することは不可能である。なぜなら、銀行券は毎分500枚から1500枚、あるいは、それ以上の高速で通過するからである。ホログラフによって防護された識別カードの偽造検査の方法と装置が、ドイツ特許第2747156号によって開示されている。ホログラムは再現され、そして、視覚チェックが行われる。この方法は、高速で、能率的な、個人に依拠しない検査には適合しない。レーザと、ミラーと、レンズとのシステム及び光電検出器によって検査される走査パターンを生成する装置は、欧州特許第0042946号に記載されている。この場合、経済的な経費もまた、非常に高い。この経費は、検査対象物が事前分類なしに検査される場合、更に増加する。事前分類を避けるために、偽造検査システムは何倍か配置されなければならない。
【発明の開示】
【0004】
本発明の目的は、従来技術の不利な点を除去して、回折光学的有効安全層、特にホログラムを、有したドキュメントの使用及び、個人に依拠せず、安価にドキュメントを迅速に検査し得る検査方法を提供することである。該装置は、ドキュメント検査装置と、金銭処理器、並びに回折光学的有効安全層を有するドキュメントの手動式検査ユニットにおける使用が企図されている。
【0005】
解決課題は、請求項1の特徴部に記載された特徴によって解決される。
【発明の実施の形態】
【0006】
証明書及び他の証書並びに銀行券を偽造から防ぐためのホログラム及び他の回折光学的有効安全層は、現在ますます広く使われている。素速い検査能力を有することによって、認証標としての回折光学的有効安全層の安全面での評価が更に高まる。回折光学的有効層は、とりわけ金属層を含む。この金属層は、電導性を有する。電気伝導率は、層の厚さによって変化する。回折光学的有効層は、不連続な金属層及び/又は部分的な金属層及び/又は異なる平面上の金属層領域を有する。
【0007】
電気導電率を決定する多様な測定方法は、既知である。実際、非接触の容量性計測方法は、役に立つことが分かっている。このドキュメント安全検査方法は、送信器と受信器との間の容量性結合と、導電性安全材料による電磁場を橋絡することによる送信器と受信器との間のエネルギ転送とを使用する。下流の電子測定システムは、検査対象物の信号画像を、関連する参照信号と比較する。該比較は、更なる処理のための分類信号を提供する。それ故、偽造として検出されたドキュメントは、例えば検査装置を止めることによって分類される。信号画像は、回折光学的有効層の金属層の構造に依存する。回折光学的有効層が不連続な金属層を有する場合、金属層のいくつかの部分は異なる電気導電率を有する。実際には、これらの異なる導電率は信号画像に対して影響を有することを示している。
【0008】
検査信頼性は、電気導電性検査と回折光学的有効層に形成されている他の認証標とを結合させることによって、更に増加する。不連続な金属層及び/又は部分的な金属層及び/又は異なった平面の金属層間の領域内における非金属部分に、追加的な認証標を適用することによって、電気導電性による検査と、これらの認証標との同時検査が可能になる。
【0009】
電子測定システムによって、偽造の有無を判断すべく、追加的な他のセンサからの認証信号と、導電率測定センサからの信号とが論理的に結合される。電子測定システムから出力される回折光学的有効層を分類する信号は、更なる処理のために利用可能である。この追加の認証標は、蛍光性か、リン光を発するか、あるいは、光吸収特性か、又は異なる磁気特性によってその環境と異なる性質を有している。したがって、光学的又は磁気的センサが使われる。検出及び測定誤差を減らすために、センサキャリアを使用するのが好ましい。このセンサキャリアは、認証標の検知のために必要な全てのセンサを収容する。これによってセンサ間の距離は最小にでき、そして、センサを常に画定された位置に配設することが可能になる。干渉効果を避けるために、センサキャリアはしっかりと電子測定システムを保持している装着プレートに連結される。全検査デバイスは処理機内に配置され、その結果、検査対象物の搬送のための追加的な費用は必要ない。
【0010】
本発明の特徴は、クレーム及び、保護がクレームされた有益な特許可能な実施例を表現している下位の結合の形の個々の、あるいは、それぞれの幾つかの結合としての特徴に加えて、詳細説明及び図面から明らかになる。本発明は、添付の図面によって表現される実施例を参照して、より詳細に説明されよう。
【実施例】
【0011】
本発明による検査方法では、適切なセンサが銀行券計数器の適切な位置に配設される。電気導電率検出センサは、該センサが銀行券の位置と無関係に該銀行券を検査し得るように、設計される。光学的、あるいは、機械的センサは、銀行券の存在を検知して、検査装置4に、かかるタイミングに応じて参照信号を提供する。同時に、ホログラムの偽造検査のためのセンサが作動する。各銀行券の先端から末端に亘る全ての時間において記録をとることによって、銀行券のホログラムの位置が決定され得る。
【0012】
図1は、検査装置4が銀行券搬送経路にどのように配置されるかを示している。銀行券計数機は、供給輪1と、搬送輪2と、銀行券案内装置3と、検査装置4と、を含む。
【0013】
図2aは、キャリア層11と、部分的な金属層12と、を有するホログラムの模式的な断面図を示す。部分的な金属層12は、いくつかの非金属部分13を備える。図2bは、電圧−時間線図での関連する測定信号を示す。
【0014】
図3aは、キャリア層11及び不連続な金属層14を有するホログラムの模式的な断面図を示す。不連続な金属層14は、異なる電気導電率を有する部分15,16,17,18,19を含む。
【0015】
図3bは、電圧−時間線図での関連する測定信号を示す。
【0016】
図4aは、キャリア層11及び非連続な金属層20を有するホログラムの模式的な断面図を示す。不連続な金属層20は、追加的な認証標と同様に、非金属部分21を含む。これらの認証標は蛍光塗料22であり、UV光による検出で励起状態となり、光検出器によって検出される。追加の認証標が、非金属部分21内に位置するのが好ましい。図4bは、電気導電率を検査する容量性動作センサの、関連する測定信号を電圧−時間線図で示している。図4cは、電圧−時間線図での光検出器の測定信号の反応を示す。
【0017】
本発明において、回折光学的有効安全層を有するドキュメントの検査が実施例に関連して説明された。しかし、本発明は、実施例の詳細な説明に限られているのではなく、他の実施例や改良が、特許請求の範囲内で主張されると理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】検査装置を有する処理機の模式的な断面図である。
【図2a】非金属部分を有するホログラムの模式的な断面図である。
【図2b】測定信号の電圧‐時間線図である。
【図3a】不連続な金属層を有するホログラムの模式的な断面図である。
【図3b】測定信号の電圧‐時間線図である。
【図4a】UV認証標を有するホログラムの模式的な断面図である。
【図4b】電気伝導率検査の測定信号の電圧‐時間線図である。
【図4c】UVセンサの測定信号の電圧‐時間線図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属層を含む回折光学的有効安全層を備えたドキュメントを検査する方法であって、
送信器と受信器との間での容量性結合及び前記送信器と前記受信器との間でのエネルギ伝達を用いた電子センサシステムにおける送信器と受信器との間を前記ドキュメントをして所定の速度で通過せしめるように案内する行程と、
前記送信器の送信電極から前記受信器の受信電極への前記回折光学的有効安全層を介した容量的エネルギ伝達によって前記受信電極において生成される測定信号を増幅し、且つ、参照信号と比較して比較出力を得る行程と、
前記比較出力によって、前記ドキュメントを更に処理するための前記ドキュメントを選別する信号を得る行程と、からなることを特徴とする検査方法。
【請求項2】
前記回折光学的有効安全層が不連続な金属層(14)及び部分的な金属層(12、20)から形成されていることを特徴とする請求項1記載の検査方法。
【請求項3】
前記回折光学的有効安全層が不連続な金属層(14)及び異なる平面の金属層の領域から形成されていることを特徴とする請求項1記載の検査方法。
【請求項4】
前記回折光学的有効安全層が部分的な金属層(12、20)及び異なる平面の金属層の領域から形成されていることを特徴とする請求項1記載の検査方法。
【請求項5】
前記回折光学的有効安全層が不連続な金属層(14)及び/又は部分的な金属層(12、20)及び/又は異なる平面の金属層領域から形成されていることを特徴とする請求項1に記載の検査方法。
【請求項6】
前記ドキュメントを検査する方法は、更に、不連続な金属層(14)及び/又は部分的な金属層(12、20)及び/又は異なる平面の金属層間の領域内に存在する非金属材料からなる追加的な適用可能な認証標を検査する行程を含むことを特徴とする請求項1ないし5の中のいずれか1に記載の検査方法。
【請求項7】
前記追加的な適用可能な認証標を検査する行程は、蛍光特性の検査を含むことを特徴とする請求項6に記載の検査方法。
【請求項8】
前記追加的な適用可能な認証標を検査する行程は、リン光を出す特性の検査を含むことを特徴とする請求項6に記載の検査方法。
【請求項9】
前記追加的な適用可能な認証標を検査する行程は、光吸収特性の検査を含むことを特徴とする請求項6に記載の検査方法。
【請求項10】
前記追加的な適用可能な認証標を検査する行程は、環境と異なる磁気特性の検査を含むことを特徴とする請求項6に記載の検査方法。
【請求項11】
前記回折光学的有効安全層がホログラムであることを特徴とする請求項1ないし10のうちいずれか1に記載の検査方法。
【請求項12】
前記検査方法が、1分当たり最高2000件のドキュメント処理速度を有する高速処理機において行われることを特徴とする請求項1ないし11のうちいずれか1に記載の検査方法。
【請求項13】
前記検査方法が、手動ユニットのホログラムの検査を含むことを特徴とする請求項11又は12に記載の検査方法。
【請求項14】
前記回折光学的有効安全層を有する前記ドキュメントは、少なくとも2つの異なる検査方向で検査されることを特徴とする請求項1記載の検査方法。
【請求項15】
前記ドキュメントを選別する信号を得る行程は、前記参照信号との比較によって得られた前記比較出力が、他のセンサによって検査された追加的に適用可能な認証標の認証信号と論理的に結合して、前記ドキュメントを更に処理するための前記ドキュメントを選別する信号を得ることを特徴とする請求項1記載の検査方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【公開番号】特開2007−242042(P2007−242042A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−108570(P2007−108570)
【出願日】平成19年4月17日(2007.4.17)
【分割の表示】特願平10−546500の分割
【原出願日】平成10年4月24日(1998.4.24)
【出願人】(500053665)ヴェーハーデー エレクトロニッシュ プルフテヒニク ゲーエムベーハー (2)
【Fターム(参考)】