説明

回路モジュールおよびそれを備えた照明機器

【課題】小型化(薄型化)および長寿命化を図ることができ、かつ、製造コストを削減することが可能な回路モジュールを提供する。
【解決手段】この回路モジュールの回路基板22は、樹脂層30と、樹脂層30の実装面30a側とは反対側に配置され、熱伝導性のフィラーが含有された樹脂層40と、樹脂層30との間で樹脂層40を挟み込むように配置され、樹脂層40側とは反対側の部分に放熱用金属パターン51が一体的に設けられているとともに、その放熱用金属パターン51が筐体3の装着部3aに対面される樹脂層50との3層を少なくとも含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路モジュールおよびそれを備えた照明機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の回路素子が搭載された回路基板を少なくとも備える回路モジュールが知られている。この従来の回路モジュールにおいて、回路素子を搭載する回路基板としては、用途によって異なるが、両面プリント樹脂基板などが用いられる。なお、両面プリント樹脂基板とは、樹脂基材の両面に金属配線パターンを設けたものであり、特許文献1に一例が開示されている。
【0003】
また、上記した従来の回路モジュールは、たとえば、直管型の蛍光灯を模したLED照明機器(LEDを光源とする照明機器)に組み込まれ、LEDモジュールの駆動を制御するための駆動回路モジュールとされる。以下に、図14〜図16を参照して、直管型の蛍光灯を模した従来のLED照明機器の一例について簡単に説明する。なお、図14には、従来のLED照明機器をその長手方向に沿って切断した断面図が示され、図15には、従来のLED照明機器をその短手方向に沿って切断した断面図が示されている。また、図16には、図15の領域(破線で囲まれた領域)Aの拡大図が示されている。
【0004】
従来のLED照明機器は、図14および図15に示すように、LEDモジュール101および駆動回路モジュール102に加えて、それらを保持するための筐体103を備えている。この筐体103は装着部103aを有し、筐体103の装着部103aの一方面側にLEDモジュール101が装着され、筐体103の装着部103aの一方面側とは反対の他方面側に駆動回路モジュール102が装着されている。
【0005】
LEDモジュール101の構造としては、複数個のLED111が同一のLED基板112に実装されたものとなっている。
【0006】
また、駆動回路モジュール102の構造としては、種々の回路素子121が同一の回路基板122に搭載されたものとなっている。なお、回路素子121が搭載された回路基板122は、スルーホールが形成された通常の両面プリント樹脂基板からなっている。すなわち、図16に示すように、絶縁性の樹脂基材122aの両面に金属配線パターン122bが設けられた基板を回路基板122として用いている。
【0007】
この回路基板122に対する回路素子121の搭載は、スルーホール実装によってなされている。具体的には、回路素子121の端子を回路基板122のスルーホールに挿入することによって、回路基板122の裏面(回路素子121が搭載される側とは反対側の面)から回路素子121の端子を突出させている。そして、その状態で、半田Sを介して回路素子121の端子を回路基板122に接合している。
【0008】
また、図14および図15に示すように、回路基板122には、発熱量の多い回路素子(たとえば、トランジスタなど)121の発熱を個別に放熱するために、別途準備した放熱部材123もスルーホール実装されている。
【0009】
図14〜図16に示した従来の駆動回路モジュール102は一般的なものであるが、この駆動回路モジュール102では、回路基板122に放熱部材123を別途搭載しているので、その分、駆動回路モジュール102が大型化してしまう。このため、LED照明機器の全体の厚み(図15中の距離L1)が大きくなり、LED照明機器の小型化(薄型化)を図るのが困難になるという不都合がある。
【0010】
さらに、回路基板122の裏面から回路素子121の端子が突出していると、その回路素子121の端子と筐体103の装着部103aとの接触を避けるために、筐体103の装着部103aと回路基板122との間の間隙を大きく取ったり、あるいは、筐体103の装着部103aと回路基板122との間に絶縁部材(たとえば、絶縁性の樹脂シート104)を挟み込んだりしなければならない。すなわち、筐体103の装着部103aと回路基板122との間に絶縁用のスペースを設ける必要がある。このため、LED照明機器の小型化(薄型化)を図るのが困難になるのはもちろんのこと、構造が複雑化して製造コストが増大するという不都合も生じてしまう。
【0011】
そこで、従来では、上記の不都合を解消するため、両面プリント樹脂基板からなる回路基板122に代えて、図17〜図19に示すように、金属基板(アルミニウムなどの金属をベースとする基板)からなる回路基板132を用いた駆動回路モジュール102が提案されている。
【0012】
このようにすると、回路素子121の発熱が回路基板132から筐体103の装着部103aに良好に伝導されるので、発熱量の多い回路素子121の発熱を個別に放熱するための放熱部材を別途準備する必要がなくなり、駆動回路モジュール102が小型化(薄型化)される。すなわち、LED照明機器の全体の厚み(図18中の距離L2)を小さくすることができ、LED照明機器が小型(薄型)になる。
【0013】
なお、回路基板132を構成する金属基板というのは、図19に示すように、金属基材132aの片面に樹脂層132bを介して金属配線パターン132cが設けられたものである。そして、この金属基板からなる回路基板132に対する回路素子121の搭載は、表面実装によってなされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2006−210645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
図17〜図19に示した従来の提案された駆動回路モジュール102では、金属基板からなる回路基板132を用いることで放熱特性を向上させているが、このような回路基板132を用いると、以下のような不都合が生じる。
【0016】
具体的には、金属基板からなる回路基板132を用いると、金属基材132aと樹脂層132bとの間の熱膨張係数の差が数倍であることから、回路素子121と回路基板132とを接合する半田Sに熱ストレスが加わり、半田Sにクラックが生じ易くなる。このため、回路素子121と回路基板132との間でなされる半田接合の劣化が早くなるので、駆動回路モジュール102の寿命が縮まる。もちろん、駆動回路モジュール102の寿命が縮まれば、それを備えたLED照明機器の長寿命化を図るのが困難になる。
【0017】
また、直管型の蛍光灯を模したLED照明機器においては、駆動回路モジュール102が長尺(たとえば、長手方向のサイズが150mm以上で短手方向のサイズが20mm以下)になるので、必然的に回路基板132を長尺にしなければならない。この場合、回路基板132が金属基板であると、熱ストレスに起因して発生する回路基板132の反りが大きくなり、駆動回路モジュール102の寿命を縮める要因となる。特に、回路基板132が筐体103の装着部103aに面するように配置されていれば、LED111の発熱による熱ストレスが回路基板132に大きく伝達され、駆動回路モジュール102の寿命に悪影響を及ぼし易い。
【0018】
さらに、回路基板132を長尺にする必要がある場合、それに対応した金属基板を製造するのが非常に難しくなる。また、一般的な金属基板は片面基板であるため、両面基板に比べると20%〜30%以上も実装面積を大きくしなければならない。したがって、金属基板からなる回路基板132を用いると、製造コストの削減が困難になる。
【0019】
これらのことから、従来の提案された駆動回路モジュール102では、小型化(薄型化)を図ることができたとしても、寿命が縮まる。また、製造コストが増大するという不都合も解消されない。
【0020】
なお、近年では、高い熱伝導性(3W/m・k以上)を持つプリント樹脂基板が開発されており、金属基板を用いなくても放熱特性の向上が可能となっている。ただし、この高熱伝導性のプリント樹脂基板は、樹脂基材に熱伝導性のフィラーが多量に充填されたものであるので、樹脂基材が硬くなっている。このため、スルーホール加工などの加工性が非常に悪く、製造コストを削減するのが困難になってしまう。
【0021】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、小型化(薄型化)および長寿命化を図ることができ、かつ、製造コストを削減することが可能な回路モジュールおよびそれを備えた照明機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の局面による回路モジュールは、回路素子と、筐体の装着部に取り付けられ、回路素子が搭載された回路基板とを備えている。そして、回路基板は、回路素子が表面実装される実装面を有する第1樹脂層と、第1樹脂層の実装面側とは反対側に配置され、熱伝導性のフィラーが含有された第2樹脂層と、第1樹脂層との間で第2樹脂層を挟み込むように配置され、第2樹脂層側とは反対側の部分に放熱用金属パターンが一体的に設けられているとともに、その放熱用金属パターンが筐体の装着部に対面される第3樹脂層との3層を少なくとも含んでいる。
【0023】
第1の局面による回路モジュールでは、上記のような3層(第1樹脂層、第2樹脂層および第3樹脂層)を少なくとも含む回路基板を用いることによって、回路基板に搭載された回路素子(第1樹脂層の実装面に表面実装された回路素子)が発熱すると、回路素子の発熱は、第1樹脂層から熱伝導性のフィラーを含有する第2樹脂層に伝導することで拡散された後、第2樹脂層から第3樹脂層に伝導し、第3樹脂層に一体的に設けられた放熱用金属パターンを介して筐体の装着部に放熱される。すなわち、回路素子の発熱が効率的に筐体に放熱される。これにより、仮に発熱量の多い回路素子を回路基板に搭載したとしても、その回路素子の発熱を個別に放熱するための放熱部材を回路基板に別途搭載する必要はない。したがって、回路基板に別途搭載された放熱部材が存在しない分だけ、回路モジュールの小型化(薄型化)を図ることができる。
【0024】
そして、この回路基板において、第2樹脂層への熱伝導性のフィラーの充填を多量に行うようにすれば、第2樹脂層の熱伝導性が高まるので、回路基板の放熱特性をさらに向上させることができる。この場合、第2樹脂層の絶縁性が低下してしまうが、第2樹脂層と筐体の装着部との間には第3樹脂層が有るので、第3樹脂層の絶縁性を高くしておくことにより、第2樹脂層の絶縁性が低下しても不都合はない。すなわち、第2樹脂層の絶縁性が低下したとしても、筐体の装着部と回路基板との間の絶縁を十分に確保することができる。
【0025】
さらに、回路基板の放熱特性をより向上させるために、第2樹脂層に加えて、第3樹脂層にも熱伝導性のフィラーを充填してもよい。ただし、言うまでもないが、第3樹脂層の絶縁性は高めに保持しなければならないので、第3樹脂層における熱伝導性のフィラーの含有率は第2樹脂層における熱伝導性のフィラーの含有率に比べて低くしておく必要がある。
【0026】
また、第1の局面による回路モジュールでは、回路基板の構成材料が樹脂を主成分とするものであるので、金属基板からなる回路基板を用いることに起因する不都合の発生が回避される。すなわち、回路モジュールの寿命が延びるとともに、製造コストの増大が抑制される。
【0027】
また、第1の局面による回路モジュールでは、第1樹脂層に熱伝導性のフィラーを多量に充填することなく回路基板の放熱特性を向上させているので、第1樹脂層は硬くなってはいない。このため、第1樹脂層に対してスルーホール加工などを施す場合、そのスルーホール加工などを容易に行うことができるので、第1樹脂層に対するスルーホール加工などにかかるコストが増大することはない。
【0028】
これらの結果、第1の局面による回路モジュールでは、小型化(薄型化)および長寿命化を図ることができ、かつ、製造コストを削減することが可能となる。
【0029】
第1の局面による回路モジュールにおいて、熱伝導性材料からなる熱伝導促進部が第1樹脂層の層内の所定部分に設けられていることが好ましい。なお、熱伝導促進部が設けられる第1樹脂層の層内の所定部分としては、回路素子が半田接合される金属配線パターンの直下に相当する部分であることがより好ましい。このように構成すれば、回路素子の発熱をより良好に第1樹脂層から第2樹脂層に伝導することができる。
【0030】
第1樹脂層の層内の所定部分に熱伝導促進部が設けられている構成において、その熱伝導促進部が第1樹脂層の実装面から第2樹脂層にまで達していることが好ましい。このように構成すれば、確実に、回路素子の発熱が第1樹脂層から第2樹脂層に伝導される。
【0031】
熱伝導促進部が第1樹脂層の実装面から第2樹脂層にまで達している構成において、第2樹脂層の第1樹脂層側の部分に熱拡散用金属パターンが一体的に設けられており、その熱拡散用金属パターンに熱伝導促進部が接続されていることがより好ましい。このように構成すれば、熱伝導促進部を介して第1樹脂層から第2樹脂層に伝導される熱をより大きく拡散することができるようになる。
【0032】
第1樹脂層の層内の所定部分に熱伝導促進部が設けられている構成において、第1樹脂層の所定部分に熱伝導用スルーホールが形成されており、その熱伝導用スルーホールが熱伝導促進部とされていてもよい。このように構成すれば、容易に、第1樹脂層の層内の所定部分に熱伝導促進部が設けられた構造を得ることができる。
【0033】
また、第1樹脂層の層内の所定部分に熱伝導促進部が設けられている構成において、第1樹脂層の所定部分に熱伝導体が埋め込まれており、その熱伝導体が熱伝導促進部とされていてもよい。このように構成すれば、容易に、第1樹脂層の層内の所定部分に熱伝導促進部が設けられた構造を得ることができる。
【0034】
第1の局面による回路モジュールにおいて、放熱用金属パターンが複数の放熱用金属パターンに分割されていることが好ましい。このように構成すれば、第3樹脂層の放熱用金属パターンが一体的に設けられる部分において発生する熱応力が緩和されるので、回路基板の変形(反り)が抑えられる。このため、回路素子と回路基板とを接合する半田に加わる熱ストレスが低減され、回路素子と回路基板とを接合する半田にクラックが生じるのを抑制することができる。これにより、容易に、長寿命化が図られる。
【0035】
放熱用金属パターンが複数の放熱用金属パターンに分割されている構成において、複数の放熱用金属パターンのうちの隣接する放熱用金属パターン同士が部分的に接続されていてもよい。このように構成すれば、放熱用金属パターンを複数の放熱用金属パターンに分割したとしても、それら複数の放熱用金属パターンは互いに電気的に繋げられた状態となる。このため、回路素子と放熱用金属パターン(分割された複数の放熱用金属パターン)との間の絶縁性が高まる。すなわち、高い絶縁性を回路基板に持たせることができる。
【0036】
第1の局面による回路モジュールにおいて、放熱用金属パターンがメッシュ状に形成されていてもよい。このように構成すれば、第3樹脂層の放熱用金属パターンが一体的に設けられる部分において発生する熱応力が緩和されることから、回路基板の変形(反り)が抑えられる。このため、回路素子と回路基板とを接合する半田に加わる熱ストレスが低減され、回路素子と回路基板とを接合する半田にクラックが生じるのを抑制することができる。これにより、容易に、長寿命化が図られる。なお、この構成において、放熱用金属パターンを複数の放熱用金属パターンに分割してもよいし、それら分割された複数の放熱用金属パターンのうちの隣接する放熱用金属パターン同士を部分的に接続してもよい。
【0037】
第1の局面による回路モジュールにおいて、筐体の装着部への固定を行うための固定部が回路基板に設けられている場合には、第3樹脂層の第2樹脂層側とは反対側の部分のうち、固定部に対応する部分に金属パターンが一体的に設けられていることが好ましい。なお、回路基板に設ける固定部としては、たとえば、ネジなどの締結部材が挿入される貫通穴である。このように構成すれば、筐体の装着部に回路基板を固定する際(回路基板の固定部(貫通穴)に挿入したネジを筐体の装着部にねじ込む際)に、筐体の装着部に回路基板が押し付けられることで生じる応力が緩和される。このため、回路素子と回路基板とを接合する半田に加わる機械的ストレスが低減され、回路素子と回路基板とを接合する半田にクラックが生じるのを抑制することができる。これにより、長寿命化が図られる。
【0038】
第1の局面による回路モジュールにおいて、回路素子が絶縁性の放熱樹脂層で覆われていてもよい。このように構成すれば、容易に、回路素子の発熱を放熱することができる。
【0039】
本発明の第2の局面による照明機器は、第1の局面による回路モジュールと、その回路モジュールによって駆動される光源モジュールとを備えている。
【0040】
このように構成された照明機器では、小型化(薄型化)および長寿命化を図ることができ、かつ、製造コストを削減することが可能となる。
【発明の効果】
【0041】
以上のように、本発明によれば、容易に、小型化(薄型化)および長寿命化を図ることができ、かつ、製造コストを削減することが可能な回路モジュールおよびそれを備えた照明機器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1実施形態による回路モジュールを備えた照明機器の断面図(照明機器をその長手方向に沿って切断した断面図)である。
【図2】本発明の第1実施形態による回路モジュールを備えた照明機器の断面図(照明機器をその短手方向に沿って切断した断面図)である。
【図3】本発明の第1実施形態による回路モジュールの一部(発熱量が多い回路素子の周辺部)を拡大して表した断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態による回路モジュールの回路基板に含まれる3層のうちの第3樹脂層に一体的に設けられた放熱用金属パターンを誇張した断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態による回路モジュールを回路素子側とは反対側から平面的に見た場合の平面図(回路モジュールの回路基板に含まれる3層のうちの第3樹脂層に一体的に設けられた放熱用金属パターンの平面形状を表した平面図)である。
【図6】本発明の第2実施形態による回路モジュールの一部(発熱量が多い回路素子の周辺部)を拡大して表した断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態による回路モジュールの一部(発熱量が多い回路素子の周辺部)を拡大して表した断面図である。
【図8】本発明の第4実施形態による回路モジュールの回路基板に含まれる3層のうちの第3樹脂層に一体的に設けられた放熱用金属パターンを誇張した断面図である。
【図9】本発明の第4実施形態による回路モジュールを回路素子側とは反対側から平面的に見た場合の平面図(回路モジュールの回路基板に含まれる3層のうちの第3樹脂層に一体的に設けられた放熱用金属パターンの平面形状を表した平面図)である。
【図10】本発明の第5実施形態による回路モジュールを回路素子側とは反対側から平面的に見た場合の平面図(回路モジュールの回路基板に含まれる3層のうちの第3樹脂層に一体的に設けられた放熱用金属パターンの平面形状を表した平面図)である。
【図11】本発明の第6実施形態による回路モジュールを回路素子側とは反対側から平面的に見た場合の平面図(回路モジュールの回路基板に含まれる3層のうちの第3樹脂層に一体的に設けられた放熱用金属パターンの平面形状を表した平面図)である。
【図12】本発明の第7実施形態による回路モジュールを回路素子側とは反対側から平面的に見た場合の平面図(回路モジュールの回路基板に含まれる3層のうちの第3樹脂層に一体的に設けられた放熱用金属パターンの平面形状を表した平面図)である。
【図13】本発明の第8実施形態による回路モジュールの一部(発熱量が多い回路素子の周辺部)を拡大して表した断面図である。
【図14】従来の回路モジュールを備えた照明機器の断面図(照明機器をその長手方向に沿って切断した断面図)である。
【図15】従来の回路モジュールを備えた照明機器の断面図(照明機器をその短手方向に沿って切断した断面図)である。
【図16】図15の領域(破線で囲まれた領域)Aの拡大図である。
【図17】従来の提案された回路モジュールを備えた照明機器の断面図(照明機器をその長手方向に沿って切断した断面図)である。
【図18】従来の提案された回路モジュールを備えた照明機器の断面図(照明機器をその短手方向に沿って切断した断面図)である。
【図19】図18の領域(破線で囲まれた領域)Bの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態の照明機器について、図1〜図5を参照して説明する。
【0044】
第1実施形態の照明機器は、図1および図2に示すように、直管型の蛍光灯を模したLED照明機器である。以下の説明では、LED照明機器の長手方向をX方向と言うとともに、LED照明機器の短手方向をY方向と言う。
【0045】
このLED照明機器は、LEDモジュール1と、駆動回路モジュール2とを少なくとも備えている。そして、LEDモジュール1の駆動が駆動回路モジュール2で制御されることによって照明動作が行われるようになっている。なお、LEDモジュール1は、本発明の「光源モジュール」の一例であり、駆動回路モジュール2は、本発明の「回路モジュール」の一例である。
【0046】
LEDモジュール1および駆動回路モジュール2のそれぞれは、金属からなる筐体3の装着部3aに装着されることで保持されている。この筐体3の装着部3aは、X方向およびY方向に平行な一対の平面を有する板状に形成されている。そして、筐体3の装着部3aの一方面にLEDモジュール1が装着され、筐体3の装着部3aの一方面とは反対側の他方面に駆動回路モジュール2が装着されている。したがって、LEDモジュール1および駆動回路モジュール2は、筐体3の装着部3aを挟んで対向配置された状態となっている。このようになっていると、LEDモジュール1および駆動回路モジュール2のそれぞれから筐体3の装着部3aに熱が伝わり、その熱が放熱される。すなわち、筐体3の装着部3aは、放熱部として機能することになる。
【0047】
また、筐体3の装着部3aの一方面側には、透光性のカバーレンズ4がLEDモジュール1を覆うように取り付けられており、筐体3の装着部3aの他方面側には、駆動回路モジュール2を保護するための保護カバー5が取り付けられている。
【0048】
以下、LEDモジュール1および駆動回路モジュール2のそれぞれの構造についてより詳細に説明する。
【0049】
LEDモジュール1の構造としては、複数個のLED(発光ダイオード素子)11を光源として持っていて、複数個のLED11によって照明光の生成が実際に行われるようになっている。これら複数個のLED11は、同一のLED基板12に実装されており、それによってモジュール化されている。
【0050】
複数個のLED11が実装されたLED基板12は、実装面(および実装面の反対面)が略長方形に形成された基板であり、その長手方向がX方向に一致し、短手方向がY方向に一致するように配置されている。そして、LED基板12に実装された複数個のLED11は、LED基板12の長手方向(X方向)および短手方向(Y方向)に互いに所定の間隔を隔てて列状に並べられている。ただし、X方向に延びるLED列に含まれるLED11の個数は、Y方向に延びるLED列に含まれるLED11の個数よりも多い。
【0051】
また、LED基板12のX方向の一方端にはコネクタCN1が実装されており、コネクタCN1には配線W1が繋げられている。この配線W1は、駆動回路モジュール2からの電力をLEDモジュール1に供給するためのものであって、駆動回路モジュール2に接続される。
【0052】
そして、筐体3の装着部3aに対するLEDモジュール1の装着は、筐体3の装着部3aにLED基板12が取り付けられることによってなされている。なお、筐体3の装着部3aとLED基板12との間には、放熱グリースGが設けられている。
【0053】
一方、LEDモジュール1の駆動を制御する駆動回路モジュール2は、種々の回路素子(トランジスタや抵抗など)21が同一の回路基板22に実装された構造となっている。なお、回路基板22に実装する回路素子21の種類や個数は、用途に応じて適宜変更される。
【0054】
回路素子21が実装された回路基板22は、実装面(および実装面の反対面)が略長方形に形成された基板であり、その長手方向がX方向に一致し、短手方向がY方向に一致するように配置されている。また、回路基板22のX方向の一方端にはコネクタCN2が実装されており、コネクタCN2には配線W1が繋げられている。これにより、配線W1を介して、駆動回路モジュール2からLEDモジュール1への電力の供給がなされる。
【0055】
また、回路基板22のX方向の一方端とは反対側の他方端にはコネクタCN3が実装されており、コネクタCN3には配線W2が繋げられている。そして、駆動回路モジュール2への電源電力の供給が配線W2を介して行われるようになっている。
【0056】
ここで、第1実施形態では、図3に示すように、樹脂層30、樹脂層40および樹脂層50の3層を互いに熱圧着し、それによって得られた積層体を回路基板22として用いている。なお、樹脂層30、樹脂層40および樹脂層50は、それぞれ、本発明の「第1樹脂層」、「第2樹脂層」および「第3樹脂層」の一例である。
【0057】
樹脂層30は、フェノールやエポキシなどからなる樹脂層を含むものであって、回路基板22としての積層体の最上層をなしている。また、樹脂層30の最上面30aは実装面となっており、その樹脂層30の最上面(実装面)30aに回路素子21が表面実装されている。すなわち、樹脂層30の最上面(実装面)30aにはCu箔やAl箔などの金属箔からなる金属配線パターン31が設けられ、その金属配線パターン31に回路素子21が半田Sを介して接合されている。
【0058】
樹脂層40は、エポキシやポリアミドなどからなる樹脂層(厚み:0.05mm〜0.2mm)を含むものであって、回路基板22としての積層体の中間層をなしている。言い換えると、樹脂層40は、樹脂層30の最上面(実装面)30a側とは反対側に配置されている。また、樹脂層40を構成する樹脂(エポキシやポリアミドなど)には、熱伝導性の無機フィラーが含有されている。これによって、樹脂層40の熱伝導率が1W/m・k以上とされている。したがって、樹脂層40は、高い熱伝導性を有していると言える。
【0059】
さらに、樹脂層40の樹脂層30側の部分には、Cu箔やAl箔などの金属箔からなる金属配線パターン41が一体的に設けられている。そして、樹脂層30に形成されたスルーホール32を介して、樹脂層30の金属配線パターン31と樹脂層40の金属配線パターン41とが接続されている。
【0060】
樹脂層50は、エポキシやポリアミドなどからなる樹脂層を含むものであって、回路基板22としての積層体の最下層をなしている。言い換えると、樹脂層50は、樹脂層30との間で樹脂層40を挟み込むように配置されている。また、樹脂層50を構成する樹脂(エポキシやポリアミドなど)には、熱伝導性の無機フィラーが含有されている。これによって、樹脂層50の熱伝導率が1W/m・k以上とされている。ただし、樹脂層50における熱伝導性の無機フィラーの含有率は、樹脂層40における熱伝導性の無機フィラーの含有率よりも低い。このため、樹脂層40および樹脂層50には共に熱伝導性の無機フィラーが含有されているが、樹脂層50の絶縁性は樹脂層40の絶縁性よりも高くなっている。
【0061】
さらに、樹脂層50の樹脂層40側とは反対側の部分(樹脂層50の最も下側の部分)には、Cu箔やAl箔などの金属箔からなる放熱用金属パターン51が一体的に設けられている。この放熱用金属パターン51は、図4および図5に示すように、X方向の一方端から他方端に向かって一定の幅で連続的に延びるようにベタ状に形成されている。
【0062】
そして、図3に示すように、回路基板22に含まれる3層のうちの樹脂層50に一体的に設けられた放熱用金属パターン51が筐体3の装着部3aに対面していて、その状態で筐体3の装着部3aに回路基板22が取り付けられている。これによって、筐体3の装着部3aに対する駆動回路モジュール2の装着がなされている。なお、回路基板22と筐体3の装着部3aとの間には、絶縁性の放熱シート6が挟み込まれている。
【0063】
第1実施形態では、上記のような3層(樹脂層30、樹脂層40および樹脂層50)を含む回路基板22を用いることによって、回路基板22に搭載された回路素子21が発熱すると、回路素子21の発熱は、樹脂層30から熱伝導性のフィラーを含有する樹脂層40に伝導することで拡散された後、樹脂層40から樹脂層50に伝導し、樹脂層50に一体的に設けられた放熱用金属パターン51を介して筐体3の装着部3aに放熱される。すなわち、回路素子21の発熱が効率的に筐体3に放熱される。このため、仮に発熱量の多い回路素子21を回路基板22に搭載したとしても、その回路素子21の発熱を個別に放熱するための放熱部材を回路基板22に別途搭載する必要はない。したがって、回路基板22に別途搭載された放熱部材が存在しない分だけ、駆動回路モジュール2の小型化(薄型化)を図ることができる。
【0064】
そして、この回路基板22において、樹脂層40への熱伝導性のフィラーの充填を多量に行うようにすれば、樹脂層40の熱伝導性が高まるので、回路基板22の放熱特性をさらに向上させることができる。この場合、樹脂層40の絶縁性が低下してしまうが、樹脂層40と筐体3の装着部3aとの間には樹脂層50が有るので、樹脂層50の絶縁性を高くしておくことにより、樹脂層40の絶縁性が低下しても不都合はない。すなわち、樹脂層40の絶縁性が低下したとしても、筐体3の装着部3aと回路基板22との間の絶縁を十分に確保することができる。
【0065】
さらに、樹脂層40に加えて、樹脂層50にも熱伝導性のフィラーを充填しておくことにより、回路基板22の放熱特性のより一層の向上を図ることができる。ただし、樹脂層50の絶縁性は高めに保持しなければならないので、樹脂層50における熱伝導性のフィラーの含有率は樹脂層40における熱伝導性のフィラーの含有率に比べて低くしておく必要がある。
【0066】
また、第1実施形態では、回路基板22の構成材料が樹脂を主成分とするものであるので、金属基板からなる回路基板を用いることに起因する不都合の発生が回避される。すなわち、駆動回路モジュール2の寿命が延びるとともに、製造コストの増大が抑制される。
【0067】
また、第1実施形態では、樹脂層30に熱伝導性のフィラーを多量に充填することなく回路基板22の放熱特性を向上させているので、樹脂層30は硬くなってはいない。このため、樹脂層30に対してスルーホール加工などを施す場合、そのスルーホール加工などを容易に行うことができるので、樹脂層30に対するスルーホール加工などにかかるコストが増大することはない。
【0068】
結果として、小型化(薄型化)および長寿命化を図ることができ、かつ、製造コストを削減することが可能な絶縁安全性に優れた駆動回路モジュール2が得られる。もちろん、その駆動回路モジュール2を備えたLED照明機器も同様の効果を奏する。
【0069】
(第2実施形態)
次に、図6を参照して、第2実施形態の構成について説明する。なお、上記実施形態のLED照明機器に使用された部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付しており、その詳細な説明は省略している。
【0070】
第2実施形態では、第1実施形態の構成において、樹脂層30の最上面(実装面)30aから樹脂層40への熱伝導を促進するため、樹脂層30の層内の所定部分に熱伝導性材料からなる熱伝導促進部が設けられている。具体的に言うと、樹脂層30の層内の所定部分に、樹脂層30の最上面(実装面)30aから樹脂層40にまで達する熱伝導用スルーホール33が形成されている。そして、その熱伝導用スルーホール33が熱伝導促進部とされている。
【0071】
ところで、樹脂層30の層内の所定部分(熱伝導用スルーホール33が形成される部分)とは、所定の回路素子(たとえば、発熱量の多い回路素子)21が半田接合される金属配線パターン31の直下に相当する部分のことである。すなわち、熱伝導用スルーホール33は、所定の回路素子21の直下に配置された状態となっている。そして、熱伝導用スルーホール33の一端(上端)は、金属配線パターン31に接続されている。
【0072】
なお、図6には図示していないが、樹脂層30の最上面(実装面)30aには複数個の回路素子21が実装される。この場合、複数個の回路素子21のうちの1個の回路素子21の直下にのみ熱伝導用スルーホール33を配置してもよいし、複数個の回路素子21のうちの2個以上(全部を含む)の回路素子21のそれぞれの直下に熱伝導用スルーホール33を配置してもよい。いずれにしても、複数個の回路素子21のうち、少なくとも発熱量が多い回路素子21の直下に熱伝導用スルーホール33が配置されていることが好ましい。
【0073】
さらに、所定の回路素子21の直下に配置される熱伝導用スルーホール33の数としては、複数であってもよいし、1つであってもよい。たとえば、複数個の回路素子21のうちの2個以上(全部を含む)の回路素子21のそれぞれの直下に熱伝導用スルーホール33が配置される構成においては、2個以上の回路素子21のそれぞれの直下に複数ずつ熱伝導用スルーホール33が配置されていてもよいし、2個以上の回路素子21のそれぞれの直下に1つずつ熱伝導用スルーホール33が配置されていてもよい。もちろん、2個以上の回路素子21のそれぞれの直下に配置される熱伝導用スルーホール33の数が互いに異なっていてもよい。
【0074】
また、第2実施形態では、樹脂層40の樹脂層30側の部分に、金属配線パターン41に加えて、その金属配線パターン41と同一層(すなわち、Cu箔やAl箔などの金属箔)からなる熱拡散用金属パターン42が一体的に設けられている。そして、熱伝導用スルーホール33の一端とは反対の他端(下端)が熱拡散用金属パターン42に接続されている。
【0075】
第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0076】
第2実施形態では、上記のように、樹脂層30の層内の所定部分に、樹脂層30の最上面(実装面)30aから樹脂層40にまで達する熱伝導用スルーホール33を形成することによって、回路素子21の発熱をより良好に樹脂層30から樹脂層40に伝導することができるとともに、その樹脂層30から樹脂層40への熱伝導が確実になる。
【0077】
そして、樹脂層30の層内の所定部分に熱伝導用スルーホール33を形成することに加えて、樹脂層40の樹脂層30側の部分に熱拡散用金属パターン42を一体的に設け、その熱拡散用金属パターン42に熱伝導用スルーホール33を接続することによって、熱伝導用スルーホール33を介して樹脂層30から樹脂層40に伝導される熱をより大きく拡散することができるようになる。
【0078】
第2実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0079】
(第3実施形態)
次に、図7を参照して、第3実施形態の構成について説明する。なお、上記実施形態のLED照明機器に使用された部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付しており、その詳細な説明は省略している。
【0080】
第3実施形態では、第2実施形態の構成において、熱伝導用スルーホールではなく、熱伝導性の高い材料(Cu、Alまたはセラミックなど)からなる熱伝導体34が樹脂層30の層内の所定部分に埋め込まれている。すなわち、第3実施形態では、樹脂層30の層内の所定部分に埋め込まれた熱伝導体34が熱伝導促進部に相当する。また、この熱伝導体34は樹脂層30の最上面(実装面)30aから樹脂層40にまで達しており、熱伝導体34の一端面(上端面)が金属配線パターン31に接続されている。なお、熱伝導体34の数としては、複数であってもよいし、1つであってもよい。
【0081】
また、第3実施形態では、樹脂層40の樹脂層30側の部分に、金属配線パターン41に加えて、その金属配線パターン41と同一層(すなわち、Cu箔やAl箔などの金属箔)からなる熱拡散用金属パターン42が一体的に設けられている。そして、熱伝導体34の一端面とは反対の他端面(下端面)が熱拡散用金属パターン42に接続されている。
【0082】
第3実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0083】
第3実施形態では、上記のように構成することによって、第2実施形態と同様、回路素子21の発熱がより良好に樹脂層30から樹脂層40に伝導されるとともに、その樹脂層30から樹脂層40への熱伝導が確実になり、樹脂層30から樹脂層40に伝導される熱がより大きく拡散される。
【0084】
第3実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0085】
なお、図示しないが、第3実施形態の構成と第2実施形態の構成とを組み合わせるようにしてもよい。
【0086】
(第4実施形態)
次に、図8および図9を参照して、第4実施形態の構成について説明する。なお、上記実施形態のLED照明機器に使用された部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付しており、その詳細な説明は省略している。
【0087】
第4実施形態では、第1実施形態の構成において、樹脂層50に一体的に設けられた放熱用金属パターン51がX方向の一方端から他方端に向かって連続的に延びてはおらず、複数の放熱用金属パターン52に分割されている。言い換えると、複数の放熱用金属パターン52がX方向に所定の間隔を隔てて並べられており、それら複数の放熱用金属パターン52の集合体が放熱用金属パターン51とされている。
【0088】
第4実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0089】
第4実施形態では、上記のように、放熱用金属パターン51を複数の放熱用金属パターン52に分割することによって、樹脂層50の放熱用金属パターン51(分割された複数の放熱用金属パターン52)が一体的に設けられる部分において発生する熱応力が緩和されるので、回路基板22の変形(反り)が抑えられる。このため、回路素子21と回路基板22とを接合する半田(図8および図9には図示せず)に加わる熱ストレスが低減されるので、回路素子21と回路基板22とを接合する半田にクラックが生じるのを抑制することができる。これにより、容易に、長寿命化が図られる。
【0090】
第4実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0091】
なお、第2実施形態の構成において放熱用金属パターン51を複数に分割してもよく、第3実施形態の構成において放熱用金属パターン51を複数に分割してもよい。
【0092】
(第5実施形態)
次に、図10を参照して、第5実施形態の構成について説明する。なお、上記実施形態のLED照明機器に使用された部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付しており、その詳細な説明は省略している。
【0093】
第5実施形態では、第4実施形態の構成において、複数の放熱用金属パターン52のうちの隣接する放熱用金属パターン52同士が接続部52aを介して部分的に接続されている。なお、この隣接する放熱用金属パターン52同士を接続する接続部52aは、放熱用金属パターン52と同一層(すなわち、Cu箔やAl箔などの金属箔)からなっている。このため、複数の放熱用金属パターン52は互いに電気的に繋がっている。
【0094】
第5実施形態のその他の構成は、第1および第4実施形態と同様である。
【0095】
第5実施形態では、上記のように、複数の放熱用金属パターン52のうちの隣接する放熱用金属パターン52同士を部分的に接続することによって、放熱用金属パターン51を複数の放熱用金属パターン52に分割したとしても、それら複数の放熱用金属パターン52は互いに電気的に繋げられた状態となる。このため、回路素子(図10には図示せず)と放熱用金属パターン51(分割された複数の放熱用金属パターン52)との間の絶縁性が高まる。すなわち、高い絶縁性を回路基板22に持たせることができる。
【0096】
第5実施形態のその他の効果は、第1および第4実施形態と同様である。
【0097】
(第6実施形態)
次に、図11を参照して、第6実施形態の構成について説明する。なお、上記実施形態のLED照明機器に使用された部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付しており、その詳細な説明は省略している。
【0098】
第6実施形態では、第5実施形態の構成において、複数の放熱用金属パターン52がメッシュ状に形成されており、ベタ状にはなっていない。
【0099】
第6実施形態のその他の構成は、第1および第5実施形態と同様である。
【0100】
第6実施形態では、上記のように構成することによって、第4および第5実施形態と同様の効果が得られるのはもちろんのこと、放熱用金属パターン51(分割された複数の放熱用金属パターン52)がメッシュ状になっていることで、樹脂層50の放熱用金属パターン51(分割された複数の放熱用金属パターン52)が一体的に設けられる部分において発生する熱応力がより緩和される。すなわち、回路基板22の変形(反り)がさらに抑えられる。このため、より一層、回路素子(図11には図示せず)と回路基板22とを接合する半田(図11には図示せず)に加わる熱ストレスが低減され、回路素子と回路基板22とを接合する半田にクラックが生じ難くなる。これにより、さらなる長寿命化を図ることができる。
【0101】
第6実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0102】
なお、第6実施形態の構成において、放熱用金属パターン51が複数の放熱用金属パターン52に分割されていなくてもよいし、分割された複数の放熱用金属パターン52のうちの隣接する放熱用金属パターン52同士が部分的に接続されていなくてもよい。
【0103】
(第7実施形態)
次に、図12を参照して、第7実施形態の構成について説明する。なお、上記実施形態のLED照明機器に使用された部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付しており、その詳細な説明は省略している。
【0104】
第7実施形態の構成の特徴点は、筐体の装着部(図12には図示せず)に対する回路基板22の取り付け構造に有る。
【0105】
たとえば、筐体の装着部に対する回路基板22の取り付けは、筐体の装着部に対して回路基板22を締結部材で締結固定することによってなされる。一例として、図12に示すような固定部(締結部材としてのネジを挿入するための貫通穴)22aを回路基板22の両端付近にそれぞれ形成し、回路基板22の固定部22aに挿入したネジを筐体の装着部にねじ込むことによって、筐体の装着部に対する回路基板22の取り付けがなされる。
【0106】
ここで、第7実施形態では、樹脂層50の最も下側の部分(図12に図示されている部分)のうち、回路基板22の固定部22aに対応する部分に金属パターン53が一体的に設けられている。より具体的に言うと、金属パターン53は、回路基板22の固定部22aとしての貫通穴の縁に沿った形状(円環形状)に形成されていて、回路基板22の固定部22aとしての貫通穴を囲むように配置されている。なお、この金属パターン53は、放熱用金属パターン51と同一層(すなわち、Cu箔やAl箔などの金属箔)からなっている。
【0107】
第7実施形態では、上記のように、樹脂層50の最も下側の部分のうち、回路基板22の固定部22aに対応する部分に金属パターン53を一体的に設けることによって、筐体の装着部に回路基板22を締結固定(ネジ止め)する際に、筐体の装着部に回路基板22が押し付けられることで生じる応力が緩和される。このため、回路素子(図12には図示せず)と回路基板22とを接合する半田(図12には図示せず)に加わる機械的ストレスが低減され、回路素子と回路基板22とを接合する半田にクラックが生じるのを抑制することができる。これにより、長寿命化が図られる。
【0108】
なお、上記した第7実施形態の構成は、第1〜第6実施形態のいずれにも適用可能である。
【0109】
(第8実施形態)
次に、図13を参照して、第8実施形態の構成について説明する。なお、上記実施形態のLED照明機器に使用された部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付しており、その詳細な説明は省略している。
【0110】
第8実施形態では、所定の回路素子(たとえば、発熱量の多い回路素子)21が絶縁性の放熱樹脂層60によって覆われている。所定の回路素子21を覆う絶縁性の放熱樹脂層60の構成材料としては、たとえば、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂などである。
【0111】
なお、絶縁性の放熱樹脂層60で覆う回路素子21の個数としては、複数個の回路素子21のうちの1個であってもよいし、複数個の回路素子21のうちの2個以上であってもよい。あるいは、樹脂層30の最上面(実装面)30aの全域を絶縁性の放熱樹脂層60で覆い、それによって、複数個の回路素子21の全てを絶縁性の放熱樹脂層60で覆うようにしてもよい。いずれにしても、複数個の回路素子21のうち、少なくとも発熱量が多い回路素子21が絶縁性の放熱樹脂層60で覆われていることが好ましい。
【0112】
第8実施形態では、上記のように、回路素子21を絶縁性の放熱樹脂層60で覆うことによって、容易に、回路素子21の発熱を放熱することができる。
【0113】
なお、上記した第8実施形態の構成は、第1〜第7実施形態のいずれにも適用可能である。
【0114】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0115】
たとえば、上記実施形態では、3層の樹脂層で回路基板を構成したが、本発明はこれに限らず、4層以上の樹脂層で回路基板を構成してもよい。この場合、本発明の「第1樹脂層」、「第2樹脂層」および「第3樹脂層」のうちのいずれかに相当する樹脂層をさらに追加してもよいし、これら以外の樹脂層を新たに追加してもよい。
【符号の説明】
【0116】
1 LEDモジュール(光源モジュール)
2 駆動回路モジュール(回路モジュール)
3 筐体
3a 装着部
21 回路素子
22 回路基板
22a 固定部
30 樹脂層(第1樹脂層)
30a 最上面(実装面)
33 熱伝導用スルーホール(熱伝導促進部)
34 熱伝導体(熱伝導促進部)
40 樹脂層(第2樹脂層)
42 熱拡散用金属パターン
50 樹脂層(第3樹脂層)
51、52 放熱用金属パターン
53 金属パターン
60 放熱樹脂層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路素子と、
筐体の装着部に取り付けられ、前記回路素子が搭載された回路基板とを備え、
前記回路基板は、
前記回路素子が表面実装される実装面を有する第1樹脂層と、
前記第1樹脂層の実装面側とは反対側に配置され、熱伝導性のフィラーが含有された第2樹脂層と、
前記第1樹脂層との間で前記第2樹脂層を挟み込むように配置され、前記第2樹脂層側とは反対側の部分に放熱用金属パターンが一体的に設けられているとともに、前記放熱用金属パターンが前記筐体の装着部に対面される第3樹脂層との3層を少なくとも含んでいることを特徴とする回路モジュール。
【請求項2】
熱伝導性材料からなる熱伝導促進部が前記第1樹脂層の層内の所定部分に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の回路モジュール。
【請求項3】
前記熱伝導促進部が前記第1樹脂層の実装面から前記第2樹脂層にまで達していることを特徴とする請求項2に記載の回路モジュール。
【請求項4】
前記第2樹脂層の前記第1樹脂層側の部分に熱拡散用金属パターンが一体的に設けられており、
前記熱拡散用金属パターンに前記熱伝導促進部が接続されていることを特徴とする請求項3に記載の回路モジュール。
【請求項5】
前記第1樹脂層の所定部分に熱伝導用スルーホールが形成されており、
前記熱伝導用スルーホールが前記熱伝導促進部とされていることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の回路モジュール。
【請求項6】
前記第1樹脂層の所定部分に熱伝導体が埋め込まれており、
前記熱伝導体が前記熱伝導促進部とされていることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の回路モジュール。
【請求項7】
前記放熱用金属パターンが複数の放熱用金属パターンに分割されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の回路モジュール。
【請求項8】
前記複数の放熱用金属パターンのうちの隣接する放熱用金属パターン同士が部分的に接続されていることを特徴とする請求項7に記載の回路モジュール。
【請求項9】
前記放熱用金属パターンがメッシュ状に形成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の回路モジュール。
【請求項10】
前記筐体の装着部への固定を行うための固定部が前記回路基板に設けられており、
前記第3樹脂層の前記第2樹脂層側とは反対側の部分のうち、前記固定部に対応する部分に金属パターンが一体的に設けられていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の回路モジュール。
【請求項11】
前記回路素子が絶縁性の放熱樹脂層で覆われていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の回路モジュール。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の回路モジュールと、
前記回路モジュールによって駆動される光源モジュールとを備えていることを特徴とする照明機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−119509(P2012−119509A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268292(P2010−268292)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】