回路モジュール
【課題】接地電極とシールド体との接続信頼性を向上させるとともにシールド体のシールド効果が低下することを抑制することが可能な回路モジュールを提供する。
【解決手段】基体10と、基体10上に配置された電子部品と、基体10上の電子部品の周辺部に配置された接地電極12と、基体10上の電子部品の上方を覆うとともに接地電極12の電子部品と反対側を覆うシールド体15と、接地電極12の少なくともシールド体15と対向する端面12sを除いて接地電極12の基体10上で露出する部位全体に接するとともに接地電極12の端面12sよりも大きい面積でシールド体15の内面15aに接する導電部材16と、を備えている。
【解決手段】基体10と、基体10上に配置された電子部品と、基体10上の電子部品の周辺部に配置された接地電極12と、基体10上の電子部品の上方を覆うとともに接地電極12の電子部品と反対側を覆うシールド体15と、接地電極12の少なくともシールド体15と対向する端面12sを除いて接地電極12の基体10上で露出する部位全体に接するとともに接地電極12の端面12sよりも大きい面積でシールド体15の内面15aに接する導電部材16と、を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電磁波等のノイズを遮蔽するためにシールドされた回路モジュールがある。回路モジュールとしては、例えば、電子部品が搭載された回路基板上にアルミ合金等で形成された板金の蓋を半田付けすることで接続する等の構成がある。
【0003】
近年、電子機器の小型化及び薄型化の要求から、電子機器に搭載される回路モジュールについても同様に小型化及び薄型化が要求されている。このような要求に応えるための技術としては、電子部品が搭載された基板上を樹脂で封止した後、樹脂の上面に導電性樹脂を塗布し、基板上の接地電極と接続させてシールドする構造がある。例えば、特許文献1では、基板の表面又は内部に形成されている接地電極を切断して断面を露出させ、露出した接地電極の断面にシールド層を接続させている。
【0004】
図21は、特許文献1に示す回路モジュールの概略構成を示す要部断面図である。
図21に示すように、回路モジュールは、基板101と、基板101上に設けられた接地電極109と、基板101上の電子部品(図示略)の露出する部位全体を覆う樹脂105と、基板101上の樹脂105を覆うとともに接地電極109の端面に接するシールド層106と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−288610
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術では、露出した接地電極の断面が小さいため、接地電極とシールド体との接続信頼性に劣るとともに、シールド体のシールド効果が低下する等の問題がある。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、接地電極とシールド体との接続信頼性を向上させるとともにシールド体のシールド効果が低下することを抑制することが可能な回路モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明に係る回路モジュールは、基体と、前記基体上に配置された電子部品と、前記基体上の電子部品の周辺部に配置された接地電極と、前記接地電極の少なくとも前記シールド体と対向する端面を除いて前記接地電極の前記基体上で露出する部位全体に接するとともに前記接地電極の前記端面よりも大きい面積で前記シールド体の内面に接する導電部材と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、接地電極とシールド体との接続信頼性を向上させるとともにシールド体のシールド効果が低下することを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態に係る回路モジュールを示す斜視図である。
【図2】図1(c)のA−A線に沿った断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る回路モジュールの要部断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る回路モジュールの製造工程を示す図である。
【図5】図4に続く工程図である。
【図6】図5に続く工程図である。
【図7】図6に続く工程図である。
【図8】図7に続く工程図である。
【図9】図8に続く工程図である。
【図10】図9に続く工程図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る回路モジュールを示す断面図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る回路モジュールを示す断面図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係る回路モジュールの製造工程を示す図である。
【図14】図13に続く工程図である。
【図15】図14に続く工程図である。
【図16】図15に続く工程図である。
【図17】図16に続く工程図である。
【図18】比較例の回路モジュールの製造工程を示す図である。
【図19】回路モジュールの第1変形例を示す図である。
【図20】回路モジュールの第2変形例を示す図である。
【図21】特許文献1に係る回路モジュールの要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等が異なっている。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る回路モジュールを示す斜視図である。図2は、図1(c)のA−A線に沿った断面図である。図3は、本発明の第1実施形態に係る回路モジュールの要部断面図である。なお、図1(a)は、基体上の電子部品の配置状態を示す斜視図である。図1(b)は、基体上の電子部品が第1絶縁体層に覆われた状態を示す斜視図である。図1(c)は、基体上の電子部品がシールド体で覆われた状態を示す斜視図である。
【0013】
図1及び図2に示すように、本実施形態の電子部品の回路モジュール1は、基体10と、基体10上に配置された電子部品13と、基体10上の電子部品13の周辺部に配置された接地電極12と、基体10上の電子部品13を覆って形成された第1絶縁体層14と、基体10上の第1絶縁体層14を覆って形成された導電性のシールド体15と、基体10上の接地電極12及びシールド体15に接する導電部材16と、を備えた構成となっている。
【0014】
基体10は、平面視矩形となっている。基体10としては、例えばプリント回路基板(以下、単に回路基板という)を用いる。基体10の底面には、マザーボード(図示略)と接続するための複数の端子(例えば半田ボール)17が設けられている。
【0015】
電子部品13は、基体10上の電子部品搭載用パッドとしての信号電極11に接続されている。電子部品13は、基体10上に複数(ここでは13台)配置されている。複数(13台)の電子部品13のうち、相対的にサイズの大きい1台の電子部品13が基板10の中央部に配置されており、相対的にサイズの小さい12台の電子部品13がサイズの大きい電子部品13の両側に6台ずつ配列されている。
【0016】
接地電極12は、基体10上の電子部品13の周辺部に配置されている。具体的には、接地電極12は、基体10の端部に沿って配置されている。
【0017】
第1絶縁体層14は、電子部品13の基体10上で露出する部位全体を覆うとともに、導電部材16のシールド体15と接する面16sを除いて導電部材16の基体10上で露出する部位全体を覆って形成されている。図1(b)に示すように、第1絶縁体層14の側面には開口部14aが形成されており、この開口部14aにおいて導電部材16が露出している。
【0018】
第1絶縁体層14は、樹脂材料にフェライト粒子または金属粒子を分散させて形成されている。なお、樹脂材料としては、例えばアクリル系、ウレタン系、シリコーン系、エポキシ系等の樹脂材料を用いることができる。
【0019】
シールド体15は、基体10上の電子部品13の周辺を覆って形成されている。シールド体15は、第1絶縁体層14の基体10上で露出する部位を覆うとともに第1絶縁体層14の側面14sに露出した導電部材16と接している。シールド体15は、例えば、導電性樹脂、金属膜、または金属箔等によって形成されている。
【0020】
導電部材16は、接地電極12のシールド体15と対向する端面12sを除いて接地電極12の基体10上で露出する部位全体に接している導電部材16は、接地電極12の断面積(接地電極12を基体10の側面10sに平行な面で切断した断面の面積)よりも大きい面積でシールド体15の内面15aに接している。導電部材16は、半田ペーストにより形成されている。
【0021】
図3に示すように、第1絶縁体層14の導電部材16を覆う部分の側面14sと導電部材16の露出した部分(シールド体15と接する側の部分)16sとは、基体10の上面に直交する面と同一平面に形成されている。シールド体15は、第1絶縁体層14の導電部材16を覆う部分の側面14sと導電部材16の露出した部分16s全体とに連続して接している。
【0022】
基体10の導電部材16が配置された部分の側面10sと導電部材16の露出した部分16sとは、基体10の上面に直交する面と同一平面に形成されている。シールド体15は、基体10の導電部材16が配置された部分の側面10sと導電部材16の露出した部分16s全体とに連続して接している。
【0023】
接地電極12の露出した部分12sと導電部材16の露出した部分(シールド体15と接する側の部分)16sとは、基体10の上面に直交する面と同一平面に形成されている。
【0024】
このように、第1絶縁体層14の導電部材16を覆う部分の側面14sと、導電部材16の露出した部分16sと、接地電極12の露出した部分12sと、基体10の導電部材16が配置された部分の側面10sとは、基体10の上面に直交する面と同一平面に形成されている。シールド体15は、第1絶縁体層14の導電部材16を覆う部分の側面14sと、導電部材16の露出した部分16s全体と、接地電極12の露出した部分12s全体と、基体10の導電部材16が配置された部分の側面10sとに連続して接している。
【0025】
(回路モジュールの製造方法)
図4〜10は、本発明の第1実施形態に係る回路モジュールの製造工程を示す図である。
【0026】
先ず、複数の回路モジュール1の回路基板10がマトリクス状に配置された集合基板10Aを準備する(図4参照)。
【0027】
次に、回路基板10(集合基板10A)の電子部品搭載用パッド(信号電極11)と導電部材形成用パッド12A(後の工程で接地電極12となる部分)に半田ペースト(半田の粉末にフラックスを加えて適当な粘度にしたもの)を供給する(図5参照)。なお、半田ペーストは、回路モジュールをマザーボードに搭載する際の温度(ピーク温度)よりも高い融点を有するものを用いる。
【0028】
次に、電子部品13をマウンター等の設備を用いて回路基板10に搭載する。回路基板10を適宜温度調整されたリフロー炉へ通し、半田ペーストを溶融させて信号電極11と電子部品13とを接合させる。このとき、半田ペーストを用いて、後の工程で形成されるシールド体15と接続される突起16A(後の工程で導電部材16となる部分)を形成する。リフロー炉から出た回路基板10の端部には半田からなる突起16が形成された状態となる(図6参照)。
【0029】
次に、集合基板10Aの電子部品13の実装面に第1絶縁体層14となる樹脂材料14Aをモールド法により塗布し、硬化させる(図7参照)。モールド法としては、例えばトランスファモールド法、ポッティング法、または真空印刷法等を採用することができる。
【0030】
なお、樹脂材料14Aは、製造効率の観点から、突起16Aの高さよりも高い高さ(集合基板10Aの上面から樹脂材料14A上面までの距離)で形成することが望ましい。
【0031】
次に、集合基板10A上の電子部品13を覆って形成された樹脂材料14Aと、回路基板10の端部に形成された突起16Aとを研削して、導電部材16と第1絶縁体層14とを形成する。具体的には、導電部材16の側面16s及び接地電極12の側面(図3参照)を第1絶縁体層14から露出させる(図8参照)。
【0032】
なお、突起16Aと樹脂材料14とを研削する際には、半球状の突起16Aの中心を切断するように研削することが望ましい。これにより、導電部材16の側面16sの面積を大きく確保することができる。
【0033】
また、電子部品13が搭載された回路基板10の外縁部において樹脂材料14Aを形成しない構成とすることが望ましい。これにより、集合基板10Aを切断する際に、回路基板10の外縁部における樹脂材料14Aが割れたり欠けたりすることを抑制することができる。
【0034】
また、集合基板10Aの電子部品13実装面に樹脂材料14Aを塗布する前に、集合基板10A上に残留しているフラックスを洗浄除去することが望ましい。これにより、硬化後の樹脂材料14A内部に残留するフラックスが少なくなる。このため、リフロー炉を通して軟化したフラックスが流れることを抑制し、半田ペーストが溶融したときの流動を抑制することができる。したがって、半田ペーストの流動によるショートやオープン等の不良を抑制することができる。
【0035】
次に、集合基板10A上の第1絶縁体層14の露出する部位全体を覆って導電体層15Aを形成する(図9参照)。導電体層15Aの形成工程は、例えば導電ペーストをモールド法により塗布し、硬化させて行う。
【0036】
次に、集合基板10Aを切断して回路モジュール1を個片化する(図10参照)。集合基板10Aの切断には、例えばダイシング装置、レーザー装置、ウオーター装置、またはワイヤー装置等を用いることができる。
【0037】
なお、基体10の底面の複数の端子(例えば半田ボール)17(図1参照)を形成する工程は、回路基板10の端部に形成された突起16Aと樹脂材料14Aとを研削して、導電部材16と第1絶縁体層14とを形成する工程(図8参照)と、集合基板10A上の第1絶縁体層14の露出する部位全体を覆って導電体層15Aを形成する工程(図9参照)との間に行うことができる。
【0038】
以上の工程により、本実施形態に係る回路モジュール1を製造することができる。
【0039】
本実施形態の回路モジュール1によれば、特許文献1に示すように断面の小さい接地電極のみでシールド体と接続することなく、接地電極12と接する導電部材16を設けて該導電部材16をシールド体15の内面15aに接地電極12の断面積よりも大きい面積で接触させている。つまり、接地電極のみでシールド体と接続する構成よりも、導電部材16とシールド体15との接続面積が大きくなる。このため、接地電極12とシールド体15との接続部を低抵抗にするとともに強固にすることができる。したがって、接地電極12とシールド体15との接続信頼性を向上させるとともにシールド体15のシールド効果(例えば、電磁波等のノイズを遮蔽する機能)が低下することを抑制することが可能となる。
【0040】
この構成によれば、シールド体15が接地電極12の端面12sと接しているので、導電部材が接地電極全体を覆う構成に比べて、基体10の長手方向(基体10の上面と平行な方向)の長さを小さくすることができる。したがって、回路モジュール1の小型化を図ることが可能となる。
【0041】
この構成によれば、電子部品13の基体10上で露出する部位全体を覆って第1絶縁体層14が形成されているので、電子部品13がショートしたり電子部品に水分が浸入したりしないよう保護することができる。また、回路モジュール1のシールド体形成工程において、例えばアルミ合金等で形成された板金の蓋板に比べて厚みの薄い導電体層15A(シールド体15)が形成しやすくなる。
【0042】
この構成によれば、第1絶縁体層14が樹脂材料にフェライト粒子または金属粒子を分散させて形成されているので、樹脂材料に分散したフェライト粒子または金属粒子が電磁波等のノイズを遮蔽することとなる。したがって、回路モジュール1のシールド効果を向上させることができる。
【0043】
この構成によれば、導電部材16が半田ペーストにより形成されているので、例えば導電部材を蒸着により形成する場合に比べて、導電部材16を突起状に形成しやすくすることができる。
【0044】
なお、本実施形態では、電子部品は基体上に13台配置されているが、これに限らない。例えば、電子部品の配置数は、1〜12台、14台以上等、必要に応じて適宜変更することができる。
【0045】
また、本実施形態では、第1絶縁体層は導電部材のシールド体と接する面を除いて導電部材の基体上で露出する部位全体を覆って形成されているが、これに限らない。例えば、第1絶縁体層は導電部材のシールド体と接する面及び導電部材の基体と反対側の面(上面)を除いて導電部材の基体上で露出する部位全体を覆うよう形成されていてもよい。すなわち、第1絶縁体層は、少なくとも導電部材のシールド体と接する面を除いて導電部材の基体上で露出する部位全体を覆って形成されていればよい。
【0046】
また、本実施形態では、基体とシールド体の間に第1絶縁体層が形成されているが、これに限らない。例えば、基体とシールド体の間に第1絶縁体層が形成されていない構成であってもよい。すなわち、基体とシールド体の間が空洞であってもよい。例えば、薄いシート材に折り曲げ加工を施したり絞り加工を施したりすることによってシールド体を形成することもできる。
【0047】
(第2実施形態)
図11は、図2に対応した、本発明の第2実施形態に係る回路モジュールを示す断面図である。図11に示すように、本実施形態の回路モジュール2は、シールド体15を覆って第2絶縁体層21が形成されている点で、上述の第1実施形態で説明した回路モジュール1と異なっている。その他の点は第1実施形態と同様であるので、図2と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0048】
図11に示すように、本実施形態の回路モジュール2は、基体10上のシールド体15の露出する部位全体を覆って第2絶縁体層21が形成されている。
【0049】
本実施形態の回路モジュール2によれば、シールド体15の酸化を抑制することができる。また、シールド体15の外部接点との短絡を回避することができる。
【0050】
なお、本実施形態においても、第1実施形態と同様、第2絶縁体層21が樹脂材料にフェライト粒子または金属粒子を分散させて形成されていてもよい。回路モジュール2のシールド効果をさらに向上させることができる。
【0051】
(第3実施形態)
図12は、図2に対応した、本発明の第3実施形態に係る回路モジュールを示す断面図である。図12に示すように、本実施形態の回路モジュール3は、第1絶縁体層34の角部34aが断面視において階段状に形成されている点で、上述の第1実施形態で説明した回路モジュール1と異なっている。その他の点は第1実施形態と同様であるので、図2と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0052】
図12に示すように、本実施形態の回路モジュール3は、第1導電体層34の基体10と反対側(上側)の角部34aが断面視において(基体10の上面に直交する面で切断した面から視て)階段状に形成されている。
【0053】
(回路モジュールの製造方法)
図13〜17は、本発明の第3実施形態に係る回路モジュールの製造工程を示す図である。
【0054】
集合基板10Aの電子部品13の実装面に第1絶縁体層34となる樹脂材料34Aをモールド法により塗布し、硬化させる工程までは第1実施形態に係る回路モジュール1の製造方法と同様である為、詳細な説明は省略する。
【0055】
先ず、第1ダイシング装置31を用い、樹脂材料34Aの隣り合う突起16Aの間の上部を研削して、樹脂材料34Aに幅W1の溝を浅く形成する(図13参照)。
【0056】
次に、第2ダイシング装置32を用い、樹脂材料34Aの幅W1の溝が形成された部分に幅W1よりも小さい幅W2の溝を集合基板10Aに達する深さまで形成する(図14参照)。
【0057】
これにより、集合基板10A上の電子部品13を覆って形成された樹脂材料34Aと、回路基板10の端部に形成された突起16Aとが研削されて、導電部材16と第1絶縁体層34とが形成される(図15参照)。第1絶縁体層34の集合基板10Aと反対側の角部34aは、断面視において階段状に形成される(図16参照)。
【0058】
次に、集合基板10A上の第1絶縁体層34の露出する部位全体を覆って導電体層35Aを形成する(図17参照)。導電体層35Aの形成工程は、例えば導電ペーストをモールド法により塗布し、硬化させて行う。
【0059】
導電体層35Aは、第1絶縁体層34の断面視階段状の角部34aにおいて相対的に厚く形成される。このため、比較例の回路モジュールの製造工程(図18参照)に示すように、導電体層15Bが第1絶縁体層14(断面視直角の角部)に形成される部分において相対的に薄くなってしまうことを抑制することができる。
【0060】
次に、集合基板10Aを切断して回路モジュール1を個片化する。
以上の工程により、本実施形態に係る回路モジュール3を製造することができる。
【0061】
本実施形態の回路モジュール3によれば、第1絶縁体層34の角部34aが断面視階段状に形成されるので、角部34aに形成される導電体層35Aの厚みを相対的に厚く形成することができる。したがって、第1絶縁体層の角部が断面視直角に形成されている場合に比べて、シールド体35が局所的に薄くなってしまうことを抑制することができる。
【0062】
(第1変形例)
図19は、図12に対応した、本発明の第3実施形態に係る回路モジュールの第1変形例を示す断面図である。図19に示すように、本実施形態の回路モジュールは、第1絶縁体層41の角部41aが断面視において直線状に面取りされている点で、上述の第3実施形態で説明した回路モジュール3と異なっている。その他の点は第3実施形態と同様であるので、図12と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0063】
(第2変形例)
図20は、図12に対応した、本発明の第3実施形態に係る回路モジュールの第2変形例を示す断面図である。図20に示すように、本実施形態の回路モジュールは、第1絶縁体層42の角部42aが断面視において円弧状に面取りされている点で、上述の第3実施形態で説明した回路モジュール3と異なっている。その他の点は第3実施形態と同様であるので、図12と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0064】
このように、第1絶縁体層の角部を面取りした構成であっても、第1絶縁体層の角部が断面視直角に形成されている場合に比べて、シールド体が局所的に薄くなってしまうことを抑制することができる。
【0065】
なお、面取り部分の形状は、断面視直線状や円弧状に限らず、種々の形状に変更することができる。例えば、樹脂材料に溝を形成する際に用いるダイシング装置の刃の形状を変えることにより、面取り部分の形状を適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0066】
1,2,3…回路モジュール、10…基体、12…接地電極、12s…接地電極のシールド体と対向する端面、13…電子部品、14,34,41,42…第1絶縁体層、14s…第1絶縁体層の側面、15,35…シールド体、15a…シールド体の内面、16…導電部材、16s…導電部材のシールド体と接する面、21…第2絶縁体層、34a,41a,42a…角部
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電磁波等のノイズを遮蔽するためにシールドされた回路モジュールがある。回路モジュールとしては、例えば、電子部品が搭載された回路基板上にアルミ合金等で形成された板金の蓋を半田付けすることで接続する等の構成がある。
【0003】
近年、電子機器の小型化及び薄型化の要求から、電子機器に搭載される回路モジュールについても同様に小型化及び薄型化が要求されている。このような要求に応えるための技術としては、電子部品が搭載された基板上を樹脂で封止した後、樹脂の上面に導電性樹脂を塗布し、基板上の接地電極と接続させてシールドする構造がある。例えば、特許文献1では、基板の表面又は内部に形成されている接地電極を切断して断面を露出させ、露出した接地電極の断面にシールド層を接続させている。
【0004】
図21は、特許文献1に示す回路モジュールの概略構成を示す要部断面図である。
図21に示すように、回路モジュールは、基板101と、基板101上に設けられた接地電極109と、基板101上の電子部品(図示略)の露出する部位全体を覆う樹脂105と、基板101上の樹脂105を覆うとともに接地電極109の端面に接するシールド層106と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−288610
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術では、露出した接地電極の断面が小さいため、接地電極とシールド体との接続信頼性に劣るとともに、シールド体のシールド効果が低下する等の問題がある。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、接地電極とシールド体との接続信頼性を向上させるとともにシールド体のシールド効果が低下することを抑制することが可能な回路モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明に係る回路モジュールは、基体と、前記基体上に配置された電子部品と、前記基体上の電子部品の周辺部に配置された接地電極と、前記接地電極の少なくとも前記シールド体と対向する端面を除いて前記接地電極の前記基体上で露出する部位全体に接するとともに前記接地電極の前記端面よりも大きい面積で前記シールド体の内面に接する導電部材と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、接地電極とシールド体との接続信頼性を向上させるとともにシールド体のシールド効果が低下することを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態に係る回路モジュールを示す斜視図である。
【図2】図1(c)のA−A線に沿った断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る回路モジュールの要部断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る回路モジュールの製造工程を示す図である。
【図5】図4に続く工程図である。
【図6】図5に続く工程図である。
【図7】図6に続く工程図である。
【図8】図7に続く工程図である。
【図9】図8に続く工程図である。
【図10】図9に続く工程図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る回路モジュールを示す断面図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る回路モジュールを示す断面図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係る回路モジュールの製造工程を示す図である。
【図14】図13に続く工程図である。
【図15】図14に続く工程図である。
【図16】図15に続く工程図である。
【図17】図16に続く工程図である。
【図18】比較例の回路モジュールの製造工程を示す図である。
【図19】回路モジュールの第1変形例を示す図である。
【図20】回路モジュールの第2変形例を示す図である。
【図21】特許文献1に係る回路モジュールの要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等が異なっている。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る回路モジュールを示す斜視図である。図2は、図1(c)のA−A線に沿った断面図である。図3は、本発明の第1実施形態に係る回路モジュールの要部断面図である。なお、図1(a)は、基体上の電子部品の配置状態を示す斜視図である。図1(b)は、基体上の電子部品が第1絶縁体層に覆われた状態を示す斜視図である。図1(c)は、基体上の電子部品がシールド体で覆われた状態を示す斜視図である。
【0013】
図1及び図2に示すように、本実施形態の電子部品の回路モジュール1は、基体10と、基体10上に配置された電子部品13と、基体10上の電子部品13の周辺部に配置された接地電極12と、基体10上の電子部品13を覆って形成された第1絶縁体層14と、基体10上の第1絶縁体層14を覆って形成された導電性のシールド体15と、基体10上の接地電極12及びシールド体15に接する導電部材16と、を備えた構成となっている。
【0014】
基体10は、平面視矩形となっている。基体10としては、例えばプリント回路基板(以下、単に回路基板という)を用いる。基体10の底面には、マザーボード(図示略)と接続するための複数の端子(例えば半田ボール)17が設けられている。
【0015】
電子部品13は、基体10上の電子部品搭載用パッドとしての信号電極11に接続されている。電子部品13は、基体10上に複数(ここでは13台)配置されている。複数(13台)の電子部品13のうち、相対的にサイズの大きい1台の電子部品13が基板10の中央部に配置されており、相対的にサイズの小さい12台の電子部品13がサイズの大きい電子部品13の両側に6台ずつ配列されている。
【0016】
接地電極12は、基体10上の電子部品13の周辺部に配置されている。具体的には、接地電極12は、基体10の端部に沿って配置されている。
【0017】
第1絶縁体層14は、電子部品13の基体10上で露出する部位全体を覆うとともに、導電部材16のシールド体15と接する面16sを除いて導電部材16の基体10上で露出する部位全体を覆って形成されている。図1(b)に示すように、第1絶縁体層14の側面には開口部14aが形成されており、この開口部14aにおいて導電部材16が露出している。
【0018】
第1絶縁体層14は、樹脂材料にフェライト粒子または金属粒子を分散させて形成されている。なお、樹脂材料としては、例えばアクリル系、ウレタン系、シリコーン系、エポキシ系等の樹脂材料を用いることができる。
【0019】
シールド体15は、基体10上の電子部品13の周辺を覆って形成されている。シールド体15は、第1絶縁体層14の基体10上で露出する部位を覆うとともに第1絶縁体層14の側面14sに露出した導電部材16と接している。シールド体15は、例えば、導電性樹脂、金属膜、または金属箔等によって形成されている。
【0020】
導電部材16は、接地電極12のシールド体15と対向する端面12sを除いて接地電極12の基体10上で露出する部位全体に接している導電部材16は、接地電極12の断面積(接地電極12を基体10の側面10sに平行な面で切断した断面の面積)よりも大きい面積でシールド体15の内面15aに接している。導電部材16は、半田ペーストにより形成されている。
【0021】
図3に示すように、第1絶縁体層14の導電部材16を覆う部分の側面14sと導電部材16の露出した部分(シールド体15と接する側の部分)16sとは、基体10の上面に直交する面と同一平面に形成されている。シールド体15は、第1絶縁体層14の導電部材16を覆う部分の側面14sと導電部材16の露出した部分16s全体とに連続して接している。
【0022】
基体10の導電部材16が配置された部分の側面10sと導電部材16の露出した部分16sとは、基体10の上面に直交する面と同一平面に形成されている。シールド体15は、基体10の導電部材16が配置された部分の側面10sと導電部材16の露出した部分16s全体とに連続して接している。
【0023】
接地電極12の露出した部分12sと導電部材16の露出した部分(シールド体15と接する側の部分)16sとは、基体10の上面に直交する面と同一平面に形成されている。
【0024】
このように、第1絶縁体層14の導電部材16を覆う部分の側面14sと、導電部材16の露出した部分16sと、接地電極12の露出した部分12sと、基体10の導電部材16が配置された部分の側面10sとは、基体10の上面に直交する面と同一平面に形成されている。シールド体15は、第1絶縁体層14の導電部材16を覆う部分の側面14sと、導電部材16の露出した部分16s全体と、接地電極12の露出した部分12s全体と、基体10の導電部材16が配置された部分の側面10sとに連続して接している。
【0025】
(回路モジュールの製造方法)
図4〜10は、本発明の第1実施形態に係る回路モジュールの製造工程を示す図である。
【0026】
先ず、複数の回路モジュール1の回路基板10がマトリクス状に配置された集合基板10Aを準備する(図4参照)。
【0027】
次に、回路基板10(集合基板10A)の電子部品搭載用パッド(信号電極11)と導電部材形成用パッド12A(後の工程で接地電極12となる部分)に半田ペースト(半田の粉末にフラックスを加えて適当な粘度にしたもの)を供給する(図5参照)。なお、半田ペーストは、回路モジュールをマザーボードに搭載する際の温度(ピーク温度)よりも高い融点を有するものを用いる。
【0028】
次に、電子部品13をマウンター等の設備を用いて回路基板10に搭載する。回路基板10を適宜温度調整されたリフロー炉へ通し、半田ペーストを溶融させて信号電極11と電子部品13とを接合させる。このとき、半田ペーストを用いて、後の工程で形成されるシールド体15と接続される突起16A(後の工程で導電部材16となる部分)を形成する。リフロー炉から出た回路基板10の端部には半田からなる突起16が形成された状態となる(図6参照)。
【0029】
次に、集合基板10Aの電子部品13の実装面に第1絶縁体層14となる樹脂材料14Aをモールド法により塗布し、硬化させる(図7参照)。モールド法としては、例えばトランスファモールド法、ポッティング法、または真空印刷法等を採用することができる。
【0030】
なお、樹脂材料14Aは、製造効率の観点から、突起16Aの高さよりも高い高さ(集合基板10Aの上面から樹脂材料14A上面までの距離)で形成することが望ましい。
【0031】
次に、集合基板10A上の電子部品13を覆って形成された樹脂材料14Aと、回路基板10の端部に形成された突起16Aとを研削して、導電部材16と第1絶縁体層14とを形成する。具体的には、導電部材16の側面16s及び接地電極12の側面(図3参照)を第1絶縁体層14から露出させる(図8参照)。
【0032】
なお、突起16Aと樹脂材料14とを研削する際には、半球状の突起16Aの中心を切断するように研削することが望ましい。これにより、導電部材16の側面16sの面積を大きく確保することができる。
【0033】
また、電子部品13が搭載された回路基板10の外縁部において樹脂材料14Aを形成しない構成とすることが望ましい。これにより、集合基板10Aを切断する際に、回路基板10の外縁部における樹脂材料14Aが割れたり欠けたりすることを抑制することができる。
【0034】
また、集合基板10Aの電子部品13実装面に樹脂材料14Aを塗布する前に、集合基板10A上に残留しているフラックスを洗浄除去することが望ましい。これにより、硬化後の樹脂材料14A内部に残留するフラックスが少なくなる。このため、リフロー炉を通して軟化したフラックスが流れることを抑制し、半田ペーストが溶融したときの流動を抑制することができる。したがって、半田ペーストの流動によるショートやオープン等の不良を抑制することができる。
【0035】
次に、集合基板10A上の第1絶縁体層14の露出する部位全体を覆って導電体層15Aを形成する(図9参照)。導電体層15Aの形成工程は、例えば導電ペーストをモールド法により塗布し、硬化させて行う。
【0036】
次に、集合基板10Aを切断して回路モジュール1を個片化する(図10参照)。集合基板10Aの切断には、例えばダイシング装置、レーザー装置、ウオーター装置、またはワイヤー装置等を用いることができる。
【0037】
なお、基体10の底面の複数の端子(例えば半田ボール)17(図1参照)を形成する工程は、回路基板10の端部に形成された突起16Aと樹脂材料14Aとを研削して、導電部材16と第1絶縁体層14とを形成する工程(図8参照)と、集合基板10A上の第1絶縁体層14の露出する部位全体を覆って導電体層15Aを形成する工程(図9参照)との間に行うことができる。
【0038】
以上の工程により、本実施形態に係る回路モジュール1を製造することができる。
【0039】
本実施形態の回路モジュール1によれば、特許文献1に示すように断面の小さい接地電極のみでシールド体と接続することなく、接地電極12と接する導電部材16を設けて該導電部材16をシールド体15の内面15aに接地電極12の断面積よりも大きい面積で接触させている。つまり、接地電極のみでシールド体と接続する構成よりも、導電部材16とシールド体15との接続面積が大きくなる。このため、接地電極12とシールド体15との接続部を低抵抗にするとともに強固にすることができる。したがって、接地電極12とシールド体15との接続信頼性を向上させるとともにシールド体15のシールド効果(例えば、電磁波等のノイズを遮蔽する機能)が低下することを抑制することが可能となる。
【0040】
この構成によれば、シールド体15が接地電極12の端面12sと接しているので、導電部材が接地電極全体を覆う構成に比べて、基体10の長手方向(基体10の上面と平行な方向)の長さを小さくすることができる。したがって、回路モジュール1の小型化を図ることが可能となる。
【0041】
この構成によれば、電子部品13の基体10上で露出する部位全体を覆って第1絶縁体層14が形成されているので、電子部品13がショートしたり電子部品に水分が浸入したりしないよう保護することができる。また、回路モジュール1のシールド体形成工程において、例えばアルミ合金等で形成された板金の蓋板に比べて厚みの薄い導電体層15A(シールド体15)が形成しやすくなる。
【0042】
この構成によれば、第1絶縁体層14が樹脂材料にフェライト粒子または金属粒子を分散させて形成されているので、樹脂材料に分散したフェライト粒子または金属粒子が電磁波等のノイズを遮蔽することとなる。したがって、回路モジュール1のシールド効果を向上させることができる。
【0043】
この構成によれば、導電部材16が半田ペーストにより形成されているので、例えば導電部材を蒸着により形成する場合に比べて、導電部材16を突起状に形成しやすくすることができる。
【0044】
なお、本実施形態では、電子部品は基体上に13台配置されているが、これに限らない。例えば、電子部品の配置数は、1〜12台、14台以上等、必要に応じて適宜変更することができる。
【0045】
また、本実施形態では、第1絶縁体層は導電部材のシールド体と接する面を除いて導電部材の基体上で露出する部位全体を覆って形成されているが、これに限らない。例えば、第1絶縁体層は導電部材のシールド体と接する面及び導電部材の基体と反対側の面(上面)を除いて導電部材の基体上で露出する部位全体を覆うよう形成されていてもよい。すなわち、第1絶縁体層は、少なくとも導電部材のシールド体と接する面を除いて導電部材の基体上で露出する部位全体を覆って形成されていればよい。
【0046】
また、本実施形態では、基体とシールド体の間に第1絶縁体層が形成されているが、これに限らない。例えば、基体とシールド体の間に第1絶縁体層が形成されていない構成であってもよい。すなわち、基体とシールド体の間が空洞であってもよい。例えば、薄いシート材に折り曲げ加工を施したり絞り加工を施したりすることによってシールド体を形成することもできる。
【0047】
(第2実施形態)
図11は、図2に対応した、本発明の第2実施形態に係る回路モジュールを示す断面図である。図11に示すように、本実施形態の回路モジュール2は、シールド体15を覆って第2絶縁体層21が形成されている点で、上述の第1実施形態で説明した回路モジュール1と異なっている。その他の点は第1実施形態と同様であるので、図2と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0048】
図11に示すように、本実施形態の回路モジュール2は、基体10上のシールド体15の露出する部位全体を覆って第2絶縁体層21が形成されている。
【0049】
本実施形態の回路モジュール2によれば、シールド体15の酸化を抑制することができる。また、シールド体15の外部接点との短絡を回避することができる。
【0050】
なお、本実施形態においても、第1実施形態と同様、第2絶縁体層21が樹脂材料にフェライト粒子または金属粒子を分散させて形成されていてもよい。回路モジュール2のシールド効果をさらに向上させることができる。
【0051】
(第3実施形態)
図12は、図2に対応した、本発明の第3実施形態に係る回路モジュールを示す断面図である。図12に示すように、本実施形態の回路モジュール3は、第1絶縁体層34の角部34aが断面視において階段状に形成されている点で、上述の第1実施形態で説明した回路モジュール1と異なっている。その他の点は第1実施形態と同様であるので、図2と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0052】
図12に示すように、本実施形態の回路モジュール3は、第1導電体層34の基体10と反対側(上側)の角部34aが断面視において(基体10の上面に直交する面で切断した面から視て)階段状に形成されている。
【0053】
(回路モジュールの製造方法)
図13〜17は、本発明の第3実施形態に係る回路モジュールの製造工程を示す図である。
【0054】
集合基板10Aの電子部品13の実装面に第1絶縁体層34となる樹脂材料34Aをモールド法により塗布し、硬化させる工程までは第1実施形態に係る回路モジュール1の製造方法と同様である為、詳細な説明は省略する。
【0055】
先ず、第1ダイシング装置31を用い、樹脂材料34Aの隣り合う突起16Aの間の上部を研削して、樹脂材料34Aに幅W1の溝を浅く形成する(図13参照)。
【0056】
次に、第2ダイシング装置32を用い、樹脂材料34Aの幅W1の溝が形成された部分に幅W1よりも小さい幅W2の溝を集合基板10Aに達する深さまで形成する(図14参照)。
【0057】
これにより、集合基板10A上の電子部品13を覆って形成された樹脂材料34Aと、回路基板10の端部に形成された突起16Aとが研削されて、導電部材16と第1絶縁体層34とが形成される(図15参照)。第1絶縁体層34の集合基板10Aと反対側の角部34aは、断面視において階段状に形成される(図16参照)。
【0058】
次に、集合基板10A上の第1絶縁体層34の露出する部位全体を覆って導電体層35Aを形成する(図17参照)。導電体層35Aの形成工程は、例えば導電ペーストをモールド法により塗布し、硬化させて行う。
【0059】
導電体層35Aは、第1絶縁体層34の断面視階段状の角部34aにおいて相対的に厚く形成される。このため、比較例の回路モジュールの製造工程(図18参照)に示すように、導電体層15Bが第1絶縁体層14(断面視直角の角部)に形成される部分において相対的に薄くなってしまうことを抑制することができる。
【0060】
次に、集合基板10Aを切断して回路モジュール1を個片化する。
以上の工程により、本実施形態に係る回路モジュール3を製造することができる。
【0061】
本実施形態の回路モジュール3によれば、第1絶縁体層34の角部34aが断面視階段状に形成されるので、角部34aに形成される導電体層35Aの厚みを相対的に厚く形成することができる。したがって、第1絶縁体層の角部が断面視直角に形成されている場合に比べて、シールド体35が局所的に薄くなってしまうことを抑制することができる。
【0062】
(第1変形例)
図19は、図12に対応した、本発明の第3実施形態に係る回路モジュールの第1変形例を示す断面図である。図19に示すように、本実施形態の回路モジュールは、第1絶縁体層41の角部41aが断面視において直線状に面取りされている点で、上述の第3実施形態で説明した回路モジュール3と異なっている。その他の点は第3実施形態と同様であるので、図12と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0063】
(第2変形例)
図20は、図12に対応した、本発明の第3実施形態に係る回路モジュールの第2変形例を示す断面図である。図20に示すように、本実施形態の回路モジュールは、第1絶縁体層42の角部42aが断面視において円弧状に面取りされている点で、上述の第3実施形態で説明した回路モジュール3と異なっている。その他の点は第3実施形態と同様であるので、図12と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0064】
このように、第1絶縁体層の角部を面取りした構成であっても、第1絶縁体層の角部が断面視直角に形成されている場合に比べて、シールド体が局所的に薄くなってしまうことを抑制することができる。
【0065】
なお、面取り部分の形状は、断面視直線状や円弧状に限らず、種々の形状に変更することができる。例えば、樹脂材料に溝を形成する際に用いるダイシング装置の刃の形状を変えることにより、面取り部分の形状を適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0066】
1,2,3…回路モジュール、10…基体、12…接地電極、12s…接地電極のシールド体と対向する端面、13…電子部品、14,34,41,42…第1絶縁体層、14s…第1絶縁体層の側面、15,35…シールド体、15a…シールド体の内面、16…導電部材、16s…導電部材のシールド体と接する面、21…第2絶縁体層、34a,41a,42a…角部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、
前記基体上に配置された電子部品と、
前記基体上の電子部品の周辺部に配置された接地電極と、
前記基体上の前記電子部品の周辺を覆う導電性のシールド体と、
前記接地電極の少なくとも前記シールド体と対向する端面を除いて前記接地電極の前記基体上で露出する部位全体に接するとともに前記接地電極の前記端面よりも大きい面積で前記シールド体の内面に接する導電部材と、
を備えていることを特徴とする回路モジュール。
【請求項2】
前記シールド体は、前記接地電極の前記端面と接していることを特徴とする請求項1に記載の回路モジュール。
【請求項3】
前記電子部品の前記基体上で露出する部位全体を覆うとともに、前記導電部材の前記シールド体と接する面を除いて前記導電部材の前記基体上で露出する部位全体を覆う第1絶縁体層を備え、
前記シールド体は、前記第1絶縁体層の前記基体上で露出する部位を覆うとともに前記第1絶縁体層の側面に露出した前記導電部材と接していることを特徴とする請求項1または2に記載の回路モジュール。
【請求項4】
前記第1絶縁体層の前記基体と反対側の角部は、断面視において階段状に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の回路モジュール。
【請求項5】
前記第1絶縁体層の前記基体の反対側の角部は、面取りされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の回路モジュール。
【請求項6】
前記第1絶縁体層は、樹脂材料にフェライト粒子または金属粒子を分散させて形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の回路モジュール。
【請求項7】
前記基体上の前記シールド体の露出する部位全体を覆って第2絶縁体層が形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の回路モジュール。
【請求項8】
前記導電部材は半田ペーストにより形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の回路モジュール。
【請求項1】
基体と、
前記基体上に配置された電子部品と、
前記基体上の電子部品の周辺部に配置された接地電極と、
前記基体上の前記電子部品の周辺を覆う導電性のシールド体と、
前記接地電極の少なくとも前記シールド体と対向する端面を除いて前記接地電極の前記基体上で露出する部位全体に接するとともに前記接地電極の前記端面よりも大きい面積で前記シールド体の内面に接する導電部材と、
を備えていることを特徴とする回路モジュール。
【請求項2】
前記シールド体は、前記接地電極の前記端面と接していることを特徴とする請求項1に記載の回路モジュール。
【請求項3】
前記電子部品の前記基体上で露出する部位全体を覆うとともに、前記導電部材の前記シールド体と接する面を除いて前記導電部材の前記基体上で露出する部位全体を覆う第1絶縁体層を備え、
前記シールド体は、前記第1絶縁体層の前記基体上で露出する部位を覆うとともに前記第1絶縁体層の側面に露出した前記導電部材と接していることを特徴とする請求項1または2に記載の回路モジュール。
【請求項4】
前記第1絶縁体層の前記基体と反対側の角部は、断面視において階段状に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の回路モジュール。
【請求項5】
前記第1絶縁体層の前記基体の反対側の角部は、面取りされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の回路モジュール。
【請求項6】
前記第1絶縁体層は、樹脂材料にフェライト粒子または金属粒子を分散させて形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の回路モジュール。
【請求項7】
前記基体上の前記シールド体の露出する部位全体を覆って第2絶縁体層が形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の回路モジュール。
【請求項8】
前記導電部材は半田ペーストにより形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の回路モジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2012−64825(P2012−64825A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208783(P2010−208783)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
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