説明

回路基板及び回路基板の製造方法

【課題】回路基板の接続パッドの上に形成される導電性材料が、隣接する接続パッドの間で繋がることを抑止する。
【解決手段】回路基板は、接続パットと、接続パッドの側面に形成された側壁と、接続パッドの上に形成された導電性材料と、を備え、側壁の上端は、接続パッドの上面よりも突出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板及び回路基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータ等の電子機器の高速化や大集積化に対応するため、コンピュータシステムに用いられる回路基板(配線基板)への半導体チップ(半導体素子)の高密度の実装が行われている。回路基板への半導体チップの高密度の実装を実現するため、半導体チップを回路基板に直接実装するフリップチップ接合(フリップチップ実装)が行われている。例えば、フリップチップ接合においては、半導体チップに設置された電極(接続端子)と、回路基板に設置された接続パッドとを接合することで、半導体チップがフェースダウンで回路基板に直接接合される。
【0003】
フリップチップ接合の一つとして、回路基板の接続パッド(電極パッド)の上に形成された錫(Sn)又は半田等の導電性材料を加熱溶融し、溶融した導電性材料と半導体チップの電極とを接合することにより、半導体チップと回路基板とを電気的に導通させる方式がある。この方式は、回路基板の接続パッドの上に形成された錫(Sn)又は半田等の導電性材料を加熱溶融させるため、低荷重で半導体素子を回路基板に実装できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2592757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
回路基板の接続パッドの上に錫(Sn)又は半田等の導電性材料を形成する方法として、半田めっき法、スーパージャフィット法及び全面印刷プリコート法等の種々の方法がある。しかし、隣接する接続パッドの狭ピッチ化により、接続パッドの上に形成される錫(Sn)又は半田等の導電性材料が隣接する接続パッドの間で繋がり、隣接する接続パッドの間でブリッジが発生する問題がある。本件は、回路基板の接続パッドの上に形成される導電性材料が、隣接する接続パッドの間で繋がることを抑止する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本件の一観点によれば、回路基板は、接続パットと、接続パッドの側面に形成された側壁と、接続パッドの上に形成された導電性材料と、を備え、側壁の上端は、接続パッドの上面よりも突出している。
【発明の効果】
【0007】
本件によれば、回路基板の接続パッドの上に形成される導電性材料が、隣接する接続パッドの間で繋がることを抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】支持基板の上面図及び断面図である。
【図2】支持基板の上面図及び断面図である。
【図3】支持基板の上面図及び断面図である。
【図4】支持基板の上面図及び断面図である。
【図5】支持基板の上面図及び断面図である。
【図6】実施例1に係る支持基板の断面図である。
【図7】実施例1に係る支持基板の断面図である。
【図8】実施例1に係る支持基板の断面図である。
【図9】実施例1に係る支持基板の断面図である。
【図10】実施例1に係る支持基板の断面図である。
【図11】実施例1に係る支持基板の断面図である。
【図12】実施例1に係る支持基板の断面図である。
【図13】実施例1に係る回路基板の断面図である。
【図14】実施例2に係る支持基板の断面図である。
【図15】実施例2に係る支持基板の断面図である。
【図16】実施例2に係る支持基板の断面図である。
【図17】実施例2に係る支持基板の断面図である。
【図18】実施例2に係る支持基板の断面図である。
【図19】実施例2に係る支持基板の断面図である。
【図20】実施例2に係る支持基板の断面図である。
【図21】実施例2に係る回路基板の断面図である。
【図22】実施例3に係る支持基板の断面図である。
【図23】実施例3に係る支持基板の断面図である。
【図24】実施例3に係る回路基板の断面図である。
【図25】実施例3に係る支持基板の断面図である。
【図26】実施例3に係る支持基板の断面図である。
【図27】実施例3に係る回路基板の断面図である。
【図28】接続パッド、隣接する接続パッドのピッチ、側壁、導電性材料の寸法を示す図である。
【図29】側壁飛び出し高さ寸法h3と、導電性材料高さ寸法h4との関係を示す図である。
【図30】側壁飛び出し高さ寸法h3と、導電性材料高さ寸法h4との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態に係る回路基板及びその製造方法について説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本件の回路基板及びその製造方法は実施形態の構成に限定されない。
【0010】
図1から図5を参照して、全面印刷プリコート法について説明する。図1(A)は、接続パッド(端子電極)1が形成された支持基板2の上面図である。図1(B)は、図1(A)の点線Aで示した位置を矢印方向Bから見た支持基板2の断面図である。図1(A)及び(B)は、支持基板2の一部を示している。支持基板2は、例えば、樹脂基板やセラミック基板等であるが、これに限らず、接続パッド1を形成することが可能な種々の基板を支持基板2として用いてもよい。
【0011】
図1(A)及び(B)に示すように、支持基板2の主面(半導体チップ搭載面)上に、ソルダーレジスト3が形成されている。ソルダーレジスト3には開口が形成されている。接続パッド1及び支持基板2が、ソルダーレジスト3の開口から露出している。接続パッド1は、支持基板2に半導体チップ(半導体素子)を搭載する際、半導体チップの入出力端子(突起電極)と電気的に接続される。支持基板2の上に接続パッド1をペリフェラル状に形成してもよいし、支持基板2の上に接続パッド1をエリア状に形成してもよい。
【0012】
図1(A)及び(B)に示す支持基板2に対して、図2(A)及び(B)に示すように、導電性ペースト4を印刷する。例えば、図示しないメタルマスクを用いて、導電性ペースト4をソルダーレジスト3の開口に埋め込む。図2(A)は、支持基板2の上面図であ
る。図2(B)は、図2(A)の点線Cで示した位置を矢印方向Dから見た支持基板2の断面図である。図2(A)及び(B)は、図1(A)及び(B)と同様に支持基板2の一部を示している。
【0013】
導電性ペースト4には、導電性材料5及びフラックスが含まれている。導電性材料5は、例えば、錫(Sn)又は半田等であるが、これに限らず、導電性材料5は、半導体チップの入出力端子と支持基板2の接続パッド1とを接続させるための金属又は合金であればよい。
【0014】
メタルマスクには、接続パッド1及び支持基板2の上に導電性ペースト4を形成する箇所に対応した開口が設けられている。例えば、スキージを用いて、導電性ペースト4をメタルマスクの開口に埋め込む場合、メタルマスクの開口を介して、導電性ペースト4がソルダーレジスト3の開口に埋め込まれる。ソルダーレジスト3の開口に埋め込まれた導電性ペースト4は、ソルダーレジスト3の開口から露出している接続パッド1及び支持基板2の上に形成される。
【0015】
次に、支持基板2を加熱することにより、導電性ペースト4のリフロー処理を行う。導電性ペースト4のリフロー処理を行うことにより、図3(A)及び(B)に示すように、接続パッド1の表面に導電性材料5が析出する。図3(A)は、支持基板2の上面図である。図3(B)は、図3(A)の点線Eで示した位置を矢印方向Fから見た支持基板2の断面図である。図3(A)及び(B)は、図1(A)及び(B)と同様に支持基板2の一部を示している。
【0016】
図3(A)及び(B)に示すように、支持基板2の上にはフラックス残渣6及び導電性材料5の凝集物7が形成されている。導電性ペースト4のリフロー処理を行った場合、導電性ペースト4に含まれるフラックスの溶媒成分が気化し、フラックスの樹脂成分であるフラックス残渣6が支持基板2の上に形成される。また、導電性ペースト4のリフロー処理を行った場合、支持基板2の表面に析出した導電性材料5が凝集して、導電性材料5の凝集物7が支持基板2の上に形成される。
【0017】
次に、支持基板2に対して洗浄処理を行う。例えば、フラックス洗浄液を用いて、支持基板2に対して洗浄処理を行うことにより、図4(A)及び(B)に示すように、支持基板2の上に形成されているフラックス残渣6及び導電性材料5の凝集物7を洗浄除去する。図4(A)は、支持基板2の上面図である。図4(B)は、図4(A)の点線Gで示した位置を矢印方向Hから見た支持基板2の断面図である。図4(A)及び(B)は、図1(A)及び(B)と同様に支持基板2の一部を示している。
【0018】
接続パッド1の表面に析出した導電性材料5と、支持基板2の表面に析出した導電性材料5とが繋がることにより、図5(A)及び(B)に示すように、接続パッド1の表面に析出した導電性材料5が隣接する接続パッド1の間で繋がる場合がある。これは、接続パッド1の表面に析出した導電性材料5の量が多い場合や、隣接する接続パッド1のピッチ間隔が狭い場合に発生しやすい。
【0019】
図5(A)は、支持基板2の上面図である。図5(B)は、図5(A)の点線Iで示した位置を矢印方向Jから見た支持基板2の断面図である。図5(A)及び(B)は、図1(A)及び(B)と同様に支持基板2の一部を示している。接続パッド1の表面に析出した導電性材料5が隣接する接続パッド1の間で繋がると、隣接する接続パッド1が短絡し、支持基板2の不良となる。
【0020】
本実施形態では、支持基板2の上に形成された接続パッド1の上に形成する導電性材料
5が、隣接する接続パッド1の間で繋がることを抑止するために、接続パッド1の両側面に側壁10を形成した状態で、接続パッド1の上に導電性材料5を形成する。以下、実施例に基づいて、本実施形態に係る回路基板の製造方法を具体的に説明するが、本実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。
【0021】
〈実施例1〉
図6から図13を参照して、実施例1に係る回路基板の製造方法を説明する。実施例1では、接続パッド1の上面及び側面に金属膜11を形成することにより、接続パッド1の両側面に側壁10を形成し、側壁10の上端を接続パッド1の上面よりも突出させた状態で、接続パッド1の上に導電性材料5Aを形成する例を説明する。
【0022】
まず、実施例1では、図6に示すように、支持基板2の上に形成された接続パッド1の上面及び側面に金属膜11を形成する。図6は、実施例1に係る支持基板2の断面図である。なお、支持基板2の主面上には、ソルダーレジスト3が形成されているが、図6から図13では、ソルダーレジスト3の図示を省略している。
【0023】
接続パッド1は、支持基板2に半導体チップ(半導体素子)を搭載する際、半導体チップの入出力端子(突起電極)と電気的に接続される。支持基板2の上に接続パッド1をペリフェラル状に形成してもよいし、支持基板2の上に接続パッド1をエリア状に形成してもよい。支持基板2は、例えば、樹脂基板やセラミック基板等であるが、これに限らず、接続パッド1を形成することが可能な種々の基板を支持基板2として用いてもよい。
【0024】
接続パッド1のサイズは、高さ10μm、幅20μmとしている。接続パッド1の材料は、例えば、銅(Cu)又はアルミニウム(Al)である。例えば、電解めっき法により、接続パッド1を支持基板2の上に形成する。また、隣接する接続パッド1の間隔は20μmとしている。但し、接続パッド1の高さ及び幅の値、隣接する接続パッド1の間隔の値は例示であり、これらの値に限定されず、他の値であってもよい。なお、接続パッド1の材料が銅(Cu)である場合、無電解めっき法により、接続パッド1の表面にニッケル(Ni)及び金(Au)を順次形成してもよい。
【0025】
金属膜11の形成は、例えば、電解めっき法により行う。実施例1で示す例では、金属膜11の膜厚を2μmとしている。但し、金属膜11の膜厚の値は例示であり、この値に限定されず、他の値であってもよい。例えば、金属膜11の膜厚を、接続パッド1の幅寸法W1(μm)に対して、2.5%以上、50%未満の値にしてもよい。金属膜11は、導電性材料5Aとの濡れ性が悪い材料を使用する。金属膜11は、例えば、クロム(Cr)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等の金属、又はこれらの金属を含む合金である。
【0026】
次に、図7に示すように、支持基板2及び金属膜11の上にドライフィルムレジスト12を形成する。図7は、実施例1に係る支持基板2の断面図である。ドライフィルムレジスト12は、感光性樹脂膜である。例えば、真空ラミネータを用いて、ドライフィルムレジスト12を支持基板2の上にラミネートすることで、支持基板2及び金属膜11の上にドライフィルムレジスト12を形成する。
【0027】
次に、接続パッド1の上方に形成されている金属膜11及びドライフィルムレジスト12を除去する。例えば、ウェットブラスト装置を用いて、ウェットブラスト処理により、ドライフィルムレジスト12の上面をエッチングするとともに、金属膜11の上面をエッチングする。ウェットブラスト処理は、砥粒及び水が混合されたスラリーを高圧のエアでスプレーする方法である。例えば、金属膜11の膜厚を2μmとする場合、金属膜11を200秒のエッチング時間でエッチングする。これは、アルミナA1♯1200の粒子を
用いて、エア圧0.25Pa、処理速度20mm/sで、基板サイズ180mm×70mmの支持基板2を20回スプレーする場合の条件である。
【0028】
除去対象の金属膜11に対応する部分が開口されているマスクを用いて、ウェットブラスト処理を行うことにより、金属膜11及びドライフィルムレジスト12が除去され、金属膜11から接続パッド1が露出する。ウェットブラスト処理により、接続パッド1の上面に形成されている金属膜11は除去されるが、接続パッド1の両側面には金属膜11が残存することになる。すなわち、図8に示すように、接続パッド1の両側面に側壁10が形成される。図8は、実施例1に係る支持基板2の断面図である。
【0029】
なお、ドライフィルムレジスト12を露光及び現像することにより、ドライフィルムレジスト12を除去し、ウェットブラスト処理により、接続パッド1の上面に形成されている金属膜11を除去してもよい。
【0030】
次に、図9に示すように、支持基板2の上に形成されている接続パッド1の一部を除去する。図9は、実施例1に係る支持基板2の断面図である。例えば、10gの過硫酸アンモニウムを200mLの水に溶解させたCuエッチング液に、支持基板2を600秒間浸漬させ、支持基板2の上に形成されている接続パッド1の上面部分をエッチング除去する。この場合、接続パッド1の上面部分が3μmエッチングされる。すなわち、接続パッド1の高さが10μmの場合、エッチング後の接続パッド1の高さは7μmとなる。なお、接続パッド1の表面にニッケル(Ni)及び金(Au)が形成されている場合には、Niエッチング液及びAuエッチング液を用いて、接続パッドの表面に形成されているニッケル(Ni)及び金(Au)を除去する。
【0031】
接続パッド1の上面部分をエッチング除去することにより、接続パッド1の両側面に形成されている側壁10の上端と、接続パッド1の上面との間に段差が生じ、接続パッド1の両側面に形成されている側壁10の上端が、接続パッド1の上面よりも突出する。接続パッド1の両側面に形成されている側壁10の上端が、接続パッド1の上面よりも突出することで、図9に示すように、接続パッド1の上には、接続パッド1の上面よりも突出している側壁10の内側に空間が形成される。
【0032】
次に、図10に示すように、支持基板2の上のドライフィルムレジスト12を除去する。図10は、実施例1に係る支持基板2の断面図である。例えば、支持基板2をドライフィルム剥離液に浸漬させ、支持基板2の上のドライフィルムレジスト12を剥離することにより、支持基板2の上のドライフィルムレジスト12を除去する。
【0033】
次に、全面印刷プリコート法により、接続パッド1、支持基板2及び側壁10の上に、導電性ペースト4を形成する。例えば、メタルマスクを用いて、導電性ペースト4を支持基板2に印刷することにより、図11に示すように、接続パッド1、支持基板2及び側壁10の上に、導電性ペースト4を形成する。図11は、実施例1に係る支持基板2の断面図である。導電性ペースト4には、導電性材料5A及びフラックスが含まれている。導電性材料5Aは、例えば、錫(Sn)等の金属又は半田等の合金である。半田は、例えば、錫(Sn)及び銀(Ag)を主成分とする錫−銀(Sn−Ag)半田、錫(Sn)及びビスマス(Bi)を主成分とする錫−ビスマス(Bi)半田、錫(Sn)及び鉛(Pb)を主成分とする錫−鉛(Sn−Pb)半田等である。
【0034】
次に、支持基板2を加熱することにより、導電性ペースト4のリフロー処理を行う。すなわち、導電性ペースト4に含まれる導電性材料5Aの温度が融点以上となるように支持基板2を加熱する。導電性ペースト4のリフロー処理を行うことにより、図12に示すように、接続パッド1の上面に導電性材料5Aが析出する。図12は、実施例1に係る支持
基板2の断面図である。例えば、導電性ペースト4として、錫−銀(Sn−Ag)半田ペーストを用いる場合、支持基板2の表面の最高温度が250℃に設定されたリフロー装置を用いて、支持基板2の表面の温度を220℃以上にして、窒素雰囲気中で15秒以上、導電性ペースト4のリフロー処理を行う。
【0035】
導電性ペースト4のリフロー処理を行った場合、接続パッド1の両側面には側壁10が形成されているため、接続パッド1の両側面には導電性材料5Aは析出せず、接続パッド1の上面に導電性材料5Aが析出する。接続パッド1の上面に導電性材料5Aが析出することにより、接続パッド1の上に導電性材料5Aが形成される。接続パッド1の両側面に形成された側壁10は、導電性材料5Aが接続パッド1の側面に形成されることを抑止する機能を果たす。
【0036】
接続パッド1の両側面に形成されている側壁10の上端が接続パッド1の上面よりも突出しているため、接続パッド1の上面よりも突出している側壁10の内側に形成された空間に導電性材料5Aが形成される。そして、接続パッド1の上面に導電性材料5Aが更に析出することにより、導電性材料5Aは、接続パッド1の両側面に形成されている側壁10よりも突出して形成される。
【0037】
導電性材料5Aの温度が融点以上となるように支持基板2を加熱することで、接続パッド1の上に形成された導電性材料5Aが溶融し、導電性材料5Aと接続パッド1とが接合される。
【0038】
図12に示すように、支持基板2の上にはフラックス残渣6及び導電性材料5Aの凝集物7が形成されている。導電性ペースト4のリフロー処理を行った場合、導電性ペースト4に含まれるフラックスの溶媒成分が気化し、フラックスの樹脂成分であるフラックス残渣6が支持基板2の上に形成される。また、導電性ペースト4のリフロー処理を行った場合、支持基板2の表面に析出した導電性材料5Aが凝集して、導電性材料5Aの凝集物7が支持基板2の上に形成される。
【0039】
次に、支持基板2に対して洗浄処理を行う。例えば、支持基板2を、フラックス洗浄液中で揺動させることにより、フラックス残渣6及び導電性材料5Aの凝集物7を洗浄除去する。フラックス残渣6及び導電性材料5Aの凝集物7を洗浄除去することにより、図13に示すように、回路基板が製造される。図13は、実施例1に係る回路基板の断面図である。
【0040】
金属膜11は導電性材料5Aとの濡れ性が悪いため、接続パッド1の両側面に形成された側壁10に対する導電性材料5Aの接触角が大きくなる。したがって、接続パッド1の両側面に形成された側壁10の上面と接する導電性材料5Aが球形状となり、接続パッド1の上に形成される導電性材料5Aの上部が球形状となる。
【0041】
図13に示すように、接続パッド1の上に形成された導電性材料5Aの上部は球形状となっており、接続パッド1の上に形成された導電性材料5Aの上部の横方向の幅は下部の横方向の幅よりも大きくなっている。すなわち、接続パッド1の上には、いわゆる茸形状(マッシュルーム形状)の導電性材料5Aが形成されている。
【0042】
接続パッド1の上に形成された導電性材料5Aの量が不足した状態で半導体素子を回路基板に搭載すると、フリップチップ接合時の熱や機械的応力により、半導体素子の電極と接続パッド1の上に形成された導電性材料5Aとの接合部分が破断する可能性がある。導電性材料5Aの上部の横方法の幅が下部の横方向の幅よりも大きくなることで、導電性材料5Aの上部の横方向の幅と下部の横方向の幅とが同じ場合よりも多くの量の導電性材料
5Aが接続パッド1の上に形成される。接続パッド1の上に形成された導電性材料5Aの上部の横方向の幅を下部の横方向の幅よりも大きくすることで、接続パッド1の上に形成された導電性材料5Aの量が不足することを抑止することができる。
【0043】
接続パッド1の両側面に形成された側壁10の上面と接する導電性材料5Aが球状となるため、接続パッド1の上に形成される導電性材料5Aは、接続パッド1の両側面に形成された側壁10の外側には形成されにくい。接続パッド1の両側面に形成された側壁10の外側に導電性材料5Aが形成されにくい結果、接続パッド1の上に形成された導電性材料5Aが、隣接する接続パッド1の間で繋がるという状態が抑止される。したがって、接続パッド1の両側面に側壁10を形成することで、接続パッド1の上に形成された導電性材料5Aが、隣接する接続パッド1の間で繋がることを抑止できる。すなわち、接続パッド1の両側面に側壁10を形成することで、隣接する接続パッド1の間で導電性材料5Aのブリッジが発生することを抑止することができる。
【0044】
〈実施例2〉
図14から図21を参照して、実施例2に係る回路基板の製造方法を説明する。実施例2では、接続パッド1の上面及び側面に樹脂膜20を形成することにより、接続パッド1の両側面に側壁10を形成し、側壁10の上端を接続パッド1の上面よりも突出させた状態で、接続パッド1の上に導電性材料5Aを形成する例を説明する。
【0045】
実施例2では、まず、図14に示すように、接続パッド1の上面及び側面、並びに支持基板2の上に樹脂膜20を形成する。図14は、実施例2に係る支持基板2の断面図である。なお、支持基板2の主面上には、ソルダーレジスト3が形成されているが、図14から図21では、ソルダーレジスト3の図示を省略している。
【0046】
接続パッド1は、支持基板2に半導体チップ(半導体素子)を搭載する際、半導体チップの入出力端子(突起電極)と電気的に接続される。支持基板2の上に接続パッド1をペリフェラル状に形成してもよいし、支持基板2の上に接続パッド1をエリア状に形成してもよい。支持基板2は、例えば、樹脂基板やセラミック基板等であるが、これに限らず、接続パッド1を形成することが可能な種々の基板を支持基板2として用いてもよい。
【0047】
接続パッド1のサイズは、高さ10μm、幅20μmとしている。接続パッド1の材料は、例えば、銅(Cu)又はアルミニウム(Al)である。例えば、電解めっき法により、接続パッド1を支持基板2の上に形成する。実施例2に示す例では、隣接する接続パッド1の間隔は20μmとしている。但し、接続パッド1の高さ及び幅の値、隣接する接続パッド1の間隔の値は例示であり、これらの値に限定されず、他の値であってもよい。なお、接続パッド1の材料が銅(Cu)である場合、無電解めっき法により、接続パッド1の表面にニッケル(Ni)及び金(Au)を順次形成してもよい。
【0048】
樹脂膜20の形成は、例えば、Chemical Vapor Deposition(CVD)法により行う。
実施例2に示す例では、樹脂膜20の膜厚を2μmとしている。但し、樹脂膜20の膜厚の値は例示であり、この値に限定されず、他の値であってもよい。例えば、樹脂膜20の膜厚を、接続パッド1の幅寸法W1(μm)に対して、2.5%以上、50%未満の値にしてもよい。樹脂膜20は、導電性材料5Aとの濡れ性が悪い絶縁材料を使用する。導電性材料5Aとの濡れ性が悪い絶縁材料として、例えば、ポリパラキシリレン誘導体がある。
【0049】
ポリパラキシリレン誘導体は、以下の化学式1又は2で表される。
【0050】
【化1】

【0051】
【化2】


化学式1及び2において、X及びXは、水素、低級アルキル基、又はハロゲン元素を表し、X及びXは、同一でも異なっていてもよい。また、化学式1及び2において、nは重合数で1以上の整数である。
【0052】
なお、支持基板2の上の樹脂膜20を除去してもよい。支持基板2の上の樹脂膜20の除去は、フォトリソグラフィ及びエッチングにより行えばよい。支持基板2の上の樹脂膜20を除去した場合、接続パッド1の上面及び側面にのみ樹脂膜20が形成されることになる。
【0053】
次に、図15に示すように、樹脂膜20の上にドライフィルムレジスト12を形成する。図15は、実施例2に係る支持基板2の断面図である。ドライフィルムレジスト12は、感光性樹脂膜である。例えば、真空ラミネータを用いて、ドライフィルムレジスト12を支持基板2の上にラミネートすることで、樹脂膜20の上にドライフィルムレジスト12を形成する。
【0054】
次に、接続パッド1の上方に形成されているドライフィルムレジスト12及び樹脂膜20を除去する。例えば、ウェットブラスト装置を用いて、ウェットブラスト処理により、ドライフィルムレジスト12の上面をエッチングするとともに、樹脂膜20の上面をエッチングする。ウェットブラスト処理は、砥粒及び水が混合されたスラリーを高圧のエアでスプレーする方法である。例えば、樹脂膜20の膜厚を2μmとする場合、樹脂膜20を200秒のエッチング時間でエッチングする。これは、アルミナA1♯1200の粒子を用いて、エア圧0.25Pa、処理速度20mm/sで、基板サイズ180mm×70mmの支持基板2を20回スプレーする場合の条件である。
【0055】
除去対象の樹脂膜20に対応する部分が開口されているマスクを用いて、ウェットブラ
スト処理を行うことにより、ドライフィルムレジスト12及び樹脂膜20が除去され、樹脂膜20から接続パッド1が露出する。ウェットブラスト処理により、接続パッド1の上面に形成されている樹脂膜20は除去されるが、接続パッド1の両側面には樹脂膜20が残存することになる。すなわち、図16に示すように、接続パッド1の両側面に側壁10が形成される。図16は、実施例2に係る支持基板2の断面図である。
【0056】
なお、ドライフィルムレジスト12を露光及び現像することにより、ドライフィルムレジスト12を除去し、ウェットブラスト処理により、接続パッド1の上に形成されている樹脂膜20を除去してもよい。
【0057】
次に、図17に示すように、支持基板2の上に形成されている接続パッド1の一部を除去する。図17は、実施例2に係る支持基板2の断面図である。例えば、10gの過硫酸アンモニウムを200mLの水に溶解させたCuエッチング液に、支持基板2を600秒間浸漬させ、支持基板2の上に形成されている接続パッド1の上面部分をエッチング除去する。この場合、接続パッド1の上面部分が3μmエッチングされる。すなわち、接続パッド1の高さが10μmの場合、エッチング後の接続パッド1の高さは7μmとなる。なお、接続パッド1の表面にニッケル(Ni)及び金(Au)が形成されている場合には、Niエッチング液及びAuエッチング液を用いて、接続パッド1の表面に形成されているニッケル(Ni)及び金(Au)を除去する。
【0058】
接続パッド1の上面部分をエッチング除去することにより、接続パッド1の両側面に形成されている側壁10の上端と、接続パッド1の上面との間に段差が生じ、接続パッド1の両側面に形成されている側壁10の上端が、接続パッド1の上面よりも突出する。接続パッド1の両側面に形成されている側壁10の上端が、接続パッド1の上面よりも突出することで、図17に示すように、接続パッド1の上には、接続パッド1の上面よりも突出している側壁10の内側に空間が形成される。
【0059】
次に、図18に示すように、支持基板2の上方に形成されているドライフィルムレジスト12を除去する。図18は、実施例2に係る支持基板2の断面図である。例えば、支持基板2をドライフィルム剥離液に浸漬させ、支持基板2の上方に形成されているドライフィルムレジスト12を剥離することにより、支持基板2の上方に形成されているドライフィルムレジスト12を除去する。
【0060】
次に、全面印刷プリコート法により、支持基板2の上方に導電性ペースト4を形成する。例えば、メタルマスクを用いて、導電性ペースト4を支持基板2に印刷することにより、図19に示すように、支持基板2の上方に導電性ペースト4が形成される。図19は、実施例2に係る支持基板2の断面図である。導電性ペースト4には、導電性材料5A及びフラックスが含まれている。導電性材料5Aは、例えば、錫(Sn)等の金属又は半田等の合金である。半田は、例えば、錫(Sn)及び銀(Ag)を主成分とする錫−銀(Sn−Ag)半田、錫(Sn)及びビスマス(Bi)を主成分とする錫−ビスマス(Bi)半田、錫(Sn)及び鉛(Pb)を主成分とする錫−鉛(Sn−Pb)半田等である。
【0061】
次に、支持基板2を加熱することにより、導電性ペースト4のリフロー処理を行う。すなわち、導電性ペースト4に含まれる導電性材料5Aの温度が融点以上となるように、支持基板2を加熱する。導電性ペースト4のリフロー処理を行うことにより、図20に示すように、接続パッド1の上面に導電性材料5Aが析出する。図20は、実施例2に係る支持基板2の断面図である。例えば、導電性ペースト4として、錫−銀(Sn−Ag)半田ペーストを用いる場合、支持基板2の表面の最高温度が250℃に設定されたリフロー装置を用いて、支持基板2の表面の温度を220℃以上にして、窒素雰囲気中で15秒以上、導電性ペースト4のリフロー処理を行う。
【0062】
導電性ペースト4のリフロー処理を行った場合、接続パッド1の両側面には側壁10が形成されているため、接続パッド1の両側面には導電性材料5Aは析出せず、接続パッド1の上面に導電性材料5Aが析出する。接続パッド1の上面に導電性材料5Aが析出することにより、接続パッド1の上に導電性材料5Aが形成される。接続パッド1の両側面に形成された側壁10は、導電性材料5Aが接続パッド1の側面に形成されることを抑止する機能を果たす。
【0063】
接続パッド1の両側面に形成されている側壁10の上端が接続パッド1の上面よりも突出しているため、接続パッド1の上面よりも突出している側壁10の内側に形成された空間に導電性材料5Aが形成される。そして、接続パッド1の上面に導電性材料5Aが更に析出することにより、導電性材料5Aは、接続パッド1の両側面に形成されている側壁10よりも突出して形成される。
【0064】
導電性材料5Aの温度が融点以上となるように支持基板2を加熱することで、接続パッド1の上に形成された導電性材料5Aが溶融し、導電性材料5Aと接続パッド1とが接合される。
【0065】
図20に示すように、支持基板2の上方にはフラックス残渣6及び導電性材料5Aの凝集物7が形成されている。導電性ペースト4のリフロー処理を行った場合、導電性ペースト4に含まれるフラックスの溶媒成分が気化し、フラックスの樹脂成分であるフラックス残渣6が支持基板2の上方に形成される。また、導電性ペースト4のリフロー処理を行った場合、樹脂膜20の表面に析出した導電性材料5Aが凝集して、導電性材料5Aの凝集物7が樹脂膜20の上に形成される。
【0066】
次に、支持基板2に対して洗浄処理を行う。例えば、支持基板2をフラックス洗浄液中で揺動させることにより、フラックス残渣6及び導電性材料5Aの凝集物7を洗浄除去する。フラックス残渣6及び導電性材料5Aの凝集物7を洗浄除去することにより、図21に示すように、回路基板が製造される。図21は、実施例2に係る回路基板の断面図である。
【0067】
樹脂膜20は導電性材料5Aとの濡れ性が悪いため、接続パッド1の両側面に形成された側壁10に対する導電性材料5Aの接触角が大きくなる。したがって、接続パッド1の両側面に形成された側壁10の上面と接する導電性材料5Aが球形状となり、接続パッド1の上に形成される導電性材料5Aの上部が球形状となる。
【0068】
図21に示すように、接続パッド1の上に形成された導電性材料5Aの上部は球形状となっており、接続パッド1の上に形成された導電性材料5Aの上部の横方向の幅は下部の横方向の幅よりも大きくなっている。すなわち、接続パッド1の上には、いわゆる茸形状(マッシュルーム形状)の導電性材料5Aが形成されている
接続パッド1の上に形成された導電性材料5Aの量が不足した状態で半導体素子を回路基板に搭載すると、フリップチップ接合時の熱や機械的応力により、半導体素子の電極と接続パッド1の上に形成された導電性材料5Aとの接合部分が破断する可能性がある。導電性材料5Aの上部の横方向の幅が下部の横方向の幅よりも大きくなることで、導電性材料5Aの上部の横方向の幅と下部の横方向の幅とが同じ場合よりも多くの量の導電性材料5Aが接続パッド1の上に形成される。接続パッド1の上に形成された導電性材料5Aの上部の横方向の幅を下部の横方向の幅よりも大きくすることで、接続パッド1の上に形成された導電性材料5Aの量が不足することを抑止することができる。
【0069】
接続パッド1の両側面に形成された側壁10の上面と接する導電性材料5Aが球状とな
るため、接続パッド1の上に形成される導電性材料5Aは、接続パッド1の両側面に形成された側壁10の外側には形成されにくい。接続パッド1の両側面に形成された側壁10の外側に導電性材料5Aが形成されにくい結果、接続パッド1の上に形成された導電性材料5Aが、隣接する接続パッド1の間で繋がるという状態が抑止される。したがって、接続パッド1の両側面に側壁10を形成することで、接続パッド1の上に形成された導電性材料5Aが、隣接する接続パッド1の間で繋がることを抑止できる。すなわち、接続パッド1の両側面に側壁10を形成することで、隣接する接続パッド1の間で導電性材料5Aのブリッジが発生することを抑止することができる。
【0070】
〈実施例3〉
図22から図27を参照して、実施例3に係る支持基板2の製造方法を説明する。実施例3では、接続パッド1の上面及び側面に金属膜11を形成することにより、接続パッド1の両側面に側壁10を形成し、側壁10の上端を接続パッド1の上面よりも突出させた状態で、接続パッド1の上に導電性材料5Bを形成する例を説明する。
【0071】
接続パッド1の上面及び側面に金属膜11を形成してから、支持基板2の上のドライフィルムレジスト12を除去するまでの工程は、実施例1の図6から図10を参照して説明した工程と同様である。したがって、実施例3では、支持基板2の上のドライフィルムレジスト12を除去した後の工程を説明する。
【0072】
支持基板2の上のドライフィルムレジスト12を除去した後、インクジェット塗布装置を用いて、図22に示すように、導電性インク30を接続パッド1の上面に堆積させる。図22に示すように、導電性インク30の上部は、表面張力により球状となっている。図22は、実施例3に係る支持基板2の断面図である。導電性インク30は、ペースト状であり、導電性インク30には、導電性材料5Bの粒子及び疎水性有機溶剤が含まれている。導電性材料5Bは、例えば、銀(Ag)、金(Au)又は銅(Cu)等の金属である。
【0073】
導電性インク30を接続パッド1の上面に所定量以上堆積させると、導電性インク30と接続パッド1の両側面に形成された側壁10の上面とが接触する。金属膜11は導電性インク30との濡れ性が悪いため、接続パッド1の両側面に形成された側壁10に対する導電性材料5Bの接触角が大きくなる。したがって、接続パッド1の両側面に形成された側壁10の上面と接する導電性インク30が球状となる。
【0074】
導電性インク30を接続パッド1の上面に所定量以上堆積することにより、図23に示すように、接続パッド1の上に形成された導電性インク30の上部の横方向の幅を下部の横方向の幅よりも大きくすることができる。すなわち、導電性インク30を接続パッド1の上面に所定量以上堆積することにより、接続パッド1の上にいわゆる茸形状(マッシュルーム形状)の導電性インク30を形成することができる。図23は、実施例3に係る支持基板2の断面図である。
【0075】
次に、導電性インク30に含まれる導電性材料5Bの融点未満の温度で支持基板2を加熱することにより、導電性インク30の焼結処理を行う。例えば、導電性インク30として、銀(Ag)インクを用いる場合、オーブンを用いて、支持基板2の温度を100℃にして、支持基板2を30分加熱する。
【0076】
導電性インク30の焼結処理を行うことにより、導電性インク30に含まれる疎水性有機溶剤が気化し、導電性インク30に含まれる導電性材料5Bの粒子同士が凝集することにより、図24に示すように、接続パッド1の上に導電性材料5Bが形成される。この際、導電性材料5Bと接続パッド1との接触部分の導電性材料5Bが接続パッド1に固相拡散することにより、導電性材料5Bと接続パッド1とが接合される。導電性材料5Bと接
続パッド1とを接合することにより、図24に示すように、回路基板が製造される。図24は、実施例3に係る回路基板の断面図である。
【0077】
図24に示すように、接続パッド1の上に形成された導電性材料5Bの上部は球形状となっており、接続パッド1の上に形成された導電性材料5Bの上部の横方向の幅は下部の横方向の幅よりも大きくなっている。すなわち、接続パッド1の上には、いわゆる茸形状(マッシュルーム形状)の導電性材料5Bが形成されている。
【0078】
接続パッド1の上に形成された導電性材料5Bの量が不足した状態で半導体素子を回路基板に搭載すると、フリップチップ接合時の熱や機械的応力により、半導体素子の電極と接続パッド1の上に形成された導電性材料5Bとの接合部分が破断する可能性がある。導電性材料5Bの上部の横方向の幅が下部の横方向の幅よりも大きくなることで、導電性材料5Bの上部の横方向の幅と下部の横方向の幅とが同じ場合よりも多くの量の導電性材料5Bが接続パッド1の上に形成される。接続パッド1の上に形成された導電性材料5Bの上部の横方向の幅を下部の横方向の幅よりも大きくすることで、接続パッド1の上に形成された導電性材料5Bの量が不足することを抑止することができる。
【0079】
接続パッド1の両側面に形成された側壁10の上面と接する導電性材料5Bが球状となるため、接続パッド1の上に形成される導電性材料5Bは、接続パッド1の両側面に形成された側壁10の外側には形成されにくい。接続パッド1の両側面に形成された側壁10の外側に導電性材料5Bが形成されにくい結果、接続パッド1の上に形成された導電性材料5Bが、隣接する接続パッド1の間で繋がるという状態が抑止される。したがって、接続パッド1の両側面に側壁10を形成することで、接続パッド1の上に形成された導電性材料5Bが、隣接する接続パッド1の間で繋がることを抑止できる。すなわち、接続パッド1の両側面に側壁10を形成することで、隣接する接続パッド1の間で導電性材料5Bのブリッジが発生することを抑止することができる。
【0080】
また、実施例3では、接続パッド1の上面及び側面に樹脂膜20を形成することにより、接続パッド1の両側面に側壁10を形成し、側壁10の上端を接続パッド1の上面よりも突出させた状態で、接続パッド1の上に導電性材料5Bを形成する例を説明する。
【0081】
接続パッド1の上面及び側面に樹脂膜20を形成してから、支持基板2の上のドライフィルムレジスト12を除去するまでの工程は、実施例2の図14から図18を参照して説明した工程と同様である。したがって、実施例3では、支持基板2の上のドライフィルムレジスト12を除去した後の工程を説明する。
【0082】
支持基板2の上のドライフィルムレジスト12を除去した後、インクジェット塗布装置を用いて、図25に示すように、導電性インク30を接続パッド1の上面に堆積させる。図25に示すように、導電性インク30の上部は、表面張力により球状となっている。図25は、実施例3に係る支持基板2の断面図である。導電性インク30は、ペースト状であり、導電性インク30には、導電性材料5Bの粒子及び疎水性有機溶剤が含まれている。導電性材料5Bは、例えば、銀(Ag)、金(Au)又は銅(Cu)等の金属である。
【0083】
導電性インク30を接続パッド1の上面に所定量以上堆積させると、導電性インク30と接続パッド1の両側面に形成された側壁10の上面とが接触する。樹脂膜20は導電性インク30との濡れ性が悪いため、接続パッド1の両側面に形成された側壁10に対する導電性材料5Bの接触角が大きくなる。したがって、接続パッド1の両側面に形成された側壁10の上面と接する導電性インク30が球状となる。
【0084】
導電性インク30を接続パッド1の上面に所定量以上堆積することにより、図26に示
すように、接続パッド1の上に形成された導電性インク30の上部の横方向の幅を下部の横方向の幅よりも大きくすることができる。すなわち、導電性インク30を接続パッド1の上面に所定量以上堆積することにより、接続パッド1の上にいわゆる茸形状(マッシュルーム形状)の導電性インク30を形成することができる。図26は、実施例3に係る支持基板2の断面図である。
【0085】
次に、導電性インク30に含まれる導電性材料5Bの融点未満の温度で支持基板2を加熱することにより、導電性インク30の焼結処理を行う。例えば、導電性インク30として、銀(Ag)インクを用いる場合、オーブンを用いて、支持基板2の温度を100℃にして、支持基板2を30分加熱する。
【0086】
導電性インク30の焼結処理を行うことにより、導電性インク30に含まれる疎水性有機溶剤が気化し、導電性インク30に含まれる導電性材料5Bの粒子同士が凝集することにより、図27に示すように、接続パッド1の上に導電性材料5Bが形成される。この際、導電性材料5Bと接続パッド1との接触部分の導電性材料5Bが接続パッド1に固相拡散することにより、導電性材料5Bと接続パッド1とが接合される。導電性材料5Bと接続パッド1とを接合することにより、図27に示すように、回路基板が製造される。図27は、実施例3に係る回路基板の断面図である。
【0087】
図27に示すように、接続パッド1の上に形成された導電性材料5Bの上部は球形状となっており、接続パッド1の上に形成された導電性材料5Bの上部の横方向の幅は下部の横方向の幅よりも大きくなっている。すなわち、接続パッド1の上には、いわゆる茸形状(マッシュルーム形状)の導電性材料5Bが形成されている。
【0088】
接続パッド1の上に形成された導電性材料5Bの量が不足した状態で半導体素子を回路基板に搭載すると、フリップチップ接合時の熱や機械的応力により、半導体素子の電極と接続パッド1の上に形成された導電性材料5Bとの接合部分が破断する可能性がある。導電性材料5Bの上部の横方向の幅が下部の横方向の幅よりも大きくなることで、導電性材料5Bの上部の横方向の幅と下部の横方向の幅とが同じ場合よりも多くの量の導電性材料5Bが接続パッド1の上に形成される。接続パッド1の上に形成された導電性材料5Bの上部の横方向の幅を下部の横方向の幅よりも大きくすることで、接続パッド1の上に形成された導電性材料5Bの量が不足することを抑止することができる。
【0089】
接続パッド1の両側面に形成された側壁10の上面と接する導電性材料5Bが球状となるため、接続パッド1の上に形成される導電性材料5Bは、接続パッド1の両側面に形成された側壁10の外側には形成されにくい。接続パッド1の両側面に形成された側壁10の外側に導電性材料5Bが形成されにくい結果、接続パッド1の上に形成された導電性材料5Bが、隣接する接続パッド1の間で繋がるという状態が抑止される。したがって、接続パッド1の両側面に側壁10を形成することで、接続パッド1の上に形成された導電性材料5Bが、隣接する接続パッド1の間で繋がることを抑止できる。すなわち、接続パッド1の両側面に側壁10を形成することで、隣接する接続パッド1の間で導電性材料5Bのブリッジが発生することを抑止することができる。
【0090】
図28に、接続パッド1、隣接する接続パッド1のピッチ、接続パッド1の側面に形成された側壁10、接続パッド1の上に形成された導電性材料5の寸法を示す。ここで、導電性材料5は、実施例1及び2における導電性材料5Aと、実施例3における導電性材料5Bの両方を含む。
【0091】
図28に示すように、接続パッド1の横方向の距離(μm)を接続パッド幅寸法W1とし、隣接する接続パッド1のピッチ(μm)を接続パッドピッチW2とし、接続パッド1
の縦方向の距離(μm)を接続パッド高さ寸法h1とする。また、図28に示すように、接続パッド1の両側面に形成された側壁10の縦方向の距離(μm)を側壁高さ寸法h2とし、接続パッド1の両側面に形成された側壁10の縦方向の距離(μm)と接続パッド1の縦方向の距離(μm)との差を側壁飛び出し高さ寸法h3とする。さらに、図28に示すように、接続パッド1の上に形成された導電性材料5の縦方向の距離(μm)を導電性材料高さ寸法h4とする。
【0092】
側壁飛び出し高さ寸法h3と、導電性材料高さ寸法h4との関係を図29及び図30に示す。図29及び図30に示すように、側壁飛び出し高さ寸法h3が大きくなれば、導電性材料高さ寸法h4は大きくなる。すなわち、側壁飛び出し高さ寸法h3が大きくなれば、接続パッド1の上面よりも突出している側壁10の内側に形成された空間に導電性材料5がより多く形成されるため、導電性材料高さ寸法h4は大きくなる。
【0093】
接続パッド1の上に形成された導電性材料5の量は、接続パッド1の上に形成された導電性材料5の縦方向の距離(μm)によって変動する。したがって、接続パッド1の上に形成された導電性材料5の量が不足しているか否かは、導電性材料高さ寸法h4によって判断することが可能である。
【0094】
接続パッド幅寸法W1が17.5μmの場合(図29の場合)、導電性材料高さ寸法4が3.5μm以上であれば、接続パッド1の上に形成された導電性材料5の量が不足した状態とはならない。すなわち、接続パッド幅寸法W1が17.5μmの場合(図29の場合)、導電性材料高さ寸法h4が3.5μm以上であれば、導電性材料高さ寸法h4は合格値といえる。
【0095】
また、接続パッド幅寸法W1が40μmの場合(図30の場合)、導電性材料高さ寸法h4が8.0μm以上であれば、接続パッド1の上に形成された導電性材料5の量が不足した状態とはならない。すなわち、接続パッド幅寸法W1が40μmの場合(図30の場合)、導電性材料高さ寸法h4が8.0μm以上であれば、導電性材料高さ寸法h4は合格値といえる。
【0096】
導電性材料高さ寸法h4が合格値である場合において、回路基板の伝送特性の劣化を調べた。図29に示すように、導電性材料高さ寸法h4が、3.7μm、11.9μm、12.75μmの場合、回路基板の伝送特性の劣化は発生しなかったが、導電性材料高さ寸法h4が、15.3μmの場合、回路基板の伝送特性の劣化が発生した。図30に示すように、導電性材料高さ寸法h4が、8.8μm、22.0μm、31.6μmの場合、回路基板の伝送特性の劣化は発生しなかったが、導電性材料高さ寸法h4が、36.0μmの場合、回路基板の伝送特性の劣化が発生した。
【0097】
図29及び図30のh3/W1は、側壁飛び出し高さ寸法h3を接続パッド幅寸法W1で割ったものである。図29及び図30に示すように、h3/W1が、0.1、0.25、0.35の場合、導電性材料高さ寸法h4は合格値であるとともに、回路基板の伝送特性の劣化は発生していない。したがって、0.1≦h3/W1≦0.35となるように、側壁飛び出し高さ寸法h3の範囲を調整すれば、導電性材料高さ寸法h4が合格値となるとともに、回路基板の伝送特性の劣化は発生しない。
【0098】
なお、実施例1から実施例3で説明した接続パッド1の両側面に側壁10を形成する方法は、半田めっき法やスーパージャフィット法に適用してもよい。
【符号の説明】
【0099】
1 接続パッド
2 支持基板
3 ソルダーレジスト
4 導電性ペースト
5、5A、5B 導電性材料
6 フラックス残渣
7 凝集物
10 側壁
11 金属膜
12 ドライフィルムレジスト
20 樹脂膜
30 導電性インク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続パットと、
前記接続パッドの側面に形成された側壁と、
前記接続パッドの上に形成された導電性材料と、を備え、
前記側壁の上端は、前記接続パッドの上面よりも突出していることを特徴とする回路基板。
【請求項2】
前記側壁は、前記導電性材料との濡れ性が悪いことを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
前記導電性材料の上部は、前記導電性材料の下部よりも横方向の幅が大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の回路基板。
【請求項4】
支持基板に形成された接続パッドの上面及び側面に膜を形成する工程と、
前記接続パッドの上面に形成された膜をエッチングにより除去することで、前記接続パッドの側面に側壁を形成する工程と、
前記接続パッドの上部をエッチングにより除去することで、前記側壁の上端を前記接続パッドの上面よりも突出させる工程と、
前記接続パッドの上に導電性材料を形成する工程と、を備えることを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項5】
前記側壁は、前記導電性材料との濡れ性が悪いことを特徴とする請求項4に記載の回路基板の製造方法。
【請求項6】
前記導電性材料の上部は、前記導電性材料の下部よりも横方向の幅が大きいことを特徴とする請求項4又は5に記載の回路基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2010−263159(P2010−263159A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114824(P2009−114824)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】