説明

回路基板組立体、コネクタ、はんだ付け方法

【課題】はんだ付け工程において基板側コネクタを支持し、回路基板に確実にはんだ付けして効率よく生産を行うことのできる回路基板組立体、コネクタ、はんだ付け方法を提供することを目的とする。
【解決手段】電気コネクタ20のハウジング21に、両側に突出するサポート部28、28を設けた。これにより、はんだ付け工程において回路基板30を搬送するとき、両端のサポート部28、28が支持レール50、50上に位置し、電気コネクタ20が支持レール50、50によって支持される。このようにして、はんだ付け工程において電気コネクタ20が回路基板30から脱落してしまうのを防ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタが回路基板から外周側にオーバーハングして設けられる回路基板組立体、コネクタ、およびそのはんだ付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種制御装置に用いられる回路基板に外部から配線を接続する場合、回路基板に設けられた基板側コネクタと、配線側に設けられた配線側コネクタとを嵌合させているのは周知の通りである。
【0003】
このような基板側コネクタは、ハウジングと、ハウジングに保持された複数本の端子とを有している。そして、端子の一端を回路基板に形成されたスルーホールに挿入し、スルーホールの周囲に設けられた導電パターンと端子とをはんだ付けすることにより電気的に接続している。
【0004】
ところで、制御装置の配置は、配線の取り回しの関係から、配線側コネクタを、回路基板の表面に平行な方向に沿って基板側コネクタに挿抜するものがある。その場合、配線側コネクタを挿抜するときの作業性等の観点から、基板側コネクタは回路基板の外周部に設けられ、回路基板の外周側から配線側コネクタを基板側コネクタに挿抜する。
【0005】
このような配置の基板側コネクタは、回路基板上の面積の有効利用のため、ハウジングの一部のみが回路基板の外周部に支持され、ハウジングの残部は、回路基板の外周側にオーバーハングして設けられたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−47432号公報
【特許文献2】特開2007−329049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に示したような構成の場合、端子の一端を回路基板にはんだ付けする工程において、基板側コネクタ(ハウジング)をいかに固定するかが課題となる。端子の一端を回路基板のスルーホールに挿入しただけでは、ハウジングは回路基板の外周側にオーバーハングしているため、その重心により、基板側コネクタが回路基板から脱落してしまう可能性が高い。また、脱落はしないまでも、基板側コネクタが傾いたままはんだ付け工程を経てしまうと、全ての端子が回路基板に正しくはんだ付けされないこともあり、品質に影響を与える。
【0008】
そこで、特許文献2においては、ハウジングを回路基板にボルト等の締結手段により固定している。しかし、このような構成では、はんだ付け工程に先立ち、締結手段によってハウジングを回路基板に固定する必要があり、手間がかかり、生産効率向上の妨げにもなる。また、回路基板上にボルト等で締結するためのスペースが必要であり、回路基板上の面積の有効利用の妨げにもなる。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、はんだ付け工程において基板側コネクタを支持し、回路基板に確実にはんだ付けして効率よく生産を行うことのできる回路基板組立体、コネクタ、はんだ付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的のもと、本発明は、回路基板と、回路基板の回路パターンを外部の配線ハーネスに接続するため、配線ハーネスの一端に設けられた相手側コネクタが接続されるコネクタと、を備え、コネクタは、一端が回路基板の回路パターンに電気的に接続され、他端が相手側コネクタの相手側コンタクトに電気的に接続される複数のコンタクトと、コンタクトを保持するハウジングと、を備える。そして、ハウジングは、回路基板の外周側に向けてオーバーハングして設けられるとともに、回路基板から外周側に向けてオーバーハングした部分に、オーバーハング方向に直交し、かつ回路基板の表面に沿った方向に向けて突出する突出部が形成されていることを特徴とする。
このような突出部は、回路基板に形成されたスルーホールにコンタクトの一端を挿入し、回路基板の回路パターンとコンタクトの一端とをはんだ付けするときに、ハウジングを保持するためのものである。これにより、はんだ付け時に、ハウジングと回路基板との位置関係を安定して保持することができる。
このため、突出部は、オーバーハング方向におけるコネクタの重心位置近傍に設けるのが好ましい。
【0010】
また、はんだ付けは、フロー式、リフロー式のいずれを用いても良いが、リフロー式の場合、支持レール上に回路基板とコネクタを支持するために、突出部の下面を、回路基板のはんだ付け面と略同一面内に位置するよう設けるのが好ましい。
突出部は、いかなる位置に設けても良いが、安定的に支持するために、少なくともハウジングの両側に設けるのが好ましい。
【0011】
本発明は、回路基板の外周部からオーバーハングして設けられるコネクタであって、回路基板の回路パターンに電気的に接続されるコンタクトと、コンタクトを保持するハウジングと、を備え、ハウジングは、回路基板から外周側に向けてオーバーハングする部分に、回路基板の回路パターンとコンタクトの一端とをはんだ付けするときに、ハウジングを保持するための保持突起が形成されていることを特徴とすることもできる。
【0012】
さらに、本発明は、上記のようなコネクタと回路基板とをはんだ付けする方法とすることもでき、回路基板の外周部に、回路基板の回路パターンに電気的に接続されるコンタクトを保持したハウジングを、当該回路基板から外周側にオーバーハングさせた状態に仮り組みし、ハウジングに形成された保持突起と、回路基板とを、はんだ付け装置の支持部材上に支持させる工程と、支持部材上に支持された回路基板の配線パターンとコンタクトの一端とをはんだ付けする工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、回路基板の回路パターンとコンタクトの一端とをはんだ付けするときに、突出部、保持突起により、ハウジングと回路基板との位置関係を安定して保持することができる。これにより、回路基板に確実にはんだ付けをすることができる。また、ハウジングの突出部、保持突起を、はんだ付け装置側の支持レール等に載せるだけでよいので、手間もかからず、効率よく生産を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施の形態における回路基板組立体を示す斜視図である。
【図2】回路基板組立体の側断面図である。
【図3】回路基板組立体の平面図である。
【図4】電気コネクタを、基板に設置される側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1〜図3に示すように、電子制御装置10は、電気コネクタ20と回路基板30とからなる回路基板組立体を備えている。
ここで、回路基板30は、種々の電子部品が実装され、電子制御装置としての所定の動作を実行する制御回路として機能する。
電気コネクタ20は、外部から回路基板30に電源を供給したり、電気信号を入出力するためのもので、具体的には、配線ハーネスの一端に設けられた相手側コネクタが外部から接続される。
【0016】
電気コネクタ20は、樹脂製のハウジング21と、導電性材料からなる複数のコンタクト22とからなる。
【0017】
ハウジング21は、回路基板30の外周端部に設けられる。ハウジング21には、複数のコンタクト22を保持する保持孔を有した板状のコンタクト保持プレート部23が、回路基板30の表面に直交する面内に位置するよう形成されている。
各コンタクト22は、コンタクト保持プレート部23の一方の側から他方の側に貫通するよう、保持孔に圧入されている。ここで、各コンタクト22は、コンタクト保持プレート部23に対し、回路基板30側において、90°に折り曲げられ、その一端22aが、回路基板30に形成されたスルーホール31に挿入されている。そして、コンタクト22の一端22aは、スルーホール31の内周面およびその周囲に形成された導電パターンに対し、はんだ付けにより電気的に接続されている。
【0018】
各コンタクト22は、その他端22bが、コンタクト保持プレート部23から、回路基板30の表面に沿った方向に、回路基板30の外周側に向けて延びるよう形成されている。
ハウジング21には、コンタクト保持プレート部23から、コンタクト22の他端22bが位置する側に延びる筒状のフード部24が形成されており、このフード部24により、複数本のコンタクト22の他端22bが囲われている。なお、本実施形態においては、フード部24は大きさの異なるものが二つ設けられている。
このフード部24には、電子制御装置に接続される図示しない配線ハーネスの先端に設けられた相手側コネクタ(雄コネクタ:図示無し)が挿入され、フード部24内でコンタクト22の他端22bに、配線コードの相手側コネクタに保持された相手側コンタクト(雌コンタクト:図示無し)が嵌合して電気的な接続がなされる。
【0019】
図4に示すように、コンタクト保持プレート部23において、回路基板30側には、回路基板30の実装面30aに突き当たるストッパ部25が一体に形成されている。ここで、ストッパ部25は、幅方向(回路基板30の表面に沿った方向)の両端部にそれぞれ設けられている。このストッパ部25により、コンタクト22の一端22aのスルーホール31への挿入寸法を規制できる。
【0020】
また、ハウジング21において、幅方向の両端部には、幅方向外方に向けて突出するサポート部(突出部、保持突起)28がそれぞれ形成されている。
サポート部28は、その先端面(下面)28aが、回路基板30の実装面30aをストッパ部25の先端面に突き当てた状態で、回路基板30のはんだ付け面30bと同一面内に位置するよう形成されている。
【0021】
図2に示したように、サポート部28は、コンタクト22の他端22bの延出方向に沿った方向において、電気コネクタ20の重心位置Gと合致する位置に設けるのが好ましい。
また、サポート部28は、ハウジング21の幅方向のそれぞれの端部に、コンタクト22の他端22bの延出方向に沿った方向に間隔を隔てて複数設けても良い。
【0022】
このような電気コネクタ20を回路基板30の外周部に実装するには、まず、電気コネクタ20を回路基板30に仮り組みする。仮り組みは、電気コネクタ20を、回路基板30に対し、コンタクト22の一端22aをスルーホール31に挿入し、ストッパ部25を回路基板30の実装面30aに突き当てた状態とする。
【0023】
次いで、この状態で、回路基板30の導電パターンと、コンタクト22の一端22aとを、はんだ付け装置によりはんだ付けする。
このとき、はんだ付け装置としてリフロー式のものを用いる。
はんだ付け装置には、はんだ付け対象物となる基板を、はんだ槽の上方に支持しながら移動させる支持レール(支持部材)50、50が設けられている。これら支持レール50、50上には、回路基板30の両端部と、両側のサポート部28が位置するようになっている。
【0024】
そして、電気コネクタ20を仮り組みした回路基板30を、支持レール50、50上に載せ、支持レール50、50に沿って移動させながら温風を当てる。これによって回路基板30に予め塗布しておいたはんだペーストが溶融し、スルーホール31に挿入されたコンタクト22の一端22aが、回路基板30の配線パターンにはんだ付けされる。
【0025】
このようにして支持レール50、50で回路基板30を支持しながら搬送するとき、電気コネクタ20は、両端のサポート部28、28が支持レール50、50上に位置しているので、電気コネクタ20が支持レール50、50によって支持されている。これにより、電気コネクタ20と回路基板30との位置関係を維持することができ、はんだ付け工程において電気コネクタ20が回路基板30から脱落してしまうのを防ぐことができる。したがって、コンタクト22の一端22aを回路基板30の配線パターンに確実にはんだ付けすることができ、高い品質を維持することができる。
また、ボルト等の締結手段を用いる必要も無く、確実なはんだ付けが行えることから、手間を軽減することができ、生産効率を向上させることもできる。また、ボルト等を締結するためのスペースも不要となることから、回路基板30上の面積を有効利用できる。
【0026】
さらに、サポート部28は、コンタクト22の他端22bの延出方向に沿った方向において、電気コネクタ20の重心位置Gと合致する位置に設けられているので、コンタクト22自体を安定して搬送することができる。
【0027】
なお、上記実施の形態では、リフロー式のはんだ付け装置を用いたが、リフロー式に代えてフロー式のはんだ付け装置を用いることもできる。その場合、治具(支持部材)上に、回路基板30の両端部と、両側のサポート部28が位置する。そして、この治具をはんだ槽の上方に沿って移動させる。すると、回路基板30のはんだ付け面30b側に、はんだ槽内の噴流はんだが接触し、スルーホール31に挿入されたコンタクト22の一端22aが、回路基板30の配線パターンにはんだ付けされる。
また、フロー式の場合、サポート部28の先端面28aは、必ずしも回路基板30のはんだ付け面30bと略同一面に形成する必要は無い。治具側に形成された保持部に対応した高さ・位置に先端面28aを形成すれば良い。
【0028】
また、サポート部28は、ハウジング21の両側に設けたが、これ以外の位置に設けることも可能である。例えば、複数配列されたコンタクト22の間、つまりハウジング21の幅方向中間部等に設けることも可能である。
【0029】
さらに、上記実施形態では、ハウジング21にストッパ部25が設けられ、このストッパ部25が回路基板30の実装面30aに突き当たる構成としたが、このストッパ部25は必須ではない。コンタクト22の一端22aを回路基板30のスルーホール31に挿入する以外は、ハウジング21を含め電気コネクタ20の他の部分を回路基板30に非接触とする構成としても良い。この場合でも、はんだ付け時には、サポート部28がはんだ付け装置側に支持されることで、電気コネクタ20を安定的に保持してはんだ付けを行うことができる。
そして、このような場合、ストッパ部25を回路基板30の実装面30aに突き当てるためのスペースが不要となることから、回路基板30上の面積のさらなる有効利用が図れる。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0030】
10…電子制御装置、20…電気コネクタ、21…ハウジング、22…コンタクト、25…ストッパ部、28…サポート部(突出部、保持突起)、28a…先端面(下面)、30…回路基板、30a…実装面、30b…はんだ付け面、31…スルーホール、50…支持レール(支持部材)、G…重心位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、前記回路基板の回路パターンを外部の配線ハーネスに接続するため、前記配線ハーネスの一端に設けられた相手側コネクタが接続されるコネクタと、を備え、
前記コネクタは、
一端が前記回路基板の回路パターンに電気的に接続され、他端が前記相手側コネクタの相手側コンタクトに電気的に接続される複数のコンタクトと、
前記コンタクトを保持するハウジングと、を備え、
前記ハウジングは、前記回路基板の外周側に向けてオーバーハングして設けられるとともに、
前記回路基板から外周側に向けてオーバーハングした部分に、オーバーハング方向に直交し、かつ前記回路基板の表面に沿った方向に向けて突出する突出部が形成されていることを特徴とする回路基板組立体。
【請求項2】
前記突出部は、前記回路基板に形成されたスルーホールに前記コンタクトの一端を挿入し、前記回路基板の前記回路パターンと前記コンタクトの一端とをはんだ付けするときに、前記ハウジングを保持するためのものであることを特徴とする請求項1に記載の回路基板組立体。
【請求項3】
前記突出部は、前記オーバーハング方向における前記コネクタの重心位置近傍に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の回路基板組立体。
【請求項4】
前記突出部の下面が、前記回路基板のはんだ付け面と略同一面内に位置するよう設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の回路基板組立体。
【請求項5】
前記突出部は、前記ハウジングの両側に設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の回路基板組立体。
【請求項6】
回路基板の外周部からオーバーハングして設けられるコネクタであって、
前記回路基板の回路パターンに電気的に接続されるコンタクトと、
前記コンタクトを保持するハウジングと、を備え、
前記ハウジングは、前記回路基板から外周側に向けてオーバーハングする部分に、前記回路基板の前記回路パターンと前記コンタクトの一端とをはんだ付けするときに、前記ハウジングを保持するための保持突起が形成されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項7】
請求項6に記載のコネクタを用いて前記コネクタと回路基板とをはんだ付けする方法であって、
前記回路基板の外周部に、前記回路基板の回路パターンに電気的に接続されるコンタクトを保持したハウジングを、当該回路基板から外周側にオーバーハングさせた状態に仮り組みし、前記ハウジングに形成された保持突起と、前記回路基板とを、はんだ付け装置の支持部材上に支持させる工程と、
前記支持部材上に支持された前記回路基板の配線パターンと前記コンタクトの一端とをはんだ付けする工程と、
を備えることを特徴とするはんだ付け方法。
【請求項8】
前記はんだ付けは、リフロー式で行うことを特徴とする請求項7に記載のはんだ付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−99441(P2012−99441A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248539(P2010−248539)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000227995)タイコエレクトロニクスジャパン合同会社 (340)
【Fターム(参考)】