回転コネクタ装置
【課題】ステアリング・ホイールと舵角センサとの間の回転伝達の誤差を抑制して舵角検出誤差の増大を抑え、タイムリーな車両制御を行わせることを可能とする。
【解決手段】コンビネーション・スイッチ側に支持されステアリング・シャフトを貫通させるボディ3と、前記ステアリング・シャフトを貫通させるロータ5と、前記ボディ3に対して前記ロータ5を回転自在に結合するとともに該ロータ5と連動回転するアタッチメント33とを備え、前記アタッチメント33に、舵角センサ45と係合して回転を伝達するセンサ係合凹部41,43を設けた回転コネクタ装置1であって、前記アタッチメント33に、ステアリング・ホイールと係合するホイール係合突起37,39を設けたことを特徴とする。
【解決手段】コンビネーション・スイッチ側に支持されステアリング・シャフトを貫通させるボディ3と、前記ステアリング・シャフトを貫通させるロータ5と、前記ボディ3に対して前記ロータ5を回転自在に結合するとともに該ロータ5と連動回転するアタッチメント33とを備え、前記アタッチメント33に、舵角センサ45と係合して回転を伝達するセンサ係合凹部41,43を設けた回転コネクタ装置1であって、前記アタッチメント33に、ステアリング・ホイールと係合するホイール係合突起37,39を設けたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車体とステアリング・ホイールとの間を電気的に接続する回転コネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の回転コネクタ装置としては、例えば図10、図11に示すものがある。この従来の回転コネクタ装置101は、ステアリング・シャフトに装着された車体側のコンビネーション・スイッチ103に取り付けられている。回転コネクタ装置101とコンビネーション・スイッチ103との間には、自動車の各種制御のためにステアリング・ホイール111の操作角を検出する舵角センサ105が介設されている。
【0003】
回転コネクタ装置101の回転側部材であるディスク107には、一対の嵌合ボス109が突設され、ステアリング・ホイール111側に係合し、ディスク107がステアリング・ホイール111に連動回転可能となっている。
【0004】
回転コネクタ装置101と舵角センサ105とは、嵌合部113により結合されている。嵌合部113は、ディスク107とは別体であり、ディスク107に装着されて舵角センサ105まで延びている。嵌合部113の外周面には、係合溝113aが形成され、舵角センサ105の減速歯車の内周面に形成されたジョイント突部105aに係合する。
【0005】
従って、ステアリング・ホイール111が回転すると嵌合ボス109、ディスク107、係合溝113a、及びジョイント突部105aを介して舵角センサ105に回転伝達され、操舵角を検出することができる。
【0006】
しかし、嵌合部113は、ディスク107に装着されると共に係合溝113及びジョイント突部105aの係合を介してディスク107から舵角センサ105へ回転を伝達する構造であるため、ステアリング・ホイール111とディスク107との間、嵌合部113と舵角センサ105との間に加え、ディスク107と嵌合部113との間の3カ所の係合を介して回転伝達することになるため、それぞれの部材間に発生するガタにより回転角伝達に大きな誤差を生じる恐れがある。
【0007】
このような大きな誤差は、ステアリング・ホイール111の操舵に対して舵角センサ105の舵角検出誤差の増大となって現れ、タイムリーな車両制御に限界を生じるという問題があった。
【0008】
【特許文献1】特開2000−3640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする問題点は、ステアリング・ホイール111と舵角センサ105との間の回転伝達に大きな誤差を生じて舵角検出誤差の増大となって現れ、タイムリーな車両制御に限界を生じる点である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の回転コネクタ装置は、ステアリング・ホイールと舵角センサとの間の回転伝達の誤差を抑制して舵角検出誤差の増大を抑え、タイムリーな車両制御を行わせるため、静止側に支持されステアリング・シャフトを貫通させる固定側部材と、前記ステアリング・シャフトを貫通させる回転側部材と、前記固定側部材に対して前記回転側部材を回転自在に結合するとともに該回転側部材と連動回転するアタッチメントとを備え、前記アタッチメントに、舵角センサと係合して回転を伝達するセンサ係合部を設けた回転コネクタ装置であって、前記アタッチメントに、ステアリング・ホイールと係合するホイール係合部を設けたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、かかる主要な特徴により、ステアリング・ホイールと舵角センサとの間は、ステアリング・ホイールとアタッチメントとの間、アタッチメントと舵角センサとの間の2カ所の係合により回転伝達をすることができ、舵角検出誤差の増大を抑え、タイムリーな車両制御を行わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
ステアリング・ホイールと舵角センサとの間の回転伝達の誤差を抑制して舵角検出誤差の増大を抑え、タイムリーな車両制御を行わせるという目的を、アタッチメントにステアリング・ホイールと係合するホイール係合部を設けることで実現した。
【実施例】
【0013】
図1は、本発明の一実施形態を適用した回転コネクタ装置の分解斜視図、図2は、回転コネクタ装置をステアリング・ホイール側から見た斜視図、図3(a)は、回転コネクタ装置を舵角センサ側から見た斜視図、(b)は、舵角センサを回転コネクタ装置側から見た平面図である。
【0014】
この図1〜図3に示す回転コネクタ装置1は、自動車のステアリング・ホイール側のホーン、エア・バッグ装置等を車体側へ電気的に接続するものである。回転コネクタ装置1は、固定側部材としてのボディ3と回転側部材としてのロータ5と遊動スペーサ7と図示しないフラット・ケーブルとを備えている。
【0015】
前記ボディ3は、ボトム・カバー9に、ケース11を係合させたものである。ボトム・カバー9は、ステアリング・コラム(図示せず)に固定したコンビネーション・スイッチ側に固定される。
【0016】
前記ボトム・カバー9は、樹脂等によってドーナツ形状に形成され、中央部にステアリング・シャフトを貫通させる固定側孔部13が形成され、側部に固定側コネクタ部15を構成する固定側ターミナル支持部17が形成されている。固定側ターミナル支持部17に、固定側ターミナル21を保持した固定側ホルダ19が支持され、固定側コネクタ部15が構成される。
【0017】
前記ロータ5は、ステアリング・ホイールの下面側に配置され、ステアリング・ホイールに対し連動回転可能となっている。ロータ5は、樹脂等によってドーナツ形状に形成され、中央部にステアリング・シャフトを貫通させる回転側孔部23が形成され、側部に回転側コネクタ部25を構成する回転側ターミナル支持部27が形成されている。回転側ターミナル支持部27に、回転側ターミナル31を保持した回転側ホルダ29が支持され、回転側コネクタ部25が構成される。
【0018】
このロータ5は、ボディ3のボトム・カバー9にアタッチメント33を介し回転自在に結合されている。この結合のために、回転側孔部23の内周には、結合突起35が例えば周方向90°配置で4個所に形成されている。
【0019】
図4は、アタッチメントの斜視図である。
【0020】
前記アタッチメント33は、樹脂によって筒状に形成され、図1〜図4のように、軸方向の一側に周方向90°配置で4箇所の弾性舌片36と該弾性舌片36間に対向配置された2箇所のステアリングホイール係合部としてホイール係合突起37,39とを備え、軸方向の他側に2個所の舵角センサ係合部としてセンサ係合凹部41,43が対向配置されている。センサ係合凹部43は、センサ係合凹部41よりも周方向の幅が若干大きく形成され、予備的な係合を行う。
【0021】
アタッチメント33がボトム・カバー9側から固定側孔部13及び回転側孔部23間に装着され、弾性舌片36が回転側孔部23内の結合突起35を係止することでロータ5がボディ3に回転自在に結合される。
【0022】
ホイール係合突起37,39は、回転側孔部23内周に沿ってステアリング・シャフトの軸方向へ突設された構成となり、このホイール係合突起37,39がステアリング・ホイール側のホイール係合凹部53,55に係合し、アタッチメント33及びロータ5を、ステアリング・ホイールに対し連動回転可能とする。ホイール係合突起37,39及びホイール係合凹部53,55の関係は、後述する。センサ係合凹部41,43は、静止側の舵角センサ45のセンサ係合突部47,49に係合する。
【0023】
このとき、センサ係合凹部41は、センサ係合突部47に密に係合して該センサ係合突部47を回転させ、センサ係合凹部43は、センサ係合突部49に遊嵌して予備的な係合を行う。この係合により、静止側のコンビネーション・スイッチに支持された舵角センサ45にステアリング・ホイール側の回転を伝達する構成となる。
【0024】
前記遊動スペーサ7は、ロータ5とボディ3との間に回転自在に配設されている。フラット・ケーブルは、遊動スペーサ7を介して巻回されている。フラット・ケーブルの両端は、固定側ターミナル21と回転側ターミナル31とに結合されている。
【0025】
図5は、アタッチメントの一方のホイール係合突起を示す要部斜視図、図6は、アタッチメントの一方のホイール係合突起とステアリング・ホイールのホイール係合凹部との係合を示す要部正面図、図7は、アタッチメントの一方のホイール係合突起を示す要部拡大斜視図、図8は、アタッチメントの他方のホイール係合突起とステアリング・ホイールのホイール係合凹部との係合を示す要部斜視図、図9は、同要部正面図である。
【0026】
図1〜図6のように、前記アタッチメント33の一方のホイール係合突起37は、ステアリング・ホイール51の一方のホイール係合凹部53に緩み無く密に係合し、ロータ5をステアリング・ホイール51に対し連動回転可能とする。図1〜図4,図8,図9のように、アタッチメント33の他方のホイール係合突起39は、ステアリング・ホイール51の他方のホイール係合凹部55に弾性的に係合し、予備的な係合を維持する。
【0027】
図1〜図7のように、一方のホイール係合突起37は、先端部57が先細に形成され、両側に潰し用の突縁部59が形成されている。
【0028】
図1〜図4,図8,図9のように、他方のホイール係合突起39には、先端部に弾接用の一対の弾性片部61が形成されている。
【0029】
従って、コンビネーション・スイッチに舵角センサ45及び回転コネクタ装置1を取り付けると回転コネクタ装置1側のセンサ係合凹部41,43が、舵角センサ45のセンサ係合突部47,49に係合する。
【0030】
また、ステリング・シャフトにステアリング・ホイール51を結合すると、アタッチメント33の一方のホイール係合突起37がステアリング・ホイール51側のホイール係合凹部53にステアリング・シャフトの軸方向から差し込まれるように係合し、この係合により突縁部59が回転側孔部23のほぼ周方向に沿って潰される。従って、ホイール係合突起37は、ステアリング・ホイール51の一方のホイール係合凹部53に緩み無く密に係合し、ロータ5を、ステアリング・ホイール51に対し連動回転可能とする。また、ステアリング・ホイール51の回転をアタッチメント33から舵角センサ45のセンサ係合突部47,49へ伝達する。
【0031】
アタッチメント33の他方のホイール係合突起39は、ステアリング・ホイール51の他方のホイール係合凹部55に弾性片部61の変形により弾性的に係合し、予備的な係合を維持する。この予備的な係合により一方のホイール係合突起37が破損したときにも他方のホイール係合突起39により係合を維持することができる。
【0032】
従って、ステアリング・ホイール51が回転すると、ホイール係合凹部53、ホイール係合突起37、アタッチメント33を介してロータ5が連動回転する。また、ステアリング・ホイール51が回転すると、ホイール係合凹部53、ホイール係合突起37、アタッチメント33、センサ係合凹部41、舵角センサ45のセンサ係合突部47に回転が伝達される。舵角センサ45は、この回転に基づき所定の演算を行ってステアリング・ホイール51の操舵角を検出する。
[実施例の効果]
本発明の実施例では、コンビネーション・スイッチ側に支持されステアリング・シャフトを貫通させるボディ3と、前記ステアリング・シャフトを貫通させるロータ5と、前記ボディ3に対して前記ロータ5を回転自在に結合するとともに該ロータ5と連動回転するアタッチメント33とを備え、前記アタッチメント33に、舵角センサ45と係合して回転を伝達するセンサ係合凹部41,43を設けた回転コネクタ装置1であって、前記アタッチメント33に、ステアリング・ホイールと係合するホイール係合突起37,39を設けた。
【0033】
このため、ステアリング・ホイール51と舵角センサ45との間は、ステアリング・ホイール51とアタッチメント33との間、アタッチメント33と舵角センサ45との間の2カ所の係合により回転角伝達をすることができ、舵角検出誤差の増大を抑え、タイムリーな車両制御を行わせることができる。
【0034】
前記ボディ3とロータ5とは、前記ステアリング・シャフトを貫通させる固定側孔部13と同回転側孔部23とを各別に備え、前記アタッチメント33は、筒状であって前記固定側孔部13及び回転側孔部23に嵌合装着され、前記ホイール係合突起37,39を、前記回転側孔部23内周に沿って前記ステアリング・シャフトの軸方向へ突設した。
【0035】
このため、ステアリング・ホイール51をステアリング・シャフトに取り付けるだけでホイール係合突起37,39をステアリング・ホイール51のホイール係合凹部53,55に係合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】回転コネクタ装置の分解斜視図である。(実施例1)
【図2】回転コネクタ装置をステアリング・ホイール側から見た斜視図である。(実施例1)
【図3】(a)は、回転コネクタ装置を舵角センサ側から見た斜視図、(b)は、舵角センサを回転コネクタ装置側から見た平面図である。(実施例1)
【図4】アタッチメントの斜視図である。(実施例1)
【図5】アタッチメントの一方のホイール係合突起を示す要部斜視図である。(実施例1)
【図6】アタッチメントの一方のホイール係合突起とステアリング・ホイールのホイール係合凹部との係合を示す要部正面図である。(実施例1)
【図7】アタッチメントの一方のホイール係合突起を示す要部拡大斜視図である。(実施例1)
【図8】アタッチメントの他方のホイール係合突起とステアリング・ホイールのホイール係合凹部との係合を示す要部斜視図である。(実施例1)
【図9】アタッチメントの他方のホイール係合突起とステアリング・ホイールのホイール係合凹部との係合を示す要部正面図である。(実施例1)
【図10】ステアリング・ホイールと回転コネクタ装置及び舵角センサとの関係を示す側面図である。(従来例)
【図11】回転コネクタ装置、舵角センサ、及びコンビネーション・スイッチとの関係を示す分解斜視図である。(従来例)
【符号の説明】
【0037】
1 回転コネクタ装置
3 ボディ(固定側部材)
5 ロータ(回転側部材)
13 固定側孔部
23 回転側孔部
33 アタッチメント
37,39 ホイール係合突起(ホイール係合部)
41,43 センサ係合凹部(センサ係合部)
45 舵角センサ
51 ステアリング・ホイール
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車体とステアリング・ホイールとの間を電気的に接続する回転コネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の回転コネクタ装置としては、例えば図10、図11に示すものがある。この従来の回転コネクタ装置101は、ステアリング・シャフトに装着された車体側のコンビネーション・スイッチ103に取り付けられている。回転コネクタ装置101とコンビネーション・スイッチ103との間には、自動車の各種制御のためにステアリング・ホイール111の操作角を検出する舵角センサ105が介設されている。
【0003】
回転コネクタ装置101の回転側部材であるディスク107には、一対の嵌合ボス109が突設され、ステアリング・ホイール111側に係合し、ディスク107がステアリング・ホイール111に連動回転可能となっている。
【0004】
回転コネクタ装置101と舵角センサ105とは、嵌合部113により結合されている。嵌合部113は、ディスク107とは別体であり、ディスク107に装着されて舵角センサ105まで延びている。嵌合部113の外周面には、係合溝113aが形成され、舵角センサ105の減速歯車の内周面に形成されたジョイント突部105aに係合する。
【0005】
従って、ステアリング・ホイール111が回転すると嵌合ボス109、ディスク107、係合溝113a、及びジョイント突部105aを介して舵角センサ105に回転伝達され、操舵角を検出することができる。
【0006】
しかし、嵌合部113は、ディスク107に装着されると共に係合溝113及びジョイント突部105aの係合を介してディスク107から舵角センサ105へ回転を伝達する構造であるため、ステアリング・ホイール111とディスク107との間、嵌合部113と舵角センサ105との間に加え、ディスク107と嵌合部113との間の3カ所の係合を介して回転伝達することになるため、それぞれの部材間に発生するガタにより回転角伝達に大きな誤差を生じる恐れがある。
【0007】
このような大きな誤差は、ステアリング・ホイール111の操舵に対して舵角センサ105の舵角検出誤差の増大となって現れ、タイムリーな車両制御に限界を生じるという問題があった。
【0008】
【特許文献1】特開2000−3640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする問題点は、ステアリング・ホイール111と舵角センサ105との間の回転伝達に大きな誤差を生じて舵角検出誤差の増大となって現れ、タイムリーな車両制御に限界を生じる点である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の回転コネクタ装置は、ステアリング・ホイールと舵角センサとの間の回転伝達の誤差を抑制して舵角検出誤差の増大を抑え、タイムリーな車両制御を行わせるため、静止側に支持されステアリング・シャフトを貫通させる固定側部材と、前記ステアリング・シャフトを貫通させる回転側部材と、前記固定側部材に対して前記回転側部材を回転自在に結合するとともに該回転側部材と連動回転するアタッチメントとを備え、前記アタッチメントに、舵角センサと係合して回転を伝達するセンサ係合部を設けた回転コネクタ装置であって、前記アタッチメントに、ステアリング・ホイールと係合するホイール係合部を設けたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、かかる主要な特徴により、ステアリング・ホイールと舵角センサとの間は、ステアリング・ホイールとアタッチメントとの間、アタッチメントと舵角センサとの間の2カ所の係合により回転伝達をすることができ、舵角検出誤差の増大を抑え、タイムリーな車両制御を行わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
ステアリング・ホイールと舵角センサとの間の回転伝達の誤差を抑制して舵角検出誤差の増大を抑え、タイムリーな車両制御を行わせるという目的を、アタッチメントにステアリング・ホイールと係合するホイール係合部を設けることで実現した。
【実施例】
【0013】
図1は、本発明の一実施形態を適用した回転コネクタ装置の分解斜視図、図2は、回転コネクタ装置をステアリング・ホイール側から見た斜視図、図3(a)は、回転コネクタ装置を舵角センサ側から見た斜視図、(b)は、舵角センサを回転コネクタ装置側から見た平面図である。
【0014】
この図1〜図3に示す回転コネクタ装置1は、自動車のステアリング・ホイール側のホーン、エア・バッグ装置等を車体側へ電気的に接続するものである。回転コネクタ装置1は、固定側部材としてのボディ3と回転側部材としてのロータ5と遊動スペーサ7と図示しないフラット・ケーブルとを備えている。
【0015】
前記ボディ3は、ボトム・カバー9に、ケース11を係合させたものである。ボトム・カバー9は、ステアリング・コラム(図示せず)に固定したコンビネーション・スイッチ側に固定される。
【0016】
前記ボトム・カバー9は、樹脂等によってドーナツ形状に形成され、中央部にステアリング・シャフトを貫通させる固定側孔部13が形成され、側部に固定側コネクタ部15を構成する固定側ターミナル支持部17が形成されている。固定側ターミナル支持部17に、固定側ターミナル21を保持した固定側ホルダ19が支持され、固定側コネクタ部15が構成される。
【0017】
前記ロータ5は、ステアリング・ホイールの下面側に配置され、ステアリング・ホイールに対し連動回転可能となっている。ロータ5は、樹脂等によってドーナツ形状に形成され、中央部にステアリング・シャフトを貫通させる回転側孔部23が形成され、側部に回転側コネクタ部25を構成する回転側ターミナル支持部27が形成されている。回転側ターミナル支持部27に、回転側ターミナル31を保持した回転側ホルダ29が支持され、回転側コネクタ部25が構成される。
【0018】
このロータ5は、ボディ3のボトム・カバー9にアタッチメント33を介し回転自在に結合されている。この結合のために、回転側孔部23の内周には、結合突起35が例えば周方向90°配置で4個所に形成されている。
【0019】
図4は、アタッチメントの斜視図である。
【0020】
前記アタッチメント33は、樹脂によって筒状に形成され、図1〜図4のように、軸方向の一側に周方向90°配置で4箇所の弾性舌片36と該弾性舌片36間に対向配置された2箇所のステアリングホイール係合部としてホイール係合突起37,39とを備え、軸方向の他側に2個所の舵角センサ係合部としてセンサ係合凹部41,43が対向配置されている。センサ係合凹部43は、センサ係合凹部41よりも周方向の幅が若干大きく形成され、予備的な係合を行う。
【0021】
アタッチメント33がボトム・カバー9側から固定側孔部13及び回転側孔部23間に装着され、弾性舌片36が回転側孔部23内の結合突起35を係止することでロータ5がボディ3に回転自在に結合される。
【0022】
ホイール係合突起37,39は、回転側孔部23内周に沿ってステアリング・シャフトの軸方向へ突設された構成となり、このホイール係合突起37,39がステアリング・ホイール側のホイール係合凹部53,55に係合し、アタッチメント33及びロータ5を、ステアリング・ホイールに対し連動回転可能とする。ホイール係合突起37,39及びホイール係合凹部53,55の関係は、後述する。センサ係合凹部41,43は、静止側の舵角センサ45のセンサ係合突部47,49に係合する。
【0023】
このとき、センサ係合凹部41は、センサ係合突部47に密に係合して該センサ係合突部47を回転させ、センサ係合凹部43は、センサ係合突部49に遊嵌して予備的な係合を行う。この係合により、静止側のコンビネーション・スイッチに支持された舵角センサ45にステアリング・ホイール側の回転を伝達する構成となる。
【0024】
前記遊動スペーサ7は、ロータ5とボディ3との間に回転自在に配設されている。フラット・ケーブルは、遊動スペーサ7を介して巻回されている。フラット・ケーブルの両端は、固定側ターミナル21と回転側ターミナル31とに結合されている。
【0025】
図5は、アタッチメントの一方のホイール係合突起を示す要部斜視図、図6は、アタッチメントの一方のホイール係合突起とステアリング・ホイールのホイール係合凹部との係合を示す要部正面図、図7は、アタッチメントの一方のホイール係合突起を示す要部拡大斜視図、図8は、アタッチメントの他方のホイール係合突起とステアリング・ホイールのホイール係合凹部との係合を示す要部斜視図、図9は、同要部正面図である。
【0026】
図1〜図6のように、前記アタッチメント33の一方のホイール係合突起37は、ステアリング・ホイール51の一方のホイール係合凹部53に緩み無く密に係合し、ロータ5をステアリング・ホイール51に対し連動回転可能とする。図1〜図4,図8,図9のように、アタッチメント33の他方のホイール係合突起39は、ステアリング・ホイール51の他方のホイール係合凹部55に弾性的に係合し、予備的な係合を維持する。
【0027】
図1〜図7のように、一方のホイール係合突起37は、先端部57が先細に形成され、両側に潰し用の突縁部59が形成されている。
【0028】
図1〜図4,図8,図9のように、他方のホイール係合突起39には、先端部に弾接用の一対の弾性片部61が形成されている。
【0029】
従って、コンビネーション・スイッチに舵角センサ45及び回転コネクタ装置1を取り付けると回転コネクタ装置1側のセンサ係合凹部41,43が、舵角センサ45のセンサ係合突部47,49に係合する。
【0030】
また、ステリング・シャフトにステアリング・ホイール51を結合すると、アタッチメント33の一方のホイール係合突起37がステアリング・ホイール51側のホイール係合凹部53にステアリング・シャフトの軸方向から差し込まれるように係合し、この係合により突縁部59が回転側孔部23のほぼ周方向に沿って潰される。従って、ホイール係合突起37は、ステアリング・ホイール51の一方のホイール係合凹部53に緩み無く密に係合し、ロータ5を、ステアリング・ホイール51に対し連動回転可能とする。また、ステアリング・ホイール51の回転をアタッチメント33から舵角センサ45のセンサ係合突部47,49へ伝達する。
【0031】
アタッチメント33の他方のホイール係合突起39は、ステアリング・ホイール51の他方のホイール係合凹部55に弾性片部61の変形により弾性的に係合し、予備的な係合を維持する。この予備的な係合により一方のホイール係合突起37が破損したときにも他方のホイール係合突起39により係合を維持することができる。
【0032】
従って、ステアリング・ホイール51が回転すると、ホイール係合凹部53、ホイール係合突起37、アタッチメント33を介してロータ5が連動回転する。また、ステアリング・ホイール51が回転すると、ホイール係合凹部53、ホイール係合突起37、アタッチメント33、センサ係合凹部41、舵角センサ45のセンサ係合突部47に回転が伝達される。舵角センサ45は、この回転に基づき所定の演算を行ってステアリング・ホイール51の操舵角を検出する。
[実施例の効果]
本発明の実施例では、コンビネーション・スイッチ側に支持されステアリング・シャフトを貫通させるボディ3と、前記ステアリング・シャフトを貫通させるロータ5と、前記ボディ3に対して前記ロータ5を回転自在に結合するとともに該ロータ5と連動回転するアタッチメント33とを備え、前記アタッチメント33に、舵角センサ45と係合して回転を伝達するセンサ係合凹部41,43を設けた回転コネクタ装置1であって、前記アタッチメント33に、ステアリング・ホイールと係合するホイール係合突起37,39を設けた。
【0033】
このため、ステアリング・ホイール51と舵角センサ45との間は、ステアリング・ホイール51とアタッチメント33との間、アタッチメント33と舵角センサ45との間の2カ所の係合により回転角伝達をすることができ、舵角検出誤差の増大を抑え、タイムリーな車両制御を行わせることができる。
【0034】
前記ボディ3とロータ5とは、前記ステアリング・シャフトを貫通させる固定側孔部13と同回転側孔部23とを各別に備え、前記アタッチメント33は、筒状であって前記固定側孔部13及び回転側孔部23に嵌合装着され、前記ホイール係合突起37,39を、前記回転側孔部23内周に沿って前記ステアリング・シャフトの軸方向へ突設した。
【0035】
このため、ステアリング・ホイール51をステアリング・シャフトに取り付けるだけでホイール係合突起37,39をステアリング・ホイール51のホイール係合凹部53,55に係合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】回転コネクタ装置の分解斜視図である。(実施例1)
【図2】回転コネクタ装置をステアリング・ホイール側から見た斜視図である。(実施例1)
【図3】(a)は、回転コネクタ装置を舵角センサ側から見た斜視図、(b)は、舵角センサを回転コネクタ装置側から見た平面図である。(実施例1)
【図4】アタッチメントの斜視図である。(実施例1)
【図5】アタッチメントの一方のホイール係合突起を示す要部斜視図である。(実施例1)
【図6】アタッチメントの一方のホイール係合突起とステアリング・ホイールのホイール係合凹部との係合を示す要部正面図である。(実施例1)
【図7】アタッチメントの一方のホイール係合突起を示す要部拡大斜視図である。(実施例1)
【図8】アタッチメントの他方のホイール係合突起とステアリング・ホイールのホイール係合凹部との係合を示す要部斜視図である。(実施例1)
【図9】アタッチメントの他方のホイール係合突起とステアリング・ホイールのホイール係合凹部との係合を示す要部正面図である。(実施例1)
【図10】ステアリング・ホイールと回転コネクタ装置及び舵角センサとの関係を示す側面図である。(従来例)
【図11】回転コネクタ装置、舵角センサ、及びコンビネーション・スイッチとの関係を示す分解斜視図である。(従来例)
【符号の説明】
【0037】
1 回転コネクタ装置
3 ボディ(固定側部材)
5 ロータ(回転側部材)
13 固定側孔部
23 回転側孔部
33 アタッチメント
37,39 ホイール係合突起(ホイール係合部)
41,43 センサ係合凹部(センサ係合部)
45 舵角センサ
51 ステアリング・ホイール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静止側に支持されステアリング・シャフトを貫通させる固定側部材と、前記ステアリング・シャフトを貫通させる回転側部材と、前記固定側部材に対して前記回転側部材を回転自在に結合するとともに該回転側部材と連動回転するアタッチメントとを備え、
前記アタッチメントに、舵角センサと係合して回転を伝達するセンサ係合部を設けた回転コネクタ装置であって、
前記アタッチメントに、ステアリング・ホイールと係合するホイール係合部を設けた、
ことを特徴とする回転コネクタ装置。
【請求項2】
請求項1記載の回転コネクタ装置であって、
前記固定側部材と回転側部材とは、前記ステアリング・シャフトを貫通させる固定側孔部と同回転側孔部とを各別に備え、
前記アタッチメントは、筒状であって前記固定側孔部及び回転側孔部に嵌合装着され、
前記ホイール係合部を、前記回転側孔部内周に沿って前記ステアリング・シャフトの軸方向へ突設した、
ことを特徴とする回転コネクタ装置。
【請求項1】
静止側に支持されステアリング・シャフトを貫通させる固定側部材と、前記ステアリング・シャフトを貫通させる回転側部材と、前記固定側部材に対して前記回転側部材を回転自在に結合するとともに該回転側部材と連動回転するアタッチメントとを備え、
前記アタッチメントに、舵角センサと係合して回転を伝達するセンサ係合部を設けた回転コネクタ装置であって、
前記アタッチメントに、ステアリング・ホイールと係合するホイール係合部を設けた、
ことを特徴とする回転コネクタ装置。
【請求項2】
請求項1記載の回転コネクタ装置であって、
前記固定側部材と回転側部材とは、前記ステアリング・シャフトを貫通させる固定側孔部と同回転側孔部とを各別に備え、
前記アタッチメントは、筒状であって前記固定側孔部及び回転側孔部に嵌合装着され、
前記ホイール係合部を、前記回転側孔部内周に沿って前記ステアリング・シャフトの軸方向へ突設した、
ことを特徴とする回転コネクタ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−868(P2010−868A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−160647(P2008−160647)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(390001236)ナイルス株式会社 (136)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(390001236)ナイルス株式会社 (136)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]