説明

回転コネクタ装置

【課題】走行中に車両が振動するなどによりフラットケーブルがケーブルハウジングに衝突したり、擦れるなどしても、耳障りな音が発することがなく静粛で快適な走行を実現することができ、さらに、フラットケーブルの磨耗による損傷を防ぐことができる回転コネクタ装置の提供を目的とする。
【解決手段】ステータ12とロテータ13とを互いに相対回転自在に構成し、前記ステータ12と前記ロテータ13との内部に、該ロテータ13側と該ステータ12側とを電気的に接続するケーブルCを巻き回した状態で収容する収容空間Sを構成したコネクタ装置10であって、ステータ12に備えた外周筒部15の上部に、巻き回したケーブルCよりも上方で収容空間Sに向けて突出し、該ケーブルCを上方からガイドするガイド突出片16を形成し、該ガイド突出片16の下面16uを、先端に向けて徐々に上方へ変形する形状で形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車等の車両に装着される回転コネクタ装置に関し、ステアリングホイール側と車体側との間を電気的に接続するために用いる回転コネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に装着されるステアリングロールコネクタなどの回転コネクタ装置は、相対的に回転可能に同軸上に組み付けられるステータ(固定ケース)とロテータ(回転ケース)とで構成されるケーブルハウジングを備えている。
【0003】
回転コネクタ装置は、ケーブルハウジングのうち、ステータが車体側に固定され、ロテータがステアリングホイール側に組み付けられている。さらに、回転コネクタ装置は、ケーブルハウジング内部の収容空間に収容されたフラットケーブルを介して、車体側とステアリングホイール側との間の例えば、ホーンモジュール、エアバッグモジュール、電源等の電気的な接続を行っている。
【0004】
特許文献1に記載の回転コネクタもこのような回転コネクタ装置の1つである。
特許文献1に記載の回転コネクタは、ケーブルハウジングの内部に構成される収容空間(環状の空間)に収容されたフラットケーブル(帯状伝送線)を案内するリテーナ(案内部材)が収容空間の底面に配置されている。
リテーナは、ロテータの回転軸回りに回転自在に収容空間の底面に配置された平面視C型の板状のガイドリングと、該ガイドリングの周方向を等分配する各部において、ロテータの回転軸と平行な回転軸回りに回転自在に軸支された複数のローラとで構成している。
【0005】
フラットケーブルは、収容空間に巻回状態で収容され、その半径方向の内端がロテータの内周筒部(内筒軸部)に巻き付けられ、半径方向の外端がステータの外周筒部(外筒部)に巻き付けられ、中間がU字状に巻き返されている。
そしてステアリングホイールの回転操作に伴ってフラットケーブルは、収容空間において、半径方向の内端と外端とがそれぞれ内周筒部、外周筒部に対する巻き付けと巻き解きが行われ、それに追従するように、リテーナが環状空間を周方向に回転することでケーブルハウジングに損傷なく収容された状態を保つことができる。
【0006】
しかし、収容空間に巻回された状態のフラットケーブルが上方へ撓んだり、走行中に車両が振動するなどしたとき、該フラットケーブルの上端部が収容空間の上方を覆うロテータの上フランジ(天板)に接触することがあり、接触により耳障りな音が発するという難点を有していた。
特に、ステアリングホイール操作時には、ステータに対してロテータが回転するため、フラットケーブルがロテータに接触する際には、回転している状態のロテータに対して接触することになり、ロテータとフラットケーブルとが擦れる(摺動する)ため、耳障りな音が発生し易くなる。
【0007】
しかも、ステータに対してロテータが回転している際には、収容空間では、フラットケーブルの巻き付けと巻き解きが行われることで、巻回された状態のフラットケーブルが半径方向にスライドするため、ロテータとフラットケーブルとの擦れが激しくなり、さらに耳障りな音が発し易くなる。
【0008】
このように運転中に耳障りな音が発生することで快適な運転の妨げになるという難点を有していた。
【0009】
さらにまた、フラットケーブルが繰り返し接触すると、磨耗により該フラットケーブルが損傷するおそれがあるという難点も有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000−68020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで本発明は、収容空間に巻回された状態のフラットケーブルが上方へ撓んだり、走行中に車両が振動するなどにより、フラットケーブルがケーブルハウジングに衝突したり、擦れるなどしても、耳障りな音が発することがなく静粛で快適な走行を実現することができ、さらに、フラットケーブルの磨耗による損傷を防ぐことができる回転コネクタ装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、内周筒部を備えたロテータと、外周筒部を備えたステータとを構成し、前記ステータと前記ロテータとを、互いに相対回転自在に一体に構成し、前記ステータと前記ロテータとの内部に、該ロテータ側と該ステータ側とを電気的に接続するケーブルを巻き回した状態で収容する収容空間を構成した回転コネクタ装置であって、前記外周筒部の上部に、巻き回した前記ケーブルよりも上方で前記収容空間に向けて突出し、少なくとも前記収容空間の外周付近で巻き回した前記ケーブルを上方からガイドするガイド突出片を形成し、前記ガイド突出片の下面を、該ガイド突起片の突出方向へ沿って徐々に上方へ変形する形状で形成したことを特徴とする。
【0013】
この発明の態様として、前記ガイド突出片の下面を、前記突出方向へ沿って上方へと傾斜するテーパ形状で形成することができる。
【0014】
前記ガイド突出片の下面は、前記ガイド突出片の突出方向へ沿って徐々に上方へ変形する形状であれば、該突出方向へ沿って上方へと傾斜する上述したテーパ形状に限らず、該突出方向へ沿って湾曲しながら上方へと変形する形状など様々な形状で形成することを含む。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、収容空間に巻回された状態のフラットケーブルが上方へ撓んだり、走行中に車両が振動するなどにより、フラットケーブルがケーブルハウジングに衝突したり、擦れるなどしても、耳障りな音が発することがなく静粛で快適な走行を実現することができ、さらに、フラットケーブルの磨耗による損傷を防ぐことができる回転コネクタ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態のステアリングロールコネクタの外観図。
【図2】本実施形態のステアリングロールコネクタの分解斜視図。
【図3】ロテータを外した状態の本実施形態のステアリングロールコネクタの平面図。
【図4】図1中のA−A線矢視断面図。
【図5】図4中の一部を示す拡大端面図。
【図6】本実施形態のステアリングロールコネクタの作用説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明の一実施形態を、以下図面を用いて説明する。
本実施形態のステアリングロールコネクタ10(SRC)は、図1及至図5に示すように、ケーブルハウジング11と、リテーナ41と、回転ロックユニット51とで構成している。
なお、図1、図2は、前記ステアリングロールコネクタのそれぞれ外観図、分解斜視図である。図3は、後述するロテータを外した状態の前記ステアリングロールコネクタの平面図である。図4は、図1中のA−A線矢視断面図である。図4は、前記ステアリングロールコネクタにおける、図5中のB−B線に対応する部分の拡大端面である。
【0018】
ケーブルハウジング11は、平面視中央部分にステアリングシャフト(図示省略)の軸方向に貫通した差込孔Hが形成された略円筒状の形態で構成されている。差込孔Hは、前記ステアリングコラム(図示省略)に支持されたステアリングシャフトの挿入を許容する径で形成されている。
なお、前記ステアリングシャフトの上端部には、回転操作を行うためのステアリングホイールが固定されている。
【0019】
ケーブルハウジング11は、互いに相対回転可能なステータ12とロテータ13とで構成している。ケーブルハウジング11の内部には、図2及至図5に示すように、フレキシブルフラットケーブルC(以下、「フラットケーブルC」という。)が適宜巻かれた状態で収容される収容空間Sが構成されている。
【0020】
ステータ12は、車体側の適宜の部材、例えばステアリングコラムのコンビネーションブラケットスイッチ(図示省略)に固定され、ステアリングホイールに対して相対回転可能に取り付けられている。前記ステータ12は、底板として環状に形成した固定側リング板14と、この固定側リング板14の外周縁から垂直に延びる円筒状の外周筒部15とで構成されている。固定側リング板14の外周外周縁と筒部15の下端とは嵌合により一体に構成している。
【0021】
外周筒部15は、図4、及び、図5に示すように、円筒状の外側外周筒部15oと、該外側外周筒部15oよりも僅かに小径である円筒状の内側外周筒部15iとで構成され、外側外周筒部15oと内側外周筒部15iとが半径方向において近接して対向するよう同心円状に配置した2層構造で構成されている。
【0022】
外側外周筒部15oと内側外周筒部15iとは、ステアリングホイールの軸方向(図4、及び、図5中の上下方向)の中間部において連結部18により一体に連結されている。外側外周筒部15oと内側外周筒部15iとの半径方向の間に構成される隙間は、連結部18により上下方向に分断され、図5に示すように、上下各側向けて開口した2つの溝gu,gdが構成されている。
【0023】
また、前記内側外周筒部15iの上部には、図5に示すように、収容空間Sで巻き回したフラットケーブルCよりも上方で該収容空間Sに向けて半径方向の内側(径内方向)へ突出し、該フラットケーブルCを上方からガイドするガイド突出片16が鍔状に形成されている。
【0024】
ガイド突出片16は、平面視円環状に内側外周筒部15iの上部の内周縁に沿って収容空間Sへ真直ぐに突出しているが、前記ガイド突出片16の下面16uは、半径方向の内側に沿って上方へ傾斜するテ―パ形状で形成されている。
【0025】
ステータ12には、ステータ側コネクタ17が取り付けられている。
ステータ側コネクタ17は、第1ステータ側コネクタ17Aと第2ステータ側コネクタ17Bとで構成している。第1ステータ側コネクタ17Aと第2ステータ側コネクタ17Bとは、所定間隔を隔ててそれぞれのコネクタ接続口が同じ方向を向くように外周筒部15(外側外周筒部15o)の外側に配置されている。
【0026】
前記ロテータ13は、リング状に形成された回転側リング板(天板)21と、この回転側リング板21の内周縁から垂直に延びる円筒状の内周筒部22とで構成している。そしてロテータ13は、ステアリングホイールとともに一体的に回転するように構成されている。ロテータ13は、ステータ12に対して前記ステアリングホイールの回転軸と同一の軸回りに回転することができる。
【0027】
回転側リング板21は、ロテータ13の回転軸の方向で前記固定側リング板14に対面するように配置されている。
なお、ロテータ13の回転軸の方向は、上述したステアリングホイールの軸方向(図4、及び、図5中の上下方向)と同じ方向である。
【0028】
また、前記内周筒部22は、外周筒部15と半径方向で対面するように配置されている。
【0029】
ロテータ13には、該ロテータ13の回転に伴って一体的に回転するロテータ側コネクタ23Bが取り付けられる。
ロテータ側コネクタ23は、第1ロテータ側コネクタ23Aと第2ロテータ側コネクタ23Bとで構成している。
【0030】
第1ロテータ側コネクタ23Aと第1ステータ側コネクタ17A、及び、第2ロテータ側コネクタ23Bと第2ステータ側コネクタ17Bとは、それぞれ収容空間Sに配置されたフラットケーブルCによって相互に電気的に接続されている。
【0031】
ステータ側コネクタ17は、ロアコラムカバー(図示省略)内において車体側の電気回路等から引き出されたケーブル(図示省略)にそれぞれ接続される。
ロテータ側コネクタ23は、例えば、ホーンスイッチ、エアバッグユニットなどの電気回路から引き出されたケーブル(図示省略)にそれぞれ接続される。
【0032】
また、上述のリテーナ41は、複数の回転ローラ43とベースリング42とで構成され、収容空間Sにおいてロテータ13の回転軸を中心にして回転可能に配置されている。
【0033】
回転ローラ43は、後述のローラ支持突部45と同じ数で備えられ、それぞれローラ支持突部45に軸支され、それぞれが前記ロテータ13の回転軸と平行な軸を中心として回転可能に設けられている。
【0034】
ベースリング42は、平面視円環状をした板状のベースリング本体部44とローラ支持突部45とローラ外周側突部46とで構成されている。
ベースリング本体部44は、前記固定側リング板14に対して摺動可能に近接して配置され、ステータ12に対して相対回転可能に構成されている。ローラ支持突部45は、ベースリング本体部44の周方向に等間隔ごとに回転ローラ43を軸支可能に上方に向けて突出している。
【0035】
ローラ外周側突部46は、ローラ支持突部45に対して外側で、フラットケーブルCを後述するように回転ローラ43の周りに折り返した折り返し部分(後述する反転部Cr)を径外側からガイドするようベースリング本体部44に対して上方に向けて突出している。
【0036】
前記回転ロックユニット51は、図2に示すように、ロック体52とバネ受けスリーブ54と、該ロック体52および該バネ受けスリーブ54との間に介在する戻しバネ53とで構成されている。
【0037】
バネ受けスリーブ54を戻しバネ53の付勢力に抗して押し上げることでステータ12に対してロテータ13が相対回転しないようロック体52でロックすることができ、或いは、ステアリングホイールの芯金のボス部(図示省略)を挿入することで自由に相対回転することを許容するようロック体52によるロックを解除することができる。
【0038】
フラットケーブルCは、複数の扁平な平角導体Caが所定のピッチで平行に配列され、電気絶縁体Cbで被覆した可撓性を有する帯状の伝送線である。
【0039】
フラットケーブルCは、収容空間Sで2本備え、該収容空間Sにおいて2本を重ね合わして巻き回した状態で備えている。重ね合わした2本のうち一方のフラットケーブルCにおける長さ方向の一端側を第1ステータ側コネクタ17A側に接続しているとともに、2本のうち他方のフラットケーブルCにおける長さ方向の一端側を第2ステータ側コネクタ17B側に接続している(図示省略)。
【0040】
重ね合わした2本のうち一方のフラットケーブルCにおける長さ方向の他端側を第1ロテータ側コネクタ23側に接続しているとともに、2本のうち他方のフラットケーブルCにおける長さ方向の他端側を第2ロテータ側コネクタ23側に接続している(図示省略)。
【0041】
以上の構成で、フラットケーブルCの長さ方向の一端と他端との間は、収容空間Sにおいて適宜、巻回した状態で収容される。
【0042】
詳しくは、フラットケーブルCは、収容空間Sにおいて、第1ステータ側コネクタ17A、第2ステータ側コネクタ17Bのそれぞれから前記収容空間Sへ引き込まれ、図3及至図5に示すように、リテーナ41の外側でステータ12の外周筒部15(内側外周筒部15i)の内周面に沿うように巻かれた外側巻き部分Coが構成される。
【0043】
従って、外側巻き部分Coの基端は、ステータ側コネクタ17の位置において固定されている。
なお、フラットケーブルCは、収容空間Sにおいて上述したように2本一組として重ね合わして巻き回されているが、図3及至図5では、簡略化して一本のみを巻き回した状態で図示している。
【0044】
そして、図3に示すように、フラットケーブルCは、長さ方向の途中で、複数の前記回転ローラ43のうち1つにU字型に巻き掛かるようにして向きを反転させた反転部分Crが構成される。
【0045】
フラットケーブルCは、その後は、長さ方向の他端側をリテーナ41の内側でロテータ13の内周筒部22の外周面に沿うように巻かれた内側巻き部分Ciが構成される。図3及至図5に示すように、フラットケーブルCは、最終的には収容空間Sから引き出されて第1ロテータ側コネクタ23A、第2ロテータ側コネクタ23B側に接続される。
【0046】
従って、内側巻き部分Ciの基端は、ロテータ側コネクタ23の位置において固定されている。
【0047】
このように、前記収容空間Sの内部においてフラットケーブルCは、ロテータ13がステータ12に対して回転することにより、外側巻き部分Coと内側巻き部分Ciとの間でそれぞれ巻き付けと巻き解きのいずれかが行われる。
このとき、フラットケーブルCは、外側巻き部分Coと内側巻き部分Ciとの間の巻き状態のバランスの変化に追従するように反転部分Crがリテーナ41とともに適宜回転する。これにより、ステアリングロールコネクタ10は、フラットケーブルCを収容空間S内で常に整列された巻き付け状態で保持することができるとともに、円滑なステアリングホイールの回転操作を可能としている。
【0048】
上述したステアリングロールコネクタ10は、以下のような様々な作用、効果を得ることができる。
ステアリングロールコネクタ10は、上述したように前記内側外周筒部15iの上部に、収容空間Sに向けて鍔状に突出するガイド突出片16を形成している。
【0049】
詳しくは、ガイド突出片16は、内側外周筒部15iにおける、収容空間Sにおいて半径方向に沿って巻き回したフラットケーブルCの上端よりも上方で収容空間S(半径方向内側)へ向けて鍔状に突出し、少なくとも該フラットケーブルCの外側巻き部分Coを上方からガイドするよう形成している。
【0050】
この構成により、ガイド突出片16は、走行中に車両が振動したり、巻き回したフラットケーブルCが上方に撓むなどした場合でも、フラットケーブルCの外側巻き部分Coを上方からガイドすることで収容空間Sにおいて巻き回した状態のフラットケーブルCがロテータ13の回転側リング板21に衝突したり擦れるなどして耳障りな音が発生することを回避することができる。
【0051】
詳しくは、内側外周筒部15iの上部にガイド突出片16を備えていない従来のステアリングロールコネクタの場合(図示省略)、巻き回されたフラットケーブルCの上端部全体、詳しくは、外側巻き部分Co、及び、内側巻き部分Ciの双方が、ステータ12に対して回転するロテータ13の回転側リング板21の下面に接触するおそれがあり、接触箇所が増える分、大きな衝突音や擦れ音が発生し易くなる。
しかも、ステアリングホイールの回転操作に伴ってロテータ13は、ステータ12に対して回転する。それと同時に、フラットケーブルCの外側巻き部分Coは、内側外周筒部15iの内周面に対しての巻き付けと巻き解きが行われ、この間、外側巻き部分Coは、内側外周筒部15iの内周とリテーナ41の外周との間で半径方向にスライドする。
【0052】
このため、ステアリングホイールの回転操作の際に、ロテータ13とフラットケーブルCが接触すると、特に擦れによる耳障りな音が発し易くなる。
【0053】
これに対して、上述したようにガイド突出片16を備えることで、走行中に車両が振動したり、収容空間Sで巻き回されたフラットケーブルCが上方に撓むなどしても、図5中に仮想線で示したフラットケーブルCのように、フラットケーブルCの外側巻き部分Coのみがガイド突出片16に接触するだけである。
【0054】
よって、ステアリングホイールの回転操作の際に、ステータ12に対してロテータ13が回転したり、収容空間Sで巻き回した状態のフラットケーブルCが半径方向にスライドしても、フラットケーブルCがガイド突出片16に小さな接触面積で接触するに留めることができ、耳障りな音が発生することを大幅に抑制することができる。
【0055】
さらに、前記ガイド突出片16の下面16uは、収容空間Sに径内方向へ向けて徐々にケーブルと離間するように上方へ傾斜するテ―パ形状で形成している。
【0056】
このため、走行中に車両が振動したり、収容空間Sで巻き回されたフラットケーブルCが上方に撓むなどしてフラットケーブルCの外側巻き部分Coがガイド突出片16の下面16uに接触しても、図6(b)、すなわち、図6(a)中の領域Y部の拡大図に示すように、該外側巻き部分Coの上端部における隅角部のみが、ガイド突出片16の基端部に下側から点状に接触するだけである。
【0057】
よって、前記ガイド突出片16の下面16uを、上述したテ―パ形状で形成することでフラットケーブルCに対する接触面積を極力、小さくすることができる。
なお、図6は、ガイド突出片16の作用説明図であり、詳しくは、図6(a)は、図5中の領域X部の拡大図であり、図6(b)は、図6(a)中の領域Y部の拡大図である。さらに、フラットケーブルCは、収容空間Sにおいて上述したように2本一組として重ね合わして巻き回されているが、図6では、簡略化して一本のみを巻き回した状態で図示している。
【0058】
また、例えば、本実施形態とは異なる形状として、前記ガイド突出片16を、該ガイド突出片16の下面16uが径内方向へ真直ぐに突出しするよう形成した場合(図6(a)中の仮想線で示したガイド突出片160参照)、上述したように外側巻き部分Coが半径方向にスライドする際に、外側巻き部分Coの上端部Couが前記ガイド突出片160の下面160uに接触し続けるおそれがあり、擦れによる音が発生し易くなる。
【0059】
これに対して、前記ガイド突出片16の下面16uを、上述したテ―パ形状で形成することで、外側巻き部分Coが半径方向にスライドする際に、該外側巻き部分Coの上端部Couがガイド突出片16の下面16uに擦れることがなく耳障りな音が発生することを大幅に抑制することができ、静粛な運転を実現することができる。
【0060】
さらに、ガイド突出片16は、フラットケーブルCがロテータ13に接触することを阻止し、該ガイド突出片16自体に対する接触面積も極力、小さくすることができるため、フラットケーブルCの磨耗による損傷を防ぐことができる。
【0061】
しかも、ガイド突出片16は、下面がテーパ状に傾斜したシンプルな鍔状であるため、コストがかからず、容易に構成することができ、例えば、成形などにより大量生産することも可能である。
【0062】
この発明の構成と、上述した実施形態との対応において、回転コネクタ装置は、ステアリングロールコネクタ10に対応し、以下同様に、
外周付近で巻き回した前記ケーブルは、外側巻き部分Coに対応し、
ケーブルは、フレキシブルフラットケーブルCに対応するものとする。
【0063】
本発明は、上述した実施形態に限定せず、様々な実施形態で構成することができる。
【符号の説明】
【0064】
10…ステアリングロールコネクタ
12…ステータ
13…ロテータ
15…外周筒部
15i…内側外周筒部
16…ガイド突出片
16u…ガイド片の下面
22…内周筒部
C…フラットケーブル
Co…外側巻き部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周筒部を備えたロテータと、外周筒部を備えたステータとを構成し、
前記ステータと前記ロテータとを、互いに相対回転自在に一体に構成し、
前記ステータと前記ロテータとの内部に、該ロテータ側と該ステータ側とを電気的に接続するケーブルを巻き回した状態で収容する収容空間を構成した回転コネクタ装置であって、
前記外周筒部の上部に、巻き回した前記ケーブルよりも上方で前記収容空間に向けて突出し、少なくとも前記収容空間の外周付近で巻き回した前記ケーブルを上方からガイドするガイド突出片を形成し、
前記ガイド突出片の下面を、該ガイド突起片の突出方向へ沿って徐々に上方へ変形する形状で形成した
回転コネクタ装置。
【請求項2】
前記ガイド突出片の下面を、前記突出方向へ沿って上方へと傾斜するテーパ形状で形成した
請求項1に記載の回転コネクタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−210615(P2011−210615A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78595(P2010−78595)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(391045897)古河AS株式会社 (571)
【Fターム(参考)】