説明

回転センサ装置

【課題】 ホールICからの出力信号の耐ノイズ性を向上させることができる回転センサ装置を提供する。
【解決手段】 ホールIC1の電源端子2から回転センサ回路3の電源電圧端子4へ向けて流れる電流を阻止する向きで回転センサ回路3の電源電圧端子4とホールIC1の電源端子2との間に接続されたダイオード16のカソードとホールIC1の接地端子8との間に、一対のトランジスタ19,20が互いに直列接続されてなるトランジスタ対21を備え、トランジスタ対21は、一方のトランジスタがオン状態の時には他方のトランジスタがオフ状態となり、一方のトランジスタがオフ状態の時には他方のトランジスタがオン状態になるように動作して、回転センサ回路3の信号出力端子6が高インピーダンスにならないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転体の回転状態を検出する回転センサ装置に関し、さらに詳しくは、ホールICをセンシングデバイス(ホールIC型センサ)として用いる回転センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばブラシレスモータにあっては、ホールIC(HIC)を3つ用いて回転子(回転体)の磁極位置及び回転速度を検出し、それらの検出信号に基づいて励磁シーケンスの生成や回転子回転速度のフィードバック制御を行なうようにしている。この場合、上述の3つのホールICは、モータの内部に設けられた基板上の所定位置にそれぞれ実装され、これらの3つのホールICからの出力信号に基づいて回転子の回転位置並びに回転速度を検出するようにしている。一方、ホールICからの出力信号は、基板のパターン、及び、このパターンに接続された接続ケーブルを介して、制御回路であるドライバにコネクタ接続されるようになっている。
【0003】
なお、従来では、上述の基板には、3つのホールIC(HIC)、及び、図8に示すようにホールICの駆動電源端子(+Vcc端子)と接地端子(GND端子)との間に接続されるノイズ除去用コンデンサCのみが実装され、従って回転センサ回路には3つのホールIC及びノイズ除去用コンデンサCだけしか設けられていない(例えば、特開平6−273429号参照)。
【0004】
一方、配電盤にモータのドライバを設置する際に、接続ケーブルを配電盤のダクトに通すために、ユーザーがコネクタを接続ケーブルから一旦切り離してから接続ケーブルをダクトに通し、その後にコネクタを接続ケーブルに再度付け替えるなどの作業を行なわなければならない場合が多々ある。そのような場合には、誤接続(誤配線)によってホールICが破損するおそれがある。それは、従来の回転センサにはホールICを保護する機能が備えられていないためである。
【0005】
そこで、接続ケーブルがどのようなパターンで誤接続(誤配線)されてもホールICが破損しないように保護した回転センサ装置が、特開2007−46931において提案されている。この回転センサ装置40は、図9に示すように、ホールIC(HIC)1の電源端子2から回転センサ回路3の電源電圧端子4へ流れる電流を阻止する第1のダイオードD1と、ホールIC1の信号出力端子5から回転センサ回路3の信号出力端子6へ流れる電流を阻止する第2のダイオードD2と、一端が第1のダイオードD1のカソードに接続され、かつ、他端が回転センサ回路3の信号出力端子6に接続された第1の抵抗R1と、一端が第2のダイオードD2のアノードに接続され、かつ、他端が回転センサ回路3の信号出力端子6に接続された第2の抵抗R2とを備えたものである。なお、図9において、8はホールIC1の接地端子、10はドライバ内部回路、11はドライバ内部回路10の電源電圧端子、12はドライバ内部回路10の信号入力端子、13はドライバ内部回路10の接地電位端子、14a,14b及び14cは接続ケーブルである。
【特許文献1】特開平6−273429号公報
【特許文献2】特開2007−46931号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特開2007−46931に示された回転センサ装置40にあっては、回転センサ回路3の出力信号が電気的ノイズに弱く、誤動作しやすいという問題がある。特に、回転センサ装置40の信号線が、この信号線と比較して大きな電流が流れる動力線(図示せず)のスイッチングノイズの影響を受けやすいため、信号線と動力線とを別々のケーブルにしなければならないという問題がある。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであって、その目的は、ホールICからの出力信号の耐ノイズ性を向上させることができる回転センサ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明では、
(a) 回転によって近傍の磁界を変動させることができる回転体と、
(b) 電源電圧が与えられる電源端子、出力信号を出力する信号出力端子、及び接地電位が与えられる接地端子を有し、前記回転体の近傍の磁界に対応した信号を前記信号出力端子に出力するセンサデバイスとして回転センサ回路に配設されたホールICと、
(c) 前記ホールICの電源端子から前記回転センサ回路の電源電圧端子へ向けて流れる電流を阻止する向きで前記回転センサ回路の電源電圧端子と前記ホールICの電源端子との間に接続されたダイオードと、
(d) 前記ホールICの電源端子と前記ホールICの信号出力端子との間に接続された第1の抵抗と、
(e) 前記回転センサ回路の電源電圧端子と前記回転センサ回路の接地電位端子との間に接続されたコンデンサと、
(f) 前記ダイオードのカソードと前記ホールICの接地端子との間に接続された、一対のトランジスタが互いに直列接続されてなるトランジスタ対と、
(g) 前記回転センサ回路の信号出力端子と前記トランジスタ対との間に接続された第3の抵抗と、
を備え、
前記トランジスタ対は、一方のトランジスタがオン状態の時には他方のトランジスタがオフ状態となり、前記一方のトランジスタがオフ状態の時には前記他方のトランジスタがオン状態になるように動作して、前記回転センサ回路の信号出力端子が高インピーダンスにならないようにしている。
また、本発明では、前記回転センサ回路の信号出力端子と前記回転センサ回路の接地電位端子との間に第2の抵抗を接続するようにしている。
また、本発明では、前記回転センサ回路の信号出力端子と前記回転センサ回路の接地電位端子との間にツェナーダイオードを接続するようにしている。
また、本発明では、前記回転センサ回路の信号出力端子とモータの制御回路であるドライバとを接続するケーブルのシールドを、前記ドライバと前記モータの両方のフレームグランドに接続するようにしている。
また、本発明では、前記回転センサ回路の信号出力端子とモータの制御回路であるドライバとを接続するケーブルのシールドを、前記ドライバと前記モータの何れか一方のフレームグランドに接続するようにしている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の本発明は、回転によって近傍の磁界を変動させることができる回転体と、電源電圧が与えられる電源端子、出力信号を出力する信号出力端子、及び接地電位が与えられる接地端子を有し、回転体の近傍の磁界に対応した信号を信号出力端子に出力するセンサデバイスとして回転センサ回路に配設されたホールICと、ホールICの電源端子から回転センサ回路の電源電圧端子へ向けて流れる電流を阻止する向きで回転センサ回路の電源電圧端子とホールICの電源端子との間に接続されたダイオードと、ホールICの電源端子とホールICの信号出力端子との間に接続された第1の抵抗と、回転センサ回路の電源電圧端子と回転センサ回路の接地電位端子との間に接続されたコンデンサと、ダイオードのカソードとホールICの接地端子との間に接続された、一対のトランジスタが互いに直列接続されてなるトランジスタ対と、回転センサ回路の信号出力端子とトランジスタ対との間に接続された第3の抵抗とを備え、トランジスタ対は、一方のトランジスタがオン状態の時には他方のトランジスタがオフ状態となり、一方のトランジスタがオフ状態の時には他方のトランジスタがオン状態になるように動作して、回転センサ回路の信号出力端子が高インピーダンスにならないようにしたものであるから、接続ケーブルを誤接続(誤配線)した場合であってもホールICを破損するような電気的経路が形成されることがないことに加えて、回転センサ回路の信号出力端子(ホールICの信号ライン)が高インピーダンスになるのを防止することによって回転センサ回路の出力信号の耐ノイズ性を向上させることができる。すなわち、互いに直列に接続された第1のトランジスタ及び第2のトランジスタからなるトランジスタ対(複合トランジスタ)を従来の回路に追加し、ホールICがオン状態の時は第1のトランジスタがオン状態となり、ホールICがオフ状態の時は第2のトランジスタがオン状態になるようにして、回転センサ回路の信号出力端子(信号線)が高インピーダンスになるのを防ぐことによって、回転センサ回路の出力信号の耐ノイズ性を向上させることができる。また、従来の方式では動力線の誘導ノイズの影響を回避するために信号線を動力線から分離していたが、本発明の方式によれば、動力線と信号線を同一のケーブルに収容することが可能となる。
【0010】
また、請求項2に記載の本発明は、回転センサ回路の信号出力端子と回転センサ回路の接地電位端子との間に第2の抵抗を接続するようにしたものであるから、回転センサ回路の信号線と接地線(GND)との間に追加した抵抗により第2のトランジスタのオン動作を安定させることができ、ひいては回転センサ装置の出力信号の耐ノイズ性をさらに向上させることができる。
【0011】
また、請求項3に記載の本発明は、回転センサ回路の信号出力端子と回転センサ回路の接地電位端子との間にツェナーダイオードを接続するようにしたものであるから、回転センサ回路の信号線と接地線(GND)との間に追加したツェナーダイオードにより、信号線にのるノイズ電圧をクランプして、互いに直列接続されたトランジスタ対を構成する第1のトランジスタ及び第2のトランジスタの最大定格を超えない電圧にしてトランジスタの破損を防止することができる。
【0012】
また、請求項4に記載の本発明は、回転センサ回路の信号出力端子とモータの制御回路であるドライバとを接続するケーブルのシールドを、ドライバとモータの両方のフレームグランド(FG)に接続したものであるから、回転センサ装置の信号線のシールドをモータとドライバの両方のフレームグランドに落とすことによって、信号線が、動力線からのスイッチングノイズの影響を受けにくくなるようにすることができる。
【0013】
また、請求項5に記載の本発明は、回転センサ回路の信号出力端子とモータの制御回路であるドライバとを接続するケーブルのシールドを、ドライバとモータの何れか一方のフレームグランドに接続するようにしたものであるから、回転センサ回路の信号線が、動力線からのスイッチングノイズの影響を受けにくくなるようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る回転センサ装置について図1〜図7を参照して説明する。なお、図1〜図7において図8及び図9と同様の部分には同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る回転センサ装置30を示すものであって、本実施形態の回転センサ装置30は、図外のモータの回転子(回転体)の回転状態を検出するためにドライバ内部回路10に連結されている。この回転センサ装置30は、回転によって近傍の磁界を変化させることができるモータの回転子(図示せず)を備えており、この回転子の回転に応じた磁界の変化をホールIC(ホールIC型センサ;HIC)1によって検知するように構成されている。すなわち、ホールIC1は、回転子の永久磁石の磁極位置を検出するために設けられている。
【0016】
また、上述の回転センサ装置30は、回転によって近傍の磁界を変動させることができる図外の回転子に加えて、電源電圧が与えられる電源端子2、出力信号を出力する信号出力端子5、及び接地電位が与えられる接地端子8を有し、回転子の近傍の磁界に対応した信号を信号出力端子6に出力するセンサデバイスとして回転センサ回路に配設されたホールIC1と、ホールIC1の電源端子2から回転センサ回路3の電源電圧端子4へ向けて流れる電流を阻止する向きで回転センサ回路3の電源電圧端子4とホールIC1の電源端子2との間に接続されたダイオード16と、ホールIC1の電源端子2とホールIC1の信号出力端子5との間に接続された抵抗(第1の抵抗)17と、回転センサ回路3の電源電圧端子4と回転センサ回路3の接地電位端子7との間に接続されたコンデンサ18とを備えている。なお、ホールIC1の出力方式としては、オープンコレクタ出力方式が採用されている。
【0017】
さらに、回転センサ回路3には、信号線S(ひいては、回転センサ回路3の出力端子6)が高インピーダンスになるのを防ぐために、ダイオード16のカソードとホールIC1の接地端子8との間に、一対のトランジスタ(駆動素子としての第1のトランジスタ19及び第2のトランジスタ20)が互いに直列接続されてなるトランジスタ対21が備えられている。そして、第1のトランジスタ19及び第2のトランジスタ20のベースがホールIC1の信号出力端子5に接続され、第1のトランジスタ19及び第2のトランジスタ20のエミッタが抵抗(第3の抵抗)22を介して回転センサ回路3の信号出力端子6に接続されている。なお、既述のダイオード16及び抵抗22は、後述の如く接続ケーブル14a,14b,14cが誤接続(誤配線)された場合にホールIC1を電気的に保護するために備えられている。
【0018】
また、第1のトランジスタ19及び第2のトランジスタ20の動作を安定させるために、既述の抵抗17が第2のトランジスタ20のコレクタとベースとの間に接続されると共に、抵抗(第2の抵抗)23が第1のトランジスタ19のエミッタとコレクタとの間に接続されている。すなわち、上述の抵抗23は、回転センサ回路3の信号出力端子6と回転センサ回路3の接地電位端子7との間に接続されており、この抵抗23を設けることによって第2のトランジスタ20のオン動作を安定させて出力信号の耐ノイズ性をさらに向上させるようになっている。
【0019】
さらに、ノイズによるホールIC1の破損を防ぐための対策として、回転センサ回路3の電源電圧端子4と接地電位端子7との間に既述のコンデンサ18が接続されると共に、回転センサ回路3の信号出力端子6と接地電位端子7との間にツェナーダイオード24が接続されている。一方、既述の抵抗22の一端が回転センサ回路3の信号出力端子6に接続され、その抵抗22の他端と回転センサ回路3の接地電位端子7との間に上述のツェナーダイオード24が接続されている。なお、このツェナーダイオード24は、回転センサ回路3の信号線Sにのるノイズ電圧をクランプし、第1のトランジスタ19及び第2のトランジスタ20の最大定格を超えない電圧にしてこれらのトランジスタ19,20の破損を防止するために設けられている。
【0020】
また、モータの動力線からのスイッチングノイズの影響を抑えるために、接続ケーブル14a,14b,14cのシールド25が、回転センサ回路3及びドライバ内部回路10の両方のフレームグランド(FG)に接続されている。このように回転センサ回路3とドライバ内部回路10とを接続する接続ケーブル14a,14b,14c(特に、回転センサ回路3の信号出力端子6とモータの制御回路であるドライバの信号入力端子12とを接続する接続ケーブル14b)のシールドをドライバ及びモータの両方のフレームグランドに落すようにしているのは、回転センサ回路3の信号線Sが、動力線からのスイッチングノイズの影響を受けにくくなるようにするためである。
【0021】
次に、上述の如き構成の回転センサ装置30の作用について述べる。まず、ホールIC1がモータの回転子のN極を検出した場合には、ホールIC1の出力がHレベルとなり、これに応じて駆動素子である第2のトランジスタ20がオン状態となる。そのときの回転センサ回路3の信号出力端子6はHレベルとなる。一方、ホールIC1がモータの回転子のS極を検出した場合には、ホールIC1の出力がLレベルとなり、これに応じて駆動素子である第1のトランジスタ19がオン状態となる。そのときの回転センサ回路3の信号出力端子6はLレベルとなる。従って、第1及び第2のトランジスタ19,20のどちらか一方が必ずオン状態になるため、回転センサ装置30の信号線Sが高インピーダンスになるのを防ぐことが可能となる。
【0022】
すなわち、従来の方式(図9参照)ではホールIC1の出力がHレベルの場合に、信号線が高インピーダンスとなるため、動力線からのスイッチングノイズの影響を受けやすいという問題があったが、本実施形態の回転センサ装置30によれば、トランジスタ対21は、一方のトランジスタがオン状態の時には他方のトランジスタがオフ状態となり、一方のトランジスタがオフ状態の時には他方のトランジスタがオン状態になるように動作して、常に片方のトランジスタがオン状態になるため、回転センサ回路3の信号出力端子6が高インピーダンスにならないようにすることが可能である。
【0023】
また、本実施形態の回転センサ装置30では、回転センサ回路3の電源電圧端子4と接地電位端子7との間にコンデンサ18を設けるようにしているので、このコンデンサ18によりホールIC1の駆動電源の安定化(ノイズ除去)を行うことが可能となる。また、回転センサ回路3の信号出力端子6と接地電位端子7との間にツェナーダイオード24を設けるようにしているので、このツェナーダイオード24により、信号線Sにのるノイズをツェナー電圧でカットすることができる。
【0024】
また、本実施形態の回転センサ装置30にあっては、ダイオード16及びツェナーダイオード24を設けることにより、接続ケーブル14a,14b,14cを回転センサ回路3の3つの端子(電源電圧端子4,信号出力端子6,及び接地電位端子7)とドライバ内部回路10の3つの端子(電源電圧端子11,信号入力端子12,及び接地電位端子13)とを接続する際に、誤接続(誤配線)を行ったとしても、ホールIC1を電気的に保護することが可能である。また、抵抗22を設けているので、誤接続時の短絡電流によるホールIC1の破損を防止することが可能となる。
【0025】
さらに具体的に述べると、図2(A)に示すように、回転センサ回路3の電源電圧端子4とドライバ内部回路10の電源電圧端子11とを接続ケーブル14aにより正しく接続する一方、回転センサ回路3の信号出力端子6とドライバ内部回路10の接地電位端子13とを接続ケーブル14bにより誤って接続すると共に、回転センサ回路3の接地電位端子7とドライバ内部回路10の信号入力端子12とを接続ケーブル14cにより誤って接続した場合には、ドライバ内部回路10の電源電圧端子11から接続ケーブル14a,回転センサ回路3の電源電圧端子4,ダイオード16,第2のトランジスタ20,抵抗22,回転センサ回路3の信号出力端子6,及び接続ケーブル14bを順次に介してドライバ内部回路10の接地電位端子13に至る経路Y1に電流が流れると共に、ドライバ内部回路10の信号入力端子12から接続ケーブル14c,回転センサ回路3の接地電位端子7,ツェナーダイオード24,抵抗22,回転センサ回路3の信号出力端子6,及び接続ケーブル14bを順次に介してドライバ内部回路10の接地電位端子13に至る経路Y2に電流が流れるため、ホールIC1の電気的な保護が図られる。
【0026】
また、図2(B)に示すように、回転センサ回路3の信号出力端子6とドライバ内部回路10の信号入力端子12とを接続ケーブル14bにより正しく接続する一方、回転センサ回路3の電源電圧端子4とドライバ内部回路10の接地電位端子13とを接続ケーブル14aにより誤って接続すると共に、回転センサ回路3の接地電位端子7とドライバ内部回路10の電源電圧端子11とを接続ケーブル14cにより誤って接続した場合には、ドライバ内部回路10の電源電圧端子11から接続ケーブル14c,回転センサ回路3の接地電位端子7,及びホールIC1を順次に介してダイオード16に至る経路Y3、並びに、ドライバ内部回路10の信号入力端子12から接続ケーブル14b,回転センサ回路3の信号出力端子6,抵抗22,及び第2のトランジスタ20を順次に介してダイオード16に至る経路Y4には、ダイオード16の電流遮断作用により電流は流れないため、ホールIC1の電気的な保護が図られる。
【0027】
また、図2(C)に示すように、回転センサ回路3の電源電圧端子4とドライバ内部回路10の接地電位端子13とを接続ケーブル14aにより誤って接続し、回転センサ回路3の信号出力端子6とドライバ内部回路10の電源電圧端子11とを接続ケーブル14bにより誤って接続し、かつ、回転センサ回路3の接地電位端子7とドライバ内部回路10の信号入力端子12とを接続ケーブル14cにより誤って接続した場合には、ドライバ内部回路10の電源電圧端子11から接続ケーブル14b,回転センサ回路3の信号出力端子6,抵抗22,及び第2のトランジスタ20を順次に介してダイオード16に至る経路Y5、並びに、ドライバ内部回路10の信号入力端子12から接続ケーブル14c,回転センサ回路3の接地電位端子7,及びホールIC1を順次に介してダイオード16に至る経路Y6には、ダイオード16の電流遮断作用により電流は流れないため、ホールIC1の電気的な保護が図られる。
【0028】
また、図2(D)に示すように、回転センサ回路3の接地電位端子7とドライバ内部回路10の接地電位端子13とを接続ケーブル14cにより正しく接続する一方、回転センサ回路3の電源電圧端子4とドライバ内部回路10の信号入力端子12とを接続ケーブル14aにより誤って接続すると共に、回転センサ回路3の信号出力端子6とドライバ内部回路10の電源電圧端子11とを接続ケーブル14bにより誤って接続した場合には、ドライバ内部回路10の電源電圧端子11から接続ケーブル14b,回転センサ回路3の信号出力端子6,抵抗22,及び第1のトランジスタ19を順次に介して回転センサ回路3の接地電位端子7に至る経路Y7に電流が流れると共に、ドライバ内部回路10の信号入力端子12から接続ケーブル14a,回転センサ回路3の電源電圧端子4,ダイオード16,及びホールIC1を順次に介して回転センサ回路3の接地電位端子7に至る経路Y8に電流が流れるため、ホールIC1は電気的な保護が図られる。
【0029】
また、図2(E)に示すように、回転センサ回路3の電源電圧端子4とドライバ内部回路10の信号入力端子12とを接続ケーブル14aにより誤って接続し、回転センサ回路3の信号出力端子6とドライバ内部回路10の接地電位端子13とを接続ケーブル14bにより誤って接続し、かつ、回転センサ回路3の接地電位端子7とドライバ内部回路10の電源電圧端子11とを接続ケーブル14cにより誤って接続した場合には、ドライバ内部回路10の信号入力端子12から接続ケーブル14a,回転センサ回路3の電源電圧端子4,ダイオード16,第2のトランジスタ20,抵抗22,回転センサ回路3の信号出力端子6,及び接続ケーブル14bを順次に介してドライバ内部回路10の接地電位端子13に至る経路Y9に電流が流れると共に、ドライバ内部回路10の電源電位端子11から接続ケーブル14c,回転センサ回路3の接地電位端子7,ツェナーダイオード24,抵抗22,回転センサ回路3の信号出力端子6,接続ケーブル14bを順次に介してドライバ内部回路10の接地電位端子13に至る経路Y10に電流が流れるため、ホールIC1の電気的な保護が図られる。
【0030】
このような回転センサ装置30によれば、次のような効果を得ることができる。
(1) 従来の方式では動力線の誘導ノイズの影響を回避するために信号線を分離するようにしていたが、動力線と信号線とを同一のケーブルに纏めることができる。
(2) 従来の方式(動力線と信号線とを分離)よりもノイズの影響を抑えることができる。
(3) 接続ケーブルを誤接続(誤配線)した場合であっても、ホールICの破損を回避できる。
【0031】
以上、本発明の一実施形態について述べたが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。例えば、図3に示す如くホールIC1の接地端子8側にダイオード26を接続するようにしてもよく、図4に示す如く駆動素子(NPN形トランジスタ19,20)をFET(電界効果トランンジスタ)27,28に変更してもよく、図5に示す如くシールド25をドライバかモータの片方のみに接地するようにしてもよく、図6に示す如くドライバ内部回路10の論理を反転してもよく、図7に示す如く駆動素子(トランジスタ19,20))の代わりにオペレーショナルアンプ29を使用してもよい。このような場合にも、既述の実施形態の回転センサ装置30と同様の作用効果を得ることができる。また、モータの回転子以外の各種の回転体の回転状態を検知する回転センサ装置にも本発明を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態に係る回転センサ装置の回路図である。
【図2】図2(A)〜(E)は誤接続された場合の回転センサ装置の回転センサ回路の状態を示す回路図である。
【図3】本発明の一実施形態の変形例に係る回転センサ装置の回路図である。
【図4】本発明の一実施形態の別の変形例に係る回転センサ装置の回路図である。
【図5】本発明の一実施形態のさらに別の変形例に係る回転センサ装置の回路図である。
【図6】本発明の一実施形態のさらに別の変形例に係る回転センサ装置の回路図である。
【図7】本発明の一実施形態のさらに別の変形例に係る回転センサ装置の回路図である。
【図8】従来の回転センサ装置の回路図である。
【図9】従来の別の回転センサ装置の回路図である。
【符号の説明】
【0033】
1 ホールIC(HIC)
2 電源端子
3 回転センサ回路
4 電源電圧端子
5 信号出力端子
6 信号出力端子
7 接地電位端子
8 接地端子
10 ドライバ内部回路
11 電源電圧端子
12 信号入力端子
13 接地電位端子
14a,14b,14c 接続ケーブル
16 ダイオード
17 第1の抵抗
18 コンデンサ
19 第1のトランジスタ(駆動素子)
20 第2のトランジスタ(駆動素子)
21 トランジスタ対
22 第3の抵抗
23 第2の抵抗
24 ツェナーダイオード
25 シールド
26 ダイオード
27,28 電界効果トランジスタ(FET)
29 オペレーショナルアンプ
30,40 回転センサ装置
S 信号線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 回転によって近傍の磁界を変動させることができる回転体と、
(b) 電源電圧が与えられる電源端子、出力信号を出力する信号出力端子、及び接地電位が与えられる接地端子を有し、前記回転体の近傍の磁界に対応した信号を前記信号出力端子に出力するセンサデバイスとして回転センサ回路に配設されたホールICと、
(c) 前記ホールICの電源端子から前記回転センサ回路の電源電圧端子へ向けて流れる電流を阻止する向きで前記回転センサ回路の電源電圧端子と前記ホールICの電源端子との間に接続されたダイオードと、
(d) 前記ホールICの電源端子と前記ホールICの信号出力端子との間に接続された第1の抵抗と、
(e) 前記回転センサ回路の電源電圧端子と前記回転センサ回路の接地電位端子との間に接続されたコンデンサと、
(f) 前記ダイオードのカソードと前記ホールICの接地端子との間に接続された、一対のトランジスタが互いに直列接続されてなるトランジスタ対と、
(g) 前記回転センサ回路の信号出力端子と前記トランジスタ対との間に接続された第3の抵抗と、
を備え、
前記トランジスタ対は、一方のトランジスタがオン状態の時には他方のトランジスタがオフ状態となり、前記一方のトランジスタがオフ状態の時には前記他方のトランジスタがオン状態になるように動作して、前記回転センサ回路の信号出力端子が高インピーダンスにならないようにしたこと、
を特徴とする回路センサ装置。
【請求項2】
前記回転センサ回路の信号出力端子と前記回転センサ回路の接地電位端子との間に第2の抵抗を接続したことを特徴とする請求項1に記載の回路センサ装置。
【請求項3】
前記回転センサ回路の信号出力端子と前記回転センサ回路の接地電位端子との間にツェナーダイオードを接続したことを特徴とする請求項1又は2に記載の回転センサ装置。
【請求項4】
前記回転センサ回路の信号出力端子とモータの制御回路であるドライバとを接続するケーブルのシールドを、前記ドライバと前記モータの両方のフレームグランドに接続したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の回転センサ装置。
【請求項5】
前記回転センサ回路の信号出力端子とモータの制御回路であるドライバとを接続するケーブルのシールドを、前記ドライバと前記モータの何れか一方のフレームグランドに接続したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の回転センサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−115736(P2009−115736A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−291740(P2007−291740)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【出願人】(000103792)オリエンタルモーター株式会社 (150)
【Fターム(参考)】