説明

回転ドラム装置

【課題】回転ドラムの正逆回転で蓋を開閉動させる回転ドラム装置であり、駆動と蓋の開閉を行う機構の構造を簡略化し、コスト的に安価で耐久性に優れた回転ドラム装置を提供する。
【解決手段】回転ドラム4の開口10を開閉する外開き式の蓋11に蓋開閉部材18を取付け、前記回転ドラム4の両端部外側位置に、環状の閉蓋保持レール19と蓋開閉ガイド20を配置し、前記閉蓋保持レール19の途中に、回転ドラム4の正回転時に、閉蓋保持レール19の外側にある蓋開閉部材18を閉蓋保持レール19の内側に誘導して蓋11を閉じ状態にし、回転ドラム4の逆回転時に、蓋開閉部材18を閉蓋保持レール19の外側に誘導して蓋11を開状態にするための切換え部21を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各種小物部品のケレン処理、洗浄、ディップ処理によるメッキや接着剤等の塗布、更には、研磨、バリ取り等に用いる回転ドラム装置、更に詳しくは、回転ドラムに設けた開口を開閉する外開き式の蓋を、回転ドラムの正回転と逆回転の切換えのみによって開閉させることができるようにした回転ドラム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような用途に用いる従来の回転ドラム装置は、水平に配置した回転ドラムを軸心上の軸を介して回転自在に支持し、この回転ドラムの胴部に設けた開口の側縁に該開口を開閉する外開きの蓋を枢軸で枢着し、前記回転ドラムの軸にフリー回転するよう取り付けたスクロール板を固定部分に設けた回転駆動機と連動し、蓋の枢軸に固定したアームの先端係合具をスクロール板のスクロール溝に嵌合し、回転駆動機の起動でスクロール板が回転すると、スクロール溝に沿うアームの揺動で蓋を開閉動させ、蓋が開口に対する開又は閉の位置で、スクロール板の回転がアームを介して回転ドラムに伝わり、回転ドラムが回転するようにした構造になっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、別の回転ドラム装置は、水平に配置した回転ドラムの胴部に設けた開口の側縁に該開口を開閉する外開きの蓋を枢軸で枢着し、前記回転ドラムの軸に取付けたフリー回転部材を回転駆動機と連動し、前記フリー回転部材と蓋の枢軸を、フリー回転部材の回転により蓋が開閉動するように連動し、更に、開口に対して蓋が開又は閉の位置で、フリー回転部材の回転が回転ドラムに伝わるように、フリー回転部材にアームを半径方向に突出するよう固定し、回転ドラムに、蓋が開口に対する開又は閉の位置にあるときアームが当接し、フリー回転部材の回転をドラムに直接伝える回転受け部材を設けた構造になっている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
上記のような回転ドラム装置は、回転駆動機により回転ドラムを正逆回転させることで蓋を自動的に開閉させることができ、一台の回転駆動機の使用で回転ドラムの駆動と蓋の開閉が行え、回転ドラム内に対する被処理物の投入や排出が容易であるという利点がある
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−280684号公報
【特許文献2】特開平11−333391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のような構造の回転ドラム装置は、前者の場合、回転ドラムの駆動と蓋の開閉に使用しているスクロール板は、構造的に複雑で製作コストが高くつくと共に、スクロール溝内をアームの先端係合具が摺動するため、耐久性の面からも改善の余地がある。
【0007】
また、後者の場合のように、フリー回転部材とアーム及び回転受け部材を設けたものは、構成部品数が多く構造的にも複雑になるので、製作コストが高くなり、耐久性の面からも改善の余地がある。
【0008】
そこで、この発明の課題は、回転ドラムの正逆回転で蓋を自動的に開閉する回転ドラム装置において、駆動と蓋の開閉を行う機構の構造を簡略化し、コスト的に安価で耐久性に優れた回転ドラム装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記のような課題を解決するため、請求項1の発明は、回転ドラムを軸心上の軸を介して正回転と逆回転をするように回転自在に支持し、前記回転ドラムの胴部に設けた開口の側縁に、回転ドラムの正回転方向に対して前方に位置する端部を支点に該開口を開閉する外開き式の蓋を枢着し、この蓋の支点から離れた位置に蓋開閉部材を取付け、前記回転ドラムの軸方向端面よりも外側位置に、回転ドラムと同軸心の配置となり、閉じた状態にある蓋の蓋開閉部材を半径方向の外方に移動しないよう拘束しつつ回転方向に誘導する内径を有し、回転ドラムを蓋の閉じた状態で正回転させたとき、蓋の閉じた状態を保持する環状の閉蓋保持レールを配置し、前記閉蓋保持レールの途中位置に、回転ドラムの正回転と逆回転の切換えにより、移動する前記蓋開閉部材を閉蓋保持レールの内側又は外側に誘導し、蓋を閉じた状態と開いた状態の何れかに変化させるための切換え部を設けたものである。
【0010】
請求項2の発明は、上記閉蓋保持レールの途中に設けた切換え部は、前記閉蓋保持レールの途中に分断部を設け、この分断部に、閉蓋保持レールの連続する環状状態を保持することのできる切換えレールを配置して形成され、前記切換えレールが、回転ドラムの正回転方向に対して後方に位置する端部を支点にして、閉蓋保持レールの内側に傾斜する開位置と、閉蓋保持レールの連続する環状状態を保持する閉位置の間を揺動可能となり、この切換えレールに常時開位置への復帰弾性を付勢したものである。
【0011】
ここで、上記回転ドラムは、円筒胴部の両端を端板で閉鎖し、両端板に設けた軸を支持フレームの両端部に配置した軸受で水平に支持することにより回転自在となり、支持フレーム上に固定配置した回転駆動機と軸を連動し、回転ドラムに正回転又は逆回転を付与することができるようになっている。
【0012】
上記回転ドラムの円筒胴部に設けた開口は、胴部の長さ方向の全長にわたって形成され、この開口を開閉する蓋は、回転ドラムの正回転方向に対して前側に位置する開口縁に後端が枢止され、開口を閉じたときは円筒胴部の一部となり、開口を開いたときは枢止部を支点に外開きとなり、枢止部と反対側となる先端部の両側に蓋開閉部材が取付けられている。
【0013】
上記閉蓋保持レールと蓋開閉ガイドは、回転ドラムの軸方向両端部が位置する部分の外側に、支持フレームへの取付けによって固定配置され、前記閉蓋保持レールは、その内周と外周が回転ドラムと同軸心となる配置となり、開口を閉じた蓋の蓋開閉部材を内周で保持することにより、蓋開閉部材の半径方向外方への揺動を拘束し、回転ドラムの正回転時に、蓋開閉部材を内周に沿って誘導することにより、蓋の開口を閉じた状態を保持するようになっている。
【0014】
この閉蓋保持レールの途中には、回転ドラムの正回転時に蓋開閉部材が上昇して行く側となる一方の側部に分断部が設けられ、この分断部の切換えレールは、閉位置で分断部に納まって閉蓋保持レールの環状形状を保つ弧状となり、開位置にあるとき、上端が閉蓋保持レールの内側に向けて突出する傾斜状になることで、閉蓋保持レールにおける分断部の上端とこの切換えレールの先端との間に、蓋に取付けた蓋開閉部材が通過できる隙間が形成されることになる。
【0015】
蓋の蓋開閉部材が閉蓋保持レールの内側に位置する閉蓋状態で、回転ドラムが正回転すると、蓋開閉部材は開蓋方向である閉蓋保持レールの半径方向外方への移動が拘束され、このとき、切換えレールは回動する蓋開閉部材で閉位置に押されることで、蓋開閉部材の通過を許容し、回転ドラムは閉蓋状態で正回転することになる。
【0016】
また、蓋開閉部材が閉蓋保持レールの内径で拘束された状態で、回転ドラムを逆回転させると、切換えレールに接近してきた蓋開閉部材は、開位置にあるこの切換えレールに乗り上げることで閉蓋保持レールの外側に誘導され、蓋開閉部材は開蓋方向の移動に対する拘束が解かれ、蓋は回転ドラムの逆回転に伴って側部から下部に移動することで自重により垂下し、開口から離れることで前記開口が開くことになり、下部に移動した開口から内部の被処理物が落下排出されることになる。
【0017】
回転ドラムを開口が切換え部と反対側の側部に停止する状態から更に逆回転させると、押上られる蓋の蓋開閉部材を閉蓋誘導部が誘導し、開口が上部に位置する状態で蓋を胴部に向けて倒し込み、蓋が倒れて開口に接近することで蓋開閉部材が閉蓋保持レールの外周で受けられ、更に、蓋開閉部材が切換えレールの外側に位置するまで回転ドラムを逆回転させて停止させ、その後、回転ドラムを正回転に切換えると、蓋開閉部材は切換えレールの外側に沿うよう移動することで閉蓋保持レールの内部に進入し、蓋は胴部に重なって開口を閉じ、蓋開閉部材が閉蓋保持レールの内側で半径方向外方への移動が拘束され、これにより、回転ドラムは閉蓋状態で正回転することにより、被処理物の処理が行えることになる。
【0018】
請求項3の発明は、回転ドラムを軸心上の軸を介して正回転と逆回転をするように回転自在に支持し、前記回転ドラムの胴部に設けた開口の側縁に、回転ドラムの正回転方向に対して前方に位置する端部を支点に該開口を開閉する外開き式の蓋を枢着し、この蓋の支点から離れた位置に蓋開閉部材を取付け、前記回転ドラムの軸方向端面よりも外側位置に、回転ドラムと同軸心の配置となり、閉じた状態にある蓋の蓋開閉部材を半径方向の外方に移動しないよう拘束しつつ回転方向に誘導する内径を有し、回転ドラムを蓋の閉じた状態で正回転させたとき、蓋の閉じた状態を保持する環状の閉蓋保持レールを配置し、前記閉蓋保持レールの途中位置に、回転ドラムの逆回転時に、閉蓋保持レールの内側に位置する蓋開閉部材を閉蓋保持レールの外側に誘導する開蓋用の第1の切換え部と、回転ドラムの正回転時に、閉蓋保持レールの外側に位置する蓋開閉部材を閉蓋保持レールの内側に誘導する閉蓋用の第2の切換え部を設け、回転ドラムの正回転と逆回転の切換えにより、蓋を閉じた状態と開いた状態の何れかに変化させるようにしたものである。
【0019】
請求項4の発明は、上記閉蓋保持レールの途中に設けた開蓋用の第1の切換え部は、前記閉蓋保持レールの途中に分断部を設け、この分断部に、閉蓋保持レールの連続する環状状態を保持することのできる切換えレールを配置し、この切換えレールが、回転ドラムの正回転方向に対して後方に位置する端部を支点にして、閉蓋保持レールの内側に傾斜する開位置と、閉蓋保持レールの連続する環状状態を保持する閉位置の間を揺動可能となり、この切換えレールに常時開位置への復帰弾性を付勢して形成され、上記閉蓋用の第2の切換え部は、前記閉蓋保持レールの途中に分断部を設け、この分断部に、閉蓋保持レールの連続する環状状態を保持することのできる切換えレールを配置し、この切換えレールが、回転ドラムの正回転方向に対して後方に位置する端部を支点にして、閉蓋保持レールの内側に傾斜する開位置と、閉蓋保持レールの連続する環状状態を保持する閉位置の間を揺動可能となり、この切換えレールに常時閉位置への復帰弾性を付勢して形成されているものである。
【0020】
上記開蓋用の第1の切換え部の切換えレールは、蓋保持レールを分断して内側向きに傾斜する常時開となっているので、蓋開閉部材が閉蓋保持レールの内側に位置する閉蓋状態で、回転ドラムが正回転するとき、前記第1の切換え部は切換えレールは蓋開閉部材で押されて外側には開かない閉位置に移動し、これにより、閉蓋保持レールは蓋開閉部材が外側に出ないように拘束することにより、蓋開閉部材の正回転方向の回動を誘導し、蓋開閉部材が閉蓋保持レールの内側に位置する閉蓋状態で、回転ドラムを逆回転させたとき蓋開閉部材を閉蓋保持レールの外側に誘導して開蓋状態にする作用を行う。
【0021】
また、閉蓋用の第2の切換え部の切換えレールは、蓋保持レールの途中で上部寄りの位置に設けられ、蓋保持レールを連続させて外側に開かない常時閉となっているので、蓋開閉部材が閉蓋保持レールの内側に位置する閉蓋状態で、蓋開閉部材の正回転方向の回動を誘導すると共に、蓋開閉部材が閉蓋保持レールの上部外側に載る開蓋状態から回転ドラムを正回転させて、蓋開閉部材がこの第2の切換えレールの上に載ると、蓋の重量が加わることで押下げられて内側の開位置に移動し、蓋開閉部材を閉蓋保持レールの内側に誘導して閉蓋状態にする作用をする。
【0022】
請求項5の発明は、上記閉蓋保持レールの半径方向外側に、蓋開閉部材を誘導するための蓋開閉ガイドを配置し、この蓋開閉ガイドが、閉蓋保持レールの外側に蓋開閉部材が位置する状態で回転ドラムが逆回転すると、蓋が回転ドラムの下部位置を回動する範囲でこの蓋の開いた状態を保持するように蓋開閉部材を誘導し、蓋が下部位置から上部位置に向けて回動する範囲で、蓋が開口に対して閉じ位置に倒れ込むよう蓋開閉部材を誘導するように形成されているものである。
【発明の効果】
【0023】
この発明によると、回転ドラムの正回転と逆回転を切換えるだけで、開口の蓋を自動的に開閉することができ、回転ドラムの正回転時に閉蓋状態を閉蓋保持レールで拘束するので、回転ドラムの正回転させることによって被加工物に対するケレン等の処理が効率よく行え、しかも、蓋に蓋開閉部材を取付け、回転ドラムの軸方向両端部位置に、閉蓋保持レールと蓋開閉ガイドを配置するだけでよいので、単純な円弧状レールの組合わせを採用することにより、蓋を開閉する機構の構造を簡略化することができ、コスト的に安価で耐久性に優れた回転ドラム装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明に係る回転ドラム装置の第1の実施の形態を示す正面図
【図2】この発明に係る回転ドラム装置の第1の実施の形態を示す拡大した左側面図
【図3】(a)はこの発明に係る回転ドラム装置の第1の実施の形態における回転ドラムと蓋の構造を示す蓋を開いた状態の斜視図、(b)は閉蓋保持レールとその外側に位置する蓋開閉ガイドの構造を示す一部を切欠いた斜視図
【図4】この発明に係る回転ドラム装置の第1の実施の形態において、蓋が開口を開いた状態の回転ドラムの位相を示す一部を切欠いた側面図
【図5】この発明に係る回転ドラム装置の第1の実施の形態において、蓋が開口を閉じる状態に移行する時の回転ドラムと閉蓋保持レール及び蓋開閉ガイドの関係を示す一部を切欠いた側面図
【図6】この発明に係る回転ドラム装置の第1の実施の形態において、蓋が開口を閉じてケレン作業を行っている時の回転ドラムと閉蓋保持レール及び蓋開閉ガイドの関係を示す一部を切欠いた側面図
【図7】この発明の回転ドラム装置における第1の実施の形態において、被処理物の付着物を除去するケレン処理を行う場合の、被処理物とケレン部材の分別及びケレン部材の回収再使用の方法を実施する手段の第1の例を示す側面から見た断面図
【図8】この発明の回転ドラム装置における第1の実施の形態において、付着物を除去するケレン処理を行う場合の、被処理物とケレン部材の分別及びケレン部材の回収再使用の方法を実施する手段の第2の例を示す正面から見た断面図
【図9】この発明に係る回転ドラム装置の第2の実施の形態を示す正面図
【図10】この発明に係る回転ドラム装置の第2の実施の形態を示す拡大した右側面図
【図11】この発明に係る回転ドラム装置の第2の実施の形態における回転ドラムと蓋、閉蓋保持レール、蓋開閉ガイドの構造を示す斜視図
【図12】この発明に係る回転ドラム装置の第2の実施の形態において、(a)は蓋が開口を開いた位置で回転ドラムが停止した状態を示す一部を切欠いた側面図、(b)は回転ドラムの正回転によって蓋が開口を閉じた状態を示す一部を切欠いた側面図
【図13】(c)は蓋が開口を閉じた状態で回転ドラムの正回転によって閉じてケレン作業を行っている状態の一部を切欠いた側面図、(d)は回転ドラムの逆回転によって蓋が開口を開く途中の状態を示す一部を切欠いた側面図
【図14】(e)は回転ドラムの逆回転によって蓋が開口を開いた状態を示す一部を切欠いた側面図、(f)は回転ドラムの逆回転によって蓋と開いた開口が上方に回動していく途中の状態を示す一部を切欠いた側面図
【図15】(g)は回転ドラムの逆回転によって蓋と開いた開口が上方に回動した状態を示す一部を切欠いた側面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明の第1と第2の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0026】
この発明の回転ドラム装置におる第1の実施の形態は、回転ドラムの両端に閉蓋保持レールを配置し、この閉蓋保持レールの一箇所に設けた切換え部と回転ドラムの正逆回転の切換えとによって、回転ドラムに設けた開口を自動的に開閉することができるようにしたものであり、図1乃至図8は、この第1の実施の形態の回転ドラム装置を示している。
【0027】
図1乃至図3のように、回転ドラム装置1は、横に長いベース台2の両端に対向して設けた支持枠3、3間の上部に回転ドラム4を回転自在となるよう水平に架設し、前記ベース台2に設けたモータの如き正逆切換えが可能な回転駆動機5で、前記回転ドラム4の正回転aと逆回転bおよび停止ができるようになっている。
【0028】
上記回転ドラム4は、横長となる円筒状の胴部6と、この胴部6の両端を閉鎖する端板7、7と、両端板7、7の外面に胴部6と同軸心状の配置で固定した軸8、8とで形成され、軸8、8が支持枠3、3の途中に軸受9、9を介して支持され、軸心が水平の状態で回転自在になっていると共に、前記胴部6には、開口幅が円周方向に略90°前後の範囲となり、長さ方向の全長にわたる横長の開口10が設けられ、この開口10が外開き式の蓋11によって開閉自在になっている。
【0029】
上記の蓋11は、開口10を閉じた位置で胴部6の周壁の一部を構成するよう、胴部6と同様の曲率を有する弧状で、開口10の幅と長さを閉鎖し得る大きさを有し、胴部6の開口10に対して回転ドラム4の正回転方向の前方に位置する開口縁にヒンジの枢止軸12で後端部が取付けられ、蓋11は枢止軸12を中心に、胴部6の外側に重なって開口10を閉じる閉蓋位置から、胴部6の外方に向けて突出する開蓋位置の間を回動自在となり、図3(a)は蓋11が開口10を開いた開蓋位置の状態を示している。
【0030】
なお、第1の実施の形態において、回転ドラム4の正回転aとは、図4乃至図6において反時計方向の回転であり、逆回転bとは同図時計方向の回転である。
【0031】
上記胴部6及び蓋11の内面には、耐摩ライニングが施されていると共に、胴部6の内部には、図示省略したが、被処理物の種類や処理内容に対応した構造のかき上げ用の羽根が設けられている。
【0032】
上記ベース台2に、回転ドラム4よりも下方に位置する水平の長い中間軸13が下部軸受14での支持によって回転可能に配置され、この中間軸13と回転駆動機5を連動すると共に、回転ドラム4の軸8、8に固定したスプロケット15と中間軸13の両端部に固定したスプロケット16をチェーン17等で連動している。
【0033】
従って、回転駆動機5を起動すると、中間軸13を介して回転ドラム4に回転が伝わり、回転駆動機5の制御により、回転ドラム4の正回転a、逆回転b、停止が行えることになる。
【0034】
上記蓋11の外面には、長さ方向の両端部で支点となる枢止軸12から離れた途中もしくは開閉動縁に近い先端位置に、回転ドラム4の端面よりも長さ方向の外方に突出する蓋開閉部材18が取付けられ、この蓋開閉部材18は円軸状のものでもよいが、図示の場合、回転ドラム4の長さ方向と平行する軸心を中心に回転自在となるよう取付けたベアリングのような転子を用いた例を示している。
【0035】
上記回転ドラム4の軸方向両端部の外側位置のそれぞれに、回転ドラム4の正回転時に蓋開閉部材18を介して蓋11を閉蓋状態に保持し、回転ドラム4の逆回転時に蓋開閉部材18の拘束を解いて開蓋を可能にする閉蓋保持レール19と、その半径方向外側に蓋開閉ガイド20が支持枠3、3への取付けによって配置されている。
【0036】
上記閉蓋保持レール19は、回転ドラム4を正回転aさせた時に、蓋11の閉じた状態を保持するように内周縁で蓋開閉部材18を誘導するよう内外周が同心円の環状に形成され、回転ドラム4と同軸心の配置となるよう支持枠3に固定されている。
【0037】
この閉蓋保持レール19は、図4乃至図6のように、その内周径が回転ドラム4の外径よりも少し大径となり、蓋11が開口10を閉じた閉蓋状態でその内周縁に蓋開閉部材18が当接し、蓋開閉部材18を半径方向の外方に移動しないように拘束すると同時に内周縁に沿った回転は自在とし、蓋11が開口10を閉じた閉蓋状態を保持すると共に、閉蓋状態で回転ドラム4が正回転aすることができるようになっている。
【0038】
上記閉蓋保持レール19の途中で、回転ドラム4の正回転a時に蓋開閉部材18が下から上に向かって回動していく部分の途中となる、図2において右側である一方側部の位置に、回転ドラム4の正回転aと逆回転bの切換えによって、蓋11の蓋開閉部材18をこの閉蓋保持レール19の内側に入れて閉蓋状態にしたり、外側に出して開蓋状態にするための切換え部21が設けられている。
【0039】
即ち、上記切換え部21と蓋開閉部材18は、蓋開閉部材18が閉蓋保持レール19の内側に位置する閉蓋状態で、回転ドラム4を逆回転bさせたときに、蓋開閉部材18をこの閉蓋保持レール19の外側に誘導することで蓋11が開口10を開けるように作用し、また、蓋開閉部材18が閉蓋保持レール19の外側に位置する開蓋状態で、回転ドラム4を正回転aさせると、蓋開閉部材18を閉蓋保持レール19の内側に誘導して蓋11が開口10を閉じるように作用する。
【0040】
この切換え部21は、閉蓋保持レール19の途中で一方側部の位置に分断部22を周方向に沿って所定間隔となるように設け、この分断部22に切換えレール23を配置して形成されている。
【0041】
上記切換えレール23は、上記分断部22に収まる長さを有し、分断部22における回転ドラム4の正回転a方向に対して後方となる下側端部に枢軸24で下端を枢止し、枢軸24を支点として閉蓋保持レール19の内側へ傾斜状に突出する開位置(図4参照)と、分断部22に納まって外側に開かないことで閉蓋保持レール19の連続する環状状態を保持する閉位置(図6参照)の間を揺動可能となり、この切換えレール23にスプリング25で常時開位置への復帰弾性が付勢されている。
【0042】
なお、切換えレール23が開位置にあるとき、図5のように、切換えレール23の上部先端と閉蓋保持レール19の分断部22における上側端部との間には、蓋開閉部材18が通過できる隙間が形成されることになる。
【0043】
上記閉蓋保持レール19の内周縁で蓋開閉部材18が拘束されて蓋11が開口10を閉じた閉蓋状態で、回転ドラム4を正回転aさせると、閉蓋保持レール19の内周縁を回動する蓋開閉部材18は、切換えレール23の部分に対して、図6に示すように、切換えレール23を外方へ閉位置に押すようにして通過し、このため、切換えレール23は蓋開閉部材18が閉蓋保持レール19の半径方向外側に出るのを防ぎ、回転ドラム4が正回転aしているときは、蓋開閉部材18が閉蓋保持レール19の内周で外側に移動しないよう拘束され、開口10が蓋11で閉じられたままの閉蓋状態が維持される。
【0044】
また、上記閉蓋状態で回転ドラム4を逆回転bさせた場合、切換えレール23は内側に向けて通常開位置にあるので、蓋11が枢止軸12を後ろにして上部から下部に向けて回動してくると、蓋開閉部材18は内側に傾斜している切換えレール23の上端部外側に当接し、この切換えレール23で閉蓋保持レール19の外側に誘導されることになり、これにより、蓋開閉部材18は閉蓋保持レール19の拘束から解かれ、蓋11は回転ドラム4の逆回転bの進行と共に、枢止軸12を支点に自重で垂下することで開口10を開放することになる。
【0045】
上記蓋開閉ガイド20は、閉蓋保持レール19の下半部における半径方向の外側に間隔を設けて位置し、閉蓋保持レール19と略同心円状となる開蓋保持部20aと、この開蓋保持部20aにおいて、回転ドラム4の逆回転bの方向の前方に位置する端部から連なり、斜め上向きに向かった後、閉蓋保持レール19の上部に向けて接近するように屈曲する閉蓋誘導部20bとで形成され、図4のように、下方に回動してきた蓋開閉部材18がその内周縁に当接し得るように支持枠3に固定されている。
【0046】
この蓋開閉ガイド20の開蓋保持部20aは、回転ドラム4を逆回転bさせたときに、蓋開閉部材18が切換えレール23の外側に誘導されて蓋11が自重で垂下状態となって下方に移動してくると、その内周縁で蓋開閉部材18を受け取り、蓋11が開口10を開いた開蓋状態を保持するように、蓋開閉部材18を逆回転bの方向に前記蓋11の枢止軸12よりも先行するように誘導し、図4のように、回転ドラム4を開口10が同図左側の側部に向く位相で停止させると、蓋開閉部材18は開蓋保持部20aの終端に達し、自重によって蓋11は少し上向きの水平に近い姿勢となって開口10を開いた状態に保持され、開口10から回転ドラム4内への被処理物の投入が可能となる。
【0047】
また、閉蓋誘導部20bは、上記した開口10が開放された開蓋状態から回転ドラム4が逆回転bすると、押上られていく蓋11の蓋開閉部材18を回転ドラム4の胴部6に接近するよう誘導し、上部に移動する開口10に向けて蓋11を倒し込むように起こしていき、蓋11は回転ドラム4の上部に移動すると重心の移動で自重によって倒れ込むので、蓋開閉部材18は閉蓋誘導部20bから離れ、上記閉蓋保持レール19の外周に当接して保持され、切換え部21に向けて移動することになる。
【0048】
なお、図示詳細を略したが、前記回転ドラム4の回転停止時に、回転ドラム4が惰性回転しないよう、例えば、回転ドラム4の端部に対して圧接可能なブレーキ手段を設けたり、回転ドラム4の軸8を利用して被処理物の処理時に回転ドラム4内に給水する給水手段を設けることができる。
【0049】
図7と図8は、この発明の回転ドラム装置1で被処理物の付着物を除去するケレン処理を行う場合の、被処理物とケレン部材の分別及びケレン部材の回収再使用の方法を実施する手段を示している。
【0050】
ここで、被処理物(ワーク)cが建設資材のような鍔付きの長尺パイプや突起部分が多いものでは、被処理物cだけを回転ドラム4内に投入し、回転ドラム4を正回転させてケレンを行うと、突起部分が被処理物cに当たってダメージを与えると同時に、突起部分が邪魔になって全体的に均一なケレン処理ができないことになり、このため、被処理物cとこれよりも小径の鋼球等のケレン部材dを回転ドラム4内へ同時に多数投入してケレンを行うと、被処理物cに与えるダメージを少なくし、隅々まで綺麗にケレンすることができる。
【0051】
しかし、被処理物cとケレン部材dを混合してケレン処理すると、回転ドラム4内からの取出し後に被処理物cとケレン部材dを分別するための作業が必要になってくると共に、ケレン部材dは効率的に再使用できるように工夫しなければならない。
【0052】
図7は、被処理物cとケレン部材dの分別とケレン部材の効率的な再使用方法の第1の例を示し、回転ドラム4の下部に、スキッドやスノコのような篩分け部材31を設置し、この篩分け部材31の下部にケレン部材dの回収容器32を配置している。
【0053】
上記篩分け部材31のスキッドやスノコは、被処理物cが通過できず、これよりも小さいケレン部材dだけが通過できるように孔や網目の形状や大きさが設定され、回転ドラム4の開口10から排出された被処理物cとケレン部材dの混合物を篩分け部材31で受取り、振動等を与えることにより、被処理物cを上面に残し、ケレン部材dを落下させる。
【0054】
篩分け部材31上の被処理物cは、人為的又は機械的な手段で取り除き、落下したケレン部材dは、直下に待機する回収容器32内に収納し、この回収容器32をフォークリフト33等でハンドリングして引き出し、図7に一点鎖線から二点鎖線で示すようにこれを持ち上げ、開口10が開放する開蓋状態で停止させた回転ドラム4内に開口10からケレン部材を投入するようにしたものである。
【0055】
図8は、被処理物とケレン部材の分別とケレン部材の効率的な再使用方法の第2の例を示し、回転ドラム4の直下の位置に、長さ方向の中央に向けて下がり傾斜となる受取りバケット34を配置し、この受取りバケット34の上面に上述した第1の例と同様の篩分け部材31を設け、受取りバケット34の中央下部の位置に底面が一方に下がり傾斜となる回収容器35を設置し、回転ドラム4の一方端部の位置に縦型コンベア36を配置し、前記回収容器35の下がり側端部と縦型コンベア36の下部を傾斜通路37で接続している。
【0056】
回収容器35内に回収した鋼球のようなケレン部材dは、回収容器35から傾斜通路37を転がって縦型コンベア36の下部に転入し、この縦型コンベア36で持ち上げられ、上端のシュート38を介して、開口10が開放する状態で停止させた回転ドラム4内に開口10からケレン部材を投入するようにしたものであり、篩分け部材31の上に残った被処理物cは、人為的又は機械的な手段で取り出せばよい。
【0057】
この発明の第1の実施の形態の回転ドラム装置1は、上記のような構成であり、図4は回転ドラム4の開口10を開いて内部に被処理物やケレン部材を投入する状態を示し、閉蓋保持レール19の外側に蓋開閉部材18が位置する状態で、回転ドラム4を開口10が同図の左側で切換え部21と反対側に位置するよう停止させると、開口10の下側に枢止軸12が位置する蓋11は自重で外側に開き、その蓋開閉部材18が蓋開閉ガイド20における開蓋保持部20aの終端で閉蓋誘導部20bとの屈曲状となる境界部分に位置して保持され、開口10から回転ドラム4内に被処理物やケレン部材の投入が可能となる。
【0058】
被処理物やケレン部材の投入後に、回転ドラム4を図4の矢印で示した時計方向に低速で逆回転bさせると、枢止軸12によって蓋11が押上られ、枢止軸12よりも先行して回動する蓋開閉部材18が閉蓋誘導部20bで回転ドラム4に接近するよう誘導され、これにより、蓋11は逆回転bの進行と共に開口10に向けて起こされ、枢止軸12と蓋開閉部材18を結ぶ線が垂直線を通過すると、重心の移動によって蓋11は胴部6に向けて自重で倒れ込み、図4に一点鎖線で示すように、蓋開閉部材18が閉蓋保持レール19の外周縁に当接し、蓋11は開口10を少し開いた状態で逆回転bの方向に回動していく。
【0059】
なお、図7で示したように、蓋11の途中と胴部6との間をショックアブソーバー39で連結し、蓋11が自重で倒れ込んだときの衝撃発生を防ぐようにすることができる。
【0060】
逆回転bさせた回転ドラム4の開口10が図5の斜め右上の位置に回動してくると、蓋開閉部材18は閉蓋保持レール19の分断部22に臨み、蓋11は自重で垂れ下がることで開口10に接近し、図5のように、蓋開閉部材18が開位置にある切換えレール23の外側に当接する状態で回転ドラム4の逆回転bを停止させる。
【0061】
次に、図5の状態から回転ドラム4を正回転aさせると、蓋11が自重で開口10を閉じるように胴部6に向けて接近しようとすることで、蓋開閉部材18は切換えレール23の外側に沿って移動し、開位置にある切換えレール23と閉蓋保持レール19の分断部22の上端との間に形成された間隔から閉蓋保持レール19の内部に向けて進入すると、蓋11は開口10を閉じた閉蓋状態となる。
【0062】
蓋開閉部材18が閉蓋保持レール19の内部に進入すると、蓋開閉部材18が閉蓋保持レール19の内周縁に当接することによって半径方向の外方への移動が拘束され、これにより、蓋11の開口10を閉じた閉蓋状態を保持し、この後、回転ドラム4を連続的に高速で正回転aさせることにより、被処理物に対してケレン等の処理を施すことができる。
【0063】
上記閉蓋保持レール19の分断部22に設けた切換えレール23は、スプリング25の引圧で、回転ドラム4の正回転aの方向の前方に位置する上端側が閉蓋保持レール19の内側に突出する傾斜状の開状態になっており、このため、回転ドラム4の連続的な正回転aのときにおいて、蓋開閉部材18が切換えレール23の部分を通過するとき、図6のように、蓋開閉部材18は切換えレール23を閉じ位置に押すことによって通過し、蓋開閉部材18が通過すると切換えレール23は開位置に戻ることになり、回転ドラム4の連続的な正回転aのときはこのような動作を繰り返し行うことになる。
【0064】
次に、ケレンの処理後に被処理物を回転ドラム4内から取り出すには、回転ドラム4を低速の逆回転bに切換え、蓋11が上部に位置する状態から逆回転bすると、蓋開閉部材18は開位置にある切換えレール23に当接してその外側に誘導され、閉蓋保持レール19の拘束から蓋開閉部材18が解かれると、下方に向けて回動する開口10に対して回動方向の後方に枢止されている蓋11は自重で垂下することで開口10を開き、開かれた開口10が下方に移動する位置で回転ドラム4を停止させ、回転ドラム4の内部の被処理物を開いた開口10から自重によって落下排出させる。
【0065】
このとき、蓋11の蓋開閉部材18は、図4に二点鎖線で示したように、胴部6から蓋11が自重で垂れ下がりながら逆回転bの方向に回動することで蓋開閉ガイド20の開蓋保持部20aに当接し、この開蓋保持部20aの内周で蓋開閉部材18を逆回転bの方向に誘導することで、蓋11は開口10を開いた姿勢が保持される。
【0066】
被処理物の排出後、回転ドラム4を逆回転bの方向に回動させ、図4に実線で示したように、開口10が同図左側に向く位置で停止させ、開口10から新たな被処理物の投入に備えるようにする。
【0067】
次に、図9乃至図15は、この発明の回転ドラム装置の第2の実施形態を示している。なお、上記した第1の実施形態と同一部分には同一符号を付して説明に代える。
【0068】
この第2の実施形態の回転ドラム装置1は、回転ドラムの両端に閉蓋保持レールを配置し、この閉蓋保持レールの途中で二箇所の位置に、開蓋用の切換え部と閉蓋用の切換え部を設け、回転ドラムの正逆回転の切換えとによって、回転ドラムに設けた開口を自動的に開閉することができるようにしたものである。
【0069】
図9乃至図11のように、回転ドラム4の軸方向両端部の外側位置のそれぞれに、回転ドラム4の正回転時に蓋開閉部材18を介して蓋11を閉蓋状態に保持し、回転ドラム4の逆回転時に蓋開閉部材18の拘束を解いて開蓋を可能にする閉蓋保持レール41と、その半径方向外側に蓋開閉ガイド42と、前記閉蓋保持レール41と蓋開閉ガイド42の間に位置する開蓋保持ガイド43が配置されている。
【0070】
なお、この第2の実施形態において、回転ドラム4の正回転aは図12乃至図15において時計方向、逆回転bは同反時計方向になっている。
【0071】
上記閉蓋保持レール41は、内外径が回転ドラム4と同軸心の環状となり、閉じた状態にある蓋11の蓋開閉部材18を半径方向の外方に移動しないよう拘束しつつ回転方向に誘導する内径を有し、その途中で図10の左側となる一方側方の位置に開蓋用の第1の切換え部44と、他方側方で上部の位置に閉蓋用の第2の切換え部45が設けられている。
【0072】
開蓋用の第1の切換え部44は、閉蓋状態にある回転ドラム4の逆回転時に蓋11を開くためのものであり、第1の実施形態の切換え部21と同様の構造を有し、閉蓋保持レール41の分断部46を開閉するように設けた切換えレール47が回転ドラム4の正回転方向の後方である枢軸48を支点とし、スプリング49で常時内側に傾斜する開位置に保持され、閉位置では閉蓋保持レール41を連続状とするようになっている。
【0073】
閉蓋用の第2の切換え部45は、開蓋状態にある回転ドラム4の正回転時に蓋11を閉じるためのものであり、閉蓋保持レール41の分断部50を開閉するように設けた切換えレール51が回転ドラム4の正回転方向の後方に位置する枢軸52を支点とし、スプリング53で常時分断部50を閉鎖して閉蓋保持レール41を連続状とする閉位置に保持され、この閉位置から外側には開かず内側に傾斜することができるようになっている。
【0074】
この閉蓋用の第2の切換え部45の切換えレール51を閉じ位置に保持するスプリング53の弾性は、切換えレール51の外側に蓋開閉部材18が載って蓋11の重量が加わったときに、切換えレール51が内側への傾斜となる開位置に移動するように設定されている。
【0075】
上記蓋開閉ガイド42は、閉蓋保持レール41の外側に対して、図10の左側下部の位置から下部を通って右側上部の位置に達する範囲の長さを有する欠円弧状で、閉蓋保持レール41の半径方向の外側に所定の間隔を設けて同心円状となる配置となり、図14のように、回転ドラム4の逆転によって、閉蓋保持レール41の外側を下方に回動してきた蓋開閉部材18がその内周縁に当接し得るように支持枠3に固定されている。
【0076】
上記開蓋保持ガイド43は、閉蓋保持レール41と蓋開閉ガイド42の中間に位置する円弧状となり、先端が図10の右側で軸8と同一水平線上に位置し、後端が回転ドラム4の軸心直上に位置する間の90°の範囲に外周が回転ドラム4と同軸心となるよう設けられ、回転ドラム4の逆回転時に開蓋した蓋11の蓋開閉部材18を外周で誘導するようになっている。
【0077】
この開蓋保持ガイド43の回転ドラム4の逆回転方向の前方に位置する後端に、スプリング54で開蓋保持ガイド43の延長となる水平状態に保持され、蓋開閉部材18が載って蓋11の重量が加わってときに、閉蓋保持レール41に向けて傾斜可能となり、開蓋保持ガイド43に沿って移動してきた蓋開閉部材18を閉蓋保持レール43の外周に向けて誘導するための傾動ガイド55が設けられている。
【0078】
上記閉蓋保持レール41の上部外側で、傾動ガイド55に対して回転ドラム4の逆回転方向前方の位置からこの傾動ガイド55の下部の位置に、傾動ガイド55から受取った蓋開閉部材18を回転ドラム4の逆回転方向に移動しないように規制することで回転ドラム4を開口10が一定の向きになるよう停止させ、また、回転ドラム4の正回転によって蓋開閉部材18を閉蓋保持レール41の外周に誘導するストッパー部56が設けられている。
【0079】
このストッパー部56は、閉蓋保持レール41の上部外側から回転ドラム4の逆回転方向に延びて斜め上方向に向く誘導レール57の先端部にストッパー片58を設けて形成され、回転ドラム4の逆回転により蓋開閉部材18が開蓋保持ガイド43の外側から前記誘導レール57に載り移ってストッパー片58に当接する状態で回転ドラム4を止めれば、開口10が図10の左側に向くよう常に一定の位置に停止させることができる。
【0080】
この発明の第2の実施の形態の回転ドラム装置1は、上記のような構成であり、図12乃至図15を主体に用いてケレン作業の工程を説明する。
【0081】
図12(a)は回転ドラム4の開口10を開いて内部に被処理物やケレン部材を投入する初期の状態を示し、蓋開閉部材18が誘導レール57のストッパー片58に当接することで、回転ドラム4に対して蓋11は引上げられて開き位置に保持され、回転ドラム4は開放した開口10が同図の左側に向く位置に停止している。
【0082】
回転ドラム4内に対して開口10から被処理物やケレン部材の投入後に、回転ドラム4を図12(b)の矢印で示した時計方向に低速で正回転aさせると、枢止軸12を介して引かれることにより一体に回動する蓋11の蓋開閉部材18は、誘導レール57に沿って移動しながら回転ドラム4に接近するよう閉蓋保持レール41の上部に誘導され、図12(b)のように、更に正回転が続いて蓋開閉部材18が閉蓋用の第2の切換え部45の切換えレール51上に載ると、蓋11の開口10を閉じる方向の重量が加わることで切換えレール51は内側に押されて開位置に移動し、閉蓋保持レール41は閉蓋用の第2の切換え部45で分断された状態になる。
【0083】
上記閉蓋用の第2の切換え部45は、回転ドラム4の軸8を通る水平線よりも高い位置に設定されているので、この閉蓋用の第2の切換え部45に接近してくる蓋11は、枢止軸12を支点として自重により開口10を閉鎖せんとする位相にあり、このため、蓋開閉部材18は、切換えレール51の外周に沿って移動することで閉蓋用の第2の切換え部45の分断部50から閉蓋保持レール41の内側に誘導されることになり、蓋11は自重によって開口10を閉じた閉蓋状態となる。
【0084】
図13(c)のように、閉蓋用の第2の切換え部45の切換えレール51は、蓋開閉部材18が通過すると閉位置に戻り、蓋開閉部材18が閉蓋保持レール41の内周縁に当接することによって半径方向の外方への移動が拘束され、これにより、蓋11の開口10を閉じた閉蓋状態を保持し、この後、回転ドラム4を連続的に高速で正回転aさせることにより、被処理物に対してケレン等の処理を施すことができる。
【0085】
上記回転ドラム4の高速正回転a時に、閉蓋保持レール41の内周を回動する蓋開閉部材18は、開蓋用の第1の切換え部44と閉蓋用の第2の切換え部45を交互に通過することになるが、閉蓋用の第2の切換え部45においては、切換えレール51が閉位置にあって閉蓋保持レール41を連続状にしているので、この閉蓋用の第2の切換え部45を作動させることなく蓋開閉部材18は回動する。
【0086】
開蓋用の第1の切換え部44においては、切換えレール47がスプリング49の引圧で、回転ドラム4の正回転aの方向の前方に位置する上端側が閉蓋保持レール41の内側に突出する傾斜状の開状態になっており、このため、回転ドラム4の連続的な正回転aのときにおいて、蓋開閉部材18が切換えレール47の部分を通過するとき、図13(c)のように、蓋開閉部材18は切換えレール47を閉じ位置に押すことによって通過し、蓋開閉部材18が通過すると切換えレール47は開位置に戻ることになり、回転ドラム4の連続的な正回転aのときはこのような動作を繰り返し行うことになる。
【0087】
次に、ケレンの処理後に被処理物を回転ドラム4内から取り出すには、回転ドラム4を低速の逆回転bに切換え、蓋11が回転ドラム4の上部に位置する状態から逆回転bすると、図13(d)のように、蓋開閉部材18は開蓋用の第1の切換え部44における開位置にある切換えレール47に当接してその外側に誘導され、蓋開閉部材18が閉蓋保持レール41の拘束から解かれると、下方に向けて回動する開口10に対して回動方向の後方に枢止されている蓋11は自重で垂下することで開口10を開き、開かれた開口10が下方に移動する位置で回転ドラム4を停止させ、回転ドラム4の内部の被処理物を開いた開口10から自重によって落下排出させる。
【0088】
このとき、蓋11の蓋開閉部材18は、図14(e)に示したように、胴部6から蓋11が自重で垂れ下がりながら逆回転bの方向に回動することで蓋開閉ガイド42の内周に当接し、内周で蓋開閉部材18を逆回転bの方向に誘導することで、蓋11は開口10を開いた姿勢が保持される。
【0089】
被処理物の排出後、回転ドラム4を逆回転bの方向に回動させると、図14(f)のように、蓋開閉ガイド42の内周に当接する蓋開閉部材18は、押上られる蓋11を一定角度の開状態に保持し、上昇していく蓋開閉部材18は、蓋開閉ガイド42とその内側に位置する開蓋保持ガイド43の間に進入し、蓋11の枢止軸12が軸8を通る水平線よりも上方に通過すると、蓋開閉ガイド42の上端側で蓋開閉部材18が回転ドラム4に接近するように押し込まれ、蓋11は枢止軸12を支点に起立姿勢となり、蓋11の重心が枢止軸12を通る垂直軸心から回転ドラム4側に移動した時点で回転ドラム4側に向けて倒れ込み、この倒れ込み途中で蓋開閉部材18は開蓋保持ガイド43の外周に載り、蓋11は開口10を完全に閉じないように倒れ込んだ状態に保持される。
【0090】
回転ドラム4の逆回転bが続き、図15(g)のように、蓋開閉部材18が傾動ガイド55の上に載ると、蓋11の重量が加わった傾動ガイド55が下方に傾斜し、下方に位置する誘導レール57上に誘導され、この誘導レール57の先端側に移動することでストッパー片58に当接し、この状態で回転ドラム4の逆回転を停止させる。
【0091】
このように、蓋開閉部材18がストッパー片58に当接した状態で回転ドラム4を停止させると、回転ドラム4の開口10は常に横向きの定位置になるよう図12(a)の初期状態に戻って停止させることができ、蓋11は開口10の上部に跳ね上げられた開位置に保持されているので、全開した開口10から新たな被処理物を投入することができ、開口10の開状態での停止位置精度が向上し、被処理物を投入作業に有利となる。
【0092】
また、この第2の実施の形態の回転ドラム装置1は、閉蓋保持レール41に閉蓋用の第2の切換え部45を設けることにより、開蓋状態で停止する回転ドラム4を閉蓋状態にする場合、回転ドラム4を連続的に正回転aさせるだけで閉蓋状態に移行することになり、第1の実施の形態の回転ドラム装置1のように、逆回転と停止、正回転への切換えに比べて回転ドラム4の制御が簡素化できるという利点がある。
【0093】
上記のように、第1及び第2の実施の形態で示したこの発明の回転ドラム装置1は、回転ドラム4を回転駆動機5で直接回転駆動し、回転ドラム4の回転を正回転aと逆回転bに切換えることで、回転ドラム4の胴部6に設けた開口10を蓋11によって自動的に開閉することができ、蓋11の両端部に蓋開閉部材18を取付け、回転ドラム4の両端部位置に、閉蓋保持レール19、41と蓋開閉ガイド20、42又はこれに加えて開蓋保持ガイド43を配置するだけでよいので、全体の構造が簡略化できるだけでなく、耐久性に優れたものとなる。
【符号の説明】
【0094】
1 回転ドラム装置
2 ベース台
3 支持枠
4 回転ドラム
5 回転駆動機
6 胴部
7 端板
8 軸
9 軸受
10 開口
11 蓋
12 枢止軸
13 中間軸
14 下部軸受
15 スプロケット
16 スプロケット
17 チェーン
18 蓋開閉部材
19 閉蓋保持レール
20 蓋開閉ガイド
20a 開蓋保持部
20b 閉蓋誘導部
21 切換え部
22 分断部
23 切換えレール
24 枢軸
25 スプリング
31 篩分け部材
32 回収容器
33 フォークリフト
34 受取りバケット
35 回収容器
36 縦型コンベア
37 傾斜通路
38 シュート
39 ショックアブソーバー
41 閉蓋保持レール
42 蓋開閉ガイド
43 開蓋保持ガイド
44 開蓋用の第1の切換え部
45 閉蓋用の第2の切換え部
46 分断部
47 切換えレール
48 枢軸
49 スプリング
50 分断部
51 切換えレール
52 枢軸
53 スプリング
54 スプリング
55 傾動ガイド
56 ストッパー部
57 誘導レール
58 ストッパー片
a 正回転
b 逆回転
c 被処理物
d ケレン部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転ドラムを軸心上の軸を介して正回転と逆回転をするように回転自在に支持し、前記回転ドラムの胴部に設けた開口の側縁に、回転ドラムの正回転方向に対して前方に位置する端部を支点に該開口を開閉する外開き式の蓋を枢着し、この蓋の支点から離れた位置に蓋開閉部材を取付け、
前記回転ドラムの軸方向端面よりも外側位置に、回転ドラムと同軸心の配置となり、閉じた状態にある蓋の蓋開閉部材を半径方向の外方に移動しないよう拘束しつつ回転方向に誘導する内径を有し、回転ドラムを蓋の閉じた状態で正回転させたとき、蓋の閉じた状態を保持する環状の閉蓋保持レールを配置し、
前記閉蓋保持レールの途中位置に、回転ドラムの正回転と逆回転の切換えにより、移動する前記蓋開閉部材を閉蓋保持レールの内側又は外側に誘導し、蓋を閉じた状態と開いた状態の何れかに変化させるための切換え部を設けた回転ドラム装置。
【請求項2】
上記閉蓋保持レールの途中に設けた切換え部は、前記閉蓋保持レールの途中に分断部を設け、この分断部に、閉蓋保持レールの連続する環状状態を保持することのできる切換えレールを配置して形成され、
前記切換えレールが、回転ドラムの正回転方向に対して後方に位置する端部を支点にして、閉蓋保持レールの内側に傾斜する開位置と、閉蓋保持レールの連続する環状状態を保持する閉位置の間を揺動可能となり、この切換えレールに常時開位置への復帰弾性を付勢した請求項1に記載の回転ドラム装置。
【請求項3】
回転ドラムを軸心上の軸を介して正回転と逆回転をするように回転自在に支持し、前記回転ドラムの胴部に設けた開口の側縁に、回転ドラムの正回転方向に対して前方に位置する端部を支点に該開口を開閉する外開き式の蓋を枢着し、この蓋の支点から離れた位置に蓋開閉部材を取付け、
前記回転ドラムの軸方向端面よりも外側位置に、回転ドラムと同軸心の配置となり、閉じた状態にある蓋の蓋開閉部材を半径方向の外方に移動しないよう拘束しつつ回転方向に誘導する内径を有し、回転ドラムを蓋の閉じた状態で正回転させたとき、蓋の閉じた状態を保持する環状の閉蓋保持レールを配置し、
前記閉蓋保持レールの途中位置に、回転ドラムの逆回転時に、閉蓋保持レールの内側に位置する蓋開閉部材を閉蓋保持レールの外側に誘導する開蓋用の第1の切換え部と、回転ドラムの正回転時に、閉蓋保持レールの外側に位置する蓋開閉部材を閉蓋保持レールの内側に誘導する閉蓋用の第2の切換え部を設け、回転ドラムの正回転と逆回転の切換えにより、蓋を閉じた状態と開いた状態の何れかに変化させるようにした回転ドラム装置。
【請求項4】
上記閉蓋保持レールの途中に設けた開蓋用の第1の切換え部は、前記閉蓋保持レールの途中に分断部を設け、この分断部に、閉蓋保持レールの連続する環状状態を保持することのできる切換えレールを配置し、この切換えレールが、回転ドラムの正回転方向に対して後方に位置する端部を支点にして、閉蓋保持レールの内側に傾斜する開位置と、閉蓋保持レールの連続する環状状態を保持する閉位置の間を揺動可能となり、この切換えレールに常時開位置への復帰弾性を付勢して形成され、
上記閉蓋用の第2の切換え部は、前記閉蓋保持レールの途中に分断部を設け、この分断部に、閉蓋保持レールの連続する環状状態を保持することのできる切換えレールを配置し、この切換えレールが、回転ドラムの正回転方向に対して後方に位置する端部を支点にして、閉蓋保持レールの内側に傾斜する開位置と、閉蓋保持レールの連続する環状状態を保持する閉位置の間を揺動可能となり、この切換えレールに常時閉位置への復帰弾性を付勢して形成されている請求項3に記載の回転ドラム装置。
【請求項5】
上記閉蓋保持レールの半径方向外側に、蓋開閉部材を誘導するための蓋開閉ガイドを配置し、この蓋開閉ガイドが、閉蓋保持レールの外側に蓋開閉部材が位置する状態で回転ドラムが逆回転すると、蓋が回転ドラムの下部位置を回動する範囲でこの蓋の開いた状態を保持するように蓋開閉部材を誘導し、蓋が下部位置から上部位置に向けて回動する範囲で、蓋が開口に対して閉じ位置に倒れ込むよう蓋開閉部材を誘導するように形成されている請求項1乃至又は4の何れかに記載の回転ドラム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−24915(P2012−24915A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268301(P2010−268301)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(391015236)大裕株式会社 (11)
【Fターム(参考)】