説明

回転体支持構造

【課題】シール部材とダストカバーとの間に隙間の生じにくい回転体支持構造を提供すること。
【解決手段】第1部材と、第1部材と相対回転可能な第2部材と、第1部材と第2部材との間であって、第1部材と第2部材のいずれか一方に取り付けられ、第1部材と第2部材のいずれか他方と摺動する第1リップ部と、弾性変形可能な第2リップ部とを有するシール部材と、第2リップ部からの付勢力を受け、かつ、第2リップ部と摺動する摺動部を有し、第1部材と第2部材のいずれか他方に取り付けられたダストカバーと、第2リップ部の磨耗に応じて摺動部を第2リップ部に向けて弾性変形させる付勢手段と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相対回転する部材のシール部を保護するダストカバーを備えた回転体支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1には、相対回転可能な第1部材と第2部材との間を、いずれか一方の部材側に取り付けられたシール部材によってシールする。このシール部材には、第1部材と第2部材のいずれか他方と摺動する第1リップ部と、弾性変形可能な第2リップ部とを有しており、第2リップ部の弾性変形による付勢力を受け、かつ、該第2リップ部と摺動する摺動部を有するダストカバーが取り付けられている。これにより、シール部材の第2リップ部とダストカバーの摺動部とが隙間無く相対回転することで、シール部材の第1リップ部へ異物が侵入することによる第1リップ部の破損を防止している。より具体的には、シール部材とダストカバーとは相対回転するため、第2リップ部は磨耗し、両者間に隙間が発生するが、第2リップ部を弾性変形させて組み付けることで摺動部に向けて常時付勢力を発生させ、第2リップ部の磨耗量分だけ第2リップ部を摺動部側に弾性変形させ、これにより、両者は隙間の無い状態を維持するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−40502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の技術では、更に磨耗が進行すると第2リップ部が弾性変形する前(組み付け前)の状態まで変形してしまい、摺動部に向けての付勢力を得ることができない。これにより、第2リップ部と摺動部との間に隙間が発生し、第1リップ部に異物が侵入することにより第1リップ部が損傷するという問題があった。
本発明は、上記課題に着目してなされたもので、シール部材とダストカバーとの間に隙間の生じにくい回転体支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明では、第1部材と、該第1部材と相対回転可能な第2部材と、前記第1部材と前記第2部材との間であって、前記第1部材と前記第2部材のいずれか一方に取り付けられ、前記第1部材と前記第2部材のいずれか他方と摺動する第1リップ部と、弾性変形可能な第2リップ部とを有するシール部材と、前記第2リップ部からの付勢力を受け、かつ、該第2リップ部と摺動する摺動部を有し、前記第1部材と前記第2部材のいずれか他方に取り付けられたダストカバーと、前記第2リップ部の磨耗に応じて前記摺動部を該第2リップ部に向けて弾性変形させる付勢手段と、を備えた。
【発明の効果】
【0006】
すなわち、第2リップ部が弾性変形する前の状態(組み付け前の状態)まで変形し、摺動部に向けての付勢力を得ることができなくなっても、付勢手段を構成することで摺動部を第2リップ部に向けて付勢することができる。よって、シール部材とダストカバーとの間に隙間が生じることを防止し、第1リップ部に異物が混入することを防止し、第1リップ部の損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施例1の回転体支持構造が適用された前進5速後退1速の自動変速機のギアトレーンを示すスケルトン図である。
【図2】実施例1の自動変速機の締結作動表である。
【図3】実施例1の回転体支持構造が適用されたファイナルドライブ機構の拡大断面図である。
【図4】実施例1のオイルシール及びダストカバーの構造を表す拡大断面図である。
【図5】実施例1のオイルシール及びダストカバーの組み付け状態を表す概略説明図である。
【図6】実施例2のオイルシール及びダストカバーの組み付け状態を表す概略説明図である。
【図7】実施例3のオイルシール及びダストカバーの組み付け状態を表す概略説明図である。
【図8】実施例4のオイルシール及びダストカバーの組み付け状態を表す概略説明図である。
【図9】実施例5のオイルシール及びダストカバーの組み付け状態を表す概略説明図である。
【図10】実施例6のオイルシール及びダストカバーの組み付け状態を表す概略説明図である。
【図11】実施例7のオイルシール及びダストカバーの組み付け状態を表す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0008】
図1は実施例1の回転体支持構造が適用された前進5速後退1速の自動変速機のギアトレーンを示すスケルトン図である。この動力伝達機構は、トルクコンバータ10、主変速機構12及び、副変速機構14及び車輪を駆動するファイナルドライブ機構16を有している。主変速機構12はトルクコンバータ10と同一軸線上に構成され、副変速機構14は、主変速機構12と平行に配置されている。
【0009】
トルクコンバータ10には、ロックアップ機構11が付設され、図示省略されたエンジンからの回転力が入力され、またトルクコンバータ10からの出力は軸20により主変速機構12に入力される。主変速機構12は、第1遊星歯車機構G1、第2遊星歯車機構G2、リバースクラッチC1、ハイクラッチC2、ロークラッチC3、ロウリバースブレーキB1、2−4ブレーキB2及びロウワンウェイクラッチOC1を備え、軸20から入力される回転力を軸22に変速して出力している。
【0010】
第1遊星歯車機構G1は、軸20上に配置され、サンギアS1と、インターナルギアR1と、サンギアS1及びインターナルギアR1と同時にかみ合うピニオンギアP1と、ピニオンギアP1を支持するキャリアPC1から構成されている。また、第2遊星歯車機構G2も軸20上に配置され、サンギアS2と、インターナルギアR2と、サンギアS2及びインターナルギアR2と同時にかみ合うピニオンギアP2と、ピニオンギアP2を支持するキャリアPC2から構成されている。
【0011】
リバースクラッチC1、ハイクラッチC2、ロークラッチC3、ロウリバースブレーキB1、2−4ブレーキB2及びロウワンウェイクラッチOC1を種々の組み合わせで作動させることにより、第1遊星歯車機構G1及び第2遊星歯車機構G2の各要素の回転状態を変え、軸20の回転速度に対する軸22の回転速度を変えることができる。軸22には、一体に取り付けられた主出力ギア24が設けられ、副変速機構14に連結された副入力ギア28とかみ合っている。
【0012】
副変速機構14は、第3遊星歯車機構G3、ダイレクトクラッチC4、リダクションブレーキB3及びリダクションワンウェイクラッチOC2を備え、副入力ギア28から入力される回転力を軸32に変速して出力している。第3遊星歯車機構G3は、サンギアS3と、副入力ギア28と一体に連結されるインターナルギアR3と、サンギアS3及びインターナルギアR3と同時にかみ合うピニオンギアP3と、ピニオンギアP3を支持し、軸32と一体に回転するように連結されたキャリアPC3から構成されている。
【0013】
ダイレクトクラッチC4、リダクションブレーキB3及びリダクションワンウェイクラッチOC2を、種々の組み合わせで作動させることにより、第3遊星歯車機構G3の各要素の回転状態を変え、副入力ギア28から入力された回転速度に対する軸32の回転速度を変えることができる。軸32には、一体に取り付けられた副出力ギア34が設けられ、ファイナルドライブ機構16と一体に回転するように連結されたファイナルギア36とかみ合っている。
【0014】
エンジンから上記自動変速機に入力される回転力は、トルクコンバータ10、軸20、主変速機構12、主出力ギア24、副入力ギア28、副変速機構14、軸32、副出力ギア34、ファイナルギア36及びファイナルドライブ機構16を順次伝達される。図2は実施例1の自動変速機の締結作動表である。各クラッチ及びブレーキ等を図2に示すような組み合わせで、作動させることにより、前進5速後退1速の変速を行わせることができる。丸印は締結状態を示している。図2に1速(エンジンブレーキ走行なし)と記載された摩擦要素の組み合わせでは、エンジンからの逆起動力が伝達され、エンジンブレーキ走行は行われない。他の変速段では、逆起動力が伝達されるので、エンジンブレーキ走行が行われる。
【0015】
なお、運転者はシフトレバーを介したセレクト操作により、駐車レンジ、Rレンジ、中立レンジと、前進5速の自動変速を行うDレンジ、4速以下の前進4速で自動変速を行う4レンジ、3速以下の前進3速で自動変速を行う3レンジ、2速以下の前進2速で自動変速を行う2レンジ及び1速が設定される1レンジから所望のレンジを選択することができる。
【0016】
図3は実施例1の回転体支持構造が適用されたファイナルドライブ機構の拡大断面図である。このファイナルドライブ機構16は、上述の自動変速装置の出力部材となる副出力ギア34に噛合されたファイナルギア36と、ボルト45によってカバー46とともにファイナルギア36に固定されたデフキャリア41とを備えている。カバー46はフランジ状に形成されており、小径の円筒部46aの外周面とケース47(第1部材に相当)との間に装着されたベアリング48によって回動自在に支持されており、一方、デフキャリア41は回転軸方向の先端側に小径の円筒部41aを有し、この円筒部41aの外周面とケース47との間に装着されたベアリング49によって回動自在に支持されている。デフキャリア41には、これを回転軸に対して垂直方向内側に向かって貫通する軸部材50が固定されており、これら軸部材50には、ピニオンギア42が回動自在に支持されている。そして、リングギア36,カバー46,デフキャリア41はドライブシャフト44L,44Rの軸を中心として一体となって回転するように構成されている。
【0017】
上述のピニオンギア42には、中空の円筒状に形成された左右サイドギア43L,43R(第2部材を構成する一部に相当)の基端側に形成されたギア部43aが噛合されている。左右サイドギア43L,43Rの中間部43bの外周面は、それぞれカバー46の円筒部46a,デフキャリア41の円筒部41aによって回動自在に支持されており、先端側の延設部43cは、それぞれカバー46の回転軸方向外側に向かって延設されている。左右サイドギア43L,43Rの内周側の中空部43dには、左右ドライブシャフト44L,44R(第2部材を構成する一部に相当)が挿着される嵌合部43e及び左右ドライブシャフト44L,44Rの抜け止めであるCリング用の溝43hが形成されている。また、左右サイドギア43L,43Rの延設部43cの内周面には、Oリング溝43fが環状に形成されており、ここに、Oリング51が装着されている。さらに、左右サイドギア43L,43Rの中空部43dの基端側には、キャップ部材52が嵌合される抜け止め部43gが形成されている。
【0018】
左右サイドギア43L,43Rの延設部43cの外周には、延設部43cとケース47との間の液密性を維持するオイルシール53(シール部材に相当)と、このオイルシール53をゴミやほこりから保護するダストカバー54(ダストカバーに相当)が設けられている。以下、このオイルシール53とダストカバー54の構成について詳述する。
【0019】
図4は実施例1のオイルシール及びダストカバーの構造を表す拡大断面図である。オイルシール53は、延設部43cの外周と摺動する第1リップ部53aと、ダストカバー54と摺動する第2リップ部53bと、貫通孔47aの内周に圧入支持される圧入部53cから構成され、ケース47に設けられた左右サイドギア43L,43Rが貫通する貫通孔47aの内周に圧入により固定支持されている。
【0020】
また、ダストカバー54は、ドライブシャフト44Lに圧入により固定される圧入部54aと、圧入部54aから外径側に折り曲げられたフランジ部54bと、このフランジ部54bから第2リップ部53b側に折り曲げられ、第2リップ部53bと内周側で摺動する摺動部54cから構成されている。
【0021】
上述の構成のファイナルドライブ機構16においては、キャップ部材52及びオイルシール53によってケース47内のATFを密封することができる。すなわち、左右サイドギア43L,43Rの外周面に沿って貫通孔47aから流れ出そうとするATFの流出をオイルシール53によって防止し、かつ左右サイドギア43L,43Rの中空部43dに沿って貫通孔47aから流れ出そうとするATFの流出をキャップ部材52によって防止することができる。
【0022】
ここで、オイルシールとダストカバーの組み付けに係る課題について説明する。基本的に、第2リップ部53bとダストカバー54の摺動部54cとが隙間無く相対回転することで、第1リップ部53aへ異物が混入することによる第1リップ部53aの損傷を防止している。オイルシール53とダストカバー54とは相対回転するため、第2リップ部53bは磨耗し、両者間に隙間が発生するが、第2リップ部53bを弾性変形させて組み付けることで摺動部に向けて常時付勢力を発生させ、第2リップ部53bの磨耗量分だけ第2リップ部53bを摺動部54c側に弾性変形させ、両者は隙間の無い状態を維持することができる。
【0023】
しかしながら、更に磨耗が進行すると第2リップ部53bが弾性変形する前の状態(組み付け前の状態)まで変形し、摺動部54cに向けての付勢力を得ることができない。これにより、第2リップ部53bと摺動部54cとの間に隙間が発生し、第1リップ部53aに異物が混入することにより第1リップ部53aが損傷するという問題が生じる。
【0024】
上記問題を解決すべく、第2リップ部53bと摺動部54cとの間に生じる付勢力をより長時間発生させる構成とすることが考えられる。具体的には、第2リップ部53bによる摺動部への付勢力を大きくすることが考えられる。しかし、第2リップ部53bが磨耗するにつれて、第2リップ部53bと摺動部54cとの接触点における成す角が直角に近づくように第2リップ部53bが弾性変形し、両者の接触面積が小さくなる。即ち、磨耗するに連れて面圧が増大し、第2リップ部53bの磨耗が促進されるという問題があった。そこで、実施例1では、第2リップ部53bと摺動部54cの両方を弾性変形させ、付勢力を発生させる構成とした。
【0025】
図5は実施例1のオイルシール及びダストカバーの組み付け状態を表す概略説明図である。図5(a)はダストカバー54に負荷のかかっていない組み付け前の状態を表し、図5(b)はダストカバー54とオイルシール53とが組み付けによって変形している状態を表し、図5(c)は摺動磨耗によって変形した状態を表す。図5(a)に示すように、ダストカバー54の円筒状の摺動部54cは、オイルシール53への組み付け前において、回転軸に平行な軸線O1を基準として内周側に縮径した状態とされている。言い換えると、摺動部54cは、組み付け前の摺動部54cの径方向寸法に対して径方向外側に拡径するように弾性変形可能であり、拡径した状態で摺動部54cと第2リップ部53bとを組み付けることで、摺動部54cを第2リップ部53bに向けて付勢するものである(付勢手段に相当)。
【0026】
オイルシール53とダストカバー54とが組みつけられると、図5(b)に示すように、摺動部54cは径方向外側に拡径し、第2リップ部53bは径方向内側に縮径する。すなわち、組みつけられたお互いが、ある程度弾性変形する。従来技術にあっては、オイルシール側の第2リップ部53bのみが弾性変形し、摺動磨耗が生じてもオイルシールとダストカバーとの間に隙間が生じないようにしていた。オイルシールの耐磨耗性や耐久性を考慮し、初期状態で必要な弾性変形量をx1とする。この場合、図5(d)に示すように、変形量x1を得るには、力F1で摺動接触させる必要があり、より磨耗が進行しやすくシール性能の低下を招きやすい。これに対し、実施例1では、オイルシール53とダストカバー54の両方が弾性変形する構成であるため、一方側に必要な弾性変形量はx1の半分に相当するx2で十分となる。弾性変形量が小さくなれば、その変形量を達成するのに必要な力F2も小さくてよく、これにより磨耗の進行を遅らせ、耐久性の向上を図ることができるのである。
【0027】
また、図5(c)に示すように、実施例1の場合、主に第2リップ部53bの磨耗が進行すると、摺動部54cは径方向内側に縮径し、第2リップ部53bは径方向外側に拡径していき、これにより摺動面積が増大していく。言い換えると、第2リップ部53bと摺動部54cとの成す角が直角から遠ざかるように第2リップ部53bが弾性変形する。すなわち、組み付け当初は、第2リップ部53bと摺動部54c内周とは軸方向において短い範囲で接触しているものの、磨耗と共に軸方向において長い範囲(図5(c)のL1参照)で接触するようになる。すると、単位面積当たりの受ける力が減少、すなわち面圧を抑制することになり、耐摩耗性を向上することができるのである。言い換えると、図5(c)の比較例において示すように、第2リップ部53bのみが弾性変形する構成とした場合、磨耗時における摺動部54cと第2リップ部53bとの成す角が直角に向かっていくため、磨耗と共に軸方向においてさほど長い範囲で接触することができないのである(図5(c)のL2参照)。
【0028】
以上説明したように、実施例1にあっては下記に列挙する作用効果を得ることができる。
(1)ケース47(第1部材)と、このケース47と相対回転可能な左右サイドギア43L,43R(第2部材を構成する一部に相当)と、ケース47と左右サイドギア43L,43Rとの間であって、左右サイドギア43L,43Rに取り付けられ、左右サイドギア43L,43Rと摺動する第1リップ部53aと、弾性変形可能な第2リップ部53bとを有するオイルシール53(シール部材)と、第2リップ部53bの弾性変形による付勢力を受け、かつ、該第2リップ部53bと摺動する摺動部54cを有し、左右ドライブシャフト44L,44R(第2部材を構成する一部に相当)に取り付けられたダストカバー54と、摺動部54cを第2リップ部53bに向けて付勢し、第2リップ部53bの磨耗に応じて摺動部54cを該第2リップ部53bに向けて弾性変形させることとした(付勢手段)。
【0029】
すなわち、第2リップ部53bが弾性変形する前の状態(組み付け前の状態)まで変形し、摺動部54cに向けての付勢力を得ることができなくなっても、付勢手段を構成することで摺動部54cを第2リップ部53bに向けて付勢することができる。よって、オイルシール53とダストカバー54との間に隙間が生じることを防止し、第1リップ部53aに異物が混入することを防止し、第1リップ部53aの損傷を防止することができる。
【0030】
(2)オイルシール53(シール部材)とダストカバー54とは、摺動部54cの内周面と第2リップ部53bの外周面とが摺動するように組みつけられ、摺動部54cは、組み付け前の摺動部径方向寸法に対して径方向外側に拡径するよう弾性変形可能であって、付勢手段は、摺動部54cを拡径させた状態で第2リップ部53bと組み付けることで摺動部を第2リップ部53bに向けて付勢する。
【0031】
このように、ダストカバー54の変形を利用して付勢手段を構成することで、新たな付勢手段を別途設ける必要が無く、スペースの制約を受けることなく、第1リップ部53aの損傷を防止することができる。
【実施例2】
【0032】
次に実施例2について説明する。基本的な構成は実施例1と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。図6は実施例2のオイルシール及びダストカバーの組み付け状態を表す概略説明図である。図6(a)はダストカバー54に負荷のかかっていない組み付け前の状態を表し、図6(b)はダストカバー54とオイルシール53とを締め付けバンド60により組み付けた状態を表し、図6(c)は摺動磨耗によって変形した状態を表す。図6(a)に示すように、ダストカバー54の円筒状の摺動部54cは、オイルシール53への組み付け前において、回転軸に平行な軸線O1と略平行に形成されている。この状態でドライブシャフト44にダストカバー54を取り付ける。
【0033】
次に、ダストカバー54の外周に締め付けバンド60を取り付ける。この締め付けバンド60は、内周側に縮径するような弾性力を有するバンド部61と、バンド部61の両端にそれぞれ形成されバンド部61の径を拡縮させるための突起部62,63とを有する。突起部62と突起部63を図6(b)の湾曲矢印に示すように近づけると、バンド部61が拡径するものである。この拡径工程は作業者が手で行ってもよいし、治具を使って拡径してもよく、特に限定しない。
【0034】
次に、締め付けバンド60を拡径した状態でオイルシール53とダストカバー54とを組みつけ、突起部62と突起部63とを解放することで縮径する。すると、図6(c)に示すように、締め付けバンド60の弾性力によってダストカバー54の外周側から内周側に向けて弾性変形により縮径し、更に、オイルシール53の第2リップ部53bも弾性変形により縮径する。
【0035】
また、図6(c)に示すように、実施例2の場合、主に第2リップ部53bの磨耗が進行すると、摺動部54cは径方向内側に縮径し、第2リップ部53bは径方向外側に拡径していき、これにより摺動面積が増大していく。言い換えると、第2リップ部53bと摺動部54cとの成す角が直角から遠ざかるように第2リップ部53bが弾性変形する。すなわち、組み付け当初は、第2リップ部53bと摺動部54c内周とは軸方向において短い範囲で接触しているものの、磨耗と共に軸方向において長い範囲(図6(c)のL1参照)で接触するようになる。すると、単位面積当たりの受ける力が減少、すなわち面圧を抑制することになり、耐摩耗性を向上することができるのである。
【0036】
以上説明したように、実施例2にあっては、実施例1の作用効果(1)に加えて、下記の作用効果を得ることができる。
(3)オイルシール53(シール部材)とダストカバー54とは、摺動部54cの内周面と第2リップ部53bの外周面とが摺動するように組みつけられ、摺動部54cは、組み付け前の該摺動部径方向寸法に対して径方向内側に縮径するよう弾性変形可能であって、締め付けバンド60(付勢手段)は、摺動部54cの外周と接触するバンド部61(接触部材)と、摺動部54cと第2リップ部53bとを組み付けバンド部61を径方向内側に付勢することで摺動部54cを第2リップ部53bに向けて付勢する(接触部材付勢手段:バンド部61の弾性変形力を利用して内周側に付勢する手段)。
このように、ダストカバー54の外周側から締め付けバンド60により付勢して縮径させる付勢手段を構成することで、第1リップ部53aの損傷を防止することができる。
(4)接触部材はバンド部61であり、接触部材付勢手段はバンド部61の弾性力であるため、簡易な構成で摺動部54cを第2リップ部53bに付勢することができる。
【実施例3】
【0037】
次に実施例3について説明する。基本的な構成は実施例1と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。図7は実施例3のオイルシール及びダストカバーの組み付け状態を表す概略説明図である。図7(a)はダストカバー54に負荷のかかっていない組み付け前の状態を表し、図7(b)はダストカバー54とオイルシール53とを締め付けバンド60により組み付けた状態を表し、図7(c)は摺動磨耗によって変形した状態を表す。図7(a)に示すように、ダストカバー54の円筒状の摺動部54cは、オイルシール53への組み付け前において、回転軸に平行な軸線O1よりも外周側に拡径した状態に形成されている。この状態でドライブシャフト44にダストカバー54を取り付ける。オイルシール53の第2リップ部53bは、負荷の作用していない径方向初期位置では、ダストカバー54に負荷の作用していない径方向初期位置よりも外周側となるように配置している(図7(b)の点線参照)。
【0038】
次に、ダストカバー54を外周側に押し広げつつ、オイルシール53を内周側に縮径させた状態でオイルシール53とダストカバー54とを組みつける。すると、図7(b)に示すように、ダストカバー54の弾性力(拡径状態から初期位置に戻ろうとする力)によってダストカバー54の外周側から内周側に向けて弾性変形し、更に、オイルシール53の第2リップ部53bも弾性力(縮径状態から初期位置に戻ろうとする力)によって弾性変形する。
【0039】
また、図7(c)に示すように、実施例3の場合、主に第2リップ部53bの磨耗が進行すると、摺動部54cは径方向内側に縮径し、第2リップ部53bは径方向外側に拡径していき、これにより摺動面積が増大していく。言い換えると、第2リップ部53bと摺動部54cとの成す角が直角から遠ざかるように第2リップ部53bが弾性変形する。すなわち、組み付け当初は、第2リップ部53bと摺動部54c内周とは軸方向において短い範囲で接触しているものの、磨耗と共に軸方向において長い範囲(図7(c)のL1参照)で接触するようになる。すると、単位面積当たりの受ける力が減少、すなわち面圧を抑制することになり、耐摩耗性を向上することができるのである。これにより、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
【実施例4】
【0040】
次に実施例4について説明する。基本的な構成は実施例1と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。図8は実施例4のオイルシール及びダストカバーの組み付け状態を表す概略説明図である。図8(a)はダストカバー54に負荷のかかっていない組み付け前の状態を表し、図8(b)はダストカバー54とオイルシール53とを組み付けた状態を表し、図8(c)は摺動磨耗によって変形した状態を表す。図8(a)に示すように、ダストカバー54の円筒状の摺動部54cは、オイルシール53への組み付け前において、回転軸に平行な軸線O1と略平行に形成されている。この状態でドライブシャフト44にダストカバー54を取り付ける。
【0041】
ダストカバー54の外周には、付勢手段として摺動部54cを内周側に縮径するように付勢するピストン70(接触部材に相当)及びスプリング71(接触部材付勢手段に相当)を有する。ピストン70を押し縮めた状態でオイルシール53と組みつける。すると、図8(c)に示すように、スプリング71の押し付け力によってダストカバー54は、外周側から内周側に向けて弾性変形により縮径し、更に、オイルシール53の第2リップ部53bも弾性変形により縮径する。
【0042】
また、図8(c)に示すように、実施例4の場合、主に第2リップ部53bの磨耗が進行すると、第2リップ部53bは径方向外側に拡径し、これにより第2リップ部53bが拡径しようとする力が減少することで、摺動部54cは径方向内側に縮径する。これにより摺動面積が増大していく。言い換えると、第2リップ部53bと摺動部54cとの成す角が直角から遠ざかるように第2リップ部53bが弾性変形する。すなわち、組み付け当初は、第2リップ部53bと摺動部54c内周とは軸方向において短い範囲で接触しているものの、磨耗と共に軸方向において長い範囲(図8(c)のL1参照)で接触するようになる。すると、単位面積当たりの受ける力が減少、すなわち面圧を抑制することになり、耐摩耗性を向上することができるのである。
【0043】
以上説明したように、実施例4にあっては、実施例1の作用効果(1)に加えて、下記の作用効果を得ることができる。
(5)オイルシール53(シール部材)とダストカバー54とは、摺動部54cの内周面と第2リップ部53bの外周面とが摺動するように組みつけられ、摺動部54cは、組み付け前の該摺動部径方向寸法に対して径方向内側に縮径するよう弾性変形可能であって、付勢手段は、摺動部54cの外周と接触するピストン70(接触部材)と、摺動部54cと第2リップ部53bとを径方向内側に付勢するスプリング71(接触部材付勢手段)とを有する。
このように、ダストカバー54の外周側からピストン70及びスプリング71により付勢して縮径させる付勢手段を構成することで、第1リップ部53aの損傷を防止することができる。
(6)接触部材はピストン70であり、接触部材付勢手段はスプリング71の弾性力であるため、簡易な構成で摺動部54cを第2リップ部53bに付勢することができる。
【実施例5】
【0044】
次に実施例5について説明する。基本的な構成は実施例1と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。図9は実施例5のオイルシール及びダストカバーの組み付け状態を表す概略説明図である。図9(a)はダストカバー54に負荷のかかっていない組み付け前の状態を表し、図9(b)はダストカバー54とオイルシール53とを組み付けた状態を表し、図9(c)は摺動磨耗によって変形した状態を表す。図9(a)に示すように、ダストカバー54の円筒状の摺動部54cは、オイルシール53への組み付け前において、回転軸に平行な軸線O1よりも外周側に拡径した状態に形成されている。この状態でドライブシャフト44にダストカバー54を取り付ける。オイルシール53の第2リップ部53bは、負荷の作用していない径方向初期位置では、ダストカバー54に負荷の作用していない径方向初期位置よりも内周側となるように配置している(図9(b)の点線参照)。
【0045】
次に、ダストカバー54を内周側に押し縮めつつ、オイルシール53を外周側に拡径させた状態でオイルシール53とダストカバー54とを組みつける。すると、図9(b)に示すように、ダストカバー54の弾性力(縮径状態から初期位置に戻ろうとする力)によってダストカバー54の内周側から外周側に向けて弾性変形し、更に、オイルシール53の第2リップ部53bも弾性力(拡径状態から初期位置に戻ろうとする力)によって弾性変形する。
【0046】
また、図9(c)に示すように、実施例5の場合、主に第2リップ部53bの磨耗が進行すると、摺動部54cは径方向外側に拡径し、第2リップ部53bは径方向内側に縮径していき、これにより摺動面積が増大していく。言い換えると、第2リップ部53bと摺動部54cとの成す角が直角から遠ざかるように第2リップ部53bが弾性変形する。すなわち、組み付け当初は、第2リップ部53b内周と摺動部54c外周とは軸方向において短い範囲で接触しているものの、磨耗と共に軸方向において長い範囲(図9(c)のL1参照)で接触するようになる。すると、単位面積当たりの受ける力が減少、すなわち面圧を抑制することになり、耐摩耗性を向上することができるのである。
【0047】
以上説明したように、実施例5にあっては、実施例1の作用効果(1)に加えて、下記の作用効果を得ることができる。
(7)オイルシール53(シール部材)とダストカバー54とは、摺動部54cの外周面と第2リップ部53bの内周面とが摺動するように組みつけられ、摺動部54cは、組み付け前の摺動部径方向寸法に対して径方向内側に縮径するよう弾性変形可能であって、付勢手段は、摺動部54cを縮径させた状態で第2リップ部53bと組み付けることで摺動部を第2リップ部53bに向けて付勢する。
【0048】
このように、ダストカバー54の変形を利用して付勢手段を構成することで、新たな付勢手段を別途設ける必要が無く、スペースの制約を受けることなく、第1リップ部53aの損傷を防止することができる。
【実施例6】
【0049】
次に実施例6について説明する。基本的な構成は実施例1と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。図10は実施例6のオイルシール及びダストカバーの組み付け状態を表す概略説明図である。図10(a)はダストカバー54に負荷のかかっていない組み付け前の状態を表し、図10(b)はダストカバー54とオイルシール53とを押し付けバンド80により組み付けた状態を表し、図10(c)は摺動磨耗によって変形した状態を表す。図10(a)に示すように、ダストカバー54の円筒状の摺動部54cは、オイルシール53への組み付け前において、回転軸に平行な軸線O1と略平行に形成されている。この状態でドライブシャフト44にダストカバー54を取り付ける。
【0050】
次に、ダストカバー54の内周に押し付けバンド80を取り付ける。この押し付けバンド80は、外周側に拡径するような弾性力を有するバンド部81と、バンド部81の両端にそれぞれ形成されバンド部81の径を拡縮させるための突起部82,83とを有する。突起部82と突起部83を図10(b)の湾曲矢印に示すように近づけると、バンド部81が縮径するものである。この拡径工程は作業者が手で行ってもよいし、治具を使って拡径してもよく、特に限定しない。
【0051】
次に、押し付けバンド80を拡径した状態でオイルシール53とダストカバー54とを組みつけ、突起部82と突起部83とを解放することで縮径する。すると、図10(c)に示すように、押し付けバンド80の弾性力によってダストカバー54の内周側から外周側に向けて弾性変形により拡径し、更に、オイルシール53の第2リップ部53bも弾性変形により拡径する。
【0052】
また、図10(c)に示すように、実施例6の場合、主に第2リップ部53bの磨耗が進行すると、摺動部54cは径方向外側に拡径し、第2リップ部53bは径方向内側に縮径していき、これにより摺動面積が増大していく。言い換えると、第2リップ部53bと摺動部54cとの成す角が直角から遠ざかるように第2リップ部53bが弾性変形する。すなわち、組み付け当初は、第2リップ部53bと摺動部54c内周とは軸方向において短い範囲で接触しているものの、磨耗と共に軸方向において長い範囲(図10(c)のL1参照)で接触するようになる。すると、単位面積当たりの受ける力が減少、すなわち面圧を抑制することになり、耐摩耗性を向上することができるのである。
【0053】
以上説明したように、実施例6にあっては、実施例1の作用効果(1)に加えて、下記の作用効果を得ることができる。
(8)オイルシール53(シール部材)とダストカバー54とは、摺動部54cの外周面と第2リップ部53bの内周面とが摺動するように組みつけられ、摺動部54cは、組み付け前の該摺動部径方向寸法に対して径方向外側に拡径するよう弾性変形可能であって、押し付けバンド80(付勢手段)は、摺動部54cの内周と接触するバンド部81(接触部材)と、摺動部54cと第2リップ部53bとを組み付けてバンド部81を径方向外側に付勢することで摺動部54cを第2リップ部53bに向けて付勢する(接触部材付勢手段:バンド部81の弾性変形力を利用して外周側に付勢する手段)。
このように、ダストカバー54の内周側から押し付けバンド80により付勢して拡径させる付勢手段を構成することで、第1リップ部53aの損傷を防止することができる。
(9)接触部材はバンド部81であり、接触部材付勢手段はバンド部81の弾性力であるため、簡易な構成で摺動部54cを第2リップ部53bに付勢することができる。また、内周側に押し付けバンド80を配置したため、コンパクトな構成で付勢することができる。
【実施例7】
【0054】
次に実施例7について説明する。基本的な構成は実施例1と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。図11は実施例7のオイルシール及びダストカバーの組み付け状態を表す概略説明図である。図11(a)はダストカバー54に負荷のかかっていない組み付け前の状態を表し、図11(b)はダストカバー54とオイルシール53とを組み付けた状態を表し、図11(c)は摺動磨耗によって変形した状態を表す。図11(a)に示すように、ダストカバー54の円筒状の摺動部54cは、オイルシール53への組み付け前において、回転軸に平行な軸線O1と略平行に形成されている。この状態でドライブシャフト44にダストカバー54を取り付ける。
【0055】
ダストカバー54の外周には、付勢手段として摺動部54cを外周側に拡径するように付勢するピストン90(接触部材に相当)及びスプリング91(接触部材付勢手段に相当)を有する。ピストン90を押し縮めた状態でオイルシール53と組みつける。すると、図11(c)に示すように、スプリング91の押し付け力によってダストカバー54は、内周側から内周側に向けて弾性変形により拡径し、更に、オイルシール53の第2リップ部53bも弾性変形により縮径する。
【0056】
また、図11(c)に示すように、実施例7の場合、主に第2リップ部53bの磨耗が進行すると、第2リップ部53bは径方向内側に縮径し、これにより第2リップ部53bが縮径しようとする力が減少することで、摺動部54cは径方向外側に拡径する。これにより摺動面積が増大していく。言い換えると、第2リップ部53bと摺動部54cとの成す角が直角から遠ざかるように第2リップ部53bが弾性変形する。すなわち、組み付け当初は、第2リップ部53bと摺動部54c外周とは軸方向において短い範囲で接触しているものの、磨耗と共に軸方向において長い範囲(図11(c)のL1参照)で接触するようになる。すると、単位面積当たりの受ける力が減少、すなわち面圧を抑制することになり、耐摩耗性を向上することができるのである。
【0057】
以上説明したように、実施例7にあっては、実施例5の作用効果(7)に加えて、下記の作用効果を得ることができる。
(10)オイルシール53(シール部材)とダストカバー54とは、摺動部54cの外周面と第2リップ部53bの内周面とが摺動するように組みつけられ、摺動部54cは、組み付け前の該摺動部径方向寸法に対して径方向外側に拡径するよう弾性変形可能であって、付勢手段は、摺動部54cの内周と接触するピストン90(接触部材)と、摺動部54cと第2リップ部53bとを径方向外側に付勢するスプリング91(接触部材付勢手段)とを有する。
このように、ダストカバー54の内周側からピストン90及びスプリング91により付勢して拡径させる付勢手段を構成することで、第1リップ部53aの損傷を防止することができる。
(11)接触部材はピストン90であり、接触部材付勢手段はスプリング91の弾性力であるため、簡易な構成で摺動部54cを第2リップ部53bに付勢することができる。
【0058】
(他の実施例)
以上、本発明の回転体支持構造を実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に記載された本発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。例えば、本実施例においては、デファレンシャル機構とドライブシャフトとの組み付け部に適用した例を示したが、他の回転体支持構造において本発明を適用してもよい。例えば、変速機とプロペラシャフトとの接続部における支持構造や、プロペラシャフトとデファレンシャル機構との接続部における支持構造などにも適用可能である。
【0059】
本実施例に用いているダストカバー54の摺動部54cは、例えば、金属製の板バネが用いられ、厚さは0.4〜0.6mm程度である。これは、厚く設定しすぎることでバネ性を得ることができなくなる点と、薄く設定しすぎることで摺動時に破損する点と、を考慮して設定される厚さである。これにより、摺動部54cを拡径または縮径した際に破損することなく弾性力を発生させることができる。
【0060】
本実施例においては、第1リップ部53cが延設部43cと摺動する構成にて説明したが、延設部43cがサイドギア43L,43Rの回転軸方向において短く形成され、第1リップ部53aがドライブシャフト44L,44Rと摺動する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0061】
16 ファイナルドライブ機構
36 ファイナルギア
44L,R 左右ドライブシャフト
45 ボルト
46 カバー
47 ケース
48 ベアリング
49 ベアリング
53 オイルシール
53a リップ部
53b リップ部
53c 圧入部
54 ダストカバー
54a 圧入部
54b フランジ部
54c 摺動部
60 締め付けバンド
61 バンド部
62,63 突起部
70 ピストン
71 スプリング
80 押し付けバンド
81 バンド部
82,83 突起部
90 ピストン
91 スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と、
該第1部材と相対回転可能な第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材との間であって、前記第1部材と前記第2部材のいずれか一方に取り付けられ、前記第1部材と前記第2部材のいずれか他方と摺動する第1リップ部と、弾性変形可能な第2リップ部とを有するシール部材と、
前記第2リップ部からの付勢力を受け、かつ、該第2リップ部と摺動する摺動部を有し、前記第1部材と前記第2部材のいずれか他方に取り付けられたダストカバーと、
前記第2リップ部の磨耗に応じて前記摺動部を該第2リップ部に向けて弾性変形させる付勢手段と、
を備えたことを特徴とする回転体支持構造。
【請求項2】
請求項1に記載の回転体支持構造において、
前記シール部材と前記ダストカバーとは、前記摺動部の内周面と前記第2リップ部の外周面とが摺動するように組みつけられ、
前記摺動部は、組み付け前の該摺動部径方向寸法に対して径方向外側に拡径するよう弾性変形可能であって、
前記付勢手段は、前記摺動部を拡径させた状態で前記第2リップ部と組み付けることで前記摺動部を前記第2リップ部に向けて付勢することを特徴とする回転体支持構造。
【請求項3】
請求項1に記載の回転体支持構造において、
前記シール部材と前記ダストカバーとは、前記摺動部の外周面と前記第2リップ部の内周面とが摺動するように組みつけられ、
前記摺動部は、組み付け前の該摺動部径方向寸法に対して径方向内側に縮径するよう弾性変形可能であって、
前記付勢手段は、前記摺動部を縮径させた状態で前記第2リップ部と組み付けることで前記摺動部を前記第2リップ部に向けて付勢することを特徴とする回転体支持構造。
【請求項4】
請求項1に記載の回転体支持構造において、
前記シール部材と前記ダストカバーとは、前記摺動部の内周面と前記第2リップ部の外周面とが摺動するように組みつけられ、
前記摺動部は、組み付け前の該摺動部径方向寸法に対して径方向内側に縮径するよう弾性変形可能であって、
前記付勢手段は、前記摺動部の外周と接触する接触部材と、前記摺動部と前記第2リップ部とを組み付け前記接触部材を径方向内側に付勢することで前記摺動部を前記第2リップ部に向けて付勢する接触部材付勢手段と、を有することを特徴とする回転体支持構造。
【請求項5】
請求項1に記載の回転体支持構造において、
前記シール部材と前記ダストカバーとは、前記摺動部の外周面と前記第2リップ部の内周面とが摺動するように組みつけられ、
前記摺動部は、組み付け前の該摺動部径方向寸法に対して径方向外側に拡径するよう弾性変形可能であって、
前記付勢手段は、前記摺動部の内周と接触する接触部材と、前記摺動部と前記第2リップ部とを組み付け前記接触部材を径方向外側に付勢することで前記摺動部を前記第2リップ部に向けて付勢する接触部材付勢手段と、を有することを特徴とする回転体支持構造。
【請求項6】
請求項4または5に記載の回転体支持構造において、
前記接触部材はバンドであり、前記接触部材付勢手段は前記バンドの弾性力であることを特徴とする回転体支持構造。
【請求項7】
請求項4または5に記載の回転体支持構造において、
前記付勢部材はピストン端部であり、前記接触部材付勢手段は該ピストン端部を押圧する押圧手段であることを特徴とする回転体支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−247292(P2011−247292A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118119(P2010−118119)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(000231350)ジヤトコ株式会社 (899)
【Fターム(参考)】