回転体駆動伝達機構及びそれを用いた画像形成装置
【課題】軸芯違いがある状態で回転駆動しても1回転周期の回転速度変動の発生を防止する回転体駆動伝達機構及びそれを用いた画像形成装置を提供する。
【解決手段】本発明の回転体駆動伝達機構は、回転可能に支持された回転体10Yと、該回転体と一体的に接続され該回転体を回転駆動する駆動力を媒介する回転受動部材150と、該回転受動部材150と係合し該回転受動部材150に回転駆動力を伝達して回転駆動させる回転伝達部材110と、前記回転伝達部材120内に設けられ、前記回転体の回転軸方向に延在して多角形状をなす柱状のトルク伝達部材110と、前記回転受動部材150に設けられ、前記トルク伝達部材110の多角形状に対応し前記トルク伝達部材110とは回転方向及び回転軸直角方向に所定のクリアランスが設けられた多角形状面を有する係合用凹面部160と、からなることを特徴とする。
【解決手段】本発明の回転体駆動伝達機構は、回転可能に支持された回転体10Yと、該回転体と一体的に接続され該回転体を回転駆動する駆動力を媒介する回転受動部材150と、該回転受動部材150と係合し該回転受動部材150に回転駆動力を伝達して回転駆動させる回転伝達部材110と、前記回転伝達部材120内に設けられ、前記回転体の回転軸方向に延在して多角形状をなす柱状のトルク伝達部材110と、前記回転受動部材150に設けられ、前記トルク伝達部材110の多角形状に対応し前記トルク伝達部材110とは回転方向及び回転軸直角方向に所定のクリアランスが設けられた多角形状面を有する係合用凹面部160と、からなることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニットカートリッジを構成する像担持体などに画像形成装置本体から回転駆動動力を供給する際に用いる着脱可能な回転体駆動伝達機構、及びそのような回転体駆動伝達機構を用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー画像を形成する画像形成装置では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各原色ごとの像担持体を有し、各像担持体で各色のトナー画像を形成し、これを中間転写体に重ね、4 色の重なったトナー画像を転写紙に転写してカラー画像を形成している。
【0003】
各像担持体は、それぞれが、帯電装置、現像装置、転写装置、クリーニング装置等を備えた画像形成ユニットを構成しており、各色の画像形成ユニットは、ユニットカートリッジの形で画像形成装置本体から軸方向に着脱可能に構成されている。このようなユニットカートリッジを構成する像担持体などには、画像形成装置本体から回転駆動動力を供給する必要があり、着脱可能な回転体駆動伝達機構であるカップリングが用いられる。
【0004】
このような回転体駆動伝達機構とてしては、例えば、特許文献1(特開2006−284622号公報)に記載されたものが知られている。特許文献1に記載のものは、駆動手段の回転を像担持体に駆動伝達する駆動伝達構造であり、像担持体は駆動手段に対して回転軸方向に相対的に移動して接離され、その双方はカップリングによって接続される構造である。そして、当該カップリングは駆動側カップリングと被駆動側カップリングから構成されて双方のカップリングは駆動力を伝達する為の接離方向に延在する複数の当接面を有し、この相互に当接する2つの当接面の接離方向に対する角度に角度差を設けて構成し、複数の当接面が1点当たりしないようにして回転ムラを抑制する構造である。さらに、双方のカップリングの少なくも一方側に中空円筒部を設けて他方側のカップリングを支持する回転軸がクリアランスを有して遊勘する構成にして、駆動手段と像担持体の軸芯違いが生じても上記複数の当接面が1点当たりしない様に工夫している。
【特許文献1】特開2006−284622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1記載のものにおいては、相互に当接する2つの当接面の接離方向に対する角度に角度差を設けて複数の当接面が1点当たりしないようにして回転ムラを抑制する構造であるが、双方に当接する当接面の回転方向における位相差が極小の場合には双方の、或いはいずれか一方側のカップリンブが接離方向に対して傾きを生じて1点当たりを防止可能であるが、その位相差が許容値を超えると1点当たりの解消は不可能であり、極めて高精度のカップリングの構成が必要になる。このように特許文献1記載のカップリングは、高い寸法精度が要求され、許容誤差がきわめて小さいので、量産時における歩留まりの低下を招くおそれがある、などの問題があった。
【0006】
また、双方のカップリングの少なくも一方側に中空円筒部を設けて他方側のカップリングを支持する回転軸がクリアランスを有して遊勘する構成にして、駆動手段と像担持体の軸芯違いが生じても上記複数の当接面が1点当たりしない様に工夫しているが、仮に、1点当たりを抑制して回転駆動しても駆動側と被駆動側に軸芯違いがある状態で回転駆動すると、微視的にとらえると回転中に上記双方の当接面は1回転周期の軸直角方向の滑り移動などを生じて回転するので、1回転周期の回転速度変動を防止する事はできない欠陥を有する。すなわち、特許文献1記載のものでは、カップリングの1回転周期当たりにジッターが発生し、このカップリングを画像形成装置に適用した場合には、画像乱れ、ムラなどが発生する、という問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するためのもので、本発明に係る回転体駆動伝達機構は、回転可能に支持された回転体と、該回転体と一体的に接続され該回転体を回転駆動する駆動力を媒介する回転受動部材と、該回転受動部材と係合し該回転受動部材に回転駆動力を伝達して回転駆動させる回転伝達部材と前記回転伝達部材内に設けられ、前記回転体の回転軸方向に延在して多角形状をなす柱状のトルク伝達部材と、前記回転受動部材に設けられ、前記トルク伝達部材の多角形状に対応し前記トルク伝達部材とは回転方向及び回転軸直角方向に所定のクリアランスが設けられた多角形状面を有する係合用凹面部と、からなることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る回転体駆動伝達機構は、前記係合用凹面部の多角形状は、互いに平行を成す面を少なくとも一対含む多角形状であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る画像形成装置は、回転駆動源に接続された前記回転伝達部材を一つ有し、前記回転体は像担持体、アニロックスローラ、現像ローラ、像担持体スクイーズローラ、トナー圧縮ローラのうちのいずれか一つであることを特徴とする前記記載の回転体駆動伝達機構を用いた画像形成装置である。
【0010】
また、本発明に係る画像形成装置は、回転駆動源に接続された前記回転伝達部材を複数有し、前記回転体は像担持体、アニロックスローラ、現像ローラ、像担持体スクイーズローラ、トナー圧縮ローラの任意の組み合わせであることを特徴とする前記記載の回転体駆動伝達機構を用いた画像形成装置である。
【0011】
また、本発明に係る画像形成装置は、異なる回転駆動源に接続された前記回転伝達部材を複数有し、前記回転体は像担持体、アニロックスローラ、現像ローラ、像担持体スクイーズローラ、トナー圧縮ローラの任意の組み合わせであることを特徴とする前記記載の回転体駆動伝達機構を用いた画像形成装置である。
【0012】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記回転体それぞれに対応する回転受動部材の係合用凹面部における平行面が互いに平行とならないように設定されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記回転体は像担持体及びアニロックスローラであって、該像担持体に対応する回転受動部材の係合用凹面部における平行面と、該アニロックスローラに対応する回転受動部材の係合用凹面部における平行面とが互いに平行とならないように設定されることを特徴とする。
【0014】
本発明の回転体駆動伝達機構によれば、簡単な構造によって極度な高精度構成によらず、また、駆動側と被駆動側に軸芯違いがある状態で回転駆動しても1回転周期の回転速度変動の発生を防止して安定した回転駆動伝達を可能にした回転体駆動伝達機構を提供することできる。
【0015】
また、本発明の回転体駆動伝達機構によれば、ある程度の寸法誤差があったとしても不良品とはならないので量産時の歩留まり向上に資することができる。
【0016】
また、本発明の回転体駆動伝達機構を用いた画像形成装置によれば、回転体駆動伝達機構の1回転周期当たりにジッターが発生し、画像乱れ、ムラなどが発生するということがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施の形態に係る回転体駆動伝達機構を用いた画像形成装置を構成する主要構成要素を示した図である。画像形成装置の中央部に配置された各色の画像形成部に対し、現像ユニット30Y、30M、30C、30Kは、画像形成装置の下部に配置され、中間転写体40、二次転写部60は、画像形成装置の上部に配置されている。
【0018】
画像形成部は、像担持体10Y、10M、10C、10K、帯電ローラ11Y、11M、11C、11K、不図示の露光ユニット12Y、12M、12C、12K等を備えている。露光ユニット12Y、12M、12C、12Kは、半導体レーザ、ポリゴンミラー、F−θレンズ等の光学系を有し、帯電ローラ11Y、11M、11C、11Kにより、像担持体10Y、10M、10C、10Kを一様に帯電させ、露光ユニット12Y、12M、12C、12Kにより、入力された画像信号に基づいて、変調されたレーザ光を照射して、帯電された像担持体10Y、10M、10C、10K上に静電潜像を形成する。
【0019】
現像ユニット30Y、30M、30C、30Kは、概略、現像ローラ20Y、20M、20C、20K、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)からなる各色の液体現像剤を貯蔵する現像剤容器(リザーバ)31Y、31M、31C、31K、これら各色の液体現像剤を現像剤容器31Y、31M、31C、31Kから現像ローラ20Y、20M、20C、20Kに供給するアニロックスローラ32Y、32M、32C、32K等を備え、各色の液体現像剤により像担持体10Y、10M、10C、10K上に形成された静電潜像を現像する。これらの現像ユニット30Y、30M、30C、30Kぞれぞれは画像形成装置本体と着脱自在に構成されている。
【0020】
像担持体10Y、10M、10C、10Kには、これらにスクイーズ作用を及ぼす像担持体スクイーズローラ13Y、13M、13C、13Kが当接し、また、現像ローラ20Y、20M、20C、20Kの周囲には、これらにコンパクション効果を及ぼすトナー圧縮ローラ22Y、22M、22C、22Kが設けられている。このトナー圧縮ローラ22Y、22M、22C、22Kは、現像ローラ20Y、20M、20C、20Kに接触状態であってもよいし、或いは、非接触の状態で保たれても構わない。
【0021】
中間転写体40は、エンドレスのベルトであり、駆動ローラ41とテンションローラ42との間に張架され、一次転写部50Y、50M、50C、50Kで像担持体10Y、10M、10C、10Kと当接しながら駆動ローラ41により回転駆動される。一次転写部50Y、50M、50C、50Kは、像担持体10Y、10M、10C、10Kと中間転写体40を挟んで一次転写ローラ51Y、51M、51C、51Kが対向配置され、像担持体10Y、10M、10C、10Kとの当接位置を転写位置として、現像された像担持体10Y、10M、10C、10K上の各色のトナー像を中間転写体40上に順次重ねて転写し、フルカラーのトナー像を形成する。
【0022】
二次転写ユニット60は、二次転写ローラ61が中間転写体40を挟んでベルト駆動ローラ41と対向配置され、さらに二次転写ローラクリーニングブレード62、現像剤貯留部63からなるクリーニング装置が配置される。そして、二次転写ローラ61を配置した転写位置において、中間転写体40上に形成された単色のトナー像やフルカラーのトナー像をシート材搬送経路Lにて搬送される用紙、フィルム、布等の記録媒体に転写する。
【0023】
さらに、経路シート材搬送経路Lの前方には、不図示の定着ユニットが配置され、用紙等の記録媒体上に転写された単色のトナー像やフルカラーのトナー像を用紙等の記録媒体に融着させ定着させる。
【0024】
また、テンションローラ42は、ベルト駆動ローラ41と共に中間転写体40を張架しており、中間転写体40のテンションローラ42に張架されている箇所で、中間転写体クリーニングブレード46、現像剤貯留部47からなるクリーニング装置が当接・配置されている。
【0025】
次に、画像形成部及び現像ユニットについて説明する。図2は画像形成部及び現像ユニットの主要構成要素を示した断面図である。図3はトナー圧縮ローラ22Yによるコンパクションを説明する図、図4は現像ローラ20Yによる現像を説明する図、図5は像担持体スクイーズローラ13Yによるスクイーズ作用を説明する図、図6は中間転写体スクイーズ装置52Yによるスクイーズ作用を説明する図である。各色の画像形成部及び現像ユニットの構成は同様であるので、以下、イエロー(Y)の画像形成部及び現像ユニットに基づいて説明する。
【0026】
画像形成部は、像担持体10Yの外周の回転方向に沿って、潜像イレーサ16Y、像担持体クリーニングブレード17Y及び現像剤貯留部18Yからなるクリーニング装置、帯電ローラ11Y、露光ユニット12Y、現像ユニット30Yの現像ローラ20Y、像担持体スクイーズローラ13Yとその付属構成である像担持体スクイーズローラクリーニングブレード14Yからなるクリーニング装置が配置されている。そして、現像ユニット30Yにおける現像ローラ20Yの外周には、現像ローラクリーニングブレード21Y及び現像剤貯留部24Yからなるクリーニング装置、アニロックスローラ32Y、トナー圧縮ローラ22Yが配置されている。
【0027】
トナー圧縮ローラ22Yの外周には、キャリア量調整ブレード23Yが設けられている。 さらに、液体現像剤容器31Yの中に液体現像剤供給ローラ34Y、アニロックスローラ32Yの一部が収容されている。また、中間転写体40に沿って、像担持体10Yと対向する位置に一次転写部の一次転写ローラ51Yが配置され、その移動方向下流側に中間転写体スクイーズローラ53Y、バックアップローラ54Y、中間転写体スクイーズローラクリーニングブレード55Y、現像剤貯留部56Yからなる中間転写体スクイーズ装置52Yが配置されている。
【0028】
像担持体10Yは、現像ローラ20Yの幅約320mmより広く、外周面に感光層が形成された円筒状の部材からなる感光体ドラムであり、例えば図2に示すように時計回りの方向に回転する。該像担持体10Yの感光層は、アモルファスシリコン像担持体等で構成される。帯電ローラ11Yは、像担持体10Yと現像ローラ20Yとのニップ部より像担持体10Yの回転方向の上流側に配置され、図示しない電源装置からトナー帯電極性と同極性のバイアスが印加され、像担持体10Yを帯電させる。露光ユニット12Yは、帯電ローラ11Yより像担持体10Yの回転方向の下流側において、帯電ローラ11Yによって帯電された像担持体10Y上にレーザ光を照射し、像担持体10Y上に潜像を形成する。
【0029】
現像ユニット30Yは、トナー圧縮ローラ22Y、キャリア内にトナーを概略重量比20%程度に分散した状態の液体現像剤を貯蔵する現像剤容器31Y、該液体現像剤を担持する現像ローラ20Y、液体現像剤を攪拌して一様の分散状態に維持し現像ローラ20Yに供給するためのアニロックスローラ32Yと規制ブレード33Yと供給ローラ34Y、現像ローラ20Yに担持された液体現像剤をコンパクション状態にするトナー圧縮ローラ22Y、現像ローラ20Yのクリーニングを行う現像ローラクリーニングブレード21Yを有する。
【0030】
図7はアニロックスローラの外観形状を示す図である。アニロックスローラ32Yと供給ローラ34Yはカウンタ回転するように構成する。アニロックスローラ32Yと供給ローラ34Yがカウンタ回転する状態であると、供給ローラ34Yからアニロックスローラ32Yへと均一な液体現像剤の膜を形成することができる。
【0031】
現像剤容器31Yに収容されている液体現像剤は、高濃度かつ高粘度の、常温で不揮発性を有する不揮発性液体現像剤である。すなわち、本発明における液体現像剤は、熱可塑性樹脂中へ顔料等の着色剤を分散させた平均粒径1μmの固形子を、有機溶媒、シリコンオイル、鉱物油又は食用油等の液体溶媒中へ分散剤とともに添加し、トナー固形分濃度を約20%とした高粘度(30〜10000mPa・s程度)の液体現像剤である。
【0032】
現像剤容器31Yにおいて、液体現像剤の中のトナー粒子はプラスの電荷を有し、この液体現像剤は、供給ローラ34Yにより撹拌され、アニロックスローラ32Yが回転することによって、現像剤容器31Yから汲み上げられる。
【0033】
規制ブレード33Yは、表面に弾性体を被覆して構成した弾性ブレード、アニロックスローラ32Yの表面に当接するウレタンゴム等からなるゴム部と、該ゴム部を支持する金属等の板で構成される。そして、アニロックスローラからなるアニロックスローラ32Yに担持搬送されてきた液体現像剤の膜厚、量を規制、調整し、現像ローラ20Yに供給する液体現像剤の量を調整する。
【0034】
現像ローラ20Yは、幅約320mmの円筒状の部材であり、回転軸を中心に図2に示すように反時計回りに回転する。該現像ローラ20Yは鉄等金属製の内芯の外周部に、ポリウレタンゴム、シリコンゴム、NBR等の弾性層を設けたものである。現像ローラクリーニングブレード21Yは、現像ローラ20Yの表面に当接するゴム等で構成され、現像ローラ20Yが像担持体10Yと当接する現像ニップ部より現像ローラ20Yの回転方向の下流側に配置されて、現像ローラ20Yに残存する液体現像剤を掻き落として除去するものである。
【0035】
トナー圧縮ローラ22Yは、円筒状の部材で、図3に示すように現像ローラ20Yと同様に弾性体22−1Yを被覆して構成した弾性ローラの形態であり、金属ローラ基材の表層に導電性の樹脂層やゴム層を備えた構造をし、例えば図2に示すように現像ローラ20Yと反対方向の時計回りに回転する。トナー圧縮ローラ22Yは、現像ローラ20Y表面の帯電バイアスを増加させる手段を有し、現像ローラ20Yによって搬送された現像剤は、図2及び図3に示すようにトナー圧縮ローラ22Yが摺接してニップを形成するトナー圧縮部位でトナー圧縮ローラ22Y側から現像ローラ20Yに向かってバイアス電界を印加する。このバイアス印加については、後に詳しく説明する。なお、トナー圧縮機能が有効であれば、トナー圧縮ローラ22Yは現像ローラ20Yと接触しないように構成することもできる。
【0036】
このトナー圧縮ローラ22Yにより、図3に示すようにキャリアCに一様分散したトナーTを現像ローラ20Y側に移動させて凝集させ、所謂トナー圧縮状態T′を形成し、また、キャリアCの一部とトナー圧縮されなかった若干のトナーT″を担持して図中矢印方向に回転してキャリア量調整ブレード23Yによって掻き落として除去されリザーバ31Y内の現像剤と合流して再利用される。一方、現像ローラ20Yに担持されてトナー圧縮された現像剤Dは、図4に示すように現像ローラ20Yが像担持体10Yに当接する現像ニップ部において、所望の電界印加によって、像担持体10Yの潜像に対応して現像される。
【0037】
像担持体スクイーズ装置は、像担持体10Yに対向して現像器20Yの下流側に配置して像担持体10Yに現像されたトナー像の余剰現像剤を回収するものであり、図2及び図5に示すように表面に弾性体13−1Yを被覆して像担持体10Yに摺接して回転する弾性ローラ部材から成る像担持体スクイーズローラ13Yと、該像担持体スクイーズローラ13Yに押圧摺接して表面をクリーニングするクリーニングブレード14Yとから構成され、図5に示すように像担持体10Yに現像された現像剤Dから余剰なキャリアC及び本来不要なカブリトナーT″を回収し、顕像内のトナー粒子比率を上げる機能を有する。余剰キャリアCの回収能力は、像担持体スクイーズローラ13Yの回転方向及び像担持体10Y表面の周速度に対する像担持体スクイーズローラ13Y表面の相対的な周速度差によって所望の回収能力に設定することが可能であり、像担持体10Yに対してカウンタ方向に回転させると回収能力は高まり、また、周速度差を大きく設定しても回収能力が高まり、更に、この相乗作用も可能である。
【0038】
本実施形態では、一例として図5に示すように像担持体スクイーズローラ13Yを像担持体10Yに対して略同一周速度でウィズ回転させ、像担持体10Yに現像された現像剤Dから重量比5〜10%程度の余剰キャリアCを回収していて双方の回転駆動負荷を軽減するとともに、像担持体10Yの顕像トナー像への外乱作用を抑制している。像担持体スクイーズローラ13Yによって回収された余剰なキャリアC及び不要なカブリトナーT″はクリーニングブレード14Yの作用によって像担持体スクイーズローラ13Yから回収される。
【0039】
一次転写部50Yでは、像担持体10Yに現像された現像剤像を一次転写ローラ51Yにより中間転写体40へ転写する。ここで、像担持体10Yと中間転写体40は等速度で移動する構成であり、回転及び移動の駆動負荷を軽減するとともに、像担持体10Yの顕像トナー像への外乱作用を抑制している。なお、1色目の一次転写部50Yでは初回一次転写なので混色現象は発生しないが、2色目以降は既に一次転写されたトナー像部位に更に異なるトナー像を転写して色重ねするので中間転写体40から像担持体10(M、C、K)へトナーが移行する所謂逆転写現象によって逆転写トナーと転写残りトナーは混色して余剰キャリアとともに像担持体10(M、C、K)に担持されて移動し、クリーニングブレード17(M、C、K)の作用によって像担持体から回収してプールされる。
【0040】
中間転写体スクイーズ装置52Yは、一次転写部50Yの下流側に配置され、中間転写体40上から余剰なキャリア液を除去し、顕像内のトナー粒子比率を上げる処理を行うものであり、一次転写部50Yで中間転写体40に転写された現像剤(キャリア内に分散したトナー)のキャリア量が前述した終段階のシート材に二次転写して図示省略した定着行程に進行する段階で、好ましい二次転写機能及び定着機能を発揮させるために当該液体現像剤の望ましい分散状態の概略トナー重量比で40%〜60%程度に至っていない場合に、中間転写体40から更に余剰キャリアを除去する手段として設けられている。中間転写体スクイーズ装置52Yは、像担持体スクイーズ装置と同様、表面に弾性体を被覆して像担持体40に摺接して回転する弾性ローラ部材から成る中間転写体スクイーズローラ53Y、像担持体40を挟んで中間転写体スクイーズローラ53Yと対向配置されるバックアップローラ54Y、中間転写体スクイーズローラ53Yに押圧摺接して表面をクリーニングするクリーニングブレード55Y及び現像剤貯留部56Yから構成され、図6に示すように中間転写体40に一次転写された現像剤Dから余剰なキャリアC及び本来不要なカブリトナーT″を回収する機能を有する。現像剤貯留部56Yは、その下流側に配置されたマゼンタの像担持体スクイーズローラクリーニングブレード14Mで回収されるキャリア液の回収機構も兼ねている。
【0041】
余剰キャリアの回収能力は、中間転写体スクイーズローラ53Yの回転方向及び中間転写体40の移動速度に対する中間転写体スクイーズローラ53Y表面の相対的な周速度差によって所望の回収能力に設定することが可能であり、中間転写体40に対してカウンタ方向に回転させると回収能力は高まり、また、周速度差を大きく設定しても回収能力が高まり、更に、この相乗作用も可能である。本実施形態では、一例として中間転写体スクイーズローラ53Yを中間転写体40に対して略同一周速度でウィズ回転させ、中間転写体40に一次転写された現像剤から重量比5〜10%程度の余剰キャリア及びカブリトナーを回収していて双方の回転駆動負荷を軽減するとともに、中間転写体40のトナー像への外乱作用を抑制している。
【0042】
なお、1色目の中間転写体スクイーズ部位では初回中間転写体スクイーズなので混色現象は発生しないが、2色目以降は既に一次転写されたトナー像部位に更に異なるトナー像が転写されて色重ねされているので中間転写体40から中間転写体スクイーズローラ53Yへトナーが移行した場合のトナーは混色して余剰キャリアとともに中間転写体スクイーズローラ53Yに担持されて移動し、クリーニングブレードの作用によって中間転写体スクイーズローラ53Yから回収してプールされる。また、上述した中間転写体スクイーズ行程上流側の一次転写部位の像担持体40によるスクイーズ能力及び像担持体スクイーズローラ53Yのスクイーズ能力が充分な能力をもって行われる場合には、必ずしも全ての一次転写行程の下流側に中間転写体スクイーズ装置を設ける必要はない。
【0043】
本実施形態のキャリア内にトナーを分散させた現像剤を用いる液体現像画像形成装置では、概略重量比でキャリア80%の中にトナー20%を分散させた現像剤を用いていて、種々のプロセス行程を経て、シート材に二次転写する直前の位置、所謂二次転写位置でのトナー重量比(固形分率)が、コート紙等の滑らかな紙の場合には45%前後、普通紙の場合には55%前後、再生紙等の紙の繊維の目の粗さが大きいラフ紙の場合には60%前後とすることを目標に制御を行う。初期的に現像剤容器31Y内に貯蔵した現像剤はキャリア内に概略トナー重量比20%程度に分散した状態であるが、像担持体10Yへの現像において画像デューティーが高い現像の場合にはトナー分の消費比率が多く、逆に画像デューティーが低い現像の場合にはトナー分の消費比率が少なくなる。即ち、現像剤容器31Y内に貯蔵された現像剤のトナー重量比率は像担持体10Yへの現像にともなって刻々と変化していて、常時この変化を監視して概略トナー重量比20%程度に分散した状態に維持コントロールしていく必要がある。
【0044】
規制ブレード33Yは、アニロックスローラ32Yの表面に当接し、アニロックスローラ32Yの表面に形成されたアニロックスパターンの凹凸の溝内に液体現像剤を残しその他の余分な液体現像剤を掻き取って、現像ローラ20Yに供給する液体現像剤量を規制する。このような規制によって、現像ローラ20Yへ塗布される液体現像剤の膜厚が約6μmとなるように定量化される。規制ブレード33Yにより掻き取られた液体現像剤は、重力によって現像剤容器31Yに落下し戻され、規制ブレード33Yにより掻き取られなかった液体現像剤は、アニロックスローラ32Yの表面の凹凸の溝内に収容され、現像ローラ20Yに圧接することで、現像ローラ20Yの表面に塗布される。
【0045】
アニロックスローラ32Yによって液体現像剤を塗布された現像ローラ20Yは、アニロックスローラ32Yとのニップ部下流でトナー圧縮ローラ22Yに当接する。現像ローラ20Yには所定のバイアスが印加されており、トナー圧縮ローラ22Yには、現像ローラ20Yより高く、トナーの帯電極性と同極性のバイアスが印加される。なおバイアス印加について後に説明する。
【0046】
上記のようなバイアス印加のため現像ローラ20Y上の液体現像剤中のトナー粒子は、図3に示すようにトナー圧縮ローラ22Yとのニップを通過する際に、凝集され現像ローラ20Y側へ移動する。これによりトナー粒子同士が緩やかに結合・凝集され膜化された状態となり、像担持体10Yでの現像の際、トナー粒子は、現像ローラ20Yから像担持体10Yへの移動がすばやくなり、画像濃度が向上する。
【0047】
像担持体10Yはアモルファスシリコン製であり、現像ローラ20Yとのニップ部上流で帯電ローラ11Yにより帯電させられた後、露光ユニット12Yにより潜像が形成される。現像ローラ20Yと像担持体10Yとの間に形成される現像ニップ部では、現像ローラ20Yに印加されているバイアスと像担持体10Y上の潜像で形成される電界に従い、図4に示すように選択的にトナー粒子Tが像担持体10Y上の画像部へと移動し、これにより、像担持体10Y上にトナー画像が形成される。また、キャリア液Cは電界の影響を受けないため、図4に示すように現像ローラ20Yと像担持体10Yとの現像ニップ部出口で分離して、現像ローラ20Yと像担持体10Yとの両方に付着する。現像ニップ部を通過した像担持体10Yは、像担持体スクイーズローラ13Y部を通過し、図5に示すように余剰なキャリア液Cが除去され、顕像内のトナー粒子比率を上げる処理がなされる。
【0048】
次に像担持体10Yは、一次転写50Yにおいて中間転写体40とのニップ部を通過し顕像トナー像の中間転写体40への一次転写が行われる。一次転写ローラ51Yには、トナー粒子の帯電特性と逆極性のバイアスが印加されることにより、像担持体10Y上からトナーは中間転写体40に一次転写され、像担持体10Yにキャリア液のみが残る。一次転写部より像担持体10Yの回転方向の下流側において、一次転写後の、像担持体10Yはランプ等から成る潜像イレーサ16Yによって静電潜像が消去され、像担持体10Y上に残ったキャリア液は、像担持体クリーニングブレード17Yにより掻き取られ、現像剤貯留部18Yで回収される。
【0049】
一次転写部50Yで中間転写体40上に一次転写されたトナー画像は、中間転写体40上で余剰キャリアをかきとるために中間転写体スクイーズ装置52Yを通過する。中間転写体スクイーズ装置52Yの中間転写体スクイーズローラ53Y、及び、中間転写体スクイーズバックアップローラ54Yには所定のバイアスが印加されており、トナー粒子を中間転写体40側に押し付けるような電界を発生させている。このため中間転写体スクイーズローラ53Yには、図6に示すようにトナー粒子は回収されず、電界の影響を受けないキャリア液のみが中間転写体40と中間転写体スクイーズローラ53Yとの間での泣き別れにより回収される。
【0050】
中間転写体40上のトナー画像は次に二次転写ユニット60へと進み、中間転写体40と二次転写ローラ61とのニップ部に進入する。この際のニップ幅は3mmに設定されている。二次転写ユニット60において、二次転写ローラ61、ベルト駆動ローラ41には所定バイアスがそれぞれ印加されており、これにより中間転写体40上のトナー画像は用紙等の記録媒体に転写される。
【0051】
二次転写ユニット60を通過後、中間転写体40は、テンションローラ42の巻きかけ部へと進み、中間転写体クリーニングブレード46により中間転写体40上のクリーニングが行われ、再び、一次転写部50へと向かう。
【0052】
次に、二次転写ローラ61のスクイーズ機能について説明する。中間転写体40上に色重ねしたトナー像が二次転写部位に到達するタイミングに合せてシート材を供給し、該トナー画像をシート材に二次転写して図示省略した定着行程へと進めて最終的なシート材上の画像形成を終了するが、ジャムなどのシート材供給トラブルが発生した場合には、シート材が介在しない状態でトナー画像が二次転写ローラ61に接して転写されシート材裏面汚れを引き起こす。本実施形態二次転写ローラ61は、表面が繊維質などによって平滑でないシート材であっても、この非平滑なシート材表面に倣って二次転写特性を向上させる手段として、複数の感光体に形成したトナー像を順次一次転写して重ね合わせて担持し、一括してシート材に二次転写する中間転写体40に採用した弾性ベルトと同様の目的で表面に弾性体を被覆した弾性ローラで構成している。二次転写ローラクリーニングブレード62は、二次転写ローラ61に転写された現像剤(キャリア内に分散したトナー)を除去する手段として備え、二次転写ローラ61から現像剤を回収してプールされる。尚、このプールした現像剤は混色状態のものであり、紙粉等の異物も含んでいる場合がある。
【0053】
次に、中間転写体40のクリーニング装置について説明する。ジャムなどのシート材供給トラブルが発生した場合には、全てのトナー画像が二次転写ローラ61に転写されて回収されるものではなく、一部は中間転写体40上に残る。また、通常の二次転写行程においても中間転写体上40のトナー像は100%二次転写されてシート材に移行するものではなく、数パーセントの二次転写残りが発生する。この二種の不要トナー像は次の画像形成のために中間転写体40の移動方向下流側に配置された中間転写体クリーニングブレード46、現像剤貯留部47によって回収してプールされる。
【0054】
次に、実施の形態に係る回転体駆動伝達機構が用いられる現像ユニット30Y、30M、30C、30Kにおける駆動力の伝達について詳しく説明する。本発明の回転体駆動伝達機構は、画像形成装置本体側から、この本体と着脱自在に構成される現像ユニット30Y、30M、30C、30K側における像担持体、ローラ類に回転駆動力を伝達するために用いられる。
【0055】
図8は本発明の回転体駆動伝達機構が現像ユニットに用いられている様子を模式的に示す図であり、図9は本発明の実施の形態に係る回転体駆動伝達機構のカップリング時の断面を示す図であり、図10は本発明の実施の形態に係る回転体駆動伝達機構がカップリング前の断面を示す図であり、図11は本発明の実施の形態に係る回転体駆動伝達機構の各部材が完全係合する前の断面を示す図である。
【0056】
図8において、100は回転体駆動伝達機構を示しており、本実施形態では回転体駆動伝達機構100が、像担持体10Y、像担持体スクイーズローラ13Y、現像ローラ20Y、アニロックスローラ32Yへの回転駆動力伝達のために用いられている。なお、本実施形態では回転体駆動伝達機構100が、上記の各ローラに用いるようにしたが、上記の各ローラのうちの1つに用いるようにしてもよいし、また上記の各ローラの任意の組み合わせに用いるようにしてもよい。さらに、上記各ローラ以外のローラに回転体駆動伝達機構100を適用しても構わない。また、本実施形態では、液体現像剤を用いた画像形成装置に適用する例を示しているが、本発明はこれに限らず乾式のトナーを用いた画像形成装置にも適用することができる。
【0057】
図9乃至図11において、110はトルク伝達部材、120は回転伝達部材、112はバネ部材、113はフランジ部、114はキー部材、130は伝達用当接面部、140は回転体駆動源部、150は回転受動部材、151は回転体取付フランジ部、152はボールベアリング、153は支持部材、160は係合用凹面部をそれぞれ示している。
【0058】
図9乃至図11は、回転可能に支持された回転体(像担持体10Y)を有して回転体軸方向に着脱自在に構成した、本発明の回転体駆動伝達機構100において、回転体を回転体回転軸方向から回転駆動する回転体駆動源部140から駆動伝達して回転駆動させる回転伝達部材120などからなる構造を示す図である。
【0059】
図9乃至図11の例では、モーターなどの回転体駆動源部140から、回転体として像担持体10Yが回転駆動力を受ける場合を示しているが、回転体として、像担持体スクイーズローラ13Y、現像ローラ20Y、アニロックスローラ32Yやその他のローラが回転駆動力を受ける場合も同様の構成とすることができる。
【0060】
回転体駆動源部140のキー部材114から、キー部材114と固着されたフランジ部113を介して回転伝達部材120に回転駆動力が伝達される。
【0061】
回転伝達部材120には多角形状の孔が形成されており、その孔の内側壁である、同じく多角形状の伝達用当接面部130が、トルク伝達部材110に回転力を伝達する。回転伝達部材120には多角形状の孔からはバネ部材112によって付勢されたトルク伝達部材110が突出するようになっている。
【0062】
回転受動部材150には、トルク伝達部材110を介して回転力を受けるための同じく多角形状の孔部が設けられており、その内側壁である係合用凹面部160にトルク伝達部材110が係合する構成となっている。
【0063】
回転受動部材150は、回転体取付フランジ部151に所定の固着手段により固着されてなり、回転体取付フランジ部151に取り付けられた回転体(像担持体10Y)は、回転受動部材150の回転と共に回転するようになっている。回転体取付フランジ部151は、ボールベアリング152を介して支持部材153に取り付けられ、回転自在な状態とされている。
【0064】
図10は回転伝達部材120に対して図中矢印方向に回転受動部材150を装着する場面を示し、回転伝達部材120に遊勘したトルク伝達部材110は何の拘束もなく全くフリーな状態を維持している。
【0065】
図11は回転伝達部材120に対し回転受動部材150を所定の位置に装着した場面を示し、回転伝達部材120に遊勘したトルク伝達部材110の多角形状とトルク伝達部材110に形成した複数の当接面の相対的な位相が合致していない状態で、回転受動部材150の端面と対向するトルク伝達部材110の端面が当接してバネ部材112の押圧力に抗してトルク伝達部材110が移動した状態を図示している。
【0066】
図12は回転伝達部材120から回転駆動されて回転伝達部材12に遊勘したトルク伝達部材110の多角形状と回転受動部材150に形成した係合用凹面部160の相対的な位相が合致して、バネ部材112の押圧力によって回転中にトルク伝達部材110が回転受動部材15に係合した状態を図示している。
【0067】
ここで、回転受動部材150の孔部の係合用凹面部160には、トルク伝達部材110を回転方向及び回転軸直角方向に嵌入することが可能となる所定のクリアランスを設けておくようにするとよい。回転受動部材150、回転伝達部材120のトルク伝達部材110との遊勘関係に関し、特に回転方向に設けた所定のクリアランスは、回転伝達部材120から回転体(像担持体10Y)を回転駆動する時にトルク伝達部材110が回転中に移動付勢側に勘入可能なクリアランスを設けて形成すればよい。
【0068】
円筒状の回転体(像担持体10Y)の一端に圧入した回転体取付フランジ部151に支持されたボールベアリング152で回転可能に支持し、この回転体取付フランジ部151に回転受動部材150をネジ固定してスラスト方向の位置を規定している。
【0069】
一方、回転体回転軸方向には回転体(像担持体10Y)に対向して詳細図示省略した回転体駆動源部140を配置し、回転体駆動部にはキー部材114を介して駆動フランジ部113に回転伝達する構成である。そして、この駆動フランジ部113には回転伝達部材120を装着し、対向した回転受動部材150とともに回転体駆動伝達部を構成する。
【0070】
この回転体駆動伝達部には回転体(像担持体10Y)の回転軸方向に延在して多角形状を成す柱状のトルク伝達部材110を有し、このトルク伝達部材110の多角形状に対応して多角形状面に当接する複数の当接面(係合用凹面部160)を形成してトルク伝達部材110を回転方向及び回転軸直角方向に所定のクリアランスを設けて共有する構造である。
【0071】
次に、トルク伝達部材110の多角形形状、回転伝達部材120に設けられる多角形状の孔部、回転受動部材150に設けられる多角形状の孔部の関係と、本発明の回転体駆動伝達機構における回転駆動力伝達のメカニズムについて説明する。
【0072】
図13はトルク伝達部材の多角形状及び回転受動部材、回転伝達部材の詳細関係を説明する図であり、図12のA−A断面を示している。
【0073】
図13では、トルク伝達部材の多角形状及び回転受動部材、回転伝達部材の当接面において、互いに平行を成す面を少なくとも一対含むように構成した
図13(a)は回転伝達部材120からトルク伝達部材110を介して回転受動部材を回転駆動している状態を模式的に示し、A−A断面図示法に合致しないが図面表現を優先して回転受動部材を2点鎖線で図示している。
【0074】
図13(b)は、トルク伝達部材110及び回転受動部材150、回転伝達部材120は非回転駆動状態であり、トルク伝達部材110は回転方向及び回転軸直角方向に所定のクリアランスを設けて回転受動部材150、回転伝達部材120に遊勘している。
【0075】
そして、図13(a)、図13(b)は、トルク伝達部材110の多角形状及び回転受動部材150、回転伝達部材120の当接面は4角の関係で構成している。
【0076】
また、同様にして図13(c)、図13(d)は、トルク伝達部材110の多角形状及び回転受動部材150、回転伝達部材120の当接面は変則4角の関係で構成していて、図13(e)、図13(f)は、トルク伝達部材110の多角形状及び回転受動部材150、回転伝達部材120の当接面は6角の関係で構成している。
【0077】
図13に示す本発明の回転体駆動伝達機構における回転駆動力伝達のメカニズムについて説明する。
【0078】
図13において、トルク伝達部材110の多角形状及び回転受動部材150、回転伝達部材120の当接面の形状は各々異なった形状の一例を示しているが、全ての関係で共通しているのはトルク伝達部材110及び回転受動部材150、回転伝達部材120が非回転駆動状態の場面では、トルク伝達部材110は回転方向及び回転軸直角方向に所定のクリアランスを設けて回転受動部材150、回転伝達部材120に遊勘している。
【0079】
そして、回転伝達部材120を図中矢印方向に回転させてトルク伝達部材110を介して回転受動部材150を回転駆動すると、回転伝達部材120の当接面はトルク伝達部材110に当接し、更に、トルク伝達部材110は回転受動部材150の当接面に当接して回転駆動する。
【0080】
この回転駆動時には、回転受動部材150、回転伝達部材120の当接面に遊勘していたトルク伝達部材110は、遊勘状態から自己安定する好ましい位置に自動的に移動して回転軸芯を自動調芯する。従って、従来例で前述した回転伝達部位の一点当たりから生じるような回転変動は各々の部材を格別な高精度で構成する事も不要であり容易に防止可能である。
【0081】
一方、図13に例示したトルク伝達部材110の多角形状及び回転受動部材150、回転伝達部材120の当接面を偶数関係で構成した場合には、回転受動部材150の複数の当接面及び回転伝達部材120の複数の当接面は互いに平行関係の面を有するので、トルク伝達部材110と回転受動部材150との間に相当程度のクリアランスがあったとしても、回転駆動状態を微視的に捉えると例えば微妙な伝達トルク変動や振動等の外乱作用の影響を受けて遊勘状態から自己安定する好ましい位置に自動的に移動して回転軸芯を自動調芯するようになる。このような本実施形態の回転体駆動伝達機構では、トルク伝達部材110や回転受動部材150などの精度を追求しなくとも、良好で安定的なカップリングを得ることができる、というメリットがある。
【0082】
なお、図13で例示したトルク伝達部材110の多角形状及び回転受動部材150、回転伝達部材120の当接面の形状は、トルク伝達部材110の形状を共通にして例示しているが、トルク伝達部材110の形状は回転受動部材150に遊勘する部位と回転伝達部材120に遊勘する部位の形状を異ならせて形成してもよく、また、トルク伝達部材110を回転受動部材150、回転伝達部材120に遊勘して内包した例示になっているが、この逆にして外包する構造であっても良い。
【0083】
また、図9乃至図12ではトルク伝達部材110をバネによって一方方向に移動付勢して回転軸芯を自動調芯した状態に加えて軸方向の位置も安定させているが、このバネの配置は必須条件ではない。
【0084】
次に、本実施形態の回転体駆動伝達機構を画像形成装置の複数のローラに適用する場合について検討する。本実施形態では回転体駆動伝達機構100が、像担持体10Y、像担持体スクイーズローラ13Y、現像ローラ20Y、アニロックスローラ32Yへの回転駆動力伝達のために用いられているが、それぞれのローラに対応する回転受動部材150の係合用凹面部160などの多角形状における平行面が互いに平行とならないように設定されていることが好ましい。これは、それぞれのローラでの平行面が互いに平行となるような位相が合うような位置がでると共振的なノイズによる画像乱れが発生するからである。
【0085】
また、特に像担持体10Y、アニロックスローラ32Yに回転体駆動伝達機構100を適用する場合は、多角形状における平行面が互いに平行とならないように設定されている方がよい。これは、画像形成装置では、アニロックスローラ32Yの回転数を、用紙の質や、室温などに応じて微妙に変化させる必要があるためで、特に像担持体10Yとの連動を防止することが好ましいからである。
【0086】
図14はトルク伝達部材110の多角形状及び回転受動部材150、回転伝達部材120の詳細関係を説明する図であり、図13で前述した内容と構成は同一である。図13で前述した内容と異なるところは、回転受動部材150と回転伝達部材120の回転軸芯が相対的に変芯した状態を誇張して模式的に図示している。但し、非回転状態の図示は省略している。また、A−A断面図示法に合致しないが図面表現を優先して回転伝達部材120の断面ハッチングは省略、回転受動部材150を2点鎖線で図示している。また、図中、G1は回転伝達部材120の回転軸芯、G2は回転受動部材150の回転軸芯、G3は回転体駆動伝達機構全体の仮想回転軸芯を示している。
【0087】
図14において、回転伝達部材120と回転受動部材150の回転軸芯は図示の如く相対芯ズレを有した状態であり、トルク伝達部材110は一方側では回転伝達部材120に、他方側では図13で前述したメカニズムに基づいて自己安定する好ましい位置に自動的に移動して回転軸芯を自動調芯している。
【0088】
すなわち、トルク伝達部材110は相対芯ズレ量分傾斜した状態で回転伝達部材120から回転受動部材150へ回転駆動伝達していて、この状態のトルク伝達部材110の仮想回転軸芯G3は上記相対芯ズレ量の中間位置:相対芯ズレ量の略1/2の位置になって回転駆動伝達する構成である。
【0089】
従来例で示される構成では駆動側と被駆動側の相対芯ズレ量に応じて一回転周期の回転速度変動が生じるものであるが、本実施例の上記構成によればトルク伝達部材110の仮想回転軸芯は上記相対芯ズレ量の中間位置:相対芯ズレ量の略1/2の位置になって回転駆動伝達するので一回転周期の回転速度変動を半減する事が可能である。
【0090】
以上のような構成によれば、簡単な構造によって極度な高精度構成によらず、また、駆動側と被駆動側に軸芯違いがある状態で回転駆動しても1回転周期の回転速度変動の発生を防止して安定した回転駆動伝達を可能にした回転体駆動伝達機構を提供することできる。
【0091】
また、以上のような構成によれば、ある程度の寸法誤差があったとしても不良品とはならないので量産時の歩留まり向上に資することができる。
【0092】
また、以上のような回転体駆動伝達機構を用いた画像形成装置によれば、回転体駆動伝達機構の1回転周期当たりにジッターが発生し、画像乱れ、ムラなどが発生するということがない。
【0093】
次に、画像形成装置の像担持体10Yの現像剤貯留部18Y、現像ローラ20Yの現像剤貯留部24Yに用いられている現像剤搬送構造について説明する。
【0094】
図15は現像剤貯留部18Yにおける現像剤搬送構造の斜視図であり、図16は現像剤搬送構造の要部断面を模式的に示す図である。また、図16は図2のB−B断面である。なお、現像剤貯留部24Yに用いられている現像剤搬送構造についても、これと略同様の構成である。
【0095】
図15及び図16において、200は現像剤搬送構造、210は現像剤貯留基体、211は現像剤貯留基体凹部、220は現像剤搬送スクリュー、230は現像剤搬送基体、231は吸入口、240はパイプ部材、241はニップル、242は取付部、250はスプリング部材をそれぞれ示している。
【0096】
図2において示すように、像担持体10Yから中間転写体40に現像剤を一次転写し、転写残りの現像剤は像担持体クリーニングブレード17Yによって掻き取られて現像剤貯留部18Yに貯留される。現像剤貯留部18Yを構成する現像剤搬送構造200の現像剤貯留基体210の現像剤貯留基体210にいったん貯留するようになっており、この現像剤貯留基体210からその長手方向の一端に設けられた現像剤搬送基体230へと現像剤を搬送するようになっている。
【0097】
現像剤貯留基体210の現像剤貯留基体凹部211には円柱状の基体部の外周に所定ピッチのスパイラル羽を形成して一体で回転可能に支持した現像剤搬送スクリュー220を配置して軸方向に現像剤搬送を行う構成である。現像剤貯留基体凹部211は現像剤搬送スクリュー220を覆うような形状をしており、その曲率半径は吸入口231より若干大きく設定されている。
【0098】
現像剤貯留部18Yは、像担持体10Yから掻き取った現像剤を貯留する為に上方を開放した略U文字状形状の現像剤貯留基体凹部211を形成し、その現像剤貯留基体210の一端部から軸方向に現像剤を排出する構成であり、現像剤貯留基体210の一端の現像剤搬送基体230には円形の現像剤の吸入口231を形成し、この吸入口231に現像剤搬送スクリュー220を勘入させて回転する構造である。吸入口231の径は、現像剤搬送スクリュー220がほぼ内嵌する程度のものであり、この現像剤搬送スクリュー220は、現像剤貯留基体凹部211から現像剤搬送基体230の吸入口231内に延在することによって、吸入口231へと現像剤を吸入させるポンプ作用を顕著なものとしている。
【0099】
現像剤貯留基体210の上方を開放した状態の中で現像剤搬送スクリュー220を回転させて現像剤を搬送してこの吸入口231に現像剤搬送スクリュー220が勘入した部位に到達すると、この部位では現像剤に対してポンプ作用が果たされて現像剤を所望の位置まで圧送する構成である。
【0100】
現像剤搬送基体230には吸入口231から連なった孔があいており、図示するようにその一端にはパイプ部材240がニップル241を利用して取り付けられている。現像剤搬送スクリュー220はこのパイプ部材240まで延在しており、現像剤搬送スクリュー220には取付部を利用して、パイプ部材240に内側に、その外周が摺接するスプリング部材250が取り付けられている。
【0101】
一方、図2に示す現像剤貯留部18Yに貯留した現像剤は像担持体から掻き取った現像剤であり、現像剤は帯電状態であるのでトナー粒子が凝集したり、または、トナー粒子が他の部材に静電吸着しやすくなったりしている。したがって、上記のポンプ作用によって現像剤を圧送する場合にその搬送経路の内面にトナー粒子が静電吸着する可能性を有している。
【0102】
そこで、本実施例では現像剤搬送スクリュー220の突端に所定ピッチで形成したスプリング部材250を装着して現像剤搬送スクリュー220と一体で回転可能に支持し、このスプリング部材250の外周面と現像剤排出口の内面は僅かな間隙を有して構成されていて、各所で摺接回転して仮にトナー粒子が搬送経路の内面に静電吸着しても、その掻き取りが可能であり、安定した現像剤圧送が実現できる。
【0103】
図16では現像剤貯留基体210の吸入口231に連続してニップル241を介して現像剤搬送チューブなどのパイプ部材240を装着して現像剤搬送路を形成して所望に位置まで現像剤を搬送する形態を示していて、上述の内容と同様にパイプ部材240の内面と現像剤搬送スクリュー220及びこのスプリング部材250を僅かな間隙で勘入させていて現像剤の圧送能力を高めるとともに、パイプ部材240の内面に吸着したトナー粒子の掻き取りを果たして、安定した現像剤圧送を実現している。
【0104】
なお、スプリング部材250を用いないで現像剤搬送スクリュー220を長くして所望の位置まで圧送しても良いが、この場合には現像剤搬送路を直線状に形成する必要が生じる。スプリング部材250を現像剤搬送路内に勘入させる構成では、現像剤搬送路に曲率を有して形成しても目的達成が可能であり、現像剤搬送路形成の制約条件が少ない。
【0105】
なお、本実施例では像担持体10から掻き取った現像剤を搬送する一例で説明したが、この一例に限定されるものではなく、図1の各所に配備した部位にも適用できるものである。
【0106】
次に、現像剤搬送構造を像担持体10Yの現像剤貯留部18Yに適用する場合と、現像ローラ20Yの現像剤貯留部24Yに適用する場合について説明する。
【0107】
像担持体10Yの像担持体クリーニングブレード17Yによって掻き落とされる液体現像剤の粘度は、現像ローラ20Yの現像ローラクリーニングブレード21Yによって掻き落とされる液体現像剤の粘度に比べて大きい。
【0108】
現像剤搬送構造200においては、粘度の低い液体現像剤の搬送は、より多くの搬送処理能力を要する。したがって、現像剤貯留部24Yの現像剤搬送構造200における現像剤搬送スクリュー220羽のピッチは、現像剤貯留部18Yの現像剤搬送構造200における現像剤搬送スクリュー220羽のピッチより短くすることが好ましい。
【0109】
また、現像剤貯留部24Yの現像剤搬送構造200における現像剤搬送スクリュー220の回転数は、現像剤貯留部18Yの現像剤搬送構造200における現像剤搬送スクリュー220の回転数より速くすることが好ましい。
【0110】
また、現像剤貯留部24Yの現像剤搬送構造200における現像剤搬送スクリュー220羽のピッチを現像剤貯留部18Yのそれより短くし、現像剤貯留部24Yの現像剤搬送構造200における現像剤搬送スクリュー220の回転数を現像剤貯留部18Yのそれより速くすることもできる。
【0111】
次に、現像剤搬送構造における現像剤搬送能力向上ついて説明する。図17は現像剤搬送構造200の長手方向3カ所での断面を模式的に示す図である。
【0112】
図17において、現像剤貯留基体210長手方向からみて(a)は現像剤搬送基体230N最も近いところの断面を示しており、(c)は現像剤搬送基体230から最も遠いところの断面を示しており、(b)は両者の中間程度のところの断面を示している。図17の(a)乃至(c)で異なる点は、現像剤貯留基体凹部211が現像剤搬送スクリュー220を覆う範囲にある。
【0113】
このような範囲については、図中の円弧角αで定義することができる。すなわち、現像剤搬送スクリュー220断面のうちどの範囲までが現像剤貯留基体凹部211によって覆われているかを、現像剤搬送スクリュー220断面の円Oを中心とした角αで定義する。
【0114】
キャリア液にトナー粒子を分散させた液体現像剤は、液体相応の表面張力を有していて現像剤搬送スクリュー220の外周面及び現像剤貯留部基体210の一部位に吸着する特性を有するので、現像剤搬送スクリュー220外周面に吸着した現像剤は現像剤搬送スクリュー220とともに回転移動し、現像剤貯留部基体210に吸着した現像剤は位置保持習性を有する。
【0115】
従って、円柱状の基体部の外周に所定ピッチのスパイラル羽を形成して一体で回転する現像剤搬送スクリュー220による現像剤搬送機能は、現像剤搬送スクリュー220とその外周面に沿った円弧面が協働する部位によって達成されるので、この協働部位を大きくすることが肝要である。
【0116】
本発明者等はこの原理に基づいて種々の実験を行った結果、図17に示す円弧角αは180°以上であるときに所望の現像剤搬送能力を得ることができるものと結論づけることができた。
【0117】
なお、申すまでもないが、当該αは大きければ大きい程に上記現像剤搬送スクリュー220とその外周面に沿った円弧面が協働する部位が長くなって現像剤搬送能力は向上する。
【0118】
図17はこのような知見に基づいた実施形態である。現像剤貯留基体210を長手方向からみると、現像剤の搬送能力が要求されるのは、掻き落とされた現像剤が累積する現像剤搬送基体230近傍の部分であるので、図17に示すように(c)から(a)となるにつれて、αが大きくなるように設定されている。
【0119】
次に、現像剤搬送構造を像担持体10Yの現像剤貯留部18Yに適用する場合と、現像ローラ20Yの現像剤貯留部24Yに適用する場合について説明する。
【0120】
先に示したように、像担持体10Yから掻き落とされる液体現像剤の粘度は、現像ローラ20Yから掻き落とされる液体現像剤の粘度に比べて大きい。
【0121】
現像剤搬送構造200においては、粘度の低い液体現像剤の搬送は、より多くの搬送処理能力を要するので、粘度の低い液体現像剤を搬送する現像剤貯留部24Yにおける円弧角αを、現像剤貯留部18Yのそれより大きく設定することが好ましい。
【0122】
すなわち、像担持体10Yから掻き落とされた液体現像剤を搬送する現像剤搬送構造200の現像剤貯留基体凹部211の円弧角と、現像ローラ20Yから掻き落とされた液体現像剤を搬送する現像剤搬送構造200の現像剤貯留基体凹部211の円弧角と、を現像剤搬送と垂直な面内において比較すると、後者の円弧角が前者の円弧角より大きくなるように設定されていることが望ましい。
【0123】
以上、本発明の構成によれば、帯電状態にありトナー粒子が凝集したり、または、トナー濃度が不均一な状態であったりする余剰液体現像剤の搬送処理を円滑に行うことができる。また、これによって、余剰液体現像剤のリサイクル処理や廃棄処理などがスムースに行うことができるようになる。
【0124】
また、本発明の構成によれば、帯電した余剰液体現像剤のトナー粒子が搬送部の構成部材表面に静電吸着する状況を防止するので、余剰液体現像剤が搬送できなくなる、ということが発生しない。
【0125】
また、以上のような構成の現像剤搬送構造を用いた画像形成装置によれば、余剰液体現像剤の搬送効率を高めて、現像剤を閉ループで循環させる構造から脱却して、現像剤を現像部位から一端他の部位に搬送移動させて新たな現像剤と混入したり、或いはトナー粒子の凝集やトナー濃度不均一を解消して所望の分散を行ったり、或いはまた、不要な現像剤として廃却したりすることが可能となる。
【0126】
なお、以上種々の実施形態について説明したが、それぞれの実施形態の構成要素を任意に組み合わせて構成した実施形態も本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】本発明の実施の形態に係る回転体駆動伝達機構を用いた画像形成装置を構成する主要構成要素を示した図である。
【図2】画像形成部及び現像ユニットの主要構成要素を示した断面図である。
【図3】トナー圧縮ローラ22Yによるコンパクションを説明する図である。
【図4】現像ローラ20Yによる現像を説明する図である。
【図5】像担持体スクイーズローラ13Yによるスクイーズ作用を説明する図である。
【図6】中間転写体スクイーズ装置52Yによるスクイーズ作用を説明する図である。
【図7】アニロックスローラの外観形状を示す図である。
【図8】本発明の回転体駆動伝達機構が現像ユニットに用いられている様子を模式的に示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る回転体駆動伝達機構のカップリング時の断面を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る回転体駆動伝達機構がカップリング前の断面を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る回転体駆動伝達機構の各部材が完全係合する前の断面を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る回転体駆動伝達機構のカップリング時の断面を示す図である。
【図13】トルク伝達部材の多角形状及び回転受動部材、回転伝達部材の詳細関係を説明する図である。
【図14】トルク伝達部材の多角形状及び回転受動部材,回転伝達部材の詳細関係を説明する図である。
【図15】現像剤貯留部18Yにおける現像剤搬送構造の斜視図である。
【図16】現像剤搬送構造の要部断面を模式的に示す図である。
【図17】現像剤搬送構造の長手方向3カ所での断面を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0128】
10Y、10M、10C、10K・・・像担持体、11Y、11M、11C、11K・・・帯電ローラ、12Y、12M、12C、12K・・・露光ユニット、13Y・・・像担持体スクイーズローラ、14Y・・・像担持体スクイーズローラクリーニングブレード、16Y・・・潜像イレーサ、17Y・・・像担持体クリーニングブレード、18Y・・・現像剤貯留部、20Y、20M、20C、20K・・・現像ローラ、21Y・・・現像ローラクリーニングブレード、22Y・・・トナー圧縮ローラ、23Y・・・キャリア量調整ブレード、24Y・・・現像剤貯留部、30Y、30M、30C、30K・・・現像ユニット、31Y、31M、31C、31K・・・現像剤容器、32Y、32M、32C、32K・・・アニロックスローラ、31Y、31M、31C、31K・・・現像剤容器、33Y・・・規制ブレード、34Y・・・供給ローラ、40・・・中間転写体、41、42・・・ベルト駆動ローラ、45・・・現像剤貯留部、46・・・中間転写体クリーニングブレード、47・・・現像剤貯留部、50Y、50M、50C、50K・・・一次転写部、51Y、51M、51C、51K・・・一次転写バックアップローラ、52Y、52M、52C、52K・・・中間転写体スクイーズユニット、53Y・・・中間転写体スクイーズローラ、54Y・・・中間転写体スクイーズバックアップローラ、55Y・・・中間転写体スクイーズローラクリーニングブレード、56Y・・・現像剤貯留部、60・・・二次転写ユニット、61・・・二次転写ローラ、62・・・二次転写ローラクリーニングブレード、63・・・現像剤貯留部、110・・・トルク伝達部材、120・・・回転伝達部材、112・・・バネ部材、113・・・フランジ部、114・・・キー部材、130・・・伝達用当接面部、140・・・回転体駆動源部、150・・・回転受動部材、151・・・回転体取付フランジ部、152・・・ボールベアリング、153・・・支持部材、160・・・係合用凹面部、200・・・現像剤搬送構造、210・・・現像剤貯留基体、211・・・現像剤貯留基体凹部、220・・・現像剤搬送スクリュー、230・・・現像剤搬送基体、231・・・吸入口、240・・・パイプ部材、241・・・ニップル、242・・・取付部、250・・・スプリング部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニットカートリッジを構成する像担持体などに画像形成装置本体から回転駆動動力を供給する際に用いる着脱可能な回転体駆動伝達機構、及びそのような回転体駆動伝達機構を用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー画像を形成する画像形成装置では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各原色ごとの像担持体を有し、各像担持体で各色のトナー画像を形成し、これを中間転写体に重ね、4 色の重なったトナー画像を転写紙に転写してカラー画像を形成している。
【0003】
各像担持体は、それぞれが、帯電装置、現像装置、転写装置、クリーニング装置等を備えた画像形成ユニットを構成しており、各色の画像形成ユニットは、ユニットカートリッジの形で画像形成装置本体から軸方向に着脱可能に構成されている。このようなユニットカートリッジを構成する像担持体などには、画像形成装置本体から回転駆動動力を供給する必要があり、着脱可能な回転体駆動伝達機構であるカップリングが用いられる。
【0004】
このような回転体駆動伝達機構とてしては、例えば、特許文献1(特開2006−284622号公報)に記載されたものが知られている。特許文献1に記載のものは、駆動手段の回転を像担持体に駆動伝達する駆動伝達構造であり、像担持体は駆動手段に対して回転軸方向に相対的に移動して接離され、その双方はカップリングによって接続される構造である。そして、当該カップリングは駆動側カップリングと被駆動側カップリングから構成されて双方のカップリングは駆動力を伝達する為の接離方向に延在する複数の当接面を有し、この相互に当接する2つの当接面の接離方向に対する角度に角度差を設けて構成し、複数の当接面が1点当たりしないようにして回転ムラを抑制する構造である。さらに、双方のカップリングの少なくも一方側に中空円筒部を設けて他方側のカップリングを支持する回転軸がクリアランスを有して遊勘する構成にして、駆動手段と像担持体の軸芯違いが生じても上記複数の当接面が1点当たりしない様に工夫している。
【特許文献1】特開2006−284622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1記載のものにおいては、相互に当接する2つの当接面の接離方向に対する角度に角度差を設けて複数の当接面が1点当たりしないようにして回転ムラを抑制する構造であるが、双方に当接する当接面の回転方向における位相差が極小の場合には双方の、或いはいずれか一方側のカップリンブが接離方向に対して傾きを生じて1点当たりを防止可能であるが、その位相差が許容値を超えると1点当たりの解消は不可能であり、極めて高精度のカップリングの構成が必要になる。このように特許文献1記載のカップリングは、高い寸法精度が要求され、許容誤差がきわめて小さいので、量産時における歩留まりの低下を招くおそれがある、などの問題があった。
【0006】
また、双方のカップリングの少なくも一方側に中空円筒部を設けて他方側のカップリングを支持する回転軸がクリアランスを有して遊勘する構成にして、駆動手段と像担持体の軸芯違いが生じても上記複数の当接面が1点当たりしない様に工夫しているが、仮に、1点当たりを抑制して回転駆動しても駆動側と被駆動側に軸芯違いがある状態で回転駆動すると、微視的にとらえると回転中に上記双方の当接面は1回転周期の軸直角方向の滑り移動などを生じて回転するので、1回転周期の回転速度変動を防止する事はできない欠陥を有する。すなわち、特許文献1記載のものでは、カップリングの1回転周期当たりにジッターが発生し、このカップリングを画像形成装置に適用した場合には、画像乱れ、ムラなどが発生する、という問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するためのもので、本発明に係る回転体駆動伝達機構は、回転可能に支持された回転体と、該回転体と一体的に接続され該回転体を回転駆動する駆動力を媒介する回転受動部材と、該回転受動部材と係合し該回転受動部材に回転駆動力を伝達して回転駆動させる回転伝達部材と前記回転伝達部材内に設けられ、前記回転体の回転軸方向に延在して多角形状をなす柱状のトルク伝達部材と、前記回転受動部材に設けられ、前記トルク伝達部材の多角形状に対応し前記トルク伝達部材とは回転方向及び回転軸直角方向に所定のクリアランスが設けられた多角形状面を有する係合用凹面部と、からなることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る回転体駆動伝達機構は、前記係合用凹面部の多角形状は、互いに平行を成す面を少なくとも一対含む多角形状であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る画像形成装置は、回転駆動源に接続された前記回転伝達部材を一つ有し、前記回転体は像担持体、アニロックスローラ、現像ローラ、像担持体スクイーズローラ、トナー圧縮ローラのうちのいずれか一つであることを特徴とする前記記載の回転体駆動伝達機構を用いた画像形成装置である。
【0010】
また、本発明に係る画像形成装置は、回転駆動源に接続された前記回転伝達部材を複数有し、前記回転体は像担持体、アニロックスローラ、現像ローラ、像担持体スクイーズローラ、トナー圧縮ローラの任意の組み合わせであることを特徴とする前記記載の回転体駆動伝達機構を用いた画像形成装置である。
【0011】
また、本発明に係る画像形成装置は、異なる回転駆動源に接続された前記回転伝達部材を複数有し、前記回転体は像担持体、アニロックスローラ、現像ローラ、像担持体スクイーズローラ、トナー圧縮ローラの任意の組み合わせであることを特徴とする前記記載の回転体駆動伝達機構を用いた画像形成装置である。
【0012】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記回転体それぞれに対応する回転受動部材の係合用凹面部における平行面が互いに平行とならないように設定されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記回転体は像担持体及びアニロックスローラであって、該像担持体に対応する回転受動部材の係合用凹面部における平行面と、該アニロックスローラに対応する回転受動部材の係合用凹面部における平行面とが互いに平行とならないように設定されることを特徴とする。
【0014】
本発明の回転体駆動伝達機構によれば、簡単な構造によって極度な高精度構成によらず、また、駆動側と被駆動側に軸芯違いがある状態で回転駆動しても1回転周期の回転速度変動の発生を防止して安定した回転駆動伝達を可能にした回転体駆動伝達機構を提供することできる。
【0015】
また、本発明の回転体駆動伝達機構によれば、ある程度の寸法誤差があったとしても不良品とはならないので量産時の歩留まり向上に資することができる。
【0016】
また、本発明の回転体駆動伝達機構を用いた画像形成装置によれば、回転体駆動伝達機構の1回転周期当たりにジッターが発生し、画像乱れ、ムラなどが発生するということがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施の形態に係る回転体駆動伝達機構を用いた画像形成装置を構成する主要構成要素を示した図である。画像形成装置の中央部に配置された各色の画像形成部に対し、現像ユニット30Y、30M、30C、30Kは、画像形成装置の下部に配置され、中間転写体40、二次転写部60は、画像形成装置の上部に配置されている。
【0018】
画像形成部は、像担持体10Y、10M、10C、10K、帯電ローラ11Y、11M、11C、11K、不図示の露光ユニット12Y、12M、12C、12K等を備えている。露光ユニット12Y、12M、12C、12Kは、半導体レーザ、ポリゴンミラー、F−θレンズ等の光学系を有し、帯電ローラ11Y、11M、11C、11Kにより、像担持体10Y、10M、10C、10Kを一様に帯電させ、露光ユニット12Y、12M、12C、12Kにより、入力された画像信号に基づいて、変調されたレーザ光を照射して、帯電された像担持体10Y、10M、10C、10K上に静電潜像を形成する。
【0019】
現像ユニット30Y、30M、30C、30Kは、概略、現像ローラ20Y、20M、20C、20K、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)からなる各色の液体現像剤を貯蔵する現像剤容器(リザーバ)31Y、31M、31C、31K、これら各色の液体現像剤を現像剤容器31Y、31M、31C、31Kから現像ローラ20Y、20M、20C、20Kに供給するアニロックスローラ32Y、32M、32C、32K等を備え、各色の液体現像剤により像担持体10Y、10M、10C、10K上に形成された静電潜像を現像する。これらの現像ユニット30Y、30M、30C、30Kぞれぞれは画像形成装置本体と着脱自在に構成されている。
【0020】
像担持体10Y、10M、10C、10Kには、これらにスクイーズ作用を及ぼす像担持体スクイーズローラ13Y、13M、13C、13Kが当接し、また、現像ローラ20Y、20M、20C、20Kの周囲には、これらにコンパクション効果を及ぼすトナー圧縮ローラ22Y、22M、22C、22Kが設けられている。このトナー圧縮ローラ22Y、22M、22C、22Kは、現像ローラ20Y、20M、20C、20Kに接触状態であってもよいし、或いは、非接触の状態で保たれても構わない。
【0021】
中間転写体40は、エンドレスのベルトであり、駆動ローラ41とテンションローラ42との間に張架され、一次転写部50Y、50M、50C、50Kで像担持体10Y、10M、10C、10Kと当接しながら駆動ローラ41により回転駆動される。一次転写部50Y、50M、50C、50Kは、像担持体10Y、10M、10C、10Kと中間転写体40を挟んで一次転写ローラ51Y、51M、51C、51Kが対向配置され、像担持体10Y、10M、10C、10Kとの当接位置を転写位置として、現像された像担持体10Y、10M、10C、10K上の各色のトナー像を中間転写体40上に順次重ねて転写し、フルカラーのトナー像を形成する。
【0022】
二次転写ユニット60は、二次転写ローラ61が中間転写体40を挟んでベルト駆動ローラ41と対向配置され、さらに二次転写ローラクリーニングブレード62、現像剤貯留部63からなるクリーニング装置が配置される。そして、二次転写ローラ61を配置した転写位置において、中間転写体40上に形成された単色のトナー像やフルカラーのトナー像をシート材搬送経路Lにて搬送される用紙、フィルム、布等の記録媒体に転写する。
【0023】
さらに、経路シート材搬送経路Lの前方には、不図示の定着ユニットが配置され、用紙等の記録媒体上に転写された単色のトナー像やフルカラーのトナー像を用紙等の記録媒体に融着させ定着させる。
【0024】
また、テンションローラ42は、ベルト駆動ローラ41と共に中間転写体40を張架しており、中間転写体40のテンションローラ42に張架されている箇所で、中間転写体クリーニングブレード46、現像剤貯留部47からなるクリーニング装置が当接・配置されている。
【0025】
次に、画像形成部及び現像ユニットについて説明する。図2は画像形成部及び現像ユニットの主要構成要素を示した断面図である。図3はトナー圧縮ローラ22Yによるコンパクションを説明する図、図4は現像ローラ20Yによる現像を説明する図、図5は像担持体スクイーズローラ13Yによるスクイーズ作用を説明する図、図6は中間転写体スクイーズ装置52Yによるスクイーズ作用を説明する図である。各色の画像形成部及び現像ユニットの構成は同様であるので、以下、イエロー(Y)の画像形成部及び現像ユニットに基づいて説明する。
【0026】
画像形成部は、像担持体10Yの外周の回転方向に沿って、潜像イレーサ16Y、像担持体クリーニングブレード17Y及び現像剤貯留部18Yからなるクリーニング装置、帯電ローラ11Y、露光ユニット12Y、現像ユニット30Yの現像ローラ20Y、像担持体スクイーズローラ13Yとその付属構成である像担持体スクイーズローラクリーニングブレード14Yからなるクリーニング装置が配置されている。そして、現像ユニット30Yにおける現像ローラ20Yの外周には、現像ローラクリーニングブレード21Y及び現像剤貯留部24Yからなるクリーニング装置、アニロックスローラ32Y、トナー圧縮ローラ22Yが配置されている。
【0027】
トナー圧縮ローラ22Yの外周には、キャリア量調整ブレード23Yが設けられている。 さらに、液体現像剤容器31Yの中に液体現像剤供給ローラ34Y、アニロックスローラ32Yの一部が収容されている。また、中間転写体40に沿って、像担持体10Yと対向する位置に一次転写部の一次転写ローラ51Yが配置され、その移動方向下流側に中間転写体スクイーズローラ53Y、バックアップローラ54Y、中間転写体スクイーズローラクリーニングブレード55Y、現像剤貯留部56Yからなる中間転写体スクイーズ装置52Yが配置されている。
【0028】
像担持体10Yは、現像ローラ20Yの幅約320mmより広く、外周面に感光層が形成された円筒状の部材からなる感光体ドラムであり、例えば図2に示すように時計回りの方向に回転する。該像担持体10Yの感光層は、アモルファスシリコン像担持体等で構成される。帯電ローラ11Yは、像担持体10Yと現像ローラ20Yとのニップ部より像担持体10Yの回転方向の上流側に配置され、図示しない電源装置からトナー帯電極性と同極性のバイアスが印加され、像担持体10Yを帯電させる。露光ユニット12Yは、帯電ローラ11Yより像担持体10Yの回転方向の下流側において、帯電ローラ11Yによって帯電された像担持体10Y上にレーザ光を照射し、像担持体10Y上に潜像を形成する。
【0029】
現像ユニット30Yは、トナー圧縮ローラ22Y、キャリア内にトナーを概略重量比20%程度に分散した状態の液体現像剤を貯蔵する現像剤容器31Y、該液体現像剤を担持する現像ローラ20Y、液体現像剤を攪拌して一様の分散状態に維持し現像ローラ20Yに供給するためのアニロックスローラ32Yと規制ブレード33Yと供給ローラ34Y、現像ローラ20Yに担持された液体現像剤をコンパクション状態にするトナー圧縮ローラ22Y、現像ローラ20Yのクリーニングを行う現像ローラクリーニングブレード21Yを有する。
【0030】
図7はアニロックスローラの外観形状を示す図である。アニロックスローラ32Yと供給ローラ34Yはカウンタ回転するように構成する。アニロックスローラ32Yと供給ローラ34Yがカウンタ回転する状態であると、供給ローラ34Yからアニロックスローラ32Yへと均一な液体現像剤の膜を形成することができる。
【0031】
現像剤容器31Yに収容されている液体現像剤は、高濃度かつ高粘度の、常温で不揮発性を有する不揮発性液体現像剤である。すなわち、本発明における液体現像剤は、熱可塑性樹脂中へ顔料等の着色剤を分散させた平均粒径1μmの固形子を、有機溶媒、シリコンオイル、鉱物油又は食用油等の液体溶媒中へ分散剤とともに添加し、トナー固形分濃度を約20%とした高粘度(30〜10000mPa・s程度)の液体現像剤である。
【0032】
現像剤容器31Yにおいて、液体現像剤の中のトナー粒子はプラスの電荷を有し、この液体現像剤は、供給ローラ34Yにより撹拌され、アニロックスローラ32Yが回転することによって、現像剤容器31Yから汲み上げられる。
【0033】
規制ブレード33Yは、表面に弾性体を被覆して構成した弾性ブレード、アニロックスローラ32Yの表面に当接するウレタンゴム等からなるゴム部と、該ゴム部を支持する金属等の板で構成される。そして、アニロックスローラからなるアニロックスローラ32Yに担持搬送されてきた液体現像剤の膜厚、量を規制、調整し、現像ローラ20Yに供給する液体現像剤の量を調整する。
【0034】
現像ローラ20Yは、幅約320mmの円筒状の部材であり、回転軸を中心に図2に示すように反時計回りに回転する。該現像ローラ20Yは鉄等金属製の内芯の外周部に、ポリウレタンゴム、シリコンゴム、NBR等の弾性層を設けたものである。現像ローラクリーニングブレード21Yは、現像ローラ20Yの表面に当接するゴム等で構成され、現像ローラ20Yが像担持体10Yと当接する現像ニップ部より現像ローラ20Yの回転方向の下流側に配置されて、現像ローラ20Yに残存する液体現像剤を掻き落として除去するものである。
【0035】
トナー圧縮ローラ22Yは、円筒状の部材で、図3に示すように現像ローラ20Yと同様に弾性体22−1Yを被覆して構成した弾性ローラの形態であり、金属ローラ基材の表層に導電性の樹脂層やゴム層を備えた構造をし、例えば図2に示すように現像ローラ20Yと反対方向の時計回りに回転する。トナー圧縮ローラ22Yは、現像ローラ20Y表面の帯電バイアスを増加させる手段を有し、現像ローラ20Yによって搬送された現像剤は、図2及び図3に示すようにトナー圧縮ローラ22Yが摺接してニップを形成するトナー圧縮部位でトナー圧縮ローラ22Y側から現像ローラ20Yに向かってバイアス電界を印加する。このバイアス印加については、後に詳しく説明する。なお、トナー圧縮機能が有効であれば、トナー圧縮ローラ22Yは現像ローラ20Yと接触しないように構成することもできる。
【0036】
このトナー圧縮ローラ22Yにより、図3に示すようにキャリアCに一様分散したトナーTを現像ローラ20Y側に移動させて凝集させ、所謂トナー圧縮状態T′を形成し、また、キャリアCの一部とトナー圧縮されなかった若干のトナーT″を担持して図中矢印方向に回転してキャリア量調整ブレード23Yによって掻き落として除去されリザーバ31Y内の現像剤と合流して再利用される。一方、現像ローラ20Yに担持されてトナー圧縮された現像剤Dは、図4に示すように現像ローラ20Yが像担持体10Yに当接する現像ニップ部において、所望の電界印加によって、像担持体10Yの潜像に対応して現像される。
【0037】
像担持体スクイーズ装置は、像担持体10Yに対向して現像器20Yの下流側に配置して像担持体10Yに現像されたトナー像の余剰現像剤を回収するものであり、図2及び図5に示すように表面に弾性体13−1Yを被覆して像担持体10Yに摺接して回転する弾性ローラ部材から成る像担持体スクイーズローラ13Yと、該像担持体スクイーズローラ13Yに押圧摺接して表面をクリーニングするクリーニングブレード14Yとから構成され、図5に示すように像担持体10Yに現像された現像剤Dから余剰なキャリアC及び本来不要なカブリトナーT″を回収し、顕像内のトナー粒子比率を上げる機能を有する。余剰キャリアCの回収能力は、像担持体スクイーズローラ13Yの回転方向及び像担持体10Y表面の周速度に対する像担持体スクイーズローラ13Y表面の相対的な周速度差によって所望の回収能力に設定することが可能であり、像担持体10Yに対してカウンタ方向に回転させると回収能力は高まり、また、周速度差を大きく設定しても回収能力が高まり、更に、この相乗作用も可能である。
【0038】
本実施形態では、一例として図5に示すように像担持体スクイーズローラ13Yを像担持体10Yに対して略同一周速度でウィズ回転させ、像担持体10Yに現像された現像剤Dから重量比5〜10%程度の余剰キャリアCを回収していて双方の回転駆動負荷を軽減するとともに、像担持体10Yの顕像トナー像への外乱作用を抑制している。像担持体スクイーズローラ13Yによって回収された余剰なキャリアC及び不要なカブリトナーT″はクリーニングブレード14Yの作用によって像担持体スクイーズローラ13Yから回収される。
【0039】
一次転写部50Yでは、像担持体10Yに現像された現像剤像を一次転写ローラ51Yにより中間転写体40へ転写する。ここで、像担持体10Yと中間転写体40は等速度で移動する構成であり、回転及び移動の駆動負荷を軽減するとともに、像担持体10Yの顕像トナー像への外乱作用を抑制している。なお、1色目の一次転写部50Yでは初回一次転写なので混色現象は発生しないが、2色目以降は既に一次転写されたトナー像部位に更に異なるトナー像を転写して色重ねするので中間転写体40から像担持体10(M、C、K)へトナーが移行する所謂逆転写現象によって逆転写トナーと転写残りトナーは混色して余剰キャリアとともに像担持体10(M、C、K)に担持されて移動し、クリーニングブレード17(M、C、K)の作用によって像担持体から回収してプールされる。
【0040】
中間転写体スクイーズ装置52Yは、一次転写部50Yの下流側に配置され、中間転写体40上から余剰なキャリア液を除去し、顕像内のトナー粒子比率を上げる処理を行うものであり、一次転写部50Yで中間転写体40に転写された現像剤(キャリア内に分散したトナー)のキャリア量が前述した終段階のシート材に二次転写して図示省略した定着行程に進行する段階で、好ましい二次転写機能及び定着機能を発揮させるために当該液体現像剤の望ましい分散状態の概略トナー重量比で40%〜60%程度に至っていない場合に、中間転写体40から更に余剰キャリアを除去する手段として設けられている。中間転写体スクイーズ装置52Yは、像担持体スクイーズ装置と同様、表面に弾性体を被覆して像担持体40に摺接して回転する弾性ローラ部材から成る中間転写体スクイーズローラ53Y、像担持体40を挟んで中間転写体スクイーズローラ53Yと対向配置されるバックアップローラ54Y、中間転写体スクイーズローラ53Yに押圧摺接して表面をクリーニングするクリーニングブレード55Y及び現像剤貯留部56Yから構成され、図6に示すように中間転写体40に一次転写された現像剤Dから余剰なキャリアC及び本来不要なカブリトナーT″を回収する機能を有する。現像剤貯留部56Yは、その下流側に配置されたマゼンタの像担持体スクイーズローラクリーニングブレード14Mで回収されるキャリア液の回収機構も兼ねている。
【0041】
余剰キャリアの回収能力は、中間転写体スクイーズローラ53Yの回転方向及び中間転写体40の移動速度に対する中間転写体スクイーズローラ53Y表面の相対的な周速度差によって所望の回収能力に設定することが可能であり、中間転写体40に対してカウンタ方向に回転させると回収能力は高まり、また、周速度差を大きく設定しても回収能力が高まり、更に、この相乗作用も可能である。本実施形態では、一例として中間転写体スクイーズローラ53Yを中間転写体40に対して略同一周速度でウィズ回転させ、中間転写体40に一次転写された現像剤から重量比5〜10%程度の余剰キャリア及びカブリトナーを回収していて双方の回転駆動負荷を軽減するとともに、中間転写体40のトナー像への外乱作用を抑制している。
【0042】
なお、1色目の中間転写体スクイーズ部位では初回中間転写体スクイーズなので混色現象は発生しないが、2色目以降は既に一次転写されたトナー像部位に更に異なるトナー像が転写されて色重ねされているので中間転写体40から中間転写体スクイーズローラ53Yへトナーが移行した場合のトナーは混色して余剰キャリアとともに中間転写体スクイーズローラ53Yに担持されて移動し、クリーニングブレードの作用によって中間転写体スクイーズローラ53Yから回収してプールされる。また、上述した中間転写体スクイーズ行程上流側の一次転写部位の像担持体40によるスクイーズ能力及び像担持体スクイーズローラ53Yのスクイーズ能力が充分な能力をもって行われる場合には、必ずしも全ての一次転写行程の下流側に中間転写体スクイーズ装置を設ける必要はない。
【0043】
本実施形態のキャリア内にトナーを分散させた現像剤を用いる液体現像画像形成装置では、概略重量比でキャリア80%の中にトナー20%を分散させた現像剤を用いていて、種々のプロセス行程を経て、シート材に二次転写する直前の位置、所謂二次転写位置でのトナー重量比(固形分率)が、コート紙等の滑らかな紙の場合には45%前後、普通紙の場合には55%前後、再生紙等の紙の繊維の目の粗さが大きいラフ紙の場合には60%前後とすることを目標に制御を行う。初期的に現像剤容器31Y内に貯蔵した現像剤はキャリア内に概略トナー重量比20%程度に分散した状態であるが、像担持体10Yへの現像において画像デューティーが高い現像の場合にはトナー分の消費比率が多く、逆に画像デューティーが低い現像の場合にはトナー分の消費比率が少なくなる。即ち、現像剤容器31Y内に貯蔵された現像剤のトナー重量比率は像担持体10Yへの現像にともなって刻々と変化していて、常時この変化を監視して概略トナー重量比20%程度に分散した状態に維持コントロールしていく必要がある。
【0044】
規制ブレード33Yは、アニロックスローラ32Yの表面に当接し、アニロックスローラ32Yの表面に形成されたアニロックスパターンの凹凸の溝内に液体現像剤を残しその他の余分な液体現像剤を掻き取って、現像ローラ20Yに供給する液体現像剤量を規制する。このような規制によって、現像ローラ20Yへ塗布される液体現像剤の膜厚が約6μmとなるように定量化される。規制ブレード33Yにより掻き取られた液体現像剤は、重力によって現像剤容器31Yに落下し戻され、規制ブレード33Yにより掻き取られなかった液体現像剤は、アニロックスローラ32Yの表面の凹凸の溝内に収容され、現像ローラ20Yに圧接することで、現像ローラ20Yの表面に塗布される。
【0045】
アニロックスローラ32Yによって液体現像剤を塗布された現像ローラ20Yは、アニロックスローラ32Yとのニップ部下流でトナー圧縮ローラ22Yに当接する。現像ローラ20Yには所定のバイアスが印加されており、トナー圧縮ローラ22Yには、現像ローラ20Yより高く、トナーの帯電極性と同極性のバイアスが印加される。なおバイアス印加について後に説明する。
【0046】
上記のようなバイアス印加のため現像ローラ20Y上の液体現像剤中のトナー粒子は、図3に示すようにトナー圧縮ローラ22Yとのニップを通過する際に、凝集され現像ローラ20Y側へ移動する。これによりトナー粒子同士が緩やかに結合・凝集され膜化された状態となり、像担持体10Yでの現像の際、トナー粒子は、現像ローラ20Yから像担持体10Yへの移動がすばやくなり、画像濃度が向上する。
【0047】
像担持体10Yはアモルファスシリコン製であり、現像ローラ20Yとのニップ部上流で帯電ローラ11Yにより帯電させられた後、露光ユニット12Yにより潜像が形成される。現像ローラ20Yと像担持体10Yとの間に形成される現像ニップ部では、現像ローラ20Yに印加されているバイアスと像担持体10Y上の潜像で形成される電界に従い、図4に示すように選択的にトナー粒子Tが像担持体10Y上の画像部へと移動し、これにより、像担持体10Y上にトナー画像が形成される。また、キャリア液Cは電界の影響を受けないため、図4に示すように現像ローラ20Yと像担持体10Yとの現像ニップ部出口で分離して、現像ローラ20Yと像担持体10Yとの両方に付着する。現像ニップ部を通過した像担持体10Yは、像担持体スクイーズローラ13Y部を通過し、図5に示すように余剰なキャリア液Cが除去され、顕像内のトナー粒子比率を上げる処理がなされる。
【0048】
次に像担持体10Yは、一次転写50Yにおいて中間転写体40とのニップ部を通過し顕像トナー像の中間転写体40への一次転写が行われる。一次転写ローラ51Yには、トナー粒子の帯電特性と逆極性のバイアスが印加されることにより、像担持体10Y上からトナーは中間転写体40に一次転写され、像担持体10Yにキャリア液のみが残る。一次転写部より像担持体10Yの回転方向の下流側において、一次転写後の、像担持体10Yはランプ等から成る潜像イレーサ16Yによって静電潜像が消去され、像担持体10Y上に残ったキャリア液は、像担持体クリーニングブレード17Yにより掻き取られ、現像剤貯留部18Yで回収される。
【0049】
一次転写部50Yで中間転写体40上に一次転写されたトナー画像は、中間転写体40上で余剰キャリアをかきとるために中間転写体スクイーズ装置52Yを通過する。中間転写体スクイーズ装置52Yの中間転写体スクイーズローラ53Y、及び、中間転写体スクイーズバックアップローラ54Yには所定のバイアスが印加されており、トナー粒子を中間転写体40側に押し付けるような電界を発生させている。このため中間転写体スクイーズローラ53Yには、図6に示すようにトナー粒子は回収されず、電界の影響を受けないキャリア液のみが中間転写体40と中間転写体スクイーズローラ53Yとの間での泣き別れにより回収される。
【0050】
中間転写体40上のトナー画像は次に二次転写ユニット60へと進み、中間転写体40と二次転写ローラ61とのニップ部に進入する。この際のニップ幅は3mmに設定されている。二次転写ユニット60において、二次転写ローラ61、ベルト駆動ローラ41には所定バイアスがそれぞれ印加されており、これにより中間転写体40上のトナー画像は用紙等の記録媒体に転写される。
【0051】
二次転写ユニット60を通過後、中間転写体40は、テンションローラ42の巻きかけ部へと進み、中間転写体クリーニングブレード46により中間転写体40上のクリーニングが行われ、再び、一次転写部50へと向かう。
【0052】
次に、二次転写ローラ61のスクイーズ機能について説明する。中間転写体40上に色重ねしたトナー像が二次転写部位に到達するタイミングに合せてシート材を供給し、該トナー画像をシート材に二次転写して図示省略した定着行程へと進めて最終的なシート材上の画像形成を終了するが、ジャムなどのシート材供給トラブルが発生した場合には、シート材が介在しない状態でトナー画像が二次転写ローラ61に接して転写されシート材裏面汚れを引き起こす。本実施形態二次転写ローラ61は、表面が繊維質などによって平滑でないシート材であっても、この非平滑なシート材表面に倣って二次転写特性を向上させる手段として、複数の感光体に形成したトナー像を順次一次転写して重ね合わせて担持し、一括してシート材に二次転写する中間転写体40に採用した弾性ベルトと同様の目的で表面に弾性体を被覆した弾性ローラで構成している。二次転写ローラクリーニングブレード62は、二次転写ローラ61に転写された現像剤(キャリア内に分散したトナー)を除去する手段として備え、二次転写ローラ61から現像剤を回収してプールされる。尚、このプールした現像剤は混色状態のものであり、紙粉等の異物も含んでいる場合がある。
【0053】
次に、中間転写体40のクリーニング装置について説明する。ジャムなどのシート材供給トラブルが発生した場合には、全てのトナー画像が二次転写ローラ61に転写されて回収されるものではなく、一部は中間転写体40上に残る。また、通常の二次転写行程においても中間転写体上40のトナー像は100%二次転写されてシート材に移行するものではなく、数パーセントの二次転写残りが発生する。この二種の不要トナー像は次の画像形成のために中間転写体40の移動方向下流側に配置された中間転写体クリーニングブレード46、現像剤貯留部47によって回収してプールされる。
【0054】
次に、実施の形態に係る回転体駆動伝達機構が用いられる現像ユニット30Y、30M、30C、30Kにおける駆動力の伝達について詳しく説明する。本発明の回転体駆動伝達機構は、画像形成装置本体側から、この本体と着脱自在に構成される現像ユニット30Y、30M、30C、30K側における像担持体、ローラ類に回転駆動力を伝達するために用いられる。
【0055】
図8は本発明の回転体駆動伝達機構が現像ユニットに用いられている様子を模式的に示す図であり、図9は本発明の実施の形態に係る回転体駆動伝達機構のカップリング時の断面を示す図であり、図10は本発明の実施の形態に係る回転体駆動伝達機構がカップリング前の断面を示す図であり、図11は本発明の実施の形態に係る回転体駆動伝達機構の各部材が完全係合する前の断面を示す図である。
【0056】
図8において、100は回転体駆動伝達機構を示しており、本実施形態では回転体駆動伝達機構100が、像担持体10Y、像担持体スクイーズローラ13Y、現像ローラ20Y、アニロックスローラ32Yへの回転駆動力伝達のために用いられている。なお、本実施形態では回転体駆動伝達機構100が、上記の各ローラに用いるようにしたが、上記の各ローラのうちの1つに用いるようにしてもよいし、また上記の各ローラの任意の組み合わせに用いるようにしてもよい。さらに、上記各ローラ以外のローラに回転体駆動伝達機構100を適用しても構わない。また、本実施形態では、液体現像剤を用いた画像形成装置に適用する例を示しているが、本発明はこれに限らず乾式のトナーを用いた画像形成装置にも適用することができる。
【0057】
図9乃至図11において、110はトルク伝達部材、120は回転伝達部材、112はバネ部材、113はフランジ部、114はキー部材、130は伝達用当接面部、140は回転体駆動源部、150は回転受動部材、151は回転体取付フランジ部、152はボールベアリング、153は支持部材、160は係合用凹面部をそれぞれ示している。
【0058】
図9乃至図11は、回転可能に支持された回転体(像担持体10Y)を有して回転体軸方向に着脱自在に構成した、本発明の回転体駆動伝達機構100において、回転体を回転体回転軸方向から回転駆動する回転体駆動源部140から駆動伝達して回転駆動させる回転伝達部材120などからなる構造を示す図である。
【0059】
図9乃至図11の例では、モーターなどの回転体駆動源部140から、回転体として像担持体10Yが回転駆動力を受ける場合を示しているが、回転体として、像担持体スクイーズローラ13Y、現像ローラ20Y、アニロックスローラ32Yやその他のローラが回転駆動力を受ける場合も同様の構成とすることができる。
【0060】
回転体駆動源部140のキー部材114から、キー部材114と固着されたフランジ部113を介して回転伝達部材120に回転駆動力が伝達される。
【0061】
回転伝達部材120には多角形状の孔が形成されており、その孔の内側壁である、同じく多角形状の伝達用当接面部130が、トルク伝達部材110に回転力を伝達する。回転伝達部材120には多角形状の孔からはバネ部材112によって付勢されたトルク伝達部材110が突出するようになっている。
【0062】
回転受動部材150には、トルク伝達部材110を介して回転力を受けるための同じく多角形状の孔部が設けられており、その内側壁である係合用凹面部160にトルク伝達部材110が係合する構成となっている。
【0063】
回転受動部材150は、回転体取付フランジ部151に所定の固着手段により固着されてなり、回転体取付フランジ部151に取り付けられた回転体(像担持体10Y)は、回転受動部材150の回転と共に回転するようになっている。回転体取付フランジ部151は、ボールベアリング152を介して支持部材153に取り付けられ、回転自在な状態とされている。
【0064】
図10は回転伝達部材120に対して図中矢印方向に回転受動部材150を装着する場面を示し、回転伝達部材120に遊勘したトルク伝達部材110は何の拘束もなく全くフリーな状態を維持している。
【0065】
図11は回転伝達部材120に対し回転受動部材150を所定の位置に装着した場面を示し、回転伝達部材120に遊勘したトルク伝達部材110の多角形状とトルク伝達部材110に形成した複数の当接面の相対的な位相が合致していない状態で、回転受動部材150の端面と対向するトルク伝達部材110の端面が当接してバネ部材112の押圧力に抗してトルク伝達部材110が移動した状態を図示している。
【0066】
図12は回転伝達部材120から回転駆動されて回転伝達部材12に遊勘したトルク伝達部材110の多角形状と回転受動部材150に形成した係合用凹面部160の相対的な位相が合致して、バネ部材112の押圧力によって回転中にトルク伝達部材110が回転受動部材15に係合した状態を図示している。
【0067】
ここで、回転受動部材150の孔部の係合用凹面部160には、トルク伝達部材110を回転方向及び回転軸直角方向に嵌入することが可能となる所定のクリアランスを設けておくようにするとよい。回転受動部材150、回転伝達部材120のトルク伝達部材110との遊勘関係に関し、特に回転方向に設けた所定のクリアランスは、回転伝達部材120から回転体(像担持体10Y)を回転駆動する時にトルク伝達部材110が回転中に移動付勢側に勘入可能なクリアランスを設けて形成すればよい。
【0068】
円筒状の回転体(像担持体10Y)の一端に圧入した回転体取付フランジ部151に支持されたボールベアリング152で回転可能に支持し、この回転体取付フランジ部151に回転受動部材150をネジ固定してスラスト方向の位置を規定している。
【0069】
一方、回転体回転軸方向には回転体(像担持体10Y)に対向して詳細図示省略した回転体駆動源部140を配置し、回転体駆動部にはキー部材114を介して駆動フランジ部113に回転伝達する構成である。そして、この駆動フランジ部113には回転伝達部材120を装着し、対向した回転受動部材150とともに回転体駆動伝達部を構成する。
【0070】
この回転体駆動伝達部には回転体(像担持体10Y)の回転軸方向に延在して多角形状を成す柱状のトルク伝達部材110を有し、このトルク伝達部材110の多角形状に対応して多角形状面に当接する複数の当接面(係合用凹面部160)を形成してトルク伝達部材110を回転方向及び回転軸直角方向に所定のクリアランスを設けて共有する構造である。
【0071】
次に、トルク伝達部材110の多角形形状、回転伝達部材120に設けられる多角形状の孔部、回転受動部材150に設けられる多角形状の孔部の関係と、本発明の回転体駆動伝達機構における回転駆動力伝達のメカニズムについて説明する。
【0072】
図13はトルク伝達部材の多角形状及び回転受動部材、回転伝達部材の詳細関係を説明する図であり、図12のA−A断面を示している。
【0073】
図13では、トルク伝達部材の多角形状及び回転受動部材、回転伝達部材の当接面において、互いに平行を成す面を少なくとも一対含むように構成した
図13(a)は回転伝達部材120からトルク伝達部材110を介して回転受動部材を回転駆動している状態を模式的に示し、A−A断面図示法に合致しないが図面表現を優先して回転受動部材を2点鎖線で図示している。
【0074】
図13(b)は、トルク伝達部材110及び回転受動部材150、回転伝達部材120は非回転駆動状態であり、トルク伝達部材110は回転方向及び回転軸直角方向に所定のクリアランスを設けて回転受動部材150、回転伝達部材120に遊勘している。
【0075】
そして、図13(a)、図13(b)は、トルク伝達部材110の多角形状及び回転受動部材150、回転伝達部材120の当接面は4角の関係で構成している。
【0076】
また、同様にして図13(c)、図13(d)は、トルク伝達部材110の多角形状及び回転受動部材150、回転伝達部材120の当接面は変則4角の関係で構成していて、図13(e)、図13(f)は、トルク伝達部材110の多角形状及び回転受動部材150、回転伝達部材120の当接面は6角の関係で構成している。
【0077】
図13に示す本発明の回転体駆動伝達機構における回転駆動力伝達のメカニズムについて説明する。
【0078】
図13において、トルク伝達部材110の多角形状及び回転受動部材150、回転伝達部材120の当接面の形状は各々異なった形状の一例を示しているが、全ての関係で共通しているのはトルク伝達部材110及び回転受動部材150、回転伝達部材120が非回転駆動状態の場面では、トルク伝達部材110は回転方向及び回転軸直角方向に所定のクリアランスを設けて回転受動部材150、回転伝達部材120に遊勘している。
【0079】
そして、回転伝達部材120を図中矢印方向に回転させてトルク伝達部材110を介して回転受動部材150を回転駆動すると、回転伝達部材120の当接面はトルク伝達部材110に当接し、更に、トルク伝達部材110は回転受動部材150の当接面に当接して回転駆動する。
【0080】
この回転駆動時には、回転受動部材150、回転伝達部材120の当接面に遊勘していたトルク伝達部材110は、遊勘状態から自己安定する好ましい位置に自動的に移動して回転軸芯を自動調芯する。従って、従来例で前述した回転伝達部位の一点当たりから生じるような回転変動は各々の部材を格別な高精度で構成する事も不要であり容易に防止可能である。
【0081】
一方、図13に例示したトルク伝達部材110の多角形状及び回転受動部材150、回転伝達部材120の当接面を偶数関係で構成した場合には、回転受動部材150の複数の当接面及び回転伝達部材120の複数の当接面は互いに平行関係の面を有するので、トルク伝達部材110と回転受動部材150との間に相当程度のクリアランスがあったとしても、回転駆動状態を微視的に捉えると例えば微妙な伝達トルク変動や振動等の外乱作用の影響を受けて遊勘状態から自己安定する好ましい位置に自動的に移動して回転軸芯を自動調芯するようになる。このような本実施形態の回転体駆動伝達機構では、トルク伝達部材110や回転受動部材150などの精度を追求しなくとも、良好で安定的なカップリングを得ることができる、というメリットがある。
【0082】
なお、図13で例示したトルク伝達部材110の多角形状及び回転受動部材150、回転伝達部材120の当接面の形状は、トルク伝達部材110の形状を共通にして例示しているが、トルク伝達部材110の形状は回転受動部材150に遊勘する部位と回転伝達部材120に遊勘する部位の形状を異ならせて形成してもよく、また、トルク伝達部材110を回転受動部材150、回転伝達部材120に遊勘して内包した例示になっているが、この逆にして外包する構造であっても良い。
【0083】
また、図9乃至図12ではトルク伝達部材110をバネによって一方方向に移動付勢して回転軸芯を自動調芯した状態に加えて軸方向の位置も安定させているが、このバネの配置は必須条件ではない。
【0084】
次に、本実施形態の回転体駆動伝達機構を画像形成装置の複数のローラに適用する場合について検討する。本実施形態では回転体駆動伝達機構100が、像担持体10Y、像担持体スクイーズローラ13Y、現像ローラ20Y、アニロックスローラ32Yへの回転駆動力伝達のために用いられているが、それぞれのローラに対応する回転受動部材150の係合用凹面部160などの多角形状における平行面が互いに平行とならないように設定されていることが好ましい。これは、それぞれのローラでの平行面が互いに平行となるような位相が合うような位置がでると共振的なノイズによる画像乱れが発生するからである。
【0085】
また、特に像担持体10Y、アニロックスローラ32Yに回転体駆動伝達機構100を適用する場合は、多角形状における平行面が互いに平行とならないように設定されている方がよい。これは、画像形成装置では、アニロックスローラ32Yの回転数を、用紙の質や、室温などに応じて微妙に変化させる必要があるためで、特に像担持体10Yとの連動を防止することが好ましいからである。
【0086】
図14はトルク伝達部材110の多角形状及び回転受動部材150、回転伝達部材120の詳細関係を説明する図であり、図13で前述した内容と構成は同一である。図13で前述した内容と異なるところは、回転受動部材150と回転伝達部材120の回転軸芯が相対的に変芯した状態を誇張して模式的に図示している。但し、非回転状態の図示は省略している。また、A−A断面図示法に合致しないが図面表現を優先して回転伝達部材120の断面ハッチングは省略、回転受動部材150を2点鎖線で図示している。また、図中、G1は回転伝達部材120の回転軸芯、G2は回転受動部材150の回転軸芯、G3は回転体駆動伝達機構全体の仮想回転軸芯を示している。
【0087】
図14において、回転伝達部材120と回転受動部材150の回転軸芯は図示の如く相対芯ズレを有した状態であり、トルク伝達部材110は一方側では回転伝達部材120に、他方側では図13で前述したメカニズムに基づいて自己安定する好ましい位置に自動的に移動して回転軸芯を自動調芯している。
【0088】
すなわち、トルク伝達部材110は相対芯ズレ量分傾斜した状態で回転伝達部材120から回転受動部材150へ回転駆動伝達していて、この状態のトルク伝達部材110の仮想回転軸芯G3は上記相対芯ズレ量の中間位置:相対芯ズレ量の略1/2の位置になって回転駆動伝達する構成である。
【0089】
従来例で示される構成では駆動側と被駆動側の相対芯ズレ量に応じて一回転周期の回転速度変動が生じるものであるが、本実施例の上記構成によればトルク伝達部材110の仮想回転軸芯は上記相対芯ズレ量の中間位置:相対芯ズレ量の略1/2の位置になって回転駆動伝達するので一回転周期の回転速度変動を半減する事が可能である。
【0090】
以上のような構成によれば、簡単な構造によって極度な高精度構成によらず、また、駆動側と被駆動側に軸芯違いがある状態で回転駆動しても1回転周期の回転速度変動の発生を防止して安定した回転駆動伝達を可能にした回転体駆動伝達機構を提供することできる。
【0091】
また、以上のような構成によれば、ある程度の寸法誤差があったとしても不良品とはならないので量産時の歩留まり向上に資することができる。
【0092】
また、以上のような回転体駆動伝達機構を用いた画像形成装置によれば、回転体駆動伝達機構の1回転周期当たりにジッターが発生し、画像乱れ、ムラなどが発生するということがない。
【0093】
次に、画像形成装置の像担持体10Yの現像剤貯留部18Y、現像ローラ20Yの現像剤貯留部24Yに用いられている現像剤搬送構造について説明する。
【0094】
図15は現像剤貯留部18Yにおける現像剤搬送構造の斜視図であり、図16は現像剤搬送構造の要部断面を模式的に示す図である。また、図16は図2のB−B断面である。なお、現像剤貯留部24Yに用いられている現像剤搬送構造についても、これと略同様の構成である。
【0095】
図15及び図16において、200は現像剤搬送構造、210は現像剤貯留基体、211は現像剤貯留基体凹部、220は現像剤搬送スクリュー、230は現像剤搬送基体、231は吸入口、240はパイプ部材、241はニップル、242は取付部、250はスプリング部材をそれぞれ示している。
【0096】
図2において示すように、像担持体10Yから中間転写体40に現像剤を一次転写し、転写残りの現像剤は像担持体クリーニングブレード17Yによって掻き取られて現像剤貯留部18Yに貯留される。現像剤貯留部18Yを構成する現像剤搬送構造200の現像剤貯留基体210の現像剤貯留基体210にいったん貯留するようになっており、この現像剤貯留基体210からその長手方向の一端に設けられた現像剤搬送基体230へと現像剤を搬送するようになっている。
【0097】
現像剤貯留基体210の現像剤貯留基体凹部211には円柱状の基体部の外周に所定ピッチのスパイラル羽を形成して一体で回転可能に支持した現像剤搬送スクリュー220を配置して軸方向に現像剤搬送を行う構成である。現像剤貯留基体凹部211は現像剤搬送スクリュー220を覆うような形状をしており、その曲率半径は吸入口231より若干大きく設定されている。
【0098】
現像剤貯留部18Yは、像担持体10Yから掻き取った現像剤を貯留する為に上方を開放した略U文字状形状の現像剤貯留基体凹部211を形成し、その現像剤貯留基体210の一端部から軸方向に現像剤を排出する構成であり、現像剤貯留基体210の一端の現像剤搬送基体230には円形の現像剤の吸入口231を形成し、この吸入口231に現像剤搬送スクリュー220を勘入させて回転する構造である。吸入口231の径は、現像剤搬送スクリュー220がほぼ内嵌する程度のものであり、この現像剤搬送スクリュー220は、現像剤貯留基体凹部211から現像剤搬送基体230の吸入口231内に延在することによって、吸入口231へと現像剤を吸入させるポンプ作用を顕著なものとしている。
【0099】
現像剤貯留基体210の上方を開放した状態の中で現像剤搬送スクリュー220を回転させて現像剤を搬送してこの吸入口231に現像剤搬送スクリュー220が勘入した部位に到達すると、この部位では現像剤に対してポンプ作用が果たされて現像剤を所望の位置まで圧送する構成である。
【0100】
現像剤搬送基体230には吸入口231から連なった孔があいており、図示するようにその一端にはパイプ部材240がニップル241を利用して取り付けられている。現像剤搬送スクリュー220はこのパイプ部材240まで延在しており、現像剤搬送スクリュー220には取付部を利用して、パイプ部材240に内側に、その外周が摺接するスプリング部材250が取り付けられている。
【0101】
一方、図2に示す現像剤貯留部18Yに貯留した現像剤は像担持体から掻き取った現像剤であり、現像剤は帯電状態であるのでトナー粒子が凝集したり、または、トナー粒子が他の部材に静電吸着しやすくなったりしている。したがって、上記のポンプ作用によって現像剤を圧送する場合にその搬送経路の内面にトナー粒子が静電吸着する可能性を有している。
【0102】
そこで、本実施例では現像剤搬送スクリュー220の突端に所定ピッチで形成したスプリング部材250を装着して現像剤搬送スクリュー220と一体で回転可能に支持し、このスプリング部材250の外周面と現像剤排出口の内面は僅かな間隙を有して構成されていて、各所で摺接回転して仮にトナー粒子が搬送経路の内面に静電吸着しても、その掻き取りが可能であり、安定した現像剤圧送が実現できる。
【0103】
図16では現像剤貯留基体210の吸入口231に連続してニップル241を介して現像剤搬送チューブなどのパイプ部材240を装着して現像剤搬送路を形成して所望に位置まで現像剤を搬送する形態を示していて、上述の内容と同様にパイプ部材240の内面と現像剤搬送スクリュー220及びこのスプリング部材250を僅かな間隙で勘入させていて現像剤の圧送能力を高めるとともに、パイプ部材240の内面に吸着したトナー粒子の掻き取りを果たして、安定した現像剤圧送を実現している。
【0104】
なお、スプリング部材250を用いないで現像剤搬送スクリュー220を長くして所望の位置まで圧送しても良いが、この場合には現像剤搬送路を直線状に形成する必要が生じる。スプリング部材250を現像剤搬送路内に勘入させる構成では、現像剤搬送路に曲率を有して形成しても目的達成が可能であり、現像剤搬送路形成の制約条件が少ない。
【0105】
なお、本実施例では像担持体10から掻き取った現像剤を搬送する一例で説明したが、この一例に限定されるものではなく、図1の各所に配備した部位にも適用できるものである。
【0106】
次に、現像剤搬送構造を像担持体10Yの現像剤貯留部18Yに適用する場合と、現像ローラ20Yの現像剤貯留部24Yに適用する場合について説明する。
【0107】
像担持体10Yの像担持体クリーニングブレード17Yによって掻き落とされる液体現像剤の粘度は、現像ローラ20Yの現像ローラクリーニングブレード21Yによって掻き落とされる液体現像剤の粘度に比べて大きい。
【0108】
現像剤搬送構造200においては、粘度の低い液体現像剤の搬送は、より多くの搬送処理能力を要する。したがって、現像剤貯留部24Yの現像剤搬送構造200における現像剤搬送スクリュー220羽のピッチは、現像剤貯留部18Yの現像剤搬送構造200における現像剤搬送スクリュー220羽のピッチより短くすることが好ましい。
【0109】
また、現像剤貯留部24Yの現像剤搬送構造200における現像剤搬送スクリュー220の回転数は、現像剤貯留部18Yの現像剤搬送構造200における現像剤搬送スクリュー220の回転数より速くすることが好ましい。
【0110】
また、現像剤貯留部24Yの現像剤搬送構造200における現像剤搬送スクリュー220羽のピッチを現像剤貯留部18Yのそれより短くし、現像剤貯留部24Yの現像剤搬送構造200における現像剤搬送スクリュー220の回転数を現像剤貯留部18Yのそれより速くすることもできる。
【0111】
次に、現像剤搬送構造における現像剤搬送能力向上ついて説明する。図17は現像剤搬送構造200の長手方向3カ所での断面を模式的に示す図である。
【0112】
図17において、現像剤貯留基体210長手方向からみて(a)は現像剤搬送基体230N最も近いところの断面を示しており、(c)は現像剤搬送基体230から最も遠いところの断面を示しており、(b)は両者の中間程度のところの断面を示している。図17の(a)乃至(c)で異なる点は、現像剤貯留基体凹部211が現像剤搬送スクリュー220を覆う範囲にある。
【0113】
このような範囲については、図中の円弧角αで定義することができる。すなわち、現像剤搬送スクリュー220断面のうちどの範囲までが現像剤貯留基体凹部211によって覆われているかを、現像剤搬送スクリュー220断面の円Oを中心とした角αで定義する。
【0114】
キャリア液にトナー粒子を分散させた液体現像剤は、液体相応の表面張力を有していて現像剤搬送スクリュー220の外周面及び現像剤貯留部基体210の一部位に吸着する特性を有するので、現像剤搬送スクリュー220外周面に吸着した現像剤は現像剤搬送スクリュー220とともに回転移動し、現像剤貯留部基体210に吸着した現像剤は位置保持習性を有する。
【0115】
従って、円柱状の基体部の外周に所定ピッチのスパイラル羽を形成して一体で回転する現像剤搬送スクリュー220による現像剤搬送機能は、現像剤搬送スクリュー220とその外周面に沿った円弧面が協働する部位によって達成されるので、この協働部位を大きくすることが肝要である。
【0116】
本発明者等はこの原理に基づいて種々の実験を行った結果、図17に示す円弧角αは180°以上であるときに所望の現像剤搬送能力を得ることができるものと結論づけることができた。
【0117】
なお、申すまでもないが、当該αは大きければ大きい程に上記現像剤搬送スクリュー220とその外周面に沿った円弧面が協働する部位が長くなって現像剤搬送能力は向上する。
【0118】
図17はこのような知見に基づいた実施形態である。現像剤貯留基体210を長手方向からみると、現像剤の搬送能力が要求されるのは、掻き落とされた現像剤が累積する現像剤搬送基体230近傍の部分であるので、図17に示すように(c)から(a)となるにつれて、αが大きくなるように設定されている。
【0119】
次に、現像剤搬送構造を像担持体10Yの現像剤貯留部18Yに適用する場合と、現像ローラ20Yの現像剤貯留部24Yに適用する場合について説明する。
【0120】
先に示したように、像担持体10Yから掻き落とされる液体現像剤の粘度は、現像ローラ20Yから掻き落とされる液体現像剤の粘度に比べて大きい。
【0121】
現像剤搬送構造200においては、粘度の低い液体現像剤の搬送は、より多くの搬送処理能力を要するので、粘度の低い液体現像剤を搬送する現像剤貯留部24Yにおける円弧角αを、現像剤貯留部18Yのそれより大きく設定することが好ましい。
【0122】
すなわち、像担持体10Yから掻き落とされた液体現像剤を搬送する現像剤搬送構造200の現像剤貯留基体凹部211の円弧角と、現像ローラ20Yから掻き落とされた液体現像剤を搬送する現像剤搬送構造200の現像剤貯留基体凹部211の円弧角と、を現像剤搬送と垂直な面内において比較すると、後者の円弧角が前者の円弧角より大きくなるように設定されていることが望ましい。
【0123】
以上、本発明の構成によれば、帯電状態にありトナー粒子が凝集したり、または、トナー濃度が不均一な状態であったりする余剰液体現像剤の搬送処理を円滑に行うことができる。また、これによって、余剰液体現像剤のリサイクル処理や廃棄処理などがスムースに行うことができるようになる。
【0124】
また、本発明の構成によれば、帯電した余剰液体現像剤のトナー粒子が搬送部の構成部材表面に静電吸着する状況を防止するので、余剰液体現像剤が搬送できなくなる、ということが発生しない。
【0125】
また、以上のような構成の現像剤搬送構造を用いた画像形成装置によれば、余剰液体現像剤の搬送効率を高めて、現像剤を閉ループで循環させる構造から脱却して、現像剤を現像部位から一端他の部位に搬送移動させて新たな現像剤と混入したり、或いはトナー粒子の凝集やトナー濃度不均一を解消して所望の分散を行ったり、或いはまた、不要な現像剤として廃却したりすることが可能となる。
【0126】
なお、以上種々の実施形態について説明したが、それぞれの実施形態の構成要素を任意に組み合わせて構成した実施形態も本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】本発明の実施の形態に係る回転体駆動伝達機構を用いた画像形成装置を構成する主要構成要素を示した図である。
【図2】画像形成部及び現像ユニットの主要構成要素を示した断面図である。
【図3】トナー圧縮ローラ22Yによるコンパクションを説明する図である。
【図4】現像ローラ20Yによる現像を説明する図である。
【図5】像担持体スクイーズローラ13Yによるスクイーズ作用を説明する図である。
【図6】中間転写体スクイーズ装置52Yによるスクイーズ作用を説明する図である。
【図7】アニロックスローラの外観形状を示す図である。
【図8】本発明の回転体駆動伝達機構が現像ユニットに用いられている様子を模式的に示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る回転体駆動伝達機構のカップリング時の断面を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る回転体駆動伝達機構がカップリング前の断面を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る回転体駆動伝達機構の各部材が完全係合する前の断面を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る回転体駆動伝達機構のカップリング時の断面を示す図である。
【図13】トルク伝達部材の多角形状及び回転受動部材、回転伝達部材の詳細関係を説明する図である。
【図14】トルク伝達部材の多角形状及び回転受動部材,回転伝達部材の詳細関係を説明する図である。
【図15】現像剤貯留部18Yにおける現像剤搬送構造の斜視図である。
【図16】現像剤搬送構造の要部断面を模式的に示す図である。
【図17】現像剤搬送構造の長手方向3カ所での断面を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0128】
10Y、10M、10C、10K・・・像担持体、11Y、11M、11C、11K・・・帯電ローラ、12Y、12M、12C、12K・・・露光ユニット、13Y・・・像担持体スクイーズローラ、14Y・・・像担持体スクイーズローラクリーニングブレード、16Y・・・潜像イレーサ、17Y・・・像担持体クリーニングブレード、18Y・・・現像剤貯留部、20Y、20M、20C、20K・・・現像ローラ、21Y・・・現像ローラクリーニングブレード、22Y・・・トナー圧縮ローラ、23Y・・・キャリア量調整ブレード、24Y・・・現像剤貯留部、30Y、30M、30C、30K・・・現像ユニット、31Y、31M、31C、31K・・・現像剤容器、32Y、32M、32C、32K・・・アニロックスローラ、31Y、31M、31C、31K・・・現像剤容器、33Y・・・規制ブレード、34Y・・・供給ローラ、40・・・中間転写体、41、42・・・ベルト駆動ローラ、45・・・現像剤貯留部、46・・・中間転写体クリーニングブレード、47・・・現像剤貯留部、50Y、50M、50C、50K・・・一次転写部、51Y、51M、51C、51K・・・一次転写バックアップローラ、52Y、52M、52C、52K・・・中間転写体スクイーズユニット、53Y・・・中間転写体スクイーズローラ、54Y・・・中間転写体スクイーズバックアップローラ、55Y・・・中間転写体スクイーズローラクリーニングブレード、56Y・・・現像剤貯留部、60・・・二次転写ユニット、61・・・二次転写ローラ、62・・・二次転写ローラクリーニングブレード、63・・・現像剤貯留部、110・・・トルク伝達部材、120・・・回転伝達部材、112・・・バネ部材、113・・・フランジ部、114・・・キー部材、130・・・伝達用当接面部、140・・・回転体駆動源部、150・・・回転受動部材、151・・・回転体取付フランジ部、152・・・ボールベアリング、153・・・支持部材、160・・・係合用凹面部、200・・・現像剤搬送構造、210・・・現像剤貯留基体、211・・・現像剤貯留基体凹部、220・・・現像剤搬送スクリュー、230・・・現像剤搬送基体、231・・・吸入口、240・・・パイプ部材、241・・・ニップル、242・・・取付部、250・・・スプリング部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に支持された回転体と、
該回転体と一体的に接続され該回転体を回転駆動する駆動力を媒介する回転受動部材と、該回転受動部材と係合し該回転受動部材に回転駆動力を伝達して回転駆動させる回転伝達部材と、
前記回転伝達部材内に設けられ、前記回転体の回転軸方向に延在して多角形状をなす柱状のトルク伝達部材と、
前記回転受動部材に設けられ、前記トルク伝達部材の多角形状に対応し前記トルク伝達部材とは回転方向及び回転軸直角方向に所定のクリアランスが設けられた多角形状面を有する係合用凹面部と、からなることを特徴とする回転体駆動伝達機構。
【請求項2】
前記係合用凹面部の多角形状は、互いに平行を成す面を少なくとも一対含む多角形状であることを特徴とする請求項1記載の回転体駆動伝達機構。
【請求項3】
回転駆動源に接続された前記回転伝達部材を一つ有し、前記回転体は像担持体、アニロックスローラ、現像ローラ、像担持体スクイーズローラ、トナー圧縮ローラのうちのいずれか一つであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の回転体駆動伝達機構を用いた画像形成装置。
【請求項4】
回転駆動源に接続された前記回転伝達部材を複数有し、前記回転体は像担持体、アニロックスローラ、現像ローラ、像担持体スクイーズローラ、トナー圧縮ローラの任意の組み合わせであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の回転体駆動伝達機構を用いた画像形成装置。
【請求項5】
異なる回転駆動源に接続された前記回転伝達部材を複数有し、前記回転体は像担持体、アニロックスローラ、現像ローラ、像担持体スクイーズローラ、トナー圧縮ローラの任意の組み合わせであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の回転体駆動伝達機構を用いた画像形成装置。
【請求項6】
前記回転体それぞれに対応する回転受動部材の係合用凹面部における平行面が互いに平行とならないように設定されることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記回転体は像担持体及びアニロックスローラであって、該像担持体に対応する回転受動部材の係合用凹面部における平行面と、該アニロックスローラに対応する回転受動部材の係合用凹面部における平行面とが互いに平行とならないように設定されることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項1】
回転可能に支持された回転体と、
該回転体と一体的に接続され該回転体を回転駆動する駆動力を媒介する回転受動部材と、該回転受動部材と係合し該回転受動部材に回転駆動力を伝達して回転駆動させる回転伝達部材と、
前記回転伝達部材内に設けられ、前記回転体の回転軸方向に延在して多角形状をなす柱状のトルク伝達部材と、
前記回転受動部材に設けられ、前記トルク伝達部材の多角形状に対応し前記トルク伝達部材とは回転方向及び回転軸直角方向に所定のクリアランスが設けられた多角形状面を有する係合用凹面部と、からなることを特徴とする回転体駆動伝達機構。
【請求項2】
前記係合用凹面部の多角形状は、互いに平行を成す面を少なくとも一対含む多角形状であることを特徴とする請求項1記載の回転体駆動伝達機構。
【請求項3】
回転駆動源に接続された前記回転伝達部材を一つ有し、前記回転体は像担持体、アニロックスローラ、現像ローラ、像担持体スクイーズローラ、トナー圧縮ローラのうちのいずれか一つであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の回転体駆動伝達機構を用いた画像形成装置。
【請求項4】
回転駆動源に接続された前記回転伝達部材を複数有し、前記回転体は像担持体、アニロックスローラ、現像ローラ、像担持体スクイーズローラ、トナー圧縮ローラの任意の組み合わせであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の回転体駆動伝達機構を用いた画像形成装置。
【請求項5】
異なる回転駆動源に接続された前記回転伝達部材を複数有し、前記回転体は像担持体、アニロックスローラ、現像ローラ、像担持体スクイーズローラ、トナー圧縮ローラの任意の組み合わせであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の回転体駆動伝達機構を用いた画像形成装置。
【請求項6】
前記回転体それぞれに対応する回転受動部材の係合用凹面部における平行面が互いに平行とならないように設定されることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記回転体は像担持体及びアニロックスローラであって、該像担持体に対応する回転受動部材の係合用凹面部における平行面と、該アニロックスローラに対応する回転受動部材の係合用凹面部における平行面とが互いに平行とならないように設定されることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−31646(P2009−31646A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−197445(P2007−197445)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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