回転塗布方法及びその装置、固体撮像素子の製造方法、並びにデバイスの製造方法
【課題】回転塗布によるウエハ面内での塗布物の膜厚の均一性を高める。
【解決手段】ウエハ200の外周部がウエハ200の中心部よりも高くなるようにウエハ200を強制的に反らせた状態で、ウエハ200上に塗布物201を回転塗布する。
【解決手段】ウエハ200の外周部がウエハ200の中心部よりも高くなるようにウエハ200を強制的に反らせた状態で、ウエハ200上に塗布物201を回転塗布する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト等の塗布物をウエハ上に回転塗布する回転塗布方法及びその装置、並びに、これを用いた固体撮像素子の製造方法及びデバイスの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラや電子スチルカメラなどには、CCD型、CMOS型等の固体撮像素子が使用されている。このような固体撮像素子では、カラー画像を得るために、光電変換部の上方にオンチップでカラーフィルタ層が形成されている(例えば、下記特許文献1)。通常は、このカラーフィルタ層は、顔料等の色素を有するカラーレジストを回転塗布(スピンコート)し、このカラーレジストを露光・現像してパターニングすることによって、形成されている。
【0003】
また、固体撮像素子以外の半導体デバイスやその他の種々のデバイスを製造する際にも、種々の塗布物がウエハ上に回転塗布されている。例えば、回路パターン等をフォトリソグラフィにより形成する際に用いるレジストを、ウエハ上に塗布する場合に、前記レジストが塗布物としてウエハ上に回転塗布されている。また、絶縁膜としてスピンオングラス(SOG)膜を用いる場合、スピンオングラスが塗布物としてウエハ上に回転塗布されている。
【0004】
下記特許文献2には、レジスト等の塗布物の回転塗布に用いられる回転塗布装置の例が開示されている。
【特許文献1】特開2006−179728号公報
【特許文献2】特開平11−19565号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
回転塗布は、ウエハの内周部と外周部とでは線速度が異なるため、回転塗布でウエハ上に形成された塗布物の膜厚は、ウエハ中心から外周に向かって次第に薄くなる傾向の分布を持つ。ところが、従来の回転塗布方法及びその装置では、この分布に対して配慮がなされておらず、ウエハの面内での塗布物の膜厚の均一性は必ずしも十分ではなかった。特に、最近のウエハの大口径化により、塗布物の膜厚の均一性が一層低下してしまう。
【0006】
ウエハの面内での塗布物の膜厚の均一性が不十分であると、種々の不都合が生ずる。固体撮像素子においては、カラーレジストの回転塗布を利用してカラーフィルタ層を形成する場合、例えば、直径200mmのウエハにカラーレジストを1.0μmの膜厚で塗布しようとすると、ウエハの中心部のカラーレジストの膜厚とウエハの外周部のカラーレジストの膜厚とで、約10%の差が生ずる場合がある。この膜厚差はカラーフィルタ層の透過率の差となり、光センサとしての感度約10%の差となって現れる。
【0007】
また、固体撮像素子やその他の各種のデバイスにおいて、回路配線をパターニングする際に用いるレジストを、ウエハ上に回転塗布する場合、パターニングされる回路配線の線幅の面内でのバラツキが大きくなり、素子性能のバラツキの増大や歩留りの低下を招いてしまう。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ウエハの面内での塗布物の膜厚の均一性を高めることができる回転塗布方法及びその装置、並びに、この回転塗布方法を用いた固体撮像素子の製造方法及びデバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明の第1の態様による回転塗布方法は、ウエハの外周部が前記ウエハの中心部よりも高くなるように前記ウエハを強制的に反らせた状態で、前記ウエハ上に塗布物を回転塗布するものである。
【0010】
本発明の第2の態様による固体撮像素子の製造方法は、カラーフィルタ層を有する固体撮像素子の製造方法であって、ウエハの外周部が前記ウエハの中心部よりも高くなるように前記ウエハを強制的に反らせた状態で、前記ウエハ上に前記カラーフィルタ層となる塗布物を回転塗布する段階を、備えたものである。
【0011】
本発明の第3の態様によるデバイスの製造方法は、ウエハの外周部が前記ウエハの中心部よりも高くなるように前記ウエハを強制的に反らせた状態で、前記ウエハ上に塗布物を回転塗布する段階を、備えたものである。前記デバイスは、固体撮像素子やその他の半導体デバイスやその他の各種のデバイス(例えば、MEMSデバイスやマイクロマシンデバイスなどの半導体製造技術を利用して製造されるデバイス)を含む。
【0012】
本発明の第4の態様による回転塗布装置は、ウエハ上に塗布物を回転塗布する回転塗布装置であって、前記ウエハの外周部が前記ウエハの中心部よりも高くなるように前記ウエハを強制的に反らせた状態で前記ウエハを支持する支持部を備えたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ウエハの面内での塗布物の膜厚の均一性を高めることができる回転塗布方法及びその装置、並びに、この回転塗布方法を用いた固体撮像素子の製造方法及びデバイスの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明による回転塗布方法及びその装置、並びに、この回転塗布方法を用いた固体撮像素子の製造方法及びデバイスの製造方法について、図面を参照して説明する。
【0015】
[第1の実施の形態]
【0016】
図1乃至図3は、本発明の第1の実施の形態による回転塗布装置(スピンコート装置)101の要部を模式的に示す概略断面図である。図1はウエハ200のセットの過程(スピンチャック本体111による真空吸着前の状態)を示し、図2はウエハ200のセット終了後でかつ塗布物201の塗布前の状態を示し、図3は塗布物201の塗布後の状態を示している。
【0017】
本実施の形態による回転塗布装置101は、ウエハ200の外周部がウエハ200の中心部よりも高くなるようにウエハ200を強制的に反らせた状態でウエハ200を支持する支持部としての、スピンチャック110と、ウエハ200上にレジスト等の塗布物201を供給する供給ノズル113とを備えている。
【0018】
本実施の形態では、スピンチャック110は、図示しないモータ等により矢印Xで示すように回転し得るチャック本体111と、チャック本体111の側面の上部側に固着された大径部材112とを有している。なお、図面には示していないが、スピンチャック110及び供給ノズル113は、必要に応じて、所定のチャンバ内に配置される。
【0019】
チャック本体111は図示しない真空装置に接続されており、チャック本体111の上面が、ウエハ200の下面の中央付近を真空吸着する真空吸着面111aとなっている。大径部材112の上面には、平面視でリング状の突起112aが設けられている。図1に示すように、ウエハ200が真空吸着面111aに吸着されていない状態で、突起112a上にウエハ200を載置したときに、ウエハ200の下面とチャック本体111の真空吸着面111aとの間に、所定の間隙があくようになっている。突起112aは、平面視でリング状部材が1つ設けられているが、これに限定されない。例えば、図示しないが、リング状部材を真空吸着面111aに対して同心円状に複数設けてもよい。その場合、リング状部材の高さは、真空吸着面111a近傍から大径部材112の周辺部に向かって、順次高くなるように設定する。そのような構成にすれば、ウエハ200の中心部から外周部までを、その中心部よりも外周部が高くなるように確実に支持できる。
【0020】
また、突起112aはリング形状に限定されるものではなく、複数の突起112aを大径部材112の上面に分散して設けてもよい(例えば、平面視で120度ずつをなす3箇所)。またさらに、突起112aは、真空吸着面111aを中心として放射状に設けてもよい。この場合、突起112aの高さは、真空吸着面111a近傍から大径部材112の周辺部に向かって、次第に高くなるように設定する。そのような構成によれば、ウエハ200をその外周部が中央部よりも高くなるように確実に支持できる。
【0021】
したがって、図1に示すようにウエハ200を突起112a上に載置した後、真空吸着面111aにウエハ200の下面の中央付近を真空吸着させると、図2に示すように、ウエハ200の外周部がウエハ200の中心部よりも高くなるようにウエハ200が強制的に反らされた状態で、ウエハ200が支持される。ウエハ200の反りの程度は、真空吸着面111aに対する突起112aの相対的な高さで決定される。本実施の形態では、真空吸着面111aに対する突起112aの高さは固定されたままであるが、例えば、大径部材112をチャック本体111に対して相対的に上下方向に移動させて突起112aの高さを調整可能とする調整機構を設けてもよい。この場合には、真空吸着面111aに対する突起112aの高さを調整することで、ウエハ200の反りの程度、ひいては塗布物201の膜厚の均一性をウエハ200の径などに応じて適宜調整することができる。
【0022】
本実施の形態による回転塗布装置101を用いてウエハ200上に塗布物201を塗布する場合、図3に示すようにウエハ200をスピンチャック110に保持した状態で、スピンチャック110を回転させながら、供給ノズル113から塗布物201をウエハ200上の中央付近に供給することで、塗布物201をウエハ200上に回転塗布する。なお、供給ノズル113は、図示しない移動機構によって、必要に応じて、図1乃至図3に示す位置に進出させたり図示しない待避位置に待避させたりできるようになっている。
【0023】
図4及び図5は、本実施の形態による回転塗布装置101と比較される比較例による回転塗布装置301の要部を模式的に示す概略断面図である。図4はウエハ200のセット終了後でかつ塗布物201の塗布前の状態を示し、図5は塗布物201の塗布後の状態を示している。図4及び図5において、図1乃至図3中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0024】
この比較例による回転塗布装置301は、従来の回転塗布装置に相当している。この比較例による回転塗布装置301が本実施の形態による回転塗布装置101と異なる所は、大径部材112が取り除かれて、スピンチャック110がチャック本体111だけで構成されている点のみである。
【0025】
この比較例による回転塗布装置301では、大径部材112がないので、図4に示すように、真空吸着面111aにウエハ200の下面の中央付近を真空吸着させても、ウエハ200が強制的に反らされることはない。この比較例による回転塗布装置301を用いてウエハ200上に塗布物201を塗布する場合、図4に示すようにウエハ200をスピンチャック110に保持した状態で、スピンチャック110を回転させながら、供給ノズル113から塗布物201をウエハ200上の中央付近に供給することで、塗布物201をウエハ200上に回転塗布する。
【0026】
この比較例による回転塗布装置301では、ウエハ200の内周部と外周部とでは線速度が異なるため、ウエハ200は強制的に反らされていないことから、、図5に示すように、回転塗布でウエハ200上に形成された塗布物201の膜厚は、ウエハ200中心から外周に向かって次第に薄くなってしまう。なお、理解を容易にするため、図5では、この膜厚分布を誇張して示している。
【0027】
これに対し、本実施の形態による回転塗布装置101では、ウエハ200の外周部がウエハ200の中心部よりも高くなるようにウエハ200を強制的に反らせた状態で、ウエハ200上に塗布物201が回転塗布されるので、ウエハ200の外周部が塗布物201をある程度堰き止めようとするような作用を担うため、図3に示すように、ウエハ200の面内での塗布物201の膜厚の均一性が高まる。
【0028】
なお、塗布物201としては、例えば、カラーレジスト、その他のレジスト、スピンオングラス(SOG)などでもよい。ウエハ200としては、シリコンウエハを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0029】
[第2の実施の形態]
【0030】
図6は、本発明の第2の実施の形態によるデバイス製造方法としての固体撮像素子製造方法により製造されるデバイスとしての固体撮像素子1の一例を示す概略構成図である。この固体撮像素子1は、CMOS型固体撮像素子として構成されている。もっとも、本発明による固体撮像素子の製造方法は、CCD型などの他の固体撮像素子の製造方法にも適用可能である。
【0031】
図6に示すように、この固体撮像素子1は、一般的なCMOS型固体撮像素子と同様に、垂直走査回路2と、水平走査回路3と、2次元状に配置された複数の単位画素4と、読み出し回路5と、出力アンプ6とを有している。各画素4のフォトダイオード15(図6では図示せず。図7参照)が出力する電気信号が垂直走査回路2によって読み出し回路5に行単位で取り出され、水平走査回路3によって列単位で出力アンプ6を介して出力端子7に画像信号として出力されるようになっている。
【0032】
図7は、図6中の単位画素4を示す回路図である。各画素4は、図6に示すように、選択トランジスタ11と、ソースフォロアの増幅トランジスタ12と、リセットトランジスタ13と、転送トランジスタ14と、光電変換を行う受光部としてのフォトダイオード15とから構成されている。図7において、Vccは電源である。
【0033】
図6及び図7に示すように、画素4の選択トランジスタ11のゲートは行毎に選択線20に共通に接続されている。画素4のリセットトランジスタ13のゲートは、行毎にリセット線21に共通に接続されている。画素4の転送トランジスタ14のゲートは、行毎に転送線22に共通に接続されている。画素4の選択トランジスタ11のソースは、列毎に垂直信号線23に共通に接続されている。選択線20、リセット線21及び転送線22は、垂直走査回路2に接続されている。垂直信号線23は、読み出し回路5に接続されている。
【0034】
図8は、図6に示す固体撮像素子1の一部を模式的に示す概略断面図である。図8は、所定方向に並んだ複数の画素4を大幅に簡略化してその主要部のみを模式的に示している。
【0035】
この固体撮像素子1では、図8に示すように、各画素4において、シリコン基板31にフォトダイオード15が設けられている。シリコン基板31上には、例えばシリコン酸化膜からなる層間膜32〜34が、下側(基板31側)から順に形成されている。また、図8に示すように、1層目アルミニウム配線層35、2層目アルミニウム配線層36及び3層目アルミニウム配線層37が形成され、これらによって、図6及び図7に示す回路の配線がなされている。3層目のアルミニウム配線層37は、各画素4の有効受光領域以外を覆う遮光膜の役割も果たしている。なお、図面には示していないが、各画素4の図7に示す回路や図6中の他の回路も、シリコン基板31に搭載されている。
【0036】
また、この固体撮像素子1では、図8に示すように、3層目のアルミニウム配線層37より上側の位置において、窒化シリコン膜等のパッシベーション膜(保護膜)38、平坦化層40、赤色、緑色及び青色のカラーフィルタ層41R,41G,41B、平坦化層42、及び、入射光をフォトダイオード15に集光させるマイクロレンズ43が設けられている。図8では、理解を容易にするため、各列において各画素4毎に赤色、緑色及び青色のカラーフィルタ層41R,41G,41Bが順次に並んでいるかのように示しているが、実際には、例えばベイヤー配列に従って配列される。マイクロレンズ43も、各画素4毎に形成されている。
【0037】
次に、本発明の第2の実施の形態によるデバイス製造方法として、図6乃至図8に示す固体撮像素子1の製造方法について、図9乃至図16を参照して説明する。図9は、シリコンウエハ51の各領域52,53を模式的に示す概略平面図である。図10乃至図16は、本実施の形態による製造方法の主要な工程を模式的に示す概略断面図である。
【0038】
まず、複数の固体撮像素子1を一括して製造するべく、シリコンウエハ51を用意する。このシリコンウエハ51は、最後にチップ毎に分割することで、各固体撮像素子1の前記シリコン基板31となる。シリコンウエハ51は、各々が個々の固体撮像素子1となる複数のチップ領域52と、チップ領域52外の外周部53とを有している。このシリコンウエハ51上に、従来の固体撮像素子と同様に半導体製造プロセスを利用して、平坦化層40までの構造(図6及び図7に示す回路を含む。)を、複数の固体撮像素子1の分だけ一括して作製する(図10)。
【0039】
次に、平坦化層40までの構造が作製されたウエハ51上に、前述した図1乃至図3に示す第1の実施の形態による回転塗布装置101を用いて、赤色のカラーレジスト41R’を回転塗布する(図11)。ここでは、前述した第1の実施の形態の説明において、ウエハ200を、平坦化層40までの構造が作製されたウエハ51と読み替えるとともに、塗布物201を赤色のカラーレジスト41R’と読み替えられたい。したがって、本実施の形態では、図4及び図5に示す回転塗布装置301を用いる場合に比べて、ウエハ51の面内での赤色のカラーレジスト41R’の膜厚の均一性が高まる。
【0040】
引き続いて、赤色のカラーレジスト41R’を、露光及び現像してパターニングすることで、赤色のカラーフィルタ層41Rとする(図12)。
【0041】
次に、前述した赤色のカラーレジスト41R’の場合と同様に、図12に示す状態のウエハ51上に、前述した図1乃至図3に示す第1の実施の形態による回転塗布装置101を用いて、緑色のカラーレジスト41G’を回転塗布する(図13)。ここでは、前述した第1の実施の形態の説明において、ウエハ200を、図12に示す状態のウエハ51と読み替えるとともに、塗布物201を緑色のカラーレジスト41G’と読み替えられたい。したがって、本実施の形態では、図4及び図5に示す回転塗布装置301を用いる場合に比べて、ウエハ51の面内での緑色のカラーレジスト41G’の膜厚の均一性が高まる。
【0042】
引き続いて、緑色のカラーレジスト41G’を、露光及び現像してパターニングすることで、緑色のカラーフィルタ層41Gとする(図14)。
【0043】
次いで、前述したカラーレジスト41R’,41G’の場合と同様に、図14に示す状態のウエハ51上に、前述した図1乃至図3に示す第1の実施の形態による回転塗布装置101を用いて、青色のカラーレジスト41B’を回転塗布する(図15)。ここでは、前述した第1の実施の形態の説明において、ウエハ200を、図14に示す状態のウエハ51と読み替えるとともに、塗布物201を青色のカラーレジスト41B’と読み替えられたい。したがって、本実施の形態では、図4及び図5に示す回転塗布装置301を用いる場合に比べて、ウエハ51の面内での青色のカラーレジスト41B’の膜厚の均一性が高まる。
【0044】
引き続いて、青色のカラーレジスト41B’を、露光及び現像してパターニングすることで、青色のカラーフィルタ層41Bとする(図16)。
【0045】
その後、平坦化層42及びマイクロレンズ43を形成する(図8)。なお、マイクロレンズ43は、例えば、熱リフロー法及びエッチバック法のいずれによって形成してもよい。
【0046】
このようにして、1つのシリコンウエハ51の多数のチップ領域52上に多数の固体撮像素子1が形成される。最後に、これを個々のチップに分離することで、多数の固体撮像素子1が完成する。
【0047】
本実施の形態によれば、前述したように、カラーレジスト41R’,41G’,41B’の回転塗布が、前述した図1乃至図3に示す第1の実施の形態による回転塗布装置101を用いて、ウエハ51の外周部がウエハ51の中心部よりも高くなるようにウエハ51を強制的に反らせた状態で、行われる。したがって、本実施の形態によれば、ウエハ51の外周部がカラーレジスト41R’,41G’,41B’をある程度堰き止めようとするような作用を担うため、図3に示すのと同様に、ウエハ51の面内でのカラーレジスト41R’,41G’,41B’の膜厚の均一性が高まる。このため、本実施の形態によれば、ウエハ51の面内でのカラーフィルタ層41R,41G,41Bの膜厚の均一性が高まることによって、ウエハ51の面内でのカラーフィルタ層41R,41G,41Bの光透過率の均一性が高まり、カラー特性への影響が抑えられる。
【0048】
本実施の形態は、本発明による回転塗布方法をカラーレジスト41R’,41G’,41B’の回転塗布に適用した例であるが、例えば、各アルミニウム配線層35,36,37のパターニングをフォトリソエッチング法により行う場合に、その際に用いるレジストの回転塗布について、本発明による回転塗布方法を適用してもよい。この場合、ウエハの面内でのそのレジストの膜厚の均一性が高まるので、パターニングされるアルミニウム配線層35,36,37の線幅の面内でのバラツキが抑えられるため、素子性能のバラツキの抑制や歩留りの向上を図ることができる。
【0049】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。例えば、本発明によるデバイス製造方法により製造されるデバイスは、固体撮像素子に限定されるものではなく、その他の半導体デバイスやその他の各種のデバイスでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1の実施の形態による回転塗布装置の要部を模式的に示す概略断面図であり、ウエハのセットの過程を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態による回転塗布装置の要部を模式的に示す概略断面図であり、ウエハのセット終了後でかつ塗布物の塗布前の状態を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態による回転塗布装置の要部を模式的に示す概略断面図であり、塗布物の塗布後の状態を示す図である。
【図4】比較例による回転塗布装置の要部を模式的に示す概略断面図であり、ウエハのセット終了後でかつ塗布物の塗布前の状態を示す図である。
【図5】比較例による回転塗布装置の要部を模式的に示す概略断面図であり、塗布物の塗布後の状態を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態による製造方法により製造される固体撮像素子の一例を示す概略構成図である。
【図7】図6中の単位画素を示す回路図である。
【図8】図6に示す固体撮像素子の一部を模式的に示す概略断面図である。
【図9】シリコンウエハの各領域を模式的に示す概略平面図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態による製造方法の主要な工程を模式的に示す概略断面図である。
【図11】図10に引き続く工程を模式的に示す概略断面図である。
【図12】図11に引き続く工程を模式的に示す概略断面図である。
【図13】図12に引き続く工程を模式的に示す概略断面図である。
【図14】図13に引き続く工程を模式的に示す概略断面図である。
【図15】図14に引き続く工程を模式的に示す概略断面図である。
【図16】図15に引き続く工程を模式的に示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0051】
41R’,41G’,41B’ カラーレジスト(塗布物)
41R,41G,41B カラーフィルタ層
51,200 ウエハ
101 回転塗布装置
110 スピンチャック
111 チャック本体
112 大径部材
112a 突起
113 供給ノズル
201 塗布物
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト等の塗布物をウエハ上に回転塗布する回転塗布方法及びその装置、並びに、これを用いた固体撮像素子の製造方法及びデバイスの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラや電子スチルカメラなどには、CCD型、CMOS型等の固体撮像素子が使用されている。このような固体撮像素子では、カラー画像を得るために、光電変換部の上方にオンチップでカラーフィルタ層が形成されている(例えば、下記特許文献1)。通常は、このカラーフィルタ層は、顔料等の色素を有するカラーレジストを回転塗布(スピンコート)し、このカラーレジストを露光・現像してパターニングすることによって、形成されている。
【0003】
また、固体撮像素子以外の半導体デバイスやその他の種々のデバイスを製造する際にも、種々の塗布物がウエハ上に回転塗布されている。例えば、回路パターン等をフォトリソグラフィにより形成する際に用いるレジストを、ウエハ上に塗布する場合に、前記レジストが塗布物としてウエハ上に回転塗布されている。また、絶縁膜としてスピンオングラス(SOG)膜を用いる場合、スピンオングラスが塗布物としてウエハ上に回転塗布されている。
【0004】
下記特許文献2には、レジスト等の塗布物の回転塗布に用いられる回転塗布装置の例が開示されている。
【特許文献1】特開2006−179728号公報
【特許文献2】特開平11−19565号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
回転塗布は、ウエハの内周部と外周部とでは線速度が異なるため、回転塗布でウエハ上に形成された塗布物の膜厚は、ウエハ中心から外周に向かって次第に薄くなる傾向の分布を持つ。ところが、従来の回転塗布方法及びその装置では、この分布に対して配慮がなされておらず、ウエハの面内での塗布物の膜厚の均一性は必ずしも十分ではなかった。特に、最近のウエハの大口径化により、塗布物の膜厚の均一性が一層低下してしまう。
【0006】
ウエハの面内での塗布物の膜厚の均一性が不十分であると、種々の不都合が生ずる。固体撮像素子においては、カラーレジストの回転塗布を利用してカラーフィルタ層を形成する場合、例えば、直径200mmのウエハにカラーレジストを1.0μmの膜厚で塗布しようとすると、ウエハの中心部のカラーレジストの膜厚とウエハの外周部のカラーレジストの膜厚とで、約10%の差が生ずる場合がある。この膜厚差はカラーフィルタ層の透過率の差となり、光センサとしての感度約10%の差となって現れる。
【0007】
また、固体撮像素子やその他の各種のデバイスにおいて、回路配線をパターニングする際に用いるレジストを、ウエハ上に回転塗布する場合、パターニングされる回路配線の線幅の面内でのバラツキが大きくなり、素子性能のバラツキの増大や歩留りの低下を招いてしまう。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ウエハの面内での塗布物の膜厚の均一性を高めることができる回転塗布方法及びその装置、並びに、この回転塗布方法を用いた固体撮像素子の製造方法及びデバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明の第1の態様による回転塗布方法は、ウエハの外周部が前記ウエハの中心部よりも高くなるように前記ウエハを強制的に反らせた状態で、前記ウエハ上に塗布物を回転塗布するものである。
【0010】
本発明の第2の態様による固体撮像素子の製造方法は、カラーフィルタ層を有する固体撮像素子の製造方法であって、ウエハの外周部が前記ウエハの中心部よりも高くなるように前記ウエハを強制的に反らせた状態で、前記ウエハ上に前記カラーフィルタ層となる塗布物を回転塗布する段階を、備えたものである。
【0011】
本発明の第3の態様によるデバイスの製造方法は、ウエハの外周部が前記ウエハの中心部よりも高くなるように前記ウエハを強制的に反らせた状態で、前記ウエハ上に塗布物を回転塗布する段階を、備えたものである。前記デバイスは、固体撮像素子やその他の半導体デバイスやその他の各種のデバイス(例えば、MEMSデバイスやマイクロマシンデバイスなどの半導体製造技術を利用して製造されるデバイス)を含む。
【0012】
本発明の第4の態様による回転塗布装置は、ウエハ上に塗布物を回転塗布する回転塗布装置であって、前記ウエハの外周部が前記ウエハの中心部よりも高くなるように前記ウエハを強制的に反らせた状態で前記ウエハを支持する支持部を備えたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ウエハの面内での塗布物の膜厚の均一性を高めることができる回転塗布方法及びその装置、並びに、この回転塗布方法を用いた固体撮像素子の製造方法及びデバイスの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明による回転塗布方法及びその装置、並びに、この回転塗布方法を用いた固体撮像素子の製造方法及びデバイスの製造方法について、図面を参照して説明する。
【0015】
[第1の実施の形態]
【0016】
図1乃至図3は、本発明の第1の実施の形態による回転塗布装置(スピンコート装置)101の要部を模式的に示す概略断面図である。図1はウエハ200のセットの過程(スピンチャック本体111による真空吸着前の状態)を示し、図2はウエハ200のセット終了後でかつ塗布物201の塗布前の状態を示し、図3は塗布物201の塗布後の状態を示している。
【0017】
本実施の形態による回転塗布装置101は、ウエハ200の外周部がウエハ200の中心部よりも高くなるようにウエハ200を強制的に反らせた状態でウエハ200を支持する支持部としての、スピンチャック110と、ウエハ200上にレジスト等の塗布物201を供給する供給ノズル113とを備えている。
【0018】
本実施の形態では、スピンチャック110は、図示しないモータ等により矢印Xで示すように回転し得るチャック本体111と、チャック本体111の側面の上部側に固着された大径部材112とを有している。なお、図面には示していないが、スピンチャック110及び供給ノズル113は、必要に応じて、所定のチャンバ内に配置される。
【0019】
チャック本体111は図示しない真空装置に接続されており、チャック本体111の上面が、ウエハ200の下面の中央付近を真空吸着する真空吸着面111aとなっている。大径部材112の上面には、平面視でリング状の突起112aが設けられている。図1に示すように、ウエハ200が真空吸着面111aに吸着されていない状態で、突起112a上にウエハ200を載置したときに、ウエハ200の下面とチャック本体111の真空吸着面111aとの間に、所定の間隙があくようになっている。突起112aは、平面視でリング状部材が1つ設けられているが、これに限定されない。例えば、図示しないが、リング状部材を真空吸着面111aに対して同心円状に複数設けてもよい。その場合、リング状部材の高さは、真空吸着面111a近傍から大径部材112の周辺部に向かって、順次高くなるように設定する。そのような構成にすれば、ウエハ200の中心部から外周部までを、その中心部よりも外周部が高くなるように確実に支持できる。
【0020】
また、突起112aはリング形状に限定されるものではなく、複数の突起112aを大径部材112の上面に分散して設けてもよい(例えば、平面視で120度ずつをなす3箇所)。またさらに、突起112aは、真空吸着面111aを中心として放射状に設けてもよい。この場合、突起112aの高さは、真空吸着面111a近傍から大径部材112の周辺部に向かって、次第に高くなるように設定する。そのような構成によれば、ウエハ200をその外周部が中央部よりも高くなるように確実に支持できる。
【0021】
したがって、図1に示すようにウエハ200を突起112a上に載置した後、真空吸着面111aにウエハ200の下面の中央付近を真空吸着させると、図2に示すように、ウエハ200の外周部がウエハ200の中心部よりも高くなるようにウエハ200が強制的に反らされた状態で、ウエハ200が支持される。ウエハ200の反りの程度は、真空吸着面111aに対する突起112aの相対的な高さで決定される。本実施の形態では、真空吸着面111aに対する突起112aの高さは固定されたままであるが、例えば、大径部材112をチャック本体111に対して相対的に上下方向に移動させて突起112aの高さを調整可能とする調整機構を設けてもよい。この場合には、真空吸着面111aに対する突起112aの高さを調整することで、ウエハ200の反りの程度、ひいては塗布物201の膜厚の均一性をウエハ200の径などに応じて適宜調整することができる。
【0022】
本実施の形態による回転塗布装置101を用いてウエハ200上に塗布物201を塗布する場合、図3に示すようにウエハ200をスピンチャック110に保持した状態で、スピンチャック110を回転させながら、供給ノズル113から塗布物201をウエハ200上の中央付近に供給することで、塗布物201をウエハ200上に回転塗布する。なお、供給ノズル113は、図示しない移動機構によって、必要に応じて、図1乃至図3に示す位置に進出させたり図示しない待避位置に待避させたりできるようになっている。
【0023】
図4及び図5は、本実施の形態による回転塗布装置101と比較される比較例による回転塗布装置301の要部を模式的に示す概略断面図である。図4はウエハ200のセット終了後でかつ塗布物201の塗布前の状態を示し、図5は塗布物201の塗布後の状態を示している。図4及び図5において、図1乃至図3中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0024】
この比較例による回転塗布装置301は、従来の回転塗布装置に相当している。この比較例による回転塗布装置301が本実施の形態による回転塗布装置101と異なる所は、大径部材112が取り除かれて、スピンチャック110がチャック本体111だけで構成されている点のみである。
【0025】
この比較例による回転塗布装置301では、大径部材112がないので、図4に示すように、真空吸着面111aにウエハ200の下面の中央付近を真空吸着させても、ウエハ200が強制的に反らされることはない。この比較例による回転塗布装置301を用いてウエハ200上に塗布物201を塗布する場合、図4に示すようにウエハ200をスピンチャック110に保持した状態で、スピンチャック110を回転させながら、供給ノズル113から塗布物201をウエハ200上の中央付近に供給することで、塗布物201をウエハ200上に回転塗布する。
【0026】
この比較例による回転塗布装置301では、ウエハ200の内周部と外周部とでは線速度が異なるため、ウエハ200は強制的に反らされていないことから、、図5に示すように、回転塗布でウエハ200上に形成された塗布物201の膜厚は、ウエハ200中心から外周に向かって次第に薄くなってしまう。なお、理解を容易にするため、図5では、この膜厚分布を誇張して示している。
【0027】
これに対し、本実施の形態による回転塗布装置101では、ウエハ200の外周部がウエハ200の中心部よりも高くなるようにウエハ200を強制的に反らせた状態で、ウエハ200上に塗布物201が回転塗布されるので、ウエハ200の外周部が塗布物201をある程度堰き止めようとするような作用を担うため、図3に示すように、ウエハ200の面内での塗布物201の膜厚の均一性が高まる。
【0028】
なお、塗布物201としては、例えば、カラーレジスト、その他のレジスト、スピンオングラス(SOG)などでもよい。ウエハ200としては、シリコンウエハを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0029】
[第2の実施の形態]
【0030】
図6は、本発明の第2の実施の形態によるデバイス製造方法としての固体撮像素子製造方法により製造されるデバイスとしての固体撮像素子1の一例を示す概略構成図である。この固体撮像素子1は、CMOS型固体撮像素子として構成されている。もっとも、本発明による固体撮像素子の製造方法は、CCD型などの他の固体撮像素子の製造方法にも適用可能である。
【0031】
図6に示すように、この固体撮像素子1は、一般的なCMOS型固体撮像素子と同様に、垂直走査回路2と、水平走査回路3と、2次元状に配置された複数の単位画素4と、読み出し回路5と、出力アンプ6とを有している。各画素4のフォトダイオード15(図6では図示せず。図7参照)が出力する電気信号が垂直走査回路2によって読み出し回路5に行単位で取り出され、水平走査回路3によって列単位で出力アンプ6を介して出力端子7に画像信号として出力されるようになっている。
【0032】
図7は、図6中の単位画素4を示す回路図である。各画素4は、図6に示すように、選択トランジスタ11と、ソースフォロアの増幅トランジスタ12と、リセットトランジスタ13と、転送トランジスタ14と、光電変換を行う受光部としてのフォトダイオード15とから構成されている。図7において、Vccは電源である。
【0033】
図6及び図7に示すように、画素4の選択トランジスタ11のゲートは行毎に選択線20に共通に接続されている。画素4のリセットトランジスタ13のゲートは、行毎にリセット線21に共通に接続されている。画素4の転送トランジスタ14のゲートは、行毎に転送線22に共通に接続されている。画素4の選択トランジスタ11のソースは、列毎に垂直信号線23に共通に接続されている。選択線20、リセット線21及び転送線22は、垂直走査回路2に接続されている。垂直信号線23は、読み出し回路5に接続されている。
【0034】
図8は、図6に示す固体撮像素子1の一部を模式的に示す概略断面図である。図8は、所定方向に並んだ複数の画素4を大幅に簡略化してその主要部のみを模式的に示している。
【0035】
この固体撮像素子1では、図8に示すように、各画素4において、シリコン基板31にフォトダイオード15が設けられている。シリコン基板31上には、例えばシリコン酸化膜からなる層間膜32〜34が、下側(基板31側)から順に形成されている。また、図8に示すように、1層目アルミニウム配線層35、2層目アルミニウム配線層36及び3層目アルミニウム配線層37が形成され、これらによって、図6及び図7に示す回路の配線がなされている。3層目のアルミニウム配線層37は、各画素4の有効受光領域以外を覆う遮光膜の役割も果たしている。なお、図面には示していないが、各画素4の図7に示す回路や図6中の他の回路も、シリコン基板31に搭載されている。
【0036】
また、この固体撮像素子1では、図8に示すように、3層目のアルミニウム配線層37より上側の位置において、窒化シリコン膜等のパッシベーション膜(保護膜)38、平坦化層40、赤色、緑色及び青色のカラーフィルタ層41R,41G,41B、平坦化層42、及び、入射光をフォトダイオード15に集光させるマイクロレンズ43が設けられている。図8では、理解を容易にするため、各列において各画素4毎に赤色、緑色及び青色のカラーフィルタ層41R,41G,41Bが順次に並んでいるかのように示しているが、実際には、例えばベイヤー配列に従って配列される。マイクロレンズ43も、各画素4毎に形成されている。
【0037】
次に、本発明の第2の実施の形態によるデバイス製造方法として、図6乃至図8に示す固体撮像素子1の製造方法について、図9乃至図16を参照して説明する。図9は、シリコンウエハ51の各領域52,53を模式的に示す概略平面図である。図10乃至図16は、本実施の形態による製造方法の主要な工程を模式的に示す概略断面図である。
【0038】
まず、複数の固体撮像素子1を一括して製造するべく、シリコンウエハ51を用意する。このシリコンウエハ51は、最後にチップ毎に分割することで、各固体撮像素子1の前記シリコン基板31となる。シリコンウエハ51は、各々が個々の固体撮像素子1となる複数のチップ領域52と、チップ領域52外の外周部53とを有している。このシリコンウエハ51上に、従来の固体撮像素子と同様に半導体製造プロセスを利用して、平坦化層40までの構造(図6及び図7に示す回路を含む。)を、複数の固体撮像素子1の分だけ一括して作製する(図10)。
【0039】
次に、平坦化層40までの構造が作製されたウエハ51上に、前述した図1乃至図3に示す第1の実施の形態による回転塗布装置101を用いて、赤色のカラーレジスト41R’を回転塗布する(図11)。ここでは、前述した第1の実施の形態の説明において、ウエハ200を、平坦化層40までの構造が作製されたウエハ51と読み替えるとともに、塗布物201を赤色のカラーレジスト41R’と読み替えられたい。したがって、本実施の形態では、図4及び図5に示す回転塗布装置301を用いる場合に比べて、ウエハ51の面内での赤色のカラーレジスト41R’の膜厚の均一性が高まる。
【0040】
引き続いて、赤色のカラーレジスト41R’を、露光及び現像してパターニングすることで、赤色のカラーフィルタ層41Rとする(図12)。
【0041】
次に、前述した赤色のカラーレジスト41R’の場合と同様に、図12に示す状態のウエハ51上に、前述した図1乃至図3に示す第1の実施の形態による回転塗布装置101を用いて、緑色のカラーレジスト41G’を回転塗布する(図13)。ここでは、前述した第1の実施の形態の説明において、ウエハ200を、図12に示す状態のウエハ51と読み替えるとともに、塗布物201を緑色のカラーレジスト41G’と読み替えられたい。したがって、本実施の形態では、図4及び図5に示す回転塗布装置301を用いる場合に比べて、ウエハ51の面内での緑色のカラーレジスト41G’の膜厚の均一性が高まる。
【0042】
引き続いて、緑色のカラーレジスト41G’を、露光及び現像してパターニングすることで、緑色のカラーフィルタ層41Gとする(図14)。
【0043】
次いで、前述したカラーレジスト41R’,41G’の場合と同様に、図14に示す状態のウエハ51上に、前述した図1乃至図3に示す第1の実施の形態による回転塗布装置101を用いて、青色のカラーレジスト41B’を回転塗布する(図15)。ここでは、前述した第1の実施の形態の説明において、ウエハ200を、図14に示す状態のウエハ51と読み替えるとともに、塗布物201を青色のカラーレジスト41B’と読み替えられたい。したがって、本実施の形態では、図4及び図5に示す回転塗布装置301を用いる場合に比べて、ウエハ51の面内での青色のカラーレジスト41B’の膜厚の均一性が高まる。
【0044】
引き続いて、青色のカラーレジスト41B’を、露光及び現像してパターニングすることで、青色のカラーフィルタ層41Bとする(図16)。
【0045】
その後、平坦化層42及びマイクロレンズ43を形成する(図8)。なお、マイクロレンズ43は、例えば、熱リフロー法及びエッチバック法のいずれによって形成してもよい。
【0046】
このようにして、1つのシリコンウエハ51の多数のチップ領域52上に多数の固体撮像素子1が形成される。最後に、これを個々のチップに分離することで、多数の固体撮像素子1が完成する。
【0047】
本実施の形態によれば、前述したように、カラーレジスト41R’,41G’,41B’の回転塗布が、前述した図1乃至図3に示す第1の実施の形態による回転塗布装置101を用いて、ウエハ51の外周部がウエハ51の中心部よりも高くなるようにウエハ51を強制的に反らせた状態で、行われる。したがって、本実施の形態によれば、ウエハ51の外周部がカラーレジスト41R’,41G’,41B’をある程度堰き止めようとするような作用を担うため、図3に示すのと同様に、ウエハ51の面内でのカラーレジスト41R’,41G’,41B’の膜厚の均一性が高まる。このため、本実施の形態によれば、ウエハ51の面内でのカラーフィルタ層41R,41G,41Bの膜厚の均一性が高まることによって、ウエハ51の面内でのカラーフィルタ層41R,41G,41Bの光透過率の均一性が高まり、カラー特性への影響が抑えられる。
【0048】
本実施の形態は、本発明による回転塗布方法をカラーレジスト41R’,41G’,41B’の回転塗布に適用した例であるが、例えば、各アルミニウム配線層35,36,37のパターニングをフォトリソエッチング法により行う場合に、その際に用いるレジストの回転塗布について、本発明による回転塗布方法を適用してもよい。この場合、ウエハの面内でのそのレジストの膜厚の均一性が高まるので、パターニングされるアルミニウム配線層35,36,37の線幅の面内でのバラツキが抑えられるため、素子性能のバラツキの抑制や歩留りの向上を図ることができる。
【0049】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。例えば、本発明によるデバイス製造方法により製造されるデバイスは、固体撮像素子に限定されるものではなく、その他の半導体デバイスやその他の各種のデバイスでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1の実施の形態による回転塗布装置の要部を模式的に示す概略断面図であり、ウエハのセットの過程を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態による回転塗布装置の要部を模式的に示す概略断面図であり、ウエハのセット終了後でかつ塗布物の塗布前の状態を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態による回転塗布装置の要部を模式的に示す概略断面図であり、塗布物の塗布後の状態を示す図である。
【図4】比較例による回転塗布装置の要部を模式的に示す概略断面図であり、ウエハのセット終了後でかつ塗布物の塗布前の状態を示す図である。
【図5】比較例による回転塗布装置の要部を模式的に示す概略断面図であり、塗布物の塗布後の状態を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態による製造方法により製造される固体撮像素子の一例を示す概略構成図である。
【図7】図6中の単位画素を示す回路図である。
【図8】図6に示す固体撮像素子の一部を模式的に示す概略断面図である。
【図9】シリコンウエハの各領域を模式的に示す概略平面図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態による製造方法の主要な工程を模式的に示す概略断面図である。
【図11】図10に引き続く工程を模式的に示す概略断面図である。
【図12】図11に引き続く工程を模式的に示す概略断面図である。
【図13】図12に引き続く工程を模式的に示す概略断面図である。
【図14】図13に引き続く工程を模式的に示す概略断面図である。
【図15】図14に引き続く工程を模式的に示す概略断面図である。
【図16】図15に引き続く工程を模式的に示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0051】
41R’,41G’,41B’ カラーレジスト(塗布物)
41R,41G,41B カラーフィルタ層
51,200 ウエハ
101 回転塗布装置
110 スピンチャック
111 チャック本体
112 大径部材
112a 突起
113 供給ノズル
201 塗布物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハの外周部が前記ウエハの中心部よりも高くなるように前記ウエハを強制的に反らせた状態で、前記ウエハ上に塗布物を回転塗布することを特徴とする回転塗布方法。
【請求項2】
カラーフィルタ層を有する固体撮像素子の製造方法であって、
ウエハの外周部が前記ウエハの中心部よりも高くなるように前記ウエハを強制的に反らせた状態で、前記ウエハ上に前記カラーフィルタ層となる塗布物を回転塗布する段階を、備えたことを特徴とする固体撮像素子の製造方法。
【請求項3】
ウエハの外周部が前記ウエハの中心部よりも高くなるように前記ウエハを強制的に反らせた状態で、前記ウエハ上に塗布物を回転塗布する段階を、備えたことを特徴とするデバイスの製造方法。
【請求項4】
ウエハ上に塗布物を回転塗布する回転塗布装置であって、前記ウエハの外周部が前記ウエハの中心部よりも高くなるように前記ウエハを強制的に反らせた状態で前記ウエハを支持する支持部を備えたことを特徴とする回転塗布装置。
【請求項1】
ウエハの外周部が前記ウエハの中心部よりも高くなるように前記ウエハを強制的に反らせた状態で、前記ウエハ上に塗布物を回転塗布することを特徴とする回転塗布方法。
【請求項2】
カラーフィルタ層を有する固体撮像素子の製造方法であって、
ウエハの外周部が前記ウエハの中心部よりも高くなるように前記ウエハを強制的に反らせた状態で、前記ウエハ上に前記カラーフィルタ層となる塗布物を回転塗布する段階を、備えたことを特徴とする固体撮像素子の製造方法。
【請求項3】
ウエハの外周部が前記ウエハの中心部よりも高くなるように前記ウエハを強制的に反らせた状態で、前記ウエハ上に塗布物を回転塗布する段階を、備えたことを特徴とするデバイスの製造方法。
【請求項4】
ウエハ上に塗布物を回転塗布する回転塗布装置であって、前記ウエハの外周部が前記ウエハの中心部よりも高くなるように前記ウエハを強制的に反らせた状態で前記ウエハを支持する支持部を備えたことを特徴とする回転塗布装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−5573(P2010−5573A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−169698(P2008−169698)
【出願日】平成20年6月28日(2008.6.28)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月28日(2008.6.28)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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