説明

回転式削孔機用ロータリテーブル及び削孔装置並びに削孔機の抜取方法

【課題】延長体が多数接続されて長尺となった削孔機を削孔から抜き取る際に、延長体を上部側から一段ずつ外しながら徐々に抜き取ることができるようにして、削孔箇所の上方または周囲にに大きな空間部が確保できない場所においても削孔作業ができるようにした、削孔機用ロータリテーブル装置を提供する。
【解決手段】回転式削孔機用ロータリテーブル装置(A)は、テーブル基台(1)に設けられた昇降可動台(4)、テーブル基台(1)に設けられダウンザホールハンマを回転させるドライブブッシュ(2)、昇降可動台(4)に対するダウンザホールハンマの固定及び固定解除を行う結合ピン(7)、ドライブブッシュ(2)に対するダウンザホールハンマの係合及び係合解除を行う落下防止用ストッパー(8)及び口径が径小時はハンマ延長体を通し径大時はハンマ本体とドライブブッシュ(2)を通すことができる口径切換具(6)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転式削孔機用ロータリテーブル及び削孔装置並びに削孔機の抜取方法に関する。更に詳しくは、例えばダウンザホールハンマやアースオーガ等、延長体を連結しながら削孔する削孔機を使用した削孔作業において、削孔作業の終了後に、延長体が多数接続されて長尺となった削孔機を削孔から抜き取るにあたり、ロータリテーブルで削孔機を引き上げ、引き上げた削孔機の延長体を上側の延長体から一段ずつ外しながら削孔機全体を徐々に抜き取ることを可能にした回転式削孔機用ロータリテーブル及び削孔装置並びに削孔機の抜取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建造物の基礎工事において、回転式削孔機が使用されている。回転式削孔機の代表的な例としてダウンザホールハンマやアースオーガ等がある。ダウンザホールハンマの場合は、先端(下端)に配置したハンマ本体に延長体(ケリーロッドとも呼ばれる。)を順次接続して、全体の長さを延長しながら削孔する。アースオーガの場合もオーガヘッドにらせん形をした延長体(スクリューオーガとも呼ばれる。)を順次接続して延長し、全体の長さを延長しながら削孔する。
【0003】
ここで、削孔機としてダウンザホールハンマを例にとって説明する。ダウンザホールハンマは、先端にハンマビットを備えており、地面に据えられたロータリテーブルに設けられているドライブブッシュに通すことよって軸周方向に回転され、下方へ向けては自重による自由降下状態で削孔する。
【0004】
ダウンザホールハンマを回転させながら案内する従来のロータリテーブルとしては、例えば特許文献1に開示されたロータリーテーブルマシンがある。
このロータリーテーブルマシンは、ドライブブッシュによるハンマケーシングの回転駆動及びドライブブッシュから回転力が伝達される孫ブッシュによる延長体の回転駆動ができ、延長体を接続し延長していくことによりハンマによる掘削を可能としたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−256788
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ダウンザホールハンマが一定の深さ削孔すると上端に延長体を接続し、削孔作業を継続する。このように複数の延長体を順次連結して必要な深さの削孔を得る。
従って削孔作業に当たっては、高架橋や高架鉄道の下、或いは電線や電話線などの架線があっても、延長体を吊り下げることができる程度の小型のクレーンが使用できるところであれば削孔作業はできる。また、延長体が短かく軽量であれば、人力でも延長体の運搬と連結作業は可能である。
【0007】
削孔作業の終了後は、ダウンザホールハンマを削孔から引き抜く作業が必要となる。延長体を接続した長尺のダウンザホールハンマは、全体の重量が十数トンにもなるため、大型クレーンでないと引き上げることができない。
【0008】
従って、大型クレーンが使用できない現場、例えば大型クレーを使用する高さが確保できない高架橋や高架鉄道の下、あるいは電線や電話線などの架線が入り組んでいる現場等においては、削孔作業の終了後は、ダウンザホールハンマを削孔から引き技くことができないために、事実上削孔作業ができないという課題がある。なお、これはダウンザホールハンマだけでなく延長体を接続する他の削孔機の場合でも同様である。
【0009】
(本発明の目的)
そこで本発明の目的は、大型クレーンが使用できない現場でも、長尺かつ重量が重くなった削孔機を削孔から抜き取ることを可能にした回転式削孔機用ロータリテーブル及び削孔装置並びに削孔方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明が講じた手段は次のとおりである。
【0011】
本発明は、
ドライブブッシュに通した削孔機を該ドライブブッシュで回転させながら地盤を削孔する回転式削孔機用ロータリテーブルであって、
削孔機を回転させるドライブブッシュと該ドライブブッシュを駆動する駆動手段を備えているテーブル基台と、
該テーブル基台の上に設けられており、削孔機を保持して上昇又は/及び降下させる昇降装置と、
該昇降装置で削孔機を上昇させて削孔機上部の延長体を取り除くときに削孔機を止めて落下しないようにする落下防止手段と、
を含み、
前記昇降装置は、昇降可動台と該昇降可動台を昇降させる昇降駆動手段を有しており、 前記昇降可動台は、削孔機を通す穴を有する回転体を有し、
該回転体は、前記穴に通された削孔機の固定及び固定解除ができる固定手段により削孔機を固定した状態で削孔機の回転に伴い回転する、
回転式削孔機用ロータリテーブルである。
【0012】
本発明は、
作業面に直接または間接的に据えられるテーブル基台と、
テーブル基台に対し上下方向に動くように設けられた昇降可動台と、
昇降可動台を駆動する昇降駆動手段と、
テーブル基台に設けられており、削孔機の延長体を軸周方向に回転させるドライブブッシュと、
ドライブブッシュを駆動する回転駆動手段と、
昇降可動台に対する削孔機の延長体の取り付け及び取り付け解除を行うことができる手段を有し、削孔機を取り付けた状態で回転させることができる回転体と、
テーブル基台またはドライブブッシュに対する削孔機の延長体の係合及び係合解除を行うことができる落下防止手段と、
を備えている、
回転式削孔機用ロータリテーブル装置である。
【0013】
本発明は、
昇降可動台に、口径が径小時は延長体を通すことができ、径大時は削孔機に付帯して取り外されるドライブブッシュを通すことができる口径切換手段が設けられており、
ドライブブッシュは、テーブル基台に対し着脱自在に取り付けられており、削孔機に上方から係合して一体となるようにする係合手段を備えている、
前記回転式削孔機用ロータリテーブル装置である。
【0014】
本発明は、
口径が径小時は延長体を通すことができ、径大時は削孔機に付帯して取り外されるドライブブッシュを通すことができる口径切換手段が、一対の半割部材を有しており、各半割部材が合わさることで形成される径小口と、昇降可動台に設けられており各半割部材が分かれることで有効になる径大口とを切り換える構造である、
前記回転式削孔機用ロータリテーブル装置である。
【0015】
本発明は、
昇降可動台に対する削孔機の延長体の取り付け及び取り付け解除を行うことができる手段が、半割部材に設けられている通孔と、削孔機の延長体に直径線方向と平行に設けられている通孔に、半割部材に設けられている通孔に通した状態で挿通することができる結合ピンと、により構成されている、
前記回転式削孔機用ロータリテーブル装置である。
【0016】
本発明は、
ドライブブッシュに対する削孔機の延長体の係合及び係合解除を行うことができる落下防止手段が、ドライブブッシュに設けられており、その内周面まで貫通する係合凹部と、削孔機の延長体の外周部に軸線方向と交差する方向に設けられている係合溝に、ドライブブッシュに設けられている係合凹部に装着した状態で係合することができる落下防止用ストッパーと、により構成されている、
前記回転式削孔機用ロータリテーブル装置である。
【0017】
本発明は、
前記いずれかに記載の回転式削孔機用ロータリテーブル装置と、
削孔機と、を備えている、
削孔装置である。
【0018】
本発明は、
削孔機をロータリーテーブルで回転させながら地盤を削孔した後の削孔から削孔機を抜き取る方法であって、
削孔内にある削孔機をロータリーテーブルに設けられている昇降装置で上昇させる工程、
削孔機を止めて孔底に落ちないようにし、この状態で昇降装置による削孔機の保持を解除する工程、
削孔機の上部の延長体を取り外す工程、
昇降装置を下降させて削孔機を保持する工程を備え、
前記各工程を順次繰り返すことにより、削孔機の延長体を上側の延長体から一段ずつ外しながら削孔機全体を徐々に抜き取る、
削孔機の抜取方法である。
【0019】
本発明は、
地盤を削孔した後の削孔から、延長体を連結している削孔機を抜き取る方法であって、
ロータリーテーブルに設けられている昇降装置を使用して、最上部の延長体が取り外せる位置まで削孔機を引き上げ、
引き上げられた削孔機が落下しないように落下防止を施した後に、最上部の延長体を取り外すことを含み、
前記手順を順次繰り返すことにより、削孔機の延長体を上側の延長体から一段ずつ外しながら削孔機全体を徐々に抜き取る、
削孔機の抜取方法である。
【0020】
本発明にいう削孔機としては、例えばダウンザホールハンマ、オーガスクリュー等があげられるが、回転しながら地盤を削孔することができるものであれば、これらに限定はされない。
【0021】
(作用)
本発明に係る回転式削孔機用ロータリテーブル装置及び削孔装置の作用を説明する。
なお、ここでは、説明で使用する各構成要件に、後述する実施の形態において各部に付与した符号を対応させて付与するが、この符号は、特許請求の範囲の各請求項に記載した符号と同様に、あくまで内容の理解を容易にするためであって、各構成要件の意味を上記各部に限定するものではない。
【0022】
回転式削孔機用ロータリテーブル装置(A)(以下、単にロータリテーブル装置という場合がある。)は、まず、作業面(地面)において削孔が行われる位置に据え付けられる。そして、従来のロータリテーブル装置を使用した作業と同様に、ドライブブッシュ(2)で削孔機(9)を回転させながら削孔を行い、延長体(97)を小型のクレーンで吊り上げて順次接ぎ足すことによって所要の深さまで削孔する。なお、削孔作業を行うに際しては、通常は削孔機を回転体(43)に固定する必要はない。
【0023】
削孔作業が終了したら、削孔から削孔機(9)を抜き取る作業を行う。
まず、削孔機(9)の最上部の延長体(97)を固定手段(6,7)により昇降装置(400)の昇降可動台(4)に取り付ける。
次に、昇降可動台(4)を昇降駆動手段(5,5a)によって所要の高さまで上昇させる。これにより、その上昇ストロークの分だけ削孔機(9)も引き上げられる。
【0024】
この状態で、落下防止手段(8)により削孔機(9)の上から例えば二段目の延長体(97)を例えばテーブル基台(1)のドライブブッシュ(2)に係合し、落下しないように上下方向において固定する。その後、固定手段(6,7)による昇降可動台(4)に対する延長体(97)の取り付けを解除する。このように取り付けを解除しても、削孔機(9)は落下防止手段(8)の作用によりテーブル基台(1)のドライブブッシュ(2)に固定されており、落下することはない。
【0025】
そして、昇降駆動手段(5)によって昇降可動台(4)を下降させ、削孔機(9)の上から二段目の延長体(97)を固定手段(6,7)により昇降可動台(4)に取り付ける。
次に、最上部の延長体(97)をドライブブッシュ(2)に係合させて固定している落下防止手段(8)を解除する。落下防止手段(8)を解除しても、削孔機(9)は、上から二段目の延長体(97)が固定手段(6,7)により昇降可動台(4)に取り付けられているので、落下することはないが、例えばドライブブッシュ(2)に対しては上下方向においてフリー状態(下方へは自由降下状態)になる。
【0026】
前記クレーンで最上部の延長体(97)を吊り上げて、その下側の延長体(97)から分離させる。分離した延長体(97)を所定の場所に下ろした後、クレーンの吊下具を延長体(97)から取り外し、元の位置に戻す。そして、吊下具を削孔機(9)の最上部にある延長体(97)に取り付ける。
【0027】
この後、前記削孔機(9)を上昇させる工程から吊下具を削孔機(9)の最上部にある延長体(97)に取り付ける工程までを繰り返して、最上部の延長体(97)を順次抜き取って削孔機(9)を短くしていき、本体(90)を上昇させる。なお、取り外した一つの延長体(97)が小型である場合は、人力でも移動させることが可能である。
【0028】
そして、延長体(97)が所要の本数(通常は二本)になったら、前記と同様にして最上部の延長体(97)を外して下ろした後、吊下具を元に戻して残った延長体(97)に取り付ける。
そして、本体(90)が削孔から抜けるまで吊り上げ、本体(90)を作業面に形成された削孔から位置をずらして作業面上に置く。そして、残った削孔機(9)からロータリテーブル装置(A)を外す。
【0029】
このように、ロータリテーブル装置(A)によれば、前記各工程で説明したように、延長体(97)が多数接続されて長尺となった削孔機(9)を孔から抜き取る際に、削孔機(9)を段階的に上昇させる作業を、延長体(97)の取り付け及び取り付け解除を行うことができる固定手段(6,7)を有し昇降駆動手段(5)で駆動される昇降可動台(4)を使用して行うことができる。これにより、クレーンは取り外す延長体(97)の吊り上げに使用するだけでよいので、大型のクレーンは不要であり、小型のクレーンを使用して削孔機(9)の抜き取り作業を行うことができる。
なお、地盤の状態に合わせて削孔速度(削孔機の降下速度)を調整する場合も、ロータリーテーブル装置に設けられている昇降装置で削孔機を吊り下げ状態として削孔速度を調整することができる。
【0030】
昇降可動台(4)に、口径が径小時は延長体(97)を通すことができ径大時は削孔機(9)の最大径部とドライブブッシュ(2)を通すことができる口径切換手段(6)が設けられており、ドライブブッシュ(2)は、テーブル基台(1)に対し着脱自在に取り付けられており、削孔機(9)の本体(90)に上方から係合して一体となるようにする係合手段(22)を備えているものは、削孔機(9)の本体(90)を吊り上げることにより、ドライブブッシュ(2)は本体(90)と一体となって、口径が径大となった口径切換手段(6)を通してロータリテーブル装置(A)から外すことができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、地盤を削孔した後の削孔から、延長体を連結している削孔機を抜き抜くにあたり、ロータリーテーブル装置に設けられている昇降装置を使用して削孔機を引き上げ、削孔機の延長体を上側の延長体から一段ずつ外しながら削孔機全体を徐々に抜き取ることができる。
また、地盤の状態に合わせて削孔速度を調整する場合も、ロータリーテーブル装置に設けられている昇降装置で削孔機を吊り下げ状態として削孔速度を調整することができる。
このように、従来は大型クレーンで行っていた作業をロータリーテーブル装置に設けられている昇降装置で行うようにしたので大型クレーンは不要となり、穿孔箇所の上部や周囲に大型のクレーンが入るだけの大きな空間部が確保できない場所においても、削孔機を使用した削孔作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る回転式削孔機用ロータリテーブル装置の実施の形態を示す正面視説明図。
【図2】回転式削孔機用ロータリテーブル装置の側面図。
【図3】図1に示す回転式削孔機用ロータリテーブル装置の平面図。
【図4】(a)は昇降可動台に設けられている口径切換具の構造を示し、各結合ピンを装着してハンマ延長体を固定した状態の斜視説明図、(b)は上枠部材及び開放部の構造を示す部分斜視図。
【図5】昇降可動台に設けられている口径切換具の構造を示し、各結合ピンを外した状態の分解斜視説明図。
【図6】昇降可動台に設けられている口径切換具の構造を示し、各結合ピンを外して半割部材を上方に回動させて開いた状態の分解斜視説明図。
【図7】テーブル基台に設けられているドライブブッシュの構造を示し、落下防止用ストッパーを装着して最下部のハンマ延長体を落ちないように係合した状態の斜視説明図。
【図8】テーブル基台に設けられているドライブブッシュの構造を示し、落下防止用ストッパーを外した状態の分解斜視説明図。
【図9】テーブル基台に設けられているドライブブッシュの構造を示し、落下防止用ストッパーを外した状態で中間部のハンマ延長体を通している状態を示す分解斜視説明図。
【図10】回転式削孔機用ロータリテーブル装置を有する削孔装置の使用状態を示す縦断面説明図。
【図11】図10におけるA−A断面図。
【図12】図10におけるB−B断面図。
【図13】ドライブブッシュの係合凹部及び係合凹孔の構造を示す説明図で、(a)は部分側面図、(b)は(a)におけるI−I部分断面図。
【図14】ダウンザホールハンマを孔から引き抜く手順を示す説明図。
【図15】ダウンザホールハンマを孔から引き抜く手順を示す説明図。
【図16】ダウンザホールハンマを孔から引き抜く手順を示す説明図。
【図17】ダウンザホールハンマを孔から引き抜く手順を示す説明図。
【図18】ダウンザホールハンマを孔から引き抜く手順を示す説明図。
【図19】ダウンザホールハンマを孔から引き抜く手順を示す説明図。
【図20】軟弱な地盤においてダウンザホールハンマを打ち込む手順を示す説明図。
【図21】回転式削孔機用ロータリテーブル装置を有する他の削孔装置の使用状態を示す縦断面説明図。
【図22】図21におけるC−C断面図。
【図23】図21におけるD−D断面図。
【図24】ハンマ延長体のスクリューと結合ピンとの係合状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明を図面に示した実施の形態に基づき詳細に説明する。
【実施例1】
【0034】
回転式削孔機B1は、回転式削孔機用ロータリテーブル装置Aと、削孔機であるダウンザホールハンマ9(全体は図10に図示)で構成されている。なお、削孔機は、回転式削孔機用ロータリテーブル装置Aとダウンザホールハンマ9を組み合わせるだけでなく、回転式削孔機用ロータリテーブル装置Aと、アースオーガ、オーガスクリュー、オーガヘッド等を組み合わせることもできる。また、ダウンザホールハンマ9の構造については後述する。
【0035】
図1ないし図9を参照する。
回転式削孔機用ロータリテーブル装置Aは、作業面(GL)に直接または間接的に据えられるテーブル基台1及びテーブル基台1に設けられている昇降装置400を備えている。
テーブル基台1は、ベース部10を備えている。ベース部10の四隅には、下方へ向け伸縮できる伸縮脚11が設けられている。各伸縮脚11は、それぞれケース12に内蔵された油圧シリンダ(図示省略)のロッドが進退することにより伸縮する。また、ベース部10の周りには、相対向する二箇所にステップ(踏段)13が設けられている(図3参照)。
【0036】
ベース部10の上部側の四隅には、前記伸縮脚11及びケース12の内側上方に隣接して内ガイド柱14が垂直に固定されている。各内ガイド柱14は、外形の横断面形状が正方形である。各内ガイド柱14の上端部には、内ガイド柱14をつなぐように上枠部材15が各内ガイド柱14と直角方向(水平方向)に固定されている。上枠部材15は平面視コ字状であり、所要の一組の隣り合う内ガイド柱14(図3では右側上下の内ガイド柱14)間は開放部150となっている(図3及び図4(b)参照)。上枠部材15には、後述する油圧シリンダー5、5aを上下方向に通す通孔151が二箇所に設けられている。
【0037】
また、ベース部10の上部には、回転駆動装置3を構成するケーシング30(図7〜図9参照)が設けられている。ケーシング30には、回転受具32がボールベアリング等の軸受(図示省略)を介し回転できるように設けられている。すなわち、ケーシング30内には、原動機である油圧モーター31の回転力を回転受具32に伝達するギヤ装置33(図10参照)が設けられており、回転受具32はこれにより回転駆動される。
【0038】
後述する図10を合わせて参照する。
回転受具32は、ケーシング30の上面側に設けられている装着孔301に嵌め入れられる筒状の嵌装部321と、その上部に設けられており装着孔301の径より径大のフランジ部322を備えている。嵌装部321の内周面側の上端部には、後で詳述するドライブブッシュ2を挿通して載置する段部323が全周にわたり設けられている。また、段部323の口縁部に沿う上面側には、周方向へ等間隔で四箇所に係合突起324が固定されている(図7ないし図9参照)。各係合突起324は、回転受具32の直径線方向において中心に向け設けられている。
【0039】
ドライブブッシュ2は、後述するダウンザホールハンマ9のハンマ延長体97と係合し、ダウンザホールハンマ9を軸周方向に回転させるものである。ドライブブッシュ2は、前記回転受具32に上方から挿通され、後述するフランジ部23が段部323に載置されており、上方側へは引き抜くことができる。
また、ドライブブッシュ2は、回転受具32の内周部に収まる嵌入部20と、その上下部に連続して所要長さに設けられた上部筒21及び下部筒22を備えている。
【0040】
ドライブブッシュ2の嵌入部20と上部筒21の間の外周部には、嵌入部20の径よりやや径大なフランジ部23が設けられている。フランジ部23の外径は、前記回転受具32の段部323の内径よりやや径小に形成されている。フランジ部23の外周部には、周方向へ等間隔で四箇所に前記係合突起324と係合する係合凹部24が設けられている。
【0041】
また、上部筒21において下部側には、周方向に等間隔で二箇所に係合凹孔25が設けられている。各係合凹孔25は、上部筒21の軸線方向と直角方向(水平方向)に設けられており、中央部分は内周面に貫通する孔250(図13参照)が形成されている。
【0042】
図12、図13(b)に示すように、ドライブブッシュ2の内周部には、周方向に等間隔で四箇所に軸線方向と平行な係合縦溝26が設けられている。各係合縦溝26には、ダウンザホールハンマ9のハンマ延長体97に設けられている係合条972及びエアタンク部92の係合条920が係合する。なお、係合縦溝26の数は、四箇所に限定されるものではなく、後述するダウンザホールハンマ9に設けられている各係合条920、972の数に合わせて適宜設けられる。
【0043】
各係合凹孔25には、落下防止用ストッパー8が着脱自在に装着される。落下防止用ストッパー8は、湾曲部80と、その両側に連続して設けられている差込部81、82で構成されている(図8、図9参照)。湾曲部80の内周部の曲率はドライブブッシュ2の外周部の曲率とほぼ同じに形成されている。差込部81、82は互いに平行に設けられ、各係合凹孔25に対しほぼ隙間なく差し込むことができる太さに形成されている。符号83は、二箇所に設けられた把手である。
【0044】
なお、落下防止用ストッパー8を各係合凹孔25に差し込んだ状態では、差込部81、82の内側の一部が孔250を通してドライブブッシュ2の内周部へ貫通し突出する。そして、この突出した部分が、ドライブブッシュ2に通されるダウンザホールハンマ9のハンマ延長体97の各係合条972に設けられている係合溝973と係合し、ダウンザホールハンマ9が落下するのを防止する。
【0045】
ドライブブッシュ2は、前記回転受具32に下部筒22を挿通し、嵌入部20を回転受具32の内周部に収め、フランジ部23の四箇所の係合凹部24を回転受具32の各係合突起324に係合させ、フランジ部23を段部323に載置するようにして装着されている。これにより、ドライブブッシュ2は回転駆動装置3により駆動される回転受具32と一体となって回転する。
【0046】
また、ドライブブッシュ2に設けられている係合凹孔25と落下防止用ストッパー8によって、落下防止手段が構成されている(厳密には、後述するダウンザホールハンマ9のハンマ延長体97の外周部に設けられている各係合条972の係合溝973も含む)。この落下防止手段により、ドライブブッシュ2に対するダウンザホールハンマ9のハンマ延長体97の係合及び係合解除を行うことができる。
【0047】
図1、図2、図10を参照する。
前記昇降装置400は、前記各内ガイド柱14と次に説明する昇降可動台4、油圧シリンダー5、5a、口径切換具6及び各結合ピン7を含み構成されている。
各内ガイド柱14には、上下方向に動くことができるように昇降可動台4が取り付けられている。昇降可動台4のベース部40の四隅には、前記各内ガイド柱14に摺動自在に嵌め込むことができる外ガイド筒41が下方へ突出して設けられている。
昇降可動台4は、各外ガイド筒41を各内ガイド柱14に嵌めた状態で上下方向に動くことができる。また、ベース部40において前記油圧モーター31と対向する側には、ステップ46が設けられている。
【0048】
昇降駆動手段である油圧シリンダー5、5aは、内ガイド柱14に隣接して斜向かいに設けられており、ロッド部を下に向けてシリンダー部がベース部40に固定されている(図1、図10参照)。また、ロッド部の先端はテーブル基台1のベース部10に固定されている。この構造により、昇降可動台4は油圧シリンダー5、5aによって昇降駆動することができる。
【0049】
昇降可動台4のベース部40の中央には、通孔42(図10参照)が上下方向に貫通して設けられている。通孔42には、回転体43がボールベアリング等の軸受(図示省略)を介在させて軸周方向へ回転できるようにして取り付けられている。回転体43は径大口である中心孔432を有する円筒形状の本体部430と円形のフランジ部431で構成されている。
【0050】
回転体43のフランジ部431上面には、周方向へ等間隔で二箇所(相対向する位置)に軸受44、44aが設けられており、回転体43の軸周方向において軸受44、44aと90°を成す位置には二箇所にピン通し受具45、45aが設けられている。ピン通し受具45、45aには、ピン通し孔450がそれぞれ二箇所に設けられている。
【0051】
軸受44、44aには、口径切換具6が取り付けられている。口径切換具6は、小径時(後述する通孔62が有効なとき)はハンマ延長体97を通すことができ、大径時(回転体43の本体部430の中心孔432が有効なとき:具体的にはハンマ本体90の引き抜き時)にはダウンザホールハンマ9のハンマ本体90と、その外側に嵌装しているドライブブッシュ2を通すことができる。
【0052】
口径切換具6は、軸受44、44aにそれぞれ取り付けられた半割部材60、60aを有している。半割部材60、60aは、断面形状が四角形で半円弧状の孔形成部601と、その両側に設けられている合わせ部602を有している。半割部材60、60aは、孔形成部601の外周側中央部に設けられている突出片603を軸受44、44aに対し、横方向に通されたピン604によって取り付けることにより、ほぼ水平位置から垂直位置までの範囲で上下方向に回動できるようになっている。
【0053】
半割部材60、60aは、フランジ部431上面と平行になる水平位置において合わせ部602の端面同士が近接して相対向するようになっている(図4、図5参照)。また、半割部材60、60aの各合わせ部602の外側面には、ピン孔605がそれぞれ設けられている。
そして、半割部材60、60aは、水平にした状態(小径時)でピン通し受具45、45aのピン通し孔450から各ピン孔605へピン61を差し込んで固定することができる。
【0054】
この状態では、半割部材60、60aの内周部で本体部430の中心孔432より小径な径小口である通孔62が形成される。すなわち、口径切換具6は、各半割部材60、60aを倒して円環を構成することで形成される小径な通孔62と、各半割部材60、60aを起立させることで形成される大径な本体部430の中心孔432とを切り換えることができる構造である。
【0055】
また、半割部材60、60aにおいて、孔形成部601の突出片603の両側には、それぞれ所要の間隔をおいてピン通し孔63、63及びピン通し孔63a、63aが設けられている。各ピン通し孔63、63aの軸線方向は、本体部430の直径線方向と平行である。合計四箇所に設けられているピン通し孔63、63、63a、63aにおいては、相対向する二組のピン通し孔63、63とピン通し孔63a、63a間で結合ピン7を通すことができる。
【0056】
なお、各結合ピン7は、口径切換具6に通されているハンマ延長体97の差込孔974に挿通される。すなわち、半割部材60、60aに設けられているピン通し孔63、63、63a、63a及び各結合ピン7は、昇降可動台4に対するダウンザホールハンマ9のハンマ延長体97の取り付け及び取り付け解除を行うことができる手段を構成する。
【0057】
ここで、回転式削孔機用ロータリテーブル装置Aと共に削孔装置B1を構成するダウンザホールハンマ9の構造を図7ないし図9及び後述する図10を参照して説明する。
ダウンザホールハンマ9は、ハンマ本体90を有している。ハンマ本体90は、機構部91と外形が円柱形状のエアタンク部92を連結した構造である。機構部91の下端には、1または2以上のハンマビット93が設けられている。機構部91の外周部には、周方向へ等間隔で五箇所に排土用溝94が縦方向に設けられている。各排土用溝94の間には摩耗防止用の補強部材95が同じく縦方向に設けられている。
また、エアタンク部92の外周部には、周方向へ等間隔で四箇所に角棒状の係合条920が縦方向に取り付けてあり、エアタンク部92上面中央には、ハンマ延長体97の接続用の六角棒状のロッド96が設けられている。
【0058】
ダウンザホールハンマ9は、ハンマ本体90の上部にハンマ延長体97を順次接続することにより必要な長さまで延長することができる。
使用されるハンマ延長体97は、各々同じ形状である。ハンマ延長体97は、所要の長さ(本実施の形態ではエアタンク部92よりやや長い)に形成されており、本体部971の外径はエアタンク部92と同径である。
【0059】
ハンマ延長体97の本体部971の外周部には、軸周方向へ等間隔で四箇所に角棒状の係合条972が取り付けてある。各係合条972の下部側には、係合条972を分断するように係合溝973が設けられている。さらに、本体部971の上部側には、直径線方向と平行に差込孔974が外周面間を貫通して二箇所に設けられている。
【0060】
ハンマ延長体97の本体部971の上部中央には、他のハンマ延長体接続用の六角棒状のロッド98が設けられている。また、ハンマ延長体97の下部中央には、ロッド96(または他のハンマ延長体97のロッド98)を嵌め入れる六角穴状の嵌入孔99が設けられている。なお、ロッド96(ロッド98も同様)の外周部には、互いに反対位置にある所要の面に係合溝901がそれぞれ平行に設けられている。
【0061】
また、ハンマ延長体97の本体部971の下部には、直径線方向と平行かつ嵌入孔99を挟む二箇所に、嵌入孔99に中間部の一部が掛かる差込孔902が外周面間を貫通して設けられている。各差込孔902の両側の孔口周りには、溝部903が本体部971の直径線方向と平行に二箇所に設けられている(図9参照)。
【0062】
ハンマ延長体97は、嵌入孔99をロッド96(またはロッド98)に嵌め込み、さらに各差込孔902に係合ピン904を挿着することにより、各係合ピン904が各係合溝901に係合し、これが抜け止めとなってハンマ本体90または他のハンマ延長体97に接続することができる(図10参照)。なお、図9において下側のハンマ延長体97は、差込孔902に係合ピン904を挿着していない状態を表している。また、後述する吊下具900もほぼ同様にしてハンマ延長体97に接続することができる。
【0063】
(作用)
図10ないし図20を参照し、回転式削孔機用ロータリテーブル装置Aとダウンザホールハンマ9で構成される削孔装置B1の作用を説明する。
【0064】
回転式削孔機用ロータリテーブル装置Aの使用方法及び作用は次の通りである。削孔箇所の周りにH鋼で組まれた台部19を適宜置いて台の高さを設定する。小型のクレーンを使用して、台部19の中心部に位置する作業面にダウンザホールハンマ9のハンマ本体90を置く。次に、同じくクレーンを使用して回転式削孔機用ロータリテーブル装置Aを吊り、エアタンク部92の係合条920にドライブブッシュ2の係合縦溝26を合わせるようにして、台部19上に降ろして据え付ける。
【0065】
なお、ダウンザホールハンマ9の打ち込み作業については、ドライブブッシュ2によるダウンザホールハンマ9の回転と、ダウンザホールハンマ9の自重による自由降下を利用する従来の方法と同様であるので説明を省略する。
【0066】
(1)ダウンザホールハンマ9の打ち込みによる削孔作業が終了したら、削孔100からダウンザホールハンマ9を抜き取る作業を行う。
まず、昇降可動台4を昇降調整し、ダウンザホールハンマ9の最上部のハンマ延長体97の差込孔974の高さに昇降可動台4の半割部材60、60aのピン通し孔63、63aの高さを合わせる(図14(a)参照)。
【0067】
(2)一方の結合ピン7を一方の半割部材60のピン通し孔63、ハンマ延長体97の差込孔974、他方の半割部材60aのピン通し孔63に順に通して差し込む。また、他方の結合ピン7は一方の半割部材60のピン通し孔63a、ハンマ延長体97の差込孔974、他方の半割部材60aのピン通し孔63aに順に通して差し込む。これにより、ハンマ延長体97つまりダウンザホールハンマ9は、昇降可動台4と結合状態になる(図14(b)参照)。
【0068】
(3)各油圧シリンダー5のロッドを伸ばして昇降可動台4を所要ストロークで上昇させる。このとき、ダウンザホールハンマ9は抜けやすいようにドライブブッシュ2で回転駆動されており、回転体43はダウンザホールハンマ9と共に回転している。
そして、各油圧シリンダー5のロッドを伸縮調節することにより、昇降可動台4と共に上昇しているダウンザホールハンマ9のハンマ延長体97の係合溝973をテーブル基台1に設けられているドライブブッシュ2の係合凹部24の係合凹孔25に合わせる(図15(a)参照)。
【0069】
(4)落下防止用ストッパー8をドライブブッシュ2の係合凹孔25に差し込み、係合凹孔25の孔250を通してハンマ延長体97の係合溝973に係合させる。これにより、ハンマ延長体97は、テーブル基台1のドライブブッシュ2に対し上下方向において固定される(図15(b)参照)。
【0070】
(5)二本の結合ピン7を半割部材60、60aのピン通し孔63、63a及びハンマ延長体97の差込孔974から抜き取る。このように、結合ピン7を抜き取っても、ダウンザホールハンマ9は落下防止用ストッパー8の作用でテーブル基台1のドライブブッシュ2に固定されており、落下することはない。そして、各油圧シリンダー5により昇降可動台4を最下部まで下降させる(図16(a)参照)。
【0071】
(6)前記工程(2)と同様に各結合ピン7を半割部材60、60aのピン通し孔63、63a及び上から二段目のハンマ延長体97の差込孔974に差し込む。これにより、ダウンザホールハンマ9は、昇降可動台4と結合される。次に、最上部のハンマ延長体97をドライブブッシュ2に固定している落下防止用ストッパー8を抜き取る。落下防止用ストッパー8を抜き取っても、ダウンザホールハンマ9は、前記のようにハンマ延長体97が各結合ピン7によって昇降可動台4の口径切換具6に取り付けられているので、落下することはない(図16(b)参照)。
【0072】
(7)最上部のハンマ延長体97の各差込孔902から各係合ピン904を抜き取り、さらに吊下具900によって最上部のハンマ延長体97を吊り上げて、その下のハンマ延長体97から分離させる。そして、吊り上げたハンマ延長体97を上昇させるのではなく、そのまま上枠部材15の開放部150を通して横に移動させ、所定の場所に下ろす。この方法によれば、クレーンを使用したハンマ延長体97の取り外し作業において必要な上方のスペースをより小さくすることができる(図17(a)参照)。
【0073】
(8)抜き取ったハンマ延長体97を所定の場所に下ろした後、吊下具900をハンマ延長体97から取り外し、元の位置に戻す。そして、吊下具900をダウンザホールハンマ9の最上部にあるハンマ延長体97のロッド98に係合ピン905で取り付ける。なお、ダウンザホールハンマ9は昇降可動台4と結合されているが、ハンマ延長体97自体は、ドライブブッシュ2に対し上下方向においてフリー状態(下方へは自由降下状態)になる(図17(b)参照)。この作業を繰り返してハンマ延長体97を一段ずつ取り除く。
【0074】
前記工程(8)の後、ダウンザホールハンマ9にハンマ延長体97が3本以上残っている場合は、前記工程(3)に戻り、工程(3)〜(8)を繰り返して、最上部のハンマ延長体97を順次抜き取ってダウンザホールハンマ9を短くしていき、ハンマ本体90を上昇させる。
そして、前記工程(8)の後、ハンマ延長体97が2本になった場合は、次工程(9)に移行する。
【0075】
(9)油圧シリンダー5によって昇降可動台4を上昇させる。昇降可動体4と共に上昇するダウンザホールハンマ9の下側(上から二段目)のハンマ延長体97の係合溝973をドライブブッシュ2の係合凹部24の係合凹孔25に合わせ、落下防止用ストッパー8を係合凹部24に差し込む。これにより、ハンマ延長体97は、ドライブブッシュ2に対して上下方向において固定される。そして、二本の結合ピン7を抜き取り、昇降可動台4を最下部まで下降させる(図18(a)参照)。
【0076】
(10)前記工程(7)と同様にして、最上部のハンマ延長体97を吊り上げて下側のハンマ延長体97から分離させ、そのまま上枠部材15の開放部150を通して横に移動させ、所定の場所に下ろす。(図18(b)参照)。
【0077】
(11)抜き取ったハンマ延長体97を所定の場所に下ろした後、吊下具900を元に戻し、残ったハンマ延長体97に連結する。そして、ハンマ本体90が削孔100から抜けるまで、テーブル基台1の伸縮脚11を伸ばして回転式削孔機用ロータリテーブル装置Aのテーブル基台1を上昇させる(図19(a)参照)。
【0078】
(12)再度、ダウンザホールハンマ9のハンマ延長体97を吊下具900で吊り下げ、その状態で昇降可動台4に設けられているピン通し受具45、45aから各ピン61を外して口径切換具6の半割部材60、60aを上方へ回動させて開き、垂直に立てる。
そして、テーブル基台1の伸縮脚11を縮めて回転式削孔機用ロータリテーブル装置Aのテーブル基台1を元の高さまで下降させる。
【0079】
次に、落下防止用ストッパー8を抜き取り、吊下具900でハンマ延長体97とハンマ本体90を吊り上げると、ドライブブッシュ2は下部筒22の下端部がハンマ本体90の側面の径大部906(下筒部22と共に係合手段を構成する)に上方から係合して引っ掛かり、テーブル基台1から外れてハンマ本体90と一緒に上昇する。ドライブブッシュ2の径大なフランジ部23は、前記のように半割部材60、60aが開くことにより有効となった径大な本体部430の中心孔432を通り抜け、ハンマ延長体97、ハンマ本体90及びドライブブッシュ2は回転式削孔機用ロータリテーブル装置Aから抜き取られる。
このようにして削孔作業が終了した後は、回転式削孔機用ロータリテーブル装置Aを次の削孔箇所へ移動させる(図19(b)参照)。
【0080】
回転式削孔機用ロータリテーブル装置Aによれば、前記各工程で説明したように、ダウンザホールハンマ9を削孔終了後の長尺な長さのまま吊り上げて抜き取るのではなく、最上部のハンマ延長体97を繰り返し取り外してダウンザホールハンマ9の長さを徐々に短くしていくので、削孔箇所の周囲(特に上部)にそれほど大きな空間部が確保できない場所においても削孔作業を支障なく行うことができる。
【0081】
なお、前記したようにダウンザホールハンマ9の打ち込み作業については、ドライブブッシュ2によるダウンザホールハンマ9の回転と、ダウンザホールハンマ9の自重による自由降下を利用する従来の方法と同様である。しかしながら、削孔する地盤が比較的軟弱である場合は、この方法では削孔作業に支障を生じる。
【0082】
すなわち、軟弱な地盤でダウンザホールハンマ9を自重で自由降下させると、排土が十分に行われないうちにダウンザホールハンマ9が地中に深く入ってしまい、ハンマ周囲の土が排土されずに停滞し圧縮されてダウンザホールハンマ9の回転の強い抵抗となり、ついにはダウンザホールハンマ9が止まってしまう。
【0083】
削孔する地盤が比較的軟弱である場合は、このような事態が生じないように、回転式削孔機用ロータリテーブル装置Aを図20に示すように使用することができる。
まず、図20(a)はダウンザホールハンマ9による削孔作業が進み、ハンマ本体90は下の部分が地中に入っている状態である。ダウンザホールハンマ9の上端には前記クレーンのワイヤで吊り下げられた吊下具900を取り付けている。
【0084】
また、ダウンザホールハンマ9は、最上部のハンマ延長体97の差込孔974と、口径切換具6の半割部材60、60aのピン通し孔63、63aに結合ピン7が差し込まれており、昇降範囲において最上部に位置する昇降可動台4に回転できるようにして取り付けられている。なお、この作業において落下防止用ストッパー8は使用しない。
【0085】
図20(a)の状態から、ハンマビット93を作動させ、ダウンザホールハンマ9をドライブブッシュ2で回転させながら削孔を行う。ダウンザホールハンマ9を結合ピン7で取り付けている口径切換具6は回転体43に設けられているので、ダウンザホールハンマ9は支障なく回転することができる。また、この作業では、昇降可動台4を油圧シリンダー5、5aによって所要の速度で昇降可動台4の昇降範囲において最下部まで下降させる。このとき、ダウンザホールハンマ9は、昇降可動台4で吊り下げられ、油圧シリンダー5、5aで支えられながら下降する。
【0086】
この作動によって、ダウンザホールハンマ9は、排土が十分に行われないうちに地中に深く入ってしまうことはなく、ダウンザホールハンマ9の回転によるハンマ周囲の排土は問題なく行われる。(図20(b)参照)
【0087】
図20(b)の状態から、最上部のハンマ延長体97からクレーンの吊下具900を外し、これによって別に用意しているハンマ延長体97を吊り上げて、前記ハンマ延長体97に接続する。(図20(c)参照)
ワイヤを緊張させてダウンザホールハンマ9を吊り下げた状態にする。
この状態で結合ピン7を抜き取り、昇降可動台4を前記図20(a)に示す高さまで上昇させる。そして、結合ピン7を差し込み、図20(a)に示す状態とする。
図20(a)から(c)の工程を繰り返し行ってハンマ延長体97を順次つなぎ、ダウンザホールハンマ9を延長して削孔を行う。
【0088】
前記使用方法においては、ダウンザホールハンマ9の降下速度(降下量)を制限し、自重を利用した自由降下を行わないので、排土が十分に行われないうちにダウンザホールハンマ9が地中に深く入ってしまうことがない。したがって、これが原因でハンマ周囲の土が排土されずに停滞し圧縮されてダウンザホールハンマ9の回転の強い抵抗となることにより、ダウンザホールハンマ9が止まってしまうことを防止できる。
【実施例2】
【0089】
図21ないし図24を参照して、回転式削孔機用ロータリテーブル装置Aと、前記ダウンザホールハンマ9とは異なる構造のダウンザホールハンマ9aを組み合わせた他の削孔装置B2を説明する。なお、この削孔装置B2は、エアの圧力だけでは排土が十分にできない土質、例えば粘土質の地盤、または砂礫層のようにエアが上がらず層内に抜けてしまう地盤の場合に使用される。
【0090】
図21で示すダウンザホールハンマ9aは、エアタンク部92aの外周面にスクリュー921を設けたハンマ本体90aと、同じくスクリュー975を設けた所要数のハンマ延長体97aを備えたものである。
【0091】
ダウンザホールハンマ9aのエアタンク部92aは、前記エアタンク部92よりやや径小に形成されており、外周面に前記スクリュー921が全長にわたり巻着して設けられている。スクリュー921の外縁部は、後述するドライブブッシュ2aの内周面よりやや径小に形成されている。また、スクリュー921の外縁部には、係合凹部922が周方向に等間隔で四箇所かつ軸線方向と平行な位置に、全部で四列になるように設けられている。
係合凹部922の各列には、後述するドライブブッシュ2aの係合凸条27が係合するようになっている。
【0092】
ダウンザホールハンマ9aのハンマ延長体97aは、ロッド96、98よりやや径が大きい本体部970を備えており、本体部970の外周部にはスクリュー975が巻着して設けられている。スクリュー975の直径は前記スクリュー921の直径と同じである。
スクリュー975のピッチはスクリュー921と同じに形成されており、両スクリューの接合側の端部は、若干の隙間を空けて近接し、ほぼ連続するよう設けられている。これはハンマ延長体97a同士の接合部分も同様である。
【0093】
スクリュー975の外縁部には、係合凹部976が周方向に等間隔で四箇所かつ軸線方向と平行な位置に、全部で四列になるように設けられている。係合凹部976には、後述するドライブブッシュ2aの係合凸条27が係合するようになっている。
なお、エアタンク部92aのロッド96とハンマ延長体97aの接合及びハンマ延長体97aのロッド98とハンマ延長体97aの接合構造は、前記ハンマ延長体97のロッド98とクレーンの吊下具900の接合構造とほぼ同様であり、係合ピン907を使用して行われる。
【0094】
回転式削孔機用ロータリテーブル装置Aは、ドライブブッシュ2aのみ前記ドライブブッシュ2と異なる構造のものを使用しており、他の部分の構造は前記回転式削孔機用ロータリテーブル装置Aと同様である。
【0095】
ドライブブッシュ2aの内周部には、前記ドライブブッシュ2のような係合縦溝26ではなく、周方向に等間隔で四箇所に軸線方向と平行な係合凸条27が設けられている。各係合凸条27は、前記のようにスクリュー921の四列の各係合凹部922及びスクリュー975の四列の各係合凹部976に係合する。係合凸条27の数は、四箇所に限定するものではなく、使用するダウンザホールハンマに設けられている各係合凹部922、976の数に合わせて適宜設けられる。なお、ドライブブッシュ2aにおいて係合凸条27以外の構造は、ドライブブッシュ2と同様である。
【0096】
また、ダウンザホールハンマ9aのエアタンク部92a及びハンマ延長体97aは、前記ダウンザホールハンマ9のエアタンク部92及びハンマ延長体97と異なる構造を有しているので、結合ピン7による昇降可動台4の口径切換具6に対する取り付け及びストッパー8によるドライブブッシュ2aに対する係合は、それらとは異なる方法(構造)で行われる。
【0097】
すなわち、エアタンク部92a及びハンマ延長体97aの結合ピン7による口径切換具6に対する取り付け(この場合は載置による)は、結合ピン7を一方側の一組のピン通し孔63、63a間に差し込み、いずれかのスクリュー921、975の下側を受けて行われる(図21、図24参照)。なお、結合ピン7は一本で機能を果たし、他方の組のピン通し孔63、63aに結合ピン7を差し込むことはできない。
【0098】
また、エアタンク部92a及びハンマ延長体97aのストッパー8によるドライブブッシュ2aに対する係合は、結合ピン7の場合と同様にストッパー8によっていずれかのスクリュー921、975の下側を受けて行われる。この場合も、スクリュー921、975は、ストッパー8の差込部81、82において一方側(図21で左側)の差込部によって受けられる。
【0099】
(作用)
ダウンザホールハンマ9aを使用した、ドライブブッシュ2aを備えた回転式削孔機用ロータリテーブル装置Aの使用方法及び作用は、前記ダウンザホールハンマ9aの、結合ピン7による昇降可動台4の口径切換具6に対する取り付け及びストッパー8によるドライブブッシュ2aに対する係合の方法を除いては、前記ダウンザホールハンマ9を使用した場合とほぼ同様であるので、説明を省略する。
【0100】
なお、本明細書で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。
【符号の説明】
【0101】
B1 削孔装置
A 回転式削孔機用ロータリテーブル装置
1 テーブル基台
10 ベース部
11 伸縮脚
12 ケース
13 ステップ
14 内ガイド柱
15 上枠部材
150 開放部
151 通孔
2 ドライブブッシュ
20 嵌入部
21 上部筒
22 下部筒
23 フランジ部
24 係合凹部
25 係合凹孔
250 孔
26 係合縦溝
3 回転駆動装置
30 ケーシング
301 装着孔
31 油圧モーター
32 回転受具
321 嵌装部
322 フランジ部
323 段部
324 係合突起
33 ギヤ装置
400 昇降装置
4 昇降可動台
40 ベース部
41 外ガイド筒
42 通孔
43 回転体
430 本体部
431 フランジ部
432 中心孔
44、44a 軸受
45、45a ピン通し受具
450 ピン通し孔
46 ステップ
5、5a 油圧シリンダー
6 口径切換具
60、60a 半割部材
601 孔形成部
602 合わせ部
603 突出片
604 ピン
605 ピン孔
61 ピン
62 通孔
63、63a ピン通し孔
7 結合ピン
8 落下防止用ストッパー
80 湾曲部
81、82 差込部
83 把手
9 ダウンザホールハンマ
90 ハンマ本体
906 径大部
91 機構部
92 エアタンク部
920 係合条
93 ハンマビット
94 排土用溝
95 補強部材
96 ロッド
97 ハンマ延長体
971 本体部
972 係合条
973 係合溝
974 差込孔
98 ロッド
99 嵌入孔
901 係合溝
902 差込孔
903 溝部
904 係合ピン
905 係合ピン
907 係合ピン
900 吊下具
100 削孔
19 台部
B2 削孔装置
2a ドライブブッシュ
27 係合凸状
9a ダウンザホールハンマ
90a ハンマ本体
92a エアタンク部
921 スクリュー
922 係合凹部
97a ハンマ延長体
970 本体部
975 スクリュー
976 係合凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライブブッシュ(2)に通した削孔機を該ドライブブッシュ(2)で回転させながら地盤を削孔する回転式削孔機用ロータリテーブルであって、
削孔機を回転させるドライブブッシュ(2)と該ドライブブッシュ(2)を駆動する駆動手段(31,32)を備えているテーブル基台(1)と、
該テーブル基台(1)の上に設けられており、削孔機を保持して上昇又は/及び降下させる昇降装置(400)と、
該昇降装置(400)で削孔機を上昇させて削孔機上部の延長体を取り除くときに削孔機を止めて落下しないようにする落下防止手段(8)と、
を含み、
前記昇降装置(400)は、昇降可動台(4)と該昇降可動台(4)を昇降させる昇降駆動手段(5,5a)を有しており、
前記昇降可動台(4)は、削孔機を通す穴(432)を有する回転体(43)を有し、
該回転体(43)は、前記穴(432)に通された削孔機の固定及び固定解除ができる固定手段(6,7)により削孔機を固定した状態で削孔機の回転に伴い回転する、
回転式削孔機用ロータリテーブル。
【請求項2】
作業面に直接または間接的に据えられるテーブル基台(1)と、
テーブル基台(1)に対し上下方向に動くように設けられた昇降可動台(4)と、
昇降可動台(4)を駆動する昇降駆動手段(5)と、
テーブル基台(1)に設けられており、削孔機の延長体を軸周方向に回転させるドライブブッシュ(2)と、
ドライブブッシュ(2)を駆動する回転駆動手段(3)と、
昇降可動台(4)に対する削孔機の延長体の取り付け及び取り付け解除を行う手段(6,7)を有し、削孔機を取り付けた状態で回転させることができる回転体(43)と、
テーブル基台(1)またはドライブブッシュ(2)に対する削孔機の延長体の係合及び係合解除を行うことができる落下防止手段(8)と、
を備えている、
回転式削孔機用ロータリテーブル装置。
【請求項3】
昇降可動台(4)に、口径が径小時は延長体を通すことができ、径大時は削孔機に付帯して取り外されるドライブブッシュ(2)を通すことができる口径切換手段(6)が設けられており、
ドライブブッシュ(2)は、テーブル基台(1)に対し着脱自在に取り付けられており、削孔機に上方から係合して一体となるようにする係合手段(22)を備えている、
請求項2記載の回転式削孔機用ロータリテーブル装置。
【請求項4】
口径が径小時は延長体を通すことができ、径大時は削孔機に付帯して取り外されるドライブブッシュ(2)を通すことができる口径切換手段(6)が、一対の半割部材(60,60a)を有しており、各半割部材(60,60a)が合わさることで形成される径小口(62)と、昇降可動台(4)に設けられており各半割部材(60,60a)が分かれることで有効になる径大口(432)とを切り換える構造である、
請求項3記載の回転式削孔機用ロータリテーブル装置。
【請求項5】
昇降可動台(4)に対する削孔機の延長体の取り付け及び取り付け解除を行うことができる手段が、半割部材(60,60a)に設けられている通孔(605)と、削孔機の延長体に直径線方向と平行に設けられている通孔に、半割部材(60,60a)に設けられている通孔(605)に通した状態で挿通することができる結合ピン(7)と、により構成されている、
請求項4記載の回転式削孔機用ロータリテーブル装置。
【請求項6】
ドライブブッシュ(2)に対する削孔機の延長体の係合及び係合解除を行うことができる落下防止手段が、ドライブブッシュ(2)に設けられており、その内周面まで貫通する係合凹部(24)と、削孔機の延長体の外周部に軸線方向と交差する方向に設けられている係合溝に、ドライブブッシュ(2)に設けられている係合凹部(24)に装着した状態で係合することができる落下防止用ストッパー(8)と、により構成されている、
請求項2ないし5のいずれかに記載の回転式削孔機用ロータリテーブル装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の回転式削孔機用ロータリテーブル装置(A)と、
削孔機(9)と、を備えている、
削孔装置。
【請求項8】
削孔機をロータリーテーブルで回転させながら地盤を削孔した後の削孔から削孔機(9)を抜き取る方法であって、
削孔内にある削孔機(9)をロータリーテーブル装置に設けられている昇降装置(400)で上昇させる工程、
削孔機(9)を止めて孔底に落ちないようにし、この状態で昇降装置(400)による削孔機(9)の保持を解除する工程、
削孔機(9)の上部の延長体(97)を取り外す工程、
昇降装置(400)を下降させて削孔機(9)を保持する工程を備え、
前記各工程を順次繰り返すことにより、削孔機(9)の延長体(97)を上側の延長体から一段ずつ外しながら削孔機(9)全体を徐々に抜き取る、
削孔機の抜取方法。
【請求項9】
地盤を削孔した後の削孔から、延長体(97)を連結している削孔機(9)を抜き取る方法であって、
ロータリーテーブル装置に設けられている昇降装置(400)を使用して、最上部の延長体が取り外せる位置まで削孔機(9)を引き上げ、
引き上げられた削孔機(9)が落下しないように落下防止を施した後に、最上部の延長体(97)を取り外すことを含み、
前記手順を順次繰り返すことにより、削孔機(9)の延長体(97)を上側の延長体から一段ずつ外しながら削孔機(9)全体を徐々に抜き取る、
削孔機の抜取方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−80355(P2011−80355A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277197(P2010−277197)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【分割の表示】特願2009−43054(P2009−43054)の分割
【原出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(505046282)
【Fターム(参考)】