説明

回転式流体機械

【課題】 複数のシリンダ室をブレードによってそれぞれ高圧室と低圧室とに区画する回転式流体機械において、その装置の小型化及び単純化を図る。
【解決手段】環状のシリンダ室にC型形状のピストン(21)が配置され、シリンダ(17)の内部には外側シリンダ室(C1)と内側シリンダ室(C2)とが形成される。ピストン(21)の分断部分にはブレード(27)が貫通し、該ブレード(27)が各シリンダ室(C1,C2)を高圧室と低圧室とに区画する。ブレード(27)の両端面はシリンダ(17)の各円弧溝(25,26)の壁面と摺接し、ブレード(27)の両側面はピストン(21)の両端面と摺接する。シリンダ(17)がピストン(21)に対して偏心回転すると、シリンダ(17)はピストン(21)に対して進退し、ブレード(27)に対して揺動する。その結果、各シリンダ室(C1,C2)の容積が拡縮される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、径方向に複数のシリンダ室が形成され、各シリンダ室をブレードによって高圧室と低圧室とに区画する回転式流体機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数のシリンダ室を有し、冷媒などの流体の圧縮や膨張を行う回転式流体機械が知られている。この種の回転式流体機械として、例えば特許文献1には、環状のシリンダ室の内部で環状のピストンを偏心回転させる圧縮機が開示されている。
【0003】
図7に示すように、上記圧縮機は、環状のシリンダ室(C1,C2)を有するシリンダ(121)と、該シリンダ室(C1,C2)に配置された環状ピストン(122)とを備えている。上記シリンダ(121)は、互いに同心上に配置された外シリンダ部(124)と内シリンダ部(125)とで構成されている。つまり、この外シリンダ部(124)と内シリンダ部(125)との間にシリンダ室(C1,C2)が形成され、該シリンダ室(C1,C2)が環状ピストン(122)によって外側シリンダ室(C1)と内側シリンダ室(C2)とに区画されている。上記環状ピストン(122)は、外周面が外側リンダ部(124)の内周面と実質的に1箇所で接し、内周面が内シリンダ部(125)の外周面と実質的に1箇所で接しながら、シリンダ(121)の中心に対して偏心回転運動をするように構成されている。
【0004】
上記環状ピストン(122)の外側には外側ブレード(123A)が配置され、内側には外側ブレード(123A)の延長線上に内側ブレード(123B)が配置されている。上記外側ブレード(123A)は、外シリンダ部(124)に形成されたブレード溝に挿入されている。そして、この外側ブレード(123A)は、環状ピストン(122)の径方向内方に向かって付勢され、先端が環状ピストン(122)の外周面に圧接している。一方、上記内側ブレード(123B)は、内シリンダ部(125)に形成されたブレード溝に挿入されている。そして、この内側ブレード(123B)は、環状ピストン(122)の径方向外側に向かって付勢され、先端が環状ピストン(122)の内周面に圧接している。以上のようにして、上記外側ブレード(123A)および内側ブレード(123B)は、外側シリンダ室(C1)および内側シリンダ室(C2)をそれぞれ高圧室と低圧室とに区画している。そして、この圧縮機では、環状ピストン(122)の偏心回転運動に伴って、各シリンダ室(C1,C2)の低圧室で流体の吸入が行われると共に、高圧室で流体の圧縮が行われる。
【特許文献1】特開平6−288358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、特許文献1に開示の回転式流体機械では、2本のブレード(123A,123B)によってシリンダ室(C1,C2)をそれぞれ低圧室と高圧室とに区画するようにしている。ところが、特許文献1の圧縮機では、各ブレード(123A,123B)を収納するためのブレード溝を各シリンダ部(124,125)にそれぞれ形成する必要がある。更に、各ブレード(123A,123B)を環状ピストン(122)に付勢するためのバネ等を設ける必要がある。したがって、この回転式流体機械の大型化、複雑化を招いてしまう問題が生じてしまう。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数のシリンダ室をブレードによってそれぞれ高圧室と低圧室とに区画する回転式流体機械において、装置の小型化及び単純化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明の回転式流体機械は、環状の外シリンダ部(23)と、該外シリンダ部(23)と同心でかつ該外シリンダ部(23)の内側に配置される内シリンダ部(24)とを有し、外シリンダ部(23)と内シリンダ部(24)との間に環状のシリンダ室(C1,C2)を形成するシリンダ(17)と、円環の一部を分断したようなC型形状に形成されて上記シリンダ室(C1,C2)に配置され、該シリンダ室(C1,C2)を、その外周面と上記外シリンダ部(23)の内周面との間の外側シリンダ室(C1)と、その内周面と上記内シリンダ部(24)の外周面との間の内側シリンダ室(C2)とに仕切るピストン(21)と、上記ピストン(21)の分断部分を径方向へ貫通するように伸長して上記外側シリンダ室(C1)及び内側シリンダ室(C2)をそれぞれ高圧室(C1-Hp,C2-Hp)と低圧室(C1-Lp,C2-Lp)とに区画するブレード(27)と、上記シリンダ(17)をピストン(21)に対して偏心回転させる駆動機構(30)とを備え、上記外シリンダ部(23)の内周面と内シリンダ部(24)の外周面には、互いに曲率中心が一致する円弧溝(25,26)が形成されており、上記ブレード(27)は、その伸長方向の両端面がそれぞれ円弧面に形成され、一方の端面が外シリンダ部(23)の円弧溝(25)の壁面と摺接し、他方の端面が内シリンダ部(24)の円弧溝(26)の壁面と摺接する一方、その両側面が上記ピストン(21)の周方向の両端面と摺接し、該ピストン(21)に進退自在に支持されていることを特徴とするものである。
【0008】
上記第1の発明では、シリンダ(17)の内部に環状のシリンダ室が形成され、このシリンダ室にC型形状のピストン(21)が配置される。上記シリンダ室には、ピストン(21)の外側に外側シリンダ室(C1)が形成され、該ピストン(21)の内側に内側シリンダ室(C2)が形成される。また、シリンダ(17)の内部にはピストン(21)の分断部分を貫通してブレード(27)が径方向に伸長しており、このブレード(27)によって上記外側シリンダ室(C1)と内側シリンダ室(C2)とは、それぞれ高圧室(C1-Hp,C2-Hp)と低圧室(C1-Lp,C2-Lp)とに区画される。
【0009】
駆動機構(30)がピストン(21)に対してシリンダ(17)を偏心回転させると、シリンダ(17)に形成された各円弧溝(25,26)の壁面と、ブレード(27)の両端面に形成された各円弧面とがそれぞれ摺接する。その結果、シリンダ(17)は、両円弧溝(25,26)の曲率中心を中心に揺動する。同時にブレード(27)は、ピストン(21)の両端面に支持されながらブレード(27)の伸長方向に進退する。その結果、シリンダ(17)は、該ブレード(27)と共にピストン(21)に対して進退する。
【0010】
以上のようなシリンダ(17)の偏心回転時には、ピストン(21)の外周面と外シリンダ部(23)の内周面とが実質的に1箇所で接し、その接触箇所が上記シリンダ(17)の偏心回転方向に変位する。同時に、ピストン(21)の内周面と内シリンダ部(24)の外周面とが実質的に1箇所で接し、その接触箇所がピストン(21)の偏心回転方向に変位する。その結果、両シリンダ室(C1,C2)の各高圧室(C1-Hp,C2-Hp)及び各低圧室(C1-Lp,C2-Lp)のそれぞれの容積が拡縮される。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、上記内シリンダ部(24)が円環状に形成され、上記駆動機構(30)は、上記内シリンダ部(24)の内部に嵌合してシリンダ(17)を偏心回転させる偏心軸(33a)を備えていることを特徴とするものである。
【0012】
上記第2の発明では、円環状の内シリンダ部(24)の内部に偏心軸(33a)が嵌合する。駆動機構(30)によって偏心軸(33a)が偏心回転すると、シリンダ(17)は偏心軸(33a)と共にピストン(21)に対して偏心回転する。
【0013】
第3の発明は、第1の発明において、上記両円弧溝(25,26)の曲率中心は、外シリンダ部(23)の内周面と内シリンダ部(24)の外周面との中間に位置していることを特徴とするものである。
【0014】
上記第3の発明のシリンダ(17)において、両円弧溝(25,26)の曲率中心は外シリンダ部(23)の内周面と内シリンダ部(24)の外周面との中間ピッチ円上、即ち外シリンダ部(23)からも内シリンダ部(24)からも同じ距離に位置する仮想円周上に位置している。その結果、ピストン(21)の両端面に対してブレード(27)が極端に傾いてしまうのを回避できる。この理由について以下に詳細に説明する。
【0015】
シリンダ(17)の偏心回転時には、各高圧室(C1-Hp,C2-Hp)からブレード(27)の高圧側の側面に対して高圧が作用する。そして、ブレード(27)の側面における高圧の作用中心が、両円弧溝(25,26)の曲率中心からずれると、ブレード(27)はこの曲率中心を支点として回転しようとする。一方、ブレード(27)の両側面と、ピストン(21)の両端面との間には僅かに隙間が形成されている。したがって、各高圧室(C1-Hp,C2-Hp)の高圧がブレード(27)に作用することでブレード(27)がピストン(21)の両端面に対して傾くと、ブレード(27)の側面がピストン(21)の端面に対して局所的に摺接する、いわゆる片当たりが生じてしまう(図4参照)。このような片当たりが生じると、ブレード(27)の両側面とピストン(21)の両端面との間の摺動抵抗が増大し、ブレード(27)をピストン(21)に対して円滑に進退させることが困難となる。
【0016】
ところで、ピストン(21)に対するブレード(27)の傾きは、シリンダ(17)の偏心位置によって大きく変動する。具体的には、外シリンダ部(23)の円弧溝(25)とピストン(21)とが接近する位置にシリンダ(17)が偏心すると、ブレード(27)の側面における内側シリンダ室(C2)の高圧の作用中心から両円弧溝(25,26)の曲率中心までの距離が遠くなり、ブレード(27)の傾きが大きくなる。また、内シリンダ部(24)の円弧溝(26)とピストン(21)とが接近する位置にシリンダ(17)が偏心すると、ブレード(27)の側面における外側シリンダ室(C1)の高圧の作用中心から両円弧溝(25,26)の曲率中心までの距離が遠くなり、ブレード(27)の傾きが大きくなる。
【0017】
上述のように本発明では、両円弧溝(25,26)の曲率中心を外シリンダ部(23)と内シリンダ部(24)の中間に位置させている。このようにすると、外側シリンダ室(C1)の高圧がブレード(27)に作用する場合と、内側シリンダ室(C2)の高圧がブレード(27)に作用する場合とで、ブレード(27)の側面に作用する高圧の作用中心から両円弧溝(25,26)の曲率中心までの間隔を均等化できる。このため、両者の場合のブレード(27)の傾きを同程度にできる。したがって、ピストン(21)の両端面に対するブレード(27)の傾きは、シリンダ(17)がどの偏心位置にあっても極端に大きくなることが無く、ピストン(21)の端面に対するブレード(27)の片当たりは回避される。
【0018】
第4の発明は、第1の発明において、上記両円弧溝(25,26)の曲率中心は、外シリンダ部(23)の内周面と内シリンダ部(24)の外周面との中間位置から内シリンダ部(24)側へ偏倚していることを特徴とするものである。
【0019】
上記第4の発明のシリンダ(17)には、両円弧溝(25,26)の曲率中心が内シリンダ部(24)側に偏倚するようにして各円弧溝(25,26)が形成される。その結果、両円弧溝(25,26)の曲率中心を外シリンダ部(23)と内シリンダ部(24)の中間位置とする場合と比較して、内シリンダ部(24)側の円弧溝(26)の壁面の弧の長さを延ばすことができる。このため、ブレード(27)に対するシリンダ(17)の揺動時において、ブレード(27)の内側端面の一部が内シリンダ部(24)側の円弧溝(26)から逸脱してしまうことは回避される。
【0020】
第5の発明は、第1乃至第4のいずれかの発明において、上記内シリンダ部(24)の円弧溝(26)の曲率半径R1が上記外シリンダ部(23)の円弧溝(25)の曲率半径R2よりも大きいことを特徴とするものである。
【0021】
上記第5の発明のシリンダ(17)には、外シリンダ部(23)の円弧溝(25)の曲率半径R2よりも内シリンダ部(24)の円弧溝(26)の曲率半径R1の方が大径となるように各円弧溝(25,26)が形成される。その結果、両円弧溝(25,26)の曲率半径を同じ値とした場合と比較して、内シリンダ部(24)側の円弧溝(26)の弧の長さを延ばすことができる。このため、ブレード(27)に対するシリンダ(17)の揺動時において、ブレード(27)の内側端面の一部が内シリンダ部(24)側の円弧溝(26)から逸脱してしまうことは回避される。
【発明の効果】
【0022】
上記第1の発明によれば、ブレード(27)をピストン(21)に対して進退させながら、両円弧溝(25,26)の曲率中心を支点としてシリンダ(17)を揺動させることで、ピストン(21)に対するシリンダ(17)の偏心回転時において、外側シリンダ室(C1)及び内側シリンダ室(C2)の容積をそれぞれ拡縮できる。したがって、内側シリンダ室(C1)及び外側シリンダ室(C2)とで同時に流体の圧縮を行うことができる。
【0023】
ここで、図7に示す従来例の回転式流体機械では、外側シリンダ室と内側シリンダ室とを2本のブレードで区画していたのに対し、本発明では、1本のブレード(27)で各シリンダ室(C1,C2)を高圧室と低圧室とに区画できる。また、従来例では、各ブレードを収納するためのブレード溝やブレードを環状ピストン(122)へ押し付けるためのバネ等が必要であったのに対し、本発明では、これらの構造も省略できる。即ち、本発明によれば、ブレード(27)に係る構造の単純化及びスペースの削減を図ることができるので、この回転式流体機械をシンプルにかつコンパクトに設計することができる。
【0024】
特に、第2の発明では、円環状の内シリンダ部(24)に偏心軸(33a)を嵌合させ、この偏心軸(33a)によってシリンダ(17)を偏心回転させるようにしている。このようにすると、各シリンダ室(C1,C2)での流体の圧縮時に、シリンダ(17)にラジアル方向の圧力が作用しても、この圧力に抗する反力が偏心軸(33a)からシリンダ(17)に対して作用する。つまり、シリンダ(17)に作用する上記ラジアル方向の圧力と、シリンダ(17)が偏心軸(33a)から受ける反力とは同じ高さに作用するので、シリンダ(17)の転覆を回避でき、この回転式流体機械の信頼性を向上させることができる。
【0025】
また、上記第3の発明では、シリンダ(17)の両円弧溝(25,26)の曲率中心を外シリンダ部(23)と内シリンダ部(24)との間の中間に位置させるようにしている。このため、本発明によれば、シリンダ(17)の偏心位置に依存してピストン(21)に対するブレード(27)の傾きが極端に大きくなってしまうのを回避できる。したがって、ピストン(21)の両端面に対するブレード(27)の片当たりを回避でき、ブレード(27)をピストン(21)に対して円滑に進退させることができる。
【0026】
上記第4の発明では、シリンダ(17)の両円弧溝(25,26)の曲率中心を内シリンダ部(24)側に偏倚させることで、内シリンダ部(24)側の円弧溝(26)の弧の長さを長くとるようにしている。また、上記第5の発明では、内シリンダ部(24)の円弧溝(26)の曲率半径R1を外シリンダ部(23)の円弧溝(25)の曲率半径R2よりも大きくすることで、内シリンダ部(24)側の円弧溝(26)の弧の長さを長くとるようにしている。
【0027】
このように内シリンダ部(24)側の円弧溝(26)の弧の長さを長くすると、シリンダ(17)の偏心回転時において、ブレード(27)の内側端面の一部が内シリンダ部(24)側の円弧溝(26)から逸脱してしまうことを回避できる。したがって、両シリンダ部(23,24)の間にブレード(27)を確実に保持することができ、ブレード(27)に対してシリンダ(17)を安定して揺動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本実施形態の回転式流体機械は、2つのシリンダ室内で流体を同時に圧縮する、いわゆる2シリンダタイプの圧縮機(1)を構成している。この圧縮機(1)は、例えば空気調和装置の冷媒回路において、蒸発器から吸入した冷媒を圧縮して凝縮器へ吐出するために用いられる。図1に示すように、圧縮機(1)は、縦長で全密閉型のケーシング(10)内に、圧縮機構(20)及び電動機(30)が収納されている。
【0029】
上記ケーシング(10)は、円筒状の胴部(11)と、該胴部(11)の上端部に固定された上部鏡板(12)と、該胴部(11)の下端部に固定された下部鏡板(13)とで構成されている。上記上部鏡板(12)には、吸入管(14)が貫通して設けられ、上記胴部(11)には、吐出管(15)が貫通して設けられている。
【0030】
上記電動機(30)は、ケーシング(10)内の下側寄りに配置されており、本発明の駆動機構を構成している。この電動機(30)は、ステータ(31)とロータ(32)とを備えている。ステータ(31)は、ケーシング(10)の胴部(11)の内壁に固定されている。ロータ(32)は、ステータ(31)の内周側に配置されている。このロータ(32)には、上下方向に駆動軸(33)が貫通して連結されている。また、駆動軸(33)は、ケーシング(10)の胴部(11)の内壁に固定されたリヤヘッド(19)を更に貫通しており、該リヤヘッドの軸受け部に回転自在に支持されている。
【0031】
駆動軸(33)の上端には、偏心軸(33a)が設けられている。偏心軸(33a)は、駆動軸(33)よりも大径に形成され、駆動軸(33)の軸心から所定量だけ偏心している。また、駆動軸(33)の内部には、軸方向に延びる給油路(図示省略)が設けられている。更に、上記駆動軸(33)の下端部には、給油ポンプ(34)が設けられている。この給油ポンプ(34)は、ケーシング(10)内の底部に貯まる潤滑油を汲み上げ、駆動軸(33)の給油路を通じて圧縮機構(20)の各摺動部へ供給する。
【0032】
上記圧縮機構(20)は、ハウジング(16)と、シリンダ(17)とを備えている。ハウジング(16)は、ケーシング(10)の胴部(11)の内壁に固定されている。このハウジング(16)には、その内部にピストン(21)が設けられている。このピストン(21)は、駆動軸(33)の軸方向と直交する横断面がC型形状に形成されている(図2参照)。
【0033】
シリンダ(17)は、鏡板(22)と、外シリンダ部(23)と、内シリンダ部(24)とで構成されている。鏡板(22)は、シリンダ(17)の下端部に設けられ、円盤状に形成されている。外シリンダ部(23)は、鏡板(22)の外周端部から上方に延びて形成されている。この外シリンダ部(23)は、横断面が環状に形成されている。内シリンダ部(24)は、鏡板(22)の内周端部から上方に延びて形成されている。この内シリンダ部(24)は、横断面が環状に形成されている。また、内シリンダ部(24)の内部には、上記偏心軸(33a)が嵌合している。
【0034】
図2に示すように、外シリンダ部(23)と内シリンダ部(24)とは、互いに同心であり、それぞれの軸心が偏心軸(33a)の軸心と一致している。一方、外シリンダ部(23)の内径は、内シリンダ部(24)の外径よりも大径となっており、外シリンダ部(23)と内シリンダ部(24)との間に環状のシリンダ室が形成されている。
【0035】
上記環状のシリンダ室には上述したピストン(21)が配置されている。このピストン(21)は、シリンダ室を外側シリンダ室(C1)と内側シリンダ室(C2)とに仕切っている。外側シリンダ室(C1)は、ピストン(21)の外周面と上記外シリンダ部(23)の内周面との間に形成されている。一方、内側シリンダ室(C2)は、ピストン(21)の内周面と上記内シリンダ部(24)の外周面との間に形成されている。
【0036】
また、ピストン(21)の分断部分には、ブレード(27)が貫通している。このブレード(27)は、内シリンダ部(24)の外周面から上記外シリンダ部(23)の内周面まで径方向に伸長している。そして、ブレード(27)は、上記外側シリンダ室(C1)及び上記内側シリンダ室(C2)をそれぞれ高圧室(C1-Hp,C2-Hp)と低圧室(C1-Lp,C2-Lp)とに区画している。
【0037】
また、ブレード(27)の伸長方向の両側の端面は、それぞれ円弧状に形成されている。このブレード(27)の両端面の曲率中心は互いに一致している。一方、上記外シリンダ部(23)の内周面には、ブレード(27)の外側端面が嵌り込む外側円弧溝(25)が形成されている。また、上記内シリンダ部(24)の外周面には、ブレード(27)の内側端面が嵌り込む内側円弧溝(26)が形成されている。
【0038】
両円弧溝(25,26)は、互いの曲率中心が一致している。本実施形態では、両円弧溝(25,26)の曲率中心が、内シリンダ部(24)の外周面と外シリンダ部(23)の内周面との中間のピッチ円(図2の破線で示す円弧線)上に位置している。また、本実施形態では、内側円弧溝(26)の曲率半径R1と、外側円弧溝(25)の曲率半径R2とが同じ値となっている。
【0039】
上記ブレード(27)において、各シリンダ室(C1,C2)に臨む両側面は、上記ピストン(21)の周方向の両端面に挟み込まれている。つまり、ブレード(27)は、ピストン(21)の両端面によって径方向に進退自在に支持されている。
【0040】
圧縮機構(20)では、上記内シリンダ部(24)の外周面がピストン(21)の内周面と実質的に1箇所で接すると共に、その接触箇所と位相が180°異なる位置において、外シリンダ部(23)の内周面がピストン(21)の外周面と実質的に1箇所で接している。
【0041】
以上のような構成の圧縮機構(20)では、駆動機構(30)の駆動軸(33)が回転して偏心軸(33a)が偏心回転すると、シリンダ(17)がピストン(21)に対して偏心回転する。シリンダ(17)の偏心回転時には、ピストン(21)の両端面とブレード(27)の両側面とが摺接すると同時に、ブレード(27)の両端面と、シリンダ(17)の両円弧溝(25,26)の壁面とが摺接する。つまり、シリンダ(17)の偏心回転時には、ピストン(21)に対してブレード(27)が径方向に進退すると同時に、進退するブレード(27)の両端面に沿ってシリンダ(17)が揺動する。その結果、内シリンダ部(24)とピストン(21)との各接触箇所と、外シリンダ部(23)とピストン(21)との接触箇所とが、図3における(A)から(D)の順に移動する。
【0042】
図1及び図2に示すように、上記ハウジング(16)には、吸入管(14)の下方に長穴状の吸入口(41)が形成されている。この吸入口(41)は、ハウジング(16)をその軸方向に貫通している。吸入口(41)の上端は、ハウジング(16)の上方の低圧空間(S1)に臨むように開口している。吸入口(42)の下端は、各シリンダ室(C1,C2)の低圧室(C1-Lp,C2-Lp)、及び外シリンダ部(23)の外側の環状空間(42)に臨むように開口している。また、上記外シリンダ部(23)には、上記環状空間(42)と、外側シリンダ室(C1)の低圧室(C1-Lp)とを連通させる貫通孔(43)が形成されている。更に、内シリンダ部(24)には、外側シリンダ室(C1)の低圧室(C1-Lp)と内側シリンダ室(C2)の低圧室(C2-Lp)とを連通させる貫通孔(44)が形成されている。
【0043】
また、ハウジング(16)には、2つの吐出口(45)が形成されている。これら吐出口(45)は、ハウジング(16)をその軸方向に貫通している。各吐出口(45)の下端は、それぞれ各シリンダ室(C1,C2)の高圧室(C1-Hp,C2-Hp)に臨むように開口している。一方、各吐出口(45)の上端は、ハウジング(16)の上方の吐出空間(47)に開口している。各吐出口(45)には、該吐出口(45)を開閉するリード弁である吐出弁(46)がそれぞれ設けられている。
【0044】
上記吐出空間(47)は、ハウジング(16)と、該ハウジング(16)の上方に設けられたカバープレート(18)との間に形成されている。この吐出空間(47)は、ハウジング(16)及びリヤヘッド(19)に形成された吐出通路(47a)を介して、圧縮機構(20)の開放の高圧空間(S2)と連通している。
【0045】
−運転動作−
次に、この圧縮機(1)の運転動作について図3を参照しながら説明する。電動機(30)が駆動軸(33)を回転させると、その回転力は偏心軸(33a)を介してシリンダ(17)に伝達される。その結果、シリンダ(23,24)は、ピストン(21)に対して偏心回転し、圧縮機構(20)では、冷媒の吸入動作と圧縮動作とが同時に行われる。
【0046】
外側シリンダ室(C1)では、図3(C)の状態から図3(D)に至るまでの間に冷媒の吸入動作が開始される。つまり、図3(C)から図3(D)までシリンダ(23,24)が時計回りに公転すると、冷媒が吸入管(14)及び吸入口(41)を通って低圧室(C1-Lp)に吸入される。この際、外側シリンダ室(C1)の低圧室(C1-Lp)には、吸入口(41)からだけでなく、上記環状空間(42)から貫通孔(43)を経由して冷媒が吸入される。その後、シリンダ(17)が図3(D)、図3(A)、図3(B)の順に公転すると、低圧室(C1-Lp)の容積が次第に拡大され、これに伴い低圧室(C1-Lp)へ冷媒が吸入される。更に、シリンダ(17)が公転して図3(C)の状態に至ると、低圧室(C1-Lp)への冷媒の吸入動作が完了する。
【0047】
その後、シリンダ(17)が更に公転して図3(D)の状態に至ると、低圧室(C1-Lp)は、冷媒を圧縮するための高圧室(C1-Hp)となる。図3(D)の状態から更にシリンダ(17)が公転すると、上記高圧室(C1-Hp)の容積が次第に縮小され、高圧室(C1-Hp)で冷媒が圧縮される。その後、高圧室(C1-Hp)の圧力が上昇し、高圧室(C1-Hp)と吐出空間(47)との差圧が所定値以上になると、高圧室(C1-Hp)の冷媒圧力によって吐出弁(46)が開放される。その結果、高圧室(C1-Hp)内の冷媒は、吐出空間(47)へ流出する。
【0048】
一方、上記内側シリンダ室(C2)では、図3(A)の状態から図3(B)に至るまでの間に冷媒の吸入動作が開始される。つまり、図3(A)から図3(B)までシリンダ(17)が時計回りに公転すると、冷媒が吸入管(14)及び吸入口(41)を通って低圧室(C2-Lp)に吸入される。この際、内側シリンダ室(C2)の低圧室(C2-Lp)には、吸入口(41)からだけでなく、外側シリンダ室(C1)から貫通孔(44)を経由して冷媒が吸入される。その後、シリンダ(17)が図3(B)、図3(C)、図3(D)の順に公転すると、低圧室(C2-Lp)の容積が次第に拡大され、これに伴い低圧室(C2-Lp)へ冷媒が吸入される。更に、シリンダ(17)が公転して図3(A)の状態に至ると、低圧室(C2-Lp)への冷媒の吸入動作が完了する。
【0049】
その後、シリンダ(17)が更に公転して図3(B)の状態に至ると、この低圧室(C2-Lp)は、冷媒を圧縮するための高圧室(C2-Hp)となる。図3(B)の状態から更にシリンダ(17)が公転すると、上記高圧室(C2-Hp)の容積が次第に縮小され、高圧室(C2-Hp)で冷媒が圧縮される。その後、高圧室(C2-Hp)の圧力が上昇し、高圧室(C2-Hp)と吐出空間(47)との差圧が所定値以上になると、高圧室(C2-Hp)の冷媒圧力によって吐出弁(46)が開放される。その結果、高圧室(C2-Hp)内の冷媒は、吐出空間(47)へ流出する。
【0050】
以上のようにして、各シリンダ室(C1,C2)で圧縮されて吐出空間(47)へ流出した高圧の冷媒は、吐出通路(47a)を流通して高圧空間(S2)へ送られる。この高圧空間(S2)の冷媒は、吐出管(15)を介してケーシング(10)の外部へ供給される。
【0051】
ところで、圧縮機構(20)で冷媒を圧縮する際には、各高圧室(C1-Hp,C2-Hp)からブレード(27)の高圧側の側面に対して高圧が作用する。そして、ブレード(27)の側面における高圧の作用中心が、両円弧溝(25,26)の曲率中心からずれると、ブレード(27)はこの曲率中心を支点として回転しようとする。一方、ブレード(27)の両側面と、ピストン(21)の両端面との間には僅かに隙間が形成されている。したがって、例えば図4に示すように、各高圧室(C1-Hp,C2-Hp)の高圧がブレード(27)に作用することでブレード(27)がピストン(21)の両端面に対して傾くと、ブレード(27)の側面がピストン(21)の端面に対して局所的に摺接する、いわゆる片当たりが生じてしまう。このような片当たりが生じると、ブレード(27)の両側面とピストン(21)の両端面との間の摺動抵抗が増大し、ブレード(27)をピストン(21)に対して円滑に進退させることが困難となる。
【0052】
上述のようなピストン(21)に対するブレード(27)の傾きは、シリンダ(17)が図3(A)や図3(C)の位置に偏心する際に大きくなり易い。即ち、シリンダ(17)が図3(C)の位置に偏心すると、ブレード(27)の側面における内側シリンダ室(C2)の高圧の作用中心から両円弧溝(25,26)の曲率中心までの距離が遠くなり、ブレード(27)の傾きが大きくなる。また、シリンダ(17)が図3(A)の位置に偏心すると、ブレード(27)の側面における外側シリンダ室(C1)の高圧の作用中心から両円弧溝(25,26)の曲率中心までの距離が遠くなり、ブレード(27)の傾きが大きくなる。
【0053】
ここで、本実施形態では、このようなブレード(27)の傾きが極端に大きくなってしまうのを回避するように、両円弧溝(25,26)の曲率中心を外シリンダ部(23)と内シリンダ部(24)の中間に位置させている(図2参照)。このようにすると、シリンダ(17)が図3(C)の状態になる場合と、図3(A)の状態になる場合とで、ブレード(27)の側面に作用する高圧の作用中心から両円弧溝(25,26)の曲率中心までの間隔を均等化できる。このため、両者の場合のブレード(27)の傾きを同程度にできる。したがって、ピストン(21)の両端面に対するブレード(27)の傾きは、シリンダ(17)がどの偏心位置にあっても極端に大きくなることが無く、ピストン(21)の端面に対するブレード(27)の片当たりは回避される。
【0054】
−実施形態の効果−
上記実施形態では、ブレード(27)をピストン(21)に対して進退させながら、シリンダ(17)をブレード(27)に対して揺動させることで、ピストン(21)に対するシリンダ(17)の偏心回転時において、外側シリンダ室(C1)及び内側シリンダ室(C2)の容積をそれぞれ拡縮できる。したがって、内側シリンダ室(C1)及び外側シリンダ室(C2)とで同時に流体の圧縮を行うことができる。
【0055】
ここで、図7に示す従来例の回転式流体機械では、外側シリンダ室と内側シリンダ室とを2本のブレードで区画していたのに対し、本発明では、1本のブレード(27)で各シリンダ室(C1,C2)を高圧室と低圧室とに区画できる。また、従来例では、各ブレードを収納するためのブレード溝やブレードを付勢するためのバネ等が必要であったのに対し、本発明では、これらの構造も省略できる。即ち、本実施形態によれば、ブレード(27)に係る構造の単純化及びスペースの削減を図ることができるので、この圧縮機(1)をシンプルにかつコンパクトに設計することができる。
【0056】
また、上記実施形態では、環状の内シリンダ部(24)に偏心軸(33a)を嵌合させ、この偏心軸(33a)によってシリンダ(17)を偏心回転させるようにしている。このようにすると、各シリンダ室(C1,C2)での流体の圧縮時に、シリンダ(17)にラジアル方向の圧力が作用しても、この圧力に抗する反力が偏心軸(33a)からシリンダ(17)に対して作用する。つまり、シリンダ(17)に作用する上記ラジアル方向の圧力と、シリンダ(17)が偏心軸(33a)から受ける反力とは同じ高さに作用するので、シリンダ(17)の転覆を回避でき、この回転式流体機械の信頼性を向上させることができる。
【0057】
更に、上記実施形態では、シリンダ(17)の両円弧溝(25,26)の曲率中心を外シリンダ部(23)と内シリンダ部(24)との間の中間に位置させるようにしている。このため、本発明によれば、シリンダ(17)の偏心位置に依存してピストン(21)に対するブレード(27)の傾きが極端に大きくなってしまうのを回避できる。したがって、ピストン(21)の両端面に対するブレード(27)の片当たりを回避でき、ブレード(27)をピストン(21)に対して円滑に進退させることができる。
【0058】
−実施形態の変形例1−
図5に示す変形例1の圧縮機(1)は、上述した実施形態とブレード(27)及び円弧溝(25,26)の構成が異なるものである。この変形例1では、内シリンダ部(24)の内側円弧溝(26)の曲率半径R1が、外シリンダ部(23)の外側円弧溝(25)の曲率半径R2よりも大径に構成されている。一方、各円弧溝(25,26)の曲率中心は、上記実施形態と同様、内シリンダ部(24)の外周面と外シリンダ部(23)の内周面との中間位置におけるピッチ円(図5の破線で示す円弧線)上に位置している。また、ブレード(27)の伸長方向の両端面は、それぞれの円弧溝(25,26)に嵌合する円弧状に形成されている。
【0059】
この変形例1では、ブレード(27)の内側端面と摺接する内側円弧溝(26)の弧の長さを上記実施形態と比較して大きくとることができる。したがって、例えば図5(A)の状態のシリンダ(17)が図5(B)の状態に揺動しても、ブレード(27)の内側端面の全域を内側円弧溝(26)の壁面に摺接させることができる。その結果、例えば上記実施形態の図3(B)に示すように、シリンダ(17)の揺動に伴いブレード(27)の内側端面の一部が内側円弧溝(26)から逸脱してしまうことを回避できる。したがって、ブレード(27)を両シリンダ部(23,24)の間に確実に保持することができ、この圧縮機(1)の信頼性を向上できる。
【0060】
−実施形態の変形例2−
図6に示す変形例2の圧縮機(1)は、上述した実施形態とブレード(27)及び円弧溝(25,26)の構成が異なるものである。この変形例2では、上記実施形態と同様、内シリンダ部(24)の内側円弧溝(26)の曲率半径R1と、外シリンダ部(23)の外側円弧溝(25)の曲率半径R2とが同じ値に構成されている。一方、この変形例2では、各円弧溝(25,26)の曲率中心が、上記実施形態や変形例1よりもシリンダ(23,24)の内側寄りに位置している。具体的に、各円弧溝(25,26)の曲率中心は、内シリンダ部(24)の外周面と外シリンダ部(23)の内周面との中間のピッチ円(図6の破線で示す円弧線)よりも内側に位置している。
【0061】
この変形例2においても、ブレード(27)の内側端面と摺接する内側円弧溝(26)の弧の長さを上記実施形態と比較して大きくとることができる。このため、例えば図6(A)の状態のシリンダ(17)が図6(B)の状態に揺動しても、ブレード(27)の内側端面の一部が内側円弧溝(26)から逸脱してしまうことを回避できる。したがって、この変形例2においても、両シリンダ部(23,24)の間にブレード(27)を確実に保持することができ、この圧縮機(1)の信頼性を向上できる。
【0062】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上説明したように、本発明は、径方向に複数のシリンダ室を有し、各シリンダ室をブレードによって高圧室と低圧室とに区画する回転式流体機械について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】実施形態に係る圧縮機の縦断面図である。
【図2】圧縮機の圧縮機構の横断面図である。
【図3】圧縮機の圧縮機構の動作を示す横断面図である。
【図4】ブレードの傾きを誇張した圧縮機構の要部の横断面図である。
【図5】変形例1に係る圧縮機の圧縮機構の横断面図である。
【図6】変形例2に係る圧縮機の圧縮機構の横断面図である。
【図7】従来例に係る圧縮機の圧縮機構の横断面図である。
【符号の説明】
【0065】
1 圧縮機
17 シリンダ
20 圧縮機構
21 ピストン
23 外シリンダ部
24 内シリンダ部
25 外側円弧溝(円弧溝)
26 内側円弧溝(円弧溝)
27 ブレード
30 電動機(駆動機構)
33a 偏心軸
C1 外側シリンダ室
C2 内側シリンダ室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状の外シリンダ部(23)と、該外シリンダ部(23)と同心でかつ該外シリンダ部(23)の内側に配置される内シリンダ部(24)とを有し、外シリンダ部(23)と内シリンダ部(24)との間に環状のシリンダ室(C1,C2)を形成するシリンダ(17)と、
円環の一部を分断したようなC型形状に形成されて上記シリンダ室(C1,C2)に配置され、該シリンダ室(C1,C2)を、その外周面と上記外シリンダ部(23)の内周面との間の外側シリンダ室(C1)と、その内周面と上記内シリンダ部(24)の外周面との間の内側シリンダ室(C2)とに仕切るピストン(21)と、
上記ピストン(21)の分断部分を径方向へ貫通するように伸長して上記外側シリンダ室(C1)及び内側シリンダ室(C2)をそれぞれ高圧室(C1-Hp,C2-Hp)と低圧室(C1-Lp,C2-Lp)とに区画するブレード(27)と、
上記シリンダ(17)をピストン(21)に対して偏心回転させる駆動機構(30)とを備え、
上記外シリンダ部(23)の内周面と内シリンダ部(24)の外周面には、互いに曲率中心が一致する円弧溝(25,26)がそれぞれ形成されており、
上記ブレード(27)は、
その伸長方向の両端面がそれぞれ円弧面に形成され、一方の端面が外シリンダ部(23)の円弧溝(25)の壁面と摺接し、他方の端面が内シリンダ部(24)の円弧溝(26)の壁面と摺接する一方、
その両側面が上記ピストン(21)の周方向の両端面と摺接し、該ピストン(21)に進退自在に支持されていることを特徴とする回転式流体機械。
【請求項2】
請求項1において、
上記内シリンダ部(24)が円環状に形成され、
上記駆動機構(30)は、上記内シリンダ部(24)の内部に嵌合してシリンダ(17)を偏心回転させる偏心軸(33a)を備えていることを特徴とする回転式流体機械。
【請求項3】
請求項1において、
上記両円弧溝(25,26)の曲率中心は、外シリンダ部(23)の内周面と内シリンダ部(24)の外周面との中間に位置していることを特徴とする回転式流体機械。
【請求項4】
請求項1において、
上記両円弧溝(25,26)の曲率中心は、外シリンダ部(23)の内周面と内シリンダ部(24)の外周面との中間位置から内シリンダ部(24)側へ偏倚していることを特徴とする回転式流体機械。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1において、
上記内シリンダ部(24)の円弧溝(26)の曲率半径R1が上記外シリンダ部(23)の円弧溝(25)の曲率半径R2よりも大きいことを特徴とする回転式流体機械。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−336583(P2006−336583A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−164391(P2005−164391)
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】