説明

回転式耐熱ランスを通じてガスおよび/またはガスと粉末を液体金属に注入する装置

本発明による装置は、自身の軸回りに回転する耐熱ランスを用いてガスおよび/またはガスと粉末を液体金属に注入する機能を有するため、生じる圧力およびくず量が少なく、これにより粉末のより良好な分布と消費粉末の削減をもたらし、結果として処理金属のコストを軽減する。装置は、回転接合部(6)、減速機付きモータ装置(5)および高圧ホース(8)を備えた耐熱ランス(7)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冶金技術において、液体金属を収容する容器内にガスおよび/またはガスと粉末を注入するために用いる耐熱ランスの回転動に関する。
【背景技術】
【0002】
金属の二次精錬の際には、製品の最終的な品質をより高めるために、冶金技術上の取扱いが重要である。精錬工程での効率を高めるための研究は、最終的な金属の品質を特段に向上させる新規の工程および機器の革新につながる結果となった。このため、今日では、これらの工程の一つとして、耐熱ランスを用いたガスおよび/またはガスと粉末の注入、および、脱ガス処理がある。液体金属を収容した容器内に上記材料を注入すると化学反応が起こり、不純物の低減が促される。この耐熱ランスは上下方向のみに移動させられるようになっており、その目的は容器の最も深い位置で粉末を注入しおよびこれを混合させることであるが、高圧でくず量が多いという不都合があり、このため容器底部で劣化が生じ、液体金属が流出し、および注入粉末の混合物が不均一になる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明はこれらの問題を解決すべく、前記耐熱ランスを自身の軸回りに回転させるようにすることで、浴の表面での攪拌を減らしつつ粉末の分散状態を向上させ、液体金属の溢れおよび容器底部での劣化を無くす。これは、生じる圧力およびくず量が微小となるからである。
【0004】
本発明は、以下の詳細な説明と添付の図面を参照することにより一層理解が深まるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
回転吹込法では、回転運動、水平および上下動させるために電気エネルギーを機械エネルギーに変換する。
【0006】
本発明による装置は、一組の減速機付きモータ装置(2)で、複数の歯車(3)と連係した鎖を動かすことにより作動する、均等な直線運動で荷物を上げ下げできる、昇降機を備えた複数のポルチコ(portico)(1)から構成されている。
【0007】
水平梁(4)はポルチコ(1)の2本の柱に結合している。ポルチコは、電気エネルギーを機械の回転運動に変換できる別の減速機付きモータ装置(5)に連結している。減速機付きモータ装置(5)は周波数インバータによって制御されており、ポルチコ装置(1)の下降動作によって液体金属の中へ浸されるランス(7)の回転を調整する。
【0008】
本装置は、粉末および/またはガス注入ホース(8)を連結することができる回転接合部(6)を有し、ホース(8)がランス(7)と共に回転することを防いでいる。
【0009】
粉末は、回転接合部(6)の上部に連結しているホース(8)から回転接合部(6)を通ってランス(7)に接近する。添付の図面によれば、このランス(7)は、粉末を容器(11)底部に注入するために、その先端に2つの孔を有する耐熱体である。
【0010】
本装置は、ポルチコ(1)を水平に動かすことのできる、さらに別の減速機付きモータ装置(9)を2つ有する。これらのポルチコは上部床に設けたレール(10)上を走行し、前記モータ装置を容器(11)上の中心位置へ移動し、また、ピットに対して安全な位置に戻ることを可能にする。
【0011】
本装置は、まず、転開橋を用いて容器(11)をピットの底面上に配置することから始める。
【0012】
次に、減速機付きモータ装置(9)を作動させて、本装置を容器(11)の中心位置に達するまでレール(10)上を走らせ、容器上の位置で停止させる。
【0013】
その後、第2の減速機付きモータ装置(2)を作動させると、ポルチコ(1)は装置を降ろし始める。
【0014】
そして、第3の減速機付きモータ装置(5)を作動させてランス(7)をゆっくりと回転させる。ランス(7)の先端が容器(11)の溶融金属表面(scoria line)に達し、その層を突き抜け始めると、装置はランス(7)の回転を徐々に早めなから粉末およびガスの注入を開始し、容器(11)の底から100mmの位置に達するまで下降し続ける。本発明によれば、結果として、ランス(7)の回転により反応効率は向上すると共に不動域が無くなり反時計回りの渦を発生する。
【0015】
ランス(7)の先端が容器(11)の底から100mmの位置に来ると、ポルチコ(1)は、ランス(7)の先端が液体の表面に達するまで装置を上昇させる。ランス(7)の孔が液体から出ると、直ちに、混合物の注入およびランス(7)の回転が自動的に中断する。
【0016】
ポルチコ(1)は、装置が最高点に達するまでこれを上昇させ続け、ついに、ランス(7)は容器(11)から完全に取り出される。
【0017】
その後、減速機付きモータ装置(9)を再び作動させ、これによりポルチコ(1)の車輪を動かして装置を開始位置に戻す。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】装置正面およびピット断面を示す図である。
【図2】装置側面およびピット断面を示す図である。
【符号の説明】
【0019】
5 減速機付きモータ装置
6 回転接合部
7 耐熱ランス
8 高圧ホース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体金属を収容した容器内にガスおよび/またはガスと粉末を注入するために
回転接合部(6)と、
モータ減速機(5)と、
高圧ホース(8)と、
自身の軸回りに回転できる耐熱ランス(7)と
を備えた回転式耐熱ランスを通じてガスおよび/またはガスと粉末を液体金属に注入する装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−510883(P2008−510883A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−528531(P2007−528531)
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【国際出願番号】PCT/BR2005/000175
【国際公開番号】WO2006/021066
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(507059679)
【氏名又は名称原語表記】DE CASTRO,Marcio Moraes
【住所又は居所原語表記】Rua Margarida,280,Ipatinga−MG,CEP 35162−280,Brazil
【Fターム(参考)】