説明

回転毛細管を用いて粒子を生成する装置、システム及び方法

液体から粒子を形成する装置であって、少なくとも1つの毛細管を画定するような寸法及び形状である少なくとも1つの表面を有するローター組立体を備える装置。各毛細管は、ローター組立体の回転軸線に隣接する内側領域と、前記回転軸線から遠位にある外側領域と、該外側領域に隣接する縁とを有する。前記ローター組立体は、前記液体が前記少なくとも1つの毛細管の前記内側領域に受け入れられると、該液体が前記内側領域から前記外側領域へ移動し、該液体が前記少なくとも1つの表面に沿って膜として流れて前記毛細管に連続的には広がらないように前記少なくとも1つの表面上で該液体が不飽和状態をとり、かつ、該液体が前記縁に達すると前記少なくとも1つの表面から分離して少なくとも1つの粒子を形成するように選択される角速度で回転するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において開示される実施の形態は、粒子の生成に関し、特に、回転器具を用いて液体から粒子を生成する装置及び方法に関する。
【0002】
[関連出願]
本願は、「Apparatus, Systems and Methods for Producing Particles Using Rotating Capillaries」と題する、2009年3月16日に出願された国際出願PCT/CA2009/000324号(該出願の全内容はすべての目的で参照により本明細書に援用される)の一部継続出願であり、本願はまた、「Apparatus, Systems and Methods for Producing Particles Using Rotating Capillaries」と題する、2009年8月20日に出願された米国仮特許出願第61/235,662号(該出願の全内容はすべての目的で参照により本明細書に援用される)の利益を主張し、本願はまた、「Apparatus, Systems and Methods for Producing Particles Using Rotating Capillaries」と題する、2009年8月20日に出願された米国仮特許出願第61/235,670号(該出願の全内容はすべての目的で参照により本明細書に援用される)の利益を主張する。
【背景技術】
【0003】
粒子(例えば液滴又は繊維)を形成する種々の回転装置が既知である。例えば、ローターを用いてノズル又は配列されたオリフィスを回して該オリフィスを通して液体を押し出し、繊維又は他の粒子を形成することができる。しかし、そのような粒子の寸法は一般的に、これらの粒子が押し出されるときに通るオリフィスの寸法に比例する。そのようなオリフィスをどれほど小さく作製することができるかに関する実際的な限界が存在するため、これらの技法を用いて形成される粒子はかなり大きい傾向がある。
【0004】
別の既知の技法は、平坦であるか又は湾曲している回転盤を用い、回転盤の上に液体のたまりを加える方法である。この回転盤は、液体のたまりを縁に向けて外方に広げ、最終的に液体が小さい粒子として回転盤から分離する。しかし、液体のたまりは、(特に回転盤が高い角速度で回転している場合に)激しいトルク、非濡れ反応及び周囲空気との相互作用を受ける傾向があり、これによって、液体が予測不可能な方法で反応し、そのような機器の流体給送速度を大幅に制限する傾向がある。
【0005】
これらの問題に対して提案されている1つの解決策は、回転盤の上方で、液体が放出される該機器の中心に直接隣接する領域において、固定せん断板部材を用いることである。しかし、この解決策は液体の不安定性を完全には解決せず、液体が固定せん断板部材を超えて出た後の空気せん断の問題を解消することができない。さらに、固定せん断板部材は、液体中に(特に極めて高速で動作している場合に)一般的に望ましくない激しい抗力を引き起こす。
【0006】
多数の小さいオリフィスを有する回転ローターの場合、流体がこれらのオリフィスに入る間に流体の動きを制御することが、一般的に、流体が小さいオリフィス自体を通って安定して遷移するというそれらの能力を著しく制限することはあり得ないことが分かる。しかし、これらの機械加工されたオリフィスの寸法及び数は、繊維の寸法及び流体の押出量に対する大きな制限である。したがって、小さい粒子又は繊維を得るにはこれらのオリフィスから出る流体流を非常に高度に小さく細くすることが必要とされる。
【0007】
代替的に、回転盤の縁における流体の分裂による「合成オリフィス」の形成は、小さい粒子(液滴、帯状体又は繊維)の生成にとって魅力的である。しかし、そのような回転盤の縁に向けて移動中の、外気に晒される流体の安定性は非常に不安定であり、最初の流体たまりが激しく回転する傾向があり、流体が回転盤の縁に移動するにつれて広範囲の流体の不安定性が作り出される。この結果、通常は実用的寸法の回転盤上でわずか数ミリリットル/分である実用的な流体給送速度に対して極度の限界が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、回転器具を用いて粒子を生成する改良された装置及び方法が当該技術分野において必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書において記載される実施の形態は概して、回転盤を伴う、本発明者が行った以前の研究に関する。例えば、(1984年11月20日に本発明者によって出願された)米国特許第4,604,109号は、汚染された流体から多くの量の揮発性汚染物質を分離する装置を記載している。この装置は、少なくとも部分的に排気される内部空間を有する真空室と、その縁が集合手段から隔置された状態で真空室内に配設される少なくとも1個の回転板と、汚染された流体を回転板の表面上に導入する手段とを備え、それによって汚染された流体の小滴が回転板の縁から遠心力によって分散される。回転板の縁と集合手段との間の距離は、小滴が回転板の縁と集合手段との間を移動する間に揮発性汚染物質の多くの量が汚染された流体から分離するのに充分な小滴存続時間を生じる。
【0010】
さらに、(1985年12月30日に本発明者によって出願された)米国特許第4,643,852号は、液体中で気泡を生成する装置を記載している。この装置は、液体で濡らすことができ、少なくとも21.34メートル/秒の縁速度で液体中で回転することができる、円盤又は輪体の形状の少なくとも1つの回転可能な部材を備える。回転可能な部材の上側表面は、固定板部材に対して平行でありかつ離間しており、せん断区域を形成する。気体などの流体は、回転可能な円形部材の上側表面近くに供給されて気泡を形成する。円盤又は輪体の半径とその回転速度との最適化された関係が、装置の動作の効率を高めると開示されている。
【0011】
本発明者は今回、回転器具上又は回転器具内へ放出される流体の最初のたまりを制御すると共に収容する装置、並びに流体が安定した膜流へ遷移する間に流体を保護すると共に収容し、かつ膜流の利用可能な表面及び回転ローターの縁における流体の小さいたまりの形成を大幅に増大させるシステムを提供することが望ましいと判断した。表面積及び縁の外周が増大すれば、潜在的な粒子生成能力もそれに従って増大する。回転ローターの縁が一次元の線に変わる場合、結果として生じる「合成オリフィス」の部位が、非常に小さい可能性がある縁の半径に一致するように崩壊する。回転縁における「合成オリフィス」すなわち個々の吐出点の数は、流体及びローター板の物理特性によって規定され、実際のオリフィスの従来の機械加工を用いて実際的である数を上回る数に達することができる。
【0012】
本発明の一実施の形態によれば、液体から粒子を形成する装置であって、少なくとも1つの毛細管を画定するような寸法及び形状である少なくとも1つの表面を有するローター組立体であって、各毛細管は、該ローター組立体の回転軸線に隣接する内側領域と、前記回転軸線から遠位にある外側領域と、該外側領域に隣接する縁とを有する、ローター組立体を備え、前記ローター組立体は、前記液体が前記少なくとも1つの毛細管の前記内側領域に受け入れられると、該液体が前記内側領域から前記外側領域へ移動し、該液体が、前記少なくとも1つの表面に沿って膜として流れて前記毛細管に連続的には広がらないように前記少なくとも1つの表面上で不飽和状態をとり、かつ、前記縁に達すると前記少なくとも1つの表面から分離して少なくとも1つの粒子を形成するように選択される角速度で回転するように構成される、装置が提供される。
【0013】
前記ローター組立体は、間隙距離だけ離間している対向する上側平面及び下側平面を有すると共に間に少なくとも1つの毛細管を画定する2つの板を備えることができる。いくつかの例では、前記間隙距離は約5マイクロメートル〜2000マイクロメートルであることができる。
【0014】
いくつかの実施の形態では、前記縁は鈍縁である。他の実施の形態では、前記縁は、その上に液体が蓄積するのを阻止するように選択される半径を有する鋭利な縁である。いくつかの例では、前記鋭利な縁は30マイクロメートル未満の半径を有することができる。
【0015】
前記ローター組立体は、少なくとも2対の対向する平面を有する(上側板、下側板及び少なくとも1つの中間板を含む)少なくとも3つの板を備えることができ、各対の対向する平面は間隙距離だけ離間しており、間に毛細管を画定している。前記板のうちの少なくとも1つ(例えば前記中間板(複数可))の前記縁は、各板に2つの効果的な組みの吐出面を提供するように分岐させることができ、それによって前記液体の押出量及び粒子への変換を二倍にする。
【0016】
前記装置は、前記ローター組立体に隣接していると共に該ローター組立体が回転すると該ローター組立体の周りに流れる空気を方向付けるように構成されている覆い体をさらに備えることができ、それにより、前記少なくとも1つの表面からの前記液体の分離及び前記粒子のより小さいか若しくはより薄い構造へ小さく細くすることすなわち延伸を容易にし、かつ/或いは周囲気体との制御された化学反応、及び/又は、温度、若しくは周囲気体によって前記毛細管の前記縁に形成される前記粒子に加えられるせん断等の制御された物理的条件を達成する。
【0017】
いくつかの例では、前記ローター組立体は、前記ローターの直径×回転速度が50000cm・RPMより大きくなるように構成することができる。他の例では、前記ローター組立体は、この数値が700000cm・RPM程度まで高くなるように構成することができる。さらに他の例では、この数値は700000cm・RPMよりも高いものとすることができる。
【0018】
さらに他の例では、前記角速度及び前記板直径は、板の直径×回転速度が約10000cm・RPM〜1400000cm・RPMであるように選択することができる。
【0019】
前記装置は、前記液体を受け入れる給送室をさらに備えることができ、該給送室は、前記回転軸線に隣接していると共に各毛細管の前記内側領域と流体連通している。
【0020】
本発明の別の態様によれば、粒子を形成する方法であって、各毛細管が内側領域、外側領域及び縁を有する少なくとも1つの毛細管を画定するような寸法及び形状である少なくとも1つの表面を設けるステップと、前記少なくとも1つの毛細管の前記内側領域に液体を供給するステップと、前記液体が前記内側領域から前記外側領域へ移動し、前記液体が前記少なくとも1つの表面に沿って膜として流れて前記毛細管に連続的には広がらないように前記少なくとも1つの表面上で不飽和状態をとり、かつ、前記縁に達すると前記少なくとも1つの表面から分離して少なくとも1つの粒子を形成するように選択される角速度で前記毛細管を回転させるステップとを含む、方法が提供される。
【0021】
前記液体を、求心力によって前記毛細管内へ圧送することができる液体のポテンシャル流れの質量流量よりも少ない実際の質量流量で前記内側領域に供給することができる。
【0022】
前記方法は、前記粒子が前記少なくとも1つの表面から分離した後で前記粒子を小さく細くさせるステップをさらに含むことができる。液滴の場合、そのような小さく細くすることは、より小さい液滴まで蒸発させること又は乾燥粒子を残すことを伴うことができる。帯状体及び繊維の場合、これは、溶媒を蒸発させること及び/又は周囲気体中で伸張させることを伴うことができる。
【0023】
前記少なくとも1つの毛細管を画定するような寸法及び形状である少なくとも1つの表面を設けるステップは、間に少なくとも1つの毛細管を画定するように間隙距離だけ離間している対向する上側表面及び下側表面を有する2つの板を備えるローター組立体を準備することを含むことができる。
【0024】
前記方法は、前記少なくとも1つの表面からの前記液体の分離を促すように、前記少なくとも1つの毛細管の周りに流れる空気を方向付けるステップをさらに含むことができる。
【0025】
前記液体は、入力質量流量で前記内側領域に供給することができ、該入力質量流量及び角速度は、前記液体が概ね連続的な膜として前記少なくとも1つの縁から分離するように選択することができる。
【0026】
前記毛細管の外縁から放出されたこの連続的な膜は、この縁から出ると、この膜を、流体の特徴並びにその表面試験及びレオロジーに応じて液滴又は繊維からなる小さい粒子にさらに変える力を受けることができる。
【0027】
いくつかの例では、前記少なくとも1つの表面が回転すると該少なくとも1つの表面が周囲空気と相互作用して前記液体を加熱するように、前記角速度を選択することができる。
【0028】
いくつかの実施の形態では、前記液体は、液体ポリマー、溶融ガラス、溶融金属、溶融塩、ミネラル、セラミックス、並びに溶媒(ヘキサン、水、クロロホルム等)のような多種多様な液体キャリア中の懸濁液、溶液及びエマルション等の液体物質、又は前記毛細管を通過する間及び粒子に遷移する間に均質化することができる液体の混合物からなる群から選択される。
【0029】
すなわち、前記液体は、前記毛細管を通過する間及び前記縁から放出されるときに均質化することができる2つの不混和流体から構成することもできる。この均質化は、前記ローター板に作用するせん断力及び粒子形成中に生成される極端な力の結果である。
【0030】
前記液体は溶融ポリマーであることができ、前記方法は、前記液体を形成するように前記ポリマーを溶融するステップをさらに含み、前記溶融ポリマーは、前記少なくとも1つの表面から分離すると冷却によって凝固して固体粒子を形成する。
【0031】
いくつかの例では、前記粒子は繊維又は液滴であることができる。
【0032】
いくつかの実施の形態では、ここで生成された前記液滴と少なくとも1つの気体とを混合するステップをさらに含むことができる。前記液体は水を含むことができ、前記気体は二酸化炭素を含むことができ、前記液滴が周囲の二酸化炭素雰囲気を通過するときの該液滴の混合によって、炭酸水を生成することができる。
【0033】
前記液体は燃料を含むことができ、前記気体は酸素を含むことができ、前記方法は、燃焼室内で混合物に点火するステップをさらに含むことができる。したがって、回転毛細管システムを燃料噴霧器として用いて効率的な燃焼を促すことができる。
【0034】
いくつかの実施の形態では、前記少なくとも1つの気体には汚染物が混入しており、前記気体中での液滴の混合は、前記少なくとも1つの気体から汚染物を除去するように構成される。したがって、前記回転毛細管によって形成される液滴は、湿式洗煙処理によって周囲気体中の汚染物を吸収することができ、いくつかの例では、そのような吸収は、汚染物の化学物質に対して親和性を有する化学物質が前記液滴中に存在することによって高めることができる。
【0035】
いくつかの実施の形態では、吐出された前記液滴は、該液滴を凍結乾燥するように選択された真空に晒して乾燥粉末すなわち乾燥粒子を生成することができ、これは、例えば医薬品及び食品の製造において有用であることができる。
【0036】
いくつかの実施の形態では、前記少なくとも1つの気体は加熱することができるか、又はその潜熱は、スプレー乾燥用途におけるように微小液滴のスプレーが乾燥して残留乾燥粉末を残すように十分であることができる。
【0037】
前記方法は、吐出された前記粒子を真空、熱、冷却、光及び電離放射線のうちの少なくとも1つに晒すステップをさらに含むことができる。いくつかの例では、真空を用いて、例えば潤滑流体及び液圧流体から水及び揮発性汚染物質を除去する場合のように、別様に低い揮発性を有する揮発性汚染物質を除去することができる。
【0038】
いくつかの実施の形態では、前記液体は溶融ポリマーであり、前記方法は、吐出されたポリマー粒子を、活性炭素粒子が混入している気体と混合するステップをさらに含み、粒子及び活性炭素が(例えば真空引きを用いて)製布スクリーンに収集されると炭素重合体複合材を形成する。
【0039】
いくつかの実施の形態では、出てくる前記液体を、高電圧の印加(例えば静電紡糸)によって細くさせることができる。
【0040】
本発明の別の態様によれば、液体から粒子を形成する装置であって、スピンドルに固定されていると共に少なくとも1対の対向する表面を有する少なくとも2つの板を有するローター組立体であって、各対の対向する表面は間隙距離だけ離間していると共に間に少なくとも1つの毛細管を画定しており、各毛細管は、該ローター組立体の回転軸線に隣接する内側領域と、前記回転軸線から遠位にある外側領域と、該外側領域に隣接する縁とを有する、ローター組立体を備え、前記スピンドルは、前記液体が前記少なくとも1つの毛細管の前記内側領域に受け入れられると、該液体が該内側領域から前記外側領域へ移動し、該液体が、前記少なくとも1つの表面に沿って膜として流れて前記毛細管に連続的には広がらないように前記少なくとも1つの表面上で不飽和状態をとり、かつ、前記縁に達すると前記少なくとも1つの表面から分離して少なくとも1つの粒子を形成するように選択される角速度で前記ローター組立体を回転させるように構成される駆動機構に連結されるように構成される、装置が提供される。
【0041】
前記毛細管の幅は、流体の給送及び拡散の不安定性がなくなり、空気せん断もなくなるように十分に小さいものとする。これは、流体給送速度の従来の限界を克服し、その結果、流体の挙動が制御される。
【0042】
加えて、近接して離間した表面を密に設けることによって大幅に増大した液体給送速度が可能となり、場合によっては前記毛細管の前記縁の分岐によって液体吐出面をさらに二倍にすることができる。したがって、前記毛細管の幾何学的形状は、この技術に対する種々の従来の制限を克服し、生産性を大幅に高める。
【0043】
本発明のさらに別の態様によれば、少なくとも2つの不混和液体を乳化する方法であって、各毛細管が内側領域及び外側領域を有する少なくとも1つの毛細管を画定するような寸法及び形状である少なくとも1つの表面を設けるステップと、前記少なくとも1つの毛細管の前記内側領域に前記少なくとも2つの不混和液体を供給するステップと、前記少なくとも2つの不混和液体が前記内側領域から前記外側領域へ移動するときに、該少なくとも2つの不混和液体が一緒に混合されるように十分なせん断力を前記毛細管内で生成するよう選択される角速度で前記毛細管を回転させるステップと、を含む、方法が提供される。
【0044】
本明細書に含まれる図面は、本明細書の方法及び装置の種々の例を説明するためのものであり、教示されるものの範囲を限定することを決して意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態による粒子を生成する装置の断面立面図である。
【図2】給送室を詳細に示す、図1の装置の拡大部分図である。
【図3】鈍縁を有するローター板を示す、図1の装置の拡大部分図である。
【図4】鋭利縁を有するローター板を示す、図1の装置の拡大部分図である。
【図5】分解した状態で示す、図1の装置の斜視図である。
【図6】ローター組立体が7つのローター板を有する、本発明の別の実施形態による装置の断面図である。
【図7】給送室を詳細に示す、図6の装置の拡大部分図である。
【図8】ローター板の縁を詳細に示す、図6の装置の拡大部分図である。
【図9】別の実施形態による粒子を生成する装置の断面図である。
【図10】別の実施形態による生成物を生成するシステムの概略図である。
【図11】一実施形態による密度勾配生成物の概略断面図である。
【図12】生成物から形成される円筒部材の斜視図である。
【図13】別の実施形態による織物製造システムの概略図である。
【図14】一実施形態による分岐ローター板の側面図である。
【図15】別の実施形態による分岐ローター板の側面図である。
【図16】別の実施形態による、間に多孔質媒体を有する2つのローター板の側面図である。
【図17】別の実施形態による、波形の断面形状を有する2つのローター板の側面図である。
【図18】さらに別の実施形態による、加熱素子を有する、粒子を形成する装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1を参照すると、図1には、本発明の一実施形態による粒子を形成する装置10が示されている。
【0047】
本明細書において概して用いられるような「粒子」という用語は、繊維(例えば糸状体、帯状体等)、液滴、及び任意の好適な液体(例えば液体ポリマー、溶融ガラス、溶融金属、純粋な液体、溶液及び懸濁液等)から作製され、凝固することができ、蒸発することができ、かつ/又は液体形態のままであることができる他の同様の形状を含む。
【0048】
概して、装置10は、液体状態の材料を受け取り、次いでこの液体材料を1つ又は複数の回転毛細管に通過させるように構成される。
【0049】
本明細書において概して用いられるような「毛細管」という用語は、2つの隣接する表面間の空間、または、湾曲領域によって接続されている2つの表面を呈するようにそれ自体で閉じている単一の表面内に画定されている空間(例えば毛細管チューブ)を指す。例えば、液体材料は、回転板すなわち回転盤上の2つの対向する表面間の狭い空間、又は1つ又は複数の回転チューブによって境界を定められた空間内を通ることができる。
【0050】
毛細管は概して、回転中に毛細管内の液体材料が直面する空気摩擦及び流体流の不安定性をなくすか又は実質的に低減するような寸法及び形状にされる。さらに、毛細管は、回転すると、液体が毛細管を実質的に充填する飽和状態(不飽和膜流と比較して細孔流としても知られる)とは対照的に、それらの内部の液体材料が不飽和状態(例えば液体が毛細管の幅に連続的に広がるのではなく不連続的である状態)をとるような寸法及び形状にされる。
【0051】
不飽和液体材料が各回転毛細管の外縁に達すると、液体は毛細管の表面から分離するか又は離れ、粒子を形成することができる(かつ/又はキャリア流体から残留粒子を残すことができる)。例えば、液体が溶融ポリマーである場合、溶融ポリマーは表面から分離すると冷却することができ、周囲空気に直面してポリマー繊維又はポリマー粒子を形成する。したがって、回転毛細管から出る流体は、周囲環境へ出ると、化学的又は物理的な変化を受けることができる。加えて、流体によっては、せん断及び膜形成の結果として、毛細管自体を通過するときに変性することができるものであり、これによって例えば不混和流体を乳化させることができる。
【0052】
粒子は、形成されると、例えばろ過、難燃化、生物医学用途、放射線用途、絶縁用途、織物用途(織布及び不織布の両方)、化学的混合等を含む事実上無限数の用途における使用に好適であることができる。
【0053】
装置10は概して、少なくとも1つの毛細管を内部に画定する表面を有するローター組立体12を含む。例えば、図1及び図2に示されるように、一対の上側ローター板16及び下側ローター板18が対向する上側表面16a及び下側表面18aを有する。上側表面16a及び下側表面18aは、間隙距離(全体的に「d」として示される)だけ離間しており、概してそれらの間に毛細管17を画定する。
【0054】
ローター組立体12はまた、ローター板16、18を回転させるスピンドル20を含むことができる。図1及び図2に示されるように、ローター板16、18は、逆ねじすなわち左ねじ、ボルト又は任意の他の好適な連結技法を用いること等によってそれぞれスピンドル20の上側部分20a及び下側部分20bに堅く連結することができる。1つ又は複数のスピンドルナット27も用いてローター板16、18をスピンドル20にさらに固定することができる。
【0055】
使用時に、スピンドル20の連結端20cを、電気モーター、空気駆動式タービン等の駆動機構(図示せず)又は他の好適な駆動機構に連結することができ、そのため、スピンドル20を主回転軸線Aを中心に回転させることで、ローター板16、18を、該板16、18間の液体において概して不飽和状態を引き起こすように選択された角速度で回転させるようにすることができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、上側板16及び下側板18は別々に駆動することができ、同じか又は実質的に同様の角速度で回転することができる。他の実施形態では、上側板16及び下側板18は異なる角速度で回転することができる。
【0057】
ローター組立体12はまた、ローター組立体12の概ね中心に又はその中心付近に(例えば回転軸線Aに隣接して)給送室24を含むことができる。給送室24は、ローター組立体12内の毛細管17に給送するのに用いられる、液体の貯蔵部として働くことができる。図2に示されるように、給送室24は、スピンドル20のおおよそ中心に小さい中空領域として設けることができ、円筒形、球状とすることができるか、又は任意の他の好適な形状を有することができる。
【0058】
図2及び図5に示されるように、スピンドル20の上側部分20aは概して、給送室24にアクセスすることによって給送室24内に液体をもたらすことができるように構成される中空部分22を含む。例えば、中空部分22は、給送チューブ26を受け入れるような寸法及び形状にすることができる。給送チューブ26は、所望の動作状態に従って選択される入力質量流量で材料を液体状態で給送室24に供給することができる。
【0059】
給送チューブ26は、給送室24の上端を少なくとも部分的に閉鎖するように構成されるシール部材28を含むことができる。例えば、シール部材28は、給送室24を密封して給送室24内の液体が給送チューブ26の外側面に沿って逆流することを阻止するように中空部分22の外壁23と摺動可能に係合することができる。図示のように、シール部材28は、液体材料を給送チューブ26から給送室24内へ圧送することを可能にする少なくとも1つの給送穴29を有する。
【0060】
いくつかの実施形態では、給送チューブ24はローター組立体12の回転中に静止したままであることができ、この場合、シール部材28はスピンドル20の中空部分22において壁23と摺動可能に係合することができる。他の実施形態では、給送チューブ26は、ローター組立体12と共に回転するように構成することができ、この場合、給送チューブ26の上端26aを液体供給源(図示せず)に回転可能に連結することができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、例えば図1に示されるように、以下でより詳細に説明するように、ローター組立体12を、覆い組立体14内に収容することができる。
【0062】
具体的には図2〜図4を参照して、ここでローター板16、18をさらに詳細に説明する。上述のように、ローター板16、18はスピンドル20に堅く連結されており、間に毛細管17を画定するように間隙距離「d」だけ離間している対向する表面16a、18bを有する。
【0063】
図示の実施形態では、表面16a、18aは概して、互いに対して平行な平面であり、回転軸線Aが両方の表面16a、18aに対して直角(すなわち垂直)である。他の実施形態では、表面16a、18aは平面ではないもの(例えば凹状又は凸状)とすることができる。さらに他の実施形態では、表面16a、18aは平行ではないものとすることができ、間隙距離「d」は毛細管17内の異なる位置において変わることができる。
【0064】
上側表面16a及び下側表面18a間の間隙距離「d」は任意の特定の寸法に限定されず、毛細管17内に不飽和液体流の形成を促すように選択することができる。例えば、いくつかの実施形態では、間隙距離「d」は通常、約5マイクロメートル〜2000マイクロメートルとすることができる。他の実施形態では、間隙距離「d」は約50マイクロメートル〜1000マイクロメートルとすることができる。
【0065】
図2及び図3に示されるように、毛細管17は概して、回転軸線Aに隣接した内側領域17aと、回転軸線Aから(例えばローター板16、18の表面16a、18aの外側縁19に向けて)概して遠位にある外側領域17bとを有する。
【0066】
毛細管17の内側領域17aは概して給送室24と流体連通していることができる。例えば、1つ又は複数の孔30を給送室24の側壁32に設けることができる。使用時に、ローター組立体12を、給送室24内の液体を側壁32にある孔30へ流して毛細管17の内側領域17aへ入らせるように選択された角速度で回転させることができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、孔30の寸法、形状及び数は、給送室24から毛細管17へ流れる液体の速度に影響を与えるように選択することができる。例えば、給送室24から毛細管17内へ流れる液体の速度を変化させるように、孔30の直径又は寸法を増減させることができ、かつ/又はより多いか若しくは少ない数の孔30を設けることができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、装置10は給送室24を設けていないものとすることができ、液体は(例えば給送チューブ26又は任意の他の好適な技法を用いて)毛細管17の内側領域17a内へ直接給送することができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、液体は、内側領域17aに入ると、内側領域17aを連続的に充填する傾向があり、それによって、その領域において上側表面16a及び下側表面18a間の間隙に広がることができる。これは「飽和」状態(「細孔流」とも呼ばれる)として知られている。
【0070】
液体が毛細管17を通って流れ、内側領域17aから外側領域17bに向けて外方に移動するときに、液体の前縁(例えば、液体の、概して回転軸線Aから最も遠い部分)は、増え続ける求心力を経験する傾向がある。
【0071】
毛細管17内の或る地点で、液体は、「飽和」状態から「不飽和」状態への遷移を経験する可能性があり、この場合、液体は毛細管に連続的には広がらない(例えば、液体は上側表面16a及び下側表面18a間の間隙に広がらない)。液体の特性及び装置10の動作状態に応じて、種々の液体が毛細管17内の様々な位置で「不飽和」状態に達することができる。
【0072】
図3に示されるように、毛細管17内の液体Lは、液体Lが上側表面16a及び下側表面18a間の毛細管17に広がる「飽和」流れ状態(全体的にSで示される)から、液体Lが不連続的であり毛細管17の幅に広がらない「不飽和」流れ状態(全体的にUで示される)へ遷移することができる。例えば、図3に示されるように、「不飽和」状態の液体Lは2つの独立した別個の膜、すなわち上側表面16aを濡らす上側膜F及び下側表面18aを濡らす下側膜Fとして存在する。
【0073】
「飽和」状態Sと「不飽和」状態Uとの間の遷移は概して、安定した膜流が始まるように液体Lが毛細管17の上側表面16a及び下側表面18aを濡らすと生じる。これは通常、求心勾配が、液体Lに作用する力が毛細管17内の飽和流れを保つ毛細管力を超えるようなものである場合に起こり、これは大体、式1におけるように、単位面積あたりの求心力が、表面16a、18aに対する液体Lの濡れ接触角の余弦で乗算して毛細管17の間隙「d」の寸法で除算した液体Lの表面張力よりも大きい場合に生じる。
【数1】

【0074】
式中、CFaは単位面積あたりの求心力であり、γは液体Lの表面張力であり、θcは表面に対する液体の濡れ接触角であり、「d」は間隙寸法又は間隙距離である。式1において与えられる関係は、単一の表面(例えば毛細管チューブ)によって画定される毛細管と、2つの離間した表面(例えば表面16a、18a)によって画定される毛細管とを比較した場合、幾分変更されている場合もある。
【0075】
上述したように、毛細管17内で増加する求心勾配は概して、毛細管17内の液体Lを「飽和」流れ状態Sから「不飽和」流れ状態Uへ遷移させる。この遷移は、毛細管17の幾何学的形状によってさらに促すことができる。
【0076】
例えば、液体Lが内側領域17aから外側領域17bへ移動するにつれ、毛細管17の相対体積は、表面16a、18aの表面積の増大(幾何学的影響によって引き起こされる)に起因して漸進的に大きくなる。したがって、液体Lは、毛細管17の形状に応じてさらに拡散されることができる。
【0077】
回転軸線Aからの距離の増加に伴って毛細管17の体積及び表面積が増加すると、液体は、(外側領域17bにおけるよりも内側領域17aにおいてより速く移動しない限り)飽和状態のままであることがより困難になる(しかし、そのような移動は、内側領域17aにおいて利用可能な求心力が外側領域17bにおいて利用可能な求心力よりもかなり小さいため、一般的に見込みが低い)。
【0078】
例えば、毛細管17が2つの板16、18間に設けられている場合、これは、「飽和」状態Sから、分離された「不飽和」流れUへの遷移をさらに促す傾向がある。したがって、毛細管17の上側表面16a及び下側表面18aに形成されている上側膜F及び下側膜Fは、液体Lがローター16、18の縁19に向けて外方へ移動するにつれて漸進的に薄化される。
【0079】
これらの上側膜F及び下側膜Fは比較的狭い毛細管17の範囲内で生じ、この場合、膜F、Fは、ウインドシア、並びに波、波紋、及び膜F、Fへのスプレーの形成を生じさせかねない他の望ましくない力、又は液体膜F、Fを大気開放で動作している(すなわち毛細管を有しない)回転盤の表面から持ち上げる傾向にあるベルヌーイの力(これらはすべて塊(ショット)、微細繊維(フィブリル)及び他の望ましくない生成物の制御されない形成を引き起こす可能性がある)から保護される傾向がある。
【0080】
概ね上述したように、液体L(例えば上側膜F及び下側膜F)が毛細管17の表面16a、18aの縁19に達すると、液体膜F、Fが縁19に沿う種々の地点で蓄積し、さらなる液体が到達するにつれてより大きく細長くなり、最終的には表面16a、18aから分離して粒子を形成することができる。
【0081】
毛細管の縁における液体膜の安定性は通常、薄膜であれば表面との強い接着力を示し、元のバルク液体の場合のようにウインドシア又は乱流にもはや反応しないため、もはや相当な不安定性には晒されない。
【0082】
液体Lは不飽和状態Uにあるため、毛細管17から出る粒子の寸法は概して間隙距離「d」によっては制御されない。これは、流体がオリフィスを通して押し出され、粒子の寸法がオリフィスの寸法に大きく左右されていた、1つ又は複数の回転オリフィスを用いた従来技術の装置とは対照的である。
【0083】
対照的に、本明細書において開示されている実施形態に従って生成される粒子の寸法は、回転毛細管17の縁において生じる物理特性によって概して制御され、これに従ってはるかに小さい寸法の粒子を生成することができる。すなわち、毛細管の縁に付着する液滴は、表面張力対求心力のバランスに基づいて粒子を放出する、本質的に「合成オリフィス」であるものを画定する。たいていの状況では、この結果、ごく小さい寸法の、機械的手段によって穿孔することができるよりも非常に概してかなり小さい、かつ、実際的に機械加工された場合よりも数が多くて間隔が狭い多数の液滴放出器が形成される。
【0084】
さらに、回転毛細管の使用によって制御された環境で粒子を形成することが可能であり、その場合、風の影響、渦、乱流及び他の外乱が大幅に低減されているか又はなくなってさえもいる環境内で飽和状態から不飽和状態への遷移が生じる。これは、液体が空気せん断及び他の液体の不安定性に暴露される回転盤を用いた従来技術のシステムとは対照的である。
【0085】
形成される粒子のタイプ(例えば液滴又は繊維)は、液体Lの特性(例えば液体材料がニュートン液体であるか又は非ニュートン液体であるか、動作温度における粘度がいくらであるか等)に大きく左右される可能性があるが、他の動作特性、例えばローター組立体12の角速度、表面16a、18aの濡れ特性(コーティング及び他の表面処理によって増大させることができる)、並びに縁19の形状によっても左右される可能性がある。
【0086】
縁19が(図3に示されるように)鈍縁21であるいくつかの実施形態では、液体Lは鈍縁21に、たまり31として蓄積する傾向がある。たまり31は、最初は(概して31aとして示される)半球形状を有しているかもしれないが、さらなる液体が上側膜F及び下側膜Fに漸進的に到達する結果としてより大きく成長する傾向があり、これによってたまり31の相対的な曲率が変化する。
【0087】
詳細には、たまり31は次いで細長くなり始め、(概して31bとして示される)楕円形をとり、最終的には、たまり31中の液体Lの一部が鈍縁21から離れて粒子(例えば液滴又は繊維)を形成し始めるような形状(概して31cとして示される)をとることになる。
【0088】
他の実施形態では、縁19に蓄積する液体Lの付着は、利用可能な表面を減らすか又は最小限に抑えることによって変えることができる。例えば、図4に示されるように、蓄積させるために利用可能な表面は、縁19を鋭利な縁25(すなわちかみそりの縁)として設けることによって減らすことができる。鋭利な縁25は、図3に示されるおおよそ2次元の鈍縁21を効果的に1次元の線に変化させる傾向がある。
【0089】
鈍縁21を用いる場合、液体の表面張力によって該液体が他の力の非存在下でおおよそ半球形状をとる(例えば図3におけるような半球のたまり31s)。しかし、図4に示されるように、鋭利な縁25を用いる場合、形成されることになる「半球」の基部が本質的に1つの次元に限られる。これによって、鋭利な縁25における液体の付着安定性が崩れ、したがって、求心力が、鈍縁21を用いる場合に別様に生成されるよりもはるかに小さい粒子33(例えば液滴又は繊維)として液体を排出する傾向がある。
【0090】
いくつかの実施形態では、鋭利な縁25から出る粒子33は非常に小さいものとすることができ(例えば約数ナノメートル)、これに従って、粒子33の目標寸法を達成するために必要な任意のさらに小さく細くする量を大幅に低減することができるか又は場合によってはなくすことさえできる。しかし、これが生じるためには、流体の給送速度を、生成される粒子のより小さい寸法に比例して低減する必要があることが理解されるべきである。
【0091】
数十ナノメートルの半径を有する鋭利な縁25は、既知の鋭利化及びホーニング技法を用いて可能とすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、鋭利な縁25はそれぞれ100ナノメートル未満の半径を有することができる。いくつかの実施形態では、鋭利な縁25はそれぞれ約10ナノメートル未満の半径を有することができる。概して、鋭利な縁25の半径は、非常に微細な粒子を形成するようにできる限り小さく作製することができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、鋭利な縁25の使用は、粒子の寸法の好適な制御を維持しながらローター組立体12に給送することができる液体の量に影響を与えることができる。概して、毛細管17の内側領域17aへの液体の入力質量流量すなわち給送速度は、吐出される粒子の寸法に直接比例して概ね低減されるはずであり、それによって、鋭利な縁25の使用はすべての用途にとって好適ではない場合がある(例えば大量の粒子が所望である場合)。
【0093】
特に、いくつかの実施形態では、最初により速い生成速度でより大きい粒子(例えばより大きい繊維又は液滴)を生成し、続いて高温空気せん断、粘弾性引張、静電方法(例えば静電紡糸)及び/又は他の好適な小さく細くする技法を用いてこれらの粒子を小さく細くさせることがより有利である場合がある。
【0094】
当該技術分野では、液体を引き込んで高圧電場の影響によって細くさせることができ、この電場が十分であれば、液体は印加された大きな静電場によって2つの表面間に引き込まれることが一般的に知られている。液体は通常、繊維を製造するのに用いられる場合、ポリマーを含有する溶液であり、キャリア液体は多くの場合、繊維が交互の表面に引き込まれる際に蒸発するように作られる。これは(多くの場合にミクロン寸法又はナノメートル寸法の)固体のポリマー繊維を残し、静電紡糸として一般的に既知である。
【0095】
回転ローターが電気的に絶縁されて高圧に晒され、繊維が一定距離にある接地スクリーンに収集されることができる場合、繊維は、静電場の印加によってより小さい直径にまでさらに細くすることができる。
【0096】
静電の場合では、当業者によって理解されるように、回転毛細管を用いて、回転毛細管と隣接する表面との間の高電位差の影響下で「テイラー」表面を形成する小さい液体の液滴を生成することができる。
【0097】
毛細管17内で不飽和液体状態の形成を促すのに用いることができる別の技法は、装置10を「供給不足」状態で動作させることである。「供給不足」状態では、求心力によって毛細管17内へ圧送することができる(また最終的には表面16a、18aの縁19から分離して粒子を形成する)液体のポテンシャル流れの質量流量は、毛細管17の内側領域17aに供給される液体の実際の質量流量(例えば給送チューブ26を介して圧送される液体の実際の質量流量)よりも大きい。
【0098】
「供給不足」状態で動作する場合、毛細管17内の液体における「飽和」状態の形成が、少なくとも部分的に又はさらには完全になくなる傾向にあり、毛細管17の液体は迅速に又はさらに直ちに「不飽和」状態となる。例えば、液体は、給送室24から毛細管17の内側領域17a内へ流れるとすぐに不飽和状態となることができる。
【0099】
いくつかの実施形態では、各ローター板16、18は、(図5に示されるように)直径Dを有する概ね平坦な円盤として提供することができる。ローター組立体12の回転中に存在する求心力は、ローター板16、18の主構造に沿って作用する傾向にあり、このことは、さもなければ存在しかねず、かつ回転盤の損傷及び/又は激しい撓みを引き起こす可能性がある激しい曲げモーメントをなくすか又は低減する。
【0100】
いくつかの実施形態では、各円盤の直径Dは、縁19が(図3及び図4に示されるように)概ね垂直方向に位置合わせされるように同じである(又は実質的に同様である)。他の実施形態では、上側板16の直径Dは、下側板18の直径Dとは異なるものとすることができる。
【0101】
いくつかの実施形態では、特に上昇した角速度で動作するように設計されているローター組立体12の場合、ローター板16、18は、ローター板16、18の重量及び/又は体積をローター組立体12の回転軸線Aから離れるように最小限に抑えるか又は低減するように構成することができる。例えば、上側板16及び下側板18は、(概して図1に示されるように)外方へテーパー状になる断面形状をそれぞれ有することができる。
【0102】
内部に少なくとも1つの回転毛細管17を有するローター組立体12の使用は、装置10に供給される液体の入力質量流量すなわち給送速度に課される実際的な限界のいくつかを低減する傾向にある。さらに、液体を毛細管17に供給することができる速度に関連する制限がある可能性があるが、これらの制限は、給送室24にある孔30の寸法及び/又は数を増やす等、適切な変更を行うことによって軽減することができる。
【0103】
液体がローター板16、18の縁19に近づくにつれて液体が遷移して毛細管17内で不飽和膜に分離するため、液体は(1つの表面ではなく)2つの表面16a、18a上に分散されて、最終的には(1つの縁ではなく)2つの縁19から分離される。これによって、粒子の生成に利用可能である利用可能な表面が二倍になり、1つの回転表面を有する従来の回転盤と比較して押出量が増大する。
【0104】
さらに、押出量を増大させるために、複数の回転毛細管を1つの装置内に配列として一緒に設けることができる。例えば、本発明の別の実施形態による装置60が図6に示されている。装置60は概して、(図7及び図8に最も良く示されるような)7つのローター板の積み重ね(積層体)を含むローター組立体62を備える。ローター組立体62は、覆い組立体64内に設けられて示されている。
【0105】
ローター板の積層体は、上側ローター板66と、下側ローター板68と、5つの中間ローター板69(第1の中間ローター板69a、第2の中間ローター板69b、第3の中間ローター板69c、第4の中間ローター板69d、及び第5の中間ローター板69e)とを含む。
【0106】
上側ローター板66及び下側ローター板68は、上述した上側板16及び下側板18と概ね同様とすることができる。図示のように、例えば上側ローター板66及び下側ローター板68は、(鋭利な縁25と同様の)鋭利な縁75を有し、各ローター板66、68は外方へテーパー状になる断面形状を有することができる。
【0107】
しかし、図6〜図8に示されるように、中間ローター板69はそれぞれ異なる構造を有することができる。例えば、中間ローター板69は、スピンドル70に堅く連結される平坦な板部材又は円盤(テーパーなし)として設けることができる。
【0108】
さらに、いくつかの実施形態では、中間ローター板69には、上側縁77a及び下側縁77bをそれぞれ有する分岐縁77を設けることができ、上側縁77a及び下側縁77bは、2つの別個の粒子流れを各板69の上側縁77a及び下側縁77bそれぞれから出すことを可能にする。各縁77a、77bは、概ね上述したように粒子を放出するように機能することができる。いくつかの例では、分岐縁77は、(図8に示されるように)V字形、U字形とすることができるか、又は任意の他の好適な形態を有することができる。
【0109】
このように各中間ローター板69上に2つの吐出面(例えば縁77a、77b)を設けることは、1つの面を用いる1つの平坦な円盤又はさらに円盤の積層体と比較して、粒子生成の可能性を二倍にする傾向があり、そのような板の積層体は粒子生成を極めて増加させる。
【0110】
いくつかの実施形態では、分岐縁77は、液体のたまりがその上に形成されることを阻止するように鋭利な縁25と同様に鋭利にすることができる。
【0111】
他の実施形態では、ローター板66、68、69の縁は異なる寸法及び形状の粒子を形成するように種々の形態を有することができる。例えば、いくつかの中間ローター板69には鈍縁21を設けることができるのに対し、他のローター板69は鋭利な縁25又は分岐縁77を有することができる。このように、様々な寸法及び形状を有する粒子を、ローター組立体62を用いて同時に形成することを可能にすることができる。
【0112】
図示のように、ローター板66、68、69は、上側ローター板66と第1の中間ローター板69aとの間に第1の毛細管67a、第1の中間ローター板69aと第2の中間ローター板69bとの間に第2の毛細管67b、第2の中間ローター板69bと第3の中間ローター板69cとの間に第3の毛細管67c、第3の中間ローター板69cと第4の中間ローター板69dとの間に第4の毛細管67d、第4の中間ローター板69dと第5の中間ローター板69eとの間に第5の毛細管67e、及び最後に第5の中間ローター板69eと底部ローター板68との間に第6の毛細管67fを含む、複数の毛細管67を画定する。
【0113】
各毛細管69a、69b、69c、69d、69e及び69fは、対応する間隙距離d、d、d、d、d及びdを有する。いくつかの実施形態では、間隙距離d、d、d、d、d及びdはそれぞれ同じか又は概ね同様とすることができる。他の実施形態では、間隙距離d、d、d、d、d及びdは変えることができる。例えば、第1の間隙距離dは第2の間隙距離dよりも大きい、といった具合に選択することができる。
【0114】
図7に示されるように、積層されたローター板66、68及び69を用いる装置60には、変更された(例えばより大きな)給送室74を設けることができ、これは、使用時に給送室74から毛細管67へ十分な液体流れを供給するように(上述した給送室24にある孔30の数と比較して)より多くの数の孔80を含むことができる。
【0115】
1つのローター組立体62においてローター板66、68、69の積層体を用いることによって、液体の大幅に増大した給送速度をかなり速い速度で粒子に変換することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ローター板の積層体を用いる装置は、1つの液体分散面を有する1つの回転盤と比較して1000倍ものより速い生産速度を有することができ、ミクロン寸法又はナノメートル寸法の粒子を生成しながら1キログラム/分の液体流量を容易に取り扱うことが可能である。
【0116】
いくつかの実施形態では、前記ローター組立体は、前記ローターの直径×回転速度が50000cm・RPMより大きくなるように構成することができる。他の例では、前記ローター組立体は、この数値が700000cm・RPMにまでなることができるように構成することができる。さらに他の例では、この数値は700000cm・RPMよりも高くすることができる。
【0117】
さらに他の例では、前記角速度及び前記板直径は、板の直径×回転速度が約10000cm・RPM〜1400000cm・RPMであるように選択することができる。
【0118】
本明細書において記載される実施形態のいくつかは概して幾何学的に平坦な回転構造(例えばローター板)を用い、この場合、結果として生じる求心力は板の本体と位置合わせされる傾向にある。したがって、本明細書において記載されるローター組立体は概して、ローター板の先端又は縁の速度が超音速である(例えば音速を超える)ことができる速度を含む極めて速い速度で回転するように構成することができる。
【0119】
いくつかの実施形態では、回転毛細管の表面から、ローター板の先端又は縁から出る空気の高速噴流への粒子(例えば帯状体、繊維又は液滴)の排出は、帯状体又は繊維を小さく細くさせて細長くより幅狭の繊維にすることにつながることができる。
【0120】
代替的には、空気を周囲のカウリング内へ注入して帯状体、繊維又は液滴に対しておおよそ同軸の方向へ出すことができる。例えば、流れる空気の経路は概して図1においてAとして示される。同軸空気のこの覆い体が加熱されると、繊維は、細くすることが可能な状態のままであるように十分に高温のままでさらに伸張して細長くすることができる。
【0121】
代替的には、極めて高い液体給送速度で、連続的な膜を毛細管の表面から吐出することができ、この膜を、1つ又は複数の空気噴流、及び/又は(超音速状況で動作しているときには)ローター板の先端又は縁において形成される衝撃波と相互作用させることによって、並びに/又は毛細管の外側領域において及び毛細管の外側の空気中で生じる空気せん断により誘発される振動によって、変換(すなわち微細繊維化)することができる。
【0122】
動作のこの連続的なすなわち「破裂膜」モードは、直径及び長さの多分散範囲であるが概ねミクロン又は大き目のナノファイバー寸法内である直径及び長さを有する粒子又は繊維の形成につながる傾向にある。この動作モードによって提供される1つの主要な利点は、非常に大量の製品粒子を生成することができることである。
【0123】
いくつかの実施形態では、回転毛細管器具を用いる場合のエネルギー消費量は、開放空気中で動作する対応する回転盤の場合よりも低い傾向がある。特に、毛細管ローター組立体又は単純な円盤の回転中に、スピニング構造の上側表面及び下側表面に対する抗力動作から摩擦損失が生じる。本明細書において記載されるような回転ローター組立体の場合、少なくとも2つの表面が粒子を放出するが、ローター組立体に対する抗力は、1つしか有用な表面を有さずしたがって利用可能な生成能力が半分である単純な回転盤に対する抗力と概ね同じか又は同様である。さらに、ローター組立体内にローター板の積層体を設けることによって、放出する表面の数を、ローター組立体が経験する抗力の増加は最小限に抑えたままで大幅に増加させることができる。
【0124】
いくつかの実施形態では、ローター組立体は非常に高い角速度で回転させることができるため、空気とローター組立体との相互作用によって空気の強力な噴流を作り出すことができる。これらの空気の噴流は、表面から吐出される粒子を小さく細くすること(すなわち、液体キャリアの蒸発又は繊維の細長化)に有用な手段であることができる。いくつかの実施形態では、追加の高温空気の噴流は、粒子を小さく細くする所望レベルを得るためにはもはや必要ではないもとのすることができる。
【0125】
他の実施形態では、これらの空気の噴流を用いて、関連するエネルギー消費量を減衰させるか、なくすか又は大幅に減らすために空気を圧縮する必要性を軽減することができる。
【0126】
いくつかの実施形態では、ローター組立体12は、ローター組立体12を囲む空気流を制御するのに有用であることができる覆い組立体14内で動作することができる。例えば、この空気流を用いて、液滴の乾燥、液滴及び/又は繊維の冷却、敏感な材料の製造中に制御された雰囲気と粒子を相互作用させること、並びに他の利点のために、表面16a、18bから分離する粒子を小さく細くすることを制御することができる。
【0127】
覆い組立体14は概して、ローター組立体12の上方に上側覆い体13と、ローター組立体12の下方に(覆い組立体14を地面に固定するために用いることができる)下側覆い体15とを含む。
【0128】
いくつかの実施形態では、覆い組立体14は、粒子が表面の縁及び周囲雰囲気から分離するときに粒子間の相互作用の制御を助けるように構成することができる。また、覆い体13、15は、使用中にローター組立体12を保護し、かつ/又は装置10の操作者をローター組立体12及び/若しくはローター組立体12から出る粒子と接触することによって生じる可能性がある負傷から保護するように働くことができる。
【0129】
覆い体13、15は、それらの外周縁を、(図1に示されるように)高さTを有する開口だけ離間させることができる。高さTは、ローター組立体12によって生成される粒子を収集することができるよう、覆い体13、15の外側の空間に該粒子を吐出することを可能にするように選択される。
【0130】
いくつかの実施形態では、覆い組立体14は、粒子を小さく細くさせる(例えば粒子をより幅狭にする傾向がありながら粒子を伸張し細長にする)ために、ローター組立体12を高温に維持すると共に表面16a、18aの縁19から(概ね高温での)空気の高速噴流への粒子の放出又は分離を促進するように、ローター組立体12を加熱環境に保つのに有用であることができる。
【0131】
結果として生じる粒子は、次いで、覆い組立体14から(例えば上側覆い体13と下側覆い体15との間の開口を通って)、覆い組立体14の外側の低温低速空気流中へ出ることができる。ここで、粒子は、(例えば該粒子を平坦な不織シート若しくは粗糸として収集するために真空引きすることによって、又は粒子を運ぶ空気を収集のために遠心分離機若しくは濾過フィルターに通すことによって)収集することができる。
【0132】
いくつかの実施形態では、覆い組立体14の形状は、覆い組立体14への低温空気の進入の制御を助けるように、かつ/又は粒子が表面16a、18aから分離するときに該粒子の周りの高温空気又は温風の概ね編成された流れを保つように選択することができる。
【0133】
いくつかの実施形態では、上側覆い体13及び下側覆い体15の断面は、(例えば図1に示されるように)概ね収束するノズルの形状とすることができる。使用時に、空気を(例えば図1及び図5に示されるように上側覆い体13及び下側覆い体15にある1つ又は複数の開口13aを通して)覆い組立体14内に引き込むことができ、次いで、上側覆い体13と下側覆い体15との間の開口を通して加速させることができる。
【0134】
他の実施形態では、上側覆い体13及び下側覆い体15の断面は、伸縮するラバルノズルの形状とすることができる。例えば、ラバルノズル型の構成の使用は、覆い組立体14内で超音速空気速度で動作する場合に望ましいであろう。
【0135】
そのようなノズル型の設計は、回転毛細管チューブの外側領域を囲むように構成することができるか、又は回転ローター板16、18を有するローター組立体12を囲むようになっていることができる。ローター組立体12の周りに加熱された空気、冷却空気、制御された雰囲気、又は別様に制御された流体媒体を提供することはこれらの条件下で可能とすることができる。
【0136】
粒子の形成において概ね有用である高い角速度を達成するには、装置10は、ローター組立体12の回転中に生成される相当な力に対処するように概ね堅固でなければならず、かつ回転時にローター組立体12に作用する抗力を克服するために必要なトルクを供給するように構成されなければならない。
【0137】
装置10と共に用いられる任意の駆動システムも、毛細管17の内側領域17a(ここでは液体は最少の運動エネルギーを有する)から毛細管17の外側領域17b(ここでは液体は非常に高い速度まで加速されている)へ液体を「圧送する」ために必要なトルクを提供しなくてはならない。
【0138】
いくつかの実施形態では、市販の有用な駆動装置は、約30000回転毎分(RPM)〜100000RPMのローター組立体速度を達成するのに十分なレベルの馬力を供給しなくてはならない。例えば、いくつかの実施形態では、約3馬力〜5馬力を生成することができる駆動モーターが好適であることができる。他の実施形態では、最高10馬力まで生成することができる駆動モーターが好適であることができる。さらに他の実施形態では、より大きい駆動システムを用いて、高速大量生産機械(例えばローター組立体がローターの積層体を含む場合)に関連する大量の液体体積に対処するために必要なさらに高いトルク値を提供することができる。
【0139】
1つの好適な駆動システムは、車又はトラックのターボ圧縮機のタービンであることができる。別の好適な駆動システムは、(例えばGussman, R.A.,「A Further Development of the May Spinning Top Aerosol Generator」、 Am. Ind. Hyg. Assoc. J. 42: 208 (1981) 及び他の関連の文献において概説されているような)May型回転盤に基づく市販により入手可能な空気タービンと同様であるものとすることができるが、所望のトルクレベルを提供するためにより大きい寸法にスケールアップすることができる。他の好適な駆動システムは、高周波電気モーター及び/又は非同期電気モーターを含むことができる。
【0140】
これらの駆動システムはそれぞれ、特定の装置に必要とされる目標速度及びトルクに応じて利点及び不都合点を有する場合がある。例えば、自動車のターボ圧縮機は概して、最も安価なシステムであり、非常に高い回転速度で相当なトルクを供給することが可能である。これらのターボ圧縮機は大量生産されているため、多くの機械が必要とされる可能性がある大規模生産に好適な経済的な駆動システムである。
【0141】
いくつかの実施形態では、好適に構成された覆い組立体14内にあるローター組立体12を用いて、ローター組立体12の回転速度が、ローター組立体12と周囲空気との間の抗力に起因してローター組立体12を自己加熱させるのに十分である状況を達成することが可能である。
【0142】
例えば、ローター組立体12に隣接して移動する空気を摩擦によって加熱することができ、これにより、ローター組立体12の温度、並びに給送室12及び/又は毛細管17内の液体の温度を上昇させることができる。いくつかの実施形態では、動作速度及び他の条件に応じて、ローター組立体12の温度及び液体の温度を摂氏150度以上も上昇させることを可能にすることができる。
【0143】
そのような条件下で好適に構成された覆い組立体14内で動作するローター組立体12は、「完全に平衡した機械(fully balanced machine)」(FBM)と呼ぶことができる。FBMでは、所望の粒子生成を達成するために追加の圧縮機、ヒーター又は送風機を設ける必要はないものとすることができる。特に、FBMでは、ローター組立体12に給送される液体材料(例えば加熱ポリマー、溶融ガラス等)は概して、ローター組立体12の自己加熱の結果として所望の動作温度及び溶融状態を保つ。FBMは概して、ローター組立体12が十分な寸法であり非常に高速で回転する場合に可能である。
【0144】
このFBMモードで動作するには、生成される大きい求心力に耐えるためにローター組立体12の構造的完全性は非常に高いものでなければならない。多くの場合、FBMにおける縁19の先端速度は音速に近づくか又はさらには音速を超える可能性がある。
【0145】
例えば、ローター組立体12には、それぞれ直径Dが15cmであり約90000回転毎分で回転するローター板16、18を設けることができる。これに従って、ローター板16、18の縁19における速度は音速よりも速い約700m/秒となる。
【0146】
いくつかの実施形態では、好適な液体としては、ポリオレフィン等の溶融紡糸可能な繊維形成ポリマー、例えばポリエチレンポリマー、ポリプロピレンポリマー及びコポリマー、ポリエステル、液晶ポリマー、ポリアミド(例えばナイロン)、ポリアラミド、ポリカーボネート、アクリル等を挙げることができる。他の実施形態では、溶融ガラス、溶融金属、純粋な液体、エマルション、懸濁液、溶液及び概して任意の他の好適な材料を液体として供給して粒子を形成することができる。
【0147】
いくつかの実施形態では、ローター板16、18の縁19は、回転中に外方に(概ね互いから離れるように)撓み、したがって回転中に、静止時の間隙距離「d」よりも大きい距離だけ分離する場合がある。そのような実施形態では、ローター板16、18のこの撓みは、粒子の軌道を外方へかつ互いから離れるように付勢する傾向にあることができるため有益であるものとすることができる。
【0148】
(例えば装置60におけるような)ローター板の積層体がある場合、中間板69は通常はテーパー状になっていないため、概して上側ローター板66及び底部ローター板68のみがこの撓みを経験する。
【0149】
いくつかの実施形態では、粒子は、毛細管から分離した後で、気体又は他の材料と次の混合に付されることができる。例えば、毛細管から分離する液体の液滴は少なくとも1つの気体と混合されることができる。一例では、水の液滴を、二酸化炭素と混合することによって炭酸水を生成することができる。別の例では、液体燃料(例えばガソリン)を酸素と混合することができ、続いて燃焼室においてこの混合物に点火することができる。
【0150】
いくつかの実施形態では、気体には汚染物が混入している可能性があり、混合を用いてそこから汚染物を除去することができる。
【0151】
他の実施形態では、吐出された液体の液滴を、該液滴を凍結乾燥させるように構成される真空に晒すことができる。これは例えば、食品(例えばコーヒー、牛乳)及び/又は医薬品を乾燥させるために有用であることができる。真空を用いて液滴から揮発性成分を除去し、低揮発性材料を残すこともできる。一例は、潤滑油及び作動油からの遊離している溶解水の除去である。
【0152】
いくつかの実施形態では、加熱された気体と液滴を混合して液滴を噴霧乾燥させることができる。
【0153】
いくつかの実施形態では、吐出された粒子を、真空、加熱ステップ、冷却ステップ、及び/又は電離放射線暴露のうちの1つ又は複数に付すことができる。そのような暴露を用いて、化学反応を開始若しくは停止させるか、又は1つの液滴成分を別の液滴成分から精製又は分離することを実行することができる。
【0154】
いくつかの実施形態では、液体は溶融ポリマーであることができ、ポリマーは、活性炭素粒子が混入している気体と混合して炭素ポリマー複合材を形成することができる。いくつかの例では、炭素は、ゼオライト、吸収剤、ケイ酸塩、アルミナ、ミネラル、セラミックス、ガラス、ビーズ、若しくは回転ローターから出る粒子を運ぶ空気中に混入することができる任意の他の微粒子媒体等の他の粒子と混合するか又は置換することができる。
【0155】
さらに他の実施形態では、本明細書において記載される装置及び方法は、乳化剤を用いて又は用いることなく少なくとも2つの不混和液体を乳化又は均質化するのに有用であることができる。例えば、2つ以上の不混和液体を1つ又は複数の回転毛細管の内側領域内に供給することができる。毛細管を十分に高い角速度で回転させることによって、2つ以上の不混和液体が外側領域へ外方に移動するにつれて、これらを極めて高いせん断力に晒すことができる。
【0156】
これらの極めて高いせん断力によって不混和液体を共に混合することができる(また、非常に速い速度で他の化学物質の混合及び/若しくは化学反応又は重合を概して促すことができる)。このように、本明細書において記載される装置及び方法は、牛乳及び乳製品用の、又は微細分散物及びエマルションを生成するためのホモジナイザーとして有用であることができる。
【0157】
いくつかの実施形態では、本明細書において記載される装置及び方法は、特に反応物質が混和性ではなく所望の相互作用を促すために2つの流体間で大きい表面積が必要である場合に、2つ以上の材料の混合を概して促すために、かつ/又は2つ以上の材料間の化学反応を概して促進させるために用いることができる。代替的には、そのようなプロセスを用いて液−液抽出プロセスを促すことができ、この場合、1つの液体中の構成成分を第2の液体に移すが、そのように移すことは、2つの液体を均質に混合することを要する。
【0158】
本明細書において記載される種々の例及び実施形態は概して、従来技術のシステムと比較して大幅に増大した流体押出量を提供する。例えば、従来技術のシステムによっては、幅狭の開口を有するニードルの配列を用い、その中を通して粒子を押し出し、粒子を生成する。通常、そのようなシステムにおける液体は、完成した生成物を得るために除去されなければならない相当な溶媒を含んでいる。例えば、約20000本のニードルを用いて20リットル/時の液体を処理するシステムは、約1.2リットル/時〜2リットル/時(すなわち約1kg/時)の粒子しか生成することができない。
【0159】
しかし、本明細書に記載のように装置を稼動すると、はるかに大きい流量が概して可能である。例えば、装置60と同様の装置を、10枚のローター板の積層体を用いて動作させることができる。鋭利な縁を有するローター板を用いてそのような装置を動作させる場合、1分あたり20グラム〜50グラムのナノ寸法粒子を生成することを可能にすることができる。さらに、鈍縁を有するそのような装置を動作させる場合、1分あたり約200グラムのナノ寸法粒子及びミクロン寸法粒子を生成することが可能である。最後に、そのような装置を「破裂膜」モードで動作させる場合、1分あたりおよそ1kgのミクロン粒子を生成することが可能である。
【0160】
したがって、本明細書に概して記載されるような装置は、従来技術のシステムと比較してより速い速度で粒子を生成することができる。
【0161】
概して、回転ローターの縁から吐出される粒子は、周囲の室の壁に向けて移動しながらストークスの法則に従う傾向にある。したがって、吐出された粒子は、減速し、それらの相対的な寸法に応じてローターの縁から或る半径距離のところで静止する傾向にある。例えば、より大きい粒子はローターの縁から遠くへ移動する傾向にあるが、より小さい粒子は(多くの場合、より大きい粒子よりも最初により速く移動するが)ローターの縁のより近くで静止する傾向にある。
【0162】
ローターを囲む壁への距離は、ローターから出た粒子が長い接触時間を提供するように周囲気体中で浮遊するよう、選択することができる。したがって、作製される粒子がより小さくなるほど、ローターを囲む室の直径をより小さくすることができる。
【0163】
さらに、様々な寸法の粒子を吐出することによって、吐出された粒子で室を実質的に充填することが可能である。
【0164】
いくつかの実施形態では、液体は誘電特性を有することができ、例えば1つ又は複数の誘電材料を含むことができる。そのような場合、誘電液体は分極特性を有することができる(例えば、液体の分子は分極性であることができるが、帯電しないようにする必要はなく、したがって液体は巨視的レベルでは導電性ではなくてもよい)。したがって、そのような誘電液体は、毛細管表面から分離して粒子を形成するときに、非均一な電場に暴露することができる。例えば、好適な液体はポリスチレンマイクロビーズ又は他の好適なポリマーを含むことができる。
【0165】
概して、このプロセスは「誘電泳動スピニング」と称することができる。誘電泳動スピニングは、粒子をさらに小さく細くさせてさらに小さい粒子を形成することを可能にする、より積極的なスピニングを提供する傾向にある。例えば、他の実施形態のいくつかを用いると直径がおよそ1マイクロメートルの粒子を生成することが可能であるが、誘電泳動スピニングを用いることによって、同等の装置を用いて、場合によっては連続的にさらにより小さい粒子を生成することを可能にすることができる(例えばおよそ50ナノメートルの粒子を生成することができる)。
【0166】
いくつかの実施形態では、誘電泳動スピニングは、同等の又はさらにより小さい粒子寸法を依然として提供しながら、本明細書において記載されるようなローター組立体をより遅い速度で回転させることができる。
【0167】
いくつかの実施形態では、液体は、第1の所望の構成要素(例えばポリスチレン等の所望のポリマー)、及び該所望の構成要素と相溶性がある好適な溶媒(例えばヘキサン、水、クロロホルム等)を含む混合物であることができる。
【0168】
いくつかの実施形態では、誘電泳動スピニングにおいて用いられるローター板又は円盤(例えばローター板16、18)の1つ又は複数は金属で作製することができる。いくつかの実施形態では、ローター板の1つ又は複数は誘電材料で作製することができる。
【0169】
ここで図9を参照すると、図9には、別の実施形態による粒子を形成する装置110が示されている。
【0170】
この実施形態では、装置110は、少なくとも1つの毛細管を内部に画定する表面を有するローター組立体112(例えば一対の上側ローター板116及び下側ローター板118)を含む。ローター組立体112は概して、上側ハウジング115及び下側ハウジング117を含むことができる密封されたタンク113内に設けられる。概して、ハウジング115、117は、フランジ部材115a、117aを含むことができるため、(例えばボルト又は他の好適な締結具を用いて)一緒に密封されることができる。
【0171】
タンク113は、密封されている場合、気密室120を概して画定する。真空ポンプ(図示せず)に連結されているバルブ119を用いることによって室120内の空気又は他の気体を室120から排気して、気圧を低下させ、室120内に少なくとも部分的な真空を作り出すことができる。
【0172】
したがって、ローター組立体112は、少なくとも部分的な真空中で動作しながら本明細書において概して記載されるように粒子を形成するのに用いることができる。これは、粒子がローター板116、118の表面から分離するときに直面する空気抵抗を低減するか又は大幅になくす傾向にあり、このことによって、粒子が空気又は他の気体との接触によって遅くなる傾向がなくなるため、粒子をさらに小さく細くすることを可能にすることができる。このことはまた、粒子からの対流熱損失を低減するか又はなくすことができるため、粒子の温度をより高いままに留めることを可能にする。その結果、このことによって粒子の寸法をより小さくすることができる。
【0173】
いくつかの実施形態では、室120内の気圧は約100kPa〜3kPaの範囲内にあるものとすることができる。いくつかの実施形態では、室120内の気圧は約3kPa〜100mPaの範囲内にあるものとすることができる。いくつかの実施形態では、室120内の気圧は100mPa未満とすることができる。
【0174】
いくつかの実施形態では、室120内の気圧は、粒子が経験する空気抵抗及び熱損失の量を最小限に抑えるようにできるだけ下げることができる。
【0175】
他の実施形態では、室120内の気圧は、大気圧よりも高くなるように上昇させることができる。これによって、いくつかの実施形態では望ましい場合がある小さく細くすることの低下及び伝熱の増大をもたらすことができる。
【0176】
いくつかの実施形態では、図9に示されるように、1つ又は複数のヒーター123をローター板116、118の縁125付近に設けることができる。ヒーター123を用いて、粒子がローター板116、118の表面から分離するときに粒子の温度を上昇させる(又は粒子が冷却するのを少なくとも阻止するか若しくはそれらの冷却速度を遅くする)ことができる。これによって、粒子をさらに小さく細くすることを可能にし、より小さい粒子寸法をもたらすことができる。
【0177】
いくつかの実施形態では、ヒーター123は、ローター組立体の動作温度又は動作温度付近の温度、液体又は粒子の温度で動作することができる。他の実施形態では、ヒーター123は、ローター組立体の動作温度よりも低いか又は高い温度、液体又は粒子の温度で動作することができる。
【0178】
種々の実施形態では、ヒーター123を用いて、粒子の温度を維持するか、粒子の温度を上昇させるか、又は少なくとも粒子の冷却速度を遅くすることができる。
【0179】
いくつかの実施形態では、(例えば室120内の気圧が低下する場合)ローター組立体112が少なくとも部分的な真空中で動作する装置100と共にヒーター123を用いることができる。
【0180】
他の実施形態では、ヒーター123は、上記で概説したような装置10、又は室120内に真空を有さずに動作する場合には装置100のような、部分的な真空中で動作しない装置と組み合わせて用いることができる。
【0181】
いくつかの実施形態では、ヒーター123は、ローター組立体112を囲む環形状すなわち輪形状を有することができる。例えば、ローター板116、118が約152.4ミリメートルの直径を有する場合、ヒーター123は、内径が約152.4ミリメートルであり外径が約304.8ミリメートルである輪形状にすることができる。
【0182】
ここで図10を参照すると、図10には、粒子が取り込まれた生成物を製造する別の実施形態によるシステム200が示されている。システム200は、液体から粒子を形成する、特定のパターン又は配列で配置することができる少なくとも1つの装置を備える。
【0183】
例えば、図示のように、システム200は、第1の装置202、第2の装置204及び第3の装置206を備える。各装置202、204、206は、上述した種々の装置(例えば装置10)と同様であるか又は同じものとすることができる。
【0184】
システム200はまた、装置202、204及び206からの粒子を収集する収集機器201を備える。図示のように、収集機器201は、コンベヤー211を駆動する複数のローラー209を含むことができる。いくつかの実施形態では、コンベヤー211は概して(概して216として示される)第1の方向へ移動可能であることができる。他の実施形態では、コンベヤー211は複数の方向へ(例えば前後に)移動可能であることができる。
【0185】
概して、システム200は、種々の装置202、204及び206からの粒子を用いて生成物208を生成することを可能にするように構成される。
【0186】
例えば、第1の装置202を用いてコンベヤー211の第1の領域210において第1の粒子(概して203として示される)を堆積することができ、第2の装置204を用いてコンベヤー211の第2の領域212において第2の粒子(概して205として示される)を堆積することができ、また第3の装置206を用いてコンベヤー211の第3の領域214において第3の粒子(概して207として示される)を堆積することができる。
【0187】
場合によっては、空気を用いて粒子203、205、207のコンベヤー211上への移動を助けることができる。
【0188】
コンベヤー211が生成物208を第1の方向216へ移動させるにつれ、さらなる粒子が種々の装置202、204、206から加えられるため生成物208の厚さは増す傾向にある。したがって、結果として生じる生成物208は、種々の装置202、204、206からの粒子203、205、207の滑らかな混合物又はブレンドを有する傾向にある。
【0189】
いくつかの実施形態では、第1の粒子203、第2の粒子205及び第3の粒子207は、種々の寸法若しくは種々の材料の粒子、又はその両方である粒子とすることができる。このように、結果として得られる生成物208は、異なる寸法若しくは異なる材料の粒子、又はその両方である粒子を取り込むように製造することができる。
【0190】
例えば、第1の粒子203は非常に小さい粒子(例えば直径が2マイクロメートル未満)とすることができ、第2の粒子205は幾分より大きい(例えば直径が2マイクロメートル〜5マイクロメートル)ものとすることができ、第3の粒子はさらにより大きい(例えば直径が5マイクロメートル〜15マイクロメートル)ものとすることができる。したがって、図11に示されるように、結果として生じる生成物208は、第1の側208aのより小さい粒子203から中間208b付近の中間の粒子205、最終的には他方の側208cのより大きい粒子207にわたる滑らかな粒子密度勾配を有する傾向にある。
【0191】
しかし、形成されてから一緒にされる異なる寸法の粒子の別個の層を含めることができる従来の製造物とは対照的に、生成物208は連続的な部材として形成される。したがって、図11に示されるように、異なる寸法の粒子203、205、207は、生成物208の厚さにわたって「ブレンド」又は「混合」される傾向にある。これによって、良好な構造的安定性をもたらすことができ(例えば、従来の製造物における問題である可能性がある層間剥離を阻止することができる)、種々の用途において改善された性能を提供することもできる。
【0192】
例えば、密度勾配生成物208は、空気フィルターとして、音バリアとして、化学物質及び微粒子の遮断のために、吸収材料として、断熱材料として等、非常に有用であることができる。
【0193】
特に、図11に示されるような勾配密度生成物208は、その厚さにわたって空中粒子を捕捉することにおいて良好に機能することができる。流入する空気は、(より小さい粒子203を有する)第1の側208aで取り込むことができ、次いで生成物208を通って反対の側208c(より大きい粒子207がより行き渡っている)まで移動するにつれて遅くさせることができる。生成物208中の粒子203、205、207は滑らかな勾配(例えば異なる寸法の粒子が互いに交互に配置されているか又は重なっている状態)で均一にブレンドされる傾向にあるため、これは、空気中の汚染物質が汚染物質の寸法に基づいて(例えばより大きい粒子がより早く捕捉されるのに対し、より小さい粒子は生成物208内へより深く侵入する)、生成物208全体にわたって均一に分散することを確実にすることを助け、したがって生成物208が「ホットスポット」で詰まることを抑制する傾向にあり、汚れ保持容量を高める。
【0194】
上述したように、粒子203、205、207は異なる材料であるものとすることができる。いくつかの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ブタジエン及び他の好適な粒子を挙げることができる。粒子寸法に関して上述したように、生成物は、種々の異なる用途において用いることができる異なる材料の同様のブレンドを含むことができる。
【0195】
いくつかの実施形態では、生成物208中の粒子203、205、207は機械的に結合させることができる(また、異なる寸法及び材料を用いて所望の構造特性を提供することができる)。他の実施形態では、1つ又は複数の支持部材又はバインダーによって生成物208の構造的支持をさらに高めることができる。
【0196】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の領域210、212、214において生成物に種々の添加剤218を加えることができる。例えば、粉末結合添加剤を加えて、粒子が共に結合するのを促し、構造特性を改善することができる。いくつかの実施形態では、バインダーは熱により活性化することができ、結果として生じる生成物208を熱処理プロセスに暴露してバインダーを硬化させることができる。
【0197】
いくつかの実施形態では、添加剤は、活性炭素又はゼオライト等の化合物を含むことができる。
【0198】
いくつかの実施形態では、結果として生じる生成物208は、50重量%よりも多くのバインダー又は他の添加剤を含有することができる。例えば、結果として生じる生成物208は70%〜97%の活性炭素又はゼオライトを含むことができる。そのような実施形態は、微粒子及び化学物質の遮断及びろ過のために特に有用であることができる。
【0199】
他の添加剤としては、吸収剤、磨き粉、又は乾燥成分及び湿潤成分を含む他の活性成分を挙げることができる。
【0200】
生成物208は、特に自動車用途において用いる音減衰処理に特に適していることもできる。例えば、本明細書において記載される実施形態に従って形成される音減衰器は、他の音減衰処理製品、例えば音響発泡体、エアレイドセルライト又は特に低周波における粗悪な繊維と比較して改善された音響減衰品質を提供することができる。
【0201】
さらに、生成物208は、或る特定の用途(例えば自動車)において用いる場合、ドアパネル、インテリア仕上げ材、トリム等において有用であることができる所望の幾何学的形状を達成するように(例えば圧縮成形によって)形作るか又は成形することができる。
【0202】
本明細書において記載される実施形態はまた、特に断熱に好適であることができる。例えば、ポリマーによって作製された生成物208は低温断熱(例えば住宅用途又は商業用途)に好適であることができ、一方でセラミック粒子を用いて作製された生成物208は高温用途(例えば工業用途)において用いるのに適していることができる。
【0203】
ここで図12を参照すると、いくつかの実施形態では、生成物208を巻いて円筒部材220を形成することができる。円筒部材220は、ろ過等の特定の用途に有用である所望の形状を有することができる。
【0204】
いくつかの実施形態では、円筒部材220は、該部材220の形状を変更するように圧縮することができる中心部領域221を有することができる(例えば、円筒部材220の一部を、マンドレルを用いて概して方向222に該部材220の長手方向軸に沿って圧縮することができる)。これによって、部材220内に所望の密度勾配(例えばより密な中心部領域221、あまり密ではない外側領域)をもたらすことができる。
【0205】
いくつかの実施形態では、円筒部材220は、バインダー等の1つ又は複数の添加剤を含むことができる。例えば、円筒部材220は熱により活性化されるバインダーを含むことができ、マンドレルは、圧密化中に部材220を加熱してバインダーを活性化することができる。
【0206】
いくつかの実施形態では、材料シート227(例えばバインダー又は他の材料)を生成物208と共にロール巻きにして部材220を形成することができる。例えば、材料シート227は、部材220の隣接する層223、225間に挟み込むことができる。
【0207】
本明細書において記載されるようないくつかの実施形態によると、結果として生じる粒子に良好な強度、剛性及び柔らかさを依然としてもたらしながら、より低品質のポリマーを液体として用いることができる。例えば、いくつかの実施形態では、約500のメルトフローインデックスを有するポリマーを用いて約30のメルトフローインデックスを有するポリマーと同等の特性を得ることが可能である。
【0208】
ここで図13を参照すると、図13には、別の実施形態による織物製造システム300が示されている。
【0209】
図示のように、システム300は、(装置10のような上述した装置と概ね同様であることができる)複数の装置302、304、306を含む。
【0210】
各装置302、304、306は、連続的な材料繊維(例えば繊維303、305、307)を生成するように構成される。例えば、各装置302、304、306は液体ポリマーを供給され、ポリマー材料の連続的な繊維を生成するように動作することができる。これらの繊維は、各装置302、304、306の周りに蓄積し、装置303、304、306の周りに「投げ縄」すなわち輪体を形成する傾向にある。次いで、これらの繊維を、織物紡績機310のような加工機器に給送するために「フックで留める」すなわち捕捉することができる。次いで、織物紡績機310は、糸312のような織物製品を出力することができる。
【0211】
したがって、システム300を用いて、未加工の、すなわち液体のポリマーを糸312に直接変えることができる。特に、単一プロセスの一部として任意の所望の引張、加温及び伸張を概して行うことができる。
【0212】
さらに、繊維303、305、307は装置302、304、306の動作特徴に応じて様々な寸法を有することができ、(例えば用いられるポリマーに応じて)様々な材料で作製することができるため、結果として生じる糸312は種々の材料のブレンドとすることができ、また、様々な構造特性を有することができる。例えば、いくつかのブレンドはスパンデックス、ポリ乳酸(PLA)、レーヨン等を含むことができる。
【0213】
例えば、いくつかの実施形態では、繊維303、305、307は非常に薄いもの(例えばおよそ1マイクロメートル)とすることができ、多くの繊維303、305、307を共に組み合わせて、(個々の繊維が多くの場合に直径がおよそ5マイクロメートル〜7マイクロメートルである従来の糸の紡績と比較して)非常に強く耐久性のある糸312を形成することができる。
【0214】
いくつかの実施形態では、糸312は、紡績機310を離れた後でロールに巻き付くことができる。いくつかの実施形態では、これは、追加の捻りを加えることなく直線的な巻回として行うことができる。
【0215】
ここで図14を参照すると、いくつかの実施形態では、分岐ローター板369(上述したような中間ローター板69と同様であるものとすることができる)を、2つの別々の板部材を共に接合することによって形成することができる。例えば、図示のように、第1の縁371aを有する第1のすなわち上側板部材371を、第2の縁373を有する第2のすなわち下側板部材373に接合して分岐ローター板369を形成することができる。図示のように、ローター板369の縁371a、373aは、縁の距離374だけ離間している。
【0216】
いくつかの実施形態では、板部材371、373は、(例えばかみそりの刃を作製するのに用いられるような)400系のステンレス鋼等の金属、又は、板の縁371a、373aを非常に鋭利にすることができるように選択された他の好適な材料で作製することができる。
【0217】
概して、板部材371、373は、種々の好適な技法、例えば溶接又は高強度接着剤を用いることによって共に接合することができる。
【0218】
図15に示されるように、いくつかの実施形態では、中間板部材377を板部材371、373間に設けることができる。中間板部材377は、板部材371、373を共に固定することを助けることができ、さらに、使用中の望ましくない撓みを阻止するように板部材371、373にさらなる剛性を与えることを助けることができる。
【0219】
特に装置が低流量及び高速で動作するいくつかの実施形態では、「スピッティング」と呼ばれる状態が生じる可能性があり、この場合、液体はバルクから毛細管表面に沿う膜流へ滑らかに遷移せず、むしろ、一般的に望ましくないより大きな小球又は房状体で間欠的に排出される傾向にある。
【0220】
スピッティングの問題に対処するため、及びバルク液体から膜流への液体の遷移を促進するために、2つの技法が開発されている。例えば、図16に示されるように、1つの装置410では、多孔質媒体416が2つのローター板412、414間に設けられている。
【0221】
多孔質媒体416は、流入する液体418が多孔質媒体416を通過するときに、該流入する液体418の流れを妨げる傾向にあり、液体が対向する表面420、422上に膜を形成することを促進するように流量を平滑にする。
【0222】
図示のように、いくつかの実施形態では、多孔質媒体416はローター板412、414間の間隙全体に広がることができる。他の実施形態では、ローター板412、414間の間隙の一部のみがそれらの間に多孔質媒体416を有することができる。
【0223】
いくつかの実施形態では、多孔質媒体416は環状形状を有することができ、液体を受け取る内側領域17aのすべて又は少なくとも一部を囲むことができる。他の実施形態では、多孔質媒体416は、内側領域17aの周りに間欠的に離間していることができるか、又は種々の他の構成を有することができる。
【0224】
いくつかの実施形態では、多孔質媒体416は、少なくとも焼結金属で作製される部分を含むことができる。他の実施形態では、多孔質媒体416は、セラミックス、ポリマー、発泡体、又は表面410、422上への膜流の形成を促進する傾向にある他の好適に選択される材料を含むことができる。
【0225】
別の実施形態では、図17に示されるように、装置450において、ローター板452、454の少なくとも一部は、流入する液体450が表面462、464と接触することを促進するように液体460の経路を妨害するような寸法及び形状にされる。
【0226】
例えば、図示のように、上側及び下側のローター板452はそれぞれ、波形の断面形状を有する。波形の断面形状は、液体460が縁452a、454aに向けて外方に移動するときに該液体の経路を妨害する傾向にあり、液体460が板452、454の表面462、464と接触してその上で膜流れ状態をとることを促進する垂直速度成分を与える。
【0227】
いくつかの実施形態では、波形の断面形状は、波長456及び高さ458を有する周期的なものとすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、波長456は0.1mm〜10mmとすることができ、高さ258は0.01mm〜1.0mmとすることができる。いくつかの実施形態では、高さ458は約0.5mmとすることができる。
【0228】
他の実施形態では、ローター板452、454の波形の断面形状は、周期的でなくてもよい(例えば波形の断面形状は不規則とすることができる)。
【0229】
ここで図18を参照すると、いくつかの実施形態では、粒子を形成する装置を、送風機、カウリング、及び装置を複雑にしてコストを高くする可能性のある他の構成要素の要件をなくすか又は低減するように構成することができる。例えば、図示のように、装置500は、概して上述のように回転するように構成される2つのローター板502、504を含む(しかし、2つよりも多くのローター板を設けることもできる)。
【0230】
装置500はまた、1つ又は複数の加熱素子、例えば上側加熱素子506及び下側加熱素子508を含む。図示のように、加熱素子506、508は、上側ローター板502及び下側ローター板504にそれぞれ隣接して定位置に固定される概ね平坦な部材である。
【0231】
ローター板502、504は、回転すると、装置500内へ空気を引き込むように加熱素子506、508と協働する。例えば、空気は、上側低温空気流510及び下側低温空気流512として装置内へ引き込むことができる。空気流510、512は、加熱素子506、508とローター板502、504との間に引き込まれ、加熱素子506、508によって加熱されてから高温空気流514、516として排出される。
【0232】
加熱素子506、508及び高温空気流514、516は、ローター板502、504を所望の温度まで加熱するのを助けることができる(これは、装置500において用いられる液体が溶融可能ポリマーである場合に特に望ましい)。十分な量の空気を装置500内へ引き込むことができる場合、所望の動作温度に到達させるためにローター板502、504をさらに加熱することは必要ではないものとすることができる。
【0233】
さらに、いくつかの実施形態では、高温空気流514、516は、装置500から排出される粒子を小さく細くすることに役立つことができる。
【0234】
いくつかの実施形態では、加熱素子506、508は、加熱間隙518だけローター板502、504から離間している。いくつかの実施形態では、加熱間隙518は0.1mm〜1.0cmである。
【0235】
上記の説明は1つ又は複数の方法及び/又は装置の例を提供するが、当業者によって解釈されるように他の方法及び/又は装置が本明細書の範囲内にあるものとすることができることが理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体から粒子を形成する装置であって、
a.少なくとも1つの毛細管を画定するような寸法及び形状である少なくとも1つの表面を有するローター組立体であって、各毛細管は、該ローター組立体の回転軸線に隣接する内側領域と、前記回転軸線から遠位にある外側領域と、該外側領域に隣接する縁とを有する、ローター組立体を備え、
b.前記ローター組立体は、前記液体が前記少なくとも1つの毛細管の前記内側領域に受け入れられると、該液体が前記内側領域から前記外側領域へ移動し、該液体が前記少なくとも1つの表面に沿って膜として流れて前記毛細管に連続的には広がらないように前記少なくとも1つの表面上で該液体が不飽和状態をとり、かつ、該液体が前記縁に達すると前記少なくとも1つの表面から分離して少なくとも1つの粒子を形成するように選択される角速度で回転するように構成される、装置。
【請求項2】
前記ローター組立体は、間隙距離だけ離間している対向する上側平面及び下側平面を有すると共に、それらの間に少なくとも1つの毛細管を画定する2つの板を備える請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記間隙距離は、約5マイクロメートル〜2000マイクロメートルである請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記縁は、鈍縁である請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記縁は、その上に液体が蓄積するのを阻止するように選択される半径を有する鋭利な縁である請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記鋭利な縁は、30マイクロメートル未満の半径を有する請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記ローター組立体は、少なくとも2対の対向する平面を有する少なくとも3つの板を備え、各対の対向する平面は、間隙距離だけ離間しておりそれらの間に毛細管を画定する請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記板の少なくとも1つは、2つの別個の粒子流が該板の上側縁及び下側縁から出ることを可能にする分岐縁を有する請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも3つの板は、上側板、下側板及び少なくとも1つの中間板を含む請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記上側板及び前記下側板は、テーパー状の断面形状を有する請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記ローター組立体に隣接していると共に、該ローター組立体が回転すると該ローター組立体の周りに流れる気体を方向付けるように構成される覆い体をさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記覆い体は、前記ローター組立体の回転中に、加熱された気体を同軸方向に前記粒子に衝突させるようにさらに構成されている請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記ローター組立体は、前記板の直径×回転速度が約50000cm・RPMより大きいように構成されている請求項2に記載の装置。
【請求項14】
前記ローター組立体は、前記板の直径×回転速度が約700000cm・RPMより小さいように構成されている請求項2に記載の装置。
【請求項15】
前記ローター組立体は、前記板の直径×回転速度が約10000cm・RPM〜1400000cm・RPMであるように構成されている請求項2に記載の装置。
【請求項16】
前記ローター組立体は、前記板の直径×回転速度が約1400000cm・RPMより小さいように構成されている請求項2に記載の装置。
【請求項17】
前記ローター組立体は、前記板の直径×回転速度が約10000cm・RPMより大きいように構成されている請求項2に記載の装置。
【請求項18】
前記ローター組立体は、回転中に、抗力の結果としてかなりの摩擦を生成することによって該ローター組立体が加熱されるよう、周囲気体と相互作用するように構成されている請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記ローター組立体は、所定の角速度で回転するように構成されると共に、概ね連続的な膜を吐出するように或る流量で液体を受け取るように構成され、前記連続的な膜は粒子にさらに分解することができる請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記膜は、多様に分散する範囲の寸法を有する粒子に分解する請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記装置は、前記液体を受け入れる給送室をさらに備え、該給送室は、前記回転軸線に隣接していると共に各毛細管の前記内側領域と流体連通している請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記連続的な膜を微細繊維化又は霧化して粒子にするように該膜と相互作用する気体の高速噴流を供給するようにさらに構成されている請求項20に記載の装置。
【請求項23】
前記ローター組立体は、密封された室内に設けられ、少なくとも部分的な真空が該室内に引き込まれる請求項1に記載の装置。
【請求項24】
前記少なくとも1つの粒子を加熱するような寸法及び形状である少なくとも1つのヒーターをさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項25】
前記少なくとも1つのヒーターは、前記ローター組立体の前記縁に隣接して設けられている請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記少なくとも1つの粒子を加熱するような寸法及び形状である少なくとも1つのヒーターをさらに備える請求項23に記載の装置。
【請求項27】
粒子を形成する方法であって、
a.内側領域、外側領域及び縁を有する少なくとも1つの毛細管を画定するような寸法及び形状である少なくとも1つの表面を設けるステップと、
b.前記少なくとも1つの毛細管の前記内側領域に液体を供給するステップと、
c.前記液体が前記内側領域から前記外側領域へ移動し、該液体が前記少なくとも1つの表面に沿って膜として流れて前記毛細管に連続的には広がらないように前記少なくとも1つの表面上で該液体が不飽和状態をとり、かつ、該液体が前記縁に達すると前記少なくとも1つの表面から分離して少なくとも1つの粒子を形成するように選択される角速度で前記毛細管を回転させるステップと、
を含む、方法。
【請求項28】
前記液体を、入力質量流量で前記内側領域に供給し、該入力質量流量及び角速度は、前記液体が概ね連続的な膜として前記少なくとも1つの表面から分離するように選択される請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記毛細管の外側及び周囲空間内で前記連続的な膜を変形させて粒子を形成することをさらに含む請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記連続的な膜を変形させることは、該連続的な膜を気体の高速噴流と衝突させて、微細繊維化又は霧化して粒子にすることを含む請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記液体を、求心力によって前記毛細管内へ圧送することができる液体のポテンシャル流れの質量流量より少ない実際の質量流量で前記内側領域に供給する請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記粒子が前記少なくとも1つの表面から分離した後で該粒子を小さく細くさせるステップをさらに含む請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記小さく細くさせることは、より小さい液滴又は乾燥粒子を残すように粒子から蒸発させることを含む請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記粒子は、帯状体又は繊維であり、前記小さく細くさせることは、溶媒を蒸発させることを含む請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記粒子は、帯状体又は繊維であり、前記小さく細くさせることは、該粒子を周囲気体中で伸張させることを含む請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記粒子を小さく細くさせることは、静電紡糸を含む請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記粒子を小さく細くさせることは、加熱された気体を該粒子に方向付けることを含む請求項32に記載の方法。
【請求項38】
前記少なくとも1つの毛細管を画定するような寸法及び形状である少なくとも1つの表面を設けるステップは、間に少なくとも1つの毛細管を画定するように間隙距離だけ離間している対向する上側表面及び下側表面を有する2つの板を備えるローター組立体を設けることを含む請求項27に記載の方法。
【請求項39】
前記板の少なくとも1つは、鈍縁を有する請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記板の少なくとも1つは、その上に液体が蓄積するのを阻止するように選択される半径を有する鋭利な縁を有する請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記板の少なくとも1つは、2つの別個の粒子流が該板の上側縁及び下側縁から出ることを可能にする分岐縁を有する請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記少なくとも1つの縁からの前記粒子の分離又は移送を促すように、前記少なくとも1つの毛細管の前記縁の周り又は該縁に沿って気体を方向付けるステップをさらに含む請求項27に記載の方法。
【請求項43】
前記気体を方向付けることは、出てくる前記粒子を小さく細くさせること、又はその後の化学反応若しくは物理的改変を引き起こす請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記角速度及び板の直径は、該板の直径×回転速度が約50000cm・RPMより大きいように選択される請求項38に記載の方法。
【請求項45】
前記角速度及び板の直径は、該板の直径×回転速度が約10000cm・RPM〜1400000cm・RPMであるように選択される請求項38に記載の方法。
【請求項46】
前記角速度及び板の直径は、該板の直径×回転速度が約1400000cm・RPMより小さいように選択される請求項38に記載の方法。
【請求項47】
前記角速度及び板の直径は、該板の直径×回転速度が約10000cm・RPMより大きいように選択される請求項38に記載の方法。
【請求項48】
前記角速度及び板の直径は、該板の直径×回転速度が約700000cm・RPMの高さであるように選択される請求項38に記載の方法。
【請求項49】
前記角速度は、前記板が回転すると、抗力の結果としてかなりの摩擦を生成することによって該板が加熱されるように、該板が周囲気体と相互作用するように選択されている請求項38に記載の方法。
【請求項50】
前記液体は、
a.液体ポリマー、
b.溶融ガラス、
c.溶融金属、
d.溶融塩、
e.ミネラル、
f.セラミックス、
g.純粋な液体物質、
h.懸濁液、
i.エマルション、
j.溶液、及び
k.混合物
からなる群から選択される請求項27に記載の方法。
【請求項51】
前記液体は、2つの不混和液体で構成され、該不混和液体は、前記毛細管を通過する間に均質化されて前記縁から放出されることができる請求項27に記載の方法。
【請求項52】
前記液体は、溶融ポリマーであり、前記方法は、前記ポリマーを溶融して前記液体を形成すると共に該溶融ポリマーを前記回転毛細管に通過させるステップであって、前記溶融ポリマーは、前記少なくとも1つの表面から分離した後で冷却によって凝固して固体粒子を形成する請求項27に記載の方法。
【請求項53】
前記粒子が凝固すると該粒子を小さく細くさせるステップをさらに含む請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記粒子は、繊維である請求項27に記載の方法。
【請求項55】
前記粒子は、液滴である請求項27に記載の方法。
【請求項56】
前記液滴と少なくとも1つの気体とを混合するステップをさらに含む請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記液体は、水を含み、前記気体は、二酸化炭素を含み、前記液滴の混合は、該液滴が周囲の二酸化炭素を通過するときに炭酸水を生成する請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記液体は、燃料を含み、前記気体は、酸素を含み、前記方法は、燃焼室内で混合物に点火するステップをさらに含む請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記少なくとも1つの気体には汚染物が混入しており、混合は、該汚染物を前記少なくとも1つの気体から前記液滴へ移すように構成される請求項56に記載の方法。
【請求項60】
吸収は、前記汚染物に対して親和性を有する化学物質を前記液滴中に提供することによって高まる請求項59に記載の方法。
【請求項61】
放出された前記液滴を、該液滴を凍結乾燥させるように選択された真空に晒すステップをさらに含む請求項55に記載の方法。
【請求項62】
放出された前記液滴を、揮発性汚染物質を除去するように真空に晒すステップをさらに含む請求項55に記載の方法。
【請求項63】
微小液滴のスプレーが乾燥するように前記少なくとも1つの気体を加熱する請求項56に記載の方法。
【請求項64】
前記乾燥によって、残留する不揮発性液滴又は固体粒子が残る請求項63に記載の方法。
【請求項65】
放出された前記粒子を、真空、熱、冷却、光及び電離放射線のうちの少なくとも1つに晒すステップをさらに含む請求項55に記載の方法。
【請求項66】
前記液体は、溶融ポリマーであり、前記方法は、ポリマーの放出された前記粒子を、粒子が混入している気体と混合して複合材を形成するステップをさらに含む請求項27に記載の方法。
【請求項67】
前記粒子は、
a.炭素
b.ゼオライト、
c.吸収剤、
d.ケイ酸塩、
e.アルミナ、
f.ミネラル、
g.セラミックス、
h.ガラス、及び
i.ビーズ
からなる群から選択される請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記粒子は、少なくとも毎分20グラムの質量流量で生成される請求項27に記載の方法。
【請求項69】
前記粒子は、毎分約20グラム〜50グラムの質量流量で生成される請求項27に記載の方法。
【請求項70】
前記粒子は、少なくとも毎分200グラムの質量流量で生成される請求項27に記載の方法。
【請求項71】
前記粒子は、少なくとも毎分1000グラムの質量流量で生成される請求項27に記載の方法。
【請求項72】
液体から粒子を形成する装置であって、
a.スピンドルに固定されていると共に少なくとも1対の対向する表面を有する少なくとも2つの板を有するローター組立体であって、各対の対向する表面は、間隙距離だけ離間していると共にそれらの間に少なくとも1つの毛細管を画定しており、該毛細管は、該ローター組立体の回転軸線に隣接する内側領域と、前記回転軸線から遠位にある外側領域と、該外側領域に隣接する縁とを有する、ローター組立体を備え、
b.前記スピンドルは、前記液体が前記少なくとも1つの毛細管の前記内側領域に受け入れられると、該液体が該内側領域から前記外側領域へ移動し、該液体が前記少なくとも1つの表面に沿って膜として流れて前記毛細管に連続的には広がらないように前記少なくとも1つの表面上で該液体が不飽和状態をとり、かつ、該液体が前記縁に達すると前記少なくとも1つの表面から分離して少なくとも1つの粒子を形成するように選択される角速度で前記ローター組立体を回転させるように構成される駆動器具に連結されるように構成されている、装置。
【請求項73】
前記ローター組立体は、前記板の直径×回転速度が約10000cm・RPM〜1400000cm・RPMであるように構成されている請求項72に記載の装置。
【請求項74】
前記ローター組立体は、前記板の直径×回転速度が約1400000cm・RPMより小さいように構成されている請求項72に記載の装置。
【請求項75】
前記ローター組立体は、前記板の直径×回転速度が約10000cm・RPMより大きいように構成されている請求項72に記載の装置。
【請求項76】
少なくとも2つの不混和液体を乳化する方法であって、
a.内側領域及び外側領域を有する少なくとも1つの毛細管を画定するような寸法及び形状である少なくとも1つの表面を設けるステップと、
b.前記少なくとも1つの毛細管の前記内側領域に前記少なくとも2つの不混和液体を供給するステップと、
c.前記少なくとも2つの液体が前記内側領域から前記外側領域へ移動するときに、該少なくとも2つの不混和液体がせん断を受けて共に混合されるように十分なせん断力を前記毛細管内で生成するよう選択される角速度で前記毛細管を回転させるステップと、
を含む、方法。
【請求項77】
前記少なくとも1つの毛細管を画定するような寸法及び形状である少なくとも1つの表面を設けるステップは、間に少なくとも1つの毛細管を画定するように間隙距離だけ離間している対向する上側表面及び下側表面を有する2つの板を備えるローター組立体を設けることを含む請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記角速度及び板の直径は、該板の直径×回転速度が約10000cm・RPM〜1400000cm・RPMであるように選択される請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記角速度及び板の直径は、該板の直径×回転速度が約1400000cm・RPMより小さいように選択される請求項77に記載の方法。
【請求項80】
前記角速度及び板の直径は、該板の直径×回転速度が約10000cm・RPMより大きいように選択される請求項77に記載の方法。
【請求項81】
生成物を生成するシステムであって、
a.液体から粒子を形成する少なくとも1つの装置であって、各装置は、
i.少なくとも1つの毛細管を画定するような寸法及び形状である少なくとも1つの表面を有するローター組立体であって、各毛細管は、該ローター組立体の回転軸線に隣接する内側領域と、前記回転軸線から遠位にある外側領域と、該外側領域に隣接する縁とを有する、ローター組立体を有し、
ii.前記ローター組立体は、前記液体が前記少なくとも1つの毛細管の前記内側領域に受け入れられると、該液体が該内側領域から前記外側領域へ移動し、該液体が前記少なくとも1つの表面に沿って膜として流れて前記毛細管に連続的には広がらないように前記少なくとも1つの表面上で該液体が不飽和状態をとり、かつ、該液体が前記縁に達すると前記少なくとも1つの表面から分離して少なくとも1つの粒子を形成するように選択される角速度で回転するように構成される、少なくとも1つの装置と、
b.前記少なくとも1つの粒子を受ける収集機器と、
を備える、システム。
【請求項82】
前記少なくとも1つの装置は、前記収集機器の第1の領域に第1の粒子を堆積するように構成される第1の装置と、前記収集機器の第2の領域に第2の粒子を堆積するように構成される第2の装置とを含む請求項81に記載のシステム。
【請求項83】
前記収集機器は、前記受け入れた粒子を少なくとも1つの方向に移動させるように構成され、それによって、結果として生じる生成物は、前記第1の装置及び前記第2の装置からの粒子の滑らかなブレンドを有する傾向にある請求項82に記載のシステム。
【請求項84】
前記第1の粒子及び前記第2の粒子は、異なる寸法である請求項83に記載のシステム。
【請求項85】
前記第1の粒子及び前記第2の粒子は、異なる材料から作製される請求項83に記載のシステム。
【請求項86】
請求項81〜85のいずれか1項に記載のシステムを用いて形成される生成物。
【請求項87】
a.エアフィルタ、
b.音バリア;化学物質及び微粒子の分離器として、
c.吸収材料として、及び
d.断熱材料として
のうちの1つとして用いられるように構成される請求項86に記載の生成物。
【請求項88】
少なくとも1つの添加剤をさらに含む請求項86に記載の生成物。
【請求項89】
前記添加剤は、バインダーである請求項88に記載の生成物。
【請求項90】
前記添加剤は、炭素を含む請求項88に記載の生成物。
【請求項91】
前記添加剤は、ゼオライトを含む請求項88に記載の生成物。
【請求項92】
請求項86〜91に記載の生成物のうちのいずれか1つを巻くことによって形成される円筒部材。
【請求項93】
圧縮中心部領域をさらに備える請求項92に記載の円筒部材。
【請求項94】
織物を製造するシステムであって、
a.液体から粒子を形成する少なくとも1つの装置であって、各装置は、
i.少なくとも1つの毛細管を画定するような寸法及び形状である少なくとも1つの表面を有するローター組立体であって、各毛細管は、該ローター組立体の回転軸線に隣接する内側領域と、前記回転軸線から遠位にある外側領域と、該外側領域に隣接する縁とを有する、ローター組立体を有し、
ii.前記ローター組立体は、前記液体が前記少なくとも1つの毛細管の前記内側領域に受け入れられると、該液体が該内側領域から前記外側領域へ移動し、該液体が前記少なくとも1つの表面に沿って膜として流れて前記毛細管に連続的には広がらないように前記少なくとも1つの表面上で該液体が不飽和状態をとり、かつ、該液体が前記縁に達すると前記少なくとも1つの表面から分離して少なくとも1つの繊維を形成するように選択される角速度で回転するように構成される、少なくとも1つの装置と、
b.前記少なくとも1つの繊維を受ける加工機器と、
を備える、システム。
【請求項95】
前記少なくとも1つの装置は、第1の繊維を提供するように構成される第1の装置と、第2の繊維を提供するように構成される第2の装置とを含む請求項94に記載のシステム。
【請求項96】
前記加工機器は、前記第1の繊維及び前記第2の繊維を受け取るように構成されると共に、該第1の繊維及び該第2の繊維から糸を生成するように構成される紡績機である請求項95に記載のシステム。
【請求項97】
前記第1の繊維は、第1の材料を含み、前記第2の繊維は、第2の材料を含み、前記糸は、前記第1の材料及び前記第2の材料のブレンドである請求項96に記載のシステム。
【請求項98】
前記板の少なくとも一つは、2つの別個の板部材を共に接合することによって形成される分岐ローター板である請求項2に記載の装置。
【請求項99】
前記2つの別個の板部材は、金属であり、溶接によって共に結合されている請求項98に記載の装置。
【請求項100】
前記2つの別個の板部材の少なくとも一つは、400系のステンレス鋼からつくられている請求項98に記載の装置。
【請求項101】
前記2つの別個の板部材の間に設けられる中間板部材をさらに備える請求項98に記載の装置。
【請求項102】
前記2つの板の間に設けられる多孔質媒体をさらに備える請求項2に記載の装置。
【請求項103】
前記多孔質媒体は、前記板の間の間隙全体に広がっている請求項102に記載の装置。
【請求項104】
前記多孔質媒体は、少なくとも焼結金属から作製される部分を含む請求項102に記載の装置。
【請求項105】
前記多孔質媒体は、環形状を有し、前記内側領域の少なくとも一部を囲む請求項102に記載の装置。
【請求項106】
前記板の少なくとも一部は、前記液体が前記少なくとも1つの表面と接触することを促進するように該液体の経路を妨げるような寸法及び形状にされている請求項2に記載の装置。
【請求項107】
前記板の少なくとも一つは、波形の断面形状を有する請求項106に記載の装置。
【請求項108】
前記波形の断面形状は、周期的である請求項107に記載の装置。
【請求項109】
前記板の少なくとも一つに隣接する少なくとも1つの加熱素子をさらに備える請求項2に記載の装置。
【請求項110】
前記少なくとも1つの加熱器具は、前記ローター組立体が回転すると前記板と協働して空気を前記装置内に引き込むように構成されている請求項109に記載の装置。
【請求項111】
前記装置内に引き込まれる空気は、前記板を所望の動作温度に加熱するために前記加熱素子によって加熱される請求項110に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2012−520176(P2012−520176A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500016(P2012−500016)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【国際出願番号】PCT/CA2010/000391
【国際公開番号】WO2010/105352
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(511227071)ガバエ テクノロジーズ,エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】