回転軸の減速装置
【課題】メンテナンスが行い易く、全体の外形をコンパクト化しやすいと共に、細かなブレーキ力の設定が可能となり、カーテン布の重量に対応したブレーキ力を得ることができる減速装置を提供する。
【解決手段】回転軸２が軸心を貫通する状態で固定配置されるブレーキドラム３内に回転軸と一体に回転する回転体４を収納し、この回転体４の外周面に、径方向の外方へ突出する突条１０を周方向に間隔をおいて複数設け、前記ブレーキドラム３と回転体４の間に半径方向への移動を許容された状態で納まる分銅５が回転体４の隣接する突条１０間に納まり、分銅５がこの突条１０で回転軸４と一体の回転が与えられた時に、発生した遠心力でブレーキドラム３の内周面に摺接してブレーキ力が生じるようになっている。
【解決手段】回転軸２が軸心を貫通する状態で固定配置されるブレーキドラム３内に回転軸と一体に回転する回転体４を収納し、この回転体４の外周面に、径方向の外方へ突出する突条１０を周方向に間隔をおいて複数設け、前記ブレーキドラム３と回転体４の間に半径方向への移動を許容された状態で納まる分銅５が回転体４の隣接する突条１０間に納まり、分銅５がこの突条１０で回転軸４と一体の回転が与えられた時に、発生した遠心力でブレーキドラム３の内周面に摺接してブレーキ力が生じるようになっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
この発明は、たくし上げカーテンやブラインド、ロールスクリーン等の上げ下ろし時に、上げ下ろし速度を減速させるために用いる回転軸の減速装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
例えば、たくし上げカーテンは、カーテン布を吊り下げるカーテンボックス内に回転軸を設け、この回転軸の巻取り部材に巻き取った紐条の下端をカーテン布の下部に連結し、回転軸の回転を操作することにより、カーテン布の下端を昇降させるようになっており、重量のあるカーテン布を自重で降下させる場合に、降下速度が速いとし衝撃が発生するだけでなく、怪我等の危険を引き起こすことも考えられるので、前記回転軸に減速装置を組み込み、カーテン布の降下速度を減速するようにしている。
【０００３】
従来、たくし上げカーテン等に用いられている減速装置は、回転軸が軸心を貫通する状態で固定配置されるブレーキドラムの内部に、回転軸に外嵌して一体に回転するボスの外周に設けた回転板を配置し、この回転板の一面側に、基端側を回転板にピンで枢止した円弧状の遠心体を二個取付け、回転板に回転軸と一体の回転が与えられた時に、発生する遠心力で遠心体はピンを支点に外方へ回動することで、その外周部がブレーキドラムの内周面に摺接し、これによってブレーキ力が生じることで、回転軸の回転速度を減速し、カーテン布の降下速度を緩速にするようになっている（例えば、特許文献１参照）。
【特許文献１】特開２００２−１０６２６８号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
ところで、上記した従来の減速装置は、回転軸に固定する回転板に二個の遠心体をピンで枢止した構造になっているため、分解組み立てが行いにくく、メンテナス性が悪いだけでなく、ピンを支点に遠心体を揺動させるため、どうしても全体の外形が大きくなり、組み込み部分に制約を受けることになる。
【０００５】
また、回転板に二個の遠心体をピンで枢止した構造になっているため、発生するブレーキ力は固定化され、カーテン布の重量に対応した細かなブレーキ力の設定ができないという問題がある。
【０００６】
そこで、この発明の課題は、メンテナンスが行い易く、全体の外形をコンパクト化しやすいと共に、細かなブレーキ力の設定が可能となり、カーテン布の重量に対応したブレーキ力を得ることができる減速装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
上記のような課題を解決するため、この発明は、回転軸が軸心を貫通する状態で固定配置されるブレーキドラムと、このブレーキドラム内に納まる状態で回転軸と一体に回転する回転体と、前記ブレーキドラムと回転体の間に半径方向への移動を許容された状態で納まる分銅とからなり、前記回転体の外周面に、径方向の外方へ突出する突条を周方向に間隔をおいて複数設け、前記分銅が回転体の隣接する突条間に納まり、この突条で回転軸と一体の回転が与えられた時に、発生する遠心力でブレーキドラムの内周面に摺接してブレーキ力が生じるように形成されている構成を採用したものである。
【０００８】
上記分銅は、その外面がブレーキドラムの内周面に沿う方向の弧状面になり、この弧状面にブレーキドラムの内周面に摺接するためのブレーキシューが、弧状方向の一方に片寄った位置に設けられている構造とすることができる。
【０００９】
また、上記回転体の隣接する突条間に、この突条間の長さ方向に沿って複数の分銅が納まっているようにすることができる。
【００１０】
ここで、上記ブレーキドラムは、円筒状で外周の一部に固定用の座部が設けられ、一方の端部内周に回転体の抜け止め鍔が設けられ、回転体は、回転軸に対応する角孔が貫通する円筒状ボスの外周面で周方向に三等分した位置に突条が放射状の配置で突設され、円筒状ボスの一端に設けた段付き鍔が回転体の抜け止め鍔に嵌り合い、ブレーキドラムの他端側に固定した蓋部材の孔で円筒状ボスの他端が支持され、ブレーキドラム内に回転可能に収納されている。
【００１１】
また、上記分銅は、内面が円筒状ボスの外面に適合し、外面がブレーキドラムの内周面に適合する円弧面となり、円筒状ボスの外面とブレーキドラムの内面の間に形成されたスペース内に、半径方向へ移動できるような余裕のある状態で納まっている。
【００１２】
上記分銅は、回転軸の回転時に回転体と共に一体に回転することになるが、この回転時に作用する遠心力で外方に移動し、ブレーキドラムの内周面に摺接することで、回転速度に比例したブレーキ力が発生し、回転軸の回転速度を減速することになる。
【００１３】
この分銅の回転において、分銅は回転方向の後方に位置する突条で押されるため、遠心力による外方への移動は、この押された側縁を支点とする揺動運動となるため、ブレーキシューを弧状方向の一方に片寄った位置に設けておくと、一方方向への回転にはブレーキシューがブレーキドラムの内周面に摺接して大きなブレーキ力が得られ、逆回転時には、ブレーキドラムの内周面に対するブレーキシューの摺接力が少なくなり、ブレーキ力が弱くなる。
【００１４】
従って、減速装置をカーテンの下降方向の回転で大きなブレーキ力が得られるように回転軸にセットすれば、カーテンのたくし上げ時の抵抗発生が少なくなる。
【発明の効果】
【００１５】
この発明によると、ブレーキドラムと回転体の間に納まる分銅とからなり、分銅に回転軸と一体の回転が与えられた時に、発生する遠心力でブレーキドラムの内周面に摺接してブレーキ力が生じるようにしたので、構成部材を互いに固着したり軸止することなく組み立てることができ、分解組み立てが自由に行え、メンテナンスが行い易い。
【００１６】
また、ブレーキドラムと回転体の間に厚みの薄い分銅を収めた構造なので、外形の小型化が可能になり、組み込み部分にスペース的な制約を受けることが少なくなる。
【００１７】
更に、回転体の外周面に突条を周方向に間隔をおいて複数設け、分銅を隣接する突条間に納めたので、使用する分銅の数を増減することで細やかなブレーキ力の設定が可能になり、回転軸を回転させる荷重の変動に単一の構造で広範に対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１８】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【００１９】
図示のように、減速装置１は、断面多角形の回転軸２が軸心を貫通する状態で固定配置されるブレーキドラム３と、このブレーキドラム３内に回転可能に納まる状態で回転軸２と一体に回転する回転体４と、前記ブレーキドラム３と回転体４の間に半径方向への移動を許容された状態で納まる分銅５との組み合わせによって形成され、分銅５が回転軸２と一体の回転が与えられた時に、発生した遠心力でブレーキドラム３の内周面に摺接してブレーキ力が生じるようになっている。
【００２０】
上記ブレーキドラム３は、合成樹脂を用いて円筒状に形成され、外周の一部に固定用の座部６が設けられ、一方の端部内周に回転体４の抜け止め鍔７が周設されている。
【００２１】
回転体４は、合成樹脂を用い、回転軸２に対応する角孔８が貫通する円筒状ボス９の外周面で周方向に二等分又は図示のように三等分した位置に、先端の外径がブレーキドラム３内に余裕を持って納まるように設定した突条１０が放射状の配置で突設され、円筒状ボス９の一端に設けた段付き鍔１１が回転体４の抜け止め鍔７に嵌り合い、ブレーキドラム３の他端側にビス１２で固定した蓋部材１３の円形孔１４で円筒状ボス９の他端が支持され、ブレーキドラム３内に同軸心状の配置で回転可能に収納されている。
【００２２】
上記分銅５は、適宜材質の金属等を用いて形成され、回転体４の隣接する突条１０間に納まる幅を有し、その内面が円筒状ボス９の外面に適合する円弧面で、外面がブレーキドラム３の内周面に沿う方向の弧状面になり、この外側弧状面にブレーキドラム３の内周面に摺接するためのブレーキシュー１５が、弧状方向の一方に片寄った位置に設けられている。
【００２３】
このブレーキシュー１５は、分銅５の外側弧状面に設けた長さ方向の溝に嵌め込んで取付け、シリコン、ウレタン等、使用する材質と硬度の設定により様々な摩擦力を得ることができる。
【００２４】
なお、分銅５は、ブレーキシュー１５を省略したものでもよく、分銅５の外径面が直接ブレーキドラム３の内周面に摺接することで一定のブレーキ力を得ることができ、回転軸２を回転させる荷重が軽量の場合に使用することができる。
【００２５】
また、分銅５は、図２の下部位置に示したように、回転体４の長さに見合う一本物を用いてもよいが、図１（ａ）や図２の上部位置に示したように、隣接する突条１０間の長さ方向に沿って短く分断した複数の分銅５を納めるようにしてもよく、この場合、図２に一点鎖線で示すように、隣接する突条１０間に周方向の仕切り板１６を設け、複数に分断した分銅５の長さ方向の配置を仕切るようにしてもよい。
【００２６】
この発明の減速装置は、上記のような構成であり、例えば、たくし上げカーテンのカーテン下降速度を減速させるために用いる。
【００２７】
たくし上げカーテンは、図３に例示するように、カーテン布１７を吊り下げるヘッドレールボックス１８内に回転軸２を設け、この回転軸２の巻取り部材に巻き取った昇降コード１９の下端をカーテン布１７の下部に連結し、回転軸２の端部滑車に巻掛したチエン２０を操作することにより、回転軸２を回転させてカーテン布１７の下端を昇降させるようになっており、減速装置１は回転体４の角孔８を回転軸２に嵌合した状態で、ブレーキドラム３をヘッドレール１８に固定する。
【００２８】
たくし上げカーテンのたくし上げたカーテンを自重で下降させると、巻取り部材から昇降コード１９が引き出されることで回転軸２が図１（ｂ）の反時計方向に回転し、これと一体に回転する回転体４は、突条１０間に納まる分銅５に回転軸２と一体の回転を与えることになる。
【００２９】
上記分銅５は、ブレーキシュー１５を設けた側を先端にして突条１０で回転軸２と一体の回転が与えられた時に遠心力が発生するが、分銅５は回転方向の後方に位置する突条１０で押されるため、遠心力による外方への移動は、この押された側縁を支点とする揺動運動となり、ブレーキシュー１５がブレーキドラム３の内周面に摺接して大きなブレーキ力が得られ、このブレーキ力で回転軸２の回転速度を減速させることになり、これによってカーテンの下降速度を緩速にすることができる。
【００３０】
上記のような減速装置１において、回転体４の外周面に突条１０を周方向に間隔をおいて複数設け、分銅５を隣接する各突条１０間に納めたので、使用する分銅５の数を増減することができ、更に、隣接する突条１０間の長さ方向に沿って短く分断した複数の分銅５を納めるようにすると、分銅５の数が増えることで増減の選択肢が拡大し、これによって細やかなブレーキ力の設定が可能になり、回転軸２を回転させるカーテン布１７の荷重に応じたブレーキ力を簡単に得ることができ、単一の減速装置１でカーテン布１７の重量変化に対して広範に対応することができる。
【００３１】
また、減速装置１は、ブレーキドラム３と回転体４の間に分銅５を収めた構造になっているので、構成部材であるブレーキドラム３と回転体４及び分銅５を互いに固着したり軸止することなく組み立てることができ、減速装置１の分解組み立てが自由に行え、メンテナンスが行い易いという利点がある。
【００３２】
更に、カーテン布１７の重量が重い場合、複数の減速装置１を回転軸２に取付けることにより、減速効果を得るようにすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【００３３】
【図１】（ａ）はこの発明に係る減速装置の縦断正面図、（ｂ）は（ａ）のｂ−ｂ拡大断面図
【図２】この発明に係る減速装置の分解斜視図
【図３】この発明に係る減速装置を用いたたくし上げカーテンの背面図
【符号の説明】
【００３４】
１ 減速装置
２ 回転軸
３ ブレーキドラム
４ 回転体
５ 分銅
６ 固定用の座部
７ 抜け止め鍔
８ 角孔
９ 円筒状ボス
１０ 突条
１１ 段付き鍔
１２ ビス
１３ 蓋部材
１４ 円形孔
１５ ブレーキシュー
１６ 仕切り板
【技術分野】
【０００１】
この発明は、たくし上げカーテンやブラインド、ロールスクリーン等の上げ下ろし時に、上げ下ろし速度を減速させるために用いる回転軸の減速装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
例えば、たくし上げカーテンは、カーテン布を吊り下げるカーテンボックス内に回転軸を設け、この回転軸の巻取り部材に巻き取った紐条の下端をカーテン布の下部に連結し、回転軸の回転を操作することにより、カーテン布の下端を昇降させるようになっており、重量のあるカーテン布を自重で降下させる場合に、降下速度が速いとし衝撃が発生するだけでなく、怪我等の危険を引き起こすことも考えられるので、前記回転軸に減速装置を組み込み、カーテン布の降下速度を減速するようにしている。
【０００３】
従来、たくし上げカーテン等に用いられている減速装置は、回転軸が軸心を貫通する状態で固定配置されるブレーキドラムの内部に、回転軸に外嵌して一体に回転するボスの外周に設けた回転板を配置し、この回転板の一面側に、基端側を回転板にピンで枢止した円弧状の遠心体を二個取付け、回転板に回転軸と一体の回転が与えられた時に、発生する遠心力で遠心体はピンを支点に外方へ回動することで、その外周部がブレーキドラムの内周面に摺接し、これによってブレーキ力が生じることで、回転軸の回転速度を減速し、カーテン布の降下速度を緩速にするようになっている（例えば、特許文献１参照）。
【特許文献１】特開２００２−１０６２６８号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
ところで、上記した従来の減速装置は、回転軸に固定する回転板に二個の遠心体をピンで枢止した構造になっているため、分解組み立てが行いにくく、メンテナス性が悪いだけでなく、ピンを支点に遠心体を揺動させるため、どうしても全体の外形が大きくなり、組み込み部分に制約を受けることになる。
【０００５】
また、回転板に二個の遠心体をピンで枢止した構造になっているため、発生するブレーキ力は固定化され、カーテン布の重量に対応した細かなブレーキ力の設定ができないという問題がある。
【０００６】
そこで、この発明の課題は、メンテナンスが行い易く、全体の外形をコンパクト化しやすいと共に、細かなブレーキ力の設定が可能となり、カーテン布の重量に対応したブレーキ力を得ることができる減速装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
上記のような課題を解決するため、この発明は、回転軸が軸心を貫通する状態で固定配置されるブレーキドラムと、このブレーキドラム内に納まる状態で回転軸と一体に回転する回転体と、前記ブレーキドラムと回転体の間に半径方向への移動を許容された状態で納まる分銅とからなり、前記回転体の外周面に、径方向の外方へ突出する突条を周方向に間隔をおいて複数設け、前記分銅が回転体の隣接する突条間に納まり、この突条で回転軸と一体の回転が与えられた時に、発生する遠心力でブレーキドラムの内周面に摺接してブレーキ力が生じるように形成されている構成を採用したものである。
【０００８】
上記分銅は、その外面がブレーキドラムの内周面に沿う方向の弧状面になり、この弧状面にブレーキドラムの内周面に摺接するためのブレーキシューが、弧状方向の一方に片寄った位置に設けられている構造とすることができる。
【０００９】
また、上記回転体の隣接する突条間に、この突条間の長さ方向に沿って複数の分銅が納まっているようにすることができる。
【００１０】
ここで、上記ブレーキドラムは、円筒状で外周の一部に固定用の座部が設けられ、一方の端部内周に回転体の抜け止め鍔が設けられ、回転体は、回転軸に対応する角孔が貫通する円筒状ボスの外周面で周方向に三等分した位置に突条が放射状の配置で突設され、円筒状ボスの一端に設けた段付き鍔が回転体の抜け止め鍔に嵌り合い、ブレーキドラムの他端側に固定した蓋部材の孔で円筒状ボスの他端が支持され、ブレーキドラム内に回転可能に収納されている。
【００１１】
また、上記分銅は、内面が円筒状ボスの外面に適合し、外面がブレーキドラムの内周面に適合する円弧面となり、円筒状ボスの外面とブレーキドラムの内面の間に形成されたスペース内に、半径方向へ移動できるような余裕のある状態で納まっている。
【００１２】
上記分銅は、回転軸の回転時に回転体と共に一体に回転することになるが、この回転時に作用する遠心力で外方に移動し、ブレーキドラムの内周面に摺接することで、回転速度に比例したブレーキ力が発生し、回転軸の回転速度を減速することになる。
【００１３】
この分銅の回転において、分銅は回転方向の後方に位置する突条で押されるため、遠心力による外方への移動は、この押された側縁を支点とする揺動運動となるため、ブレーキシューを弧状方向の一方に片寄った位置に設けておくと、一方方向への回転にはブレーキシューがブレーキドラムの内周面に摺接して大きなブレーキ力が得られ、逆回転時には、ブレーキドラムの内周面に対するブレーキシューの摺接力が少なくなり、ブレーキ力が弱くなる。
【００１４】
従って、減速装置をカーテンの下降方向の回転で大きなブレーキ力が得られるように回転軸にセットすれば、カーテンのたくし上げ時の抵抗発生が少なくなる。
【発明の効果】
【００１５】
この発明によると、ブレーキドラムと回転体の間に納まる分銅とからなり、分銅に回転軸と一体の回転が与えられた時に、発生する遠心力でブレーキドラムの内周面に摺接してブレーキ力が生じるようにしたので、構成部材を互いに固着したり軸止することなく組み立てることができ、分解組み立てが自由に行え、メンテナンスが行い易い。
【００１６】
また、ブレーキドラムと回転体の間に厚みの薄い分銅を収めた構造なので、外形の小型化が可能になり、組み込み部分にスペース的な制約を受けることが少なくなる。
【００１７】
更に、回転体の外周面に突条を周方向に間隔をおいて複数設け、分銅を隣接する突条間に納めたので、使用する分銅の数を増減することで細やかなブレーキ力の設定が可能になり、回転軸を回転させる荷重の変動に単一の構造で広範に対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１８】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【００１９】
図示のように、減速装置１は、断面多角形の回転軸２が軸心を貫通する状態で固定配置されるブレーキドラム３と、このブレーキドラム３内に回転可能に納まる状態で回転軸２と一体に回転する回転体４と、前記ブレーキドラム３と回転体４の間に半径方向への移動を許容された状態で納まる分銅５との組み合わせによって形成され、分銅５が回転軸２と一体の回転が与えられた時に、発生した遠心力でブレーキドラム３の内周面に摺接してブレーキ力が生じるようになっている。
【００２０】
上記ブレーキドラム３は、合成樹脂を用いて円筒状に形成され、外周の一部に固定用の座部６が設けられ、一方の端部内周に回転体４の抜け止め鍔７が周設されている。
【００２１】
回転体４は、合成樹脂を用い、回転軸２に対応する角孔８が貫通する円筒状ボス９の外周面で周方向に二等分又は図示のように三等分した位置に、先端の外径がブレーキドラム３内に余裕を持って納まるように設定した突条１０が放射状の配置で突設され、円筒状ボス９の一端に設けた段付き鍔１１が回転体４の抜け止め鍔７に嵌り合い、ブレーキドラム３の他端側にビス１２で固定した蓋部材１３の円形孔１４で円筒状ボス９の他端が支持され、ブレーキドラム３内に同軸心状の配置で回転可能に収納されている。
【００２２】
上記分銅５は、適宜材質の金属等を用いて形成され、回転体４の隣接する突条１０間に納まる幅を有し、その内面が円筒状ボス９の外面に適合する円弧面で、外面がブレーキドラム３の内周面に沿う方向の弧状面になり、この外側弧状面にブレーキドラム３の内周面に摺接するためのブレーキシュー１５が、弧状方向の一方に片寄った位置に設けられている。
【００２３】
このブレーキシュー１５は、分銅５の外側弧状面に設けた長さ方向の溝に嵌め込んで取付け、シリコン、ウレタン等、使用する材質と硬度の設定により様々な摩擦力を得ることができる。
【００２４】
なお、分銅５は、ブレーキシュー１５を省略したものでもよく、分銅５の外径面が直接ブレーキドラム３の内周面に摺接することで一定のブレーキ力を得ることができ、回転軸２を回転させる荷重が軽量の場合に使用することができる。
【００２５】
また、分銅５は、図２の下部位置に示したように、回転体４の長さに見合う一本物を用いてもよいが、図１（ａ）や図２の上部位置に示したように、隣接する突条１０間の長さ方向に沿って短く分断した複数の分銅５を納めるようにしてもよく、この場合、図２に一点鎖線で示すように、隣接する突条１０間に周方向の仕切り板１６を設け、複数に分断した分銅５の長さ方向の配置を仕切るようにしてもよい。
【００２６】
この発明の減速装置は、上記のような構成であり、例えば、たくし上げカーテンのカーテン下降速度を減速させるために用いる。
【００２７】
たくし上げカーテンは、図３に例示するように、カーテン布１７を吊り下げるヘッドレールボックス１８内に回転軸２を設け、この回転軸２の巻取り部材に巻き取った昇降コード１９の下端をカーテン布１７の下部に連結し、回転軸２の端部滑車に巻掛したチエン２０を操作することにより、回転軸２を回転させてカーテン布１７の下端を昇降させるようになっており、減速装置１は回転体４の角孔８を回転軸２に嵌合した状態で、ブレーキドラム３をヘッドレール１８に固定する。
【００２８】
たくし上げカーテンのたくし上げたカーテンを自重で下降させると、巻取り部材から昇降コード１９が引き出されることで回転軸２が図１（ｂ）の反時計方向に回転し、これと一体に回転する回転体４は、突条１０間に納まる分銅５に回転軸２と一体の回転を与えることになる。
【００２９】
上記分銅５は、ブレーキシュー１５を設けた側を先端にして突条１０で回転軸２と一体の回転が与えられた時に遠心力が発生するが、分銅５は回転方向の後方に位置する突条１０で押されるため、遠心力による外方への移動は、この押された側縁を支点とする揺動運動となり、ブレーキシュー１５がブレーキドラム３の内周面に摺接して大きなブレーキ力が得られ、このブレーキ力で回転軸２の回転速度を減速させることになり、これによってカーテンの下降速度を緩速にすることができる。
【００３０】
上記のような減速装置１において、回転体４の外周面に突条１０を周方向に間隔をおいて複数設け、分銅５を隣接する各突条１０間に納めたので、使用する分銅５の数を増減することができ、更に、隣接する突条１０間の長さ方向に沿って短く分断した複数の分銅５を納めるようにすると、分銅５の数が増えることで増減の選択肢が拡大し、これによって細やかなブレーキ力の設定が可能になり、回転軸２を回転させるカーテン布１７の荷重に応じたブレーキ力を簡単に得ることができ、単一の減速装置１でカーテン布１７の重量変化に対して広範に対応することができる。
【００３１】
また、減速装置１は、ブレーキドラム３と回転体４の間に分銅５を収めた構造になっているので、構成部材であるブレーキドラム３と回転体４及び分銅５を互いに固着したり軸止することなく組み立てることができ、減速装置１の分解組み立てが自由に行え、メンテナンスが行い易いという利点がある。
【００３２】
更に、カーテン布１７の重量が重い場合、複数の減速装置１を回転軸２に取付けることにより、減速効果を得るようにすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【００３３】
【図１】（ａ）はこの発明に係る減速装置の縦断正面図、（ｂ）は（ａ）のｂ−ｂ拡大断面図
【図２】この発明に係る減速装置の分解斜視図
【図３】この発明に係る減速装置を用いたたくし上げカーテンの背面図
【符号の説明】
【００３４】
１ 減速装置
２ 回転軸
３ ブレーキドラム
４ 回転体
５ 分銅
６ 固定用の座部
７ 抜け止め鍔
８ 角孔
９ 円筒状ボス
１０ 突条
１１ 段付き鍔
１２ ビス
１３ 蓋部材
１４ 円形孔
１５ ブレーキシュー
１６ 仕切り板
【特許請求の範囲】
【請求項１】
回転軸が軸心を貫通する状態で固定配置されるブレーキドラムと、このブレーキドラム内に納まる状態で回転軸と一体に回転する回転体と、前記ブレーキドラムと回転体の間に半径方向への移動を許容された状態で納まる分銅とからなり、前記回転体の外周面に、径方向の外方へ突出する突条を周方向に間隔をおいて複数設け、前記分銅が回転体の隣接する突条間に納まり、この突条で回転軸と一体の回転が与えられた時に、発生する遠心力でブレーキドラムの内周面に摺接してブレーキ力が生じるように形成されている回転軸の減速装置。
【請求項２】
上記分銅は、その外面がブレーキドラムの内周面に沿う方向の弧状面になり、この弧状面にブレーキドラムの内周面に摺接するためのブレーキシューが、弧状方向の一方に片寄った位置に設けられている請求項１に記載の回転軸の減速装置。
【請求項３】
上記回転体の隣接する突条間に、この突条間の長さ方向に沿って複数の分銅が納まっている請求項１又は２に記載の回転軸の減速装置。
【請求項１】
回転軸が軸心を貫通する状態で固定配置されるブレーキドラムと、このブレーキドラム内に納まる状態で回転軸と一体に回転する回転体と、前記ブレーキドラムと回転体の間に半径方向への移動を許容された状態で納まる分銅とからなり、前記回転体の外周面に、径方向の外方へ突出する突条を周方向に間隔をおいて複数設け、前記分銅が回転体の隣接する突条間に納まり、この突条で回転軸と一体の回転が与えられた時に、発生する遠心力でブレーキドラムの内周面に摺接してブレーキ力が生じるように形成されている回転軸の減速装置。
【請求項２】
上記分銅は、その外面がブレーキドラムの内周面に沿う方向の弧状面になり、この弧状面にブレーキドラムの内周面に摺接するためのブレーキシューが、弧状方向の一方に片寄った位置に設けられている請求項１に記載の回転軸の減速装置。
【請求項３】
上記回転体の隣接する突条間に、この突条間の長さ方向に沿って複数の分銅が納まっている請求項１又は２に記載の回転軸の減速装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図２】
【図３】
【公開番号】特開２００８−１２５５７４（Ｐ２００８−１２５５７４Ａ）
【公開日】平成２０年６月５日（２００８．６．５）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−３１０９４８（Ｐ２００６−３１０９４８）
【出願日】平成１８年１１月１７日（２００６．１１．１７）
【出願人】（０００１７５９０６）三光商事株式会社 (15)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年６月５日（２００８．６．５）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年１１月１７日（２００６．１１．１７）
【出願人】（０００１７５９０６）三光商事株式会社 (15)
【Ｆターム（参考）】
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